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1956-04-03 第24回国会 衆議院 運輸委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月三日(火曜日)    午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 松山 義雄君    理事 今松 治郎君 理事 臼井 莊一君    理事 木村 俊夫君 理事 山本 友一君    理事 青野 武一君 理事 中居英太郎君       有田 喜一君    伊藤 郷一君       生田 宏一君    岡崎 英城君       佐伯 宗義君    關谷 勝利君       中嶋 太郎君    濱野 清吾君       堀内 一雄君  早稻田柳右エ門君       井岡 大治君    池田 禎治君       下平 正一君    楯 兼次郎君       正木  清君    山口丈太郎君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      權田 良彦君         運輸事務官         (自動車局長) 山内 公猷君         運輸事務官         (観光局長)  間島治郎君  委員外出席者         運輸事務官         (自動車局業務         部旅客課長)  黒住 忠行君         日本国有鉄道副         総裁      小倉 俊夫君         参  考  人         (警視庁警邏交         通部長)    手柴 佐八君         専  門  員 志鎌 一之君     ――――――――――――― 三月二十七日  委員細田綱吉君及び山口丈太郎辞任につき、  その補欠として楯兼次郎君及び松尾トシ子君が  議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員生田宏一辞任につき、その補欠として青  木正君が議長指名委員に選任された。 同月二十九日  委員青木正君及び松尾トシ子辞任につき、そ  の補欠として生田宏一君及び山口丈太郎君が議  長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十八日  旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案内閣  提出第一三一号)(参議院送付) 同月二十九日  道路運送法の一部改正に関する請願河本敏夫  君紹介)(第一六二二号)  同(小島徹三紹介)(第一六二三号)  同(堀川恭平紹介)(第一六二四号)  同外一件(首藤新八紹介)(第一六六九号)  同(五島虎雄紹介)(第一七一一号)  同(大橋忠一紹介)(第一七一二号)  自動車損害賠償保障法の一部改正に関する請願  (須磨彌吉郎君紹介)(第一六二五号)  同(宮澤胤勇君外三名紹介)(第一七一三号)  高萩駅、北常陸大子町間に国営自動車運輸開始  の請願石野久男紹介)(第一六二六号)  気象観測用飛行機及び気象用機材設置に関する  請願井岡大治紹介)(第一六四七号) の審査を本委員会に付託された。 同月三十日 阪神国際空港の開設に関する陳情書  (第四六二号)  道路運送法の一部改正反対に関する陳情書  (第四六四号)  同外一件  (第四九三号)  大宮、高崎間の電車化促進に関する陳情書  (第四九一号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案内閣  提出第一三一号)(参議院送付)  ハイヤータクシー従業員問題等に関する件     ―――――――――――――
  2. 山本友一

    山本(友)委員長代理 ただいまより運輸委員会を開会いたします。  委員長が所用がありますので、指名によりまして、暫時理事であります私が委員長の職務を行います。  旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案議題といたしまして、質疑を行います。山口丈太郎君。
  3. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 ただいま議題となりました旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案について、二、三問島観光局長より御質問を申し上げたいと思います。  まずその第一点は、この旅行あっ旋業者資力信用の点でございます。事業を行う者といたしましては、一定の資力信用を有しなければならないことはもちろんでありますけれども、しかしこれが重要な認可の基準になるのであり、その要件となるものでありますから、従ってこれを法規に規定せられる以上は一応限界がはっきりしないと、その法の施行運営上円滑を欠くと思うのでありまするが、資力信用限界についてはどういうお考えをお持ちになっているか、一応お尋ねいたします。
  4. 間島大治郎

    間島政府委員 ただいまお尋ね資力信用限度につきましては、法律には抽象的に資力信用とだけ書いてございますが、この法律運用に当りましては、できるだけ具体的な基準を作りたいということで、法制局もそういった方針でなるべく具体的な基準が示されることを希望いたしておりますので、私の方でいろいろ実情に合うように案を考えまして、現在のところでは大体日本人を対象といたしまして旅行あっせんを営みまする業者に対しましては純資産が二十万円程度というところを一応基準にいたしたい。ただし場合によりましてはそういった二十万円以上のものがなくても、第三者が二十万円を限度といたしまする債権を確実に保証するというふうな場合には、それでもいいというふうな考えにいたしております。どうしてこういう基準を作ったかと申しますと、お手元に先般差し上げました資料によりましても、たとえば修学旅行等団体を見ますると、百二、三十人くらいが平均になっております。それからまた平均の行程四、五日というようなところを見ますると、大体一つ団体を扱いますと二十万円ないし三十万円の金を扱うということになるわけでございます。そういった金を持ち逃げする場合も考えられますので、現在御承知通り営業保証金が五万円であります。それと合せまして二十五万円程度ということを一応基準考えております。
  5. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 国内旅行者の場合には、私は大体それでいけるのじゃないかと思いますが、これはやはり国内旅行者と、海外からやって参りまする海外旅行者あっせん取扱いとは、おのずからそこに区別を生ずると思いまするし、特に観光に力を入れて観光行政に大きな期待を持たれまする今日におきましては、外客の取扱いにつきましてはよほど恥かしくない、高度な国際水準を維持するために必要な要件を持っていないと、このあっせん業というものはなかなかうまくいかないのじゃないかと思いますが、これは同一にお取扱いになるつもりでありますか、それとも別にお取扱いになるつもりでありますか、ちょっとお伺いいたしたいと思います。
  6. 間島大治郎

    間島政府委員 その点申し忘れましたが、仰せのごとく外人を扱いまする一般旅行あっせん業者につきましては、資力信用につきましてもさらに限度を上げなければいけないと考えまして、現在のところにおきましては、一般旅行あっせん業者につきましては先ほど申し上げました資力限度を四十万円と考えております。そして御承知通り現行法におきましては、営業保証金が最低二十万円になっておりますので、資力信用限度を合せまして大体六十万円程度、こういうふうに考えておる次第でございます。
  7. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 大体資力基準につきましてはわかりましたが、次にお尋ねいたしますのは、このあっせん業者性質を規正するために約款等の届出を規定せられておりまするし、これはやはりむずかしい問題でありまして、事務的には約款性質等によって判断するよりほかに方法がないと思いますけれども、実質的にはその約款にいたしましても、その業者解釈運用等によっては非常に悪質な業者も生まれてくるわけでございますが、その場合に、やはり約款についても、いろいろ許可をします場合の約款基準等はあらかじめ業者に示す必要がある、こういうふうに考えますが、基準等についても一応提示せられるのでありますか、基準をお持ち合せでありますか。
  8. 間島大治郎

