○
小山(亮)
委員 船の
建造はそのときどきの見通しを立てて
建造していくのが当然だと思うのです。
定期船が今後の見通しにおいて需要が多いということなら、やはり
定期船を
建造していく。不
定期船が多いという見通しがあれば——やはり見通しによってでありますから違うことがありましても、見通しを立てて
建造していくのが当然じゃないかと思うのです。ですから五カ年間に四十万トンの
定期船を作るという目標がありましても、緩急よろしきを得て、そのときどきを考えて、生きている計画を立てていくのがほんとりで、どんな景気であろうとも、何でもかんでもがむしやらに船を作っていくという行き方ではだめだと思います。この点はおそらくあなたも
意見は遅いはしないと思うのです。ですからそういう意味から、ことしのようなときは、
定期船でも
定期の荷物がありますか。たとえば鉄がなくなってからの南アメリカの
航路は、行きがけの荷物がないというような
状態の
定期航路、あるいはまたニューヨーク
航路にしましても、行きがけは雑貨や輸出貨物を持っていく、帰りは何にもないのでキューバあたりへ寄って砂糖を探して積んでこなければならない。不
定期船のやる仕事を
定期船がやっておるという、惨たんたる
状態で帰ってくるというようなときに、何でもかんでも
定期船だから——
定期船会社ならいわゆる有力な政治的指導力のあるような
会社が、作ろう作ろうというからそれの前に頭を下げて、どんどん言うなりに作ってやろうという行き方は、とるべきものじゃないと私は考える。
戦争後の
運輸省のお役人さんのことを、悪口を言うわけではないのですが、私が見た実際のことを申し上げると、今の
運輸省のお役人さんは、大体船主協会を牛耳っておる
大手筋が自分勝手な案を立てる。転んでも損しないような案を立てる。そしてその案をあなた方のところへ持ってくると、あなた方の方ではその言うことをその
通りに、
ほんとうに子供に甘い母親が子供の言うなりになるように、それを持って歩いては、あるいは銀行に行って頭を下げたり、あるいは大蔵省へ行って頭を下げたりして、利息を負けてやれ、何してやれといって、役所でやることではありません。これは船主協会か
会社がやる仕事を、全部あなた方が、どういう風の吹き回しかしらぬが、みなやって
おいでになる。これでは忙しいですよ。私は船主協会の人たちにも言うのですが、今の
海運局あるいは
運輸省の
海運部門の
方々は、これではまるで船主協会の外郭団体みたいじゃないか、給料は船主協会の
大手筋から払ったらいいじゃないかということを言うのです。あなた方に言うばかりじゃない、船主協会の人たちにもそういうことを言っておるのです。それでありますから
運輸省が監督官庁としての立場を逸脱して、やらぬでいいことまでやらなくてもいいじゃないか。強い総領むすこ、強い兄弟をあくまで強くしてやるよりも、弱いひょろひょろして弟の兄弟の立ち行かないようになっておるような
中小企業の方に、もっとあたたかい手を伸べていくのは当然で、
中小企業というのは、あなた方の地位を左遷するような政治力はありません炉、そういう人たちにあたたかい手を振り向けてやるという行き方が
ほんとうじやないでしょうか。私は
日本の
海運の
中小企業くらいかわいそうなものはないと思っておる。たえば船を
建造するということになると、
定期船を筆頭にして大
汽船会社だけが
国家の
恩恵を受ける。
利子補給をやるということになると、そういうところだけが、三井、三菱の大
財閥が、国民の乏しいふところから巻き上げた
税金で援助を受けて、そうして
利子補給をしてもらっておるのです。一番ある
会社が一番
恩恵を受けて、ない方は何にも
恩恵を受けない。船を作るといったってそうです。
利子の補給を受けていないから高い
金利で、ボロ船の修繕料もなかなか出ないような仕組みです。そうして今度は賃上げということになればどういうことになるかというと、
日本の海上
