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1956-04-13 第24回国会 衆議院 運輸委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十三日(金曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長代理 理事 臼井 莊一君    理事 今松 治郎君 理事 木村 俊夫君    理事 畠山 鶴吉君 理事 山本 友一君    理事 青野 武一君 理事 中居英太郎君       有田 喜一君    伊藤 郷一君       岡崎 英城君    關谷 勝利君       中嶋 太郎君    濱野 清吾君       原 健三郎君    堀内 一雄君       真鍋 儀十君  早稻田柳右エ門君       井岡 大治君    池田 禎治君       下平 正一君    楯 兼次郎君       正木  清君    山口丈太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 吉野 信次君  出席政府委員         運輸政務次官  伊能繁次郎君         運輸事務官         (海運局長)  粟澤 一男君         運 輸 技 官         (船舶局長)  山下 正雄君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      權田 良彦君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   岩尾  一君         海上保安監         (警備救難部         長)      砂本 周一君         日本国有鉄道参         与         (船舶部長)  西阪 文雄君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 本日の会議に付した案件  青函連絡航路における浮流機雷問題に関する件  国鉄の経営問題に関する件     —————————————
  2. 臼井莊一

    臼井委員長代理 ただいまより運輸委員会を開会いたします。  本日は委員長が御病気のため、御指名によりまして理事であります私が委員長の職務を代行いたします。  本日は、最初に質疑の通告がございますので、海運に関しまして調査を進めることにいたします。正木清君。
  3. 正木清

    正木委員 私は運輸当局お尋ねをしたいと思うのですが、三月二十七日の当委員会におきまして、青函連絡航路におきまする機雷のことについて、同僚委員の問いに対して当局から、本問題については、海上保安庁海上自衛隊国鉄の三者間で先般いろいろ協議いたした結果、海上保安庁としては、函館小樽八戸からそれぞれ船を工面いたしまして七隻を出し、それから自衛隊から四隻を出し、さらに大型ヘリコプター等を動員して万全の処置をとった、従ってこの処置に基いて、夜間航行を開始することに決定をして、夜間航行を現に開始しておるのだ、こういうような御答弁があったわけです。  そこで私のお尋ねしたいのは、三月二十七日の当委員会において政府のとりましたこの処置によって、青函航路夜間航行は完全に安全なる状態に現在置かれておるのかどうか。その安全なる状態に置かれた上に立っての航行でございまするから、当時青森及び函館その他に滞貨いたしておりました貨物、旅客の輸送等も現在のところではすでに不安が解消されて、完璧な輸送状態になったのかどうか、この点をまず第一にお伺いをいたしておきたいと思います。
  4. 吉野信次

    吉野国務大臣 お尋ねの点は、その後海上自衛隊の方にもいろいろ交渉しまして、そのときに述べたよりはまた船が海上自衛隊の方も若干ふえております。それのこまかいことは政府委員の方から答弁させます。
  5. 砂本周一

    砂本説明員 海上西口におきまする警戒態勢をまず申し上げますが、海上保安庁船艇をもちまして、海上を常時二隻ないし四隻が警戒する態勢をとっております。これに振り向けます船艇は七隻でございます。もちろんこれは巡視船として大型船二隻以上を必ず含めるように配船しております。現在までの報告によりますと、海上自衛隊も同じく二隻ないし四隻常時哨戒のラインにつけておりまして、これに振り向けております船艇は、報告によりますと、九隻のように承知しております。これを組み合せますと、常時警戒の線についておりますものが四隻ないし六隻、ときにはダブリまして八隻になる場合もございます。こういう態勢で、国鉄当局とも十分連絡協議をいたしまして今までの経験からいたしますならば、夜間航行に差しつかえない状態と私どもは認めまして、関係者三者が十分連絡し、努力して、より安全な状態を維持している現状でございます。
  6. 正木清

    正木委員 ただいまの海上保安庁当局者からの答弁安心をいたしたわけでございますが、そういたしますと、自今その態勢を持続されまして、今後輸送その他でわれわれ国民は何らの不安を感ずる必要はないのが、一切安心してしかるべきものだ、かように承知してよろしゅうございますか。
  7. 砂本周一

    砂本説明員 これはいろいろ人によって考えは変ると思うのでございますが、私どもすでに数年間経験を持っておりますし、海上の模様につきましては、完璧ではございませんが、相当認識を持っているわけでございます。しかも海上保安庁だけでございませんし、国鉄におきましても海上に対する権威者でもございます。また自衛隊におきましても、全面的な責任者ではございませんが、やはり知識経験を持ってこれに介在しているのでございまして、三者が十分協議して考えましたことにつきましては、私どもといたしましては安全が実際面において確保できる、こういう前提でございますから、どういうふうにお考えになりますか、いろいろ考えがあると思うのでございます。
  8. 正木清

    正木委員 いずれにしても長年の経験を基礎にして万全の処置をとって下さっているのでありますから、私どもとしては安心してしかるべきものだ、実はこう考えておったわけです。ところが大臣政務次官も、本日御答弁に立たれている海上保安庁としてもお気づきになったと思うのですが、四月の十日の東京各紙及び北海道で発行されております新聞は、一斉にこういう記事を掲げておる。「レーダーでもダメ青函連絡船 夜間機雷発見テスト」こういう見出しで国民に対して非常な不安感を与えているという記事が大きく取り上げられておるわけです。あなた方としては当然その記事をごらんになったと思うのですが、私が聞きたいのは、今長年の経験をお持ちになり、責任自信を持って機雷警戒に当って下さっている海上保安庁及びそれぞれの関係当局は、安心してしかるべきものだ、こうおっしゃって下さっているわけですね。その安心してしかるべきものだとおっしゃって下さっているやさきに、北海道新聞記事を見ますと、「津軽海峡の機雷流入シーズンを控え青函局では九日夜青函連絡貨物船檜山丸を使って夜間航行連絡船サーチライトレーダー機雷発見できるかどうかについてテストを行なったが、その結果はサーチライトで照射しても発見できないほかレーダーは全く役に立たず、夜間航行機雷発見は不可能という結論に至った。」その結論に至った理由が大きく報道されているわけです。私はこの機会に、海上保安庁ではなく、直接の責任当局者である国鉄関係者から、果して九日に国鉄はその檜山丸をもって、サーチライト及びレーダーをもって機雷発見のためにこうしたことがなされたかどうか、なされた結果はこの新聞で報道されているように実際にサーチライトレーダーも役に立たぬのかどうか、この試験をした結果を責任ある当局からこの委員会において明らかにしてもらいたい。
  9. 砂本周一

    砂本説明員 ちょっと先ほどの御質問で、現在やっております警戒態勢警戒目標と申しますか、効果関係がございますので、私から御回答申し上げたいと思います。レーダー効果につきましてもまたサーチライト使用につきましても、私ども従来からいろいろ研究をし、なるべく効果的な使用努力しておるのでございますが、その新聞記事からちょっと——私初めて拝見するのでございますが、他の船艇によって十分警戒しておりましても、船自身警戒することはいかなる場合でも絶対的な要件でございます。それで西口において警戒いたします最も大きなねらいというものは、夜間航海連絡船がちょうど乗るであろう海面を日中において十分警戒して、その警戒エリアにおいては機雷はまずないようにいたすわけでございます。それは御承知のように海峡にはかなりのカーレントがございますので、時間がたつに従って東進いたします。そのかなり広いエリアがちょうど夜間航路筋を通るようになっておるのでございまして、もし完全に哨戒し、私どもが承知いたす状況において潮流が流れるのであれば、そのエリアは安全だと、かように考えておるわけでございます。しかしなお各船が通りますときには、船長責任において十分警戒しなければいけない、その意味においては船が持っておりますレーダーなり、あるいは見張りの手段といたしましてサーチライトその他のものを利用して、自船付近の安全をみずから警戒して通る。そのみずからの警戒手段として、どれだけの効果があるかということをテストになったのだと思うのであります。従って新聞記事にあるものもほぼそれに近いものではないか。レーダーもいろいろ条件がありまして、常に確実に小さな機雷発見するということは、私ども最初からはそう期待はしておりません。しかしながら次善の策とし、できるだけの努力方法をもって自船の警戒に当る、そのテストをなすったのだと思うのであります。しかしそのほかに先ほど申しましたように、船艇を動員いたしまして、昼の間に、昼と申しましてもいろいろ気象の状況によりまして、昼でも非常に困難な面もございますが、努力によりまして安全な海面を作って、それを夜間航海に提供する、こういうような両方の警戒態勢をもって機雷に対処しておるわけであります。
  10. 西阪文雄

