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1956-03-14 第24回国会 衆議院 運輸委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十四日(水曜日)    午後二時二十二分開議  出席委員    委員長 松山 義雄君    理事 臼井 莊一君 理事 木村 俊夫君    理事 畠山 鶴吉君 理事 山本 友一君    理事 中居英太郎君       伊藤 郷一君    生田 宏一君       岡崎 英城君    加藤 高藏君       佐伯 宗義君    關谷 勝利君       中嶋 太郎君    堀内 一雄君     早稻田柳右エ門君    井岡 大治君       下平 正一君    楯 兼次郎君       小山  亮君  出席政府委員         運輸政務次官  伊能繁次郎君         運輸事務官         (船員局長)  安西 正道君  委員外出席者         厚生事務官         (引揚援護局援         護課長)    大崎  康君         農 林 技 官         (水産庁漁政部         漁業調整第二課         長)      諏訪 光一君         運輸事務官         (海運局海運調         整部長)    辻  章男君         専  門  員 志鎌 一之君     ――――――――――――― 三月十四日  委員有田喜一君及び小澤佐重喜君辞任につき、  その補欠として加藤高藏君及び堀内一雄君が議  長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 三月十日  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一〇号) 同月十三日  道路運送法の一部改正に関する請願(山本正一  君紹介)(第一三一八号)  同(小泉純也君紹介)(第一三一九号)  同(福井順一紹介)(第一三二〇号)  同(野田卯一紹介)(第一三二一号) の審査を本委員会に付託された。 同月十日  北陸線の電化促進等に関する陳情書  (第三五一号)  同  (第四二二号)  自動車等の前灯による危険防止に関する陳情書  (第三五二号)  国有鉄道幹線電化促進に関する陳情書  (第三七七号)  阪神国際空港の開設に関する陳情書  (第  三七八号)  四国、本土間の連絡線増強に関する陳情書  (第四〇〇号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  船舶職員法等の一部を改正する法律案内閣提  出第七五号)(予)  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一〇号)     ―――――――――――――
  2. 松山義雄

    松山委員長 ただいまより運輸委員会を開会いたします。  最初に、去る十日付託されました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣提出)の提案理由説明を聴取いたします。伊能政務次官
  3. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 本日運輸大臣が参りまして御説明を申し上げる予定でありましたが、目下参議院の本会議予算委員会等出席中でございますので、はなはだ恐縮でありますが、私かわりまして御説明申し上げたいと存じます。  ただいまから日本国有鉄道法の一部を改正する法律案提案理由について御説明申し上げます。日本国有鉄道公共企業体として発足いたしまして以来六年余をけみしたのでありまして、この間管理組織の変更その他制度的に幾たびか改正が行われて参ったわけでありますが、膨大な組織でもありますので、過去にいろいろと国民の御批判も受け、当国会におきましても絶えず御批判と御指導を受けて参ったわけであります。政府といたしましても、日本国有鉄道国民ためにより能率的に運営せしめ、もって公共の福祉に資するよう種々検討して参ったわけでありますが、一昨年内閣に設けられました臨時公共企業体合理化審議会、昨年運輸省に設けられました日本国有鉄道経営調査会の答申を参酌いたし、さらには当国会におきまして行われました決議その他をも十分尊重いたしまして、日本国有鉄道組織財産管理等につきましてその改善の方途にようやく結論を見出しましたので、すみやかにこれを実施に移すためにこの法律案提出いたすことに相なった次第であります。  次に改正の要点を御説明申し上げます。  改正の第一は、経営委員会を廃止いたしまして理事会を置くことといたしたことであります。現行法では日本国有鉄道意思決定機関として経営委員会がございますが、必ずしも所期の成果を上げておりませんし、総裁との責任の限界が不明確でもありますので、これを廃止いたしまして、新たに総裁、副総裁及び理事をもって構成する理事会を設け、総裁がその会長となって、業務管理及び運営についての意思決定を行う機関とし、執行機関としての総裁は、理事会決定に従って業務を執行するということにいたしまして、意思決定機関執行機関との表裏一体化をはかり、あわせて責任の所在の明確化をはかったわけであります。この意思決定機関は、すべての事項につきまして決定をするという建前ではありますが、理事会が軽微と認めまたは総裁に専決させることが適切と認めた場合には、その決定総裁に委任することを妨げるものではありません。