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小山(亮)
委員 水産庁の方のお話だと、こういう案が出ておるということはまだはっきり知らないがというようなお話で、しかしお話を伺うと内々は十分に知っておいでになるようなお話らしい。私はこれは重大なことだと思う。これは私が
運輸委員会におるからこういうことをやってはいけないということを言うのでなくて、ほんとうに
日本の海と
日本の海運の実情を十分に御理解をしていただいておるならば、この案は無謀な案であるとか、とても不可能であるとか、もしこれをやるなら非常に金のかかる案であるとかいうことをお
考えにならなければならぬと思うのです。むしろそれをやるくらいなら、先ほどおっしゃったような零細な
漁業に携わっておる人々の生活を保障する方が、もっと費用が安くて非常に手っとり早いのです。もし
政府がこれだけの法律を出すならば、
日本の小型船舶は全部運航を停止しますから、
政府が法律によってその運航を停止しなければならぬようにしたということになると、これはまた政治の問題ともなり、いろいろな問題が起ってきて、
政府がこれに対して弁済しなければならぬ額というものは大へんな額になる。何百億というような額が
考えられるのですから、それを思いますと、むしろ零細な
漁業に従事しておる人々の生活を保障する方が、費用としてはきわめて安くて妥当じゃないかと思う。それから近代的な科学がどんどん進歩して参りますと、燃料というものがだんだん変って参ります。その結果、近い将来にはあるいは原子力によって動くような時代が参りましょう。そういう時代に起ってくるところの、海水を汚濁したからそれに対してどうするというような問題は、またもっと想像のつかないような問題が起ってくるだろうと私は思うのです。でありますから、この問題はもしこの法案が出されるようになりましても、
政府当局におかれては特に留意されて、一たん出したものがそのままでは施行のできないような法律をお作りにならないように、今日から御注意あらんことをお願いしたい。
この問題はこの問題といたしまして、もう一つは、聞くところによりますと、近く
政府が
行政機構改革というような名のもとに、
運輸省の港湾局を取りはずして建設省につけようというような計画が行われるやに私は聞きました。これは特に次官にお話し申し上げたいのでありますが、
大臣はこの問題を閣議において、ある
程度まで反対しないで承認をしたのじゃないかと思われるような
答弁をなさったらしく私は聞いております。もしそうであったならこれは重大なことだと思います。
日本の港湾を一体建設省がやるべきか、
運輸省がやるべきか、これはおのずから論議する余地のないくらい明らかなことです。海のことを海を扱う
運輸省が行わないで、これを建設省に移譲するということは非常な時代逆行なので、むしろ従来建設省にあったものを機構改革によって
運輸省に持ってきて、
運輸省によって港湾と船あるいは灯台とかいったものを、密接不可分な
状態にするというようにするのが当然なんです。それを取りはずして向うに持っていくということは、私はどうしても合点がいかない。またそれを担当する
大臣がさようなことを御
承知でなくて、もしかりに間違ってもこれに対して承認を与えるようなことがあったなら、私は
大臣として資格がないのではないかとすら思っております。この点は特に次官もこの面においては十分御関心を持っておいでになることと思いますから、
大臣ともお打ち合せを願いたいのであります。私に言わせれば、今日ほんとうの機構改革をやろうとすれば、海運と陸運と水産——むしろ農林省にある水産庁を農林省から切り離して、これを
運輸省につけるのが妥当だと思う。ひとしく海のことをやっているのです。同じようなことをやっている。たとえば
機関士の養成なんということも、同じことをやっている。水産学校という、商船学校と同じような学校があって、同じように学校を出れば漁撈長をする人は、やはり
船長あるいは運転士の国家免状をとらなければならぬ。でありますから、やっていることはほとんど同じことであります。そしてまた近ごろは漁船が非常に進歩しまして、昔われわれが
