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1956-02-17 第24回国会 衆議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月十七日(金曜日)    午前十一時十分開議  出席委員    委員長 松山 義雄君    理事 今松 治郎君 理事 臼井 莊一君    理事 畠山 鶴吉君 理事 山本 友一君    理事 青野 武一君 理事 中居英太郎君       生田 宏一君    佐伯 宗義君       濱野 清吾君    堀内 一雄君       松田 鐵藏君    眞鍋 儀十君     早稻田柳右エ門君    井岡 大治君       下平 正一君    西尾 末廣君       松岡 駒吉君    小山  亮君  出席政府委員         運輸政務次官  伊能繁次郎君  委員外出席者         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉蔵君         日本国有鉄道副         総裁      小倉 俊夫君         日本国有鉄道理         事         (経理局長)  石井 昭正君         日本国有鉄道理         事         (施設局長)  佐藤 輝雄君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 二月十五日  道路運送法の一部改正に関する請願内海安吉  君紹介)(第五九九号)  同(坊秀男紹介)(第六〇〇号)  同(北山愛郎紹介)(第六三三号)  同(加藤精三紹介)(第六三四号)  同(伊藤郷一君紹介)(第六三五号)  同(徳安實藏紹介)(第六三六号)  同(田中彰治紹介)(第六三七号)  同(田中正巳紹介)(第六三八号)  同外二十一件(池田禎治紹介)(第  六三九号)  同(中村三之丞紹介)(第六四〇号)  同外二件(植木庚子郎君紹介)(第六四一号)  同外一件(勝間田清一紹介)(第六六四号)  同(纐纈彌三君紹介)(第六六五号)  同(平野三郎紹介)(第六六六号)  同(江崎真澄紹介)(第六七九号)  同外一件(杉浦武雄紹介)(第六八〇号)  新庄、楯岡両駅間等デイゼルカー運転に関す  る請願松澤雄藏紹介)(第六〇一号)  左沢、荒砥間の鉄道敷設に関する請願松澤雄  藏君紹介)(第六四六号)  鍛冶屋、梁瀬両駅間の鉄道敷設に関する請願(  堀川恭平紹介)(第六四七号)  国際観光基幹網整備促進に関する請願(綱島  正興君紹介)(第六六〇号)  の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員及び小委員長選任  国鉄関係予算に関する件     —————————————
  2. 松山義雄

    松山委員長 ただいまより運輸委員会を開会いたします。  陸運に関して調査を進めます。一昨日に引き続き国鉄に関しまして質疑を続行いたします。井岡委員
  3. 井岡大治

    井岡委員 この機会委員長お願いをいたしたいのでございます。と申しますのは、先日私の質問中に、関連質問という名前で全く方向違い質問をされておりました。しかしながら私は運輸委員会を最も円滑に遂行するためには、同僚のことでございますから、少々間違っておってもそれはやむを得ない、こういうように考えておったのでございますが、たまたまその関連質問なるものが終ってしまいますと、与党の方は一人もおらない、こういうことでは、全く質問妨害と言わなければならないのです。今後こういうことのないようにお願いいたしたいと思います。
  4. 松山義雄

    松山委員長 注意をいたします。
  5. 井岡大治

    井岡委員 引き続いて御質問申し上げますが、先ほども予算委員会で柳田さんの質問を聞いておったのですが、この間の話と全く違って参っておると思うのです。次官はこの間は、昭和三十一年度はやらないか、こういう正木さんの質問に対して三十一年度はやらないとは申し上げない、こういうように言われておったと思います。もちろんそれには、今いろいろの問題を検討しておるので、ここで言明はできない、こういうようにつけ加えておられましたけれども、先ほどの答弁は、三十一年度予算には計上してないのだ、こういうことから発展して、だんだん非常に怪しくなって参ったのであります。従ってこの点もう一度次官から明確にお答えをいただきたいと思います。
  6. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 大臣が本委員会もしくは他の委員会等において御答弁申し上げておりまする点と、私どもが御答弁申し上げております点とは違った、ところは私はないと考えておりまして、再三申し上げましたように、三十一年度予算の上においては、運賃値上げを前提としないで、何とか上げない方針予算編成したということには、運輸省の見解は変っておらないということを申し上げます。
  7. 井岡大治

    井岡委員 この話は幾ら繰り返してもこの間の続きになりますから、私は石井経理局長お尋ねをいたしたいと思います。先日の私の質問に対して、百五十二億の増収は、非常な努力をすれば不可能でないと思う、しかもそれは本年度の上期の実績において四十四・億の増収を見ておる、この調子で参りますと、下期において五十幾億の増収か見込まれて、たしか約百五億と言われたと思いますが、そのくらいの増収になると考える、そういう点から考えて、百五十二億の増収は、努力をすれば不可能でない、しかしこれは非常な努力をしなければならぬ、こう言われておる。ところが、私は本年の一般的な経済動向を見ますと、昨年に比較して五割も上るような経済の動きでばいと考える。従って非常な努力をすれば不可能でないということは、これはあるいは不可能であるかもわからない、こういうように理解してよろしいかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  8. 石井照正

    石井説明員 私の先日の御説明が不十分で、あるいは誤解をいただいたのではないかと恐縮に存じますが、私の申し上げましたのは、本年度におきましての見込みは、大体四十億くらいの増収国家予算に対して見込まれておる。そういたしますと、昨年度実績比較いたしますと、ほほ百億近い増収になります。百五十億の収入増加と申しますのは、三十年度国家予算と来年度予算との差でございますが、実際に三十年度予算より四十億程度増収があるということになりますから、実際の増収は、実績比較した場合には百億程度になるのではないか。その大部分が貨物増収期待いたしております。貨物収入実績比較いたしまして五・五%くらいの増収ということになる、この程度収入増加、出荷の増加期待することは、現在の経済情勢が続いて参りますときには、必ずしも不可能性ではない、可能性がございます。従って不可能であり得るというような、そういうことが実現しないこともあるかもしれないということは、そういう要素は入っている言葉でございます。ですから、確実に百パーセント間違いなくそれだけの増収ができるということを申し上げたわけではございません。可能性は十分あるということをし上げただけでございます。
  9. 井岡大治

    井岡委員 そういたしますと、こういうように理解してよろしいわけですね。昨年度予算よりは約五十億近くの増収がある。ですから本年度予算比較をして百五十二億の増収努力をすれば可能だ、こういうふうに理解していいわけですね。
  10. 石井照正

    石井説明員 おっしゃる通りでございまして、三十年度の当初予算比較いたしますと、実績相当増収があるから、従ってそれをあわせ考えますと、百五十億という増収は、実績的に見ますと百億程度ということに相なるので、必ずしも不可能ではないということでございます。
  11. 下平正一