    西阪説明員 ただいまお尋ねのございました実験でございますが、今砂本部長からお話がありましたように、私たちといたしましては海上保安庁で哨戒願いました安全な水域を前提といたしまして、夜間航行をいたすわけであります。しかしその上にも目船といたしましても十分に警戒態勢をとるべきでございますので、夜間としてわれわれが考えております警戒態勢がどれほどの実効があるものかということにつきまして、実験いたしましたのが今月九日の夕方でございます。九日の夕方七時半から九時半までの間、函館の港外で機雷の模型を作りまして、それについてレーダー運航速力で走っておりますときにどれほどの距離発見できるか、また船がつけております探照灯でどれほどの距離発見できるか、その発見できる距離によりまして船が機雷をかわせるわけでございますので、いかなる距離発見し得るかということが大きな眼目なのであります。まずレーダーによりますと、私どものつけておりますレーダーは、どの船もつけておりますスぺリーのマリーン・レーダーというのでありますが、これでは今の機雷が浮流しておる状態においては、もう絶対波がないといってよいくらい静かなときは別でありますが、少し波がありますととうてい発見することができない。船に備えております探照灯は三キロワットのものでありますが、これは船に備えておる探照灯といたしましては相当効力の強いものでありますが、それでも大体あの付近機雷があるという想定で走らせておりまして、やっと百五、六十メートルのところで見つかるということでございますので、これもとうていその程度の距離で見つけたのでは、その後指令をして船を避行させましても及ばないということになるわけであります。そういうわけでありますので、夜間におきましては探照灯によりましても、またレーダーによりましても、自衛態勢は十分な効果を期待し得ないということを確認いたしたわけでございます。
  11. 正木清

    正木委員 国鉄当局として、九日檜山丸を使って非常に重要なこの試験をされたということは、ほんとうにそうあってしかるべきものだと思う。海上保安庁当局は長年の経験とこれだけの警戒態勢を整えているのだから、国鉄当局国民政府もまかせなさいと言わぬばかりの御自信のある御答弁ではございますけれども万が一事故があったときの面倒の責任はどこかといえば、これは海上保安庁が私の方で負しますとは、この席上では言い切れないと思います。言い切っていただければまことにけっこうですが、おそらく言い切れまいと思います。国民の非難の声は、理由のいかんにかかわらず国鉄当局に集中されることは当然であろうかと思います。そういたしますと国鉄当局としては、試験の結果がこういう結果になって現われようと現われまいと、やはり万全な警戒態勢をおとり下さる。とるということは私としては当然そうあってしかるべきものだと思う。そこで私は大臣お尋ねをしたい。極端論になりますが、海上保安庁自信責任を持って警戒態勢をとって下さっているのですから、国鉄当局試験の結果を大々的にこのように発表されて、関係国民には非常な不安感を与えているときですから、私の口からは言いたくないのですが、万が一ということがございます。その万が一あったときに、海上保安庁当局は記録の上で心配するな、安心してもらいたい、こう言い切っておる。国鉄船舶部長は、試験をした結果は外少波浪があるとその効果はゼロにひとしいものだ、こう言う。万が一の場合政府として、また担当大臣として、あなたはこれらの問題をどう処置したらば最善の方法を見つけることができるのか、こういうことについて大臣は、あなたの関係機関命令をして何か具体的な対策講じさせておるのかどうか、この点を聞いておきたいとおもいます。
  12. 吉野信次

    吉野国務大臣 ごもっともお尋ねで、この前にも濱野さんからもその点についての私に対するお尋ねがございまして、私としては、抽象的には現在の科学と経験でできるだけのことをやる以上にはできないわけでございますけれども、しかし今ちょっとここで聞いておったのですが、国鉄のこの試験なるもののレーダーと探照燈にしても、これが一体レーダーとして最上のレーダーなりやいなやということ、また探照燈はもっと大きいものもあると思います。また経済の方の原則もありましょうが、この間からのお話にありましたように、事人命財産に関する問題でございますから、やはり経済原則を越えて、もしもっと性能のいいレーダーあるいは探照燈があれば、これはやはりつけるように私としても勧告しなければいかぬと思います。また諸外国にもそういう場合に、今申しました海上保安庁方面の全般的の何は別こして、お話通り事自体はやはり船自信が当面の責任者でございますから、そういうことをやるについて、一体どういうふうにそういう方面の技術進歩したかということも、私は大いに考慮余地があるのではないかと思いますので、その点につきましても今ここで聞きまして、はなはだうかつな話でございますが、その問題を初めて知ったわけでございますが、そういう方面をもう少し私の方でも掘り下げて、また国鉄側の方にもそういう方面一つ考慮を促してもらいたいと思いまして、要するにこの間からお話がございました通り、身体、生命、財産に関する問題でございますから、あらゆ方法を、なし得る限りの人力をもって、なし得る限りのことを尽さなければいけないものだということを痛感いたしております。
  13. 正木清

    正木委員 私はただいまの大臣答弁で非常に心強く感じたわけですが、第一に緊急を要することは、私も全然知らぬのですが、もし青函連絡航路に就航しておる船に、もっとすぐれたレーダー、もっと強力なサーチライト設備をすることによって、そうした危険が未然に防止できるのだという科学的な結論が出るならば、これは国鉄の財政を論ずるときではないのであって、これは急速にやっていたたかなければならないと思うのです。ただ問題は、そういうことが果してできそものかどうか、私が簡単に聞いたところによると、あの高いところに据え付けてあるレーダーでは、何か役に立たないのだということを実は昨日聞いたのです。実はこれは意外だったのですが、こういう点について、私はこの際海上保安庁の方から一つ専門的な知識の上で御説明を願っておこうかと思います。  私はこの機会海上保安庁にもう一点お聞きしておきたいと思うことは、これは偶発であったかもしれないのですね。前回当委員会で問題になった三月十日、あなた方が非常に警備を厳にしてくれておったこの西口のA、B、Cのライン警戒が、どういう御都合であったか知らぬが、警戒態勢を若干ゆるめた一その次の日の三月十日は、この青函航路の中央を突破して、東口で機雷発見され、それが大問題になって、夜間航行を禁止しなければならなくなったのですね。私は海上保安庁の今の予算から見た設備全体を考えてみて、一言聞いておかなければなりませんことは、これからは台風の季節にもだんだん入ってくる。それから各漁獲の最盛期にも入ってくる。そこで漁船の遭難その他いろいろある。SOSが発せられる、そういう場合に海上保安庁としてのお役所としての立場から言うと、SOSは発せられる、限られた船しか持っておらない、この青函警備は厳にしなければならない、どちらをおとりになるか。限られた船でどういう処置をあなた方はおとりになるか。私の心配する点は、SOSが発せられ、どうしても助けなければならない。そうすると限られた配置してある船をどんどん各方面に回さなければならない。回したとたんに三月十日のように、またぞろ機雷があなた方の警戒線を突破して、太平注発見されたというようなことが起きますと、あなた方がこの席上で幾ら私にまかせてもらいたい、私の経験から言うと大丈夫だ、こうおっしゃっても安心できないという結論が出てくるわけです。これは結果論を言っておるわけですが、そういうことがなければけっこうですけれども、しかし日本の限られたこの島国で、私は今までの経験から言うと、あなた方の力をもってしては必ずそういう事態がくると予想することは、あえて無理ではない結論ではないか。そういうときの処置海上保安庁なり運輸当局は一体考えていてくれているのか、くれていないのか、この一点だけはやはり責任あるはっきりした答弁を承わっておきたい。
  14. 砂本周一

