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1956-05-23 第24回国会 衆議院 運輸委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十三日(水曜日)     午前十時二十四分開議  出席委員    委員長 松山 義雄君    理事 今松 治郎君 理事 臼井 莊一君    理事 畠山 鶴吉君 理事 山本 友一君    理事 青野 武一君 理事 中居英太郎君       伊藤 郷一君    生田 宏一君       佐伯 宗義君    關谷 勝利君       中嶋 太郎君    濱野 清吾君     早稻田柳右エ門君    井岡 大治君       下平 正一君    山口丈太郎君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君         運輸政務次官  伊能繁次郎君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      權田 良彦君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局地方資         金課長)    牧野 誠一君         運輸事務官         (自動車局業務         部長)     岡本  悟君         建 設 技 官         (計画局都市計         画課長)    鶴海良一郎君         参  考  人         (早稲田大学教         授)      島田 孝一君         参  考  人         (東京交通局         長)      渡辺伊之輔君         参  考  人         (大阪交通局         長)      下村  進君         参  考  人         (帝都高速度交         通営団総裁)  鈴木 清秀君         参  考  人         (私鉄経営者協         会副会長)   根津嘉一郎君         専  門  員 志鎌 一之君     ――――――――――――― 五月八日  委員稻田柳右エ門辞任につき、その補欠と  して福永一臣君が議長指名委員に選任され  た。 同日  委員福永一臣辞任につき、その補欠として早  稻田柳右エ門君が議長指名委員に選任され  た。 同月九日  委員眞鍋儀十君辞任につき、その補欠として戸  塚九一郎君が議長指名委員に選任された。 同月十日  委員池田禎治辞任につき、その補欠として木  下哲君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員木下哲辞任につき、その補欠として池田  禎治君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員山口丈太郎辞任につき、その補欠として  水谷長三郎君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員水谷長三郎辞任につき、その補欠として  山口丈太郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十二日  直江津、越後湯沢間の鉄道敷設に関する請願(  田中彰治紹介)(第二一四九号)  道路運送法の一部改正に関する請願外五件(纐  纈彌三君紹介)(第二一五〇号)  自動車の泥除備付けに関する請願下平正一君  紹介)(第二一五一号)  同(田中武夫紹介)(第二二〇二号)  同(渡海元三郎紹介)(第二二二四号)  勝田線デイゼルカー運転請願池田禎治君  紹介)(第二一五二号)  離島航路改善整備に関する請願田中彰治君  紹介)(第二一五三号)  宮之浦港修築費予算化に関する請願原捨思君  紹介)(第二一五四号)  北方定点気象観測業務再開に関する請願(中馬  辰猪君紹介)(第二一五五号)  鑑定、検量及び検数事業確立に関する請願(星  島二郎君外三名紹介)(第二一六八号)  兵庫急行バス株式会社新規路線免許反対に関  する請願山口丈太郎紹介)(第二一九一  号)  来宮駅西熱海駅に改称請願畠山鶴吉君紹  介)(第二一九六号)  来宮駅東海道線電車停車請願畠山鶴吉君  紹介)(第二一九七号)  岡崎、多治見間の鉄道敷設に関する請願(小林  かなえ君紹介)(第二一九八号)  東北本線瀬の上、槻木間の鉄道敷設に関する請  願外一件(竹谷源太郎紹介)(第二二〇三  号)  南小樽駅改築に関する請願阿左美廣治君紹  介)(第二二一四号) 同月十五日  日豊本線急行高千穂号西鹿児島駅まで延長の  請願池田清志紹介)(第二二四二号)  桜島火山観測整備に関する請願池田清志君  紹介)(第二二四三号)  菓子鉄道等級運賃引下げに関する請願(加藤  鐐五郎君紹介)(第二二五八号)  館腰地区デイゼルカー停留所設置請願(愛  知揆一君外一名紹介)(第二二五九号)  飯山、新井間の鉄道敷設に関する請願西村彰  一君紹介)(第二二六九号)  自動車泥除備付けに関する請願西村彰一君紹  介)(第二二七〇号)  同(吉田賢一君外一名紹介)(第二二七一号)  市営乗合自動車事業優先免許に関する請願(  八木一郎君外三名紹介)(第二三一二号)  上山駅改築に関する請願松浦東介紹介)(  第二三一三号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 同月十日  青森函館間の航空能力増強に関する陳情書  (第六八一号)  同(第七一四号)  日本国有鉄道等独立採算制改善に関する陳情  書(第六八二  号)  水戸、高萩間にデイゼルカー運転等に関する陳  情書(  第六八三号)  菓子運賃等級引下げに関する陳情書  (第七一二  号)  林産物関係貨物運賃是正に関する陳情書  (第七一三号)  東海道線鈴川駅を吉原駅に改称陳情書  (第七一五号)  青森函館間航路災害防止措置等に関する陳  情書(第七三五号)  阿仁田沢特定地域資源開発鉄道鷹角線敷設に関  する陳情書(  第七三六号)  保内、雫石両駅間の鉄道敷設に関する陳情書  (第七三七号)  国鉄山陰本線及び舞鶴宮津線の電化に関する陳  情書(第七三八  号)  自動車等の泥除備付けに関する陳情書  (第七三九号) 同月十五日  高崎線電車化促進に関する陳情書  (第七五七号)  国鉄山陰本線デイゼルカー運転等に関する陳情  書(第七八二  号)  後免、牟岐間の鉄道敷設促進に関する陳情書  (第八〇八号) を本委員会参考送付された。     ―――――――――――――本日の会議に付した案件  小委員会設置に関する件  都市交通問題に関する件     ―――――――――――――
  2. 松山義雄

    松山委員長 ただいまより運輸委員会を開会いたします。  陸運、特に都市交通の問題に関しまして参考人各位より御意見を聴取いたしたいと存じます。  この際一言委員会を代表いたしまして委員長よりごあいさつ申し上げます。本日は御多忙中にもかかわりませず、本委員会のために御意見を承わることができますことは、まことに感謝にたえない次第でございます。本問題に関しましては、当委員会といたしまして、以前より多大の関心を持っておりました次第でありますが、幸い本日参考人各位の御出席を得まして御意見を承わることができますことは、委員会審議にも多大の参考になるものと信じ、委員一同にかわりまして厚く御礼を申し上げる次第でございます。  なお本日の審議は、まず参考人各位より御意見を承わり、全部の御意見開陳が終った後、委員各位の御質疑を許すことにいたしたいと存じます。御意見開陳は御一人十分ないし十五分程度にお願いいたしたいと存じます。  それではこれより参考人の御意見を承わることといたします。島田参考人にお願いいたします。
  3. 島田孝一

    島田参考人 ただいま委員長がおっしゃいましたように、大都市における交通の問題、なかんずく人口増加に基きまして非常な旅客輸送の上の混雑が大きな都市に幾度でも出て参りましたことは、皆様承知通りのことだと思うのでございます。われわれといたしましても、何とかして一日も早くこの混雑状態を緩和させる対策を立てなければならないということを考えておるわけでございますが、幸いにいたしまして昨年の秋、都市交通審議会というものが運輸大臣諮問機関として設置されまして、今日までずっと研究をしておるわけでございますが、諮問の第一番目に出て参りましたところは、大都市及びその周辺における交通、特に通勤、通学時における旅客輸送整備増強に関する基本的計画、これについて答申運輸大臣に出さなければならないというような状態にただいまなっておるわけでございまして、ここには三十名前後の委員の方が、いずれもそれぞれの立場から御参加になっていらっしゃいまして、非常に熱心な討議を現在継続しておられるわけでございます。現在まで十回以上の審議会そのものが開かれております。のみならず、特殊の問題につきましてはさらに小委員会を別に作りまして、これがまた非常に専門的な問題を専門的な角度から御検討になっていらっしゃる、こういうわけでございますので、ちょうど衆議院運輸委員会各位がお考えになっていらっしゃるような問題をあわせまして、同時に他の審議会がこれを徹底的に検討を加えておるのが今日の実際でございます。しかも今日の参考人としてここに出ました者の大半が、ただいま申し上げました都市交通審議会委員立場を持っていらっしゃるのでございまして、それぞれの立場から後刻いろいろお話が出るだろうと思うのであります。私は御承知のように大学に関係しておりまして、実際の会との関連は全くない者でございますが、ただたまたま私が互選の結果その座長というような地位をしばらく続けておりますものでございますから、そういう立場からあまり具体的な問題をここで申し上げることは、非常なデリケートな関係が生じてくるのではないかということを、私自身は非常におそれるわけでございます。後刻いろいろ御質問がございましたならば、私が知っております限りのことを率直に申し上げたいとは存じておりますけれども、しかしそこにはおのずから程度の問題が出てくるのではないか、こういうふうに思われるわけでございます。  そういう立場に立って最初に一言申し上げたいことは、まず第一は、ごらんのように日本のいずれの都市におきましても、人口の過度の集中というありさまが戦後非常に著しくなって参りました関係から、交通難という問題が特に旅客輸送に関連いたしまして非常に著しくなって参りましたことは、ここに重ねて申し上げる必要ないと存じます。私どもはいかにしたならばこの交通難を、なるべく早い機会に完全に解決することができるかということに、全力を上げて尽すべき立場に置かれておるように思うのでございまして、将求の時代におきましても、どうぞ衆議院運輸委員会各位十分熱意をお持ちになって、この問題の完全な解決のために御奮闘あることを私はこの席で特にお願い申し上げたいと思うのであります。それにつきまして、ただいま申し上げました都市交通審議会におきましておもなる問題となっております点は、一つはおそらく地下高速鉄道というものをいかにして早く建設して、この交通難を解消せしめるかということでございましょう。ところがこれはいろいろの意味におきまして、問題がその中に含まれておると思うのでございます。御承知のように建設につきましても非常に巨額な資金を必要といたしますことは、皆さんも御承知通りであろうと思います。いかにしてこの財源を捻出していくかという問題も、私どもとしては当然考えなければならないことでございましょう。あるいはまた新しい建設ということを考えませんでも、従来たとえば東京の場合といたしまして、帝都高速度交通営団が一部の地下線を持って経営していらっしゃる。あるいはまた東京都がいろいろの御計画を現在持っていらっしゃるように伺っております。また東京付近私鉄各社もこの計画を持っていらっしゃらないわけでもないというふうに、計画そのものにつきましては、いろいろなものが出ておるのでありますが、先ほど申し上げましたように、資金の面においてなかなかこの点が容易に解決を見るとも考えられないわけでございますが、同時にもう一つ方法といたしまして、でき得べくんば現在ございますところの施設を、いかに有効に活用せしめるかという問題も、同時に私どもとして考慮を払わなければならない問題のように考えておるのでございます。たとえば直通運転というようなことにつきましても、できましたならばそういうところの解決のために私どもとして骨を折りたい。ことに先ほど申しました都市交通審議会におきましては、直通運転に関連いたしましても、技術の関係から、一体こういうことが早い機会に実現し得るやいなやというような点につきましても、非常な綿密な検討を加えまして、ある程度結論は中間的に今日できておるのでございますが、その結論を最も要約して申し上げますと、従求の施設そのものが、規格において非常に統一を欠いております関係から、どうもなかなか思うようにいかないのではないかというようなことも懸念いたしております一点でございます。  そのほか運賃の問題につきましても、あるいはまた何人がこの建設に当り、将来の経営を担当するかというような問題につきましても、非常にむずかしい問題が多々あるようでございます。私どもはでき得る限り都市交通審議会中心といたしまして、これに対するところの解決策をまとめまして、運輸大臣に対しまして答申を申し上げたい、こういう段階に達しておりますことを今日皆様に御報告申し上げて、なお今後皆様の御協力もわずらわしたいと考えておるわけでございます。  なおただいま申し上げました点は、主として東京中心としての問題を申し上げているようなわけで、ことに都市交通審議会といたしまして、現在まさに取り上げておりますのは、東京都を中心とする問題でございますけれども、御承知のようにわが国の大都市におきましては、いずれも程度の差こそあれ、相当同じ種類の悩みをいずれの都市も持っていらっしゃるのじゃないか。たとえば大阪においてもそういうきらいがあるのではないか、名古屋においてもしかりというようなことを考えて参りますと、都市交通審議会そのものも、あえて東京だけの問題に対して検討を加えるだけでなしに、できましたならば、主要な都市についても同様な措置を講ずるようなことのできますためには、どんな対策をこの際われわれとして考えたらよかろうか、こういうようなことを現に考えつつあるわけでございます。  たまたま委員長から最初に御指名を受けましたので、ごく大綱につきまして申し上げまして、ことにまた現在部市交通審議会としてやっております仕事を、その責任者の一人といたしまして、御報告を申し上げるということで私の最初の責めをふさぎたいと存じます。なお後刻いろいろ御質問がございましたならば、先ほど来申し上げておりますように、でき得る限りまた率直に私はお答えを申し上げたい、かく考えておる次第でございます。
  4. 松山義雄

