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1956-03-01 第24回国会 衆議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月一日(木曜日)    午前十一時一分開議  出席委員    委員長 松山 義雄君    理事 今松 治郎君 理事 臼井 莊一君    理事 畠山 鶴吉君 理事 山本 友一君    理事 青野 武一君 理事 中居英太郎君       生田 宏一君    岡崎 英城君       關谷 勝利君    中嶋 太郎君       眞鍋 儀十君  早稻田柳右エ門君       井岡 大治君    池田 禎治君       下平 正一君    西尾 末廣君       正木  清君    小山  亮君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 吉野 信次君  出席政府委員         運輸政務次官  伊能繁次郎君         運輸事務官         (海運局長)  粟澤 一男君         運 輸 技 官         (船舶局長)  山下 正雄君         運輸事務官         (船員局長)  安西 正道君         運輸事務官         (自動車局長) 山内 公猷君  委員外出席者         運輸事務官         (船員局船舶職         員課長)    富田 龍彦君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 三月一日  委員堀内一雄君辞任につき、その補欠として小  澤佐重喜君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 二月二十八日  道路運送車両法の一部を改正する法律案内閣  提出第八〇号)(予) 同月二十九日  国鉄根岸線延長促進に関する請願山口丈太  郎君紹介)(第九八九号)  横浜線複線化等に関する請願山口丈太郎君  紹介)(第九九〇号)  東北本線複線化等に関する請願山本猛夫君  紹介)(第九九一号)  自動車損害賠償保障法の一部改正に関する請願  (塚原俊郎紹介)(第九九二号)  同(杉浦武雄紹介)(第九九三号)  大間港修築に関する請願三浦一雄君外一名紹  介)(第九九四号)  大畑鉄道全通促進に関する請願三浦一雄君  外一名紹介)(第九九五号)  比田勝港を避難港に指定請願田口長治郎君  紹介)(第九九六号)  大畑、室蘭間に航送航路開設請願三浦一雄  君外一名紹介)(第九九七号)  同(南條徳男紹介)(第九九八号)  帯広市を第二種空港に指定請願本名武君紹  介)(第九九九号)  青年学級生鉄道運賃割引に関する請願(植村  武一紹介)(第一〇〇〇号)  道路運送法の一部改正に関する請願(纐纈彌三  君紹介)(第一〇〇一号)  同(米田吉盛紹介)(第一〇〇二号)  同(奥村又十郎君紹介)(第一〇〇三号)  同(佐藤觀次郎紹介)(第一〇〇四号)  同(春日一幸紹介)(第一〇〇五号)  同(下川儀太郎紹介)(第一〇〇六号)  同外二十九件(青野武一紹介)(第一〇〇七  号)  同(高岡大輔紹介)(第一〇〇八号)  同(北れい吉紹介)(第一〇〇九号)  同(小林郁紹介)(第一〇一〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  道路運送車両法の一部を改正する法律案内閣  提出第八〇号)(予)  海運に関する件     —————————————
  2. 松山義雄

    松山委員長 ただいまより運輸委員会を開会いたします。  最初に、去る二月二十八日予備審査のために付託になりました道路運送車両法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題とし、提案理由説明を聴取いたします。吉野運輸大臣
  3. 吉野信次

    吉野国務大臣 ただいま議題となりました道路運送車両法の一部を改正する法律案提出理由について御説明いたします。  最近における自動車の発達はきわめて顕著でありまして、すでに自動車の数は百四十万両をこえるに至りました。また最近の特色としまして、自動車大型化及び構造装置複雑化等の進歩が特に目立っております。自動車検査官の検査を完了して初めて運行できることとなるのでありますが、検査は一定の手数料を納付させて行なっておりまして、現行では一律に二百円であります。先ほども申し上げましたように、最近の自動車大型化及び構造装置複雑化等により、検査も複雑化して参りましたので、ダンプ・カー等特殊自動車、バス及び一部の乗用自動車普通自動車につきましてはこれを三百円とし、他の自動車現行通りとして、手数料適正化をはかりたいと思います。ちなみにトヨぺットクラウン級程度までの車は後者に属し、手数料額現行通りであります。次に臨時運行許可手数料は五十円でありますが、現行の額では諸経費が見合わず、また各市町村からもかねてから値上げを要望されておりますので、この際百円の手数料として、かたがた許可証乱用防止一助といたしたいのであります。検査証の再交付につきましては、当然手数料を納付させてしかるべきと考えておりますが、現在これが規定がないので、この際これを新設して検査証の紛失及び乱用防止一助といたしたいのであります。  以上によりまして本法案提出理由についての説明を終りますが、いずれも手数料適正化して、検査登録業務の円滑をはかるためには、ぜひとも法律改正を必要とすると考えられますので、何とぞ十分御審議の上すみやかに本法案を可決されるようお願いいたします。     —————————————
  4. 松山義雄

    松山委員長 本案に対する質疑次会に行うことにいたしまして、これより海運に関して調査を進めます。  通告により質疑を許します。小山亮君。
  5. 小山亮

    小山(亮)委員 運輸大臣に質問をいたしたいと思いますが、運輸大臣大臣就任以来、運輸行政に関する御構想というものをいまだ披瀝したことがない。なかんずく海運行政あるいは港湾行政あるいは船員行政というような問題は、今日の一番重要な問題だと考えますが、これに対する大臣構想というものをお伺いしてない。私はこの国会中に逐次日を追うて具体的な問題に直面しながら一つずつ伺いたいと思っておりますが、本日は海運行政というものに対する大臣の抱負を一応お伺いしたい。それは何であるかといいますと、過般来私はしつこく海運局長等質疑を繰り返しておった問題でありますが、日本の戦後の海運行政というものは、大船主、大造船主というふうな大財閥、大企業中心とする組合対策というものはまことに親切に行われておりますが、一般中小船舶あるいは中小造船所というふうなものに対しては、何らの処置が行われていない。いわゆる中小企業対策というものがない珍しい官庁だと私は思う。これはどうしてもなければならない。それはどういうことであるかといいますと、大体現在の労働問題を考えましても、組織労働者の面では組合がなかなか強固に結束しておりますから、不満足ながら生活の擁護というものがはかられておりますけれども、海運中小企業中小造船所、それに関連する関連産業従業員生活というものは、まことにみじめなんです。今日造船ブームであるとか、あるいは外航船ブームであるとかいわれて、海運の方は非常な好景気が予想されております。それにもかかわらず、中小造船所であるとかあるいは中小船舶業者、なかんずく内航船に至っては、まことに前途暗たんたるものがあります。あまりにその差がはなはだし過ぎる。しかるに今日のような時代でも、なおかつ政府施策というものは、大造船所、大汽船会社に重点的に国家の莫大な費用を持ち込んでそれを援助しておる。これを繰り返し繰り返ししておりますと、その差がはなはだしくなってしまって、中小企業は全滅してしまうという状態になる。大臣海運中小企業に対する対策としては、いかなるものをお持ちになるか、その御見解をまず伺いたい。
  6. 吉野信次

    吉野国務大臣 ごもっともなお尋ねだと思います。今運輸省でやっておりますのは、大体戦前海運界秩序を回復したい、こういうので、いわゆる計画造船というものをやっておるわけです。戦争のためにせっかく持っておった船をなくしたのですから、これを回復したい。その場合に戦前海運界秩序というものを考えたときに、定期船と申しますか、定期航海というものに属するものと、それから不定期の二本建になって参っておりますので、やはり戦後におきましても二本建がわが国の貿易の伸張の見地からみても適当だろうというので、二本建でやっております。従って結果におきまして、御指摘になりました通りに、定期航海というものをやる方の船主は六、七社、十社に満たないのですから、そして比較的大資本の大会社であります。そうでない不定期の方は、御承知通りそれに比べますと、中小船主に属するものであります。これは現在百以上あるでありましょう。これは小山さんの方が私よりも実際はよく御存じだと思いますが、そういう建前になっておりますものですから、大体政府におきましても、日本海運界秩序一つの心棒は定期航海に属する船でありますけれども、また一つの土台は、やはりトランパーでありますから、両建にして、どちらを重くしどちらを軽くしということはないのであります。ただ片方の方は十社に満たないし、片方の方は百以上もありますから、個々の船会社についてみれば、たとえば計画造船の割当というような場合においても、大きい方が回数はたびたび当るという結果になるでありましょう。しかしこれは大きい小さいという意味で、そういうことをやっているのではないのであります。今申しましたような意味で、そういう結果になっているということは率直に認めてよろしいと思います。  それから、それだけのことを今やっておりますが、造船業というものは私が申すまでもなく、これは一つ総合企業でありますから、これにぶら下っておる幾多の下請の中小工業があるわけです。これが日本のいわゆる中小企業というものからいえば、非常に大事なものでございまして、これらは何とかして振興しなければならぬということを考えております。しかしこれは私の方の問題というよりは、むしろ通産省の方の問題でございましょう。通産省でも今度の国会でそういう方面につきまして、何か中小機械工業の改善のために、若干の施策をするように伺っております。  それから、それよりも私が就任以来頭を悩ましておりますのは、御指摘になりましたいわゆる内航船一般船主と申しますか、数をもっていえば数千あるいは万をもつて数えるような機帆船船主です。これがいわゆる中小企業に属するものであって、これに対しては今まで何ら手を打ってない。これは私も率直に認めるのです。ただこれは商工行政でありますけれども、この中小企業というものについて私も実は過去において多少経験いたしましたが、こういうものに対して一体どういう手を打つか、これが非常にむずかしいのでございます。まず一番に——これは釈迦に説法で、小山さんにはそういう説法をする必要はさらさらないのだろうと思いますが、過当な競争をするから、そういう過当競争をしないようにして、適正な運賃を保つようにするということは、やはり組合法制考えられますけれども、そうした場合に組合員を全部強制加入にするかどうかという問題が起る。その場合に何か共同の利益のために施設するものがあるというなら、国がこれに対して助成をしまして、従って組合に入ればそれだけの得がございますから、組合法制というものは考えていいと思いますけれども、私は実は就任早々でありまして、今の一般船主機帆船というものの生態についてはつまびらかにしておらない。おらないのですが、これはどうしても何かこれに対して適当な国の方策を講じなければならぬものだということは考えております。しかし、されば一体どういう具体的な方策があるかということのめどは、まだ私にも立たないというのが現状でございます。
  7. 小山亮

    小山(亮)委員 大臣が今御答弁になったことは、私が質問していることのほかのことを御答弁になっておられるようです。現在の日本にあります中小造船所、これは大臣は御承知だろうと思いますが、東京湾の中にもありますし、瀬戸内海なんかに見けば無数といってもいいくらいにたくさんあります。八十幾つとか、九十幾つとかいうふうに数えられておりますが、その造船所の多くは、ほとんど現在は仕事がない。大きな造船所ですと、外航船を作るような造船所はもちろん、たといトランパーにしても、定期船にしましても、大型の船を作る造船所はみんな忙しい。注文を受けても、三年ないし四年間は応じ切れないような状態です。しかるに千トンとか二千トン、あるいは三千トン以下の船を作る造船所というものは、現在仕事がなくて困っております。造船ブームという状態でありながら、仕事がなくて困っておる。機帆船はなおさらです。ですが、これに対する政府対策というものはいまだかってないのです。やったことはないのです。おそらく考えてはおられたでしょうけれども、どういうものか、今までの日本海運政策にはこの中小造船所対策というものがない。この際この中小造船所というのはどうして生きていったらいいか。具体的にどうして生きていったらいいかということを——私は理屈で、机の上でいろいろなことを考えたり、理論的にどう解決したらいいかという問題を言うのではなくして、現在生活のできない人、今後二、三年間どうして生きていかれるかという具体的な問題について、あなた方の方でお考えがあったら伺いたい、それを私はお尋ねしておるのです。
  8. 吉野信次