しかしながらこの場合でも包括的委任を行うことは避けなければなりませんので、これこれは必ず理事会決定しなければならないという事項を列記いたしまして万全を期しておるわけであります。執行機関といたしましては総裁、副総裁のほかに、理事のうちから総裁の任命する常務理事がこれに当ることにいたしましたほか、総裁補佐機関といたしまして技術の改善及び進歩について総裁を補佐する技師長の制度を新たに設けることにいたしたわけであります。  改正の第二は、日本国有鉄道に新たに監査委員会を設けることにいたしたことであります。現行法では、経営委員会が、法文上は明らかにされてはいませんが、監査的機能をも持っていたわけでありますが、これを廃止いたしましたためと、さらに広く国民的視野に立ちまして、日本国有鉄道業務監査する必要がございますので、合議体監査委員会日本国有鉄道内部組織として置くことといたしました。これは組織上は内部監査機関でありますが、その委員運輸大臣が任命いたしますし、運輸大臣監督上特に必要と認めたときば、監査委員会に対して監査及びその結果の報告を特命できるようにいたしまして、内部監査のとかく陥りがちな弊害を防いだわけであります。  改正の第三は、役員に関する規定についてであります。まずその任命方法でありますが、現行法では、副総裁経営委員会の同意を得て総裁が、理事総裁がそれぞれ任命することになっておりますのを、副総裁及び理事運輸大臣認可を受けて総裁が任命することにいたしました。監査委員会委員は、先ほど御説明申し上げましたように運輸大臣が任命いたすことになっております。次に役員任期でございますが、現行法では理事任期がなかったのでありますが、監査委員会委員とともにこれを三年といたしまして、それぞれ再任ができ得ることといたしたわけであります。このほか役員に対して支給する給与及び退職手当についてでありますが、現行法では、日本国有鉄道給与準則を定め、予算で定める給与総額ワクをこえてはならないという制限があるのみでありますのを、給与及び退職手当の基準を定めるときは、運輸大臣認可を受けなければならないことにいたしまして、職員給与総額とは別に取り扱うことにいたしたわけであります。また役員欠格条項として、新たに運輸事業を営む者であって日本国有鉄道競争関係にあるものを追加いたしました。  改正の第四は、財産管理に関する規定についてであります。現行法では、財産管理につきましての規定は第四十六条のみでございまして、それも営業線につきましては明瞭でありますが、その他はこれに準ずる重要な財産ということだけで運用上必ずしも明確な規定ではございませんし、また当国会におきましてのいろいろの御批判もございましたので、これを明確にいたしまして運輸省令で重要な財産を定め、これを貸付その他の処分を行おうとするときは、運輸大臣許可を受けなければならないことといたしました。このほか、現行法では国有財産法規定適用がございませんので、日本国有鉄道財産性格が不明確でとかく紛争を生じておりますので、これを明らかにいたしまして貸付期間中でも事業の用に供するため必要を生じたときは、その契約を解除できることにいたしたわけであります。また現行法会計規程規定すべき事項を新たに明示いたしまして、財産管理規程規定もこれに包含されることを明らかにし、その規程基本事項運輸大臣認可を受けなければならないことといたしまして、財産管理の万全を期したいと存じております。  改正の第五は、いわゆる監督強化についての規定についてであります。さきに申し上げました通り政府監督監査委員会に対しての監査命令役員の任免、財産処分許可等によって強化されることになるわけでありますが、このほかに運輸大臣許認可事項として、新たに鉄道電化その他運輸省令で定める重要な工事を追加いたしまして、交通政策立場からの監督強化をはかることにいたした次第でございます。  改正の第六は、役員についての恩給法その他の準用適用についての規定でございます。改正後の役員性格現行法での役員性格と異なる点もございますので、恩給法準用をなくし、国家公務員等退職手当暫定措置法適用を排除し、また国家公務員共済組合法準用につきましては短期給付のみに限定いたします等、所要の改正をいたしましたわけであります。  以上改正のおもな点を申し上げまして提案理由説明を終りたいと存じますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことを御願い申し上げます。
  4. 松山義雄

    松山委員長 本案に対する質疑次会に譲ることにいたします。     —————————————
  5. 松山義雄

    松山委員長 船舶職員法等の一部を改正する法律案を議題といたしまして、質疑を行います。通告がありますので、これを許します。小山亮君。
  6. 小山亮