    松山委員長 次に渡辺参考人にお願いたします。
  5. 渡辺伊之輔

    渡辺参考人 私都の交通局長渡辺でございます。本日は初めてこの衆議院公聴会に出たわけでございます。説明が不十分な点が多々あるかと思いますが、御了承願いたいと思います。  今島田さんからお話もございましたように、東京都は全く人口膨張交通機関との関係が不均衡を来たしておるということは、皆様承知通りでございます。たとえばその後の人口膨張は、毎年三十万ないし四十万の膨張を来たしておる。これに対しまする交通機関がうまく均衡がとれていないということが、大きな原因になっておるのであります。しかも、その人口膨張が、どういう方面膨張しておるかということでございます。二十五年と二十八年との比較をとって参りますと、都心の中央区、千代田区、港区の三区をとってみますと、人口膨張はわずかに六%でございますが、それ以外の、二十三区のうちそのほかの二十区につきましては二〇%以上の増加を来たしておる、こういうような跛行的な状態を呈しておるのであります。大体において一日の各交通機関が、全部で運搬いたしておりまする人間は、千万ないし千三百万人というのが一日のお客なんであります。これは国鉄営団私鉄並びにバスというようなものだけで運行いたしておるのでありますが、これはこのままではどうしても現状でさえやっていけない。なお今後の人口増加に対しましては、何か抜本的ないろいろな問題を考えていかなければやっていけないだろう、こういうように考えているわけでございます。その他数字上のいろいろな問題も、すべて資料もございますが、お手元に配付いたしておきましたので、時間もございませんようですから、あとで御質問に答えることにいたしたいと考えます。ただ、たとえば昭和の初めごろにおける一年間の東京都民乗車回数というものを調べてみましても、二百二十回ぐらいであったのでありますが、現在は四百五十回ぐらいに、倍以上になっている。人口増加お客増加とは、昭和の初めごろをとってみますと、人口増は一三〇%ぐらいに対してお客増加は二五〇%にもなっている。こういうような状態を呈しておるのでございます。これはいわゆる都市の動きというものが活発になったということと、並びに各種交通機関における乗りかえというような問題がたくさん出ている、こういうようなことを如実に現わしていると考えております。  それで、数字の問題はそういうことにいたしまして、それでは現在都市における交通関係欠陥はどういう点にあるだろうか、こういうことでございます。第一番は路面輻湊という問題でございます。これは御案内通りこれ以上道を広げるというわけにもなかなか参りませんし、都心にすべての交通が集中いたしておりますので、都民生活の能率と安全の維持に大へんな支障を来たしている。こういうことで、路面交通輻湊いたしておるということが第一でございます。たとえばこれは運輸省方面でいろいろ資料もあるかと思いますが、現在の自動車の数が昭和二十七年に七、八万台であったものが、現在は二十四万台にもなっている、こういうような状態でございます。こういう路面交通輻湊ということが一つ原因だろうと思います。一応この欠陥を、大きな問題だけを列記いたしまして、あと御説明いたしたいと思います。第一は今申し上げました路面交通輻湊の問題、第二番目は、これを大量に、しかも早く安く輸送するところの高速度鉄道不足しているということでございます。地下鉄不足という問題でございます。これは御案内通りロンドンにおいては高速度地下鉄は三百九〇何キロ、ニューヨークも同じく三百五十キロぐらいある、こういうような状態でございますので、現在の東京都は高速度交通機関不足しているということが、第二の大きな問題だと考えます。その次には、すべての交通機関総合的企画性が欠けている、こういう問題だと考えます。総合的な企画性を欠いているということは、要するにみながばらばらに、まちまちにやっている、こういう問題でございます。これはぜひ大きく統合いたしまして、統制ということを考えていかなければならぬじゃないか、こういうようにわれわれの方といたしましては考えているわけでございます。第四番目は、地域別調整の問題でございます。今昭和十三年の東京交通調整法というものによりまして、十七年に発動いたしまして、その法律による行政処置といたしまして、地上を五ブロックに分け、地下営団、こういうふうな六ブロックに分けて、現在の状態にそのまま進んでおるのであります。これは実際その当時はそれで十分役を足したのでありまするが、現状ではこれは相当考慮し、再考する必要があるのじゃないか、こういう問題でございます。ただバスなどにつきましては、理想と現実との違いで、バスは現在は相互乗り入れということで地域別調整を緩和いたしておるのであります。こういうような問題が一つの大きな欠点じゃないだろうか、こういうふうにわれわれの方は考えておるのでございます。  それで、それならば将来どうするか、こういう問題でございまするが、さっき申しました路面交通輻湊、こういうような問題につきましては、これはなかなか簡単には処理できる問題でもございませんが、これを何とか整備いたしまして、路面交通は緩和したい。これは高速度自動車道路を作るとか、いろいろな問題も出てくるだろうと思いまするが、こういうような問題で一つぜひ緩和する。道路を新しく広げるというようなことはなかなかむずかしい問題でございますから、別個にそういうもので考えていかなければならぬのじゃないか、こういうように思っております。  それから総合的企画性の欠如の問題は、今申しましたように、私らの理想といたしましては、大統制ということを目標に考えてやっていかなければいけない。しかしこれはそう一挙にそこまでいくのはなかなかむずかしいと考えまするが、どうしても一貫性を考え、一元的な将来の統制という問題は考えていかなければならないのじゃないか、こういうように考えておるわけでございます。  それから地域別調整区域の形態の欠陥という問題につきましても、同様に、これはいろいろ権益の関係、また権限の問題、長年にわたるいろいろな問題がございまして、一朝一夕にはなかなかむずかしいと考えまするが、バスのように地域別調整の問題は、理想としてはぜひこれをはずして持っていって、時勢に合うように問題をやっていかなければいかぬ。しかしそれは一応政府の方におかれまして、何かの方針をきめていただいて、その上に立って、これを一日も早くそういうような方向に向って進んでいかなければならぬ、こういうように考えておるわけでございます。  最後に、高速鉄道不足の問題でございます。これはどういたしましても、二十三区だけで八百万の都民を擁し、その他の区域を入れると千二百万、それから各県からの流入のお客というようなものを考えますと、千数百万になる一日のお客をどうして運ぶかということは、これはいわゆる高速度交通機関を一日も早く作るということになると考えておるのでございます。それについて東京都といたしまして、お手元に上げました「都の主張」、こういうものを考えておるのでございます。それで、それに従ってこの二月の一日にわれわれの方といたしましては、地下鉄の問題を出願をいたしたのであります。三路線についての出願をいたしました。この出願の問題については、いろいろ考え方もあり、長年にわたって、調整法という問題、営団法という問題もございまするので、考え続けておったのでありまするが、昨年の秋運輸省の方に、いよいよ出願をするからというお伺いを立てた上に立って、この二月の一日に初めて出願をいたしたというようなわけでございます。  それでこの機会に、都の交通の根幹を将来なすであろうところの地下鉄の問題について、都の考え方というものを御説明申し上げたいと思います。一日も早く現下の交通難を打開するというためには、どうしても地下鉄出願をやるよりほかに方法はない。そのためにわれわれといたしましては、先般きまっておりまする都市計画路線によるものに準拠して、大体営団が持っておられるのでありまするが、それをあえて出願をしたわけなのであります。これに対する考え方としては、首都交通の問題に対する都の責務、こういう問題でございます。これは今申しましたように、千二百万近くの毎日のお客を動かしておる、それのみならず、世界における巨大都市を凌駕するというような状態になっておるのでございまして、これに実際の交通機関が相マッチしておらない、こういうことなんでございます。それで毎日の交通地獄を現出しておる、こういうような状態でございまするので、東京都は首都整備という問題と、都民日常生活の充実をしなければいけないという地方公共団体としての立場と、行政的な立場から責任と義務の点を考えて、あえて出願をいたしたわけであります。この問題につきましては、都議会においては数年来これを出願をして早くやれ、こういう意向はありましたが、われわれ事務当局といたしましては、営団法関係調整法との関係というようなものを十分考慮いたしまして、今まで研究に研究を重ねてきておったわけでございます。いろいろな機関に御相談申し上げまして、その上でここであえて出願いたした、こういうことでございます。  そこで首都交通の将来の考え方と目標という問題でございますが、首都交通は都及び周辺におきます膨大な人口が、朝夕都心中心にして動いておりますので、この地域における地上の問題と地下の問題、これは将来の理想といたしまして一元的な経営をしなければやっていけない。どうしてもばらばらの経営でいくことはよくない。地上、地下を一元的な経営でもっていきたいと考えておったのであります。すなわち国鉄とか営団とか都とか私営というような、ばらばらなものでは困る。運輸省の交通白書の精神にも徴しまして、これをできるだけ一元的に総合的に運営をするように考えていかなければならぬ。その交通網の整備という点につきましては、これはわれわれの方の考え方といたしましては、公営的にこの将来の整備をしてもらいたい、こういうように主張いたしておるのであります。これは御承知通り、世界の大都市は大体において公営でございます。公営必ずしも公共団体が直接この事業をやるという意味じゃありません。公共企業体とか、そういうような意味でございます。公営必ずしも都直営でやるという意味ではございませんが、巨大都市における交通は、やはり公営を主眼としていただきたいと考えておるのであります。  それではこの東京における問題につきまして各企業体との関係でございますが、これは国鉄が一番今込んでおります。この国鉄は本来の使命に立たれて、都市交通とはまた別個の全体の国鉄としての使命の上に立たれて、今の混雑をぜひ解消するように整備増強してもらいたいと考えておるのでございます。次に私鉄でございますが、私鉄考え方に対しましては計画いたしておられるようであります。郊外と都心との直接、これは当然考えなければならぬ問題でございまするが、しかし地下鉄というようなものをもって入ってくるという問題につきましては、将来の恒久的な地下鉄でございますので、ぜひこれは大統制というものを目標にする考え方の上に立っていただきたい、こういうように考えておるのであります。それと同時に、営団の問題でございます。営団は一番地下鉄をやる使命を持っておられる、こういうことになっております。それで営団の当事者はこの建設のために、十年以上のほんとうに心血を注いでの努力をされたのでありますけれども、財政の問題その他の問題で、思うほどこれが進んでおらないということは、現実の事実でございます。このままで進むということになると、一年々々とおくれていくということになって、それだけすべての操作がむずかしくなるし、それだけ都民生活は脅威を受ける、こういうような問題でございますので、各企業体に対するいろいろな考え方をごく簡単に申し述べたのであります。  それでは都の地下鉄建設計画、方針はどういうことか、こういう問題でありますが、われわれの方は三路線出願いたしました。結論的に申しますと、これはやはり営団建設すべき責任があるし、また原則的に営団がやるべきだという考えに立っておりますがゆえに、現在も営団に対しましては都が出資をいたしておるのでありますが、都と営団とは相ともに提携をいたしまして、一日も早くこれを建設していきたい、こういうように考えるのが基本の考え方でございます。そういう考え方の上に立っていろいろな構想を考えて参りまして、それで三路線出願いたしたわけでございます。営団と相ともに提携して持っていこうという基本の線の上に立って、この三路線出願をいたしました。これは約五十キロでございます。最初一つの線は五反田から北千住に至る線、一つは中目黒から巣鴨を通って東上線大山に至る線、もう一つは高田馬場から大手町、茅場町方面を通って江東方面の錦糸町、押上に至る線、こういうようなもので一応五十キロの出願をいたしたわけであります。この計画路線といたしましては、先般終戦直後にきまりました都市計画路線に準拠いたしまして、それにいろいろ交通の変化というものを考慮いたしまして、これで修正をしたところでいこうと考えております。第一番目は、計画路線都市計画路線中心に考えて五十キロ出そうということでありまして、二番目は営団との問題でありますが、今申しましたように営団と相協力して——営団計画路線としてまだ七十キロくらいやられるところがあります。それを、われわれの方は五十キロ出願いたしたわけでございますが、営団と相協力し、お互いに分担し合って考えていこう、こういうのが都の考え方であります。それから、旧市内の方はそれでいいが、郊外との問題を解決しなければならない、こういう問題でございますが、郊外と都心とを直結させるということは当然の考え方であります。しかしながらこの問題は、やはり旧市内を中心に考えた上に立ちまして、郊外との連絡ということを考えていかなければならないと思います。ただいたずらに郊外から入ってくるということだけでなしに、旧市内の整備という問題を中心に考えた上に立って、郊外との連絡ということを考えていかなければならないと思っておるのであります。それで、都内と郊外との直結の問題を実施しなければ意味がない、こういうように考えまして郊外との直線連絡方式を考慮いたしたわけであります。しかし都内と郊外との直結を考えるということになって、私鉄の線に並行して新しい線を郊外に敷設するということは、いたずらに二重投資の弊に陥るだけでございます。また私鉄が長年にわたって郊外の開発に努力されたその実績と経験というものは、当然尊重していかなければならぬというように考えております。そこで私鉄の線に並行して都内から新しく堀って出ていくということは、今申しましたような二重投資の問題と、郊外の開発に長年の間努力された経験、実績というものを尊重する意味で、郊外電車の終点と都心の中へ掘っていったものとの直結を考えたのであります。それで穴を掘って参りますので、その穴を利用されて郊外電車が中へ入られたらいいじゃないか。穴を掘るのは東京都は自分で掘ろう、自分で掘るから、現在の郊外電車に改良を加え、その上に立ってその穴を利用されて中に入られたらいいじゃないか、そういうことによって郊外と都心との交通地域の調整というものが自然に解決していく糸口になるのじゃないか、こういうふうに考えておるのであります。これが実は都の地下鉄に対するいろいろな考え方でございます。  そこで、それでは都はその金をどうするかという問題でございますが、これは五百二十億要すると考えております。大体の計算で五百二十億というように考えております。これを一応十五カ年の計画ということにいたしまして、毎年約三十五億円くらいの費用をかけていこうという考え方でございます。それでは、その三十五億円の内訳はどうするかという問題でございまするが、これは営団が今政府資金を十五億円いただいておりまするが、同様に十五億政府資金を仰ごう、しかしこの十五億円は、営団が今もらっておりまする十五億の分を分けて取るということでは何ら意味がない、別個の十五億円をぜひ政府にお願いをいたしていきたい、こういうふうに考えております。これが十五カ年間十五億で、約二百二十億出る。それから一般の公募、これは今営団が二十五億くらい公募なさっておりますが、これを大体年間十一億ぐらいの公募にいたしていこう、そうして百六十五億ぐらいの一般の公募債を発行していきたい。それでもなお足りないところは、年間約八億ないし九億でございますが、これは現在のわれわれが事業をいたしておりまする分から節約を加え、先般の値上げというようなものも見まして幾らかゆとりが出て参りましたし、交通事業自体がある程度ゆとりも出て参っておりまするので、これを中心にして出して、なお一般の経済からもある程度の援助を仰ぐ、こういうことで都議会その他の全会一致の決議をいたしておるわけでございます。それを合せまして五百二十億、これは申し上げますと、政府資金が二百二十億、一般公募が百六十五億、われわれの方から出しまする実際の金が百三十五億、こういうふうに考えていきたいと考えておるのでありまして、これが資金計画でございます。それで、この線に沿いまして営団と相ともに協力いたし、分担をいたしてでもぜひやっていきたい、こういうふうに考えているのが、現在の地下鉄との交通の問題に対しまする都の考え方でございます。  大へん時間をとりましたが、かいつまんで御説明を申し上げました。もし御質問がございますればお答え申し上げたいと思います。
  6. 松山義雄

