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1956-02-21 第24回国会 衆議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十一日(火曜日)    午後一時四十七分開議  出席委員    委員長 松山 義雄君    理事 臼井 莊一君 理事 木村 俊夫君    理事 畠山 鶴吉君 理事 山本 友一君    理事 青野 武一君 理事 中居英太郎君       岡崎 英城君    佐伯 宗義君       關谷 勝利君    堀内 一雄君       眞鍋 儀十君    池田 禎治君       下平 正一君    正木  清君       松岡 駒吉君    小山  亮君  出席政府委員         運輸事務官         (海運局長)  粟澤 一男君         運 輸 技 官         (船舶局長)  山下 正雄君         運輸事務官         (自動車局長) 山内 公猷君  委員外出席者         運輸事務官         (捕獲審検再審         査委員会事務局         総務課長)   富岡 延一君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 二月二十日  捕獲審検所検定の再審査に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第一七号)(参議  院送付) 同日  新潟海上保安部出雲崎出張所設置請願(三宅  正一紹介)(第六八九号)  道路運送法の一部改正に関する請願河野密君  紹介)(第七二四号)  同(小林かなえ紹介)(第七二五号)  同(保科善四郎紹介)(第七二六号)  同(薩摩雄次紹介)(第七二七号)  同(横山利秋紹介)(第七二八号)  同(淺沼稻次郎紹介)(第七五三号)  同(松平忠久紹介)(第七五四号)  同(渡邊良夫紹介)(第八〇四号)  同(徳田與吉郎紹介)(第八〇五号)  同(福井盛太紹介)(第八〇六号)  同(高橋禎一紹介)(第八〇七号)  同(川野芳滿紹介)(第八〇八号)  同(山本粂吉紹介)(第八〇九号)  久慈港修築に関する請願山本猛夫紹介)(  第七二九号)  北海道水産物鉄道貨物運賃改訂に関する請願  (椎熊三郎紹介)(第七三〇号)  自動車損害賠償保障法の一部改正に関する請願  (亀山孝一紹介)(第八一〇号)  乙女港開設等に関する請願廣瀬正雄紹介)  (第八一一号)  の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  捕獲審検所検定の再審査に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第一七号)(参議  院送付)  陸運に関する件  海運に関する件     —————————————
  2. 松山義雄

    松山委員長 ただいまより運輸委員会を開会いたします。  捕獲審検所検定の再審査に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)を議題といたします。  本法案は去る六日予備審査のため付託され、昨二十日参議院より送付、付託されたのでありますが、質疑はございませんか。
  3. 關谷勝利

    關谷委員 本法案はきわめて簡単なものでありますから、質疑討論を省略して、採決せられんことを望みます。
  4. 松山義雄

    松山委員長 ただいまの闘谷君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松山義雄

    松山委員長 御異議がないようですから、質疑討論を省略して、直ちに採決に入ります。  本案原案通り可決いたすに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松山義雄

    松山委員長 それでは本案原案通り可決いたしました。  なお報告書作成等につきましては委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 松山義雄

    松山委員長 それではさよう取り計らいます。
  8. 松山義雄

    松山委員長 前会に引き続き陸運に関して調査を進めます。關谷君。
  9. 關谷勝利

    關谷委員 簡単に一・二点だけお尋ねをしておきたいと思います。自動車局長にお伺いをいたします。今ハイヤータクシー業界が非常な混乱状態に陥って、紛糾を来たしておるということを聞いておるのでありますが、この実情自動車局長はよく知っておられるのであるかどうか。なおまた知っておられるとするならば、これの一本化とかその他について努力をせられたことがあるのかどうか。なお将来どういうふうに持っていこうとしておられるのか、この点ちょっと伺っておきたいと思います。
  10. 山内公猷

    山内政府委員 ハイヤー業界実情につきましては、私が御説明するまでもなく御承知でございますので、蛇足をつけ加えることを省略させていただきます。私もまだ就任いたしまして日が浅いわけでございますが、前職時代より、この問題につきましてはよく知っておることでございますし、前任者におきましても、一つ業界が分立をいたしますということは、行政を浸透し、業界を向上する上からいきましても好ましくないこともときにありますので、何とかそういう業界がすっきりした格好であるようにいろいろ努力をいたしましたし、また当時の大臣におきましても、その線に沿って努力をいたしたわけであります。これが一本ですっきりするということにつきましては、私もその方針につきましては当然のことと思いまして、今後ともそういう線で努力をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  11. 關谷勝利

    關谷委員 就任早々自動車局長にあまり多くお尋ねしましてもなんですから、これからの御努力を期待いたしまして、その点はこの程度でやめておきますが、これまたいろいろ各委員とも各方面から陳情を受けて非常に困っておられる問題であろうと思いますので、当局の御意見だけを伺っておきたいのであります。タクシー運転手の二交代制というふうなことが、今労働基準局あたりから強く主張せられて、実施をしておるそうでありますが、実績に徴しますると、こういう制度をとって以来というものは、かえって事故が多くなったというふうなことがいわれておるのでありますが、そういう実績はどういうふうになっておるのか。なおまたこれは、労組あたり上層部におきましては、警視庁あるいは労働基準局あたりが圧力を加えたために、そういうことに賛成をしておるが、大体個々のどの労働組合意見を聞いてみても、従来のような一昼夜交代にしてもらいたいという希望が多いということを聞いておるのでありますが、そういうふうな実情であるのかどうか。なおまた今まで労働基準局等といろいろな折衝をせられたことがあると思うのでありますが、そういう経過について簡単な報告を願いたいと思います。
  12. 山内公猷

    山内政府委員 ハイヤータクシー労働時間の点につきましては、労働基準法ができました当時におきましては、業界が特異の労働態勢を持っておるということによりまして、八時間労働制を一応はずしまして、通運事業その他と同じような勤務の態勢が許されておったと私承知しておるわけでございますが、その後基準法改正によりまして、こういう業種も、通運事業だけ残ったと思うのでございますが、そのほかは八時間労働制をしくということになりまして、ただ急速にそういう適用をするということも事業実態上支障があるということで、附則におきまして、その点の施行が指定をする日まで延ばされていたというのが実情ではないかと思います。私もその点につきましてだ泥十分法規的に調べておりませんので、自信のある御答弁はできないのでございますが、一応労働関係としては、そういった法律経過ではなかったかと思っておりますが、誤まりがございましたら、また後ほど訂正させていただきたいと思います。それで自動車局といたしましては、たしかその当時今御指摘がありましたように、基準監督署の方と一緒に一、二実態調査をいたしたこともございます。それで最近労働省におきまして、その延期しておりましたものを全面的に実施をするというようなお話があるやに聞いております。正式にまだ役所の方でそういう意見を聞いておらないのでございますが、業界を通じてわれわれ聞いておるわけでございまして、それになりますと、一応ハイヤータクシー従業者は八時間労働ということになるわけでございまして、問題はその実施を現在できるかどうかという点にあるのであろうと思います。この点につきましては、運輸省といたしましても、事故防止の点、労働者保護の点、あるいは企業者経営の面、各方面から目下検討いたしまして、労働省とあるいはお話し合いをする必要があればいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  13. 關谷勝利

    關谷委員 今いろいろ意見を徴して調査中というようなことであります炉、労働関係法律を、自動車タクシー運転手あたりも、船員あるいは鉄道従業員と同じような特例方向に持っていくというふうなお考えは今あるのかないのか、まだ今調査をした上で将来そのように持っていかれようとするのかどうか、この点ちょっと伺っておきたいと思います。
  14. 山内公猷

    山内政府委員 八時間労働制といいますものは、現在の日本労働界における一つの常識でもございますし、これが労働者の最低の保護であるというふうに理解されておるものでございます。それで運輸省といたしましては、たとえば八時間労働以上の労働をした場合に、一体事故がどのくらいふえるのであろうかというような点につきましても、まだ十分な資料を持っておりませんので、的確なお答えをいたしかねることは遺憾でございますが、とにもかくにも自動車運転というようなものは、非常に神経を使いまして、長い継続的な労働をするということは、事故防止見地からも適当ではない、やはり理想といたしましては八時間労働であるべきであるというふうにも考えられるわけでございます。しかしこれは業界がそういう態勢になっておることが前提条件でございまして、まずそういう態勢を整えさせることが非常に急務なわけでございます。現在すでに三交代制をやりまして、そういう準備に入っておる業界方々相当多いのでございまして、運輸省といたしましては、その労働実態を把握いたしまして、移行を早からしめるような方向へは行きたいと思うのでございますが、その実態も確かめずに急速に八時間労働制を施行させましても、規則を押しつけても、なかなかその実効が上らないということになりますと、また違法をしいることになりますので、そういう方向に移行できるように業界を指導いたしたい、かように考えておる次第でございまする。   〔委員長退席臼井委員長代理着席
  15. 關谷勝利

    關谷委員 それでは早急にその実態を御調査願いたいのと、なお個々について調べますと、私は業界のことは十分わかりませんが、一昼夜交代というのを非常に希望しておる者の方が多いやに聞いておるのでありますが、これは実態調査せられまして——いろいろ調査する方法もあろうと思いますし、なおこの運転手希望が多い場合には、そういう方向へ持っていくように指導せられるようなお気持があるかどうか、そういうふうな交渉をやろうとする御意思があるのか、あるいはどうしても八時間労働でなければいかぬのだというようなことに運輸省は持っていかれようとするのか、その点を一つ伺っておきたいと思います。
  16. 山内公猷

    山内政府委員 もちろん使われている人の意向を尊重するということも必要でございますが、ただそれだけでこの問題を解決することも非常に危険ではないかと考えております。といいますのは、事故の原因といたしましてはやはり車両の故障その他もありますが、従業員の過失というものも非常に大きなパーセンテージを占めておるわけでございまして、ただその面だけでなく、運輸省といたしましては人命尊重見地から、事故を少くするという点からも十分な考察を加えなければならないので、総合的にそういう点を調査研究いたしまして、まず運輸省意見を定めて労働省お話を申し上げたい、かように考えている次第でございます。
  17. 關谷勝利

    關谷委員 これは私がいつもタクシーを拾いますたびに運転手に聞いていろいろやっておるのでありますが、二交代制というか三交代制というような方法をして、宿泊所拡充あたり経営者にやらして、そとへ泊って八時間労働をやって、次の睡眠時間へ入ってみましても眠れぬというのであります。その方が疲労がはなはだしいために、かえって事故が多いという状態だというのがほとんど一致した意見でありますので、これが統計にどう現われておりますか。私個々運転手に聞いた話でありますので、その内容はどうであるのか、ただ便宜上そういうふうなことを言うのか、あるいは実際にその方が事故が少いのか知りませんが、実際に自分の家へ帰ってゆっくり休んでまたその翌日働くという方が、ほんとうにからだの衰弱が少い、従って事故も少いというふうなことであるとするならば、私はこれは考えなければならぬ問題である、このように考えますので、早急にこの実態調査せられまして、もし私たちが今聞いておること自体がほんとうであるならば、事故防止の面から申しまして、これは海運あるいは鉄道従業員等と同じように特例をしくべきものである、こういうふうに私は考えるものでありますが、よく実態調査をしていただいて、早急に結論を出していただきたいと考えております。これは要望いたしておきますので答弁は要りません。
  18. 臼井莊一

