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1956-04-10 第24回国会 衆議院 運輸委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十日(火曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 松山 義雄君    理事 今松 治郎君 理事 臼井 莊一君    理事 山本 友一君 理事 青野 武一君    理事 中居英太郎君       有田 喜一君    伊藤 郷一君       生田 宏一君    關谷 勝利君       中嶋 太郎君    濱野 清吾君       堀内 一雄君    眞鍋 儀十君       井岡 大治君    池田 禎治君       西尾 末廣君    松岡 駒吉君       山口丈太郎君  出席政府委員         運輸政務次官  伊能繁次郎君         運 輸 技 官         (港湾局長)  天埜 良吉君  委員外出席者         運輸事務官         (港湾局倉庫課         長)      大森 重義君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 本日の会議に付した案件  倉庫業法案内閣提出第一五一号)     —————————————
  2. 松山義雄

    松山委員長 ただいまより運輸委員会を開会いたします。  倉庫業法案内閣提出第一五一号)を議題として質疑に入りたいと思いますが、その前に政府より法案説明をいたしたい旨申し出がありますので、これを許します。
  3. 天埜良吉

    天埜政府委員 今回提案されましたところの倉庫業法案につきまして、一応逐条的にその概要を御説明申し上げます。  第一条は、この法律目的を定めたものでありまして、倉庫業の適正な運営倉庫証券の円滑な流通を確保することをもって、この法律目的といたしております。  第二条は、この法律の用語の意義を明らかにいたしますために、倉庫倉庫業及び倉庫証券につきまして定義をいたしたものであります。  第三条は、倉庫業公益生にかんがみ、その営業につきましては、運輸大臣許可を受けることを要することといたしたものであります。  第四条は、営業許可申請手続を定めたものであり、第五条は、運輸大臣がこの許可をいたします場合の基準を定めたものであります。  第六条から第九条までの規定は、倉庫業者営業に関する料金及び倉庫寄託約款についての運輸大臣に対する届出義務運輸大臣変更命令権等所要規定を設けたものであります。  第十条は、倉庫業者が特定の利用者に対しまして不当な差別的取扱いをいたしますことを禁止したものであります。  第十一条及び第十二条は、営業に使用する倉庫について規制をいたしたものでありまして、倉庫業者がその位置や構造設備または保管物品の種類を変更しようとするときは、運輸大臣認可を要するものといたしますとともに、その倉庫構造及び設備一定基準に適合するよう維持する義務を課し、その基準に適合していない場合には運輸大臣において、その修理改造等命令をすることができることといたしたものであります。  第十三条は、倉庫証券流通性にかんがみ、倉庫証券発行については、従来通り運輸大臣許可を要するものといたしますとともに、その許可を行う場合の基準を定めたものであります。  第十四条は、倉庫業者倉庫証券発行する場合は、従来通りその受寄物を火災保険に付する義務を課したものであります。  第十五条及び第十六条は、倉庫業者間の集荷に関する協定等につきまして、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律適用を除外いたしますための規定であります。  第十七条から第十九条までの規定は、倉庫業者について営業の譲渡、法人の合併及び相続が行われました場合における営業及び発券許可に基く公法上の地位の承継につきまして所要規定をなしたものであります。  第二十条は、倉庫業者営業廃止につきまして届出義務を課したものであります。  第二十一条及び第二十二条は、倉庫業者に対する監督処分規定でありまして、運輸大臣一定の場合には、営業停止もしくはその許可取り消し、または倉庫証券発行停止もしくはその許可取り消しをすることができることといたしたものであります。  第二十三条と第二十七条までの規定は、この法律の雑則とも申すべき規定でありまして、許可または認可に付する条件、被処分者に対する聴聞、被処分者の訴願、運輸大臣の権限の委任、運輸大臣報告徴収権及び立ち入り検査権につきまして必要な規定を設けたものであります。  第二十八条から第三十二条までの規定は、この法律の実施を確保いたしますために、必要な罰則を設けたものであります。  次に附則でございますが、附則第一条は、この法律施行期日を定めたものでありまして、この法律は公布の日から六ヵ月を経過した日から施行することといたしております。  附則第二条は、この法律施行に伴い現行倉庫業法廃止するための規定であります。  附則第三条から第五条までの規定は、現行倉庫業法廃止に伴う経過措置でありまして、第三条は、既存業者について二ヵ年間は、この法律による許可を受けないでも引き続き倉庫業を営むことができることといたしますこともに、倉庫構造設備につきましてもその基準を若干緩和したものであり、第四条は、現行法によっていたしました処分手続に関する経過措置、先五条は、罰則に関する経過措置を定のたものであります。  附則第六条は、冷蔵倉庫業のように、特殊の保管方法を用いて営む倉庫業につきましては、その業態の特殊事情にかんがみまして、当分の間営業許可を要しないものとするほか、所要適用の特例を設けたのであります。  附則第七条から第十一条までの規定は、倉庫証券発行する場合に現行倉庫業法の一部を準用することといたしている水産業協同組合法中小企業等協同組合法及び森林法の一部改正のための所要規定であります。  以上がこの法律案概要説明であります。
  4. 松山義雄

