運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-03-23 第24回国会 衆議院 運輸委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十三日(金曜日)    午後二時六分開議  出席委員    委員長 松山 義雄君    理事 今松 治郎君 理事 臼井 壯一君    理事 木村 俊夫君 理事 畠山 鶴吉君    理事 青野 武一君 理事 中居英太郎君       有田 喜一君    伊藤 郷一君       生田 宏一君    岡崎 英城君       佐伯 宗義君    關谷 勝利君       濱野 清吾君    堀内 一雄君       眞鍋 儀十君  早稲田柳右エ門君       井岡 大治君    下平 正一君       山口丈太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 吉野 信次君  出席政府委員         運輸政務次官  伊能繁次郎君         運輸事務官         (大臣官房長) 朝田 静夫君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      権田 良彦君         運輸事務官         (自動車局長) 山内 公猷君         運輸事務官         (観光局長)  間島大治郎君  委員外出席者         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉蔵君         海上保安監         (警備救難部         長)      砂本 周一君         日本国有鉄道参         与(船舶部長) 西阪 文雄君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 三月二十日  委員濱野清吾辞任につき、その補欠として粟  山博君が議長指名委員に選任された。 同 日  委員粟山博辞任につき、その補欠として濱野  清吾君が議長指名委員に選任された。 同月二十二日  委員岡崎英城君及び堀内一雄辞任につき、そ  の補欠として川島正次郎君及び夏堀源三郎君が  議長指名委員に選任された。 同 日  委員川島正次郎君及び夏堀源三郎辞任につき、  その補欠として岡崎英城君及び堀内一雄君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十日  気象業務法の一部を改正する法律案内閣提出  第一四一号) 同月二十二日  青年学級生鉄道運賃割引に関する請願(小牧  次生君紹介)(第一五一四号)  道路運送法の一部改正に関する請願茜ケ久保  重光君紹介)(第一五一五号)  同(高瀬傳紹介)(第一五一六号)  同(松尾トシ子紹介)(第一五一七号)  同(井堀繁雄紹介)(第一五一八号)  同(飛鳥田一雄紹介)(第一五一九号)  同(片山哲紹介)(第一五二〇号)  同(志村茂治紹介)(第一五二一号)  同(足立篤郎紹介)(第一五四三号)  同外二件(纐纈彌三君紹介)(第一五四四号)  同外一件(山本利壽紹介)(第一五四五号)  同(渡海元三郎紹介)(第一五四六号)  同(橋本龍伍紹介)(第一五六九号)  同(田中武夫紹介)(第一五七〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員長補欠選任  道路運送法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇二号)  旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案内閣  提出第一三一号)(予)  気象業務法の一部を改正する法律案内閣提出  第一四一号)  青函連絡航路における浮流機雷の問題に関する  件     —————————————
  2. 松山義雄

    松山委員長 ただいまより運輸委員会を開会いたします。  最初に去る二十日付託されました気象業務法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたしまして、政府より提案理由説明を聴取いたします。吉野運輸大臣
  3. 吉野信次

    吉野国務大臣 それでは提案理由を御説明申し上げます。  わが国は台風、地震津波凶冷旱魃等自然現象による災害が多く、産業交通等社会活動に及ぼす影響の大なるにかんがみまして、従来とも気象業務整備に心がけて参りましたが、今回次のよう事項につきまして改正いたしたい所存でございます。  第一、中央気象台気象庁として運輸省外局となるに伴って、気象業務法運輸大臣の権限であるものを外局である気象庁長官に移すとともに、中央気象台が行なってきた業務気象庁業務とするため関係規定を整理することであります。  第二には気象庁気象審議会を設け、関係各界の代表の方々に、観測網整備予報警報伝達方法及び利用改善その他気象業務に関する重要事項調査審議を願い、その答申により気象業務改善を行い、もって自然災害予防軽減をはかることであります。  第三には津波警報通知先警察庁を加え、かつ警察庁とこの下部機関である都道府県警察機関は、通知された事項公衆等への周知に努めるように改めることであります。  第四には気象及び水象観測報告をしなければならない船舶所有者に対し、航行区域気象器等について気象庁長官に報告させることができるよう規定整備することであります。  以上の四点がこの法案の改正点でありますが、気象地震等による災害予防軽減をはかり、交通安全確保産業の興隆に寄与することを念願しておりますので、何とぞ十分御審議下さいますよう御願い申し上げる次第でございます。
  4. 松山義雄

    松山委員長 本案に対する質疑次会に行うことにいたします。     —————————————
  5. 松山義雄

    松山委員長 道路運送法の一部を改正する法律案議題として質疑に入ります。質疑は通告によりこれを許します。關谷委員
  6. 關谷勝利

    關谷委員 簡単に二、三点お伺いしておきたいと思います。その第一は、道路運送法第三十三条の解釈についてでありますが、この件につきましては、以前にハイヤータクシー料金の問題につきまして、東京都におきまして非常な紛糾といいますか、混乱を巻き起したときがあったのであります。これは大臣自動車局長ともよく御承知のことであろうと思うのでありますが、その際にクラウン、マスター等が同じ七十円というようなことになって値下げをいたしますと、これに客が吸収せられてしまって、ほかの自動車がどうにもならぬというふうな結果が起きて参りましたために、これを八十円に値上げをしたいと考えても、その際には運賃というものは申請によってこれを認可するものであるから、申請者申請をしてこなければどうにもならぬというふうな解釈であったのであります。   〔委員長退席木村(俊)委員長代理着席〕 そのために、あの当時相当事態が解決するかに見え、解決するという方針がいわれながら、その申請が延びたために、解決が長引いたということがあるのです。あの際にこの三十三条の二号の解釈といたしましては、申請がなければこういうふうな事態のときには、これはできないのだという解釈であったのであります。そのために一部では今度の道路運送法改正の際には、あのような場合には運輸大臣が告示をして、これを命ずることができるというような一項目を設けなければならぬじゃないか、どうにも運輸省がやりようがないというふうなことであったので、こういうふうな一項を入れようじゃないかというふうな話さえ出ておったのでありますが、最近聞きますと、これは自動車局長の私的な話でありますけれども、その際に、ああいうふうな場合には第三十三条の二号によって変更を命ずることができるのだというふうな解釈になっておるというのであります。あの当時はできない、今ではできるのだ、こういうことでその解釈がそのつど変るということでは大へんなことになりますので、この点だけは明確にしておいて、もしそれができないということなら、この際条文にこれを盛り込んで、これを解決していくことが、将来の運輸行政自動車行政の上に必要なことであると考えますので、私はその点はっきりとした大臣の御答弁を伺っておきたいと思います。
  7. 吉野信次

    吉野国務大臣 法律解釈でございますが、こまかいことは政府委員の方がよろしいと思いますが、ただお話しになりましたように同じ条項をその時によって違えて解釈をするということはよくないと思います。ここに書いてあります公共福祉を阻害しておる事実あり、つまり御承知通り立法例には公益上必要であるという場合と、それから今のようにそれをそこなう場合と二つありまして、公共福祉を阻害しておるという事実に今お話しになりました事態が適合するかしないかという問題だろうと思います。ただタクシー料金を上げる下げるということは簡単でございますけれども、そのことが公共福祉というものを害することになるかならぬか、そういう具体的の解釈の問題でこれをきめるべきものだと思うのです。しこうしてお話のありましたこの前の具体的事態について、それをどういうふに解釈したかということは、局長の方からお答えいたします。
  8. 山内公猷

    山内政府委員 具体的な事例でございますので、あの当時の状況につきまして御説明申し上げたいと思います。  ただいま大臣から申し上げましたように、この公益命令を出すということは、もちろん公益を阻害している事実があるかどうかということで、役所といたしましては相当慎重に考えねばならないわけでございまして、あの当時ついにこの命令を出すということがなかったので、そういう御疑問が出たのではないかと思うわけでございますが、あの当時といたしましても最終的に相当公益を害している事実があると役所としても認定をしまして、公益命令を出すという一歩手前までいったときに、業界において納得して取りやめましたので、公益命令を出さなかったわけでございます。そこで今回の法律を制定いたします際にも、この解釈を一定しなければならないということで、ああいう具体的の場合を想定いたしまして、法制局とも十分な相談をいたしたわけでございますが、その場合にはこの三十三条の第二号によりまして出せるという解釈がはっきりいたしておりますので、ああいう具体的な場合、公益を阻害している事実がありと判明いたしました場合には、この三十三条によりまして運賃変更命令を出すつもりでございます。
  9. 關谷勝利

    關谷委員 あの際にも最終的にはこの条項によって命令を出すつもりであったというふうなお話は、ちょっと私が聞いておりまするのと、事実が相違しているように思うのでありますが、あの際眞田局長のところに私が参りまして、何とかこの事態を収捨しなければならぬではないかということを話に参りました際に、どうにもこの運賃というものは申請によって認可するのだから、何とも運輸省といたしましてはいたし方がございませんということになっておったのでありまして、業界もその通りあの当時は了解をいたしておったのでありますが、どうも今の自動車局長が言われる話とは事実が違うように思いますが、眞田局長の言っていることが間違っているのか、山内局長の言っていることが間違っているのか、お伺いいたしたい。
  10. 山内公猷

    山内政府委員 いろいろその場の話の行き違いで、具体的の場合に出せる出せないという議論が分れると思いますが、運賃料金について三十三条の公益命令が出せないということは、法律上からも出てこないわけでありまして、明白に第三十三条におきましては、公益を阻害している事実があると認めたときには、第二号によりまして「運賃料金又は運送約款変更すること。」を命ずることができるとありますので、運賃変更命令を三十三条において出せないという解釈法律上もないと私は考えております。
  11. 關谷勝利

    關谷委員 そういたしますと、あの際の解釈と今の解釈とは違うように私は思うのでありますが、局長の言われるよう最終的にはそうであったということならば、その当時も今も解釈は変っていないということになるのでありますが、あの際にはどうにもならぬということで、その後こういうふうな条項道路運送法改正の際に一項目入れるべきであるという話が持ち上っておりましたのも、その当時はできないという解釈であったことに基因しているのであります。そういたしますと、将来あのような場合にはこの三十三条の二号によって大臣変更を命ずることができるということになっているのか、その点くどいようでありますが、もう一回御答弁を願いたいと思います。
  12. 山内公猷

    山内政府委員 当事者でありませんので、あるいは御質問の趣旨に反するかもしれませんが、そういう事態が生じました段階におきまして、客観的条件が変ってくるのではなかろうか。当初の場合におきましては、まだ公益を阻害しておる事実が発生しなくとも、だんだん時のたつに従って、そういう事実が起ったということも想像できます、将来の問題におきましては、もちろん具体的の事実を想像することはできませんが、三十三条のよう公共福祉を阻害しておるという事実が認定できます際には、将来の問題としてこの公益命令を出し得ると私は考えております。
  13. 關谷勝利

    關谷委員 「公共福祉を阻害している事実があると認めるときは、」とありますが、この間のあの問題を、料金騒動と言ったのではおかしいかもわかりませんが、あの問題が起った場合には、公共福祉を阻害しておる事実があったのかないのか、私この点ちょっと伺っておきたいと思います。
  14. 山内公猷

    山内政府委員 先ほど申し上げましたように、最終段階におきましては、運輸大臣といたしましても、公益命令を発する一歩手前に行ったと前任者に聞いております。ということは、それだけ公益を害する事実があったという認定に立って、公益命令を出さんとしておったと私は考えておるわけでございます。その公益命令を出さないでも済んだということは、必ずしも公益を阻害していなかったということにはならないわけでございまして、そういう違反行為が終ってしまえば、公益命令を出す必要がなくなってしまったために出さなかったわけでございます。出さんとすることによって、業界も反省をされたというふうに考えております。
  15. 關谷勝利

    關谷委員 あれが公共福祉を阻害したというのは、どんな点で阻害したことになるのか、ちょっと私には局長の御答弁ではふに落ちぬのでありまするが、あの際に公共福祉を阻害した——別にこれが、何といいますか、利用者に迷惑をかけたのではないというふうに考えますと、この公共福祉を阻害するというふうな言葉を、後にまたこれをいろいろと解釈することがあると思いますので、そういうことのないようにと思ってくどくお尋ねをするわけでありますが、あれのどういう点が公共福祉を阻害したというのか、あの当時の中からお考えになって、一つ説明を願いたいと思います。
  16. 山内公猷

    山内政府委員 当事者でございませんので、的確に御説明できるかどうかはお許し願いたいと思いますが、まず第一に法規違反行為をしたということが第一点、その法規違反に対して、官からの勧告にもかかわらず、それを無視して法規違反を継続したという事実が一つ、もう一つ、それに伴いましてある種の、暴力行為とまではいかないかもしれませんが、そういったようトラブルが起ってきたというようなことも聞いておりますので、そういうことを総合的に考えて、役所としては公益を阻害する事実が発生しているという認定のもとに、公益命令を発しようと決意したのじゃなかろうかと考えております。
  17. 關谷勝利