    臼井委員長代理 以上で陸運に関しての調査を本日は終りました。     —————————————
  19. 臼井莊一

    臼井委員長代理 これより海運に関しまして調査を進めます。発言は通告順にこれを許します。前会に引き続きまして小山亮君。
  20. 小山亮

    小山(亮)委員 私は運輸大臣から御答弁を承わりたいと思っておったのでありますが、後刻運輸大臣が見えましたときに運輸大臣意見を伺うことにしまして、実際の海運行政を直接あずかっておられる局長の御答弁からまず伺いたいと思います。  私が海運行政に対してなぜこういう質疑を繰り返しておるかと申しますと戦争後の海運行政内容を見ますと、他の各省と比べて非常に異なっておりますのは、日本海運行政には中小企業対策といわれるようなものが一つもない。他の省には大なり小なり中小企業対策というものはあります。また社会政策的な見地に立ってのいろいろな弱小企業者に対する優遇的な施設がたくさんあります。しかるに海運行政だけは絶対にないと言っても差しつかえないくらいであります。辛うじてあるということを運輸省が言われるとするならば、先般F型に対する金利引き下げをやったくらいの程度か、あるいは今度出されるという機帆船に対する組合を作るということくらいが、しいて言うならばその中小企業対策とでもいわれるでしょう。それすら何らの恩恵を受けているのではない。私は戦後の日本海運において、かような露骨な大資本家、大特権財閥を擁護しているような政策を平然としてとっていることを、非常に不満に思っておるのです。戦争によってひとしく惨禍をこうむったという点においては、船舶業者である以上は、大汽船会社であろうと中汽船会社であろうと小汽船会社であろうと同様であります。金額の大小はその資本の構成によって違うのでありますけれども、ひとしく全滅的な影響を受けていることにおいては一つも変っておらない。そうすればなぜ日本海運行政定期船を本位とするような大財閥、大資本家、大企業だけを特別に保護することが、私はどうしてもふに落ちない。それで何回も私が質問を繰り返しておるわけなのです。  戦後計画造船が行われまして、政府国家資金を融通しておる。これはとりもなおさず国民の税金なのです。税金融資して海運再建をはかる。海運再建をはかるということはいいことなのです。しかしながら再建をはかるという名目に隠れてやっておりまする実績を見ますと、実際恩恵を受けているのは、はっきり名前を出してもいいくらいな限られたところの大汽船会社だけなのです。それは本日御提出になりました融資の表によりましても、戦後政府から資金を借り受けまして船舶建造に当りました会社は、この表で見ますと八十四社、総額が約一千億に達する程度になっておりますが、その中で先般特に外航船として船の建造を申請した場合には建造を許可するといわれたいわゆる特権的な立場におります会社が約十七社、大手とまではいかないでしょうが、この十七社だけで借りました金は総額の六割で約六百億、しかも十七社の中で今度はさらにその中のまたほんとう大手筋の郵船、三井、飯野の三社はどのくらい借りているかといろと、この三社だけで約二百八十億から三百億近く借りている。十七社の半分を借りておるわけです。私はこういう点を見て、毎年々々船舶新船建造資格審査をなさって、必ずどんなことがあってもただいま私が申し上げたようなこの三社はワクに入って、政府からの莫大な建増資金を借りる資格を持っている。しかも他の会社が一隻の船を作るときには、二隻ないし三隻というような船を作る資格を与えられる。そしてそれに対しては多額の金を貸してもらっている。しかもこの三社に対しては全部みな利子補給で利息が低減されておる、こういう状態なんです。私はこのやり方を見て、これを繰り返し繰り返して参りますと、船舶建造認可を得た会社と、認可を得ない会社とでは、船ができるとできないということだけで格段の財政的差がついてしまう、資格にうんと差がついてしまう。少くも一万トンの船を一隻作る資金としては約十億くらい、あるいはそれが二隻であれば約二十億円、そのくらいの金を借りて船を作らしてもらうという権利を与えられるのと、絶対船を作らすことの権利を与えられない会社でありますと、入学試験に合格した者と落第した者との差以上に差がついてしまう、非常な差です。それは会社企業を運営しているものにとりましては、ほとんど生殺与奪の権を運輸省に握られてしまう。一方その査定に合格しなかったならば、その会社の運営に行き詰まりを生ずるというまで、非常な痛手をこうむるのです。そういう大きな権力を運輸省が与えられている。そうしてやっているところを見ますと、世界でも名の響いている大会社だけが国家恩恵を十二分に受けておるということになります。そうして中小企業国家に対しても、大企業と同じように日本海運再建のために働いておる。その全国でも二百もあります汽船会社に対しては、国家から何らの恩恵を受けていない。中小企業対策は全然ない。この対策、このやり方が果して妥当なものであるかどうか。こういうやり方は当りまえであって、日本海運行政というものはこうでなければならないのだ、その通りやっているのだ、こういうふうに運輸省は考えておいでになるのか。なお引き続いていつまでもこの態度をおとりになるのか。私はこの貴重なる国家資金を、特権的な財閥だけに重点的にいつまでもこの恩恵に浴せて、しかもこれに対してはさらに利子が補給されているというこの恩恵を——はっきり名前をあげてもいいくらい、いつもその恩恵を受ける会社がありますが、そういう会社は永久にこの恩典を受けるという政策炉、今の進歩した行政官僚であるといわれる運輸省官僚方々が、今のこのやり方は当りまえのやり方だ、これ以外にはないと考えておいでになるのか、そこを一応伺っておきたい。これは大臣から伺いたいのですが、何といっても大臣はしばしばかわるものですから、おそらく吉野さんも海運行政を十分知っておるとは私は考えておりませんが、あなた方と御相談なさっても、この際に大臣の所信も私は明らかにしてもらいたいと思うのですが、さしあたって一番その責任者・であられる局長から、その意見を伺わせていただきたい。
  21. 栗澤一男

    栗澤政府委員 ただいまの御質疑・分けますと二点になるかと思うのでございますが、外航船舶拡充のためにする造船計画割当やり方が、一体今までのままでいいかどうかというのが一点と、それから内航対策というものについて、運輸省には海運政策はないではないかという点、この二点になるかと思うのであります。  初めの外航船計画造船につきましては、戦後壊滅的打撃を受けました日本海運を復興するために、どういう方から手をつけたらいいかという点を考慮されまして、まず第一にこれは外航船拡充急務であるということから始まったことと、私どもは今承知しておるわけであります。そのためにはほとんど壊滅をしました定期航路も、すみやかに回復しなければいかぬ。もちろんこれに伴って日本海運の隆昌をもたらしましたトランパーにつきましても、並行的にこれを樹立していかなければならぬというような観点から計画造船も行われてきたもの、こういうふうに考えております。従いまして今までの割当の仕方というものが、大体において小山先生のおっしゃいますように、過去において実歴を持っておる、あるいはその割当の当時において相当実績を持ち、また現実経営力のあるものに重点的に割当をしてきたということは、事実として私はあったかと考えるのでございます。それが先生のおっしゃいますように、日本にはまだ船主がたくさんあるというのに対して、まんべんなくいきわたっておらぬじゃないかということであれば、この点は事実において仰せの通りかと思うのでございまするが、しかし一方財政資金と申しましても、あるいは利子補給予算と申しましても、おのずから限度というものがございまして、これ炉限度に行き渡ることも事実問題として不可能である。同時にまた財政資金も、要するに国家融資でございまして、相当償還能力を持ち、資産信用力のあるものでなければ、開発銀行もそれぞれ融資対象として取り上げるということはむずかしいかと思います。やはり財政資金であっても融資である以上は、償還能力相当確実な見込みのあるものでなければ融資対象にし得ないということは、これはやむを得ないかと考えるのでございます。従いまして今後の計画造船割当につきましても、あるいは今お話のようにできるだけ政府資金であるから行き渡るように考慮すべきではないかという考え方も、確かに一つあり得ると思います。しかし一方に過去においてすら、たとえば三十数万トンというふうな大きなトン数を計画したときには、むしろ総花主義であったのではないかという批判さえ受けておるような次第でございます。この点は相当考慮を要すべき問題ではないかと考える次第でございます。  またもう一つの問題としまして、先般来議論をされております戦時補償打ち切りを受けた金額というものも、相当考慮すべきではないかという点も、私ども将来の施策としては検討いたしております。これも海運界のみに戦時補償打ち切り額というものを考えて、これによって計画造船割当をするということも、これだけではいかがかという気もいたしますので、重点的に取り上げるという段階にはまだ至っておりまん。従いまして総括的に申し上げまして、今後の計画造船につきましても、少くとも開発銀行融資対象とするに足る償還能力を持ち、資産信用力のあるというものに限定をされることは、私どももやむを得ないのじゃないかと考える次第でございます。ただその場合に・たとえば今年度のように相当市況もよし、船舶相当数量この際作るべきだというようなときには、私どももできるだけ手続を持ち、あるいは相当の実力を持っておる会社には、特にオーナー、トランパーというふうな場合には、これに割り当てるように進めたいというふうに考えている次第でございます。ただ定期につきましては先般も申し上げましたように、現実にその航路経営している船会社というものが、先生もおっしゃいますように限定されておりまして、現実に今行なっておるものということになれば、おのずからやはりお話通り十数社というようなものに限定されるということは、現実の姿としてやむを得ないのではないかと思うのでございます。  次に中小企業対策の問題でございますが、御承知通り今までただいま申し上げましたような外航船舶拡充という点に非常に重点が置かれまして、海運関係におけるいわゆる中小企業と申しますか、内航船対策が非常に不十分であったという点は、率直に私どもも認めなければならぬと考える次第でございます。過去ににおきましても、先ほど御指摘のありました通り、F型についてはこれの金利引き下げ実施し、あるい船舶公団当時における若干の割当というふうな程度しかなかったという点も、私ども認める次第でございます。あるいはこの点につきましては私どもも少くとも今後は内航船対策というものも、十分力を入れていかなければならぬということは考えておりまして、先ほど御指摘のありました組合法につきましても、その一環としてできれば今国会に提出いたしたいと考えておる次第でございます。またE型につきましても、先般来二回にわたりましてスクラップ・ビルドの方式をとっておりますが、なお現在百隻程度のE型船が残っておりますので、これのスクラップ・ビルドというような点も考慮しなければならぬかと思っております。さらに機帆船等につきましても、船腹の余剰というものが五カ年計画の上からいって、どの程度に将来消化されるかという点も検討いたしております。この結果によりましては今後の対策を考えたいと思う次第でございます。なお内航船につきましては海陸輸送の調整、あるいは運賃調整という問題もございまして、これも先般来省内に特別の会合を設けまして検討を進めておりますので、その結論によりまして必要な措置はとるようにいたしたいと考えております。なお今般の計画造船につきましても、今までのような四千五百総トン以上というような大型の外航船に限らずに、できるだけその下の方にもいわゆる窓口を開きたいというふうな気持もございまして、あるいはまた中共貿易の将来の発展等を考えまして、少くともさしあたり三千トン程度まで船舶のトン数制限を下げたいというふうにも考えております。将来は相当それ以上に下げるということも検討の上考慮したいというふうに考えておる次第でございます。
  22. 小山亮