    松山委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。井岡君。
  5. 井岡大治

    井岡委員 まずこの法案の第一条に「倉庫業の適正な運営及び倉庫証券の円滑な流通を確保する」こういうようにうたっておりますが、資料を見ますとかなり証券発行されておらない業者がある。これとの関連並びに、従ってこういう業者流通云々といっておりますが、証券発行しない倉庫にはどういう取扱いをするか、この点をまずお聞きいたしたいと思います。  〔委員長退席臼井委員長代理着席
  6. 天埜良吉

    天埜政府委員 お話の点は資料の第二表でおわかりのように、倉庫証券発行をしてない倉庫業者相当あるのでございますが、これは特殊事情がありまして、実は戦後における特殊な経済事情といたしまして、倉庫保管のはい時分、大宗を占める主要食糧政府統制下におかれまして、また経済基盤の壊滅に伴いまして銀行信用対人信用を偏重いたしました等によりまして、倉庫証券に対する需要が減少いたしておりました。そのために倉庫証券発行しない倉庫業の存立が可能であったという点でありまして、そうしてまた今申しましたように、主食のようなものについては倉庫証券発行する必要がない。またそういうような倉庫で、製粉会社だとか、そういうようなところがほかの業と兼業しておりますような場合にその方の仕事が多い。そうして倉庫証券発行申請しないというようなものがございまして、そのほかに貿易会社と兼業しておるもの、それから商事会社と兼業しておるものというようなのがございまして、現在までに申請をしていないのがかなりございますのでこういう状態になっておりますが、これは逐次必要になって参りますれば発券倉庫であることの申請があると思います。その場合にはそれに対して発券許可をしていくようにしたいというふうに考えております。
  7. 井岡大治

    井岡委員 今の答弁では少し私はわからないのです。と申しますのは、この資料によりますと、発券をしておる倉庫が大小合せまして四百九十一、発券をしておらないのが六百十一、こういうことになっております。ところが今局長は、この発券をしておらないのは主として食糧の問題からくる倉庫であるからこういうようにやっておらない。それからもう一つ理由は、一部商社につながった倉庫がこれを発券しておらない、こういうお話でございます。私は大きな官の倉庫ではあるいはそういうように考えられないこともございません。あるいはまた農業協同組合倉庫等を考えれば、そういうことも考えられないのではございますが、しかしこの中には、かなり小さい倉庫もあるわけで、必ずしもそういうようには私理解しないのですが、同時に、もし第二の商社等関係からくるということになりますと、十五条に、独禁法を排除するという考え方になっておられるようです。こういうことになってくると勢いこれはいわゆる倉庫証券の円滑なる流通を確保するということにはならないのじゃないか、こういうように思うのですが、この点もう一度お答えをいただきたい。
  8. 天埜良吉

    天埜政府委員 ただいまの点でございますが、非発券業者の中に相当小さいのがおって、それで発券業者になっていないのじゃないかというように承わったのでありますが、これはそういうことではなしに、今の点で倉庫証券があまり流通する状態が少かったということと、それから先ほども申しましたように倉庫証券がなくても、しばらくの間やってこれたという点がございましたので、これから倉庫証券流通をするために相当申請が出てくるもの、こういうふうに考えます。その場合には倉庫証券流通を確保するように、発券業者申請に対して許可を与えていきたいというふうに考えております。
  9. 井岡大治

    井岡委員 これから出てくるだろうと思いますということですから、これはそういうふうに思わないと言ってみたところでどうにもならないことですが、それではいわゆる法を制定するなり、改正する必要が非常に稀薄になってくると思うのです。ということは、現在中小倉庫はなぜ発券ができないのか、こういう点をやはり考えてみなければいけないと思うのです。これをやることによって、かなり現在の中小倉庫方々は苦しくなる。こういう点から発券しておらない、こういうように考えておるのですが、これからおいおいなってくるだろう、こういうようなお話ですが、もしならなかった場合、結局問題は大きな倉庫業者だけがこの倉庫業を営んでいく、こういうことになろうかと考える。従ってそのためにそこからくる中小倉庫に対する圧迫というものが考えられるのですが、もう一度お答えをいただきたいのです。
  10. 天埜良吉

    天埜政府委員 今の点でございますが、中小倉庫といえども必要な申請があれば、これはどんどん発券許可を与えるようにしておりますし、それからそういうようなものの育成については、できるだけめんどうを見ることにしております。
  11. 井岡大治

    井岡委員 これは今の法律でも発券申請すれば発券できるようになっておるのですね。ところが新たに法律改正するというのは、いわゆる倉庫証券の円滑な流通をはかるということが一番大きな目的じゃないか、こういうように私は思うのです。ですから当然それは申請をしてくれば今でも許可をしますということになっておるのでありますが、こういうことが今度の法の改正の第一の理由じゃないかと思うの一です。この点はどうなんですか。
  12. 天埜良吉

    天埜政府委員 この点は社会の倉庫証券必要度といいますか、流通度必要性に応じて生ずることなんでございますが、現在も、倉庫証券の発展を必要として申請してくるものについては許可をするのでありまして、将来、これは見通しでございますが、必要になることと思われますので、そのつど発券をしていきたいというふうに考えております。
  13. 井岡大治

    井岡委員 それでは全く私の質問に答えておらないのですね。私は、その流通を円滑に確保するということが目的であれば、当然発券をするようにしなければならないのではないか、こういうように尋ねておるのです。そこでこれは、やはり証券発行して、そうしてその荷物の安全を確保するということになると、勢いそちらの方に流れていくわけですね。そうなってくると、中小企業は自滅してしまうのではないか。ですから流通を確保するということが目的であれば、なぜその発券をさすように努力をしないのか。そのためにはどういう処置が必要なのか、こういうことを質問をしておるのであって、将来発券をするようになってくるであろうというようなことでは、私は改正理由が非常に稀薄になってくると思うのです。この点もう一度お伺いいたしたい。
  14. 天埜良吉