    小山(亮)委員 船舶職員法改正に関連いたしまして、この際当局から明確な御答弁を伺いたいと思いますことは、現行援護法によるところの船員救済状態というものは、はなはだしく均衡を失しております。その点に対しまして、すみやかにこれが是正をはからなければならないということを、私はここに質問をしようとしております。というのは、先般質疑をいたしましたごとく、現在の運輸省は、その海運行政の面を見ましても、大企業、大財閥、いわゆるあり余るほど資本を持っておる者に対してはきわめて懇切、親切なる施策を相次いでやっておりますけれども、中小企業であるとかあるいはそれに関連する資本の非常に微弱なるものに対しては、きわめて不親切なる行政をやっておる。のみならず、中小企業対策というようなものはほとんど皆無であるという状態である。それに付随しまして、船員に対する行政も、現在の海運行政を見ますと、他の行政に比べて、船員社会施設というものに対しては不完全な面が非常に多いということを指摘したい。大臣がこういうことに対して強い認識を持っておられればけっこうなんでありますが、遺憾ながら今の大臣は、船員行政なんという問題に対しては、正しい認識を持っておいでになるとは思われません。それで大臣が御出席になりませんから、やむを得ませんから次官にお伺いしたい。  大東亜戦争期間中に日本船員がどのくらい多く犠牲になったかということは、数字をもって申し上げますれば、終戦当時の統計によれば、今次戦争ために身命を賭して出動しました船員は、高級船員が三万九千二百六十八名、普通船員が十四万二千五百五十名であります。そのうちで、戦争ため死亡いたしました船員の数は一万七千三百九十三名、行方不明が一万二千九百六十九名、傷病船員は、負傷しました者が五千百四十名、病気になりました者、撃沈されたり爆撃されたりしまして、海中に落ち込んで、それが原因となって病気になったというような者が三万六千五百六十三名、そしてまた戦時中いろいろな危難に遭遇しまして、不具になり廃疾になりました者が四百八十三名、またこの期間中に過度な労働あるいはいろいろな障害に遭遇しまして、それがために病を得て長期療養しておるという者が四千五百八十一名、この戦争によるところの戦災者となった船員総数が七万九千百三十六名であります。でありますから、戦争中に働きましたところの船員総数が十八万一千七百七十八名、これに比較しますと、戦争によって死亡しあるいは負傷しあるいは不具廃疾となりましたその比率というものは、実に四割三分五厘というふうな数字になっております。この数字陸海軍将兵に比べましてはるかに上回っておる。船員戦争によってこうむったところの被害というものは、陸海軍将兵以上であります。また実際戦争中におけるところの船員活動状況というものは、日本の兵が敵前上陸するような場合には、兵はみな船の中に隠されておりますけれども、船員は船を指揮するために陣頭に立って敵弾の中にからだをさらして敵前上陸を敢行するのであります。でありますから、敵からこうむるところの射撃によりまして負傷しあるいは倒れる者は、船員の方が先であります。敵前上陸に対するところの勇猛果敢な船員の援助がなければ、日本陸海軍将兵が思うままに活動ができなかったということは、これはもう御承知通りであります。しかるに、私もちょうどそのときに議会におりましたのですが、船員に対する物資配給というものは完全になかった。これは議会自分が質問したのですから、記憶に残っておりますけれども、陸海軍将兵等に対しては、たとえば食糧の配給海軍兵隊は一日四合九勺の配給を受けた。その海軍兵隊と同じ船に乗っておる船長以下の船員というものは、陸上の市民と同じ配給で、二合三勺の配給を受けた。同じ船に乗っておる者が海軍の者は四合九勺、同じ船に乗っておる船員は二合三勺、こういう差別的な配給を受けておりました。この点についても私は政府にその差のはなはだしいことを質問し、あわせてまた洋服であるとか、くつであるとか、そういう物資配給は、船員には全然ないのであるが、陸海軍将兵には毛布でも何でも十分にある。そうしてひとしく働かされるということは、船員立場があまりに捨てて顧みられざる立場であるために、私はこの問題を取り上げて議会で強く質問しましたときに、当時の企画院総裁でありましたか、船員に対する物資配給ワクを忘れておったという。戦争の終るころまでワクがなかったのです。それがために何の配給も受けない。ようやくそれがわかって配給をされるようになりましたら、それはもう終戦の直前だったわけです。そういうみじめなありさまでありました。のみならずガダルカナル方面の戦況がだんだん悪くなりまして、撃沈されて帰ってくるところの兵隊は、みな横須賀あるいは呉の軍港に収容された。しかるに同じ救助されてくる船員というものは、行くところがないからみんな自分のうちに帰されるのだが、撃沈されて泳いでいたのですからすっ裸です。しかるに海陸将兵はみな服やくつを支給されるのに、船員にはそれを支給するワクがない。船の中では借りて着ていた着物を、横須賀あるいは呉の鎮守府から帰るときはその着物を脱いで返して、シャツ一枚で国に帰ったというような惨たんたるもので、実際今日考えると笑い話のようなことが当然行われておったのです。  そういうようにしいたげられて、しかも危険にさらされておった船員戦争後の状況を見ますと、その遺家族及び戦傷病船員待遇というものはまことに哀れなんです。私の手元にある表によって御説明申し上げますと、今傷病船員援護法によって傷害年金を受けておりますが、その年金の率はどうかというと、一番高い年金をもらえる一項症で一年に十二万三千円です。しかるに同じ不具廃疾程度陸海軍将兵はどうかといいますと、兵隊が十一万六千円、伍長または兵長が十二万一千八百円、準士官以上が十二万五千三百円、さらに尉官とか佐官になると率がだんだん上ってくるのですが、船員の方は一律で、船長機関長一等航海士水夫も火夫も同じなんです。船長とか機関長一等航海士という人人は海軍予備将校になっておりますから、海軍の少佐ないし中佐の予備将校待遇で、その割合で支給されなければならないのに、これでは伍長兵長と大体同額で、これには階級がなくみな同じだ、こういう状態であります。またこれと同様に家族援護に対しましても、遺族年金額軍人恩給程度とは格段の相違です。遺族のうちで一番たくさんもらうものが三万五千二百四十五円で、家族が一人ふえますとこれに五千円増しということになっております。