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1955-12-15 第23回国会 参議院 本会議 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十二月十五日(木曜日)    午前十一時四十三分開議     —————————————  議事日程 第七号   昭和三十年十二月十五日    午前十時開議  第一 文化財保護委員会委員任命に関する件  第二 万国著作権条約批准について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)  第三 万国著作権条約条件附批准受諾又は加入に関する同条約の第三附属議定書批准について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)  第四 無国籍者及び亡命者著作物に対する万国著作権条約適用に関する同条約の第一附属議定書批准について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)  第五 ある種の国際機関著作物に対する万国著作権条約適用に関する同条約の第二附属議定書批准について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)     —————————————
  2. 河井彌八

    議長河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 河井彌八

    議長河井彌八君) これより本日の会議を開きます。  この際、お諮りいたします。苫米地義三君から、裁判官弾劾裁判所裁判員を、大谷贇雄君最上英子君から同予備員を、それぞれ辞任いたしたい旨の申し出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よっていずれも許可することに決しました。      ——————————
  5. 河井彌八

    議長河井彌八君) つきましては、この際、日程に追加して、その選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。なお、予備員選挙に当りましては、その職務を行う順序を定めることになっております。
  7. 寺本廣作

    寺本広作君 ただいまの選挙は、いずれもその手続を省略して、議長において指名することとし、なお、予備員職務を行う順序は、議長に一任することの動議を提出いたします。
  8. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は、ただいまの寺本君の動議賛成いたします。
  9. 河井彌八

    議長河井彌八君) 寺本君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よって議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員有馬英二君、同予備員小幡治和君、平林太一君を指名いたします。なお、予備員職務を行う順序は、小幡治和君を第一順位平林太一君を第二順位といたします。      ——————————
  11. 河井彌八

    議長河井彌八君) 内閣総理大臣から、皇室経済会議予備議員大谷瑩潤君国土総合開発審議会委員菊田七平君、湿田単作地域農業改良促進対策審議会委員伊能芳雄君、飼料需給安定審議会委員藤野繁雄君の辞任に伴う後任者指名されたいとの申し出がございました。  つきましては、この際、日程に追加して、その選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。
  13. 寺本廣作

    寺本広作君 ただいまの選挙は、その手続を省略して、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
  14. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は、ただいまの寺本君の動議賛成いたします。
  15. 河井彌八

    議長河井彌八君) 寺本君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よって議長は、皇室経済会議予備議員岡田信次君、国土総合開発審議会委員に武藤常介君、湿田単作地域農業改良促進対策審議会委員雨森常夫君、飼料需給安定審議会委員戸叶武君を指名いたします。      ─────・─────
  17. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程に追加して、国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(海外移住審議会委員)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。  内閣総理大臣から、海外移住審議会委員衆議院議員大橋忠一君、楠見省吾君、田原春次君、本院議員石黒忠篤君を任命することについて本院の議決を求めて参りました。四君が同委員につくことに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  19. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって、四君が海外移住審議会委員につくことができると議決されました。      ─────・─────
  20. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程に追加して、中央選挙管理会委員及び同予備委員指名を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。指名する委員の数は、おのおの五人でございます。
  22. 寺本廣作

    寺本広作君 ただいまの指名は、いずれも議長に一任することの動議を提出いたします。
  23. 阿具根登

    ○阿具根登君 ただいまの寺本君の動議賛成いたします。
  24. 河井彌八

    議長河井彌八君) 寺本君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よって議長は、中央選挙管理会委員山浦貫一君、金子武麿君、山崎広君、芹沢彪衛君、松村眞一郎君を、同予備委員中御門経民君、小島憲君、藤牧新平君、岡崎三郎君、宿谷榮一君を指名いたします。      ——————————
  26. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第一、文化財保護委員会委員任命に関する件を議題といたします。  去る九日、内閣総理大臣から、文化財保護法第九条第一項の規定により、川北禎一君、細川護立君を文化財保護委員会委員任命することについて本院の同意を得たい旨の申し出がございました。  本件に同意することに賛成諸君起立を求めます。    [賛成者起立
  27. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同意することに決しました。      ——————————
  28. 羽生三七

    羽生三七君 私は、この際、国連加盟に関する緊急質問動議を提出いたします。
  29. 寺本廣作

    寺本広作君 私は、ただいまの羽生君の動議賛成をいたします。
  30. 河井彌八

    議長河井彌八君) 羽生君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。(「外務大臣が来てない」と呼ぶ者あり)外務大臣は直ちに出席いたしますから、大臣が出席いたしすしてから羽生三七君の登壇を請います。……  羽生三七君の登壇を望みます。    〔羽生三七君登壇拍手
  32. 羽生三七