    天埜政府委員 今の点で、発券のことは、これは発券をした方が非常に流通性をよくするという点で、発券申請があれば許可をするという法の建前になっておりまして、発券申請するかどうかということにつきましては、行政指導によりまして、発券をするようにしたらどうかというふうに勧めていきたいと思います。
  15. 井岡大治

    井岡委員 現実の問題として、当然第一条の目的に沿うためには行政指導をやらなければいけないと思うのです。そうしないで、発券をしなくても十分いけるのだということになれば、局長はこれは戦後の特異的な形態だ、こういうふうに申されておりますが、これで十分やっていけるわけなんですから、あえて発券をするようなことはしない。むしろ非発券業者の方がだんだんふえてくるのではないか。こういう立場で行政指導をしなければいけない。この点は私はそのように理解をします。ただ問題は、それをやる場合どういうふうにしてやるかということが、かなり大きな問題になってくると思うのです。特にこれは中小企業が非常に発券をしておらないような傾向を示しておりますから、そういう中小企業業者に対してどうするかということが具体的にわからないと、なかなかこの問題は了解ができにくい問題ですから、具体的に一つ説明をいただきたい。
  16. 天埜良吉

    天埜政府委員 第三表でごらん願いますように資本金というのはあまり問題にならないのですけれども、百万円以上五百万円未満業者に対しても百八十一、三七%というような発券をしておりますし、それから申請を出しているのがどんどんふえておりまして、昭和二十四年から三十年二月まででありますが、三百二十一件の申請がありまして、二百七十一の許可をしております。これは大体八四%に当ります。このように発券業者は逐次ふえて参っております。
  17. 井岡大治

    井岡委員 実は私たちはこの資料をもらって問題を検討しておるわけなんですが、この資料は今のお話では違うわけなんですね。三表でしょう。三表を見ますと、発券業者は、今の百万円以上五百万円未満で百八十一件、三七%、非発券業者は三百十七件というように出ておるのです。ところが今の話ではそれは違う、こういうふうに言われるのですか。
  18. 天埜良吉

    天埜政府委員 いや、違うのではありません。百万円以上五百万円未満というような資本のものに対しても百八十一件というように、相当な数がありますということでありまして、そのほかにも非発券かなり数がございます。
  19. 井岡大治

    井岡委員 私が聞いておるのはそれが問題なんですね。この資料に基きますと、非発券業者の方が多いわけなんですね。ところが法第一条はこういうようにうたっておるのです。「この法律は、倉庫業の適正な運営及び倉庫証券の円滑な流通を確保することを目的とする。」となっておる。こういうようにうたわれておる以上は、発券業者がふえてこなければいけない。ふえるようにしなければならない。もっと厳密な意味に言うと、全部発券業者にすることが目的でなければならぬと思う。ところがこれではそういうことになっておらない。ですから、このなっておらない理由はどこにあるかということと、将来これを発券業者にするように行政指導をすると言われるのだが、それはどういう方法でやられるのか。現在のままでやるならば、このままでも倉庫業はいわゆる設備さえ完備していけばそれでやれるわけなんです。それではこの第一条の目的と違ってくるのではないか。ですから、この点の関連がどうなっておるかということと、この二点を具体的に説明してもらいたいというのです。
  20. 天埜良吉

    天埜政府委員 御説の点、要旨を間違えておりましたが、倉庫証券発券をすることの要請がふえてくる見込みでございますので、この点については非発券業者に、これは発券倉庫になるべきものなんだから、申請をしてするようにという具体的な勧誘をする。それからもう一つは、いろいろ資力だとかそういうような点で、中小業者中小企業金融公庫等からの融資あっせんして、援助をしたいというふうに考えております。昭和二十八年度からこれは始まったのでありますが、昭和二十八年には件数で三十九件、一億二千四百万円、昭和二十九年度には百三件ありまして、二億八千六百三十五万円、三十年度には九十二件ございまして、三億二千百九十五万円、こういうふうに融資あっせんをしていきたいというふうに考えております。
  21. 井岡大治

    井岡委員 中小企業金融公庫等から融資をするというお話ですが、私はそれだけで直ちにこれがなるとは思わないのです。というのは、私のところに倉庫業法に対する反対陳情書が来ておるのですが、この陳情書の中にも、非発券業者の犠牲の上において今度の法を制定しようとしているのだというように言ってきている。これは中小倉庫方々ばかりから来ているのです。ですから、私はこの人たち考え方というものが必ずしも全部であるとは理解はしておりませんが、この問題を明確にしてやらないと、これを改正しても、実際問題として実効が上らないのではないか、こういうように思うからこの点を申し上げておるので、十分この点は注意をしていただかなければいけないと思います。従って、もう一度中小倉庫金融その他をやってやるということを明らかにしてやらないといけないと思いますので、十分お願いをいたしたいと思います。
  22. 天埜良吉

    天埜政府委員 今の金融の面もそうでございますが、倉庫業、ことに中小企業倉庫業については、固定資産税なんかの問題も大きく響いて参りますので、この点についても軽減方に特に尽力をしなければならぬというふうに考えております。
  23. 井岡大治

