運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-04-19 第24回国会 衆議院 運輸委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十九日(木曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 松山 義雄君    理事 今松 治郎君 理事 臼井 莊一君    理事 山本 友一君 理事 青野 武一君    理事 中居英太郎君       有田 喜一君    伊藤 郷一君       岡崎 英城君    佐伯 宗義君       關谷 勝利君    中嶋 太郎君       濱野 清吾君    堀内 一雄君       井岡 大治君    池田 禎治君       下平 正一君    楯 兼次郎君       松岡 駒吉君    山口丈太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 吉野 信次君  出席政府委員         運輸政務次官  伊能繁次郎君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      權田 良彦君  委員外出席者         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉蔵君         日本国有鉄道総         裁       十河 信二君         日本国有鉄道参         与         (管財部長)  今井 四郎君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一〇号)     —————————————
  2. 松山義雄

    松山委員長 ただいまより運輸委員会を開会いたします。  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題として質疑を行います。通告順に従い質疑を許します。青野武一君。
  3. 青野武一

    青野委員 私は本日は日本国有鉄道法の一部を改正する法律案について、主として条文中心にして御質問申し上げる予定でありましたが、十河国鉄総裁がまだ御出席になりませんので、まことに恐縮ですが運輸大臣にお尋ねいたします。  ずっと以前の運輸委員会で私は質問したのでありますが、佐世保港外約七マイルの付近で、日本漁船あけぼの丸乗組員二十五名、これは漁民であり、船員でありますが、これが韓国所有フリゲート艦に二回ばかりしりの方から追突されて、結局そのうち二十一名が船と運命をともにした。これは午後十時ごろのできごとですが、十分連絡がとれなかったために、翌日になって初めて関係海上保安庁諸君捜索に出たけれども、ついに二十一人の死体がいまだに一人も上らない。この点について閣議で御決定になっておりました関係上、遺族一人に当てて七万五千円程度を、弔慰金見舞金か知りませんが、当然韓国が支払うべき金の内金として、政府が七万五千円出した。しかしこれは相手韓国のことでありますから一筋なわではいかないと思いますが、運輸大臣も大体責任ある地位にある方ですから、外務大臣といろいろな御相談を願って外交上の問題に移して、一つ韓国政府に対して厳重な抗議を兼ねての御折衝を願いたい。それはやはり三段階くらいになっておりますが、船長、機関長事務長、そういったような人に対しては、日魯漁業の船ですが、大体五万円程度、それからその次の中級あたり船員が三万円、二万円、こういつたような程度に一時見舞金は来ましたが、実際問題といたしまして、この死亡した残された遺家族の諸君はほとんど生活が不能の状態になって、年寄り、子供をかかえて困っている。日魯漁業としても法律上やはりしなければならぬことはある程度しておりますけれども、問題は韓国李承晩政権の問題ですから、韓国側がどの程度補償金あるいは弔慰金を出すものか、一つ外交上の問題に移して運輸大臣から重光外務大臣お話し願って、そうして適当な機会中間報告をしてもらいたいということをお願いしておいたのですが、今日の状態ではどの程度までお話し合いが進んでおるか、一つそん点十河総裁がおいでになりましたから、その前にお聞きしておきたいと思います。
  4. 吉野信次

    吉野国務大臣 いっかお話がございまして、さっそく外務省の方には連絡しております。まだ詳しい何は得ておりませんが、何分にもお話通りめんどうな相手でございますから、いろいろそこに曲折があるだろうと思います。今度全般にわたって韓国側国交調整の話でいろいろやっておるようですから、もう一ぺん外務大臣の方に私からよく申しまして、そうしてその返事を中間的にお知らせいたしたいと思います。
  5. 青野武一

    青野委員 問題が問題ですからそう簡単に解決つくとは私も考えておりませんが、日本政府承認を得ないで——新聞の報ずるところによりますると、横須賀港に対して韓国所有フリゲート艦が、日本政府無断で、昨年一年だけでも大体七回か八回来ている。それから九州は近い関係でしょうが、佐世保あたりにはどういう用事があるのか、アメリカ海軍の軍港ですが、私も一ぺん時局批判演説会に行って佐世保港その他十分に視察したことがありますが、あの佐世保ごときはおそらく十回から二十回ではないかと思うのです。大体確実な情報というわけにはいきませんから私は回数を申し上げるわけではないが、大体二十回をおそらくこしておる。日本政府承認を得ずに、無断佐世保港に入ってくる。米軍が使っておってもおらなくても、これは日本政府承認なしに韓国の軍艦が勝手に日本の港にあるいは領土附近にやってくるということは、これは不穏当である。そういうことが重なって、海上衝突予防法によって、韓国フリゲート艦日本漁船をよけて航行しなければならないものを、日本漁船が悪いのだという理由にもならないことを理由にして、しかも船尾の方から二回も御丁寧に突っかけて、そうして二十一名が死んで、船も沈没した。いろいろ連絡の不備から、午後十時のできごとが、翌日の早朝になって死体捜索その他をやったために、かわいそうに遺族諸君自分子供なり、主人なりの死骸にもお目にかかれないという状態になっている。こういうことは全部韓国政府やり方が、まるで日本政府を無視しておるやり方から出発してきておる。こういう点も願わくは十分にお話し合いを願って、外務大臣から厳重な抗議をしてもらいたい。それは海上における不可抗力でもって衝突して犠牲者が出たという場合は、やむを得ず出たわけですから弔慰金金額で片づくでしょうけれども、大体韓国所有フリゲート艦日本佐世保の港に無断でやってくる、そういうことを平気でやることがこういう珍事を引き起した、海上遭難事件を起したということをよく念頭に置いていただいて、外務大臣にこういう点については厳重に先方と交渉してもらいたいと思う。私がこの前の運輸委員会でも申しましたように、大体一定の標準もきまっておりますけれども、埼玉県の金子村に雪の降ったときに、爆弾を相当積んでおったB29が十三人の乗組員とともに高圧線にひっかかって墜落した、そういうようなときにやはり日本人はどういうような待遇を受けたか、弔慰金金額はどうかというと、ほうっておくと一番最初は一度限り見舞金六万五千円くらいで片づける。それが漸次厚生省規程というものを準用されておったので、私どもが調べまして、三十万円、五十万円、とうとう最後には、日本人飛行機の墜落とか、軍用トラックにひかれて死んだというようなときには百万円という標準まで大体持っていったのです。それが標準になって、日本もく星号が伊豆の大島にひっかけてこっぱみじんになって、搭乗者も全部死んだというときの大体百万円の弔慰金というものは、そこから計算が出てきておって、葬式費用が十万円、香典が二十万円、合計百三十万円出した。久保山愛吉さんの場合はやはり相当金額になっている。私はこの際、二十一名の遭難者が出て、気の毒にも死亡したのですから、遺族のためには、少くとも原水爆実験によってとうとうなくなられたビキニ患者久保山さんに、アメリカから補償してくれた程度のところに目標を置いてもらいたい。遺族諸君自分子供主人死骸が上らぬために会うこともできずに、実際言うと、今路頭に迷うているのです。これは直接私の選挙区に関係したことじゃないけれども、黙認できませんから、運輸大臣から外務大臣に御交渉願いたい。そういう点に重点を置いて厳重に韓国政府に向って外交上の折衝をして、そうして遺族諸君が納得のできる程度弔慰金を取ってもらう。それと同時に、日本政府承認なしに日本の領海、特に港あたりには勝手に出入りすることをとにかく厳重に禁止してしまう、外交上の折衝を通じて、無断日本に来ることを許さないというような、もっと力強い外交上の方針を打ち立てて、韓国政府に反省を促してもらいたい。こういう点も十分お考えの上に、この次あたりには適当な機会に大体具体的な折衝の経過を御報告願いたい。そういうことは遺族諸君は首を長くして実は待っているので、この点も重ねてお願い申し上げておきます。  国鉄総裁がお見えになりましたので、逐次私は国鉄法改正案について御質問を申し上げたいと思います。というのは、この改正案内容を見ますと、十六条の「監査委員会は、委員長が招集する。」という十六条の次に十七条が削除されておりますが、この削除せられた十七条に諮問機関の条項を取り入れたらどうかと私は考えているのです。というのは、経営調査会答申の中には、たしか総裁諮問機関というものを設置すべきであるということがあったことを私は知っているのです。話に聞くところによりますと、国鉄公社内部規定として、経営合理化その他職員のいろいろな関係を促進するために諮問機関を設ける、しかしまたそれはあくまでも内部規定による、こういうようなお話があるということを聞いておるのですが、この点について総裁はどのようにお考えになっておりますか、お伺いしたい。
  6. 十河信二

    十河説明員 昨日も申し上げましたように、国鉄事業は非常に広範にわたっております。いろいろな専門家のお知恵を拝借する必要が随時起ってくる。そこで私はいろいろな委員会を作りまして、その委員会に各方面権威者をお願いして、いろいろと御意見を伺う機会を得ておるであります。そういうふうにやっていただく方が、法律であまりかたく規定せられるよりか非常に好都合じゃないか、私としてはかよう考えております。
  7. 青野武一

    青野委員 これは幸い十七条が削除せられて、前文と後文の各十六条、十九条というものを見ましても、ここらあたり一つ日本国有鉄道経営審議会といったような名称をつけたものを総裁諮問機関として設置して、これは当然法文化すべきものであるように、私は前後の条文を見てそう思うのです。というのは、やはりその委員には運輸業とか工業商業または金融業学識経験者、それから国有鉄道のはっきり言うと労働組合適任者を入れるのですが、国鉄職員のうちから適当な数だけの委員を選ぶ、こういう内容で十人ないし十五人くらいの数で諮問機関を設けることは有害ではないのですから、むしろ法文化しておく方がいいのじゃないか。しかも経営調査会あたり答申内容にそれをいっているから、内郭の規定よりもむしろこれの方をはっきりしておく方がいいのじゃないか、こういうとかうに私は考えて御質問申し上げたのです。というのは、たとえば三十七万の国鉄職員諸君の意向あるいは総裁に対する意見とかいったようなものが、はっきり法文化しておりまするとそういうことが言いやすい。なおその経営合理化とか、職員労働意欲の高揚とか、いろいろ改革せねばならない場合には、どうしてもやはりある程度協力を求めなければなりません。そういう点からいってみても、私はここに一つそういうような諮問機関をはっきり法文の上に設置することがいいのじゃないかと思うのですが、その点についてどうでしょうか。もちろん今申しましたように委員内容は、たとえば運輸業関係者工業商業金融業、それから学識経験者国有鉄道職員の一部、こういうような顔ぶれで、諮問機関を作っておく、内部規定じゃなくして、この改正案の中にはっきり十七条にそれを一つ設けていくということなんです。
  8. 十河信二