    松山委員長 次に下村参考人にお願いいたします。
  7. 下村進

    ○下村参考人 大阪交通局の下村でございます。先ほどからだんだんお話がございましたように、東京交通問題はかなりいろいろの意味合いで世間の注目を引き、また各方面の研究が進んでいるわけでありますが、われわれ大阪といたしましても、ただいま東京からお話がありましたように、全く同様な悩みを持っているわけでありますけれども、先ほど島田先生に伺いますと、大阪の問題も近々に審議会で取り上げて十分研究しようというお話でありまして、まことにありがたいと存ずるわけであります。そういうわけで、国会で大阪交通事情をお聞きいただける機関を得ましたことは、大へんうれしく存ずるわけであります。時間がございませんので、詳しくは大阪市の資料をお手元に差し上げてありますので、それによって御承知を願いたいと思いますが、概要だけ簡単に申し述べさせていただきたいと存じます。  大阪交通事情というものも東京と同様でありまして、通勤、輸送というものは非常に困難をきわめているわけであります。これもだんだんお話がありますように、戦災後交通機関が非常に整備していないのと、市民の皆さんが周辺部あるいは郊外地域に移住されたというようなこと、及び労働基準法の関係で、昔は朝のラッシュというものが七時から十時まで、三時間ありましたものが、出動時間がほとんど一緒になりましたために、朝の一時間、なおつづめて申しますと、八時二十分から八時五十分までというものがほんとうのラッシュになっておるわけであります。大阪東京と違いまして、非常に町が小さい関係で、ほんとうのラッシュは三、四十分であるわけであります。その間に約八十万近くの人間を運んで参るわけであります。従って、戦前に比較いたしまして、総体的な乗客の乗降率と申しますか、車に詰められている数字は統計的にはかなり減っておりますが、そういうように時間的には非常に狭まっておるということに相なっておるわけであります。  それから、先ほど東京から自動車の問題が出ましたが、路面交通においても、大阪では市内の自動車が約八万ほどあります。ただ東京と違いまして御承知のように大阪は非常に道が狭い、道路面積は、大阪東京の三分の一以下になっておるわけであります。そういうことから、車の数ははるかに少いのでありますが、道路面積に対比いたしますと、むしろ東京より部分的には込んでおるということも言えるのでありまして、しかも狭い道路に、大阪市は比較的長い距離の電車を動かしておりますが、自動車の妨害によるだんご運転、このことが朝の通勤輸送を非常に阻害しておるということも言い得るわけであります。  従って、こういうものに対してどうしておるのだ、緩和対策でありますが、申すまでもなくバスをふやし、電車をふやす。ことしも電車を五十台とバスを百三十台ふやしておりますが、これとてもほとんど限界に近い。と申しますことは、路面上の交通が非常に逼迫しておりますから、このことによる通勤輸送の緩和というものは、もうほとんど限界に近くなっておるのではないか。将来路面交通上の諸施設を拡充いたしましても、多く期待をすることはできないというようなことを考えて参りますと、どうしても地下鉄の問題になるわけであります。大阪市はただいま十二キロの路線経営しておりまして、地下鉄輸送いたしておりますものは、毎日大体四十二万ほど輸送をいたしておるわけであります。東京はたしか二十一キロか二キロだったと思いますが、約四十万のお客を運んでおられる。そういう意味からすれば、非常に利用度が高いということで、朝晩は相当込んでおるわけであります。そういうことから大阪市においては、戦前実は第一号から第四号まで、五十四キロの地下鉄計画を持っておりましたが、戦争のために中絶いたしまして今日に及んでおるわけであります。終戦後新しい区画整理、都市計画の再検討の際に、四路線を五路線、七十六キロということに変更いたしまして、目下関係方面に特許の申請をいたしておるわけであります。これの経費といたしましては、約六百億を要することに相なっております。  一方、東京と違いまして、大阪国鉄が市内の重要部分に走りながら、環状になっていないということから、高速度輸送上いろいろ不利な点があったわけでありまして、市においても、かねて財界と協力いたしまして、国鉄にいろいろお願いいたしまして、本年度から五カ年計画で環状線の工事に着手をいたしております。数年にして環状線ができる。そういたしますと、われわれがかねて熱望しておりました地下鉄の東西線——今日は南北だけ一線地下鉄があるわけでありますが、環状線を東西に貫通する、東西の地下鉄というものが、きわめて喫緊を要する問題になって参っておるわけであります。ところが戦後の新しい計画については、まだ免許をいただいていないのでありますが、これにつきましては東京と同様に、各私鉄からの乗り入れの問題が二、三あるわけであります。大阪の地形を御存じない方もあるかと存じますが、上六−難波、千鳥橋−難波、大和田−森ノ宮、つまり各私鉄がおのおの中心に乗り入れをしたい。ただあとで御質問によって地図上で御説明を申し上げたいと存じますが、大阪東京と比較しまして国鉄の環状線の環状が非常に小さいのであります。しかも各私鉄はその中にかなり入っておるわけでありまして、一、二の私鉄におきましては、ターミナルにおろしておるお客さんも、その私鉄を利用しておる者の半分は、途中で国鉄の環状線にお客をゆだね、その半分はターミナルに運んでおるというような事情があるのでありまして、東京と多少事情が違っております。しかしながら現在乗り入れを申請いたしております計画は、いわゆる都市計画とは無関係な申請でありまして、われわれ都市計画上はそのこと自体にかなり問題を持っておるわけであります。ある線のごときはとうてい実行が不可能に近いのではないかと思われるような計画もあるのでありまして、さようなことから考えますと、少くとも東西線を早急に着工せざるを得ないという事情からいたしますと、私たちが免許申請をいたしております路線についての、すみやかなる御決定をお願いしたいというふうに考えておるわけであります。  財源につきましては、たびたび申し上げますように、非常な巨額を要するわけであります。従って起業債も今日は非常に制約を受けております。これはすみやかに再考をお願いしたいと存じますが、かりに起業債の自由が認められましても、今日のような高利な起債ではとても運賃というものははじき出せない。しかしながらどうしても都市交通の早急な解決地下鉄が必要であるということになりますと、ここに政府において何らかの財政的処置をお願いしたいと存ずるわけであります。道路につきましては公共事業で二分の一あるいは三分の二という補助をされております。地下鉄はいわば立体的な道路の拡張であるということも言い得るわけでありまして、そういう意味における政府の財政的援助あるいは低利資金あるいは利子補給、何かそういうふうな一つ特別な御措置を願わなければ、とても早急な地下鉄の完成ということはむずかしいのではないかというふうに存ずるわけであります。  要約いたしますと、早く路線の免許を確定していただきたい。起債についてももう少し自由な処置をお願いしたい。同時に地下鉄建設費が非常に高率なために、経営上とうてい運賃計算が出てこない、しかも都市交通解決策には絶対不可欠なものであるという観点になりますならば、都市交通の産業経済における重要な使命にかんがみて、積極的な何らかの政府の財政的御援助をいただきたいと思うわけであります。なお詳細につきましては、お手元に差し上げております資料によって御了承いただきたいと存ずるわけであります。
  8. 松山義雄