    小山(亮)委員 第一の御答弁はるるお答えになりましたけれども、結論において今までおやりになったことが間違いないことだ、やむを得ないことで当りまえのことであって、もうそれ以上に改める意思はない、こういう御答弁ですか。それをまず伺いたい。
  23. 栗澤一男

    栗澤政府委員 二点ほど申し上げましたが、要するにもう少し行き渡らせるべきではないかという点、それから戦時補償打ち切りの問題をどう考えるかという点、この点は検討はいたしておりますが、少くともさしあたりこれをすぐ取り入れて、計画造船割当方式を変えるということは、今のところ考えておりません。こういうふうに御了解いただきたいと思います。
  24. 小山亮

    小山(亮)委員 局長の御答弁の中で、割当をするにはその資格審査をする。それからその資格審査の中で経営能力であるとか、担保力であるとか、信用力があるとかというものを考えて、そうしてその融資がなされているのだということをお話しになりました。それから貸した金は政府の金だから、返済能力がなければならぬ。それはもう当りまえのことなんだ。政府の金だから返さなければならぬのは当りまえのことで、そういう意味からもし審査をなさるなら、私は会社名前をあげることはどうかと思うが、日本船会社の例をとってみますと、日本船会社日本で一番たくさんの融資を受けております。他の三井船舶が金を借りてまだ八十八億七千万残高があるのに、郵船は百二十四億二千八百万、これだけの金をまだ政府に返さないで残っておる、償還してないのです。こういう会社で、しからばこの会社が今度船の建造のときに担保力があるか。担保ということは、作った船自体が相当の価格の船なんですから、その船自体に大きな担保力があるので、船以外の担保力をどのくらい求められるかということは、そんなにたくさん求める必要はないのではないかと思うのです。しかし従来のやり方からいいますと、作る船以上に十分な担保力がなければ金は貸さぬようになっております。郵船会社はそれでは担保力があるか、郵船会社は今船を建造するとなると、担保に提供すべき船腹の余剰を持っておりません。名前は大きな会社ですけれども、担保力のないことにおいては日本で有名な会社になっておるでしょう。局長の御承知通りです。そうすると信用力ということになる。郵船の信用力はどこにあるかというと、店が古い、しにせだということです。そのほかには政治力を持っているということです。のれんが古いということのほかに政治力を持っておるということであって、担保力はない。実際に金を借りたときに、貸金に対する担保に提供すべきところの財産はないのです。政治力とは何ですか。政治力というのは、あの有名な造船疑獄事件が起ったときにはっきり現われております。政党に対する献金ですよ。政治的献金をする力を持っておる。しかもあの造船疑獄事件のときは、ほかの飯野海運であるとか、山下汽船であるとかがどんどん出ましたけれども、実際あの内容を知っておる私に言わせると、おかしいのですよ。船主協会が中心になってやつだのですから、その船主協会の一番の会長である郵船会社の社長が指揮したことは当りまえでしょう。船主協会の理事やあるいは専務理事はみな引っぱられておる。ところがあの会長は事件が起ると、どういうものか急に病気になって、聖路加病院に三ヵ月も入ってしまった。専務はどうしたかというと、郵船の専務だけは海外に旅行してしまったので、引っぱろうとしてもあげられなかっただけで、指揮権発動で事件が済んでから外国から帰ってきたというわけなんです。そして日本の国に残っていた者だけが、みな検察庁に引っぱりあげられてしまった。新聞に書き立てられたのはそういう者だけです。つまり病院に逃げ込んだり海外に旅行してしまった者は、ちゃんと免れておる。そしていかにもあの疑獄事件には何にも関係のなかったように見えますが、実際船主協会の会長である人がこの指揮命令をしたということは、これはだれが考えたって間違いない事実でしょう。私はそういう点からいうと、あなたの言われる郵船会社に信用力というものがある。信用力とは何だ、古いのれんだ。日本郵船という古いのれんと膨大な政治力ですよ。いわゆる政治力というのは、あの船主協会のいろいろな船主を動員して金を集めて、どこの政党へ持っていくか知らぬが、持っていくだけのこと、それだけの金を動かす力を持っておる。これだけのことですよ。今のようなやり方をやっておりますと、幸いにして査定を受けて信用力がある、政治力がある、あるいは担保力があるとかなんとかいう名前建造をした、借りた会社はよいですが、借りなかった会社はそれだけで・死刑を宣告されたのも同じような状態なんでしょう。そうすると、死刑を宣告されるか、生かしてもらえるかの境ですから、陰に回ってもあるいは表面からでも、いろいろな方法で、どんな方法を講じても自分の船を建造してもらいたいために、あらゆる手段を許することはわかり切ったことです。そうすると造船疑獄事件なんというものは、この間の事件だけで絶えやしません。これは永久について回るということになる。それはひっきょうするに、現在の運輸行政というものが、そういうような特定の人だけにあくまで利得を与えて、他の者には何も利得を与えられないような行政の制度になっている。それが根本の方針になっている。そこに非常に暗い陰がつきまとうのではないかと思うのです。あなたはもうおそらく、今のようなやり方ではいかぬのだ、何かもう一つ別な方法で、今までのような片寄ったやり方でなくて、もっとあまねく中小企業者まで全部が、日本の船腹を増大させ得るような方法を考える構想を持っておいでになるではないかと私は思います。今も中小企業対策をいろいろおっしゃったけれども、もし海運中小企業に対する対策があるならば、どうしてお出しにならないのですか。だれか議会に出してはいけないという者があるのですか。今こそ日本が船を一番必要としているときです。作りさえすればみんなちゃんと採算が合ってくる。中共貿易の面だって、あるいは近東貿易の面にだって、今船をどんどん作らなければ間に合わないくらいなのです。しかももう外国船はどんどんと注文しておって、二年も三年も造船所の船台は一ぱいにされておって、なかなか船ができない。今あいているのは、大造船所ではなくて、中小造般所であります。その中小造船所の船台があいているときに、日本が現在及び将来において一番必要とするところの、中共向けの小型船をどんどんと作らしてやるというような構想を、あなたはお持ちになってもいいはずではないか。あなたはまた現在の日本の中小造船所の船台の模様であるとか、あるいは中共方面や近東方面の貿易の状況を見て、まだまだ二年や三年船を作らないでいいと考えておいでになるのか、今もう作らなければおそいのではないかとお考えになるのか、どちらですか。私はそういうことのあなたの御認識からもう一ぺん伺わなければ、結論が出てこないと思うのです。もしそれに対して局長局長としての意見があれば、こういうときに遠慮なく言っていただいて、お互いに日本の将来をどうしようかということを考えようじゃないですか。あなた方がこれがいいとおっしゃれば、私どもそれに共鳴する以上は、われわれもその方針を遂行するように努力いたします。自分にいい考えがあっても隠しているのか、あるいは考えがあってもだれかじやましていて、それを出せないのか。あるいは何か別な方法があって、別な障害があって、あなた方の意見政策の上に現われてこないというようなことがありましたら、それを遠慮なく言っていただきたい。今のような情ない中小企業対策、機帆船対策、あるいはF型の運賃を下げてもらうとか、——そんなことはあなた方に下げてもらったのではないのですよ。これは運輸委員会でやかましく言って、大臣をどんどん鞭韃したので、前の三木運輸大臣が重い腰を上げて、海運に話をして、話が開けた。あなた方も努力なさったでしょうけれども、これはそれだけ炉中小企業対策で、これをやったらもういいのではない。あるいは今度ボロ船を解体させて、新しい船を作るなどということは、中小企業保護育成になるのではないと思う。船の必要なときにどうしたら船ができるか、どうしたら日本海運は発展するかという方法に対しての、もっと根本的なわれわれ炉納得のできるような案というものをお持ちではないでしょうか。それを伺いたい。
  25. 栗澤一男