    吉野国務大臣 そのお話しになりました中小造船所、これも私は想像がつきますが、非常に困っておるだろうと思います。小さいのですから、今言うた外航船を作るわけには参りません。どうしても木造船とかあるいは小さい鋼船とかというものの需要が盛んでなければ、これは立っていけないのですね。それですからその問題についても、御承知通り木造船というものを、たとえば中国などの注文があったときに、それをこさえさせたいと思っても、これはココムにかかって輸出禁止になっている。それで通産省にいたしましても、また私どもといたしましても、ココムに対して、木造船中国向け輸出ができるようにしてくれといって、せっかく交渉はしているわけですが、まだらちがあかない。ですから困っておることは私も想像にかたくないのでありまして、ただそういうものをどういうふうに活を入れるか。これは何というでも需要が増さなければ問題にならぬのですけれども、しかし組合のようなものでも作りまして、需要供給の調節をするとか、あるいは共同の施設をやらしてこれに対して政府助成をするとかということが考えられる。こういうことが私は中小造船業に対する対策だと思っておりますけれども、その点については具体的にはまだ手を打っておりませんので、今お話しになった通り、私としてはその点について手抜かりではなかったかという御批判は甘んじて受けなければならぬ、こう思っております。
  9. 小山亮

    小山(亮)委員 私は大臣責任を追及しようというような考えで言っているのではないのです。だから、いけないとかいいとかという批判大臣にしようというのではありません。要するに戦後の海運行政というものを、政府もわれわれも一体になって、いかにすれば海運界を早く復興させることができるかということだけを問題にしていきたいのです。過去において施策の誤まりがあったにしても、それはちょうど戦争に負けて、その負けた責任者はだれだといっているのと同じことで、過去においての責任を追及したってしようがない。今からどうしたらいいかということを御相談しようと思っているのです。その点について今大臣は、小型船、たとえば千五百トンであるとか二千トン、三千トン、四千トンとかいった程度の船は、中共あたり輸出しようとしたところで、まだココムの問題があってできないというふうにおっしゃっておるが、日本が船を作って外国輸出することは決して私は賛成しておりません。一体海国日本が船をよその国にたくさん作ってやって、日本には船がなくて、しまいには外国の船にたよらなければならぬというようなことになってしまうことに対しては、私は別の意見を持っておる。むしろ外国に船がなくて、日本にたくさん船が持てるような状態にならなければうそだと思う。そういう点から、船価も安く作らなければならぬし、優秀船を多く作らなければならぬということを前前から私は言っておるのですが、今のように需要供給関係をにらみ合せてお考えになれば、今は船を作らなければならぬ時期なんです。今運賃が安くなっているでしょう。中共運賃もよくなっておる。それから京南アジア関係貿易もこれから開けてくる。カンボジアあたりに対する定期航路も開けてくる。中共に対しては今から手をつけて、どんどん用意しなければならぬ。時期はもうおそいのです。需要供給といいますけれども、運賃が上っていることは要するに船が足りないのです。船腹が足りないから運賃がどんどん上っているのですから、運賃が上っている限りは船はどんどん作っていかれるわけです。そうしますと、何も中共に船を持たせる必要はないので、中共荷物でも東南アジアの荷物でも日本で運んでやればいいのですから、今こそ日本船舶業者に船を持たせる時期なんです。そういう意味において、中共貿易は必ずしも一万トン、一万五千トンの船を必要としていないで、三千トン、四千トンの船が必要なのですから、そういう船が作れる造船所が今遊んでいるのに、どうしてそれに仕事をさせるようにしておやりにならないか、それを私は伺っておるのです。大臣就任以来、その方面について専門でないからあまり研究してなかったとおっしゃれば別ですけれども、私は御研究なさらなければしようがないことだと思うのです。今の運輸行政といいましても、陸運は国鉄総裁がおりまして、国鉄一家があって、あなた方がやろうとしてもなかなかメスが入らぬような状態になっている。ですから今の運輸行政中心海運行政で、これは運輸大臣としては自分の手腕をふるっておやりになることができるのではないかと思うのですが、それをもし吉野さんがおれはまだ考えないのだ、これからもそれはどうも専門でないからと言われてしまったのではしようがないと思うのです。私はこの点はとくと大臣が御研究にならなければならぬと思う。それからまた少くとも海運局の方のエキスパートの人たちは、これに対する案を作っておりますよ。いろいろな案を出しておるのですが、大臣の方がこれをごらんになっていいか悪いかという取捨選択をおやりにならないものだからぐずぐずしておるのですが、このことはもっと勇敢に取り上げてどんどんおやりにならなければならない。下僚はどんどん案を作っているはずで、私は実際の内容は知りませんが、ほのかにこれを聞いて知っております。私は、大臣がそういう海運行政の問題についてあなたの周囲のブレーンと御相談になったことがおありですか、それを伺いたいのです。
  10. 吉野信次

    吉野国務大臣 部下の意見はよく聞いております。
  11. 小山亮

    小山(亮)委員 そうしますと、今私が言ったような中小造船所対策とか、中小船舶業者救済案というふうなものについて、具体的な案をお聞きですか。
  12. 吉野信次

    吉野国務大臣 責任ある立場からあまりそういうことについて内部の話を申し上げるのもどうかと思いますけれども、私も小山さんと同じように、日本のような国は海運国ですから、できるだけたくさんの船を用意することがいいと思います。ただその船を持たせ方が、自然の情勢にまかせるか、国が入るかという、そこの踏み切りがつくかつかぬかという問題があるわけです。今小山さんのお話のように、船主と申しますか、船屋が、みな将来に備えてこの際造船を大いに盛んにするということであれば、政府施策を待たずして、自然に中小造船所へも注文が殺到するわけでありますから、振興してくるわけです。しかしながら国家的に見てそこまで船主踏み切りがつかぬけれども、国の百年の大計を考えるときに、船をこの際何とかしてやったらいいのではないかという考え方があるわけであります。そういうときに、自然に業者の自由にまかせれば、そこまで来るのにほど遠いというときには国がこれに入って、このごろのはやりで申せば公団式のようなものでも作りまして、これは何も政府が全部金を出さなくてもいいかもしれません。民間業者も入っていいと思いますが、そういうようなもので、国が企業指導権をとって船を注文するという考え方は、一つ考え方としてあると思います。ただ経済全体の問題として、日本の今日の経済政策というものが、これは言葉でいうと簡単に自由主義だ何だということは誤解を起しますけれども、なるべく民間のイニシアチブにまかせるという建前ですから、そこまで国が踏み込んでいいかどうかということについて、率直に申しますと、私もまだ踏み切りがつかない点がございます。これは一つの例であります。それだけではございませんが、そういう例もございまして、今申し上げました通り、私が責任者として今ここでこういう具体的の策があるのだということを申し上げる段階まではなっておらない、こういうことを申し上げたわけであります。
  13. 小山亮

    小山(亮)委員 大臣お話は、私の言うことに対して回答を与えておるような気がします。というのは、戦争後ほとんど壊滅に帰したような日本海運が、曲りなりにも今日のような三百万トン近くの船腹を持ってきた、しかも新しい船を持ってきたということは、何といっても戦後この海運を立て直すために官庁考え船舶公団という設備、これを考え、これを行なったととが、日本海運を今日までのものに持ち上げてきた一番の功労者だ。ですから、もう大手筋に対しては行なっておるのです。つまり計画造船がその後それに付随してずっと行われてきて、政府が積極的に金を出してやってきておることは、いわゆる一流の会社、大会社、大資本を擁している人たちに対して、積極的に援助しているわけです。こういうものに対しては積極的に援助するから、大財閥がさらにそれにしんにうをかけたような大財閥になりつつあるのです。ところが今言ったような機帆船であるとか、中小企業であるとかいうのも、ひとしく戦災を受けておるのです。戦争によって被害を受けた状態のものをもとの状態にしよう、取り返すのだと大臣はおっしゃるけれども、船を沈められたものは、何も大きな船主ばかりではありません。小さい船主もほとんど全部やっつけられておるのです。戦争によって被害を受けた人は、日本全国人たちがみなほとんど同様です。ひとり大会社だけが、大資本家だけがそれを政府に補償されるという理屈は成り立たないのですから、そういう意味からいうと、今の中小船主に対する、あるいは内航船主に対する、船の建造のできるような公団のようなものも、大汽船会社に対するとあわせて作ってやってこそ、車に両輪があるとちょうど同じように、私は行政というものが不公平なく行われていくと思うのです。ところが一方にだけあって、こちらは一つ考えてやらない考えがない、あっても大船主にじやまされるのです。三木運輸大臣のときに、長融公社案というのを出したのです。運輸省の当局で考えて、大臣のところに出して、それを船主協会の諮問に付したところが、日本郵船会社あるいは日本商船会社が反対した。今の日本船主考え方というものは、ともすれば自分会社だけが大きくなればよい、国家が盛んになるのはちっとも考えていない、弱小船主をどんどん併呑していって、自分さえ大きくなればよいという行き方なんです。今でもそれは現実に行われています。私はこれからも例を申し上げてみたいと思っておりますけれども、そういうことは、つまり他の弱小船主が盛んになるということをあくまで妨げる、ほうっておけば自分の傘下に来るものを、何も育成、助長してやる必要はないという考え方を持っておる。そして自分の方だけは、あくなく政府の恩恵を受けたい。税金は払うべきものでも安くしてもらいたい、補助金はあくまで受けたい、利子補給はしてもらいたい、政府の低利資金は、人の会社の融資をはねのけても自分の方がやりたい。今度の第十二次造船に対する造船の申し出をごらんになればわかります。どうせ二十二万トンか二十三万トンしかできない。一万トンの船にしても二十三隻、ところが一万トン以上の船を郵船会社が申し出ているのが四隻、商船会社が四隻、三井が四隻、飯野がまたそれと匹敵するだけ要求しているでしょう。そうするとかりに四隻すつ四社で十六隻、半分としても八隻とってしまう。それがほとんど間違いなくきめられる。そうすると国の融資はほとんど大汽船会社が持っていってしまう。それも政府戦争後の秩序を戻してやるという方針であるとおっしゃったが、私はそういう方針はまだ知らない。そうすると、郵船会社戦前百六十万トンの船を持っておりました。戦前の百六十万トンになるまで、政府が郵船会社に対しては船を作らしてやる、まさかこういうお考えじゃないだろうと思うのです。そんなことを郵船会社だけに特にできるわけのものでもない。郵船というのは個人の企業ですからね。あれは国家が船を持っているわけでも何でもないのだから、そういうものだけに、特に一つ会社だけに重点的に援助するということは、私はどうも納得ができないのです。また大臣はそういうお考えでもないだろうと思うのです。だから私が今言う通り、大汽船会社に対する援護政策をおやりになるならば、それと並行して、大汽船会社が反対をしても、やはり中小船主あるいは内航船主に対しても同様に船が作られるような公団のようなものを考えてやるのが当りまえじゃないか。郵船や商船の反対がありましても、国家海運政策をごらんになって、これが当然なすべきことだとお考えになるならば、勇敢におやりになるのがいいのじゃないか、私はそう思うのです。  それからなれない、なれない、しろうとだからよくわからぬとおっしゃるが、しろうとだからこそ、大汽船会社のいろいろな因縁や情実のない人が、ほんとうのしろうとが、公平な立場におる人が、公平に考えてずっとおやりになるのがいいのじゃないか。なまじくろうとの、いいかげんなことを知っているような連中が、関係のひもつきの大臣がおったら大へんだと思う。私は特にこの点は大臣に御考慮願いたいと思う。これは案ができているのですが、その案を大臣はごらんになったことがおありになりましょうか、御検討になったことがおありになりましょうか。三木運輸大臣はそれを何回もここの委員会で内容まで言われたのです。だから、これは秘密な問題でも何でもないのです。ただ大臣にそれを御検討になるかならないかということだけなんです。そういうことに対しての御見解はいかがですか。
  14. 吉野信次