    羽生三七君 私は日本社会党を代表して、日本国連加盟問題に関して緊急質問をいたします。  五十余の国連加盟国から承認を得たわが日本加盟が、外モンゴールに対する国民政府拒否権行使から、ついにソ連日本に対する拒否権行使となって、国民待望の、そしてまたこの本会議議場においても、先般満場一面で議決された国連加盟希望が葬り出られたことは返す返すも遺憾であります。本朝のニュースによれば、事態が変りまして、ソ連提案による外モンゴール日本を除外する十六カ国一括加盟案に決定した模様でありますが、もしそうだとすれば、日本を含む十八カ国一括加盟案の場合と、事態は根本的に違ってくるのであって、日本国連加盟のチャンスが遠のくことになると思われます。今回の国府並びにソ連拒否権に基く日本国連加盟が実現しなかったことにつきましては、鳩山総理も外務省の観測の甘さについて言及しておるようでありますが、これは国際情勢認識に対する政府の欠陥を露呈したものと思いますが、政府責任はきわめて重大であります。(拍手政府はこの際どういう責任をお感じになるのか、明らかにしていただきます。  また、先に述べたように、日本外モンゴールを除く十六カ国一括加盟案提案となれば、日本を含む十八カ国の場合と事態は根本的に違うことは言うまでもなく、これに対して政府はいかなる対策をもってこれに望まんとするのか、今後の日本国連加盟に対する見通し並びに外交施策について、政府態度を明らかにしていただきます。今回の問題は、国府拒否権に端を発して、報復的なソ連拒否権発動となったのでありますが、われわれは拒否権を行使した両国に対して、はなはだ遺憾の意を表せざるを得ません。しかし、このことは、もともと国府の無謀な行為に端を発しているのでありますから、この際、政府国際情勢に対する認識を根本的に改める必要があるのではないかと思います。(拍手)すなわち、もし日ソ交渉が一応の見通しを持つ段階にまで進んでおれば、ソ連は、外モンゴールについてはとにかく、日本加盟に了解を与えたであろうことは、これは確実であろうと思うのであります。また今回の問題を見るに、自由諸国との協力関係外交基調とする政府が、これは重光外務大臣がしばしば言われるし、鳩山首相もこれを表明されておりますが、この自由諸国との協力関係外交基調とする政府が、いうところの自由諸国一員たる国民政府拒否権でわが日本加盟が不可能となったことは、歴史の皮肉というよりも、政府の顔色を知りたいくらいであります。  今回の国連における国民政府拒否権問題から、国連における国民政府立場は急速に変化すると思います。またそれとともに、米国代表外モンゴール加盟について一貫性がなかったこと、また十八カ国一括加盟案が葬り去られたことから、アジアアラブ諸国の感情は相当に変化を来たすであろうことも想像されます。日本米国と親密にしていくのはよいとしても、米国だけをたよりにしてやっておる今の外交方針が、このやり方では日本発展はあり得ないことを今回ほど明白に示したことはないと思います。(拍手)そこで今回の国民政府行為から、おそらく私は国民政府は、国連内におけるその力が弱まる。いつまで国連のワク内にとどまり得るかも疑問なところにまで問題は発展するであろうと考えます。われわれは今ここで、あえて国民政府、いわゆる台湾政権主権の問題を云々する意思は全然ございません。しかしこの問題と関連をして、政府中共をどう見るかということは、この国連に対する日本加盟が実現できなかったこの国際情勢契機に、政府はもっと積極的に外交方針を改めなければならないところへ私は来たように感じます。(拍手)この問題は、政府は今までことごとく、中共問題に対してはいわゆる国際情勢待ちでありました。確かにこの問題は、日本だけで単独にどうこうということはできないような情勢もあるでしょう。またわれわれは、現にこの議場反対投票をいたしましたが、政府は、中華、いわゆる台湾政府承認したのでありますから、政府立場がわれわれと異なることは承知しておるのです。しかし、それにもかかわらず、いわゆる国際情勢待ちの今の政府外交方針はもっと積極性を持たなければならないところへ来たんです。もう国際情勢待ちではだめなんであります。国際情勢をみずから進んで切り開くような、そういう努力積極性、イニシアチブ、これがなければ、もはや日本発展はあり得ないことを、今回は実に明瞭にこれを示している。だから、中共問題に対しましても、政府がもっと積極性を持たなければだめだということが一つ。  もう一つは、今回の拒否権問題に関連して、日本は十六カ国の中へ入ることができなかった。しかしソ連は、今朝のニュースによれば、日本をこのままにしておくことは適当でない、明年の国連総会でこの問題を取り上げることが適当だと、ソ連みずからも言っている。だから、ソ連日本国連加盟について、永久に反対ということではない。だから、この問題をよく見ていくと、日ソ交渉とこの日本国連加盟とは不可分の関係に立つことがわかる。だから政府は、今後日ソ交渉に対してどういう考えを持っておるのか。もっと積極性を持たなければ、この問題等も、国連加盟の問題も解決できないことが客観的に証明される。だから、政府日ソ交渉について、さらにもっと積極的な熱意を持つか持たぬかということも、この機会にあわせて承わりたい。  それから中共問題に対しても、もう一度この際繰り返しますが、私は今主権の問題を云々しておるのではない。少くとも中共承認という方向へ政府が進むべきいい契機だと思う。台湾に今までずいぶん遠慮されてきた。また私は政府の言うところも一部理があると思って、われわれもある程度遠慮しておった。ところが、これほど明確に世界の五十余カ国が認めたこの日本加入を、政府が信ずる台湾政府によって葬り去られたことは、もう一度政府国際情勢を見直すいい契機だと思う。どうか考え直してもらいたい。  私がもう一つ最後に申し上げたいことは、今ソ連のブルガーニンあるいはフルシチョフ等首脳部インドを訪問しております。またビルマも訪問したのであります。ソ連インドとは今、経済的にいろいろな協力関係に立とうとしておる。また政治的にもいろいろな声明をしておる。ビルマも同様になるでしょう。われわれは思想的、イデオロギー的立場でものを言うわけではありませんが、日本がもっとアジア政策全体について積極性を持たなければ、経済問題の分野においても、ソ連あるいはその他の国々が日本よりも、もっと密接な関連アジア諸国と持つであろうことを心配いたしております。でありますから、われわれはあえて鳩山内閣が今の親米政策を一擲せよとは申しません。それは、自由諸国との協力関係政府の自由であります。しかし同時に、日本地理的条件からも近い立場にあるアジア諸国との友好親善関係をさらに確立しなければ、世界の大勢に必ず取り残される。これは歴史が証明するでありましょう。われわれは、からだの不自由な鳩山総理重光さんが飛行機で世界中を飛び回れとは言いません。しかし世界外交が今非常な機動力を持っておる、そういう時期に、あまりにたどたどしい日本外交を見て、総理外務大臣も御承知のように、私はこういう外交問題を本会議でまっこうからやることのきらいな性質たということは、あなたがたも御存じのはずであります。それにもかかわらず、社会党立場から、この問題に触れざるを得ないのは、今のあまりにも優柔不断な、しかも国際情勢認識について不十分な政府外交方針をもってすれば、アジアにおける日本の地位というものが、必ずしも好望でないということを憂うるがゆえであります。  どうか、以上の意味におきまして、われわれは積極的に、この日ソ交渉を通じて、あるいはこの国際連合への加盟を熱望しておるのでありますから、これら全般の問題について政府がこの際見解を明らかにし、今日までの責任をどのように負うかという問題とともに、今後の鳩山内閣外交施策について一つ根本的な御見解を承わりたいと思います。  再質問を留保しましてこれで終ります。(拍手)    〔国務大臣鳩山一郎登壇拍手
  33. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 羽生君の御質問に対してお答えをいたします。  中共国民政府に対する態度を改めるべきではないかとの御質問に対しましては、国連の反響その他これと関連する国際情勢等を見なければなりません。ただいま口にすべき段階ではないと考えます。  それから羽生君の、国連加盟の点からも日ソ交渉に力を入れろとの御議論には、もちろん同感の意を表します。その他の問題につきましては、外務大臣から答弁をいたします。    〔国務大臣重光葵登壇拍手
  34. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 国際連合加入の問題は、日本国民的要請であることはよく私は心得ております。その国民的要請衆参両院の決議となって現われて、これに結集されておるということもよく承知をいたしております。その実現のために、外交機関をあげて努力をして参ったのでございます。しかるに十八カ国一括案が、国民政府及びソ連邦の拒否権の執行のためにこれが通りませんでした。従いまして、十八カ国の一員であった日本加盟もできなかったわけでございます。その後に、今まだ理事会が続行されておりますから、最近のことをひとまず私は報告する義務があると思って、今報告をいたしたいと思うのでございます。今朝、その後の状況をニューヨークに電話をもってまだ報告が十分に集まっておりませんから、電話をもって聞き合せました。その結果わかったのでございますが、その十八カ国案が不成立になりました後に、ソ連が十六カ国案を提出したのでございます。それは外蒙古及び日本を除外した十六カ国案、これに対して米国は直ちに日本を含めた十七カ国案を提出いたしました。ところがこの十七カ国案は、ソ連拒否権のために不成立に終りました。それでソ連の十六カ国案の審議に戻ったのでございます。その場合に、アメリカ等拒否権国際連合加入の問題で使わないという方針を立てておりましたために、拒否権を使いませんでした。その結果十六カ国案が通過をいたしたのでございます。そのときに、ソ連代表はこういうことを申しております。次期総会において日本加盟せしめることには反対をしたい、こう言っております。まあそういうことで、このソ連の案が通過をいたしたがために、日本が除外されておるわけでございます。しかし目下はその善後処置を講じております。米国及びその他の国は、この善後策を今講じておるのでございまして、その発展を待っておるわけでございます。さようなことでございます。以上は私の報告でございます。  そこで、この国際情勢変化に、このことが重大な原因を与えるであろう、こうゆう御観察は、私はその通りだろうと思います。それは、その変化を与える、どういうふうに変化を与えるかということは、これを静かに見なければ、観測しなければわかりません。みだりに今日において推測することは危険でございます。そこでソ連も、そういう態度をとっておるわけでございます。日ソ交渉をあくまで進めていきたいというこの方針は、正しい方針だと私は思います。これは進めていかなければならぬ、こう考えております。それからまた将来アジア政策、私はアジア、アフリカの力がだんだん向上して、これに対して日本は十分にその点に重きを置かなければならぬという御議論は、その通りであります。その通りで、私はそれを絶えず推進して今日に至っておるわけでございます。その点は少しも異存はございません。それで私は、あくまでアジア近隣との関係を密接にしたい、こういうふうにやらなければならぬと考えております。それは私は正しいやり方だと、こう思っております。  以上、お答え申し上げます。    〔羽生三七君発言の許可を求む〕
  35. 河井彌八

    議長河井彌八君) 羽生三七君。    〔羽生三七君登壇拍手
  36. 羽生三七

    羽生三七君 重ねてお尋ねをいたします。今の外務大臣の事務的な御報告は、私今朝、ニュースをもらって皆知っております。全部承知しております。問題は、今承わりておって感じたことは、ほとんど事務的だということです。政治的でない。雄渾な外交感というものを何も感得するところがないのであります。実に事務的でビジネスです。これでは、とても世界の大国に伍していくことができないということをつくづく感じるのであります。私は、重光外相には委員会もありますから、そこでまた重ねてお尋ねすることにして、鳩山首相お尋ねをしたい。  あなたは、一番大事な点を今答弁を落されておる。記者団に対してすら、外相観測の甘さということを言われて、暗にあなたが御不満を漏らされておる。しかもこれは単にあなたが外交不満を漏らしているだけの問題ではありません。政府責任であります。どういうふうに責任をお感じになりますか。これは非常に重大な問題だと思う。ソ連明年度国連総会においては日本を云々と申しておりますが、ちょうど一年先に延びることであります。しかもそれすら国際情勢変化で、またどうなるかわからい。だから私は、非常に重大な問題だと思う。これは鳩山内閣外交問題についての重大な黒星であります。しかもあなたと重光外相とは、相当外交方針で隔たりがある。こんなやり方をやっておっては足もとを見すかされて、りっぱな雄渾な外交ができるはずがない。それはとにかくとして、鳩山さんはどういう責任をお感じになるか。もう少し責任政治家をもって任する鳩山さんがしつかりした答弁をされることを希望いたします。(拍手)    〔国務大臣鳩山一郎君、登壇
  37. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) お答えをいたします。  国連加入ができなかったということは私は残念に思います。できるだけのことをいたしましたと思いますので、この結果になりましても、やむを得ません。次の最善の道を考えることが責任だと思います。      ——————————
  38. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第二、万国著作権条約批准について承認を求めるの件  日程第三、万国著作権条約条件附批准受諾又は加入に関する同条約の第三附属議定書批准について承認を求めるの件  日程第四、無国籍者及び亡命者著作物に対する万国著作権条約適用に関する同条約の第一附属議定書批准について承認を求めるの件  日程第五、ある種の国際機関著作物に対する万国著作権条約適用に関する同条約の第一附属議定書批准について承認を求めるの件(いずれも衆議院送付)  以上、四件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認のます。まず委員長報告を求めま、外務委員長山川良一君。(「所管大臣がいませんよ」「待て待て委員長」と呼ぶ者あり)  山川外務委員長登壇を請います。    〔山川良一登壇拍手
  40. 山川良一