    栗澤政府委員 いろいろと御鞭韃をいただきましたことを、まことに恐縮に存ずる次第でございます。順序を追って申し上げますが、まず担保の問題につきましては、これは実際金を貸します開発銀行が、詳細に調べて算定をするわけでございまして、お話中にありました日本郵船に物的担保力があるかどうかという点は、開発銀行で銀行としての目から見て調査の上で、どの辺まであるかということをいつも算定をされるわけでございます。私ども開発銀行調査による担保力というものを信用いたしまして、これがあるといえば、その隻数までは出せるというふうに心得でおるわけでございます。お話のように新造船につきましては、大体六割程度の担保力を見まして、あとはいわゆる増し担保と申しますか、そういう担保で在来の資産から担保をとるというふうな方式をとっております。なおそれにつきまして、郵船の信用力というもの、先生のおっしゃいますいわゆるのれんと申しますか、国際的に今までつちかってきた郵船の経営力、あるいは外国における評価といったようなものも、これは一応考慮してしかるべきものかと私どもも考えるわけでございます。海外におきましては、やはり何と申しましても、郵商船というものは古くからの信用がございまして、御承知のように同盟関係においても相当これは評価されておるのでございまして、従って荷主にも相当の信用がございまして、こういう信用力というものは、日本国家としてもやはり活用しなければいかぬものではないかと私ども考える次第でございます。  なおお話の政治力の点につきましては、私どもの選考のと毒には、私どもも別にこれを特に有利ということはいたしておりません。事実また郵船会社がそれほど大きな政治力を持っておるとは、お言葉を返すようでございますが、私は思っておらないのでございます。  なお今のような方法を続けていけば、また再びああいう忌まわしい事件が起るのじゃないかといろ点につきましては、私も全くそのように危惧いたすのでございます。私ども十分注意はいたしておりますが、いかなる不測な事態が起るかということは・日夜戦々きょうきょうといたして注意いたしておるわけでございます。そういう誘惑と申しますか、おそれというものが、必らずこういう行政にはつきまとうということは、私ども過去の例から見ましても、十分そういう心配をすべきであるし、絶えず注意を払わなければならぬと思うのでございます。従いましてできればこういうようなおそれのある方法はやめるべきではないかというのが、私どもの偽わらざる気持でございます。計画造船財政資金を貸すということも、必要の悪であるというふうに私は考えるのでございます。たとえば過去においてやりましたように、一定のレベル以上のものについては抽せんでやるというような方法がとれれば、少くとも現在よりはそういうおそれはなくなるというふうに考えるででございます。遺憾ながらそういう無害任な抽せん方式というふうなこともなかなかとりにくい現在は、よりよいお法を模索しながら、やむを得ずこの程度方法をとっておるというふうに私どもも考えておる次第でございます。  なおお言葉の中にございました、もっといい方法をお前たちは考えておるではないかということも、あるいは昨年あたり検討いたしました公団、公社あるいは海事公庫というような方策のことを御指摘のことと思います。私どももその点は相当深く突っ込んで研究いたしました。上司にも御献策申し上げまして、一時は閣僚懇談会まで持ち上げて選考していただいたのでございます。遺憾ながらいろいろの事情のために、当時実現に至らなかったのでございます。根本的に現在のやり方では、先ほど申しましたようないろいろな弊害もありますし、さらに今の担保力の問題、あるいは将来の計画造船の問題等につきましてもいろいろ考慮いたしまして、やはりああいう方式が望ましいのじゃないかということを、昨年立案いたしました私どもとしては現在でも考えておる次第でございますが、なおこの点につきましては実現の時期をいつにするかというふうな問題も多いのでありまして、少くとも現在のこのような市況のときにこれを持ち出しましても、実現の可能性は少いというふうな点も考慮いたしております。なお船主の中にも若干この方式に不満があるというような意見もござましたので、私どもも全体としての十分な自信がなかったという点もございまして、日の目を見ていないわけでございます。現在におきましても、私どもの気持ではいつかの時期には、そういう点も考えなければいかぬのじゃないかと思っておるのでございますが、本年度これをもう一度持ち出して実現の運びにまで持っていくという気持は、ただいま持ち合せておりません。御了承を願いたいと思います。
  26. 關谷勝利

    關谷委員 私先ほどからいろいろお尋ねしたいと思っていたのでございますけれども小山委員からしきりにお尋ねをせられますので、それを拝聴しておったのでございますが、今小山委員の質問に対しての海運局長の御答弁は、従来の方針を踏襲していって、今はこれを変更しようという気持がないのだというふうなことに受け取れるのであります。私が受け取っておるのが間違いだったら間違いを御指摘願いたいのでありますが、私は見解を異にいたしておりまして、もう転換期がきておる、次の造船割当の際には従来と違った方法をとるべきものである、このように私は考えておるのであります。外航船にいたしましても、これは先ほど局長も触れられたようでありますが、郵船その他が信用があるので、これを利用しなければならないというふうなことでありまして、その信用は落ちてないから、ことに郵船その他に対しては今まで相当割当がいっておる。この前のごときは、あのわずかな定期船割当で、三社に対しては二隻ずつというふうな膨大な割当がいっており、ほかに必要なところがあってもそれが落されておるというふうなことで、私たちはあの割当に対しまして非常に意外な感じがいたしたのであります。私は今は国際競争に耐えられるような国際水準の規模といいますか、その程度の規模にはほぼ到達しておるのではないかと思う。戦後のあの荒廃したときは、仲間入りのできるようなものを作らなければならぬという方針で、そのようなことも考えるべきでありましたが、今の場合にはもうその時期は過ぎ去っておるのであって、一応充実ができた。そして信用力もある。これで国際水準の仲間入りができたと思う。これから先は、一定規模ができておりますその他の、戦時中に災害を受けたりいろいろしておりますところの外航船会社で小さいものに対しまして、これを育成し、そうして会社経営がやっていける程度まで引き上げるべきであって、今までの特別なものだけでなく、それ以下のものを一定の規模まで引き上げなければならぬ時期がきているのではないか。割当を均霑させなければいかぬのではないか、私はそういう考え方を持っておるのでありまして、おそらく小山委員あたりもそこらを言いたかったのではないかと思うのでありますが、外航船割当についても私は考えなければならぬ転換期がきておるのではないかと考えておるのでありまして、まずこの点について局長に御意見をお尋ねいたしたい。  次にお尋ねいたしたいのは、内航船の対策が今局長が言われておっても、いまだ新しいものが何もない。委員会で問い詰められた結果、ようやく足を運んで・外航へ出たことのあるものだけに限ってという狭い範囲内で金利引き下げができたということだけで、それ以外の見るべきものはない。あの利子を外航並みということでありましたならば、固定資産税も引き下げるべきでありますが、そういう手も何も打たれておりません。なお内航船が非常に困っておりますのに、鉄道の遠距離逓減の関係で海と陸が逆になっていることがあるが、この点については国鉄その他と協議をして、いろいろ善後策を講ずるというようなことも考えてない。さらに何というか、こういうわずかな資金外航船舶に振り向けるその一隻分でもこれにさいたならば、内航船舶の救済ということはたちどころにできるような状態にあるのに、一向それは考えられていない。今も小山委員指摘いたしましたように、中小企業対策というものが全然考えられておらない、こういうことになっておるのでありますが、私は今はそういうことも考えなければならぬ時期がきておると思う。外航船割当自体でも転換期にきておる。また外航船は非常によくなってきておりますが、内航船は依然としてどうにもならぬ、こういう点においては内航船を救済するという方向に持っていくべきである。今まで外航船のみに偏重しておりましたのは、国際収支の改善ということが大前提となっていたのでありますが、これはできておるのであります。こういうことを考えますと、内航船に向けなければならぬ。中小企業対策の上におきましても、海運政策の上からも転換期がきておる。外航船会社あたりの考え方にしても、私は転換期がきておると考えておるのでありますが、こういう点について局長ほんとうに考えておられるのか、まだそんなことをする時期でないというふうに考えておられるのか、率直にお述べを願いたい。なおこの転換期がきておりながら、今まで通りにやっていこうという考え方が出ておりますその根本となるものは、あの海運造船合理化審議会というか、あの顔触れが同じ者がいつまでも選ばれておるからであります。運輸省のいろいろの委員の顔ぶれを見ておりますと、いつも同じような狭い視野からのみ考えられて、しかも割当を受けるようなものばかり、大きなものばかりが入っておるというようなことでありまして、中小企業等は締め出されなければならぬような顔ぶれになっておるのであります。こういう顔ぶれは変えるべきものであるということを、すでに私は一年くらい前から言っておったのでありますが、一向そのような様子もないようであります。あの同じような顔ぶれ、改選期のたびごとにほとんど同じ者が出てきまして、そういう人の意見ばかりを聞いておりますから、おそらく局長の頭もそういう人と同じ頭になって、出てくる言葉もやはり同じような言葉が出てくるのではないかと考えるのであります。この審議会の委員を変えなければ、運輸省海運政策というものは変ってこないと考えるのであります。この審議会の委員はもちろん任期があるのかもしれませんが、これは別に法律的に定められたものではないように考えておりますので、変え得られるものではないかと思うのであります。こういうようなものを変えてやるというような気持があるのかないのか、この私のお尋ねについて、小山委員の御質問に関連して海運局長の御意見をお伺い申し上げます。
  27. 栗澤一男

    栗澤政府委員 ただいまのお話の外航あるいは内航対策という面からでも・すでに転換期がきておるのではないかというお話、非常によくわかりました。その意味でございますれば私どもも全くそういうふうに思っております。と申します意味は、内航対策というものは今までは外航に押されてほとんどなかった。この点については現在一番考えていかなければならぬ時期であるということについては、私も同様の気持であります。ただ外航船割当の問題につきましては、定期と不定期に分けて考えて参りたいと思うのであります。定期の場合には、先ほども申し上げましたように、現在定期航路経営しており、外国にも相当の信用力を持っておるものの内容を検討いたしまして、定期航路の航海数の増加、あるいは現在使っております船の適格性というふうなものを勘案いたしまして、これを充実し、あるいは船舶を代替していくという計画のもとに、割当を行うべきものかと思うのであります。ただいま考えられております五カ年計画におきましても、そういう積み上げ作業をいたしまして、今後定期船というものは大体新しく四十万トン余りをなお建造する必要があるというふうな計画に基きまして、現在の計画も毎年立てておる次第でございます。昨年は定期は六万八千トンでございましたか、そのトン数を考えておりまして、大体ことしはトン数もふえておりますので、五カ年計画に基きまして八万トンというトン数を考えておるわけであります。その内訳につきましては、やはり割当においては、相当経営力もあり、現在航路経営しておるもの、あるいは定期船会社で新航路を計画しておるものに、国際情勢も勘案いたしまして割当を続けていくという点は、やむを得ないのではないかと思うのでございます。不定期船につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、トン数がことしのようにふえた場合には、特にそれは現在の市況を考えてのトン数増加でもございます。なるべく実際実力があって、しかも現在までの割当の少いものにも均霑していきたいというふうに考えておる点では、ある意味で考え方が転換しておるというふうに御了解いただいてもよろしいと思うのでございます。  次に審議会の問題でございますが、これは御承知のように昨年の十月でございましたか、任期が参りまして改選をいたしました。その顔ぶれが大体前の顔ぶれのままであるということは、御指摘通りでございます。しかし私どもも、なるべく新しい人あるいは相当外部から批評をしてもらえる人という点を考慮いたしまして、若干の新顔をお願いしておるわけでございます。ただいま考えておりますのは、そういう人々によりまして、特に具体的な問題を持たずに、海運関係の根本問題や、近い将来外航といい、内航といい、どういう方策を考えなければいかぬかといろ問題を、期限をつけずにじっくり懇談式に御検討いただきまして、その結果を私どもは拝聴したい、あるいは実際に資料も提出して、審議の経過を聞かしていただきたい、こういうふうに考えて一応この懇談会を構成しております。まだ開催はいたしておりませんが、近くこの懇談会を開催して、実際の審議を進めてもらいたいと思っております。内容的には、部外の人あるいは学者といったような人を考えて、業者の人は入らないような懇談会を考えております。なおただいま御指摘のように、審議会がマンネリズムであるので、お前の頭も大体それに近くなってきたのではないかというお話でありますが、あるいは事実としてそのようになっておるのかもしれません。私どももそれを避けるために、ただいま申し上げましたようなことも考えて、新しい人に新しい視野から見た根本的な考え方をお聞きしたいということに努力はいたしております。なお審議会につきましては、まだ欠員も残っておると思いますので、お話のようなことを考慮いたしまして、できればさらに新味のある、あるいは学識のある方をもっとお願いして、御指摘のような点を補ってもらうということも可能かと思います。この点は検討いたしまして、なお適当な方策でもございましたらお教えいただきまして、できればそういう点も考慮いたしまして勉強していきたいと考えておる次第であります。
  28. 小山亮