しかるに軍人の方はどうかと申しますと、普通の兵が三万五千二百四十五円でちょうど同じ額で、これがまた準士官とか尉官佐官でみなそれぞれ率が違いまして、大佐などになりますと十一万六千二百八十円という恩給を受けるのです。しかるに船員の方は、船長水夫もボーイもみな同一の額で、普通の兵以上の者は一人もない、これが事実なんです。もう戦後十年なんですから、こういう捨てて顧みられない人たちに対しては、すでに何らかのこれに対する増加措置がなされていなければならないはずです。またこれら生活に苦しんでおるところの船員の団体から、政府に対して非常に多くのこれに対する陳情書が来ております。それは長崎地区におけるところの船員遺族会全日本海員組合陳情とか、あるいは九州大牟田地区海友婦人会、また小樽、長崎九州の有馬、佐世保、室津、函館、愛知の船員遺族会、あるいは全日本戦傷病海員黎明会、こういうような方面から切々たる陳情が出ておる。その陳情の要旨を申しますと、第一に障害年金軍人恩給の内容にひとしいものに改正してもらいたい。それからさらに日華事変中におけるところの戦傷病死船員にも弔慰金を支給してもらいたい。これは十二年に始まった事変でありますが、十六年からこれは適用を受けるということになっております。しかし日華事変中において戦傷病死した船員にも弔慰金を支給してくれという要求が出ております。それから戦時中の軍の徴用船及び船舶運営会船員戦傷病死に対して弔慰金を支給してくれ、これもすでにある程度の処置がとられておるように思いますが、全然とられておりませんのは、公務外船員死亡、これについても軍人と同様の弔慰金を支給されたい。それから遺族年金額軍人恩給程度まで引き上げてもらいたい。その他幾つも個条が出ておりますが、一番大きな問題は、ただいま私が申し上げました点であろうかと思います。たとえば公務外死亡について、軍人と同じように取り扱ってくれということは、一応お聞きになると公務でない仕事をしておった者が死んだという場合に、軍人と同じ取扱いをするのはおかしいじゃないかというようにお考えになるかもしれませんが、しかし戦争中日本の内航船近海船遠洋船すべてを通じて軍の徴用ならざるものはない。直接軍が徴用しなくても、全部政府徴用で、自由に動けなかったことは事実なんです。外地にあります船でも、出先の軍が軍命令でどんどん徴用しておりますから、自分勝手に動くという船はほとんどなかった。しいて言うならば、小さな機帆船だけが自分勝手にやみ物資を積んで逃げて歩いたということはあり得るでしょうけれども、大体において日本の船は、政府が油を統制したのですから、その油をもらわなければ動けず、逃げるわけにいかなかった。ですからほとんど全部政府の統制の手の中にあった。従って自分の思うままに動いた船はほとんどないといっていい。しかも戦争の激しかった支那において、揚子江を上下しておるところの日清汽船東亜海運、あるいは満州における大連汽船の船の乗組員は、軍属にされないものですから、戦死された方も、援護法適用を受けておりません。これは非常に不公平です。こういう不公平なことはたくさんあり、政府の方でもこういう事実を御存じになっておるはずでありますから、この際特に十分にこういう事実お調べになって、そして厚生省の方とも御相談になって、この改正をおやりになることが一番正しいことだと思いますが、これに対する当局のお考えを一つ率直に伺いたい。そしてまた誠意ある御答弁をお願いしたい。
  7. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 ただいま小山先生から詳細な戦時中からの船員に対する死傷、障害、さらにその遺族に対する取扱いについてのお話がありましたが、私どもとしても全くその通りでありまして、今日まで軍との均衡を失している点については、政府部内でもその均衡是正についていろいろと運輸省運輸省なりに努力をいたして参ったのでありますが、他の陸上におけると同様な関係の人々との権衡上から、なかなか思うように参りませんで、この点は御期待に沿わず、またきわめて怠慢と申しますか、不熱心であったというおしかりは甘んじて受けなければならぬ、かように考えております。御承知のように軍関係につきましては、先般来軍人に対する恩給支給額の引き上げ、恩給法復活等の特殊な措置が最近にとられました。その結果として、非常に均衡を失するようなことに相なったということが一点と、御指摘のようにいわゆる軍人以外の徴用船員、その他の船員以外の者についても同様でありますが、徴用船員に対しては階級なしに一律の取扱いを受けておったということが、結果的に非常に不利になっているという点は御指摘通りでありますが、これらの点については、ただいまいろいろと御注意もございましたので、われわれも船員陸上勤務者の、同様な徴用を受けた者の間においては、危険度その他において大きな違いがあるということも御指摘通りでありますが、これらの点については、はなはだおそまきではありますが、われわれ今後十分均衡その他を研究いたしまして、船員以外の徴用者等との振り合い、その他等も十分調査の上で、政府部内においてこの点の調整をはかってもらうような努力もいたして参りたいと存ずる次第でありますが、今日までさような措置のとられておらなかったことにつきましては、私どもはなはだ遺憾であり、申しわけないと考えている次第であります。
  8. 小山亮