    砂本説明員 私どもが常に最も苦慮しておる点でございます。しかし現在の警戒態勢は非常に重要でございますので、先ほどSOSとか非常に具体的のお話がございましたが、非常に緊迫した状態におきましては、私ども責任を持ってその処置に当らざるを得ないと思いますが、現在の態勢に変化がありまして、必要がありますときにはもちろん減す場合もございますが、これは十分三者において協議の上、変更したいと思います。それから船の足らないことは非常にごもっともでございまして、現在ここにこれだけの船を集中いたしますことは、非常に困難でございます。困難でございますが、やはり重要でございますから、あえて他の点を抜いてもここにやっております。それから近く予想されます北海道東部地区における鮭鱒漁業に対する海難は、今までも痛い経験を持っておりますので、これにもかなりの船を充実しなければならない。従ってこれは他の管区からも無理してここに集めなければならない、こういう状態でございまして、ここにこれだけの船を確実に配置するということは非常にむずかしい。しかしできるだけやる、こういうのが現状でございますから、御了承願います。
  15. 正木清

    正木委員 私はあなたに責任ある答弁をしてもらいたいと言ったのはその点なんです。すでに三月二十七日の当委員会で、問題が事重大であるために、あなた万は海上保安庁自衛隊国鉄の三者間で現地会議を開いた結果、あなたたちとしては、政府の御命令もあったでしょう。すなわち大臣からの命令もあったでしょうが、すでに船を函館小樽八戸から動員している。そうするき、私はこれが一ぱい一ぱいではないかと思うのです。私の心配している海上遭難事故というのは、これから必ずあると見なければなりませんから、そうなりますとあなたの方としてはどのような措置をおとりになっても、事SOSが発せられれば、ここへ動員されている船をいやでもおうでも急派しなければならなくなる。当然そうなると思う。その場合、国鉄立場になると非常な不安感が出てくるわけです。今大臣がおっしゃったように、新しいレーダーと強力なサーチライトを急速に備えつけて、それで試験をした結果安全だという結論が出れば、国鉄当局としては自信を持って夜間航行もできましょうが、そういう処置がとられない前に、今海上保安庁の方の警戒態勢が若干でもゆるむと、現実に三月十日のようなことが過去にあるわけですから、国鉄当局としては非常に不安感が出てくる。不安感が出てくれば、洞爺丸で苦い経験を持っておる青函局としては、また各船の船長としては、やはり安全第一主義をとらざるを得なくなるでありましょうから、当然そこで夜間航行禁止という結果論が出てくるのではないか。その結果論の上に立って、本州北海道輸送は一体どうなるか、こういうことになってきますと、さなきだに一ぱい一ぱい輸送をやっております本州北海道輸送量関係というものは、非常に悪化の状態になってくる。私は運輸当局なり国鉄当局としては、このことに対してもう少しく真剣に考えておかなければならないのではないか、当然考えなければならないのではないかと思う。私は決して運輸大臣責任だとか、海上保安庁責任だとか、国鉄当局責任だとかという、これは責任論の問題ではないと思うのです。問題が起きてから責任を幾ら言うてみても、それは結果論なんですから、一体こういうときにはこういう処遇をとるのだ、こういう事態が発生するという想定の上に立ってこういう処置をとるべきだ、こういう対策が私はなされなければならないのではないかと考えておるのです。運輸大臣としてはこういう点の具体策について、国鉄当局に対して厳重に命令を下しておかなければならないと思うのですが、もう一度大臣のそれに対する御方針を承わっておきたいと思います。
  16. 吉野信次

    吉野国務大臣 ごもっともでございまして、実はさっき私が申し上げましたのもしろうと論ですけれども国鉄に対しては、やはり技術的にもう一ぺん再検討の余地があると思いますので、その点はその点でいたさせます。それからこの間もお話が出ましたが、今のお話通り、正直に申し上げまして海上保安庁の方としては船が足りないのですね。そうするとどうしてもたよるところは——この間も濱野さんからお話もありまして、海上自衛隊の方の船以外には、いざといったときにはたよる方法がないのでございますね。それですから従来も時折、海上自衛隊の方と国鉄の方とわれわれの海上保安庁の方で寄り寄り協議をやっておりますけれども、その態勢をもう少し強化する必要があるのではないか。そうしてまたさらに進めば——お話のようにことしは浮流機雷の方が幾らか早目に参ったので、それで早目に警戒態勢をしいて、早目に船が配備についておるわけでごさいますから、ということは、言葉をかえて言えば、ほかの方面にそれだけの余裕がないということで問題になっております。そうすると、これから今お話のような台風なり何なりということにもしなってきますと、その辺についての手配が従来よりも手薄になると見なくてはなりませんから、その場合のことを想定いたしまして、やはり海上自衛隊の方がさしあたっては一番手近だとは思いますので、その方面にはやはりいろいろなことを想定して密接な連絡をとるのみならず、こうした場合にはこう、どうした場合にはこうというような万策を講じておくことが適切ではないか。この間ここで質問がございましたときにも、実は下僚の方にはそういう打ち合せをするようにということで、今手配をしておるところでございます。
  17. 正木清

    正木委員 私はこの機会大臣一つ強く要望をしておきたいと思うのです。あなたの言葉をもってすれは、下僚の方に命じておいた、こうおっしゃるのですが、その下僚でもけっこうですから、早く具体案を作らして、この委員会を通して国民安心感を与えることが、政治の要諦ではないかと思うのです。非常に不安を与えておって、それで事足れりというのでは、私はもう政治でも何でもないと思うのです。  私はこの機会に伊能政務次官お尋ねしておきたいのです。あなたが朝におったときから非常に熱心に提唱され、野に下って、しかもあなたは政務次官という要職につかれて、さらに御熱心に進めておるように承わっておるのですが、青函トンネルの問題です。もしこの青函トンネルがあれば——これは全く仮定論ですが、あったとすれば、このような心配は全然なくて済むわけですね。従って北海道の総合開発と関連し、東北の総合開発と関連して、国家的な大きな見地に立てば、一ときも早くあの青函トンネルというものは実行に移さなければならないし、またこれを完成しなければならないことは、これは良識ある者のだれしも異論のないところだと私は考えております。これは朝野を問わずそうあってしかるべきものだと考えておるのですが、一体本年度の予算で、そういう方面についてはどのような予算をお持ちになり、今年度はそれのためのどのような具体的な事業をお進めになっておるのか。この点、この機会に詳細に一つ御発表を願いたい。
  18. 伊能繁次郎

    ○伊能政府委員 正木先生から青函航路につきましていろいろ御心配をいただき、それに対するわれわれ当局側としての対策等については御説明申し上げた通りでありますが、さらにさかのぼりまして、今後これらの問題を抜本的に解決をする青函航送の問題につきましても、かつて関門隧道と同様な立場で、従来国鉄当局としては研究をいたして参りました。ことに最近におきましては四国本土の連絡隧道、青函連絡隧道等の問題が、大きく国の輸送幹線としても取り上げられまして、すでにいろいろと国鉄当局においても調査中でございましたが、青函隧道については従来の調査研究の結果、技術的には可能であるという結論が一応出来たわけでございます。先般来昭和三十年度の鉄道建設審議会においても、この点は四国連絡隧道の問題と同じ観点からいろいろと御審議を煩わしまして、昭和三十一年度においてはすでに御承知のように、既定線三十線のうち相当完成を見たものもございましたので、本年度から懸案の七線の追加着工も行われましたし、また予定線十一線の追加の問題に関連して、先般の建設審議会においては、四国、本土連絡隧道の問題と青函隧道の問題については、建設費でない国鉄の予算をもって急速に具体的な調査を開始すべきであるという御決定をいただいた次第でございます。それに基いて国鉄当局としては目下鋭意これが具体的な調査の計画と申しますか、またそれに基いて各案の具体的な路線の問題、また青函については橋梁の問題は問題になっておりませんが、四国連絡隧道の問題については鳴門方向における橋梁問題、隧道がいいか、橋梁がいいかというような具体的な問題についてもすでに検討に入っております。青函の隧道についても目下急速に調査を進めておりますので、いずれこの内容がある程度皆様の前に御報告ができるようになりましたならば、ぜひ御審議をいたたきたいと考えております。  ことに御指摘のように最近北海道の開発については、国の政策として北海道開発庁の徹底的な整備の問題もございますので、私をして卒直に申し上げることをお許しいただくならば、青函隧道の問題は多額の経費を要しますので、これは国全体として、北海道開発の一環として国の経費でこの問題をお取り上げいただくことが、国鉄の財政の現状から見てより適当であり、より早くこの問題に着手ができるのではないか、かような考え方を持っている次第でございます。この点については青函航送の問題について、由来特定運賃設定の問題もございまして、北海道方面には経済的な意味において輸送の円滑を欠いている。と同時に今回のような問題で現実の貨車航送連絡船の上においても、浮流機雷のために輸送の円滑を欠く。こういう面からもどうしても国の経費でこの問題をお取り上げいただかなければ、なかなか現在の国鉄の財政上の力をもってしては、百年河清を待つというわけではございませんが、長年月を要する。従ってこの問題についての具体的な計画、具体的な調査内容を精密に作り上げました暁には、ぜひわれわれとしては国全体の問題として取り上げていただきたい、こういうつもりで目下調査を継続中でございます。
  19. 正木清

