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1956-04-20 第24回国会 衆議院 運輸委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月二十日(金曜日)     午前十一時二十分開議  出席委員    委員長代理 理事 山本 友一君    理事 今松 治郎君 理事 臼井 莊一君    理事 畠山 鶴吉君 理事 青野 武一君    理事 中居英太郎君       岡崎 英城君    佐伯 宗義君       關谷 勝利君    濱野 清吾君       堀内 一雄君    眞鍋 儀十君     早稻田柳右エ門君    井岡 大治君       下平 正一君    楯 兼次郎君       山口丈太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 吉野 信次君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      權田 良彦君  委員外出席者         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉藏君         日本国有鉄道総         裁       十河 信二君         日本国有鉄道理         事         (営業局長)  石井 昭正君         日本国有鉄道参         与         (管財部長)  今井 四郎君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一〇号)     —————————————
  2. 山本友一

    山本(友)委員長代理 ただいまより運輸委員会を開会いたします。  委員長所用がありますので、御指名によりまして、理事であります私が運輸委員長職務を行います。  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案議題といたします。質疑を許します。青野武一君。
  3. 青野武一

    青野委員 きのう御質問申し上げるものを、本会議関係で多少残しておりましたので、同僚委員井岡大治君が大体発言する予定になっておりますが、今所用があって出ておりますので、その間できれば残った御質問を申し上げたいと思います。それは、この日鉄法改正案に直接関係のあるものではありませんが、やはり国鉄として非常に重大な性質を持っておる共済組合法案についてであります。私どもは、同僚運輸委員一緒にこの御説明国鉄当局から承わりましたが、政府側と非常に見解の相違があって——大体参議院の方が先議を続けて参りまして、審議未了審議未了というようなことを続けておったのでありますが、最近の参議院側審議の状況を見てみますると、政府国鉄側意見がある程度対立をいたしまして、基本的な内容に至るまで政府側が、大蔵省側反対をしておるということを聞いておりましたが、その点について、最近ではかなり歩み寄りができたように、私は国鉄の幹部の人から承わっております。この点について、たとえば国鉄職員のうちで、看護婦機関車乗務員、それからこれは福岡県の志免ですが、炭鉱の労働者、こういう特殊の人に対する不健康業務加算という問題が非常に複雑をきわめておりまして、この共済組合法案が衆参両議院を通過して法律になりませんと、勢いこの不健康業務加算の問題が解決をしない。それで一年半の期限が一応一年にされて、そしてその適用を一年延期する、また一年延期する、そして共済組合法案参議院衆議院を今度の国会で通過しない場合は、それだけでも、何らか一年延期の方法で、前の通りの規定を適用するようにしなければならぬと私ども社会党考えておりました。しかし聞くところによりますと、幸いに近いうちに話がついて、参議院側委員会、本会議を通じて御決定して下さって、衆議院の方に共済組合法案を御送付になる、こういうお見通しだという話を聞いておるのですが、大蔵省、いわゆる政府側と、共済組合法案内容の重要な点についてかなり食い違いがあったのが、どの程度話し合いがついたのか。それから基本的な問題は大体話し合いがついたということでありますが、話し合いのつかない具体的なこまかい点はどことどこか。これをお伺いしておきたいと思います。というのは、おそらく衆議院では、もし回付が参りますと、十中八九内閣委員会にかかる話し合いになっております。そうすると、おそらく運輸委員会との連合審査をやるようになります。それで運輸委員会としてもぜひ聞いておかなければなりませんので、先ほど申し上げましたように具体的なところ、どういう点のむずかしいところが話し合いがついたかということを承わりたいと思います。
  4. 權田良彦

    ○權田政府委員 お答えを申し上げます。公共企業体等職員共済組合法案につきましては、御承知のように第二十二国会において、議員諸氏連名発議の形で提出せられまして、そのまま継続審議の形でこの国会に持ち越されておりました。当時の原案につきましては、実は政府部内といたしまして、一般の年金その他こういう関係恩給等々をからめました振り合いの問題から、その調整を要するという問題、さらにこの共済組合法案につきましては、その給付において権衡を失するというような問題、あるいはまた政府、公社の負担が非常に過重になるという点、そういうような点から、一応閣議におきまして反対であるという態度を決定いたしたのでありますが、その後再三再四部内においても協議を重ね、また関係方面とも協議を重ねられました結果、今回以上申し上げました諸点について、完全に意見一致いたしたわけでございます。その結果、ただいま申し上げましたところの二十二国会に出されました原案が撤回になりまして、新たなる案が共済組合法及びその施行法附則関係において百数十ヵ条のものにまとまりまして、これが最近あらためて提出になったわけでございます。今回の新しい法案は前の法案と異なりまして、ただいま申し上げましたような点におきまして、その給付の点におきましても他との振り合い考え、またその財政負担につきましても経過的にいろいろあんばいをいたしまして、しかく重要な財政負担増を来たさない措置をいたしました。他の一般公務員との関係におきましては、これは恩給審議会その他もございますので、なおその方の慎重な検討を待って、これらとの振り合い考えて今後善処するということについて、政府事務当局部内では意見一致を見ました。来たるべき最も近い閣議においても、この御方針を御決定願うことに相なっておりますので、今回の新しい共済組合法案について、今先生の御指摘の点につきましては、政府部内としては意見一致を見たわけでございます。かような経過に相なっております。
  5. 青野武一

    青野委員 今の御説明で大体了承することができました。それで近く参議院を通過いたしまして衆議院の方に送付されることと思いますが、私どもは、委員長その他自民党理事の方あたりと御相談をして、連合審査を一日か二日実はやりたいと考えているわけでありますが、それらについて、国鉄当局から政府にお示しになっておりまするこの共済組合法案というものの基本的なことは、大体話し合いがついたわけですね。非常に問題が複雑になっておった点は大体話し合いがついたということになれば、大体問題になる点はなくなったので、社会党自民党との対立関係などというものはそこにごく緩和されることになるので、その点がどうであろうかと思って、実は杞憂の上で御質問申し上げたわけであります。しかし大体御答弁をもって私は了承いたしました。  それからきのうちょっとお尋ねをいたしましたが、私もいろいろな用に追われておりましたので、御答弁の重要な点を記録しておりませんので、まことに恐縮ですが重ねて御質問申し上げたいと思います。きのう国鉄総裁お尋ねしたのでありますが、これはさきの運輸委員会で、午前中私どもの党の正木君からかなり詳細にわたって御質疑を申し上げた内容でありますが、青函連絡船航路の安全を確保するために、もし万一の場合はどういうような具体的な非常態勢をとられるようになっておるか。聞くところによると、フリゲート艦がたとえば青森に何ぼ、それから八戸幾らというように、常時すぐに災難現場に急行できるような態勢になっておるというような話でありますが、三時間も五時間もかかったのでは、もし船が衝突したとか、あるいは沈没した場合には間に合わない。それで青函連絡船航路の東の方で浮流機雷が発見されたということだが、正木君の親しい青函連絡船船長の話では、夜間航行は危険で心配で、とにかくやれないのだ、実際問題として、海上保安庁の方も真剣にやってくれておるが、あの程度のことでは安心して航行ができない。大体腹の中では、願わくはここ当分、安心のできるまで夜間航行を一つやめてもらいたいというような希望もあるように聞くのです。そういうときに、ひょっと万一そういうような不慮の災難あるいは沈没といったような事件が、希望するわけではありませんが起ったときに、すぐに人命救助態勢がとられておるか、これを私は実は非常に心配するのです。というのは、紫雲丸のときも、私は少しからだの調子が悪かったのですが、同僚委員一緒に宇野から高松に渡って参りました。先日も用事があって参りましたが、あれなんかでも、汽車の連絡を十分にとるためにかなり無理な時間表を作り上げられておった。それが行き違うときに二百メートルの距離で、これが相手の船の前で旋回して、胴腹に突き当ったようなことは、時間をずらしておけばよい。一定の時間、五分か十分間、その連絡船の発着の時間を引き離せば、ああいうことはないはずだと思う。こういうことも私どもは実際に行って調べて参りました。今そういう心配のないように、時間もずらすし、航路距離もかなり広げておるのですけれども、あの一種の濃霧の関係もありましたから、不可抗力の点もありましょうと思いますが、何しろあの当時の船長が不幸にして遭難されておるから、その内容の詳しい点はわからなかったのですが問題が起ってからそら救助だ、その遺族の救済だということでなしに、すべて事前に、どうすればとにかくそういったような遭難事件を起さないようになるかということを重点的に考えていただいて、それでもなおかつ問題が起ったときには、急速に人命救助態勢を整えておって、すぐにかけつけられるようにしておかなければならぬ、こういうように考えておるわけでありますが、それについて国鉄総裁お答えを私十分にメモをとっておりませんでしたから、まことにお気の毒でございますが、あらためて御質問するわけですが、お答え願いたいと思います。
  6. 十河信二