    小山(亮)委員 一度に伺うと焦点がぼけてしまってはっきりしませんから一つずつ伺いますが、審議会の委員の話が出ましたから、まず審議会の委員だけの話をします。今關谷委員指摘されましたように、海運造船の合理化審議会であるとか、あるいは海運に関する審議会であるとか、船員問題に関する審議会であるとか、あるいは労働問題に関する審議会であるとかいうものが、運輸省にはたくさんあります。これを全部ごらんなさい。何年前にきめた人か知らぬけれども、ほとんど人間が変っておりません。そうして学識経験のある人ということになると、昔商船学校の校長とか、技術関係を長くやっていた六十か七十になるような試験官の古手、そういうような運輸省が利用するのに一番手ごろの人間ばかりすぐに連れてきて、委員にするということを聞くのです。審議会というけれども、そういうあまり実際問題に深入りしたことのないような人を連れてきて、あなた方の原案を出して、異議なしということできめる。私に言わせると、これは役人の責任回避のためにやっているような感じがしますね。あなたの方はそうでないとおっしゃるかもしれないが、私の方から見ると、審議会というものはどうもいつでもそういうふうにやっている。そうしてそれがきめたことを、いかにも大勢の学識経験者その他業界の最高権威者の意見がそこに集結してきまったような工合に作り上げて、いやおうなしに議会にのませるようなことをする。私はこの際、こういうことは今回限りごめんこうむりたいと思う。たとえばこうやってここでしつこい御質問を申し上げるのも、あなた方が合理化審議会でこうだああだときめたことでも、私どもが承服できないことは、議員の立場においてそれに対して私は抗議し反対していこう、こういうことなんです。今の審議会の問題も、あなたは新しい顔ぶれを入れるとおっしゃいますが、だれかそういうような手持ちのこまがあるのですか。何かお心当りがあるのですか。あったら伺いたい。
  29. 栗澤一男

    栗澤政府委員 手持ちのこまとおっしゃられてもなかなか困るのですが、先ほど申し上げましたように、若干入れかえたという点で手持ちのこまを使ったわけでございますが、なお適当の人がございましたら、先ほど申し上げましたようにお教え願って考えたい、こういう気持でおります。
  30. 小山亮

    小山(亮)委員 今の局長お話は、どうも私はふに落ちないのです。先ほどのお話の中では、委員もまだ欠員があるから多少入れかえたいと思うというようなお話があったから、それでは手持ちのこまがあるのかと伺ったわけですが今聞けば、あなた方の方にだれかいい人があったら推薦してくれということですけれども、そうすると、私の方が推薦したら入れるというわけですか。それではあまりに権威がなさ過ぎると思う。あなた方がごらんになって、こういう人ということをおきめになるのがやはりほんとうで、やかましいことを言ったから、議員の方でだれかあったら連れてこいというようなことは、ちょっとおかしいではないですか。やかましく言わない者の意見は聞かないで・文句を言ったら、その人にだれか手持ちのこまを、適当な人を教えてくれということではどうもおかしい。もう少し権威あるやり方で、私どもが何と言おうが、あなた方の方でいいと思う人があったらこれを入れる、こういうことでなければならぬと思うのでありますが、もう一度確信のあるところを伺いたいのであります。
  31. 栗澤一男

    栗澤政府委員 私、あるいはちょっと品がすべって申しわけないことを申し上げたかもしれませんが、私どももちろんできるだけの知恵をしぼってお探しするわけでございますが、もし適当な方を御推薦いただければできるだけ考えたいということでございまして、承わった人をそのまま採れるかどうか、これはやはり私どもの方で考慮した上でなければわからないのでございます。しかしそう申し上げると、それでは推薦したのに採らないのかとまた言われるかもわかりませんし、従いましてこれはこの席で申し上げるのは不穏当だと思いますので、取り消します。先ほどの発言は取り消したいと思います。
  32. 小山亮

    小山(亮)委員 それからもう一つ伺いたいのは、先ほど第十二次造船の船主を決定することについて、資産、信用力、担保力その他については開銀がやるのだ。開発銀行調査にまかせるのだというお話でした。そうしますと、一体運輸省は何を審査されるのか、開発は何をされるのか。運輸省意見と開発の意見が違ったときはどちらをおとりになるのか、それを伺いたい。
  33. 栗澤一男

    栗澤政府委員 簡単に申し上げますと、海運政策の面から見た選考というものは運輸省で考える。資産、信用力という点につきましては開銀が検討するというふうに分けられるかと思います。たとえば定期船の場合に、どの航路のどの船が適格船であって必要であるというふうなことは、開発銀行としてはもちろん考慮はしますけれども運輸省の言うことを聞いて選考に当る、こういうことになっております。私どもの方でも御承知のように、海運監査官というものがございまして、会社内容も検討いたしておりますが、しかしその場合でも、金を貸す立場から開発銀行で調べました資産・信用力というものを優先的に考慮いたしましてもちろんその内容が大へん違います場合には詳細に両方で検討いたしまして、納得のいく程度まで掘り下げるということはいたしております。第一次的には開発銀・行が責任を持って調べるというふうな分担になっております。従いまして船主の選考が、運輸省開発銀行の共同作業というような形になりますので、御指摘のようなとことんまで両方の意見が合わないというような場合が起きたならば、非常に決定に困ることになると思いますが、幸いにして今まで最後まで両者の意見が合致しないという点はございません。将来、その場合にはどうするかというふうなことは、私どももまだ考えておらないのであります。
  34. 小山亮

    小山(亮)委員 私は今の局長お話だとちょっと承服ができない。というのは、今の会社の信用力であるとか、あるいは財産であるとか、担保力であるとかいうものは開銀が調べるのだ、そしてその方面は開銀の言うことを聞くのだ、運輸省の方は海運の運航であるとか技術であるとか経営であるとかいう面を主としてやるのだ、こういうふうに言われますが、さっきもおっしゃった信用力というものの中には、長年の間航路経営しておって、海外に持っておるところの航路の関係とか、取引の関係とかいうものもみんな含まれておる信用力なんですから、それを開銀にまかせるという手はないと思う。それば運輸省がよく知っていなければならないでしょう。過去、現在におけるところの歴史から、沿革から、全部運輸省が知っていなければならない。ですから開銀にまかせるのは、実際に計算をしたその会社の担保力があるかないか、金を貸して返す能力があるかないかということを開銀がやるべきであって、その他のことは財産のことから一切運輸省が監督もしておるのだし、運輸省がおやりになるのがほんとうじやないですか。開銀の言うことはただあなた五は参考に聞いて、そして主たるところは運輸大臣がおきめになるのがほんとうじゃないですか。もしそうなら、この造船計画というのは官庁業務ですから、この業務の半分を開銀の総裁に業務委任してしまうことになりますよ。そんなことは許されることでしょうか。また意見が合わなかったときは、運輸省意見を通すのがほんとうでしょう。開銀の意見意見が合わなかったらそれは困るとか、両方でもってにらみ合ってやめてしまうということではなくて、運輸省がイニシァチブをとって、開銀の言うことを参考に聞いていくということでなければならぬと思いますが、それは、あなた方の方で自分の権限を開銀に出してしまって、半々五分々々の権利になさろう、こういうふうなお考えなのですか。私はそうじゃないと思うのですが、これはあとで相当災いを残す問題でありますから、この際はっきり立場を明確にしていただきたい。
  35. 栗澤一男

    栗澤政府委員 先ほど資産信用力と申し上げましたのは、言葉が不足であったが、あるいは用語が適当でなかったかと思うのでありますが、一般に資産信用力と私どもの言っておる場合の信用力は、資産あるいは会計経理上に言っております信用力を資産信用力と一言に申しておりますので、そういう言葉を用いました。先生のおっしゃるように、要するに海外に対する信用とか、あるいはのれんとかいうふうな点になりますと、御指摘通りもちろん運輸省でやるわけでございまして、その意味におきましては業務の限界と申しますか、担任の範囲は、ただいま小山先生の御指摘通りに現在もやっております。従いまして信用力と私の申し上げましたのは、いわゆる銀行の目から見た資産的な信用力というふうに定義いたしております。  最後に御指摘のございました運輸省の全責任をもって、開銀の言うことは参考に聞くべきではないかという点、一応そういう御意見もあり得るかと思うのでございますが、実際財政資金を責任を持って貸し、これの回収を責任を持って考えるものは開発銀行でありまして、運輸省は百二十数億の財政資金を貸すわけでもございませんので、やはり開発銀行として財政資金を預かっておる責任上、この船主には融資ができるあるいはできないという点は、やはり開発銀行の責任問題でありまして、私どもがその点まで責任を持つわけにはいかないと思うのであります。従いましてただいまの考え方は、やはり開発銀行には財政資金融資銀行としての責任がある。運輸大臣には、海運政策上いかなる船主を選考するかという責任はございますので、やはり両者におのおの分担のある責任というふうに私どもは考えております。
  36. 關谷勝利

    關谷委員 関連して。私聞いておじますと、何が運輸省が五分、開銀が五分というふうに聞えるのでありますが、これがそうであるのかないのかも後にあわせて御答弁を願いたいのでありますが、今運輸省がやっておりますのは、運輸省が重要と認めたものを出して、そうしてそれが開銀にいって、最後は開銀で決定をせられておるというのが実情のように私は承知をいたしておるのであります。そういたしますると、開銀の方の比重の方が大きい、最終決定は向うにあるのじゃないかというふうに考えるのでありますが、私はこれは大きな間違いであると思っております。私たちはそのようなことがあってはならないというので、外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法で損失補償を政府がすることになっておるのであります本船担保はもちろんでありまするが、増し担保も入れておる。政府がその上に損失補償までしておるのでありますから、おそらく開銀その他が迷惑を見ることはないと思うのであります。私たちがあの法律を制定をいたしました当時におきましては、ほんとう航路の重要性、これから割り出したものをどんどん運輸省できめていけるようにというので、私たちはあの法律を制定をいたしたのであります。それで本船は担保に入れておる、増し担保も入っておる、さらに政府が損失補償までしておるにもかかわらず、開銀の方に比重が多くて、運輸省の方が比重が軽いというふうなことでは、あの法律はあってもなきがごときものになってくるのであります。そういうふうなことがないようにというのであれができておるのでありますから、これは運輸省ほんとう海運政策の立場からの割当をなすべきものであるというふうに考えております。ただその個々会社の資産の合理化というふうなことになりますから、一つ会社に二隻というふうなことが三社もある。ある会社実情を聞きますと、東南アジアの航路を戦前からやっておって、その船が老朽船であって、外国のその航路にいるのは全部新しくなっておる。そのためにどんどん荷物をとられておるのを、指をくわえて見ておるというふうな状態で、船さえできればその航路の荷物は確保ができるというものまで、落されておるというふうに聞いておるのでありまするが、そういうふうな事態が起らないようにというので、あの利子損失補償法というものまで設けてあるのでありますが、運輸省の考え方というものは、責任を相手にかぶせておきさえすれば無難であるということから、責任を開銀に転嫁したさに、すべての法律のことも忘れ、海運政策も忘れ、そうして自分たちで楽な割当方法を決定しておるのではないか、こういうふうに考えられるのでありますが、この点今までどういうふうに考えておられるか。そういうふうなことはこれからは考えるが、今までは考えてないと言われるのか、あるいは今まででも考えたができなかったというのか、一つその実情をお答え願いたいと思います。
  37. 栗澤一男

