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1956-03-09 第24回国会 衆議院 運輸委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月九日(金曜日)    午前十一時四分開議  出席委員    委員長 松山 義雄君    理事 今松 治郎君 理事 臼井 莊一君    理事 木村 俊夫君 理事 山本 友一君    理事 青野 武一君 理事 中居英太郎君       生田 宏一君    伊藤 郷一君       岡崎 英城君    佐伯 宗義君       闘谷 勝利君    中嶋 太郎君       濱野 清吾君    原 健三郎君     早稻田柳右エ門君    井岡 大治君       楯 兼次郎君    正木  清君       山口丈太郎君    小山  亮君  出席政府委員         運輸政務次官  伊能繁次郎君         運輸事務官         (自動車局長) 山内 公猷君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       十河 信二君         日本国有鉄道副         総裁      小倉 俊夫君         日本国有鉄道参         与         (職員局長)  井上 正忠君         日本国有鉄道参         事         (経理局主計課         長)      八木 利真君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 三月八日  委員堀内一雄君及び下平正一辞任につき、そ  の補欠として小澤佐重喜君及び横山利秋君が議  長の指名委員に選任された。 同月九日  委員横山利秋辞任につき、その補欠として下  平正一君が議長の指名委員に選任された。     ————————————— 三月八日  道路運送法の一部改正に関する請願外三件(藤  枝泉介紹介)(第一一六三号)  同(小金義照紹介)(第一一六四号)  同(今井耕紹介)(第一一九二号)  同外一件(五十嵐吉藏紹介)(第一二二五  号)  同(臼井莊一君紹介)(第一二六六号)  自動車損害賠償保障法の一部改正に関する請願  (南條徳男紹介)(第一一六五号)  同(戸塚九一郎紹介)(第一二二八号)  営業用自動車事業健全経営化のための取締に  関する請願山口丈太郎紹介)(第一一六六  号)  営業用自動車事業健全経営化のための取締に  関する請願五島虎雄紹介)(第一二二三  号)  青年学級生鉄道運賃割引に関する請願(坂田  道太紹介)(第一一九一号)  同(小平久雄紹介)(第一二二六号)  同(古井喜實紹介)(第一二二七号)  四国、本土間の連絡線増強に関する請願(佐竹  晴記紹介)(第一二二四号)  常磐線電化促進に関する請願北澤直吉君紹  介)(第一二二九号)  高給駅簡易停車場設置請願松浦東介君紹  介)(第一二三〇号)  国鉄北条線播但線福崎駅まで延長の請願(堀  川恭平紹介)(第一二六七号)  楢原駅舎建設促進に関する請願大村清一君  紹介)(第一二六八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国鉄一般単位関係職員昭和三十年十月以降賃  金改訂に関する調停案に関する件  国鉄機関車単位関係職員昭和三十年十月以降  賃金改訂に関する調停案に関する件     —————————————
  2. 山本友一

    山本(友)委員長代理 ただいまより運輸委員会を開会いたします。  委員長が所用がございましておくれますので、指名によりまして理事であります私が職務を代行いたします。  昨日に引き続きまして、陸運について調査を進めます公共事業体等中央調停委員会より出されました調停案に関しまして、質疑を続行いたします井岡君。
  3. 井岡大治

    井岡委員 昨日国鉄小倉総裁に、同僚議員とともに御質問を申し上げたのでございますが、明確な御答弁がございませんので、本日は十河総裁お尋ねをいたしたいと存じます。  かねてから国鉄国鉄労働組合との間にベースアップの交渉が進められて参っておりまして、その問いわゆる春季闘争等も含めまして、第二波、第三波の戦いが進められ、同時にこの問題をめぐって双方から調停委員会に申請をして、そうして調停委員会の正しい判断を待って問題の処理をする、こういうように議はまとまりまして、調停委員会調停に対する経過を見守っておることは、御承知通りであります。ところが去る二十九日に調停委員会から五項目にわたって、双方非常に苦しいであろうけれども、忍びがたきを忍んで、この案をのんでもらいたい、こういう調停案が出まして、労働組合の方は、いろいろ諸般の情勢考えて、不満ではあるけれども、この際国民に及ぼす影響、あるいは労働組合運動の正しい慣行を打ち立てるという立場から、これを受諾することにきめたのであります。このことは、総裁も十分御承知通りであろうと思います。しかしながらこの調停を受けておる過程において、運輸当局並びに国鉄当局は、調停委員会の結果を待って判断をいたしたい、こういうように御答弁をされながら、今日なおこの回答がなされておらない。どういう理由に基いてなされておらないのか、まず第一点としてお伺いをいたしたいと存じます
  4. 十河信二

    十河説明員 調停につきましては、私どもといたしましてでき得る限り調停尊重いたしたい、こう考えておるものでございますが、何分御承知通り国鉄財政は非常に困難をきわめておりまして、いろいろ資金捻出等考慮を要する点が多々あります。そういう点を検討いたしております。またよく三公社現業というふうにもいわれておりますし、他の公社現業との関連もありますので、調停委員会の方へお願いをいたしまして、回答を延期してもらっておるような次第でございます
  5. 井岡大治

    井岡委員 昨日も小倉総裁も同様のことを申されておりました。三公社現業とのかね合いもあって態度をきめかねておる、こういうことでございますが、調停は三公社現業を対象とした調停案ではないのです。国鉄当局国鉄労働組合に対する調停案であります。でありますから、尊重をしたい気持があるというお考えがあるならば、すみやかに受諾をするという態度決定されるべきであると考えるのです。何がゆえに三公社現業考慮に入れなければならないのですか。この点を伺いたいと思います
  6. 十河信二

    十河説明員 三公社現業考慮に入れて決するだけではなく、われわれの財政が非常に困難しております調停に出す前にも労働組合に対しまして、財政上困難でこういうような要求には応ずることができないのだということを言って、いろいろ折衝をいたしたような関係もあります財政上のあんばいができなければどうすることもできませんので、そういう点、今せっかく財源捻出に苦慮いたしておるような次第であります。三公社現業の方も次々と調停案が出るような様子でありますから、そういう点も考慮いたしておると申し上げた次第であります
  7. 井岡大治

    井岡委員 総裁は、財政上非常に困難であるから調停に対してこの点を申し上げた、こういうふうにおっしゃるのですね。
  8. 十河信二

    十河説明員 財政上困難でありますから、組合からの要求がありましたときにも、非常に困難でこの要求には応じかねるという説明をいたしておったような次第であります。そういう次第でありますから、調停が出ましてもやはり同様の状態で、財源捻出に非常に苦慮いたしておる次第であると申し上げたのであります
  9. 井岡大治

    井岡委員 それでもう一点お聞きしますが、財政上困難であるから受諾することができない、こういうようにお考えであるならば、仲裁裁定にお出しになる意思があるかどうかお尋ねをいたします
  10. 十河信二

    十河説明員 せっかく調停が出たことでありますから、初めに申し上げましたようになるべく調停趣旨尊重し、組合要求にもでき得る限り応じたい、どうすればその財源捻出ができるかということを今苦慮いたしておる最中であります
  11. 井岡大治

    井岡委員 これは調停委員会事務局の方に聞いたのでございますが、私の聞くところでは、当局はこの案をのむ意思がある、のむであろう、またのむということをはっきり言っております。そうしますと、今財政上のこと一を申されておりますが、これは明らかに遷延をする意図、あるいは何かの意図によってこれが行われないのではないかというように考えるのですが、この点はいかがですか。
  12. 十河信二