    間島政府委員 旅行あつ旋約款につきましては、改正法の十二条にありまする通り、こまかいことは運輸省令で定めることになっておりますから、どういうふうな事項を記載させるかということにつきましては運輸省令できめたいと思いますが、その内容は、今考えておりますのは、旅行経費及び料金の収受または払い戻しに関する事項、それから旅行あっせんの引き受けに関する事項、それから旅行あっせんに関しまする責任の始期及び終期、いつからいつまで責任を持つか、それから免責条項、これはどんな旅行あつ旋約款にもございますが、不可抗力等旅行あっせん業者責任を負うべからざる場合を規定いたすわけでございます。それから損害賠償範囲というふうなものを、大体必要な記載事項といたしまして運輸省令できめたいと思います。ただこれだけでなしに、私の方ではこういう内容を盛りましたモデル約款を作りまして、大体こういう内容であれば差しつかえないというふうなことを、あらかじめ旅行あっせん業者に示したいというようなことで、モデル約款というようなものも現在大体成案を得ておる次第でございます。
  9. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 約款を示したいというのでありますが、旅行者あっせんをいたす場合には、やはりその旅行目的を最終的に果すまでの安全についての保障は、当然そのあっせん業者が負うべきものと思います。たとえばその旅行中に諸種の事故が起った。それは不可抗力による場合もありますけれども不可抗力でない場合もある。盗難等の場合もございまするし、あるいは衛生上のいろいろな問題が起るわけであります。こういうものについての責任は、当然あっせん業者においても一半は負うべきものだと思うのでありますが、そういう安全保障の点についても、この約款に盛り入れるという考えをお持ちであるかどうであるか。
  10. 間島大治郎

    間島政府委員 もちろんお話のような点につきましてもあっせん約款に盛るべきだと思いますが、ただ非常にこまかく一々の場合を規定するわけには参りませんので、ある程度損害賠償責任範囲といたしまして、そういったことも入り得るような条項は、あつ旋約款の中に掲げるのは必要だと思いますが、ただ具体的な場合を考えますといろいろな場合がございますので、それを一々すべてこまかく約款に記載させるわけにはいかないと思います。従来はそういう点が非常にあいまいでございまして、具体的な場合には大体業者に有利に解決されておったわけでございますが、今度はあつ旋約款にそういう点も掲げさせますので、そういったトラブルは大体起ることはない、かように考えております。
  11. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 その責任などの明確化については相当の自信を持っておられるようでありまするから、ぜひともその約款中にはこれを明記していただくように希望をいたします。  それから次に第二十六条についてお伺いをいたしたいと思いますが、第二十六条の2にはあっせん業者規制の問題が規定せられておりまして、その規制目的条項が掲げられております。この前項「第一条の目的を達成するため必要な限度において、」とまあいわば断わってあるわけです。そして次のことがいわれております。「その職員旅行あつ旋業を営む者の営業所事務所又は代理店に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査し、又は関係者質問させることができる。」、こうなっておるわけです。この旅行あっせん業と申しますのは特殊の事業でありまして、もちろん監督を厳重にするということはわかるのでありますけれども、他の営業と比較してあまりにも監督官省監督権限が強きに過ぎるのではないかという憂いがいたすのが第一。第二には、これはもちろん運輸大臣が任命せられる職員によって検査をされるのでありましょうけれども、しかしその権限をその検査員判断によって常時やられるということになりますと、あるいはその権限を乱用する憂いがある、そういたしますとこれは営業基本権に対する重大な干渉となると思うのでありますが、こういう点について一つ重大でありますので、見解を明らかにしていただきたいと思います。   〔山本(友)委員長代理退席委員長着席
  12. 間島大治郎

    間島政府委員 今のお話立ち入り検査権につきましては、現行法におきましては、必要があると認めるときには報告を聴取することができるというだけになっておりまして、不正行為等がありまして登録取り消しというような問題が起きました場合にも、業者にとりましては自己に不利なことでありますので、報告をしないというふうなことで、そういった事実がありましても結局処分ができない場合が非常に多いのであります。そのために万やむを得ずこういった取締り方面からの要望もありまして、立ち入り検査権を今度の改正法考えたわけでありますが、しかしお話のごとくこういった権限はできるだけ乱用を防がなければいけない、必要の限度にとどめなければいけないと考えておりまして、この運用に当りましては立ち入り検査権を持っております運輸大臣あるいは都道府県知事が、当該職員に対しましてはっきりとした指示をする。つまり立ち入りする場所、またどういった用件で入るかということ、それから立ち入り検査範囲をそういった権限を持っておる長がはっきり指示をした後に入らせる、こういうふうな制度にいたしたい、かように考えておる次第でありまして、ただ漫然と当該職員業者営業所に立ち入りするということは絶対にさせない、必ず長が具体的な事件に関しまして立ち入り検査範囲、どういった用件についてどういった書類を見るかというふうなことを具体的に指示さした後、初めて入らせる、こういうふうにいたしたいと考えております。
  13. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 これは非常に重要なことですから、もう一度明らかにしていただきたいと思いますが、長の必要と認める場合に限って立ち入り検査をさせる、こういうことでありますが、しからばその立ち入り検査を必要とするという認定は、形式上は運輸大臣とかあるいは都道府県の長となりましても、実際にはその事務を担当する事務者判断によって行われるようになると思うのです。そういう場合に限度がなくなるので非常に危険だと思いますが、その認定をする場合においても、不正の事実がはっきりとわかる、あるいはその申告制度によってはっきりした不正がつかめた、そういうような事実行為に基いてなされるということでないと、ただ一般的、通俗的な判断に基いてこれをなすということになれば、大へんなことになるのじゃないかと思いますが、これは申告制もしくはそういう事実のはっきりとした現実性の上に立ってやられる行為ですか。それとも一般通俗的な考えに立っての行為としてやられるのですか。そうなれば私はこれは一種の司法権をも付随するものであって、非常に問題が出てくると思う。デリケートなばかりでなく、重要であって、ひとりこれのみに限らず、あらゆるサービス業においても言えることでありますし、その他の産業においても言えることであります。一つこの点についてははっきりと見解をきめて、ここで示しておいていただかないとどうも危険な気がいたしますから、もう一度その点についてはっきり伺いたい。
  14. 間島大治郎