    吉野国務大臣 さっき申しました通り、私の考え小山さんの考えと相通ずるところがあるので、そう違ったことは考えてないのですが、ただ私の今言った通り、その問題について踏み凡れぬところが若干あるわけです。私も何も郵船会社戦前のトン数を回復させるという、そんなあほうなことは考えてないのです。ただ私の申し上げたのは、日本海運界秩序一つの心棒として、ああいう大きい定期航海というものも必要だということを申し上げたので、トン数云々ということは、実際は業者がきめることなんです。だからほんとうをいえば、船主組合があるなら、組合の方で実は秩序を立ててもらいたいのです。ところが組合の方で秩序が立たぬものですから、なれない役所がこれに対していろいろなことをやっているというのが、大きいものについての情勢なんです。小さい方のことについて、そういう考え方一つ考え方としてある、私はこう思っているのです。ただ大きい方は作る方はいいけれども、運営の方は——これは具体的な問題ですがかりに公団でそういう船を作ったときに、運営までの世話は、どうも小さいものになりますと数が多いし、なかなか政府で世話がし切れないのじゃないかという危惧の念を持っているのです。これは机の上のただ観察かもしれませんが、小山さんのような実際家から見ればそういう心配はないと言われれば、実際のお教えを乞いたいと思うのであります。ただいろいろ今まで中小業者行政というものをやった場合に、中小業者行政というものはむずかしくて、役人が机の上で考えたように育っていかぬものですから、そこで踏み切りが、お尋ねがありましたから率直に申し上げれば、私つかなかったと、こういうことですが、しかし御趣旨は私もそういう考え方があるということはよくわかりますから、よく検討してみたい、こう思います。
  15. 小山亮

    小山(亮)委員 これは議論でなくして、実際問題なんですが、私は支那事変が始まったときに、日本機帆船の統合ということを考えて、組合を作らなければいかぬということも考え、兵庫県で第一回の組合を作ることに努力した経験を持っております。ところがその際に、ただ組合を作っただけではなかなか一ぱい船なんというものは寄って来ない。一たん港を出帆してしまえば、荷物のあるところへ飛んで行ってしまって、いつ港に帰ってくるかわからぬような、しり切れとんぼみたいな船がありますから、これを集めることがなかなかむずかしかった。しかしながら重油を統制して、統制した重油を組合を経てこれを供給してやるということになって、初めて機帆船組合というものががっちりした組織ができた。ですから私は今度運輸省がお出しになる機帆船組合についても、この感が深い。かって自分がやってみてできなかったことを、もう一度役所がやろうとしている。これに対して何らかのこれを統制するだけの物質を持っておれば、これはちゃんと握れる。一糸乱れざる統制ができる。そこで私は、現在あるものは仕方がない。新しい船といえば、どうしても古くなるのですから。そうして現在の機帆船というものは戦争時分作りました戦標船が多い、ノアの箱舟みたいなですね。船というものは、船型といってお魚の腹みたいにできているものを、戦争中は四角に作ったのですから、ノアの箱舟みたいなのを作った。その戦争中に作った機帆船、戦標船というものが、仕方がないが、残っている。それが運賃を正常に戻そうとするのにじゃまをする。だからその船というものはだめになる。そこでこの新しい船を作っていく船主に対して、やはり内航船公団というものを作って、政府とある程度の共有になるのですから、共有になれば政府の言うことを聞かないわけにいかない、政府の命令に服さなければならぬことになるので、かえってつかみいいのじゃないか、やりいいのじゃないか、そういうふうにも私は考えられる。それから金融関係も、一つは担保がないものを政府が保証することによって、担保なく船ができるということになれば、そこで金融もついてくるのですから、保護育成というものはそういうものを作ることによって、初めてなし得ると私は思うのです。だからかえって大臣が心配しておられることは、そういう心配があるからなおさら私はそういうものを作った方がいいのじゃないか、こういうふうに考えるのです。だからこの問題はおそらくもう私は今度の議会に出すだろうと思っていたのですよ。ところがまだ出さぬ。それでは間に合わないじゃないか。中共状態を見ましても、これはココムの問題が何とかかんとかいったって、中共貿易の再開というものは当然ですから、日本が隣の国と何の貿易もやらないで国が立ちゆくなんて、独立を考えるなんていうことはありっこない。中共とはいやおうなしに取引が盛んになるのはさまっています。それから東南アジアもそうです。これは日本が手をつけないでどこがつけますか。日本の将来の発展といえば、やはりここに日本貿易を開いて、がっちりと手を組む以外にないのです。だから小型船の必要というものはどうしても必至の問題だと思う。もう今からやらなければ間に合わないので、造船所がひまで困っているときこそ安くできる。忙しくなって高くなってからでは船はできっこないのですから、私は今年あたりにはそれが出てくると思っていたのですが、出てこないのが残念なので、至急これを出していただきたいと思うのです。この点については局長の方が詳しく知っておられると思うので、局長のお考えを伺いたい。次会には大臣と御協議になって、次の機会にこういう法案を計画される御意思があるかどうかを私は伺いたい。
  16. 栗澤一男

    ○栗澤政府委員 内容的には先生のおっしゃいますように、私どもも昨年あるいはそれ以前から検討をいたしておりますので、お話の趣旨はよくわかるのでございますが、ただ大臣お話もありましたように、若干の問題点もございます。私どもの考えておりました案につきましても、内容的に非常に変った案もございまして、それについてやはり大臣にも新たに御検討をいただかなければならぬという点もございます。またその後情勢の変った点もございます。いつまでにその検討を終えて国会提出できるかという点の御質問と思いますが、ただいま私からいつまでに提出申し上げて御審議を願うということを申し上げるわけには参らぬかと思います。私どもの考え方としましては、前々から検討しておる案でもございますし、できるだけ早く御検討いただきまして、御審議いただける段階に持ち出し得れば幸いである、こう思っております。
  17. 小山亮

    小山(亮)委員 それからきょうは簡単に大臣に私の意見を開陳しておきますが、日本には港湾行政というものははっきりしたものがないのです。いろいろ今まで起ります海難事件を見ましても、日本には港湾の設備がほとんどない。あなた方外国においでになって、向うの港湾をごらんになり、日本の国に帰っておいでになって、海運国でこのくらい貧弱な港湾を持っておるのは珍しいとお考えになるだろうと思うのです。洞爺丸事件が起ったのはどこに原因があるか。青函の連絡は、やはり港がよくなければああいう事件はこれからも起ります。どんなに人事機構を改めまして、船員の訓練を十分にして用心をしましても、船の構造、港の構造というものがやはり重大な要素なのです。それで函館の港の中に、洞爺丸があの当時停泊しておれる状態なら、これは安全であった。ところが洞爺丸が当時の風速五十七メートルでは、とうてい函館の港の中に避難して停泊することができない。いかりが切れて、同じく港内に停泊している船はほとんど全部沈んでしまった。中にはいられなくなって外に逃げ出した船もあるけれども、やはりこれも沈んでしまった。結局港の中にいられないくらい設備が悪いのです。そうしますと、港の中におればよかったとか、港の外に出たのが悪かったとかいって、責任を船長に負わせましても、あの船長はあそこの航路を三十年間もやっておったという五十四才の人で、その航路にかけては日本一の神様みたいな人です。そういう人ですら船の安全は保てなかったということになれば、これはだれがやってもだめなのです。そうしますと港の設備というものと船の構造というものが、重大な要素になって参ります。船の構造にしても、それではあの船は試験をしたかどうか。船を作るときに風洞試験をやって、五十メートル以上の風速に対して耐えられるかどうかという試験をしたかというと、しておらぬのです。また山縣博士に聞きましても、おそらく五十メートルの風速試験をやったら沈んだだろう、保てなかっただろうと言っておる。それが五十七メートルの風なんです。当然船は保てない。それを船長の責任ということにされておるわけです。私はこういうことを考えましても、函館の港を考えるときに、港の設備が悪ければこんな事件が何べんでも起るということを考えざるを得ない。しからばどうすればいいかというと、それは港湾局でも考えているし、鉄道の方も考えている、やらなければ大へんだ、こうすればいいという案がある、しかし金がないというのです。結局金がなければ何べんでもあの事件が繰り返して行われる、何百人の人が死んでも仕方がないということになる。そんなばかなことは私はないと思う。もう一つは、さらに今度は青森の方の港を見ますと、青森はもっとひどいです。下から吹き込んでくる風をもろに受けまして、のがれるところがないのです。そうしますとどちらの港も不完全なのです。これはやはり船の安全、人命の尊重という見地に立もまして交通の安全をはかるには、思い切った港湾の設備をしなければだめだということにならざるを得ない。この点は私はあらためてまた質問する機会があると思いますが、大臣港湾行政というものが、日本は世界一貧弱であるという点をどうか御記憶願いたいと思う。  続いて海運企業整備という問題について伺いたい。せんだって同僚の生田委員からの質問に対して、海運局長の御答弁がございました。その中に、日本郵船会社が東邦海運の所有しておる優秀船三隻、価四十億のものを東邦海運から肩がわりをして、戦標船のボロ船、価格約三億のものと取りかえた、こういう問題に対して、運輸省としてはその企業整備の方法が非常にいい方法であるという意味の御答弁があったのです。その点について同僚生田委員からの質疑が起ったわけなんですが、私は政府海運企業整備というものが必要であると思うけれども、どういう方法でやったらいいかという具体的な構想があったら伺いたい。
  18. 栗澤一男

