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1956-04-18 第24回国会 衆議院 運輸委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十八日(水曜日)     午後一時四十三分開議  出席委員    委員長 松山 義雄君    理事 今松 治郎君 理事 臼井 莊一君    理事 畠山 鶴吉君 理事 山本 友一君    理事 青野 武一君 理事 中居英太郎君       生田 宏一君    佐伯 宗義君       關谷 勝利君    中嶋 太郎君       濱野 清吾君    原 健三郎君       堀内 一雄君    池田 禎治君       下平 正一君    楯 兼次郎君       正木  清君    山口丈太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 吉野 信次君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      權田 良彦君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       十河 信二君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 四月十七日  戦時中の強制買収による土地家屋払下げに関す  る請願田原春次君外一名紹介)(第一九三二  号)  道路運送法の一部改正に関する請願平野三郎  君紹介)(第一九五〇号)  交通事故防止のための信号機設置請願(平塚  常次郎君紹介)(第一九五一号)  道路運送法の一部改正反対に関する請願(神田  博君紹介)(第一九七六号)  飯山、新井間の鉄道敷設に関する請願松平忠  久君紹介)(第一九七七号)  同(下平正一紹介)(第一九九三号)  同(原茂紹介)(第二〇二六号)  自動車の泥除備付けに関する請願松平忠久君  紹介)(第一九七八号)  同(下平正一紹介)(第一九九二号)  同(原茂紹介)(第二〇二五号)  家島港を避難港に指定の請願堀川恭平君紹  介)(第一九七九号)  亀岡、池田間に乗合自動車運転許可に関する請  願(柳田秀一紹介)(第一九九四号)  神崎停車場設置請願柳田秀一紹介)(第  一九九五号)  通運事業法の一部改正に関する請願濱野清吾  君紹介)(第二〇一二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一〇号)     —————————————
  2. 松山義雄

    松山委員長 ただいまより運輸委員会を開会いたします。  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題として質疑を行います。通告がありますので、順次これを許します。中居英太郎君。
  3. 中居英太郎

    中居委員 私は国有鉄道法の一部を改正する法律案につきまして、運輸大臣に簡単に二、三の点をお伺いしたいと思います。  この改正案国会に提案される際に、運輸大臣提案理由の中でこう述べておられます。この改正案は一昨年内閣に設けられた臨時公共企業体合理化審議会、あるいはまた昨年運輸省に設けられた国有鉄道経営調査会答申を参酌して結論を見出したから提出するのである、こういうふうに述べておられまして、内容を検討してみますと、経営委員会を廃止して理事会制にするという問題、あるいはまた監査委員会制度を設けるという規定、あるいはまた国鉄財産管理規程を明確にする、こういうような内容を盛り上げまして、約六点にわたりましての法案の改正が出されているわけでございます。何と申しましても、この改正案をながめてみますと、大きい改正の骨子は、在来までありました経営委員会を廃止して執行機関意思決定機関一体化するという理事会制度設置であろうと私は考えているわけでございます。ところがこのような改正案結論を見出す基礎になりました大臣の言われる合理化審議会答申、あるいはまた調査会答申というものは、少くともこの問題については全然逆な結論答申しております。合理化審議会では、経営委員会在来までの存在というものが有効に現われていなかった、しかしながらこれを廃止するという結論は出しておりません。有効に経営委員会がその使命を達するように、あるいは人員を増加するとか、あるいは一般事業経営に財界の経験者を取り入れるとか、こういうような答申をいたしまして、経営委員会がその本来の使命を達するように改めてもらいたい、こういう答申を出しております。ところがもう一つ経営調査会結論は、経営委員会在来までのあり方があまり効果がなかった、さらにはまた国鉄総裁権限が不明確であったからこれを廃止して、執行機関意思決定機関一つになるように、理事会制をもって今後の国鉄運営していけ、こういう結論を出しておられます。この二つの全然相反する答申案運輸大臣は参照して今回の改正案を出したと申されますが、この全然相反する二つ答申をどのように参酌して今回の理事会制というものの結論を得られたか。この点についてまずお伺いいたします。
  4. 吉野信次

    吉野国務大臣 合理化審議会の方は廃止するということは書いてありませんけれども、しかし参酌するということも書いてない。ただ効果がないということです。このままにしてはいかぬということだけ言うてあります。ですから別に私は大して矛盾してないと思います。大体これは参酌ですから、何も文字通りそれを入れなければならぬということもないわけです。要するに経営委員会というものは効果がないということは両方の一致した意見ですから、それに基きましてこれをどういうふうに改善するか、あるいはこのままやめるかということを私が判断いたしまして、その後者の方をとった、こう御了承願います。
  5. 中居英太郎

    中居委員 いかにも合理化審議会答申には廃止ということは書いてはございません。しかし効果あらしめるために人員を増加すること、あるいはまた一般事業に深い経験を持っている者を委員として加えること、場合によっては専門経営委員というものを設けてもいいではないか、こういう意見もあったということを述べておりまして、効果あらしめるための答申をしていると私は思っているわけでございまして、廃止するか存続するか、二者択一というような答申は、少くとも、この合理化審議会結論からは私は見出すことはできないと思います。しかし大臣はただいま後者答申意見を取り入れたという答弁でございますから、それで私は一応納得いたします。  そこで私は国鉄総裁にお伺いしたいと思いますが、合理化審議会結論を出すに当りまして、この合理化審議会の中に国鉄専門部会というものが設けられました。この専門部会構成メンバーは、大体国鉄関係者をもって占められたと私は記憶いたしております。この国鉄関係者によって占められた専門部会におきまして出した答申というものは、経営委員会の存続ということを前提にいたしまして答申をいたしております。ところが後者運輸省内に設けられました経営調査会においては、廃止すべしという結論を出しております。この後者の廃止すべしという結論を出すに当りましても、私の仄聞するところによると、国鉄当局の強い要請があった、こういうことを私は承知いたしておるわけでございます。一昨年の国鉄部内意見経営委員会存在前提にして、これをどうしてより効果運営することができるかということに腐心いたしまして、昨年の国鉄意見はこれを廃止すべしという意見に変っております。一体どういう考えで一年もたたない間に、国鉄部内経営委員会に対する考え方がこのように急変したか。実際問題としてどのような弊害があってこういう結論を出されたか、こういうことについて総裁意見を伺いたいと思います。
  6. 十河信二

    十河説明員 国鉄経営調査会に対して、国鉄部内から経営委員会を廃止すべしという強い意見を述べたという今のお話ですが、私はそういうことはいたしておりません。また委員に出ておる者からもそういうふうな話を聞いておりません。何か間違いかもしれませんから、なお一つよく聞いてみます。
  7. 中居英太郎

    中居委員 それでは水かけ論になりますから私は申し上げませんが、ただ総裁の感じとしましては経営委員会がある方がいいか、これを効果的に運営させて現在の機構を存続させる方がいいか、あるいは改正案に見られるようにこれを廃止して、執行部意思決定機関というものは一体組織がいいか、この二者のうちいずれを国鉄総裁として希望しておるか、こういうことを私は伺いたいと思います。
  8. 十河信二

    十河説明員 独立意思決定機関がある方がいい場合もあります。また意思決定機関執行機関が分れておるためにいろいろ手続が煩瑣になったりして不便な困ることもあります。それで私は今度の改正意思決定機関執行機関とが一緒になるということがよかろうと考えております。
  9. 中居英太郎

    中居委員 運輸大臣に伺いますが、経営委員会を廃止して理事会制度にする方がいいということは、原則的には調査会意見を取り入れた、こういうことでございましょう。具体的に申し上げますと、総裁経営委員会との責任の限界が明確でない、こういうふうに述べておられます。従ってこういう理由経営委員会というものを廃止して理事会制度にするといたしますならば、総裁理事会との、意思決定機関との関係明確化するという結果が生まれてこなければならないと思うわけでございます。ところが私は今回の改正案を見ても、総裁意思決定機関たる理事会との間における責任明確化ということは、一向に達せられていないと思います。経営委員会における総裁の立場というのは、特別委員としての一構成員であります。そうしてこの委員会において決定せられた事項の執行国鉄総裁は委任せられておりまして、今回の改正案によりましても国鉄総裁はいかにも理事会の会長ではありますが、理事会の一構成員にしかすぎないのでありまして、あくまでも理事会というものの連帯責任によって意思決定というものを行なっております。この理事会決定によって総裁がその執行を一任せられる、こういう結果になるわけでありまして、意思決定機関たる理事会総裁との関係というものは、前者の経営委員会国鉄総裁関係と何ら異なるものではないと私は考えておりますが、一体大臣はどうお考えですか。
  10. 吉野信次

    吉野国務大臣 その点はまあそういうことになろうと思います。それですから、これはやはり運用の問題にあるのです。制度の問題としては、前の場合も今度の場合も意思決定機関というものと執行機関というものは別になっております。ただし総裁両方に入っておるということは、今度の改正案改正前の現行法も同じになっておるということはお話通りであります。ただ私が現行法をとらなかったのは、ちょっと説明が足りないのですが、ただ制度が悪いからこれは廃止するというだけではないので、やはり前の合理化審議会のように効果あらしめる方法いかんということも実は考えたのであります。しかしいかにしても今のような日本の現状においては、りっぱな人で専心当るような人がなかなかいにくいのです。これは現在の者はみなパート・タイムの人だけなんです。それですからどうしても国鉄経営というものに、やはり国鉄で飯を食った以外のいろいろな方面の知識が入った方がいいと思うのですけれども、そういう人をフル・タイム専門的に入れるということは、給与その他の点におきましても事実において非常にむずかしい。そこで中途半端なものを置くよりも、むしろこれは廃止して、現行法を改めてこの改正案の方にした方がよかろう、こういう意味で私は改正案を編んだのであります。今お話しになりました点につきましては、お話通りのことであって、その通り私も考えております。
  11. 中居英太郎