    間島政府委員 ただいまの点につきましては、ここに書いてあります立ち入り検査権は、一般的な検査の意味での立ち入り検査ではないと私は考えております。具体的に不正行為等がありまして、それが事実であれば登録取り消し等をしなければならないというふうな場合に、一方的なそういった被害者の申し立てだけでは取り消しをするわけにも参りませんので、やはりまず第一段としては報告の聴取を求める。それも出てこないという場合に初めて立ち入り検査ということを行うわけでありますが、その場合もそういった具体的な事件に限りまして立ち入り検査範囲をはっきり示しまして、立ち入り検査をさせる、こういう方針でおりますので、この立ち入り検査趣旨並びに実施方法につきましては、関係者にはっきりとその趣旨が伝わるように通知をいたしたい、かように考えております。
  15. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私が今まで申し上げたのは、きわめて重要な問題について申し上げたのですが、これは私はただ単なる通牒やその他では徹底しないと思いますので、あるいはこれは施行令もしくは省令としてはっきりさせる御意思があるかどうか、最後にお伺いいたします。
  16. 間島大治郎

    間島政府委員 ただいまの点につきましては、実はいろいろ調べましたが、従来立ち入り検査を認めておる法律令はたくさんございますが、施行規則でその実施方法を具体的にきめておるものはほとんどないようであります。しかしこの点につきましては、現在省内では関係個所等でできるだけ施行規則の中に、今私が申し上げましたようなことを入れるように打ち合せをいたしておりますので、御希望に沿いたい、かように考えております。
  17. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 これで終ります。
  18. 松山義雄

    松山委員長 ほかに質疑はございませんか。——質疑がなければこれにて終了します。  これより討論に入りたいと思いますが、通告がございませんので、直ちに採決いたします。  旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案内閣提出一二一号)(参議院送付)を原案通り可決いたすに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 松山義雄

    松山委員長 御異議ございませんので、本案は原案の通り可決いたしました。  なおただいま可決されました本案に対する報告書作成等に関しましては、委員長に御一任いただきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 松山義雄

    松山委員長 御異議がございませんので、さように取り計らいます。     —————————————
  21. 松山義雄

    松山委員長 これより陸運に関して調査を進めます。  なおこの際お諮りをいたしますが、本問題に関して参考人として警視庁警邏交通部長手柴佐八君より御意見を伺いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 松山義雄

    松山委員長 御異議ございませんので、さように決定いたします。  質疑通告がありますのでこれを許します。山口君。
  23. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は陸運に関して御質問を申し上げたいと思いますが、時間をお急ぎのようでありますからまず警視庁の方からお伺いをいたします。  これは主としてハイヤータクシーあるいはトラック等自動車交通に関する問題でございます。まず第一にお伺いしたいのは、最近の自動車事故というのは非常に多くなっております。毎日都内におきましても、その取締りの任に当っておられる警ら交通関係の方々は非常な努力をして、事故未然防止のために働いておられると思うのでありますが、しかし毎日死傷者を出し、あるいは自動車破損事故等、多くの事故を出しておるわけでございます。まずこの最近の事故性質は、警視庁において調べられてはっきりしていると思いますが、一体どういう性質事故が一番多いか、資料があれば一つ数字をあげて御説明を願いたい。
  24. 手柴佐八

    手柴参考人 最近の警視庁管内事故は、どういう性質事故が多いかというお尋ねでございます。事故を起した内容から申し上げますが、自動車が第一原因者で起した事故が非常に多いのであります。その自動車がどういうために事故を起すかという点でありますが、まずこれは昨年でありますけれども、一番多いのは前方注意義務を怠ったもの、運転前方をよく注意して横断車があるかどうか、あるいは何かの障害がないかどうかということを運転者注意をして運転をすべきでありますが、これを怠ったために昨年中に起しました事故は二千八百五十三件でございます。これは全事故の二一・七%に当っております。その次は優先通行権無視、これは横断歩道がございますところへ、しかも信号機があって青信号のときに歩行者が通行しておる場合は自動車は一時停車して、そうして歩行者を優先的に通行さすべきでありますが、これを無視したために起した事故が一千四百三十三件、これは一〇・九%に当っております。その次は追い越し不注意、追い越すときはその場所あるいは状況等を見まして追い越しをするのでありますが、そういう注意を怠って追い越しをしたために起したのが一千三百三十四件、一〇・一%であります。一〇%以上のものは大体そういうのであります。次はハンドルの操作が十分でなかった、あるいは速度違反であったり、めいてい運転あるいは右折れの不注意、こういう順序になりまして、そのほかいろいろございますが、自動車側のおもだった不注意違反というのは以上申し上げたような状況であります。  また歩行者側不注意によっても事故は起るのでありまして、この面の事故は、道路横断中に不注意のために事故を起した、これは明らかに歩行者の方がむしろ自動車よりは不注意であったと考えられますのが、これも昨年中に四百三十件あります。しかもこれは歩行者側の過失による事故の総数の四三・四%に当っております。それから自動車あるいはその他の諸車が通っているにかかわらず、ひょっと歩道の方から車道に飛び出した、これはおもに幼児等に多いのでありますが、これがために起った事故が二百八件、二一%、それから酔っぱらって道を歩いておったために事故を起したというのが九一件、九・一%それから線路踏み切り不注意のために起した事故が七一件、七・一%、あるいは子供が路上で遊んでおったという、路上遊戯による事故が四十七件、四・七%、その他幼児の一人歩き、あるいは信号無視対面交通違反横断でなく車道を歩いておったということ、おもな原因はこういったことになります。
  25. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 ただいま事故性質の種類を御報告になったのですが、私はこの前方注意義務の怠慢あるいは優先通行権無視、こういう悪質なと申しまするか、非常に件数の多い事故原因は、取り調べられた結果どういうところにそういう原因があったかを一つ明確にしていただきたいと思います。
  26. 手柴佐八