労働組合は単一
組合ですから、うんとある
会社でもない
会社でも同じ率で賃上げを要求されるでしょう。一割とか二割とか要求をされるでしょう。そうすると一隻か二隻船を持っておる
会社は弱いのです。
外航船と内航船を持っておる
会社は、ストライキをされても、外国
航路に出ておる船はストライキはされないのですから、内地へ帰ってきてから船をとめるということになります。大体自分の持っておる船の半分が海外に出ておるとか、あるいは三分の二が海外に出ておる
会社というものは、ストライキをされても三分の一の船がとまるだけです。ところが一隻か二隻しか持っていない内地
航路の船主は、ストライキといったとたんに所有船がその日にとまってしまう。動いている船はない。収入を得る道がない。銀行の金融はそこでぴしゃっととまるから、
組合へいって頭を下げて、御要求
通り幾らでもいいからあなた方の言う
通りに賃金を上げますといって、無条件降伏していますよ。私の知っておるのでは、
労働組合の方からの要求
通りに賃金の協定をした。ところが払えないのです。越冬
資金を幾ら払うというのが払えないのです。その越冬
資金が来年の七月も八月もになって、まだ去年の越冬
資金を借りておるというようなばかばかしいのがある。それから月給を小刻みにして払うのでなければ払えない。中には
組合へいって借りてきて争議
資金を払っておるのがありますよ。こんな想像のできぬような話すらあります。ですから
海運の
中小企業というものは、
日本の
中小企業が非常に苦しい立場におるのと同じように、あなた方はやはりこれを何とかして生かしていくような考えでおやりになるのが至当ではないでしょうか。
資本家だなんて言ったって、一隻や二隻のボロ船を持った
会社は
資本家ではないですよ。これは
ほんとうにかわいそうな
経営労働者です。それに対してあなた方は何とか
対策を講じていただきたい。
それから船の
建造にしましてもそうです。船の
建造というとすぐ開銀から金を借りてきて、そして
建造させなければいかぬようにあなた方はお考えになるが、そうじゃない。小さな
会社というのは自分のボロ船を売って、そして新しい船を作りたいと思っても、金を貸してくれないのです。ボロ船を売って、借りてくる金の頭金の三割なり四割なり出して、あとの六割なり七割を借りようとしても、信用力がないから銀行は貸さないでしょう。そういうのに金を貸すようにしてやって、新しい船を作らせてやるという
方法は・どういう
方法がいいかといえば、あなたがさっき言われた、栗澤さんの立てられた案の、
船舶共有の何か特殊機関を作る、これが一番必要なことです。終戦後の
日本海運がかくのごとき急速力に長足な復興をしたその功労はどこにあるかというと、あの
船舶公団にあると私は思う。あのときに
船舶公団がなかったなら、
日本の
海運の今日のような復興はございません。郵商船が船を作ってきたのは第五次以後でしょう。一次から四次までの間というものは、
日本の近海、沿海の船腹が不足しておるので、急速力にこれを
拡充しなければいかぬというので
政府が立てたあの
船舶公団というものが、この
日本の今日の
海運復興の礎石を作ったので、この功労は実に偉大なものです。たまたまあれは進駐軍の関係で圧力を受けてつぶされた。他の公団には不正事件がありましたが、
船舶公団は、不正事件があるといわれて、
相当内容が洗われたが、ついに無罪でしたろう。一人も疑獄をやった人がなかったのです。あんなりっぱな公団があった。それをただアメリカの圧力で、その空気でつぶされてしまった。それをもう一度復活させて、何らかの形で生かしていくという
方法が講じられておらない。もしああいう機関があれば、乏しい、近海
航路の小さな
会社を
経営している人でも、その
会社の
経営炉よくて、信用力があって、
経営能力が優秀であるというなら、それに対して
政府と共有で船を作るという特典が与えられれば、これから
日本の