    十河説明員 ただいまの御質問の点につきましては、私どもも万全の策を講じたい、こう考えまして、海上は申すまでもなく空中からも絶えず監視をいたしております。危険のあるような場合には、直ちに通報をして予防の措置を講ずる、あるは航海を停止するというふうなこともいたします。海上保安庁の方とも連絡いたしまして、海上保安庁の方で直ちに救済処置を講じていただけるように手配をいたしてもらっておるような次第でございます。なおこの上とも万全の策を講じて、できるだけ危険のないように、また万一起った場合には、被害最小限度にとどめ得られるように注意を払いたいと思います。
  7. 青野武一

    青野委員 抽象的にお答えをいただいたのでありますが、たとえば青函連絡船と申しましても、青森函館の間は相当スピードを出して、大型船舶航行させておっても、相当長時間かかり、どこでどういう問題が起るかわからない。たとえば青森を出て半マイルか一マイル付近で問題が起ったならば急場に間に合います。紫雲丸遭難事件は御承知通り目と鼻との先で高松港外で起りましたから、やはり相当助かった。それと胴腹に突っ込んだために、幅が大体一メートル、高さが七メートル、深さが一メートルほど胴腹に突っ込んでおる間にスローのエンジンをかけておいて、それが流れないように丁字型にしておいて、そうして片一方貨物船の、屋根が一尺ほど高かったのですが、それに向けてとにかく紫雲丸乗客をどんどん移動させた。特に小学校の生徒とか中学校の生徒には、やかましく言ってしりをたたくようにして、船が沈みかけておる間に片一方宇高丸の方に乗り移らせたので、あの程度被害であった。それでも相当犠牲者が出たが、そういうような臨機応変の処置を一部の船員の諸君にとっていただいたので、まだまだ五十人や百人の遭難者が出ておるはずなのが、助かった。そこでこの青森—函館間の連絡船ですが、かなりの距離のあるところで、どこでどうやられるかわからない。青森県のちょうどのど首のところを出て相当波の高い函館に向っていくところが、浮流機雷の流れてくるところでありますから、これはどっちに向いて流れ込んでくるかわからないけれども、しかし大体常識的に判断すれば、ちょうど青森函館との中間くらいにいつもそういう遭難事件があるということを想定して、どこに待機しておるのか。これはほかのことと違いまして、私はサンフランシスコでしたかロスアンゼルスでしたか記憶いたしませんが、どちらかで、とにかく飛行機に乗って乗客が着くと、その付近でもし飛行機墜落でもしたらというただそれだけで、大型海上飛行機が夜と夜明けに一ぺんずつ猛烈なスピードで、とにかく遭難現場と想定しておるところに行って毎日朝晩海上で訓練しておる。財政的にも日本ではそういうまねはできますまいが、もし万一あの優秀なアメリカの旅客機が乗客を乗せて海中に墜落をしたときにはどの程度の時間に現場に急行してその人命救済し得るかということを毎日向うではやっておるのです。私はその練習を目撃したのでありますが、そのように日本も今すぐせよということは無理でしょうが、それでもやはり人命救助準備だけはしておく必要があるのではないか。いわんや国鉄総裁として、洞爺丸事件あるいは紫雲丸事件が起りました関係上、——それは前任者の時代でありましたけれども、とにかく国鉄国民の耳目を聳動ずるような大きな遭難事件が起ったことは事実です。そういうことが起ったときにはどうするかということではなく、起らないように常に万全の策を立てていく。もし万一何十年間に一ぺんでも起ったときはどうするか。三年に一ぺんしか五十メートルの台風は吹かない。普通はめったに風が吹かないから、この程度鉄道の踏切りぐらいのバラックを建てたらよかろうなんという考えで家を建てると、五年か十年に一ぺん吹いてくる猛烈な台風によって、家も何も飛んでしまう。そういう風でも大丈夫、雨が降っても漏らない、こういう考えのもとに自分たちの一身を託する住宅を建てることが、住宅を建てる場合の常識なんです。それと同じようにたくさんの人間を積んで、重要な物資を積んで、函館及び青森間を行ったり来たりしておる場合には、どういう問題が起らぬとも限らない。そういうときにどこにフリゲート艦が何隻置いてある、あるいは函館港外には常に警戒に当るものとして海上自衛隊の船が何等ある、こういうように配置を大体ふだんからしておかなければ、その場合になって間に合わないのじゃないかと思いますが、その点はどうなんですか。たとえば八戸フリゲート艦が二隻おるとか、あるいは青森とか函館には二隻おるとかその他に二、三隻海上自衛隊関係の船がおるとかいうことで、まあまあ安心だ、何か事があっても大丈夫だというような抽象的なことでは、船に乗っておる責任者船長はもとより国鉄船舶関係職員も安心して——洞爺丸関係では約四百名死んだのです。その当時は御承知通り一般乗客は五十万円の弔慰金を一時仮払いをする。しかし国鉄職員法律によって保障せられておるから、補償金は十万円でいいというので、私は長崎総裁相当青筋を立てて渡り合うた。人命というものは一般乗客であろうと大臣であろうと職員であろうと、人間の命のとにかく貴重さという点については、子供も年寄りも男も女も同じだ。国鉄職員職務に殉じて海底のもくずとなっておる。そうして遭難をされた。それが弔慰金は十万円、一般乗客は相済まないといって五十万、人の命にどうして四十万の開きをつけるのか、こういうので私は、大体長崎さん、あなたは日本人の血が流れておるか、顔を見ても日本人らしい顔をしておらぬがと言って私は委員会で実はやったのですが、そういうような調子で、とにかく黙って見ておると実に不公平な点も出てくる。その点を、私は青函連絡船は必ず遭難事件を起すという想定をして言っているのではない。そういうことは万々一皆様の御努力でないとは信じますけれども、万一浮流機雷浮流機雷は御承知通り一尺から一尺五寸まで波が立ったら、今のレーダーではよくわからない。相当甲板でレーダーにたよらずに見て警戒しておっても、相当荒天の場合にはわからない。鏡のように静かな津軽海峡をを渡る場合は別ですが、そういう日ばかりではございません。そこでやはり警戒を厳重にしてもらわなければならない。しかもどのくらいあるやらわからない。この浮流機雷朝鮮戦争のときに、北鮮諸君国際連合軍敵前上陸その他をしないように、ソ連製浮流機雷をずっと北鮮側日本海に敷設したことは事実であります。私は資料を持っておりますから、その点はある程度確かなんです。それがどんどん腐食して、潮流の関係であの津軽海峡目がけて相当量流れてくる。また流れたはずです。今からでもある。そういう一種連絡船にとっては不可抗力みたいなものにぶつかったときには、それはおしまいなんです。だからそういう点を考えて、たとえばどこの港は何ぼ、どこには幾ら、常に警戒をしてこれくらい出る、危険を前に控えておるときにはそれだけの準備をしていただかなければ、船に乗っておる国鉄職員も、それから一般乗客も、安心して身を託するわけにはいかないのじゃないかと思うのです。だからもうちょっと具体的な点を御発表願いたいと思うのです。
  8. 十河信二