    手柴参考人 ただいまの自動車側の一番多い前方注意義務の怠慢であるとか、あるいは優先交通権無視というのは、そういうことを起す原因がどういうところにあるかというお尋ねのようでございますが、これはなかなか困難な問題でございまして、起きた事故に対して、一体どういうわけで前方注意義務を怠ったかと申しましても、なかなかこれははっきりせぬのであります。あるいはうっかりする場合もございましょうし、あるいは非常に過労による場合もございましょうし、あるいはまた法令順守事項でありますからこれを十分知っておらない、忘れてしまった——もちろん運転者でありますから、法令の試験を受けて免許を受けておるわけでありまして、一応知っておるわけでありますけれども、中にはそうでない、忘れてしまったというような人もないではないのでございます。その優先通行権無視というのは、実は最近は非常に私どもはよくなったと考えておるのでありますが、それにいたしましても先ほど申し上げましたような事故件数を生じておるのでありまして、結局運転者の人々がいま少しく自分のことだけでなく、人も一諸に道路を歩いておるのだという交通道義と申しますか、こういう面を重んじていただいたならば、事故は非常に減るのじゃないか、かように考えておるのであります。
  27. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 きわめて多い事故原因についてお尋ねしたのですが、あまりはっきり原因がつかめてないようです。私はこういう事故未然に防止するという建前からいきますと、この事故原因というものは厳格に取締り当局としましては究明をして、行政上の欠陥があれば、行政上の欠陥の重大な資料になることですから、これはどうしても明確にされないと、運転手処分等行政処分の問題なども、そう軽々しくはきめられないと思うのです。そういう点からいけば、私どもの経験によっても、相当厳重に調書をとられておるのですが、警視庁の方では、最近はそういうような事故がどういう原因によって起きたかについて、運転手をお取り調べになっていないのですか。ただ事故そのものを犯した不都合だけを調書にとって行政処分にしておられるのですか。どちらですか、その点を伺いたいのです。
  28. 手柴佐八

    手柴参考人 もちろん起りました事故については、具体的にその事故状況、起った原因等も調べております。しかし、たとえば非常に過労であるとか、あるいは、めいていもこの中にありましたから、これは別でありますが、いろいろ理由を調べておりますけれども、その辺の統計は実はただいま持っておりませんので、はっきりお答えができないのでありますが、取調べはいたしております。
  29. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は運転手処分の問題その他から起きた事故の重大原因については、運輸省側に質問をいたしたいと思いますが、その場合の資料として非常に重大だと思っておいでを願ったのですが、件数だけであまりはっきりしたことはわかりません。これは非常に遺憾だと思います。  次に私はもう一つ伺いをいたしますが、最近は非常に交通警らの方法についてよくなったようです。二、三年前までは交通警らの行き過ぎも非常にありました。といいますのは、各所に隠れていて、違反者を頭から犯罪者として取り扱う。事故未然防止とともに、犯罪の未然防止でなければならぬのでありまして、いたずらにそれを犯罪者として扱うということは、どうも行き過ぎの感があったわけですが、最近はそういう点についてはよほどよくなったようでありまするけれども、今日現場で働いておりまする運転者の二重処分の問題です。行政罰と刑罰の二つの処分が同時に課せられる。たとえば免許証を取り上げる。そのあとで罰金刑を食わされる。こういうことになりますと、非常に貧困なものでありますから、その負担が非常に大きくなるばかりではなく、生活の非常な脅威になる。一方において、業界の方では極端な歩合制がとられておりますために、なお一そうスピード違反、あるいは優先、あるいは前方注視の義務等を知りつつも、それを犯してもなお収益を上げようというあせりがその中に見られる。こういうようなものも私は、事故未然に防ぐ、あるいは犯罪を未然に防ごうというのが法の目的であるにもかかわらず、実際にはそういうことが高じますと、今申しましたように因果はめぐるで、ますます事故件数を多くするようになる。こういう二重処分の問題については、よほどこれは考えなければならぬのではないかと思いますが、一体最近の状況はどういうことにたなっておりますか。ただスピード違反で免許証を警察に持ち込んでしまう、こういうような行為は非常に困ると思いますが、一体どういうふうになっておりますか、その処分状況についてお尋ねいたしたいと思います。
  30. 手柴佐八

    手柴参考人 行政処分の問題でございますが、二重処分というお話もございましたが、考え方によってはさようなことになっておるわけであります。しかし一般に特殊の業務に従事する者は、これは特殊の業務なるがゆえに特別の処分を受けるということはあるわけでございまして、運転者については免許を受けなければ運転ができない。従いまして免許を受けた者は、一般の免許を受けないで道を歩いておる人たちよりも、よけいにやはり注意義務なり何なり課せられておる。従いましてこれが交通法令に違反しました場合には、交通法令違反として処分を受けるほかに、その業務に適格であるかどうかという問題が出てくるわけでありまして、こういう面で行政処分が司法処分のほかに行われておる、かように考えておるのであります。従いまして行政処分自身は当然あるべきじゃないか、かように私は考えておるのであります。現在の行政処分で、昨年一年中に免許の取り消しをやりましたのが、百三十五件であります。それから停止、これは少いのは三日とか五日とか、多いのは九十日とか百日というものもございますが、件数で二万一千五百二十四件でございます。これは免許の一時停止でございます。そのほかに軽微なもの、あるいは初めて違反をやったというような人たちで、行政処分をしなくちゃならぬと思われるものの中で、停止あるいは取り消しをいたしませんで、講習をやりまして、本人に反省を求めるという数が約一万二千人でございます。これは人を集めて講習したわけであります。これは行政処分の停止等にかわるわけであります。以上であります。
  31. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 免許の取り消しというのは相当悪質なものだと思いますから、これについては私は、乱用してはもちろんいけませんが、この数字は大したことはないと思いますけれども、一時停止が一番問題だと思うのです。一カ月なり一週間なり十日なり、いろいろの段階を設けて、そうして一時停止をされるのでしょうが、その一時停止をされるような人は、必ず罰金がつき過料がついているので、一たんやりますと免許をとられて、はなはだしきは一カ月の停止をされる。その上に何千円という罰金がくる。一方働いておらぬものですからどうもその罰金が払えません。それでその罰金をかせぐためにまた無理をする。またつかまる。こういうようなわけで罰金が非常に滞納になる、今度はその罰金を納めなければ収容して罰金に相当額の日数は拘禁する、こういうようなことになって非常に生活に脅威を来たす。こういう訴えが自動車運転手からはひんぴんとして参っております。これは取締りの面から見ると、一時停止であるからして大したことはない、こうお考えになるのじゃないかと思いますけれども、これはきわめて重要な要素をはらんでおって、取締りがかえって次の違反へのいわば動機を与えておるものとも言えるので、本来の目的にそぐわないのじゃないかと思う。しかもひんぱんに免許権の一時停止ということが行われる、これはゆゆしい問題だと思うのですけれどもどうでしょうか。これはその困難性もわかりますけれども、これについて一つ所見を伺いたいと思います。
  32. 手柴佐八