    正木委員 もう一言政務次官にお聞きしたいのですが、鋭意今具体案を策定中だ、こういう御答弁でございますが、その具体案、計画書なるものは大体の見通しとしてどれくらい月日がかかるのか。今年度の秋ごろまでに具体案ができて、今あなたの力強い御答弁のように、国策として取り上げることができるのか。それとも来年の今時分になって、ようやく青写真ができ上るというようなことなのか。問題が非常に大きいだけにやはり国民の関心も高まっているときですから、その計画書の作成の見通し等について何か事務当局の方から報告でもあれば、この機会に承わっておきたい。
  20. 伊能繁次郎

    ○伊能政府委員 この問題は御指摘の通り非常に大きな重要な問題でありますと同時に、国鉄理事者側におきましてもきわめて慎重な態度で目下調査研究を進めておりますので、いつごろ今御指摘のような計画を御審議いただけるかという点につきましても、国鉄当局協議研究の上、なるべく早い機会にお答えいたしたいと思います。
  21. 正木清

    正木委員 ぜひ一つあなたの御答弁のように構想だけでもけっこうですから、早い機会に当委員会で御発表願いたいと思います。  最後にもう一点、海上保安庁の担当官に聞きたいのだが、先ほど国鉄船舶部長から檜山丸試験の結果の御答弁があったわけですね。大臣はそこで新しいレーダー、強力なサーチライト使用することができるのであれば、国鉄の財政いかんにかかわらずそれはやらなければならない、国鉄に対してそういうような命令処置をとるという御答弁があったわけですが、あなたは専門家ですから最後に一言聞いておきたいのですが、そういうものが実際あるのですか。そしてそれを取りかえれば、あなたの万の手薄になったときには、国鉄自身がおのれの船を守るためにその新しい設備に取りかえ、それで危険を警戒しながら夜間の運航もできるのだということであれば、こんなけっこうなことはないと思うのですが、一つ専門家の立場からあなたのほんとうに良心的な答弁を願いたい。
  22. 砂本周一

    砂本説明員 私は電波関係については専門家でございませんが、国鉄にもりっぱな技術者もおられましょうし、それから今お尋ねの点の、現在装備したものと比較して画期的な性能を持つものであるかどうかということにつきましては、私まことに残念でございますが、ここで私見を申し述べることはちょっと——なお私ども関係がございますから研究はしておりますが、はっきり御答弁はできません。
  23. 正木清

    正木委員 どうですか、船舶部長、あなたがそういうことを御存じだったら、ここではっきり答弁を願いたい。
  24. 西阪文雄

    西阪説明員 私の方といたしましてはいろいろ調査したわけでありますが、機雷は一メートルほどのもので、四分の三ほどが水の中に入っているわけです。出ていますのはせいぜい一尺前後というわけです。それで私たちの承知している限りでは、このごろのレーダーは電波が反射してきて自分の方に姿が映る、それで発見するわけでありますから、波がありますと波の裏に隠れてしまう、一尺そこそこしか出ておらないわけですから。それですから、まず電波の反射によって見ておりますレーダーでは、波がるときにはきわめて困難であると私たち考えております。それから光力の点については、これは私たち実験いたしまして、どんな光が当ろうかと考えたわけでございますが、どうも昔海軍でお使いになっておりましたようなあの炭素棒をもってする光、光源でございますね。あれで照らしますならば、私たちの希望といたしましては少くとも五百メートルくらいより先に、あれが機雷であるということが確認できませんければ、それから船長に伝えて、船長がかじとりに伝えて、船が作用して回転するわけでありますから、少くとも五百メートルより先において、あれが機雷であると確認できなければ効果がないわけでございます。その点から考えますと相当の光力を必要といたしまして、さっき申しましたような海軍でお使いになっていらしたようなものでもあったら、あるいはできるかもしれないがという程度のところでございます。
  25. 正木清

    正木委員 大へんたよりない御答弁なんですが、この試験の結果はこう書いてあるのです。「しかも船の前方約百三十メートルまでの照射が精一ぱいのうえ、」とあるので、あなたのおっしゃるようなそういう強力な探照灯がもしあるとするならば、レーダー大臣が御心配になるようなことができないならば、せめて探照灯だけでも急速に取りかえる措置をすべきではないか。万全な措置を講じておれば、なおかつ最悪の不幸な事態が起きたときでも、私は国民に対して申し開きができると思う。ここはやはり、万全な措置を講じないでおって、最悪の事態が起きてきたときにその責任の所在を論ずることは、私は愚の骨頂ではないかとこう考えますので、どうかこの点は運輸大臣にも強く要請すると同時に、国鉄当局にも強く、要請をしておきたい。これは相手が機雷ですから、万全々々といってもなかなか骨ではありましょうが、人の力でなし得る最大のことは努力を払ってもらいたい。以上のことを強く希望いたしまして、私の質問を終ります。
  26. 臼井莊一

    臼井委員長代理 関連質問がありますので、これを許します。濱野清吾君。濱野委員 政府当局一つお尋ねいたしますが、この前、本問題につきましては同僚諸君からも私からもお願いをしておったのでありますけれども、この問題は、運輸省と国会側とが責任上の議論をすることもけっこうだが、しかしそれだけでは解決がつかぬ、そういう見地からこの前もお尋ねを進めたわけでありますが、ただいま聞くと、われわれがこの前にお尋ねをし、またお願いしておいたことがむだではなかったように思う。ただいまの部長のお話だと、レーダーなどの効力がなくて、これらを発見することはとてもおぼつかないようなお答えであります。さらにまたサーチライトの強いものをお使いになって、できるだけ発見しようというような御説もあるようでありますが、しかしサーチライトをかりに使うにしても、船舶が現在のような状態ではだめだというようなお話結論がなるであろうと思います。船舶の絶対量がないことには、たといサーチライトであってもレーダーであっても、まことに困った結果になると思うのであります。そこで先般も防衛庁からフリゲート艦を一つ増強してもらうようにお考えになったらどうか、こういうお話をお願いしたのでありますが、私どもこれは、運輸省は思い切って防衛庁と相談をして、まず絶対数の船が足りないのだという問題を解決してからでないと、話にならぬと思うのです。大体サーチライトがどうか、レーダーがどうかといったところで、陸上にサーチライトレーダーを備えつけてやるわけには参りますまい。また部分的にはあったにしても、船でやることが一番適切だとこうわれわれは考えているのです。それですから何といっても船が必要なんで、保安庁にも運輸省にも船がないとするならば、これはやはり防衛庁のフリゲート艦をさっそく派遣してもらうことが一等いい方法だと思う。これをこの前お願いしておいたのでありますが、その後の相談はどうなったか、お尋ねしておきたいと思います。  それからこの機雷の問題でわれわれは国民とともに悩んでいるのですが、保安庁、国鉄あるいは防衛庁の方で考えて、一体この機雷はどこの国のものなのか、それから大体どこから流れてくると想定しておるのか、こういう物騒なものがむやみにぼこんぼこん流れてくることはまことに困ったことであって、しかもこの機雷は一説によると第二次戦争中のものではない、最近作られた機雷であって、そしてどうもソ連のようなにおいがするということが通説だといわれておる。私はこういう点はよほど役所も国会も考えた方がいいと思う。久しく前から日本では、ことに国会では戦力とか自衛力とか自衛権とか軍備とか、いろいろな議論がある。この機雷はどこのものであるかも知らぬけれども、無意味にどんどん海の中に投げ込むはずがない。何か意図があって、そして流れてくる機雷に違いない。この機雷の本質はむろん何ものかを破壊する性質のものであって、わが国としてはどうしても防がなければならぬ。私はこういう機会にこそ自衛権が発動されてよろしいと思う。少くとも機雷そのものだけ防衛権、自衛権というものが発動されてしかるべきものであって、そういうことの必要のためにわれわれは軍備を主張しているのだ。運輸大臣はこの問題についてフリゲート艦をどんどん要求してもいいじゃないか、フリゲート艦を派遣する必要がないと思うならば、私は大へんな間違いだと思う。こんな戦力をぼかんぼかんと海峡に流されてはたまったものじゃない。そのために船がなければ、防衛庁からどんどん派遣するように強く要請した方がいい。防衛庁に異論があるとすれば、われわれはここに防衛庁に来てもらいたい。いつまでも、科学者でない、技術者でない部長が、そのようだとか、あるいはレーダーはきくとかきかぬとかいうようなことを言っていて、正木君の言うように万が一のことが起きたら大へんなことだと思います。そういう危険が予見されていて、この委員会では再三にわたって論議され、しかもまた試験中、研究中だ、努力する必要があると思う、そういう言葉のやりとりだけでは、万が一の場合に一体だれが責任を負うのか、これは役所が負うよりほかないのだが、まことに私は考えてみて困ったことだと思いますから、まず船の絶対数量を増すことだ、都合によってはあの海峡を船で封鎖するくらいな措置をとるべきだ、こういうふうに考えておるのですが、この前のお話のフリゲート艦を一体どれだけ増すことに成功したか、この点について一言お伺いしたいと思います。
  27. 吉野信次