    下平委員 石井さんにその収入の点について関連してお伺いをしたいのでありますが、予算説明のときに、これだけの増収をすることは非常な努力をするのだ、こういう御説明大臣あるいは総裁もなさっておりますが、今石井さんの説明を聞いていると、経済情勢がこのままで推移していけば必ずしもこの増収は困難ではない、大へん楽観的なことを言っておられるようですが、その点、大臣の当初予算説明と、今の石井さんの説明とは大へん食い違っていると思います。昨年度実績を見れば、詳しい数字はわかりませんけれども国鉄石井さんの方では、実行予算として約三十億か四十億の収入減を見込んでの予算を立て三月三十一日の予定収入としては、国家予算に対しては四十三億の増収、こういう見通しを立てられているようでありますが、私ども考えるに、昨年九月時分からの一般の好景気その他で、なるほど国鉄運賃収入が上ってきたけれども、パーセンテージにして大体一・七%であります。ところが今年度予算案を見れば六%何がし、平均して五%何がしの増収を見込んでいるのですが、日本経済情勢が今年よりも何倍も増大をして、それが輸送量にはね返ってくるというようなことは、私どもはとうてい考えられないのです。一大臣は異常な努力をしなければならぬという説明をしたのですが、今の石井さんは非常に楽観的に、百億くらいは入るような御説明をしているのですが、もう少しその裏づけとなるものを具体的に説明をしてもらわなければ、きわめて抽象的だと思うのです。なおこれだけの輸送を完成するとするならば、単に経済状況だけに期待をするという形ではこの輸送はできないと思うのです。車両の新造もしなければならぬとか、あるいは人間もふやしていかなければならぬとか、いろいろの付帯的な条件というものが具備されて、初めて増収になってくるのであります。ただ国鉄が手をこまねいているという形では、とうていこの増収はできないと思うのですが、今石井さんが言ったその楽観的な見通しについての具体的な御答弁をいただきたいのです。
  12. 石井照正

    石井説明員 楽観的だというおしかりを受けたのでありますが、私の申し上げましたのは輸送需要の面から見て申し上げたのでございます。大臣が異常な努力と申されましたのは、これは私御説明を落して申しわけないのでありますが、輸送需要がございましても、これに伴う輸送力がついてこなければどうにもならない。結局お客さんなり荷主さんが荷物を送りそびれてしまうということになるわけでございます。来年度これだけの収入を上げるためには、私どもはそういう点について非常な努力をいたしまして、貨物にいたしますれば貨車の運用効率を上げる、客車にいたしましてもダイヤの編成を考えて車両運用をよくする、そういうような格段の努力をいたしましてこの輸送の要請にマッチする必要はあるわけでございます。その点を大臣はおっしゃったのでございまして、私どももその点はさよう心得ておりまして、できるだけそれだけの輸送をこなすだけの努力をいたしたい、かように考えております。  そこで来年度収入見込み考え方についてでございますが、単なる抽象的な話ではというお話がございましたが、もちろんこの収入見込みにつきましては、何と申しましても根本的なのは経済界動向が一番でございますが、私どもといたしましては現在の動向がそのまま続くのだということを考えて、そこで昭和二十九年度昭和三十年度との収入比較をいたして参りますと、駐留軍関係というような特殊事情を除きましては、旅客関係におきまして前年の実績と本年の実績予定との割合が二分二厘の増加になっている。この旅客の二・二%の増加趨勢は維持できるのではないか、それで計算をいたしておるわけでございます。貨物収入につきましては、やはり同じように三十年度実績から駐留軍関係収入を除きますと、六・四%というのが対前年の割合となっておるわけでございます。この程度は、いろいろ考え方もございますが、二十九年度実績と三十年度推定実績とを比較いたしますと、ほぼ大差ない数字ではなかろうかと考えられますので、従って二十九年では経済状態がデフレと申しますか、緊縮財政関係貨物輸送の面ではダウン・カーブになったのでありますが、その間のカーブをまた平常に戻して三十一年まで延ばして考えますと、三カ年間を通じて一年間に約二%ずつふえてくるという程度数字でございまして、これはわが国の経済の実勢から見まして決して過大——あるいは希望的な点もあるかもしれませんが、そう不可能な期待数字ではなかろう、こういうふうに考えておるわけでございます。実際問題といたしましても、貨物輸送の一番大きな要素となっております石炭につきましても、相当の増産が見込まれておりますし、また青函航路がああいう状態になりましたけれども貨物船の増備によりまして復元いたしまして、三十一年度は三十年度に比べてそういうように実際に上ってくるという具体的な要素もいろいろ考えられますので、六・四%の増加ということで計算をいたしたのであります。この点についての見通しの問題につきましては、いろいろ御議論もあり、御意見もあるかと思いますが、私どもといたしましては、できるだけ収入を上げるという観点に立ちまして、いろいろの条件を検討して推定いたしておるわけであります。これ以上具体的ないろいろな御議論になりますと、結局御意見の相違あるいは水かけ論になるのではないか、かように考えられる次第であります。
  13. 下平正一

    下平委員 石井さんの答弁を聞いていると、大へん苦しい答弁のように私は聞かれるのですが、石井さん、あるいは今小倉総裁もお見になっておるから副総裁からもお聞きしたいのですが、国民輸送責任をになっておられる方として、一体国鉄は今度の予算編成についてどういう形の要求をしたか。たとえてみれば、行政管理庁国鉄経営の問題について、あるいは運賃の問題について、その他いろいろの問題について調査されて以来、国鉄に対する国民的ないろいろの批判、あるいは行政管理庁を通じてのたくさんの批判が出ております。それで国鉄経営責任者の方々は、それらの批判にこたえて、かくかくすれば国鉄は完全な輸送ができる、サービスの向上ができる、こういう態度国民の前に表明してきたはずであります。その中には減価償却の問題も含まれておりますし、あるいは定員の要求の問題も出てきているのです。ところが今度の予算案を見ますると、そういった批判にこたえた経営立場にある責任者としてのいろいろの主張、要求というものが、ほとんど没却されているような気がするのです、私は経営を担当しておられる副総裁あるいは経理局長に、もっと率直に国鉄態度というものを聞きたいのであります。たとえてみると、仄聞するところによれば昭和三十一年度運賃収入についても、国鉄当局が考えている実際の運賃収入というものは、そう多額なものではないということを聞いております。たとえば大蔵省要求した今年度運賃収入増加額というものは、旅客において八億円、貨物で十九億円、合計二十七億円くらいが三十年度比較して増収になるというような形で、当初国鉄皆さん方計画を立てておられる、こう聞いております。ところが実際に今度の予算案を見れば百数十億、実際にやっている国鉄皆さん方の考えている増収額とは、およそ比較にならない増収額が組まれている。これは皆さんが実際にやっていて考え出し数字、経験なり統計なり見通しなりから考え出し数字とどうしてこんなに違うのか。一体国鉄最初大蔵省要求した八億、十九億合計二十七億の運賃収入増加というものは、今の説明とどんな関係があるか。そういう点について、経営立場にある人、あるいは従来の国鉄に対するいろいろな批判にこたえるという形で出されてきた皆さん方意見、その食い違いというものはどこで食い違ってきているか、この点を副総裁も含めて御答弁をしていただきたいと思うのです。
  14. 石井照正