    山川良一君 ただいま議題となりました万国著作権条約及び同条約の三附属議定書、それぞれの批准について承認を求めるの件について、外務委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。  政府の説明によりますと、これらの条約及び三議定書は、ユネスコ主催のもとに昭和二十七年の八月から九月にかけてジュネーヴで開催された国際会議で作成されたものでありまして、わが国昭和二十八年一月三日に署名いたしたのであります。その内容の概略は次の通りであります。  まずこの条約著作権保護に関し、無方式主義を採用するベルヌ条約当事国方式主義を採用する米州条約当事国の両者の間の橋渡しのための条約であり、わが国は、この条約当事国になりますと、すでに当事国となっているベルヌ条約当事国以外の諸国との間に著作権保護関係を生することになり、さらにまた、平和条約第十二条に基く現行の日米著作権暫定取りきめが失効する明年四月二十八日以降における日米両国間の著作権関係を有利に規律し得ることになるのであります。次に、三附属議定書は、無国籍者及び亡命者著作物保護すること、国際連合等著作物保護すること、条約効力発生に一定の停止条件を付することを認めることを内容としており、それぞれこの条約を補足する役割を持つものであります。なお、これらの条約附属書効力は、その批准書ユネスコ事務局長に寄託した後三カ月で発生することになっておりますので、現行の日米暫定取りきめの失効する明年四月二十八日までに、わが国につき効力を生ぜしめるためには、明年一月二十八日までに批准書の寄託を了しておく必要があるので、時間的にも本国会承認を得たいという政府要請でありました。  委員会審議におきましては、日米暫定協定の失効が明年四月に予見されておりながら、何ゆえ時日の切迫した今日まで国会提出がおくれていたのか、また、この条約加入の得失につき検討に当った文部省著作権制度調査会では賛否両論があったというが、その間の事情はどうか。それから条約実施に伴い、いかなる立法措置をとるか等、幾多の点について活発な質疑がございましたが、詳細は会議録につき御承知願いたいと存じます。  討論におきましては、石黒委員から、「本件のごとき重要案件を短日間に審査を強要されることは遺憾である。今後は国会軽視とならぬよう十分に注意されたい」との希望を述べて賛成されました。次に梶原委員は、「この条約実施上、国内法制を整備する必要があると説明されておるが、政府は所要の立法をできるだけ早く整え、次回国去に提出するよう希望する」との意見を付して賛成されたのであります。次いで採決を行いましたところ、全会一致をもって四件とも承認すべきものと議決いたした次第であります。以上、御報告いたします。(拍手
  41. 河井彌八

    議長河井彌八君) 議事の都合により、これにて暫時休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      ——————————    午後四時三十一分開議
  42. 河井彌八

    議長河井彌八君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。  これより、休憩前に委員長から報告のありました万国著作権条約批准について承認を求めるの件ほか三件の採決をいたします。  四件全部を問題に供します。委員長報告通り四件を承認することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  43. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって四件は、全会一致をもって承認することに決しました。      ——————————
  44. 河井彌八