    吉野国務大臣 お話の点はこの間要請がありましたので、私も努力はいたしましたのですが、なかなかお話の点まで参りませんが、それでも実は今度初めてだろうと思いますけれどもフリゲート艦を一隻だけ出してくれました。それからあのお話がありましたので、ほかの船も、先ほど申しました通り初めは四はいか何ばいかしか出ておりませんでしたのを、九はいまで出してくれるということになりました。しかしこれではまだ十分でございません。防衛庁にはまたフリゲート艦についての防衛庁の考えがございますから、こちらの一存だけでもやりにくい点がございますが、しかしさっき正木さんのお話もございまましたように、どうしてもこの問題は、やはりこれからだんだん災害時期になりますから、もっと向うの方に引き続き話を進めまして、そして具体的にいろいろな場合を想定して、この場合にはどう、どの場合にはどうということにして、事前にフリゲート艦の出動をも予定をするようにお願いしたい、こう思っております。ただお話の点については、私の答弁があるいは非常に手ぬるいかもしれませんが、その程度の努力はいたしておるつもりであります。  それから機雷の出所についてはいろいろな何がありまして、今までの分についてはちゃんとみな書いてありまして、日が入っておりますから、一つもあいまいなものにないのであります。なお詳しくは海上保安庁の方から説明いたさせます。
  28. 砂本周一

    砂本説明員 問題になっております活流機雷の出所でございますが、これも現実に私どもが直接調べたものではございませんけれども、流れたものの処分の際に解体することもございますし、それによりますとソ連の文字が入っておりますことと、製造工場における製造工程において、検査とかその他の工程がございますが、中にそれに使ったらしい伝票的なものもありますので、そういう文字その他からの推定が一つでございます。それから日本海に出て参りました現在の機雷は、やはりこれも推定でございますけれども、朝鮮動乱を契機に流れてきておるわけでございます。それからこれも多分に推定でございますが、日本が知る範囲におきましては、そういった機雷を朝鮮方面で作った実績はないと思うのです。それからこれは係留機雷と申しまして、ワイヤーでつないで係留しておくわけでございますが、これは腐食あるいは波浪によって切れることは確実に想像がつくわけです。それから北鮮方面に敷設したものは、これも今までの海象、気象の調査に基きますと、やはり日本近海に現在出現する状態において流れてくることも、これもそういった基礎資料によって判断するならば確実にその予想がつくわけでございます。こういった点からいたしまして、ソ連製の機雷であり、かつその敷設機雷が腐食とか、あるいは海上でございますから波浪によって切れたものが、いろいろな気象、海象の複合されたものによって漂着する、大体こういうことでございまして、他の意図その他につきましてはまだ何らの根拠は私どもにございません。
  29. 濱野清吾

    濱野委員 平和を標移するソ連製と思われる機雷が、青函連絡船を非常に苦しめている。まことに奇妙なる現象であって、私どもはこの問題だけは一つ万全を尽して解決したい。どこで作られた機雷であっても、万が一のことがあれば日本国民の生命を奪い、財産を喪失させるものであります。従いましてこの問題は、国民立場から考えても、フリゲート艦をどんどん増加して、そうして封鎖するくらいの意気でこの海上の保安を全うしたい。およそ社会党の諸君も、今いろいろ議論があったようだが、この問題については反対もあるまい。ソ連製と思われる機雷を、フリゲート艦を出動させて、そうして国民の生命、財産の安全を維持するという点については、社会党の諸君も賛成だろうと思う。どうぞ大臣、もっと強力に防衛庁と協議してすみやかにこの問題の万全を期されることを切にお願いする次第であります。
  30. 臼井莊一

    臼井委員長代理 関連質問で原健三郎君。
  31. 原健三郎

    ○原(健)委員 私はさいぜん正木君の質問されました青函隧道の調査、それに関連してでございますが、政務次官はこれに対して非常に力強い御答弁をなさいました。その際本土と淡路、四国の直通鉄道、直通交通のことにも触れられて、目下調査中であるという御答弁をいただいたのでありますが、この際もう少し積極的に調査を進めてもらいたいという意向を持っておるのですが、過般ここで私が質問いたしました際、国鉄当局としては、調査はやることはやるが、ほんとうにいつから着工するかということがきまって、資金その他ができて、それが確定するまでは、まあまあおざなりの調査よりできぬという意味の答弁があった。そういうことを言うておると、この前も申したが、それは卵が先か鶏が先かというので、資金ができなければ調査はあまりやらない。また資金の方は、調査も完了しないうちに国家的資金を出すこともなかなかむずかしいということになるのであるから、この際は、ものの順序からいうと調査が先になるのは当然である。だからそういう国家資金の方は国鉄ではできないであろうから、それは政府やわれわれにまかしてもらって、そこにいくまでの調査だけは完了してもらいたい。資金ができたら、この程度にこのくらいの資金が要る、それにはこういうふうにしてやるという、調査の完了までは国鉄において運輸省が鞭撻してやってもらいたい、これを特にお願いいたす次第であります。青函連絡も本土、淡路、四国も、過般のいろいろな災害から、全国民の注目の的になっておるところであります。こういう点について政務次官の明快な答弁をお願いしたい。
  32. 伊能繁次郎

    ○伊能政府委員 正木先生のお尋ねに関連いたしまして、四国、本土連絡燧道の問題にも若干触れたわけでありますが、御指摘のように先般本委員会において日本国有鉄道高原建設部長から、原先生御指摘の諸般の問題についてお答え申し上げましたが、その後鉄道建設審議会におきましては、現在の状態では不十分である。従って鉄道建設費を使わすして、国有鉄道の経費で即刻調査を十分に継続するようにという御決定をいただいたわけでありまして、国鉄当局といたしましてもその趣旨に基いて、目下さらに調査を進めておるわけでありまするが、すでに本委員会において御説明申し上げましたように、鳴門海峡等においては、二百メートルもしくは二百メートル以上のスパンの橋梁によって、この目的を達することができるかどうかというような技術的な問題につきましても、外国等の現に工事をやっておる個所の資料の収集その他のことを急速に進めて青函隧道と同様に調査だけはできるだけ早く完了をいたしたい、こういうつもりで国鉄当局の方にも申し入れをいたしておりまするので、お尋ねの趣旨のような形でなるべく早い機会にこれらの問題をまとめて、いずれ本委員会にお諮りを申し上げたい、かように存じます。
  33. 臼井莊一