    栗澤政府委員 私先ほど申し上げました考え方は、今までもそういう考え方でやっておったというふうに了解いたしております。今後も先ほど申し上げましたように、資産内容その他につきましては開発銀行海運政策につきましては運輸省というふうな気持で、事務の分担を考えていきたいと思っておるのでございます。ただ、ただいま御指摘のありました運輸省が一案を作っ開発銀行に持っていって、最後には開発銀行がきめるという点は、私ども、事実も違いますし、そういうふうにするつもりはございません。と申しますのは、両方持ち寄りまして、最後に両方の意見の合致したところで決定を見る、こういうふうに実際もいたしております。昨年の例もそうでございますし、今後もそうやっていきたい、こう考えております。  なお責任問題につきましてきびしい御指摘がございましたが、私どもそういうことによって責任を回避しようという意思は毛頭ございません。十のものを両方で五ずつに分けるから、責任は五でよろしいのだということは毛頭考えておりません。むしろ両方とも責任があるのでありまして、責任者が両方になったからと申しまして、責任の肩が軽くなるというふうなことは考えておらないのでございます。
  38. 小山亮

    小山(亮)委員 今のお言葉ではちょっとふに落もないのですが、そうすると開銀が造船に対する割当を決定する権利——責任というと大へん心配なされるのですが、これを決定するところの権利が五で、運輸省が五、両方とも五分々々だ、こういうことなんですか。責任は両方が同じに十と十負い合うということなら、結局五と五ということになる。そうすると五と五の力で決定する、そういうことですか。そうすると第十二次造船でも何でも質問をするには、これ以上審議はあまり進められません。やはりここは開銀の総裁その他にみんな来てもらって、五と五ですから片一方だけ聞いたってしようがないのですから、全部呼んできて、そうして第十二次造船の質疑をこれから進めなければならぬということになりますね。その決定する権利が五と五、責任は十と十ですか、そういうことになると了解していいのですか。
  39. 栗澤一男

    栗澤政府委員 用語が適切を欠きますせいか、なかなか御了解いただけないのでございますが、ただいますのものを半分ずつと申しましたのは、そういうふうなものではないという意味で申し上げましたので、十の責任があるのを開銀が五、運輸省が五とるのだというものではないのでございまして、責任と申しますか、要するに事務の内容が異なっておるというのが実態だと思います。と申しますのは、開発銀行財政資金を預かってこの金を貸し、あるいは償還を確保するというのが任務であり、責任であり、それが最後の線だと思います。従いまして開発銀行が船主を選定するということでありましても、これは当該船主がいわゆる資産信用力があって、開発銀行財政資金を貸しても償還能力もあり、開発銀行としては償還の責任がとれるというものにしか貸せないという責任であり、開発銀行の義務である。私どもの方で選定いたしますのは、もちろん開銀の意見を聞いてそういうことも考慮に入れますけれども、それよりも海運政策という点を見るのが私どもの義務であり責任である、こういうふうに思っておるわけであります。おのずから内容が異なっておりますので、たとえば選定に当りました当該会社が、財政資金を貸しても十分償還能力もあり、この償還を確保できるのかという点につきましては、やはり開発銀行にお聞きいただかなければ、運輸大臣が最終的な財政資金償還まで責任を持つというわけにはいかないかと思うのであります。
  40. 小山亮

    小山(亮)委員 今だんだん話を伺うと、資産状態を調べて建造資金を貸す、そしてその返済をちゃんと完了させる、それは全部開発銀行の責任である、こういうお話です。そうしますと運輸省はどういうことをするのですか。開発銀行運輸省意見を参考に聞いて、そして資産状態を調べて金を貸して、そして回収するだけの責任を持つ。そうすると運輸省意見は参考だけに向うに聞かれるわけだ、こうなりますね、そうでしょう。向うが全部貸して、取る責任は一切向うにあるのだ。そうすると、あなた方の意見というものは、これはのれんが古いとか、いや政治力があるとかないとかいうようなことを参考に聞かれる、それだけでしょう。そうすると実際に決定する権限は運輸大臣の手にあると思ったら、あにはからんや、実際は開銀総裁小林中君の手の中にあるということになりますね、どうですか。私は話を聞いていて、あなたはさっき、これだけ話してもどうも了解を得られないと言うが、ぼくも聞きながら、日本語の使い方はずいぶんむずかしいものだということがわかるのですがね。  それから先ほど、郵船会社がさほど政治力があるとは思っていないということをあなたは言われた。だが海運造船合理化審議会もそうですし、船主協会の決定も、郵船会社の息のかからないものは全然ありませんよ、実際問題として。もしそうでないとおっしゃれば、知らぬは亭主ばかりなりで、あなたが御承知にならないだけで、私どもはよく知ってます。その一つの例をとりますと、せっかくあなた方がおきめになりました船の国家との共有、これは郵船会社があの欧州同盟に参加する建前から、国家と共有であっては同盟に入る資格がない、個人で持っている企業会社でなければ資格がないということで、郵船会社が強く反対した。それをやりさえすれば日本全体の汽船会社が船ができるものを、一郵船会社ががんばっただけで、ばさっとあれがやめになったということを見ましても、いかに郵船会社というものの社長が、実際に政治の面に強い力を持っておるかということは立証される。これはお認めになるでしょう。そうすれば、あなたは政治力がないなんて言っているけれども、うそじゃないですか。むしろ今日の日本海運の全体の発展を阻害さしているのは、この限られた二、三の大財閥、大汽船会社の、自分のふところをあくまで肥やそうとするその考え方が、日本全体の海運の発展を阻害している、こう強く私は思っているのですが、この点に対して御見解はいかがですか。政治力が強いから、またどこかでかたきを打たれてはいかぬから、はっきりそうだとは言えないかもしれませんが、政治力が強くないなら、自分の考えておることを率直におっしゃれるわけでしょう。どちらですか。——御答弁はありませんか。
  41. 栗澤一男

    栗澤政府委員 政治力があるとかないとか申しましても、これは程度問題でもあるし、しからばどの程度までかという問題になってくると思います炉、先ほど私の申し上げましたのは、おっしゃるような意味での政治力というものは、それほど強いとは思わないという点で申し上げましたので、ただいま御質問の郵商、三井というものが日本海運界のどういう地位にあり、どのくらいの力を持っておるかといえば、これは相当の力を持っておると私も認めざるを得ないのであります。いわゆる政治力の内容あるいは程度等によりまして、必ずしも私小山先生と同意見であるかどうか、まだちょっとわかりかねるわけであります。
  42. 小山亮

    小山(亮)委員 これから先は水かけ論になりますからやめますが、郵船の問題がはからずも出ましたから、郵船の問題を取り上げてみますと、日本郵船に対して今百二十四億二千八百万円か金を貸しております。これを見ましても日本郵船というものが、他の会社と比較にならぬ格段な多くの国家恩恵を受けておるということが明瞭になります。そこであなたの言われるところによると、郵船は航路開拓の特別の功労者であるから、これに援助するのは至当だというのですが、なるほどそうかもしれない。しかし国家はこれに対して株も何も持っているわけではないのですよ。郵船会社といいながら、これは独立した一企業会社です。その一企業会社、もうすでに担保力もないようになったものに、のれんがあるからといって百三十億くらいの金を一ぺんに貸し込んで、国家は安心しておいでになるが、それならば先般問題の起きました日本航空会社に対してはどうか、これに対しては国が四十億かの金を出して日本航空会社経営を助けて、日本航空会社が対外的に航路を開拓するために、あくまで国策の線に沿って支持するのだということになった。その四十億の金を出すために社長以下重役をかえて、その重役の中の何割かは役人でなければいかぬとか、運輸大臣が任命する者でなければいかぬとかいって、日本航空会社の人的構成にまで深く関係されて、この内容をお変えになったでしょう。四十億か五十億かの金を貸した場合にそういうことをやったのに、百三十億も金を貸しておる会社に対して重役も一人も入っておりませんし、監査役も一人も入っていない、ただぽんと貸しておる。これを両方比較対照して、私どもは非常に不思議に思うのです。およそ国がこれだけの資金を貸与してやるならば、これに対して何らか内容を監査するとかなんとかいう方法をとらなければならないと思うが、局長の御見解いかがですか。
  43. 栗澤一男

    栗澤政府委員 航空会社との関連においての御質問でございますが、私ども考えますのに、今の航空というものと海運というものの国際的なあり方というものが、若干違っておるのじゃないかと思うのであります。御承知かと思いますが、航空につきましてはほとんどすべてが国際間の、しかも政府間の協定により、あるいは一回々々の乗り入れについても、航路の変更についても、全部相手国の政府の許可が要るのであります。その許可の上でなければ、一切の国際航空活動はできないという建前になっておるのであります。従いまして各国とも航空会社につきましては相当政府資金を、しかも融資ということでなしに、出資で導入しておるわけであります。はなはだしきは百パーセント政府出資でやっておる航空会社もございます。そういう関係がございまして、航空につきましては政府の力というもの炉相当会社にも影響し、あるいは会社の業務にも影響するという実情でございます。一方海運におきましては、昔から海洋自由の原則というふうな建前でございまして、海運会社はなるべく政府の束縛を受けないで、自由な活動をするということがしきたりでもございますし、また大体その方が国際海運場裡においては有利であるというようなことを現在までいわれておるわけであります。従いまして、たとえば同盟問題にいたしましても、政府は一切関与しないというのが原則でございまして、場合によっては政府が寄って関与しないという申し合せまでできてやっておるわけであります。そういうような実情から考えまして、日本航空の場合には数十億の金を出したが、それでも重役その他については政府相当な発言権を確保しておる。海運会社につきましては百数十億も融資しておるのに、なお一人の監査役も入っておらぬ、あるいは重役の任命権も持っておらぬというふうな実情でございます。これはやはり業態というもの、あるいは国際的な慣習というもの、あるいはいかにしたらその事業が自由に伸び得るかというふうな観点から考えまして、現在の状況になっておるものと考えるのでございます。従いまして将来につきましても、私どもなお現在持っております海運監査制度などを活用いたしまして、内容的には相当の監査をいたします。会計検査院におきましてもその監査をいたしておるわけでございます。そういう多額の融資をしておるために、特に監査役を入れるとか、あるいは会社の役員の人事を認可制にし、もしくは任命制をとるというようなことは、現在少くとも考えておらないわけであります。
  44. 小山亮

