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1956-02-15 第24回国会 衆議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月十五日(水曜日)    午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 松山 義雄君    理事 今松 治郎君 理事 臼井 莊一君    理事 山本 友一君 理事 中居英太郎君       有田 喜一君    生田 宏一君       佐伯 宗義君    關谷 勝利君       原 健三郎君    堀内 一雄君       井岡 大治君    西尾 末廣君       正木  清君    松岡 駒吉君       小山  亮君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 吉野 信次君  出席政府委員         運輸政務次官  伊能繁次郎君         運輸事務官         (海運局長)  粟澤 一男君         運 輸 技 官         (船舶局長)  山下 正雄君  委員外出席者         運輸事務官         (事務次官)  荒木茂久二君         運輸事務官         (大臣官房長) 朝田 静夫君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      権田 良彦君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉蔵君         運輸事務官         (自動車局長) 山内 公猷君         運輸事務官         (航空局長)  林   坦君         日本国有鉄道理         事         (経理局長)  石井 昭正君         日本国有鉄道参         与         (建設部長)  高原 芳夫君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件  空運に関する件     —————————————
  2. 松山義雄

    松山委員長 これから運輸委員会を開会いたします。  最初に第二十四回国会提出予定法律案について官房長から説明を求めます。朝田官房長
  3. 朝田静夫

    朝田説明員 私昨日付をもちまして海運調整部長から官房長転任を命ぜられましたので、どうぞよろしくお願いいたします。  第二十四回国会提出予定法律案の要綱を簡単に御説明を申し上げたいと思います。  まず第一の鉄道抵当法の一部を改正する法律案でございますが、これにつきましてはすでに大臣から提案理由説明をいたしておりますので、簡単にそこにお配りいたしておりまする要旨の程度で省略をいたしたいと思います。鉄道財団につきましては、その存続、拡張、分割、合併等制度を設けまして、工場抵当法改正趣旨に合せて改正をいたしたい、こういうことでございます。  その次の捕獲審検所の検定の再審査に関する法律の一部を改正する法律案、これにつきましては、存続期間をただいまの再審査実情にかんがみましてさらに一年延長をいたしたい、こういうことでございます。  第三番目の気象業務法の一部を改正する法律案でありまするが、中央気象台以外に気象観測施設を持ちまして観測をやる場合におきましては、届出制承認制にいたす、あるいは気象及び水象観測し、その成果を運輸大臣に報告しなければならない船舶、こういったものにつきましては、船舶法その他で通信施設その他を規定しておりまするから、そういう船舶登録制度といったものを確立いたしまして、気象業務の万全を期したい、なお気象業務重要事項につきましては気象審議会を設けたい、こういった趣旨でございます。  その次の空港整備法案でありますが、空港整備につきましては、本年度予算が約一億足らず計上されておりまして、こういった各地の国内におきまする航空路重要性にかんがみまして、一種、二種、三種といったような空港の種類を分けまして、それに対しまする管理、費用の負担といったようなものを定めたい、こういうことでございます。  次の日本国有鉄道法の一部を改正する法律案、これは国会の御決議もございましたし、国有鉄道監督の強化をはかるための一つの考え方に基きまして、あるいはまた国鉄経営調査会答申を尊重いたしまして、その趣旨にのっとりまして、経営組織財産管理に関する規定整備あるいは監督あり方といったものにつきまして所要改正を行いたい、こういうことであります。  次の船舶職員法等の一部を改正する法律案でありますが、これにつきましては、船舶職員法船員資格等につきまして規定いたしておりまするが、ことに漁船の船員資格につきましては軽減をいたしておりまするし、現在の船員一般充足状況からかんがみまして、全面的に試験を実施いたしますることが船員の不足の状態を来たしまするので、そういった意味におきまして所要改正を行いたい、こういうことであります。  次には旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案でありますが、これにつきましては、取締り規定を強化して、種々の不良業者取締りを、業務開始後といえども監視いたして参る、あるいは健全なあっせん業発達をはかるために改正を行いたい、こういうことであります。  次の道路運送車両法の一部を改正する法律案、これにつきましては、主として自動車の検査の手数料を引き上げるということであります。あるいは再交付の場合におきましても新しく手数料を取る、こういったことが改正趣旨であります。  その次の臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案でありますが、これは来年の三月に効力がなくなりますので、五カ年計画に即応いたしまして、その線に沿ってその法律効力延長をはかりたいということだけであります。  次に道路運送法の一部を改正する法律案でありますが、これは安全な自動車運送の確保ということと、現在の法律の運用の適正化及び合理化のために、事業を継続するに適しない事業者に対する免許の取り消しあるいは自家用自動車に対しまする規制、そういった点につきまして所要改正を行いまして、事業監督合理化をはかりたい、こういうことでございます。  その次の倉庫事業法案でありますか、現行倉庫事業につきましては御承知のように事業開始におきましては抽出制度になっておりまして、発券業務につきましては許可制度になっておりますが、この点を現在の倉庫業法実態に合せまして、ここに倉庫事業というものの許可制をとりまして公信力を持っておりますこういった倉庫事業の健全な発達をはかる、こういうことか眼目になりまして、法の所要改正をはかりたいということであります。  次に水難救助法案でありますが、現行水難救助法は明治三十二年の非常に古い法律でありまして、ことに海上保安庁といったような行政組織もでき上っておりますし、現行に即しない法律でありますので、この点につきましては今の実情に合致いたしましたような救助制度を確立いたしたいということが、水難救助法の骨子であります。  次に小型船海運組合法案でありますが、これは現在の機帆船及び外航汽船におきまする事業実態から考えまして、非常に零細な企業の安定をはかる必要がある。しかも外航政策に偏しておって、国内の内航の小運航業者に対する対策がないではないかというふうな御批判がいつもありまするので、この際小型船海運業組織化したい、まず組織を安定することが、この業態に対しましては最も適切な対策であるというふうに考えまして、小型船海運組合法というものを考えたわけであります。  次に港湾内の海岸を保全するための港湾法特例に関する法律案でありますが、これは海岸法との関係にもなると存じますが、海岸の中で港湾内の海岸といったものは、原則として港湾管理者あるいは都道府県知事に行わせることが適当であるということでありますので、この点に関しまして港湾法の特別な形で考える方が適当だということで、港湾内の海岸を保全するための港湾法特例に関する措置として目下検討をいたして、提出予定にいたしているわけであります。  大体提出予定日は一番下のところに書いてございますが、二月中、下旬にわたりまして提出をいたす予定でございますが、何とぞその節に御審議をお願いいたしたいと考えている次第であります。
  4. 松山義雄