    十河説明員 調停の方の事務当局がどういうことを申しましたか、それについては私一向存じませんで、何とも申し上げかねます
  13. 井岡大治

    井岡委員 いかにおとぼけになっても、この点だけは明々白々でございますから、明らかにしていただきたいと思います
  14. 十河信二

    十河説明員 そういうことを何度伺っても、私の方では存じないことでありまして、何とも申し上げかねます
  15. 正木清

    正木委員 関連ですが、ただいまの総裁答弁は、目下調停案尊重する建前で研究中である、こういう御答弁でございました。総裁は、調停案国鉄側に提示されてから回答までの期間が何日間であるかということを御存じですか。
  16. 十河信二

    十河説明員 最初二日以内に回答しろというふうに言われたと思っております
  17. 井岡大治

    井岡委員 二日以内に回答をしろ、こういうように言われたと記憶しておる、二十九日に調停案は提示されておる、きょうは何日ですか。すでに十日を過ぎておるのです。しかも十日間たってなお受諾をするかしないかの態度をきめかねる。これは非常に重要なことだと思う。労働組合についてはいわゆる憲法で保障された争議権は剥奪をされてしまっておる。そのかわりに調停仲裁という制度を設けて、これはお互いが絶対に服する、こういう制度になっておる。組合の方はそういう立場から、いろいろ不満はあるけれども、一応今日の社会情勢並びに国民生活に及ぼす影響、あらゆる点を考慮して、この際正常な労使関係の樹立に努めるという立場から、受諾決定をしておるわけです。ところが国鉄当局は、みずからに示された調停案を十日以上も過ぎてなお態度をきめかねておる。一方においては三十一条を適用して行政処分をしておる。何たることだ。全く一方の都合によってやっておる。二月二十八日に大臣は、本委員会において、調停というものは司法的判決と同様のものであるから、これを尊重しなければいけない、こういうように答弁しておる。従って運輸当局は、この案件については国鉄当局の自由におまかせすると言っておる。昨日も先輩の正木氏が言っておりましたが、根本官房長官も同様に言っておる。一昨日わが党の淺沼書記長吉野運輸大臣をたずねてこの問題に対する態度を聞いたところが、これは全く国鉄当局自由意思にまかせてあるからということを言っておる。でありますから、財政的の問題がどういうようになろうとも、当然政府はそのしりをふいてやる、こういう態度を明らかにしている。でありますからあなた方は、労働慣行を正しくするために、同時に世論を迷わさないで国鉄を正常な運営に戻すために、示された調停案をのむ必要があると思うのですが、この点どうなんです。
  18. 十河信二

    十河説明員 先刻私回答期限が二日間と言ったのは間違いであります。二十九日に調停案が提示されまして三日間に回答をすることになっておりましたが、回答延期をお願いして了承を得ておるのでございます。今お話になりましたが、調停案尊重すべしという御趣旨は私も全然同感でありまして、でき得る限り調停案尊重したい、またでき得る限り組合希望もいれてやりたいということも私は懸命に努力いたしておるのであります運輸当局並びに政府が云々というお話もありましたが、私といたしましては、国鉄自主性を確立しなければならぬ、独立採算を要請せられておるのであるからして、でき得る限り自分財源捻出して組合希望に応じ、調停案尊重できるようにいたしたいと目下せっかく苦慮いたしておる次第であります
  19. 井岡大治

    井岡委員 その二日が三日になっても大した問題じゃないです。一日くらいのこと。ただ問題は、示された調停案は、運輸当局が司法的な、しかも司法裁判的な判決にひとしい、ですからこれはのまなければいけないのだ。こう言っている。総理大臣も国会の答弁でそういうように言っている。吉野運輸大臣もそのことをここで言っている。なぜ国鉄当局だけがこのいわゆる司法的判決にひとしい調停案をのまないのか。財政的に云々されまするけれども国鉄財政というものは、これをのんだからといって、危機に瀕するということはないのです。現に国鉄はいさぎよく、苦しいと言いながら三十七億という固定資産税を放出することに同意されている。同時に運輸省は、昨年の予算に比べて百五十二億の増収があるということを、みずから認められておる。こういうように国鉄は、これをのんだからといって、直ちに国鉄財政が左右されるものじゃないとわれわれは考える。もし国鉄財政に左右されるというのであれば——予算編成に当ってあるいは予算の審議に当って、当委員会において国鉄当局にわれわれは、この予算でやれるのか、われわれの考えではこれはやれないのじゃないか、こういうように御質問申し上げたのに対して、国鉄はやります、こう言っておる。やりますという以上は、この労働問題は、きょうきのう起った問題じゃない、予算編成当時からわかっている問題である、そういう点を考えるならば、当然のむべきであり、同時に今日国鉄当局財政の問題をたてに言を左右にされるということは、われわれは了解に苦しむわけなんです。でありますから、尊重ということはすみやかにのむということにわれわれは了解していいかどうか、この点を重ねてお尋ねをいたします
  20. 十河信二

    十河説明員 なるべく調停案趣旨にかなうように、またでき得る限り労働組合希望に沿うように財源捻出したい、そう考えましてせっかく今苦慮しておるということはたびたび申し上げた通りであります。目下そういうふうに努力中でありますから、重ねてお答えを申し上げます
  21. 中居英太郎

    中居委員 関連してちょっと伺いますが、先ほど十河総裁答弁の中に、国鉄は自主的な財源の処置を講じて調停案尊重したい、こう言いながらも、かたがた他公社との振り合い関係もある、これは確かに政府機関といたしまして、他の公社調停案の実施の状況ということを無視するわけには私はいかぬと思います。これは当然の御答弁だと思います。しかしこの国鉄に出されました調停委員会調停案なるものが、他の公社にあるいは他の現業に先んじて出されたということは、この調停案前文にも書いてありまするように、今回の賃金アップをめぐりましての春季闘争社会に大きな不安を招来して、しかもその最たるものは、国鉄春季闘争によって一番大きな不安というものを社会に与えておる、従って国鉄のこの問題を、まず一番先に解決するという政治的な配慮がなされたものであると私は思っておるわけであります。従いまして前文にも書いてありまするように、こういう客観情勢を認識いたしまして、当者事は忍びがたきを忍び、互譲の精神を持って、迅速にこれが解決をはかって社会不安というものを除去してもらいたい、こういうことが他の調停案に先んじて国鉄に出された調停案の私は精神だと思うわけであります。従いまして政府機関である他の公社振り合いということを考慮するということは、これは当然ですが、こういう調停委員会の政治的な配慮ということを、あなたはお忘れになっては私はいかぬと思うわけであります。この点についてさらにそういうことを了承しながらも、総裁はなおかつ他の公社振り合いということを見、勘案してからでなければ回答しないのであるかどうか、私はお尋ねしたいと思います
  22. 十河信二

    十河説明員 お話通りでありまして、できるだけ早くこの問題を平和裏解決したい、こう私も念願いたしております。またできる得るだけ組合要望に沿いたい、その両方のかね合いで少し延びておるような次第であります。故意に延ばしておるとか、社会不安を無視してどうこうということは毛頭ありません。
  23. 中居英太郎

    中居委員 総裁気持はわからないわけではございません。しかしすでにきめられております回答期限というものは経過しております。あなたの方にも御都合があるのでしょう。しかしながらいろいろな都合回答は延ばしている。調停を出された一方の労働組合はこれを受諾して、すみやかに正常な形態に復帰して、国鉄運営をはかりたい、こういう態度を示しております。ところが国鉄当局はいろいろな理由に籍口いたしまして、じんぜん日を送っている。このような国鉄当局の動きに対しまして、労働組合かんにん袋の緒を切って、第三波の闘争に入ろうとしておるわけであります。もしも伝えられるような第三波の闘争が行われまして、第一波、第二波の闘争以上の社会不安を与える度合いというものが増加した場合に、責任は私は国鉄当局にあると思いますが、そういった場合の責任国鉄当局はとりますか。責任国鉄当局にありますよ。
  24. 十河信二