    關谷委員 法規違反があったり、それから暴力に近いようなことがあったというのでありますが、そはれ会社相互間のトラブルであって、そのこと自体公共福祉を阻害するということに、私はどうも頭が悪い関係解釈ができないのでありますが、運賃が安くなってああいうふうにやっておれば、公共福祉は阻害していないのであって、当事者間だけの問題で、これをそういうふうに——私はあとでまたお尋ねしたいのでありますが、これはそういうふうなことで解釈に疑義があってできないというのなら、この際道路運送法改正の際にはっきりしておきたいと思ってお尋ねをするのですが、あの事態が、どこが公共福祉を阻害したか、その点私には納得がいきませんが、納得のいくよう一つ説明を願いたいと思います。
  18. 山内公猷

    山内政府委員 運賃は、御承知通り定額運賃主義をとっておりまして、それぞれあの場合に、ハイヤータクシー業者がその運賃を守るということを、この道路運送法は要望しております。それは第一条に「公正な競争を確保する」ということを書いてありまして、これが一つ公益とわれわれは考えております。そのために、運賃を下げて競争することは、不当競争という状態を発生いたしますので、この点におきまして、道路運送法のいう第一条の目的を阻害することになりますので、まずそこで公益を阻害することになります。また路上において暴力類似行為が行われるという状態は、やはり社会福祉に対して一応公益を阻害する行為になるのではなかろうか。的確に当時の実情を把握いたしましておりませんので、こまかい実際についての御説明はいたしかねるのでありますが、一般的に考えて、そういうふうにその当時の事情を解釈しております。
  19. 關谷勝利

    關谷委員 簡単にお尋ねしたいと思ったのが長くなりますが、法律違反そのものが、直ちに公益を阻害した、こういうことになりますか、もう一回御答弁を願いたい。
  20. 山内公猷

    山内政府委員 違法の行為がそこに起っておりますし、道路運送法で非常に強く規定している、そういう公正な競争というものを阻害している事実は、公益を阻害していることになるのではなかろうかと思います。
  21. 關谷勝利

    關谷委員 どうも私は、この条文はやがてまたあなた方の解釈が変ってくるのではないかということで、それを懸念して押し問答をいたしているのでありますが、あの当時の状態公益を阻害したのである、そのためにこの三十三条の二号でやれるのだということは、これは運輸省協議をして、そして運輸省の意向としてはっきりしたのか、あるいはあなた個人の解釈であるのか、この点をはっきり伺っておきます。
  22. 山内公猷

    山内政府委員 法律解釈は、もちろん法制局が権威がございますので、法制局に十分その点協議をした上でお答え申し上げております。
  23. 關谷勝利

    關谷委員 そういたしますると、ああいうふうな場合には、この条項は適用して差しつかいないのだということになりますが、業界あたりでは、できるできぬというふうなことでいろいろ非常に危惧の念といいますか、疑惑を持っているのであります。ああいうふうな場合、私たちは、考えようによりますと公共福祉を阻害するということが、この解釈によってまた変ってくるよう事態が起ってくるのではないか、こういうふうに考えますので、大臣が必要ありと認めた際には、運賃変更を命ずることができるのだというふうに書いておく必要があるのだという気持はありませんか。決してそういうふうな心配は要らぬ、こういうふうにお考えになるか、伺っておきたい。
  24. 山内公猷

    山内政府委員 この法規におきまして、第三十三条のよう規定は、結局国民の利害に及ぼす影響相当強いために、役所が必要があればというよう条文は、最近どの規定にも入れないことになっておりまして、古い法律は、この点割合役所自由裁量規定が多くあったわけであります。戦後の規定におきましては、必要あれば公益命令が出せるというよう規定は、あまり見かけなくなったように私考えております。それで大臣だけの自由裁量でやるというよりも、この条文で予期しておりますのは、公共福祉を阻害しておる事実があるという、ある程度客観的な事実をさしておりまして、先ほど来説明いたしておりますように、あの当時最終段階におきましては、運輸省におきましても、客観的に公益を害しておる事実があるという認定をいたしたわけであります。
  25. 關谷勝利

    關谷委員 どうもこの条項は、今の御説明を伺っておりましたりすると、そのつどそのつど、どちらにでも解釈ができるようなことになって、将来また困るのではないかというふうに私感じられてならぬのでありまするが、あの当時の状態は、私は公共福祉を阻害したとは思えないのでありまして、公共福祉を阻害するということは、国民に迷惑をかける、利用者に迷惑をかけるということでなければ、そういう解釈は出てこないのではないか。あの際は国民には迷惑はかけてない、むしろ安くなったので、あの運賃ダンピングというようなことで、利用者はかえってあれによって恩恵をこうむったくらいなのでありまして、法律違反をやったということ自体が、すぐに国民に迷惑をかけたということにはなりませんが、そういたしますと、その解釈に無理があるというふうに考えるのでありまするが、無理があるということは少しもお考えになりませんか。
  26. 山内公猷

    山内政府委員 事実認定の問題でございますので、その事実をどう把握するかという解釈者の問題になろうかと思いますが、私どもといたしましては、その後過去の事実を振り返りまして、ああいう最終段階におきまして、東京相当混乱を生じた、東京都内におきまして、暴力行為に近い行為すらこの不当競争をするために生じたという事態考えますと、公益を阻害する事実があるという認定をいたしまして、公益命令を発しようというふうに——外部に現われない行為でありますので、ただ御説明にとどまるわけでございますが、決心をした事実があるということを申し述べておりますので、将来ともああいう事態が起りました場合には、この三十三条によって運輸大臣公益命令を発し、運賃料金変更を命ずるごとかできるというふうにこの三十三条を解釈いたしております。
  27. 關谷勝利

    關谷委員 今のあなたの答弁が非常に私は問題になると思うのであります。解釈者の問題だということになりますと、そのときどきによって、解釈する人が違えば、その人の解釈のしようによってそのつどこの条項解釈が変ってくるということになるので、そういうことがないようにと思って私はお尋ねしておるのであります。解釈者の問題だということになりますと、そのつど解釈する人によって、眞田局長山内局長との解釈が違うのと同じように、また変ってくるのではないか、こういうふうな懸念がありまするが、将来はこの条項については解釈が変ることがないということに運輸省の意見が一致しておる、そのために別に項目を設ける必要はない、こう言われるのでありますか。どうもあとでつかまれたら、その際にまたぎゅっとやられては困るということから、まことに上手に逃げておる答弁ような気がしてなりませんが、その点はっきりとお答えを願いたいと思います。
  28. 山内公猷

    山内政府委員 将来の問題につきましてお尋ねでございますが、要は具体的な事実が出ました場合にこれをいかに考えるかということは、どうしても将来のその場合における運輸大臣が、公益を阻害しておる事実があるかないかということは、やはり解釈をしなければならない問題ではなかろうか。(關谷委員「具体的な問題が前提となっておるから、そんなことを言っては困る。」と呼ぶ)ですから具体的な問題につきまして、先ほどから申し上げましたように、あのときには運輸省におきましては、公益を阻害しておる事実があるというふうに考えたということを話しておるわけでございまして、将来全く同じケースがあれば、この三十三条はそのまま適用するつもりであるということを繰り返してお話し申し上げておる次第であります。
  29. 關谷勝利

    關谷委員 まあそこらで一応納得をするといたしましょう。あの通り事態があった場合には、あれは公共福祉を阻害したのだという解釈でこれはやれるのだ、こういうふうなことで、この際道路運送法はあのよう事態に対処するための一項を何も設ける必要がないのだ、こういう考えであるということをはっきりあなた方から承わっておりまするので、このあたり——自体ははっきりといたしませんけれども、あなた方の解釈がそうであるということで、一応その問題は打ち切ります。  次にお尋ねをいたしたいのは、もう四月一日から実施せられるのだというふうに伝えられておりますタクシー運転手の勤務時間の関係であります。この点は前にも私がお尋ねをしておいて、そうして善処してもらうようにということを申し上げておるのでありまするが、これにつきましては、その後労働省あたりとの話し合い協議といいますか、そうしてまた運転手の代表者あるいは経営者というふうな方面とお話し合いをして、何かこれについて結論が出ておるのかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
  30. 山内公猷

    山内政府委員 その点につきましては、先般労働基準局長に会いまして、私のお約束いたしました労働省への折衝をいたしたわけでございます。労働省の申しましたのは、一般に二十四時間勤務を八時間二交代制に切りかえるというふうに業界考えておるけれども、二交代制に切りかえることを労働省は考えてはおらないということが第一点と、もう一つ、これを全国的に押し及ぼそうというほどシヴィアにこれを適用する考えはなくて、なるべく無理のないようにやっていきたいということを聞いて参って、役所といたしましては、経営者の御希望、労働者諸君の御希望というものをできるだけいれて、漸進的にスムーズに実施をしていただくように要望して参ったわけでございます。
  31. 關谷勝利

    關谷委員 その要望した結果がどういうふうなことになっておりますか。私この前にも申し上げたのでありまするが、それ以来ずっと私はタクシーを拾いますたびに、運転手に聞いておるのであります。八時間勤務制ということになった場合と一昼夜で交代をする分のやり方とで、これはどちらをあなた方は希望するのかということを全部聞きましたが、私が最初これを聞き始めてから、もう百数十回でありまするが、そのうちで八時間交代制がいいと思うと言ったのは、東京相互タクシー運転手が一人言っただけでありまして、全部が二十四時間で交代するのが一番いいのだ、そういうふうにしてもらいたいのだ、こういうふうな希望なのであります。これは私が当ったものがそういうふうな数で、ほかの人が当ってみたらまた変っておるかもわかりませんが、私が実際に当ったのでは、そういうふうにみんな品をそろえて言っておるのでありまして、中にはこの八時間交代にしないて一昼夜交代にしてもらいたいということで、調印をとっておるということを言っておった運転手もあるのであります。無理のないようにしたいという今のお話がありましたが、そういたしますると、現在その方を希望する場合には、二十四時間勤務で交代をする、一昼夜勤めて一昼夜休む、こういうふうなことを労働基準局の方としては認めるということになっておるのか、なっておらないのか、この点伺っておきたい。
  32. 山内公猷

    山内政府委員 規則といたしましては、今お話ように四月一日から実施するということを根本的に変えてはいないようでございます。ただその実施について、無理に強制をしてトラブルを起さすということがないように実地をいたしたいという意見でございました。
  33. 關谷勝利

    關谷委員 そういたしますと、四月一日から実施はするのだが無理はしないのだ、こういうことになりますと、法律はそう定められておるが、しかし法律には無理に従わないでもよろしい、こういうことになるわけですか。
  34. 山内公猷

    山内政府委員 法律に従わなくてもいいというわけではないのでございまして、結局超過勤務の問題があるとか、あるいは深夜作業の問題であるとか、いろいろ労働基準法の関係で問題がありますが、そういう際に、二十四時間を八時間に切りかえるという点について申請があれば認めるということも考えておるので、その点は業界とも十分話し合っているというふうにわれわれには答弁いたしております。
  35. 關谷勝利

    關谷委員 そういたしますと、四月一日から実施することを原則とするが、申請があった場合にはその申請を許可するのだ、こういうことに解釈していいのかどうか、この点重要な問題でありますので、はっきり御答弁を願います。
  36. 山内公猷

    山内政府委員 私もその方の当局ではないのでございますので、個々の場合にそれを認めるというほどはっきり答弁を聞いてはおりません。必要があれば当委員会におきまして労働省に御質問願いたいというふうに考えます。
  37. 關谷勝利

    關谷委員 私はこの問題につきましてはあなたによく協議をして、そうして列車の乗務員、船舶の乗組員のように特例を認めるというふうにしたらどうか。なおこれにつきましては適当な処置を講じてもらいたい。労務者の好むような方向に持っていくために努力してもらいたいと言っておったのでありますが、まだ十分にそういう努力をされておらないということはまことに私は遺憾に思います。そういたしますとはっきりとした、どのようにするという結論はあなたは聞いておらない、こういうことになるわけでありますか。
  38. 山内公猷

    山内政府委員 一般的なそういう問題に対する話は聞いたわけでございますが、御指摘のように、個々の会社の要求についてそれを全部認めるというふうな結論までは聞いていないわけでございます。一般的にいろいろ問題があるようでございますが、それにつきましては、業界とも十分話し合っておるわけであるし、そう急に業界の意思に反して強行するというようなことはいたしたくないというふうに話を聞いてきておるわけであります。
  39. 關谷勝利

    關谷委員 もう少し業界のことを考えてやるような、親切な態度を示していただきたいと私は思うのであります。労務者は毎日働いておって、そういうふうなことを一々陳情に来る余裕もないはずでありますが、私は早急に局長にお願いしたいことは、すでに四月一日から八時間交代制を実施するというふうな建前になっておるというのでありますから、早くこれを解決しなければその際には間に合わないということになりますので、その際になってああでもない、こうでもないということになって、実際混乱を起すようなことがあっては、これこそ公共福祉を阻害することになるかもしれないのでありますが、さっそく——私は労働基準局あるいは経営者、労組の代表者が、完全に運転手の意向を反映していないというふうなことも聞いておるのでありますが、なるべくできるだけ多い範囲といいましても代表的な会社の一社に一人くらい、十社、二十社というふうにすれば大体の見当がつくのではないかと思いますが、そういうふうな人と運転手の代表者、それから経営者、労務基準局、運輸省、これがさっそく協議をやられて、そうしてよく意向を聞いて結論を出してもらいたいと思いますが、そういうことができますか。
  40. 山内公猷