    松山委員長 次に空運に関しまして調査を進めます。国際航空路線等について政府より説明を聴取いたします。林航空局長
  5. 林担

    林説明員 ただいま国際線模様等につきまして説明をせよというお話でございますので、最近の状況等につきまして御説明を申し上げたいと存じます。  御承知通り国際航空関係につきましては、特にわが国国際航空日本航空をして当らしめております。最近の模様を申し上げますと、東京を中心といたしまする国際航空路線のお客並びに貨物というものは、年々三〇%ないし五〇%の急増を示して、その量がふえているのであります。これを数字的に申しますると、太平洋横断旅客についてみますると、昭和二十七年におきましてはその数は二万三千人でありましたものが、二十八年には二万九千五百七十六人、約二割八分の増でございます。それから二十九年には四万三千三百三十一人で、さらに四割七分ふえている。それから三十年についてこれを見ますると六万二千三百八十三とふえて参りまして、さらに前期に比べまして四割四分の増、この勢いをもっていたしますれば、この旅客の増勢は、三年目にほぼ三倍に達する、こういうような状態でふえておるのであります。CAAと称しておりまするアメリカ航空当局の推算によりますと、世界航空旅客は、今後五年間に総体で二倍になるであろうというております。米人の旅客は全体といたしまして世界航空旅客の半分を占めておるのでありますが、太平洋におきましてはわずかにその三%である。こういう数字から見ますと、全体的航空旅客急増の割合以上に太平洋におきましてはふえる可能性がある、こういう状態になっております。  日航の最近の状態を申し上げますと、国際線開始以来日もなお浅いのでありますけれども、非常に急速なる発展を示しておりまして、三十年度の上期におきましては、旅客利用率郵便貨物獲得率等も、大体アメリカの有力なる会社に遜色ないところまで進んで参っております。またこれを利用する外人日本人と同数、または香港線のごときは旅客の約七割も外人が取れておる、こういう状態でありまして、日本航空は、ただいまの機種をもって対外競争をやっております場合には、十分競争力があると考えられるのであります。それで私ども航空関係しておる者といたしましては、今後どういうふうに日本航空を伸ばし、国際線を延ばしていくかということを考えておるのでありますが、三十年度上半期は前年同期に比しまして、運航マイルとしましては、日本航空は約五割九分増になっておりますが、支出はこれに比べまして、二割五分の増でとどまっておる。こういう点からしますと、非常に工合がいいわけであります。これは航空機の稼働率もだんだん向上してきた、また乗員合理的配置もだんだん進んできた、こういうふうに考えられるのでありまして、先ほどもちょっと触れましたように、香港線のごときは予想外の好成績を示しておるように感じられます。これに加えまして、技術的な面からこれを見ますと、大体乗員につきましては外人搭乗者を使っておったのでありますが、国内線は昨年の十月でありますか、全員を日本人に切りかえたのであります。さらにただいまも教育を進めておりまして、国際線に関しましてもすでに機長の資格を持つ者が四人ほどできたという状態でございまして、逐次外人日本人に切りかえるという方向に進んでおるのであります。また整備の面からこれを見ましても、日本航空の子会社と申しますか、航空整備会社、ジャンコといっておりますが、そこでDC4のエンジン手入れをいたしております。また機体の手入れもいたしております。エンジンのトラブルも激減いたして参りました。この点、日本で十分やれる自信がついたのでありまして、整備費の面から申しましても大体マン・アワー・レートが一昨年あたり七百五十円といっておりましたのが、現在は五百五十円程度にまで切り下げることができて参りました。これに従いまして、今までアメリカ・サイドでやっておりましたDC6Bの手入れにつきましても、今度から日本でやるという態勢をとるに至ったのであります。  こういうふうにいたしまして日本航空もだんだん対外競争力をつけ、またマーケットの工合も最近非常に好転して参っておりますので、来年度以降さらに国際線方面に力を入れていきたい、こういうのが現状でございまして、今の状態をもってしますと、手持機材が不足いたしております関係上、現有DC6Bをもっては週四回程度しか、国際北米関係の運営をやることができないのであります。しかし来年度以降さらに新しい機種等につきましても計画考えておりまして、何とかしてこの便数をだんだんふやしていきたい、こういうふうに考えております。また香港線につきましても、現在一週三往復DC6Bをもってやっておりますが、本年度中くらいにバンコックの問題も研究しまして、何とかそういうふうな方面にまで延ばすことができればと思って、目下研究中でございます。また国際線といたしまして、その回数は多くございませんけれども、南米のサンパウロ方面の線を、本年度何とかできればやりたいというふうに考えております。これはもちろんそう回数を多くできませんので、定期と申すのはまだ少しはばかるのでございますが、何とかそういうところにまで延ばしていきたいと考えております。さらに沖縄関係であります。ただいまは東京空港から参っておりますが、福岡の板付の飛行場、最近あすこから沖縄に向けて飛行機を飛ばすことについて、米軍の方の了解も取りつけましたので、近くあすこから沖縄に向け週二回程度DC4をもってやりたい、こういう計画を持っております。  過去一年間の状況並びに最近の状況につきまして、大略御説明申し上げた次第であります。
  6. 松山義雄

    松山委員長 次に陸運、特に国鉄関係について調査を進めます。通告順に従いまして井岡君。
  7. 井岡大治

    井岡委員 実は大臣がお見えになれば大臣にお伺いしたい、こういうように考えておったのでございますが、大臣まだお見えになりませんので、次官にお伺いをいたしたいと思います。  御承知通り、昨年の運輸委員会で、昭和二十九年度には国鉄は約四十億の赤字が出た、昭和三十年度にはさらに約七十億の赤字が出るだろうということでかなり問題になって、あらゆる角度から国鉄経営あり方というものについて検討したことは、皆さんも御承知通りです。その後行政管理庁の方から、国鉄赤字である、こういっておるけれども、それを詳細に検討してみると、決して赤字じゃない、たとえば減価償却にしてもあるいは補修にしても過大に見積っている、さらにまた経営合理化をやれば十分現在の料金でまかなっていける、こういう勧告が出ました。一方国鉄の方では、管理庁の見解は間違っているということで、かなり論議になったことは皆さんも御承知通りです。そこでこの機会にお伺いをいたしたいのでございますが、昭和三十一年度予算案審議に当って、大臣最初新聞紙上では運賃値上げしなければならぬのじゃないかということを発表されましたが、予算委員会答弁なり模様なりを拝見いたしておりますと、どうもこの点があいまいになってきて私にはわかりません。たとえば高碕経済企画庁長官は、経済五カ年計画の立場から運賃値上げはやらない、こう言っております。しかし運輸大臣は必ずしもそういうことを言っておら、ないようであります。たとえば一昨日の予算委員会の席上において、同僚の楯委員運輸大臣に尋ねたのでありますが、新聞は、大臣答弁運賃値上げをやらない、こういうように書いてありますが、楯君に聞いてみますと、そうじゃない、今はやらないけれどもいずれはやるのだ、こういうように言っておるわけなんです。こうなって参りますと、一向この点があいまいであります。このあいまいの原因がどこにあるのだろうか。悪く考えてみますと、結局政府参議院選挙があるから、こういう機会運賃値上げをやるというようなことをいえば、選挙に響くのじゃないかということから、運賃値上げの問題についてぼやかしておるのじゃないかと思うのです。しかし一面国鉄というものは、参議院選挙があろうがなかろうが、毎日やはり国民生命財産を預かって輸送しておるわけですから、そういうことでもし事故が起っては大へんなことになる。従ってこの機会次官にお伺いしたいのは、運賃値上げをやるのかやらないのか。その点を明らかにしてもらいたい。
  8. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 ほかの会議で遅参いたしまして、まことに申しわけない次第でございます。ただいまの井岡先生の御質問につきましては、先般予算委員会において大臣からも御回答申し上げておると思いますが、来年度の御審議を願っておりまする予算案につきましては、いろいろな事情を考慮研究いたしましたが、政府として均衡財政の明確な見通しをつける上、また一応均衡財政の線で予算編成をいたしました関係上、来年度予算案としては、運賃値上げ前提としない案を御審議願ったわけでございます。ただいま巷間一部に伝えられております参議院選挙云々の問題がお話に出ましたが、それらの問題を考慮に入れるということではなしに、国内経済情勢について政府が意図しております均衡財政の線が、今後明確に貫けるという見通しがつきますれば、私どもとしては運賃値上げをいたしたいという気持は持っております。持って、おりますが、その経済情勢推移ににらみ合せまして、本年度予算においては、この際は運賃値上げ前提としない。しかし将来、これらの問題については、なお経済情勢その他の推移について十分検討したいということで、この際は運賃値上げ考えない案で提出したということでお答え申し上げる以外には、現在のところ政府においてもそれ以上の見通しを持っておらぬという点を御了解いただきたいと思います。
  9. 井岡大治

    井岡委員 次官は非常にうまく話されたので、運賃値上げをやるのかやらないのか、やはりわからない。いわゆる政府の五カ年計画というものはあるのかないのか、今のところはっきりしておらぬ。幾らわれわれが経済五カ年計画を示してもらいたいと言っても、なかなか示さない。こういう経済五カ年計画の上に立って、現在予算審議をしてもらっておるのには運賃値上げは見込んでない、こういうのです。見通しがつかないから見込んでないのだ、こういうことになりますと、いわゆる遂行ができるということになると将来運賃値上げをやらない、こういうふうに理解してもいいのですか、どうなんですか。
  10. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 ただいまのお話で、現在の国際経済情勢とも関連がありますが、わが国としては均衡財政を来年度は貫きたい、さらにその中には一部拡大均衡の基礎的な部面も御承知のように考えられておるわけであります。少くとも国鉄財政について、非常な窮迫をしておるという点も御理解がいただけると思いますが、この際各般の情勢、物価に対する影響その他を考えまして、一応予算案審議については、運賃値上げ前提としないのだという考え方でおります。しかしさいぜん申し上げましたように、経済情勢の安定その他の観点から、若干の運賃値上げをしても差しつかえないという明確なめどが立てば、われわれとしては、適当な機会には運賃値上げをしたいのだという気持は持っておりまするが、そのめどが、まことに不明にいたしまして、現在のところまだつかぬというのが、私どもの率直な考えでございまして、それらの点についてもう少し明確なめどをつけてみたいということで、来年度予算案もそのために遷延することはとうてい許されぬことでありますので、今回の予算案提出については、運賃値上げ前提としない案を提出して、御審議を願うわけであります。
  11. 井岡大治

    井岡委員 聞いておるとまことにごもっとものようなお話ですが、それでは実は官房長にちょっとお尋ねをいたしたいと思うのです。先ほど二十四国会提出予定法案の中で、いわゆる国会意思等もあり、あるいはまた国鉄経営調査会答申もあって、日鉄法の一部改正をするのだ、こういうように御説明がございました。この答申の中には、運賃値上げはやむを得ない、しかも運賃作定決定の機構というものについても、具体的にこれは示してあるのです。従ってこの答申通り国鉄はおやりになるつもりか、あるいはこれはただ単なる参考意見としてとどめておくお考えなのか、この点をお伺いいたしたいと思うのであります。
  12. 朝田静夫