    ○栗澤政府委員 企業整備につきましては、内容的にいろいろございます。たとえば今までとられて参りました方策として、オペレーター相互間のグループ制というものがございます。一応各グループを結成することによりまして、グループ内の協調を保つ、あるいはグループ内のお互いの協力をしていく、あるいは船舶の融通もし合うというふうなことで、企業の協調態勢を整えているということがいえると思うのであります。あるいはさらに進みまして、航路によりまして船舶運航のオぺレーターの数が多くて、お互いに不当な競争を始めるというふうな事態が考えられますれば、その間に企業の統合といったようなものも考えられるかと思います。さらに広く考えますと、ただいま御指摘のありましたように、現在までの計画造船の割当方式と申しますか、これが実際に必要な、たとえば定期のオペレーターに定期船を割り当てるというだけでなくて、さらにこれをオーナーに割り当てたり、あるいは元来がトランパーでやっておるのに、たまたま一航路経営しているということとで、一応そのときの状態定期船を割り当てたというふうな実績もございました。その結果、実際に定期船をやっております会社は、同盟によりましては自社船でなくてある同盟には船が使えない、これが現実に一〇〇%使えない同盟もある。あるいは今年一ぱいは五〇%までは許す。来年はもう二〇%しか許さないという同盟もございます。そういう同盟に入っております会社は、やはり自社船を持たないと、同盟に配船をすることができなくなる。自分の航路権、ひいては日本の大事な航路権を維持できなくなるという事態も起ってくるわけであります。また実際に定期航路を経営いたしますのに、チャーターでやるよりも自社船で配船していくということがいいことは、申すまでもないわけであります。こういう場合に、お互いに自社船の必要な定期船会社には定期船を提供し、一方定期船を持っておったオーナーあるいはトランパーのオペレーターには、それに必要なトランパー・シップを交換によって譲渡するという方法も、一つの対応策と申しますか、企業合理化の一つではないかと私は思います。
  19. 小山亮

    小山(亮)委員 これは見方が二つあると私は思うのです。たとえば計画造船をやりますときに、二十五隻なり三十隻の船ができるならば、その半分が定期船である。そうすると十二、三隻の船ができる。その場合に、ある特定の会社が自社船を必要としておるというけれども、その会社には一ぺんにたくさん割り当てるわけにはいかぬから、一隻なり二隻なりしか作れない。そうすると、他の資本系統のオーナー会社がそれを一応作っておいて、逐次必要な会社にこれを移動していくという行き方も一つございます。また今のように日本の個々の会社の財政内容がこういうふうに貧弱になってくれば、そういうこともやむを得ない行き方かとも思うのです。また一つ考え方からいいますと、たとえば東邦海運が、これはほんとうの内容から見ますと、東邦海運日本郵船会社が合併しようというので、金融機関から強硬に東邦海運が押されてかなわぬというので、とうとう逃げて、しまいにその解決策として、その借金の始末に困って自社船の優秀船三隻を郵船会社に肩がわりした。そして郵船会社の持っているボロ船をこちらの方にもらったということになります。そういうことになりますと、一方郵船会社というのは、その年の郵船の資産内容を開銀から検討されて、そしてこの会社は当期においては二隻なら二隻の船を建造する担保能力がある。また金もこれだけならば貸せる、これだけならば採算も間違いなくやれるということで、二隻という限定をされて、海運局からも許可を得、開銀からも認可を得た、それで金を借りたというわけです。しかるにその認可を受けておいて、その裏でよその高く作った船を三隻ほとんど採算を度外視してこっちへ引き取るということがあった場合に、開銀の査定も、運輸省の査定も、その際にはこれはいかぬとかいいとかいうことは言えないのですか。そうするとそれだけのものをやったならば、この次の年にはお前の船を建造するのをやめたらどうだ。前に三隻作ってしまっているし、担保力もないのに、人の担保の船を借りて——当時東邦には担保はなかったのです。担保のないものを担保を抜いてまで郵船会社に移すには、郵船会社には担保がありよう道理がない。ない担保を作って、船の移譲ということを認めてやっているのです。そうすると、一方はこれだけの能力がある、運航能力もある。それから船を作らしてもらっても、それだけの負担能力もある。担保力もあるといって船を作らしてもらった会社が、たちまち自分会社の経営が行き詰まってしまって、よそへ譲らなければならぬ。しかも三隻とも譲らなければならぬ。譲ってしまって、また今度新たに船の割当を政府から受ける。政府もそれに対して、三隻作った船の維持すらできなかった会社に、まだ割当をしてやるということを政府が繰り返しておやりなる、そういう御方針なんですか。何でも船を作るときだけ都合よく、ちょうど試験にパスするように、うまい工合に要領よくパスさえすれば、あとはどうなってもかまわぬというふうなお考えなんですか。あとあとまで責任を持って、ずっとめんどうを見ていくのだという考え方なんですか。どちらなんでまか。もしそうならば、あなたがさっき言われたように、ほかのオーナーが作ってもかまわぬじゃないか。しまいにオペレーターがみなそれを吸収してしまうというような見通しがついているなら、オペレーターに作らしてもいいじゃないか。けれども、あなたの言われるように、それでは今までの方針が間違っていたのだから、ばらばらに作らせないのだというならば、そういう今まで作った船を人に譲り渡さなければならぬ、政府から借金をして作った船を、一、二年でまたよそに売り渡さなければならぬような会社には作らせないということを、あなたがおきめになるのがほんとうじゃないのですか。私はそこが、運輸省の方がはっきりした定木の上に立ってやっていないで、その場その場の向うの顔色一つでやっているような気がしまして、非常に不安なんですが、ここのところを一つはっきりさせていただきたい。
  20. 栗澤一男

    ○栗澤政府委員 御指摘の点は私にもよくわかります。と申しますのは、実は御説明が悪かったのかと思いますが、ただいま具体的な問題に例をとったために、かえって内容的の混同を来たしたのじゃないかと私は思うのであります。私の申しましたのは、そういう必要な船を必要な向きへお互いに交換でもして、実際に最も合理的に運営のできるように交換するということが望ましいのではないかということを申し上げたわけでございます。たまたま設例として今具体的に会社の名前が出たわけでございますが、この会社が前回に交換をいたしましたのは、先生の御指摘通り定期船を持ち切れなくて離した。これは要するに会社の更生のために自分では持ち切れないといって離して、自分に最もふさわしい不定期を郵船から融通してもらって会社の立て直しをはかった、こういうことでございまして、もともとその目的も会社の立て直しのためにそういうこをやった。郵船会社自分の船がほしい、定期船を自社船にできるのですから、問題なく譲り受けた、こういろ二つのことがこんがらがって問題になっておる、こう考えるのでございまして、実際具体的にその実例に当ります場合に、たとえば今の例に出ましたように、大体船の割当を受けておりながら、間もなくそれを手放さなければならぬというふうな会社はまずいじゃないかということは、御指摘通りでございます。従いまして私どもも船の割当をいたします場合には、資産能力は開銀が十分検討いたすわけでございます。御指摘の担保についても、開銀が一番中心になって検討いたします。従いましてそういうときに、開銀が見て担保力不足、また資産能力も十分でない、償還能力も十分期待できないというふうな場合には、たといそういう船舶の交換をしたとかしないとかいう問題がありましても、これは開銀から割当は受けられない、失格条件になる、こういうことになると考える次第でございます。それから私どもの海運政策の上から見まして、郵船会社にかつて割り当てられなかった、ほかの会社に割り当てられた船が三ばい急に入ったら、これはよけいなものじゃないか、少くとも今回は割り当てなくてもいいじゃないかということは、常識としまして当然考えられるわけでございます。ただこれは、郵船会社が現在の状況で会社の航路を経営していくのに船が十分であるかどうかという点、あるいは不十分としても、現在のテンポあるいは今までのテンポでこれを充足していくべきであるかという点が出てくるわけでございます。かりに三ばいの船が、突然と申しますか、計画内に入ったとしましても、なおかつ郵船会社が自社船で配船しなければならぬ航路に十分充当し得るだけの適当な船が不足しているという場合には、やはりその航路の維持のためには、計画造船としては定期船を割り当てるべきだというふうに私は考えるわけでございます。もちろんその場合に郵船会社にそういう措置をしたために担保が足りなくなってきたというような場合には、その面で二はいのものは一ぱい、あるいは一ぱいの割当も受けられないという事態が起きるかと思いまするが、現実には開銀の審査の結果、担保力もあるということで、との十一次の割当を受けたわけでございます。なおこれは蛇足でございますが、そういう措置をしましたために、一方の会社に船の割当を特にいたしておりません。
  21. 小山亮

    小山(亮)委員 そうしますと局長のお話だと、船の割当というものは、担保力とかあるいは資産内容を重点的に考えるのだから、割当はほとんど全部運輸省よりもむしろ開銀の方に責任があるという意味ですね。
  22. 栗澤一男

    ○栗澤政府委員 そうではないのでございまして、今も申し上げましたように、たとえば郵船会社なら郵船会社のこういう航路に定期船がぜひ必要だ。しかもこれは緊急に整備することが日本海運のためにいいのだというふうね点は、運輸省審査するわけであります。その上でその当該会社に担保力があり、あるいは資産信用力があるというふうなことは開発銀行が審査する、こういうふうになっております。
  23. 小山亮

    小山(亮)委員 そうしますと、今年あたりは郵船会社にはもう担保力がゼロなんですよ。というのに、割当を四隻要求していますね。そうすると、あなたのおっしゃるのは、担保力がゼロだからこれには割り当てちゃいかぬというのをきめるのは、開銀がきめるのであって、おれの方はそうじゃない、航路としては郵船会社にはうんと割り当てなければいかぬという査定をする、こういう意味にとれますね。いかがですか、そこは……。
  24. 栗澤一男

    ○栗澤政府委員 大体先生のおっしゃる意味がその通りかと思いますが、なおもう一度繰り返して申させていただければ、運輸省は航路の面から見まして、船をその航路に向ける緊要性というものを勘案して案を考える。開発銀行は当該会社について担保力の有無を検討して、両方突き合せて計画を出す、こういうふうになっております。ただ先生の今御指摘のように、ことしは郵船会社に担保が全然ないというふうなことは、少くともまだ開銀の審査を待たないとわかりません。
  25. 小山亮

    小山(亮)委員 だんだんはっきりしてきましたが、そうすると運輸省は、日本郵船会社の航路というのは大事であるから、それに対しては、少くとも計画の四十万トンまではどうしても定期船が必要だ。四十万トンは郵船会社に割り当てていく、担保があろうがなかろうが、いかなる条件にしても、航路ということから考えて、郵船会社に割り当てるという方針で進んでいるのだというふうに考えていいのですか。
  26. 栗澤一男

    ○栗澤政府委員 御趣旨がちょっとわかりかねるのですが、要するに四十万トンというものは、現在の各航路全体を大観してみまして、一々調べてそれから出した結論です。従いましておっしゃる意味が、郵船会社という例を出したけれども、こういう会社のやっているとの航路を将来こういうふうに整備していかなければならぬ。いろいろございますが、その各航路について考えたものが運輸省の計画であるかという御趣旨でございますれば、大体そうとっていただいてけっこうでございます。ただその間に、いつまでも郵船会社がやっておるか、あるいはほかの会社にその航路が変るということはあり得る。なお先ほど資産信用力、担保力というようなものは、開銀が責任を持って検討していただくと申し上げましたが、運輸省の方でも、全然それを考えずに、ただその航路の計画だけで考えるかと申されますと、運輸省でも若干資産信用力というものは考慮はいたします。従って開発銀行で担保力が全然ないというものを、運輸省の方で航路上の必要だけでこれに押しつけるというふうなことは、今までもいたしておりませんし、今後もないつもりです。
  27. 小山亮

    小山(亮)委員 五年間に四十万トンの外航船を作る。それは各方面の航路を勘案して、それを割り当てるというならば、しからば各会社に対するところの割当量というものは大体わかっているわけです。そうすると、郵船会社に対しては五年間に幾ら割り当てるつもりなんですか。これを伺いたい。
  28. 栗澤一男