    山内政府委員 私どもはもちろんそういう業界のお世話をいたしておりますので、そういうことにいたしたいと思いますが、御承知通りこの労働問題につきましては、主務官庁は労働省でもありますので、そういう点につきましては労働省と十分打ち合せをいたしたいと思います。
  41. 關谷勝利

    關谷委員 そういたしましたならば、早急に労働省と打ち合せをして結論を出して、この委員会に御報告を願いたいと思います。なおこういうふうなことにつきましては、組合というものを積極的に援助して、それを強力なものに、指導のできるというふうなものにしておいたならば、こういうふうな際には、その組合自体がそういうふうなことについてあっせんをする、いろいろ交渉をするというふうなことになって、私は非常にいいと思いますが、今組合というものが全乗、日乗というのですか、両方に分れて、思い思いに二本建で組合を組織をいたしておるようでありますが、これを一本化することにつきまして、私は自動車局長にかつて積極的にこれを統一するというので、お願いしたことがあるのでありますが、それ以来そういうことに積極的な努力をせられたことがあるかないか。もしありとすれば、その経過を知らしていただきたいと思います。
  42. 山内公猷

    山内政府委員 この問題は御承知通りだいぶ古い問題でございまして、前に運輸省におきましてもそういう方向を希望する処理をいたしたことがありますし、将来ともそういう御趣旨のように努力をいたしたいと思います。
  43. 關谷勝利

    關谷委員 この一本化の問題につきましては積極的にこれを支援して、そうして明朗な団体が対立なくして発展するようなところに持っていっていただきたいと思います。こういうふうな組合が発展をいたしまして強力なものになってきて、いろいろな指導、その他福利厚生というふうなことについても話し合って、そうしていろいろと業界の向上をはかるというふうに持っていくことが、私は非常に大事なことだと考えておりますので、この際一そう自動車局長が御努力せられますように私からお願いをいたしまして、あまり長くなりますから私の質疑を打ち切ります。
  44. 堀内一雄

    堀内委員 関連して私は運輸大臣にお伺いしたいのでありますが、申すまでもなく運輸省の所管に自動車、鉄道、船舶、ことに船舶の中にも内海と外海とがあるようでありますが、そういう各種の輸送機関があるのでございまして、それらの機関に対して運輸大臣がいかような御方針で指導しておられますか、その点を御答弁願いたいと思います。
  45. 吉野信次

    吉野国務大臣 そのお尋ねの件は、いろいろな交通機関があるが、それを運輸省として総合的に全体のことをやるのにどういうふうに考えていくというお話だろうと思います。実は私正直に申しまして、こちらへ来て研究したところによると、まだその方面に十分な行政の手が伸びないと思うのです。しかし私が言うまでもなく、鉄道にしても地方鉄道にいたしましても、一つの有力な競争者がやはり道路運送のバスであるとかトラックであるとか、こういう問題でありますから、これをやはり全体として、諸外国における例のような工合に総合して考えなければならぬ問題である。それに将来は航空機の問題が入ってくる。それから海運の問題にしても、現に御承知通り長距離運送の方は運賃が低いものでございますから、その方がすなわち瀬戸内海方面の一ぱい汽船、機帆船というものの経営の方に非常に響いておる。こういったいろいろな問題がございますので、なるべく早い機会におきましてそういうようなものを一括した行政をやりたい、こういう考えを持っております。それで実は内閣交通審議会というものもできておりますから、そこらに対してもどういう方針でやったらいいかということを今せっかく諮問中でございまして、実際は非常にむずかしい問題だと思いますが、そこに手をつけませんで今のようにばらばらにやっておりましては、あとで非常な混乱を来たして収拾がつかなくなるのではないか、こういうふうに考えております。
  46. 堀内一雄

    堀内委員 そこですでに御承知ように、鉄道と自動車では税金の面等においてもいろいろな問題が起っておるのでございますが、外洋船舶に対する政府の方針として——実は御承知よう自動車の税金も所得にかかっておる。外洋船舶も本年度から所得にかかるということになっておる。私設鉄道だけが外形課税になっておるのでございます。外洋船舶の税金を所得にかけるようなことにいたしましたのも、外洋船舶の重要性はもちろんではありますけれども、おそらくその収入が非常に少いというようなことで、これを育成するといった意味からそういうふうになったのだろうと思います。私設鉄道も御承知ように今非常な困窮状態にあるわけであります。そこでわたわれは、この私設鉄道の育成のためにぜひこれも所得課税にいたしたいということで努力しておるのでありますが、その点について大臣の御方針を承わりたいと思います。
  47. 吉野信次

    吉野国務大臣 ただいま御質問になりました問題なども、つぎはぎ行政の一つの例でございまして、私は理論的には、やはり今御指摘になりました地方鉄道のようなものもほかのものと同じよう——外形課税と申しますか、今のやり方は調子がとれないものだ、こう私は思っております。それですから、これは実際問題としてどうなったかと申しますと、多分地方行政の方の関係で、そこだけの面から見て、その当時便宜きめたものだろうと思いますから、私は適当な時期にぜひこれを改めまして、同じ方針に行くようにしたい、こう考えております。
  48. 堀内一雄

    堀内委員 次に、これはあるいは局長さんでもけっこうでございますが、外航船舶の経営状態が、昭和二十八年以前と二十九年、三十年といった最近の状態では、赤字から黒字に移っておるようにわれわれは認識しておるのでございますが、その辺の状態がもしわかりましたら、ちょっと教えていただきたいと思います。
  49. 朝田静夫

    ○朝田政府委員 最近の利子補給対象会社の五十数社について調べたところによりますと、運賃市況が相当好転をいたして参りましたので、経理状況もよくなってきておることは事実であります。従いまして昨年の九月期決算におきまして、私ただいま資料を持っておりませんが、約百億の償却前の黒字を計上しておるよう状態であります。これを前年の同期と比べますと、非常な経理の好転を来たしておることも事実であります。しかし御承知ように今償却未済が五百億ばかりまだ残っておりますし、繰り越し損失が五十億ばかり残っておるように記憶しております。こういうことでございますので、企業経営基盤の強化という点から考えますと、まだ相当問題がある、こういうふうに考えております。
  50. 堀内一雄

    堀内委員 そこでこの外洋船舶は、二十九年度より非常な黒字に転換して、いい状況であると私ども認識しておるのでございます。ところが今度の地方税の改正状態を見ますと、二十九年度より黒字に転換しておるにかかわらず、この利益を法人税並みにして、過去の赤字を補てんするというようなことにして、非常な急迫の状態になっておる外航船舶の税金を軽減して、過去の赤字の補てんをすることが適当だということの要望事項が、運輸大臣から自治庁長官に対して出ておるように聞いておるのでございますが、この関係は、地方鉄道の赤字の状態はもっと、ひどいのでありまして、こういう大資本の会社が、しかも明瞭に好転してきておるにもかかわらず、その方の利益をさらに過去の損失の方の補てんに使うというようなことの要望をなされた趣旨をお伺いいたします。
  51. 吉野信次

    吉野国務大臣 ごもっともでございまして、実は地方鉄道の方についても同じようにしてほしいということは、運輸省としては自治庁に再々要求しておるわけでございます。ただ微力にして今日まで実現されないという状態でございます。これはなるべくすみやかな機会に是正して同じように調子をとりたい、こう私は思っております。
  52. 堀内一雄

    堀内委員 私の聞きますところでは、外航船舶の税金を減税しなければそれでもって——私鉄の事業税を所得課税にするといったところで二億八千万か何ぼでありまするし、軽油の問題にいたしましても二十六億九千万円という予定をしておるのでございますが、この船舶の方から減税する額は約三十億と聞いておるのでございます。これを運輸大臣の要望によってそういうふうにしたというお話でございますが、それがなかりせば、この私鉄の問題も軽油の問題も、さらに申しますれば地方税関係におけるふろ屋だとか、大工、左官だとかいうこまかいものがみんな解決するのでございすが、こういうことに対して大臣のお考えをお伺いしたい。
  53. 吉野信次

    吉野国務大臣 先ほど申し上げました通り、その点は確かにちぐはぐなところがございます。ですからこれは近き将来においてぜひそういうことのないように改めたい、こう思っております。
  54. 堀内一雄

    堀内委員 そこで大臣にお伺いしますが、問題は、この大臣から自治庁長官にお出しになった要望書を撤回される御意図がありますかどうか、それをお伺いいたします。
  55. 吉野信次

    吉野国務大臣 私も具体的のことはちょっと不案内の点がありますから、よく調べましてまた申し上げます。
  56. 堀内一雄

    堀内委員 申すまでもないことでごさいまするが、外航船舶も非常に重要であるが、これは非常な大会社であって、しかも好況を回復してどしどし好転しつつあるのでありますから、この際この方の三十億という金が浮くならば、それによって軽油税のごときもたといかけるにいたしましても半分以下で済むのでなかろうか、また私鉄の問題のごときもこれが一挙に解決するというような非常におもしろい財源でありますので、この点について一つさらに御尽力をお願いいたします。
  57. 關谷勝利

    關谷委員 委員長にお願いしておきたいのですが、次の委員会の際に労働基準局の関係を呼んでいただいて、そうして質問をしたいと思いますので、そのお取り計らいを願いたいと思います。
  58. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 今の質疑応答の中で私は簡単に関連質問をしたいと思います。今の私鉄の税金の問題でありますけれども、これは外形標準課税できわめて重税でありますが、この不合理な税金を是正して所得課税に変えるということは、非常に急を要する問題であると思うのです。特に今日中小私鉄におきましては、労働者のベースもはなはだしきに至っては九千円程度というようなことで、そうして三カ月も四カ月近くもその賃金が支払われないでおる、不払いになっておる、こういうようなことで非常に苦しんでおる私鉄が多いのでありますが、さような私鉄を一日も早く不合理から救済することは、やはり交通事業という公益性を持つものとしては当然の措置ではないかと思うのであります。どうも運輸省の行政を見ておりますと、海には非常に恩恵的な行政でありますけれども、陸に対しましては本年の行政は非常に後退した行政が行われておるのではないか、非常に不均衡な行政か行われておるのではないかというふうに考えるわけでありますが、運輸大臣は一体どうお考えになりますか、お尋ねをいたします。
  59. 吉野信次

    吉野国務大臣 先ほど申し上げました通り、私も御趣旨については大体同感なんです。同感でございますからなるべくそういう不均衡はないように努力したい、こう思っております。
  60. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 同感であるということでございますが、しからば今の運輸大臣の要請なるものも、きわめて私は不可解なものであると思うのです。これは事務当局から出されたものかどうかは知りませんけれども、しかし運輸大臣もあまり御存じないようであるということは、こういう重大なことを非常に軽く運輸省が見ておられるのではないかというふうに考えますと、非常に遺憾に思うわけであります。従ってもう少し陸上運送の関係におまきしては留意をしていただきたい。特に小私鉄、わずか三キロあるいは四キロに満たないようなきわめて短かい鉄道でありましてす、その先にあります工場の製品に対しも、この鉄道がもし運行を停止いたすということになりますと、ての会社の生産費が二割増加になり、二割コストが高くなる、こういうような実例があるわけでありまして、そのような小さな私鉄でありましても、そういうふうに公益性の重大なることをきわめて明瞭に証明しておるわけであります。ところが一方経営は困難であります上に、このような重税がかけられておりますから、国鉄との間における連帯運輸におきましても、その納金に非常に滞納を来たしておる。ところがそれは当然国鉄に支払うべき金でありまして、それに対する過怠金も取られますことは法規上明瞭でありまして、それは国鉄といたしましてもどうにもならない問題であります。ところが一方におきましてはその滞納を支払うということになりますと、ほとんどその収入の全部を充てて数カ年を要するというよう事態にあります。しかも過怠金に対します利子というものは四銭という高額な利率であります。これではどうしても私鉄というものは成り立って参りません。しかも運賃の値上げなどは、たといそれがそのような短かい鉄道でありましても、その運賃を自由に上げるということは許されません。なぜなれば今御説明申し上げましたように、その運賃を上げますることによって、これまたあらゆる面の生産コストに非常に影響してくるわけであります。こういう点から考えますと、たとえ五キロ、十キロ、あるいは四キロに満たない鉄道でありましても、今にこれを育成して、その公益性にこたえることがその最大の使命でなければならぬと思うのです。こういう点について体運輸省はどういうお考えをもって今後対処せられるのでありますか。私は憂慮にたえませんので、一つ運輸大臣から十分にその所信をお伺いいたしたい、こういうふうに考えるわけであります。
  61. 吉野信次