    臼井委員長代理 海運に追加してさらに陸運についても通告がありますので、この際一括して調査を進めることにして、資疑を許します。山口丈太郎君。
  34. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私はまず先ほど来問題になっております機雷の問題について、言質問をいたしたいと思います。濱野委員から海上自衛隊のフリゲート艦を出動させて機雷処置をしろ、こういう非常に勇ましいお話であります。しかしフリゲート艦を出して機雷と戦争をやってみても、機雷の根源を絶つことはできません。青函間の航路を安全にするためにどれほど船をよけいに出して警戒いたしましても、それをもっていたしましてもそんなには安全ではないわけです。一番安全なことは、ソ連製の機雷であるということが明らかであり、少なくとも朝鮮事変以来こういう浮流機雷が増加して参ったということになりまするならば、その機雷使用している海面もまた明らかだと思うのです。ですから、その使用しておる海面がどこの国に所属しておるかということも、これはもうきわめて明らかなのです。議論の余地はありません。七の議論の余地がないものを、ただ小手先でどれほどに議論をしたとしても、この浮流機雷の絶滅を期することはできない。そんな勇ましいことをどれほどやったってだめです。問題は、共産圏であるために、いわゆる国交回復していないために、あるいはソ連と政府との正常な交渉も否認する。あるいは北鮮との間における政府と向うの最高責任者との間における交渉も否認する。そうしておいて、そういうような態度でおって、ただ海面でどれほど勇ましいことをやっても、それはできない相談である。そんな矛盾したことを言っていてもためだと思うのです。日本人である限り、私はそういう特攻的な精神を発揮するのならば、よろしくここでわれわれが決議をして、政府がそれらについて交渉しないというのなら、私は日本人としてソ連に行って、あるいは北鮮に行って、その根源を断つために交渉をしてしかるべきだと思う。人道上の問題であると思う。しかるに今日政府がそういうような措置をとらないで拱手傍観して、そうしてわれわれの交通線を常に脅かされて、多数の国民がその犠牲になるということは忍び得ないことなんです。これについて一体どういうお考えを持って臨んでおられるのか、私は疑わしいと思う。これは運輸大臣としても次官としても。少くとも政府の最高の責任者としてその事態に対処せられておるのでございまするから、従って私はこれについてあなた方の態度を明確にしてもらいたい。そうでなければ、この機雷の根源を断つことは不可能であります。どうでしょうか、その点について一つ明らかにしていただきたいと思います。
  35. 吉野信次

    吉野国務大臣 今お話の点は、日ソ国交調整の全般に関する問題でございますから、私がこれに対してとやかく言うべき立場にも今ございません。しかしこのことはお話がございませんでも、とにかく先ほどの政府委員の方から申しました通りに、ソ連製であるということが明瞭なんですから、そのつど実は海上保安庁としては外務省にそれだけのことは通告しまして、外務省の方に善処方をわれわれとしては要望しておる、この程度のことはやっておる次第でございます。
  36. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私は今の運輸大臣のきわめて常識的な答弁には満足いたしません。もちろん政府機関としては、外務省にそれに当る責任のありますことは承知しております。それに対してしかるべき措置を講じてくれということを言われるのもこれは当然な話です。ところが現在それがとられていない。私の申し上げるようなことがとられていない。これはこういうような事態に直面してもなおかつ拱手傍観、ただ小手先の措置しかとられていないと言っても、これは抗弁できないでしよう、ですから、もう少し強く——もう少しどころじゃない、強く積極的に、私の今申し上げたような措置を政府部内で主張せられることが、あなたの大臣としての責任ではないかと思う。もしそれができなければ、青函連絡船機雷によって被害を受けて、また何千人かの人を殺すとすれば、大臣、あなたは切腹ものですぞ。そのくらいな責任感を持ってこれに対処せられることは当然じゃありませんか。いたずらに、国交が回復していないから、あるいは正常なる政府として認めていないからなどと勝手なことを言って、そうして自己の責任を回避するような行為というものは、卑怯千万な話です。そういう無責任政治家がおるから、今日日本政治というものがはっきりしない、どうお考えになりますか。外務省がしかるべき措置をとらないというのならば、あなたみずから進んで行って交渉してくるくらいの勇気はありますか。そのくらいな熱意がなければ、この問題は解決しないのです。どうですか。
  37. 吉野信次

    吉野国務大臣 そこまでのお話になりますと日ソ国交調整というものの全般の問題でございますから、どうも微微たる一運輸大臣として、どうだこうだということを申し上げる立場にない。こう私は存ずるわけです。
  38. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 そういう認識ではだめです。微々たる勢力が集まって偉大な勢力になる。一人がどのように言ってもだめだ、こうおっしゃいますけれども、その一人の行動が万人の行動を律することもあり得るのです。しかるにそういう答弁をなさいますことは、それ自体、私は熱意のないということをみずから国民の前に明らかにせられるのと一緒だと思う。そういうことではいけないと私は思いますから、大臣はもっと強くこの問題については主張せられて、そしてこの根源を断つように努力をしてもらいたいと思うのです。
  39. 臼井莊一

    臼井委員長代理 ちょっと山口さん、関連質問があるということでございますから……。
  40. 濱野清吾

    濱野委員 この機雷を避ける点について、国内的に考えるならば、先ほど伊能政務次官がお答えになりましたような青函トンネルを作ることが一等いい方法で、これは根本的な問題だと思います。それから機雷を流してもらわないことの根本的解決は、山口君のおっしゃる通りだ。私どもは根本的なことを望むけれども、今当面の急をどうするかということについて正木君と僕は論議している。当面流れてくるものを、さしあたりしかも緊急措置としてどういう対策をとるか、こういうことを今論議している。根本的な問題のことにつきましては、青函トンネルについては金も要るでしょう。時間もかかるでしょう。これは急いでもらわなければならぬ問題でありますけれども、それは根本的な問題である。山口君のおっしゃったのも、これは根本的な、抜本塞源的な問題であるには間違いない。趣旨には私は賛成です。しかしさしあたり運航しているのに、この危険を一体どうして避けるかという緊急措置としては、これは船の絶対数量が足りないといいますから、それならば相手は機雷だし、今国としてはこれはフリゲート艦以外にないのじゃないか、この前提のもとに、私はフリゲート艦を早く増加してそうしてできるだけ安全な措置をとりなさい、こう言うのです。もしも国鉄に金があるならば、それは用船をしてもいい。それはできましょう。しかしさしあたり緊急措置としてできる問題は、フリゲート艦をあそこに回して封鎖するくらいな、大げさな話かもしれませんけれども、そういう警備態勢を整えることが、運輸省としても、国鉄としても、責任を尽すゆえんでないか。国民の方から考えましても、それだけやってくれるならば、まず航行は差しつかえないだろうという安心もいくだろうと思います。ただしレーダーがどうの、あるいはサーチライトがどうのだけでは、これは国民に対しても相済まぬと思いますし、その危険にまず安心だ、そういうことには至らないと思います。私は山口君の言葉について申し上げるのでありますが、何もフリゲート艦を勇ましくやっているわけでも何でもない。これはまことに困ったことなんです。そういうことで私はどうしてもやってもらいたい。もし防衛庁がそれに賛成せぬならば、ここに来てもらって、この前で、この機雷の措置をどうするか、しかも国民は非常に危険を感じている。こういうように話せば、防衛庁長官もわかってくれるのじゃないかと思います。そういうことですから、重ねて申し上げますが、まず可能な措置をできるだけ急速にとるということが大事だろうと思う。
  41. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私はさらに、ちょうど大臣もおいでになりますし——私は大蔵大臣、自治庁長官にも出席を要求いたしているのですけれども、見えませんから……。
  42. 臼井莊一