海運、近海の内航の船質というものは、すばらしくよくなります。しかも中共であるとかあるいは近東の貿易が、これから開けようとしておる。それには今の
政府の
やり方でおれば船はできはしませんよ。肝心な一番必要なときに船ができない。大きい一万トンの船は作るけれ
ども・四千五百トン以下の船は作れないということになるでしょう。四千五百トン以下の船は自己
資金で作れという。自己
資金で作りたいけれ
ども、信用力がないから金を貸さぬでしょう。もし共有なら、市中銀行は喜んで金を貸しますよ。六割でも七割でも、担保を
政府の信用で引受けてやれば、幾らでも船などはできます。そうすれば、さしあたって中共貿易が開け、近東貿易が開けたときにも、他の外国船と戦ってどんどん勝てるでしょう。現に中共も近東も、あのボロ船のイギリス船、外国船にすっかりやられているではないですか。現在では船がなくて、
日本の船が進出できないですよ。将来船がなくて困る時期がもう目の前にきておるのですから、私はことしのようなときにこそ、あなたがこの前お出しになった、郵
船会社の反対でけ飛ばされたという案をお出しになったらいい。
日本郵
船会社だけが反対したら、
日本郵
船会社には、その船を共有させないで、ほかの
方法を講じてやればいい。船を作らせるなというのではない。ほかの
方法で
日本郵
船会社は船ができるのです。だから郵船・商船以外には、ただいまの公団というふうな組織を作って、共有の組織でどんどん船を作ったならば、
日本の
海運の復興というものは、もっと目ざましくできると私は思うのです。
中小企業対策というものはこれよりほかにない。これが一番いい
対策です。さらに近海の運賃を直そうとするのです。あなた方のねらって
おいでになるのは、近
海運賃を引き上げようとする。近
海運賃の一番ガンになっているのは何かというと、それは
鉄道との運賃の調整もありますが、一番ガンになっているのは何かといえば、改Eでしょう。改E型の船は今はもう二百隻もございますまいが、あの改E型の戦標船があるために、
日本の近海の内航の海上運賃は圧迫されて、そうしてほかの機帆船や何かが息ついているのでしょう。そうすれば、この改Eの戦標船の、ボロボロでもう乗り組みだってあの船に乗りたくなくて逃げて歩くようなあのボロボロの船を、あれをどうして始末して、この際新しい船と取りかえてやる
方法をお考えになりませんか。あれを安くスクラップの値段で買い上げようとするから、船主は逃げるのです。あれを提供させることによって、
相当の価値に、これを見返りにして、千トンの船を出した者に対しては二千トンなり二千五百トンの、中共と貿易のできるよりよい船を作るだけの力を、信用力を与えてやる、あるいはあなた方の方で保証してやれば、みなポロ船が新しくなるのです。これで
日本の国の内航というものの悩みは一挙に解決するのじゃないでしょうか。今日そのくらいのことをおやりになっていいのじゃないでしょうか。今までは外航が困るから外航に対する援助をなさった。外航は今いいでしょう。外国
航路の運賃はよくなったし、外国
航路を
経営している
会社はみなちゃんと借金も返せるようになり、配当もできるようになった。この際に振り返ってみると、内航だけがいけないのです旧そうすると内航の現在を考え、内航の将来を考えて、内航船をいかにすれば振興することができるかという案を、今あなた方がお立てになるときじゃないか。
船舶公団のような、ああいうすばらしい案を考えたあなた方の頭脳をもって、内航の振興ぐらいできないはずはないと私は思うのだが、私はそれを率直に伺いたいのですよ。
大臣から私はその返事を聞きたいのです。あなたでは返事ができないときっと言われるだろうから、私は
大臣から聞きたいけれ
ども、
大臣がまだ来ないのです。それをあなたが教えてやれば、
大臣が返事をしますが、あなたが教えなければ、
大臣はしろうとだからできないと思うのですが、
局長の御
意見いかがですか。