    十河説明員 先刻申しましたように、なるべく早く解決をいたしたい、できるだけ組合要望に沿いまして、第三波の行動に出ないようにということで、今せっかく努力をいたしておるような次第であります
  25. 井岡大治

    井岡委員 答弁がそれている。第三波に入った場合における責任は、総裁はお持ちになるかという御質問です。どうなんです。
  26. 十河信二

    十河説明員 私は、なるべく第三波の行動に出ないようにしたい、こう努力しているわけであります
  27. 井岡大治

    井岡委員 第三波の行動に入らないようにしたい、組合意向尊重したい、解決したい、こういうことなんですね。
  28. 十河信二

    十河説明員 そうです。
  29. 井岡大治

    井岡委員 それならば組合意向尊重し、第三波を防止するのは、一にかかって国鉄当局がこの調停案受諾する以外に道はないのです。この点総裁はどういうふうにお考えになりますか。
  30. 十河信二

    十河説明員 できるだけ早く解決したい、できるだけ組合希望に沿いたいと、せっかく財源をできるだけ多く捻出したいと苦心しておるのであります
  31. 井岡大治

    井岡委員 財源をできるだけ多くと言ったところで、調停案にはきまっておる。きのう経理局長は、第一項は何ぼ、第二項は何ぼということをちゃんとわれわれに明示しておる。ですから財源を多くするとか少くするとかそういったものではない。これからますではかるというのと違う、もうすでにますではかって、これだけの金が要りますということは明らかなんです。ですから、このお金を出すということにあなたが腹をきめることが、第三波を防止することになるのです、そうして組合要望にこたえることなんです。あなたが調停委員会の出された調停趣旨を十分尊重されることなんですがどうですか。
  32. 十河信二

    十河説明員 腹をきめましても、世俗にいういわゆるないそでは振れないということになりますから、できるだけ財源をかき集めて、できるだけ調停案をいれるように努力をいたしておる次第であります
  33. 青野武一

    青野委員 十河総裁は今ないそでは振れないという御答弁でございましたが、きのうもこの問題について同僚委員から副総裁に対し次々に質問をいたしましたが、性格的におとなしい副総裁は、非常に熱心にまじめに御答弁をしていただいたことは私も認めますが、悲しいかな総裁でないために、いろいろな方面に気がねをなさったと思いますが、最後は同じところをぐるぐる回っているのです。それで本日の委員会を特に委員長にお願いして、それぞれ関係者の御承諾を得て、運輸大臣国鉄総裁出席を願ったのはそういう事情によってであります。私は昭和二十四年の一月の選挙から約四年間労働委員を勤めておりまして、小坂善太郎君が労働大臣になってから運輸委員になりましたので、最近までの国鉄仲裁裁定、全専売——当時は三公社現業ではありません、国鉄と全専売だけでありましたが、そのときに調停案とか仲裁裁定の出た場合に例をとりますると、専売秋山総裁のごときはこれを尊重して必ず調停案ないし仲裁裁定に出た金額を払う決意でありますという答弁が、そのつどされておったのです。調停案趣旨を十分尊重いたしますというお言葉が、きのうの副総裁からきょうの十河総裁に至るまで、一貫してそういうお言葉でありますが、私ども調停案尊重はすなわち受諾と解釈しているのです。というのは、御承知通りこれは連合軍司令部が当時の日本政府に押しつけた。とにかく日本労働組合というものは押しなべて戦闘的である。ベースアップ戦い待遇改善戦い、政治的な色彩を帯びておるから、これは一律にやるというわけにはいかないが、特に公務員なりあるいは公共企業体関係する労働組合は、一つ公共企業体等労働関係法で縛りつけろ、争議権を取り上げろ、憲法できまっておるものを一単独立法争議権を無視するどころか、結局これを取り上げてしまって、そのかわりに調停委員会というものを設け、もしそれで解決のつかない場合は中央裁定委員会を設けて、それで案が出てきた場合は「当事者双方とも最終的決定としてこれに服従しなければならない。」これは公共企業体等労働関係法の三十五条に書いてある。ただし予算資金上どうしてもいけないというような場合はこれに服従しない場合もあるということは、十六条に示してあります。それについておもしろい話があるのですが、私が衆議院に出てきましたときは、間もなく増田さんから保利茂さんに労働大臣がかわりました。そうして戸塚さんがなり吉武さんがなったのでありまするが、その前、一番先になっておりましたのが、山梨県選出の鈴木正文君が労働大臣でありました。この人が私に言った言葉がある。一回から二回くらいまではそういうものにこだわらずに、いろいろな問題が紛糾して幾らかでも裁定趣旨に沿うて予算というものが出された、しかし私が労働大臣をしておるときに出た法案の予算総則というものが大きな妨害物になって、そうして調停案が出ても裁定が出ても、予算総則できまっておるからいけないのだという口実に使われるようになったことは、僕の労働大臣当時にこの法律が通ったので心外だ、こういうことは政府と与党がめちゃくちゃにやっているのだ、理由にならないのだということを私に言ったのです。私がそれは責任を持つかといったら、いつでも持つという話でした。いつでも仲裁裁定等が出るときは、予算総則がこうなっているからああなっているからというて、政府の方から紛糾の種をまいてきた。私が十河総裁に御質問する要旨は、単なる言葉の上で調停案尊重いたします、でき得る限り希望に沿うように今苦慮しておる、努力をしております、三日間の期限回答を付されておるのをそれをはるかに超過しておりますけれども、やはりどうすればこの金がひねり出せるかという点について、努力を続けておるという点は私は認めます。けれども一たん出た以上は、争議権を取り上げて、そうして調停委員会等によって決定したものは、当事者双方が必ず服従しなければならぬという法の建前です。人間は公務員であろうと公共企業体関係労働者であろうと、生きていくためには自分生活権を防衛するのは当然なのです。これでは食べられぬ、物価が上った、どうしても自分たちの給与では自分たち生活をささえていくことができないからといって全国の労働組合は連携をとって春季闘争をやっておるときに、国鉄国民に与える影響力社会不安、労働不安は、他の労働組合に比してはるかに大きいものがあるからというので、特に調停委員会の諸君が苦慮して、非常に骨を折られて五項目にまたがってこの調停案というものが出された以上は、これに絶対服従します、この精神に沿うて何とか努力じゃなくして、これを受諾しなければならぬのが法律精神であり、建前でありますという答弁が、今まで労働委員会ではなされておったのです。特に秋山孝之輔総裁ごときは、政府が何と言おうとそれくらいないことは実施する腹があります。腹がありますが、どうも政府の方が妨害して困りますという答弁までしておったのですよ。きのうの副総裁十河総裁のようにのらりくらりと、ヒョウタンナマズのように逃げてうまいことを言っておるようなことはなかったのです。単純率直に自分たち考えておること、意思を表明されておったのが、今までの仲裁装定なりあるいは調停案の出たときの経験でありましたが、その点について今申しましたように、尊重することはこれを受諾するものであると社会党の諸君は全部考えておるのです。だからこれは当然争議権を剥奪した代償である、大体争議によって戦い取りあるいは与える問題ではなくして、これは必ず聞かなければならぬものであるという考え方の上に立って、私は御答弁願いたいと思うのです。極力尊重をして苦慮してこの金をどうしてひねり出そうか、どうして作り出そうかというお言葉は確かに傾聴に値する言葉であり、それは認めざるを得ないのですが、もう一つ突っ込んでほんとうの腹をこの委員会で御発表願いたいと思います
  34. 十河信二