    朝田説明員 私が先ほど申し上げましたのは、国鉄経営調査会の御答申の御趣旨も尊重して、こう申し上げたつもりでございます。従いまして、百パーセントその通りということではないつもりで申し上げましたのであります。なお、私昨日付をもって官房長転任を命ぜられましたので、所管の国有鉄道部長が参っておりますので、その方から御答弁をさせていただきたいと思います。
  13. 細田吉藏

    細田説明員 それでは官房長にかわりましてお答え申し上げたいと思います。日本国有鉄道経営調査会答申は、七ヵ月余にわたりまして、主として部外の委員の方々が非常に真剣に御調査をしていただきました結論として出ましたものでございまして、運輸省といたしましてはこれをできるだけ尊重するという考えでございます。そこでこれを受けまして、日本国有鉄道法改正は、先ほど官房長から説明がございましたが、提出いたしたいと考えておるわけでございます。この答申には、すでにごらんいただいたと思いますが、最後のところに運賃の改訂は、いろいろ経営合理化をやり増収をはかってやっても、最小限度のものは必要であろうという結論が出ているわけであります。  〔委員長退席山本(友)委員長代理着席〕 従いまして、この答申を全面的に尊重いたしますならば、日本国有鉄道法改正並びに国有鉄道運賃法改正というものが必要になってくると思います。ことに運賃決定の基礎につきましても、この中に含んでおるわけでございます。前の方の日本国有鉄道法改正につきましては出すことにいたしておるわけでございますが、運賃関係につきましては、ただいま政務次官よりもお話がございましたように、非常に重大な問題でございますので、いろいろ検討しておるわけでございます。
  14. 井岡大治

    井岡委員 この経営調査会の設定に当っては、先ほども申し上げましたように、二十九年の赤字と同時に三十年の赤字予想、こういうものをめぐって、前三木運輸大臣が、値上げをしたいのではあるけれども、なお合理化をはかって、そうして値上げをする場合においてはどの程度のものが必要であるか、こういう意味経営調査会を設けたい、こういうことで設置をされたように記憶をいたしております。従って、当然この経営調査会答申というものは、あらゆる角度から検討されたことは今もお話しになった通りでございまして、私たちは相当権威あるものだ、こう考えております。しかもその経営調査会答申案の内容には、合理化をやってもとうてい国鉄の再建はで寺ないのだ、ですから、運賃値上げをやらなければならないのだ、こういうふうにいっておるわけです。そうなって参りますと、責任ある運輸当局なり、あるいは国鉄当局としては、国民生命財産を預かっておるのでありますから、いかに選挙か目の前に控えておって、そうしてそのことをやることによって政府与党に不利であるからといって、これをなおざりにするということは、私は全く責任をとらない態度ではないかと思うのです。こういう点から、もう一度この答申案に対する見解をお伺いいたしたいのです。
  15. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 私から補足して御答弁申し上げたいと存じます。ただいま井岡委員の御指摘のように、前内閣におきまして経営調査会設置趣旨は、御指摘の点その他若干重要な問題も含んでおりまするが、御指摘のような趣旨設置をせられまして、そしてすでに御配付を申し上げましたような答申案提出いたされたわけであります。われわれさいぜん政府委員から御説明申し上げましたように、答申趣旨をできるだけ尊重いたしまして、日本国有鉄道法改正並びにそれに伴う各般の措置を目下いたしつつあるわけでありまして、さいぜん合理化の問題について御指摘がありましたが、来年度予算につきましては、私どもとしては答申によって収益が顕著に現われるような電化あるいはディーゼル化その他の近代化の問題につきましては、本年度予算あるいは昨年度予算に比較いたしまして、相当画期的に予算計上をいたしたわけであります。率直に申し上げまして東海道線電化の完成に伴う山陽、東北、北陸その他常磐線の調査等の問題、また都市近郊の通勤輸送の緩和等の問題に関連して、国有鉄道の近代化、これらの点については相当の予算を計上いたしましたが、御指摘のようになお収支の上からは非常に苦しい減価償却その他について欠ける面があるという点も御指摘通りであります。この際、さればといって御指摘のように、運賃値上げをすべきものは率直にしたらいいだろうというお話でありまするが、運賃問題につきましては、御承知のように、前々から国民経済に対する影響が非常に多いということで、国会においても各般の点から御論議をいただいておりますので、運輸省並びに現実に運営の責任に当っておる国鉄当局といたしましても慎重な考慮を払っておる、また政府の方針が一応均衡財政めどをつけたいということで、この点におきましても、予算編成については、拡大均衡にいくべきか、均衡財政を貫くべきかという基本的な問題についていろいろな論議を重ねた結果、三十一年度提出、御審議をいただくような予算案になった状況でございますので、それらの論議と関連いたしまして、今回運賃値上げの問題についてはこの際は考えずに、運賃値上げ前提としない予算案で一応進んでみよう、しかし今後の経済情勢推移によっては、なお政府部内で十分検討を遂げた上で善処をしたいということでありまして、もう同じような答弁を再々繰り返して、はなはだぐるぐる回りをしているような感がいたしますが、われわれとしてはそういう気持であらゆる努力をいたしたい、かように思っております。
  16. 正木清

    ○正木委員 関連質問で。私は今の政務次官答弁で、国鉄運賃の問題に対する政府の方針を承わったわけですが、ただ一言今度私が国鉄当局にお尋ねしておきたいと思いますことは、国鉄は一日も早く国鉄の企業全体を、国民のための国鉄にしたいという非常な熱意と努力を傾けて、六カ年計画案なるものを作っておられる、そして総裁以下非常な努力をもって漸次それが実績を上げてきておる。この点は私はすべての人々が率直に認めていいではないか。少くとも国鉄というものの実態を知っておる者は——ある一定の意図をもって国鉄を非難し、攻撃する人は別として、国鉄そのものの実態を知っておる者は、これを率直に認めていいではないか。ところがこの六カ年計画と結びついての資金計画というもののあり方、それから現実に現在の予算案計画されておる減価償却費等から勘案してみて、果して現在提出されておる三十一年度のこの予算案で、国鉄計画を立てておるところの六カ年計画を、計画通り良心的に実行することができる予算措置が一体講じられておるのかどうか、資金に不足はないのかどうか、もしその資金に不足があるとするならば、その資金をどのように調達しようという考えを持っておるのか、この点を私は一言国鉄当局からこの際明らかにしてもらいたい。
  17. 石井照正

    ○石井説明員 ただいま正木先生から御懇篤なお話があり、御質問がございましたが、私どもも提示いたしておりますところの六カ年計画の遂行に万全の努力を払いたいというつもりで一生懸命やっておりますが、三十一年度予算におきましては、この六カ年計画として考えております資金に対しましても、またその中の重要な項目でございます保安対策と申しますか、老朽施設の取りかえに必要な資金というものは、計画案に対しましてある程度の不足はどうしても免れないのでございます。しかしながらこの不足額をどうするかということになりますると、ただいまのところにおきましては、別途資金調達ということは考えられません。ただ車両においては、昨年若干実施いたしました民有車両という手段も、金融情勢のいかんによっては可能ではないかと考えられるのでございますが、私どもとしては問題はそういうふうに資金の不足はありまするが、何とかやりくりいたしましてできるだけピッチが落ちないように、将来におきまして資金が充足されるときがきましたら、そのピッチを続けていけるようにというようなやり方でやって参りたい。その意味におきましては、今回の予算案におきましても近代化計画の推進につきましては最初のスタートを切るということに、計画に対しましては政府の方におかれましてもいろいろ御配慮をしていただいたわけでございます。また老朽施設の取りかえの方にいたしましても、とにかく差し迫っての緊急なものは何とかやっていく。ただそのスケールが長く続きますと、これは相当大きな問題になるのでありまするが、差し迫って何とかしなければならぬというものだけは、これは十分手を打って、一般国民の皆様に御不安を与えるということのないようにいたして参りたい。ただ御指摘のように、この状態がいつまでも続くということでありますれば、当然重大な結果を来たすということは、これはもう数年前から私どもはいろいろ苦衷を皆さんに申し上げておしかりをこうむりつつも、われわれの置かれた立場を御了承願いたいとお願いしておるところであります。従いまして私どもといたしましては現在の予算でもって一応今年度スタートする。そして近代化計画その他につきましてもそのスタートを切って、ある程度のピッチを続けていくということは可能ではなかろうか。しかし六カ年計画に書かれました私どもの希望しております全体の数字とは相当の懸隔のあることは、これは政府の御方針でこういう情勢になったのだ。まあ残念でございますが、一つできるだけ早い機会に、われわれの希望が達せられるように御配慮願いたいというふうに考えておる次第でございます。
  18. 正木清