    石井説明員 昨年いろいろ国鉄経営について御批判を受けました。私どもとしては私どもの信ずるところを申し上げて、いろいろの御批判を仰いだわけでございます。ところが運輸省に設置されました国鉄経営調査会が、慎重に私ども経営の内容を御調査になって、答申案として一応の結論をお出しになっております。もちろん私どもとしては、私どもの希望というものが答申案の中で全部盛られているというふうには考えられませんが、しかしながら公正な第三者がごらんになりまして、いろいろ御検討の結果、かくあるべしということについての結論を出されましたことについては、私どもとしても十分私どもの主張通りならなかったといって、これを全然無視するというようなことではなく、われらの考え方も反省をし、またわれわれもさらに努力をしなければならぬことをお教えいただいたというふうに感じております。従いまして私どもとしては経営調査会でお出しになりました答申の線にのっとって予算を計上して、そうしてわれわれの努力を傾倒いたしたいと考えてその線でいろいろと予算編成の際にはお願いをいたしたわけでございますが、政府の御方針もございまして、今懸案になっております運賃の点については、今回御改正にならないという御方針予算が組まれた。そういう点では若干われわれの考えておりますところと食い違いはございます。しかし政府方針がそういうふうにおきまりになった以上、その範囲内で私ども最善努力も尽して、そうしてできるだけ早い機会に私どもお願いをいれていただくということが、私どものとるべき立場ではなかろうかと考えておる次第でございます。国会予算要求大蔵省に対する要求と、実際きまった額と増収額相当開きがあるというお話でございますが、ただいまのお話数字の点が若干食い違っておるかと思いますが、私どもの方で出しました要求は八十億程度増収計画で当初の予算折衝をやっております。実は予算折衝数字を作りましたときは、昨年のまだ上半期が終ったばかりのころでございまして、その後下半期になりまして非常に経済情勢の好転と申しますか、輸送のアップ・カーブ趨勢も伸びて参りましたので、実際に予算折衝をいたします段階におきましては、最近の傾向というものも取り入れるべきだという大蔵省その他の御意見も、私どもこれを否定ずるわけにはいきかねたのでございまして、経営立場からいたしますと、できるだけ収入はかた目に安全に組むことがほんとうだと思います。しかしまた一面今日のように、運賃改正その他についての問題が未解決に残されておりますときにおきましては、ある場合にはやはり収入につきましても、最善努力をするという条件のもとに予算を組まなければ、いろいろの経費その他について十分な——十分とまでは参りませんが、少くとも何とかやっていくという建前の予算も組みにくいわけでございます。その点を勘案いたしまして、われわれといたしましても合理的にこの程度はいけるという一つ条件が、全部よい条件が重なり合って、場合によってはこの程度いけるという点についての数字といたしましては、もちろん決してでたらめな数字でもございません。立脚点がある数字でございますので、そういう収入に変更することにわれわれも同意をいたしたわけでございます。また政府もその点は妥当だとお認め願って、予算案を作っていただいたわけでございます。若干最初原案を作りました時期と予算が決定いたしました時期との間における新情勢を取り入れておるということも、ただいまの御質問に対する御疑問を解消する一つ要素ではなかろうかと考える次第でございます。
  15. 松山義雄

    松山委員長 下平さん、井岡さんの関連質問が長くなってもいけませんから……。
  16. 下平正一

    下平委員 もう一つだけです。今石井さんから御説明を聞きましたけれども、多少私の聞いていた数字と違いがあったといたしましても、国鉄が考えた増収予定が八十億とすれば、今原案に盛られておるのは百五十三億、約倍に近い数字です。そこで今石井さんが、下半期に入って経済情勢がよくなってきて、カーブがだんだん上ってきておる、こういう御説明をされましたけれども、私ども調査した資料の中では、確かにカーブ上昇をしておりますけれども、それはわずかな上昇率であります。決して八十億の増収が百五十三億にふえるというような、驚異的なカーブ上昇率というものではないのです。  そこでこれは小倉新副総裁にお伺いしておきたいのですが、石井さんがるる説明されて大へん自信がおありのようですが、一体この八十億という原案が百五十二億にされて、国鉄当局としては増収について自信を持っておられるかどうか。ということは、この増収が上ってこなければ、どこかに収入源を求めなければ、国鉄皆さん方はやっていけない。国鉄がやっていけないということになれば、結局サービスを低下するか、保安度を低下するか、その犠牲というものは国民に転嫁されるので、大へん重要なことであります。そこで八十億の自分たちが考えた増収案というものが、百五十三億に修正されてはい、そうですかといってのんでくるからには、相当自信覚悟がおありだと思う。この際百五十三億についての自信のほどについて明確に、これは委員会より国民皆さん方に対する答弁として、一つ責任者からお答えをしていただきたいと思います。
  17. 小倉俊夫

    小倉説明員 ただいま国鉄収入予算についてじゅんじゅんと御教示、御質問がありましたが、私はただいま石井経理局長から答弁いたしましたのと全く意見が一致しております。ただこの際申し上げますことは、公共企業体として予算制度というものがございますので、必ずしも私どもが当初に出しました予算と同じであるということではございませんで、いろいろその関係個所の修正を受けた数字であるということは間違いないところでございまして、たとえば支出の点につきましても、先ほどちょっと御質問の中に触れておったようでございますが、日進月歩の交通機関の発達に即応いたしまして、いろいろな施設もいたしていきたいということは考えておりますが、しかしいろいろな点で支出予算の多少意のごとくならなかったことは、これまた事実でございます。これはもう予算制度がございます以上、各省の予算におきましても、他の公共企業体予算におきましても同様でございまして、大蔵省の規制を受け、また国会の御審議を受けるという段階におきまして、原案とかけ違ってくる点はこれはいたし方がない。その責任者といたしましては、与えられましたワクの中で最善を尽していくというよりほかいたしかたないと思います。  先ほど御質問の要点としまして、収入予算についての見込みはどうか、こういうことでございましたが、御承知通り収入予算と申しますものは非常にむずかしいものでございまして、将来もいろいろな客観的情勢に左右されるものでございますから、可能といい不可能といい、それは実際のすれすれのところにおきましては、これは見方によるものでございましてただいま提出になりました国鉄収入予算につきましては、非常に困難ではありますが、努力をして決して達成し得られない数字ではございません。またそれを逆に言いますれば、達成し得られない数字ではないけれど、達成するには非常に努力が要る、こう申し上げてもよろしいのでありましてそこは私ども極力の努力をもって達成すると申し上げるよりほかいたしかたないと思います。それでその与えられました予算範囲内で、工事予算としては極力重点施工をいたし、また節約をはかって単価の切り下げその他をいたしまして、国民の御要望にできるだけこたえていきたい、こういう覚悟であります。
  18. 井岡大治