    井岡委員 現在の固定資産税の問題からくるいろいろな問題があるということなんですが、そうなると、それをどういうようにやるかということについて、思いつきでなくて、今お考えになっておるところをお話いただきたいと思います。
  24. 天埜良吉

    天埜政府委員 現在減点率ということによりまして、一部分——部分といいますか、利用率の少いものについてこれを減税してくれるようにということを自治庁とも相談いたしまして、今それを実行しつつあるのでございます。しかしこれでは不十分でございますので、固定資産税が根本的に減免になるようにということを努力したいと思います。
  25. 井岡大治

    井岡委員 局長固定資産税減免のことを考慮したい、こういうように申されておるわけですが、幸いに次官もお見えになっておられることですから、この点は局長の言われるように理解していいかどうか、この点次官にお伺いをしたい。
  26. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 さいぜん来井岡先生お尋ねは大へんごもっともでございまして、当初法案改正に際して、一部の、主としてお説のように中小倉庫業者からの反対だったろうと思いますが、そういう面の反対があったことも事実でございます。過去において私どもこの問題を、従来の商工省から運輸省に、港湾倉庫奥地倉庫というように分けて、輸送と一体化して倉庫業というものを今後育成していかなければならぬということにいたしましたのが、昭和十八年でございます。それ以来約十三年の間、当省で育成して参りましたが、私は少しこの法律改正がおくれたと思いますが、戦後のあの昭和二十四、五年当時のいわゆるやみ輸送やみ混乱時代におきましては、倉庫証券倉荷証券等のいろいろな不正事実もありまして、その際においては、御指摘のように本法改正の趣旨にも十三条でうたっておりますが、「運輸大臣は、前項の許可をしようとするときは、次の基準によってしなければならない。」ということで、倉庫証券許可条件について明らかにしておりますが、そういう点についての基準がやや厳格であったと存じます。しかし最近におきましては経済界も逐次安定して参りましたので、御指摘のように、理想お話通りであって、いやしくも倉庫業を営む者はいかなる倉庫業者であろうとも、倉庫証券、預証券倉荷証券その他が発券できることが、倉庫業法の常態であろうと思います。ところが現状においては農業倉庫との競合あるいはその他との関係がありまして、地方においてはまだいわゆる弱小倉庫業者というものも決して少くないわけであります。それらに対して、運輸省としてはでき得る限り倉庫業の適正な運営とそれから倉庫証券の円満な流通、この両面を考えて育成していかなければなりませんので、御指摘のように、理想倉庫業者であればすべて倉庫証券発行できるということが建前でなければなりませんが、一方倉庫証券流通の面と荷主の保護並びに有価証券の適正な流通の面からいたしますと、信用度が高いということが必要でありまして、小さい倉庫業者倉庫の実態については、ときには雨漏りもしくは鼠害、いろいろな盗害等の若干の弊害もないわけではありません。従ってそれらについては営業停止行為とかいろいろな処分行為も行われておりますので、できるだけ一定基準まで倉庫業というものを高めていかなければいかぬということで、さいぜん天埜局長からお話のような中小企業金融公庫中小企業協同組合法による助成等で、金融措置は逐次円滑化して参りまして、昨年度まですでに七億数千万円の金融措置も講じてやっておりますし、一方前国会におきまして、皆様方の御援助を得て固定資産税減免措置ということも逐次やれるようになりましたので、これらの措置によって今後特に弱小未発券倉庫業者に対する指導と申しますか、現地監査と申しますか、こういうようなものを強化して、できる限りこの法制を実施いたしますのは、中小倉庫業者に対して圧迫ではない、育成の面でやらなければいかぬということを私ども考えておりますので、この点は私、御指摘のように、今後そういう方向で進むということを明確にお約束と申しますか、言明をいたしたいと存ずる次第であります。
  27. 井岡大治

    井岡委員 そこでもしそういうようにやっていかれるということであるならば、これはまだもっとほかにありますが、関連しておりますのでお尋ねをするわけですが、現在の金融措置といっても、中小金融公庫等でこればかりに使うわけにはいきません。そういうことになってくると、かなり政府がごあっせん等をおやりになっても、二年以内にこれを改めてしまうということにはなかなかなりにくいのではないか、こう思うのです。そうしますと、実際問題として現在の小さいのはつぶれていくという格好になりはしないか、こう思うのですが、この点はどうですか。
  28. 天埜良吉

    天埜政府委員 現在やっております倉庫業者の持っておる倉庫でございますが、これは今次官からお話のありましたような鼠害があったり、雨漏りというようなのもございますが、それほど高い基準にまで一度に持っていこうということではないのでございまして、たとえばこの中でいいますならば、建築基準法でいう防火構造以上のものにすれば、倉庫業としまして足りるのではないか。ですから木骨板張りというようなのに対して、これは木骨であっても鉄鋼モルタル塗りにするというようなわずかな改造でいける、また中に入れます品種に応じましては必ずしもそうしなくても、たとえば鉱石だとか塩だとかいうものについては、現在のままでもいいのではないかというふうにも考えますので、二年間の期間内に現在行なっているものが脱落するということはほとんどないものというふうに考えております。
  29. 井岡大治