    松山委員長 ありがとうございました。では鈴木参考人にお願いいたします。
  9. 鈴木清秀

    ○鈴木参考人 私帝都高速度交通営団の鈴木でございます。本日ここに都市交通、ことに地下鉄建設の実際についてお話をいたすことのできますことはまことにありがたいと存じます。少し時間をとるかもしれませんが、お許しを願いたいと思います。  まず東京都内におきまするところの交通の骨格は、御案内通り都市の周辺を国電が走っておる。そうして周辺地区から私鉄がそこに流れて入って、その旅客を環状線へ運んでおる。周辺地区と都心とをつないでおるところのものは、国電の中央線と京浜、東北線だけである。また路面電車は旧市内を網状的に交通網を形成しておる。ただ地下鉄道はこの環状線の山手線から都心に向って高速度で周辺地区の客を運ぶと同時に、旧市内の交通の需要を満たしておる。このほかにバスが補完的作業をなしておる、こういうことが東京都の交通の骨格だと私は思うのであります。しかしながら人口増加人口の分布状態の異変によりまして、旧市内、都心に最近急激に入ってきたということと、最近の自動車増加路面上の交通を非常に複雑にしておるということ、このことがいろいろ交通機関輸送力の不足と、山手環状線の各連絡駅の混雑と、路面交通混雑を惹起しておると思うのであります。こういう問題を根本的に解決するのには、各企業者の恣意を押え、都全体の交通目的に適合したところの総合的な交通計画を作成して、運営されるところのものを作り上げることを考えることが必要だと思います。現に先ほど渡辺さんの申されたる通り、世界各国の大都市はすべてパブリック・コーポレーションによって行われておる。行政と財政と政治から、ある限度の自主性を持ったところのパブリック・コーポレーションによって経営されるというような実情にあるのであります。しかしながら現実の問題としてこれを取り上げてみますと、第一に国電の参加の問題と、各企業における労働条件の較差という問題が非常なこの解決の困難を起す問題だと思います。従って早急にこの問題を解決することはできないと思います。そこで焦眉の解決策として取り上げられるものは、国電における改良計画の増強であります。それと同時に地下鉄道の建設であると思うのであります。地下鉄道の建設に当って考えられるべき点が二点あります。一つはいかなる交通計画、あるいは交通体系と申し上げていいかもしれませんが、のもとに建設するかという問題であります。もう一つ地下鉄建設し、及び運営するところの困難性の問題であります。  第一から申し上げますが、現在におきまするところの都市計画路線網は、大体において山手環状線の主要駅を連絡駅としまして、都心内に放射的に入っておるのであります。そうして旧市内相互の交通をつかさどると同時に、この連絡駅に周辺地区の客を運んでおるということを使命としております。しかしながら最近の山手線の各駅の混雑が著しいために、周辺地区から都心へ通勤する人の間に、この連絡の混雑の緩和をはかる声がかなり高くなっております。しかしながら地下鉄道は将来路面電車にかわって旧市内の相互の輸送をもつかさどるべき重要な機関でありますので、地下鉄道の建設目標としては、周辺地区から都心直通するということを一つの目標とすると同時に、旧市内、都心におけるところの相互の交通に便益になるというような構想のもとに計画されなければならないと思うのであります。この点に関しまして、ロンドンにおきましては周辺地区から大規模の鉄道をそのまま都心に入れることを考えております。パリにおきましては周辺地区と別個の規模の地下鉄道網を建設したのであります。この二つの思想は都市交通問題としてかなり長らく論ぜられたところの問題でありますが、おのおの各都市におけるところの実情及び現存せる鉄道の状況によってきめるべき問題だと私は考えます。そういうことを考えますと、東京における地下鉄道におきましては先ほど申しましたごとく、一つは周辺地区から直通するように、一つは旧市内において有機的な交通網を形成するように作られなければならぬと思うのであります。しかして環状線における連絡駅を緩和するためには、一つは環状線の外において、郊外電車に甚大な影響を及ぼさない地点において連絡する、いわゆる環状線と両方のツー・ジャンクション・システムをとることが一つ考えられる。一つは郊外電車を旧市内に乗り入れさせるということであります。これは、現在の地下鉄に郊外電車を乗り入れしめることは、規格及び電圧の関係から技術的に困難であります。ただ今後建設されるところの地下鉄を郊外電車と相にらみ合って建設するならば、車両の乗り入れ等は可能であると思うのであります。しかしながら現在における郊外電車のセミ・スチール・カーは、地下鉄道としては不燃焼性を保持するために、これは採用すべきものではないと思うのであります。車両を新しく作ればいいと思うのであります。先ほど申し上げましたように地下鉄道は旧市内相互間における交通需要を目的とするものでありますから、一部郊外電車がそのまま直通しただけでは意味をなさないのであります。旧市内の多くの地点において、ことに東京駅付近において現在の地下鉄道と連絡し、各系統の乗りかえの便益になるような、いわゆるターナー式の網を形成するような地下鉄道を建設しなければならぬと思うのであります。これが地下鉄道をいかなる目標に向って作るべきかというところのことであります。  次に地下鉄道の建設並びに運営上の困難の点を申し上げます。第一に建設の点でありますが、世界で最も地質の悪い、しかも埋設物の非常に多い東京都において地下鉄道を建設するということは、特殊にして高度の技術を必要とすることは言うまでもありません。次に地下鉄道の建設には膨大な建設費を要するのであります。これは路線の地質、停車場の数いかんによっては多少の増減がありますが、現に丸ノ内線の建設費は池袋−お茶の水間において五十二億、お茶の水−西銀座において六十九億、西銀座−新宿線において百十億、すなわち池袋−新宿が二百三十一億であって、旧市内においては一キロ十四億を要するのであります。帝都における交通について永遠なる生命を持ち、都民の安全なる輸送を確保するだけの設備を持ってするとすれば、私は一キロ十四億を要すると思います。地下鉄道の建設に膨大な費用が要りますことは、ニューヨークの技師のウイリアム・ハーソンが路面電車の二十倍、高架電車の四倍ないし五倍を要したということを言っておりますが、営団の実績に照らしてみると大体当っているようであります。この巨額の建設資金の調達が、地下鉄建設において最も主要な問題となります。現行都市計画路線網の一路線建設には、現在の経済情勢をもってすれば五、六年を要するものと存ずるのでありますが、経済界の景気、不景気によって資金調達が困難になり、建設工事が中断せられるようであってはいけないのである。あらかじめ永続せる資金調達方法を考えなければならぬと思います。これは雑談でありますが、私が見返り資金を取りまするときに、自分は見返り資金四億出してくれ、十億を民間から募集する、こういって大体四億が二億五千できまったのでありますが、政府御当局その他の話も進んでおりましたが、いざもらうときにアメリカのリード氏が、日本の現今の金融状態において十億営団が募集する。営団の財政力から見ればあるだろうが、それから他の産業の社債のワクを非常に減少することになる。しかも地下鉄建設は永続性のものであるから、財政資金にたよる方法を講じろと言われて法律改正をしたことがありますが、私は今考えるとまことに至言であると感心しております。以上のように建設費の調達が困難であったために外国においてはどうしたかと申しますると、地下鉄建設のために国家が社債の利子の一部を負担しておるのがあります。また公共団体が公債を発行して、その金を地下鉄の会社に向けておるものがある。構築その他を公共団体が建設して、車両、電機設備を会社が作って、会社が運営しておるものがある。またロンドンのごとく地下鉄建設のために新しく建設資金コーポレーションを設置したものがある。かくのごとき特別なる方法を講じて、各都市地下鉄道は建設されたのであります。  次に完成後の運営の困難な点について申しますると、膨大なる建設費を要することが、利子及び固定資産税というもののために非常な重圧を加えられております。しかるに交通機関運賃は、電源のごとく原価計算のみによって運賃をきめるわけにいかないのであります。他の競争機関というものの制約を受けて運賃はきまるのであります。改良後数年というものは、ことに地下鉄建設ではかなりの間というものは不採算であることはいなまれないだらう。現にこれは地下鉄のように建設費のかからない一般電鉄会社においてすら、小田急のごときは十三年、東京−横浜が十一年、目黒−蒲田線が三年というものは、国家の補助を得ておったのであります。そういうふうに鉄道事業そのものが建設をするのに苦しいのに、いわんや地下鉄のごときは言うまでもありません。これも雑談に終りますが、ニューヨーク・タイムズに一、二年前に、世界において地下鉄で黒字になるのは、東京大阪とマドリッドだけだということが出たことがあります。現に営団建設いたしました丸ノ内線の池袋−お茶の水間の例を引いてみますと、二十九年度において、これは一部開通でありますが、お茶の水は収入二億に対して、利子が四億であります。それに経費が二億かかりますから四億であります。利子の半分しか収入がないのであります。東京駅が開通しても六億の収入に対して、利子は七億を要すると思います。その他の経費を計算しますと、減価償却前において、新線においては大体五億の赤だと考えております。すなわち丸ノ内線が開通しても、外部負債に対する利子が、収入の六〇%の状態であると思うのであります。新線というものは、この建設費の利子の重圧というものが、非常に大きな問題であります。ただ当営団におきましては、戦前に敷設せられましたところの銀座線の収益状態が、まことにまれに見る良好なものでありまして、これによって新線の損失をカバーしておるのであります。以上が大体地下鉄新線建設のことであります。  この際営団の事業についてお話しいたしますが、営団は終戦後、銀座線の戦災復旧並びにその後の輸送力の増強のために、昭和二十九年度までに十一億を使いました。しかしながら社債及び増資によったものは、わずかに三億で、あとはすべて自分のところの支出でまかなったのであります。これは私としてはできるだけ社債発行の限度を新線建設のために保持したいと思いましたので、外部の社債を募集しないで、自己の資金でまかなったのであります。さらに三十年度には車両の増備及び虎ノ門ホームの拡張その他に三億を投じ、このほか現在新車十八両、地下鉄の車両は二千万円ないし二千七百万円かかりますが、十八両を発注いたしました。さらに新宿線が開通するまでに、現在線の丸ノ内線に六両編成の輸送ができるように準備しております。従って新宿線開通のときにおきましては、現在線は現在の輸送力を倍加することであります。  次に新線建設について申し上げますと、昭和二十五年から丸ノ内線、池袋−お茶の水間の工事に着手しまして二十九年一月に完成いたしました。その建設は五十二億でありまして、見返り資金二億五千万、資金運用部資金三十三億、民間公募債券十三億四千万、増資二億六千万、その他二千三百万円の五十一億七千七百万円、お茶の水−西銀座の建設費は、六十九億を要する見込みで、東京駅の開通はこの八月であります。西銀座は三十二年十二月に開通する予定、また西銀座−新宿間は百十億、向う三カ年で完成するつもりで、本年度一ぱいにはすべての工事の請負契約を出すつもりでおります。本年度御承認を得ました建設費は、今までの倍で四十四億であります。かりに本年度以降財政資金を十億増していただき、民間調達十億増し六十六億とすれば、現在の残余の路線を十五年で完成いたします。また最も早く建設するとすれば、三十年に六十四億、三十三年九十億、以下百五十億ないし百七十億をもってすれば、営団の今の技術陣をもってすれば、八年で完成するということを申し上げます。  これを要しますのに、東京都の地下鉄道の建設は、第一は日本首都における建設であるので、国家的見地に立って政府は考えてくれねばならぬものだということであります。首都における地下鉄道を、政府の指導監督のもとに整備拡充する目的で作られたのが当営団であります。現に営団におきましては、口幅ったいながら、経験と技術を有す多数の技術者を持って、幾多の困難を克服して、新線に着手いたしておるのであります。ともすれば地下鉄道の建設が、営団責任において遅延しておるかのごときことをいわれますが、もとより私非才にして都民の期待に沿わず、政府の目的通りいかなかったことは私も恥とするところでありますが、しかしながら、私は前に申し上げたごとく、銀座線に約十四億、新線建設に約八十八億を投じて、東京都の交通緩和をしておるのでありますが、おそらく一般鉄道事業において、日本においていかなる事業においても八十八億、十四億足したような大きな資金を投じたものはないのであります。しかるに地下鉄建設がおそいのは、なお資金が足らないのであります。地下鉄道の建設は、全く日本の財政及び金融情勢によって左右せられるものと考えるのであります。現に金融情勢の好転した本年度においては、政府当面の御援助によって従来よりも多額の四十億以上の建設工事をなすことができるのであります。従って地下鉄の早期完了のためには、政府においてより以上の財政援助をお願いする次第であります。  次に東京都におきます地下鉄道網は、都全体の交通目的にかない、総合的、有機的な脈絡を有するよう考慮すべきであるということは、ただいま申し上げました。  次に地下鉄建設には膨大な資金を要し、しかもそれが永続的に供給されることが必要である。加うるに完成後においては企業の経済状態は決して楽観を許さないものであります。採算の点においては幸いにして当営団においては収益の良好な銀座線がありますので、新線建設ができるのでありまして、現在建設中の丸ノ内線は銀座線同様立地条件がよいので、完成後間もなく収益状態は非常に良好を示すと思いますが、ともかくこういう線があって初めてできるものだと私は考えるのであります。しかしながら今後早急に路線網の完成をはかろうとすれば、前申し上げたような資金調達上の問題がある。最初からこの調達計画をしっかり立てておく必要があると思います。従って政府におかれましては、先ほど大阪交通局長の申されたごとく、新線に対する財政融資の大幅の増加、利率の引き下げ、利子の補給、固定資産税の減免あるいは補助金というものを政策としてお考え願いたいと思うのであります。  次にお指図に、陸上交通事業調整法についてのお尋ねがありましたから、一言申し上げます。陸上交通事業調整法はよく戦時立法だといわれておりますが、これは当を得ないことであります。調整法は十三年四月に制定せられました。たまたま当時電力統制法が議会にかかっておりまして、その関係から戦時立法のごとく誤解されておりますが、これは交通機関の乱立と自由競争によって、企業の経済に悪結果を招来したので、それを救済しようとして作られたものでありまして、その以前において長い間民間の団体及び鉄道事業者から請願のあった法律であります。しかも議会におきましても、五十九議会、六十七議会、七十議会、七十一議会において、それぞれ法律案あるいは建議として提出された法律であります。従ってこの法律は戦時立法ではなくて、いわゆる資本主義経済における修正的の意味を持っているものだと思います。ただいまのごとき、交通が混乱し、調整を実施する必要があることはいなめないので、これがためには、地方鉄道法、軌道法という単独法がありますが、これは総合的に考えたものでなくして、ただ事業についての改善命令をなし得るにとどまるのでありまして、交通事業全体として必要な改善命令を出すためには、調整法のごときものが必要だと私は考えます。ただその発動に当っては事業者の権利または財産に関すること多いものでありますから、緊急にしてしかも社会的公共性が十分に認められたときでなければできないので、しかもその発動方法というものは手続を十分考え直さなければならぬものだと思います。こういう調整法は民主主義のアメリカにおいても、都市にはありませんが、全国的においてはさきに運輸法の改正に当り、あるいはニュー・ディールのときにもやはりあったのであります。その内容は省きますが、従って現行の調整法について考慮すべきは、発動の形式及び発動の手続というものを十分考慮する必要がある。ことに主務大臣の権限が適正であるか、勧告または命令の調整方法が妥当であるか、審議会の組織構成がいいかどうかという問題であります。  もう一つ最後に申し上げたいことは、調整法調整の結果と混同してはならぬということであります。先ほど渡辺交通局長が申された六ブロック調整法でなく、調整法に基いた委員会答申の結果であります。法そのものでなく、その当時の社会情勢の結果であった法とその処置との混同をしたのであって、それは観念的にいけないことでございます。以上をもちましてお尋ねの諸点につきましての私のお答えといたします。もし御質問がありますればお答え申し上げます。
  10. 松山義雄