    吉野国務大臣 大体お話通りに私も考えておるのであります。さればこそ地方鉄道軌道整備法というものによって、地方鉄道の手元の不如意なものには補助金も出しておる。そういうこともやっておる。しかし何分にも時代の変化と申しますか、やはり自動車というものの方に客足をとられるわけであります。それで現在はそういう地方鉄道がバスを兼営するとかなんとかいう方法で、辛うじてその日を過しておるというものが多々あるだろうと思うのであります。それですからこれをどういうふうに全体やるかということは、なかなかむずかしい問題でございます。むずかしい問題でございますが、しかし私が言うまでもなく自動車ではやり得ない、鉄道でなければならぬものが貨物の種類によりましてたくさんあるのですから、やはり地方鉄道には地方鉄道のそれぞれの使命というものがございます。そうしてもし今お話通りそういうものがどうしても経済上の事情でとまったり何かすれば大へんというものについては、十分ではございませんけれども補助金を政府が支出して、辛うじてそれを維持している、こういう状況であります。ですから私もやはりお話よう考えで、地方鉄道というものは今の必要の点から考えまして、何とか立っていくよう政府としても考えなければならぬ、こう考えております。
  62. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 今形式的には地方鉄道整備法に基く予算も計上して、補助はしておるというお話でございますが、しかし確かに地方鉄道整備法に基きます補助金の予算要求は、一億以上を要求せられたようであります。ところが実質的には本年は昨年よりもなお削られまして、だんだん減っていく傾向にある。しかも一億の予算要求に対して、そのわずか一割六、七分しか本年度の予算には計上されておらない。こういうようなことでは実質上救われるものでもないし、あまりにも認識が薄いのではないかと思うのです。こういう点については私は非常に後退であると思うのです。しかも今運輸大臣がお認めになりますように、このような地方鉄道は辛うじて自動車事業等によってその経営面をカバーしようと努力しておる。これはお認めになっておる通りであります。ところがそこへのがれようといたしますと、今度は軽油税などの重税が加わって、そうして痛いはれものの上にまた針を刺すというようなことになりまして、ますます苦しくなってくるわけであります。こういうことでは地方産業の開発もできないし、その開発に貢献しております鉄道を維持することも困難であると思うのであります。一体これはどういうお考えでありますか。私はどうも運輸行政の根本政策というものを疑わざるを得ません。運輸大臣は、この軽油税の問題にいたしましても、これをもう少し強く大蔵省なり建設省に当られて、そしてもっと合理的にこの問題を解決しておかれるべきではなかったかと思って、私は非常に遺憾に思います。もう少しこの軽油税につきましても、政府原案として予算も取っておると思うのでありますけれども、私の見る目では、この軽油税も予算面からいたしますると、キロリッター六千円というものは高額であります。しかも私は、これを少くとも四千円程度に引き下げましても、予算を割るということは決してないと考えております。一体運輸省はそれらの点について努力をするお考えであるか。また将来地方鉄道軌道整備法に基きまする補助金も、要求通りせめて一億程度のものをつけて、そしてこれらの鉄道を育成する意思をお持ちであるかどうか、一つ承わっておきたいと思います。
  63. 吉野信次

    吉野国務大臣 お話通りせっかく努力したいと存じます。ただ問題は、要するに中央地方の財政の問題といかに調節するか、こういう問題がまた別の観点からあるのでありまして、私どもの希望がどうも十二分に達成されないことは、微力でありますせいでもございましょうが、はなはだ遺憾に存じておりますから、将来はお話ように私もできるだけ努力いたしたいと考えております。
  64. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 最後に希望を申し上げておきますが、何べんも言うようでありまするけれども、ことしの陸上行政は従来にない後退だと思います。しかも国鉄にまで固定資産税をかけようとなさっておる。私は運輸省に参りまして、そういう不合理なことをなさるなら私はこれはあくまでも反対だということで、強く意見を申し述べておきました。それでようやく納付金という−私が初めから主張していた通り、せめて取るのなら納付金だ、納付金以外の名目では断じて許さぬということを強く言っておったのでありますが、その通りになったようであります。それにいたしましても、私はこのような認識不足な行政はないと思うのです。公共性を一方にしいておきながら、その公共性を無視するよう——しかも国鉄などは国のものですが、それに名前はどうあろうと税金をかけておるのです。そういうようなことは私は理屈にも何も合うものでないと思う。ただ理屈に合わぬというだけではございません。それはいわゆる品でこそ交通機関公益性ということを言いまするけれども、実際にはその公益性ということは口だけであって、実質的には認識をしておらぬということになります。だから、そういう行政面につきましては今後特段の努力を払っていただいて、運輸大臣の年来から持っておられます主張を押し通してもらいたい、これを強く要望いたします。
  65. 濱野清吾

    濱野委員 関連質問で。運輸大臣、先ほどあなたは山口君の質問のときに、あれも考えていこう、これも考えていこうとおっしゃっておるのですが、軽油税の問題で六千円の税率、これは政府が出したのですからその通りだと思うが、六千円という税率をきめる算定基礎について、閣議で実際自治庁の言う通り承知したというふうに聞いたので、実はきのう私は運輸委員会を代表して、本委員会の決定した要望事項について地方行政委員会の調査会に臨んで、自治庁の奥野税務部長から私は聞いたのだが、算定基礎を自治庁の案の通り閣議で了承したのですか。また大臣はそれを知っているのですか。
  66. 吉野信次

    吉野国務大臣 私もあけすけに申し上げますが、私の方と自治庁の方と、それから通産省の方ですか、何か数字が違うというような話がありまして、それではその違うのはまずい、違うべきものではないわけでございますから、それを調整するというので、何か係官の方で——私の部下でしょう、係官も加わって話をしまして、三省の関係当局の間で一応の案ができた、そういうことの報告を受けております。
  67. 濱野清吾

    濱野委員 そこでこの問題は、運輸省運輸委員会も、実は建設委員会まであの税の創設の問題については苦労しておる。そうしてあれはあのままのめないわけです。特に被害といってはおかしいですが、一等打撃を受けるのは、新しい税を作られる運輸大臣の監督指導をしておる自動車経営の面で、これは非常に大きく響いてくるのです。これをそそっかしく何か部下が相談をしたからそれを承認したとやられたのでは困るし、またただいま同僚の山口君から質問されて大臣がお答えした答弁のごときも、さらに堀内君から質問されて、将来近いうちにこうという答弁も、これはここだけの形になってしまう。真剣に大臣考えてくれるならば、今度の軽油税の創設のごときについては、この委員会の空気も少々部下から御報告にあずかっておることでありましょうから、閣議で了承するなんといって簡単にやられてはまことに困ると私は思う。そして委員会に出てくれば、あなたはりっぱに御趣旨に沿うようにとおっしゃられたのでは、これはどうも少々ちょっと工合が悪いのですがね。私どもは今でもがんばっているのですよ。この委員会は全会一致で社会党も合せて、一つの要望書を地方行政委員会の方へ出しておるのですから、一つこれはあらためて御記憶を願います。  それからもう一つ、先ほど同僚の關谷さんからの御質疑中に、百五十台も乗った車のうち大多数は二十四時間の執務がよろしい、こういう話だ。これは大臣もよくよく考えてもらわなければ困ると思う。特に自動車局長もそうだと思う。この道路運送法という法律は、自由主義経済の中に生きている計画経済なんです。従いまして、これは免許というようなものが生まれ、認可というようなものが起きて、運営上は非常にむずかしい仕事なんです。これは私どもが言うよりは、あなたの方が非常にむずかしいと思う。ところが実際やってみると、ほんとうにむずかしい法律だ、この正当なる実施については非常に困難な法律だと知りながら、他面この方の仕事をおやりになっていると、役所の方はこういう特異性のある法律だということをいつのまにかつい見失うことがあり得ると僕は思う。その見失っている事実が、今日日本の社会において、關谷君のおっしゃるように、二十四時間勤務した方がよろしいというような非常に危険な意見が出てくると思うのです。私は二十四時間勤務するのがなぜよろしいのか、実は今自分の気持に問うて自分が観察をしているのでありますが、これは運転手の所得からきていると思うのです。二十四時間働かなければ運転手諸君は食っていけない、会社もまた二十四時間働いてもらわなければその経営ができない。この二つからきていると思います。こういう現実を前にして運輸行政、特に道路運送法の運用というものはどうすべきか。これは現実を直視して、そうして革命的な措置をとらなければ直らないと私は思う。ところが、ただいま提案されて論議になっております道路運送法の一部を改正する法律案の要綱を見ますと、その理由として、自動車運送事業による輸送の安全を確保するということになっておる。これは一体どういうことなのか。人間があの精巧なる機械を使って、混雑したる東京都内を二十四時間休みなしにぶっ飛ばしてごらんなさい。大臣、ほんとうに安全の確保ができますか。この法の改正のねらっている安全とか正確とかいうようなことは、大臣、とても問題にならぬのです。話にならぬのです。もっと現実を直視して、皆様はこうした改正法律案を出して国会の協賛を経てやったらよかろうと思うかもしれぬが、私は、今までのやり方によって今日の現実ができたのだから、この現実はすでに救うべからざるものだと思う。単なる一部改正法律案くらい作ってみたからといって、どうにもならぬところまできていると思うのであります。これは大臣、率直にいってそうお考えにならないか。三十四時間働かすなら安全たり得ないことはもう事実です。たとえば国鉄でもそうでしょう。国鉄であの電車の運転ダイヤを作ってみる。これを二十四時間ぶっ飛ばされたらどうなりますか。それで安全が維持できると思いますか。こんなことはしなくたってわかるのです。奇怪千万だ。しかるに大臣、雑踏しておる大東京都内においても、先ほど關谷さんがおっしゃったように、二十四時間の方が都合がいいという。それをそのまま放置しておいて、大臣はこの改正法律案に出ている安全などという趣旨とマッチするとお考えになりましょうか。これは一事務官にまかせておくというようなことではないと思います。実を言えばこの法律は、私ども与党だってナンセンスだと思うのです。実にナンセンスなんです。こんな小さなものを削ってみたりつけ加えてみたりして、あなたの方の提出している改正法律案の趣旨にうたっているようなものとはほど遠い現実がきているのです。ですからこの点は一つ真剣に考えてくれぬといけませんね。先ほどの閣議の問題もそうですし、それからただいま同僚の關谷君のおっしゃったあの意見、これはどう考えてもナンセンスですよ。私どもは社会党の諸君とともに、与党野党になって、こんな法律を実は否決した方がいい。そんな甘いものじゃない。もっともっと道路運送法運営について根本的に考え直さなければならぬことがある。こう思うのですが、これはどうです。
  68. 吉野信次

    吉野国務大臣 もう一言もありません。実際大へん御鞭撻いただきまして、私もよく考え一つ努力いたしたいと思います。全くお説の点につきましては私は一言もございません。
  69. 濱野清吾

    濱野委員 それからもう一つ、夜間の二十四時間輸送というようなことで、これは先ほど關谷委員から労働省云々の話もございましたが、役人諸君はアメリカやイギリスの輸送状況というのはおわかりだと思う。アメリカでは長距離輸送重大なものの輸送は、夜間輸送をやっておるのです。これは交通量が少くて危険率が少いからです。好んで夜間輸送をしているわけではない。この改正案のように安全というものを第一にしている。それですから夜間輸送をどんどんやっておる。従いましてあそこの労働法では夜間輸送について特別の賃金を払っていないのです。輸送機関というものは夜も昼も同じということになっております。それですから特別なる人件費はかかってこないことになっております。そういう方向に持っていって真剣な法律改正でもやるならばともかく、この点は一つ十分御研究を願いたいと思います。これは与党も野党も、ただその場の巧みなる、そして円滑なる御答弁をいただいただけでは、こういう危険な事業をやっている自動車というものは、またその行政というものはうまくいかないと思います。     —————————————
  70. 木村俊夫

    木村(俊)委員長代理 続いて旅行あっ旋業法の一部を改正する法律案議題として質疑を許します。通告順によりこれを許します。畠山鶴吉君。
  71. 畠山鶴吉

    ○畠山委員 ただいま議題となりました旅行あっ旋業法の改正につきまして、私は運輸大臣及び観光局長に二、三お尋ねしてみたいことがあります。時間もおそいので簡単に申し上げますが、この法律は第十三国会にできました新しい法律でございますが、その後この運営についていろいろ批判もございますが、大体お伺いをしてみたい要点といたしましては、現在あっせん業者は国内に何軒ぐらいあるかということを、まず第一番にお尋ねしてみたいと思います。
  72. 間島大治郎

    ○間島政府委員 お尋ねの旅行あっせん業者の数につきましては、現在運輸省で登録いたしております一般旅行あっせん業者が十九軒ございます。それから都道府県知事が登録いたしたものが一千二百六十九軒、約千三百軒、それから定期路線を持っておりまする運輸業者が旅行あっせんをいたしまする場合には、陸運局あるいは海運局に登録いたすことになっておりますが、その分が五十軒でありまして、現在では合計千三百二十八軒でございます。
  73. 畠山鶴吉