    十河説明員 まことに申しわけありませんが、具体的にどこの港にどういりものがどれだけいるかということを、私ただいまここで資料を持っておりませんのでお答えできませんですが、御質問の御趣旨ごもっともと思います。この上とも関係の向きとも十分に連絡を密にいたしまして、さらに万全の努力をするように努めるつもりでおります。
  9. 青野武一

    青野委員 いろいろな関係お忙しい立場にもあるし、非常に重大な責任の地位に立っておられるのでありますから、詳しいことを御存じないのは御無理はあませんけれども、今私が何回かにまたがって御質問の形式で実は非常に希望しておりますることは、そういうような問題の起らないように、何べんも言うようですが万全の態勢を整えて、そうして万一そういう事件の起ったときには国民の指弾を受けるようなことはない、とにかく確信を持ってふだんからその用意をするというように、極力御努力を願いたいということを、私は国鉄総裁並びに運輸大臣に対しまして御希望申し上げて、私の質問を終らしていただきます。
  10. 山本友一

  11. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は運輸大臣並びに総裁に、今議題になっております日本国有鉄道法の一部を改正する法律案について、逐条若干質問をいたしたいと思います。  まず今度改正せられまする日本国有鉄道は、いえば改正でありまするけれども、その内容から申しますると、ほとんど改正というよりも新しく法律を設けるといった方が適切なくらい、大幅の改正がせられておると思います。概括的に申してこういう根本的に法律改正することは、今申したように改正というよりも、むしろ国有鉄道法を新設するといった方が適切な表現ではないかと思われるような大きな改正でございます。そういたしますると、今まで当委員会においては、国鉄運営について、あるいはその企業についても、その責任及び監督等の権限を明確化するという点で、非常に問題になっておったのでありまするけれども、こういう大きな改革をされた根本の趣旨は、私はそこに立脚して改正せられたものであるというふうに考えるのでありまするけれども、どうでありますか。その根本的な考え方について伺いたいのが第一点。それから第二点として、しからばそういうような大改革を必要とするというならば、今まで国鉄業務運営をいたして参りましたその運営の方式について、たとえば今までの国鉄運営状態は、経営委員会という一つの協議体のいわゆる協議によって運営がされております。それを今度は理事会に切りかえられたようでありますが、この経営委員会で根本的にどういう障害があったのか、運営上の障害の点についてお聞かせ願いたい。
  12. 吉野信次

    吉野国務大臣 相当根本的な改正をやっておることは御承知通りでございまして、この法律改正するに至った立法の理由については、当初に御説明したところで御了解を願いたいと思います。  それから経営委員会というものが今までどこが都合が悪かったかというようなお話ですが、これも実際的にいうと、ほかに職を持っていて、みなパート・タイムで一週間に一ぺん集まるというだけでございますから、どうしても身を入れてこの意思決定ということに専心なさるということは、ちょっと無理があるわけでございます。それで今度は意思決定というものを専心やれるような仕組みで、理事会を置いたわけであります。
  13. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 今の御答弁で、その委員が他の役職を兼任している、これを専任委員に変えて、常時総裁の諮問に応ぜられる、あるいは協議に応ぜられる体制をとる、そういうことが最も望ましいということは、当委員会においてもたびたび問題になりましたし、歴代の総裁がそれを希望せられたところです。それで私は総裁お尋ねをいたしますが、そのような一週間に一度とか二度とかいうような、いわば有名無実にひとしいような甘い経営委員会をもっていたしましては、この膨大な国鉄経営について身の入った協議も行うことができない。しかも総裁はいろいろの制約を加えられていて、その委員会協議を待たなければ実行に移すことができぬ。だからその委員会を権威あるものにするためには、私はそれを常設委員会にして、その運営に当る委員の人選の全きを得さえすれば、別に名称等運営に大きな支障を来たすようなものではないというふうに考えるのでありますけれども、なぜそれを理事会にしなければならなかったのか。ただこれは、そういう常設機関にするために、適切な名前として理事会に変える、こういうことで要請されたのか、総裁お尋ねしたい。
  14. 十河信二

    十河説明員 先刻運輸大臣からお話のありましたように、経営委員の方々は、それぞれ非常に忙しい仕事を持っておられますので、私どもは一週間に一回、わずかの時間お目にかかることができるだけで、そのあとはほとんどお目にかかる機会も得られないというふうな状態でありますから、国鉄繁激仕事意思決定をする機関としては、その点において少しもの足りなく感じておったのであります。それゆえに、もう少しフル・タイムで協力をしていただけるような機関を作ってほしいという希望を持っていましたのが、今度の法案になって現われてきたような次第であります。そのほかに、別に経営委員会がこういう欠点があるというふうなことは、私どもは何も認めておりません。従って経営委員会を廃止してほしいというふうな意思決定は、今までいたしたことはないと思っております。
  15. 山本友一

    山本(友)委員長代理 山口君、ちょっと発言中ですが、大臣参議院でちょうど所管の採決がございますのでちょっと抜けますから、さよう御了承願います。
  16. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 わかりました。この改正案の第九条、すなわち旧法でいいますと第八条までは改正されないで、九条から根本的な改正に入る。今の総裁の御答弁だといたしますと、問題はこの従来ありました旧法に基く経営委員会というものは、いわゆる一週間や二週間に一ぺんしか集まりができない、その集まりもほかに兼職を持っておるからして、十分に集まることもできない、こういうものを専任でやれるような人を招聘して、そして構成する。言いかえますと、委員会委員そのものを、人的配置をうまくしさえすれば、私はこの九条のような改正をしなくても、支障なくできるのではないか、そういうように考えるわけですけれども、今の御答弁によりますと、さして今までの経営委員会でも、若干そういう点について考慮しさえすれば、欠陥もないし、支障があったとは考えない、こういう御答弁でありますが、そうすると私はこのような根本的な性格を変えるような改正をするということは、これは運輸省と国鉄との間に何か意見の不一致を見ておるのではないか。言いかえますと、国鉄の方ではなるたけ自主的に、この事業内容については総裁の意思によって強くやっていきたい。ところが一方においてそれの監督行政の立場に当る運輸省としては、やはりもう少し責任等を明確にするということで、いわゆる監督権を強めていこう、こういう二つの考え方があって、それが一致した意見にならずに、この法の改正ということになったのではないか。そうすると、そういうような意思の疎通を欠いているとしたならば、私はこの改正案によって、国鉄運営するということが非常に困難になりはしないか、かえって総裁は非常にむずかしい立場になりはしないか、こういうことを憂えるわけでありますが、その点いかがでありましょうか、両方から一つ伺いたい。
  17. 權田良彦