    松山委員長 次に根津参考人にお願いいたします。
  11. 根津嘉一郎

    ○根津参考人 私は東武鉄道の根津でございます。東京交通難解決に関する私鉄の見解を御説明申し上げます。私ども私鉄は、私鉄都心乗入れこそ首都交通解決に欠くべからざる方策であると考えるものであります。これが私鉄の見解でありまして、私鉄六社はおのおのこの建設によるところの都心乗り入れの出願をしておるものであります。以下その説明を申し上げます。  先般都市交通審議会において、地下鉄網は都心を貫通すべきものであるという決定をいたされましたが、この都心を貫通すべきものであるという決定には私鉄も賛成でございます。しかしながらその際私鉄直通して都心に乗り入れるのでなければ、根本的な解決策にはならないと考えております。ことに私鉄の沿線の発展というものは、過去の実例から見まして将来の発展の予想は非常なものでありまして、今後私鉄の比重というものはますます大きくなるものと思うのでありまして、この点は忘れることのできないことであると思います。先ほどからお話がありましたように、最近郊外及び新市域に人口が拡散して、それと都心との通勤が行われたために、都心から三十キロないし四十キロの半径で円を描いて、その圏内のことを考えなければ、通勤輸送の問題は論ずることができないということはもとよりでございます。この三十キロないし五十キロの圏内の交通を担当いたしておりますのが私鉄であります。むろん国鉄もありますが、主として七本の私鉄がこれを担当いたしておるのであります。しかもこの私鉄が、ただいまでは山手環状線において打ち切られ、しかもこの私鉄の乗りかえ客を受けるところの国鉄および地下鉄その他の交通量、交通設備が限界に達しておるということが、これが第一の交通難原因であって、ことに乗りかえ駅の混雑というものは非常なものである。この乗りかえをなくして直通さすということが何よりもとらなければならぬ方策であります。  そのために私鉄都心乗り入れを主張いたすのでありますが、それならばそれにはどういう利点があるかということを申し上げます。今新たに都心貫通線を作るといたしますならば、その一つ方法は、旧市内から外へ三十キロないし五十キロの通勤圏まで延長するということでございます。もう一つはすでに山手まできております私鉄を、わずか六キロか七キロ都心まで延長するという二つの方法であります。いずれが有利かといえば、これは私鉄都心に乗り入れた方が、キロ数が少いことから、建設費が安く済むということになり、私はこの方が有利であることは明らかであると思います。それから建設を一企業体においていたしますよりは——今日私鉄六社の出願がございますが、多数の企業において建設をいたしました方が、時期的に早くでき——今日焦眉の急に迫られておる交通難解決のためには早く作ることが最も大事なことだと思いますが、早くできるという点において私鉄建設を許可していただきたいと思うのでございます。  次に運転上から見ました利点は、山手線で打ち切り運転をいたしますならば、短区間乗り返し運転を行なって、これがため経費もかさみ、これが運輸サービスの点に悪い影響を及ぼすのでありますが、私鉄が乗り入れをいたしますならば、長距離運転をいたします結果、経費の節減、設備の簡易化、乗務員の勤務の合理化、車両運用効率の向上等によって、コストの低下をはかることができるのであります。  次に私鉄がそういうことをいたして採算がとれるかというような御懸念がございますが、採算から見ますならば、私鉄は長いものは百数十キロ、短いものも五、六十キロの既設路線を持っておるのであります。これを都心に乗り入れますならば、私鉄は既設路線の増収によって新線の建設がペイするということを考えておるのであります。私鉄は新線の建設という考え方ではないのでございまして、既設路線の延長という考え方を持っておるのであります。私鉄以外の企業体が地下鉄建設なさるならば、これは新線だけを建設して新線だけを経営することになりますから、新線だけでは赤字になることは明らかであります。  次に運賃の点から見ますならば、企業体が別々でありますと、ただいまもそうでありますが、乗りかえをいたしますときにこちらの鉄道とあちらの鉄道の運賃をおのおの別々に計算して精算いたしておりますから、運賃は高いのであります。しかしながら私鉄の乗り入れができますならば、全部の路線を通算いたしまして遠距離逓減を適用いたしますから、運賃が今日よりは安くなるということが考えられる。これが旅客に対しても非常に便利になると思います。  次に先ほど申しましたように、私鉄六社が乗り入れを出願いたしておるのでございますが、口で何々と言うのも大へんめんどうでございますから、大へん恐縮でございますが、先ほどお配りいたしました首都交通解決のための私鉄の見解の付録の最後に図面がついておりますから見ていただきたい。赤い色の線路が京成電鉄と京浜電鉄でございます。京成が押上から乗り入れ、京浜が品川から乗り入れて、八重州通で連絡いたしまして直通乗り入れをいたすということでございます。それから緑色の線が東武鉄道と小田急と東京急行の線路でございます。東武鉄道が北千住から乗り入れて参りまして、小田急が参宮橋から乗り入れて参り、小田急が中目黒から乗り入れて参りまして、東京駅付近におきまして連絡いたして直通乗り入れを相互にいたすということであります。それから紫色の路線は京王帝都電鉄の出願でありまして、これが新宿から上野及び両国まで乗り入れの申請をいたしておるのでございます。これが私鉄路線であります。  次に、私鉄の乗り入れを実施いたします上においていろいろの利点が生ずるのでありますが、まず第一にこういうふうに直通乗り入れをいたそう、相互に直通いたそうといたしますと、ここにゲージが違う、電圧が違うということが出てくるのでございますが、今日の技術部門の調査をもってしますれば、これはそう多くない金額においてゲージの改訂と電圧の調整はできるのでございます。それからまたこういうふうにいたしますと、東京都内の地下鉄のゲージが二種類になってしまうのであります。東武、小田急、東急、これが一種類、京成、京浜、京帝が一種類とゲージが二種類になるのでありますが、これはゲージが二種類になってもよろしいといろ考えでございます。今日の営団においても二つの路線があるのでありますが、伺うところによれば、この二つの路線はゲージは同じであるけれども、車両の相互融通はなされないということでありますので、そういう点から考えまするならば、路線が違えばゲージは二種類になっても私鉄はかまわないと私は考えております。  次に私鉄の乗り入れについての資金でありますが、ただいま計画いたしております私鉄の六社の総計は約五百億円でございます。これは国家資金でなく、民間資金をもってまかないたいと思います。増資、社債、借入金をもって国家資金と重複しない範囲においてまかないたいと思います。今日の私鉄の資産、信用というものからいたしますならば、万難を排してこの資金の獲得をいたしたいと思います。いたす確信がございます。  次に収支関係は、先ほど申しました通り建設の当初はあるいは多少の困難はありましょうけれども、既設路線の増収というものが期待できますために、長い目で見ますならば収支採算は成立いたしますし、また沿線の開発、土地住宅の分譲等多角的経営をいたしますために、私鉄においては収支採算を有利に展開することができます。  企業形態は、いろいろな御意見がございましたけれども、各私鉄がそれぞれの会社の負担において、建設して乗り入れるのでございますから、その企業形態は個々の独立経営とするという考え方をとっております。  以上申しました通り、現下の東京都の交通難を短期間に解決するというためには、私鉄都心建設乗り入れは欠くことのできない方策だと信じて、私鉄営団その他と協調いたしまして、首都交通解決の一翼をにないたいと存じております。私鉄は過去五十年、長いものは六十年間沿線の開発に努力いたしまして、今日ではその地盤と申しますか、非常な開発をいたしておるのでございまして、この私鉄の力を、どうか都市交通難の解決のために生かしていただきたい、これを活用していただきたいというのがわれわれ私鉄の希望でございます。簡単でございますが、私鉄の見解は大体以上でございます。  それから付録の方は大体説明を要しませんが、ただその中で付録五というのだけちょっと見ていただきたいと存じます。付録五というのの右の方に年間収支見込みというのがございます。これは新線を建設いたしました一つの電鉄の例でございますが、開業第一年度におきましては、収入が五億一千九百七十八万三千円で、支出が八億二千二百六十七万円、損失が三億二百八十八万七千円出るのでありますが、これは新線だけの話でありますが、その下に書いてありますように、既設線の増収というものが三億四千九百五十六万七千円見込まれますので、総計におきましては四千六百六十八万円の黒字になるという計算を立てておるのであります。既設路線の増収というものを数字に表わしたものであります。以上をもちまして私鉄の見解についての説明を終ります。
  12. 松山義雄

    松山委員長 どうもありがとうございました。これにて意見開陳は終りました。  これより委員の質疑を許しますが、島田参考人は午後やむを得ない公用がおありだそうでありますので、島田参考人に御質疑の方は最初にお願いしたいと思います。
  13. 臼井莊一

    ○臼井委員 いろいろお話を伺って非常に参考になりましたが、島田先生にお伺いしたいのです。都市交通審議会の問題ですが、東京にはやはり首都交通審議会がございますので、この都市交通審議会の方は全般的なものを審議するのでしょうが、やはり首都交通審議会と同じように何か具体的に各都市のものを御審議されるようなことがあるのでしょうか。
  14. 島田孝一

    島田参考人 ただいまの御質問の点でございますが、私の見るところでは、これに類するものが最近のところおもなものとして三つあったように思います。一番早いのが東京市政調査会、これは一昨年の暮れ近くであったと思うのでありますが、大都市交通問題研究会というものを作られまして、この東京市政調査会が中心になってやったわけであります。これは東京都を中心としての交通難をいかなる方策によって解決するかということの研究をいたしまして、この構成メンバーは大体において大学関係の方々でありまして、主として交通論の担当者並びに公益事業の担当者の方々でございます。   〔委員長退席、山本(友)委員長代理着席〕  これはもうその仕事を終りまして一応結論を得ておりますので、あるいはこの衆議院運輸委員会皆様方の中にも、その結論がいかなるものであったかということを御存じの方もおいでになるのじゃないかと思います。それに続きまして、東京都が中心になって作られたのが首都交通審議会というものでありまして、これは昨年から今年にもかかったかもしれませんが、大体においておもな仕事は昨年中にやっております。この首都交通審議会という名前が示すがごとくに、東京都内においてこの交通上の困難を解決するためにはいかなる対策を立てるべきかという仕事をやっておりまして、これまたその仕事をすべて終りましてその結論を一般に発表しておると存じます。ところがただいま御指摘になりました第三番目のもの、ただいま現に活動しつつある都市交通審議会につきましては、先ほども触れましたように、運輸大臣諮問機関といたしまして昨年の七月中旬かに設置されまして、仕事を事実上行い出したのが昨年の九月以降でありまして、現に最近まで十二回ほど総会が開かれ、同時に二つの小委員会が数回ずつ開かれて今日に及んでおるのであります。ただ問題がいろいろとたくさんありますので、当面の問題として最初に取り上げられましたのが、やはり東京都を中心とする問題であります。それから現に考慮しておりますのは、これに続いてはおそらく大阪市を中心とする問題が、都市交通問題としては一番大きいのではないかというような見通しのもとに、近い機会におきまして大阪交通問題を取り上げようというふうな心組みを持っておるところでございます。従いまして、決してこれは東京都だけに限りませんで、大阪もあるいはその他の都市においても、もし必要がございますならばその問題を取り上げたい、こういう心がまえを持っておるところでございます。また取り上げます問題といたしましては、ひとり地下高速鉄道だけの問題ではございませんで、全般的に、たとえば道路の問題につきましても、あるいはバスの問題につきましても、あるいは先ほどから触れておりますように、いかなる主体が責任を持ってその建設なり将来の経営に当るか、あるいは運賃の問題にいたしましても、どういうふうに今後私どもとして考うべきことがあるのか、あるいはまたこういう問題に手をつけて参りますと、勢い現行の法令を多少改正をいたさなければならないというような必要も出てくるのではないか、こういうようなわけ合いでございますから、御質問都市交通審議会そのものは、決して地域的に東京都の問題だけに限っておらないということと、それから取り上げます問題が非常に広範な範囲にわたっておるということだけは事実だ、こういうふうにお答え申し上げることができると存じます。
  15. 臼井莊一

    ○臼井委員 そういたしますと、ただいま東京都の問題にいたしましても、東京都とそれから私鉄あるいは帝都高速度交通営団、これらからいろいろ地下鉄建設について申請が出ておるようでございます。これは運輸省に聞く方がいいのかもしれませんが、これらが具体的にどういうふうに競合しているか、私はまだよく研究しておりませんが、そういうような点について、諮問か何かあったでございましょうか。
  16. 島田孝一

    島田参考人 ただいまの御質問は、都市交通審議会としても、大きな問題の中でも一番大きな問題として取り上げておるところでございます。非常に正直に申し上げますと、実は昨日の午後も、この問題について特別の委員会の開催のもとに、非常な御議論が各方面から出たところでございます。私、座長といたしまして、実は昨日あたりでこの問題に結論を出しまして、総会に御報告申し上げ、そしてその総会の御審議を経た後に、答申案を作るという段階に達したいというような心がまえをもって昨日まで参ったのでございますが、各立場々々を持っていらっしゃるために、この融和と申しますか、これを取りまとめる上から申しまして、実際のところ非常な困難を感じております。しかしマジョリティの説として、私ども審議会を通じて申し上げられるところは、やはりいろいろの立場がございましょうけれども、でき得るならばこれを一本化することの方が、むしろ望ましいのではないかというくらいのところまでは行っておるのでございます。しかしただいま申し上げたように、非常に強い御主張が各方面にございますために、私が昨日の特別委員会の最後に申し上げたところでは、もう一回この問題について皆様の御検討をわずらわして、次回の小委員会においてこの結論を持ちまして、それをもって総会に御報告して、そこで終止符を打ちたい、こういうお約束を実は座長としていたしたようなわけでございます。先ほどからお聞きの通り、一方におきましては帝都高速度交通営団がすでに開業線を持っておられますし、また新宿線はだんだん延びようとするような傾向にあります。また現行の法規のもとにおきましても、帝都高速度交通営団が環状線内におきまして地下高速鉄道建設者であり、経営者であることは、当然のことじゃないかと私ども思うのでございます。しかし同時に、東京都の方においても、非常な熱意を持って将来のことをお考えになっていらっしゃることも事実でございます。また先ほど根津参考人から皆様お話がございましたように、私鉄各社がそれぞれ自分の力を発揮して、この大都市における交通難を一日も早く解決したいものだという熱意を持っていらっしゃることも、まさしく事実でございます。従いまして、ここに大体三つの御主張があるわけでございまして、この御主張が、それぞれみな同じわれわれの社会における交通上の悩みを一日も早く解決しようという意味において、目標を定めていらっしゃることは、論を待たないところでございまして、非常にけっこうなお考えなんでございますが、事実問題としていかにこれを取りまとめて、一番能率も上り、かつまた皆様に一番早い機会において御便宜を増大するためには、いかなる形式をとるかということについて、審議会といたしましてはまさに結論に達そうとしておるところでありますので、もうしばらくの間この結論の出ますまで御猶予を願いたいということを、私は座長として申し上げたいと思うのであります。
  17. 山本友一