    井岡委員 非常に長くなってせかれておりますので、次に移りたいと思います。次に勘定項目の中に公債の二百四十億を見込まれておるわけです。昨年に比較いたしまして百十五億増。ことしは国家全体の予算でも、かなりたくさんな公債発行をされるように聞いております。従ってこれだけの公募債が完全に消化できるかどうか、この見通しについてお答えをいただきたい。
  19. 石井照正

    石井説明員 公募債につきましては、単に鉄道債券ばかりでなくして、ただいまお話のありましたように、他の公社債あるいはこれに類似する公団債等について、全般のワクから判定しなければならないと思います。鉄道公債は二百四十億でございますが、電電の方は御承知のように八十五億かございます。公社債だけで国鉄電電で三百二十五億ということに相なっております。ただいまの情勢で参りますと、上半期におきまして、月平均三十億程度の消化ということは、必ずしも無理で−はないのではなかろうか。下半期になりますとどうなるかわからないと思うのでございます。しかし平均いたしまして、大体両公社債では月二十七億程度でございます。従って公社債だけを考えますと、現在の金融情勢では十分消化し得ると思います。ただこれに合せまして、公団債とかあるいは北海道の開発債と、いろいろ出て参るようであります。これらを合せますと、いわゆる政府関係の事業の民間金融に依存いたしますのは、たしか五百億こえるのではないかと思います。結局月五十億近いものをこなしていかなければならないということに相なります。この点については私どもある程度心配はいたしておりまするが、しかしこれは全般として大蔵省で御心配下さって消化する対策を立てていただけると思いますので、これも相当努力をしなければむずかしい額ではございますが、必ずしも不可能な額ということには相ならぬかと思っております。
  20. 井岡大治

    井岡委員 どれもこれもみな努力しないとできないものばかりで、全く今度の国鉄予算というものは自信がない、こういうふうに私たちは理解をいたします。従って、われわれはこの自信のない予算を審議するのですが、当然そこから来る運賃の値上げということが考えられる。同時にまた、いろいろ御説明になりましたようにかりにこれが完全に消化されたとしても、政府関係一般を入れて多額の消化をすれば、当然インフレが起って参ります。そうなりますと、国鉄の購入資材そのものは上っていくというようなことから、当然またこれは赤字が出てくることになるわけで、今度の予算はわれわれとしては非常に理解に苦しむ。しかも政府当局は、依然として値上げの問題については態度を明らかにしておらない。こういう全くでたらめな予算というものは、われわれとしては非常に不愉快な気持を抱くわけです。  そこで小倉総裁お尋ねをいたすわけでございますが、こういう不安定な予算の中で、あなたは責任を持って国民の生命、財産を預かっておられる。もしここで赤字が出てそうして本年度値上げをしないでやっていくならば、あなた方の考えておられる六カ年計画というものは大きなひびが入ってくる。経営調査会答申の二項に明らかに、国民の生活に重要な影響を持つわけであるが、運賃値上げをやらなければならぬということがうたってあるわけです。この点について、いわゆる責任者としての立場から、今後国鉄はどうあるべきかをはっきりお答えいただきたいのであります。
  21. 小倉俊夫

    小倉説明員 国民の生命、財産を預かるという点につきましては、私ども昼夜念頭に置きまして、誠心誠意努めておる次第でございます。ただ国鉄としては、前々から申し上げました通りに、老朽施設を非常にたくさんかかえておりますので、私どもは一日も早くその老朽施設の全般にわたりまして取りかえをいたしたい、こう念頭に置いておりますが、それにつきましては現在の金では足りないことは、これまた前々から申し上げた通りでございます。しかしその取りかえの中にもいろいろ緩急がございます。できるだけ列車の運行に直接関係のあるような保安設備には、超重点的に施策を指向いたしましてその老朽を防いでいきたい、かように思っておりますが、全般につきましては、実際金の不足のために思うようにいたしかねるということは申し上げてもいいだろうと思います。しかしそれかといいまして、国民の皆様の生命、財産に対して絶対に支障のないように取りはからう、またその決心でかかっておる次第でございます。
  22. 井岡大治

    井岡委員 そうすると小倉総裁は、金が足らないから値上げをしてもらいたいという気持には変りはないわけですね。
  23. 小倉俊夫

    小倉説明員 それはただいま申し上げました通りに、国鉄としては金の余裕がございますれば、幾らでもやりたい仕事は山積いたしております。たとえて申し上げますれば、もう幹線の輸送も行き詰まって参りますし、それから車両の増両もいたしたいし、いろいろな点につきまして、施設の向上ということは机上として考えております。しかしながらそれを全部いたしますには、現在の収入では足りないのでありまして、できるだけ運賃収入増加になりますようにお計らいが願えれば、それだけ国鉄の力がつきまして、また成績もよくなる、こういうことは常日ごろから念願いたしておる次第でございます。
  24. 井岡大治

    井岡委員 ただいまのお言葉を聞いておりますと、次官がおいでになるので遠慮をされておるのだろうと思いますが、金がほしいなら金がほしい、値上げをしてほしいならば値上げをしてほしいというふうにはっきり御答弁なさる方が、私は国鉄の担当者として責任のある態度だと思うのです。この点どうですか。
  25. 小倉俊夫

    小倉説明員 いろいろな御質問がございますが、とにかく国鉄としましては、金さえありますればもっと施設がよくなる、それで増収は今後できるだけはかっていきたい、この程度でごかんべんを願いたい。
  26. 井岡大治

    井岡委員 次官、今の言葉を十分聞いていただきたいと思うのです。事故が起れば総裁の首を切ったり、あるいは下級職員を処分するだけが運輸省の監督行政じゃない、こういうように考えていただきたい。そういう立場から、私は本年度運賃値上げがなされるものと理解をいたします。  同時に、国鉄小倉総裁に最後に一点聞きます。国鉄というところは、金があるのかないのかさっぱりわからぬ。たとえばこの間の本会議において、十六億の政府の貸付金が払えないから、一年間延長してもらいたい、こういうようにいってわれわれは賛成をしました。そして実際の見積りとしては、八十億か百億程度増収の見積りができないのに、百五十何億というようなたくさんの見積りをして、帳面づらを合せるだけの自信を持っておいでになる。従って今官公労の諸君が問題を起しておるが、こういう問題について十分考慮を払っていただきたい。昨日の本会議の席上において鳩山総理大臣は、労働争議というものは当事者同士が円満にやっていただくことが望ましい、同時に調停、裁定というものについては、これは十分尊重するように努力をすると答弁されておるのです。ところが不思議なことに、三年前に国鉄の労働組合と当局との間に締結をいたしました新共済組合法が、いまだ提案をされておらないのです。この提案をする意思があるかどうか、お尋ねをいたしたい。
  27. 小倉俊夫