    ○權田政府委員 ちょっと補って御説明させていただきます。御承知通りに現在の経営委員会は、国鉄意思決定機関でございまして、その意思決定機関でありますれば、それは現行法の十条で限定されておりますが、そのほかに、監査機関的な機能、または外部からの、国民のいろいろな御意見を反映する機能をも果すような、ややその性格に明確を欠く点もございます。制度としては、こういう制度もございまして成り立って参ったのでありますが、今日までのところでは、そういったような不明確の点もあり、さらにまたこの経営委員会のそういった関係上、業務運営上の総裁との責任関係を不明確にいたしておるうらみがございます。これらの諸機能を果すのに、どうも今までのところでは適当と思われない。それでこれを廃止いたしまして、意思決定機関、監査機関、執行機関というものを確立いたしまして、なお提案理由で御説明いたしましたように、その執行機関としての総裁と、意思決定機関としての理事会というもののとの表裏一体化をはかって、責任の明確化を来たした次第でありまして、これらの点が、こういった新しい機構に移すべきであると私ども考えた理由でございます。この点につきましては、運輸省と国有鉄道との間に何らの意見の不一致はございませんのでありますので、補って御説明申し上げます。
  18. 十河信二

    十河説明員 現在の経営委員会では委員が五人ありまして、私一人が執行機関の中から特別委員として出ておるだけであります。従って今運輸省の權田局長から説明のありましたように、どちらかというと私は、五人の委員によって決定された意思を執行するというだけの自由しかないのであります。今度は少しそれよりか、ほんのわずかでしょうけれども、自由が広まったような気がいたします。私といたしましては、できるだけ自由に活動できるようにしていただきたいということを始終希望もし、また努力もいたしております。何さま不敏なもので、絶えずおしかりを受けておるような状態でありますから、自分の思うように自由にふるまうということは、もちろん慎しまなければならぬことであります。まあ幾らかでも自由の範囲が広がったということで非常に喜んでおります。運輸省との間に何ら意思の疎隔というふうなことはないように存じております。
  19. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 意思の違いはない、こういうことでございますが、重要なことは、この国鉄という公的機関が、やはり前の経営委員会でありますと、委員は少うございますけれども、しかしそれを利用する、意見国鉄に反映させるという意味におきましては、これは人は少くともその意味においては非常に幅が広いと考えております。もう少し国鉄は、その経営運営に当っても広く国民各階層の意見を集めて、反映させて、それを取り入れて国鉄運営していく、こういうようにすることが、国民の交通機関としての使命を果す上において非常にいいのではないか。今度の改正案によりますと、理事を若干ふやす、第十条によりますと、「理事五人以上十人以内をもって組織する。」こういうことになっております。しかしこれを五人だといたしますると、総裁、副総裁がお入りになるのですから、実質上は三人しか他の部門からの理事は入れないということになる。しかもそれは専任理事でありますから、そうするとこの理事というものは、いわゆる民間から採用するのではなしに、部内人事にとどまるのではないか。そうするとたといこれを十人にしましても、それは国鉄の部内の人のみの意見ということになって、前よりもその利用者大衆の意思というものが国鉄に聞えなくなるのではないか、こういうふうに考えるのですけれども、そういうおそれはありませんか。
  20. 權田良彦

    ○權田政府委員 御説明申し上げます。この理事会総裁と副総裁、それから理事五人以上十人以内でございますので、もし御指摘のような、かりに五人といたしました場合には理事が五人に、そのほかに総裁、副総裁、こういうことになります。それからまた理事は部内からだけの任用というお説でございましたが、この法律の建前といたしましては、理事には国鉄の部内だけでなく、部外の方もこれに御参加願える、こういう格好になっております。それで理事会はお説のように意思決定機関でございまして、これが執行機関としての総裁、副総裁、常務理事となるわけであります。こういったように国鉄理事会機構を明確化いたしておりまして、経営委員会等のような、先ほど御説明いたしましたような点を改良いたしておりますし、さらにまた監査委員会というようなものが設けられまして、業務の管理、運営に関する監査をいたしまして、能率運営をいたすようになっておりますので、このほかに特別に、総裁の諮問委員会的なものは設ける必要もないというような意見も一部にございましたのですが、ただいまの私ども考えといたしましては、今御指摘の点もございますし、国鉄事業というものの社会的な影響の重要性にかんがみまして、広く部外の社会、国民の声を企業運営に反映させる、あるいは重要事項についてそういう部外の国民の方々の御意見を聞くという必要は、十分私どもも了解いたしております。従いまして総裁の諮問機関として適当な諮問委員会を設けることは、運輸省といたしましても適当ではないかと考えておりますが、ただこれを日本国有鉄道法に入れませんゆえんは、これは再三大臣からも御答弁申し上げましたように、これを法律に入れますと、これは御承知のように必要義務機関といたしまして、必要諮問事項、あるいはそれをかけなければ通らないというような義務的な権限というものを与える場合もあります。あるいはまたその権限あるいは委員の任免につきましても、一つの委員としての公務員でない者を身分で規定いたしたり、その他等々、非常に固定的なものに相なるわけでありまして、そういったことはかえって逆に、今私の御説明いたしました真の諮問機関としての有効なる働きに、いろいろワクがはまってしまう。事実上のそういうものとしては、総裁がこれを考えられて、置くということで私は必要にして十分と考えますので、法律事項でないという意味でこの法律には規定いたしてないわけでございます。
  21. 中居英太郎

    ○中居委員 関連。山口委員質問に対する総裁並びに權田局長の答弁に関連いたしましてちょっとお伺いいたします。先ほど来山口委員総裁並びに運輸当局に対しまして、今回の改正案の主眼点である経営委員会を廃止して、新たに意思決定機関として理事会を設けてこれに行わせる、この理由を問うておるのでありますが、この理由につきまして国鉄も運輸省も答えて、同じような回答をいたしております。それは今日までの経営委員会運営というものが、非常に多忙のためか、その職責を果すに十分な存在ではなかった。従ってこの経営委員会を廃止して、国鉄の部内を主体とする理事会をもって意思決定機関にする、こういう説明が大体両者の答弁であったと私は思っております。しかしこの公共企業体の機構というもの、意思決定機関を性格づける理由というものは、決してそのような便宜的なものではないと私は思っております。公共企業体にはもちろん意思決定機関があり、執行機関があり、さらにこれに並行して監査機関があるということは当然でありましょう。しかしこの意思決定機関をどのような性格で決定づけるかということは、私は非常に大きな問題だと思うのです。この考え方それ自体が、私は公共企業体それ自体であるとも思っております。それで先ほど来国鉄総裁なんかの述べておられます経営委員会廃止の理由にしておる不活発さ、これについては私は先日も述べたのでありますが、合理化審議会におきましてもこれは認めておりますよ。内閣に設けられた公共企業体合理化審議会においても、その運営の不活発さは認めておりますが、だからといってこれを廃止して、新たに部内組織をもって主たる構成とするような理事会を設けろなどという結論は出しておりません。弊害を認めながらも、なおかつこれをどのようにして軌道に乗せるか、そのための努力をしろという答申をしております。ところがこのような内閣に設けられた合理化審議会の答申というものは無視いたしまして、非常に便宜的な考え方で 国鉄総裁がもっとフリーな立場で発言権が強くなるとか、意思決定に対して自分の意見が百パーセント取り入れられるような組織というものが好ましい、ただそういうような考え方で今回の改正案を出したといたしますならば、私はこれは大きな間違いである、こう思うわけであります。  元来、この公共企業体の意思決定機関というものは、私は直接そのときの政府が当るべきだと思っております。願わくは私は国務大臣国鉄総裁にでもなって、そしてこの国務大臣である国鉄総裁のもとにおいて、理事会的な意思決定機関を作って、国鉄の方向というものを決定するという姿も一つの形であると考えております。しかし今そういうことを申し上げましても、これは非常に困難な問題だと思うわけでありますが、ただ考えてみなければならないことは、公共企業体といえども意思決定に当りましては、やはり政府の直接の意思なり、あるいは国会の直接の意思なりというものの承諾を得た人間によって、意思決定機関というものは構成されなければならないと思っております。従いまして今日までとられて参りました経営委員会というものの任命は、国会の承認であります。国会がその意思決定をしてもらいたいということを委任をせられた人たちによって、意思決定というものが初めて行われ得る。ところが今回の改正案を見ますと、運輸大臣が任命する、そしてこの人たちが意思決定を行う、こういうことになっておりますが、私はこれは法的にも大きな疑問があると思っております。少くとも意思決定というものは、内閣の直接の責任であるか、あるいはまた国会の委任を受けた人たちによってのみ、初めて意思決定の権限がある、こう思っておるのです。にもかかわらず、自分たち意見が百パーセント取り入れられるような方法を講ずることが好ましいというような、便宜的な考え方によって経営委員会を廃止して理事会をもって意思決定機関とするということは、私は根本的にその考えに間違いがある、こう思うわけでありますが、この点いかがでありますか。
  22. 權田良彦