    十河説明員 もちろん今お話にありましたように、国鉄経営合理化する上において国鉄労働組合協力を得るということは、絶対に必要だと私は考えております。それゆえにそういう委員会に、たとえば電化の委員会国鉄労組の代表の方に二人入っていただいたのです。これも国鉄労組の方で、初めお願いしたけれどもちゅうちょしておったのでありますけれども、私はぜひ入っていただきたいということを懇請いたしまして、ようやく入ってもらったような次第であります。ただそういうことが必要に応じて随時起るものですから、これを固定することがいい場合もあるかもしれませんが、私は必要に応じていろいろな専門の方、権威者の方をお願いする方がいいのじゃないか、こういうふうに考えておるような次第でございます。
  9. 吉野信次

    吉野委員 それから御承知通り国鉄は非常に大きい組織仕事をするのですから、もちろんそういうことを考えておるから御質問を申し上げるのですが、それよりもう少し規模を小さくして、たとえば鉄道管理局あたり、四国だとか、門司だとか、仙台だとか、新潟だとかいう管理局単位で、——これは法文化せよという意味じゃないのです。やはり国鉄本社そのもの全般施設とか経営とか、合理化という点についてそういう機関を設けるように、鉄道管理局単位にして学識経験者地方本部労組職員、それから運輸事業関係諸君、このような大体経験者とか関係の深い人を委員に選んで、局長中心とする諮問機関というものがやはり必要ではないかと考えるのです。管理局単位でも地方としては仕事相当大きいのです。そういうものの一番上に国鉄総裁に対する諮問機関を設けるが、管理局にもそういう規模のちょっと小さいものを設ける必要があるのではないか、こういうように考えますが、その点はどうですか。
  10. 十河信二

    十河説明員 今お話のようなことも一つの御意見であるとは考えますが、私といたしましてはただいまのところ、管理局鉄道管理局管内施設あるいは人間とかいうものをしっかりつかんでもらいたい、そうしてどこにどういう施設がある、この施設は非常に老朽して危ない、従ってこれを急速に取りかえなければならぬのだが、金がなくて取りかえられないから、そこへは一つ注意深いこういう人物を配置しておきたい、あるいはこの人間は非常に仕事はよくできるが少しそそっかしいから、これには一つこういう慎重な人物を配置しておく必要があるというふうに、目をつぶればその管内施設人間もすっと目の中に浮んでくるように、管理局管内人間を握ることが第一だ。それをやるためには管理局局長というものは非常に忙しい。管内を一巡、回ることだけでも相当な努力を要するような次第でありますから、まずそういうことをやってもらいたい。それが国鉄全体の運営に非常に必要じゃないかというふうに、私は今のところ考えております。
  11. 青野武一

    青野委員 全国相当管理局がありますが、たとえば門司管理局の例をとりますると、それは相当広範囲にやはり局長が責任を持ってやっておられる。いつも私はいろいろな関係汽車に乗ることが多いのですが、北九州から福岡に向けて折尾の筑豊方面に行く十文字になっているところの駅、これは相当古い建物ですが、そこの次に遠賀川という駅がある。そこは御承知通りアメリカの空軍がおりまして、芦屋の飛行場をお百姓さんの反対を押し切って、とにかく神功皇后時代に植えた松というのが農作物に対して玄界の荒波を防いでおりますのを、飛行機が発着するのでじゃまになるということで無断で切り払ってしまった。それで三千万円程度補償金を私が中心になって米軍と交渉して取ったが、金はまだいただいておりません。そういう関係で、遠賀川の駅のところは今のところ非常に重要なところなんです。ところが三日、四日少し大きな雨が降りますと——実際言うとこの間の水害では遠賀川付近の家屋はほとんど屋根まで水浸しになった。それは土地が低い、それで水のはけ場がない。横を流れておる筑豊炭田の流れ、遠賀川というのは、落差は十里ぐらい奥に行ってわずかに一メートル半くらいの落差なんです。そういう関係から遠賀川堤防が切れているのです。私四十数年あの付近に住んでいるが、遠賀川堤防が切れたというのは初めてなんです。昭和二十八年六月のあの風水害のときです。そういう点もやはり管理局本社の方と別個にやはり一つ諮問機関を持って手を広げて、それぞれ担当して調べればこれは何とかやれる。雨の水がたまってはけないときには、遠賀川堤防を越して常時二百馬力か三百馬力くらいのポンプを据えつけておく。その経費はどれくらい要るか、農民も助かるし付近の住民も助かる、鉄道の損害も軽少で済むということも東京ではおわかりにならぬのです。実際そういう陳情があっても全国順序があって、なかなかおいそれと予算をもらうわけにいかない。たとえば失礼な話ですけれども関門トンネルができて、下関の方は多少雨が降ってもトンネルの中に水が入るような格好にはなっていないけれども門司の方は御承知通り地上これくらいの高さなんです。御承知通り雨が降ったために山のがけくずれがあって、門司全体が水につかった。そのときに関門トンネルに向って水が入ったことは御承知でしょう。これは将来どういうことになるか。とびら式にして少くともやはりトンネルの入口に五寸か六寸ぐらいの厚みの一つのへいのようなコンクリートで防水設備をしないか、そういうことが多分起ってくるのだと私は運輸委員会で申し上げたことがあるのです。ところが御承知通りトンネルの中はこういうような勾配になって、まん中が水浸しになって始末がつかない。ポンプも何もみな水浸しになってしまった。ところが御承知のようにおそまきながら松風せんべいみたいなへいを作って、大水が出て中へ入るときにはすぐせきとめられるようにすることはしました。そういう点でも私ども質問を通じてお願いしても鼻の先であしらわれておったが、実際に大水が出て関門トンネル水浸しになって汽車が通過できなくなると、とにかくそういうようなことをおやりになる。そういうようなことで地方では特殊な事情があるから、やはり労組幹部あたりも入れて、あるいは日通あるいは交通公社、それから運輸業関係の深い人、こういう学識経験者あたりを入れて、これは法文化するという意味で申し上げておるのではないが、やはり管理局単位にそういうようなものを作っておいて、そして改良をしなければならぬ点はすぐ改良する。新しい施設をしなければならぬ点は予算の必要から、ただ局長一人が忙しいからだをむち打ってあっちこっち走り回っておるということでなくて、もう少し組織立った一つ機関を設ければ、地方々々によってそういう問題が片づいていく。そしてやはり本社と十分な話し合いができるから、そういうものをお置きになったらどうかということを申し上げておるのです。一つもう一度伺いたい。
  12. 十河信二

    十河説明員 今お話のありましたような点は、なお十分注意いたします。ただいま地方組織機構について、委員会を設けて検討いたしております。今お話のように地方鉄道管理局長があまりに忙し過ぎる。そこでこの管理局長仕事の中で雑務を、何とかして総支配人のところかあるいは適当な中央に集めまして、鉄道管理局長雑務をできるだけなくして荷物を軽くして、今お話のようなことができますように、なお地方局組織機構の改革とともにあわせて検討いたしたいと存じます。
  13. 青野武一

    青野委員 これは運輸大臣国鉄総裁のお二人にお尋ね申し上げますが、私ども同僚議員柳田君が予算委員会吉野運輸大臣に御質問申し上げて、そして大体はっきりしたのですが、そのときの答弁内容は、三十一年度に関しては運賃値上げはいたしません。最後柳田君が、運賃値上げをしないということは、来年の三月三十一日までは値上げをしないのか、その通りでございますという私は予算委員会の記録を読ましてもらいましたが、その点については運輸大臣もやはりそのときの御答弁と同じようなお考えを持っておられますか。これを一つ先にお伺いいたしたい。
  14. 吉野信次

    吉野国務大臣 大体その通りでございます。
  15. 青野武一

    青野委員 国鉄総裁にお尋ねしますが、私は運輸委員会に席を置いて相当長くなりますが、大体専門は労働問題で、十六、七からそればかりかかってきたので、多少方角違いでとんちかんな御質問をする場合があるかもわかりませんが、運輸大臣が今もおっしゃいましたように、予算委員会柳田委員質問答弁なさいましたそのお言葉をもう一ぺん繰り返して御確認になりましたが、私の考えでは三十一年度の国鉄予算は、大体一割二、三分から一割五分くらいの運賃値上げ予算の中に織り込まれて、そうして三十一年度大体つじつまが合う、こういうような編成方針ではないかと思うのです。二万キロの路線、そのうち少くとも一割程度はまくら木と軌条を取りかえなければならぬ。そうするとそこにはやはり腐朽した鉄橋もありましょう。私聞くところによると富士川、大井川、天竜川等を含んで五つくらいの鉄橋は、五年以内にはとにかく取りかえなければならぬというような話も、運輸委員会で係の局長から御答弁をいただいたことも記憶しております。それから蒸気機関車が三千七百万円とか三千五百万円とかいっておりますが、これは私ども専門家として不当に高いと思うのです。どういうところに御注文になっておるか知りませんけれでも、とにかく今幾ら物価が高いから、鉄が値上りしておるからといったって、ボイラーを切り離して、エンジン、シリンダーを切り離して——ボイラーなどバルブ回り、車両等の見積りをしましても、三千何百万円なんという注文価格は少し多過ぎるじゃないか。そういう点はどういうところを標準にされるか知りませんが、そういう蒸気機関車も三十一年度は約二百台くらい新品の機関垣——耐用年数二十五年と称せられておるものが、事実上五十年くらい使っておる機関車がある。その五十年くらい使っておる機関車はとにかく非常に性能が落ちておるから、やはり国民の利益を守って運輸の完璧を期するためには、新しい蒸気機関車を三十一年度は二百台くらい取りかえなければならぬといったようなことを考え、それから隧道の修理費、新線、そういうものを考えると、今の予算自然増収相当組んでありますし、非常によくできておる予算であるが、全然来年の三月三十一日まで旅客運賃貨物運賃も一銭も上げないで、このままで予算が果して執行されるか。私はしろうとですが四百億から五百億くらいは赤字が出るのではないかと推定される。そのときに給与総額を決定されておっても、年末の賞与あるいは高級国鉄社員から下は列車ボーイに至るまで四十何万とおりますが、労組員も三十七万と聞いておりまするが、それらの諸君のベース・アップの問題、年末手当の問題そういったときにどうしても捻出してくる金がないはずなのです。何百億という赤字がこのままいけば出るということを予期して、それがしわ寄せは結局いろいろな形で国鉄職員諸君に影響が起ってくる。それをするとそのしわ寄せが、結局きのうも申し述べましたが給与総額などが中心になって無用の摩擦を起して、また職員の中から何人か何十人かの犠牲者が出ていくというようなことにならぬとも限らない。今運輸大臣が御答弁になりましたように、来年三月三十一日まで運賃値上げはいたしません、諸般の事情を考察して、とにかく無理は無理だけれどもやっていきたいというのを、直接の経営担当者である国鉄総裁は、果して三十一年度のこの予算運賃値上げ一つもぜず、政府からどういうような金融的な処置があるかそれは知りませんが、やっていける確信がおありになるかどうか、それが非常に大切な問題だ。必ず年末ごろになってくると、そういう問題が一つの形になって摩擦が起ってくるということを私は予期いたしますから、この機会にお承わりしておきたい。
  16. 十河信二