    小倉説明員 鉄道が金があるかどうかわからぬというお話でございましたが、毎々御答弁申し上げるように、ただいま非常に貧乏いたしております。予算面をごらんになりましてもおわかりになります通り、償却費は二百七十億程度しか出ておりません。現在国鉄の資産が二兆円ほどございます。その二兆円の中には、いろいろな償却の対象とならないものも含まれておるかもしれませんが、とにかくそれだけの膨大な固定資産を持っておりまして、償却が二百七十億、これは実際計上いたしますれば、これも経営調査会の御答申にあったかと思いますが、四、五百億円のものは最小限度見ていかなければならぬと私どもは思っております。これがもし民間の企業でありますれば、償却不足ということでありまして、はっきり赤字だということでございます。ただ企業会計といたしまして収支を合せます関係上、二百七十億の償却費をもちまして取りかえ工事をいたしております。その取りかえ工事が、先ほど申しましたように、腐朽の程度の著しい設備がたくさんございますので、それについて特に重点施行をいたさなければできないような状態でございます。簡単なことを申しますれば、機関庫にターン・テーブルというものがあります。あれが全国で千ぐらいございますが、年々取りかえをいたしますのは五、六台ぐらいのもので、そういたしますと、償却が二百年というような数字になって参るのでございます。しかしこれは直接お客様を運んでおるのではございませんから、陰に隠れておるわけでございます。さようなわけで、貧乏ということはあまりいばったことではございませんが、うそ偽わりのない点でございますから、それは御承知願いたいと思います。そういうふうな点を考えますと、お金は事実——これも最後に申し上げますが、のどから手が出るほどほしいのでございまして、こういう点につきましては、ぜひとも皆様の絶大な御支援を願いたいと、かねがね考えておる次第でございます。  それからただいま共済組合法案につきまして御質問がございましたが、この共済組合法の改正法案は私もよく説明を聞きまして、国鉄としましては非常に重大な法案であると考えております。ことに労組の方からもぜひこれを促進してほしいというふうな強い要求もございます。それで私ども関係の向きに御説明にも上っておりますし、いろいろ促進方をお願いしてまた今後も努力をし続けるつもりでありますが、また皆様方におかれましても側面的な御援助のほどをお願い申し上げる次第であります。
  28. 井岡大治

    井岡委員 次官お尋ねをいたします。これはもう今小倉総裁が正直に言われたのです。ただ帳面づらを合せるためにこういうことをしたと言っておられるのです。ですから、これは先日から何回も言っております。運賃の問題については触れませんが、これからいわゆる新共済組合法  昨日の鳩山総理の御答弁から考えても、当然実施をしてやる、こういうところにやはり労働慣行というものを築いていかないから、いろいろな問題が起ってくるのだと思うのです。ですから次官としては、本国会中に新共済組合法をお出しになるように努力をしていただきたい。この努力ができるかできないかを一つ答弁をいただきたい。
  29. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 共済組合法の関係につきましては、あるいは出過ぎた御答弁かとも存じますが、率直に申し上げますと、井岡先生の御指摘のような趣旨で、実は前国会において私もこれが提案にあらゆる努力をいたした一人であります。内容につきましても私十分承知をいたしております。私の記憶では、前国会においてわが党内におきましても、参議院先議というつもりで十数回論議を重ねました。そうして大体の成案を得ましたので、前国会に出そうということで、私は関係同僚議員とともに努力をして参りましたが、まだ提案の運びに至らなかった、かように考えておるのでありますが、今国鉄部長の話では、参議院提案で、前国会の会期末に提案になって、参議院の継続審議中だ——私そこまで実は承知しなかったのでありますが、国鉄部長からはそういう話でありますので、さっそくこれは取り調べまして、またこれが提案については私ども御指摘の趣旨について最善努力をいたすということをはっきり申し上げておきます。
  30. 下平正一

    下平委員 関連して。まだ昭和三十一年度予算案についてはたくさん質問がありますが、あとまた続きますので、一つだけお伺いしておきたいのですが、今年新線はどのくらい開業されるでしょうか。そしてそれに要する職員数はどのくらいこの予算案に見込まれてあるか、それをちょっとお伺いしたいのです。
  31. 石井照正

    石井説明員 新線で今年開業いたしますのは、これは運輸省の方からお答え願いますが、今年中にたしか三線、四月初めに一線開業する予定になっておると思います。それからこの予算は来年度は御承知のように五十五億ということで御審議をお願いいたしております。来年度計画につきましては、目下運輸省の方でも御検討中で、近く建設審議会を開催になって御決定になると思っております。この新線の開業に必要な所要人員は、これは具体的にまだ聞いておりませんが、私どもといたしましては現在の人員の中で、いわゆるやりくりをいたしまして、配置転換をして開業に支障のないような人員を整えたい。しかし同時にまたできるだけ運営方式を簡素化いたしまして、少い人員で支障なく開業できるようにいたしたいと考えております。
  32. 細田吉藏

    ○細田説明員 三十一年度の新線建設費の五十五億の配分につきましては、まだ最終的決定をいたしておらないのでございます。当初私ども要求いたしました六十五億で開業する予定になっておりましたものを申し上げますと、札沼線、小木線、白棚線、大糸線、気仙沼線、この五線を予定いたしておりまして、これにつきましては先般建議審議会の小委員会では、これを開業するということで予算を組むべきであるというふうになっておりまして、最終的予算が六十五億から十億減っておるわけでありますが、その減った中でも開業に重点を置くべきであるということになっておりまして、最終的には次回の建設審議会でおきめ願う、こういうことになっておるわけでございます。なお三十年度はこの三月までに開業いたしますものは、白新線、川口線、樽見線、日田線、この四線になっております。
  33. 下平正一