    十河説明員 お話のような腹はあるのですけれども、金が足りないものですから、それで苦心しておる次第でございますので、その点はどうぞあしからず御了承を願いたいと思います
  35. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 今総裁言葉を聞いておりますと、これはまるい器のまわりをぐるぐる回っておって、そこから一歩も外に出ておらぬ感じがする。しかし私は根本的に考えてこの調停案が、他の五現業あるいは三公社等の調停案の中で一番先に出されておりますということは、一面からいいますと、これは国鉄が一番その資金繰りに困難がある。そこで一番先に出して御用意を願おうというようないわゆる親心から、調停案が一番先に出されたと思います。私考えますのに、国鉄の経理の内容等につきましては、十分承知いたしております。その内容については承知をしておりますけれども、しかしその運用の面については、これは今まで論争してきたところでありまして、その資金の運用いかんによっては、まだまだ改善をして、その業務に十分に人的の方面にも活用して、摩擦を少くし得るような措置が講ぜられることを、私どもはたびたび指摘をして参っております運輸大臣がおられますと、私はことしの運輸行政くらい不満なものはありません。予算を通じまして運輸行政は、他の諸官省に比べまして全面的敗退であります。敗北であります国鉄に対して納付金などというような項目を設けて、そして税金を取り立てるがごとき、これは全く公共性を無視したものであります。こういう点につきましては、私は運輸大臣にその責任を追及したいと思っておったのでありますが、今までその機をとらえておりません。しかし私はそういうものを易々として受けられる総裁責任もまた、見逃すことのできぬ重大なものだと考えておるのです。口を開けば資金がない資金がないということで、当初申しましたように器のぐるりをぐるぐる回っていて、少しも外に出ない、こういうことでは、私はこの問題の本質を解決することはできないと思います。ですから私は万難を排しても、この際総裁はまず労働組合国鉄当局との間におけるこの紛争をなくするということのためには、この調停案をまず受諾するという態度を表明されることだと思う。今まで秋山専売公社総裁でありますか、これは実に勇敢な人で、私はこれは受けたいといって受諾しておるのです。政府にその支出の要求をしたところが、政府が言うことを聞かないのだと、まっこうから政府に鞭撻をされるような答弁をされたことがあります。私はそれだけの責任と勇気を持たれることが、いわゆる法規を尊重しておるのだということを組合員に示されることであって、法をもってその秩序を維持するという建前からいきますると、これは適切な善良な社会奉仕者としての総裁ではないかと思うのですけれども、一つその根本的な所見といいまするか、総裁考え方をお聞きしたいと思います
  36. 十河信二

    十河説明員 今いろいろお話しいただきました中に、私が心から共鳴することもたくさんあるのであります。私もそういうふうにやりたいと心がけてはおるのですが、遺憾ながら私の力が足りないのです。だから自分がこれは困ったことだと思っても、阻止することができない。これはまことに遺憾千万で、私は国民に対しておわびをしなければならぬと思うこともたくさんあるのであります。しかしながらこれは自分の微力のいたすところで、何ともしようがないのです。今回の調停案につきましても、私は今例にお引きになりましたような人のように勇敢にやりたいのですけれども、何さま金をどうして捻出したらいいか、そのめどをつけなければ、そういうふうな政府に向っての交渉もまだできないような状態にあるのであります。その点を一つ御寛容をいただきたいと思います
  37. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 そこで私は十河総裁に言うのですが、私が地方におりましたときに、私も同じ交通の者でありますから、従って会社との間にいろいろ交渉して、ちょうど今総裁が言われるように、会社がどうしても支出する金繰りがつかない。だから調停案受諾できない、こういうのが重役ほとんどの意見でありました。その中である一人の重役がこういうことを言いました。そういうふうにしてこの電車がとまるということになれば、結局何日間か私どもの社の一番重要な鉄橋が落ちてしまったと同じことだ。しからばその落ちた鉄橋を修理しないでいつまでほうっておく気なのか。これは何億かかってもその鉄橋を修理して、列車を終点の目的地まで運行しなければならぬ。これは社運にかけてもやらなければならぬ。しからばそれと同じことで、この争議も、一時その鉄橋が落ちかけている、今この鉄橋の落ちるものを防止して列車を目的地まで運行させるようにしなければ、これもまた社運に関する問題ではないか、こういうことを言って、敢然とその調停案受諾して、争議が解決をした、こういう例がございます。ほんとうに労働争議をまじめに解決するのであるならば、しかもこのような争議手段を講ずることのできないこれらの諸君に、私は法に従う、そのまじめな態度によって今日調停案の出るところまでいって、その調停案受諾するのかどうかということで、今国民の足を奪おうとするかしないかというような、重大な段階に立ち至っている場合には、今言ったような勇気をもって対処されることが当然のことではないか、私はこういうふうに思うわけです。ところが今のお話を聞きますと、前の長崎総裁でも、代々の総裁は、労働組合に対して法律を強制することはきわめて手ぎわがいいのであります。その責任法律を根拠にして追及されることは、きわめて手ぎわよくやられております。今度も何名かの懲戒者を出されたようであります。前には何十名かの首切りを出しております。そして一方において責任は追及しますけれども、一方においてはその果すべき義務は一向にお果しにならない。そして自分の課せられた責任において解決しなければならない調停案を、他とにらみ合せて、何かそこにもたついたものをお考えになっているようでありますが、これはどうも私は納得のいかないところであります。これを総裁は一体どういうふうに考えられるか。自分自身の問題としてお考えになるのでありますか。それとも政治的な何かの背景をたよりにしようとなさるのか。また法を根拠にして人を処罰せられる場合においては、自己の責任というものをたなに上げて、自分は権利を持っているのだという、その権利の前に立ってのみ責任を追及せられるのか、私はこの三点について一つ忌憚のない御意見を承わりたいと思います
  38. 十河信二