    ○正木委員 私は運輸当局にお尋ねをいたします。政府にお尋ねをしたいのですが、政府としては三十一年度経済五カ年計画の上から見た均衡財政、同時に日本国民生活を支配いたしまする経済施策を通じての物価の安定という観点に立って、三十一年度内においては運賃値上げをする意思はないのだ、こういう点が明らかになったのでございますが、問題は国鉄の公共性から見て、一体国鉄の立てておりまするこの再建六カ年計画と、それから国鉄の現在の減価償却の不足及び六カ年計画から出て参りまするところの資金の不足、この点をどのような形で充足しようとお考えになっておるのか。今国鉄当局答弁で明らかになったように、この提出されておるところの三十一年度予算に従って、国鉄としては最大の努力を払って国民の皆様に不安を与えるような御迷惑はかけない、しかしこれが長期化すればそれは保証できない、こう言っておる。このことはこの委員会において、数年間同じことが繰り返されてきたわけです。われわれも非常にそれを憂えて、今日まで声を大にして国鉄再建のことを主張してきた。国鉄当局としては国民に不安を与えておらない、こう言っておりまするが、いかがですか。ひんぴんとして列車の衝突事故が起きておるではありませんか。すでに運輸当局は国鉄に向って、監督局長の名をもって警告を発しておるではありませんか。一体あのひんぴんとして起る列車衝突事故の原因がどこにあるかということも、全体の一つとしてわれわれは真剣になって考える必要があるのではないのか。私は政府均衡財政と称し、物価の安定、価格を維持すると称して、当然計上すべき資金を計上しないで、そして一切の責任を国鉄当局に転嫁するような傾向は、断じて許すわけにいかぬと思う。その点の責任の所在、今後の資金計画等について、私は運輸当局から責任ある答弁を願いたい。
  19. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 国鉄に対していろいろと非常に御理解のある御意見、御質問がございまして、私どもその点についてはほんとうにありがたいと存じております。ただいま御指摘のありました国鉄の六カ年計画と現実の予算との資金的な関係について一さいぜん私もこの点は触れましたが、収益を急速に生ずるもの、ことに利息を払っても国鉄財政に貢献できるような輸送力の急速の増補、車両の増備でありますとか、電化の促進等につきましては、来年度予算においても私どもとしては画期的な増額計上をいたしたつもりで、ございます。なお御指摘のように減価償却の問題あるいは当面の通勤輸送の緩和の問題といったような、国鉄企業価償却をし、また通勤緩和によって近代化をはかるべき資金について若干の不足をいたしておる、この点につきましては先般井岡委員指摘経営調査会におきましても、来年度の工事費としては七百五十億円くらいというような結論も出ております。また本年度予算に計上されたものにつきましては、六百億近いものが計上されたわけでありまして、それらの点については財政投融資もしくは鉄道債によって、でき得る限り収益を生む方向へ重点を入れて、そうして来年度一応運賃値上げ前提としない予算で実施をさしてみよう、しかしさいぜん正木先生お話のように、三十一年度運賃値上げ考えないでやっておるというお話がありましたが、その点は今日まで私どもも三十一年度運賃値上げはしないのだということは実は申し上げておりません。この際三十一年度予算としては運賃値上げ前提としないのだということを申し上げておるような次第でありまして、その点につきましては、伊能何を言っておるのだというようなおしかりを受けるかもしれませんが、均衡財政めどを来年度予算の実施によってはっきりつけてみたい、その上で考えよう、かようなつもりであります。
  20. 井岡大治

    井岡委員 先ほど私が質問すると、非常にあいまいに御答弁をなさっておりましたが、ついに運賃値上げはやらなければ、実際問題としてやっていけないのだ、こういうように次官は御答弁なさったものと思います。そうしますと、少くとも昭和三十一年度全体に対して、私たちはその国鉄経営全体あるいは運輸そのものについて討議をしておるのでありますから、正直に、この際運賃値上げをするのだ、こう言われる方が国民を欺かないことになりますし、国会を軽視しないことになると思う。ところが国会が済むまではやらないのであって、国会が済んだらやるのだということは、先ほど指摘いたしましたように、結局国会の末期にこの答申案に基いて、そうして運賃改訂の法案を改正して、国会が済んだらやるのだ、こういうように私たちは解釈するわけです。従ってこういうことではわれわれとしては了解ができません。ですからこの機会にもう一度はっきり御答弁をいただきたいと思うのです。
  21. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 私の考えが、井岡先生に十分御理解が願えないのを非常に遺憾と存じます。国会が済むまぎわに云々というお話がありましたが、さようなことは万ございません。これははっきり申し上げたい。と申しますことは、現行法におきましては、運賃改正国会審議を経てするということになっておりますので、その点に関しまする限り、御指摘のような点はない。ただ正直にというお話がございましたが、私実はほんとうに正直に申し上げておるのでありまして、この気持はよく御理解をいただきたいと思います。ここできまっておるならきまっておる、きまっておらないならきまっておらないということについて、正直に申し上げろということでございますから、現在の段階においてはまだきまっておらない、従いまして三十一年度予算は、この際運賃値上げ前提としない予算案を計上したということでありまして、運賃値上げに際しては国会軽視というようなことは毛頭考えておりませんで、国会におかけしてりっぱに御審議をいただくつもりでおりますので、その点も御了承いただきたいと思います。
  22. 中居英太郎

    ○中居委員 関連して。私どものお伺いしたいのは、今回国会提出されまして、当委員会で審議しておりますこの国鉄の三十一年度の二千七百三十二億余の予算が、責任をもって本年度国鉄の運行のできる予算であるかどうかという所信を政府伺いたいのでありまして、もしも今の答弁のように、必ずしもこの二千七百三十二億の予算そのものが、昭和三十一年度国鉄の運行全体について責任が持てない、こういうような信念のない、確信のない予算であるとしますならば、私どもはこれを審議すべきではない。私どもはそういう予算審議するということを非常に心よしとしないのであります。その点についての政府の所信を伺いたいと思います。
  23. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 まことに適切な御質問をいただきまして、その点につきましては、さいぜん石井経理局長から来年度予算の執行につきましては、当面の問題としていろいろ資金的な困難はあるが、これによってやって参りますという御答弁もあったはずでございますし、また私どももさように考えております。しかしながら御承知のように運賃値上げというようなものは、常に現実の経済推移並びに将来の経済の動向というものをにらみ合せまして、いかなる時期、いかなる方法、いかなる内容で行うかということは、毎回国会においていろいろな御論議をいただいておりますと同様に、慎重な考え方、方法でやらなければならぬと考えておりまして、国鉄財政の健全化、独立採算制の確立、さらに公共的使命を国鉄を近代化することによって十分に達成しなければならぬという面だけを考えますならば、われわれとしては国鉄減価償却の一部についても、借金をしてやるという方法は必ずしも健全な方法であるとは考えておりません。この点私は明確に申し上げられると思うのでありますが、現在の政府がとりました均衡財政、これは今日まで数年間歴代の内閣が貫いて、参りました線で、ようやく均衡財政の基礎が確立するという重大な段階になっております。その推移を見た上で運賃値上げの問題を考えたいというのが、私どもの率直な意見でありますので、その推移政府部内においても十分見きわめるという観点から、来年度予算については運賃値上げ前提としない予算案を組みましたので、この予算案でできるかできないかという御質問に対しましては、私どもはでき得る、かようにお答え申し上げるわけでありまして、この予算案で実行はできますが、その点について将来長い動向の上から、国鉄の近代化、その他国鉄が真に国民の皆様の期待にふさわしいような経営をするためには、自己資金をもってでき得る限りまかなうということが正しい姿であるという観点からも、運賃値上げの問題を考究中であるということを申し上げたいのであります。
  24. 中居英太郎