    中居委員 そうすると、あえて意思決定機関総裁との関係明確化しようという理由ではない、こういうこともございますね。そうすると、便宜的に公共企業体である国有鉄道機構から、意思決定機関である経営委員会というものをなくして、そうして執行機関がすべての責任に携わる、こういうふうに改めたということですね。便宜的な考えですね。
  12. 吉野信次

    吉野国務大臣 そうではないのです、理事会の方が意思決定機関ですから。まあ便宜という意味がどういう意味かちょっと受け取れませんが、やはり現行法改正案意思決定機関執行機関というものは別の制度二つとも置いてあるのです。
  13. 中居英太郎

    中居委員 しかしこの改正案を見ますと、理事会構成総裁、副総裁、それから技師長理事のうちから選ばれた常務理事、こういうものが大体理事会構成メンバーですね。違いますか。
  14. 吉野信次

    吉野国務大臣 あなたのおっしゃったのは執行機関の方の構成です。総裁と副総裁技師長、それから常務理事というのは、これは執行機関の方ですね。理事会の方ではないですね。それと別に理事会というものがある。ちょうど会社重役会みたいなものが別にあるわけです。
  15. 中居英太郎

    中居委員 いや、私もちょっと忘れておりましたが、総裁、副総裁理事をもって理事会構成する、こういうことですね。そしてその構成員であるところの総裁、副総裁あるいは理事の中から選ばれた常務理事、こういうものが執行に当る、こういうことでございます。従ってあなた方の言われる表裏一体運営ということはこの点をさすと思いますが、そうでございますね。
  16. 吉野信次

    吉野国務大臣 そうです。
  17. 中居英太郎

    中居委員 私はここに根本的な私とあなた方との意見の食い違いがあると思います。私は公共企業体という制度そのもの考えてみまする場合に、このように執行責任者である方々がその大半を占める意思決定機関というものは、公共企業体建前上いかぬ制度ではないか、こういうふうに考えております。公共企業体というものは大臣もしょっちゅう申されておりまするように、新しい組織でございまして、まだこれの成果というものは十分に発揮せられていないと思います。従いまして五年間、六年間の公共企業体の過去の実績を判断いたしまして、これがいいとか悪いとか、効果があるとかないとか、こういうことを即断することは早計である、こういうことを大臣は申しておられました。私もその通りだと思います。しかし今回の改正案というものは、そうは言いながらも、公共企業体の今日までの機構なりあるいは運営なりというものに対しまして、あなた自身がこれではいかぬという即断をして、公共企業体別個の道を進もうとしておる。経営委員会というものをなくして、意思決定機関というものを執行部とくっつけてしまう、こういうことは、公共企業体を長い目で見てくれというあなたの常々の発言と私は矛盾するのではないか、こういうふうに考えておりますが、この点いかがですか。
  18. 吉野信次

    吉野国務大臣 私はそうは考えていないのです。つまり公社建前というものが、意思決定機関とそれから執行機関が別でなければならないという理屈は少しもないのです。むしろ公社に対してもこれはやはり責任運輸大臣が議会において持つのがほんとうだろうと思うのです。それですから、今度も運輸大臣というものの監督権限を強化する、そこは公共企業体にあっていいと思いますけれども、公共企業体、つまり公社というものが普通の民間会社と違って、意思決定機関とそれから執行機関が別でなければならぬということは私はないと思います。
  19. 中居英太郎

    中居委員 私はそうは思いません。あくまでも公共企業体という、この国有事業一つの形態である公共企業体機構というものは、執行部とは全然関係のないところの意思決定機関というものが存在するところに、公共企業体としての意義がある、存在価値があると私は思います。公共企業体というのは、先日も私は申し上げたのでありまするが、企業そのもの目的ではないのです。企業そのもの目的ではないのでありまして、公共そのもの公共のために奉仕するということが目的でございます。ただその運営の過程において、企業的な運営をしなければならないという事由が生じておるのでございまして、そういうようなことをかみ合わしてここに新しい公共企業体という機構が生まれてきた。従いまして私はあくまでもこの公共企業体としての目的を達する方針というものは、企業というものとはあまり関係のない別個存在といたしまして、公共性を失わない、公共のために福祉するというこの目的のために沿っての意思決定というものを行なって、そしてこれを委任されて執行するものが、企業体としての能率的な運営というものをはかるための努力をすべきものであります。従いましてこの企業的な運営をする執行部に、公共目的に沿うような意思決定をせしむるという、こういったみそもくそも一緒にするような機構というものは私は作るべきではない、こう思っております。これはあくまでも分離すべきものである。大臣はいかがですか。
  20. 吉野信次

    吉野国務大臣 私はそう考えないのです。公共企業体というものは、そういうふうにあらねばならぬというのは一つの論だと思います。そういう論もあると思います。ただ現在の国有鉄道というものは、これは一つ公社として見ているのです。商業的企業として見ている建前をとっているのです。それですから、その公社というものをやります場合に、今の公共性のあることは当然でございますけれども、意思決定機関というものと執行機関というものは合ってはいけないのだということは、どこからも私は出てこないと思います。
  21. 中居英太郎

    中居委員 この公共企業体という制度発足をいたしましてから五年か六年になると思います。現在は国鉄を初め電電公社専売公社と三公社がございます。そこで発足に当りましてはすべてこの三公社というものは、さっき私が言いましたような趣旨に従って、意思決定機関執行機関というものは、人的にも組織的にも別個のものとして存続しておるわけでございます。現在もそうです。現に昨日の閣議では、電電公社経営委員の二名が新たに閣議承認を得て近く国会承認を求むると、こういうことが報ぜられております。ところがこの三公社のうち国鉄だけが経営委員会というものを廃止して、そして執行機関意思決定機関というものをチャンポンにするような理事会制度というものを設けた、こういうことは政府考え方が、公共企業体機構というものに重大な変化をもたらすような思想的な転換を行なっておるのか、そういう方針政府では御決定になったのか。そして国鉄のこの改正と並行いたしまして、電電あるいは専売でもそのような方針をおとりになるつもりであるかどうか、政府の所信を私は承わりたいと思っております。
  22. 吉野信次

    吉野国務大臣 これは同じ公社といってもおのおの違うのです。ことに専売のごときは商業的企業ではないのです。これは税なんです。何もいわゆるたばこの値段を取っているのではないので、これは税として取っているのです。これはおのおのみな違いますから、一律にはいかぬと思います。ただ国有鉄道というものの公社については、意思決定機関というものとそれから執行機関というものは現在もあるのですが、私はやはりそれが必ずしも今の現行法のように、その執行機関というものと全然別のものでなければならぬのだ、それが別のものでなければ公社というものの性格に合わないのだということは私はないと思います。これは外国の例は何ですけれども、どこの国でも、イギリスにしてもフランスにしてもみな公社ですが、おのおのみなそういった二つ性格があって、そしてやはり大体の場合は今度の改正案のごとく、同じ人が意思決定機関でもあり執行機関でもあるということは、むしろ私は公社というものの常識だろうと思うのです。
  23. 中居英太郎

    中居委員 私はもしもこの改正案国会で成立いたしまして実施された場合に、どういうことが予想されるかと申しますと、国鉄経営というものが非常な独善的なものに陥りはしないか、あるいはまた非常に極端な営利主義に陥りはしないかということをおそれるわけです。これは今日私どもがこうして論議をいたしておりまして、少くとも現在の国鉄最高幹部方々には、公共性を度外視してというような考えは毛頭ないと思います。しかしながら長い歳月がたちまして、国鉄部内の者だけで意思決定を行い、執行を行うということが、十年、二十年後において弊害をもたらさないと断言はできないと私は思うのであります。非常に極端な、国鉄だけの独善的な経営に陥るのじゃないか、あるいは公共性というものを度外視して、そろばん一つ民間会社的な運営が現われてこない、そういうことはあり得ないと断言はできないと思います。従いまして公共企業体というのが執行者意思決定機関を判然と区別しておる理由は、ここにあると私は思うのです。少くとも現在の方々は、意思決定機関であろうと、執行機関であろうと、よもやそういうことはないと思います。しかしながら機構、あるいは法、あるいは機構を作るところの基本法を作るに当っての考えというものは、そういう事態を予想いたしまして、ばかばかしいほどはっきりとそういう区別をして法律を作り、機構の原則というものを作っておるのです。現在こういう一体機構というものができたからといって、にわかにそういう弊害が起るとは私は思っておりません。しかし将来そういう弊害が起らないということは断言できない。ここにこの改正案に対して大きな疑問を持つゆえんがあるわけでございますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
  24. 吉野信次

    吉野国務大臣 その辺の御心配ですと、単純に経営委員会の現在のものがどうかこうかという問題でなくて、それよりも一番問題なのは予算の問題なんです。今の国鉄は、とにかく公社の問題として独立採算でやっておりますけれども、予算も何もみな政府が押えておるのですから、そういう御心配は今の制度のもとにおいては全然ないと思います。外国制度のように、予算制度がなくて、イギリスのように、勝手に自由ほうだいに金はみな借りられるのだ、ただその元利の支払いだけ政府が保証するのだという制度のもとにあっては、そういう御心配のようなことはあろうと思いますけれども、現在の予算制度というものがある限りは、今おっしゃるようなことはないと私は考えております。
  25. 中居英太郎

