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小山(亮)
委員 それで、どうせそういうことに対する
改正はこの一年間に行われるのでしょうが、これは
大臣にもぜひ聞いていただきたいのですが、従来こういう
法案の
改正審議会とかなんとかいうものを作りますと、顔ぶれがきまっているのです。昔商船学校の校長をした人だとか、あるいは試験官を長い間した人だとか、六十才になっても、七十才になっても、その人が一番都合がいいから連れてくるとか、あるいはほとんど船なんか知らないような、
船主の実情を知らないような者でも何でも連れてくる。要するに
政府がきめるのは、見かけは何とかの学者とかいう肩書きはついているけれども、実際においてはほんとうに実務に暗くて、あまり知らないで、お役人がきめた
法案をできるだけうのみにしていくような御しやすい人を
委員にしている。それを何年たっても変えない。ほとんど同じ
委員がやっているのです。これを役所から見れば楽ですけれども、今日の進んでやまない社会の実情からいえば、ほんとうに迷惑な、実情に即さない
法律をどんどん作られて困る。ですから今度こういうことを
改正なさるには、りっぱな実務に精通している人を選ばれて、人選を十分気をつけてやらなければならぬ。これを私はお願いしたい。これは御
答弁がなくともおやり下さることと信じます。
もう
一つは、最近
日本郵船の船長がイギリスから帰りまして、それで向うの
海運技術上のいろいろの団体の首脳部の人と協議をして、いろいろ
日本に対する批評を聞いて帰ってきた。その人の
意見が新聞に出ておりましたが、これはお役所の方もごらんになったことだろうと思いますが、イギリスでは過去においてはタイタニック号の沈没という世界を衝動した事件がありました。あの事件以来、イギリスには大きな海難というものはない。今後全滅させるということをイギリス朝野の人が非常に研究してから、もうイギリスには大きな海難がない。しかし
日本には最近に至って、洞爺丸事件に引き続いて紫雲丸という大きな事件が起った。一年も出ないうちにまた次の事件が起った。
一体日本にはこういう海難に対して、人命尊重とか、海難防止とかいうことに対するりっぱな技術的な
審査機構がないのじゃないか。これを全滅させるために努力する、朝野を
一体にするところの何らの施設がないのじゃないかということを、イギリスの
人たちに痛烈に
批判されておりますが、これは
船舶局長なんかも十分ごらんになって御
承知のことだと思います。今回こういうような問題についての船舶及び人命安全のために、救命ボートのつり出しであるとか、防火防水の訓練、それから航海諸機具並びに機関の現状調査、海図とか水路図の補正、荷役設備というようなものに対する研究、危険貨物にしましても、このごろは化学的ないろいろな薬品をたくさん積みまして、昔からありますような荷役設備であっては間に合わないのでありますから、人命救助なんかに対しては非常に大きな影響がありますから、こういう問題に対しては特に研究しなければなりません。それから各満々の情勢が
戦争後ずいぶん変ってしまいまして、
戦前にわかっているだけのデータでは、船を実際そこに回してみますと、港の規則が違っておって、そのまま荷役ができないというような
状態がたくさんある。ところが郵船とか商船とかいう大
会社は、そういう事態が起りますと報告書を受け取って、
自分の
会社では調査機関があって調査して、
自分の社船にはこまかい注意書きをやりますが、
自分の
会社以外の他の
会社にはそういう情報を出さない。困っても人の
会社が困るのは平気で、むしろ人の
会社は困る方がいいという行き方なんです。ですから
会社々々でみなそれぞれ調査機関を持たなければならぬような現状なんです。大
海運国なんといわれる
日本の
船主の行き方としては、実に根性のきたないのに私は驚くくらいなんですが、これは役所も知っておいでになるでしょうが、各社にはそういうデータをしまっておいて、社外は極秘にし、そうして社船にだけ配って、この港に行ったらこういうことがある、またこういう規則が違っている、その場合にはこうしろああしろと、いろいろ注意書きがあって用意をしている。よその
会社に対してはそれはやらぬということでは、
日本のほかの船は困る。
定期船でない
トランパーなんというのは、ほとんど新しいところ、今まで
日本船のめったに行かない港に行くのですから、その
日本中の船が行った港の報告を受け取って、
政府がそれを総合して、そうしてこの港に対してはこうだというようなはっきりした注意書きといいますか、港湾の要覧のようなものを作って、各
会社に
政府の方から流してやるというような行き方、あるいは荷役設備にしろ、港によっては非常に規則が違ってやかましくて、普通の設備ができない場合があります。そういう場合には特別に、この港はこういうような設備が必要だというようなことも流してやるというようにしないと、そのたびに行った船が一日でも二日でも三日でもないし一週間ぐらい停泊しておって、
日本から指令を仰いだり、いろいろな準備設備をしなければ荷役ができないというようなことがたくさんあるのです。この件数は戦後実におびただしい。これによって
日本の国がこうむっているところの有形無形の損害というものは非常に大きいのですが、こういうものを
一つ——役人に役所を作れと言うのじゃないのですが、
審査の調査機関を作って、
民間人や何かを寄せて、あらゆる資料を収集していく、そして
政府がこれをリードしていく。何とか
日本海運全体のためになるような方法を、役立つような要覧のようなものを作ってくれると、あるいは船員の訓練養成ということに対して適当な指導をしていく、こういうようなことをやってもらいたいと、こう思うのです。これらおそらく私の
考えていることも、現在船員局や
海運局で
考えておられることも、おそらく同じだろうと思うのです。ただ方法をどうしてやったらいいか、そういうことについて困っておいでになることだと思う。予算もこれは必要になることだと思いますが、多少の機構をふやしても、あるいは予算をふやしても、これは一番大事なことです。繰り返し繰り返し大きな海難をやっているような国は、世界の一流
国家じゃないのです。一度大きな海難がありましたら、未来永久にああいう海難がないように、朝野をあげて根絶するように努力するのが当りまえなんです。それもやらないで、同じことを何べんも何べんも繰り返している国は、これは野蛮国なんですから、私はその点について特にこの際、国の損失をこんなに膨大にいつもいつも繰り返し繰り返しやるというようなことのないように、特に私は大きな刺激を受けたあとなんですから、
運輸省でこの海難事故というものを全滅させるような特別な画期的な御考慮を願いたい、こう私は思うのですが、
運輸大臣の御所見を伺っておきたい。