    議長河井彌八君) 参事に報告させます。    〔参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。  罹災都市借地借家臨時処理法第二十  五条の二の災害及び同条の規定を適  用する地区を定める法律案可決報告  書  行政管理庁設置法の一部を改正する  法律案修正議決報告書  昭和三十年度の地方財政に関する特  別措置法案可決報告書  地方財政再建促進特別措置法案可決  報告書     —————————————
  45. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程に追加して、罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条の二の災害及び同条の韻定を適用する地区を定める法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず委員長報告を求めます。法務委員長高田なほ子君。    〔高田なほ子君登壇拍手
  47. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 ただいま議題となりました罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条の二の災害及び同条の規定適用する地区を定める法律案の委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。  もともとこの罹災都市借地借家臨時処理法は、あるいは戦災による罹災建物の旧借主に優先的に借地権を取得させ、あるいは逆に罹災地の借地権で今後存続させる意思がないと認められるものを消滅させる等の道を開き、戦災地等における借地借家の権利関係を調整することを直接の目的として立法されたのでありますが、その後同法は改正されまして、その第二十五条の二においては、かような戦災による罹災の場合だけに限らず、別に法律で定める火災、震災その他の災害、の場合にも、法律で指定する地区に限り、同法の規定はこれを準用し得ることと定められているのでございます。  そこで、去る十月一日に発生しました新潟市の大火災に対しましても、この第二十五条の二の規定を同市の災害に適用すべき法律が制定されましたことは御承知通りでありますが、本法律案は、去る十月十四日と本月三日に発生しました鹿児島県名瀬市の大火にこの規定適用し、今日はや紛争の惹起が憂慮されます同市の借地借家の権利関係を調整し、もって同市復興の促進方をはからんとするものでございます。すなわち再度にわたる同市の被害は、遺憾ながら焼失家屋約千三百戸、被災の地域は約七万坪、その人員は約六千五百名を数え、これら焼失家屋の借家率は約二〇%を示しているのでございまして、復興に当る地元市当局等からの要望も数多いことでございますが、今次の罹災に対しましては、本委員会といたしまして、まず本法案による急速な措置を講じ、これによりまして災害救助その他の施策と相待って、同市並びに罹災者の復興救済の実が、一日もすみやかに推進せられますことをひたすらに念願いたしておる次第であります。  当委員会におきましては、かような事情にかんがみまして熱心に審議を急ぎ、討論を省略して採決いたしましたところ、全会一致にて可決すべきものと決定いたした次第でございます。(拍手
  48. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  49. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  50. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程に追加して、行政管理庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず委員長報告を求めます。内閣委員長小柳牧衞君。     —————————————    〔小柳牧衞君登壇拍手
  52. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 ただいま議題となりました行政管理庁設置法の一部を改正する法律案につき、内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、本法律案の改正の要旨を御説明いたしますと、本法律案における改正点は二点でありまして、その第一点は、行政管理庁が監察に関連して調査を行う対象の範囲の拡張の点であり、その第二点は行政審議会の委員の定数の増加の点であります。  改正の第一点について申し上げますと、現在、行政監察においては国の行政機関の業務について監察するとともに、日本専売公社、日本国有鉄道及び日本電信電話公社の業務並びに国の委任または補助にかかる業務について、監察に関連して調査を行うことになっているのでありまするが、この改正法律案によって新たに国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫の四公庫、日本住宅公団、愛知用水公団、農地開発機械公団の三公団及び法令の規定により、国が資本金の二分の一以上を出資する義務がある法人で、政令で指定するものの業務についても、関係行政機関の監察に関連して調査を行うことができることといたしておるのであります。  次に改正の第二点について申し上げますと、政府の説明によれば、政府は新内閣の重要政策の一つとして、行政機構の改革を強力に遂行する所存であり、これがためには一そう広く各界の公正なる意見をもくみ入れて慎重に検討し、もって簡素能率的にして国民に親しまれる機構に改めたい考えであるとのことでありまして、これがため戸政管理庁の諮問機関である行政審議会の委員の定数を五人増員しまして、二十人以内と改めることにいたしておるのであります。  内閣委員会は、委員会を五回開きまして、本法律案の審査に当ったのでありますが、その審査によって明らかになった点は次の諸点であります。  その第一点は、行政管理庁の調査対象の範囲を公団、公庫等の業務にまで拡張することは、主管大臣の監督権を侵犯し、閣内の対立を起すこととなり、内閣の統一性を乱すと同時に、主管大臣責任を不明確ならしむるおそれはないか。また行政管理庁は現在さような調査能力を有しておらないのではないかという点について質問がなされましたが、この点に関しまして、行政管理庁の行う監察、調査及び勧告は、あくまでも第三者的立場から所管行政の指導監督の足らざるところを補完協力し、行政事務の改善に資することを目的とするものであり、また重要事項について勧告を行う場合は、行政管理庁はあらかじめ閣議に諮ることとし、政府部内の対立を避けるよう努めるから、内閣の不統一を招くおそれはなく、また主管大臣責任の集中性をそこない、責任を不明確ならしめるがごとき懸念もないと思う。また調査は拡張された調査対象に対して一挙に行われるのではなく、逐次集中的に行われるのであり、また現在の監察能力は、過去の経験によって従前より一段と充実して、るから、調査能力の点において不十分な点はないと思う旨、根本官房長官及び政府委員より答弁がなされました。  その第二点は、今回の行政監察に関連して調査対象の範囲の拡張を行わんとする改正は、来年度政府が企図しておる行政機構改革の際に、あわせて検討すべきであるにもかかわらず、何ゆえに緊急に今回の臨時国会に提出されたのであるかという点につきましては、特に、最近政府は住宅政策に力を注いでおり、これに伴い住宅公団について早急に調査を行う必要があり、なお、その他の公団、公庫、その他国が資本金の二分の一以上を出資する義務のある法人の公共性にかんがみ、公社と同様調査の対象として緊急に取り上げるべく今回の改正案を提案した旨、河野行政管理庁長官及び政府委員より説明がなされました。  その第三点は、国が資本金の二分の一以上を出資する義務がある法人で、この際、政令で指定せんとするものは具体的に何であるかという点につきまして、行政管理庁がこの際、さしあたり調査を行わんとするものは、日本開発銀行及び日本輸出入銀行の二つである旨、政府委員より説明がなされました。   その第四点は、行政審議会の委員五名増員の点でありまするが、政府は行政機構改革を行う目途をもって、現在の十五名の委員にさらに五名増加し、言論界の人、行政官の経歴のある人、農業方面の関係者のうちから人選し、これら二十名の委員によって構成された審議会に行政機構改革案を諮問して、来年一月中に成案を得て、来年二月中に国会に改革案を提出したい政府方針である。なお政府は現在の行政機構のうちには、過去の占領下において内外の事情のもとに設けられたものもあるので、これらを適正に是正するはか、行政機構全般にわたって最も能率的に、かつ国民に親しみやすい機構に改革したい方針であって、従来の行政機構の改革は、行政整理を意図しておったが、今回はかくのごとき行政整理、すなわち人員整理を目標としない。また現在の国情はこのような人員整理を行うべき時期でないと考える旨、河野行政管理庁長官より所見が明らかにされました。  その他審議の詳細は、委員会会議録に譲りましたので、その点御了承を願います。  本日の委員会におきましては、質疑も終了いたしましたので討論に入りましたところ、まず島村委員より、「本法律案を次のごとく修正し、その修正部分を除いた原案に賛成する。その修正案は原案の第二条第十二号の改正規定中、「法令の規定により国が資本金の二分の一以上を出資する義務がある法人で政令で指定するものの業務」を削るというものであって、その修正の理由の第一点は、政府がさしあたって調査せんとする法人は、日本開発銀行及び日本輸出入銀行の二つであって、将来は他の法人にも及ぼさんとすることであるが、現在の行政管理庁の機構及び能力では、これらの調査を行なっても十分なる成果を上げることは期待できない。その第二点は、これらの法人には主管大臣の監督もあり、また別途会計検査院の検査と重複するおそれもあり、また責任内閣制をとっている以上は、内閣の一体性を弱める結果にもなるおそれがある。これら行政管理庁の監察調査の権限については、今後の行政機構改革の際考慮せらるべきものである。なおこの際この修正案の提出に伴って、左の付帯決議案を提出する」旨の発言がありました。その付帯決議案を朗読いたします。   付帯決議案   政府の宣明せる行政機構改革に際  し、各省の所管事項に対する当該大  臣の監督権限の強化を、法律的にも  予算的にもこれを実現すること。  右決議する。  次いで野本委員より、「自由民主党を代表して右の修正案を含む原案に賛成する」旨の発言があり、最後に千葉委員より、「日本社会党を代表して原案に賛成し、修正案及び付帯決議案に反対する。その理由としては、この会期の短かい臨時国会に本法律案が提出されたことについては不満であるが、監察行政を強化し、うとする政府態度は正しいものと考える。予算の適正使用、行政能率の向上は今日国民の強く要望しているところであって、本法律案による行政管理庁の権限の拡充は、何ら所管大臣の権限を侵すものとは考えない。ただ、政府はこのたびの措置により行政管理庁の人員増加について十分考慮を払うべきものであろと考える。なお行政審議会の委員の人選は、適正な考慮を払われたい。また機構改革については、何ら政府が具体案を示されないのはきわめて不満であるが、今後の機構改革の際、人員整理を行わないという政府態度には一応賛成である」旨の発言がありました。なお菊川、田畑、吉田の各委員より、修正案及び付帯決議案の趣旨並びに、これに対する政府見解について、島村委員及び政府当局に対して質疑が行われました。  かくて討論を終了いたしましたので、直ちに採決に入ったのでございます。島村委員提出の修正案について採決をいたしましたところ、多数をもって可決すべきものと議決せられ、次いで修正部分を除く原案について採決をいたしましたところ、これまた多数をもって可決すべきものと議決せられ、最後に先の島村委員提出の付帯決議案について採決いたしましたところ、多数をもって本委員会の決議とすることに決定せられました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  53. 河井彌八

    議長河井彌八君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を詳します。菊川孝夫君。    〔菊川孝夫君登壇拍手
  54. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 私は社会党を代表し、行政管理庁設置法の一部を改正する法律案について、政府原案に賛成委員長報告の修正議決反対します。  この修正案は、内閣委員会で緑風会の島村軍次君よりの提出されたものでありますが、意外にも政府与党たる品由民主党の委員も、この修正案に賛成をされまして、実はあぜんとしたのであります。そこで野党たるわれわれ社会党委員のみが政府原案に賛成し、緑風会と与党自由民主党の委員によって、政府原案が実質的に骨抜きにされたのであります。政党内閣制の、しかも二大政党対立の出発に当りまして、与党たると野党たるとを問わず、相戒めまして、この制度運営について民主的な慣行を打ち立てるようにお互いに留意しなければならぬことは申し上げるまでもございません。しかるにこの法律案の趣旨を見ますると、行政管理において公庫、日本住宅公団、愛知用水公団及び農地開発機械公団の業務や、日本輸出入銀行、日本開発銀行等、国が資本金の二分の一以上を出資する義務がある法人で政令で指定するものの業務をも監査しようとするものでありますけれども、修正によって日本輸出入銀行、日本開発銀行に対する監査権が及ばなくなるのであります。輸出入銀行や開発銀行は全額政府出資であり、すなわち国民の血税によって設立されまして、輸出入業者、大企業に対しまして、長期、低利の資金を貸し付けるものでありますために、従来からその資金を求めまして政商、財界人の暗躍が行われ、その陰に利権を求める政治家がおどったと伝えられておるのであります。開銀三千億の資金と輸銀一千億の資金が、長きは十五年、利子は五分五厘ないし六分五厘の低利で借り受けられるのでありますからして、政商、利権屋にとっては垂湛おくあたわざる利権の対象となってきたのであります。かの政権百年を豪語し、権勢を誇った吉田自由党内閣の屋台骨をゆすぶったところの造船疑獄の実は震源地はまた開銀にあったことは、国民の記憶に新たなところであります。さすがにジャの道はヘビと申しますか、これに着眼した新行政管理庁長官河野一郎君はさすがであると思うのであります。(拍手)ところが巷間伝えられまするところのいわゆる吉田派と、それに連なるところの財界人は、最後の拠点開銀、輸銀に河野の手が入ることを黙視しているほどまだ零落をしておらなかった。その抵抗が示されたのが本修正案の裏面ではないかと思うのであります。(拍手)すなわち旧自由党と民主党、鳩山と吉田との開銀争奪戦であると極論しても差しつかえないと思うのであります。この点について修正案の提出者は、行管が開銀や輸銀に手を触れることは行き過ぎになる弊害があると言っておりまするけれども、まあ爆弾男の河野氏が開銀や輸銀の融資にメスを加えれば、何が出てくるかもわからないと思います。それによって保守陣営にひびが入ることをおそれて河野氏の手を押えられました隷属会の親心はわからないこともないのであります。しかしながら納税者であるところの国民は、そのことを期待し、とにかく、くさいものにはふたをせすに、化膿したものは徹底的に切開をされまして、真に清新な保守党の出現をこそ望んでいると思うのであります。また主管大臣にまかしておけばいいとも主張されまするけれども、その論を発展させれば、行管不用論となります。本法案そのものに反対するのが理論的であり、よく言われるところの緑風会の良識が生きてくると思うのであります。自民党の諸君も、政党内閣制の筋を通されまして、政府提出の原案を事前に政調会、国会対策委員会、幹部会等で十分に今後協議されることを要望したいのであります。参議院の良識によって修正される場合には、他会派の修正に同調するがごとき不見識な態度をとられずに、堂々と一つ第一党の偉力を発揮して修正案を発議されまして、各会派に同調を求められるように願いたいと思います。われわれもまた事案のいかんによりましてはう同調して二院制の妙味を発揮することに決してやぶさかでない場合もあり得ることを、この際申し添えておきます。修正案は、明らかに行政管理庁長官たる河野一郎君に対する不信の意思表示であり、いやがらせにすぎないのであります。われわれは四月に行われると言われているところの自由民主党の総裁公選を前にして、その主導権争奪の具に供されていると見られる修正案に賛成するわけには参らないのであります。だからといって、従来からとかくの風評のある河野一郎氏に対し、全幅の信頼を寄せて原案を支持するものではなく、いわゆる毒をもって毒を制するという言葉もございます。この際、伏魔殿視されてきたところの開銀、輸銀の実体を、行管の監査を通じまして白日のもとに明らかにして、チェック・アンド・バランスの妙味が多少でも発揮されましたならばよいではないかと考えて、原案を支持する次第であります。この修正案が衆議院に回付されました場合に、私の想像するところによると、三分の二によって向うで原案議決方針がとられるのではないかと思うのであります。今日まで各議員諸君が参議院の良識だ良識だと言っておきながら、こういう不明朗を修正を行なって、衆議院へ回付いたしまして、三分の二で議決された場合の衆議院のあり方を静かに考えてみなけりゃならぬと思うのであります。(拍手)全国民注視の中に、二大政党対立の第一回の国会に際し、かかる不明朗きわまる修正が、意識するとしいなとにかかわらず、常に良識を口にされる緑風会の発議によって行われることに対し、衷心より遺憾の意を表し、議員各位の再考を求めて、私の反対討論といたします。(拍手)     —————————————
  55. 河井彌八