    臼井委員長代理 ちょっと申し上げますが、大蔵省からは主計官の岩尾説明員が見えております。
  43. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 運輸大臣質問をいたしたいと思います。これはすでに予算も成立をしたことでありますし、あるいは地方行政の問題といたしましても、地方財政に関する法律案は通過をいたしました。実は通過する前に、地方行政あるいは運輸、建設等の連合審査もございました。しかし実質的には何ら効果もなく法案は通過をしたという経過をたどりている。けれども私は今日この運輸行政の全般にわたって考えてみますと、私は当初に申し上げたように、非常に後退をしているだけではなく、陸と海との行政上のアンバランスがますます大きくなりつつある、そういう感じがいたすのであります。従って海運に対する利子補給、配当復活による利子補給の問題等は次に考えるといたしましても、本年の運輸行政におきましては、国鉄の公社も常に赤字であるということであるにもかかわらず、納付金という変則的な名前をもって、実質上の固定資産税が課せられることとなりました。十九国会以来、交通機関に課せられております固定資産税については、直接その運行に使用する施設については固定資産税を課さない、それから施設等に課せられております事業税については、外形標準課税を所得課税に直す、これはこの運輸委員会で全会一致をもって採択せられました決議事項でございます。ところがそれが実行されないのみならず、本年に至っては全く逆の結果を招来いたしまして、ますます課税は重きを加えつつあります。しかも今年度は、軽油引取税等の新設によってますますその実態は過重の方向をたどりまして、現在ではその企業は累卵の危うきにあるというような事態も起っておるのであります。こういうことでは、実際に交通機関の公益性を保持して、公衆の便益に資することも、またその地方の産業開発も困難である。ということは、りっぱに公益性を押しつけますけれども、実質的には行政上その公益性を剥奪せられるような措置がとられると思うのであります。こういう点につきまして運輸大臣は将来どうお考えになりますか。この新設せられました軽油引取税あるいは地方鉄道の外形標準課税等について、将来運輸大臣はどういう措置をとろうとせられておりますか。これが私の質問の第一点であります。  第二点は、本年度国鉄に新しく課せられた固定資産税、すなわち納付金でございますが、これは一時的なものでございますか。それともこれは恒久的なものとしてお考えになっておるのでありますか。この二点についてます基本的にお考えを承わりたいと思います。
  44. 吉野信次

    吉野国務大臣 お話通り、私鉄なり国鉄なりの経営の方からいえば、今言ったような税はない方がいいし、また軽い方がよろしいのですけれども、ただ地方税というものの全体の体系の問題もあるし、御承知の通り地方財政が非常に疲弊しておるということもございまして、そこの間をどういうふうに調和させるかということが問題なんです。そこで、その調和の問題から見て、今度提案した程度のことはごかんべんを願いたい、こういう意味でああいう提案をいたしたわけであります。しかし地方鉄道の外形標準課税の問題については、これはほかの方に振り合いをとりましても、私鉄だけについて外形標準課税になっておりますから、これらは適当でないので、なるべく早い機会に改めた方がいいだろう、こういうふうに思っております。  それから納付金の方の問題は、これは固定資産税というものに見合うような、お話通りのものでございますが、これも考えようでございまして、だんだんに国有鉄道法の根本の改正の問題にも関連するのですけれども、公社としてのあり方として、なるべく自主採算制というものの形をはっきりししていきたい、その意味から言うと、これからの公社というもののあり方については、やはり普通の鉄道並みに、固定資産税というようなものに相当するものは負担する。いずれにしても、地方財政というものが足らなければ、やはり国の方で埋めなければならぬのですから、一般国民が埋めるか、あるいは鉄道を利用する人に埋めていただくかという考えに立ちまして、鉄道を利用していただく方の方にそれを負担していただく方が適当ではないか、こういう意味であの納付金というものがあることに私は賛意を表したというわけであります。
  45. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 実に容易ならぬことを聞くのですが、その論法でいくと運賃値上げは必至ということになります。なぜならば、さなきだに赤字に全部が苦しんでいるのです。国鉄も赤字であり、あるいは地方鉄道におきましても七割までは赤字で、敷設以来何十年間一回も配当をしない。従業員の給与ベースも一万円以内である。はなはだしきに至っては八千円というような給与ベースで、しかも三ヵ月も四ヵ月も給料が遅配している。それでもやはり鉄道の公益性、重要性から、就業を拒否することはできないのです。運行を中止することはできません。たとえわずか三キロの鉄道でありましても、それを引きはずして他の輸送機関にかえることによって、ある工場におきましては生産コストは二割上ると申されております。ある鉄道においては、柑橘類を輸送するためにその鉄道を活用せば、商品に三割の値下りを来たすという。このように、たといそれが短かい鉄道でありましても、地方産業の開発につきましてはきわめて重要な地位を占めており産業経済に貢献している。しかるにそれを利用する者が、当然その利用をして、利益を受けるに見合う負担をしてそうして、その鉄道経営に協力する。これは当然のことです。大体この地方財政の赤字というものは、シャウプ勧告以来急激に増加したものなんです。言いかえますと、日本の地方財政というものは、シャウプ勧告によっては実情にそぐわないものであるということが証明せられている。しからばこのシャゥプ勧告なるものを是正して、日本の国情に沿うようにして、いわゆる地方財政の赤字を埋めていくということが、政府政治責任でなければならぬと思う。しかるに、大臣が今申されるように、地方財政が赤字であるから、それに見合うための新税を新設しなければならぬ、そうしてそれは公益性を有する鉄道の利用者にしわ寄せをしていく、その一端をかついでもらわなければならぬと、そう単純に言われることはあまりにもそれは酷な言い方ではないかと思いますが、大臣はそういう考えで運輸行政をなさっているのですか。私は心外でならぬのですが、一つはっきりと答弁してもらいたい。
  46. 吉野信次

    吉野国務大臣 地方財政の根本的な問題についての御意見はありましょうけれども、ともかく地方の赤字財政というものが今の一つの大きな政治問題であって、その一つの解決というものをこの内閣としては今やっているわけであり、その一環としてそれを考えたのでございますから、利用者に対して酷だとかなんとかいう考えは別に持っておりません。
  47. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 大臣は非常に進歩的な考えをお持ちだと私は思っておったのですけれども、そんな考えでおいでになるということは、私は大臣の信念を非常に疑うといっては語弊があるかもしれませんけれども、疑わざるを得なくなります。少くともこの鉄道なるものの持っている性格というものが、国家産業に対してきわめて重要な公益性を持っておるものだということは、大臣はたびたび言われておる。それだけ思っておられるのであれば、実質的に行政面において、もう少し公益性を発揮し得るような行政措置をとられるのが当然だと思う。しかるにそれを無視して、そうしてただ国鉄を利用する者が、この地方財政の窮迫しているときに、その赤字の埋め合せのための負担をかぶることは当然なんだと、これを当然化されては、私はたまらないと思う。そういう精神が、今年度急速にこの陸運行政を後退せしめたゆえんではないか。そういうところに、軽油引取税の新設であるとか、あるいは私鉄整備法に基きます補助にいたしましても、せっかく法律を作って、予算をつけぬことになれば有名無実、そうして今まさにそういうような公益生を持っておる鉄道が危殆に瀕しておることに対して、何らの救済措置も講ぜられない、行政措置も講ぜられない。こういことは運輸行政の衝に当てられる大臣としてのとられる措置ではないのではないか、こういうふうに私は考えるのですけれども大臣はどう考えられているのですか。
  48. 吉野信次

    吉野国務大臣 ですから先ほど申し上げた通り、それは税もない方がいいし、軽い方がよろしいのですけれども、要するに地方財政というものといかに調整するかという問題なんですから、私は決して国有鉄道の公益性を無視するものでも何でもないので、ただ公社としては独立採算制という形でもっているものですからなるべくそういう方向に直していったがよかろう、私はこういう考えを持っております。
  49. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 大蔵省の方が見えておるようですから——これは大臣質問しないと話にならぬ、事務当局の問題ではないのです。けれども、いたし方ありませんから、事務当局にお伺いをするのですが、この固定資産税、いわゆる国鉄の固定資産税ですね。実質上の固定資産税、それを当初は固定資産税として取るといっておったのが、だんだん名前が変って、納付金ということに、悪く言うとごまかした。納付金というなら何も理屈は合わぬではありませんか。専売公社のごとく、その事業がいわゆる国の財産を預かって、それを運営し営業しておるのが公社なんですね。ですから固定資産税というのは、国の財産を預かって、運営をして黒字が出て、利益が計上されれば、それは国庫に納付金として納付するのが当然な話です。ですから専売公社などが黒字のゆえをもって、その収益分を大蔵省に納付する、国庫に納付するのは当然ですけれども国鉄のようにこれは初めからかいもく赤字で、満足な自己資金も得られないというような状態である。口を開けば赤字なるがゆえに、先ほどから申すように、これだけ重要な公益性を有する事業に従事しておる従業員が、満足な待遇すら受けていない。そういう現状にあるときに納付金とは一体何事か。その経過について一つ詳しく説明をしてもらいたい。
  50. 岩尾一