    十河説明員 私はもちろん法に従わなければならないのですけれども、別に法ばかりをたよりにしてどうこうしようという考えも毛頭持っておりません。私は私の職員に対する愛情においては、何人にも負けない愛情を持っていると確信いたしております。そういう点においては、私は労働組合の諸君も私の心持を十分に了解してくれておることと判断いたしております。しかしながら私は絶えず自分みずからを反省いたしております自分の至らぬために職員にいろいろ迷惑をかけておることがありはしないかということを絶えず反省いたしまして、でき得る限り職員の福祉増進に懸命の努力をいたしたいということを常に念願といたしておるものであります。別に他にたよってどうこうするという考えは私は毛頭持っておりません。
  39. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 総裁はそれだけの熱意があり、熱情があるということを大いに披瀝されたわけでございますが、それは口先だけでなく実行に移してもらって、初めて職員は納得するものだと考えるわけです。  私はこの調停案受諾される場合において、もう一点総裁お尋ねしたいのですが、それは国鉄だけでは、ございませんで、あらゆる交通関係、運輸関係及び他の産業関係においても、すべてベースアップ要求をしております。その交通関係だけをとってみましても、正直に申して、私鉄といわず国鉄といわず、ハイヤー、タクシー、バス等、いわゆる交通産業に従事しております者の賃金というものは、他の産業に比べまするときわめて低位に置かれております。これはだれも認められるところだと思います。しかも産業構造からいいますると、鉄鋼とか石炭とかいうような産業のみが重要産業であるということで重視されて参りまして、従ってそれらの産業に比較いたしますると、常に交通産業というものは社会的に軽視されておるために、全く付随したような考え方でありますから、賃金もそれらの産業とは比較にならないほどな低位に置かれておるものもある。また労働条件におきましても、きわめて劣悪な労働条件に置かれておることも事実であります。このような条件下にあって、私はよくも交通労働者がしんぼうしておるものだとさえ思っております。私も二十数年の現場における経験を経て今日ここに参っておりますが、私の経験からいたしましてもそうであります。今日それをそのような産業と同じようにせよとも言えない。なぜかといいますと、言う権利はあるといたしましても、なかなかそれは運賃において制約せられる、あるいは会社あるいはその業体の資金等あらゆる面における制約がありまするから、やはりそれを一気にやっていこうというわけには参らない。これは国鉄労働組合の職員も、私どものような私鉄に従事しております者も承知しておるところであります。しかし年々私企業においても、若干ずつでも定期昇給の上にベースアップをしてもらっておることも、認めてもらわなければならぬと思います。私鉄におきましてもすで争議を解決している向きもあります。それはおおむね九百円ないし千二、三百円、最高二千二百円余りのベースを改訂しているところもあります。このようにしてベースを上げて解決していることも事実でありますから、この際国鉄組合員諸君がこの調停案受諾することは、他の交通産業の実情から見て忍び得ないものをがまんして受諾するという態度をとったものと思う。それでそのような態度をとることは、むしろ経営側にあります総裁以下国鉄当局よりもむしろ組合の方が国鉄の実情をよく了解した上で、組合員の不満もあろうけれども、それを押えてここに受諾の意を表したものだと考えるのです。そうなれば組合のこのような態度は、非常に尊重し  てやらなければならないものだと思う  のです。ここで総裁受諾されて、今度は政府の方からその支出について異論を唱えるということになれば、政府の政治的責任においてこの問題を解決すべきであると思うのです。ですからこの際総裁としては困難なところはあろうと思うけれども、他の産業の実情をよく掌握されますならば、当然この調停案受諾されるという意意表示されることはできると思う。それがこの大企業をおあずかりになる総裁として、ただ労働者というだけではなくて、一般社会に対する責務を全うされるゆえんだと考えるのですけれども、どうでしょうか。その言明はいまだ総裁は保留されるつもりでありましょうか。またこの事実についてあくまでも否認していかれる態度でありますか。私はその態度を一つお聞かせ願って、労働者に安心を与えさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  40. 十河信二

    十河説明員 かねて御承知通り、鉄道は非常な老朽施設をかかえて、物的にはまことに哀れな状態にあるのであります。しかるにもかかわらず世界一正確な鉄道であるといってほめられているが、これは国鉄の職員が懸命の努力をして、愛国心に燃えて勤務してくれている結果であると、絶えず私は感謝いたしております。従って私はこれに対して精神的、物質的に十分にこたえなければならぬが、私のこれに対するこたえ方は足りないとみずから責めておりますけれども、力が足りなくて十分できないことはまことに遺憾千万であります。でき得る限りそういうふうにいたしたい。繰り返して申し上げますように、今せっかく努力をいたしているということ以上には、今のところ申し上げかぬることを御了承願います
  41. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 総裁の非常な熱意のある結論は出ているけれども調停案受諾するということをこの事実に基いて確認せられるかどうかについてお尋ねしているのですが、一向にそういう要点についてはうまくそらされているのです。私はそれがどうも了解できないのです。今申したように、この中の一点については非常に熱意を披瀝してお答えになりましたけれども、しかし他の私鉄やバス関係等でベースの改訂をしておる。このベースの改訂は現実の問題でございますが、総裁はそのような現実があるということはお認めになるかどうか、こういうことをお尋ねしたのですけれども、それについては一向に答弁がないようでございます。それでは私が御質問申し上げておる点に沿わないわけです。これについてどうお考えになりますか、一つはっきりとした態度をお聞かせ願いたいと思うのです。
  42. 十河信二

    十河説明員 私が今まで申し上げておる点は、私の腹をそのまま打ちあけて申し上げておるのであります。それ以上に申し上げることはないのでありまして、組合希望はできるだけかなえたいという意思も持っておりますし、調停尊重したいという熱意も持っております。それに伴う資金の準備を、今せっかく努力をいたしておるというところであります
  43. 中居英太郎

    中居委員 きのうも小倉総裁お尋ねしたのですが、御承知通り回答を得られなかったわけです。総裁の今までの御答弁は、尊重したい熱意は十分あるが、財政上の問題でまだ考慮したいということです。これを私ども考えで整理して申し上げますならば、調停案受諾する、その前提に立って財源の問題を考慮しておるのだ、こういうふうにとってよろしゅうございますか。受諾はするのだ、これを実施するための財政上の問題で考慮を払っているのだ、こういうことでよろしゅうございますか。
  44. 十河信二

    十河説明員 受諾いたしたい考えで、今財源捻出を工夫いたしておるのであります。その財源捻出を工夫いたしまして、それから政府の了承を得て、それからでないと皆さんに確たるお答えはできないと思うのであります
  45. 中居英太郎

    中居委員 総裁はこの調停案をお読みになったでしょう。私はきのうも小倉総裁に申し上げたのですが、この国鉄に対する調停案を実施するに当って、まず経理状態、財政の立て直しをはかってすみやかにこれを実施せい、こういうことが書いてある。そういうことも含めて、一項から五項までを受諾するにあなたは御異議ないでしょう。この調停案というものは、財政というものを全然無視した調停ではないのです。ここに書いてあるように、国鉄の経営自体の改善をはかりつつ実施すべきである、こう書いてあります。あなたはこういうこともあわせて調停案受諾なさる、これで私はりっぱだと思いますが、この点はいかがですか。   〔山本(友)委員長代理退席、委員   長着席〕
  46. 十河信二

    十河説明員 繰り返して申し上げました通り調停案にありますように次のようなことをしろというようなことで、いろいろ財政上のあんばいをしておる最中であります
  47. 中居英太郎

    中居委員 それでは総裁答弁が違いますよ。一項から五項まで条項がございます。ところが今言われておることは、第一項の給与の改善が一番の問題だと思うのです。二の問題は当年度だけのものでありまして、これは本年度の自然増収によって、国鉄法の四十四条でまかない得るもので、これも私は問題がないと思います。第三項の給与是正、これは職種あるいは採用期日等によって非常に不均衡の事態が生じておる。いわゆる陥没地帯、これを地ならしをする、これも私は調停があろうとなかろうと、新年度においては、当然実施すべき問題だと思います。それから第四項は定期昇給、これも法律で定められた規定でございますから、これも実施することは当然であります。それからさらに第五項の期末手当の問題、これは昭和三十年までは、公社の職員の期末手当は、一般公務員よりも常に〇・二五少く計上されておった。しかしこれは公社関係努力によりまして、いつも一般公務員並みの年末手当は支給されております。従いまして一般公務員と同じように昭和三十  一年度は二・二五ヵ月分を計上する、これも私は当然過ぎるほど当然の調停案だと思います。それでこの五項目を検討してみますと、二項以下五項までは、問題ないことであります。問題は第一項のベースアップの問題でありますベースアップの問題を実施するに当っては、経理状況の改善を待って財政の立て直しをはかって、これを行うようにせい、こういう調停案です。従いまして、あなたはこの調停案受諾したいという前提に立って財政の問題を考慮しておる、そのためにノー、イエスの回答がおくれておるのだ。あなたの答弁を総合しますと、第一の勧告は受諾しても一向差しつかえない。この調停案財政を無視してすみやかに実施せいとは書いてない。あなたの言われるように、財政の問題を考慮して、この第一項目も実施せい、こう書いてある。しかるに昨日から本日までの国鉄当局の副総裁あるいは総裁答弁を聞いておりますと、国鉄の方ではイエス、ノーということは明確にはしておりません。受諾をしたい意思は持っておるが、財政の問題云々ということに籍口して、イエス、ノーの回答を保留しておる。これを言葉を返して言いますれば、第一項目のべース・アップの問題は、財政の立て直しをはかって、財政の見通しをつけて実施したい、こういうことと私は同じだと思います。従いまして無条件受諾と一向相違がない。今回の調停案を無条件で受諾するという回答をあなた方がなさっても、今日までの答弁といささかも矛盾をするものではない、こう思っております。また私どもそう解釈しております。従って昨日から本日までのあなた方の御回答を私どもが総合いたしまして全面的にこれを受諾すると、こういう前提に立っての回答であると解釈してよろしゅうございますね。
  48. 十河信二