    ○山本(友)委員長代理 井岡君。
  18. 井岡大治

    ○井岡委員 先ほどから各参考人の方からいろいろとお話を承わりました。いずれも私たち非常に参考になりました。そこで島田先生にお伺いいたしたいのですが、今同僚の臼井さんから経営主体の問題について御質問がありました。まさにこれは結論が出ようということでありますから、私はこの問題は非常に大事だと考えておりましたけれども、この問題に対する質問は避けたいと思います。ただ問題は、どなたも申されておりますように、地下鉄建設というものは非常にお金がかかる、こういうことだと思います。そこで審議会の方ではこのお金の捻出についてどのようにお考えになっておるか、この点が第一点と、先ほど鈴木総裁の方から交通事業の調整法の問題をお話しになっておりました。この点については渡辺局長の方から、制定当時はこれは非常に意義があったけれども、今日の交通緩和の立場から考えてみると、少しずれておるのじゃなかろうか、こういうようなお話があったのであります。そこで私は、一方ではこれは必要だといい、一方ではずれておるということは、これは明らかに経営主体の問題をめぐっての論争であると考える。従ってそういう問題でここで論議をしておっても、必ずしも解決が出にくいのじゃないか、こう思いますので、審議会の方で別に地下鉄法というものをこしらえて、非常に経費がかかるということと、これがぜひ必要だということ、こういう点で別に独立した法律をこしらえる必要があるとお考えになっておられるか、この二点をお聞きしたい。
  19. 島田孝一

    島田参考人 第一点は地下鉄建設にいかに膨大な資金を要するかということでありまして、まさしくその通りであります。これは正しい計算が非常にむずかしいと思いますので、私どもはっきりした数字をつかむことが容易でないように思うのでございますが、一応今ここに持っております資料について申し上げますと、これは実はこういうことになっておるのでございます。国有鉄道関係におきましても、現在のところ東京都を中心として、ごらんのごとく一応通勤、通学関係輸送を担当しております関係上、現状だけでもって満足することはできない。つまり地下高速鉄道の問題を除外いたしましても、日本国有鉄道の立場といたしまして、都市付近における旅客運送問題というものは、ある程度まで始末をつけなくちゃなるまい、これは当然のお考えであろうと思うのでありますが、これを概算いたしまして、東京都付近において国鉄の電車を中心といたしまして、あるいはまた電車とばかりと、必ずしも言えないかも存じませんけれども、主として電車でございます。これだけで約千五百億というような金額がどうも将来捻出されなければならないのじゃないかというのが、一面の必要になっておるようでございます。それからもう一つは、先ほどからここでお話が出ております高速鉄道の問題でございますが、これがなかなか計算がむずかしいのでございまして、ことに私に言わせますと、路線をいかに選定していくかという場所の問題からいっても、建設費というのは私は決して同一に出てくるものではないと思います。場所がたまたま選定されたといたしましても、その場所の地質が一体どういうものであるかということによっても、その建設費というものの大小は必ず結果において出てくるのじゃないか。それから最近伺いますと最も問題になっておりますのは、地下高速鉄道を作ります際においての悩みの最大なものは、用地の獲得において非常に費用のかかるところのようでございます。これはなかなか一方ならない精神的な苦労があると同時に、物質的に莫大なる金を用地獲得のために支払わなければならぬという必要があるのじゃないか。また第四番目には、財界における情勢というものが必ずしも静止の状態にないわけでございますから、こういうものから判断いたしますと、およそ一キロメートルの地下鉄道を作るためにどのくらいの金が要るかという、はっきりした間違いのない数字を私どもとして出しますことは非常な困難を感ずるのでございますが、まあそういうところの困難を知りつつも、なお過去において行われました実績から割り出しますと、大体ただいまでは、計画の話題に上っております約百キロ前後の東京付近地下鉄を作ります上において、約千五百億という金をどうしても用意しなければ、この問題の解決はできないのじゃないか。合せまして約三千億というような金がもし出て参りますならば、非常にけっこうじゃないかと思うのでございますが、これは口では言うにやすく、実際は非常にむずかしいのじゃないか。そこで問題は、実は審議会といたしましてはまだその点まで触れて、こういう行き方だということをはっきり線を出したわけではございませんけれども、今までさまざまな体験から出ておりますところでは、やはりある程度までは国によっての財政投資というものもお考えをいただくということが必要であるのじゃないだろうか。それからもう一つは、やはり各企業体が敢然として資金の獲得ということに当然努むべきでございまして、ただ他人の力だけに依頼いたしましてそれで作ろうという考えだけではどうも不十分だと思うわけでございますが、先ほど根津東武社長のお話もお聞の通り私鉄の方は敢然として自分の方だけで資金の面の始末をつけたい、こういうふうな非常な意気込みを持っていらっしゃることはお聞きの通りでございます。すべての力を集中しなければいけないのじゃないだろうかということと、もう一つは租税の関係の問題が非常に出てくるのじゃないだろうかと思うのでございます。現に営団などで固定資産税の問題などというものに相当悩みを持っていらっしゃるように私は伺っております。これはまた後に鈴木総裁からお話を伺う方が、私が申し上げるよりいいと思うのでございますが、ひとり固定資産税ばかりでなしに、一般に鉄道事業あるいは交通事業に対するところの課税の問題というものは、これは世界的にも一つの問題になっておると思うのでございますが、国会関係皆様においてもこの点について一つ十分の御研究と、それから御同情の立場でもってこの問題を取り上げていただくことができれば、私どもとして非常に幸いである、こう思います。   〔山本(友)委員長代理退席、委員長着席〕  それからもう一つ申し上げたいことは、資金の面についてかりにある程度資金のめどがついたといたしましても、これが計画的に年次的に、しかもおそらく同一のものが継続して出るということが、鉄道の建設を一日も早からしむるために、非常に力の強く作用するところじゃないかと私は考えるのでございます。かりにある年に莫大な資金の獲得がございましても、次の年においてはそれと比較にならないほどの少額になるというような、非常にフラクチュエーションに富みました資金供給というものがございまして、果して鉄道のごとき交通事業が成り立つかどうかということに、一つ十分の御検討をわずらわしたいと私は思うのでございまして、そういうような意味合いのことが審議会を通じましても、今までの御議論として出ておりますということは明らかに申し上げることができるのじゃないかと思うのであります。  それから第二点として御指摘がございましたが、一体法律の改正をするかどうか、陸上交通事業法そのものだけでなしに、別個の法律を作るかどうかというお話でございますが、まだ実は審議会自体といたしましては、陸上交通事業法自体の問題について検討を加えておらないのでございます。むろんこれを最初問題点として上げた中には、法規に関係いたしますところの問題は再考慮を要するのだということははっきりお示ししてございますので、経営主体問題とからめましてと申しますか、あるいはそれについて一応のめどがつきました際においては、この交通法規をどういうふうに考えるかという問題は、将来当然審議会としても十分考えます。しかも重要な問題の一つと私は考えるのでございます。先ほど御指摘ございましたように、何か特定の名前をつけてこういう法規を現に考えつつあるかという御質問でございますと、現在はまだその段階に達しておらないと申し上げざるを得ないのでございますが、しかし同時に、決して審議会自体はかかる問題について無関心であり、かかる問題について目をつぶって、ほおかぶりして、この問題を取り上げないで進むという考えを持っているのではございませんことを、現在の実情として申し上げてお答えにしたいと思います。
  20. 井岡大治

    ○井岡委員 計画路線に対する資金の調達、この点について国家が一部投資をする、あるいは自己資金というものが考えられなければならない、こういうように言われておりますが、概念的にはそれでけっこうだと思うのですが、しかし問題は、先ほど鈴木総裁がお話しになったように御茶の水線は収入が二億、利子が四億、経費が二億、こういうようになっております。従ってこれは単に建設資金調達の可能であるか可能でないかだけの問題でないと思うのです。少くとも地下鉄事業というものが、刻下最大の要求事であると同時に、交通緩和の焦眉の問題として考えるならば、経営後における問題をもあわせて考えないと、これはどのような経営主体を取ってみたところで、将来非常に問題を残してくると思うのであります。そのこと自体はかえって今後の経営に大きな支障を来たすし、同時に目的と大いに反してくることになると思うのです。ですから、先生の今の資金調達の面については、私はそれでけっこうだと思いますが、同時に将来の経営のことを考えて財政措置を考えられるように、審議会で十分御検討をお願いをいたしたいということと、このことによって私は経営主体の問題はおのずから出てくるのでははいかと思うのです。  それからいわゆる地下鉄法というようなものを今考えておらないということです。もちろんこれは運輸省当局が考えることであって、審議会が直接これにタッチをしてこうだということにはならないと思いますけれども、当然このことは単に東京都だけでなくて、大阪あるいは名古屋、現に神戸もすでに地下鉄の問題について市会で取り上げておいでになっております。問題は地下鉄建設するに当って非常に経費があること、あるいは補償の問題、土地買収の問題、こういう問題が当然起ってくるわけです。しかもその土地買収等の問題が、地下鉄建設の上に大きな支障を来たすということが考えられるならば、当然別個の単独法をこしらえて、そうして国家の要請に応ずる、こういう立場をとることが必要でないかと思うのです。先生は直接審議会が立法措置を講ずるということは僣越のさただというようなお考えからそういうようにおっしゃっておられると思いますが、答申の中にはそういう点でそういう意味の答申をなさっていただくことの方が刻下の急務に応ずるものではないか、こう思うのですが、この点はいかがですか。
  21. 島田孝一

    島田参考人 先ほど丸ノ内線の現在の営団経営いたしておりますものが、十分な収益を上げていないという鈴木総裁からのお話がございまして、確かにそういう傾向はまさしく出ていると思います。なおこの点につきましては私から申し上げるよりは、むしろ鈴木総裁にお立ち願って御説明願った方が非常に徹底をすると信じて疑わないのでございますが、ただ私が一言申し上げたいことは、むろん営団といたしましても決してむやみに、みすみす損をするようなところにやるわけではないのだろうと思います。ただごらんのようにただいまは建設の半ばでございまして、池袋に始まりましたあの地下鉄の線路が現在は淡路町まで開通しておりますが、まだ東京駅にも来ておりません。この八月までには東京駅の前まで連絡をいたしますし、さらに西銀座から国会のわきを通りまして、赤坂見附で現在の渋谷と浅草との間のいわゆる銀座線に一応接続をいたしまして、それからさらに新宿のただいまの国電の駅の下に入っていくというような計画になっておりますので、これはもう既定の計画でございまして、近い将来において必ず完成を見るということは皆様の御承知通りであろうと思います。私に言わせますと、一応ただいまの池袋——新宿というような特殊な線路が全部完成した暁においてどういう成績を上げるかを、一つ皆様にも見ていただきたいということを、私は希望するのでございます。たまたま工事の関係上、部分的に線路を延ばしております関係から、現在ではあまりプラスティスの数量の潤沢でない個所の池袋——淡路町間だけの運転をやっておりますために、先ほどのような成績が結果として現われると思うのでございますが、これは近い将来において必ずそういうふうでなくなることを私は信じて疑わないというお答えを申し上げたいと思うのでございます。  それから先ほどさらに後段の方に御指摘がございましたような、審議会といたしまして特別な法規の点についてぜひそういう努力をするようにということは、確かに私は敬意を払ってそのお説を尊重申し上げたいと思っておるのでありまして、でき得る限りそれに対して努力いたしますことをお約束申し上げたい、こう思っております。
  22. 松山義雄

    松山委員長 濱野君。
  23. 濱野清吾

    ○濱野委員 私は根津さんと渡邊さんと地下鉄の総裁の鈴木さん、この三君に御意見を承わりたいと思います。渡邊さんと地下鉄の総裁の鈴木さんと大体似たような御意見であります。それから建設について金が要る、とにかくこれは国家資金を継続的に考えてもらわなければいかぬ、都合によれば都の財政あるいは国の財政投資が受けられるように考慮してもらいたい。こうした考え方は当の責任者として両君とも一致しているようであります。たまたま私鉄側を代表しております根津さんは、資金の問題については政府の援助を受けない、自己資金で、あるいは信用等によってやっていくことが可能である、こういうようなことをおっしゃっているわけであります。現実の問題としては私どもにも意見がありますけれども、根津さんの確信が果してその通りであるかどうかというような問題については、私鉄の各社の財政状態を知らぬわけではありませんけれども、一応まずさように承わっておきます。ただ大きな点がここに出てくると思うのであります。問題はだれがおやりになっても都市交通の緩和さえできれば、今の姿でいいのです。しかしお互いの立場々々から希望等を主張して、それが混乱に陥ってはいけない。たとえば渡邊局長のおっしゃるように一元的に運営をしたいのだ、あるいは総合的に運営をしたいのだ、こういうことでありますが、渡邊局長はそこで一元的に運営をしたい、あるいは総合的に運営をしたいという二つの言葉を使い分けておりますけれども、私はかつて東京市議会に鈴木茂三郎君、浅沼稲次郎君らと一緒にいたことがある。東京市の当時でありまして、当時の電気局のわれわれの仲間としては、これはあなたの、今おっしゃった一元的運営というものが望ましいし、そうすることが正しい、その方針にのっとって当時の東京市はやっていきたいということを、再三市議会で主張し、決議したわけであります。そこでその当時の主張をあなたがお持ちになっているのかどうか、今日の東京都議会並びに東京都の責任者は、その当時の伝統的な一元化、もっと具体的に言えばわかるのでありますが、国電の環状線あるいはバスあるいはまた市電というものを一元的に統合して、東京市がこれを経営すべきものだというのが、当時の主張だったのであります。先ほど渡邊さんのお話を聞いておりますと、地上、地下一元的に統合されなければならない、その経営は少くとも公営事業団体がやらなければならないということを仰せられておる。さらにまたその次のあなたの説明として、国鉄都市交通とは別に、国の輸送全体の立場から考えてもらいたいという希望を言っておる。この二つを総合してみますと、私どもが鈴木君やあるいは浅沼君あたりと東京市会で、非常に赤字に悩んで、どうすれば交通調整ができ、どうすれば赤字を解消することができるかということを研究しておった時代に、ただいま申し上げましたような、東京市内は少くとも国電を含む一元的な経営東京市がやらなければいけない、こういう主張でおったわけなんです。今日ただいまでも、当面の責任者としてのあなたの考え方、あるいは知事の考え方東京都議会の考え方はその通りであるかどうか、これは渡邊さん、率直に言ってくれた方がいいと思う。というのは、今島田教授がいろいろなことを仰せられておるが、なかなかむずかしい。私鉄には私鉄立場がある、地下鉄には地下鉄の法律もあり立場もある。お宅の方には都市交通の大きな責任を持っておる立場がある。ですからあなた個人の立場を巧みに仰せになっただけでは工合が悪いから、率直にあなたの方の考え方をお述べ願いたい。
  24. 渡辺伊之輔