    ○畠山委員 大へん数も多いようですか、ただいま地方で許可したり、本省で許可したり、あるいは船舶の方で許可したりというふうに輻湊しておるところに問題がありますので、これらをいろいろ分析してみますと、兼業でこの旅行あっせん業の許可をとっている。たとえて言えば一流の大会社がとっている。また一方には家もない部屋借りみたような人が許可をとっておる。そういうふうにあまり統一しておりませんために、いろいろな弊害が起っておるようでありますが、今回の改正は実におとなしい、どこも無風で通るよう法律をここに提出されておるようでございますが、このようなやわらかい取締りの改正案で今後の運営がうまくいくかいかないかという疑義を持つものでありますが、この点につきまして観光局長の見通しはいかがでしょう。
  74. 間島大治郎

    ○間島政府委員 今度の改正につきましては、今お話がありましたような、この法律相当なまぬるいものであるというふうな弊害をよく認識いたしまして、従来のものに比べますればかなりきつくいたしておるのでありますが、たとえば従来は過去二年間に不正行為をしていないというふうな条件を満たせば、ほとんど全部が営業保証金を供託して登録することができることになっておりましたが、今度の改正では、旅行あっせん業を営むに足る資力信用並びに経験、能力というふうなものを一つの条件といたしておるのであります。それによりまして、能力のない者あるいはまた資力が乏しくて業者に迷惑をかけるおそれのあるようなものが、まず出現することを防ぎたい。かように存じておる次第であります。それからもう一つ、従来旅行あっせんをやります場合に、利用者側とお客あるいはまた利用者側と旅行あっせん業者、それから旅行あっせん業者と交通機関、あるいは宿泊業者との契約内容があまりはっきりしていなかったために、いろいろ事故を起しておるようであります。たとえば途中で旅行を中止した場合あるいは事前に中止した場合の払い戻しにつきましてもきめてない、あるいはまた団体の場合には契約をある程度結んでおるのでございますが、その他の場合には口頭だけで契約を結んでおるというふうなこともありまして、こういうことがやはりいろいろ事故を起すもとでもありますので、今度の改正では旅行あっ旋約款というものを作らせまして、その中にそういう責任に関する問題、あるいはまた料金の払い戻しに関する事項、そういうふうなものを入れさせまして、必ずこれを届け出なければいけない。そうしてこの旅行あっ旋約款に違反いたしました行為に対しては、罰則をもって臨むということにいたしております。それからまた事故がありましても、従来はただ業者から報告を徴するだけにとどまっておりまして、なかなか実態をつかむのに困難をいたしておったのでありますが、今回の改正では、不正行為をやったと思われるようなものについては、営業所に立ち入り検査をし、また関係者に質問をすることができるというふうな制度にいたしております。この改正法が通過いたしましたならば、従来よりも相当事態改善することができるし、またわれわれといたしましては努力いたしまして、この改正の趣旨に沿わなければならないと存じている次第であります。
  75. 畠山鶴吉

    ○畠山委員 ただいまの間島観光局長説明は、私がお伺いする点と少し相違している点がありますが、これは立場でやむを得ないと思います。兼業をやっておりますたとえば日本的有数な大きなあっせん業者があり、また一方には部屋借りでどこにいるかわからないような人で、許可を持っている人がある。その点を心配しているのです。私が心配している点は、今あっせん業というのは、国内ばかりでなく、国際的見地から考えまして、外国の人が日本に来た場合に、あっせん料が一番高い、不親切だ、設備が整っていないという声をしばしば聞きますので、このあっせん業の将来というものは重大な関係にあるという観点から、これをもっと強固な、りっぱなものにしたいという観点からこの点をお尋ねしているのです。たとえて申し上げれば、個人的でいえば日本旅行会、ツーリスト・ビューロー、関西の一流の電鉄会社、内地でいえば交通公社、そういうものも結局同じではないかと思うのでありますが、あまりにも相違があるために、でこぼこが多いために、これがうまくいっていない。私はしいて言うならば、一流のあっせん業者が、外客なんかが来た場合に、あっせん料が高いなんということを言われるのは、はなはだ面目ないことであるから、まずこれについても甲乙丙三種くらいに分けて、甲はどのものを、乙なら乙はどのものを扱えるくらいの基準を定めて、この問題を取り上げていくことが将来のためにいいのではないかと考えますが、これらの点について、観光局長また運輸大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  76. 間島大治郎

    ○間島政府委員 今お話のごとく、旅行あっせん業者の状態は、非常に大規模なものから、またたった一人でやっているというような非常な零細なものまでたくさんあることは事実でございまして、こういったものに対しては一律の取締り、監督をいたすことももちろん妥当でない点もあると思いますが、しかし制度といたしましては、やはりそういった全体を考えまして統一した監督指導の制度でやるよりいたし方がないわけであります。また旅行あっせんに関しまして、その能力に応じてこれを分けるということも一つの方法ではございますが、なかなか実際問題に当りましてはむずかしいのではないか。現在の法律におきましては、御承知ようにたった二つの段階に分けておりまして、外国人を扱うものは、一般旅行あっせん業者として、日本人だけを扱う邦人旅行あっせん業者よりはだいぶ資格を厳重にいたしておるわけでございますが、お話の点はよく考えまして、何らかいい方法がとれれば今後研究して参りたいと存じております。   〔木村(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
  77. 畠山鶴吉

    ○畠山委員 私のお尋ねした点が全部伺えないのですが、私は国内観光と国外観光という面から考えて、業者の基準を甲乙丙に定める意思があるかどうかを聞いているのです。それは不肖私委員としてこのあっせん業の提案をいたした責任もありますので、今後その育成と運営についても多少この方法を与えなければならぬ立場にありますかり、特にお尋ねする次第です。要するにこのあっせん業が健全にりっぱに世間から見られるようになってくればけっこうだということですが、甲乙丙に改めるようなお考えはありませんか。
  78. 間島大治郎

    ○間島政府委員 今までのところはそういう考えはいたしておりませんが、お話の点につきましては、もしそういうことができれば、もちろん利用者側とすれば非常に便利になると思いますので、十分研究してみたいと思います。
  79. 畠山鶴吉

    ○畠山委員 お考えおきを願いたいということをお願いする次第であります。最後にあっせん業の歩合の点につきまして高いという声がありますが、外国人が日本に参った場合のあっせん料は、どういう基準になっておりますか。
  80. 間島大治郎

    ○間島政府委員 ただいまお話の旅行あっせんの料金につきましては、この法律の第十二条によりまして、あらかじめあっせん料金を届け出でなければならぬことになっているわけであります。運輸大臣あるいは都道府県知事に届け出でなければならぬ。そうしてこの届出の料金が適正な料金でないときには、運輸大臣あるいは都道府県知事はその変更を命ずることができることになっているわけでございます。現在私どもの方に参っております届出料金によりますと、もちろんその内容は非常にたくさんございまして、交通機関料金、宿泊機関料金等となっておりますが、平均いたしまして大体最高料率が一〇%くらいであります。ただ場合によりまして、たとえば団体というような場合に、そのつど募集するわけでありますが、たとえば外国から船で来た者を船の中で募集する、それがあらかじめこちらでバスを用意して待っている、ところが来てみると定員の半分にも満たないというようなことも起りがちでありますので、そういった危険のあるような旅行あっせんにつきましては、一〇%を上回るようなものも例外としては認めております。原則としては最高料率一〇%で、それを非常にこまかくきめております。たとえば宿泊料金につきましては、国内の分につきましては大体五%ないし一〇形というような料率で届け出でられているのが通例でありまして、大体一〇%を適正だと考えている次第であります。
  81. 畠山鶴吉

    ○畠山委員 今私は外国人観光客に対する点をお尋ねしたのですが、内地の宿泊問題にまで触れているようであります。外国の観光客が来た場合に、特に募集して費用をかけてお客を集める場合は別でありますが、この中でもただ申し込んで、つまり旅行あっせんを頼んだ人の方が多いように思いますので、これらの場合においては最高一割——最高一割でもほんとうの外客であった場合には、国家の何らかの方法でその半分くらいは国家が補助いたしまして、その観光客の負担はせいぜい五分以内くらいにおさめるようにしなければ、今後国内の観光事業は発展しないと思います。まず料金が高い、あっせん料が高いと言われてしまっては、はなはだ不面目の点が多いのであります。この点をもっと急所をついていただきたい。それから規定をもっとはっきりしていただきたい。それから申し込んだ場合には、最高一割でその五分くらいは何らかの方法で負担する。外国の観光客にしては、もちろんこれくらいの条件をつけなければ、日本の観光政策というものは発展しない。さきの二十二国会で観光局もできたのでございますから、観光局長としてはこれらの点に特に御留意を願いまして、むしろ国内観光よりも国際観光というものを全面的に取り上げる関係上、ここにあっせん業という立場が大きな役割を果すのでございますので、この際私はこれを強く要望するものであります。また国内の旅館にいたしましても、旅館にただ紹介しただけで、飲んで食って一割も二割も要求するようなことは、結局お客様の負担になりますので、これらも最高一割以内と限定してもらうことがいいのではないか。今申し上げた通りこの業者が、常識のない人があまりにも多過ぎる関係上、これらの点を特にうたっていただきたいということを私は希望するものであります。それでなければ日本の観光政策というものは、この一点によってすべてが破壊されるのでありまして、もちろんホテルの問題にしてもまた旅館の問題にしても、いろいろ問題はございますが、まずあっせん業としてこの要件を取り上げていただきたい。しかし観光局長は、もう百も二百も御承知のことでございますから、お考え願いたい。  それから最後に、今あっせん業で一割とられて、遊興飲食税を一割とられて、それからサービス料を一割とられて、その他とられますと、宿泊するお客様はまことにお気の毒です。これらの点を何らか是正しなければ、ただ安くしろ安くしろと言ってもできない問題でありますし、いろいろ観光局の政策としては責任があると思います。先ほども——話は横へそれて恐縮でごさいますが、国鉄推薦旅館の問題にいたしましてもいろいろの問題があるのでございまして、決していたずらにこの問題を継続しようというのでなくして、一つでも、いっときでも宿泊客なり観光客に満足を与えたいというのが趣旨でございますので、どうぞこの点を十分に御理解下さいまして、私はこのあっせん業の、あまり平凡なところに一応疑義がありますので、もう一応訂正のできるところは訂正していただいて、りっぱな旅行あっ旋業法にしていただきたいことを希望申し上げて、私は質問を終ります。     —————————————
  82. 松山義雄

    松山委員長 次いで海運に関して調査を進めます。  青函連絡線航路における浮流機雷の問題について、質疑の通告がありますので、これを許します。下平君。
  83. 下平正一

    ○下平委員 最近の新聞報道等では、津軽海峡に浮流機雷が現われてきて、そのために青函連航路が夜間運航を停止しておるような報道がありました。相当重要な問題であろうと思いますので、浮流機雷の状況並びにこれが対策について若干質問をいたしたいと思います。  保安庁の方々に、浮流機雷の今現われている状況はどんな状況か、まずお伺いしたいと思います。それから、それに対する国鉄当局の対策といいますか、それによって輸送力その他にどのくらいの影響を与えているか、その二点についてまずお伺いしたいと思います。
  84. 砂本周一

    ○砂本説明員 日本近海におきます機雷は、第二次大戦に直接関係したものといたしまして、日本の機雷、アメリカの機雷、多々あるのでございますが、それは別といたしまして、直接朝鮮動乱と申しましょうか、朝鮮事変に関連すると思われるものが現在問題になっておるわけでございます。二十五年の七月からの統計によりますと、実際に機雷として確認いたしましたものが三百六個でございます。その根源がきわめて明確ではないのでございますが、いろいろ推定いたしますと、北鮮の東海岸の沿岸に敷設されたものが、その繋維索と申しますのが切れまして、海流なりあるいは季節風その他の影響によりまして日本沿岸に流れてくる。それが時期的に毎冬の十二月から一月あるいは二月の候におきましては、山陰方面を大体において南の方から北に移動しておる。それが夏分になりまして奥羽地方、津軽海峡、北海道の西側、こういう出現の方向で、大体例年ほぼ一定した経路をもって現われておるのでございますが、ことしは少し出現の時期がずれまして、すでに二月になって津軽海峡の西口と、一つははっきりと確認いたしましたもので、海峡の中に入ってきた、これが例年と型がちょっと変っております。そういう状態が今までの経過でございまして、多くはすでに爆発しない、いわば安全装置がかかっておると申しましょうか、あるいは死んでおると申しましょうか、漂着いたしましても、あるいはまた銃撃で処分いたしましてもそのまま爆発しないで沈むものが大部分でございますが、中にはやはりまだ爆発力を残しておりまして、海岸に漂着してぶつかって自然に爆発して若干被害を及ぼしたもの、あるいはまた発見いたしまして、それを海中で処分いたしますのは、私どもの巡視船に乗って、自動小銃を使いますが、それで銃撃して処分するのでございますが、たまには爆発を起す、こういう状態でございます。非常に概括でございますが、今までの浮流機雷の状況はそういう状態でございます。ただつけ加えたいことは、海上を浮流しておりまして、航行船舶に直接衝撃その他によって被害を及ぼしたという例はございません。以上でございます。
  85. 西阪文雄