    議長河井彌八君) 廣瀬久忠君。    〔廣瀬久忠君登壇拍手
  56. 廣瀬久忠

    ○廣瀬久忠君 私は、修正並びに付帯決議に賛成をいたすものであります。  これから理由を申し述べます。私は、行政管理庁の監査の範囲というものは、本来政府の行政機構の範囲に限局すべきものであると思います。従って、監査に付随するいわゆる調査については、でき得る限りこれを限局すべきであると思います。何となれば、調査を受けまするところのものは、政府の行政機構以外のものであります。行政機構ではありません。しかも調査というても、実は監査と何ら異なるところはなく、その影響もすこぶる重大であるのであります。実例を申せば、今回の運輸省の監査に付随して日本国右鉄道の調査を行なったのでありまするが、その結果の勧告は、経済上及び政治上すこぶる重大な波紋を投げかけておるのであります。従って調査の範囲を拡大するについては、われわれは非常な慎重な態度をもって臨まなければならぬと思います。今回の改正案が調査の目的としておるもののうち、公庫であるとかあるいは公団のごときは、その性格が、従来調査の対象となっておったところの三公社と非常に類似しておるのでありますから、これを調査の目的とするということは、われわれ慎重考慮の上、これを認めたのでありまするけれども、今回の改正案中の、いわゆる資本金二分の一以上を政府に出資せしむるもののうち、政令で指定せんとするものについては、その業務の性質上、三公社と著しく性質を異にするものが多いのであります。それはたとえば開発銀行のごとき、あるいは輸出入銀行のごとき、あるいは日銀のごとき、あるいは電源開発会社のごとき、あるいは石油資源開発会社のごときも、この行政管理庁の調査の対象になり得るのであります。これらのものは行政管理庁の調査の対象にすることは、いかに考えてもそれは行き過ぎである。行政管理庁が銀行を調査し得るなどといったならば、これは社会の常識を逸脱するものであると私は思います。今日の行政管理庁がその能力においても、調査する能力は持っておらぬのであります。行政管理庁の調査の対象はかくまでこれを拡張すべきものではないと思う。よって今回の改正については、公団及び公庫まではこれを認めるけれども、銀行、会社等まで行管の活動を広げるがごときことは不適当としてこれを削除したのであります。  由来責任内閣制をとる我が国においては、大臣責任は最も重大であります。大臣には、内閣の運命に関する連帯責任の一角を皆背負わされておるのであります。この重大なる責任を完全に遂行するためには、強大の権限を大臣に与えねばなりません。私は大臣は、その所管事項について強大なる権限を持ち、他の容喙などは許さず、すべて行政運営上遺憾なきを期し得る態勢を堅持せねばならぬと思います。行政管理庁のごとき、所管大臣以外より所管行政の助言とかあるいは補完を受けるというようなごときことは、根本において大臣責任に矛盾するものであります。ゆえに行管の活動は限定的であるべきである。いわんや行管の活動が広くかつ強きに失するときは、内閣の一体性を阻害し、かつ大臣責任をあいまいならしむるものであるからであります。なお、かくのごときことは責任内閣制に反するものであります。私は内閣が憲法上行政の主体的立場に立つ以上は、内閣は常に内閣の統一を維持しつつ行政の能率的推進をはかり、国政運営上遺憾なきを期すべきであると思います。しこうして内閣が、この大目的を達するためには、原則として、主管大臣の監督権限の強化をはかるべきであり、行管の監督的作用などは従たるものにすぎないのであります。今政府が、行管の監督的作用に力を入れるがごときは、これは私は見当違いであると思うのであります。  なお経理面については、憲法上の機関である会計検査院があるのでありますから、その充実をはかって、その監査の目的を達すべきであります。要は行政能率増進のために力を注ぐべきは、主管大臣の監督権限の強化にある。また経理面の堅実を期するためには、会計検査院の充実によるべきである。かくのごときことこそ、行政権の主体たる内閣の使命を果すゆえんであり、また責任内閣制の責任実現のまじめなる態度であると信じて疑いません。(拍手)監督権の強化は正道によれ、行管のごときわき道に力を入れてはならぬと私は言うのであります。  今回の修正は、この大眼目に出発しておることを明らかにして、私は修正に賛成の意を表します。(拍手
  57. 河井彌八

    議長河井彌八君) これにて討論の通告者の発言は、全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長報告は、修正議決報告でございます。委員長報告通り、修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  58. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よって本案は、委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  59. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程に追加して地方財政再建促進特別措置法案(第二十二回国会内閣提出、衆議院送付)  昭和三十年度の地方財政に関する特別措置法案(内閣提出、衆議院送付)  以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず委員長報告を求めます。地方行政委員長松岡平市君。    〔松岡平市君登壇拍手
  61. 松岡平市