    手柴参考人 結局行政処分の本質の問題になるわけでございますが、現在は道路交通取締法の第九条に免許の取り消しまたは停止をするということがはっきりありますので、これに該当するものは行政処分をいたしておるのであります。従いまして現在やっておること自体は、私は不都合と考えておりませんが、しかし行政処分の現在のあり方が必ずしもそれでいいのかということになりますれば、やはりこれは相当研究の余地もあろうと思いまして、私どもといたしましてもいま少し納得のいく方法があるならば、そのように監督官庁に上申をいたしまして、改正をしていただきたいという気持を持って、相当いろいろな方面から研究中でございます。
  33. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 それではその問題はこのくらいにして、次に私はきょう新聞に報道せられた点についてお伺いをするのですが、実はきょうの新聞によりますと、東京都新宿区新宿、ハイヤータクシーの三和自動車株式会社の従業員が家族連れで旅行をいたしまして、その帰途でありますか、その三和自動車責任者は松原徳幸というのですが、この人の責任でイースタン観光バスに乗って旅行をしたようであります。一方警視庁の予備隊、伊藤安雄警部が責任者でありまして、時節柄のことでありますからリクリエーションをやられたようであります。ところが遺憾なことには、この二つの団体が、酒の上でしょうが、横浜市戸塚区平戸町、ここに休憩所の梅園というところがあるようでありますが、そこで二日の午後四時二十分ごろ非常なトラブルを起しておるのであります。もちろん警官といっても人でありますし、お互いに感情の行き違い等もあります。また酒を飲んでの失敗もあります。これは人間としてあり得ることでありますから、それを個々人について私は責めようとは考えません。あやまちもあるということは認めます。しかしこの新聞の報道によりますと、どうも許しがたいのは、この警官たちが集団で相手の団体との間で乱闘を繰り返しておる。そして双方に十数名の負傷者を出しておる。個人々々のいさかいであるならば、これはお互いの過失であるということで私は認められると思いますけれども、集団で渡り合うということについては断じて許しがたい行為である、こういうふうに考えるのですが、これは大体どういうことなのですか、私は遺憾に思うのですが、お考えはどうですか。
  34. 手柴佐八

    手柴参考人 ただいまのお尋ねの問題でございますが、実は私の主管が違うのでございまして、報告も受けておりません。ただ私もけさ新聞を見まして、こういう事件があったということは、私どもといたしましてもまことに残念なことだと考えておりますけれども、具体的に問題がどうであったかということは私存じませんので御了承願います。
  35. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 これは運輸とは所管も違うことですし、警邏部長に聞いても知らぬと言われればそれまでの話でありますけれども、やはり身をこれに置かれる以上は一つ聞いていただきたいのは、私は子煩悩ですから、子供のことについては盲目的になるくらいなんですけれども、たしか本年に入ってからではなかったかと思いますが、禁漁区域の池で子供が魚をつっておった。それに対して警察官が拳銃を発砲して重傷を負わした。ところがそれにしてもどうも割り切れないと考えるのは、常にそれが警察官なるがゆえに合法化されておるような傾向があるのではないか。これは私としては非常に強い印象を受けます。反省どころではなくて、逆にこういう子供にもせよ、法を犯しておる者については、犯した者自体が悪いのであって、拳銃を撃った者は合法なんだ、こういう記事が新聞に報道せられました。私はまことに遺憾に思うのです。この場合にもこれは所管は違うといたしましても、警官がいやしくも集団でこういう暴行を加えておる。今までの印象からいきますと、これは警邏部長にしっかりしてもらわなければならぬ。と申しますのは、この団体ハイヤータクシーの三和自動車の交通業者です。今まで警察がそういうこをやって、世間的に批判を買うようなことになれば、悪い言葉でいう、必ず相手方にしっぺい返しをやるのです。戦後は皆さん、民衆の警察たらんとして非常に努力をされておりますし、私は非常に信頼しておるけれども、今なお全部が全部信頼するような良質の人ばかりではないのです。必ずしっぺい返しをやる。われわれは国民の代表として法律を作って、その法規に基いて秩序を維持してもらうようにその権限を与えてあるけれども、そういうためにその権限を委託されている受託者がどんなことをしてもいいのだ、言葉が過ぎるかもしれませんけれども、どんなことをしてもそれは合理化してうやむやに済ませるのだ、しかしその委託した主権者である一般人は、どんなことをされても泣き寝入りだということにはならないと私は思う。むしろその一般人こそが主権者でなければならない。そうなると、その一般人があなた方に権利をまかせておるのです。そういうようなことをやって、警察当局者は、本日新聞に出ておる談話を見ますと、一向に反省の色がない。子供のときに警官が発砲したのと同じように、また合理化しようという傾向が非常に濃厚である。これをこのまま推し進めていきますと、必ず自動車にしっぺい返しをやるかもしれないという非常な恐怖心が私にわいてきます。こういうことでは、私は交通の重要な取締りに当られるあなた方としても、よほどこれについては注意をしてもらわなければ困ると思います。こういう点からも、私はきょうは警視総監に来てもらって、この実情について、またこの事態収拾について問いただそうと思ったのですけれども、お見えになりませんのは非常に遺憾ですが、あなたはこういうような点について、取締り上からも部下をどう訓練されておるか、一つ伺いたいと思います。
  36. 手柴佐八

    手柴参考人 警察官にときどき不都合な行いがありまして、社会から非難をされる問題もあるのでありまして、この点については、私ども警視庁職員としてまことに申しわけないと考えております。ただいま、昨日の横浜市における事件の相手方が交通関係業者であるから、これにしっぺい返し的な取締りをすることのないようにという御注意でございますけれども、もちろん私どもはさようなことはいたしません。どの会社がどうということで従来も取締りはしておりませんので、今後も特に三和交通について取締りに手心を加えて、厳重にするというようなことはしないつもりでございますから、その点は御安心いただきたいと思います。なお御趣旨は帰りまして総監並びに警務部長によく伝えたいと思います。
  37. 松山義雄