    中居委員 この問題はこの程度にしておきまして、第二の問題に私は移りたいと思います。  経営調査会意見を尊重いたしまして、理事会制を採択したという大臣お話でございます。ところが経営調査会答申は、機構の改善とあわせて財政の立て直しということを答申しております。私は国鉄の問題を論議するに当りまして、これは車の二輪のごときものでありまして、一輪だけを取り上げて云々することは当を得ない処置であろうと思っておるわけでございます。私は今まで申し上げましたように、経営委員会というものを廃止することには賛成いたしておりません。またそのような結論を出した経営調査会答申は、早計に過ぎると思っております。しかしそれはともかくといたしまして、経営調査会の出しました結論答申というものは、機構の上でそのような改正を行い、そしてそれを行うならば、現在のような運賃決定権というものにもっと弾力性を持たせなければならぬ。すなわち国会審議のワクをはずして、運賃審判所なり、あるいは審議会なり、こういうものを設けて、そうして国鉄執行部意思決定機関責任を持たせ、運賃決定権も持たせて経営せしめることによって、初めて国鉄責任というものが果せるのだ、経営調査会答申というのは、こういうことを答申しておるのです。従いまして運輸大臣は、国鉄機構改正して、国鉄総裁あるいは理事、こういう方々意思決定執行責任を持って運営てもらいたいしという結論を出すならば、運賃決定の問題も一緒に解決して与えなければ、とうていできるものではないのです。今日のようなこの改正案では、国鉄はただ責任だけを押しかぶされまして、にっちもさっちも行かなくなる、そういう結果が当然予想されます。私をして言わしむるならば、今回の改正案というものは政府責任のがれです。現在のような機構では、経営委員会がある限り、政府国鉄に対してあくまでも責任を持っていかなければならぬ。ところが意思決定機関国鉄執行部一緒にしてしまう。そこで生じた現象というものの責任はすべて国鉄になる、そうして国鉄経営基礎になるところの収入の点については、がんじがらめにしておる、こういうような矛盾した機構を、運輸大臣は今回の改正案であえて行おうとしております。従いましてもしもこのような機構に改めるならば、経営調査会答申のごとく、運賃決定弾力性の点についても、政府の所信をはっきり表明すべきではないか。私は当初国有鉄道法改正案が出るということを聞きまして、どういう内容であるかということを、部内方々にいろいろ尋ねてみました。ところが機構上の改正理事会制度の採用、それと同時に、運賃決定機関を別個に設ける、この二つをバックボーンにして国有鉄道法改正を行なって参りないということを述べておられました。運輸当局でも当初そう申しておりました。ですから、この二つ改正案に益り上げて出すならば、賛成、反対はともかくといたしまして、一つの筋道の通った改正であろうと私は思っております。ところが今回出された改正案はそうではない。ただ機構だけを改正いたしまして、国鉄にすべての責任を転嫁するような機構を作って、そうして生じた現象というものについてはすべて国鉄責任である、政府はこういうふうな言いのがれの道を考えておるとしか私には受け取れないのであります。この間の経緯について御説明を願いたいと思います。
  26. 吉野信次

    吉野国務大臣 お話の点はごもっともでございます。つまりこれは経営調査会意見の半分しかとっていないのですから、あとの半分の、今お話運賃決定のことについても考えなければならぬことは、私も百も承知しております。それですから、なるべく早い機会に私はそういう改正案を出したいと思っております。
  27. 中居英太郎

    中居委員 早い機会にそのような改正案を出したいということは、運賃決定機関を別個に設けるということですか。
  28. 吉野信次

    吉野国務大臣 お話意味は、現行法運賃決定というものは国会がきめるようになっておりますから、それがいいか悪いかということは考えなければならぬ問題だろうと思います。だけれども、なぜ国会がそれをきめるかということになりますと、国会できめるということが監督の一番有効適切な方法なのです。しかしそのことが事業経営ということからいいますと、事業経営の一番肝心なことを国会に諮らなければできないということは、自主独立公社を立てた建前からいえば、そこに窮屈過ぎる点がございます。だからその辺をどういうふうに調節するかということは、立法技術の問題にもなるし、相当いろいろな問題かあろうと思います。それですから、そういういろいろな問題というものを慎重に考えまして、この議会には間に合いませんでしたけれども、なるべく早い機会にそういうことについての成案を得まして、皆様にお諮りいたしたい、こういうつもりでございます。
  29. 關谷勝利

    ○關谷委員 関連して。今のお話を聞いておりますと、大臣運賃決定国会から切り離す、そうして経済の自主性を持たしたい、そういうことをなるべく早く考えたい、そういうふうに受け取れますが、その通りでありますか。
  30. 吉野信次

    吉野国務大臣 つまりそういう問題を慎重に考えたいというのです。そしてもし成案ができましたならば、なるべく早い機会にお諮りいたしたい、こういうことです。
  31. 關谷勝利

    ○關谷委員 そういたしますと、今まであなたが中居委員にお答えしたことと逆なことを言うておることになるのですよ。これはこういうことです。公社というものを、中居委員がこの意思決定機関執行機関とを別にしなければいかぬではないか、そうでなければ公共性が失われるではないか、こういう質問をしたときにあなたが答弁されたのは、予算でくくっておる、監督権は強化しているのだ、そうして国会予算もきめるのだから、そういうふうにはならないという意味の答弁を今までしてこられたのですよ。そのために一つでいいのだ、こういうことであります。ところが今度あなたが言われるのは、経済に自主性を持たし運賃決定国会から切り離すということになりますと、その際には中居君が最初言っておったような懸念がそこに起きてくるのです。懸念がないと言うたのに、その懸念のある方向に持っていかれるという結果になってくるのです。あなたの答弁は食い違っておりませんか。
  32. 吉野信次

    吉野国務大臣 食い違いはないつもりです。つまり私の言うのは予算の点を申し上げたので、予算運賃決定法律の問題とは違うのです。
  33. 關谷勝利

    ○關谷委員 今の大臣の答弁はおかしいと思います。私はもう一回次の機会に質問をするということを申し上げて、この点は保留しておきます。
  34. 中居英太郎

    中居委員 私は大臣意見は筋が通っておると思うのです。意見が正しいとか正しくないということは別としまして、筋は通っていると思うのです。少くとも執行機関意思決定機関一緒にいたしまして、総裁以下常務理事、あるいは理事方々意思決定を行わせ、執行も行わせるというような機構を作るからには、現在のような運賃決定機構であっては、責任がある意思決定も、責任がある執行というものもできない。ですから、すべての責任をまかせるというならば、もっと弾力性のある別個運賃決定機関というものを設けなければ、この機構というものは生きてこないのです。従って私は關谷さんの意見にはいささか矛盾があると、逆に考えております。  この問題はこの程度にいたしまして、第三の問題に移ります。改正の第二点ですか、第三点ですか、監査委員会制度を設けるということがございます。この監査委員会を設ける理由というのは、広く国民的視野に立って日本国有鉄道の業務を監査する必要があるから、運輸大臣が任命して監査委員制度を設ける、こう書いてございます。ところがさらによく法案を読んでみますと、この監査委員会国鉄の内部機構です。従いまして監査委員運輸大臣が任命したといたしましても、その人間は国鉄の職員という身分を持つのでしょう。この点いかがですか。
  35. 吉野信次

    吉野国務大臣 国鉄の役員です。
  36. 中居英太郎

    中居委員 そうすると、国鉄の役職員は、総裁が任免権を持っていると思いますが、いかがですか。
  37. 吉野信次

    吉野国務大臣 職員はそうですけれども、役員は必ずしもそうでなくていいと思います。だからこの法律には運輸大臣がこれを任命するということになっています。
  38. 中居英太郎

    中居委員 運輸大臣国鉄の役職員を任命することは私はいいと思います。法律でも定めておりますから、いいと思いますが、ただ運輸大臣が監査委員たる資格を与えたその人間を、国鉄総裁が何かの理由で罷免した、こういう場合にはどうなるのですか、罷免することはできるのですか、退任を命ずることはできるのですか。
  39. 吉野信次

    吉野国務大臣 それはできません。
  40. 中居英太郎

    中居委員 その点は了解いたしました。そうすると、この監査委員制度が設けられまして、国鉄の内部機構として存在いたしまして、国鉄の監査をやっていくわけでございます。内部機関でございますから、国鉄総裁監督のもとに入ると思いますが、いかがですか。
  41. 吉野信次

    吉野国務大臣 その仕事は法律独立ですから、仕事に関しては総裁は別に監督することはできないと思います。これは運輸大臣の方の指揮監督を受ける、こういうふうに御承知願います。
  42. 中居英太郎

    中居委員 そうすると、そういう任命をもって存在する監査委員会とすれば、なぜ国鉄の内部機構でなく、外部機構にしなかったのですか。
  43. 吉野信次

    吉野国務大臣 ごもっともです。その点は私も、監査委員会というものを効果あらしめるためには、外に置いた方がよくはないかということを実は考えました。ただそうしますと、非常に膨大な事務組織が必要になって参ります。それからまたこの監査というのは普通の監査の場合と違いまして、日常国鉄の業務についていかにこれを能率的に運営するかということを見なければならぬのですから、監査というものも、何か悪いことをした者を取り締まるというような意味の監査でしたら、国鉄の外に置く方が徹底しておりますけれども、内部に入って、どういうふうにしたならば能率的に運営できるか、こういうことからしますれば、これはやはり内部に置いた方が便宜であって、その方が実際運用上はよかろう、こういう意味で、そのお話の点も考えました末に、国鉄の内部の機構といたしました次第であります。
  44. 中居英太郎

    中居委員 本来は運輸省国有鉄道監督権を持っておるわけです。そしてその衝に当る部局といたしまして鉄道監督局というものが運輸省設置せられておるわけでありますが、一体この鉄道監督局というものは、しからばどういうことをやるのですか。私は鉄道監督局の任務というものは、そのような非常に狭い任務だけとは思っておりませんが、少くとも今回設けられたような監査委員会の果すべき任務というものも、一つの大きな任務として考えられておるのじゃないか、こう思っております。一体なぜ運輸省内に設けられておるところの監督局をしてそのような任務を遂行せしめなかったか、なぜこのような屋上屋を重ねるような制度を設けたか。そうして鉄道監督局というものは、しからば今後どういうことに重点を置いて運営をやっていくか、こういうことについてお伺いいたしたいと思います。
  45. 吉野信次