    ○權田政府委員 お答え申し上げます。公共企業体には意思決定機関と執行機関とがある、これは当然でございまして、この意思決定機関の構成、執行機関の構成をいかに考えるかということは、これは考えとして、また理論、観念の上では無数の案があるわけでございます。またそれぞれの公共企業体によってそれぞれの適当な形態をとっておるわけであります。今回の日本国有鉄道法改正案によりますところの意思決定機関である理事会の構成は、先ほど補足的に御説明いたしましたように、理論上は現在の経営委員会でも意思決定機関でありうるわけでありまして、それを便宜的に今回のように改正いたしたのではございません。補足で御説明しました理由によって改正をいたしたのでございまして、この点につきまして臨時会共企業体合理化審議会の答申を御引用に相なりましたが、この答申は御指摘のような線を打ち立てております。それを自来さらに慎重に検討を加え、あるいはまた国鉄経営調査会等々の答申その他各般の御意見をもしんしゃくいたしまして、公共企業体合理化審議会そのものの答申をさらに深く検討いたしました結果、在来の経営委員会の性格をより明確にいたしまして、事業活動に積極的に参加せしめるとともに、執行機関である総裁との責任の限界を明確化するために、今度の制度をとったわけでございます。この意思決定機関と執行機関の任命形式にもお触れに相なりましたが、これは現在の経営委員会のように国会の同意を得られる方式もございますし、あるいは国会で立法せられました法律によって内閣がその任命権を得る場合もございます。たとえば現在日本電信電話公社、日本専売公社、日本放送協会、国民金融公庫、日本銀行、帝都高速度交通営団、住宅公団等々、数多くのこういった公団、公社がございますが、これらの意思決定機関、執行機関の任命形式はそれぞれ異なっております。すべてが両院の同意を得て内閣が任命することにはなっておりません。そういうものもありますれば、内閣総理大臣が任命するものもあれば、所管大臣が直接任命するものもございます。今回はこの国有鉄道の組織機構にふさわしき姿といたしまして、こういった意思決定機関及び執行機関の体制をとるとともに、その任命につきましては法律の十九条で、総裁内閣任命という形式が最も適当であろうと思いまして、かような改正案準備したわけでございます。
  23. 中居英太郎

    ○中居委員 任命の形式について今あなたは述べられましたが、それはたくさんございます。しかし意思決定機関と執行機関が分れておった場合に、分れておる組織に対する責任者を任命するとき、その責任者意思決定と執行とをともに兼ね委任する場合には、すべてこれは国会の承認です。これ以外にはできないことになっております。ところがただ執行だけを委任する責任者を任命する場合には、これは行政機関内閣が任命してもいいのです。意思決定と執行とを兼ね備えて委任する場合には、すべて内閣の任命になっております。これはあなたの考え違いです。  もう一つ私があなたに申し上げたいことは、総裁責任を明確化する、こういうことでございます。今日までの経営委員会の中における国鉄総裁の立場というものは、先ほども総裁が述べておられましたように経営委員会の一構成分子であります。そして経営委員会の決定事項を執行することを委任されております。今回の意思決定機関たる理事会総裁関係をながめてみますとどうですか、総裁はやはり会長でありますが、意思決定機関の一員であります。経営委員会における総裁の立場も意思決定の一構成分子です。今回の理事会における総裁の立場というのも、理事会における一構成分子でありまして、会長であると、あるいはまた一構成分子であるとこのいずれでありましても、私は同じであろうと思うのでありまして、意思決定機関というものは連帯責任であります。連帯責任でありますから、私は理事会における総裁の立場も、経営委員会における立場と同じように、一構成分子にしかすぎないと思うのでありまして、いささかも総裁意思決定機関との間が明確化されていないと思うわけでありますが、この点いかがですか。
  24. 權田良彦

    ○權田政府委員 第一点の意思決定機関と執行機関の任命形式については、今お説もございましたが、私どもの方の説といたしましては、いろいろな場合もございますので、この法律において何ら支障はないし、差しつかえはないし、正しいと思っております。  それから第二点の理事会の点でございますが、この第十条、第十一条をごらん願いますと、理事会総裁と副総裁理事で構成いたしますが、この総裁というものは第十二条において、総裁という執行機関の最高の職務であります。これが理事会に出席いたしますときには、理事会会長という資格において会務を総理いたします。従いまして、理事会は御指摘の通りに議決機関でございますから、十一条によって過半数の議決ということに相なりますが、十一条第三項「可否同数のときは、会長の決するところによる。」、やはりこれだけの理事会としての会長たる資格において、理事会の会務総理及び同数のときの決定権を持っております。しかし決定事項につきましては御指摘の通り理事会の全体の議決機関としての責任に相なるわけでありますが、こういう意味において、理事会に入ります会長たる総裁は、やはりこの明確なる立場と職能を有しておると考えるのであります。
  25. 中居英太郎