    井岡委員 局長お話ではいわゆる品種とかそういう点で考慮している、こういうように言われておりますが、しかし法律は十一条、十二条に一定基準を立てるわけなんですね。これは省令でお定めになるのだろうと思うのです。そうした場合ここでは、できるだけそういう実情に即してやりますと言われても、現地指導される係官はそこまで現実には幅がないと思うのです。またそういう幅があったのでは、基準というものは設けなくたっていいことになるわけで、局長のせっかくの御答弁ではございますが、私はそのように受け取れないのです。ですからもし局長お話しになるようなことでありますならば、その点をもっと明らかにしなければいけないと思うのですが、この点はどうですか。
  30. 天埜良吉

    天埜政府委員 今の点につきまして、種類、構造設備については省令に譲ってございますが、大体の考えを申しますとこういうふうに考えております。構造及び設備に関する基準の一般的基準としましては、倉庫の主要構造部は建築基準法所定の構造耐力を有するほか、建物の軸部及びが側壁貨物の横圧に耐え得る強度を有し、かつ床は保管貨物の量に応ずる荷重耐力を有する、つまりこわれものを入れてもこわれないようにする。それから必要に応じて適当な防火及び消火上の構造及び設備を有する。それから必要に応じて適当な盗難防止上の構造及び設備を有する。それから高潮による浸水のおそれのある場所に位置する倉庫は適当な防潮設備を有する。  それから保管物の品目別に言いますと、一般穀類を保管する場合には、建築基準法による防火構造以上の構造を有するほか、防鼠、防虫設備及び適当な換気装置を備え、かつ燻蒸可能な構造及び設備を有する。それから乾繭等を保管する場合には建築基準法による防火構造以上の構造を有するほか、適当な換気装置を有すること。ただし床の積載荷重はこれら貨物の重量に耐え得る程度をもって足りる。それから一般雑貨の場合には、建築基準法による防火構造以上の構造を有するほか、適当な換気装置及びネズミ返しを有する。それからばらセメント、ばら穀類のような場合には、それの収容量に応じ適当な強度の側壁及び床を有する。それから塩、肥料、鋼材、鉱物、土石等を保管する場合には、これは盗難防止上有効な設備さえ持っていればよい。それから危険品を保管する場合には、こういう薬品類で危険のある場合には建築基準法による適当な構造及び設備を有するほか、危険物の取締りに関する都道府県条例の規定に適合すること。以下こういうような状態でございます。  また位置に関する基準としましては、危険品を保管する場合は、爆発等による被害を他に与えないような周辺建築物から適当の距離を隔てた場所に位置する。塩、たばこ、用紙等を保管する場合は低湿地を避ける。その他の物品を保管する場合には、危険物の保管場所その他これに類する危険の場所に位置しない。こういうような無理のないところで規定をしたいというふうに考えております。
  31. 井岡大治

    井岡委員 今たくさん言っていただいたので、これはあとで議事録を見ればわかるわけですが、一応今申されたことをできたらプリントして資料にしていただきたいと思います。
  32. 天埜良吉

    天埜政府委員 承知いたしました。
  33. 井岡大治

    井岡委員 それからついででございますが、発券業者と非発券業者の数字はわかっているのですか。どういうところが発券していない、どういうところが発券しているのかということを業者の名前を明確にしていただければ、この問題はさらに明確になってくる。同時にそのことによって今言われた基準と照らし合せて、果して二年でいいのか、三年にしなければいけないのか、こういうこともわかってこようと思うのですが、この次にそれを出していただきたいと思うのです。
  34. 天埜良吉

    天埜政府委員 数が多いので、ちょっと時間がかかるかと思いますが、倉庫の名前、会社の名前の方ならば……
  35. 井岡大治

    井岡委員 ですから全部は出せなければ、大体どういうところだということはわかると思うのです。あなたの方で数字を書いておられるところを見れば、ちゃんとトータルだけ出ておるのです。トータルが出ていてわからないというはずはないから、それをお願いします。
  36. 天埜良吉

    天埜政府委員 全国になると数が非常に多うございますので、どことか一地区分だけでも……
  37. 井岡大治

    井岡委員 それでは東京と大阪と福岡、これくらい出していただけばよい。大体わかるでしょう。——大へんなことのようですから、中小倉庫はどのくらい、大体固まっておるところはあなたの方にはどの県だということがおわかりだと思うのです。それからまん中ほどはどこだ、大きいのはどこだ、こういうようにすれば大体のなにが出ると思いますから、それで出していただきたいと思います。  次に料金の策定について、その適否を大臣がきめられるようになっておるわけですが、この点について実際問題として大臣がこれでいいのか悪しのかということになると、今までのいわゆる慣例からということになると思うのです。現在倉庫業それ自体についてかなりダンピングをやっておるという点からどの程度が適正であるかどうかということについては、そう簡単にきまらないのではないか、こう思うのですが、この点はどういうふうにしておきめになるのか。この点を一つお伺いをいたしたいと思います。
  38. 天埜良吉

    天埜政府委員 これは届出を受けて適正でない場合に大臣がやるということになっておりますが、まあ地区ごとに総合的な計算法で、それで適正な利潤を適正な遂行ができるかどうかという腹案を持っていたいというふうに考えます。
  39. 臼井莊一