    ○西阪説明員 機雷によりまする国鉄の輸送状況の影響でございますが、旅客輸送につきましては、まず機雷が出まして、夜間の青函航路の輸送を停止しておりまして、船は昼間にまとめて運航いたしまして、輸送力を上げるように努力しておるのでございます。旅客の輸送につきましては、原則として夜船で渡って、昼の汽車で北海道内を旅行されることが便利であります。またその逆の場合も、北海道内を昼旅行してきて、夜船で渡って内地の方へ旅行される方が便利でございますので、そういうようなダイヤで輸送を組んでおるのでございますが、夜間運航ができないようになりましたので、旅客の方々には昼に海を渡っていただくということで、旅行の計画上大へん御不便をおかけしております。輸送の総量におきましては、目下のところは送り切れないということはない現状でございます。それから貨物輸送につきましては、これも夜間輸送をやめておりますので、大体二割五分から三割くらいの貨物輸送力が減少いたしておる次第でございます。従って北海道並びに内地にそれぞれかなりの滞貨を持っておる現状でございます。
  86. 下平正一

    ○下平委員 これはことし始まったことではなくて、昭和二十六年ですか、朝鮮動乱当時から始まっておりますがもう半月くらい夜間運航が停止せられておる状態なんですが、時間がありませんので、結論をちょっと聞いて、あとは後日詳しくお伺いしたいと思います。現在まだ運航を停止しておるようなんですが、夜間運航再開の見込み、あるいは夜間運航を再開するについてのいわゆる哨戒対策、そういうものについて保安庁並びに国鉄当局からお伺いをしたいと思います。
  87. 砂本周一

    ○砂本説明員 先ほど申し上げましたように機雷は、毎年多少の消長はありますが出ておりますので、日本海側はずっと島根県方面から、北は北海道まで、機雷に対する警戒態勢をその状況に応じて実施はしてきております。先ほど申しましたように今年は——昨年の暮れからでございますが、北に出現いたしましたのが少し早いのでございます。北に対する警戒は、従来は夏季に入りまして比較的多くなりますので、夏季態勢と俗にいいますが、それもすでに何年かやっております。先ほど申しましたように、すでに津軽海峡の西口にも出ておりますので、夏季態勢に入っております。これは国鉄さんとも十分連絡いたしまして夏季態勢に入っておるのでございますが、夏季態勢と申しますと巡視船の数を増強すると同時に、他の区域並びに他の時期におきましても、海上保安庁と自衛隊とは常時密接な関係を持っておりますので、その地区における船艇をともに運営して警戒態勢に入っておるのでありますが、特に夏季態勢と申しますのは六月一日から九月一日あるいは十月一日に及ぶこともありまして、津軽海峡においてやっておりますが、この態勢は先ほど申しました時期はずれの機雷の出現によって直ちに手を打ちまして、現在では海上保安庁の船艇七隻が海峡に集結し、ヘリコプター一機をこれに加えております。それから自衛隊もすでに四隻これに配置されておりまして、常時海上の必要と思われる地域を哨戒いたします船艇は、四隻ないし六隻でやっております。その哨戒方法と申しますのは、海峡の西口のかなり広い範囲を船で海面を哨戒いたしまして、機雷を発見するわけでございますが、昼の間に人間の目あるいはめがねによって十分発見され得る状態において、日中哨戒いたしましたその海面が御承知ように海峡はほぼ平均二ノットの速さでもって東の方に流れておりますが、そういういろいろ詳細な海流を調査をいたしまして、夜間航空の連絡船が通ります航路をまず安全にすることを目途に、哨戒の方法を講じておるわけでございます。
  88. 西阪文雄

    ○西阪説明員 国鉄といたしましては、海上保安庁の夏季特写哨戒態勢を常に続けていただきまして、その状態のもとで夜間運航を実施するそういう心づもりでおります。問題は波が相当荒い日もありましたり、あるいはまた海難その他で各地に緊急に海上保安庁の船が出勤される必要等があったりいたしまして、実を申しますと夏季警戒態勢が、私たちの希望いたしますように常に実施されるということが私たちの希望なのであります。そういう姿にしていただきまして、自分たちは夜の運航を開始いたしたい。今度の場合におきましても、ただいまのところは相当の哨戒をとっていただいておりますので、私たちといたしましては船の乗組員の諸君にもこの間の情勢をよく納得していただきまして、なるべく早い機会に夜間運航を開始いたしたいと思って、目下努力をいたしておるところでございます。
  89. 下平正一

    ○下平委員 そうすると、保安庁の方では夏季哨戒態勢をしいたから、哨戒としては大体従前通りの手を打ったと言われるのですが、国鉄当局の方はその態勢に信頼をして運航したいが、乗組員が不安がっていて、いまだに夜間運航の再開ができないということなんですか。
  90. 西阪文雄

    ○西阪説明員 乗組員に不安があるのが唯一の原因というのではございませんで、私たちといたしましてはただいまのところ、夏季哨戒態勢を実施していただきますれば、なるべく早く運航を開始いたしたいという心づもりでおります。
  91. 下平正一

    ○下平委員 国鉄当局にお伺いしたいのですが、今保安庁の警備部長さんは夏季哨戒態勢は完全にしいていると言われているので、その上に立って国鉄の御答弁を求めたのですが、そうすると、国鉄の方では今保安庁のやっている夏季哨戒態勢は不安だ、こういうことをおっしゃるのか、ちょっと国鉄当局の考えがわからぬのです。乗組員が不安がっていると言ったり、どこに再開のネックがあるか知りたいのです。
  92. 西阪文雄

    ○西阪説明員 夏季哨戒態勢のときは大体大きな船が三ばいくらいと、やや小さな船の二はいくらいで哨戒をしていただいているのでございますが、相当風の激しい日もございまして、その哨戒が思うにまかせないような場合もあるやに聞いておるのであります。そのよう状態でありますと、私どもの輸送といたしましては、海が荒れて哨戒の勢力がやや少くなるとか、あるいはまた海難その他でやや勢力が少くなるという日は夜間運航はやめますし、そうでない日は夜間運航もやるという姿になりますると、なかなか輸送といたしましても、利用される方々にとりましても計画がむずかしゅうございます。そういったことから考えまして、夏季の警戒態勢において私たちの船では二十メートルから二十五メートルくらいの風のときにも出かけていくわけでございますが、そうしたときにも常にやっていただき、またずっと永続していただきますことが非常にいいと思っているのでございます。今回もそうしたような姿にしていただく段階に入っているわけでありまして、そうした実情を考慮いたしまして、船員その他にもよく納得させて運航させて、安全な運航を期したいと思っているのが現在の段階でございます。
  93. 下平正一

    ○下平委員 夜間運航をするかしないかという判定を下して、その開始の権限を持っておられるところはどこなんですか。
  94. 西阪文雄

    ○西阪説明員 海上保安庁の哨戒の模様を御連絡いただきまして、その結果、最後的には国有鉄道が夜間運航をやるかやらないか決定いたすのでございます。
  95. 下平正一

    ○下平委員 この前の洞爺丸事件のときにも、出航の問題については、責任の所在についていろいろな風説が飛んだりして問題がありましたので、機雷で事件があることを好むわけではございませんけれども、もう少し出航の命令権、判定する責任の方について明確に聞いておきたいと思うのですが、国鉄当局といえば局長から船舶部長といろいろありますが、最終的に判定を下す官職の方はどなたでございますか。それをお伺いいたしたいのでございます。
  96. 西阪文雄

    ○西阪説明員 青函船舶鉄道管理局長でございます。
  97. 下平正一

    ○下平委員 今国鉄当局の御答弁の中に、夏季哨戒態勢がときたま海難等によって態勢が少し弱化することもあるし、特に風波の高いとき等の場合の哨戒がきわめて困難で、そのときには欠航せざるを得ないような形になる。そこで輸送を計画的に行う立場からは非常に困ったことだ。できれば常時態勢を強化してもらいたいという御意見でありました。そこで私ども考えてみまするに、あの広い海面でわずかな機雷の発見ということとは大へん困難だと思いますが、具体的に起きた今回の事件を見ますると、十九日の日に一個、二十日の日に一個発見されております。当然予想をしないときに予想されない個所で機雷が発見されたのですから、これに対する警戒態勢、あるいはこれらの機雷の根源なり、いろいろの推移というものを見きわめなければ、夜間運航は開始できないと思うのです。ところが今いただいた資料を見ますると、十九、二十日に発見をされて、四日後の二十三日には、もうすでに全運航を開始しております。この間警戒に当った保安庁の方々、並びに三日くらいたった後にもう安全だという判定をつけられた国鉄の皆さん方は、どういう状況の判断から判定をつけらたか。わずか三日か四日で運航を開始して、三月十日には青函航路を横断して、機雷があべこべのようなところで発見されたという状況です。そんな突発的に機雷が出たというような危険なことで、二日三日のことでなぜすぐ夜間運航を開始したか。これをお伺いすると、だれが一体どういう判定をしたか、あるいは判定の根拠というものが少しわかってくるようになると思いますので、その間の経緯を少し御質問いたしたいと思います。
  98. 西阪文雄

    ○西阪説明員 先月の十九日、二十日と二度機雷が出まして、その後関係の水域を海上保安庁で全部御哨戒いただきまして、関係の水域には機雷はない、出た二個の機雷は処分をしたという御報告をいただき、他方相当哨戒艇を増加していただきまして、夏季哨戒態勢に近い姿で哨戒していただきました。そういうわけで、私たちの方といたしましては、関係の水面に機雷がないという確認をいただき、また西口で相当厳重な警戒をとっていただきましたので、そういう態勢の整いましたときに、夜間運航を開始いたしましたのが二月の二十四日でございます。そういう状況でございます。
  99. 下平正一

    ○下平委員 この問題は、機雷の根源もわかっておりませんし、明確な事由もわかっておりませんので、捜査に当られる保安庁の方々、あるいはそれに直面して運航される国鉄の方々の努力というものは、私は非常な苦労をしておられると思います。その点を追及するわけではございませんが、しかし何か哨戒の対策、あるいは哨戒に対するいろいろな設備等に不足があって、機雷の発見がおくれるというようなことがあれば、これは直していかなければならぬと思うのです。そこで十九、二十日と機雷が発見をされて、関係水域には機雷がない、こういう保安庁の報告に基て運航を開始したと言っておりますが、その後も保安庁では、海上の哨戒を続けておられたと思うのです。そこで三月九日の日の海上保安庁の方の、この津軽海峡に対する哨戒の状況を少しお伺いしたいと思うのです。と申しますのは、今保安庁の説明によりますと、海速二ノットで、六時間か八時間で航路に支障のある個所にくるというので、その前日に哨戒が十分行われたということになれば、機雷が航路を横切っていくというようなことは、およそあり得ないと思いますので、三月九日にどういう哨戒態勢をしかれておられたかということを、保安庁にお伺いしたいと思います。
  100. 砂本周一

    ○砂本説明員 そのときのいろいろな状況で、多少船艇の数の相違がございますが、先ほどちょっと触れましたように、夏季態勢におきましてもいろいろ連絡を密にして、自衛隊と海上保安庁がいろいろ連絡をとってやっているのでございますが、ただ警戒しております線を、現実にいつ陸奥湾の入口まで流れてきたのか、どう通ったのか、ちよつとまだあとをつけるわけに参らないのでございますが、さっそく私どもの調査した結果によりますと、その間多少巡視船に手薄があったことは認められます。それで今後の態勢におきましても、よくその間を十分注意して、そういう手薄なになり過ぎることのないように、十分気をつけるようにしたいと思うのでございます。
  101. 下平正一

    ○下平委員 私が調べたところによりますと、三月九日の日には、海上保安庁の方では、ほかの方の業務のために、哨戒にほとんど従事していなかったという調査が出ております。三月九日に哨戒に当ったのは、自衛隊関系が一隻だけで哨戒に当っていた、こういうふうに私の調査では出てきておりますが、このことがいい悪いということではなくて、保安庁の方々が、時が予想されるときでもないときに現われた直後でありますので、十分警戒をしなければならないという気持はお持ちになっておったと思うが、保安庁の方の手不足の関係で、私は哨戒がおろそかになったのではないかと思います。時たまこういうときに限った機雷が現われてきて、幸い船と衝突をしなかったから大事はなかったのですが、こういう手抜かりというものは、一ぺんあってもおしまいだと思うのす。事人命に関する問題でありますので、私はもう少し哨戒態勢というものを検討する必要がありはしないかということを、痛切に感じているわけです。  そこでもう一つ、それらの意味でお伺いしたいのですが、幾つかの浮流機雷が発見されておりますけれども、私どもの聞いているところによりますと、巡視船あるいは自衛隊の船舶が発見するよりも、漁船が発見する率の方が多いというふうに聞いております。その実情はどうなんですか。
  102. 砂本周一