    ○中居委員 ただいまの伊能次官答弁は一応了とします。ただ先ほど井岡委員の質問に対しまして、昭和三十一年度運賃につきましては国民的な視野に立って検討していきたい、また政府均衡財政という線を貫いていきたい、従って一応現行運賃ベースで予算を組んだ、こういう答弁でございました。だれが政権を担当し、だれが運輸行政を担当いたしましても、そういう考えに立ってこの問題は考慮すべきものであると思いまして、その答弁の限りにおきましては私は異議はないわけでございます。ただ現行運賃のベースで、国鉄の今後の企業性というものを兼ね備えた運営ができるかどうかという点につきましては、私は後刻時間をいただきましてこれらの問題をただしたいと思っております。またたとえば現在の運賃ペースで、国鉄予算というものが万全を期することができないという結論が出たといたしましても、それは即運賃ベースのアップとなるべきものではない、こういうふうにも私ども考えているのでありまして、国家投資というようなことも考えられるのでありましょうし、いろいろな方法が考えられるでありましょう。そういう処置をとることが、すなわち国有鉄道の公共性を発揮するゆえんでもあろうと私は思っているわけでございます。ただ私が伊能政務次官にお伺いいたしたいことは、経済の均衡を貫き、国民負担の軽減というものをあくまでも考えて、三十一年度国鉄予算を編成した、こういう御答弁でありました。しかし一方におきましては、国鉄と同じ程度国民が関心を持っておりますところの地方鉄道が、すでに政府の認可を得まして三割から五割のアップをしております。一体これはどういうことでありますか。もしも政府がほんとうに国民的な視野に立ちまして、今日までの運賃を堅持していきたいという考えがあるといたしましたならば、国鉄と同じ状態にあるところの地方鉄道、地方運送業というものに対しましても、同じ処置をとるべきが当然ではないか。それが政府に与えられたるところの運輸行政の一貫性であると私は考えておるのであります。現に本年すでに都電の料金は十円から十三円にアップされております。地下鉄は十五円から二十円にアップされております。バスも運賃がアップされております。いずれも三割から五割近くの運賃が、国民の負担となって現われておるのであります。経営調査会答申案にも書いてありますように、政府に対する答申の第一番は、今日の運輸省が一貫した運輸行政を持っていない、こういう点を指摘しておると私思っておるのでありますが、これらの点につきまして私はあらためて運輸当局の意見を伺いたい。ほんとうに国民の負担の軽減ということを考えて、経済的な政策に立って運賃問題を検討するとしますならば、地方の鉄道、バス、地下鉄等につきましても、今日国鉄政府がとっておるような方針をもって臨まなければならないのではないか、こういうふうに私は考えておるのでありますが、この点についての運輸省の御見解を承わりたい。
  25. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 ただいまのお尋ねにつきましては、私どもやや中居先生とは違った見解を持っておるわけでありまして、国有鉄道のごときは全部の資本が国家資本でありまして、かつてはそのままの形態で国有国営でありました。現在も公共企業体という形はとっており、形式的な経営形態はやや違っておりますが、実質的には国有国営であることに変りはありません。かくのごとく大きな公共的使命を持っております。公共的事業として民間にその経営を認可、許可いたしておりまする地方鉄道、軌道あるいは交通事業、運送事業等につきましては、私どもはそれぞれの会社に対しまして、あるいは公共企業体に対しまして、その使命の遂行並びにその企業の経営形態等から勘案いたしまして、また現実の各地域地域における機能の発揮という点から見て、その経営運賃の若干の値上げをすべきが妥当である。たとえば御指摘のごとく東京都や大阪等におきましては、十円のものを十三円にした。五割というような事例は私はあまり記憶いたしておりませんが、三割程度上げることによってその経営を改善し、もって公共的使命の達成に資するという場合においては、それぞれの会社、公共企業体の実情に即した運賃設定をするということも、運輸省の監督上の措置として決して不当なものではない、また時には適切なものである、かように考えまして、個々の事例を十分審査の上でさような措置をとっております。しかしながら日本国有鉄道のごとく日本全体に対し、また単に経営採算のとれるところだけに重点を置くということでなしに、真に国有鉄道全体としての機能を発揮せしめなければならぬ。またその運賃値上げが、時には物価あるいは日本経済に重大な影響を及ぼすというようなおそれのある時期その他の場合においては、それらを十分検討の上、適当な時期を選ばなければならぬ。地方鉄道、自動車運送事業その他の監督の面と運輸省自体の行政とは決して矛盾したものではないのではないか、かように考えておる次第でございます。
  26. 中居英太郎

    ○中居委員 先ほども申し上げましたように、経営調査会からの運輸省に対する答申が、一般交通政策の樹立ということにおいて非常に欠けておる点がある、こういうことを指摘しております。今の政務次官お話を聞いておりますと、鉄道の運賃とその他の地方運送業者の運賃というものは別個に考えていいのだ、こういうような答弁に私には聞き取れたのであります。もしもそうだといたしますならば、この運賃のアップによって受けるところの国民の負担というものは、それがたとえば国鉄運賃であろうがあるいは東京都の地下鉄あるいは都電であろうが、同じ国民的な負担となって国民の上にかぶさっておるのでありまして、国民の受ける影響は同じであります。しかし経営体がたまたま地方であり国であるというそれだけの理由によりまして、全然そういう点を無視して、果して運輸省の一般的な交通政策というものに遺漏はないか、こういうことを私は伺いたいのであります。国鉄といい、地方の交通事業といい、私は今日までの運賃ベースにおきましては、同じような財政状態にあったと思うのであります。もしも地方の運送業、交通業に対しましてそのような配慮があるといたしますならば、当然国家的な交通政策という観点に立ちまして、国鉄運賃国鉄財政というものについても、並行的な検討が加えられてしかるべきであると思うのであります。この点について重ねて御見解を承わりたいと思います。
  27. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 私は御指摘のように違っていいのだという意味で申し上げたのではございません。もちろん運輸省が海陸空の交通行政を担当いたしております以上、それぞれの交通機関が調和のとれた、均衡のとれた輸送をし、また運営をされることが理想的でございまして、われわれはそれに向って最善の努力をいたしておりますし、また地方鉄道と国有鉄道につきましても、調和のとれた、均衡のとれた運賃の形で進むことが一番理想であると存じます。ただ日本国有鉄道旅客運賃貨物運賃等の問題は、国全体の問題に直ちに影響をいたします。この点国有として現在運営されておるゆえんもそこにあるかと存じます。地方的には運賃負担の面において、一部の国民負担が加重されるという面については御指摘通りでありますが、それが直ちに日本国民経済全体に影響を及ぼすかどうかという問題と、地方の公共企業体あるいはそれぞれの経営機関である会社等については、国営という形態でありませんので、一応会社の収支、また将来の会社の各般の施設等の問題についても、十分な配慮を払ってやらなければいけませんので、可能な範囲で、最小限度運賃値上げを個々の事例について判断してするということは、従来長い間の運輸省の交通行政としてもとっておるところでございます。従ってその点については私ども別に矛盾をいたしておるとは考えておりません。
  28. 山本友一

    山本(友)委員長代理 原健三郎君。
  29. 原健三郎

    ○原(健)委員 もう時間も大分たっておりますので、ごく要点だけを国鉄当局にお尋ねいたしたいと存じます。運輸大臣及び運輸省当局もおいででありますから、よくお聞きのほどを願いたいのであります。  本土と淡路と四国を結ぶ鉄道をつけようということは、多年われわれが主張いたして参りました。これは日本の交通政策上非常に重要であるし、またこの直通鉄道ができれば、国際的にも観光的にも非常に有益であると信じて、これを進めて参りました。幸いに昨年の秋には三木運輸大臣、十河国鉄総裁一行もおいでになられて、現地を視察されました。その際国鉄当局の技術陣営その他関係者にも視察いただいたのであります。その結果運輸当局と国鉄の間において、さしあたり調査費を一千万円ほど計上して、すみやかに調査に乗り出すということにきまって、十一月に淡路島の岩尾町に渡って、ここで現地踏査のくい打ち式もやったのであります。そのときは国鉄総裁もきわめて積極的なことを申されたのでありますが、その後の調査を調べてみますとはなはだ言いわけ的で、そういうふうに責められるから言いわけ的にちょっとやろうというような結果になっておることを、私どもは非常に懸念するのであります。それで国鉄の当局にお尋ねしたいが、一体あれ以来今日までどの程度調査したのであるか、その状況を一応お聞きいたしたいのであります。
  30. 高原芳夫