    臼井委員長代理 濱野清吾君から関連質問があります。
  40. 天埜良吉

    天埜政府委員 ちょっと現実に沿うた質問をいたしますが、ただいま局長は百万以上、五百万以内の発券者が百八十一ある、こういうお話でしたが、資本金は小さくとも発券者たり得る、こういうお言葉だと了承するのです。それをそのまま受け取りますと、あなたがただいま同僚にお答えしました建築構造などを勘案すると、百万や二百万、五百万では建造物があなたの希望するようにできないのでありますが、この点はどう始末したらいいのですか。
  41. 天埜良吉

    天埜政府委員 今の建造物の規定の件でございますが、これは防火構造以上と申しましてもそんなにむずかしい規定ではございませんで、現在木骨で板張りになっているようなところは困りますので、木骨鉄網モルタル塗りですか、その程度にいたします。これは面坪当り約二千円かかる予定なのでございます。
  42. 濱野清吾

    ○濱野委員 倉庫は多くは交通がまことに便利であって、しかも都市地帯に建設されていることは御承知の通りであります。かりにお説のように坪当り二千円くらいの建設費だとして、できますか。他の法律の制約を受けませんか。たとえば大阪、東京あたりでは防火建築でなければ建築法上許さぬということになっておりますが、あなたの御説明では東京や大阪でもできるという前提のもとに立っているのですが、そういうことができますか。
  43. 天埜良吉

    天埜政府委員 ただいま申しましたのは、防火建築に改造するのに木骨鉄網モルタル塗りの方法を用いる、こういうことなのであります。それに二千円かければ防火建築以上という規格にはまるところになるということを申し上げたので、新しく作る場合はまた別なのであります。
  44. 濱野清吾

    ○濱野委員 そこでほのかにあなた方のお気持がうかがわれるのでありますが、今までの木造で免許したものを改めてモルタル塗りにしよう、こういうようなお話は、既設の免許業者にはそのまま適用できるのです。しかし新しく免許を受ける諸君に対しては、そういう百万や五百万の資本ではできないということはおわかりでしょう。——おわかりになりますか。
  45. 天埜良吉

    天埜政府委員 その通りでございまして、倉庫の建物が幾らくらいになりますか。——その場合には防火建築以上のものでないと困るということであります。
  46. 濱野清吾

    ○濱野委員 そうしますと防火建築以上のものであって、そうしてしかも少くとも中小企業圧迫しない。——証券発行するということは、ものの流通を円滑にし、正確にするということがねらいであります。そういう見地から見れば資本の大小は問わない。ただ荷主を保護しなければならぬということは当然なのです。荷主の品物を保護する見地からいけば、資本金が大きいから保護できるというものではないでしょう。資本金が少いから保護できないというものではないでしょう。そういう意味で確かに百万以内の資本金方々に対しましても、すでに百八十一件という免許を与えているという説明だと思う。しかるに実際の行政措置は坪数の制限をしております、これは一体どういうわけなのですか。
  47. 天埜良吉

    天埜政府委員 それは現行法における点で坪数を勘案する、資力信用の面で勘案するという程度でありまして、坪数によって必ずしも制限をしておるわけではないのであります。
  48. 濱野清吾

    ○濱野委員 それははなはだ聞き捨てにならぬお言葉でありますが、これはどうも局長さんは少々下の方のお仕事をよくお知りになっていないのではないですか。三百坪から五百坪、七百坪、千坪となってきたではありませんか。大きなワクをつけて、そうして同僚に対する答弁が百万円以上五百万円以内ならば免許ができるとか許可ができるとかいうようなことは、心にもないことを局長さんおっしゃっているのではないですか。
  49. 天埜良吉

    天埜政府委員 坪数につきましては、資力、信用を考えるときの一つの点でありまして、必ずしも坪数だけによって発券を左右するということではないのであります。
  50. 濱野清吾

    ○濱野委員 しかし現実は違いますね。今の行政処分をしております現実は違いますね。議会の答弁だというならば、あなた方の役人としての業務用の答弁であって、実際利害関係を持っておる人民側から見るならば、それは大きなうそだということになるわけですね。局長さんは現実を知らな過ぎるのではないですか。
  51. 天埜良吉

    天埜政府委員 これは私のやっております関係では、坪数というのは参考の程度でありまして、決してそのために左右するということはないはずでございます。
  52. 濱野清吾

    ○濱野委員 それは現実と違うのです。私は現に倉庫を持っておるのです。食糧倉庫です。これは虫も入らない、ばい菌もたからない、りっぱな食糧倉庫を持っておるのです。ところが七百坪でなければいかぬということになっておる。私のところにはあなた方の後輩がたくさんいるのです。運輸省出身の諸君がいる、あなた方の仲間があなた方の仲間にお願いに行くと、これが重大なる一つの要件になっておる。われわれから言わせると、証券発行はできないという行政措置を今おやりになっておるのですが、あなたの委員会におけるお話とは大へんな違いがある。そうしますと、実際の行政面ではあなた方の部下に人民側は虐待されておるわけです。どうなんですか。
  53. 天埜良吉

    天埜政府委員 もしそういうことでございましたら、それは非常な誤まりでございますから、よく気をつけてそういうことのないようにいたしたいと思います。従って坪数でどうのこうのということはないはずであります。
  54. 濱野清吾

    ○濱野委員 それは最近まことにありがたい発見でありまして、われわれとしては非常に幸福であります。さっそく局長はそれぞれの部下に対してその通牒を出していただけますか、どうですか。
  55. 天埜良吉