    吉野国務大臣 やはり役所の方は役所の、監督の立場がございます。それと日常の業務の能率的運営というものとは、実質上重複する部分もありましょう。ありましょうが、大体は分野が分れると思うのです。国鉄のやることを外からいい悪いということを見るのではなくして、国鉄の内部に入って、これが能率的にどういうふうに日常やるかということを、日常の業務について始終見る、そういう意味です。やはり従来監督局はそういう点まではなかなか手が届かないのでやっておりません。ですから、役所の仕事と今後の委員会の仕事というものは、おのずから仕事の間に限界がある、こう考えております。
  46. 中居英太郎

    中居委員 それもその程度にしておきましょう。  先日の当委員会におきまして、わが党の山口委員から運輸大臣に対して、国鉄から政府に対しての納付金の制度というものが採用せられた、こういうことについてお伺いしたのでありますが、そのとき大臣の答弁は、国鉄一つ企業体であるから、納付金を納め、固定資産税を納めるということは、考えとしては正しい考えだ。自分としてはさらに企業体として今後は事業税というものも納めるような運営国鉄にやってもらいたい、こういうことを答弁なさっておられましたが、それは今でもお変りございませんか。
  47. 吉野信次

    吉野国務大臣 速記を見ないと何ですが、事業税ということまでは申さなかったと思います。つまり固定資産税に見合う納付金の問題だけは、今お話のようなことは申しましたけれども……。
  48. 中居英太郎

    中居委員 そうじゃないのです。ここにちゃんと書いてあります。固定資産税はおろか、将来は事業税等の納付も企業体としてはあり得るであろう、こういうふうに答弁をしております。
  49. 吉野信次

    吉野国務大臣 それは文字通り、あり得るというのであって、絶対にそれはいかぬのだということは……。つまり私の考えは始終、公社というものは独立商業的企業だ、こういう頭で公社ができておるものですから、一般の民営事業というものと同じように、もしそういう税があるものならば、やはりイコールの、平等な立場に置くということが考えられるということを申し上げたのであって、今すぐに国鉄に事業税をかけるとかかけないということは、実は深く考えないで答弁したものと思います。
  50. 中居英太郎

    中居委員 これは決して笑いごとじゃないと思いますよ。大臣がそういう答弁を現にしておるのです。あるいは答弁のつもりじゃなく、原則論を述べられた、こう申しておられますが、聞く者は決してそうは受け取ってないわけです。昨年、一昨年までは、国有鉄道が固定資産税を納めるという論議さえもナンセンスでしたよ。今日事業税を納める納めないということは、皆さんお笑いになっておられます。しかしながらここ数年間政府国鉄に対してとって参りました政策の推移を見ますと、こういう問題が私は現実の問題として起ってこないとは言えないと思います。そういう場合に、企業体としては将来事業税を納めることもあり得るというような答弁をするということは、私は笑いごとじゃないと思うのです。ですからこの際はっきりとお取り消しになってほしいと思います。
  51. 吉野信次

    吉野国務大臣 私は原則論のつもりで申し上げたのであって、現実に事業税を取るとか取らぬとかいう意味にもし聞えるようでしたら、私の発言は少し度が過ぎてると思いますから取り消しておきたいと思います。
  52. 中居英太郎

    中居委員 取り消されて非常にけっこうでございます。ただ当委員会におきまして、しばしば国有鉄道機構の問題あるいは公共企業体としての性格の問題を論議いたしまして、そうして非常に素朴な意見でしたが、民営的な運営がいいか、あるいは前のような国有国営のような形がいいか、こういうことを論議いたしまして、とどのつまりは、経営の成績というものはあいまいもことしておる。あいまいもことしておるが、現在のパブリック・コーポレーションのこの組織機構というものは生かしていかなければならない、こういうことを大臣は申しておられました。私どももそう考えております。しかしそういう場合に大臣が、固定資産税を納付することを肯定して、将来は事業税の納付ということもあり得るというようなことを考えておるといたしましたならば、この公共企業体としての運営というものは、私は民営的なものになってしまうのじゃないか、公共企業体というものが、企業というものに主力を置いて運営されるような性格決定づけられてしまうのじゃないか、こういうことを私は非常に憂えておるわけでございます。従いまして公共企業体といういうものの性格をはっきりさせて、かりにもそういう事態が将来起らないというような方針大臣は確立しておかなければならぬと思うわけでございます。将来は事業税も納め得るような事態がくるのじゃないか、納めなければならぬのじゃないか、それが企業体として当然なんだというようなことを冗談にも言わないように、はっきりと公共企業体としての性格なら性格、そういうものを失わないような経営をやってもらいたいと思うわけでございます。  それからもう一つ、この際お伺いいたしておきますが、今回のような改正がなされまして、国有鉄道存在というものは政府からも分離いたし、国会の容喙の範囲というものも非常に挾められまして、国鉄総裁以下執行部が中心になりまして理事会構成いたしまして、意思決定を行い、執行の衝に当る。こうなると非常に独善的な運営に陥る憂いが濃厚になって参るわけでございます。従いまして、この弊をなくするために経営調査会におきましては、広く民間の意見を取り入れるべく諮問委員会、諮問機関というものを設置しろ、こういうことを勧告しております。私は当然このような機構国鉄機構が改められるとするならば、諮問機関というものを法制化しておかなければならない、そうすることが国鉄の独善的な運営を防止する最後の抵抗線だと思っております。この点についてはいかがお考えでございますか。
  53. 吉野信次

    吉野国務大臣 国鉄経営が独善にならぬように、運輸大臣責任をもって監督するわけですから、その点は運輸大臣は議会に対して責任を負うわけですから、監督権があるから独善にならぬと思います。それから諮問委員会の点は、私はあっていいと思います。ただ私どもがこの法律に入れなかったのは、これは国鉄の内部機構ですから、いわゆる立法技術の上から立法事項ではないから、これは国鉄総裁が現にやっておられるように国鉄総裁の機関として国鉄内部に諮問機関を置いた方がよかろう、こういう意味でこの法律には規定しなかっただけのことであって、全然他意はございません。
  54. 中居英太郎

    中居委員 国鉄総裁にお伺いいたしますが、もしこの法律案が成立いたしまして、このような機構改正が行われた場合、在来通りの諮問機関というものを国鉄部内に設けられる御方針ですか、あるいは廃止せられる考えでございますか、この点この席で御言明を願いたいと思います。
  55. 十河信二

    十河説明員 私は国鉄を国民の国鉄にしたいということを念願しております。なるべく広く知識経験のある方のお知恵を拝借したい、そういう希望を持って今日も顧問という方をお願いしております。それは続けていきたいと考えております。
  56. 中居英太郎

    中居委員 それは私の質問とは違うのですが、あなたの言われたのは顧問でございますね。
  57. 十河信二

    十河説明員 顧問と諮問機関ということの実質は、私は大して変りはないと思っております。諮問機関ということにしてけっこうでございます。そういうものを設けたいと思っております。
  58. 中居英太郎

    中居委員 現在の国鉄機構の名称として顧問という名称はあるのですか。あなたは顧問々々ということがお好きでよく言われておりますが……。
  59. 十河信二

    十河説明員 別に法制の上で顧問というものはない。私は自分の知恵が足りない、経験も足りないものですから、なるべく自分の足りないところを補ってもらうというつもりで、顧問という方をお願いしておるような次第でございます。
  60. 中居英太郎

    中居委員 私はいつか新聞であなたがこれこれの方を国鉄の顧問に任命された、こういうことを見まして、よく調べてみましたところが、顧問という名称はないのです。それでさらに進めて参りましたら、顧問ではなくて国有鉄道の職員の嘱託という名称になっております。あなたは通称それを言われておるわけですが、私が伺いたいのは、そのような職員的な嘱託であろうと、職員嘱託ですから、国鉄構成員ではないでしょうが、構成員的な存在だと思います。そういうものでなく、広く各界各層の有識者を集めて、今後の国鉄はどうあるべきかとか、あるいはこの問題はどう処理すべきかというような、いろいろな意見を聞くところの嘱託ではない、諮問機関というものを別個に設ける意思があるかどうかということを聞いておるわけです。
  61. 十河信二

    十河説明員 顧問と申しますのは俗称でありまして、別に規定があってやっておるわけではないのです。今日もいろいろな具体的の問題を研究いたしまする際に、なるべく広く国民の意思を聞いて、これを経営の上に反映させたいというので、いろいろな委員会ができております。その委員会委員として、民間あるいは官界の方々をお願いして、いろいろな事項を諮問して、それを決定の資料にいたしております。
  62. 下平正一

    下平委員 関連して。この諮問機関の問題について先日もちょっとお伺いしたのですが、諮問委員会というものを設けることについては、大臣も必要性について十分お認めになったと思います。どういう形でもって設けるかということがいろいろな問題になってくると思うのですが、さっき中居委員の質問の中にもありましたが、こうして日鉄法が改正されてくる場面を見ると、経営委員会、今度の改正された理事会その他で一切のことが行われるという形になってくれば、必ずしもこれは独善に走るとは言い切れなくても、そういう危険性は多少あると思うのです。運輸大臣監督権があるから、監督権を十分に使えばそれで防止できるといえば、それもできないこともないと思うのですが、特に国鉄の行う経営方針なり、少しばかりの方針の変更でも国民に対する影響というものは非常に大きいと思うのです。もう一つは、国鉄組織なり行なっておる事業が非常に膨大で、これを少い人数でいろいろなことをやっていくということで多少の支障はあると思いますが、監督権を強化しても必ずしもこれをカバーすることはできないのではないか、かように考えます。そこで諮問委員会を設ける必要があるとすれば、この際やはり法律で明確に諮問委員会制度を設けておくことも、考えていいことじゃないかと思います。そうしてこの諮問委員会を設けるということもさしてむずかしい、法律的な支障その他もないと思います。これはいずれにしても、総裁が顧問という形でやろうと何という形でやろうと、国鉄当局も今度の改正理事会だけで一切が処理できるということはないと思います。おそらく諮問委員会的なものを作らなければならぬという方向は持っておられると思いますので、やはりこの際公社公共性、国民に対する影響、あるいは非常に膨大な事業であるという観点から、特別に法律上疑義があるとか、あるいは立法措置が非常に困難だというのなら別問題ですが、さしたる困難もないと思いますので、ぜひ設けていただきたい。そしてその方が将来の国鉄経営の上にも非常に有効ではないか、こういうふうに考えるのですが、どんなものでしょうか。
  63. 吉野信次