    下平委員 それで私お伺いしたいのは、新線の開業線路ももちろんお聞きしたがったのですが、今石井経理局長に聞くと、新線の開業に要する職員数に対する考慮を全然新しく見込まれていない、こういうお話であります。百五十三億の増収をするということになれば、職員数の増加ということは当然だと思うのです。全然現状の職員数の中でこれだけの増送、運輸収入増加を上げるということは、非常に困難だと思うのです。そこで今予算を見ると、昨年度に比べて定員が一人もふえていない、こういう状態なのです。新しくできる線路に要する職員さえも組んでない、こういうような状態で、対労務管理といいますか、職員管理ということを一体どういうふうに考えておられるか。私どもが推定すれば、五千人くらいの職員数の増加がなければ、六%何がしの増送要求にこたえることはおそらく不可能だ、こう思うのです。そのことは昨年一カ年の休暇状態を調べてみれば、労働基準法に規定をされた休暇数さえも、約一割というものが未消化のままになっておる。しかもあなた方が昭和三十年十月三日に出された行政管理庁に対する国鉄の見解の中を見ると、職員の労働生産性が非常に高くなっている。あなた方が調べた数字では、昭和十一年度を一〇〇として二十八年度は一〇四、二十九年度は一〇七と、だんだん職員の労働生産性が上ってきている。このことは言いかえれば職員一人当りの労働強化がだんだんふえてきているということにほかならないと思うのです。今年何億トンの増送、金額にして百五十三億円の増送をするのに、現状の職員でやるということになれば、なおさら職員に対する労働強化がされていく。また労働基準法に規定された年次有給休暇さえも、今日の現状の中でさえ取れない実態、それに対して予算を見れば一名の増員も組んでない。新線開業が五線されるという御説明があったが、新しい線路を敷いて新しく営業するその職員数さえも組んでいない。これは非常にずさんというか、悪く解釈すればあなた方は国鉄の労働者を馬車馬のようにむちを打って使いこくっていく、そういう量見でこの百五十三億の増収を見込んでおられるのではないか。まさか石井さんや小倉さんは国鉄職員をこれ以上馬車馬のようにむちを打ってやろうとは考えていないだろうが、この増収に対する職員の増加、あるいは新線開業というのは新しくできる線路でありますから、これに対して当然職員数の増加を見込むべきだと思うが、一体どうして見込んでないか、この点について御質問申し上げます。
  34. 小倉俊夫

    小倉説明員 ただいま新線につきまして人員を用意してないのは、労働強化ではないかという御質問でございましたが、もちろん国鉄としましては労務員の休養、適正配置等につきましては、労働基準法の定めるところによりまして、できるだけ労務強化にならぬようにということは考えております。具体的に申しますれば、戦前におきまして一人が一働いたしますと、現在では休暇も与え休養もとらせる、そういうことによりまして〇・七七くらいの数字に相なっていると承知しております。ただ国鉄といたしますれば、できるだけ経済的な企業をしなければならぬ、赤字は極力解消して、能率のいい運営をいたさなければならぬという要請がたくさんございます。しかしながらまた他面、現在の社会情勢におきましては、労務員の酷使ということはこれは避けなければなりません。そういう二つの相反する要請の間に立ちまして私どもは非常に苦慮しておるのでございますが、これはいろいろな機械化をはかることによりまして、そう無理なく現在の人員でやれると思うのであります。たとえば信号制度を変えるとか、あるいはカーリターダーと申しますか、列車のハンプにおきます車両を自動的にとめる装置がございますが、こういうものをいたしますとか、いろいろな点におきまして機械化することによって、人間が生み出されるということもございます。また業務を簡素化し、合理化しまして二重なあるいは煩瑣な手続を簡略にいたしましてそれによって人員を浮かすということも考えられます。さようにいたしましてかたがたには決して労働強化にならぬ、しかも近代的な企業に移る、そうして余剰人員は、これはなかなか配置転換といってもすぐに口先で言えるようななまやさしいものではございませんが、ごく総体的に考えてみますと、無理のない人員を減らしまして、新線その他新しい事業に振り向けていく。もちろんそれでどうしても不足の場合にはいたし方ありませんが、現状ではできるだけ節約、合理化をしていくという一面と、それから労働強化にならぬようにというその間をとってまた同じ言葉が出ますが、極力努力をいたしておる次第でございます。
  35. 下平正一

    下平委員 今の小倉さんの御答弁ではちょっとわかりませんので、石井さんに数字的にお伺いしたいのですが、これだけの収入を上げるため、新線開業ということが当然予定されておるのですから、国鉄当局としても当然大蔵省に対しては増員要求をなされたと思うのですが、国鉄当局が考えて大蔵当局になされた増員要求は一体どれほどか、これを簡単にお知らせいただきたい。
  36. 石井照正

    石井説明員 当初私ども予算要求をいたしましたときには、たしか六千人の増員要求をいたしたと思います。しかしその後経営調査会でいろいろ御審議になりました結論として、人員については今後増員を来たさないよう措置すべきであるという御結論が出ておりました。この点は経営調査会には組合の方もお入りになってこういう結論が出ておりまして、私どももこの御趣旨に従ってやらなければならぬと考えておる次第でございます。
  37. 松山義雄