    ○中居委員 それは確かに会長でありますがゆえに、可否同数の場合の決定権を持っております。それだけはプラスになったと私は思っております。総裁の権限というものはプラスされた。しかし私はそこにまた大きな疑問があると思うわけでありまして、少くとも公共企業体の意思決定機関と執行機関というものは、営利を目的とするところの商法による民間企業と異なるべきである、異なるのが当然であると私は考えております。商法によるところの民間会社は、いかにも意思決定機関イコール執行機関であります。これは所有権が存在するからそれでいいのです。意思決定と執行というものを所有しておるか、あるいはまた所有者から委任を受けておるからそれでいいのですよ。ところが国有財産あるいは国鉄経営というものを所有しておるのはだれですか。これは国民ですよ。そしてこれが集約されたものが国会ですよ。これから委任を受けたものでなければ意思決定の権限を持つということはできない、こう私は思っております。さらに公共企業体としてのあり方から考えまして、あくまでも意思決定機関と執行機関というのは別個の性格であり、別個の存在でなければならない、私はこれは不変の原則であると思っております。公共企業体としての機構の不変の原則であると私は信じております。あなた方が考えておられるように、意思決定機関と執行機関というものを表裏一体とするということは、結局は意思決定機関というものを執行機関の独占にするということですよ。意思決定機関を執行機関の意のままにするというところが、あなた方のねらいであります。それであっては、公共企業体の性格というものはこわれてしまいます。しかし今日、意思決定機関と執行機関というものがたとえば一体になったといたしましても、十河総裁には万々さようなことはないと私は信じております。しかしながら法というものは、万が一のことをも想定して明文化しておかなければならないというところに、法の意義があるのです。もしも意思決定機関と執行機関というものが表裏一体になって、執行機関の意のままに意思決定というものが行われるといたしましたならば、十年、二十年先に、執行機関の独善ということがその国鉄の方針にならないとだれが断言できます。今日の公共企業体における意思決定機関と執行機関というものの職分は、意思決定機関はあくまでも公共的な立場に立って、公共的な性格というものを死守することによって、公共企業体としての性格を明確化して、そうしてその決定によってこれを運営する執行部は企業的な、能率的な経営をする、こういうところに私は意義があると思うのですよ。企業的な、能率的な運営をするということが執行部の責任です。ところが執行部と意思決定機関というものを一緒にして、執行部の意思によって意思決定機関というものが左右できるとなりましたならば、全部企業採算的な、企業的な頭だけで意思決定というものが行われる危険がある、こういうことを私どもは憂えるわけですよ。従って公共企業体における意思決定機関と執行機関というものは、その性格も、存在も、人的構成もはっきり分けておるところに意義があると思うのですが、この点いかがですか。
  26. 權田良彦

    ○權田政府委員 お答え申し上げます。今の御指摘に相なりました点は一つの御見解でありまして、傾聴に値する点もあるかと思うのでありますが、公共企業体の機構がいかにあるべきかということは、そういった割り切った一つのものだけではないのでありまして、それぞれのものが考えられるのであります。理事会というものは日本国有鉄道業務の管理、運営について決定いたしまして、総裁以下の執行機関理事会の決定に従って業務を執行する、この場合に、理事会の構成員と執行機関の構成員が総裁、副総裁及び理事の一部において表裏一体となるのでありまして、全く一本ではないのであります。あたかも今民間の商事会社のことを御指摘になりまして、取締役会に多少類似はいたしておりますが、これとはまた性質を異にしております。取締役は今御指摘の通り株主の所有の関係がありまして、この総会において選任されるのであります。ところが国有鉄道というような公共企業体には株主はない、それは国民の所有であること御指摘の通りであります。従いまして国会の立法行為をもって、その執行機関なり意思決定機関なりを御決定願う法律が必要であり、またその法律においてこの任命権を定めることが必要と相なって参るのでありまして、そのためにそこにこういった制度を法律でとれば、その点は理論的に矛盾しないのであります。なおそうしました場合に総裁が、執行機関理事会と同じであって、全く企業的なら企業的というような運営ばかりをするではないかという御指摘の点がございましたが、これは組織、機構の上ではないのでありまして、その運営方で相なりまするので、これには部内機関として新たに監査委員会を設置し、さらに運輸大臣の監督というのもございまするので、この点は私どもは完璧を期しておると思っております。
  27. 中居英太郎

    ○中居委員 あなたの論は人間があくまでもいつまでたっても公平であるという考え方に立っておるのですよ。立場立場によって、その人間の思想あるいは主張というものが違ってくるわけですよ。今のあなたの論をもってしまするならば、政治を行うには、内閣が行えばいいのだ、国会なんか要らないのだ、こういう論と結論は帰一するのですよ。また法律で、国会議員の任命は内閣が行うという法律さえ作れば、選挙なんかしなくてもいいのだ、こういう論と相通ずる理論ですよ。行政機関さえしっかりしておれば、立法府の意思を体して、行政府が物事をきめてこれを執行すれば、これは国会なんか必要ないのだ、こういう理論と同じですよ。
  28. 權田良彦

    ○權田政府委員 そのようなことを申し上げた覚えは一切ございません。
  29. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は今中居委員からいろいろ質問がありましたが、お尋ねしたいことは、いわゆる執行機関とその意思を決定する機関、それからその意思決定に基いて執行したその執行を監督する監督機関、こういう三つの規定を中心に、それを明確化するのだということは、この法の改正の大きな主眼で、従来よりも一そう明確化する、こういうことであります。ところが私は今中居委員が申されたように、この意思決定機関と執行機関の意思の疎通というものがはかられなければ、これは業務運営は実際にはできません。そういう意味においては、ある程度こういう形で運営する限りにおいては、他の一般商社的性格、すなわち他の重役会とかそういう役員会、この役員会で協議してきめたことが、その執行機関である常務役員によってこれが執行される、それにさらに監査を受ける、こういうのが普通の常識でありますが、ただ公社として変りますことは、それに一歩公社的な性格を持つ、公的性格を持つ。そこに理事の任命やいわゆる意思決定機関に携わる人の任命、あるいはその執行に当る人々の任命、こういう任命が、他のいわゆる商社との相違を持つ。これは当然な話だと思うのでありますけれども、しかしその意思の決定機関には、従って私は公社の性格から申せば、広くその利用者や、一般社会の学識経験者、あるいは経済通の人々、いわゆる衆知を集めた人々によって意思の決定をされなければならぬ。そしてその衆知によって決定せられたものを執行機関がくまなく執行する、こういうことになって初めて私は公社としての使命を全うすることができるのだと思うのですけれども、この改正案の性格によりますると、今申しましたように、広くその衆知を集める機会というものが制約されてしまっておるのではないかと思いますけれども、これはどうでしょうか。
  30. 權田良彦

    ○權田政府委員 お答え申し上げます。お説の通りでございまして、この意思決定機関は広く衆知を集めて、適切な意思決定機関であることを期待しておるのであります。従いまして理事に対しましては、先ほどお答え申し上げました通り国鉄の部内外を問わず、これに迎えたい、こう思っておるのであります。ことに部外の方につきましては、国鉄の事業の重要性と特殊性にかんがみまして、すぐれた経営手腕を有することはもちろん、高い識見を有する方を専任で迎えたいと思っておりますが、これが困難な場合には、その一部の方については、非常勤の理事としてでもこれをお迎えしたい、こういう気持でこの法案が組まれておるのでございます。
  31. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 広く衆知を集めるということで、やむを得なければ非常勤の理事をも集めたい、こういうことでございますが、でき得れば非常勤という意味は、原則としては専任理事、こういうことが言われており、次の欠格条項やその他の第二十条と、次に出て参ります各条項から見ましても、あるいはまた今までにこの運輸委員会において国鉄運営に関していろいろ質問応答をいたし、またその希望を述べました中に、今までの経営委員会ではいけない、またこれを強化するためには、もう少し常勤をしてやれるような人々を集めなければならぬ、こういう趣旨とが一致してここに改正されたものとすれば、今ちょっと言われる趣旨は、改正趣旨とまた食い違って参るのではないか、こういうふうに思いますが、どうでしょうか。  それから総裁お尋ねしますが、実際にその衝に当られる総裁として、この国鉄理事に、そういうほんとうに打ち込んで常任理事として迎えるようなことができるかどうか。そういう広く衆知を集めて、意思決定機関に参与させる、そのために必要な人か常任理事として実際問題として集められますかどうか、一つ経験に基いて総裁からも御答弁いただきたい。
  32. 十河信二