    吉野国務大臣 この前申し上げました通り、実質的には、今の御意見については私は何も異議はないのです。ただそれを法律に入れなかったのは、これは法律事項ではないという見解で入れなかったので、言うまでもなく法律にはういうことを書くとか、あるいに内規的なものにはどういうことを書くとかは、おのずから行政法上きまっておりますから、その見解のもとに、それは法律に書かなくても、やはり総裁の達しか何かでそういう諮問委員会という制度を設けることは御自由でありますから……。むしろ私も下平さんと同じようにそういう制度国鉄内部に設けて、各方面のいろいろな人の意見を聞いた方がよかろう、こう考えております。
  64. 下平正一

    下平委員 私は学者ではありませんので、法律はあまり知りませんが、この諮問委員会制度を設けることが法律の体系として非常にむずかしいとか、法律論として成り立たないとかいうことはないと思うのです。これは多少疑義があるにしても、国有鉄道経営の上に必要であるならば、やはり法律の中に入れても一向かまわぬと思います。元来がそういう必要性があるかないかということが、問題の焦点でなければならぬと思うのです。必要がある問題ならば、法律に入れて一向かまわぬし、入れるべきだと思います。私の言うことに対して大臣が、そんなことはしないでもいいというのでしたら、私も別にそれをやれとは申しません。しかしそういうことは必要であると思う、ただ法律の体系とか法律論からいっておかしい、こういうことでしたから、私は必要に応じて法律が作られていくことは一向かまわぬ、こう言っておる。だから、大臣も私の言うことに御同意ができるのなら、この際法律の中に入れられないということはないと思う。従ってきょう入れる、入れたいの法律論をいただかなくてもけっこうだと思いますが、十分検討していただきたい、こう思うわけであります。
  65. 中居英太郎

    中居委員 もう一点だけ伺います。これは非常に具体的なこまかい問題でございますが、第二十条に役員の欠格条項というのがございます。この欠格条項の中の第二号、政党の役員は国鉄の役員になれない、こういう規定でございます、これはあまりにも行き過ぎた規定ではないか、行き過ぎた欠格条件ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。御承知のように民主主義政治というものが発達して参りますと、国民の大多数というものが自分の支持する政党の所属になる。少くとも国鉄の役員になるくらいの識見を持っておられる方々は、中央あるいは地方の政党の役員になるということは当然あり得るわけです。ですからこういう欠格条項を設けるということは、私は今日の時代の流れに相反する規定ではないか、こういうふうに考えております。現にスイスなんかでは、国民の八割以上が政党に所属しております。日本も今後どんどんそういう傾向が顕著になって参ると思うのでありまして、これは憂うべき傾向ではなくて、喜ぶべき傾向であると私は考えておるわけでございます。しかし今日の段階におきまして、政党人がこういうものに入ることにいろいろな弊害がありまするならば、それは運用の面でやっていくべきだ、少くとも国民の政党への加入の自由ということを憲法上認められておる今日、政党人であり、そしてその政党の役員であるということによって、何かの資格を得るための条件が欠ける、こういうことは非常に行き過ぎだ。言葉をきわめて申しますならば、反動的な条項であると考えておりますが、あなたはいかがですか。
  66. 吉野信次

    吉野国務大臣 私も政党人は差しつかえないと思います。政党人はいけないとは一つも書いてない。ただ政党の役員ということになれば、やはり一党一派のための利害をはかる立場にございますから、そういう方は公共企業というものにはどうもよろしくないという意味で、政党の役員だけをはずしてあるわけであります。
  67. 中居英太郎

    中居委員 私は少くとも国鉄の役員になるくらいの条件を備えておる人間ならば、そういう識見を持っておる方ならば、おそらく政党の役員としての資格もりっぱに備えておると思うのです。今日の政党の構成というものはそれがまた実際なんです。しかもこの法案を検討してみますと、一年前までとかあるいは二年前まで政党の役員であったことまでも欠格条項の一つに数えられておるわけですが、その点はいかがですか。
  68. 吉野信次

    吉野国務大臣 そういうことはないと思います。一年前、二年前というようなことは……。現在政党の役員である者はいけない。
  69. 中居英太郎

    中居委員 そうですか。
  70. 吉野信次

    吉野国務大臣 そうだから、きょうやめてあすからなら差しつかえないということです。
  71. 中居英太郎

    中居委員 私の質問を終ります。
  72. 松山義雄

    松山委員長 楯君。
  73. 楯兼次郎

    ○楯委員 抽象論をやっても仕方がないと思いますが、二、三お伺いしたいと思います。  この前の委員会でも運輸大臣だけには私お伺いしたのですが、中居委員が指摘をいたしておりますように、今度の改正は非常に首尾一貫しておらないと思うのです。といいますのは、中居委員との質疑応答を聞いておりますと、どうも運輸大臣のお答えは国鉄商業的企業、いわゆる企業性を強調されておるようであります。ところが大臣のおっしゃるように企業性を強調されるならば、当然運賃審議会の問題、その他の国鉄内容についての改正が行われなければ、首尾一貫としておらないと思います。特に私ども数年来国鉄経営についていろいろ論議をいたしましたが、今日国鉄の隘路といいますか、問題点はどこにあるかといいますと、財政の自主性のないということであります。それから特に財政の中でも給与総額のワクがはめられており、このワクを取らなければ毎年起る労働攻勢といいますか、労働問題についての解決は全然できない、こういうように考えるわけです。それから財政の自主性についても、特にはなはだしいのは、毎度出て参ります新線建設でありますが、こういう問題については今度の改正では全然触れておらない。従って先ほど中居委員が指摘いたしましたように、ほんとうにやかましいのでちょっぴりの頭の方を改正をしただけだ、こういうふうに私どもとっておりまして、非常にこの改正案については残念で、これでは国鉄の根本的な改正にはならない、こういうふうに思っておるわけです。なぜそういうような状態になるかといいますと、この前もお伺いをいたしましたように、一体国鉄を将来どういうような企業体でやっていこうかという腹の底からの考え方が固まっておらない。総裁はよく公共企業体でもあるいは昔のような国有でもどちらでもいいのだ、金さえもらえればいい、こういうようなことを冗談ではございましょうが、たびたび地方に行って放送される。   〔委員長退席、山本(友)委員長代理着席] こういうことが国鉄法の改正のいわゆる根本的な修正を行わなかったゆえんじゃないか、こういうふうに考えるわけです。従って運輸大臣はこの前、いや公共企業体でやっていくのだ、こういうふうにはっきりと言明をされましたが、一つ国鉄総裁から、そういう考え方はいけないのじゃないかと私どもは思いますので、一体どういうお考えで将来やっていこうとされるのか、一つここで言明をしていただきたいと思います。
  74. 十河信二

    十河説明員 これは私の個人的の見解でありますが、国鉄のごときは、公共性企業性とできるだけ一致させるがよろしい。従って、私は政府機関でも、もし企業性を十分認められればそれでもよかろう、また企業体でも公共性を十分生かされるならばそれでもよかろうというつもりで、新聞記者などにそんな話をしたことがあります。そのことはちょうど日本では、国営から公共企業性になり、ヨーロッパでは民営から公共企業性になったという事実で、何だか私の個人的見解が裏づけせられておるかのごとく、自分で満足しておるような次第でございます。
  75. 楯兼次郎

    ○楯委員 国鉄日本の交通の中核になると思いますが、総合的な計画の樹立ということがまず根本だと思います。この前大臣にお伺いいたしましたところが、何か交通審議会でありますか、そういうものをやっておるから、やがて結論が出るであろう、こういうことをおっしゃいましたが、一体それはいつ終って、どういうようなことを検討されておる委員会であるか、お聞きしたいのであります。
  76. 權田良彦

    ○權田政府委員 ちょっと交通審議会についてお答え申し上げます。交通審議会は、総理大臣を会長といたしまして、各方面の委員にお集まりを願ってやっておりますが、これは限時的なものでございまして、近く五月半ばで終息をいたします。これへ諮問いたしました事項は、交通網の整備に関しまする体系的な方策であります。従いまして現在までの御審議の段階では、そういう交通網体系につきまして、陸上関係につきましては主として道路と鉄道、この両者の交通網整備のあり方がいかにあるべきであるかという、その点の基本的な検討に入られました結果、ただいま出ております研究の段階では、これらについてはなお調査を十分し、これらの調査機構を整備拡充するとともに、なお恒久的に検討を要する基本的な整備体系については、経済発展に対応する鉄道と道路の相待つ、総合経済開発計画との関連においていろいろ検討すべきであるという、基本的方策というものの研究を一応いたされまして、具体的な問題の個々について検討するまで段階は立ち至っておりません。従いまして限時的なものでございますので、そういう陸上関係につきましては、鉄道網と道路網との基本的整備の体系につける理論づけをおやり願っていることで、一応これは幕を閉じることとわれわれは想像しておりますが、ただこの答申の線に沿って、なお政府部内として続いて慎重に政策樹立に邁進をいたす、その基本指針を与えていただくための審議会でございます。
  77. 楯兼次郎