    小山(亮)委員 大へん御丁重な御答弁で、非常に満足に考えます。と同時に、今こういう不遇な地位にあります人たちはだんだんに少くなりまして、残された数は全国できわめてわずかです。きわめてわずかでありますから、たとえばこれに対する給与支給方法是正いたしましたりしましても、その金額はきわめてわずかだろうと思います。従って予算措置その他についても、そう大した困難がある問題ではないと考えますので、今年はこれはもういかんともいたし方がないのですが、明年にはぜひともこれを実現するように特に御努力を願いたい。これをお願いしたい。もう一応御意見を伺いたい。
  9. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 御指摘の点につきましては、私どもほんとにその通りと存じます。全体の金額の問題というよりは、おそらく他のものとの権衡の点で、政府部内の調整がなかなか困難だったのではないかと存じますが、御指摘のように、金額的には大した大きなものではなくても、救われる人の身にとっては非常に大きな、何といいますか、社会政策的な施策にも相なると存じますので、あらゆる努力をして御期待に沿いたい、かように考えております。
  10. 小山亮

    小山(亮)委員 この問題はどこの所管事項でありますか、私は知りませんが、最近私の漏れ聞くところによりますと、農林水産委員会の中から議員立法としまして、漁場水質汚濁防止ため漁業廃水処理及び油類遺棄との調整に関する法律案というものが提出されるように聞いております。これは非常に長い題目でありますが、わかりやすく申しますと、現在の日本近海を動いておりますところの船は、昔と違って、石炭でなく、多く油をたくようになりました。油をたきますと、御承知のように余った油とか機械に使ってよごれた油というものが、自然に水の中に捨てられる。それがために海が非常によごれて、ノリであるとかカキであるとかアワビとか、そういったものから魚や何かをとる漁師としては非常に迷惑をする。従って湾内とか内海とかいうところで船がよごれた油を捨てないようにする、そうして内海から外へ出て捨てるようにしろ、また内海でそういう油を捨てなければならないような場合には、その油は全部何か特別な入れものか何かに入れておいて、そうして沖に出たときにこれを捨てろというような意味の、水質を保護するという目的を持っての法律案が出されるように聞いております。私は近海、沿海の水産物を保護するという意味において、水産関係人たちがこういう考えを持つということは一応ごもっともだと思う。できればこういう施設は私もあまねくこれを十分にやった方がいいと思います。しかし実際問題としまして現状において果してこれができるかどうか。なるほどよごれた油のようなものを水の中に捨てないようにするために、これを別にとっておく。そういうことが果してできるかどうか。たとえば瀬戸内海だけを走って外海に出ない船というものは、そのよごれた油を一体どこへ保存しておけばいいか。東京湾内だけを走っているところの船、東京港外に出ない船は、捨てる場所がない。それをどこへ置いたらいいか。それがために何万トンというようなよごれたものを貯蔵する場所まで作らなければならぬし、船の中にそういうよごれたものを貯蔵するような措置をしたなら、積荷はほとんど積めなくなるというので、これは非常にいいことのように思いますが、実際問題でこれをやろうとすれば、おそらく日本中の近海を動いている船は、全部経済負担にたえかねて活動を停止しなければならぬという大きな問題になる。国家が活動を停止する船に対する補償でもするならいざ知らず、それもできないということになれば、こういう法案をただ議員立法であるから提出されたということだけで、それが法律化した場合のあとのことを考えなければ大へんなことになる。私はこの法案が出るということに対しては、おそらく水産庁の方の方も御承知のことだろうと思いますが、水産庁の人々の御意見とあわせて運輸省考えと両方を伺いたい。水産庁の方はこういうような議員立法が出るということをすでに御承知でありますかどうか。またこれが出るような場合には水産庁としての御見解はどうですか。それから運輸省の方として、もしこれが出た場合にはどういう見解をお持ちになるか。その点を一つはっきりと伺いたい。
  11. 諏訪光一

    ○諏訪説明員 ただいま御質問のございました水質汚濁の件に関しまして、水産庁といたしましてはまだ正式に何の連絡もございません。ただ私ども担当課長といたしまして、そういったようなことを水産政治連盟でもって現在検討しておるということは聞いております。また私どもといたしましても、水産庁正式の意思ではござませんが、担当課長といたしましては、この油によらず水質の汚濁によりまして被害を受けます漁民は、沿岸の非常に零細な漁業者でございますので、一朝事あると食うにも因るというような方が非常に多いのでございまして、また現在までにそういったような被害で非常に痛めつけられておりまして、私どもとしてはその窮状を見るにしのびないようなこともあるのでございますので、できますならばこの水質汚濁に関しまして何らかの規制をいたして、漁業者が安心をして漁業ができるというような法的措置を講じていただきたいという意思は十分ございます。こういうことに関しましては、私聞くところによりますと、明治時代からこういったようなことが問題になっておったそうでございますが、鉱工業関係あるいはこういったような船舶、そのほか陸上施設の油の関係、そういうような方面についていろいろと利害が相反する場合が多いので、現在までに法的措置がとられておらないというようなことで、私どもは常に内水面の漁業者あるいは沿岸の漁業者から、水産庁は何とかしてこの窮状を救うべく法的措置を講じてもらいたいという陳情はあったのでございますが、私どもの微力でこういうことができなかったのでございました。最近水産政治連盟でそういったような動きがあるということは聞いておりますが、これに関しまして法案ができまして水産庁の方に連絡がございましたならば、内容を検討いたしまして、また先生の御質問にございました運輸関係の方の部門もございましたならば、運輸省当局と連絡をいたしましてよく検討の上で、国会方面に御連絡をいたしたい、かように存じております。