    ○高原説明員 原先生の御質問にお答えいたします。結論的に申し上げまして、原先生初め地元の方々に、調査に対して熱意がない、調査がどうなっているかという御印象をもし与えたといたしましたら、これはまことに印しわけないことでございまして、あらためておわび申し上げておきますが、これから調査内容を御報告することによってまた御了解も願えるのではないか、こう存じております。  四国−本州連絡隧道約七十八キロに対しましては、先ほど原先生の御質問にもございましたように、前大臣、総裁、前運輸委員長初め現地においでになりまして、実地をつぶさに御視察願いますと同時に、調査のくい打ちをやりまして、調査開始したわけであります。それで十月末から十一月一ぱい概要踏査いたしまして、引き続きまして一月末まで二ヵ月間を費しまして内容の分析をほぼ完了いたしております。その結果をきわめて簡単に申し上げますと、明石から淡路島の北端にわたりましては基盤は花山岡岩でございます。その上に凝灰質砂岩を主といたします第三紀層、俗に神戸層といわれております凝灰質がかぶさっております。この第三紀層は本州側では塩屋垂水間に広く分布されておりまして、淡路島側では岩屋付近に局部的に分布しております。この第三紀層すなわち凝灰質砂岩は非常に緻密でございまして、割れ目も少く、トンネルの土としてはまことに好ましいものと考えております。この凝灰質は当初デスク・ワークの当時は非常に厚いものと想定しておりましたが、現地踏査の結果はあまり厚いものではなくて、大体八十メートルから百メートルぐらいだろうという想定を現在は持っております。   〔山本(友)委員長代理退席、委員長着席〕 それから舞子以西になりますと、この第三紀層が全く消滅いたしまして、これが地下にもぐってしまったのかどうか、その点まだはっきりいたしておりませんが、要するに消えて、おります。そうして二、三十メートルの粘土層あるいは砂礫層が発達して参っております。淡路島におきましては、先ほど申し上げましたように岩屋の一部に凝灰質が出ておりますが、その他大部分は花山岡岩が直接地上に現われております。以上のような現地踏査並びに内容の資料から見まして、垂水−岩屋間の海底に神戸層、いわゆる凝灰質砂岩が連続分布しているという可能性が十分考えられるのではないかと存じております。なお、昨年水産大学の学徒の練習船をわずらわしまして、明石海峡におきまして二、三カ所海底の地質を直接サンプリングしております。これによっても海底からやはり神戸層、いわゆる凝灰質系の岩石がとれております。それで当初は、私どもが別途調査しております津軽海峡の地質調査の経験から見まして、非常に複雑性を持っているのではなかろうかという考えのもとに調査を始めたのでございますが、現地踏査の結果並びに内容の分析の結果は、想像以上に地質構造が単純化されている向きがございまして、目下のところ、本州側で数本のボーリング、それから岩屋付近におきまして一、二本のボーリングを地下におろすことによって、地質構造の大半が判明するのではなかろうかと考えております。  それから鳴門海峡につきましては、明石海峡と時を同じくいたしまして踏査を行なっております。この地方では中世代に生成されました砂岩及びシェルの厚い互層からなっておりまして、大体五十度くらいの角度で南東に急傾斜いたしております。この砂岩は非常にかたい砂岩でございまして、岩石としては非常に良好なものでございますが、節理はよく発達しております。ただ連絡隧道といたしまして、鳴門海峡につきましては海底隧道でいくか、橋梁でいくかということを比較検討いたしました結果、大体の結論といたしましては、橋梁の方が経済的であるという一応の結論を出しておりますので、橋梁といたしますと、この程度の岩石ならば十分であるという見当がついております。  それから調査を行いますころは、先ほど申し上げましたように非常に地質構造を複雑して考えておりましたので、少くともボーリングの深さを三百メートル以上やらなければつかめないではないかということにおきまして、本年度約数本のボーリングを行うことによりまして、約七、八百万円から一千万円くらいの調査費が必要ではなかろうかと考えておったのでございますが、調査の結果は、ボーリングの深さが大体七、八十メートルで十分地質構造をつかみ得るということが大体わかって参りました。従いまして、当初考えておりました深さが約四分の一に減りました関係上、工費として約六分の一くらいで済むという結果になったわけでございます。金額的に非常に小額で済む予想がつきましたが、調査の内容は決して変っておりません。大体年度末までに——すでに三カ所ばかりボーリングを本州側で開始しておりますが、これは三月末に完了の予定でございます。引き続いて三十一年度におきまして、本州側を三木ばかり、淡路島において、一、二本のボーリングを行う予定になっております。これで大体四国、本州連絡隧道の地質構造がつかみ得るものと想定しておりまするが、なおボーリングの結果でも不明の点が出ましたならば、なお電気的あるいはその他の調査を行いたいと思っております。簡単でございますが、調査報告を終ります。
  31. 原健三郎

    ○原(健)委員 今までいろいろ調査していただいたことを、非常にありがたく思っておるわけであります。それで本年度三月末までに、所要の経費はどのくらい要る見込みでありますか。
  32. 高原芳夫

    ○高原説明員 本州側ボーリングを深さ七十メートルくらいのものを三本ばかりやりますので、百五十万円の調査費を充てております。それからすでに現地踏査その他を行いまして、約五十万円を決算しております。
  33. 原健三郎

    ○原(健)委員 それで本年度の概況は大体わかったのですが、それでは三十一年度分になってさらにこの続きとしてどういうことをやられるのであるか、それからその経費を三十一年度全体としてどの程度見込まれておるのであるか。
  34. 高原芳夫

    ○高原説明員 調査費の関係上、年度末で切れますが、引き続きまして三十一年度は、本州側におきましてやはり同程度のボーリングを三カ所、それから淡路島の北端におきましてボーリングを一、二カ所行う予定になっております。これでボーリングの費用は百五十万から二百万円の間だろうと思います。先ほど申しましたように非常に地質構造が簡明化されておりますので、これによって大体の地質構造はつかみ得ると一応思っておりますが、ボーリングの結果なお不明の点が出ましたならば、引き続き電気的な調査その他を行う予定になっております。
  35. 原健三郎

    ○原(健)委員 それでは三十一年度には本州に三カ所、淡路に二カ所ほどボーリングして二百万円使って、それで三十一年度完了と、こういうわけですか。
  36. 高原芳夫

    ○高原説明員 私どもの今までの内容分析の結果は、大体つかみ得るとは思っておりますが、ボーリングの結果また非常に不明の点が出ましたならば、先ほど申し上げました別途の電気的調査その他を行いたいと思います。
  37. 原健三郎

    ○原(健)委員 それには国鉄が本土と淡路、四国を結ぶ直通鉄道、明石海峡及び鳴門海峡を鉄橋にするか隧道にするかという調査は、完了したというふうにお考えになっておりますか。
  38. 高原芳夫

    ○高原説明員 これはあくまでも事前調査でございまして、実際に着工いたします場合には、両側から縦坑をおろしまして、でき得れば海底隧道と決定いたしますれば、縦坑を結ぶいわゆる地質調査坑を事前に通すような、土木地質学的の本格の調査が必要であろうと思います。これはもちろん着工態勢に入った場合の問題でございます。それまでに隧道にするか橋梁にするかというような大体の見当は、この三十一年度当初の調査の結果を見れば大体判明するのではないかと考えております。
  39. 原健三郎

    ○原(健)委員 大体の地質構造は割合簡単にわかるように了承するのでありますが、私の申し上げたいのは、さらに進んで——国鉄当局かそういう御答弁をなさるのは、どんなことをしてみたところが、あとの工事費三百億とか四百億とかいうものがあるかないかわからないから、この辺で一応けりをつけたらよろしいというお考えかもしれませんが、これを公団にしてやるとか、数百億に上る資金をどうするとか、そういうことはわれわれの方においても、大蔵省当局その他国会等で十分研究しますから、こちらの方におまかせ願いたい。それよりもまず、金がないからだめだと言わずに、その方の御心配はまかしていただいて、そのことはもっとこちらを信頼して、今申されました土木地質学的調査をさらに来年度から進めてもらいたい。そうでないと、ただ下の方の岩盤が隧道でもけっこう、橋梁でもいけるというだけでは、はなはだ心細いので、もう少しそれを進めてもらいたいというのが趣旨なんでございますが、その点はいかがでございますか。
  40. 高原芳夫

    ○高原説明員 ただいま非常に積極的な御意見をいただきまして、私どもも非常に感謝しておるのでございますが、土木地質学的の調査に入りますのは、御承知のように実際に縦坑を掘りまして、地質調査導坑を掘っていくということになって参りますので、おそらく縦坑一本にいたしましても二、三億はかかる。両側掘ればおそらく数債の資金が要る。これに対して地質調査的な導坑を連ねていくということになりますと、おそらく十億をこえた莫大な資金を必要といたしますので、着工が本ぎまりになっていわゆる公団になるか——もちろん今の国鉄財政ではどうにもならぬだろうと思いますが、何かそういう御措置をいただいて、そういう資金をいただければ、私どもはもちろんそれにおこたえしてそういった調査を進めたいと思います。
  41. 原健三郎

    ○原(健)委員 それではもう一度お尋ねしたいのですが、資金ができてみると——それがどちらが先でどちらがあとかということは、卵が先か鶏が先かというわけで、資金ができたからやりましょうといっても、われわれの心配は、国鉄の技術や日本の資材で、たとえば鳴門海峡を鉄橋にし、明石海峡をトンネルか鉄橋にする場合に、それが可能であるかどうか、それはどうです。
  42. 高原芳夫