    十河説明員 私はそういうことを希望いたしておりますし、またある程度その希望が実現できる、こう信じております。
  33. 權田良彦

    ○權田政府委員 私が先ほど申し上げましたように、理事はできれば専任で迎えたい、やむを得ない場合には一部は非常勤になる場合もある、こういうことを申し上げましたのは、運用方を申し上げましたのでありまして、何ら矛盾はないと存じております。
  34. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 この十条によりますと、先ほど説明がありましたが、五人以上十人というふうに人数がきめられております。しからば十二条において常任理事を若干人置く、こういうことになっておりますが、この常任理事若干名というのは、何名くらいを予定されているか。あるいはまたこういうように法文上若干名というような用語を用いられるとすれば、政令とか何とかでその人数を法の条文に基いてきっちりと規定せられるものだと思いますが、そういう場合の用意としては何名を予定せられるのか、はっきりしておきたい。
  35. 權田良彦

    ○權田政府委員 ちょっと言葉が足りませんでしたので補足をいたしますが、この十条の理事というのは意思決定機関理事でございまして、この理事は先ほど運用方について御説明いたしましたように、できれば専任、やむを得なければ一部非常勤の方もある。この専任である理事とここの十二条の常務理事とは関係がないのでございまして、この十二条の常務理事というのは、これは理事の中から業務執行機関として総裁が任命する執行機関の常務理事でございます。従いましてこれは任期その他は法律事項ではございませんので、総裁業務執行に従って任命すればいいことに相なるのでございます。この若干人と書きましたのは、これもまた何人ということをきめる必要がございませんので、総裁理事会の決定に従いまして、業務を執行していく上において必要な数を、そのときに運用して参ればよろしいのであります。しかしそれかといって多い必要もございませんので、若干名と申しております。数名くらいでありまして、何名というふうに固定的に考える必要のない職務執行機関でございます。
  36. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 どうも私納得がいかぬのですが、そうすると十二条の関係と十九条の四項の関係はどうなりますか。ちょっと私理解ができないのですが……。
  37. 權田良彦

    ○權田政府委員 十条の関係は、理事会の組織として、その組織内容の員数に当るべき人をいうておりまして、十九条ではそれぞれの任命の形をいうております。すなわち意思決定機関の組織体である理事は、二項によりまして、運輸大臣の認可を受けて総裁が任命いたします。これが意思決定機関理事会理事と相なります。それらの理事の中から総裁が常務理事というものを任命いたします。これは執行機関に当るわけでございます。
  38. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 そうしますと十二条の「常務理事若干人を置く。」というのは、さきに申された答弁で、これは法律案件として規定しない、だからそこは総裁の自由任用にまかす、私はこういうことになると思うのです。そうするとやはり今中居委員が言われたように、意思決定機関とそれから執行機関とが、この常任理事というものに制限がないのですから、場合によっては十名の理事を全部常任理事として総裁が指名することもできることになるわけですね。そうなればこれは、意思決定機関即常時業務を執行する執行機関、こういうことになるわけです。そうすると実質的には専任になってしまいますから、従って今申し上げるように、公社的な性格において、この意思を広く国鉄に反映させていくということと大きな矛盾を来たしはしないか。そこでは公社的な性格に運用上矛盾を来たしてくるというおそれはないか。これは非常に私納得できないところなので、十分説明を願いたい。
  39. 權田良彦

    ○權田政府委員 お答え申し上げます。十二条で「常務理事若干人」といたしまして、十九条四項で「理事のうちから、総裁が任命する。」こういたしておりますので、私は運用上は今おっしゃるようなことは起らないと思いますが、しからば法律上どう読むかと申し上げれば、法律上は十条の「五人以上十人以内」の理事が、十二条の「常務理事若干人」に全部なることを禁止する規定はございませんけれども、私は運用上さようには相ならないと考えております。というのは、「うちから」という字と、「若干人」という字で運用を予定しております。
  40. 中居英太郎

    ○中居委員 あなたの答弁、矛盾だらけだと思いますよ。あなたが先ほど言われた意思決定機関である経営委員会の構成メンバーに専念できるような人を得ることができなかったのが弊害である、これが活用できなかった。従って執行機関と表裏一体のような意思決定機関を設けたい。それが今回の改正案である。あなたはこういうことを申されました。ところが今山口委員質問に対しましては、意思決定機関である理事会の構成員は必ずしも執行部の人々だけではないのである、他の理事もあるから決してその執行部の独断にはならぬ、こういうことを申しておられます。これは矛盾する答弁ですよ。たとえば執行部に入る以外の理事があったといたしましても、その理事の性格と申しますか、その理事の発言、あるいはその理事国鉄に来まして執務する時間等の関係からいいまして、私は現在の経営委員会の方々の立場と決して違わない立場ではないかと思っております。もしも今回の理事会の構成メンバーの中で、執行部以外の理事の発言というものが、執行部であり意思決定機関の構成メンバーである方々の発言をオーバーするような強い発言、強い立場というものを持っておる人があるといたしましたならば、そういう方々をもって経営委員に任命したらこの問題は解決するでしょう。それが解決できないから、執行機関の方々を持って意思決定機関にするのだ、こういう説明ですが、あなたの答弁は矛盾しているじゃないか。
  41. 權田良彦

    ○權田政府委員 私が先ほど来御説明申し上げておりますのは、当初経営委員会を廃止いたしました理由で申し上げましたことは、現在の経営委員会は実際の運用状況から非常勤の方ばかり、それに総裁が入っておる。そういう点で運用上効果が上らぬということと、意思決定機関であると同時に、監査機関的機能、また外部から国民の声を反映するような諮問機関的な機能を持っておる。これらの点も不明確である、こういう点を明確にいたしまして、経営委員会を発展的解消させてこの理事会にいたしたのでありまして、その理事会には部内もあれば部外もある、この理事会の部内外の方はできるだけ専任でやる、ただしやむを得ざる一部については非常勤があるかもしれない、この点は今の経営委員会と著しく異なるわけです。その意思決定機関理事の中から若干名が常務理事として執行機関になるのでありますから、執行機関でないところの理事があります。そういう者が集まられました意思決定機関があるのでありますから、そういう方がたとえば常勤でありまた非常勤であっても、経営、手腕、才能その他すぐれた方がおられてそういう意思決定をなさる、それを受けて総裁が執行する、そこに非常な進歩改善された制度があると私は思うのでありまして、今中居先生の最後に仰せられました今の経営委員会は、即今回の理事会であると考えておるのであります。
  42. 中居英太郎

    ○中居委員 そうすると部外から選任せられる理事でも常勤ということが原則ですね。
  43. 權田良彦

    ○權田政府委員 理事会理事の常勤であることと、それから常務理事になるということとは別の問題でございます。従って理論的、観念的には理事会の常勤理事が常務理事になる場合もあれば、ならぬ場合もあります。
  44. 中居英太郎

    ○中居委員 本名の理事の配分内容はどう考えておりますか。
  45. 權田良彦

    ○權田政府委員 部内外の比率でございますが、理事の部内外の比率がどうなるかは、具体的にそれに当っていただく方によっておのずから結果的にきまってくると思いますが、その割合については適切な割合による、かように考えております。
  46. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 だから私はさっきからこれははっきりしておかなければいけないと思ったのですが、局長は適切なという言葉でうまく逃げましたけれども、そこが私の言う十二条の関係において非常に重要だと考えたから、それで質問をしていたわけなんですよ。これは非常にむずかしいでしょう。しかしいやしくも法律を作る限りにおきましては、若干——若干どころじゃない。その内容というものをきちっと考慮して、そうして適切なる措置をこの中に入れるということでないと、法律を今度は施行、運営するに当って、たちまち行き詰まりを生ずることがある。だから私はそれを防ぐためには、ここでやはりこの点を明確にしておいていただかないといかぬ、こういうふうに考え質問をしていたわけなんです。これは総裁どうですか。今の局長の御答弁からいたしますと、私ども一そう疑念を深めるわけですけれども、実際その衝に当る総裁としてどうお考えになりますか。
  47. 十河信二