    ○砂本説明員 お説の通りでありまして、非常に広い海面でございますから、あの海面に巡視船を一々配置しまして、全部の機雷発見は事実上非常にむずかしい問題ではないか。従って、私どもは今まで出ました機雷の発見の場所からいろいろ逆算したりして、その機雷の流れるルートにつきましては、詳細な研究は続けておりますが、そいうもので重点的に巡視船も配置するとともに、他の一般の海面においては、漁船その他の航行船舶に、機雷警戒の重要性を十分認識していただいて、非常な協力を得ているわけでございまして、やはりその報告によって事前に発見することが非常に重要でございます。割合からいいましても、一般船舶の発見によって通報を受け、それによってかけつけるのですが、その通報を受けてまたそれを捜す仕事も非常に重要でございますけれども、なるべく早く正確な位置を知らせていただいて、かけつけるというふうにやっているのが現状でございます。
  103. 下平正一

    ○下平委員 もう一つお伺いしたのですが、保安庁の船のトン数が非常に小さいようであります。二百から三百、四百というふうな小さい船のようであります。私も青函航路を七、八回乗っておりますが、あの青函航路よりも、機雷の哨戒区域であるところの西口の方は、もっと波浪が高いというふうに聞いております。従って、特に西口でこれを捕捉して処理することが一番安全だと思うのですが、その安全な区域を哨戒するに、現在保安庁の持っている船では非常に困難だし、あるいは少し荒れたような日には、発見がほとんどできないというふうに聞いておりますが、西口捜査に対して保安庁の持っている船で今十分間に合っているかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  104. 砂本周一

    ○砂本説明員 なかなか十分ということはいかないと思います。函館におります船は七百トン、それから四百五十トンでありますが、これは海難救助におきましては、いかなる暴風の場合にも出ていってその仕事をやっております。従ってこの船で間に合わないということは、弘としてもいい切れないのでございますが、あまりにも冬の日本海でありますから、大きい方がより仕事がやりよいということは言えると思います。しかし現在四百五十トンまででございますと、かなりの荒天にもこれはもちろん出ておるのでございますが、相当困難はございますが、やれないということはないと思います。
  105. 下平正一

    ○下平委員 それで先ほど言われたように、国鉄の方としては、はっきり保安庁の方の前では言い切れないと思うのでありますが、やはり哨戒態勢というものにいささが不安があるということは、率直に国鉄の態度だと思うのです。さっきおっしゃられたように、常時警戒態勢を増強してもらわなければならない。その上でないと安心した輸送、計画的な輸送というものができないというのが、国鉄の言われるところだと思うのであります。大切な、特に貴重な人命をお預かりしている国鉄の立場としては、ごもっともだと思うのであります。さらばといって、率直に青いまして、保安庁の現有船舶で津軽海峡の哨戒ということに完全を期すということも、非常に困難だと思うのであります。保安庁の皆さん方にお伺いすれば、海難等の問題、いろいろな問題にしてももうほんとうに極に達しておるような形になっている、こう言われておりますので、これを単に国鉄あるいは保安庁という限られただけのワクで青函航路の安全哨戒の確保を期すということが、無理ではないかというふうに私考えております。そこで実は不安庁の文書をいただいて見ると、自衛隊に連絡をして、自衛隊と共同してこれらの掃海を行なっているとありましたけれども、今日でも自衛隊の千トン級のフリゲート艦が一隻津軽海峡に配属されているようであります。もう半月近くも運航が停止しているということであれば、内地各地あるいは北海道においても、相当の貨物の受託制限を行なっているという状態になっていると思います。一日でワム換算で百二十六両で、十五日といえば大体二千両近い貨物が停滞して、内地−北海道間の輸送力がかなり困った状態になっていると思うのであります。  そこで私は運輸大臣にお伺いをしたいのでありますが、実はきょうは時間がありませんので、あとに留保したいと思いますが、それらの青函航路における機雷に対して何らかの対策を立てていかなければ、当分の夜間運航停止ということになると思いますが、二月十九日か三月十日に発生したことでありますから、運輸大臣の方でそれぞれ掃海その他についての手配を講じておられると思いますが、その手配の状況を運輸大臣からちょっとお伺いしたいと思います。
  106. 吉野信次

    吉野国務大臣 先ほども事務当局の方から申しましたが、いわゆる夏季警戒態勢というものはしいておるわけであります。今まではその程度である程度目的を達しておったのでありますが、ことしのものは時期も早うございますし、従って海も少し荒れ過ぎるという点もございましょう。夏と違いまして今お話の点もしごくごもっともと思いますから、もう一ぺんさらにこの現状にかんがみましてよく考えまして、また自衛隊などとも必要があれば、もう少し協議を遂げて、万全を期したいと考えております。
  107. 下平正一

    ○下平委員 時間がありませんから——実はきょう緊急質問を申し上げたのは、やはり機雷の問題であって、輸送力に重大な影響を及ぼしておるので、じんぜん日を重ねておるわけにいかないと思いますので、それで緊急に御質問申し上げたのでありますが、次会委員会に私はまた少し警戒態勢その他について二、三十分質問したい点が残っておりますので、それらを中心にして運輸省の対策をお伺いしたいと思いますから、次回の委員会までにその対策等についてお答えのできるように、一つ処置をしていただきたいということを希望いたしまして、私の質問を打ち切ります。
  108. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 関連して運輸大臣一つお尋ねしますが、今の青函連絡船は夜間航行が半月以上停止いたしておるようであります。下平委員の質問に対する運輸大臣のお答えでは、これに対してあまり積極的に哨戒態勢をとっていられないようであります。もちろん直接業務ではありませんけれども、しかし運輸行政上から見ますると、半月以上もこの重要な青函連絡が夜間とだえているのに、何ら手を打っておられないような様子でありますが、これは私は運輸省としてその責任を非常に軽んぜられておるのではないかと思いますが、これは一体どういうわけでありますか。一つお伺いしたいと思います。
  109. 吉野信次

    吉野国務大臣 実は何もしてないというわけではないので、努力はしているのです。実際を申し上げれば、やはり船が十分でないというところに原因があるのだろうと思います。これは今すぐどうというわけにいきませんから、海上保安庁としては自衛隊の方にはできるだけ助力をしていただくようにやっております。実は率直に申し上げますと、夏季態勢という今まで比較的大丈夫だと思うような態勢をしきましたのもごく最近のことでございまして、多少その間にギャップがあったことは私も大へん申しわけないと思っております。
  110. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私はそういう態度はよくないと思う。やはりもっと積極的に運輸大臣は行政官庁としても、この重要な交通網を確保するためには、哨戒態勢に対して格段の努力をしていただくことは当然だと思うのです。船がないとおっしゃいますけれども、しかしそれは船の使用方法によっては幾らでも私はこの哨戒を強化することはできると思います。ただ津軽の場合は十分でありませんから、こういう場合には非常態勢をとってでも、この交通網は確保しなければならぬと思うのです。それを怠っているというところに、非常に運輸行政上おもしろくないことがある。もう少し哨戒態勢を強化していただくようにお願いしたいと思う。  それから国鉄に尋ねますが、今の青函連絡船は風速何メートルくらいまでは出港し、航行しているか、一つお伺いします。
  111. 西阪文雄

    ○西阪説明員 大体二十メートルから二十五メートルくらいまでの間の場合には、出港して運航いたしております。
  112. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 海上保安庁からの御説明によりますると、今配船しているのは、大体二十メートル程度までの風波には耐えて哨戒できる、こういうことでありますが、聞くところによりますと、青函連絡船が先に走って、哨戒船があとから走っている、当然そのノット数においてはかなわないということで、実際には間に合っていないということでありますが、そういうことでは困ると思うのであります。一体保安庁の船の最大速力はどのくらいか、そうして何メートルぐらいまでの風波に耐えて哨戒の任務を尽せるのでありますか。
  113. 砂本周一

    ○砂本説明員 船体は小さいのでございますが、安全性が非常に高いので、もちろん二十メートルの風でも出航できます。それからスピードが落ちて警戒の効果がないのではないかという御質問。ちょっと二通りあると思うのです。風にさからう場合と、いろいろ波の関係がありますが、からが小さいほど風や波の影響が大きいので、スピードも落ちるわけでございます。青函連絡船はかなり大きい船でございますから、波風によるスピードの落ち方が非常に少いわけでございます。そういう状態で一緒に航海いたしますと、そこにスピードの差が出てくるわけであります。海上保安庁の船のスピードは、大体船にもよりますが、十一から十三程度みな持っておる。これは普通の状態でございますが、非常に波風に影響を受けますので、そういう場合にはぐっとスピードが落ちるわけであります。しかし西口哨戒はそうスピードを出して突っ走るわけではございませんから、哨戒そのものはできるわけでありますが、ひどくしけますときに効果がないという場合もあり得るわけであります。非常に海面が荒れておりまして、その発見がより以上困難を来たすというときには、あるいは手控えするときもございます。それで連絡船が航海いたします範囲におきまして、巡視船が出られないということはございせんが、一緒に並んで走る場合は、巡視船のスピードの低減が必ずあります。それから誤解を招いておるかと思いますのは、一つのテストとして、直接護衛というものがございますが、これはどれだけの効果が上ってどういうふうにやられるかを、今まで例がなかったものですから、十何日でございましたかやってみたのでございます。そういうふうに並んで行きますときにしけますと、並んでいくこと自体困難だ、こういうことがございます。
  114. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 この問題はいわゆる哨戒と直接護衛と二つの問題があるわけでございます。私のお尋ねしたのは、直接護衛の場合のことを聞いたわけです。そこで哨戒となりますと、今下平委員が言いましたように魚船が非常に多く機雷を発見している。これは船の数の問題だと思います。その哨戒する船は速度よりも船の数にある。そこでお尋ねいたしまするが、現在一体直接護衛を含めて何隻くらいを配船されておりますか、一つお聞かせ願いたいと思います。
  115. 砂本周一

    ○砂本説明員 直接護衛は一応テストをやりまして、いろいろ困難がございますので、今は中止しております。それで一般哨戒をやっておりますが、先ほどもちょっと触れたのですが、私どもの船は現在七隻、それからヘリコプター一機、そのほかに海上自衛隊が四隻をこれに配置しておる。これが現在直接当っております隻数でございますが、やはり休養その他もございますので、常時海上において哨戒しておる船の数は四隻ないし六隻が現状でございます。西口の方でございます。
  116. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 先ほどの下中委員の質問によりますと、東口の反対の方にまで機雷が通っておる。もちろん広い海上でありますから、見のがすということもあるわけでございますけれども、それは大へんなことでありまして、航路を横切って機雷があるということになりますと、これはやはり夜間の航行はできないということになります。まして十一隻あるものが、わずか四隻ないし六隻というものが平均ということになりますと、これでは非常に危険千万な話で、手薄だと思いますが、保安庁としては今申しますように、大型船あるいはそういうスピードを持ったものではなくとも、いま少しこれを増強されるような余裕はないものですか。また運輸大臣としては、もう少しこれを他から回して、そうして哨戒の船の隻数を強化していくお考えはないか。この両面からお答え願いたいと思います。
  117. 砂本周一

    ○砂本説明員 四隻ないし六隻が完全に哨戒いたしますならば、見のがすことは今までの経験からいたしまして大体ないのではないかと一応考えられます。連絡船の航路を横切りまして東サイドに出ました場合は、多少手薄のあったことは私どもも認めております。従って今までの実績その他からいきまして、ほぼこの態勢であるならば、安全が確保できるのではないかという見当で船を配置しております。この七隻の配置も全体の業務からいたしますと、かなり困難でございますが、その困難を押して、たとえば小樽の船を函館に回し、また八戸の船を函館に回してそれだけの態勢を整えておりますので、各地ともひっこ抜かれたために非常に影響を受けておりますが、これは重大なことでありますから、先ほど何も手を打っていないではないかというお言葉もございましたが、だんだん増強するというようにすぐ手を打って、それ以前もかなり関心を持って——突然出てきたわけではございません。だんだん北に上る状況にあったわけでございますから、他の管区におきましても態勢を強化しつつ今日にきたわけでございます。
  118. 吉野信次

    吉野国務大臣 大体今係から述べた通りですが、海上保安庁関係としてはやはりそれぞれ方々に海難事故が予想せられるものですから、ある程度それに備えなければなりませんので、できるだけのことはしたのです。残るところは、あと自衛隊の方にどれだけ御援助を願えるか、これは私はまだ話し合いの余地があると思うのです。正直を申しますと、こちらでお願いしても自衛隊の方の正常の仕事を乱さない程度において、今援助を受けているのだろうと思いますが、それが非常態勢ということで、もう少し自衛隊側と私は相談の余地がありはせぬかと思いますから、先ほど下平委員も申されましたように、その方面についてさっそく考慮してみたいと思います。
  119. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私はこの運輸省、海上保安庁、国鉄の方の今までの答弁で、現実に即して大きな食い違いがあると思うのです。海上保安庁の方あるいは運輸省の方ではこれだけの船を出しておれば、ほぼ哨戒態勢というものはできていて、安全が確保できると思います、こういうことなんです。しからば何も夜間に航行を停止する必要はないわけです。それだけ安全に哨戒できておれば、私は少しも夜間の航行を停止する必要はないと思う。ところが、現実にこの海上の不安があればこそ、夜間の航行は停止せられておると思うのです。こういうことでは、何ぼ安全だとおっしゃっても安全でない。これは現実の問題として、ちゃんと停止しているという厳粛な事実があるのです。この事実というものは安全でないということを証明しているのです。ですから、その航行に安全感を与えるためのなお一そうの警戒態勢、哨戒態勢というものをとらない限り、このゆゆしい問題を解決することはできないと思うのです。洞爺丸の沈没いたしましたときにも、私は本会議で質問いたしましたが、一ぺん交通機関というものは、汽車が倒れる、あるいは船が沈むということになりますと、これは取り返しのつかない人命、財産の損失を招くわけであります。それあるがゆえにより一そう周到な注意を常に払っていなければならないのが、交通機関の特徴であります。そういう意味からいってもこれは安全でないからこそ、私はこの夜間の航行が停止されておるのだ、こう思うのです。そういう意味からいってもなお一そう強化する必要を感ぜられておるのではないかと思いますが、いかがですか。国鉄当局も安全感を抱いておられますか。あるいは海上保安庁もなおこの事実を事実としてお認めになって、そうして、強化の必要をお感じにならないか、一つそれをお伺いしたい。
  120. 西阪文雄