    十河説明員 今お話通り、三十一年度の予算は非常に窮屈な予算であるということは私も御同様にそう思います。しかしながら私は一つ責任を持って最善を尽してやっていきたいと考えております。経済界の変動はなかなか前途を予測することが困難でありまして、御承知通り貿易の状態ども三十五年度の予想にもう到達し、それを突破しようという勢いが現われてきておるというふうな状態であります。この経済界の状態がいつまでどういうふうに続いていくかということは、われわれ非常に予測いたしかねますけれども、ある程度順調に進んでいくのではないか。そうすればわれわれが最善を尽していけば、無理ではあるがどうにかやっていけるのではないか、こういうふうに考えております。  今お話のように老朽施設、取りかえなければならぬ施設がたくさんあることも事実であります。従って私といたしましては、どんなに合理化をしても、節約をしても、どうしても運賃値上げをしていただかないと、とうていやり切れないという感じは持っております。できるだけ早く運賃値上げをしていただきたいといつもお願いをいたしておるのであります。まあお前のなすべきことをもっとやれということを国会でも政府でも始終言われるので、今申し上げましたように最善を尽してやっていこうと覚悟いたしておる次第であります。  先刻お話蒸気機関車云々のことでありますが、蒸気機関車は数年来一台も買っておりません。だんだん電化、ディーゼル化していくつもりで、最近は蒸気機関車は購入契約をいたしておりません。
  17. 青野武一

    青野委員 国鉄総裁の御答弁はある程度はっきりしておりまするが、やはり運賃値上げは、国鉄予算を遂行する上に赤字のないようにやっていこうとすれば、ある程度してもらいたいという希望のある点はわかりました。  それでそれと並行してもう一つお尋ねしたいことは、きのうの下平君の質問に御答弁になりましたように、大体全国路線が二万キロある、そのうちの半分を電化設備をやりたい、あとの半分をディーゼル・カー使用でやっていきたい、こういった御答弁をきのう国鉄総裁はなさいましたが、問題の電化計画、新線計画の将来の構想とか、あるいは電化十カ年計画として五年計画で二期にわたってやるのですが、これは私も資料をいただいております。これについて運賃値上げをしなければ三十一年度の予算は非常に窮屈だ、やりにくいのだ——私はやりにくいのだということはやれないのだということを直観するのですが、そうしてみると、この電化計画を実施するにしても、新線計画の場合でも、御承知通り三木武夫氏が運輸大臣のときには六十五億を要求して二十五億しか予算がとれなかった。私は個人的にではありましたけれども、大きなことを言ったってつまらぬではないか、顔は熊坂長範のような顔をしているけれども人間はおよそ三毛ネコみたいにおとなしいではないか、そんなべらぼうな予算のとり方があるかと言った。そうして運輸委員会諸君協力して努力したので、結局二十五億の予算が三十億に政府が認めて五億円だけふやされた。こういうことで新線計画もある程度軌道に乗らなかったのです。実際六十五億が、結局三十億になったけれども、大体半分でしょう。それでまあ打ち切らぬ程度でお茶を濁して、工事を継続する程度であった。そういう点から考えると、新線計画の点についても大きな支障が将来に横たわっておる。ましていわんや、十カ年計画で一年に七十億くらいの金が別個に要るので、政府が十カ年計画で七百八十億円くらいの金を出してくれなければこれは実行できない。それを国鉄総裁は、昨日の御答弁の中では、二万キロの路線のうち半分はディーゼル化、半分は電化をやろう、そうすると先だつものは金なんです。そこでもうかなりの日にちがたっておりますので、私はこの機会にお尋ねしたいのですが、三十一年度の予算は非常に窮屈だ、かみしも着て六尺棒を飲んだように窮屈になってきているのです。そして電化計画、十カ年計画も前途があまり大きな期待が持てないとすると、資金の調達、なかんずく政府の融資について、どういう御交渉になっていてどういう見通しがおつきになっておるか。まあ三十一年度の予算はしょうがない、おそらくこれでもう決定するから窮屈でもやっていこう、新線計画も窮屈だが、予算が決定したら決定した通りくらいやっていこうというが、電化計画はそうはいかぬのです。五ヵ年計画を二期にまたがって微細に具体的な案を立てた以上は、やはりこれに対する資金はどうするかという点が大きな問題になります。これが解決をしないときには、電化計画は着手ができないのです。そういう点について吉野運愉大臣あるいは鳩山総理あたりとどの程度にお話し合いが進んでおるか、大蔵省の意向はどうなっておるのか。これは将来の新線計画からいきましても、電化計画、十カ年計画からいきましても、運輸委員会としては自民党にしても社会党にしても、党派を越えて、日本運輸事業の完璧を期するためにはどうすべきであるかという点について、ここに大きな疑問点が残されておるのですから、この運輸委員会を通じて、お話し合いがどの程度までお進みになっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  18. 十河信二

    十河説明員 二万キロのうち、一万キロを電化し一万キロをディーゼル化する、これは目標でありまして、今まだその点については数字上具体的の計画はできておりません。そのことはあらかじめ御承知置きを願いたいと思います。  三千三百キロの幹線電化につきましては、お手元に資料を差し上げてあります通り、ああいう計画で進めていくことを考えまして、政府にもお願いして、三十一年度は初めての年度でありますから、まことにわずかでありますが、たしか十億前後の予算が盛られておるかと思います。そういうことで、準備を進める程度しかできないかと思うのです。八十億の電化予算がありますが、その残りの分は以前から継続いたしております東海道、大阪までの電化計画に必要な資金で、新しい東北線であるとか北陸線であるとかいうところの電化は、まだほんの準備の程度であります。来年度幾ら金がいただけるか、金額までは具体的に話し合いはついておりませんが、大体五カ年でこの程度にやるということは、政府においても御了承下すっておられる程度であります。数字的にはちょっと先のことは申し上げかねます。
  19. 青野武一

    青野委員 もう一点重要な点がありますのでお聞きしておきたいと思います。この改正案の中の六十条ですが、「労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第三条第三項の規定の適用については、日本国有鉄道事業は、国の直営事業とみなす。」とあります。きのう下平君の質問に対して、吉野運輸大臣が御答弁になりました一節を、私はここに記録をとっておきましたが、これは国有国営である、こういう御質問が出て、私はそのときに関連質問を申し上げたいと思ったのですが、とにかく国家公務員に準ずるといったようなお話もございました。しかし国有で国営の場合は、新線計画などは、三十七万の国鉄職員が汗を流して働いて得た利益の中の金を予算に使うべきものではない。たとえば大きく例をとりますと、十年戦争、あの大東亜戦争で、日本国有鉄道相当大きな爆撃を全国的には食らっているのです。客車も焼かれるし、貨車も焼かれるし、鉄橋もぶちこわされるし、線路は爆弾でやられた。そういう点が、国有であり国の直営事業——ここの六十条の改正案には「国の直営事業とみなす。」と書いてあるから、直営に間違いない。しかし直接の経営をしてやっておるわけではないから、運輸大臣政府を代表してこれを監督している、そういう点は私でも十分理解しておりますが、問題は、昭和二十八年の六月に九州を中心にして襲うた大水害のときでありましたか、国鉄だけの損害が九十億あったのです。その九十億は、国鉄政府から三十億を融資してもらっておるものを償還するのを一年延期する程度であった。国有国営であれば、その九十億やられた被害は、当然政府が別途に支出して、復興のためにその金を出してやらなければうそだと私は思うのです。というのは、国の政治の一翼をになっておる全国四十六都道府県、市町村といったようなものは、多かれ少かれ水害にやられて、復興、再建をするために政府に補助金をもらいにきたときには、それは多少不服もあったでしょう。それで全部政府がそれに補助をしたのです。国鉄だけは補助を受けなかったのです。国有で国営である国鉄が九十億円も風水害にやられて、ここの鉄橋はこの金で修繕しろ、この鉄橋はまくら木も軌条も全部取りかえろ、あるいは駅がやられたから新しく建てろといったような金は、おそらくもらっていない。これは問題になったのです。だから戦争の場合、十年間爆撃を食らうて受けた被害というものは、相当大きな金額ではないだろうか。これも戦後国鉄が、とにかく高級幹部と下で働いておる職員諸君が、一生懸命に働いて今日のようになった。窓はぶち割れている。朝鮮人が旅行する場合には長くなってたなの上で寝ている。われわれが九州から東京へ来るのに、何十ぺん来たって、新聞を敷いてすわってこなければならない。そういうように、小便に行きたいとか、便所に行きたいとか思っても、まん中近辺に立っておったら、こういう格好で十何時間も立っていなければならない、混雑して便所にも行かれないという状態が今日のごとく改善されたのは、あなた方の努力も認めます。しかし国鉄で働いている三十数万、全部合せれば四十数万の諸君が、一生懸命に国鉄の改善をやり、そうして今日のごとく、時間の正確の点では世界一だといわれるように盛り返してきた。ところがそれだけやって、そうして上ってくるわずかな黒字を、風水害でやられた九十億円の穴埋めの復興、再建に使う。戦争を日本の軍閥あるいは財閥あたりが勝手にやっておいて、そうして国鉄が大きく被害を受けたものは、お前たちが働いてもうけた金の中からその設備をしろ、修繕をしろ、そんなばかな国有国営というものはありませんよ。第一何か問題が起って、ベース・アップの問題、あるいは賜暇戦術、順法闘争があったときに、一公安官に対してちょっと手を触れる。お前は列車からおりろ、よけいなことをするなといって、ちょっと手がさわったくらいで公務執行妨害が成立するなんていう、そんなばかなことはありませんよ。そういう点が幾つも全国的に各方面で裁判ざたになっている。検察庁に引っぱられて、そうして何とかかんとか罪をでっち上げられている。それがみな公務執行妨害です。そこまで行っておるのに、事実上公共企業体等労働関係法に縛られて争議もできない。自己の生活権を防衛するために、最低人間として生活のできる程度の給料を出してくれと言っても、なかなかおいそれと聞かない。仲裁裁定が出ても、それが予算上、資金上支出不可能だという一点と、給与総額に縛られて、これが関所になってなかなか思う通りにいかない。それが紛糾の種になっている。この国鉄が事実上国有で国営であるということなら、こういう戦争でやられた被害は全部国家が負担すべきである。風水害でやられた市町村、府県等へやっている金と同じように、国鉄の九十億円は、少くとも八十億か八十五億、あるいは全額出して、そうして急速に運輸事業の完璧を期して国民の利益を守らなければならぬ。それを今までやっておりません。ただ公務員に準じてみたり、あるいは公務執行妨害なんかいつも起しておる問題ですが、そういうような状態に置かれておる国鉄ですから、たとえば新しい路線を作るとか、あるいは大きな金が要る電化計画であるとかいったようなものは、国鉄諸君が働いて上げた利益の中から金をぶち込むといったやり方でなく、またそれを担保みたいなことにして金を借りてきてやるのでなく、そういう新しい路線を設定する、風水害でやられた、戦争でやられた、この鉄橋は直ちに取りかえなければならぬといったときには、思い切って国家が金を出さなければ、国有で国営とは言われないと思うのです。こういう点について私は幾つも具体的の事例を持っておりますけれども、これは総裁運輸大臣の御所見を承わっておきたい。
  20. 吉野信次