    ○楯委員 改正案の中に出ておりませんので、私ども何とも言えないのでありますが、昨年の暮れから行政管理庁の方から国鉄はいろいろ批判をされております。私はこまかい点は聞こうと思いませんが、私どもの気にかかります今後の国鉄の財政の再建に対する根本的な考え方を、大臣総裁から一つ聞かしていただきたいと思います。
  78. 吉野信次

    吉野国務大臣 詳しいことは総裁からお話を願った方がいいと思いますが、私としては経営調査会というものの答申によりまして、できるだけ収入を増し、経費を節約して、そうしていきたい、こういう根本の考えでございます。
  79. 十河信二

    十河説明員 今お話のありました通り国鉄の財政は困難をきわめております。そこで私といたしましても、まずもって経費を節約し、能率を増進いたしまして、できるだけ経営を合理化することが私の第一の責務である、こう考えまして、その方面にもっぱら力を尽しております。そのうちで一番大きな問題は、今までもときどき申し上げたかと思うのでありますが、国鉄は線路、車両あるいは構造物等に巨額の資本を必要とする事業であります。この固定する膨大な資本をできるだけ回転を早くするということが、経済合理化の根本である、そう考えまして、さきの経営、合理化の答申、また資源局の勧告等にもあります通り、第一番に動力を石炭、蒸気から電力あるいは石油に変えることがいいのではないか、こう考えまして、第一に鉄道電化の検討をいたしました。検討の結果、幹線三千三百キロを十年間で電化するがよかろう。そういたしますと、ここに経費の上で約九十五億円ばかり浮んでくる。そうすれば一面において輸送力の増強にもなるということで、それを急いでやることに、今度の予算にもちょびっとでありますが、着手のできるようにお願いをいたしております。さらに引き続きまして、ディーゼル化の検討をいたしております。これまた五年ないし十年ぐらいの期間で、できるだけ多くの線路をディーゼル化していきたい。将来は国鉄二万キロの線路は、大体半分ぐらいは電化し、半分ぐらいはディーゼル化していきたい。そういうふうにすることによって、一面は経費の節約をし、一面は輸送力の増強をする。そうできれば収入もある程度増加いたしましょうし、また経費も節約されるか、こう考えまして、今そういうことに懸命の努力を集中いたしております。その他いろいろなことをやっておりますが、それだけではなかなか国鉄財政の立て直しということは困難であります。国鉄といたしましては、何とか運賃の点についてもできるだけ早く御考慮をわずらわしたいということをお願いはいたしております。われわれの力でできる限りのことをまず努力をいたしたいということでやっておるような次第でございます。
  80. 楯兼次郎

    ○楯委員 長い御答弁があったのですが、私は経費の節約にも限度があると思います。それから三十一年度の予算を見ますと、増収の予算は全く無鉄砲な編成の仕方です。百五十三億も、あるいは結果からいけば増収になるかもしれませんけれども、これに見合うところの経費あるいは人件費というものが全然載っておらない。だいぶ無理というどころじゃなくて、むちゃくちゃな、常識をはずれた増収計画だというふうに考えて、どれだけ成果が上るか疑問に思っておるわけですが、今総裁が言われたディーゼル化あるいは電化には莫大な資金が要ると思います。問題は、そういうおくれた国鉄の近代化を早急にやらなくてはならない、その資金の調達というところに私は問題があると思う。運輸大臣は過日の予算委員会においても、本会計年度においては運賃の値上げはやらないと言明をされておりながら、どうもそうでないようなことを言っておられる。総裁の方は、やはり運賃を値上げしてもらわなくちゃ困る、こういうことです。私どもが指摘をいたしたいのは、もう何でもかんでも運賃の値上げにそういう資金を求めるという点が、これは考え違いではないか、こういうふうに考えるわけです。私は運賃の値上げは何でもかんでもいけないと言っておるのではないわけです。国鉄の実態の中で、とにかくその前にあなた方が相当検討をし、考慮をし、措置をしなければならない事項がたくさんあるじゃないか、それをやって、その結果によって運賃を上げるということが出てこなければ、私はうそだと思う。毎回の当委員会において、私どもがその点を強く運輸当局に要求をいたしておりまするが、何ら改善をされておらない。そういう点について、私どもは非常に不服を持っておるわけです。一例を申し上げますれば、この公社の切りかえ当時に、とにかく五百六十億であったと記憶いたしておりまするが、よその公社はこれは出資金ということになっておりますが、国鉄は借入金で、利子を払っておるじゃないか。それから、よその公社その他と比較してはいけないかとは思いますが、新線建設の赤字の出る費用についても、造船等の利子補給というものがやられておらない。専売は、塩に対する価格補給金、こういうものがあります。また私鉄に対しても、三年ぐらい前に補助法というようなものが通過をしておる。それが通るか通らないかということは別として、こういう面に対する運輸当局の積極的な努力というものが少しも見られない。ただ経営が困る、赤字だということはよく主張されるのでありますが、運賃の値上げの前に措置をすべき手続がとられておらない。われわれは数年やかましいことを言っておるわけですが、こういう点について、一体運輸大臣総裁はどういうふうにお考えになっておるか。われわれ社会党が、毎回の委員会においてこういうことを追及をすることは、無理なことだ、そんなことはできっこない、そういうようにお考えになっておるのかどうか。御両人から御回答をいただきたいと思います。
  81. 吉野信次

    吉野国務大臣 今例に引かれました新線建設、これも理論的にいえば一概にも言えないのです。国有国営の形ですから、そこが先ほどから問題になっておりました普通の民業とは違うのですから、引き合わないものは一切やってはいけないということは言えない。ただ現在の財政状態のもとにおいて、国鉄にやらせていいかどうかということは、お話通り問題になると思います。ですから、その点について何か政府の方でやるのが適当ではないかというふうに私も考えております。そういうふうに努力はいたすつもりであり、またいたしておりますが、まだその結果は現われていないということですから、その点はこれからもせっかく努力したいと思います。それから国鉄経営自体についても、なすべきことがいろいろございますから、そういう面につきましては、国鉄の方にも申し上げまして、できるだけ合理化というものに進めるようにいたしておるつもりであります。
  82. 十河信二

    十河説明員 今御指摘の点につきましては、まことに仰せの通りで、私どもまだ努力が足りないと思いますから、今後も大いに努力したいと思います。政府からの政府資金の借入れにつきましても、今お話のようなことは、私としては希望するのでありますが、今御指摘のありましたような同じことを、運輸大臣から始終言われて、お前の方でもっと勉強しろと言われるので、せっかく努力をしなければいけないと思いまして、今勉強中であります。なお一そう努力いたしたいと考えております。
  83. 楯兼次郎

    ○楯委員 私は努力をするとかしないとかいうことではないと思うのです。そういうことを、国鉄を含めて、運輸当局がやろうとした積極的意図が、ここ数年うかがわれないということです。しかも税金がつかないことが、俗にいう公共企業体の唯一の特例なんですが、それを三十六億の固定資産税を出す。これは先日来当委員会において問題になっておるわけですが、出す方はきわめて気前よく出すのだが、十人が見てこれは無理だと思う問題について、利子補給等が少しもやられておらない。資本金が、二兆円の資産を擁するという国鉄で、切りかえ当時は五百六十億ですか、それがほったらかしになっておる。他の公社は、どんどん資本金の増加がやられておる。そういう面から考えて、努力をするとかしないという問題ではない。やはり財政問題は初めに戻って、再検討をする必要があるじゃありませんか。それを終って、その次にさて運賃の値上げはどうであろうか、こういうふうに出てこなければうそじゃないか、こういうことを私どもは過日来の委員会でやかましく言っておるわけです。私は今こんなわかり切ったことで大臣総裁と私と問答を繰り返そうとは思いませんので、一つこの点をよく考えてやるべきことをやって、そのあとで一つ大きい問題に取り組んでもらいたい、こういうふうに考えるわけです。  次に私お伺いしたいのは、給与総額の問題であります。これは事労働問題になりますので、社会党の専売のようにとられますが、しかし国鉄の今日の状態においては、労働問題を切り離して円滑な運営はないと私は思うのです。もう毎年々々大きな騒ぎをやっておりますが……。国鉄総裁運輸大臣も、事労使間の交渉の渦中にあっては無能力者だ、こういうことをたびたび申し上げておるのでありますが、なぜこういう点について積極的に改正をしようとなさらないのですか。たとえば総裁が交渉委員になってやりますが、これはただやるだけであって、何にも自主性がないのです。給与総額があるがために、びた一文も団体交渉によって出せないじゃありませんか。なぜこういう矛盾を改正をしないのか、大臣はどういうふうにお考えなんですか。
  84. 吉野信次

    吉野国務大臣 その点についてはこの委員会でも申し上げたのですが、私は給与総額というものはなければならぬと思うのです。それがなければ、これは普通の民間の会社でしたら、労働者の賃金の問題につきましても、破産というものがありますから、破産の限界を越えて賃金は上げられないのです。ところが国有国営の問題の場合には破産というものがあり得ないのですから、どうしても給与総額というもののワクをはめませんと困ると私は思うのです。それは労働者の賃金の方からいえば、ない方が事を決するには便利でしょうけれども、国全体の財政の立場からいえば、やはりなければならぬものだと私は考えております。
  85. 楯兼次郎