    渡辺参考人 ただいまのお話でございますが、一元的な運営をしなければいかぬとか総合的な問題、これは大都市における交通理想というものはそうあるべきものだ、こう考えております。しかしそのときに申しましたように、必ずしもこれは一ぺんにそう簡単にやれるものではない、こういうことを申上げておいたのでありますが、どうも説明がいろいろ足らなかったかもしれません。それから今お話のございましたように、東京市は一元的にこれを全部国電までも入れていこう、こういうような議論もございましたが、現在においては、われわれの考え方としましてはそう一挙にそういうことを考える——その理想に向っていくことは考えてもよろしいが、そういうことは、今直ちに考えられるべきものでもなし、また最後に申しましたように、おのおの経験とまた権益を持っておるものをそう簡単にやれるものではない、こういうのが現在の都の考え方でございます。大都市交通理想としてはそうあるべきだ、こういうことでございます。  次に、もう一ぺん都の考えを端的に申し上げてみます。今いろいろ長く説明を申し上げましたが、その際に私の説明の足らないところがあったかと思いますが、都は現実の問題といたしましては、理想とか理論とかいうようなものを今ここでどうしようということでなしに、末端施政の執行者として都民の福祉を考えていかなければならぬ都としての考え方というようなもの、並びに都市計画の実施者、道路管理者というような立場から考えまして、理想とか将来の理論とかいうようなものは一応ここでおきまして、そして現実の問題をどうして処理しようか、こういうことに今われわれの考え方は行っておるのであります。現実の問題をどうするかということで、これを根本の方針にいたしまして、これをいかにして打開するか、こういう考え方に立っておるわけであります。それにつきまして営団に対しましては、営団地下鉄建設をやる責任があるのだ、しかしこれは現実にはなかなかできないから、都は自己資金を出してでも営団と協調してこの建設を一日も早くやっていこう、こういう考え方なんです。それから私鉄の方に対しましては、これは運営の面においてお互いに協調しようじゃないか、営団に対しましては建設面で協調して、都も自己資金を出してでも一日も早く都民の福祉のためにやろうじゃないか、こういうことです。私鉄に対しましては、さっき申しましたように郊外との直通ということも、私鉄のおっしゃることも当然だ。しかしお互いに、向うが入ってくれば私の方の権益を侵すことになる、私の方がいたずらに並行的に出ていけば向うの権益を侵すことになる。だからお互いに二重投資の弊を避けると同時に、お互いの経営権を侵さないようにして、しかも現実にこの問題をいかにして処理しようか、こういう考え方に立ちまして、運営の面で協調して、都が掘ったものにお入り下さい、こういうことで考えておるわけなのでございまして、営団に対しましては建設面で協調しよう、私鉄の方に対しましては運営の面で相協調していこうじゃないか、こういうような考え方に立っておるわけなのであります。
  25. 濱野清吾

    ○濱野委員 それで大体半分くらいわかりましたけれども、そうしますとあなたは、ただいま申されたのは理想論を現実としてお話しになったわけで、今は昔の東京市時代の交通局の主張のように、国鉄東京市が経営すべきだ、環状線は経営すべきだ、この態度ではないということですね。
  26. 渡辺伊之輔

    渡辺参考人 さようでございます。
  27. 濱野清吾

    ○濱野委員 それではそれはわかりました。あなたの方から申しますと、旧市内の整備をして郊外との連絡方を考えなければならない、郊外との連絡方は、地下鉄をこちらから掘って、そうして郊外、郊内の分岐点に適当な連絡個所を作って、そうして二重投資を防ぎながら、東京都内の、都心交通調整をすることがよいというあなたの御意見が先ほど述べられた。地下鉄の鈴木総裁もこれと似たような御意見を述べられている。都心交通網というものを考えずに都市交通緩和ということはできない、こういうようなことを御説明になっている。この点は東京都内の交通緩和に常に努力されている両君の考え方が一致しているのでありますが、根津さんの考え方とはちょっとこの点違うのです。たとえば根津さんの先ほどの説明によると、言葉をそのまま申し上げますと、私鉄都心直通させることなのです。これらはいろいろ採算上から考えますと考えねばならぬことだと思うのです。たとえど今国鉄東京都内における運輸収入は、非常に膨大な運輸収入になっております。この運輸収入が、運輸収入を上げたところの東京都の施設に使用されるならば、もっといいパーセンテージのこの交通調整の効力が出ると思うのでありますが、現在は国鉄の全財政をまかなわなくちゃなりませんから、東京都や大阪市で上げた国鉄の収入は、地方に相当流していかなければならぬというのが今日の現状です。こういうようなところから考えて、西武とか東武とかいうものが都心に乗り入れてくることは、経済上、経理上の見地から、これは当然に行きたがることだと私は考えております。その証拠には、根津さんは先ほど、既設線の延長であるから採算上赤字は出ないと仰せられた。そこで赤字が出なくてもけっこう、乗り入れてもけっこうだが、実際それほどの金をかけて、たとえば社債を募集する、金融界を幾分圧迫するというようなこともあえてして、そうして郊外の電車を都心直通させる。たとえば品川の方と南千住の方を直通させて、そして渡辺さんの説と地下鉄の説のように、都心交通網というようなものではなしに、別に一直線に一つ通過させる駅を作るというようなことは、ないよりはいいかもしれませんけれども、しかし都心交通調整の見地から見れば、それはベターであるかどうか、この点を一つ交通局長から解明されればありがたいと思います。
  28. 渡辺伊之輔

    渡辺参考人 今お話のように、私鉄が郊外から中に入ってくるということにつきましては、これは郊外と都内とを直結するという意味において、これは当然な、いい考え方だ。しかしながらそれを、都が掘っているからそれにお入りなさい、こう都は言っておるのです。だからその都が掘ったものに私鉄が入られればいいじゃありませんか。それには車などの設備をなさってお入りになればいいじゃないか、こういうことなのです。それは、われわれの方が郊外と都心との直結という問題を考えますことは、当然都内に掘ったものを郊外まで掘っていかなければ解決しない。しかしそれでは向うの権益を侵すことになるから、だからそれは都が掘ろう。私の方だって、都電と都バスを持っておるのであります。何十年間の経験、実績を持っておるものに向うが入ってくることになれば、これだってまた同じことに二重投資となり、権益を侵することになる。お互いに権益を侵さないで、都はあなたの方の終点が来ておられるところに掘って参りますから、それを利用してお入りになればいいじゃないかというのが都の考え方で、都の穴の直結の方式、どういう経路を通るかということは、実際の交通網を考えまして、これを通るのが一番いいのだという結論を与えてもらえばその線へ掘っていく、こういうことであります。
  29. 濱野清吾

    ○濱野委員 御趣旨よくわかりました。次に根津さんに一つお尋ねしたいと思いますが、ただいま渡辺局長の御せの通りでありますが、これは私鉄の企業のよしあし、将来の見込の等は別にして、東京都すなわち大都市交通調整の見地から見て、私鉄側は、都内を直通させることがあらゆる面から見てベターであるかどうか、この点についてもう少し詳しく御説明を願いたいと思います。
  30. 根津嘉一郎

    ○根津参考人 ただいまの御質問は、私鉄都心直通させる方がベターであるかどうかということでありますか。
  31. 濱野清吾

    ○濱野委員 大都市交通調整交通緩和のために、理想論に向っていくということも一つありましょう。現実をすみやかに緩和するという方法もありましょう。とにかく都市交通の緩和をはかるという見地から、しかもそれに付随したあらゆる条件を研究して、それがベターであるかどうかというこです。
  32. 根津嘉一郎

    ○根津参考人 私鉄は、先ほども申しました通り私鉄都心直通乗り入れがベターである、今の御質問に答えるならば、ベターである、都市交通問題解決のためにベターであるという考え方に立っております。この際先ほど渡辺局長に御質問になりましたときのことについて御説明申し上げたいと思いますが、私鉄がぜひ自分で建設して乗り入れたいということ、私鉄経営者として、自分の路線を延長して、多少の困難はありましょうけれども、それを克服して路線の延長をして、そうして都民の通勤の緩和に資したいという経営者としての心持は持っておりますが、これは別として、第三者から見ていただいて、私鉄にやらせた方がベターであるという一つの理由は、一つの企業体がやるよりも、数企業体が一度に工事を始めた方が、焦眉の急を要する地下鉄建設が早くできるということがございます。そのほか運転の問題その他いろいろありますが、私は早くできるということのために私鉄にやらせていただきたいということを強く申しておるのでございます。それから路線について、私鉄がおのおの品川から乗り入れの出願をし、あちこちから乗り入れの出願をしたことが、これが大きな目で見たところの東京都の交通網に違っているじゃないかというような御懸念でありますが、私ども私鉄立場でございますから、私鉄を乗り入れたいということでこういう出願をいたしておるのでありますから、私どもはそれほど、大きな見地から見たところの交通網に支障を来たしているとは思いません。しかしながらそれは都市交通審議会なり何なりにおいていろいろ御審議願いまして、私鉄出願路線そのものが少しも余地がないというものではございません。
  33. 濱野清吾

    ○濱野委員 渡辺さん、これは具体的になると、非常に大きい問題ですから、私ども皆様から拝聴する必要があろうと思うのであります。今の根津さんの考え方はどうですか。あなたのおっしゃる財政の複投資は考えておらぬ、国家的な財政の複投資、たとえばそれが私鉄の財政であっても、あるいは公共団体の財政であっても、あなたの考え方は、むだな投資は避けたい、投資するならば百パーセントの効率を上げるような施策を行うべきだ、こういうこととは、ちょっと一致しないようですが、この点あなたはどうお考えですか。
  34. 渡辺伊之輔

    渡辺参考人 私は今根津さんのおっしゃいましたように、これは一日も偸安を許さない、地下鉄の問題は一日たりとも早くやらなければならぬことは、すべての人が考えられておられることだと思います。それで一日も早くやるということにつきましては、根津さんの御意見通りでありますが、しかし地下鉄道網というものにつきましては、これは路面電車を敷設するとかバスを動かすというものとは違いまして、相当巨額の費用を要するものであるし、またやたらめっぽにあちらこちらに敷設しなければならないというほどのものでもない。これは簡単にどうでもできるものならばけっこうでありますが、都心中心にして、恒久的の建設物をここに作るのでありますから、よほどこれは。……ただ単に中へ外から入るというような考え方でなしに、やはり何といたしましても、東京都の中心は山手線の中なのです。これを中心にして網を設定した上に立って、郊外との連絡をはかる、こうもっていくべきだと私は考えております。
  35. 濱野清吾

    ○濱野委員 よくわかりました。それで地下鉄の鈴木総裁にお尋ねいたしますが、あなたの説明を聞いておりますと、結局は地下鉄がとかく世間から建設がおくれているという非難を受けるゆえんのものは、何も総裁の怠慢でなくして、それは資金の面において制約を受けているからだ、さらにまたあなたの方から見れば、固定資産税であるとか、その他悪税というようなものがあって、なかなか困難だ、こういう説明です。今渡辺さんのお話と、あなたのお話とは符節が合うのでありますが、これは東京都と地下鉄と二手に分れて財政資金を獲得する方途を得られるならば、根津さんのおっしゃるように幾つものものが、同時に発足すれば、それだけ早く交通が緩和できる、こういう例にならって、またこの線に沿って、よけい東京都内の地下鉄が早く建設されると、こうお考えでしょうか、これを一つ鈴木さんからお伺いしたいと思います。
  36. 鈴木清秀