    十河説明員 皆さんの御意見はよくわかりますから、皆さんの御意見を参照いたしまして、皆さんの御趣旨をでき得る限り通すように努めたいと思います。
  48. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私ども意見を参照というよりも、私ら法律を作る役なので、総裁はその法律によって規制せられていく上は、私らの方は法律を供給する方ですし、あなたの方は需要家なんです。需要供給の関係といって差しつかえないと思うのですよ。ですからそうすると、その法律によって規制され、その法律によって運営の衝に当る人が、それについてはこういうことでやりますから差しつかえないのだ、これならばよろしいけれども、私どもの意思を参酌してという今の御答弁なんですけれども、それでは一向に私どもはこの法律審議する資料にはならないと思うのです。逆に言えば、当事者の意見というものが明確に示されて、そうしてそれが私ども法律審議する上に当って適切であるとするならば、それは皆さん方の御意見に従ってこの法律案を修正して適切なものにしなければならぬのです。その任務があると思うのです。そこでその矛盾がありはしないかと尋ねているのに、今の局長や総裁答弁では審議できませんよ。
  49. 權田良彦

    ○權田政府委員 御質問趣旨は、理事会を構成する理事、これが五人以上十人以内となっておりますが、このうち部内だけでなく、部外をもこれに充てるか、こういう御質問だと思いますが、これは先ほど申し上げました通り、部内だけでなく、部外の方をもこれに充てたい、かように考えております。しからば何名充てるかというお尋ねのように考えまするが、何名という確定数ではございませんが、私どもは大体おおむね半数程度はこれに充てる必要があるのではないかと、ただいま考えておる次第でございます。しかしこれは具体的な人事でございますので、それによって適切を期したい、こういうことを先ほど来お答えしておるわけであります。
  50. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 今の答弁で満足はしませんが、大体輪郭だけはつかめたように思う。  そこで今度はこの改正法によると、第二十条によって、役員の欠格条項をきわめて厳格に規定せられておると思うのです。これだけ思い切って厳格に規定されたことは、私は歓迎いたします。しかしこういうふうに厳格に規定しなければならないが、この理事などの職というものは、今申されたように、若干非常勤の者もある。非常勤の理事も入れてその意思を反映させるように努めるのだ、こういう御答弁でありましたが、この厳格な三号、四号、五号、「いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。」同じように各号がきわめて具体的に規定せられておりますが、もちろんその直接のこういう関係にある者を排除することは、これはもう他の疑惑を除くという点においては非常にいいわけです。ところが直接的ではなく、間接的には若干の関係がある、しかしどうしても衆知を集めるために、その人を迎え入れる必要がある、こういうような事態が起らないとも限らないわけですが、そういう場合にはこれはどういうことになりますか。機械的に解釈すれば、人は得られないというようなことになりはしないか、そういう点について……。
  51. 權田良彦

    ○權田政府委員 第二十条の役員の欠格条項につきましては、第三号は、これはむしろ在来よりも緩和しております。というのは、密接な取引関係、利害関係を有するものというのでございまして、この密接でない場合がどうか、これは個々の場合具体的に判断をいたすのでありますが、その取引が量的または質的に事業者の事業の大きな部分を占めるような場合、またはその可能性がある場合には、取引上密接な関係、こう解釈できると思いますが、この点は現在の法律の十二条の五号よりは緩和されております。四号はこれは新たにつけ加えられたのでありまして、この点は、こういうような競争事業にあるようなものは、これは適当でない。しかしこれは同時にこの資格を持ち合せなければいいのでありまして、片方をやめれば、その瞬間に片方は資格ができる、こういうことでございます。
  52. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 これは特に公社という性格で、国鉄運営するのですから、従っておのずから営利会社のような性格とはその性格を異にするということも当然でありますし、私はむしろ今度は運輸大臣お尋ねしますが、この経営委員会理事会に変えて大改正を試みられて、今までよりもいわゆる責任度というものを明確にせられたことは、趣旨は歓迎していいと思います。しかし一方考えますと、西ドイツその他先進諸外国には、民間会社におきましても、労使関係においても、日本のように厳密に区分をして、労働者の集団である労働組合とか従業員組合とか、実際の現場の経験に基いて識見を持っている者の経営内容意見をよく認めてやっている。あるいはその他の協議に参画し得る道を開いて、少くとも西ドイツで今行われているようなものを一つのモデルケースとしてでも、御英断をふるって、もう少し経営についての協議に参画できる機会を与えてみてはどうか。特に赤字経営に苦しんでいる国鉄のような業体においては、特にそういう意見を強く持つのですが、この改正案によるとそういうものもございませんから、意思決定機関にいきなり持ち込むのでは難色があるとお考えになるとすれば、せめて適切な諮問機関など設けて、広く現場の従業員の意見も参考としてしんしゃくできるようなところを設けて、一応その成果をためされることも必要ではないか。労働組合もそれを望んでいるのであります。これがうまくいけば、日本の労使関係が大きく改善される結果になりはしなしかと考えるわけですが、どうでしょうか。この改正案においてはそういうものは出ていないようでありますが、そういうものを認めるような、修正に応ぜられる用意はないでしょうか。
  53. 吉野信次

    吉野国務大臣 経営自体に従業員の代表者が加わるがいいかどうかということは一つの議論でもあり、理論でもあり、また実際の立法例もあります。今例をお引きになりました西ドイツの例はよく存じませんが、一番いい例としてフランスの例だけはもっと古くから聞いております。このことにつきましては、私も考えましたが、理論的にいろいろ込み入った問題がありまして、イギリスは労働党のときに国営にしたのですが、そのときにも労働者の何を経営に入れるか入れないかというときに、この間おいでになりましたモリソン氏が、これは違う、公社としてとにかく一つの商業的企業としてやるから、その利益代表は入れるものではないという意味で入れなかったというようないきさつもございまして、私はその方が理論的には正しいと思いまして、今度の意思決定機関理事会ではそれをとらないが、しかしながらこの企業につきましては、何といっても従業員の協力が必要でありますから、経営の全般にわたって労組の代表の方も参加していただいて、その諮問に応ずることは望ましいことだと思います。ただそれが立法事項かどうかという主として法律技術上の問題だけでそれを書かなかったということであって、実質はそうなることが望ましいし、また国鉄総裁もぜひそうしたいと思っておりますから、そういうように運用させたいと思います。
  54. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 大臣の今の答弁を聞きまして、私も一応非常にいい考えをお持ちになっていると思って傾聴いたしました。今申したように、いきなり経営労働者の代表を参加させることについていろいろ問題点もあろうと思いますけれども経営の一部に労働者の意思をよく反映させる機会を与えてやることは、経営全体から見まして決してマイナスになるものではないと考えますから、ぜひともその機会を与えられるように運営せられたいということを要望して、私の質問を終ります。
  55. 山本友一

    山本(友)委員長代理 通告された質疑は終りましたが、ほかに質疑はありませんか。——大体ありませんようですから、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。  本日はこれにて散会をいたします。次会は公報をもってお知らせいたします。    午後一時六分散会