    ○栗澤政府委員 まことに申しわけないのですが、ただいまその資料を持ってきておりませんので、後ほど検討いたしまして申し上げたいと思います。
  29. 小山亮

    小山(亮)委員 私はそこが非常におかしいと思うのですよ。航路によって、船が必要なところに割り当てる。どの航路でも、もうかりさえすれば、船を割り当ててくれと言うにきまっていますよ。今は外国航路はみなもうかるのですから、どの会社だって船をよけい作りたいのです。ですから、ごらんなさい、定期船の申請だけでも、今あなたのところでもって割り当てる数量の三倍も四倍も、もっと来ておるでしょう。それほどほしいのですよ。それなのに、日本郵船会社だけを特に考えて、これの航路が大事だから——ほかの航路も大事でしょう。そうすれば、特定の会社だけによけいに割り当てるという、それが私にはわからない。しかもその会社は、割当のほかに、よその会社の船をどんどん買い、吸収しているとすれば、そのことを少しも参酌せずにまた割り当てていくということになると、私はそういう会社——そんな莫大な高い船価の船をすぐに自分会社のボロ船と取りかえても買えるような会社に、なんで政府が特別に、よそよりか比較的よけいな融資をしていかなければならぬか。どうしてそんな人間にだけどんどんまだもうけさせ、また積み上げてやって、そうして働いても働いてもやっていけないような中小のかわいそうな造船所に、何も救済の手を打たぬというのは、どういうわけか。そこが私、あなた方のやり方についてくどく質問しなければならぬところです。郵船会社、郵船会社と言いますが、郵船会社戦争後社内の企業整備をしていますか。人員の整理もしていなければ、会社内の内容の整理も一つもしていません。そのままですよ。大ぜいの冗員をそのままかかえて、ただ今までの権力と過去ののれんによって安住してるだけですよ。あなた方を、つまり政府の役人を使ってですよ。私に言わせると——日本船主協会の内容をごらんなさい。あの船主協会の主要役員は、みな郵船会社に働いた残党ばかりあそこに集めてある。そうして各船主から集めている金は、一年に六千万円以上にも達しています。あんな船主協会に六千万円の金が要りますか。私はかつてあの協会の会計内容を見たことがある。決算委員と予算委員をしたことがある。そのときに五千五百万円の会費のうち、二千三百万円が行方不明なんですよ。何に使っているかわからないです。説明のできない金です。私はそれだからあの船主協会を脱退しました。脱退して二年たって、あの疑獄が起ったのですよ。その船主協会の会長が郵船会社の社長じゃないですか。そして割当を受けた船主に対して幾らというように分担金を命じ、あるいは利子補給を受けた会社に対して、その率によって分担金を命じて金を集めて、その金を政治献金したのじゃないですか。そうしたような問題が起ったときに——問題はとんでもないところから、火がついて暴露したのですけれども、自分のところに火がついてこようというときに、郵船会社の社長は築地の聖路加病院に四カ月も入院しちゃった。どこが悪いか知らぬけれども、四カ月入院して、指揮権発動によって事件がおさまったら病気がなおって出てきた。専務もそうでしょう。当時イギリスに行っちゃってる。そうして船主協会の神田という専務理事だけが引っぱられていたのです。飯野とか山下とか、それはもちろん関係者ですから引っぱられるでしょうけれども、一番の肝心の指揮した連中がのがれているじゃないですか。それが信用力か政治力か知りませんけれども。そういうことを考えられて、役所の方の方針ももう少し郵船会社あたりには遠慮させるようにしたらどうなんでしょうか。人もなげなるやり方をし過ぎてると思う。また今の運輸省なんかにしましても、私をして率直に言わせるならば、船主協会でやる仕事をほとんど運輸省にさせています。自分らが金が払えなくなった、その利息を負けてもらう。利息を負けてもらうのにはお役人に頼んで、開銀や何かに行って頭を下げさせて、自分らはうしろの方で腕をこまぬいていて、いい汁だけを吸っているのですよ。私は彼らが公僕だ公僕だといわれるけれども、こんな企業会社の公僕になる必要はないと思う。それにはきぜんたる態度で臨んで、むしろ困る人に対してあなた方はやさしい手を投げかけてやってもらえないか。今はそうですよ。労働問題を考えましても、実際中小船主やあるいは機帆船の乗組員やあるいは小さい造船所仕事が、あったりなかったりする造船所に働いている労働者の生活なんというものは、哀れ過ぎるのです。今日の時代に何ら捨てて顧みられないこういう人を、もっとあなた方の方で考えてやって、それに対する親切な施策というものをしなければならぬと思う。社会政策がない。社会政策がないような省は、これは民衆の怨嗟の的になりますよ。私は吉野さんなんかが大臣になられたら、この問題は一番先に手をつけて考えていただかなければならぬと思いますよ。そうでなければあなたの使命がない。社会政策とか徹底した中小企業対策をあなたがおやりにならなければ、吉野さんが大臣のいすにお着きになった意義がない。私は多分に期待を持っておりましたから特にこの点を申し上げるのですが、中小企業対策と同時にこの郵船会社なんかのやり方、こういうものに対してはもう少しあなた方の方で厳しい批判をおやりになったらいいと思うが、いかがですか局長、私の言うことが違っていますか。
  30. 栗澤一男

    ○栗澤政府委員 私別に郵船会社だけをひいきにしているというような気持は全然ございませんし、郵船会社を特に弁護するという気持はもちろんございません。また御指摘のように協会あるいは会社がやればいいことを役所がやっているじゃないか、こういう点も確かに反省してみまして現在あるように思われます。それでもなおかつ日本海運全体のためになると思うことを私どもは今後とも、たとい船主協会がやることだと思っても協力はいたしたいというふうには思っております。しかしながらあるいは多少の行き過ぎと申しますか、よけいなことまでしておるということもあり得ると思います。その点はなお十分考慮いたしたいと思っております。  それから先ほどのお話は、郵船会社に対しまして何万トン割り当てる計画かというようなお話でありましたが、そういうふうなものは私ども持っておりません。先刻は郵船に対して五カ年間に何万トン割り当てるかというような御質問でございましたが、そういうものは現在持っておりませんので、後ほど調べると申し上げましたが、これは撤回いたします。私の申し上げましたのは各航路別に現状を見まして、たとえばニューヨーク航路にしましても八社も九社も会社が入っております。この船を調べてみまして不適当な船が何ばいある、従ってこれは今後代船を建造してそろえなければいかぬというような検討をした結果、四十数万トンという定期船の建造計画ができておるのであります。もちろんその中には郵船会社もあり、商船会社もありますので、現状で不適格船が郵船に何ばいあるのか、あるいは欧州航路に何ばい入っているかということは、集計すれば隻数としては出て参りますが、それを五カ年間に郵船会社だけに割り当てるという気持は現在持っておりません。各年度ごとに計画造船におきまして一つ一つ審査をして、現状で一番この航路に緊要な船舶はどれかということを審査して割り当てるわけでございますので、特に郵船会社に対しては五カ年間幾ら割り当てるというふうなものは持っておりませんので、御了承いただきたいと思います。  それから先ほども申し上げましたが、たとえば今後前の設例のような問題がありまして、急に郵船にしても商船にしても予定外の定期船の適船が三ばい入ったというような場合には、もちろんそれを必要な航路に使うわけでございますので、その航路の当該会社の必要とする船舶というものは、それだけ当然減じられるわけであります。その場合には割り当てられないということがあると思うのであります。
  31. 小山亮

    小山(亮)委員 もう一つお伺いしたいのですが、政府企業整備を御奨励になりましたね。企業整備を奨励される具体的な方針というものはないのですか。どういうふうにしたらいい。たとえば東邦海運と郵船のようなやり方が一番模範的なものである、こういう意味ですか。ほかのものもそれと同様にやっていった方がいい、こういうお考えですか。
  32. 栗澤一男

    ○栗澤政府委員 東邦と郵船が模範的という御質問の意味がちょっとわかりかねるのでございますが、先ほど申し上げましたように、あの例は東邦海運の更生のために行われたという方がむしろ適切でないかと思います。日本海運の再編成のために行なったということよりも、更生のために行なったという方が適切な例になるのではないかと思います。従いまして私どもの考えております再編成と申しますか、たとえば今の船腹交換にしましても、オーナーが自分定期船を持っておるということは、やはり日本海運定期船経営からおもしろくない。一方定期船会社とすれば、自社船をぜひあの航路に出すのだという、その必要性から出た船腹交換であれば、当然奨励すべきものだと思います。これがたまたま持っておりましたオーナーやオペレーターが自分で持ち切れなくなった会社の再建、あるいは立て直しのために、どこか一つ必要なところがあったら、定期船を引き取ってくれないかということで始まったことであれば、おのずからまた考え方が違うのじゃないかと思います。
  33. 小山亮

    小山(亮)委員 具体的に例をあげてきますと、三井が乾汽船会社を買っちゃった、日東商船が新日本汽船を吸収した、まだほかに大阪商船が日本海汽船をどうするかどうするかという話があります。そういうことが理想的なものですか、奨励すべき、喜ぶべき現象ですか、そう考えておられますか。
  34. 栗澤一男

    ○栗澤政府委員 個々の会社の問題になるとなかなか申し上げにくいのでございますが、ただいまの御設例の中にも、実際船としては、ほかの会社に提供しておったオーナー会社でございます。その会社をほかのオペレーターが株を買い占める、要するに合併してしまう、あるいは株を買収して自分の勢力下に置いたという事例が入っておりますが、私ども海運当局から見まして、それは役所として必ずしも奨励すべき筋合いのものであるとは思わないのであります。
  35. 小山亮

    小山(亮)委員 そうすると海運当局は、企業整備などということは考えなくて現状維持なんでしょう。現状で動かないようになっておれば一番いい、こういうことになるのじゃないですか。今たくさん二百も船会社があって、外国との競争に対してなかなかたえ切れない。だからこれはなるべく企業整備して、オペレーターの数は限定する、そして特定の航路を持っておるととろに自社船を回してやる。要するに今まで他の会社の持っておるものでも自社船を回すことを奨励するわけでしょう。必要なんだから……。現在の政府施策からいうと、三隻でも四隻でもほしいという。またこれは認めていいという会社でも、担保がなければ船が一隻しかできないという場合には、よそから買い集めてふやしてやらなければならぬということになるのでしょう。それならば小さいたくさんあります群小の船主を集めて、大きな力強いものにしてやってこそ、日本海運は将来の発展性がある、こういうふうに今まで運輸省は言っておられたのではないですか。それならば今のように郵船が東邦を合併しようが、三井が乾を合併しようが、運輸省の方でとかくのことを言う必要はない。それが喜ぶべき現象でないというなら、今までの通りにして、企業整備をした方がいいというようなことはおっしゃらない方がいい。おかしいじゃないですか。
  36. 栗澤一男

    ○栗澤政府委員 私の言葉が少し足りなかったのでございますが、先生のただいまおっしゃるような意味企業整備は、もちろん今まで通り望ましいと私ども思っております。たまたま御設例に個々の会社をおあげになった中に、多少いかがかと思われるものがあったので、その点だけ申し上げましたので、全体的に見てそういう企業整備、あるいは統合して会社の強化をはかる、あるいは集約するというふうなことは、先生のおっしゃる通り私どもも望ましいことだというふうに考えております。
  37. 小山亮