    吉野国務大臣 国有国営でも、公社の形態をとっているのですから、政府が直接官僚経営の形態をとっておらないのですから、国有国営であるということと、公社として自主独立の採算でやるということは、少しも矛盾しないのであります。今御指摘のように国有国営であっても、そこで従業員の方々に非常に御勉強願ってもうけたところの利益というものを、やはり国有鉄道施設の改善のために向けるということは少しも差しつかえない、こういう考えでおります。
  21. 十河信二

    十河説明員 お話の点、私たちもほんとうに共鳴するのでありますが、できることなら国家で十分の資金を出していただきたいと思うのです。何さま戦後の財政難の時代で、そういうことばかりも望むことができないものですから、われわれはわれわれにおいてできる限りの最善を尽して、国民の要望にこたえるべく努力する覚悟で従事員一同やっておる次第であります。
  22. 青野武一

    青野委員 これは吉野運輸大臣にまぜ返すために言うわけじゃないのですが、それは公社というものができておって、経営権はそっちにまかぜておるのだから、大体独立採算制でやっていかなければいけない、国有国営であってもそういう点までは予算措置は政府としてはできないということは、ある意味から理屈は成り立ちますけれども、それは公社なんというものは日本人考え出したのじゃないのです。これはやはりアメリカの御落胤、落し種なんです。それを運用するにしても何にしても、それはお堀ばたの総司令部から手も足も出ないようにされている。私どもが不当な予算だからと言って、たとえば百円か千円かを削除する、あるいは増額するといっても、総司令部がそれを承認しなければ、修正案も出せないというみじめな状態が、国会の状態であったのです。だから何をしても御無理ごもっとも、御無理ごもっともで聞かなければならないような時代に残された公共企業体労働関係法といったようなものは、きのうも申しましたが、こんなものはもう廃案にしてしまうのがほんとうなんです。しかし極端な話ですから、私どもはそうも言われもしませんし、そういうことはできませんでしょうが、今申しましたように、公社であるとかいろいろな理屈をつけられても、国有であり国営である以上は、これは利益本位でやっておるのじゃないのですから、日本国有鉄道公社というものは、国民の便宜をはかるのと、国内における輸送事業の完璧を期するために、ある程度の採算が合えば、従業員の給与、それから施設を増加していく、あるいは修繕をしていく、腐朽施設を取りかえる、その程度のものが出れば、それでいいはずなんです。新しい設備とか、新しいやり方をする場合には、これは当然国が出すべきことは当りまえである。毎月われわれの取る給料、つまり一カ月一万五千円でやっておるその中から、とにかく家の建て増しをやり、それから台所の改善をやり、電気洗たく機も買い、テレビも買うといっても、それは買えないですよ。一家の中心である主人公の収入の中から特別に出してやらなければ、電気洗たく機も、台所の改善費用も、屋根が漏るからかわらを取りかえるというようなことも、それは一カ月の生計費の中から、何ぼ倹約したって出てきはしない。それはやはり大きい新規事業であるとか、大きな被害を受けたというときには、当然国家が出すべきだと思う。あなたがほんとうに腰があって、弓削道鏡みたいな気持で突っかかっていったら、大体ぼんやりしている鳩山さんは言うことを聞きますよ。本気に交渉したら予算は幾らでも取れますよ。それをおとなしゅうしているから、吉野はおとなしいから、口だけは言うが、まあまあといえばそれで引っ込む男なんだ、こういうふうに思われるから、大体あなたの意思というものは通りません。それから国鉄総裁の腹の中も、いやごもっともです。あなたのおっしゃる通りですというように、顔に書いてあるのですよ。しかしあなたは政府運輸大臣でありますから、そうはっきり口では言われますまいが、こういう点についてもう一ぺん、運輸大臣のほんとうの腹蔵のないところを一つお聞かせ願いたい。
  23. 吉野信次

    吉野国務大臣 何べん言っても同じことですけれども、ただ何といいますか、あなたも極端なことをおっしゃるし、私も極端なことを言うたわけですが、しかし国有、国営で公社だからというて、今お話のように非常な事態があって金が要るというときに、そういうときでも、公社だから何でもかんでも公社が出さなければならぬということは考えてないわけです。それですから、この前でしたか、たとえば新線建設の問題でも、理論的には新線の建設というものは、常に国がやらなければならぬものだとは考えない。余裕があればやっていいのだ。ただ国有鉄道の現状から見て、これをやるのはどうかということについては、今の現状では少々無理じゃないかということを、この委員会でも私は申し上げたわけなんです。それだから、ただ公社だから何でもかんでも、いかなる場合でも、公社の経営からしぼり出した金でなければやっていかぬということは私は申さないのでありまして、お話のような非常な場合とかなんとかという特別な場合では、これはやはり国有、国営なんですから、その最後のしりぬぐいと申しますか、最後の持って行き場は、これは国の財政負担になるということはあり得ると思います。
  24. 中居英太郎

    ○中居委員 青野さんの質問と大臣の答弁に関連して簡単にお伺いします。青野さんの質問は、国鉄の現状について、政府のとっている態度についての質問だと私は思います。これに対して運輸大臣答弁は、公共企業体としての原則的なあり方と政府との関係、財政上の関係答弁しているわけであります。この原則的な公共企業体に対する政府の財政的な関係というものは、考えようによって二つあると思います。一つは、政府が責任を持って新しい施設等についても投資をするという考え方が一つでございます。それからもう一つは、企業の内部でそういう経常的な改善等に要する費用はまかなっていくべきだ、こういう考え方が一つだと思います。私は公共企業体である限り、後者の姿が正しいと思っております。少くとも二兆円の資産を持って、膨大な投資金を受けて経営している国有鉄道は、国有鉄道であっても企業体でございますから、企業の会計内部におきまして、そういう余分な利潤というものを生み出して、新しい線も建設する、あるいは電化の計画もする、あるいは旅客の改善のための資金もまかなう、それが私は健全な経理だと思っております。たとい公共企業体であろうとも、それが正しい姿である、そう思っております。しかし現在の国鉄の限られた一定のワク内における収入において、そのような理論は成り立つが実際上はできない、こういうところに私は青野氏の疑問があると思うわけです。それで大臣は、われわれがこういう質問をすると、いつでも原則論だけで快としておって、現実国鉄が当面している問題についての回答はしていない。現在の国鉄の収入で、果した原則の理論が実行できますか、私はできないと思うのです。ですから理論が実行可能になるような財政上の自主性を国鉄に与えなければ、後者の理論というものは絶対成り立たない。ここに大臣の答弁の矛盾があると私は思うのです。ですからこの辺はもう少しはっきりしてもらわないと、理論的にはどんなに正しくても、実際上は問題がいつまでも解決できない。従って私どもはこの日鉄法の改正を論議するに当りましても、機構の問題と一緒に、この問題をどうするかということを解決しなければ、国鉄の再建というものは絶対できない。それは後者をとろうが前者をとろうがどっでもいいですが、私は安易な考えですけれども、今日のわが国の経済を考え、国民の生活水準を考えて、前者をとるということも一つの方法である。すなわち一般会計から相当額の繰り入れをする、そして少くとも国策に沿うて行なっているところの新線の建設、あるいは電化等については国が投資する、こういうことが今日の段階においては、安易な考えであるが、最もやりやすい方法ではないか。こういうことも考えているわけですが、一体大臣はどういうことを考えているのですか、前者を考えているか、後者を考えているか、この点をはっきりしてもらいたいと思います。
  25. 吉野信次

    吉野国務大臣 お話の点は、私も全く中居さんと同じ考えで、理論的はにあなたのおっしやる後者の考えです。今一番痛いところをお話しになりましたが、それはそれとして、現状でこのままでいいかということは、それは私は現状では決してこのままではいけないと思うのです。それで実は運賃値上げを初め、あれやこれやといろいろなことを考えているのですけれでも、財政の現状もあり、いろいろな問題がございますから、もう少し時をおかし下さらぬと、一挙にこの法律の改正のときに、何もかもすっぱりというわけには、力が足らずして至りませんが、そのことに私は渾身の努力を払うということだけは、人後に落ちないつもりでございます。ですからこれだけでは満足ではございませんで、これから次の二段、三段のかまえを十分にいたしませんと、国鉄の再建というものはできないということは、お話通りに私も考えています。
  26. 青野武一