    松山委員長 手柴参考人にちょっと申し上げますが、ただいまの山口さんの質問に、しっぺい返しの問題がございましたが、ほんとうに往々そういうようなことがやはりありがちですから、十分その点は気をつけてもらいたい。三和だけの問題じゃないのですが、よくそういうようなことがありがちですから、十分その点は気をつけていただくようにお願いします。關谷君。
  38. 關谷勝利

    ○關谷委員 先ほど山口委員から道路交通取締法によるところの処罰等についての御質問があったようでありますが、私はこの機会に警邏交通部長道路運送法の違反者に対しまするところの処分につきましてお伺いを申し上げたいと思います。この道路運送法に規定いたしておりますのは、これは主として自動車運送事業者を処罰することになっておるのでありますが、いろいろな違反をなくするためには、この道路運送法に規定をいたしております百三十二条でありますが、この処分対象というものを明らかにして、運転者をも取り締ることにいたさなければ、いろいろな道路運送法の違反ということは絶滅することはできない、このように考えますので、お伺いを申し上げたいのであります。  少し詳細に申し上げますと、乗客を乗車拒否をいたしました場合には第十五条の規定があり、料金違反をやった場合には第八条の違反ということになり、さらに区域外営業をやりました場合には第二十四条の違反になるということでありますが、百三十二条の解釈いかんによりますと、これが事業者のみを罰するものであるというふうに解釈する向きもあるのであります。また一方におきましては、これは当然行為者そのもの、運転手をも処罰することができるのだ、このように解釈する人もあるのでありまして、主観説、客観説に分れて、いまだこれがはっきりとしておらないようでありますが、この百三十二条の解釈については、警視庁といたしましては——警邏交通部長といたしましては、どのような解釈をとっておられるのか、事業者のみしか罰せられないという見解をとっておられるのか、あるいはまた行為者、運転手そのものをも罰することができるのである、こういうような解釈をとっておられるか、この点伺っておきたいと思います。
  39. 手柴佐八

    手柴参考人 道路運送法の解釈の問題でございますが、処罰を運転手もすべきか、あるいは事業者のみであるかというお問いでありますが、私の方ではこれは東京地検あるいは都の交通関係の仕事を担当しておる検事といろいろ打ち合せをして、この解釈について研究をしたのでございますが、現在のところでは運転手をこれで処分することは無理ではないかというように解釈しておるのであります。
  40. 關谷勝利

    ○關谷委員 これは道路運送法を制定した当時の担当官あたりの解釈といたしましては、この百三十二条によって行為者も処分することができるのだ、こういうふうな見解をとっておると私は聞いておるのであります。さらにまた法制局、法務省の刑事局あたりにおきましても、公式の場合にはそういうことをはっきり確定いたしておりませんので、発表をようしないけれども、私的に会談をした場合に、処分し得るのだというような個人的な見解を漏らしておるのでありますが、大体罰則関係につきましてはあなた方が主管官庁になるわけでありますので、あなた方は一番よく研究をしておられなければならないはずでありますし、これがはっきりとした解釈をすることがなければとうてい取締りをすることができない、従って違反をなくすることはできない、こういうことになるのでありますが、もしこれで取締りができないのだという解釈をあなた方がとられるとするならば、こういうふうな違反はどういうふうにしてなくしようとあなた方はお考えになっておられるのか、この点具体的になお考えを承わっておきたいと思います。
  41. 手柴佐八

    手柴参考人 この違反をいかにしてなくするかという問題はいろいろ考えられると思うのでございますが、業者が料金の認可を運輸大臣から受けて営業をしておるのでございますから、一応当然業者責任としてさようなことを運転手にさせないということの監督がまず第一じゃないか、かように考えるのであります。それからそういう事実が発見されました場合には、もちろん私どもの方でも運転手注意も説諭もいたしておりますし、また不当に料金を取ったというような事実がはっきりいたしたものについては、料金を返さした事例もあります。しかし私どもといたしましてはこの法規をはっきり、運転手にも責任ありというように改正をされまして、そうして私ども取締りをして検察庁に送れるというようにしていただきたい、かように考えておるのであります。
  42. 關谷勝利

    ○關谷委員 業者運転手監督をよくすることによってそれをなくするというふうな、まことに消極的な話でありまして、そうなると極言いたしますれば、運転手に対して監督者を一人ずつつけなければならぬということになって参ります。そんなことはとてもできるものではないし、いろいろ監督はしておるけれどもこういう違反があるというのが実情であります。ことに不当な料金を取っておれば、それをつかまえたときには返さした事例もあるというのでありますが、そういうときには積極的に、こういう不便があるから法をこういうふうに解釈をしてもらいたいという意見ぐらいは、取締り官庁として私はあなた方の意見が当然出てこなければならぬ、こういうふうに考えるのでありますが、本日の私のお尋ねで初めて法を変えてもらいたいというお話でありますけれども、今までそのようなあなた方の積極的な意見を、どこかその筋に開陳せられたことがあるかどうか、この点伺っておきたいと思うのであります。
  43. 手柴佐八

    手柴参考人 この道路運送法の関係は、主たる官庁は陸運事務所でありますので、その方に私どもの方から意見を出しておるわけであります。
  44. 關谷勝利

    ○關谷委員 意見を出しておられるということですが、そこに自動車局長も旅客課長もおられるけれども、もしもそれを取り締れないというふうなはっきりとした解釈をするというのなら、こういうふうに改めてもらいたいということを警視庁から要求を受けたことがあるかないか、お二人のうちどちらでもよろしいから、御答弁を願いたい。
  45. 山内公猷

    ○山内政府委員 本条につきましては、法務省あるいは警視庁等ともいろいろ協議をいたしておるところでございます。現在までの百三十二条の解釈につきましては、大体におきましてただいま警邏交通部長がおっしゃられましたような解釈であったわけでございますが、最近こういう免許企業に対します従業員の違反というものにつきましては、ただ道路運送法の問題だけではないのでございまして、たとえば臓物故買というような古道具屋のようなものもそれに入りまして、そういうようなものにつきましてもいろいろ判例を調査いたしておりまして、先ほど關谷先生から言われましたように、学説といたしましてはそれに関連いたしましていろいろあるわけでございますが、最近の判例におきましては処罰できるというような方向に持っていく判例が非常に多いとわれわれ見ておるところでございまして、それにつきましては将来とも各方面と連絡をいたしまして、さらに研究を進めてみたいと思います。
  46. 關谷勝利