    小山(亮)委員 私は日本語というものはなかなか使いにくいものだと思っているのですが、あなたの方でいいと思うことはいい、悪いと思うことは悪いとはっきり言ってくれればわかるものを、いいのだか悪いのだかわからない。結局企業統合しても——あなたのおっしゃることを率直に言うと、統合する人ののれんと顔ぶれによってはやっても差しつかえない。顔ぶれによってはやってはいけない、こういうことになるわけですか。たとえば郵船と東邦というのはかまわぬが、日東商船と新日本海運はよろしくない、こういうふうな、顔ぶれによってはいけないとおっしゃるのですか。
  38. 栗澤一男

    ○栗澤政府委員 個々の会社の実例を申されるので非常に申し上げにくいのですが、先ほども申し上げましたように、海運政策としましては、先生のおっしゃる通り統合、強化、集約というようなことは私どもも望ましい。これはもうその通り考えていただけばけっこうだと思います。ただ先ほどの御設例にありましたものだけ申し上げましたので悪いのですが、たとえば合併されるということは、船会社の集約になり、統合になり、これが強化になるわけですから、私もけっこうだと思うのであります。先ほど申し上げましたのは、たまたまそれがよその方へ船を出しておる会社を、株を買い占めて船を自分の方で使うというふうな考え方で始まったことであるので、道義的に見ておもしろくないのではないかというふうなことを申し上げたのでありますが、その点はあるいは御質問の趣旨と違うかと思いますので、この際撤回させていただきます。
  39. 小山亮

    小山(亮)委員 そう何べんも撤回されたら困りますが、先ほどの郵船会社の船の割当も撤回されましたが、撤回しない言葉を言って下さい。  海運局に対する質問はこれで一応やめまして、船員局に対する質疑を少しやりたいと思います。船員局の方でいずれこれは御説明下さることと思いますし、今日は船員局長が御病気ですから詳しい質問はいたしませんが、今度船員局でお出しになりました法案は、船舶職員法中の一部改正法律案でありますが、これをお出しになるにつきましては、現行船舶職員法の欠陥を船員局でお認めになって、これを何とか改正をするというお考えでお出しになったのでありますか。もしそうであるならば、どこが現行法規上実情に即さない欠陥であるかということについて御見解を伺いたい。
  40. 富田龍彦

    ○富田説明員 お答えいたします。現在行われております船舶職員法は二十六年にできまして、五年前の状況と現在の状況は、その間にこの法律が占領中に作られております関係上、マッカーサー・ラインその他の制約がありました。これが平和条約発効と同時に開放されまして、海運界並びに漁業界においては非常にその活動の場面を広げられたわけでございます。従ってこの職員法もその後それに伴う改正をいたしておりませんので、ある部分については現状にそぐわないような点が出て参っております。そこでこの法律を延ばしまして、一年間の間に現状に合いました法律にいたしたい、そういうふうに考えて一年間の延期をお願いしておるわけであります。  内容につきまして二、三申し上げますと、たとえば現在の法律では免状の有効期限を五年間に区切っておりますが、この免状の有効期限を廃止してはどうかというような問題もございます。また資格の定員等につきまして、若干現在の情勢と合わぬというところがありますので、これを根本的に作り直したらどうかという問題がございます。また従来この法律が出ます前には、学校を卒業した方には試験を行わずして免状を授与していたのでございますが、この法律によりましてそういう特別の措置を認めないことにいたしました。これをまたもとのように認めたらどうか。それから特別な政府による講習を行なって、その講習を済んだ人には試験を行わずして免状をやったらどうかというような問題がございます。
  41. 小山亮

    小山(亮)委員 免状を五年間使わないならば、自然にその免状の資格がなくなってしまうというふうな、全く驚くべき規定があの中にあったので私はびっくりしたのですが、それに対する改正政府が進んでなさるということならば、私は非常に賛成です。ただし、ただいまのお話の中に、学校を出て免状を受けた者あるいは特別の講習を受けて免状を受けた者には、国家試験なしに免状を付与するということについても、これからの研究の中に含まれておるということでありますが、私はそれはもってのほかだと思う。学校を出ないで実際に海上勤務をやりまして、そうしてみずからが刻苦勉励して免状をとっていった人、そういう人こそ最もとうとぶべきものでありまして、学校を出たからその人は何も苦労なしに、ただで免状をとれるというような特権を付与するということは、これは大へんな間違いです。戦前にはそういう制度がありましたが、アメリカが日本に来て、そういう制度を直して、機会均等である、だれでも同じように努力によって、学校を出た者も出ない者もひとしく国家の免状を受けなければならぬという制度に直してくれたことは、これは画期的ないい法律なんです。それをもとに戻そうとするのでしたら、私は反対なんですが、そういう御意思はあるわけではないでしょうね。
  42. 富田龍彦

    ○富田説明員 ただいま申し上げましたことは、そういう問題があるという問題点を御説明いたしましたので、政府でこういうふうに変えたいと考えているという意味ではございません。
  43. 小山亮

    小山(亮)委員 それで、どうせそういうことに対する改正はこの一年間に行われるのでしょうが、これは大臣にもぜひ聞いていただきたいのですが、従来こういう法案改正審議会とかなんとかいうものを作りますと、顔ぶれがきまっているのです。昔商船学校の校長をした人だとか、あるいは試験官を長い間した人だとか、六十才になっても、七十才になっても、その人が一番都合がいいから連れてくるとか、あるいはほとんど船なんか知らないような、船主の実情を知らないような者でも何でも連れてくる。要するに政府がきめるのは、見かけは何とかの学者とかいう肩書きはついているけれども、実際においてはほんとうに実務に暗くて、あまり知らないで、お役人がきめた法案をできるだけうのみにしていくような御しやすい人を委員にしている。それを何年たっても変えない。ほとんど同じ委員がやっているのです。これを役所から見れば楽ですけれども、今日の進んでやまない社会の実情からいえば、ほんとうに迷惑な、実情に即さない法律をどんどん作られて困る。ですから今度こういうことを改正なさるには、りっぱな実務に精通している人を選ばれて、人選を十分気をつけてやらなければならぬ。これを私はお願いしたい。これは御答弁がなくともおやり下さることと信じます。  もう一つは、最近日本郵船の船長がイギリスから帰りまして、それで向うの海運技術上のいろいろの団体の首脳部の人と協議をして、いろいろ日本に対する批評を聞いて帰ってきた。その人の意見が新聞に出ておりましたが、これはお役所の方もごらんになったことだろうと思いますが、イギリスでは過去においてはタイタニック号の沈没という世界を衝動した事件がありました。あの事件以来、イギリスには大きな海難というものはない。今後全滅させるということをイギリス朝野の人が非常に研究してから、もうイギリスには大きな海難がない。しかし日本には最近に至って、洞爺丸事件に引き続いて紫雲丸という大きな事件が起った。一年も出ないうちにまた次の事件が起った。一体日本にはこういう海難に対して、人命尊重とか、海難防止とかいうことに対するりっぱな技術的な審査機構がないのじゃないか。これを全滅させるために努力する、朝野を一体にするところの何らの施設がないのじゃないかということを、イギリスの人たちに痛烈に批判されておりますが、これは船舶局長なんかも十分ごらんになって御承知のことだと思います。今回こういうような問題についての船舶及び人命安全のために、救命ボートのつり出しであるとか、防火防水の訓練、それから航海諸機具並びに機関の現状調査、海図とか水路図の補正、荷役設備というようなものに対する研究、危険貨物にしましても、このごろは化学的ないろいろな薬品をたくさん積みまして、昔からありますような荷役設備であっては間に合わないのでありますから、人命救助なんかに対しては非常に大きな影響がありますから、こういう問題に対しては特に研究しなければなりません。それから各満々の情勢が戦争後ずいぶん変ってしまいまして、戦前にわかっているだけのデータでは、船を実際そこに回してみますと、港の規則が違っておって、そのまま荷役ができないというような状態がたくさんある。ところが郵船とか商船とかいう大会社は、そういう事態が起りますと報告書を受け取って、自分会社では調査機関があって調査して、自分の社船にはこまかい注意書きをやりますが、自分会社以外の他の会社にはそういう情報を出さない。困っても人の会社が困るのは平気で、むしろ人の会社は困る方がいいという行き方なんです。ですから会社々々でみなそれぞれ調査機関を持たなければならぬような現状なんです。大海運国なんといわれる日本船主の行き方としては、実に根性のきたないのに私は驚くくらいなんですが、これは役所も知っておいでになるでしょうが、各社にはそういうデータをしまっておいて、社外は極秘にし、そうして社船にだけ配って、この港に行ったらこういうことがある、またこういう規則が違っている、その場合にはこうしろああしろと、いろいろ注意書きがあって用意をしている。よその会社に対してはそれはやらぬということでは、日本のほかの船は困る。定期船でないトランパーなんというのは、ほとんど新しいところ、今まで日本船のめったに行かない港に行くのですから、その日本中の船が行った港の報告を受け取って、政府がそれを総合して、そうしてこの港に対してはこうだというようなはっきりした注意書きといいますか、港湾の要覧のようなものを作って、各会社政府の方から流してやるというような行き方、あるいは荷役設備にしろ、港によっては非常に規則が違ってやかましくて、普通の設備ができない場合があります。そういう場合には特別に、この港はこういうような設備が必要だというようなことも流してやるというようにしないと、そのたびに行った船が一日でも二日でも三日でもないし一週間ぐらい停泊しておって、日本から指令を仰いだり、いろいろな準備設備をしなければ荷役ができないというようなことがたくさんあるのです。この件数は戦後実におびただしい。これによって日本の国がこうむっているところの有形無形の損害というものは非常に大きいのですが、こういうものを一つ——役人に役所を作れと言うのじゃないのですが、審査の調査機関を作って、民間人や何かを寄せて、あらゆる資料を収集していく、そして政府がこれをリードしていく。何とか日本海運全体のためになるような方法を、役立つような要覧のようなものを作ってくれると、あるいは船員の訓練養成ということに対して適当な指導をしていく、こういうようなことをやってもらいたいと、こう思うのです。これらおそらく私の考えていることも、現在船員局や海運局考えておられることも、おそらく同じだろうと思うのです。ただ方法をどうしてやったらいいか、そういうことについて困っておいでになることだと思う。予算もこれは必要になることだと思いますが、多少の機構をふやしても、あるいは予算をふやしても、これは一番大事なことです。繰り返し繰り返し大きな海難をやっているような国は、世界の一流国家じゃないのです。一度大きな海難がありましたら、未来永久にああいう海難がないように、朝野をあげて根絶するように努力するのが当りまえなんです。それもやらないで、同じことを何べんも何べんも繰り返している国は、これは野蛮国なんですから、私はその点について特にこの際、国の損失をこんなに膨大にいつもいつも繰り返し繰り返しやるというようなことのないように、特に私は大きな刺激を受けたあとなんですから、運輸省でこの海難事故というものを全滅させるような特別な画期的な御考慮を願いたい、こう私は思うのですが、運輸大臣の御所見を伺っておきたい。
  44. 吉野信次