    ○高原説明員 海底隧道あるいは橋梁の御質問と思います。鳴門海峡の橋梁につきましてはメイン・スパンが約五百メートル、橋梁の全体は千四百メートルくらいに相なるかと思いますが、メイン・スパンの五百メートルにつきましてはすでに豪州あるいはアメリカ、欧州におきましても数カ所完成されておりますし、その方の橋梁学的な研究も国鉄といたしましても十分進んでおりますので、品質と申しますか、国鉄の材料の点その他につきましてもいろいろ研究を進めております。着工と相なれば橋梁につきましては十分自信があると存じます。それから隧道につきましては、海底隧道といた一まずと約十四キロくらいになるのでございますが、これは事前調査をいたしますことによって、海の底を掘るという考え方でなく、普通の陸上のトンネルで十四キロあるトンネルを掘っていくのだ、こういうような十分な地質構造を調べた上の着工でございますので、この点におきましても十分自信はある。特に海底隧道あるいは隧道におきましては、日本の技術は相当進んでおりますから御安心願ってよいと思います。
  43. 原健三郎

    ○原(健)委員 国鉄の技術と日本の資材でそういう橋梁及び随道が完全にできるから御安心願いたいという、その点だけは非常に心強く感ずるのであります。それで鳴門海峡は鉄橋が大体よろしいというお考えであるが、明石海峡については隧道にするか鉄橋にするかまだおきまりにならぬそうですが、私ども考えによると、できることなら明石海峡も鉄橋の方がいい。それは御承知のように隧道は単線か複線か知りませんが、単線にしても複線にしても、今日の国際観光という観点から考えると、どうしても自動車道をつけないとおもしろくない。自動車道をつけるためにはどうしても鉄橋が要る。さらに国際観光という点から見ると、どうしても明石海峡は鉄橋がいいと考えるのであるが、その点はどういうふうしお考えでありますか。
  44. 高原芳夫

    ○高原説明員 明石海峡を橋梁にするが隧道にするかという問題につきましては、かりに明石海峡を橋梁にいたしますと、メイン・スパンが約四千メートル要ります。それで四千メートルの橋梁が実際できるのかどうかという問題になるのでございますが、これはセオリティカルには可能でございますし、かりに橋梁ができたといたしますと、ただいま御指摘がございましたように、橋梁のスタビリティその他の関係から二、三十メートルの幅を必要といたしますので、そういう点におきましては鉄道あるいは自動車が自由に通れる幅が自然にとれるかと存じます。その点は橋梁が非常に有利でございます。ただセオリテイカルにはできますが、現在のアメリカ、欧州を合せました一番長い橋梁が千二、三百メートルのところでございます。現在イタリアのところでメイン・スパン千五百メートル、シシリー島に渡りますサスペンション・ブリッジを計画されているようでございますが、これはすでに実行する計画だと伺っております。これができるとおそらくまた画期的な飛躍をするものと思いますが、もし明石海峡をやるとすると、さらにそれを飛躍をいたしました二千メーターのメイン・スパンを必要といたします。これに対してはわれわれも今十分な・研究は進めておりますが、とにかく飛び抜けた難事業かと存じます。費用の点からいきましても、おそらく隧道よりは相当高額になるのではないかと存じます。ただ自動車その他の幅員、そういう点については非常に橋梁は有利であります。
  45. 原健三郎

    ○原(健)委員 先ほどおっしゃられた国鉄の技術をもってすればそういう橋梁や隧道は十分できるというのは、橋梁は鳴門海峡なら自身はあるが、明石海峡ならまだその自信はない、こういう意味なのでございましょうか。
  46. 高原芳夫

    ○高原説明員 鳴門海峡の橋梁にいたしましても、とにかくメイン・スパン五百メーターとなりますと、世界に五、六本しかないような大橋梁でございます。これは実施されておりますから決して日本ができないとは申し上げませんが、とにかく千二百メーター前後の最大橋梁が世界に何本かある、それの約倍近いものということになりますと、これはセオリティカルには考えられますが、実際に金の質、その他実行的な設計に対しては、やはり今後われわれは研究を重ねていかなければ、簡単に三キロでも四キロでもできるというお答えはエンジニアとしてどうかと考えております。
  47. 原健三郎

    ○原(健)委員 それで明石海峡と鳴門海峡の方は一応のことがされると思いますが、それで淡路を縦貫する鉄道については、その調査研究はいかがでございますか。
  48. 高原芳夫

    ○高原説明員 淡路島につきましては約五十数キロでございますが、これは全体に花嵐岩がほとんど露出しておりますし、地盤的にも非常に良好でございますので、大体複線電化を考えまして、機能構造なりあるいは線路選定の概略を完了しております。
  49. 原健三郎

    ○原(健)委員 それで最後に特にお願いいたしておきたいことは、さいぜんからも申したように、資金の準備ができていよいよ何年何月から着工するということがきまらねば、十分の調査をやらないというようなことではなくて、可能な範囲で、それは一億か二億あるいは数億かかるかもしれませんが、その程度のことはやっておかなければ、資金ができてからまたそれから三年も五年も十年も、また全部の費用十億円ぐらい使ってやっておるというのでは、まことに待ち遠しい話です。だから資金の方は心配せずにまかせておいて、そうして着々その準備だけはやってもらいたい。それはどちらが先かなんてやっているとそのうちに三年や四年たってしまう。そこがきわめて重要なポイントだから、その点を国鉄も運輸省も十分お考え願って、ぜひこれをすみやかに進められんことを特に要望いたしておく次第であります。
  50. 生田宏一

    ○生田委員 原委員から一番最後に希望的な意見が出ておりましたが、私は希望的な意見でなしに、運輸大臣のお考えをこの際に承わっておきたいと思います。今度作る直通鉄道は単にこれのみならず、青函トンネルの線と非常によく似た考え方であったと思うのですが、これは単なる新線建設の考え方ではなしに、もっと大きな視野に立った国土計画の裏門大幹線であろうと思うのです。  もう一つは御承知通りに洞爺丸事件あるいは紫雲丸事件等による不測の災害がありましたことにかんがみて、これらの災害を免かれるための世論が喚起されて、これらの二つの海底トンネルあるいは橋梁等が、当委員会においても現実の問題として取り上げられたことは間違いないことでございますので、そういう意味からこの計画がきわめて膨大なものであるとしても、これを実行に移すような配慮を着々と国鉄の方においてしていただきたい。運輸大臣国鉄を総宰する意味で、運輸大臣自身もこの実現には国鉄の全能力を常に打ち込んで早く実現をしていただきたいと思うのですが、この点に関する大臣のお考えをお聞きしたいと思うのです。
  51. 吉野信次

    ○吉野国務大臣 お話の点は私も十分心得ております。先ほどお話のあったのと同じように、目下青函の方も技術的な調査をしておりますから、これが完成すれば、お話のありました通り今の鉄道建設の方では少し無理だと思います。やはり資金の面が相当大きいのでございますから、特別な構想のもとに、必要があれば新しい立法でもしてやらなければなるまいか、こう考えております。
  52. 山本友一

    山本(友)委員 私は四国直通鉄道の問題につきまして切実に考えている一人なのでありまして、このことは運輸当局並びに国鉄がいま一つ勇断を持ってやってもらいたいということを私は要望申し上げる次第でございます。現在これに関連いたしまして、なぜそのような直通道をわれわれが望むかということは、申すまでもない国論のいたすところでございまするが、過ぐる鉄道の連絡船の事故、洞爺丸あるいは紫雲丸事件のあのような惨禍から救っていくというところに、大きな観点があるわけでございます。あの紫雲丸事件が起りまして後に、われわれは始終あの海峡を渡っておるのでございまして、常に私は海運業者といたしまして自分の体験の上から、一つ船に乗りましてもその後の国鉄の従業員のあり方等をつぶさに見ております。かような観点から見ますると、その後従業員が非常に緊張してやっておる姿は、私は率直に受け取っております。しかしながらその後も衝突事件の起ったという事実は御承知のはずであります。幸いにいたしまして人命に事がなかったことは不幸中の幸いでありまするが、大きな事件が一、二回起っております。これは一体何に原因するかということを、私どもは前段のような理由において勘案をめぐらしておりまするが、事ははなはだ小さいことでございまするが、もとより乗組員の緊張ということにも原因をいたしますが、国鉄船舶職員のあり方を根本的にお考えになったことが、国鉄当局にあったかどうかということであります。いやしくもあれだけの器と財産を預かる船長ということになりますれば、長年の経験をした老練の士がこれに当っておらねばならぬはずであります。もとより国鉄におきましてもこういう点に抜かりはないと思いまするけれども、事は非常に緻密な問題でございまするけれども、私はこの点にまだ欠陥をどこかに包蔵しているのではないかということを思うのであります。その後起りました事故、また紫雲丸の事故等を勘案いたしましても、非常に若い船長が事を起しておるということであります。これはいかなる老練の士が起さないとは断ぜられませんけれども、およそこういうような海難事故等におきましては、その道の練達の士がほんとうに体験の上から、一朝事ある場合には沈勇をもって善処するだけの試験がついておらねばならぬということが、船長の大きな要素である。かような観点から申しますると、国鉄の船長というものが非常に年令的に若い。そしてまた事故を起した人は大てい私の指摘する通りだろうと思いますが、若い人であります。これを国鉄はどういうように見ておられるか。自動車の運転手でも免状の資格はついてございましょうけれども、老練した人と若い人というようなことは往々にしてこういうところに問題点があろうと私は思います。この小さい問題を等閑に付しておりました場合には、また事故が起って大へんな恐怖に襲われるのでございます。起ってからでは間に合わないのでありますから、小さい問題でも国鉄として特に勘案してもらいたい。これはよく調べてもらえばわかる。それら船長諸君が広い意味において、あまねく乗客の生命を守るというところから申しますると、もう少し老練の人があってほしいのではないか。ただ年次表によっているようなことではいけない、私はかように考えておりますが、こういう点、紫雲丸以後の状態がどうであったか、あるいはそういうような船員行政等について心したことがあるか、また私の指摘することが至当であるならば、これらを改善するようなお考えがあるかということについて、当局の御意見を承わっておきたいと思います。
  53. 石井照正

