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青野委員 抽象的に
お答えをいただいたのでありますが、たとえば
青函連絡船と申しましても、
青森と
函館の間は
相当スピードを出して、
大型の
船舶を
航行させておっても、
相当長時間かかり、どこでどういう問題が起るかわからない。たとえば
青森を出て半マイルか一マイル
付近で問題が起ったならば急場に間に合います。
紫雲丸の
遭難事件は御
承知の
通り目と鼻との先で
高松港外で起りましたから、やはり
相当助かった。それと
胴腹に突っ込んだために、幅が大体一メートル、高さが七メートル、深さが一メートルほど
胴腹に突っ込んでおる間にスローのエンジンをかけておいて、それが流れないように丁字型にしておいて、そうして
片一方の
貨物船の、屋根が一尺ほど高かったのですが、それに向けてとにかく
紫雲丸の
乗客をどんどん移動させた。特に小学校の
生徒とか中学校の
生徒には、やかましく言ってしりをたたくようにして、船が沈みかけておる間に
片一方の
宇高丸の方に乗り移らせたので、あの
程度の
被害であった。それでも
相当の
犠牲者が出たが、そういうような臨機応変の
処置を一部の船員の
諸君にとっていただいたので、まだまだ五十人や百人の
遭難者が出ておるはずなのが、助かった。そこでこの
青森—函館間の
連絡船ですが、かなりの
距離のあるところで、どこでどうやられるかわからない。
青森県のちょうどのど首のところを出て
相当波の高い
函館に向っていくところが、
浮流機雷の流れてくるところでありますから、これはどっちに向いて流れ込んでくるかわからないけれ
ども、しかし大体常識的に判断すれば、ちょうど
青森と
函館との中間くらいにいつもそういう
遭難事件があるということを想定して、どこに待機しておるのか。これはほかのことと違いまして、私はサンフランシスコでしたかロスアンゼルスでしたか記憶いたしませんが、どちらかで、とにかく
飛行機に乗って
乗客が着くと、その
付近でもし
飛行機が
墜落でもしたらというただそれだけで、
大型の
海上飛行機が夜と夜明けに一ぺんずつ猛烈な
スピードで、とにかく
遭難現場と想定しておるところに行って毎日朝晩
海上で訓練しておる。財政的にも
日本ではそういうまねはできますまいが、もし万一あの優秀なアメリカの旅客機が
乗客を乗せて海中に
墜落をしたときにはどの
程度の時間に
現場に急行してその
人命を
救済し得るかということを毎日向うではやっておるのです。私はその練習を目撃したのでありますが、そのように
日本も今すぐせよということは無理でしょうが、それでもやはり
人命救助の
準備だけはしておく必要があるのではないか。いわんや
国鉄総裁として、
洞爺丸事件あるいは
紫雲丸事件が起りました
関係上、
——それは
前任者の時代でありましたけれ
ども、とにかく
国鉄で
国民の耳目を聳動ずるような大きな
遭難事件が起ったことは事実です。そういうことが起ったときにはどうするかということではなく、起らないように常に万全の策を立てていく。もし万一何十年間に一ぺんでも起ったときはどうするか。三年に一ぺんしか五十メートルの
台風は吹かない。普通はめったに風が吹かないから、この
程度の
鉄道の踏切りぐらいのバラックを建てたらよかろうなんという
考えで家を建てると、五年か十年に一ぺん吹いてくる猛烈な
台風によって、家も何も飛んでしまう。そういう風でも大丈夫、雨が降っても漏らない、こういう
考えのもとに
自分たちの一身を託する
住宅を建てることが、
住宅を建てる場合の常識なんです。それと同じようにたくさんの
人間を積んで、重要な物資を積んで、
函館及び
青森間を行ったり来たりしておる場合には、どういう問題が起らぬとも限らない。そういうときにどこに
フリゲート艦が何隻置いてある、あるいは
函館港外には常に
警戒に当るものとして
海上自衛隊の船が何等ある、こういうように
配置を大体ふだんからしておかなければ、その場合になって間に合わないのじゃないかと思いますが、その点はどうなんですか。たとえば
八戸に
フリゲート艦が二隻おるとか、あるいは
青森とか
函館には二隻おるとかその他に二、三隻
海上自衛隊関係の船がおるとかいうことで、まあまあ安心だ、何か事があっても大丈夫だというような抽象的なことでは、船に乗っておる
責任者、
船長はもとより
国鉄の
船舶関係の
職員も安心して
——洞爺丸関係では約四百名死んだのです。その当時は御
承知の
通り一般乗客は五十万円の
弔慰金を一時仮払いをする。しかし
国鉄職員は
法律によって保障せられておるから、
補償金は十万円でいいというので、私は
長崎総裁と
相当青筋を立てて渡り合うた。
人命というものは
一般乗客であろうと
大臣であろうと
職員であろうと、
人間の命のとにかく貴重さという点については、子供も年寄りも男も女も同じだ。
国鉄職員は
職務に殉じて海底のもくずとなっておる。そうして
遭難をされた。それが
弔慰金は十万円、
一般の
乗客は相済まないといって五十万、人の命にどうして四十万の開きをつけるのか、こういうので私は、大体
長崎さん、あなたは
日本人の血が流れておるか、顔を見ても
日本人らしい顔をしておらぬがと言って私は
委員会で実はやったのですが、そういうような
調子で、とにかく黙って見ておると実に不公平な点も出てくる。その点を、私は
青函連絡船は必ず
遭難事件を起すという想定をして言っているのではない。そういうことは
万々一皆様の御
努力でないとは信じますけれ
ども、万一
浮流機雷、
浮流機雷は御
承知の
通り一尺から一尺五寸まで波が立ったら、今の
レーダーではよくわからない。
相当甲板で
レーダーにたよらずに見て
警戒しておっても、
相当荒天の場合にはわからない。鏡のように静かな津軽海峡をを渡る場合は別ですが、そういう日ばかりではございません。そこでやはり
警戒を厳重にしてもらわなければならない。しかもどのくらいあるやらわからない。この
浮流機雷は
朝鮮戦争のときに、
北鮮の
諸君が
国際連合軍の
敵前上陸その他をしないように、
ソ連製の
浮流機雷をずっと
北鮮側の
日本海に敷設したことは事実であります。私は
資料を持っておりますから、その点はある
程度確かなんです。それがどんどん腐食して、潮流の
関係であの津軽海峡目がけて
相当量流れてくる。また流れたはずです。今からでもある。そういう
一種の
連絡船にとっては
不可抗力みたいなものにぶつかったときには、それはおしまいなんです。だからそういう点を
考えて、たとえばどこの港は何ぼ、どこには
幾ら、常に
警戒をしてこれくらい出る、危険を前に控えておるときにはそれだけの
準備をしていただかなければ、船に乗っておる
国鉄の
職員も、それから
一般の
乗客も、安心して身を託するわけにはいかないのじゃないかと思うのです。だからもうちょっと具体的な点を御発表願いたいと思うのです。