    ○西阪説明員 私たちといたしましては絶対に安全なことが最大の要件でございますので、安全につきましては、できるだけ慎重な措置をとりまして、万が一にも事故が起るようなことがございませんようにという心づもりで、運航に対処しておるのでございます。ただいまの状況におきましては夏季能勢に近い状態、あるいは夏季態勢の場合もございますが、をとっていただいておるのでございますが、何分にも二月の十九、二十日と出て、その次には三月の十日にもまた出まして、しかもそれが航路を横切って東側にまで機雷が流れ込んだという状態でございますので、保安庁の態勢に対して不信を抱いておるのではございませんが、先ほども申しますように、もう少し慎重にと申しますか、よく情勢を見まして、そして大体これならばおさまってきたようだと私たちも納得いきましたときに、夜間運航を開始いたしたいと思っておるような次第でございます。
  121. 青野武一

    ○青野委員 時間がありませんから、要点だけ二、三点御質問申し上げたいと思います。幸い運輸大臣がおいでになっておりますから、私は運輸大臣にきょう御答弁をしてくれというその目的のために質問するのではありませんが、関係の諸君がおいでになりまして、過ぐる運輸委員会で私が質問したことでありますが、どうも十分納得がいかないから、まあ再質問の形になりますが、御承知通り韓国は、一方的に世界の公海に、広いところは約四十マイルのラインを設けて、もしこれを強行して漁業をするような場合は砲撃する場合もあると、気違いに刃物を持たしたような宣言をしております。ところが去年の二月の十四日に、底びき網の漁船、これは日魯漁業の所有船ですが、御承知通り海上衡突予防法によれば、韓国のフリゲート艦はよけて通らなければならないのに、日本の二十五人乗りの漁船に後から二回も追突して沈没させて二十一名の諸君が死んだ。これは海上保安庁の方から答弁を求めました。けれども私はそのときに納得がいかないままに運輸大臣の出席を実は待っておったのですが、去年の二月の十四日の夜の十時過ぎなんです。佐世保港外約八マイルの地点です。二十一名死んだ。ところが連絡が十分でなかったために、海上保安庁の人々は驚いて捜索をしてくれたが、朝になって出動した。従って気の毒な二十一名の諸君の死骸は今日まで一つも上らない。韓国に外交上日本の外務省から交渉したところが、それは日本の漁船が悪いのだ、この一点張りで遅々として話が進んでおらない。ところが日魯漁業の方も法で定められた通りの補償金もやっていない。外国の損害を受けた場合には、たとえばビキニ環礁のあの放射能をかぶって久保山さんがなくなって、百万とか三百万とかもらえた。そういうことを例にとって外交上交渉をして、先方の国から、なるほど損害賠償しなければならぬということになって金がくるまでには相当の日数がかかる。そこで閣議を開いて、一時その弔慰金その他の見舞金等の立てかえをしてやろうじゃないかということで、そういう話がまとまった。韓国所有のフリゲート艦に後から二回突っかけられて沈没して二十一名が死亡している。これはラインの中に入れば砲撃するかもしれませんが、佐世保のアメリカの軍港に、アメリカとの打ち合せか何か、いろいろ重要な軍事上の機密でしょう、韓国の軍艦がやってくる。横須賀には年に八回も来て、佐世保には去年の統計をとってみると二十五、六回来ている。よその国の港に勝手に参って漁船に追突して殺しておいて、日本の漁船が悪いのだ、日本の近海、日本の陸上に近いところに韓国の軍艦がやってきて追突しておいて、日本の漁船が悪いのだ——日本の法律には海上衝突予防法というものがありますよ。大体米国の軍事基地になっておるところでも、日本の領土には変りはない。何がゆえに韓国所属のフリゲート艦が用事もないのに、政府の許可を受けずにやってくるのです。やってきた上に、こういう不当なことをやって、一銭の弁償金も払おうとする誠意を示さない。御承知通り十九日に首相官邸で相当有力な与党の幹部、一部の大臣の諸君が鳩山首相と一緒にダレスさんに会うたが、案外強くはないけれども、軍事力と経済力を背景に持ったダレスというネコが、重光さんというこまかいネズミを天井裏に追い込めて、そこへすくんでしまっておる日本の外交では、アメリカに気がねするならいいけれども、韓国の李承晩なんという人は、これは保安庁も御承知通り、ずっと前長官だった木村篤太郎さんと並べたら、どっちがどっちだかわからないような顔をしておる。話をしても、相手が正常な人間で常識を備えておるならわかるけれども、外務省も、頭が狂うた、柱時計で申しますと歯車が四、五枚欠けてゼンマイがはずれてしまっておる、そういうものを相手にするときには相手にする方法があるのです、もう一年たっておる。しかも日本の領海、佐世保の近くです。そこへ勝手にやってきて、船を沈没させて、二十一名を殺しておいて、とにかく一銭の弔慰金も払おうとしない。日本の外務省も何かよその国の問題のようなつもりで一つも解決のために努力しておらぬ。一年もたったら——尋常六年卒業生くらいの頭があったら、これは半年くらいで解決できるのです。だからこういう天井裏ですくみ上っておるような外務大臣はかえろというて、私ども不信任案を出したのですが、この問題について所管の関係もあるから、重光外務大臣なり外務省の諸君と話をしてどうなっておるのか。それは連絡が非常に悪かった点もありますよ。夜の十時ごろに衝突をしておいて向うの船は逃げてしまって、いまだにつかまらぬ。そのフリゲート艦の番号はわかっておるのです。そういうことがあるのです。遺族の諸君は路頭に迷うておるのです。みなお年寄りや乳飲み子をかかえてきゅうきゅう言うておる。船長や機関長くらいになればもらう金額も少しは多いのですが、下級船員に至っては二目と見られない非常に苦しい生活状態に追い込められているのに、だれも救済してやる人も保護してやる人もない。外務省は腰が抜けておる。これでは話が進まない。相手は気違いに刃物を持たしたような、大体頭のゼンマイのゆるんでおる男である。もう少しはっきりした交渉をして、適当なときに中間報告を遺族の人にしてやるくらいな気持を持ってもらいたい。それから政府は、韓国から賠償金、弔慰金をとったときには——一律に七万五千円の見舞金を支給しておりますが、七万五千円が大体何カ月くらいの生活費にあたりますか。日魯漁業からもらっておるのが十二万四千円、一カ月に割ったら一万円ちょっとです。今一万円では子供三人をかかえ、年寄りをかかえてやっていけませんよ。どろぼうをするか親子心中をするか、どっちかを選ばなければならぬという状態になっておるときに、もう少し真剣に交渉を進めてもらわなければいけないのじゃないか。その推進方を運輸大臣一つ外務大臣と話し合って——これはお調べになったらわかりますが、詳細な話はこの間の運輸委員会でやっております。記録も全部とってありますが、その大ざっぱなところを私は運輸大臣にお願いするのでありますから、この点については外務大臣と話し合うて、どうなっておるのだ、弔慰金であったら、久保山愛吉さんがもらったくらいの金額をもらってくれなければ承服できないと思う。同じ日本で赤字だらけの日航でも、もく星号が伊豆の大島に突っかけて落ちたら、二十万円の葬式費、十万円の弔慰金、それで百万円を別に出しておる。日本の赤字だらけの航空会社でも、あのあやまちによって百三十万円の金を出しておる。相手は韓国です。それは戦争に負けて二十万の軍隊を連れて九州へ逃げてきて、九州を根拠地として北鮮と戦うなんといって、上級将校の宿舎を至急五千ほど建てろ。自民党の田中龍夫君は、当時山口の県知事でしたが、さすがは田中義一のむすこです。よけいなことを言うな、金がないのだといってはねつけた。ああいう危急なときには、九州を自分たちの戦争をする根拠地にしようとして、将校の宿舎まで作れと命令したことがあるのですよ。そういうやつだから一つ腰を据えて交渉をてしもらわなければいかぬ。がんと一つ私たちが申し上げたことをお伝え願って、その半分は運輸大臣も責任を持って話を進めてもらいたいということを私は希望しておきます。この次の委員会のときでけっこうでございますから、その経過を一つ御報告願いたい。  それからもう一つ海上保安庁の砂本さんにお尋ねいたしますが、私はこの間名古屋の第五空軍の司令部に行きましたが、そこの将校があるホテルを接収して十年ほどになっておる。それはいつでも移転ができるように宿舎もでき上っておる。これは私ども見てきたのですが、そのとき名古屋の港の方に一直線に入って行くと、一年三百六十五日で非常な経費の節約になる。こうやって名古屋にずっと入っておる途中に標識をつけて機雷がある。それをぐるりと迂回して名古屋の港に入る。それでさえも年間六百万トンの輸出入の貨物が、港を通じて名古屋から積み出されておるくらいである。この機雷をのけてくれれば、一年間にどれだけ外国汽船も国内汽船も助かるかわからない。物資の輸送が迅速になる。これはどうぞ一つ何とか処置をしていただきたいという陳情があった。専門室の方からそれぞれの要路の方の係官にお願いをして、それは一つ掃海してあげましょうというお話があって、私も安心しておったのですが、もうこのごろはのけていただいたと思いますが、その点おわかりであれば一つお答えをお願いいたします。
  122. 砂本周一

    ○砂本説明員 今お話がありました掃海は海上自衛隊の所管でございますが、名古屋の機雷関係によって非常にむだな航海をして入るということはよく承知をしておりまして、これはかなり改善されております。ただ最近確かに陳情が私の方に来ておったと思いますが、一部必要な面でまだ残っておる面があるのではないか、こういうふうに考えますが、これはそういう陳情を受けますまでもなく、向うにやはり港長がおりまして、いろいろ船の運航については関心を持っておりますので、そういうものがやはり現地の事情を連絡して参りますので、これはそのつど自衛隊とも十分連絡して促進をあっせんしております。何分にも年度の計画もございますし、かなりの予算もかかるようでありますが、今までやっていただいたのは非常に無理をして、重要な航路の掃海が済んだことも報告を受けておりますし、なお若干残っておるところがあるかもしれませんが、その促進には私ども及ばずながら協力したいと思います。
  123. 青野武一

    ○青野委員 非常に御丁寧な御答弁で私どもは満足しておるわけですが、これは御承知通り海流とか風力によって流れてくるものと違って、あるところはさまっておるのですから、それは一つ予算の関係もありましょうが、適当な方法で至急にやはり完全に安心して航海できるように、その障害物を取り除いていただくように、海上自衛隊とあなたの方と十分連携をとって、地元の人の要望を大体かなえてやる方が適当じゃないかと思います。ましていわんや名古屋では二十以上、正確に言うと二十二くらい米軍のために接収家屋を使用されて非常に困っておる。それがために貿易の面でもバイヤーが名古屋に来ても泊まれないというようなことであり、都市計画が実施されないのもアメリカ村ができ上っておるからだ。そういうことなんかも考慮して、いかに戦争に勝ったものが一方的横車を押すかということを考えてみると、これも一つ早急に解決して、解決されるものは次々に解決していくよう——これはここに確かに機雷がある、ここにもあるということが、標示でわかっておるのですから、これは一つ急速に取り除いていただくように、あなたの方からも自衛隊の方に御連携をとっていただいて、一つ最善の御努力を願っておきたいということをはっきり申し上げておきます。これで終ります。     —————————————
  124. 松山義雄

    松山委員長 こり際お諮りいたします。小委員長の選任についてでありますが、観光に関する小委員長でありました濱野清吾君が、一度委員辞任されておりますので、小委員長は欠員となっております。それでこの際その選任をいたさなければなりませんが、その選任については委員長に御一任いただきたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 松山義雄

    松山委員長 御異議がありませんので、濱野清吾君を観光に関する小委員長指名いたします。  なお小委員長の選任につきまして、委員の異動等に伴うものにつきましては、自今小委員の選任と同様に委員長に御一任いただきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 松山義雄

    松山委員長 それではさよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十五分散会