    ○楯委員 それは大臣、あなたは労働問題ということをあまりお知りにならぬと思う。だから今大臣の答弁を是認すれば、これは不当労働行為にもなると思う。あなたは公共企業体労働関係法の否定ですよ。否定ともう一つは当局側交渉委員をあなたは無能力呼ばわりをしておると同じ結果です。総裁の方では団体交渉をやって、この給与総額のワクがなくても、そんなばかな破産をするようなベース・アップを認めるというようなことは考えられないのです。そこで話ができなかった場合には、第三者の調停委員会があり、仲裁委員会があって、妥当なる結論を出す。自民党の皆さん方にはおしかりを受けるか知りませんけれども、当然その裁定は実施すべきであるにかかわらず、政治的な考慮によってこれが実施をされておらない。当初この公共企業体労働関係法ができたときには、給与総額のワクはなかったのです。ところが、一つワクをはめてやれ、そうなると、寝ておって組合をあやつっていける。そういうことからあとではめたのです。しかし今日、そんな運輸大臣心配するような組合の幹部はおりませんし、団体交渉をやっても、破産をしてもあとの経費をみんな持っていってよろしい、認めましょう、そんなばかな人間はおらないのです。もうこれがあるために、事労使関係は当局者が無能力者、こうなっているわけです。これは理論的に言ったって改正をしなければ筋が通らないのです。だから運輸大臣もそんなばかな考え方を改めていただかなくちゃいかぬと思う。笑われますよ、そんなことを言ったら。総裁どうお考えになりますか。
  86. 十河信二

    十河説明員 私としては、できるだけ自由にしてもらったらいいと思うのです。先刻から皆さんのお話を伺っても、どうも国鉄総裁は勝手なことをしやしないか、ワクをはめなければいかぬのじゃないかというような御意見が強くて、それでどうにもならぬのです。
  87. 青野武一

    ○青野委員 関連して。十河総裁にちょっとお尋ねいたしますが、これは私が昭和二十四年に当選して国会に出てから、第一回から最近までの国鉄専売関係だけ、当時二公社ですが、公共企業体労働関係法で問題が起るたびに、労働委員会で約五年間ほど、私が社会党を代表してこの問題に関係をしてきた。ずっと前ですが、労働大臣をしていた鈴木正文君が選挙に都合が悪くてやめて、ちょうど何か用事があって来たのでしょう。衆議院の廊下を歩いておりますときに、直接聞いたのですが、私が労働大臣のときに公共企業体労働関係法ができてずっと後に、給与総額というものをはめたのだ、しかし給与総額が、たとえば調停委員会結論が出る、それでもなおかつまとまらぬときには、仲裁裁定を出す場合に、こんなものが関所になって話がつかないということはおかしいのだ、そういう目的で作ったのじゃないのだ、給与総額そのものが仲裁裁定が出た場合にそれを全面的にのむわけにいかない、予算上支出不可能だとかなんとかいう口実を設けていろいろなことを言っているけれども、それは僕が労働大臣の当時に決定したのであって、人に言うてもらっては因るけれども、それはやはり与党の政府の陰謀だ、こういうことを言っているのです。だから実際楯君の質問のように、給与総額というものをつけ加えたのは政治的陰謀なんです。しかも当時の労働大臣が、こういうものが仲裁裁定を妨害するということは僕はまるきり考えておらなかった、それで前もってそういうことは計画せずに、ひょっと頭のいいやつか、あるいは河内山宗俊のような頭の悪い悪党がそれをとっつかまえて、それをたてにして仲裁裁定の出たときに完全実施をしたことは、本会議で労働大臣が答弁しておりますけれども、私の知っている範囲では一ぺんもありません。必ず金額を削ってすったもんだ紛糾を続けてやるのは、こういうワクをはめたところに原因があるのです。そうでなければ、十河総裁が常に言っておりますように、三十七万国鉄労働組合の諸君は非常に理解力があって、ものわかりがいいのです。それがこの給与総額があるばかりに、東京駅の駅頭に赤旗を立ててすったもんだやって、あるいは順法闘争をやっているのは、いつもここに原因がある。給与総額というものがなければもっとスムーズに、あなた方公社側と労働組合の幹部の諸君が話し合ったらもっと早く話は解決がつく。こういうものは無用の長物である。私はいつも五年間労働委員会で主張した。日本の労働組合というものは、一部共産党の諸君が指導したのをおそれて、労働組合と名のつくものはアメリカ人から見ると全部まむしのような組合だ、だからどれもこれも縛ってしまえ、こういうことで縛った。今三公社五現業の一つ公社である専売公社というものが一年間争議したって、たばこをのむ人たちがちょっと不自由するだけで、こういうものを公共企業体労働関係法で縛ったって、何の役にも立ちはしない。そんな占領当時の遺物であり、頭の間違ったアメリカの兵隊が考え出したこういう法律は、一切がっさい憲法の精神によって廃案にしてしまえと私はいつでも言っている。むしろこれはない方がいい。あるから問題が起る。そしてまた給与総額なんというものは、ものを紛糾させる原因に残っているだけです。人間で言うたら胃ガンのガンがあるようなものです。これを取ってのければ健康体になる。私はそう思いますから、なるべく一つそういう点について善意ある御回答を願いたい。ほんとうのことを聞いておけば私はそれで得心するのです。実際いうてこれが邪魔になって無用の摩擦をいつも起しているということを、私は身をもって五年間体験している。今でも私は全国の労働組合で一番国鉄の労働組合と近いのです。非常に密接な関係を持っている。私の県連に関係のあった小柳君が中間の委員長をしているのです。私は話をせぬですぐわかる。そういうことをするなといえばしなくてもいい事態が、いつもこの給与総額にひっかかって問題が大きくなる。そういうことを十分考えていただいて、将来無用の摩擦を起さないようにどうすればいいかということを考えれば、これを廃案してここを削除することが一番いいと私は考えているのです。総裁の御意見一つ伺っておきたい。
  88. 十河信二

    十河説明員 御説明はまことにごもっともで傾聴いたしましたが、私どもといたしましては法律なりあるいは国会なり政府決定に従うのほかないのであります。できるだけ努力はいたしますが、どうもいたしかたないということを御了承を願いたい。
  89. 吉野信次

    吉野国務大臣 お話がだんだんございまして、国鉄総裁もまた組合の役員の方も、非常識なことはなさるまいことは言うまでもないことです。しかし何というても何十万という一大威力を擁する組合でございますから、その間の折衝というものでございますから、やはり過当にならないようなために、私は給与総額というものはあった方がいいと思いますので、これを、だんだん御意見もございますけれども、はずす考えは私は持っておりません。
  90. 青野武一

    ○青野委員 もう一つ、給与総額についてこういう考えを持っているということを十河総裁吉野運輸大臣から承わりましたが、これについて私は明日以後、まだ国鉄法の改正案について私の発言の順序が回ってきておりませんから、あらためて別に御質問申し上げるとして、たとえば小さい問題ですが、今質問いたしました内容と非常に緊密な関係を持っている問題です。たとえば現在二等、三等その他にボーイがおりましょう。ところが私があっちこっち走り回って聞いてみると、おお客さんのスリッパをそろえるとか、あるいはまた窓をぞうきんでふいて回るとか、あるいはおりる駅がわかっているから布をもって靴をふいてあげるとか、そうして乏しい給与をチップで補っているが、最近新聞で見ますと、二等その他のボーイはチップをもらってはならない。ところがそういうことで各駅、各列車ごとに調べてみると、十年、十三年も勤めている程度のボーイさんで、一人で三列車ぐらいを受け持たされて、そうして手取りが八千五百円から九千六百円程度が大体今非常に多いのではないかと思う。十年以上勤続をして、そうして一万円の手取りがないという状態、しかも一方においてはお客からチップをもらってはならぬ、こういう工合の規定をしてしまうでしょう。新聞の報道が真実かどうかわかりませんが、近いうちにそういうことをやめさせる。そうするとやめさした一面においてはチップをもらえないから、十年以上働いておる諸君が税金を引かれて一万円以下の給料に甘んじておる。それではやっていけない。だから国鉄はチップをもらってはならぬということでやめさせるが、特別にベース・アップをしないだろうと私は思うのです。それが紛糾の種になる。そういうことが問題を将来に残すのです。今の給与総額もその通りなんです。問題が起る、総司令部の支配下にある、起っては体裁が悪いから、すべてあっちの軍事力にたよらなければならない。二・一ストのような問題はマッカーサーの手に握られて解決された。だから何とか一つこれはブルドックにさるぐつわをはめてやろうじゃないか、人間ならマスクですから自分で取れるけれども、土佐犬でもがぶっとマスクをはめられたら始末がつかない。そういうものが依然として残っておる。そういう占領時代のとにかく度はずれためちゃくちゃな法律を取り除かなければならぬ者が、何を考えたか与党の政府は、憲法は占領時代に無理押しに作られたからこれを改正しなければならぬと言っておりますが、そういう点はどうするのです。そういう点はほおかむりをして通しているでしょう。だからそういう点は国鉄総裁なり運輸大臣あたりが、こまかい問題ではあるが、国鉄の生きた人間を使っていくのです。それが一方においてはチップをもらってはならぬといって、三つの列車ぐらいを担当さして仕事をさして、給料は上げてやらない。十年以上勤続して一万円足らずの給料では食っていけないことはわかり切っているのです。相当の年配になっているのです。そういう点はやはりこの給与総額に関係があるのです。一方においては禁止するが、一方においては一つもその待遇を改善してやらない。そういう点から私は問題が起ってくると思いますが、これは私の正式発言をもらって、少くとも三時間か四時間御質問申し上げるつもりでおりますから、そのときには全部出て参りますけれども、大体御答弁をしていただければ、一つ国鉄総裁から御答弁をお願いしておきたいと思います。
  91. 十河信二

    十河説明員 ただいまのチップの問題は、言葉ははっきり私覚えておりませんが、お客さんに対するサービスはどこまでもよくしてやってほしい、ただしお客さんにチップを請求するかのごとく誤解されるようなことはやってはならぬ、そういうことはやめてほしいという意味のことを言ったことはあります。そういうことが新聞にどういうふうに書かれてありましたか、ちょっと今記憶いたしておりませんが、事実はそういうことなんであります。給与をできるだけよくするということについては、私もできる限り努力いたしたいと常々考えております。
  92. 下平正一