考えた絵にかいたような漁船でなくて、今日の漁船というものは非常に進歩したすばらしい性能を持った漁船、南極でも北極でもどんどん行かれる漁船です。二万トン、三万トンというふうな大型な漁船で、これを運航するものは全部商船学校出身の者が運航に当っているという現状から見まして、しかもまたその漁船というものが、南極に捕鯨に行く母船は、南極に行ったときはなるほど母船で行って、そこで油をしぼってタンクの中に入れて、鯨油をたくさん積むが、その帰りにアメリカに持っていって、その鯨油を売って、そして売った金で今度はアメリカから重油を買って、それを積んで
日本に持ってくるというふうに、一年のうちの半分は
漁業に従事しておるが、半分は商船と同じ輸送をやっているのです。タンカーの仕事をやっているということになりまして、漁船も商船も同じような仕事をするようになって参りました。もっと進歩するような時代になれば、ますますそういう
状態になってくるのでありますから、私はむしろ機構改革をやるならば、水産庁と
運輸省とを合せる。そしてまた電波監理局のような国際性を持ったところのものはむしろ合せて、国鉄のような
陸上交通、自動車であるとか汽車であるとか、
陸上交通で国際性のないものはむしろ独立した機構にして、国際性のある機構を、水産庁であるとか
運輸省であるとか、あるいは港湾局であるとか電波監理局であるとかいうものを、打って一丸にする方が一番妥当だと思う。海は海としてまとめ、陸は陸としてまとめるという行き方が、一番正しいと私は思う。こういうことは
政府部内においても研究しておいでになることだろうと思いますが、吉野さんあたり、
行政機構改革などに用意がなくて、不意に河野農林
大臣あたりから頭から押しつけられて、何とも文句を言わずに黙って帰るのでなく、これを反駁して、そして強く主張する
ために、私の申し上げたような腹案を一応持っておいでになって、そして向うが出てきたときには、こちらはこういう案がほんとうに
日本の将来の最も合理的なる
行政機構改革案であるといってお出しになるような、それだけの勉強をしていただきたいのです。吉野さんという人は、名前は私は昔から伺っている人でありますが、私は今度
議会でお目にかかると、何か現在の
運輸省の仕事というものに非常に不熱心のように思うのです。何も勉強しようとしない。そして口だけでもってその場その場で言いのがれている。ただその日だけ過せばいい。私に非難があったらおっしゃっていただきたい、私は非難を甘んじて受けますということを何べんも言っている。私は
大臣を非難なんかしたくないのです。
大臣なんかいじめたってしょうがない。
自分がそんなにやる気のない
大臣なら、なぜこんな
運輸大臣という重大な要職をお引き受けになったか。
船員の
行政にしてもそうなんです。こんな問題は、だれが
考えても一番先に手をつけなければならぬのに、こういう生活に困って路頭に迷うような人に何も手をつけない。そして聞かれれば、これから相談しますとか、これから勉強しますとか、あるいは今までやらなかったことに対して、非難をされるのは仕方がないということを言うのです。また港湾局や何かが農林
大臣から強く押されて、港湾局をいよいよ建設省に持っていかれる。これはもう大体閣議でも大部分通っておりますから、実現するだろうと私は思うのです。そういうようなことをどんどんされても、まだ
大臣がこれに対して反駁もできなければ、言われれば仕方がない、黙って頭を下げてくるという、それが
日本の将来の
海運行政にどんな影響があるかということをさっぱり
考えないで、わが身さえ非難されなければいいといったような態度では、実に心細い。ですから私は特にこれを次官に申し上げますが、あなたは普通の次官じゃありません。参議院の議員でやっている次官です。ほんとうに
海運行政の将来を
考えられて、むしろあなたこそ、今次官のいす一つぐらいなげうっても、一つも苦にならない人ですから、しっかり一つ省内の意見を取りまとめて、
大臣に対して強く御交渉なさって、こんなばかなことをしないように、事前にこれを防止するような方法をおとり下さることをお願いしたい。この点については、長く申し上げましたが、実に私は
大臣に不満を持っているのです。それを
大臣の前で言いたいのだけれども、きょう出てきませんから、あなたに申し上げるのですが、あなたの御決心を伺いたいのです。