    ○松岡平市君 ただいま議題となりました地方財政再建促進特別措置法案及び昭和三十年度の地方財政に関する特別措置法案について地方行政委員会における審査の経過の概要と結果を御報告いたします。  まず、地方財政再建促進特別措置法案でありますが、本法案は、前国会における議決に基き、地方行政委員会において継続審査を行なっていたものでありまして、政府原案の大体の内容は、各位すでに御承知通り、地方財政の現状にかんがみ、昭和二十九年度において赤字を生じた地方団体が、その議会の議決に基き、財政再建計画を定め、自治庁長官の承認を得た場合において、財政再建計画の誠実な実行を条件として、特に歳入欠陥補てん債の発行を認める等の特別措置を設けるとともに、地方財政の窮状の打開に資するため、一般に地方団体は、当分の間、地方債をもって退職金の支払い財源にあてることができるものとし、地方団体が国またはその機関に対する寄付金等を支出することは、特殊の場合を除き、当分の間禁止することとする等の特別措置を講ずるものであります。  以上の政府原案に対し、衆議院において、これは地方財政再建促進の目的達成に急なるのあまり、地方公共団体に対する国の意思が加わること強きに過ぎ、かえって地方側の自主的かつ自発的再建の意欲をそこねるおそれが嵐り、かつまた地方財政の赤字処理に対する国の財政措置について十分ならざるものがあるので、これに対し相当の補強措置を講ずる必要があることを理由として若干の修正が加えられました。  すなわち、一、自治庁長官が赤字団体に対して財政の再建を行うことを勧告することができる旨の規定を削除すること。  二、財政再建計画を承認する場合に、自治庁長官が変更を加えることができる旨の規定を削除すること。  三、財政再建団体である都道府県の教育委員会が市町村立学校職員の市町村ごとの定数を定める場合には、原案では、「市町村教育委員会の意見を聞いて」とあるのを、これと協議しなければならないものとすること。  四、長と議会との関係に関する規定中、一定の場合、長が不信任の議決とみなすことができる旨の規定を削除すること。  五、国は財政再建債について年六分五厘をこえる部分について二分を限度として利子補給を行うとあるのを、年三分五厘をこえる部分について五分を限度として利子補給を行うものとすること。  六、国の財政再建団体に対する一部予算の執行停止を命ずる等の各種の関与をなるべく限局するように字句を修正するとともに、財政再建団体が国の求めに応じない場合には、地方債の許可を行わない旨の規定を削除すること。  七、赤字団体に対する地方債の制限は、地方財政または地方行政にかかる制度の改正等により地方財政の基礎が確立した年度以降の年度で政令で定める年度から適用するものとすること。  八、地方公共団体の負担金の納付の特例に関する法律の一部を改正し、昭和二十七年度分以前の直轄事業の分担金についても、これを交付公債で納付することができるものとすること等が修正の主要点であります。  次に、昭和三十年度の地方財政に関する特別措置法案について申し上げます。  本法案につきましては、去る九日の本会議におきまして、政府当局より趣旨の説明があり、質疑も行われましたので、詳細は省略いたしますが、その内容の概要は、地方財政の窮状を打開し、地方財政再建の基礎の確立をはかるため、とりあえず昭和三十年度において地方団体に対し地方交付税の率三%に相当する百八十八億円の財政措置を行い、これに基いて百六十億円を地方交付税の交付の例によって臨時地方財政特別交付金として交付するものとしたのであります。従って本年度において国から地方団体に対して一般財源として交付される地方交付税たばこ専売特別地方配付金及び臨時地方財政特別交付金の総合計額千五百七十九億円の九二%千四百五十二億円は普通交付税の交付方式により、八%百二十七億円は特別交付税の交付方式によって交付するものとし、これがため地方交付税の全額を普通交付税として配分交付すること、また単位費用の特例を設ける等の特別措置を三十年度に限り講じようとするものであります。  地方行政委員会におきましては、十月十五日、地方財政再建促進特別措置法案は、地方財政の窮乏にかんがみ、昭和三十年度の財源不足を充足して、地方財政再建を目的とする明確な対策とあわせ講ずることでなければ、その効果はあがらない。従って政府に具体的対策の持ち合せがなく、じんぜん日を送っている状態が続く限り、本法案の審議を進めることはできない。よって政府においては、昭和三十年度における適切な財源対策を樹立して、すみやかに臨時国会を召集すべきである旨の決議を行なったのであります。  しかるところ、今国会に入り、昭和三十年度の地方財政に関する特別措置法案等一連の案件が提出されましたので、十二月十日には地方財政再建促進特別措置法案に関し、衆議院議員鈴木直人君より、衆議院修正の説明を聴取し、十四日には昭和三十年度の地方財政に関する特別措置法案について農林水産委員会と連合審査を行なったほか、十二日には右両法案を一括して、いわゆる地方六団体からなる地方財政確立対策協議会を代表する茨城県知事友末洋治君及び埼玉県蕨町議会議長岡田徳輔君の両参考人の公述を聴取し、また太田自治庁長官、一萬田大蔵大臣その他政府当局との間に質疑応答を行う等、連日審査を重ね、なお、十五日には昭和三十年度の地方財政に関する特別措置法案に関する農林水産委員会の決議の申し入れがありましたが、これらの詳細は速記録によって御承知願います。百かくて今十五日討論に入り、加瀬委員日本社会党を代表して、「両法案を通じて政府の赤字対策の不明確と地方行政一般に対する認識不足がうかがわれ、両法案に現われた財源措置はきわめて不適切であり、地方財政再建促進特別措置法案は、地方の自治権を喪失に導くおそれがある等の理由から、両法案に対し反対する」旨を述べられました。  小林委員は緑風会を代表して、「両法案は、一時的対策に過ぎず、再建債に対する利子補給の点等不満足な部分もあるが、根本的問題は近く解決されることを強く期待して、やむを得ず両法案に賛成する」旨を述べられました。自由民主党の伊能委員は、地方財政再建促進特別措置法案については、「その実施に当り再建団体に対して国はあたたかな親心をもって臨むことを要望し、かつ次のような付帯決議を付して本法案に賛成する」。昭和三十年度の地方財政に関する特別措置法案に対しては、「一時的な点が多少不満足ではあるが、次の付帯決議を付して賛成する」旨を述べられました。伊能委員の付帯決議は次の通りであります。   地方財政再建促進特別措置法案    に対する参議院地方行政委員会   付帯決議  地方財政の再建については現下の地方財政状況にかんがみ、政府は既定の計画に加え、早急に次の諸措置をとるべきである。   一、再建債の額二百億は二十八年度までの赤字額に対する措置であるから、二十九年度の赤字増加額と見合い、必要な額を早急に増額すること。   一、再建債の利子は三分五厘以上の部分を五分の範囲で国が補給するにかんがみ、一般地方債については  政府資金の利率を引下げて均衡を得  しめるよう努力すること。   右決議する。   昭和三十年度の地方財政に関す   る特別措置法案に対する参議院   地方行政委員会付帯決議   政府は現下地方財政の窮乏に対処  し次の措置を講ずべきである。   一、昭和三十一年度において地方行財政制度に関する抜本的対策を樹立し地方財政計画に遺漏なきを期し、もって赤字の続出を防止すること。   二、今回の地方公務員に対する期  末手当の財源捻出不能分については  通常国会において必要な財政措置を  講ずること。   三、公共事業費の繰延べについて  は事業の実施に実質的に支障をきた  さざるよう万全の措置を講ずるこ  と。   右決議する。  かくて採決の結果、地方財政再建促進特別措置法案は、多数をもって衆議院より送付された原案の通り可決すべきものと決定いたしました。次いで、昭和三十年度の地方財政に関する特別措置法案は、多数をもって衆議院送付案の通り可決すべきものと決定いたしました。なお、伊能委員提出の両法案に対する付帯決議案は、それぞれ多数をもってこれを委員会の決議とすることに議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  62. 河井彌八

    議長河井彌八君) 両案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。加瀬完君。    〔加瀬完君登壇拍手
  63. 加瀬完