    青野委員 もう一点、重要な点と思うところを御質問いたしますが、それはこの改正案の中に貸付契約の解除というのがあります。四十条の日本国有鉄道は、その所有する不動産を他に貸し付けた場合において、貸付期間中にその事業の用に供するため必要を生じたときは、当該契約を解除することができる。」これは二項もありますが、大体こういう内容です。そこでこれに関連してお尋ねするのですが、日本国有鉄道の所有する不動産というものは、全国的に莫大なものですが、たとえば国鉄総裁十河さんが総裁に御就任になって、経営合理化、それから労働意欲の高揚、それから不当な点を非常に取り除いて、あまり国家の御厄介にならない程度経営をやっていこうという熱意のもとに、各局長とも御相談の上で、かなり改革に手をつけられた。不幸にして行政管理庁と多少対立はありましたが、私はそのときに御質問申し上げた内容に触れることになりますが、たとえば上野の方面からずっと神戸、三ノ宮の辺まで、国電の鉄道下の不動産を貸している。そこに家屋を建てている例を申上しげているのですが、新橋の駅の下に百貨店ができている。これは工事に着手するときの契約によりますると、相当混雑をするので、裏の方から表の方まで乗客あるいは通行人の便宜をはかろう、このために、かなり通路が狭いから広くして、その通り道に簡単な店を出させてくれないかというような話し合いですよ。それが午前九時まで勝手に門を締めて、あるいは晩の八時か九時ごろまでにはぴしゃりと締めて、交通どめをしている。中は百貨店になっている。そこは乗客が通行したり、あるいは東京都民が自由に行ったり来たりする目的のために広げているものを、事実上箱根の関所のようにぴしゃっと締めている。鉄友会とかいう団体ですが、一年間に八千万くらいの純利益を上げているという話である。こういうものはやりにくい、ボスが介在してピストルが飛んだり、あいくちが光ったりする場合もありましょうが、やはり十河さんが総裁になった以上は、手をつけなければならぬ問題だ。国電の下なんかでも、高級な局長級の国鉄に勤められた人がおやりになって、東京では二十何人かが権利を持たれている。そうして一年間に百二十万円の家賃を取っておいて、国鉄公社に入る金がわずかに十万円という例があるはずです。私はかなり詳細に調べている。数カ月この方、私は微力なんですが、社会党の中に国鉄経営調査特別委員会を作って、二十名の委員で構成している中の委員長を勤めさせてもらっている責任者ですから、当然危険な区域にも立ち入って調べるだけは調べてきている。相当具体的な問題を持っている。中間のボスが百二十万円の家賃を取るときに、公社が十万円しか家賃をもらわないというのは、その差額の百十万円というものは、一体どうなっておるか。これを大目に見ているのか。暴力がおそろしいのか。これが遠く三ノ宮の国電の下まで続いている。そういうような点はどのように整理をなさるのか。これは十河さんの御責任になってくるわけです。金額は三億か五億か知りませんけれども、とにかくせり出してくることはわかる。常時その人が商売をしている、店を出している。そうしてその名義人がそこに入っておればいいが、ほとんどそうではない、また貸しをしている。ここにも書いてありまするように、「不動産を他に貸し付けた場合において、貸付期間中にその事業の用に供するため必要を生じたときは、当該契約を解除することができる。」ただし「前項の規定により契約を解除した場合においては、借受人は、これによって生じた損失につき日本国有鉄道に対し、その補償を求めることができる。」これはこういう問題に当てはまらぬ別の問題でしょう。これは駅の公舎を拡張するとか、鉄道の単線を複線にするとかいったような場合に、土地を取り上げるとかいろいろ方法もあって、こういう条文ができたと思いますが、これは黙認することのできない大きな問題だと思うのです。これは私質問して中途半端になってしまいまして、その次の運輸委員会に御出席がなかったから、そのままにしておいたが、これはやはり一大勇断をふるって何らかの解決をしなければならぬ問題である。借受人の名義人その人自身が入って商売をしているならいいが、ほとんどそういう人はおらないのです。やるならやってみろと言うなら、何をやるか、やらしてみればいいじゃないか。ずっと国鉄沿線にそういう問題があるなら、特別な一つ委員会を設けて、それを整理する必要があるのじゃないか。警視総監というとちょっと大げさになりますけれども、その管轄の署長一人、弁護十一人、判事、検事も入れる、あるいは地方だったら県会議員も入れる、東京であったら、国会議員を各区から二、三入れる。それらの諸君委員会を作って、公平妥当な方法で切りかえていかなければならない。清水次郎長一家とか国定忠治のような、そういう団体におそれて、手のつけられないというようなことでは、あまりにも優柔不断ではないかと私は考える。私はどういう顔ぶれがどういう弾圧をしているか、相当知っているのです。暴力の前にはけがをする、あるいは不幸にして命を落す場合もあるかもしれませんが、やはりせなければならぬことはせなければならぬ。そういう問題についてどのような具体的な方針で御解決なさろうとしているか。そういうことをあなた方自身、国鉄公社の高級な、局長級の人たちで荷が重いなら、今私が言いましたように、国鉄の中だけでそういう問題を処理したり解決するために、所轄の警察署長であるとか弁護士であるとか、議員であるとか、あるいは学識経験者であるとか、関係の深い人、できれば小西寅松さんのような人に委員の中に入ってもらって、そうして私のおやじの松本治一郎も入れまして、そうして暴力で来るなら暴力で来い、国民の利益のために解決するのだから、何を言ってるのだ、こういうことで強引に正しいことを押し切ることができないはずはないと思う。こういう点についてそういうような適切な委員会をお作りになってでも、この問題の処理、解決のために御努力していただけるかどうか。この前の委員会において、御出席がそのときなかったので、その先の肝心なところの質問をしておりませんでしたから、この機会にお尋ね申し上げます。
  27. 十河信二

    十河説明員 今お話しになりました高架線のアーチ下の貸付につきましては、私もいろいろなうわさを耳にいたします。国鉄に私の就任前から国会等でもいろいろ問題が出ましたが、特別の委員会を設けまして、部外の方にも御参加願って、部内で調べた事実等を提出いたしまして、皆さんの御意見を伺って処理するように、ただいま進めております。御指摘になりました新橋付近のアーチ下の問題にきましても、私は最近それを耳にいたしまして、ただいま特別にそれを取り調べろということで、検討中であります。検討いたしました上で、また機会を改めてお答えすることにいたしたいと存じます。
  28. 吉野信次

    吉野国務大臣 これは国鉄の問題ですが、私もあなたが今お話しになったことは、当然のことじゃないかというふうに考てえおります。
  29. 青野武一

    青野委員 問題は複雑な関係がありまするから、具体的なことはこれ以上申し上げませんが、こういう点についてやはりこれは国鉄労組あたり協力も求め、今私が申し上げましたような委員会などがかりにできておりますれば、その委員会の中に、もう少しそういった広い意味関係者を包含して、適切な方法でこの問題解決のために私は御努力をしていただくことを特に希望しておく次第でありますが、中居さんから関連質問があるそうですから、私はその点については具体的な内容を持っておりまするけれども、善処していただけるものとして、一つ特段の御努力を願いたいということを希望して、その次の質問は関連質問のあとにいたします。
  30. 中居英太郎

    ○中居委員 実はきのうの私の質問の時間にこの問題を質問しようと思ったのですが、時間の関係で省略いたしたわけであります。青野さんの質問に関連をいたしましてお伺いしたいと思います。この財産管理に関する規定を明確化したというのは、昨年の国会におきまして鉄道会館の問題をめぐりまして、大きな論議がございました。その際国有鉄道の財産の管理権が非常に不明確であるということが指摘せられまして、それを是正するために今回こういう規定の明確化を行なったものだと私は思っております。ところが最近またまた新聞等の伝えるところによりますると、国鉄の駅の改築に関連いたしまして、民衆駅と申しますか、民間資本というものが非常に国鉄に働きかけまして、たとえば新宿におきましては、高島屋が駅舎の建築に大きな資本を投ずるといううわさ、あるいはまた有楽町の駅には十合デパートが進出するとか、あるいは池袋の駅の前には現に池袋ビルディングですか、こういうものが建設されておる。また高円寺の駅にもこういう計画があるというようなことが伝えられておるわけでございます。そのためにいろいろな中小企業等の問題が非常な論議を起しておるのでありまするが、それとは一応切り離しまして、国鉄がこの国有鉄道の財産の管理に当りまして、こういうような民間資本の進出ということに対しまして、伝えられるような態度を今後もおとりになるつもりですかどうかということを、十河総裁から承わりたいと思っております。
  31. 十河信二

    十河説明員 たびたびこの委員会でも御説のありましたように、国鉄には戦災にあった、また老朽した施設が非常に多いのであります。それらの施設のうちで、特に都会にある施設が、都市計画等で他の部分が改善せられたにかかわらず、都市の中心になっておる鉄道施設が改善せられないことははなはだ遺憾である、ぜひこれを至急に改善してほしいという御要望がきわめて熾烈なのであります。ところが御承知通り国鉄の財政は非常に窮迫いたしておりますので、まず安全度を確保する、輸送力を増強するという面に力を注がなければならぬという関係上、駅舎の施設にはどうも金が回りかねるので、そこでそういう駅舎には、そういう駅舎を建設するについて民間の資本を導入したらばよかろうじゃないかという意見が出ました。また近年都会の地価が非常に暴騰いたしました。戦後特に地価の暴騰が急激であります。昔は江戸は土一升に金一升といわれておったのでありますが、それが今金一石というような地価の高騰が起って参りました。この高い土地を国鉄が必要な一階あるいは二階だけで立体的に利用しないことは、国家経済上不利益ではないかというような意見も出ました。そこで鉄道会館のような計画が始まったのだと思いますが、これにつきましても、今ここでお話のありましたようないろいろな問題が起りました。それで部外の方にも御参加を願って委員会を設けて、ここで検討して、いわゆる民衆駅というものを進めることにいたしました。民衆駅を進めることは継続していたすことになっておりますが、その民衆駅を進めるにつきましては、この委員会できめられた方針によって、またその具体的決定についても、この委員会の御意見を伺ってやるということになっております。大体の方針といたしまして、旅客公衆の便益になるように、これを主にいたしまして、鉄道の業務を遂行するに支障を来たさないように、そういうものであればこれを立体的に利用して、なるべく少い土地を有効に利用するということがよいじゃないか。その場合に国鉄は金がない。金がない国鉄自分で使わないところを建てて、これを人に貸すことはよけいなことでありますから、そういう場合には民間の資本を利用した方がよくないかということで、民間資本でもって民衆駅を作るという方針は廃止しないで、そのまま継続いたしております。具体的に実行するに当っては、今申し上げましたような委員会の御決定された方針に従って、委員会の御意見を伺ってこれを尊重して、具体的の問題を決定することにいたしております。
  32. 中居英太郎