    天埜政府委員 坪数によってのみ——そういうことが重要なファクターになっておらないということを伝えます。
  56. 濱野清吾

    ○濱野委員 これは港湾倉庫ではないのです。奥地倉庫なのです。それから通運業者は大がい三百坪、五百坪、六百坪の倉庫を持っておらなければ事業にならないのです。再建築の倉庫は大がいモルタルです。厳重なモルタルです。ことにうどん粉であるとか米であるとかいう倉庫は食品倉庫でありますから、特殊な建造物を特っておるのです。それでもあなたの方は倉庫証券発行させないではありませんか。そうしてただいたずらに坪数だけを厳重に主張して免許ができぬと、こういうのですね。ですからこの法案を見ても、あなた方はやはり大資本を擁護する。実は倉庫業というものは証券流通自在、そういう目途を持っておるのだけれども、それとはあべこべな、期せずして大資本家を擁護するようになっておる。同僚からの質疑もおそらくその心配だと思う。それは資力信用の一つとしてその坪数を検査しただけであって、総体的に見てその事業の主体が信用があり、資力もあると見るべきで、その坪数だけで判断すべきものでない。そしてその坪数がかりに小さくても、百坪であっても二百坪であっても、それぞれの建築上、構造上の要件が備われば、それは許すべきものだ、そういうふうに直ちに通牒を出してくれますか。
  57. 天埜良吉

    天埜政府委員 全く御趣旨の通りになっておるものというふうに私は考えしおりましたが、その点が行われてないようでありますから、さっそく通牒に出してそういうふうに改めるようにいたします。
  58. 濱野清吾

    ○濱野委員 非常にありがたいお言葉を初めて聞いたわけでございますが、どうも今までの行政措置はそういうことで権利をじゅうりんされておったわけです。これは今から損害賠償をあなに方に訴えても仕方がありませんが、伊能次官は、ただいま局長のお言葉についてどういうお考えを持っているか。一つあなたの次官としてのお言葉をちょうだいいたしたいと思います。
  59. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 私も従来倉庫につきましては、いろいろと濱野先生御指摘のような面が全然なくはなかったような感じもいたします。最近においても私主として農業倉庫、農林省の関係食糧倉庫でありましたが、その関係のことを農林省と折衝をしているいろいろ世話をいたしたこともありますが、今のような御指摘の点、ことに通運業と倉庫関係、しかも実質的には、通運業関係倉庫は、他の監督というよりは、指導の面もございまするので、相当整備されたものが多いと思いますが、それらが七百坪あるいは五百坪に足らないということだけで倉庫証券発券ができないということは、荷主側にとりましても荷物の円滑な流通を非常に阻害いたしますし、また業界自体としても営業の適正な運営の上に支障を生ずると思いますので、今天埜港湾局長が御答弁申し上げましたような趣旨で、さっそく通牒を出すことにいたします。
  60. 濱野清吾

    ○濱野委員 どうぞ行政措置を誤まらないように、そうして誤まった行政措置は、今後再び誤まりを重ねないように、伊能政務次官からすみやかに通牒をお出し下さるようにお願いいたします。  もう一つお伺いしておきます。局長は、融資あっせんなどについては、中小企業公庫等より相当金が行っている。少くとも七億数千万の金が出ている、こうおっしゃるのでありますが、この融資申請したメンバーがどの会社で、その創立の時期はいつで、資本金は幾らであるか、そうして何年何月にこの融資あっせんをだれがしたか、この点の資料をお出し願いたい。と申しますのは、実は議会では、融資あっせん運輸省はやってくれるとおっしゃっております。しかしそれは海運業者の大きいのや、あるいは日通のような陸運業者には、頼まなくてもいろいろあっせんをやっているかもしれませんが、中小企業者には実際はやってくれていない。陸運局あたりへさんざん泣きつきましても、これは金のことですから、なかなか右から左にいかないのです。しかるにただいま局長さんのおっしゃるところによると、何年度に一億余万円、何年度に二億余万円、何年度に三億何千万円というような計画があり、また実績があるような御説明でありますが、こういう人たちが一体どういう人たちであったか、どういう会社であったか、こういうことを私ども検討してみたいと思いますので、すみやかにこの資料を御提出願いたい。私の質問はこれで終ります。
  61. 臼井莊一

    臼井委員長代理 それでは濱野清吾君の要求の資料の御提出をお願いいたします。
  62. 井岡大治

    井岡委員 実は濱野さんから詳しく御質問なさったわけですが、問題は、私の質問を進めていくと結局同じことになるのです。濱野さんも言われたように、局長中小企業を非常に大事にされているようなお話なんですが、実際はやっていない。大阪の大きなところを調べてみてきたところで、一向に調べにならない。ですからもう少し具体的に資料を出していただいてからでないと、なかなか御質問申し上げることができないと思うのです。  この点だけ一つお尋ねしておきたいと思いますが、中央市場なんかに倉庫があるわけですが、こういう倉庫についてどういう考えを持っておられるのか、この点を一つお伺いいたします。
  63. 天埜良吉

    天埜政府委員 中央市場の状況を私つまびらかでありませんけれども、そこでやはり倉庫を持ちまして一般に営業用にすれば、今まででありますればやはり倉庫業として届けましてやっているはずでございますが、中央市場の関係のものはよく考えておりませんが、もしそうでなしに自家用としてやっておれば、倉庫業法関係ないと思います。
  64. 井岡大治