    ○關谷委員 こういうふうな重大なことが、また相談をしておるうちにおいおい解釈が変ってくる、判例が変る、もちろん憲法の解釈でも変ることがあるので、これはあるいはそういうふうなことになるのかもわかりませんが、これにつきましてはそれでは早急に警邏交通部長と局長との間で打ち合せをして、そしてそういうふうな判例があるというのなら、その判例も一応私たち参考に資料として次の機会にいただきたいと思いますし、早急にこの解釈をはっきりとさして、ほんとうに確立した解釈のもとに取締りをする、こういうふうなことに持っていってもらいたいと思います。これは早急にそういうふうな打ち合せをして、その結果を提出してもらいたいのでありますが、いつごろその結論が出るか、この点一応期限を付して、いつごろまでにはそういうようなことをするという見通しをつけてもらいたいと思います。
  47. 山内公猷

    ○山内政府委員 本件につきましては刑事局、検察庁あるいは法制局とも十分連絡をいたしまして、ただいまの日限その他につきまして、関係官庁がございますので、後刻御報告申し上げたいと思います。
  48. 關谷勝利

    ○關谷委員 警邏交通部長が見えておりますので、ついでにもう一点お尋ねしておきたいのでありますが、自動車運転者の就業免許制度、これは以前にもこういう制度があった時代があるのでありますけれども、現在はなくなっておるのであります。バスとかタクシーハイヤーというふうな人命を預かる運転手については、経験とかあるいは年令その他技術、学術等、そういうふうな面から高級の免許制度を規定すべきであるというふうな意見も非常に強いのでありますが、こういう点につきましては、ことにこのような免許等を下しますのがあなたの所管でもありますし、こういう事故をなくして、みんなが安心をして乗れるというようなことにいたしますためにも、こういう制度を確立するということがその目的に沿うゆえんである、私たちはこのようにも考えるのでありますが、この点について警視庁当局の御意見を伺っておきたいと思います。
  49. 手柴佐八

    手柴参考人 旅客を運送するタクシーあるいは、バス等の運転手には、普通の運転手以上にさらに高級の就業免許を要する、こういう趣旨だと思いますが、これは御説のように従来はそれがございましたが、終戦後免許法が一本になっておるわけでございますけれども、私どもといたしましても、先ほどの件数の中にもございましたようにタクシー事故は非常に多いのでございまして、そういう面からもあるいは年令なりあるいは法令その他についての認識なりをいま少し高度のものにして、就業免許的な制度の確立が望ましい、かように考えまして、これは検察庁にも意見を何回か具申して御相談をいたしまして、研究をしていただいておると考えております。
  50. 關谷勝利

    ○關谷委員 今タクシーにときどき乗ると、窓ぎわに優と書いてあるのがあります。そういうのを見て、あれは車体の整備ができておるというのか、運転手の技量その他がいいということになっておるのか、いずれか私たちは知りませんが、あのような方方をとろうというふうなことをあなた方が考えておられるということは、とりもなおさず事故を防上する、一段大衆に安心感を与えるということが第一目的であろうと考えるのでありまするが、あのようなことをやられるというのは、とりもなおさず就業免許制度を確立して、一段と高級な免許制度を出そうというふうなお考えではないのであろうかと私たちは考えるのであります。まず制度と申しますよりも、実質的にああいうことをやって、この制度に近づいていこうということを考えておられるのかどうか。そうしてあの優というのはどういうふうなことで渡したのか、どういう基準によって出しておるのか、この点と両方お尋ねをいたしたいと思います。
  51. 手柴佐八

    手柴参考人 タクシー前方に優の字をくっつけておりますのは、昨年の七月からであったと思いますが、ああいう制度を設けた。これはタクシー、あるいはその他の車もそうでありますが、違反をする者については、特に悪質な者は相当厳重な取締りをいたしております。しかしながら反面交通事故も起さない、また違反もやらないという優良な運転手を顕彰することによって、他の運転手の模範たらしめて、違反や事故を起す者を少くしようという趣旨で、あの制度を始めたのであります。従いましてこれは車の整備その他が優秀であるのではなく、その運転手を優秀なりとして表彰したものでありまして、これは当時ラジオでも何回かやりましたし、また新聞等にも相当書いていただきまして、その趣旨はだいぶ宣伝はしたつもりでございます。車がいいということでなく、運転手がいいということでございます。
  52. 松山義雄

    松山委員長 ちょっと申し上げます。手柴参考人は会議を主宰しておられて、その会議が始まるそうでございますから……。
  53. 關谷勝利

    ○關谷委員 もう一点、そうしたらこれは要望でありますが、今私が申し上げた就業免許制度というようなものを考えられておるようでありますので、この点実現のためにこれからも努力をしていただきたいと思いますので、その希望を申し上げておきます。なお、他にもお尋ねしたい点が二、三点あるのでありますが、あなたの時間がつかえておられるようでありますので、また次の機会に譲ります。今の就業免許制度につきましては、これを実現するために努力をしていただきたいということを重ねて申し上げて、私の質問を打ち切りたいと思います。
  54. 青野武一