    ○中居委員 ただいまの総裁の話を聞きますと、国有財産を高度に利用することが国家経済の上から好ましい、これが第一の原因のようでございます。国有鉄道の所有しておる土地を立体的に使うことが国家経済の上から好ましい、こういうことが理由でございます。もう一つは、国鉄に金がないから、民間資本を利用することも考え得る、こういうことでございました。しかし私が考えますに、国鉄が民間資本を利用して駅舎の建設等を促進せしめたい、こういうことはいろいろ論議があるでしょうが、必ずしも否定できない理論であろうと思います。しかし在来まで行われて参りましたこのいわゆる民衆駅というものと国鉄施設と、それから民間資本の関係というものを考えてみますと、民間資本は決して国鉄施設には利用されてないのです。国鉄の所有する財産を民間資本が利用しておるという結果になっておるのでありまして、決して国鉄が民間資本を自己の施設のために利用しておるという例はありません。逆に民間資本に利用されておるという結果にだけ終っているわけであります。従いまして私は少くとも国有鉄道というものが、駅舎なら駅舎の建設というものを考える場合には、国有鉄道の営業の範囲内で考えるべきでありまして、それから進んで民間の企業がどうのこうのということは、おこがましい話であろうと私は思うのです。昨年ですか一昨年ですか、鉄道会館の問題が出ました場合にも、あの鉄道会館に貸与いたしました国有鉄道所有の在地の貸与基準というものが明確でなかった。従ってあれをもっと明確化しておいて、今後あのような紛糾というものを生じ起しめないようにしろというのが、国会の決議でありました。そうしてその線に沿って、今回この財産管理に対する規定の明確化ということが、改正法律案として出てきたと私は思っておるわけですが、今の総裁の話を聞いておりますと、せっかくこういう法律の改正を行いながらも、在来と同じような民間資本に国有鉄道の財産を利用させる、こういう方針を少しも変えていないようでございますが、これはいかがですか。  それからもう一つは、たとえば新宿なら新宿の駅舎を考える場合に、現在の常識をもって考えれば、地面から十メートルなら十メートルあれば、二階あれば国有鉄道の運行には支障がない、こういう結論が出るでありましょう。しかしながら交通交化というものは無限に発達すると思います。十年先、二十年先に三階以上の室間も国有鉄道が利用しなければならないという事態が必ず起ってくると思います。そういう場合に三階、四階、五階の民間資本に貸しておる空間というものを、一体どう処置するつもりですか。私はこの国有鉄道が駅舎なら駅舎の建設を考える場合には、そういう長い将来のことも考えて、少くとも民間資本云々ということは全然念頭に置かないで、この財産の管理なりあるいは駅舎の建設というものを考えていくことが、きわめて当然の結論ではないかと思うわすですが、いかがですか。
  33. 十河信二

    十河説明員 先刻も申し上げましたように、私どもの第一の方針は旅客公衆の便益、鉄道業務に役立つということが第一であります。都市計画等によって他の民間施設ができたにもかかわらず、一般市民の多数が利用する国有鉄道施設ができていないのでまことに困るから、そういうものを早くやってほしいということで、その際に先刻申し上げましたように、非常に高価な土地を、鉄道が使う表面だけを利用することは、これはもったいない話だと思うのであります。それでなるべくその上も立体的に有効に使うようにしたいということで、民衆駅というものが始まったのだと思うのです。委員会で決定した方針を見ましても、第一は災害をこうむった仮駅を建てかえる場合、これを本建築にする場合、第二は老朽で建てかえ工事をしなければならないような駅舎、それから第三は都市計画との関連上改築、移転を必要とする駅、第四は輸送需要の増加に伴い改築を必要とする駅、こういう駅に民衆駅の思想でもって建築をしよう、することがよかろうという大体の委員会の決定になっておるのであります。国鉄の資産は申すまでもなく国鉄の業務、旅客公衆の便益を第一として利用しなければならぬということはもちろんでございます。それは根本の方針として動かないところであります。その利用上、かえっていろいろなものができた方が便利だということで、民間でも御承知通りターミナルにはそれぞれいろいろな施設ができております。これはそうすることが旅客公衆の便益であるというために起ったことと私どもは了解いたしておるりでもります。国鉄におきましても旅客公衆の便益、鉄道業務の遂行上有利であるということを中心といたしまして、先刻申し上げましたような個所には、民間の資本も入れて土地を有効に利用したらよかろうということにいたしておる次第であります。
  34. 中居英太郎

    ○中居委員 そうするとあなたの御説明では、歳衆駅というものは民間資本を国鉄が利用するということではなくて、国鉄の財産を民間資本に利用させるということですね。
  35. 十河信二

    十河説明員 例を東京駅にとって申しますと、たとば鉄道会館のあの土地にしましても、下の国鉄の必要な部分は国鉄で使っております。その他のところを利用させたために、わずか六階でありますけれども、二十九年度はたしか四千五、六百万円の地代を収入しておるような次第であります。国鉄の財産を民間に利用させて、国鉄がそれだけ収益を上げておるのでりあますから、民間の資本を導入するために国鉄は損をしておるのではなく、もうかっておると私ども考えておるのであります。
  36. 中居英太郎

    ○中居委員 いかにも賃貸料を取って、国鉄は何千万かの収入はあるでしょうが、そのために一体民衆は利益をこうむっておると思いますか。東京駅の八重洲口をごらんなさい。北半分を大丸デパートに貸したために、民衆は交通上どれだけの利益を得ておりますか。新橋駅をごらんなさい。新橋駅の半分はいわゆる東京デパートというものが平面を占めております。これが果して民衆の交通のためにどれだけの利益を与えておるか。このことを私は総裁考えてもらいたいと思います。さらにまた現在はこれだけの土地があれば交通上よいのだ。従って余分の土地は民間資本に貸して利用させるという結論も出るでしょう。しかしながらさっき申し上げましたように十年先、二十年先はどうなります。もっともっと拡張に拡張を迫られる時代がくると私は思いますよ。たとえば二階以上は不要だから、これはデパートに貸してもよいのだ、こういう理論が今日は出るでしょう。しかしながら国有鉄道が二階、三階、四階を利用する時代がこないとは断言できないと私は思いますよ。少くとも国鉄を責任をもって経営しまして、そうして長い将来というものを考える場合には、そういうことに思いをいたして、そうして駅舎の建設ということ、財産の管理をやっていくということが、責任ある処置だと思うのです。そういう線に沿ってこの財産管理の規定というものは設けらるべきものだ。昨年の鉄道会館の失敗にこりて、そういうことを二度と繰り返さないように、国鉄の財産の貸与、あるいは売買ということを明確化するのだ。こういうことが今回の法律改正の趣旨の一つだと思っておりますが、一向に国鉄の態度は変っていない。そういうことでは私はいかぬと思います。池田さんの質問があるそうですから、私のこの問題についての質問は一応これでやめておきます。
  37. 十河信二

    十河説明員 国鉄は未来永劫この土地は使わないというふうな予想はいたしておりませんが、ある程度は将来のことも考えまして、ある年限はそういう必要はないというところだけをやっておるのでありまして、すぐたちまち困るようなところはやってないつもりであります。今の新橋の問題は、先刻も申し上げましたように、最近私も聞いたことで、今調べさせておりますので、いずれまたはっきりいたしましたらお答えいたします。
  38. 松山義雄

    松山委員長 池田君。
  39. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 ちょっと運輸当局にお尋ねしますが、昨年の行政管理庁の勧告、並びに本年国鉄経営調査会答申されましたいわゆる外郭団体の整理、本来の業務に専念すべしという、抽象的に申せばそういう勧告が行われておるわけですが、そういうものの大きな項目について取り上げられたものがどういうふうに改められつつあるか、あるいはまた手をつけようとしておるのか、そういう点についての御説明を願いたいと思います。
  40. 伊能繁次郎

    ○伊能政府委員 お尋ねの論点が二つあるように存じますので、前段の国鉄の外郭団体の処理につきましては、先般国鉄総裁から外郭団体処理に関する声明もなされ、またある程度の結末をつけたものもありますことは、すでに皆様御承知通りと存じます。さらに今後の問題といたしましては、国鉄部内において日本国有鉄道公正委員会というような、さいぜん青野先生のお尋ねにありましたような外部の意見を十分に徴した上で、外郭団体のとるべきものはとり、また整理すべきものは整理をして、これが運営を国鉄との関連においてはきれいに合理化をしていくという方針で、目下国鉄中心に進めておるわけでございまして、その内容についてはいずれ国鉄総裁、あるいは国鉄当局からさらに細目については御説明があろうかと存じますが、基本的な考え方としては以上申し上げたような状況でございます。  次に御指摘の国鉄経営調査会の外郭団体の整理、合理化に関連いたしまして、その次の項目になっております国鉄自体が従来業務上必要として経営いたしておりました志免炭鉱であるとか、被服工場、製材工場あるいはその他の付帯事業の整理の問題、この点につきましては、経営調査会答申内容としては、国有鉄道自体が経営するよりも、それぞれもちはもち屋と申しますか、専門的な角度においてこれを経営せしめて、国鉄はこれらの問題については切り離す、あるいは縮小の方針をとるべきであるという、かなり明確な答申がなされているわけでございます。この点については国鉄当局におきましても、内容が単にそれ自体の整理、外郭団体の整理というような問題とは若干趣きを異にいたしまして、それ自体の整理で直ちに人員の問題、労務関係の問題にも大きな影響を及ぼして参りますので、目下慎重に検討を遂げているわけでありまするが、運輸省といたしましてもこれらの問題は答申の方向にできるだけ早く整理縮小すべきものである、かように考えまして、目下国鉄当局がこれの調査の完了をできるだけ早い機会になされることを期待いたしているわけであります。ことにたまたま御指摘になりました志免炭鉱につきましては、私自身も十一年前に門司鉄道局長として終戦を迎えました当時、海軍の燃料廠長が見えまして、軍がなくなる状況にもあり、今後としてかようなものをこのままで放置することは、現在の軍の建前からすでにその必要が失われてしまったので、労務管理上あるいは失業救済の建前から、日本国有鉄道、当時の運輸省に引き継いでもらうことが一番適当ではないかという申し出がありまして、その後政府において、運輸省、通産省の関係両省並びに内閣等において、いずれにこの問題を帰属せしむべきかということでるる協議をいたしました結果、昭和二十二年と記憶いたしておりまするが、当時のアメリカ占領軍司令部の指示によりまして、日本国有鉄道がこれを引き継ぐということで参って、大体五十万トン、当時では日本国有鉄道の毎年度の使用石炭量の大体一〇%というものを目標に、自家炭鉱経営が必要であるということで今日に至ったのでありまするが、経営調査会その他の御調査並びに一般的な御批判の結果は、現在においてはああいうものを国有鉄道自体が持っておるということは、必要がないではないかというような御意見もだいぶありましたような関係で、御指摘のような整理、縮小という答申が出たことと存じまずので、おそらく国有鉄道当局におきましてもその方針で目下着々調査をし、研究をいたしておると存じます。詳細はさらに国鉄当局から御説明申し上げます。
  41. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 ただいま次官から話されました製材工場とか、あるいは被服工場とか、あるいは志免炭鉱というような問題は、実は関係者からはいわば一喜一憂といいますか、非常な連動も出ておりますし、また身分上に対する非常な不安の念も出ておる。現に被服工場も労働組合が説明に行ってもなかなか納得しないというような状態で、方針がぐらぐらしておるじゃないかということを言っておると聞いておる。たとえば志免炭鉱につきましても、すでに配置転換をやるとか、縮小するとか、あるいはこれの経営を切りかえるのだというような各種の憶測が行われまして、そこに働いている人々は非常に大きな不安と動揺にかられておる。これを国鉄経営から切り離すかどうかということについては、今日は答弁できるような段階でしょうか、それとも今まで通りやるというようなお考えでありましょう。その点はいかがでしょうか。
  42. 十河信二