    ○加瀬完君 私は日本社会党を代表いたしまして、このたび提案をされました地方財政措置に関する二法案に対し反対をいたします。  反対理由の第一は、政府の赤字打開の基本方針の不確実にして、不明確なる点であります。自治庁長官は、その赤字解消の基本方針の説明に当りまして、「過去の赤字のたな上げを再建法により、さらに将来再び赤字発生を見ないための赤字原因の除去を、三十年度財政措置並びに三十一年度財政措置で解決するのである。」こう説かれるわけであります。それならば、三十年度を含めた三十一年度の財政計画というものが打ち立てられまして、しかも再建法との見合いの間におきまして、この関係が一体となって解決される措置がとられなければならないはずであります。将来赤字発生原因の除去のために、政府における財源補充策がまず立てられて、明年度以降の地方財源のワクが見通され、この基礎の上に新しい地方財政計画が示され、その財政計画をもとに地方の再建計画が合理的に進められる、こういう順序をたどるべきであります。  しかし、このたび提案をされました再建法と、三十年度財政措置及び明年以降の計画とには、何らのつながりもないのであります。すなわち再建計画を立てようといたしましても、地方不足財源の内容がはなはだ不明確であります。また明年以降の財政収入のワクも見通しがつきません。さらに三十年度の措置におきましては、給与費は全然除外をされておるのであります。従いまして実際上の赤字は消し得べくもないのであります。また、再建法によりましても、二十八年度までの赤字分を対象とし、二十九年度六百五十億といわれます赤字分ははずされておるのであります。三十年度財政措置も、最初は要増加額は二百三十八億と言い、政府の決定は百六十億と言い、全然その措置は不確実そのものであります。地方赤字につきましても、どの分を地方の責任とし、どの分を政府が負ってくれるのか、責任の分担もはなはだ不明確であります。これらを明確にするためには、特に地方交付税の地方財源繰入率の適否判定を行う基礎となる地方財政計画が根本的に検討され直さなければなりません。すでに財政計画と決算額との相違の大きいことは周知の通りであります。  また、この地方財政計画は、昭和二十五年の決算を基礎としておりますが、この基礎が不合理でありますことも、地方的経費が、毎年基準年度よりも減少しておることでも明白であります。しかるにこの問題の核心でありまする地方財政計画は、現実の実態に即したものには作りかえられておらないのであります。まず、新財政計画が前提となりまして、その上に新しい再建法にいたしましても、措置法にいたしましても打ち立てられるということでございませんでは、基本方針そのものに合理性を認めるわけにはいかないのであります。この点は何よりも与党の諸君がいろいろの修正案の付帯をせられなければ、この案そのものがずさんであるという御認定に立っておることも明白であります。  反対理由の第二は、国の地方行財政に対する認識の不足の点であります。政府提案説明によりますると、「地方団体の赤字解消の基本方針の具体化については、国、地方の行財政の全般について詳細な検討の上で結論をすべきである。」こう説かれておるのであります。従いまして逆に、すでに提案されました二法案につきましては、当然ある程度の地方行財政の実態がつかまれておらなければならないと思います。たとえば国との見合いにおきまして地方の緊縮度合いが検討され、また、節減の幅がどの程度かも認識されておられるべきはずであります。しかし、この検討には、はなはだ怠慢な点を認めざるを得ません。例示をいたしますと、まず行政規模におきましては、国と地方の純行政費を比較をいたしますると、昭和九年と十一年の平均をとりますると、国の純行政費は八億三千四百万、地方財政の純行政費は十五億四千万、純行政費の比較は地方の一〇〇に対して国は五四であります。これが昭和二十九年になりますとその比較は一〇〇対八〇になります。昭和三十年も国が七九を数えるのであります。公務員の数が地方が非常に多いと巷間言われておるのでございますが、昭和十一年と二十八年を押えますと、政府の公務員は、昭和十一年が七十二万六千、二十八年が百四十九万八千、地方は戦前が八十四万五千、戦後が百三十五万五千、膨張率は、国の二〇六%に対して地方は一六〇%であります。むしろ国の方が伸びが激しいのであります。財政膨張率も、昭和九年と二十七年とを比べますと、国の四百三十二倍に対して地方は三百三十六倍であります。国税と地方税の伸びを比較いたしましても昭和九年と二十八年を抑えますと、国は八百四十六倍であるのに地方は五百六十四倍にしか伸びておりません。また地方財政の国の依存率は、戦前の四二%に対し五三%であります。国の収入が専売益金を入れますると九〇%を占めておるのに比べまし工、地方の貧弱団体、たとえば秋田・鹿児島等は、県税によりましては収入の一〇%しか満たないのであります。こういう事実が全然見のがされておるのであります。  また、節減度におきましては、昇給ストップ府県は、四月においては二十府県、七月においては三十四府県であります。日直、宿直手当は、国が一三六十円を押えておるのに対し、地方…二百円ないし二百四十円であります。超過勤務手当にいたしましても、国は給与費の六ないし七%でありますのに、地方は主ないし四%であります。旅費にいたしましても、三等という現況であります。さらに昭和三十年度地方財政計画では、行政事務の簡素化、経費の節減、補助金整理、行政整理、こういう方針を強く圧縮にかぶせておりますので、地方は中央の大蔵省が説明するような実態ではございません。  この地方の実態と比べて、国家財政は果してこの限度、地方と同じ程度に節減をされておるのでありましようか。たとえばこのうち、三十年度の財政措置として講ぜられました百六十億の財源として、公共事業費の八十八億、一般経費の節減四十二億というものを出しましても、まだ年末手当のプラス〇・二五分がやすやすと出せる状態に国はあるのであります。この二つを比較いたしまして、果して緊縮の度合いが同等であるという結論は出ないと思うのであります。政府はこのような地方財政の現況に対するはなはだしい認識を欠きまして、この財政措置は、正しく把握されておらない認識の上に打ち立てられておるといたしまするならば、こういう不確実、不明確へ財政措置に賛成をするわけには参らない。そういう結論が当然出てくると思うのであります。  反対理由の第三は、大蔵省は、財源がない、財源がないと言いますけれども、果して補充財源はないか、こういう点であります。大蔵省は、地方財政審議会の勧告あるいは地方制度調査今の答申、こういうものに対しまして、緊縮財政、財源発見の困難、こういうことを理由に強硬に反対態度を持しておりますけれども、国家財政には余裕はないのでありましょうか。地方に当然はね返るおそれのある公共事業費の一律削減というようなことをしなくても財源がある、私は、この点を指摘したいのであります。  たとえば防衛費を一べついたしますると、その決算額は、昭和二十六年、不用額十二億、翌年度繰り越し額百五十一億、昭和二十七年、不用額三十二億、繰り越し額二百八十九億、二十八年、不用額十五億、繰り越し額二百五十七億、不用額の総計は六十億、繰り越し額の歳出予算に対するパーセントは、二十六年は四九%、二十七年は四八%、二十八年においても四三鬼を数えるのであります。  大蔵大臣は、委員会におきますこの私の指摘に対しまして、御指摘の通りでありまして、まことに遺憾にたえません。しかし何といっても防衛関係者は分担金の関係もありましてと、こう答えられております。さらに主計局長は、これだけある防衛庁関係の繰り越し分に全然触れないということは、緊縮方針としてはおかしいではないか。予算技術上当然見のがし得べからざるものであると思うが、一体どうしたのか、こういう私の質問に対しまして、諸般の事情がありましてと、こう答えられております。分担金の関係とは一体何でありましょう。諸般の事情というのは何を指すのでありましょうか。アメリカという国の関係におきまして、アメリカとの共同防衛計画、こういった事情によりまして、国民の一番つながりの深い民生安定の最も大きな面であります地方財政までが圧縮されなければならないという無条件防衛費の優先をわれわれは知らされたのであります。財源がないのではありません。財源はある。ただ日本の財源にはひもがついておる。こんなばかげた話はないと思います。われわれは国民の納めた税金が、国民の手元に当然返ってくることを要求せざるを得ないのであります。  反対の第四は、再建法案によりましては、自治権の喪失が予想されるという点であります。再建法案に伴う赤字の原因についての論議は、去る国会におきましても活発でありました。たとえば税財政そのものに原因がある。造船、電力、石炭、こういう大資本に対して、政府は惜しげもなく補助政策をとっておるのに、地方財政に積極的援助をしないのは片手落ちではないか。現状におきましても、地方団体はその赤字のしわを教育予算に及ぼし、現在、小、中学校教員四基準数をはるかに割っておる。この傾向が一そう強くなるならば、法案の犠牲を教育財政がかぶることにはならないか。  地方制度調査会は、昭和二十八年の十月に、二十七年度の赤字三百億を基準に二百億の再建債を勧告している。今、六百億をこえる赤字に対して、二百億の再建債では、再建はできないではないか。  前国会のこういった論点は、このたびの政府の施策を待ちましても、何ら修正をされておらないのであります。赤字のよってきたる原因というものに抜本的施策がなく、相変らず中央統制的な再建法を進めて参りまするならば、結論は次のようにならざるを得ないと思うのであります。  すなわち、再建法案によれば、赤字のなくなるまでは仕事をするなということでありますから、特に再建債は行政整理債にしか適用できませんので、福祉増進の計画というものは、一応さたやみとせざるを得ません。従いまして数年たちまして、一応ひとり立ちの財政状態が復活をして、再び計画を住民本位に進めようといたしますときには、また赤字を生ずるおそれがあるのであります。赤字をおそれまして、この法律案のままで行政運営を続行しようといたしますならば、行政規模の圧縮を自治体みずからがしなければなりません。  なお、行政という面は多くの消費的経費を本質といたすものであります。財政の切り詰めというものは、当然行政面のなさなければならない点までも圧縮されることではないはずであります。このバランスをどうするかも依然として問題に残されているのであります。  また再建法案の第二条に規定されておりまする租税の増収、収入確保は、住民に対する徴税強化とならざるを得ませんの収入確保とは、滞納の強制取立て、税以外の手数料、授業料等の値上げを意味し、租税の増収とは、目一ぱいの徴税、見込額の引き上げ、こういった点が主として事業税、遊興飲食税、こういったもりにかかってくることは必然であります。また住民税の引き上げ、新税の創設ということも当然論議の的となって参ります。また同法第二条の経費の節減も、再建計画の一大目標となります。従いましてこのために行政整理、事業の縮減等によりまして、地方行政は戦時中の麻痺状態を生じ、地方団体の施設、耕地、道路、港湾等はこのために相当の荒廃をも予想しなければならないと思うのであります。  以上のごとく、問題は、この法案が果して赤字を解消し得るのか、そしてまた地方自治を守れるのか、こういう点に帰着すると思うのであります。すでに赤字の解消のできないことは歴然であります。それならば自治権は守っていけるのか。修正案によりましても、第三条「当該財政再建計画に必要な条件」を付する権限が依然として自治庁長官に保留されております。自治庁長官の意図によりましては、地方自治権に大きな制約を与えられることも単なる杞憂ではあり得ません。しかもさらに次年度におきまして、地方自治法の改正を意図されるということになりましては、地方行財政二面に対する政府の監督権が強化されることは明らかでございます。地方に対しましてなさねばならない財源措置は怠って、憲法の規定まで踏み越えて監督権強化に急なのはなぜでありましょうか。われわれは旧官僚統制の復活、旧官僚権力の復活、これらの陰謀がかくのごとき実態を進めて参ったと断ぜざるを得ないのであります。われわれは、憲法の基本である地方自治の権限を、やすやすとこのような手合いの手にゆだねることはできない。そこに来たるものは、むざんにも踏みにじられた基本的人権であることを覚悟しなければならないと思うのであります。また当然次に来たるものは、地方議会の権限縮小であり、民主主義の育成される場を失うことにもなりかねないのであります。今や一歩の後退は百歩の後退を意味いたします。地方自治を守り、そうしてわれわれの基本的人権を守るためにも、官僚権力復元のもととなる。根拠となる、かくのごとき再建法案に対しましては、断然反対をせざるを得ません。  以上をもちまして、私の反対討論といたします。(拍手)     —————————————
  64. 河井彌八

