○青野
委員 決意のほどは先ほどからのごあいさつでよくわかっておりますが、私のお尋ねしたいのは具体的な施設をどうするか、それは口の上でおっしゃることは私も聞いておって非常にお気の毒でもあり、悲壮な感に打たれるのですけれ
ども、
事故があって多くの人命が失われて、あとに残された遺族の
方々が血の出るような苦しい生活に遭遇しなければならぬことを考えると、単線の運行でこういうような
事故が起きたことは、これは事実であります。これは現実の問題であります。こういうととがしばしば将来繰り返されては旅客はたまったものではない。そのためにはこうも改善したい、こういう設備も欧米各国のようにおくれながらも取り入れたい。それはなるほど財政的に国家の現状からいってみて、
国鉄が十分な予算を獲得することは非常に困難性があるということは、私
どもも運輸
委員の一人として十分その点はわかっておるつもりでありますが、何を申しましても人命尊重の目的からいきますと、少々
事故があったって、三人や五人死んだって仕方がないというようなことをおっしゃる人はおりますまい。けれ
ども結果から見ると、やればやれないことのないようなことでも、とにかく実施していただかない。ただ
国鉄全体の
責任であるとおっしゃることは、私
どもも非常に了といたしますけれ
ども、具体的に
国鉄当局がお調べになった点で、どこに理由があったからこれは
国鉄全体の
責任であるという点が、まだ不明確になっている。先ほどからの
質疑応答の中で、私はここでじっとお聞きしておりましたが、大体
信号を中心にして
列車の運行をやっている。タブレットというものはあまり重きを置いてないというが、それは御
質問にありましたように、停電する場合もある。あるいは電灯の故障もある。そういったようなことから考えますと、
信号灯だけをたよることは非常に危険なんです。第二、第三の
六軒駅問題が将来起るかもわからないという不安と疑念を私
どもは持たざるを得ません。こういう点について一番大切なことは、
国鉄のバスに乗っても、
列車に乗っても、これは大丈夫だ、安心して乗れる、自分の
家庭の中で寝ておるような気持で旅行ができる、
国鉄の
列車に関しては絶対に
事故はない、生命の安全が保障されておるというように、
国鉄が
国民から非常に信頼を受けなければならないことなんです。これが
列車運行の目的でなければなりません。ただ
事故があったときに謝罪をするだけで、そして将来こういうことのないように努力をいたします——努力をしてくれることはけっこうですが、それが具体的に何も目に見えて表われてこないのでは、やはり第二、第三、第四のこういう
事件が起らざるを得ません。それは
洞爺丸事件についてもそうです。
紫雲丸事件についてもそうです。あるいはそういう点は天災地変に
関係があったのかもわかりませんが、今回の問題は、豪雨によって土砂が崩壊したわけでもない、大きな台風によって
列車が転覆したというわけでもありません。人事を尽せばこういう惨害は未然に防げなければならないはずです。こういうような
被害、
列車事故というものは、過去においてもそうざらには起っておりません。一ぺんこういうような大きな
列車事故を起した以上は、
当局の
責任として、どうすればこういうことが改善されるか、再びこういうことを繰り返さないためには、どういうことを具体的にせなければならぬかということは、あなた方の頭にすでに専門家としてできておるはずです。それはもちろん予算の伴うことでありましょうけれ
ども、一方においては、加賀山元
総裁のごときは、三十七万円ばかりで自分の家を買って、一カ月後には自分の後輩の局長に命じて、そうして家屋と土地の再評価が二百万円、当時の
国鉄総裁の邸宅が、自分の買った家よりも二十一坪も大きな邸宅であって、土地でも二百十三坪、一坪が二十万円いたしましょう。そうすると土地だけでも二百坪以上ですから四千万円、自分の買った家はまるきり土地はついていないのです、借地権ですから。そうすると、二百万円ずつに見積りをさせて、するりと交換した。こういうでたらめなやり方が参議院の
委員会で問題になり、衆議院でも問題になったが、こういう点でも、金額がこまかいから少々のことはいいわ、ぼろくそに言われれば、都合よく口の先で答弁をしておけばいいわというわけにはいきません。運賃の値上げを二割上げるとか、一割五分上げるとか言っておりますが、上野から省線の下にずっと商店が並んでいる。
国鉄の
幹部、十年も十五年も前にやめた局長あたりがボスになって、はなはだしいのは、一年間百二十万円からの家賃を取っていながら、
国鉄に納める金はわずかに十万円だ。何の権利があって百十万円の一年間の不当所得をするのですか。こういう問題が、
国鉄の省線の下の商店街に必ずだれかが介入している。直接に貸借しているのはまれです。みな間接だ。こういうものを計算しても一年間に何億、おそらく十億に近いのではないかと私は計算をしておる。神戸の三宮の駅の付近まで、大体日本じゅうの
国鉄関係の持っておる土地とか、建物とか、あるいは場所とかを公然と提供しておることが、
国民から
非難をされておるが、そういう点は
一つも改悛の情がない、それを根本的に改革しようという気持が
一つもない。これを私はいつも運輸
委員会で
指摘するけれ
ども、そういう点について、非常な決断のもとにこれを解決しようという御努力が今日までなされておりません。おまけに蒸気
機関車、電気
機関車、車両、ボイラーその他いろいろなものを大きな会社工場に注文するといえば、必ず
国鉄の元局長をしておった者が、大きな会社、工場の専務があるとか、常務であるとか、社長であるとかいうところへ持っていって注文する。それで
国民がせっかく汽車に乗って黒字が出た。
国鉄は相当の収入がある。その収入の中から三千万円で蒸気
機関車ができるものだったら、よく計算してごらんなさい、二千万円から千八百万円ぐらいでできないことはない。それを自分たちの縁故をたよって、大きな会社、工場にそういう車両、ボイラー、
機関車の付属品であるところのメタルとかシリンダー、そういうものを注文する。そういう点を改めて、運賃を値上げしてくれねばどうしても
国鉄の
経営が成り立ちませんと言うてくるならば、わかる。ルーズな点はみんなとにかくほおかぶりをして、口をつぐんで、見て見ないようにして放任しておいて、そうしてこういうような気の毒な
事故が起ると、まことに申しわけがございません、ほんとうにお気の毒でたまりませんという、口の先の見舞だけでは、遺族の諸君はあきらめられまいと思う。新聞記事を見て私も思わず涙ぐんだのですが、気の毒にも夫に早く別れて、小さいときから子供を苦労して育て上げて、来年は坂戸高校を卒業するというどたんばに、一人息子に死なれた母親が、もうものを言う元気もなくて非常に落胆しているという記事を読んで、私は人ごとのように考えない。それは
十河さんは
国鉄の
総裁として御丁重なごあいさつから、心の底から気の毒がっておられることはわかりますけれ
ども、それを形の上に私は表わしてもらいたい。どうすれば
事故を完全に
防止できるか、こういう点を
石井さんでもあるいは
運転局長でもかまいませんから、はっきりしていただけないと、
国民は納得ができないと私は考える。この点を明瞭にしていただきたい。