    十河説明員 それらの項目は全部いずれも関連いたしておりましてそれは国鉄財政の状態によって動いてくる、こういうことであります。たとえば期末手当を出すということは、それは予期以上の収入のあった場合、努力によって経費を節約せられた場合、それを期末手当として支給するということは、例年やっておるわけであります。それをやりますが、一体幾ら出せるかということの計算を、今やっておるところでありますから、今ここでその計算のまだできないときに、これこれを出しますというお答えはできない。できるだけ御希望に沿うようにいたしたい、努力いたしますという以上には、今お答えができないということをお断わり申し上げておるのであります
  49. 中居英太郎

    中居委員 くどいようですが、重ねてお伺いします調停案を実施したいという前提に立って財源の問題を考慮中である、従ってそのために回答が延びておるのだ、あなたの答弁はそうですね。
  50. 十河信二

    十河説明員 はい。
  51. 中居英太郎

    中居委員 そうしますと、この調停案前文に書いてありますように、国鉄の経営自体の改善をはかり、財政の確立をはかってから、この五項目のものを実施すべきである、こういう前文が書いてございます。あなたはこの具体的に書いてある五項目を実施したいために前文に書いてあるような、こういった財政の問題を検討しておる、こういう回答でございますから、前文と具体的に書いてあるこの五項目を合せて実施、受諾する、こういう回答と一向相違がないと私は思うわけですが、いかがですか。
  52. 十河信二

    十河説明員 できるだけ尊重したいと思って今検討しておる、工夫をしておるというお答えでありますから、さよう御了承願います
  53. 濱野清吾

    ○濱野委員 ちょっと関連して。ただいま質疑応答を拝聴しておるのでありますが、勧告案の五項目についてせいぜい努力するし、まだ目下検討中だ、こうおっしゃるのですね。そのうち第一には「国鉄職員の給与は、その業務の実態より見て、その労働の質と量に対応して、必ずしも適当なものとは認め難いので、公社の経理状況の改善を待って」と、こう勧告案にはわざわざ親切丁寧に書いてあるのです。「公社の経理状況の改善を待ってすみやかに、是正の措置を講ずること。」こうあるのです。「すみやかに」をすぐ受けて次の二、三、四、五というのが関連してくる。ここに総裁の悩みがあるのだと私は思うのであります。この勧告案はすべて財源の問題ですから、なかなか的確なる御答弁ができないと思いますけれども、せっかく勧告案の第一項に親切に、しかもあなたの方でも苦しいだろうということを読み切って書いてあるのですから、そこであなたの方は今盛んに財源捻出に対する予算措置を講じておるようでありますが、その誠意のほどは私どもがお聞きしておってもよくわかるのですが、その見通しは一体どうなんだ、その見通しにいま少し努力しなければならぬ点があるならある、ちょっとその点が困っているのだというように打ち割ってお話になれば、社会党の諸君といえども了解ができるのじゃないか。ただ努する、その趣旨には大体賛成だから、一生懸命趣旨に沿うように努力する、研究する、あるいは改善の方法を今実施中だとおっしゃっても、実際は本年度中にこの第二項か何かが適用されるのでありますから、そこが御心配なんだろうと思うのです。そこで見通しのほどがおわかりになったならば、ややいいとか、少し困っているのだというような程度までお話し下すっても、これは別に他人の仕事ではありませんから、あなたの部下のことだし、われわれから見れば国民の鉄道ですから、内輪で話がわかるのじゃないかと思いますが、見通しのほどを一言お話ができればお話しなすった方がより以上親切で、そうしてお互いに腹で了解ができると思うのですが、この点いかがですか。
  54. 十河信二

    十河説明員 今お話の点まことにごもっともですが、調停案の中にもありますように、期末手当は期末に出すのですから、期末に出せるところがぎりぎりのところだと思うのです。だからもう遠くないと思うのです。期末に出すためには若干のゆとりを置いてきめないと全国的に出すのですから、出せません。だからできるだけ急いでやらないと間に合わないような時期に迫っておるのですから、そう遠くないと思います
  55. 濱野清吾

    ○濱野委員 見通しはどうですか、明るいのですか。計数上の問題ですから簡単にはいきませんが、非常に困難だが、見通しのほどはどうです。
  56. 十河信二

    十河説明員 非常に困難ですが、私の方としてはできるだけ調停案に沿うように今せっかく努力をしております
  57. 正木清

    正木委員 関連して。総裁のただいまの期末手当に対する御答弁は、何か勘違いをされて濱野委員に御答弁をなさったようです。すでに三十年度の問題は解決を見ておるわけでございまして、この調停案の勧告は昭和三十一年度における国鉄職員の期末手当でございます。そうしてカッコして奨励手当を含むとなっております。この奨励手当は国鉄法で明記されておるのですから、従って三十年度限りではないのであります。その点あなた何か勘違いをされておるのじゃないですか。
  58. 十河信二

    十河説明員 間違いました。
  59. 正木清

    正木委員 そうですね。そこで問題になるのは、何人が考えてみても二、三、四、五に関する限りは、今の国鉄の経営状態は非常に好転してきておりますし、あるものについてはすでに三十一年度の予算措置が講ぜられておるのですから、これらのことについては多くの議論の余地はないのではないか。どう考えてみても、私どもはそろばんをはじき出せる自信があるわけです。ただ問題は一項の点について繰り返し繰り返し今も濱野委員から御注意的な御質問がございましたが、公社の経理状況の改善を待って処置しろ、こういうのです。それでは公社の経理状況の改善ということについて具体案がないかといえば、すでにあなた方には具体案があるわけです。ですから問題は、あなた方にこの国鉄経営に対する自信と労務政策に対する自信がおありであるならば、すみやかにこれを受諾して、問題の処理の円満な解決をはかる、こういう方向と進むことが国鉄をあずかっておるあなたとしては当然ではないか。きのうも僕が副総裁に申し上げた点はここなんです。ただ総裁から一言はっきり聞きたいと思いますことは、本日は政府としては閣議を開いて、これらの問題の取扱い方を協議する、こう報道されております。それとの関係で、あなたはここでもって明確なあなた自身としての御答弁ができないのではないか。できないのであればできないと、その関係を明らかにされたらいかがでございましょうか。
  60. 十河信二