    小山(亮)委員 今の局長お話の中に、航空会社はすべての国家が任命制度になっておる、許可制度になっておる、だからこれは各国とも国家が金を出しておると言われたが、なるほどまだ航空事業の揺籃時代においては各国とも金を出しております。しかしながら逐次その会社内容がよくなってくれば、これは民間にどんどん転換させている航空会社があるじやないですか。最初のうちは全部国家がこれを見たけれど、やがて一人立ちできるようになれば、全部これを民間の会社に独立できるようにどんどんと株を委譲していますよ。日本船会社も最初はそうです。明治十年以来の郵船会社の歴史をごらんになればわかりますよ。これはほとんど国家資金ですよ。国家からこれほど思恵を受けた会社というものは、日本の国が始まって以来ございませんよ。ほとんど国家資本同様なもので今日まで大きくなったのです。それで戦前、航路を獲得している時分も、航路補助金というものはずっと続けてもらって、そして特権的な立場にあった会社なんです。戦後もやはりそれに甘んじて、やはりその特権的立場にあぐらをかこうということは、私は許されないことではないかと思う。あるいは新しき航路を確保するために特別の保護の必要があれば、特別の制度を講ずべきであって、その会社が船を作っても何でもかんでも一切がっさい非常な恩典を常時これに与えていくということは、私は考えなくちゃならないことではないかと思う。たとえば今度の割当をごらんになってもわかりますように、政府資金定期船に対しては五割五分、不定期船に対しては四割五分、そうすると、どうしてもうからない定期船の方に金を出すのですか。不定期船の方がもうかるから、採算の合う不定期船の方をたくさん作るというならわかりますよ。なぜかというと、この前は不定期船の方が採算がとれない、定期船が採算がとれるのだから、採算がとれない不定期船を少くして採算のとれる定期船をよけいにするというので、あなた方は割当をおふやしになったでしょう。それなのに今度はどうですか。不定期船の採算がとれて定期船は採算がとれない。とれないならばそのとれる方の不定期船のトン数を増大して、とれない方の定期船のトン数を少くするならわかりますよ。それでこそ公平なんです。ところがこの場合は、今度は違って採算のとれない定期船の方に、国家融資割当をふやそうということになれば、こんな不公平なことがありましょうか。私はこれだけを見ましても、いかにもだれが見てもひどいような差別待遇を与えておるというように思います。これに対してはあなた方の方で何か相当な理由があると思うのですがね。それを伺いたいのです。
  45. 栗澤一男

    栗澤政府委員 先ほど来申し上げましたように、定期船は大体現在の状況あるいは将来の予想を勘案いたしまして、大体五カ年間に四十万トン余り、従いまして今回は八万トン程度を作る必要があり、私どもも作りたいというふうに考えておるわけであります。御指摘のように現在定期船よりも、不定期の方が採算がとれるということは間違いのない事実でございます。従いまして私どもが算定をいたしますにも、大体現在の状況あるいは将来の状況をも勘案いたしまして、定期船であればチャーター・ペースどのくらい、不定期船は運賃はそれぞれの物資についてどのくらいというような想定をいたしまして、それによって財政資金あるいは市中資金の比率を考慮いたしまして、市中は五年の償還、財政は十五年の償還でございますけれども、そういう点を勘案いたしまして償還ベースも算定して、その結果大体定期船につきましてはこういう数字、不定期についてはこういう数字で、償還能力もあり償還の計画も立っておるというふうな結果から算定いたしました数字でございます。あるいは御指摘のように不定期船の方が少な過ぎるではないかというふうな御意見もあるかと思います。私どもはそうしてもなおかつ五カ年間にそういう定期船を作っていきたいという将来の計画を持っておりますので、それに基いて算定をいたしておる次第であります。
  46. 小山亮

    小山(亮)委員 船の建造はそのときどきの見通しを立てて建造していくのが当然だと思うのです。定期船が今後の見通しにおいて需要が多いということなら、やはり定期船建造していく。不定期船が多いという見通しがあれば——やはり見通しによってでありますから違うことがありましても、見通しを立てて建造していくのが当然じゃないかと思うのです。ですから五カ年間に四十万トンの定期船を作るという目標がありましても、緩急よろしきを得て、そのときどきを考えて、生きている計画を立てていくのがほんとりで、どんな景気であろうとも、何でもかんでもがむしやらに船を作っていくという行き方ではだめだと思います。この点はおそらくあなたも意見は遅いはしないと思うのです。ですからそういう意味から、ことしのようなときは、定期船でも定期の荷物がありますか。たとえば鉄がなくなってからの南アメリカの航路は、行きがけの荷物がないというような状態定期航路、あるいはまたニューヨーク航路にしましても、行きがけは雑貨や輸出貨物を持っていく、帰りは何にもないのでキューバあたりへ寄って砂糖を探して積んでこなければならない。不定期船のやる仕事を定期船がやっておるという、惨たんたる状態で帰ってくるというようなときに、何でもかんでも定期船だから——定期船会社ならいわゆる有力な政治的指導力のあるような会社が、作ろう作ろうというからそれの前に頭を下げて、どんどん言うなりに作ってやろうという行き方は、とるべきものじゃないと私は考える。戦争後の運輸省のお役人さんのことを、悪口を言うわけではないのですが、私が見た実際のことを申し上げると、今の運輸省のお役人さんは、大体船主協会を牛耳っておる大手筋が自分勝手な案を立てる。転んでも損しないような案を立てる。そしてその案をあなた方のところへ持ってくると、あなた方の方ではその言うことをその通りに、ほんとうに子供に甘い母親が子供の言うなりになるように、それを持って歩いては、あるいは銀行に行って頭を下げたり、あるいは大蔵省へ行って頭を下げたりして、利息を負けてやれ、何してやれといって、役所でやることではありません。これは船主協会か会社がやる仕事を、全部あなた方が、どういう風の吹き回しかしらぬが、みなやっておいでになる。これでは忙しいですよ。私は船主協会の人たちにも言うのですが、今の海運局あるいは運輸省海運部門の方々は、これではまるで船主協会の外郭団体みたいじゃないか、給料は船主協会の大手筋から払ったらいいじゃないかということを言うのです。あなた方に言うばかりじゃない、船主協会の人たちにもそういうことを言っておるのです。それでありますから運輸省が監督官庁としての立場を逸脱して、やらぬでいいことまでやらなくてもいいじゃないか。強い総領むすこ、強い兄弟をあくまで強くしてやるよりも、弱いひょろひょろして弟の兄弟の立ち行かないようになっておるような中小企業の方に、もっとあたたかい手を伸べていくのは当然で、中小企業というのは、あなた方の地位を左遷するような政治力はありません炉、そういう人たちにあたたかい手を振り向けてやるという行き方がほんとうじやないでしょうか。私は日本海運中小企業くらいかわいそうなものはないと思っておる。たえば船を建造するということになると、定期船を筆頭にして大汽船会社だけが国家恩恵を受ける。利子補給をやるということになると、そういうところだけが、三井、三菱の大財閥が、国民の乏しいふところから巻き上げた税金で援助を受けて、そうして利子補給をしてもらっておるのです。一番ある会社が一番恩恵を受けて、ない方は何にも恩恵を受けない。船を作るといったってそうです。利子の補給を受けていないから高い金利で、ボロ船の修繕料もなかなか出ないような仕組みです。そうして今度は賃上げということになればどういうことになるかというと、日本の海上労働組合は単一組合ですから、うんとある会社でもない会社でも同じ率で賃上げを要求されるでしょう。一割とか二割とか要求をされるでしょう。そうすると一隻か二隻船を持っておる会社は弱いのです。外航船と内航船を持っておる会社は、ストライキをされても、外国航路に出ておる船はストライキはされないのですから、内地へ帰ってきてから船をとめるということになります。大体自分の持っておる船の半分が海外に出ておるとか、あるいは三分の二が海外に出ておる会社というものは、ストライキをされても三分の一の船がとまるだけです。ところが一隻か二隻しか持っていない内地航路の船主は、ストライキといったとたんに所有船がその日にとまってしまう。動いている船はない。収入を得る道がない。銀行の金融はそこでぴしゃっととまるから、組合へいって頭を下げて、御要求通り幾らでもいいからあなた方の言う通りに賃金を上げますといって、無条件降伏していますよ。私の知っておるのでは、労働組合の方からの要求通りに賃金の協定をした。ところが払えないのです。越冬資金を幾ら払うというのが払えないのです。その越冬資金が来年の七月も八月もになって、まだ去年の越冬資金を借りておるというようなばかばかしいのがある。それから月給を小刻みにして払うのでなければ払えない。中には組合へいって借りてきて争議資金を払っておるのがありますよ。こんな想像のできぬような話すらあります。ですから海運中小企業というものは、日本中小企業が非常に苦しい立場におるのと同じように、あなた方はやはりこれを何とかして生かしていくような考えでおやりになるのが至当ではないでしょうか。資本家だなんて言ったって、一隻や二隻のボロ船を持った会社資本家ではないですよ。これはほんとうにかわいそうな経営労働者です。それに対してあなた方は何とか対策を講じていただきたい。  それから船の建造にしましてもそうです。船の建造というとすぐ開銀から金を借りてきて、そして建造させなければいかぬようにあなた方はお考えになるが、そうじゃない。小さな会社というのは自分のボロ船を売って、そして新しい船を作りたいと思っても、金を貸してくれないのです。ボロ船を売って、借りてくる金の頭金の三割なり四割なり出して、あとの六割なり七割を借りようとしても、信用力がないから銀行は貸さないでしょう。そういうのに金を貸すようにしてやって、新しい船を作らせてやるという方法は・どういう方法がいいかといえば、あなたがさっき言われた、栗澤さんの立てられた案の、船舶共有の何か特殊機関を作る、これが一番必要なことです。終戦後の日本海運がかくのごとき急速力に長足な復興をしたその功労はどこにあるかというと、あの船舶公団にあると私は思う。あのときに船舶公団がなかったなら、日本海運の今日のような復興はございません。郵商船が船を作ってきたのは第五次以後でしょう。一次から四次までの間というものは、日本の近海、沿海の船腹が不足しておるので、急速力にこれを拡充しなければいかぬというので政府が立てたあの船舶公団というものが、この日本の今日の海運復興の礎石を作ったので、この功労は実に偉大なものです。たまたまあれは進駐軍の関係で圧力を受けてつぶされた。他の公団には不正事件がありましたが、船舶公団は、不正事件があるといわれて、相当内容が洗われたが、ついに無罪でしたろう。一人も疑獄をやった人がなかったのです。あんなりっぱな公団があった。それをただアメリカの圧力で、その空気でつぶされてしまった。それをもう一度復活させて、何らかの形で生かしていくという方法が講じられておらない。もしああいう機関があれば、乏しい、近海航路の小さな会社経営している人でも、その会社経営炉よくて、信用力があって、経営能力が優秀であるというなら、それに対して政府と共有で船を作るという特典が与えられれば、これから日本海運、近海の内航の船質というものは、すばらしくよくなります。しかも中共であるとかあるいは近東の貿易が、これから開けようとしておる。それには今の政府やり方でおれば船はできはしませんよ。肝心な一番必要なときに船ができない。大きい一万トンの船は作るけれども・四千五百トン以下の船は作れないということになるでしょう。四千五百トン以下の船は自己資金で作れという。自己資金で作りたいけれども、信用力がないから金を貸さぬでしょう。もし共有なら、市中銀行は喜んで金を貸しますよ。六割でも七割でも、担保を政府の信用で引受けてやれば、幾らでも船などはできます。そうすれば、さしあたって中共貿易が開け、近東貿易が開けたときにも、他の外国船と戦ってどんどん勝てるでしょう。現に中共も近東も、あのボロ船のイギリス船、外国船にすっかりやられているではないですか。現在では船がなくて、日本の船が進出できないですよ。将来船がなくて困る時期がもう目の前にきておるのですから、私はことしのようなときにこそ、あなたがこの前お出しになった、郵船会社の反対でけ飛ばされたという案をお出しになったらいい。日本船会社だけが反対したら、日本船会社には、その船を共有させないで、ほかの方法を講じてやればいい。船を作らせるなというのではない。ほかの方法日本船会社は船ができるのです。だから郵船・商船以外には、ただいまの公団というふうな組織を作って、共有の組織でどんどん船を作ったならば、日本海運の復興というものは、もっと目ざましくできると私は思うのです。中小企業対策というものはこれよりほかにない。これが一番いい対策です。さらに近海の運賃を直そうとするのです。あなた方のねらっておいでになるのは、近海運賃を引き上げようとする。近海運賃の一番ガンになっているのは何かというと、それは鉄道との運賃の調整もありますが、一番ガンになっているのは何かといえば、改Eでしょう。改E型の船は今はもう二百隻もございますまいが、あの改E型の戦標船があるために、日本の近海の内航の海上運賃は圧迫されて、そうしてほかの機帆船や何かが息ついているのでしょう。そうすれば、この改Eの戦標船の、ボロボロでもう乗り組みだってあの船に乗りたくなくて逃げて歩くようなあのボロボロの船を、あれをどうして始末して、この際新しい船と取りかえてやる方法をお考えになりませんか。あれを安くスクラップの値段で買い上げようとするから、船主は逃げるのです。あれを提供させることによって、相当の価値に、これを見返りにして、千トンの船を出した者に対しては二千トンなり二千五百トンの、中共と貿易のできるよりよい船を作るだけの力を、信用力を与えてやる、あるいはあなた方の方で保証してやれば、みなポロ船が新しくなるのです。これで日本の国の内航というものの悩みは一挙に解決するのじゃないでしょうか。今日そのくらいのことをおやりになっていいのじゃないでしょうか。今までは外航が困るから外航に対する援助をなさった。外航は今いいでしょう。外国航路の運賃はよくなったし、外国航路経営している会社はみなちゃんと借金も返せるようになり、配当もできるようになった。この際に振り返ってみると、内航だけがいけないのです旧そうすると内航の現在を考え、内航の将来を考えて、内航船をいかにすれば振興することができるかという案を、今あなた方がお立てになるときじゃないか。船舶公団のような、ああいうすばらしい案を考えたあなた方の頭脳をもって、内航の振興ぐらいできないはずはないと私は思うのだが、私はそれを率直に伺いたいのですよ。大臣から私はその返事を聞きたいのです。あなたでは返事ができないときっと言われるだろうから、私は大臣から聞きたいけれども大臣がまだ来ないのです。それをあなたが教えてやれば、大臣が返事をしますが、あなたが教えなければ、大臣はしろうとだからできないと思うのですが、局長の御意見いかがですか。
  47. 栗澤一男