    吉野国務大臣 ただいまの御意見ごもっともと思いますから、せっかく私もそういう方向へ努力いたしたいと思います。
  45. 松山義雄

    松山委員長 生田宏一君。
  46. 生田宏一

    ○生田委員 簡単に二つ三つお尋ねしたいと思うのです。第十二次計画造船の審議会の答申案は、もう大臣のところに出ておると思います。そのことについて内容を私は検討してみましたが、一、二伺っておきたいと思います。  それは定期船に関する審査の方法について、船舶の航路に対するその船舶の適格性、建造希望船主の資産信用力、海運業者としての実歴及び経営力を考慮して決定する、こういうふうになっております。それから次の不定期船と油送船のところでは、その船舶の経済性を考慮するとともに、特に建造希望船主の収益力、担保余力、償還利払いの実績その他資産信用力、海運業者としての実歴及び経営力、こういうものを調査する、こうなっておりますので、だいぶ内容が違うように思うのです。不定期船の方は建造希望船主の収益力、担保余力、償還利払いの実績、こういうのが余分についているように思いますが、定期船、不定期船、油送船について特にこういうように審査の条件を違えておるのは何か意味があってのことですか、運輸省の方でお考えになっておりますのを承わればけっこうです。
  47. 栗澤一男

    ○栗澤政府委員 御指摘のように内容は若干表現が変っております。しかし資産信用力を調査するという点におきましては定期船も不定期船も同様でございまして、ただ若干その気持におきまして、定期船につきましては不定期船よりも船主の資産信用力というものが、割合に重視されるというような点もあるというふうに御了解いただけばいいかと思います。と申しますのは、定期船の方が特にその航路に対する船の適格性とか、あるいは航路の整備状況というようなものが割合に重視されまして、そういうものを見た上、さらに希望船主の資産信用力というものを見るという考え方になっておりますので、その辺が若干考え方に軽重があるというふうに御了解をいただけばいいと思います。
  48. 生田宏一

    ○生田委員 不定期船の場合には、特にその収益力あるいは元利償還の支払い能力が考慮せられるというのは、その理由はどんなものでございますか。
  49. 栗澤一男

    ○栗澤政府委員 定期船につきましても、不定期船につきましても、実際に開発銀行から政府資金を融資いたしますので、担保の力とかあるいは担保余力とか、収益力というようなものを考えなければならぬことは御承知通りと思いますが、不定期につきましては、特定の航路とかあるいは船の使い方というような点につきまして、基準とするべきものがございません。そういう点は不定期については見るが、定期については見ぬ、こういうような差異がございます。資産信用力の内容としましてここに書いてないから、定期船については収益力とか、担保力とかあるいは償還利払いの実績等を見ないかという御質問でございますれば、そういう点も見るのであります。実際上は決してここに書いてないから見ないというようなことではございません。
  50. 生田宏一

    ○生田委員 それではお尋ねいたしますが、書いてないのですから重視しないということだろうと思うのです。そうすると資産信用力、それから海運業者としての実歴及び経営力を考慮してということになりますと、これははなはだ抽象的なことになってくるのです。ところがこの間資料をいただきましたが、定期船の中にも元利の支払いが到来したものについて三割六分しか払っていないものもある。むろん利息もたまっておるものもある。中には六割五分ぐらい支払いを了しておるものもある。そういうことになりますと、定期船会社にも、これは名前は申せませんが、償還金のうまくいっているところとうまくいっていないところとある。こういうものはむろん考慮せられるべきだと思いますが、しかしながらあなたの方で計画建造をお許しになった数からいうならば、元利支払いの一番低いものが一番たくさん計画造船の割当を受けておる。名前は申せませんが、そういうことになります。そうしますと、あなたの今のお考えなどはむしろ無視した計画造船を今までやっておる、こういうことになるのですが、いかがですか。
  51. 栗澤一男

    ○栗澤政府委員 実際割当をいたします場合には、各船主について資産信用力も、あるいはただいま御指摘の償還の実績も、全部開発銀行の方で詳細に調べまして、大体その程度以上であれば開発銀行としては融資の対象としても差しつかえないというふうな線を一応出しております。その上で運輸省の航路計画あるいは航路の整備計画というようなものから勘案した割当の原案というようなものを作りまして、両方突き合せて割当をいたしておるのであります。御指摘のような非常に償還実績がいい、利払いもやっておるといいながら、特別に航路の緊要性がないからということで、割当を受けなかったというふうな船主はないかと思いますが、私過去全部にわたりましての記憶がありませんので、あるいはそういう場合もあり得るかと思いますけれども、大体開発銀行としては、この程度以上は融資の対象として差しつかえないというものから割当をいたしておる、こういうわけであります。
  52. 生田宏一

    ○生田委員 私はあなたの方でもらった表で見ておりますので、これは正しい数字だと考えておるわけでありますが、あなたの方で割当をされたのは、三割六分しか払っていない会社が一番たくさん割当を受けておる、そうして定期船の中で六割六分ぐらい払っておるものは一番少く見ておる、こういう事実がここにあるわけです。そうするとあなたの方では元利償還の利払いというものはあまり考慮せずして、定期船の割当をしておった、こういうことになるのじゃないかとお尋ねしておるわけであります。それであなたの方で今回の海運造船合理化審議会の方からお出しになった答申案については、定期船については特にそういうことをはずしてあるのじゃないかこういう疑問が起きましたからお尋ねしておるわけであります。
  53. 栗澤一男

    ○栗澤政府委員 これはお話がございませんが、この提出いたしました表で三割六分五厘という数字でございますと、これはあるいはお間違いがあるかと思うのでございますが、三割六分という数字は延滞しておる数字の比率でございまして、この数字が少い方がいいこの数字の多い方がたくさん滞っておるというふうにごらんいただきたいと思います。
  54. 生田宏一

    ○生田委員 その次にお尋ねしたいと思いますことは、先ほど小山委員からお尋ねしておった件でございますが、この整理統合について優先的に考慮するというのは、優先的というのは譲渡したもの交換したもの双方に優先的に計画造船を認める、こういうことでございますか、その内容を一つ……。
  55. 栗澤一男

    ○栗澤政府委員 その交換または譲渡等が、要するに企業の合理化、再編成に資するためということに出発をしまして、実際私どもの方で見ましてもそれが日本海運の合理化、再編成のために非常にいいことだということであれば、建造について双方にやはり優先的にというふうに考えております。
  56. 生田宏一

    ○生田委員 そこに疑問があるということでいろいろ質問が出るのだと思いますが、私はその場合に、あなた方がお考えになっております計画造船の手直しをしたい、十二次までやってきたのだから、計画造船というものをともかくあるときにはライナー一本でやってみたり、あるときには総花的にやってみたり、あるときには定期航路を確立したい、戦前の水準にまで持っていきたいというようないろいろな要素があって、その要素がどれもみな必ずしも同じような観点から出ていないので、そこにちぐはぐなものが出てきているのだ、それを手直しをしたいということはよくわかるのです。ですからそれは私の方としてもぜひやっていただきたい、こういう気持が強いわけであります。しかし交換をした場合に、たとえば先ほどお話があった東邦と郵船とのことは原因が違うので、これをその完全な例として取り上げることは少しどうかと思う点もありますが、東邦が持っておりました三ばいの定期船を郵船に渡した、郵船からは不定期船を渡した、こうして三隻が計画造船のぺ−スを乱してどっかの会社が多くなる、その会社へまた、そういうことがあってもなくても同じような造船が認められるようなぺ−スで造船の割当を受けるということになると、そこに利害得失が出てくるのでおさまらないということになるのであります。そこであなたの方で整理統合をやるならば、むしろ定期船会社で不定期船用の船を建造することを割り当ててやって、そしてオーナーが定期船を持っておって、自社船主義に該当しない船はこれを交換して、定期船をやっておる会社に一対一の割合で交換をしていく、そういうように変えたならば、小山先生のような御質疑もなくなるのじゃないか、そのような方法ならばあなたの方で整理統合を十分に推進していただきたい、こういうように思うのですが、そういう方法はあなたの方でお考えになっておりませんか。
  57. 栗澤一男

    ○栗澤政府委員 ただいま御指摘の方法でございますと、定期船会社に交換のために不定期船を割り当てるというような方法をとらなければならぬということになるわけでございますが、先ほど来申し上げましたように、定期船会社につきましては当該会社の経営しております航路を具体的に調べまして、航路の維持のためにぜひこの際緊要な適格船を割り当てるというふうな方針になっておりますので、むしろそのために今不定期を割り当てて交換をさせるという方法は、私どもとしては実際その選考の方針と申しますか、政策上非常に都合が悪いというふうな気がいたすのでございます。またぺ−スを乱すという御質問でございますが、先ほど申し上げましたように、たとえば予期しないような原因で急にその当該会社に三ばい船がふえますと、そのために結局当該会社の航路の船は三ばいだけ現実を見るわけでありますが、むしろそれで充足の緊要性がそれだけ減ってくるというふうなことも考えられるわけであります。従いまして全体として通観しますと、その場合にはむしろ優先するとは書いてございますが、一方においてまた割当を受ける緊要度が減少するということが考えられるわけです。この選考の基準につきましては各項目がずっと並べてございますが、ごらんの通り一、二、三までの基準をいろいろ適用し、さらにそのほかに共通の第四の(一)の条項を適用するのでありまして、これだけを一番先に取り出して、これによって優先的にまず割り当てるというふうな方式にはなっておりませんので、そのほかのいろいろな点を基準として選考の上、さらにここへきてこういうものがあれば、なおこの点でも優先させるというようなふうに御了解いただきまして、もしこれだけで、これがあれば必ず優先的に割り当てるのだというふうに御了解でございましたら、その点はただいま申し上げましたように、いろいろな基準のうちの一つの項目であるというふうに御了解いただきたいのでございます。
  58. 生田宏一

    ○生田委員 それではこの優先的というのは意味が弱まっておるというお話ですから、だいぶこれは問題が軽くなったようにも思うのですが、この際一つお聞きしておきたいと思いますのは、一体定期船と不定期船との相違というものは、今の日本海運の現状ではどのように相違があるか、私のような貧弱な知識ですが、日本定期船というのは、就航航路が定期航路であるから定期船といわれ、また就航航路が不定期のところであるから不定期船といわれるのが一般的な状態ではないか、ほんとうに日本の船で、定期船として世界的な水準に達しておる船が一体何隻ぐらいあるのであるかということになれば、おそらく数隻を出まい。そこでいつも話を承わっておって私は疑問に思うのですが、定期船と不定期船というものは、船の性能やその他において区別し得るような日本海運界の現状にあるのか、また定期航路をやっておって、都合が悪くなって不定期航路に変った船が成績を上げておるところもあるようにも思われるのですが、定期船と不定期船との差というものは、その船の船型、性能等においてはどのくらいの差があるか、日本の現状では世界の水準に達して定期船といわれるものが一体何隻ぐらいあるか、ちょっとお尋ねしておきたいと思います。
  59. 栗澤一男

    ○栗澤政府委員 隻数は、ちょっと今資料を持ち合せておりませんので的確には申し上げかねますが、たとえば欧州航路に配船いたしております郵船、商船の船、特に郵船の船でございますが、そういったようなものはもう世界の水準に達しておる定期船考えてよいと考えます。三井も同様でございます。それから定期と不定期がほんとうに船型から現実に分けられるかという話ですが、大体概論的に考えますと、積荷が定期物資と不定期物資とが、たとえば雑貨を積むというような関係がございます。あるいはスピードの点におきましても、概括的に申しますと定期の方がスピードが早くなるということは申せますが、実際当該の船で定期に使った船が不定期に使えないかということでございますと、特別な高速優秀船というものは別でございますが、中速、準高速ぐらいの船でございますと、やはりこれを不定期にも回しております、また使っておるので、必ずしも実際に使えないというものでないというふうに御了解願いたいと思います。
  60. 生田宏一