    ○鈴木参考人 ちょっと途中の言葉が聞き取れなかったので、御質問に対する私のお答えがあるいは当を得ないかもしれません。その点はさらに御質問下さればけっこうだと思います。ただ抽象的に、だれがやる、かれがやるということを論ずるものも一つであります。もし抽象的に言うならば、東京都及びその付近に対するところの地下鉄建設するためには、営団という特別な機関を政府が設置して、そうしてそれに作らせるという国の方針が一応きまる、従ってこれに資金をすべて集中して行うことが一番地下鉄建設に早いものだ。ことにこういう計画をいたします際におきましては、路面交通の問題も考え、資材の問題を考えますると、そう一どきに東京じゅう方々掘り散らかすわけにはいかないのであります。そういう点を考えますとそうだと思います。ただ具体的にこの問題を掘り下げて考えていただきたいと思うのですが、ただいま建設しております丸ノ内線は三十四年には開通します。本年一ぱいに請負を出しましてと、営団といたしましては、建設に当るところの設計的技師において余裕ができるのであります。あとは工事監督及び設計変更の技師だけで足りる。従って営団といたしましては、三十年度から新路線建設すべく、政府にそれに対応する財政資金をお願いしたいと思っております。もとより政府に対しての財政資金のみならず、営団の信用をもっての交通債券を発行するのであります。現在においても十五億円は財政資金でありますが、二十五億円は営団交通債券であります。そういうわけでありますから、営団といたしましては新路線は三十二年度の末には建設できる状態であります。ただ次の路線は着工するとすると、一路線より金が先ほど申しましたごとく多くかかるのと、それからもう一つは着工時期が一年ぐらいずれるだろうということ、これは率直に申し上げることであります。従って三十二年度の新路線建設する資金、あの額が二路線建設するだけの資金が獲得できない場合において、もう一つは新路線がもっと早く着工できる——新路線というのはほかの線です——ということがあるならば、果してそれができるかどうかということを十分見分けるならば、考慮せらるべき問題だと思います。しかしながら実際においては新しく着工せられるものに対しては、かなりのやはり準備期間ともいうものを要すと思います。営団は着工するまでに、大体の構想をまとめるのに一カ年、それから具体的設計から所管庁の許可を要するにおいてやはり一年はかかる、そういうことを考えますると、新しく着工せられる人は今年より二年後だ、大体私の方の一つ路線と次の路線の着工時期と一致すると思いますが、これは私の想像で、もっとほかの方が早くできるかもしれません。そうすれば、これは先ほど申しました資金だけの面であります。すなわち三十二年度に六十四億、これは今と大して違いませんが、三十三年及び三十四年に百四十億というお金、これが問題であります。こういう資金面が一つであります。もう一つは、今着工すると思われるところの路線が、大体において多くの都及び私鉄の申請せられておる路線と、交通事情において合致しておる線であります。その路線の一部は合致してない。そういう点が問題になる点だと私は考えます。
  37. 濱野清吾

    ○濱野委員 ただいまの説明だと、究極するところ、早くするためには、資金地下鉄によこしさえすれば、これはきわめて促進される事業である、こういうような御説明でございまするが、試掘資材、技術、これらについて渡辺さんの方はどういうふうにお考えであります。
  38. 渡辺伊之輔

    渡辺参考人 金の面につきましては、今申したように、私の方は自己資金を出してでもこれは建設しなければならない、こう考えております。それから政府の方で、営団がもらっておりまする今の金を分けるというようなことならば困る。それは都の地下鉄建設に何ら促進するものではない。だから営団が今十五億もらっておるものなら、営団の方に十五億なり二十億出してもらいたい。営団建設を原則としておるのであります。営団が作るものであります。これはほんとうの原則から参りますれば、都や私鉄が作るべきものでない、営団が作るべきものだ、こう考えているがゆえに、過去三年間も四年間もじっと出願もしないでおったのです。そういうような関係もございますが、ただおくれておるという現実の問題も、われわれは都知事としても、都議会としても考えて、こういう点に至ったのであります。金の点につきましては、都は自己資金なり、また政府の方からもある程度の融資をお願いする、こういうことであります。それから資材の点につきましては、これはまだ資材の点までは考えておりませんが、これは一般経済上の問題でございまするので、いろいろ営団その他の経験者とも、資材及びその他技術の面については相談を申し上げれば、方法はあるのではないか。それから大阪、名古屋市が現在地下鉄を掘っております。技術の面については、営団及び国鉄の御援助、御指導があればできるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  39. 濱野清吾

    ○濱野委員 実は渡辺さんのお話ですが、その方は何とかなるでしょう。技術の面についても専門的な経験とか資材とかその他の援助も、専門的に今まで経験してきた地下鉄から教えられるもよし、援助されるもいいと思うのです。大都市交通のことですから、ただあまりにおそいから、片方は地下鉄で前年通り十五億円、今度は東京都があらためておれの方にも十五億出せというようなやり方が、うまくいくかどうか。あなたは今自己資金を投じてもというけれども東京都の財政は私も承知しております。東京都が一般公募をすれば、十一億くらいの金は集まるでしょうが、その他の自己資金を大きく見ることは、これは考えものだと思うのです。そういう説明は一応拝聴しておきますけれども、二手に分れて借りればよけい借りられる、そして仕事もそれだけ促進されるというような考え方が、今日の日本の財政上許せるかどうか、この点実は懸念しているわけなんであります。それができれば、これは東京交通地獄を緩和することに役立って、非常にけっこうだと思うのでありますが、大阪交通局では、やはり五百億ですか、とんでもない金が必要なので、これを免許してくれと言うが、まだ免許もせぬ。これは財政の行く末を考えれば、なかなか政府、その一環としての運輸省も免許ができないかもしれない。こういうふうな状況、名古屋もそうだと思います。そういうように都市交通は、日本の自然発生的な都市でございますから、今お互いの共通の悩みである。そこで東京都だけが、東京都とそれから年来の義務を負っている地下鉄とが、資金獲得を二手に分ければ、その資金が獲得できるという考え方はちょっと甘いのだが、どうなんだろう。希望だけあなたに聞いておく分にはいいけれども、どういうようになるのだろうか、これは……。
  40. 渡辺伊之輔

    渡辺参考人 それはほかの方で、政府の方で御認可をすることで、どうも私から申し上げる筋合いでないと思います。しかしわれわれの東京都といたしましては、自己資金を出してでもやらなければならない、こう考えておりますし、また政府の方からもぜひ融資をいただきたい。それができなかったら、今十一億を公募債にいたしておりまするが、これは金融界の事情も違って参りましたので、もう少し公募債を多くしてでも建設せざるを得ない、こういうように考えております。
  41. 濱野清吾

    ○濱野委員 わかりました。
  42. 臼井莊一

    ○臼井委員 一点だけついでに東京都と大阪市の交通局長にお伺いしたいのですが、こういうように自動車が混んできては、路面電車はお互いに迷惑な問題だと思う。というのは、あなた方の方にすれば、電車が自動車にぶっこわされてしまう。自動車バスにすれば、どうも路面電車が走ることがいかぬし、走ると事故のもとにもなる。そこでトロリー・バスがわれわれとしては望ましいのですが、あの採算上から、あるいは輸送の面から、将来新しく路面電車を敷設するということよりも、少くとも今後新しい面においてはトロリー・バスでいくべきだと思いますが、その点お伺いしておきます。
  43. 渡辺伊之輔

    渡辺参考人 私今大阪の局長とちょっと打ち合せましたが、大体ふだんからいろいろ相談いたしておりますので、私から御答弁申し上げます。路面電車の建設費は一キロについて一億二、三千万円を要します。トロリー・バスは一キロについて四、五千万円でできるのでありますそこで交通の問題から参りまして、私は将来路面電車のかわりにトロリー・バスでいくべきだ、こう考えております。しかし一挙にこれはできるものでもございませんが、将来はそうあるべきだ、またほかの交通機関に対しましても、路面電車は東京などにつきましては今路面電車は百七、八十万動かしておりますが、収容力の点につきましては電車とトロリー・バスでは幾らか違いますが、町のまん中を路面電車が歩いておるということにつきましては、ほかの交通機関の相当な支障になっておる。こういうことも考えまして、私は将来は路面電車はなるべく拡張しないで、できるだけトロリー・バス並びにバスをもってこれに代替していくべきものだ、経済的にもその方がいいのじゃないか、こういうように考えております。
  44. 井岡大治

    ○井岡委員 これは大阪の局長にお伺いいたしたいと思います。それは資金の問題です。今東京の局長さんもお話しになっておりましたが、一応地方公営企業法で公募債を認めておる。しかし一面附則の方で取り消しておる。いわゆる当分の間許可をしなければ出さない。そういうことになると、いわゆる自己資金というものが非常に制約される。その結果当面解決しなければならない地下鉄の問題が解決しない。そこで大体六百億の地下鉄路線建設するについて、どのくらいの年を見ておられるか。同時に、公営企業法の撤廃その他について今まで自治庁その他に交渉された経緯があれば、一つ教えていただきたい。
  45. 下村進

    ○下村参考人 起債の問題は御承知のように、公営企業法で起業者において一応発行を認められておるわけであります。御承知のように戦後の金融事情から、野放しにできないという政府の御方針については、私は十分わかるのであります。ただわれわれ一つお願いしておきますことは、民間企業に対比して非常に資金獲得が困難です。従って公営企業についてもピンからキリまであるわけでありまして、大都市のような相当力のある企業体には、もう少し自由にいかないにしても、もっと緩和をしていただきたいということをお願いしておるわけであります。野放しにワクをはずしてしまうということは、われわれが政府御当局の立場をいろいろ考えてみれば、今すぐぜひということは困難であろうと思いますけれども、最近の金融市場の好転と相待って、少くとも大都市交通解決のための資金というものには、特別の御考慮をお願いしたいと存ずるわけであります。なお、大阪で六百億の地下鉄計画があるわけでありますが、何年で考えているかと言われても、私は年数のことを考えたことはありません。これは時代が解決する。先ほどからだんだんお話のように、東京では金が何ぼ要るということではなくして、是が非でも解決しなければならない。これは交通需要が要請をいたしておるわけでありまして、大阪についてもその要請の度合いによって当然財政措置が必要である。もちろんわれわれ企業自体の努力もありますが、政府その他広く国家の御援助がなければならぬというふうに考えるのでございます。
  46. 松山義雄

    松山委員長 では、都市交通問題に関する件はこれをもって終了いたします。  参考人の方にお礼を申し上げます。本日はまことに公私御多用のところ、本委員会にお出かけいただきまして、いろいろと御意見開陳していただきまして、かつまた質問等に対しまして懇切にお答えいただきまして、厚くお礼を申し上げる次第でございます。どうもありがとうございました。     —————————————
  47. 松山義雄

    松山委員長 この際お諮りをいたします。小委員会の設置でありますが、本委員会に付託されました請願は、現在まで二百八十七件あります。この請願を審査するため、請願審査小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 松山義雄

    松山委員長 それではさように決定いたします。  なお、その人員及び小委員長の選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 松山義雄

    松山委員長 それではさように決定いたします。後刻公報に指名いたすことにいたします。
  50. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 委員長にお尋ねしたいと思いますが、過日本委員会において道路運送法の一部改正案が全会一致をもって可決されまして、本会議を通過して参議院に送付せれたことは御承知通りであります。その後参議院において、その道路運送法の改正案の一部が修正せられて、本院に戻されておるはずであります。ところがこれが議運において渋滞を来たしまして、今に至るも本院にかけられていない事情にあります。会期は切迫をいたしておりますし、もし参議院の修正案なるものがそのまま放置せられているということになりますならば、かえって不正行為をそのまま黙認するという結果になって、道路運送上ゆゆしい問題を惹起すると思うのであります。従ってこれについては、委員長としてすみやかに適切なる措置を講じて、これが本院において議決せられるような措置をとられなければならないと思うのでありますけれども委員長はその措置をどうお考えになっておりますか、一点お伺いしたい。
  51. 松山義雄

    松山委員長 お答え申し上げます。参議院で修正されまして衆議院に回付されておることは、ただいま山口委員からお話通りでございます。これは現在まだ議運にかかっておりまして、本会議にかけることになるわけでございますが、先日来いろいろの法案の関係上、まだ議運で渋滞いたしておると思いますけれども、これはもう本運輸委員会には関係なくなったことでございます。これは本会議にかかる問題でございまして、従いまして議運の扱いにかかっているわけでございますが、なお委員長個人といたしましては、その後の経過等もよく聞いてみたいと思っております。
  52. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私が今申し上げましたように、本院においても全会一致で可決されたものでありますし、参議院で修正せられたのも、全会一致をもって参議院で修正せられておるのであります。会期も切迫しておるのでありますし、この運輸委員会の権威にかけても、その後議運において渋滞している向きについては、これを促進せしめていく等の措置委員長からとっていただくこともまた、われわれ運輸委員委員長を信頼している一つ原因でもあるし、これは委員長責任だと思うのであります。それを今日なお議運の責任だとして野放しにしておられたのでは、どういう事情か知りませんけれども、会期も切迫した今日においては、その成立はきわめて憂慮せられる事態にあると思うのであります。委員長は、よろしく適切なる措置を議運の方に申し入れてもらいたい。運輸委員会の皆さんとしてはこれについてはあえて反対はなかろうと私は思う。ですから委員長としてそれだけの措置をとられることが、委員長としての責任じゃないかと私は思いますが、なお野放しにしておかれるつもりですか。
  53. 松山義雄

    松山委員長 お答えいたします。野放しにしておく考えはございませんが、先日来議運でもしばしば議題に上っているようでございます。しかしまたいろいろと変更をされているのは、今日衆議院におきましていろいろの法案の関係上そうなっていると思いますが、さらに委員長から議運の委員長に申し入れをいたしておきます。
  54. 濱野清吾

    ○濱野委員 それに関連して。この問題は、衆議院で通過したものを参議院が修正したからおもしろくないので握っているというようなものでもなければ、またいろいろ重大法案が社会党と与党との間にこんがらがっているからそのままになっているという問題でもないようだ。党間伝うるところによると、いろいろな請願運動が起きているようでありますが、その巻き添えを食って、議運などが手かげんをするというようなことがもしありとするならば、これは議会の冒涜であり、その権威にも関することでありますし、非常に重大なことになりますから、委員長は正式に議運に対してその促進方を要請されることを望みます。
  55. 松山義雄

    松山委員長 運輸委員会から議運の委員長に促進方を申し入れておきます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後一時八分散会