    松山委員長 松岡委員
  38. 松岡駒吉

    ○松岡(駒)委員 どうも国鉄はのどから手が出るほど困っているのだというお話ですが、それであるならば、あるいは運賃値上げのことをお考えになる場合でも、運賃を上げるということは物価に響く、それでは経済政策の上から困る、あるいは国の負担において何とかする、そういうふうに問題が公然と論議されるようになりまして適当な結論に到達することが望ましいのではないかと私は考えているので、しばしば同僚委員から質問のあったことにつきましても、答弁がはなはだ明確を欠いておるのを遺憾に思っております。しかしそのことはしばらく別といたしまして、国鉄は、いかに貧乏でありましょうとも、これを利用する人々に対してサービスを考えなくてはならない。それから国鉄施設が不完全でありますために、周囲に迷惑を及ぼしておるようなことに対しましては、言うまでもなくその施設を改善されなければならないことは当然であると思うのであります。東京−横浜間は日本の鉄道でも大切な幹線であることは申し上げるまでもありませんが、東京都内を縦貫している路線のあちこちにガードがあるわけでありますが、このガードがすこぶる低い。私今交通法規を暗記していないけれども、たしかトラックは地上三メートルくらいまで貨物を積載することができるようになっておると記憶しております。ところが正確には調べていないが、二メートル半そこそこの低いガードがあるのであります。従って大型のトラックで少し積載量が多いと、トラックがその下をくぐることができない、その種のガードがあちこちにずいぶんあるのであります。ちょうど京浜鉄道と山手の間は、そこを国鉄の路線が通っておるのでありますから、その下をくぐることができない。はなはだしきに至りましては、火災の際に消防自動車がそこを徐行しなくちゃならぬ。私はたまたま機会があって見たのであるが、消防自動車の司令官が全員に注意を与えまして、姿勢をうんと低くしてかすかすでようやく通った。御承知通り消防もだんだん機械化されて、今では何か小さな三輪車を消防自動車の上に積みましてもとはホースを手押しでがらがらやっておったが、現場に到着すると直ちにその消防自動車の上から小型の三輪車をおろして、ホースをあちこちに運ぶ、こういうようなことが始まっているのでありますが、そうなってきますと、いよいよもってそこを通ることができなくなってしまう。火災の場合において消防自動車がずっと迂回しなければならないようなことでそのまま放擲れておることは、はなはだよろしくないことでありまして、あまり多くの言葉を費してそういう点を申し上げるまでのこともないと思うのであります。広ければいいが、道路の幅員が存外狭くてしかもその上、中に鉄柱が立っておる。八幡通りから三和銀行に通ずるガードのごときはそれであります。非常に低くて、しかも中央に鉄柱が立っておるのでありますから、交通は相当頻繁なところであるので、付近の者はえらい迷惑をしているわけです。商売人なんかもずいぶん迷惑をしておることをしきりに訴えてくるのであります。こういうことにつきまして今までもすでに、私も一回紹介したことがあることを記憶しておりますが、請願は通っておるはずであります。一体施設局長はそれにつきましてどういうお考えをお持ちであるか、今までお調べになりまして、それに対して一体どう対処していく御方針であるかということをお聞きしたいのであります。これが一つ。  それから品川から鶴見に通ずる貨物線があるのでありますが、この付近は相当の住宅地で、ずいぶんたくさんの住宅がある、そこを貨物線が通っておるのであります。住民の多くはこれに旅客を運ぶように電車を通してもらいたいということをしばしば言っておる。これはもう超党派的に、ことにその点では民自党の諸君がなかなか熱心に御努力になっておるようでありますか、これに電車を通すことについてお調べになったことがあるか、それについての方針を伺いたいのであります。もう一つ、問題はこまかいのでありますが、大井の駅は御承知通り地下をくぐったり上を通ったりすることができなくてあの路線を踏み切りで越すことになっておる。あそこはずいぶん電車、汽車のたくさん通るところでありますから、私どもも踏み切りのところでしばしば車をとめられて、ずいぶん雑踏する。それが南口に踏み切りがあるのであります。それから北の方は橋がありまして、そしてその橋の幅が狭くて、今それを広げる工事を進めている、これは大へんけっこうなことですが、あそこはえらく雑踏するところであります。さきに申し上げる通り、東口から大井駅を利用する人は踏み切りを越すか、その橋を渡らなければならないことになっておるので、おそらく橋梁の幅員が少々広がっても、あそこを通る人や自動車の交通量の多い点から考えて、なおかつ相当雑踏するであろうことが予想されます。その橋が広くなれば、今は三つの乗降口があるのであるが、その東口の改札を廃止してしまって、そうして大井の表玄関とそれから幅が広くなるにつれてそれを私鉄に結んでそれと二つにしてしまう、こういうことになってくることは付近の住民にとってはなはだ迷惑だというので、東口の人々が東口は残してもらいたいということを言っている。しかもその大井駅のすぐ東側に品川区の公会堂ができることになっております。公会堂ができればおそらくそこに乗降口、改札口ができるであろう、できなければならないことは必然的だと住民は思っております。それができるまではせめて東口は存置してもらいたい、これはもっともしごくであると思って、私は一度紹介の労をとったことがあるような気がしております。当時当局にも一緒に陳情に行ったその場合におきまして、人件費の点についての御懸念があったようであります。経営の合理化は大へんけっこうでありますが、さきに申し上げた通り乗客に対するサービスを忘れてもらっては困るのであって、今あるものを破壊されるためにも相当の費用が要る。やがて東口にも公会堂が作られるであろうということが予想される限り、その東口の改札口を新しくお作りになるまでの間は、これを存置してもらいたいという請願はしごくもっともであると私は思っておるのであるが、それについての施設局長としての見解、以上三つの問題についてお答えを願いたいと思います。
  39. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 ただいま御質問がございました三つの点につきまして、まずガードの問題から御説明申し上げたいと存じます。先ほど御指摘がございましたように、鉄道のガードが狭いとかあるいは低いとかいうことで、最近特に自動車が発達してきました関係上、そこに自動車が通れない、あるいは消防自動車が通れないという問題が起きまして、この道路を利用される方々に非常な御不便があるということは、私どももよく承知しております。そこでできるだけこれの解決には努力しておるのでございますが、何分にも相当な金がかかります。それともう一つ、この解決には鉄道で負担しなければならないところと、道路管理者の負担によるところとあると思うのでございます。それで鉄道が負担すべきようなところは、私たち独自でできるようなところは、極力予算の許す範囲内で解決しております。それから分担によりますところがございます。たとえば現在やっております日比谷の第一有楽架道橋、あそこのれんが作りの構造物が道路を狭めております。あそこは非常な雑踏を来しますので昔から問題があったところでございますが、これは鉄道と都と両方で分担いたしまして金を出しまして、この秋までに作り上げることにしております。また新橋の駅を出まして銀座からの大通りの交わるところ、源助町架道橋を広げておりますが、あそこもやはり高架線のコンクリートの構造物が出張っておりまして、やはり交通に支障を与えるというような格好であります。これも今度解決しよう、この解決につきまして国鉄が金を出しているのは、結局現在かかっているけたが、もう老朽して取りかえの時期に至っておる。だから国鉄がそのけたの取りかえ費を持つということで、当局と話し合いをして、それで解決をいたしまして今工事をいたしております。そのほか先ほど話をされましたガードのようなものは京浜間にたくさんあります。また山手線などにもたくさんあるのでございますが、これらは最初小さい道路、幅の狭い道路があったのでございますが、それが道路の幅が広がりまして、結局ガードのところがくびれてしまうという格好になっている、こういうのは全国にもたくさんあるのでございますが、道路管理者の方で道路を広げられたのですから、道路管理者の負担で直していただきたい、こういうふうな話し合いになっております。私の方はそのかわり、もし道路が広がってきましてそのガードがくびれている、そこにまた線路をつけなければならぬじゃないかというときは、私の方はすでに広い幅で負担して仕事をするようにしております。ですから今御指摘になりましたような多くのガードは、道路管理者の負担のところが多いと思うのであります。これは私の方からも自衛上の点もありますので、道路管理者の方に申し入れてあります。また地元の方々がよく陳情に来られるのでありますが、そういう方にもよくこれは鉄道ではなかなか出しにくいので、道路管理者の方によく御説明になった方がよろしゅうございましょう、こういうふうに申し上げております。こういうふうにいたしまして、極力利用者の不便を取り除きたいと思っております。なお京浜間につきましては、そのほかに平面の踏み切りもございます。これも非常に問題でございますので、こういうものも道路管理者の方と話し合いまして何とかして——これは鉄道と両方で金を出し合って解決することになりますが、解決していきたいと存じております。  それから第二の問題のいわゆる品鶴貨物線と申しておるところでございますが、新鶴見を通ります貨物線に電車を入れたらどうかというお話でございます。私たちもそのお考えはごもっともだと考えております。ただ確かにあの品鶴海岸線の沿線が、東急関係の目蒲線その他に比べまして貨物線であるがゆえに、確かに発展がおくれている、しかるに住宅地としてはいい場所が多いということは私たちも存じておりますが、何分にもあの線が東京に参りますまた東京から出ていきます貨物の重要幹線でございますことと、もう一つは東北、常磐方面あるいは上信越の方から来ます貨物の東海道に参ります幹線に当っておりますので、列車回数が一日に上下線とも約七十回ぐらいあるのでございます。ですから臨時的の旅客列車みたいなものはある程度入れられます。たとえば新宿始発で東海道にいきます臨時列車みたいなものをときたま通すこともございますし、あるいは駐留軍の列車などが通ることもございます。しかし電車を定常的に入れるということになりますと、線路容量が足りない。電車を入れますと、今度は貨物列車を押えなければならぬということになりまして、これはどうも本末転倒いたしますので、私たちといたしましてはさらにあそこに二線増設しまして、電車の通れる線を作りましてやるよりほかに方法がない、こういうふうに考えております。現在御存じのごとく東京付近の通勤輸送といたしましては、中央線の十両運転あるいは京浜、山手の分離、これをまっ先にやらなければならないということで、これを一生懸命進めておりまして、これだけで年々三、四十億という金を使っております。ですから今こういう仕事をやっている途中で、品鶴線の方にちょっと手が出ないような実情でございます。将来こういう仕事が進みますれば、あるいはこちらの方の問題を具体化しなければならなくなるのではないかと考えておる次第であります。それから第三番目の大井町の駅でごさいますが、大井町の駅は戦災で焼けまして、仮のバラック的なものが立っております。それに今度東京都で都市計画に基きまして道路を作る。従いまして現在東京寄りにかかっております。橋梁の幅を広げるようになったのであります。この際鉄道の駅本屋もその都市計画事業に当りまして、何とか解決しなければならぬという問題が起ったものですから、国鉄の方の設計といたしましては、あそこで一番の問題は西北の口でございます。東急の大井線との乗りかえ点でございますが、道路を横断して、道路交通に支障を及ぼす。あるいは私の方の大井工場へ行く職員があそこの道路を横断して、道路交通に非常に支障を及ぼすという問題がございましてこれを解決したいというので、今度は口を橋梁よりさらに北の方へ移しまして道路との横断をとったわけであります。それでこちらの方の品さえうまくできて、道路橋が幅が広がれば、束に行かれる方は一度そこへ出て橋を渡っていただけば大体いいのじゃないか、こういうふうに私たち考えたのでございます。ところが地元の方方はその後いろいろお話がございまして、東口はとっては困るのだとか、いろいろお話がございますが、現在の設備そのままで残すわけにはいきませんで、これはやはりある程度直さなければならぬ。それでなお東京都の、南東口ですか、そちらの方の都市計画が近くまた決定になるのだといろ話を聞いているのでございますが、そうなりますと、またそちらの方の口の整備の問題が出る。それで私たちの方といたしましては、そちらの方の口との関係をよく考慮いたしましてこの問題を解決するようにしたい、こういうふうに思っております。
  40. 松岡駒吉