  12. 辻章男

    ○辻説明員 ただいまの御質問に関しまして、運輸省の方の意見を申し上げたいと思います。ただいま小山先生がおっしゃいましたように海水の汚濁防止という事柄は、それ自体は非常にけっこうなことであるのでありますが、これも先生も御指摘になりましたように、船舶にとりましては積荷の制限、あるいはそれに伴いまして何らかの油水分離装置等を備えるといたしますれば、非常な多くのスペースとまた費用の負担を伴うわけでありまして、特に小型の船舶につきましては、今の状態においては物理的にもほとんど実現不可能に近い状態に相なるわけでありますから、運輸省といたしましては海水の汚濁防止という趣旨にはまっこうから反対するものではございませんが、現在の海運界の事情からいたしまして、時期尚早であるというふうに考えております。なお一昨年たしかロンドンにおきまして油による海水の汚濁防止に関する国際会議があったのでありますが、これは日本からも政府からその会議に列席はいたしております。この会議が終りまして約二年間たちますけれども、この会議においての条項を実施しておるのはイギリス一国にすぎないという状態でございまして、各国ともにそういう海運界のいろいろな事情等によりまして、趣旨は了といたしましても実現ができないという実情にあるように推察いたしております。
  13. 小山亮

    小山(亮)委員 水産庁の方のお話だと、こういう案が出ておるということはまだはっきり知らないがというようなお話で、しかしお話を伺うと内々は十分に知っておいでになるようなお話らしい。私はこれは重大なことだと思う。これは私が運輸委員会におるからこういうことをやってはいけないということを言うのでなくて、ほんとうに日本の海と日本の海運の実情を十分に御理解をしていただいておるならば、この案は無謀な案であるとか、とても不可能であるとか、もしこれをやるなら非常に金のかかる案であるとかいうことをお考えにならなければならぬと思うのです。むしろそれをやるくらいなら、先ほどおっしゃったような零細な漁業に携わっておる人々の生活を保障する方が、もっと費用が安くて非常に手っとり早いのです。もし政府がこれだけの法律を出すならば、日本の小型船舶は全部運航を停止しますから、政府が法律によってその運航を停止しなければならぬようにしたということになると、これはまた政治の問題ともなり、いろいろな問題が起ってきて、政府がこれに対して弁済しなければならぬ額というものは大へんな額になる。何百億というような額が考えられるのですから、それを思いますと、むしろ零細な漁業に従事しておる人々の生活を保障する方が、費用としてはきわめて安くて妥当じゃないかと思う。それから近代的な科学がどんどん進歩して参りますと、燃料というものがだんだん変って参ります。その結果、近い将来にはあるいは原子力によって動くような時代が参りましょう。そういう時代に起ってくるところの、海水を汚濁したからそれに対してどうするというような問題は、またもっと想像のつかないような問題が起ってくるだろうと私は思うのです。でありますから、この問題はもしこの法案が出されるようになりましても、政府当局におかれては特に留意されて、一たん出したものがそのままでは施行のできないような法律をお作りにならないように、今日から御注意あらんことをお願いしたい。  この問題はこの問題といたしまして、もう一つは、聞くところによりますと、近く政府行政機構改革というような名のもとに、運輸省の港湾局を取りはずして建設省につけようというような計画が行われるやに私は聞きました。これは特に次官にお話し申し上げたいのでありますが、大臣はこの問題を閣議において、ある程度まで反対しないで承認をしたのじゃないかと思われるような答弁をなさったらしく私は聞いております。もしそうであったならこれは重大なことだと思います。日本の港湾を一体建設省がやるべきか、運輸省がやるべきか、これはおのずから論議する余地のないくらい明らかなことです。海のことを海を扱う運輸省が行わないで、これを建設省に移譲するということは非常な時代逆行なので、むしろ従来建設省にあったものを機構改革によって運輸省に持ってきて、運輸省によって港湾と船あるいは灯台とかいったものを、密接不可分な状態にするというようにするのが当然なんです。それを取りはずして向うに持っていくということは、私はどうしても合点がいかない。またそれを担当する大臣がさようなことを御承知でなくて、もしかりに間違ってもこれに対して承認を与えるようなことがあったなら、私は大臣として資格がないのではないかとすら思っております。この点は特に次官もこの面においては十分御関心を持っておいでになることと思いますから、大臣ともお打ち合せを願いたいのであります。私に言わせれば、今日ほんとうの機構改革をやろうとすれば、海運と陸運と水産——むしろ農林省にある水産庁を農林省から切り離して、これを運輸省につけるのが妥当だと思う。ひとしく海のことをやっているのです。同じようなことをやっている。たとえば機関士の養成なんということも、同じことをやっている。