    ○青野委員 関連。手柴警邏交通部長にこの際一言お尋ねしておきたいと思います。都合によったら、お会議の関係もありますので、明日もう一ぺん御出席をわずらわすようになるかもわかりません。  このごろ流しのタクシーに乗っておりますと、客席に電灯がついておる。私は津田さんが警邏交通部長をしておるときに聞いたのでありますが、自動車運転手の交通違反だけを厳重に取り締るということは必要でありますが、日本人がおもにやったというわけではありませんで、酔っぱらった外国人がよく運動手に危害を加える、そういうためには室内の電灯などは間に合わぬから、まっかな電灯でも自動車の上につけて、足で踏んだら、今自分の車が走っておるけれども、とにかく危害を加えられつつあるということが、通行人でも交番でもそのあかりを見ればすぐわかり、救助に飛び出してくるといったような方法が必要ではないか、こういうことを私は運輸委員会で一度質問したことがあります。それは実施されておりませんが、うしろからハンマーでたたかれたり、木刀でたたかれたりして、気の毒な運転手は殺される。あり金を全部取られる。そのほとんど十中八、九までは米人関係というようなことを新聞でよく見るのですが、こういう点についてどのようにお考えになっておるかということが一点。  それから道路交通取締りによっていろいろな違反事項——先ほどの山口委員質問に答えられて、たとえば前方不注意のために事故を起した、信号無視追い越し、その他いろいろと私は御答弁を聞いております。そういうこともございますが、今の歩合制度というものが非常に不必要に違反を多くしておる。それで統計をとってみて、たとえば東京都内の自動者の運転手、これはハイヤータクシーに限っておりませんが、大ざっぱに言って歩合制度は大体どのようになっているか、本給は大体どれくらいになるか。これは二十四時間制度になっておりますために運転手も非常に疲れて、前方注意しなければならぬと思いながら、往々にして不注意による事故を起すということも、やはり疲労の関係が重大な原因をなしておると思いますが、こういう点が一つ。きょう御答弁のできるところはかまいませんが、明日でもおいでになるときに、そういう答弁内容資料をそろえていただきたいと希望いたします。  それからもう一つ、交通巡査の俸給の割増の率は、津田さんのときも、私自分に直接関係のあったことですから御質問いたしましたが、運転手による自動車の交通違反がどろぼうをつかまえたときよりも、給与に対して割増率が非常にいいということをその当時聞いておりました。ピストルやあいくちを持っておる強盗、どろぼうをつかまえて、給与の割増しは、どこが標準になっておるか知りませんが、当時二・五、運転手は無抵抗で武装しておらない、それを街路樹の陰から違反の起るのをじっと見ておって、そうしてすぐに飛び出していってとっつかまえて、これが三・五の歩増し、そういうようなことで、特に親のかたきのように交通巡査から運転手がにらまれておるのではないかといったような質問もしたことがありますが、今までは乗客が乗りおりする場合は、そのところで二分間と標準をきめておったが、今のようにハイヤータクシーが一万をこすというようなことになっては、毎日運転手は違反々々で罰金ばかりやられるから、大体六分間程度は大目に見るということにしておりますという答弁でした。ところがそれが交通巡査の諸君に徹底を欠いておった関係で、一分ないし二分ぐらいで、ここは自動車をとめて客を乗せてはいけないのだといって、免許証を取り上げるといった行き過ぎた点も私は二、三知っておるのですが、今の場合はどのようになっておるか。それから自動車運転手を違反でつかまえたときには、交通巡査の給与がどの程度の割増しになっておるか。強盗をつかまえたときには幾ら、どろぼう、すり、かっぱらい、殺人、凶悪犯人をつかまえたときには、給与に対してどの程度の賞与をやっておるのか。それからどろぼうと比較して運転手の方が率がいいということになると、いやでも自動車運転手は目のかたきにされる。私が質問した当時にはそういうときがあったのです。そういう点を、明日でも運輸委員会に御出席していただくようになりました節は、運輸委員会の各委員の人も全員がやはりそういうことを知っておく必要がありますから、御迷惑でも警邏交通部長から一つこの点の御答弁を願いたいと思って希望を申し上げます。
  55. 手柴佐八

    手柴参考人 最初の室内灯を現在タクシーにつけておるというお話でございます。これは多分、あるいは私の記憶が間違っているかもわかりませんが、二月一日から実施したと記憶しております。新聞等でも御承知のように、自動車強盗で運転手が被害にかかるのが非常に多いのでありまして、この防止のためにいろいろ考えまして、お説の警戒灯と申しますか、危険信号を出すという問題もございますし、それから明るかったら犯人の心理と申しますか、明るいところではやりにくい。それからもしそういう被害がありましても、明るいとバック・ミラーに大体の人相、風体が映りますので、あとで捜査あるいは検挙する場合に非常に工合がよろしいというようなことで、これはもちろん法規には室内灯をつけろという規定はないのでありまして、つけてもよろしいしつけなくてもよろしいということになっておりますけれども業者あるいは運転手の意見も聞きまして、一応これはつけて防止したい。その前にこれも統計ははっきり覚えておりませんけれども、つけないときに運転手の方で自発的に室内灯をつけておったがゆえに、強盗にあって、人相などを見ておって検挙ができたというだいぶ工合のいい筋があったのであります。つけました後の成績は、新聞等に書かれることもだいぶ少くなっておるのでありまして、皆様お気づきかどうかわかりませんが、被害はだいぶ減っております。これははっきりした数字は今持ち合せておりません。  それから交通取締りのために、どろぼうや強盗をつかまえたよりももっと率よくほうびをもらうというようなお話でございますが、これは現在はさようなことはございません。交通取締りによる割増しとか増俸というものはないのでありまして、もちろん成績を見る、警察官は野放しにしておれば全然成績は上らない、かようには考えておりませんけれども、やはりある程度の実績を上げた人は見てやる。これはどの方面を見ましてもそうであろうと思うのでありまして、警察にもやはり実績を上げた者は、その人の成績はよく見るという制度は持っております。しかし強盗や殺人あるいは強姦、どろぼうというものによる実績の評価と交通違反の実績の評価は、これは全然問題にならないほど差があるのであります。今その調べを持ち合せておりませんけれども、これは全然問題になりません。ただ交通取締りにいたしましても、運転手が交通事故を起してひき逃げをする場合がしばしばあるのでありまして、そういう者を捜査検挙した場合は、これは交通違反でありましても相当重く見ております。  それからタクシー運転手の給料の歩合でありますが、これは労働時間とか賃金とかいう関係は労働省でやっていただいておるのでありまして、私どもの方で直接これが調査はしておりませんけれども、大体固定給一万円前後の会社が最近は相当ふえたということをタクシー業組合の方からも聞いております。しかし中には固定給三千円とか五千円で、あとは歩合、歩合もかせぎ高の多いほど率がよろしいというような制度のあることは聞いておりますけれども、これは直接私どもの方でやっておりませんので、大体そういう程度しか承知しておりません。
  56. 松山義雄

    松山委員長 参考人の方、ありがとうございました。  本日はこれをもって散会いたします。    午後零時二十七分散会      ————◇—————