    十河説明員 先刻私は三十年度と三十一年度のなにを間違っておりましたから、それは訂正さしていただきます。それから三十一年度の予算措置でありますが、これはわれわれとしては財源捻出をして、そうしてわれわれの腹がきまりましてから政府の方に要請をすることになると思うのであります。それを今やっておるところでございます。その点が、まだ財源捻出がこれだけできるということは、来年度の予算は御承知のように非常に苦しい予算ですから、これの予算措置を講ずるということは非常に困難なことであります。そこで私どもは、大へん苦労をしてやっておるわけであります。その点は何と申しますか、ここで皆さんにはっきりお答えすることがなかなかできない。われわれの腹がきまりましても、政府に相談をして政府の了解を得なければ私はお答えできないのではないか。予算措置ということでございますから、お答えできないと思います
  61. 正木清

    正木委員 初めて総裁の真意がわかったような気が私としてはするわけです。そこで問題は、第一回調停委員会が苦心をされてこういう文章の姿で表わしたことが、おそらく国鉄の三十一年度におけるこの予算の内容を十分に、やはりまた政治的に考えての打ち出し方であろうとすら私は想像いたしておるわけであります。そこで問題になるのは何かというと、三十一年度の国鉄予算というものが公平に見て適正であるのかないのか。私どもはあれは適正だと思っておらないのです。ああした予算を組まれて押しつけられて、そうしてよろしゅうございますと引き下った国鉄当局の腹のなさに、私どもは義憤をすら感じておるわけです。そうなると、一体その責任はどこにあるかといえば、これは政府にあるとしか私には思われません。だれがやってみても、総裁みずから陣頭に立って——国民国鉄に対して非難を向けたもろもろの点について、あなた自身が陣頭に立って今具体的に改革をやっている最中なんですね。これは心ある国民は公平に認めると私は思っておるのです。今改革をやっておる。しかし国鉄の実際の経営の実態から見て、一体あの三十一年度の予算でよろしいのかどうか。これは私機会を見て具体的な質問を展開するつもりでおりますが、私どもは無理だと思っているのです。無理なものを承知の上で押しつける政府責任があるわけですから、そこでだれよりも腹をきめてかからなければならないのは、総裁、あなたじゃありませんか。あなたは就任当時当委員会で何とおっしゃいました。あの気概と熱意をもって運輸大臣政府に折衝すべきだと私は思います。その折衝する具体案がすでにあなた方の事務局ではできておるのです。かくすればこうなるのだという具体案はできておる。それをやらない限り、あなた方の下で働いている職員がどのような犠牲を払ってみても——なるほど今度の予算でやれるかもしれません。来年はどうなります。再来年はどうなります。十年後の国鉄考えたら、多少とも国鉄の経理内容・国鉄の実態を知っている者は、じっとしておれない気持にかられてくるのではないか、こう思います。このままのジリ貧の姿で予算措置が推し進められていったらですね。ですから問題は、私はこの「経理状況の改善を待って、すみやかに、」云々という、このことをあなた方が重視してこれに勇気を得て、そうして腹をきめてこれを受諾して、円満に問題を内輪で処理して、そうしてこれからくる一切のもろもろの問題は運輸大臣を通じて政府へ、あなたはからだを張ってこの問題を解決するという気概と熱意を持っていただかない限り、これらの諸問題は解決つきません。あなたがここでどのように御答弁なさろうと、政府の出方を待っているというのがあなたの実態なんです。それではいつまでたっても解決しません。そうします国鉄職員は、どのように成績を上げていきましても、現実の問題として、一方の二公社にぐんぐん引き離されていくわけです。一方国鉄のすべての事柄がまた行き詰まってくる。そうして将来動きのつかない結果になる。このことをあなたは考えなければいかぬ。今一方的な政府の言いなりになっていてごらんなさい。あなたがしばしばわれわれの前ではっきり言うように、動きのつかない事態が国鉄にくるではありませんか。そのことをあなたは考えて、、はっきりした御答弁を示していただかなければ、問題は解決つきません。せっかく労働組合がこれに甘んじて、不満があってもそのことを承知の上で受諾した調停案なんです。あなた方が弱かったらだめですよ。三十一年度の予算案のあの内容でやっていけますか。今度はやれるでしょう。来年もやれるでしょう。しかし今後五年、十年のことを考えたらどうなりますか。やっていけませんよ。当りまえです。一切は政府の一方的なあの無理な予算の組み方にあるわけですから、問題はあなたの決意一つなのです。あなたのその決意を聞きたい。
  62. 十河信二

    十河説明員 非常に御理解あり、御同情のあるお言葉をいただきまして、私も少からず感激いたしました。でき得る限り御趣旨に沿うように、私も懸命の努力をいたしまして、国鉄の諸般の改善、また従業員の待遇の向上改善に努力いたしたい覚悟をいたしております
  63. 井岡大治

    井岡委員 先ほどから私なり同僚委員がいろいろ総裁お尋ねしているわけです。私たちは大体総裁が何をお考えになっているかということについては、了解でき得るものもあるのです。しかし今ここで総裁を幾らついても、なかなか総裁はおっしゃらない。従って私たちは非常に不満なんです。ですから引き続いてわれわれとしてはこの問題について討議を進めて参ります。しかし総裁はほかに御用事があるということでありますし、先ほど先輩の正木さんから御質問された中に、非常に政治的な含みのある問題があったと思います。そういう意味からこれは大臣に御出席をいた、だいて、そうして御質問をしなければならない個所もございます。ですから、引き続いて大臣に御質問を続けて参りたいと思いますから、その手続をとっていただきたい、委員長の方から要請をしていただきたいと思います。  最後に総裁に一つだけお伺いをしておきますが、この間田端の駅に警官が非常にたくさん出動されたようです。これは国鉄総裁が国警長官に要請されたのですか。
  64. 十河信二

    十河説明員 職員局長からお答えい  たさせます
  65. 井上正忠

    ○井上説明員 田端につきましては、  われわれ当時前日でございましたか、  三千名のピケ隊が動員されたというふうに聞いております。それでこれは容易ならぬことだ。御承知のようにあの構内はかきねもございませんし、片一方は全面的に道路に面しております。そういう意味におきまして、現地の管理局長といたしましては、輸送の安全保護という見地から、関係の向きには御連絡はいたしておったと思います
  66. 井岡大治

    井岡委員 その連絡ということはどういう意味ですか。
  67. 井上正忠

    ○井上説明員 前々からこういう例はございますが、そういう大ぜいのピケ隊が押し寄せるという場合におきましては、われわれとしては関係の向きに、われわれの自衛上あるいは立場上、御連絡を申し上げておることは再三あります
  68. 井岡大治

    井岡委員 その連絡という意味はどういうことなんですかということです。自衛上とかなんとか、そういうことを聞いておるわけじゃない。
  69. 井上正忠

    ○井上説明員 状況の御連絡であります。それに相手側がどういう御措置をとられますか。それは私たちの……。
  70. 井岡大治

    井岡委員 この問題は、いわゆるこういう状況ですという連絡なのですね。
  71. 井上正忠

    ○井上説明員 ちょっと御質問の要旨がわかりませんが……。
  72. 井岡大治

    井岡委員 三千名くらいのピケ隊が張られるような状況です、連絡とはたったこれだけですね。
  73. 井上正忠

    ○井上説明員 それはどういうふうな格好で——あのときはバスで来られる。こっち側から来られるとか、あっち側から来られるとか、いろいろなお話があったようでございますが、そういう状況の御連絡を、管理局長といたしましてはやっておるはずです。
  74. 井岡大治

    井岡委員 ということは、もっと突き進んで言うと、こういう状況ですから、こういう状況を防止するために、あなたの言葉をかりていえば、自衛の立場からあなた方に出てもらわなければなりません。こういう状況を頼んだのですか。
  75. 井上正忠