    ○石井説明員 ただいまの御意見まことにごもっともでございまして、私ども紫雲丸事件の以後におきましては、国鉄の連絡船の対策委員会を設けまして、また運輸省におかれましても設計その他についての委員会を持たれて慎重に検討しておりまするが、単に船の構造その他ばかりでなく、ただいまお話の乗組員の選定あるいは管理等につきましても、十分過去のことを反省してやっておりますとともに、機構も改めまして本省に船舶部を設けまして、ここには大阪商船の長い経験を持っておられる有能な方を顧問として、常動としていろいろ御相談をお願いしておるわけであります。御指摘の点も十分承知して、現地においても手を尽しておるものとは存じておりますが、なおその後のあり方に御注意もありましたので、さっそくよく伝えまして、今後とも正そうその点に注意を怠らないように、私担当でございませんのでこれ以上詳しいお答えができないで申しわけございませんが、お話を十分伝えたいと思います。
  54. 山本友一

    山本(友)委員 石井さんは経理畑でございますから、そういうような海運行政につきましての細部のお答えは御迷惑かと思いますが、私もあなた方の常識に待てばそれでいいのであります。  なお一つ伺っておきます。国鉄は将来は公社に変遷していくと私は想像いたしておりまするが、その際に現在やっております国鉄の連絡船の幹線はもとより容易なものでないと思いますが、国鉄の連絡船の中には、たとえば関門とか、あるいは私の地方と仁方というところを結んでおります航路というものを検討してみますると、現実的に国鉄は非常に大きな赤字を持っておる。その赤字を公社となっても耐え得る公共性の勇断、勇気が国鉄にあるのか。現在の私の六感から判断をいたしましても、あの仁方航路あるいは下関航路なんかは、おそらく年間何千万円か一航路に損しておるということになっておろうと思います。仁方あるいは今の関門なんかの赤字はかなり太いもののように思われます。これを合理的に、経済的に、合理立った経営をする方途があるのかないのか。あるいはまたこれの赤字解消の一方法として、民間にこれを払い下げて、民間の持つ経営能力で赤字を解消し、同時に使命にこたえる方途がまだないとは思わない。そういう点についての御見解を一応承わっておきたいと思います。
  55. 石井照正

    ○石井説明員 鉄道連絡船の中で青函、宇高は、これは幹線に類するものでございます。その他の航路につきましては、御指摘のように経営成績のあまり上っておらないものもございますし、また使命から見ましても地方的交通のものも相当あると思います。もちろん現在私ども経営いたしておりますのは、いろいろの沿革的な事由でそういう結果になっておるわけでございますが、経営合理化の観点からこういう点を検討して、やり方を変えるとか、あるいはまた私ども経営から切り離した措置をとるということは、私ども常に考えておるのでございます。ただ問題は非常に地方的に公共的な関係で影響も多いことでございますから、軽々には研究段階で発表したり、あるいはそういうことを宣明したり、表明したりするというようなことは差し控えたいと思っております。内部的にはいろいろと苦心をして研究いたしておりますので、御了承願います。
  56. 井岡大治

    井岡委員 先ほどから次官にいろいろお伺いをいたしたのでございますが、私は国鉄当局にお尋ねをいたしたいと思います。本年御承知のように地方財政再建の立場から公社に対して固定資産税を課する、こういうように言っております。この額はどのくらいになるかお聞かせ願います。同時に予定されております軽油税が新設されるようです。これの額はどのくらいになるか、あわせてお知らせいただきたいと思います。
  57. 石井照正

    ○石井説明員 固定資産税というのは、御承知のように固定資産税でなくして、納付金という格好で固定資産税に見合うものということになっております。この額は全体いわゆる評価額を二分の一に平年度はいたしまして、本年度はさらにその二分の一ということで、ただいまのところ大体三十六億円と予定いたしております。それから軽油引取税の方は、これはいわゆる鉄道関係にはかかりませんで、自動車関係と暖房用にかかると思います。この方は、正確にはわかりませんが、大体二億円から三億円の間ではなかろうか、こう考えております。
  58. 井岡大治

    井岡委員 そうしますとこの三十六億と二億、これは三十一年度予算に組んであるのですか、ないのですか。
  59. 石井照正

    ○石井説明員 三十一年度予算に固定資産税に見合うものは計上いたしてございます。軽油引取税の方に関しましては、これは全体のワクの中で処理をいたすという考えで、ございます。一方においては電気ガス税等の免税もございますので、正確に予算に組んだか組まないかというふうには申し上げかねるのでありますが、そういうふうなワクの中で操作できるものと考えております。
  60. 井岡大治

    井岡委員 そこで運輸当局にこの間お尋ねをしたのですが、この軽油税ですね。国鉄のような大きなところではそういう操作ができるわけなんです。ところが実際の自動車業者としてはこれはできない。こういうことが起ってくるわけです。従ってこれは国鉄の問題とは切り離しますが、もう一度考え直してもらうようにしていただかないと非常に混乱が起ると思うのです。この点を重ねてお願いをいたしておきます。  引き続いて経理局長にお尋ねをいたします。三十一年度予算に、旅客収入で三十年度に比較して三十三億、貨物収入において百十九億、合計百五十億というたくさんな増収を見込んでおるわけでありますが、果してそれが実際できるであろうか。こういう点については、当局の御説明も、異常な努力を要すると言っておられる。異常な努力を要するということは、ある意味においてはこれは一面不可能だということにもとれる。いわゆる予算のつらを合わすために、ことさらに百五十二億の増収を見込んだとわれわれは了解せざるを得ないのです。と申しますのは、一昨年、昨年には国鉄赤字だということをわれわれに説明をしたわけでありますが、この点の結果が私たちに報告をされておりません。そういう点から考えますと、この百五十二億というものは全くその予算のつらを合わすためにやったものと考えるのですが、経理局長、これは実際増収の見込みはあるのですか、お尋ねいたしたいと思います。
  61. 石井照正

    ○石井説明員 来年度の運輸収入の見込みが多過ぎるのじゃないかというお話でございますが、なるほど昨年御審議願いました予算に比べますと百五十二億か増加になっておりまして、非常に大きいわけであります。ところが三十年度の実績はどうかと申しますと、大体ただいまのところでは四十三億程度の増収になるものではなかろうかと考えております。そういたしますと、百五十億と申しましても、現実の実績と比較いたしますと百億程度の増収で、この増収の割合は、二十九年度と三十年度を比較いたしますと、やはり百億近い増収になっております。結局今年の下半期になって参りまして貨物輸送、特に農事輸送でございますが、その増加、これは一般の生産指数の向上が非常に原因をなしております。経済の好況と申しますか、そういう点が非常に影響いたしておると思われます。従って来年度一ぱいこういう好況が現在通り続くならば、必ずしも不可能ではない。しかし一面また輸送力の方から見まして、いかに貨物の需要がありましても輸送力がこれに伴わなければ、収入は上らないということになりますが、この程度——大体六%程度でございますが、これは現状の輸送力をもってしても非常な努力を払えば、この需要をこなすことができるのではないかということで、両方ともトップ・コンディションをとって考えれば不可能な数字ではないということでございまして、もしそのコンディションがくずれることがあれば、これは非常にむずかしい結果になる、こう思っておりますが、そういう意味で決して架空な数字ではございません。現実に即しました推定を行なっておるわけであります。
  62. 松山義雄

    松山委員長 本日はこれをもって散会いたします。    午後一時二分散会