    下平委員 ちょうど労使の問題で質問がありましたので、一つ二つお伺いしておきたいと思いますが、国鉄の労働者が何百万人、何十万人いようとも、これはやはり良識を持った人間であります。従ってブルドックで何とかということもあったが、そう狂暴性のあるものでもないのです。やはり今日の日本の経済の実態とか敗戦の実情というものをよく理解をして、再建をする意欲だけは十分に持っているのです。この労使の間のいろいろの紛争とか、あるいはいろいろの意見の食い違いというものを解決する方策としては、いわゆる法律というものがある程度強権を発動していくという形は好ましくないと思うのです。やはり労使の間で十分な話し合いをして、その話し合いの結論によって運用されていくという形が一番好ましいと思うのです。そういう意味で、私は給与総額なんかは一番まずいものだと思うのです。今どうして紛争が起きてくるかといえば、日鉄法に非常に問題があるのです。たとえばきょうの中居さんの質問、この前の私の質問等を通じて、国有鉄道というものは企業体として十分な能力を発揮させなければならぬ、こういうことを中心に言われておると思います。ところが企業体として能力を発揮する場合に、やはりそこに使われておる労働者の意見なりを聞き、労働者がその企業の実態をよく知って、あるいは企業公共性、重要性というものをよく認識して、快く働くという形ができなければ、企業の実績は上らぬと思うのです。そういう面からこの日鉄法をながめてみると、非常に不備な点が多過ぎるのです。たとえばほかの国の公共企業体等を見ても、公務員というような性格をはずして、企業体にふさわしい形に置くというようなことが当然法律でなされておるし、あるいはその財産の管理等について見ても、国家財産としての処理をしないで、一般の民間財産としての処理をしておる。そういう形がとられておるのです。ところが今日の日鉄法の改正あるいは今度の予算案等を見ると、固定資産税を取るという面や納付金を納めるという、そういう形は企業体としての形からは当然だという理論で行われてくるが、対労使関係になってくると、これは少しも行われていない、こういうところに私は非常に問題点があると思うのです。日鉄法の中においても当然団体交渉できめられるべき事項——一般の公務員というもののワクをはずしたのですから、労働関係は公労法によって適用されていくべきことなんです。ところがたとえば二十七条を見ても、二十九条を見ても、三十三条を見ても、三十四条を見ても、あるいは今問題になった四十四条一項、二項を見ても、これらの問題は当然労使の間における自主的な団体交渉にゆだねるべき事項なんです。これを一方的にこう法律で規制してしまった、こういうところに問題があると思うのです。特に二十九条の問題なんかは明らかに公労法に明示されてある。それを日鉄法でまた別な形で縛る必要なんというものは毛頭ないのですけれども、こういう問題を縛ってある。だからこの前にも私が申しました通り国有鉄道総裁考え方によっては能力を持っておる人ですが、考え方によってはもう完全な無能力者だ、国会へ来て答弁をするときには、まあ口を開けば人間ですからものを言うけれども、何の権力もないし、実施する能力も持っていない無能力者だ、また一方の経営をする責任者を、事労使関係において無能力者にしておいて、そこの経営一体完全にいくかどうか、これは非常に問題があると思うのです。  そこで二、三お伺いをしたいのは、一体国有鉄道の職員を公務員としてあるのはどういうわけですか。当然これは公務員のワクから除外をされるべきものだと思うのですが、どういう理由から公務員という性格が与えられたか、この点を聞きたいと思います。
  93. 吉野信次

    吉野国務大臣 私もその詳しいことは存じませんが、公務員とは考えておりません。(下平委員「三十四条に書いてある」と呼ぶ)これはただ法令によって公務に従事する者とみなすだけで、パブリック・サービスをするだけの規定ですから、これがシヴィル・サービスの公務員であるとは書いていないわけであります。
  94. 下平正一

    下平委員 あの三十四条は、大臣はそう解釈をされるのですが、これは今までのいろいろの事例から見ても、完全に公務員とみなされておるのです。労働関係においては国家公務員法の適用を受けない、いわゆる公共企業体労働関係法の適用を受ける、こういうことは書いてあります。性格として公務員に準じた取扱いというものを受けておる。全く公務員と同格にしていろいろの問題が扱われておる。たとえば一、二の例をあげれば、国鉄の職員に対する妨害行為があればこれは公務妨害罪です。これは公務員じゃないですか。三十四条から当然出てきているでしょう。そうすると国鉄の職員に対して、いろいろな一般の人が改札口をけ破って出たとか、旅客が暴行した、こういうような場合には公務妨害罪は成立しないのですか。成立しているでしょう。これはやはり公務員でなければ公務妨害罪は成立しないと思うのです。こういう点はどうなのですか。
  95. 吉野信次

    吉野国務大臣 それは言葉の問題ですが、公務員というものは、これはシヴィル・サービスですね、官吏、公吏ですから。これはそうでないということはこの法律にはっきり書いてあるのです。ただ私的企業とは違います。これは国有国営の企業ですから、そこに従事する者は、公けの、国有国営の仕事に従事をする者、こういうことだけをこの三十四条で書いてある……。
  96. 下平正一

    下平委員 国有国営の仕事ですか。
  97. 吉野信次

    吉野国務大臣 国有国営です。それですから国有鉄道は普通の民間企業じゃないぞということだけは書いてありますけれども、それがすなわちすぐ公務員ということじゃない。公務員というものは一定の資格要件がございまして、そうでないことだけは法律で明瞭だろうと思います。
  98. 下平正一

    下平委員 実際の具体的な事例をとらまえて御質問をしているわけですが、そうすると国鉄の改札口で酔っぱらいが暴行する、あるいは車掌に対してチンピラが暴行する、これは公務執行妨害罪として成立をしないのですか。
  99. 吉野信次

    吉野国務大臣 公務ですからそれはしましょう。それと公務員というものの観念とは違うということを申し上げたのであります。
  100. 下平正一

    下平委員 公務を執行するのは公務員以外でもできるのですか。国鉄従事員の場合、公務に従事するものとみなすということは、個々の人が一つ一つの条件でなくて、国鉄職員というものが公務に従事するものとみなす、こういうことなのですか。
  101. 吉野信次

    吉野国務大臣 もっとはっきり例をとれば、たとえば銀行に従事している者、これは公務員でないことは明瞭でしょう。しかしそれを妨害すればやはり公務執行妨害罪として罪にはなるだろうと私は解釈しております。一番はっきりした例を申し上げれば、それで御了解願えるだろうと思います。
  102. 下平正一

    下平委員 今度四十五条、四十六条が改正になりますけれども、この国鉄が持っておる財産というものは、国有財産法上の適用を受けるという建前なのですか。
  103. 吉野信次

    吉野国務大臣 それは受けません。
  104. 下平正一

    下平委員 そこでもう一点だけお伺いしたいのですが、四十四条の関係で、第一項の給与準則の問題は別として、第二項の剰余が生じた場合には、これを認可を受けて賞与としてやってもよろしいということがありますが、今度改正案を見るとちょっとした字句の改正があるのです。従来は「経費を予定より節減したときは」と、こう書いてある。今度の場合には経費を予定より「節減した場合において」と、こう書いてあるのです。これはあとでまた質問しますけれども、ちょうど給与関係の問題がありましたので質問しておきますが、この「節減したときは」という字句を「節減した場合において」というふうに変えたのは、どういう意味があるのですか。
  105. 權田良彦

    ○權田政府委員 御説明申し上げます。これは全く法制的な用語の扱い方でありまして、意味は何ら変りません。ときは、ときは、と続きます場合は、ときは、場合は、と使う例になっておりますので、そういうふうに読みやすくしただけであります。
  106. 下平正一

    下平委員 そうするとそれは従来の取扱い方と実質的には何ら変りはない、そういう意味でございますね。
  107. 權田良彦

    ○權田政府委員 さようでございます。
  108. 楯兼次郎

    ○楯委員 ほかの委員が大分いろいろ給与総額について質問されましたので、私はこの問題についてはやめたいと思いますが、ただこういう点です。運輸大臣運賃の変更について国会の容喙を——容喙と言っては語弊があるかもしれませんが、国会の指図を受けないようにやりたいということと同じなのです。総裁国鉄の中の運営について、これは国会予算修正をやらなければできませんから、給与総額はそれを打ち切りたい——だから運輸大臣運賃について他の容喙を排しようと考えておることと同じなのです。だからあなたの場合には、自分が考えておることはどうも煩わしい、当然公共企業体からいって、運賃決定は、たとえば運賃審議会なりその他によってやるべきが至当である、こういうことと同じなのです。国鉄総裁が自分のところの運営をやっていくために必要である給与の問題について、常に国会決定を待たなければやれない、こんなばかなことはない、こういうことをわれわれは言っておるわけです。この点はどうしたって政治的な立場から主張するだけのことであって、筋が通らないのです。こんな矛盾した法律というものはないのですから、一つよく考えていただきたいのであります。  それから監督局長にお伺いしたいと思いますが、四十三条の二の役員の給与を改正されたのはどういう意味ですか。
  109. 權田良彦

    ○權田政府委員 今回の日本国有鉄道法改正によりまして、在来法律と違いまして役員は職員でない——役員と職員とを厳密に区別いたしたのであります。従いまして役員に対する給与は、職員とは別に役員の給与額、給与準則で今までの給与総額から役員の分を別個にいたしたわけであります。
  110. 楯兼次郎

    ○楯委員 別個にしたというのは別個にしたのですが、その理由を聞いておるわけです。法律別個にしてあることは読んでわかるのです。
  111. 權田良彦

    ○權田政府委員 御説明申し上げます。それは在来理事とは異なりまして、その職能、地位、身分一切が異なって参ります。従いまして職員の地位を離れておりますので、役員としての別個の地位及び給与を確立したわけであります。
  112. 山本友一

    ○山本(友)委員長代理 本日はこの程度で散会いたしたいと思います。明日は午前十時より開会いたします。    午後三時四十八分散会