    栗澤政府委員 いろいろと御指示をいただきましたが、私どもも先ほど申し上げましたように、昨年来公庫と申しますか公社と申しますか、そういう案を練っておりましたが、現在に至ってもなおこれを放棄したわけではございませんので、検討はなお続けたいと思っておりますが、ただ時期の問題もございますし、今お話もありましたように、上司にもいろいろとこれから御検討いただきまして、御指示をいただかなければならぬ段階でございますので、ただいまここで近い将来にその案を持ち出して、御検討を仰ぐというふうなお約束をするわけにいかないのを残念に思っております。私、自分の気持としましては、ぜひそういうものは将来必要になるというような考え方でございまして、なお引き続き検討もし、時期を見て御提案いたしたいというのが、これがまだ上司の御指示あるいは御許可を得ておりませんので、私が海運局長といたしまして申し上げられる限度でございます。
  48. 小山亮

    小山(亮)委員 あなたは今時期がまだだとおっしゃったのです。時期を考えなければいかぬ。時期はおそいのですよ。もう少し海運界が不景気になって、船が要らなくなってからお作りになった方がいいというのか。今が一番重要なときで、これからやらなければならぬ・外貨を獲得しなければならぬ、このときにお作りになるのがいいのか。私は、時期の問題で、時期がおそいのじゃないか、だから急がなければいかぬのじゃないかということを質問しているのですが、あなたは時期を考えなければならぬということですけれども、時期はおそいのですか。そこを伺いたい。早過ぎますか。
  49. 栗澤一男

    栗澤政府委員 決して早過ぎると思って時期を申し上げたのではないのでございまして、実は私どもの考えましたのも、海運界炉非常に不況な時期に考えました。こういう際にはぜひ必要ではないかということで立案してきたわけでございます。従いまして現在のような好況の時期になりますと、私どもも立案内容、あるいはその説明等にいたしましても多少そぐわない点が出て参りました。こういう景気のいいときには、たとえば船を共有にしてでも作っていかなければならぬというような持ち出し方が、対外的に困難ではないかというふうな気持から時期の点を申し上げました。要するにそういうものを作るということも、外国から見・あるいは国内においても部外の人から見ますと、さらに船に対する助成あるいは方策というものは一歩進むというような印象を与えるのでありまして、こんな景気のいいときになおかつそういうものまで作って、船の方を推進しなければいかぬのだというような意見の出てくるおそれもあります。あるいは対外的にも日本はさらにこういう方法まで考えて、外航船拡充あるいは外航船主の助成をはかっているのだというようなこともあり得るかと思います。そういう点でちょっと現在、少くとも今までの方式で船がある程度できていく時期ではなかなか実現も困難ではないか、そういう意味で時期の点を申し上げたわけであります。
  50. 小山亮

    小山(亮)委員 局長は曲解しておられると思うのですが、私の言うのはそれを作って外航船拡充しろというのではないのですよ。外航船拡充すると言えば対外的に悪い影響を持つだろう、こうあなたは言われるのです。それを作ることによって外航船なり、それから近海、遠海、この近東関係の船、不定期船、それを拡充する必要がありはせぬか、それが一番いいのじゃないかということで、いわゆる郵船とか商船とかは反対しますよ。定期船は反対するかもしれないが、定期船でない船に対して——今までは定期船に対しては過分な恩典を国が与えたとすれば、定期船外の何ら今まで恩典を受けなかったものに対する対策として、これをお考えになったらどうかということをあなたに伺いたいのです。
  51. 栗澤一男

    栗澤政府委員 外航船拡充よりもむしろ内航対策というものを中心にして、そういうものを考える時期ではないかというふうにおっしゃられたと思うのであります。そういう意味では現在の時期は決して早過ぎるとか、あるいは時期として適当でないということはないと思います。従いましてただいまの御意見よくわかりましたが、私どもも先ほど来申し上げましたように、海運の内航対策あるいは中小企業対策というものは、ぜひ今後全力をあげていかなければならぬというふうに考えております。また時期的にもすでにおそいと言ってもよいくらいに考えるのでございます。そういう対策あるいは方策のうちの一環としてそういうものを考えろということでございますれば、仰せの通りと思いますので、私どもその一環としてでももちろん事業内容としては、外航船も取り入れられるようなものになるかと思いますが、今後検討いたしまして、成案を得ますればいろいろまた御相談も申し上げたいと思います。
  52. 小山亮

    小山(亮)委員 さらにもう一点、今問題になっております船舶の固定資産税を廃止するということが非常に業界の問題になっておりますが、その点に対する当局の御見解、あるいは大蔵省その他に御折衝になっておったら、その見通しというものをちょっと伺いたい。
  53. 栗澤一男

    栗澤政府委員 固定資産税は御承知のように非常に外国にもあまり例のないような税金でございますし、また徴税方法が非常に煩瑣でありまして、海運界には非常に障害になっておるという点は御指摘通りでございます。私どもも在来いろいろと折衝いたしておりましたが、なかなか地方財政の困難な折柄、それが実現を見ておりません。どういうふうにしたらよいかという御質問でございますれば、私どももそれはできれば廃止してもらいたい。しかし一概に廃止と申しましても、現在たしか十二、三億になるかと思いますが、それだけの税額をあげておるものを一挙に廃止して、現在のような地方財政の状況の上から、それを一ぺんになくするということは非常に困難だと思いますので、何かそこにトン税とかあるいは船舶税というふうなかわりも考えまして、でき得れば外国船からもこれを徴収するというふうな方法を考えて、固定資産税の廃止の方へ持っていくのが一番よいのではないかと思って、現在これが代案を検討中でございます。先ほど申し上げましたように、地方財政が非常に困難な折柄でございますので、なかなかこの代案もむずかしいのでございますが、近くその成案を得ました場合には御相談申し上げたい、こういうふうに考えております。
  54. 臼井莊一

    臼井委員長代理 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。    午後三時五十七分散会      ————◇—————