    十河説明員 今御指摘の事業につきましては、私としては目下経営調査会答申に沿うべく検討いたしております。しかしながら今検討途中でありまして、今お話の中にもありましたように、われわれが未決定の意見を発表するということは、いろいろな不安、動揺を無用に起すことになりますから、しばらく御猶予願いたいと存じます。
  43. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 そういう御答弁に対して、これ以上申すことはどうかと思いますが、私がぜひ触れておきたいことは、たとえば民間に切りかえる、こういう点のことについて、御答弁はできる段階でありますか、ありませんか。
  44. 十河信二

    十河説明員 まだ民間に切りかえるとも何とも、そういう意見は決定いたしておりません。いずれ決定いたしましたならば、運輸省とも相談をいたしまして、適当な時期に発表をいたしたいと存じます。
  45. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 運輸次官は先ほど、終戦後米軍の慫慂によって、海軍省が持っていたものを、国鉄が用炭として必要なものだというところから、当時の運輸省が引き受けたということを申されましたけれども、その間の経緯について、もっと私は伺いたいと思っていますが、先ほど申されたのがすべてでしょうか。もっとほかに申し述べていただくことはございませんか。
  46. 伊能繁次郎

    ○伊能政府委員 概略さいぜん申し上げた通りでありまして、当時は通産省が石炭行政、燃料行政の管理運営上の試験炭鉱としてこれを持ちたいということでございましたし、運輸省の方は、当時運輸鉄道総局でありましたが、当時たまたま終戦直後で、非常に石炭の需給が窮迫いたしまして、御承知かと存じますが、旅客列車については半分以下に列車回数、運行キロを削減して、貨物列車は進駐軍を除いて約ど割程度しか運行できない。進駐軍列車については、優先的に石炭を割り当てなければならぬ。さような窮迫した状態にあったことが、進駐軍当局並びに当時の政府において、これは日本国有鉄道があれほど石炭に窮迫しておるから、五百万トンのうちの一割程度を自己炭鉱として採掘することが適当であるというような当時の事情も、かなり支配されたと存じますが、その後すでに十年近くたちまして、今日においては、一部石炭についてその生産の増減については高低があることは、御承知通りでありますが、大体最近においては、石炭が日本の国内生産としては安定の域に達しつつあるということから、おそらく経営調査会等としては、こういう際には国有鉄道自体の経営について、経営調査会答申は、必ずしも経済的ではない、その点は被服工場、製材工場等についても同様である、従って国有鉄道はこういうようなものについては、それぞれもちはもち屋にまかして、これを買う方が経済的ではないかというような観点もいろいろと論議せられた結果、本来の国有鉄道業務に専念すべきであるという考え方から、これらのものについては徹底的な合理化を行う必要がある、かような答申が出たものと存じまして、お尋ねのそれ以外に事情があるかという点につきましては、大体私が申し上げた程度ではなかろうか、かように存じております。
  47. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 私どもは九州ですが、九州の鉄道管理局で一番問題になっていることは、民間炭を国鉄が購入する基本的な炭価については、私の方も志免と同じにするようにと言っておる。これはどういうわけかというと、志免は一応コストは安くなっておる。しかしその中には本社費もとっていない。減価償却費もとっていない。金利もとっていない。炭価については、たしか昭和二十九年だったと思いますが、三千八百五十円、そういうようなことだけれども、実際そういう事業上におけるところの一切の附帯的なものは入っておらない。従ってそういうことになっておるので、実際そういう事業費を入れたならば、問題にならない。従ってわれわれも毎年々々石炭を国鉄と売買契約をする場合に、炭価の標準ということが論争になるけれども、志免と同一にくれたならばわれわれとしても議論がない、こういうことを言っておる。これを言われると一番困ると国鉄諸君が言われておるところです。今コストはどういう工合になっておるか、実際は高いのですか、安いのですか、その点は計算なさっておるものがありますか、それとも正確なもりを出すには日数がかかるというのですか、その点はいかがですか。
  48. 十河信二

    十河説明員 今大体お話しになった通りだと思います。いろいろなコスト、本社の経費とか、あるいは償却とか、あるいは厚生の施設とか、その他いろいろなものをどういうふうに原価に組み入れるかということによって、あるいは高くなり、あるいは低くなるのであります。これをどれだけ高いかということのお答えは、ちょっと今ここではいたしかねます。
  49. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 そうしますと、今国鉄用炭は年間四百数十万トン、そのうち志免炭鉱が国鉄に納めておるのは四十万トン、約一割弱です。しかもこれは先ほど次官も言われた通り、私もそう思う。終戦のときに、石炭が足らぬで動力が起らぬというので、用炭を確保するという目的の必要上、運輸省が経営することになったことは、私はその意味においてはよかろうと思う。今日一割弱の状態で、しかも一切の減価償却から、金利から、税金から、本社費、そういうものを入れたならば、コストとしては相当高いものになっている。こういう状態でおやりになることが国鉄経営上において妥当かどうかということは、非常に大きな問題だと思う。そこで今日の段階においてこれをどういうふうにするか、今のままでやるならばやる、他の方法でやるならばどうするか、この道を明らかにしなければならない。経営の改善を行なって赤字を解消する、能率を上げる、いろいろな方式がある。ことに炭鉱というものは、これは失礼でございますが、皆さんは御承知ない。石炭を掘る坑内作業というものは、これは独特なものであります。ただ単にお役人が命令を下して機械的、統制的にやっても、炭を掘ることはできない。そういうような経営上、採掘技術上あるいは運搬上、坑内作業上の特殊な技能というようなものを考慮に入れますならば、これは私は残念だけれども、著しく機能としては低いものだと思う。こういうときに当って、あなた方はそういう点も御考慮に入れて検討なさっておるか、ただ赤字だからいかぬとか、コストは調べてみなければわからぬというようなことでなく、特殊な炭鉱という経営方式上の点も掘り下げてお考えになっておるのでし、一うかどうか。
  50. 十河信二

    十河説明員 お話のような点も十分取り入れまして、いろいろ今検討いたしております。
  51. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 ところが経営というものは、常に悪くなると、従業員の数を減らすとか、賃金を減らすとか、長時間にしてその足らざる点を時間的にカバーする、いわゆる労働強化、こういうようなやり方にすぐ来る。今でも配置転換ということで、実は人員を減らしておる。私はその経営合理化なり刷新ということについて、もちちろん反対はいたしませんが、いつもそういう場合のしわ寄せというものは労働者の方にきて、そうして労働者のみが犠牲になって、その責任において行われる合理化であり、刷新であり、あるいは能率の向上ということは、ひいては労働の強制なんです。そういう点はぜひとも避けてもらいたい。今整理に対して労働者が大きな不安にかられておりますが、その点について、国鉄はもちろん、その調査会の答申なりに基く運輸省としては、十分これを責任を持ってやっていただきたいと思う。われわれ社会党は原則として重要産業の国有ということを主張しております。しかしそれは跛行的な形において達成し得るものではないと思う。何ことも国営をやればよろしいというのではない。すべてを平均化して推進して、その中に横断的な、企画的な、総合的な統一性あるところの運営を行うということでなければならぬ。一つだけを取り上げて主張しておるのではありません。従ってこういう問題は、正直に申しますと、戦後の最も石炭の足らないときにおける措置としては容認することができるとしても、今日の状態としては、これは国鉄経営上における最もずさんなる方式の一つの最も顕著なものである。こういう点は根本的に一つ頭の切りかえを行なって、そうして何年たったら処置を変えて坑内の役人がどうだ、そんなことで、半ドンになったら役所で引き上げてというようなことで、炭坑の炭は掘れません。ただ役人が階級で、職階制で、人を使って、そんなことで炭鉱の坑夫は働けません。ほんとうに一緒に寝て、一緒に掘って、一緒に紛炭をかぶってするということで、それが果していいか悪いかという問題よりも、実際の作業というものを知らなければできない。駅長さんが駅員を使う、車掌が笛を吹いたら汽車が走るというような問題ではないのです。こういう問題は本来ならばもっともっと早く検討されて、用意がされてしかるべきだ。しからざるところにこういう大きな欠陥が出てくる。こういうような原価計算から金利から税金から、そういう数字が出ておらないものをこれ以上え尋ねして重仕方かありませんが、炭鉱の労働者にしわ寄せをなさったり、あるいは単なる百姓やそこらの事業場の官庁的なやり方では、炭鉱の採掘はできない。どうかこういうことをあなた方は心にとどめて刷新をはかっていただきたい、こういうことをお願い申し上げます。
  52. 十河信二

    十河説明員 今いろいろ専門的の立場からお教えをいただきまして、まことにありがたく拝聴いたしました。お話の趣旨を十分取り入れまして、検討を進めていきたいと存じます。
  53. 青野武一