水産学校という、商船学校と同じような学校があって、同じように学校を出れば漁撈長をする人は、やはり船長あるいは運転士の国家免状をとらなければならぬ。でありますから、やっていることはほとんど同じことであります。そしてまた近ごろは漁船が非常に進歩しまして、昔われわれが考えた絵にかいたような漁船でなくて、今日の漁船というものは非常に進歩したすばらしい性能を持った漁船、南極でも北極でもどんどん行かれる漁船です。二万トン、三万トンというふうな大型な漁船で、これを運航するものは全部商船学校出身の者が運航に当っているという現状から見まして、しかもまたその漁船というものが、南極に捕鯨に行く母船は、南極に行ったときはなるほど母船で行って、そこで油をしぼってタンクの中に入れて、鯨油をたくさん積むが、その帰りにアメリカに持っていって、その鯨油を売って、そして売った金で今度はアメリカから重油を買って、それを積んで日本に持ってくるというふうに、一年のうちの半分は漁業に従事しておるが、半分は商船と同じ輸送をやっているのです。タンカーの仕事をやっているということになりまして、漁船も商船も同じような仕事をするようになって参りました。もっと進歩するような時代になれば、ますますそういう状態になってくるのでありますから、私はむしろ機構改革をやるならば、水産庁と運輸省とを合せる。そしてまた電波監理局のような国際性を持ったところのものはむしろ合せて、国鉄のような陸上交通、自動車であるとか汽車であるとか、陸上交通で国際性のないものはむしろ独立した機構にして、国際性のある機構を、水産庁であるとか運輸省であるとか、あるいは港湾局であるとか電波監理局であるとかいうものを、打って一丸にする方が一番妥当だと思う。海は海としてまとめ、陸は陸としてまとめるという行き方が、一番正しいと私は思う。こういうことは政府部内においても研究しておいでになることだろうと思いますが、吉野さんあたり、行政機構改革などに用意がなくて、不意に河野農林大臣あたりから頭から押しつけられて、何とも文句を言わずに黙って帰るのでなく、これを反駁して、そして強く主張するために、私の申し上げたような腹案を一応持っておいでになって、そして向うが出てきたときには、こちらはこういう案がほんとうに日本の将来の最も合理的なる行政機構改革案であるといってお出しになるような、それだけの勉強をしていただきたいのです。吉野さんという人は、名前は私は昔から伺っている人でありますが、私は今度議会でお目にかかると、何か現在の運輸省の仕事というものに非常に不熱心のように思うのです。何も勉強しようとしない。そして口だけでもってその場その場で言いのがれている。ただその日だけ過せばいい。私に非難があったらおっしゃっていただきたい、私は非難を甘んじて受けますということを何べんも言っている。私は大臣を非難なんかしたくないのです。大臣なんかいじめたってしょうがない。自分がそんなにやる気のない大臣なら、なぜこんな運輸大臣という重大な要職をお引き受けになったか。船員行政にしてもそうなんです。こんな問題は、だれが考えても一番先に手をつけなければならぬのに、こういう生活に困って路頭に迷うような人に何も手をつけない。そして聞かれれば、これから相談しますとか、これから勉強しますとか、あるいは今までやらなかったことに対して、非難をされるのは仕方がないということを言うのです。また港湾局や何かが農林大臣から強く押されて、港湾局をいよいよ建設省に持っていかれる。これはもう大体閣議でも大部分通っておりますから、実現するだろうと私は思うのです。そういうようなことをどんどんされても、まだ大臣がこれに対して反駁もできなければ、言われれば仕方がない、黙って頭を下げてくるという、それが日本の将来の海運行政にどんな影響があるかということをさっぱり考えないで、わが身さえ非難されなければいいといったような態度では、実に心細い。ですから私は特にこれを次官に申し上げますが、あなたは普通の次官じゃありません。参議院の議員でやっている次官です。ほんとうに海運行政の将来を考えられて、むしろあなたこそ、今次官のいす一つぐらいなげうっても、一つも苦にならない人ですから、しっかり一つ省内の意見を取りまとめて、大臣に対して強く御交渉なさって、こんなばかなことをしないように、事前にこれを防止するような方法をおとり下さることをお願いしたい。この点については、長く申し上げましたが、実に私は大臣に不満を持っているのです。それを大臣の前で言いたいのだけれども、きょう出てきませんから、あなたに申し上げるのですが、あなたの御決心を伺いたいのです。
  14. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 ただいま行政機構の改革の問題について小山先生から詳細なお話がございまして、私どももお説の大部分を認めざるを得ないような状況に相なっております。先般来鳩山内閣が掲げました行政機構の改革の方針に基いた内政省の設置の問題が、閣内においてもまた取り上げられております。政府部内においても論議が尽されております。私どもは政府行政機構の改革は、一、二の省だけを取り上げて行政機構の改革をさるべきではなくして、一つの新しい、日本の進むべき方向に即応した、全般を通じての行政機構改革の考え方のもとに、それぞれの省の整理統合、合理化を実施せられることが望ましい。従来私どもの関係している役所につきましては、つとに交通省の問題が政府部内においても論及せられ、またその内容についても検討を加えられておったのでありまするが、その問題と関連なしに内政省の問題が論議をせられることは、私どもとしては、少くとも全体の行政機構改革の一環としては当を得たものではないのではないか、かように考えまして、事務当局責任者並びに私どもとしては、大臣に詳細な説明を申し上げております。