    ○岩尾説明員 今回の地方税の改正によりまして、国鉄等に課せられました納付金の制度について、本来の固定資産税の制度をとらないで、納付金の制度になった経過を説明せよということでありますが、納付金という名称は、たとえば専売の場合のような納付金というものもありますし、また従来電電公社等において、電電の特別会計で、政府に納付した納付金という名称もございますが、今回の固定資産税につきましてつけております納付金という名称は、その名称とは多少違っておるわけでございます。本来、固定資産税は、市町村とその市町村内に所在する固定資産の応益関係に着目をいたしまして、たとえばある建物が火事になれば消防その他によって非常に迷惑をかける、そういった応益関係に着目いたしまして、税制といたしましては市町村内にある資産について、その固定資産価額を標準として課税していくという建前をとっておるわけでございますが、国鉄等の非常な公共性、もちろん企業性もありますが、公共性のあるものについては、従来はいわゆる非事業用のものにつきましては、一般の資産と同じように固定資産税を納めてもらいますが、事業用のものにつきましては、たとえば、予算も国会の御承認を得なくてはならない。従って弾力性がない。また国鉄の負担がふえるということは、そのまま運賃、料金等に響いて参ります。そういう影響もありますので、従来は課税しなかったわけでございますが、今回地方財政再建の一環として、地方財政の方にどうしても金が必要だというような要請が一方にありますとともに、税体系全体から見ますと、今言いましたように、応益関係だけを国鉄の企業というものに着目してみますと、一般の私企業と何ら変りがないわけでございますから、その点で固定資産税を取ろうではないか。しかし取る場合にも今言ったような公共性も頭に置かなくてはいかぬ。そこで一般の固定資産税でございますと、市町村が評価をいたしまして、そうして市町村のきめた税税率によって課税をする。従って各市町村によっては、ばらばらな姿になり、ばらばらの課税になるわけであります。それに今申しましたような予算の制約あるいは運賃、料金等の国民生活に及ぼす影響というものを考えないといけないので、むしろ自治庁が評価する一律の税率で、また一律の標準価額で課税するのがいいのではないか、こういう考え方で、そこまで考えますと、これは固定資産税としての税制の中に織り込むのはどうも困難であるということで、納付金という特別の制度を作った、こういうことでございます。
  51. 井岡大治

    ○井岡委員 関連して。今国鉄の納付金の問題についてお話がありました。もちろん今日の地方財政が非常に逼迫をしておる。立て直しをしなければいけないということは、これはただに私たち考えるだけでなしに、国民全体がお考えになっておることであります。そういう立場からくる税制の一部改正については、私はある意味において理解をするわけです。ところが一面、国鉄経営それ自体について、必ずしも納付金を納めるだけの現在余裕を持っておらないという場合に、税制の改革という名のもとに国鉄を圧迫することによって、国鉄の経営はもちろんのこと、国民の生命、財産を預かる輸送に支障を来たすということがあってはならないと思う。ところがこれをあえて大蔵当局は強行をされておる。もし国鉄に事故が起った場合、大蔵当局はその責任をとる自信を持ってこの措置をとられたかどうか、この点についてお伺いをいたします。  同時に、大臣は一面において、今日の国鉄経営は非常に困難をきわめておるということは、担当大臣であるだけにだれよりも一番よく御存じなはずなんです。この大臣国鉄の値上げはやらないということを明らかにし、そうして国鉄の経営を一そう困難にせしめながら、あえてこれに賛成をされるということは、私は責任ある大臣のとるべき態度ではないと思う。しかるに大臣は、これをよろしいということで賛成をされた。従って今後起り得る国鉄の事故等について、大臣責任をおとりになる自信があってこの案に賛成されたかどうか、お尋ねをいたします。
  52. 吉野信次

    吉野国務大臣 もとより運輸省を担当しておるのですから、国鉄というものについての事故の責任は私がとるわけです。しかし、今納付金というものを置いたために事故が起る責任ということは、私は考えておりません。
  53. 岩尾一

    ○岩尾説明員 ただいまの御質問でございますが、固定資産税は本来の建前が収益課税ではございませんで、固定資産価額に対して課税していく建前をとっております。従いまして、税率も一・四%という非常に低い税率でございますが、国鉄の場合は先ほど申しましたような経過によりまして、その税率はそのままといたしまして、標準価額を全体の標準価額の二分の一といたしまして、さらに今年度はそれを二分の一に、結局四分の一としてかけてやっております。こういうふうに、できるだけ公共性に対する配慮を払っておるつもりでございます。また全体の収入が二千七百億の中で、本年の納付金として予定しておりますのは大体三十七億程度であります。大体二千七百億のうち三十七億でありますからかなり少ない額でありまして、この程度であれば現在の国鉄の財政の中でも十分さばけるという判断をしたわけであります。
  54. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 あとでこのことについて中居委員も関連質問があるようでありますから、御了承を願いたいと思います。  大蔵省はつべこべ言いますけれども、そんな申しわけはほんとうと思っていません。何しろ収益のはっきりした取りよいものからは一銭の余裕もなしにきちっと取る。ところがはっきりしないもの、任意に届け出て、それについて何ぼか水増しをして徴税の請求をしても逃げられてしまうような、こういう取りにくいものは地方でやりなさい。そして徴税技術も何も要しない、ただ一片の徴税令書さえやっておけばすっきり取れるようなのはどんどん取って、自己の責任を回避する、こういうのが大蔵省の第一の考えなんです。第二は、各省の台所はおれ一手で引き受けているのだ、だからおれのところが出してやらなければてめえのところは何もやれないのだ、こういう優越感で、これを聞かなければてめえの方には予算をやらないぞ、こういう大それた——これは口は悪いですけれども、しかしあなたのところのやることが悪いのだからしようがない。そういうようなことでおどし上げて、そうしてこういうように理屈に合わない、国の財産に国が税金をかけて一体何をするのですか。予算のつじつまを合わすだけじゃないか。右から出すか左から出すか、財布の色は別だけれども、出すところは同じだ、予算のごまかしにしかすぎない。聞くところによると、強引に大蔵省はそれを押しつけたといっていますよ。それを合理的に大蔵省は国民に納得のいくような説明ができますか。こういう無理なことをやれば——吉野運輸大臣は近ごろだいぶ運賃の値上げについて精神的に動揺を来たして、そうして新聞などを見ますと、ある程度の値上げは妥当だ、こういうようなことを言い出した。絶対運賃値上げはしないと言っておいて、きのうあたりの新聞では運賃値上げは妥当だなんて言い出す。何かというと大蔵省に脅迫されて、そして国鉄は赤字だ、これはやむを得ないから何とかしなければ国鉄だってやっていけない、地方財政もやっていけない、同時に交通機関の企業そのものもやっていけない。今僕が言うように八千円や九千円のベースで働いておるところがありますか。そのようなべースで四ヵ月も給料をもらわないで、きゅうきゅういって、そして公益の企業だから国鉄はとめてはいかぬという。あなた、鉄道の従業員が何で無給で社会奉仕をしなければならぬのですか。大蔵省の役人は、大蔵省の公益性のために給料を四ヵ月も五ヵ月ももらわぬで、不平も言わないで社会奉仕をしていらっしゃるのですか。大体大蔵官僚なんというものはそういうような考えなんです。私はそう考える。事実がこれを証明しておると思いますが、一体これはどういうわけでやっておられますか、はっきりとその態度を私は承わりたい。これは大蔵大臣が来ていらっしゃれば徹頭徹尾言いたい、けしからぬですよ。これは運輸大臣としては、これに対してやはり運輸交通の最高責任者として、大蔵省に対してどういう議論を展開し、あるいはどういうふうに大蔵省の不明の門を開こうとされたのか、私はその努力についても疑わしいといつも濱野委員と話しておりますけれども、疑わしい。一つ所信を明らかにしてもらいたい。ほんとうですよ。みな憤慨していますよ。
  55. 吉野信次

    吉野国務大臣 私の考えはさっき申し上げた通り、御了解を得られると思います。
  56. 臼井莊一

    臼井委員長代理 それでは午前中の質疑はこの程度にとどめまして、午後一時半まで休憩いたします   午後零時二十九分休憩      ————◇—————   「休憩後は開会に至らなかった」