    井岡委員 もう一つ農業協同組合倉庫については火災保険を免除する、こういうように考えていいかどうか、この点を明らかにしていただきたい。
  65. 天埜良吉

    天埜政府委員 農業倉庫につきましては、こっちの所管外になっておりますので……。
  66. 井岡大治

    井岡委員 除外されている、こういうふうに理解していいのですね。
  67. 天埜良吉

    天埜政府委員 さようでございます。
  68. 井岡大治

    井岡委員 私の申し上げているのは、問題は結局第一条の問題と、中小倉庫をどういうふうに育成するかということが、一番大きな問題になると思うのです。ですからこの問題は、資料を出していただいて、後ほどもう少しお伺いをいたしたいと思います。
  69. 關谷勝利

    ○關谷委員 私この倉庫業法を読みますと、どうも不備なところ、不満なところがたくさんあります。以前の倉庫業法というものはまことにまずい倉庫業法であったので、今度完全なものに切りかえたいという、以前の業法の一部を改正いたしました際の御答弁であったのでございますが、その完全なものにしたいというてでき上りました倉庫業法が、またきわめて不完全なものになって参りましたことを、まことに遺憾に考えているものであります。多少経過がわかっておりますと、この法案というものは、法制局でいじめられ、水産庁でいじめられて、奇形児のようにでき上ったように考えられますので、まことに遺憾でありますが、この倉庫業法案は今できたものを近い機会に修正する御意思があるかないのかを伺うことは、ちょっと非常識なといいますか、お気の毒な質問のようにも思いますが、早い機会に修正でも改正でもせられようというふうな御意図でありますかどうか、この点お尋ねするのも無理なようにも思いますが、御意向だけを伺ってみたいと思います。
  70. 天埜良吉

    天埜政府委員 今の点でございますが、経過などよく御存じで、すっきりしない点、抜けた点、当分水産業については現在の通りにいくとかいうような点がございますので、そのような点をできればすっきり直していきたいというふうには考えております。
  71. 關谷勝利

    ○關谷委員 なるべくすみやかに改正をしていただきたい、こういうふうに考えます。倉庫業許可制になりますと、倉庫業許可せられたものは、すなわち発券もできるのだというところに持っていくことが理想的でありまして、そうすることによって、しかもこの法律を作りますと同時に、先ほどから問題になっておりましたが、融資等を思い切ってやるということで、この倉庫基準も引き上げられますし、荷主の便をはかることができる、こういうふうなことになりますので、私たちも次の修正の場合には、この倉庫業許可制とする限り、発券もこれに伴うものであるということにしていただきませんことには、倉庫構造等を義務づける意義がない、こういうふうなことにもなって参りますし、倉庫業の改善というふうなことも考えられないのであります。  なおこの法律のままでいたしますと、発券のできない倉庫利用者はおいおい減って参ります。荷主が減ってくるということになりますと、発券のできる倉庫の方へ荷物が集まってくるということになりまして、結局先ほどから問題になっておりました大きな倉庫業者の擁護になって、小さな倉庫業者はやがて消えてなくなれ、こういうふうなことになってくるのではないかということで、私たちこれを非常に心配をいたしておりますし、結果は必ずそのようになって参りますので、そういうふうな事態が起らない以前にこれに対処する方法をお考え願いたい、私はこのように考えます。  なおまたこの倉庫業の場合には、これは商法五百九十八条であったと思いますが、これについて発券することを要すと書いてあるのでありますが、発券許可のない倉庫というものは、これは商法違反である、こういうふうなことも考えられるのでありますが、この点につきましてあなた方はどういうふうな御解釈をとっておられますか、伺っておきたいと思います。
  72. 天埜良吉

    天埜政府委員 今のお話通りでございまして、商法五百九十八条及び六百二十七条によりますと、「倉庫業者ハ寄託者ノ請求ニ因リ寄託物ノ預証券及ヒ質入証券ヲ交付スルコトヲ要ス」こういうことになっておりまして、要求されれば出すというのが倉庫業者建前であるわけでありますが、この点で在来も倉庫業発券しないものがたくさんあったということは、先ほど来お話がございましたように非常にまずいわけでありまして、一挙にそこまでいきたいと実は考えてはきたのでございますが、経過的と申しますか、そこまですみやかに育成をして、そのうちにそういうふうになって発券しない倉庫はなくなっていくようにしたいというふうに考えておる次第であります。
  73. 關谷勝利

    ○關谷委員 大体そういうふうな御意見で、次にはそういうふうな段階に到達するように努力せられるということでありますので、これ以上多くを申し上げたくないのでありますが、これが最初は許可をいたしますと、発券許可も伴うということになっておりましたのが、法制局の方の法の体系の関係でこういうことになったということを私聞きまして、まことに遺憾に考えておるのであります。業態に見合うといいますか、ほんとうにそういうふうな事柄に適合するように、法律というものは定められなければならないのが本来でありますのに、法の体系から実態を無視するような法律ができるということはまことに遺憾でありまして、そういうふうなことはあり得ないことだ、これをもう少し研究をいたしましたならば、私は実態に即応した法律ができるであろう、こういうふうに考えますので、すみやかにそういうふうな実態に即したような法律ができますように、御研究を願いたいということだけを申し上げて、私の質問を打ち切ります。
  74. 臼井莊一

    臼井委員長代理 他に御質疑はありませんか。  なければ暫時休憩いたします。    午前十一時四十八分休憩      ————◇—————   〔休憩後は開会に至らなかった〕