    ○生田委員 それでは今のあなたのお話によりますと、大体定期船と不定期船との差はあまりない、ただ少数優秀なものもある、こういうことだと思うのですが、たとえば定期航路といえば、三重デッキで十六ノット以上ということで世界の水準があるだろうと思います。速度あるいは船型等でその水準に達しておる船が何隻ぐらいあるか。
  61. 山下正雄

    ○山下(正)政府委員 ただいま定期船と不定期船の問題が出ましたが、定期船と不定期船とは根本的に相当相違がございます。御承知のように定期船と申しまするのは、船の航路をきめまして、寄る港も大体きまっております。また積む荷物も大体きまっております。どっちかと申しますると、定期船におきましては雑貨的な荷物が多い。従いましてその定期を組む場合には、ある程定のスピードがなくてはならない。世界の大きな船会社におきましても、大体定期航路につきましては船主に対するサービスの関係上、速い船を使っておるという状況でございまして、従いまして船型も割合船の長さが長くて、幅が狹くてスピードが出る。また積む荷物も雑貨のようなものがございますから、割合に船の腹を大きくする。しかしスピードの関係がございますから、べらぼうに大きいものはできませんけれども、そこら辺はバランスを考えて船の長さをきめ、腹をきめ、スピードをきめるということでございます。また荷役につきましても、一つの港に長く停泊しますときには、船の運賃が非常に不経済に高くなってくるというような関係もございまして、荷役を早くするために、割合優秀な荷役設備を持っております。そういうのが大体定期船の場合でございます。ところが不定期におきましては、どちらかといいますと、特定な荷物を初めから予定しておりません。もちろん船会社におきまして、この船は小麦を専門にいきたいとか、また鉄鋼石を専門にいきたいとか、またはなるべく石炭を多く積むようにしたいというような計画がございまして、大体それに合うような形にはなっておりますけれども、船自体としましては、定期船のようにはっきりした目的とか積荷の制限がございませんので、従いましてなるべく多く積んで、しかしスピードはその割になくてもよい。と申しますのは、積みます荷が割合安くて量の多いものが多いために、割合船がゆっくり走っても採算がとれるということになりますから、どうしても船腹が大きくて、スピードは割合おそい。また停泊するにしましても、そういう荷物を積む関係上、割合ひまがかかりましてもかまわないというような関係がございまして、設備関係定期船に比べて能力が小さいというような関係がございます。従いまして大体定期船と不定期船とは今申し上げましたような区別はございます。しかし例をとりまして悪いかもしれませんが、二尺の刀でも三尺の刀でも、刀として使えることは当然でございまして、多少便不便があるというような点において、定期船を不定期船の航路に使うというようなことも間々あり得るかと思います。必ずしもその航路でなくては使えぬというようなものではございません。
  62. 生田宏一

    ○生田委員 それはあなたのおっしゃる通りだと思うのですが、それでは日本で世界の水準に伍してこれならと思っておられる定期船、十六ノット以上の船、試運転のときは別ですけれども、しかし就航航路を経済速度で走ってみて、十六ノットも出る船であって、三重デッキの船というものは、一体日本には何隻ぐらいありましょうか。
  63. 山下正雄

    ○山下(正)政府委員 大体ニューヨーク航路と欧州航路の定期路は、三重デッキを持っております。
  64. 生田宏一

    ○生田委員 隻数は。
  65. 山下正雄

    ○山下(正)政府委員 隻数ははっきり覚えておりませんが、全部で三、四十隻ではないかと思います。ただいま資料を持ち合せておりませんので、必要がございましたら何隻あるか、後刻詳細に調べまして御報告申し上げたいと思います。
  66. 生田宏一

    ○生田委員 今のお話、資料を持っていないとおっしゃいますけれども、三、四十隻というのは、けたが一つ多いのではありませんか。経済速度で走ってみて、十六ノツトも出て三重デツキというのは、日本には三隻か五隻ではありませんか。(小山(亮)委員「いや、そんなことはないよ、もっとある、戦後できた。二十一隻ぐらいじゃないか。」と呼ぶ)
  67. 山下正雄

    ○山下(正)政府委員 三隻や四隻ではないと思いますが、詳細は調べまして後刻また御報告申し上げたいと思います。
  68. 生田宏一

    ○生田委員 ちょっと大臣にお尋ねしたいのですが、たくさんある船の中で二十一隻ぐらいあるというお話が今出ておりますが、そうしますと定期船と不定期船との関係というのは、少数の船を除けば、就航航路によって、その船の用途によって違ってくるけれども、船本来というものは、最近できた船を除いては、そんなに優秀な船というものはたくさんあるものじゃない、こういうことだと思うのです。そうすると、かりに整理統合してみても、あなたの方で言われる定期船の中でも、定期船だといっていばれる船もそんなにたくさんあるものじゃない。そこで、そういうふうなものはそんなに気ばって考えずに、整理統合されるのを自然な状態にまかしておいたらどうだろう。どうしても整理しなければならぬものがあるならば、それは新造船の一隻対一隻で交換してやるようにして、そうして特別に計画建造のペースを乱すようなことにしない方がいいのじゃないか、こういうならば別に議論をする必要はない。そこで定期船会社が不定期船会社の船と交換するというならば、新しく不定期の船を割当をして、その新造船計画造船の船を交換してやるようにしたらどうだらう、こういうふうに思うのです。そうなれば別にこんなことを書かなくても、また書いておっても差しつかえないと思うのですが、そういうふうな運用をされるならば、私は整理統合もはなはだけっこうだと思うのです。が、お考えを承わりたい。
  69. 吉野信次

    吉野国務大臣 大体そういうことだと思うのです。これは合理化審議会の方で一応答申したわけですから、これを十分尊重しなければならぬことは当然です。私も尊重はいたしますが、今新造船を割り当てるときに、特にそのために圧力を加えて整理統合するという考えは持っておらない。お話通り自然にまかせる。そうしてかりに自然にできた場合において幾らか優先的に考慮する、こういうふうに考えております。
  70. 生田宏一

    ○生田委員 今の大臣のお答えのようですと、これは弊害も非常に少い、これは私は非常にけっこうなことだと思うのであります。けれども海運局長お話ですと、何かペースを乱した割当になる、結果がそういうことになる、こう言うので、これはどうしても承服できないようなお話ですから、私は大臣の御意見を聞いてみたのです。  もう一つお尋ねしたいと思いますことは、公募をなさったのですから、開銀なり市中銀行との間の話し合いがついたと思うのです。これは計画造船の線にのっとって銀行筋には御了解がついたものだと思うのですが、いかがですか。
  71. 栗澤一男

    ○栗澤政府委員 公募内容その他につきましても、開銀、市中銀行と十分相談しまして、話し合いがついて公募をしたわけであります。
  72. 生田宏一

    ○生田委員 そうすると、それも開銀が五で、あとの五のうちの一は船会社がみずから調達できる含みだと、承わっておりますが、実際に船会社が今の——私どものいただいております資料を見ましても、多いものは八割九分くらいの支払いがたまっておる、少いものでも二割くらいは支払いができていないのですが、そういうような船会社状態で、一割の自己資金の調達が円滑にいくような状態でしょうか。
  73. 吉野信次

    吉野国務大臣 それはできるはずです。というのは、結局自己資金といいましても、そのめいめいのうちのたんすに金をしまってあるわけじゃないので、やはり銀行から融通を受ける。ただその場合にいわゆる計画造船の方の資金として出すか、あるいは自己資金の名前で出すかということで、資金のソースも違いましょうし、その条件も違いましょう。それだけの違いはございましょうが、大体においては自己資金とはいいながら、これはやはり銀行が承知しなければできないものだと思っております。その点についての了解は完全についていると思います。
  74. 生田宏一

    ○生田委員 もうこれで終りますが、大体そういうことだろうと私も想像はしておるのです。ただ銀行家がそういう正面切って私の方で引き受けるということを言わないだけのことだろうと考えておりますが、そうなりますと、従来の計画建造とは違って、本年からは開銀の負担の方も少くなる、また利子補給の方も非常に少くなる。この程度で参りますと、計画造船利子補給という観点から、あるいは開銀出資の歩合からいって、これはもう非常に感じが薄れてくる。むしろ本年度の予算を見ましても、千四百億の民間資金を財政融資の方へ持っていくというような状態になってきておるようでございますから、この計画造船は近く、三十二年には期限もくることですから、三十二年をもって計画造船は、日本経済界も造船界の状態も、自然にその期限が切れると同時に、これをもって終末を告げるのではないかというような感じもするのですが、運輸省はこれについてはどのようにお考えですか。
  75. 吉野信次

    吉野国務大臣 好況が続けば、私はなるべく早く特別な政府の保護はやめたい、こう思います。しかし今お話の三十二年の期限というのはどういう期限か知りませんが、私の承知している限りでは、計画造船の期限はこれから五年であります。ですから計画を、五年間にある一定の目標だけは作りたい、これは動かないつもりです。ただそれをやるについて、今まで通りの手厚い——手厚いと申しますか、今まで通りの補助をやる必要はだんだんなくなるだろうと私は思います。なるべく早く自分で立つようにしたい、こう思っております。
  76. 生田宏一

    ○生田委員 私の申し上げましたのは、もちろん財政資金を出して、それで計画造船をするならいいのでございますけれども、しかしながら利子補給でありますとか、損失補償でありますとか、そういうような問題を今申しておりましたので、今の大臣のお答えと同じような意味でございます。しかし船舶局あたりで何かこれをもう少し延ばしたらいい、延ばすべきじゃなかろうかというような意見も強いように聞くのですが、そんなような御意見は船舶局にございませんか。
  77. 山下正雄

    ○山下(正)政府委員 実はこの造船規模につきましては、臨時船舶建造調整法というのがございまして、それが来年の三月の終りに失効になります。ところが、現在の輸出船等に非常にたくさん注文がきておりますが、それらの船が、失効後に建造を始めるというのが相当出ております。従いましてこの計画造船というものを円滑に進行せしめますためには、やはり輸出船との関連もございまして、私ども輸出船は大いにやりたいと思いますが、しかし国内船の建造まで阻害してこれをやろうという考えはございません。従いまして輸出船の建造と国内船の建造と両方をうまく進行させるために、やはりこの建造許可というものを計画造船の終期まで延ばしていただくのが適当じゃないかというふうに考えて、近く臨時船舶建造調整法の延期につきまして御審議を願う予定をいたしております。
  78. 生田宏一

    ○生田委員 よろしゅうございます。     —————————————
  79. 松山義雄

    松山委員長 この際お諮りいたします。現在地方税法の一部を改正する法律案内閣提出)が地方行政委員会において審査されておりますが、本法案は本委員会にとりましてもきわめて関係深い軽油引取税の新設等を内容といたしておりますから、この際地方行政委員会に連合審査会の開催を申し入れたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 松山義雄

    松山委員長 それではさように取り計らいます。  なお開会の日時につきましては、地方行政委員長と協議をして決定いたしたいと思いますので、さよう御了承願います。  本日はこれをもって散会いたします。    午後一時二十一分散会