また大臣も、さいぜん小山先生指摘の点につきましては、かように閣内において申しているということを、私ここで申し上げても差しつかえなかろうと存じますが、もし港湾局の建設その他を内政省の一環として取って、残るものが監理運営であるということに相なると、広く交通政策の観点からはこれは決して理論の問題ではないが、道路についても、構築その他の面については、これは建設省がやっていいかしらぬが、交通の管理の面については運輸省がやる、広い交通省の観点からそういう議論も出てきはしないか、従ってこういう問題については、つとに慎重に取り扱ってほしいという申し入れば、運輸関係といたしましても明確にいたしたわけであります。ところが御指摘のように、最近におきましては、私非常に不愉快に感じておりますことは、さいぜん御指摘のように私の首一つで——私は喜んで運輸政務次官をやめたいと思っている人間だものですから、私が辞表を出してとどまるものならいつでも出したいと思いますが、内政省の構成の中に港湾局の建設その他を入れなければまとまりがつかないので、理屈ではないのだという言辞が弄せられておるということを聞いて私はきわめて遺憾に考えて、それの出たところ、あるいはそういう論議については、不肖われわれは爆撃を加えておりますが、はなはだ残念なことに、私は政務次官で閣議に出席する資格を持っておりませんので、最後の土俵場での議論はできないのでありますが、私どもは単に官庁のセクショナリスティックな、いわゆる権限争いの意見ではなくして、広い日本行政全般から見てどういう姿が正しいかという観点に立って議論をいたしております。本日も政府部内並びに党の中においても、道路関係の問題につきまして私いろいろ打ち合せをしたのでありますが、われわれ国会議員の立場においては、官庁の権限争いにむやみに同調したり、便乗したりして議論をすべきものではない。国会議員として、また政府部内の責任者の一人として、広い視野に立って、かかる行政機構の改革については十分論議を尽すべきだ。その観点に立って考えてみたときに、港湾局の一部を運輸省から新しくできる内政省につけるということについては、十分な論議が尽されないでこうしなければまとまらないのだというような形で動いていることは、非常に遺憾だということをわれわれ大臣にもよくお話をし、党内の首脳部にも実は私率直に申し上げております。党内の首脳部においては、あの案には反対と政府部内できめても、十分論議を尽さなければならぬということを私に明言して下すった人もありますので、これらの問題については、政府部内の問題と同時に党の問題になりました際に、私の政務次官という立場でなく、国会議員としてもわれわれの論議が単に割拠主義的な立場でなく、広い視野に立った、交通行政運営の面から、港湾局というものがいずれに所属することが妥当であるかの議論は十分尽したい、かように考えておりますので、今後一そう御指導、御鞭撻をいただきたいと存じます。
  15. 小山亮

    小山(亮)委員 率直に言いますと、私も先日河野農林大臣にこの問題を個人的に聞きました。ところが彼は、やはりあくまで港湾局を内政省にくっつけるということの気持を変えておらない。それで私は場合によれば、当運輸委員会出席を求めて、ほんとうにその是非善悪というものを究極まで話し合ってみたい、こう思っております。しかし今次官のお話だと、これを反対しておるということでありますが、私はもう反対しても間に合わないのではないか、相当強くいっておるのではないかと思うのですが、そのお見通しはいかがですか。
  16. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 政府部内の決定としては、おそらく近々のうちに結論が出ることと存じます。しかしながら私の聞いておりますところでは、党内においてはこれを行政機構改革問題を取り上げる際にはできるだけ慎重に審議したい。と申しますことは、政府は、いずれにしましてもまだ党の審議を経ておりませんから、党との連絡調整は当然とられることと存じておりますので、全然望みなきにあらずで、実は党内へいろいろお願いもし、実情の説明にもっぱら努めておるような次第でございます。
  17. 小山亮

    小山(亮)委員 今の運輸省の方のお考えが妥当であるということは私もそう思うのですが、しかしその妥当であるということが、特にある種の情実とか、ある種の外観に現われないようないろいろの行きがかりのために押し切られて、そうして変な曲げられた改革がなされるという場合、大臣として自分の心に沿わない、信念に反することをやられた場合に、大臣のとる処置というものはおのずからわかっておると思うのですが、これらに対するところの次官のお見通しはどうですか。大臣の決心というものはどの程度まで強いのですか、おわかりでしょうか。
  18. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 われわれは大臣には、事務当局の意見並びにわれわれ長い間運輸行政関係した者としての所信は十分に申し上げておりますか、しからばこれを閣議においてどういうような態度で臨むかという大臣自身の信念と申しますか、考え方については、不幸にいたしまして私どもそれまではただしておりませんから御了承願います。
  19. 小山亮

    小山(亮)委員 けっこうです。
  20. 松山義雄

    松山委員長 本日はこれをもって散会いたします。    午後三時二十五分散会