    青野委員 最後一つお尋ねいたします前に、大体大ざっぱでよろしいと思うのですが、たとえば国鉄公社が設備の改善とか、あるいは電気機関車、車両、あるいはボイラー、貨車、普通の蒸気機関車等を大体どういう外郭会社に頼んで、そして価格はどの程度か。この価格は、入札の関係等もありましょうから大さっぱでけっこうです。そういうものを運輸委員会に資料としてお出し願いたいということを希望しておきます。これは委員長から特に国鉄総裁並びに運輸大臣お話を願いたいと思います。運輸委員会としてはぜひ必要だと思いますから、機関車、貨車、車両、電気機関車、その他たとえばボイラーの取りかえであるとか、エンジン回りであるとか、車両の焼きばめであるとか、そういう国鉄単独でやらずに外郭会社に注文して、その注文しておるところには必ず国鉄公社におった高級職員がみな重役になっておるのです。大てい三人か四人おりますが、そういう点について価格に多少の不安を感じておりますので、大体大ざっぱでけっこうですから、それを資料として運輸委員の各位に御配付願いたい、これは希望しておきます。  それから最後にお尋ねしたいと思いますことが大体七点ありますが、適当な次の機会に一きょうは本会議もありますので別にお譲りいたしたいと思いますが、一つ聞いておきたいと思いますことは、交通公社が非常に多額な金を他に融資して焦げつきになって問題を起したことは、国鉄総裁運輸大臣もこのごろ御就任になったのですが、新聞等で御承知であったと思う。それが御承知通り交通公社は一カ月後払いというような状態で、私が国鉄公社の社長であれば、一年やれば一億円や二億円小づかい銭を浮かすぐらいは朝飯前なんです。できる限りその支払いの期限を短縮することと、公平に国鉄公社にその運賃の納入をやる。口銭は口銭、しかしそれを故意に引き延ばされると、御承知のように日本航空会社が十億円の政府出資を当てにして、市中銀行から一億円も金を借りた。衆議院も参議院も運輸委員会は遅遅としてこの日航法案が片づかない。そうすると一日三十六万円程度の銀行金利を払わなければなりませんが、何とかもう少し議事を進行させていただけませんかというようなことを私は聞いたことがあります。一億円という金を銀行から借り出せば、一日にそれだけの莫大な金利が要る。そのまとまった金を、そうして国鉄に納むべきものを、たとえば予定より十日でも延ばして適当な方法をやれば、それは交通公社の重役諸君のポケット・マネーというものは、代議士の給料どころではないと思うのです。そういう点で問題になったこともありますので、現在は収入支出の点でたとえば日本通運とか交通公社あたりとの関係は、それは十河総裁のことですから厳重な監督権を持っておられることは承知しておりますが、うまくいっておるかどうか。将来にいつも問題を起すのはこういうところなんです。それでやはりこういうところから参議院とか衆議院に出られると、どこからどういうふうに金があるのか、どうもそこいらがくさいと思いますが、何人立ててもその選挙費用くらいは平気で出す。こういう状態を私は側近者から、関係者から耳にするのですが、現在はどういう工合になっておるか。  それからせっかく観光部が観光局に昇格いたしました関係で、百十億円くらいの外貨獲得が、三十一年度は少くとも二百億近くになるのではないか。局長の私見でありますが、聞くところによりますれば二百四十億くらいは出てくる。そういう点について交通公社、あるいは運輸省の観光局、それと国鉄あるいは私鉄あたり連絡をとって、国内における観光客の吸収はもとより、特に重大なのは外貨獲得、そういう方針が立っておれば、具体的にこういう関係の深い団体が協力をしで、お互いに外貨獲得のねらいのもとに善処していただかなければならぬと思うが、国鉄総裁といたしましては、たとえばどのような具体案を持っておられるか。持っておられるだけではなくて、現在どういうような方法でこれらの諸団体と連繋をとって外貨獲得、観光客誘致、そういう点について御構想を持っておられるか、お聞きしたい。  その次にたとえば列車ボーイの問題は、きのうは少し中途半端に質問申し上げましたが、青函連絡船の航路安全確保のために、もし万一、洞爺丸事件のようなことが起ることを希望いたしませんが、青函連絡船の航路を通り抜けて東の方に浮流機雷が通り越したというので、かなりここで問題になりました。私はそういうことを希望するのではないが、かりにもし最悪の場合に不幸な珍事が起ったときに、直ちに八戸であるとかあるいは青森であるとかいうところに待機しておる救助船、あるいは日本政府の持っておる、自衛隊の持っておるフリゲート艦、   〔委員長退席、山本(友)委員長代理着席〕 そういうものが不幸なできごとが起った場合に、直ちに出動態勢を整えられるような方法がとられておるかどうか。ただ波が高いときにはレーダーは役に立ちません。一尺も二尺も波が立っておるときは、そのレーダーは、結局レーダーをたよっておってはまるきり期待通りにいきませんとか、あるいはフリゲート艦がちんばをひきひき、とにかく一昼夜もかかってのこのこ出てくるようなことでは、たとえば青函連絡船の不幸な珍事が起ったときには間にも合いません。私が先ほど御質問申し上げた佐世保方面海上保安隊のごとき、夜の十時のできごとを、翌朝の八時ごろに行ったって間に合いません。二十一人の死体がいまだに見つからぬという状態になる。そうすると、第二、第三の洞爺丸事件というものが起らなければいいがと思いまするが、もし不幸にしてそういう状態になったときに、直ちに人命救助の非常態勢が整えられるのかどうか、これが一番大切な問題として、この答弁を通じて残されておる問題ですから、これを承わりたいと思うのであります。  そのほか、洞爺丸の遺族諸君——これは運輸大臣にも、国鉄総裁にも、六カ月ほど前にお願いをした話です。党を代表して御交渉申し上げ、お願いもしたのでずが、洞爺丸の遺族諸君は、あの海難審判所の裁判の結着がつかないとどうにもならぬというので、首を長くして待っておるが、ことしの正月が越せないというような人——遭難者のほとんど大部分は、あるいは青森であるとか函館であるとかに住居をかまえておる。家族が非常に多くて、かつぎ屋の人、その日暮しの人が多いのが、せっぱ詰まってどろぼうをするか、一家心中をやるか、首をつるか、人のものをとるかというどたんばに、すでに昨年の暮れ追い込まれておる。弔慰金五十万円は、最後の判決が下ったときは別に考慮するから、一時渡しにしてやるというところに大きな期待を持っている。一時金として五十万円の弔慰金をやるのだ、そこでその次にもう五十万円か、あるいはよけいあればもう百万円もくれるのじゃないかという考え方を持っておる人もあるし、生活はますます苦しくなる。菊川忠雄君の奥さんが先頭に立って、責任者ですが、家庭のそれぞれの生活状態を精密に調査をして私どものところに持ってきておりますが、これは放任されないうです。でき得れば海難審判所の最後の判定が下る前に、あるいはそれを通じてでも、急速にそれが処理できるようにという希望を申し上げておりますが、ほかの貨物船と一緒に審理を進めるのを、実質は、洞爺丸事件は大体一般乗客の犠牲が多かったので、これを切り離して別に進行させるという、御親切な御回答も当時あったのですが、その後やはり遺族諸君の生活がますます窮迫して、もうどうにもこうにもならならない。ただ家に住んでおるというだけであって、実際の生活というものは、上野駅のあの土間の上にむしろを敷いて寝ておる浮浪者の諸君と同じような精神状態に陥っておるということを私どもは聞いて、非常にお気の毒に考えるのです。これらの点について、洞爺丸遺族の保護救済の特別処置について何かお考えがあるかどうか。このまま放任しておいて、——それはなくなった船長を悪く言うのじゃないが、どうも判定の模様を見ますると近藤船長の責任である。近藤船長の責任は国鉄の責任である。そうなって参りますると、勢いやはりある程度の補償、保護をしてやらないと、船長が判断を誤まって沈没するような結果になったのは、そこへ乗っておる人の関係じゃない。それがために一人むすこを死なせ、子供は五人もおって、かつぎ屋をして一家の生計を立てておる諸君が、とにかくむなしく海底のもくずになったのですから、どこか大きいところからあたたかい救済の手を差し伸べてやらなければ、これらの諸君は、自分の一人むすこを、あるいは主人を失い、あるいは兄や弟を失って、一家の生計のつえと柱を失ったのだから、かた苦しく、しゃくし定木でおっしゃらずに、何かの方法を立ててやらなければ食っていけない状態になっておるのです。こういう点についてはしばしば運輸大臣にも十河総裁にも、私は社会党を代表して同志の諸君とお願いに参っておるのですが、そのままになっておりますので、こういう点について、どのように海難審判所の審理伏態が進んでおるのか、見込みはいつごろ最終判定が下るのか、もし国鉄に責任のあった場合にはどのような具体的な救済の方法を講ずろかという点を、あわせて御質問申し上げます。  その他まだ質問したいことは幾らもありますが、本日は本会議の関係もあり、理事会で話し合った方針では、午前中に切り上げようという予定でありまして、多少長くなってお気の毒だと思いますが、今申し上げました程度のことを御答弁願えれば幸いだと存じます。
  54. 吉野信次

    吉野国務大臣 私に関する分だけ申し上げます。この間から問題になりました青函連絡船の浮流機雷に関する万一の場合の措置につきましては、この間申し上げました通り関係方面と密接な連絡をとりまして、その対策をちゃんと立ててありまして、必要があればフリゲートでも何でも出てもらうように、即時即応の態勢を整えております。  洞爺丸の関係につきましては、私も大へんお気の毒と存じまして、なるべく早く審決が下ることを期待しておるわけです。これは言いのがれでも何でもございませんが、事実上裁判手続なものですから、私としてこれに対して指図をすることがちょっとできにくいわけでございます。これもそういう方面に差しつかえない程度におきまして、なるべく早くやるように努力しております。もうこの間も第二審をやったわけですから、そう長くない機会に何分の審決が下るものと期待しております。   〔山本(友)委員長代理退席、委員長着席〕
  55. 十河信二

    十河説明員 お答えいたします。第一の交通公社の問題は、先年当委員会等におきましても問題になりまして、交通公社の整理案というものを決定いたしまして、皆さんのところへも御了承を得るように資料を差し上げてあると思います。その資料を差し上げた計画の通りに今実行しつつあります。それ以上にもう少し促進いたしたいというので、ただいま交通公社と一、二の点について話し合いをいたしております。支払い等も一ヵ月まとめないで、二度とか三度とかに切って支払いをするようにということにいたしております。  第二の外国観光客の誘致につきましてはお話通りでありまして、われわれといたしましても十分力を尽して参りたいと存じまして、各方面関係の向きと協力いたしまして、盛んに誘致策を実行しております。  その他海難の問題、洞爺丸の問題につきましては、ただいま運輸大臣からお答えした通りでございます。
  56. 松山義雄

    松山委員長 本日はこれをもって散会いたします。    午後零時五十八分散会