    ○松岡(駒)委員 もう一点簡単なことをお尋ねいたしたいと思います。道路管理者との関係で幅員を広げるということは考えられることでございますが、低いだけの問題、そういう場合においては必ずしも道路管理者というのではなくて鉄道だけでおやりになることができるのではないかと考えるのです。これは予算等の関係もあるのでありましょうけれども、またしろうと考えかもしれないが、少し高くすることのために、しいて言えば道路管理者との御相談の上で、道路を幾らかカーブをつけて下げる。そして高架線を著しく高くすることが、全体の工費に影響が大きいとなると、その方は幾らか遠慮して、むしろ道路を下げることにする。そして適当な必要な高さのガードにするということは、必ずしもそうめんどうなことではないように思われるわけです。その場合において、費用も相当かかるであろうけれども、今のようなただれんがを積み上げたり、あるいはコンクリートでただ積み上げてあるだけでなくて、それを都心あたりの高架線に似寄ったような、それを店舗に利用できるものにいたしますならば、あるいは鉄道はそれによるある程度収入も得られる。従ってただ金がないからということで済ましておかないで、そういう方法もあるのじゃないか、こう考えるのでありますが、そういうことについての方針は一体いかがですか。
  41. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 先ほど私の説明の中に、ガード下の高さの足りないことの説明が落ちていたのでありますが、高さの足りない場合も幅員の足りない場合と同じように、道路管理者に負担していただくことに今しております。ただ私たちの方で作りました橋梁が、地盤が悪かったりなんかいたしまして沈下いたしましたような場合、これは私の方で費用を持って直すごとにしております。現に今名古屋にも一つ問題がございましてちょうど川の上の橋梁なのでございますが、これがやはり地震だかで橋台が沈下いたしまして、下を通る船に支障を及ぼすという問題が起きておりまして、これを国鉄の方で費用を持ってくれないか、こういうお話がございました。これに対しましては沈下した分を上げるのは国鉄が費用を持つことにいたしておりまして、そうでない場合はやはり道路管理者に持っていただく。それからもう一つ、その場合に道路を削るのがいいのか、線路を上げるのがいいのかというのは、ところによって違うのでございまして、道路を削りまして、あまり深く削りますと、やはり水が非常に出ますところは排水ポンプなんかをつけるとかしなければならない。それであとの経営費、あるいは風水害のときに水がたまって電力が停電するために道路交通をとめてしまうとか、いろいろな場合が起りますものですから、そういう事情を考えましてきめております。それからなお線路の方を上げますときには、駅がすぐそばにありますと、これは非常に莫大な金がかかる。ですから、線路を上げますときにも、駅が近くにあるとか、あるいは架線があるとか、あるいはそれにまた道路の線路橋があるとか、そういうことをよく調べまして、道路を削るか線路を上げるか、こういうことをきめております。それから、上げた場合に高架線みたいにした方がいいじゃないかという御意見がございまして、これは確かにそうでございますが、ただあとであるいは収入がございましても、何分にも最初の投下資本か大きくなりますので、おいそれとながなかできないような実情でございます。
  42. 松岡駒吉

    ○松岡(駒)委員 よろしゅうございます。
  43. 松山義雄

    松山委員長 この際御報告申し上げます。観光に関する小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長に御一任をいただいたのでありますが、その数を十五名とし、    生田宏一君  臼井莊一君    岡崎英城君  木村 俊夫君    中嶋太郎君  畠山鶴吉君    濱野 清吾君  堀内 一雄君    眞鍋儀十君  早稲田柳右工門君    青野武一君  井岡大治君    池田 禎治君  松岡 駒吉君    山口丈太郎君を、それぞれ小委員に、しこうして小委員長に濱野清吾君を指名いたしました。  明日は十時から委員会を開会いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後零時三十八分散会