    ○井上説明員 警官の出動の要請を、われわれから指令なり発動いたしたことはございません。要請もいたしません。ただわれわれとしましては、公安官なり何なりの配置とか、いろいろな安全を保持するため、輸送を確保するための万全の措置につきましては、関係の向きと連絡はいたしております
  76. 井岡大治

    井岡委員 ですから、判断は国警長官の方にあった、こういうように私たちは考えます。しかし非常に重要なことですから、次の機会に国警長官を呼んでいただきたいと思います
  77. 正木清

    正木委員 私は職員局長お尋ねをしたいのですが、国鉄労働組合調停案受諾した。そして問題を解決したいとされておるわけです。同じ国鉄の職員の中で、一品にいうと機労というのがございますね。正式にいうと機関労働組合というのですが、この方は調停案受諾しないのだ、こう言われております。同じ国鉄に勤務している職員の中の一方が受諾をして、一方が受諾をしない、この調停案の内容について、一体どのような根本的な相違があって受諾しないのか。そして同じ職員の中で、機労に属している人々の職能からくる何か大きな特殊性があるのではないかと考えられますが、この点について一つ当局側の見解をこの際明らかにしていただきたいと思います
  78. 井上正忠

    ○井上説明員 御承知と思いますが、機関組合国鉄労働組合は、いろいろな点で性格が非常に違っております。かねがねこの両組合の主張点は、ある場合には正反対になる場合も、ございまして、過去の歴史におきましても、何回かの調停案につきまして、片方の組合受諾した、片方の組合はこれを受諾しないという例も再三ございます。特に今回の問題は重要な問題でございますので、この両組合の意見か一致しなかったということは、今後われわれとしましても取扱いにいろいろ困難な点が起るのじゃないかということを案じております。なお機関組合がどうして受けなかったという当局側の見解をという御質問でございますので、これは私想像でございますが、機関組合はかねて給与の改善を、責任制の立場から給与体系をこしらえろということを強く主張しておりましたので、その点が今度の調停案でいろいろ機関組合の本来の考え方と相一致しないというような点にあるように私は見ております
  79. 正木清

    正木委員 三月六日の東京各紙を見ますと、機労の調停勧告の第二項の中に、国鉄と違って「機関車単位関係職員の給与の体系については、関係者間に専門委員会を設け、再検討を行うこと。」という項目が入っておるわけです。この新聞で知る限りにおいては、受諾した他の国鉄労働組合と機労との相違は、この一点にしぼられるように私は感ずる。従来から機労と当局との間で、これらの問題について十分に団交その他で調整ができなかったものであるかどうか。できないとすれば、一体どこに根本の違いがあるのか、この点を明らかにしてもらいたい。
  80. 井上正忠

    ○井上説明員 これはそういう点の根本的な話も十分練らないままに、調停委員会に出ました経過もございます。また練れなかった大きな原因は、御承知のように国労の中にも機関関係の従事員が相当数ございますので、国労におります機関関係の従事員と機関組合におります機関関係の従事員と、この問題についての意見が必ずしも一致しなかったという点にも原因があると思います
  81. 正木清

    正木委員 問題は今の国が立てております給与体系の土台から出発するのではないかと考えております。常識論としては、賃金体系の土台に根本的な相違が出て非常に問題がこじれておるのではないかと考えるのですが、こういうことはできないものですか。これは率直に聞きたいと思うのですが、今の賃金体系を基礎にして、なおかつ職種別からくる特殊性に対して、何か賃金の増加給を認める。今の給与総額の基準はそのままにしておいて、たとえば機関士なりの特殊な業務に対しては、給与の増加額を認めるというような処置で、円満にものをまとめることができないものか、できるものか。こういう点について当局考えられたことがあるかないか、この点を伺っておきたい。
  82. 井上正忠

    ○井上説明員 われわれはある程度まで責任制によりまして給与の高下をつけたいということが、年来の主張であります。その点からいいますと、今正木先生のおっしゃいましたようなことは、何回となく両組合とも話し合いをいたしております。またある一部分につきまして実施した例もございます。しかし両組合を相手にいわゆる三者で話し合いをしなければならないという現状におきまして、現在は問題を解決するのに非常に困難をきわめております
  83. 正木清

    正木委員 最後にお尋ねしておきたいと思うのですが、この機労の調停勧告の二項に、関係者間に専門委員会を設けて再検討を行うこととございますが、この専門委員会を設けて再検討するということに国鉄当局は同意をされるのか、反対をされるのか、それを一言聞いておきたい。
  84. 井上正忠

    ○井上説明員 実は従来もその場合は、先ほど申しましたように、われわれの方から提示いたしたことがあるわけであります。ですからわれわれの気持としては、そういう委員会があって穏やかな格好でできますことを望んでいるわけであります。しかし実際は三者一緒の同意見の格好の委員会というものは、非常にむずかしいのじゃないかという感じがいたします
  85. 正木清

    正木委員 そうすると、当局側は何とかして話をまとめたいと思うが、現実の問題としてはなかなか困難だ、こう了解いたしてよろしゅうございますか。
  86. 井上正忠

    ○井上説明員 それでけっこうでございます
  87. 正木清

    正木委員 そこで、労使双方はそれでけっこうかもしれませんが、困るのは国民なんですね。一方の国労はこれを受諾して、何とか円満に軌道に乗せようと努力しております。受け入れないのは国鉄及び政府であります。機労に関する限りは、新聞の報道するところでは、受諾を拒んでいるようでございます。その拒んでいる原因は何かというと、この二項の問題が問題になっている。そうするとこれは職員の組合よりか、当局側がこれまた腹をきめて、これらの問題を解決する熱意を示せば、機労としても受諾をされるのじゃないか。一番大切な機関関係の職員組合受諾をしないで、最悪の事態に突入したのでは、われわれ委員会でどのように努力しても、問題の解決を見ないのです。当局としては熱意を持ってこれらを解決するという線を打ち出されて、問題を解決の方向に導くことが大切ではないかと考えるのですが、最後にあなたの意見を聞いておきたいのです。
  88. 井上正忠

    ○井上説明員 先ほども申しましたが、これについてはわれわれの方もこちらから提案いたしました経緯もございまして、私たちとしては三者円満なる協議というものを望んでおります。しかし目下のところ、機関組合が拒否いたされておるものですから、当方側の気持だけしか申せません。
  89. 井岡大治

    井岡委員 国鉄にはいわゆる職階制がたしかしかれてると思いますが、どうですか。
  90. 井上正忠

    ○井上説明員 専門的になりますが、職階制というのは——職階制と言っておりますが、厳格な意味の職階制ではございません。
  91. 井岡大治

    井岡委員 先ほどの御答弁を聞いておりますと、機関士としての特別の手当あるいはまた給与対策、こういうものが必要だ、こういうことがかなり強く主張されているように思うのです。ですからその問題は、職階制の格づけの中で解決できると考えるのですが、その点いかがですか。
  92. 井上正忠

    ○井上説明員 これは非常に専門的になりますが、機関士だけの問題ではございませんで、やはり国鉄には特に重要な仕事をやっているのが相当数ございますので、将来にわたってはそういうもののやはり格づけの点は、いろいろ研究して参らなければならぬと思うのであります。しかしさしあたって機関士の格づけをよくするということにつきましては、先ほどちょっと申し上げましたが、国労の方にも機関士がおります機関組合の方にも機関士がおります。そういうことで、どうしても当局、国労、機労、この三者の協定が必要になって参るのであります。あるいは協議が必要になって参ります。そういう点に過去におきましていろいろ難渋をいたしておったわけであります
  93. 松山義雄

    ○松山委員長 本日はこれをもって散会いたします。    午後零時四十五分散会