    議長河井彌八君) 小幡治和君。    〔小幡治和登壇拍手
  65. 小幡治和

    小幡治和君 私は自由民主党を代表いたしまして、過般の特別国会において政府提案として上程せられ、衆議院において修正を受け、自来本院において継続審議と相なっておりました地方参財政再建促進特別措置法案、並びに今回上程せられました政府提案昭和三十年度の地方財政に関する特別措置法案について、賛成の討論を行わんとするものであります。  思うに地方財政の赤字処理の問題は、ここ数年にわたって、中央地方、火花を散らして戦って参りました難問題であったのであります。それが今回、保守合同のわが党内閣の手によりまして、ここに曲りなりにも解決せんといたしておりますることは、全国都道府県並びに市町村の喜びもさこそと存じ、御同慶にたえない次第であります。(拍手)  まず地方財政再建促進特別措置法案について検討いたしまするに、地方団体中、道府県は八四%、市は七二%、町村は三五%という驚くべき率において、千七百二十四団体という赤字団体があったのであります。しこうして各団体は、毎年一時借り入れを繰り返し、悪循環をもって赤字累積を来たしつつあったのでありまするが、これをここに断ち切りまして、政府、意図するところの三十一年度からの地方行財政全般にわたる抜本的改革断行の基盤を整備し得ましたことは、まことに意義あることと存ずるのであります。しかしながら、何ゆえかかる赤字の発生を累積いたしたるかということに思いをいたしまするときに、あるいは給与費において、政府が実情を無視して一方的に財政計画上に過小の計上をし、あるいは公共事業費の地方負担分に過大の借金政策を押しつけて、公債費の増高を来たさしめ、あるいは補助金の支出において、過小の単価をもって事業の執行を命じ、ために地方団体におきましては、不当の負担を背負わざるを得なかった等、政府がみずからの赤字を避くるに急なるのあまり、そのしわ寄せを地方団体に押しつくるの横暴もあったと存ずるのであります。かかる事例の是正は、来年度よりの地方行政財の根本改革に譲るといたしまして、今ここに赤字再建の機において、地方団体の幾分の放漫政策、あるいは地方財政運営の不手際等に対しましては、政府は衆議院の修正もさることながら、赤字再建団体に対し、厳に自粛反省を求むべきは求めつつ、他方温情をもって、しんぼう強く自治体の育成指導に当られたいのであります。  ただ、ここに特に一言いたしたいのは、かかる全国的赤字の中において、終始健全財政を維持し、あるいはその赤字を最小限度に食いとめつつあるところのまじめなる地方団体のあるということであります。しかもこのけなげなる団体も、公債費累増の重圧には、今や耐えきれざる段階に来ておるということであります。すなわち地方起債の総額は四千百八十億の巨額に達し、三十年度元利償還額は五百十一億円をかぞえ、今後一、二年もたったならば、過半数の府県におきましては、その全租税収入額をもってしても、その年の元利償還額にとうてい及ばないという、驚くべき変態の財政状態に陥らんとしているのでありまして、しかして政府は、今回既往の赤字団体に対しましては、再建債の利子を三分五厘払えばいい、そのあとは五分だけは利子補給をしてやると、衆議院とともにまことに温情あるお取り計らいをされたのでありますが、一方政府低利資金のワク内においてまじめに運営をしてきた団体に対しましては、永久に六分五厘の利子を払えと要求するのであります。まことに不公平もはなはだしいと存じまするので、低金利時代の今日、政府政府資金の全般にわたって利率の引き下げ並びに償還期限の延長を認め、あわせて借りかえの措置を講ぜられまするように全努力をいたされたいと思うのでありまして、付帯決議もその趣旨にほかならないのであります。  次に、三十年度地方財政に関する特別措置法案につきましては、二十九年度までの赤字に対する再建措置法と見合うものでありまして、三十年度生ずべき赤字は、これを単年度において措置せんとするものでありまして、三十一年度から地方団体を財政上白紙の美しい姿に返して、地方行財政の根本的改革をその上に行わんとする以上、当然の措置と存ずるのであります。しかしながら、その財源措置におきまして、まことにあと味の悪いものを残したのであります。  まず第一に、今回の措置は、給与費の解決を残したことであります。給与費の政府、地方団体間の食い違いにつきましては、赤字の大きな部分をなすものであり、政府も、すでに昨年よりこれが実情調査をなしつつあったのでありますが、いまだにその結論が出ないというに至りましては、まことに残念なことであります。至急結論を出して、政府の措置すべき部分につきましては直ちに補てん措置を講じられたいのであります。そうでなければ、今回のこの財源が、あるいは直ちに給与関係の費用に食われてしまって、せっかくの赤字解消の措置が赤字をさらに残す結果と相なることを憂えるものであります。  第二は、百八十八億円の財源を一般会計、特に公共事業費の節約に求められたことであります。もう年度は半ばをはるかに越し、地方団体におきましては、認証されたる事業は、大かた実行済みまたは実行中の状況であり、今や保留の未認証の分の解除をすら求めつつあるときでございます。政府はこれに対し、一率の天引節約は絶対させない、必要な事業はどんどん進めてよろしい、ただ年間通して不用になるものが毎年生ずるのであるから、これを引き当てに財源にするのだと説明されております。私は、関係大臣のその言を信じ、工事進捗の実情に応じ、真に不用となること確実なるもののみを節減し、必要なるものにして事業の進められたものにつきましては、必ず来年度において別格に予算措置を講ぜらるるよう要望しておくものであります。  第三は、年末手当の増額支給の財源措置の問題であります。常識で考えましても、ともに机を並べて働いておる職員間において、国家公務員は増額支給を受け、地方公務員は財源がないから我慢せよというようなことは、事実上できがたいことであります。すなわち地方団体としては、当然国家公務員に準じ、増額支給するでありましょう。しかし、その財源を政府は節約に求めておるのであります。政府は今回、もう地方団体には、どこにも節約の余地がなくなっていることを認めたからこそ、三十年度の赤字措置をしたのであります。しかも、給与費については、なお残されておる状況であります。それにもかかわらず、この上になお節約してやれということは、赤字を消してやったという口の下から、またできない無理をしいて赤字を作らせ始めたと言われても、弁解の余地はないと存するのであります。政府には財源として、今回の年末手当増額のはね返りの所得税増もあるわけであり、各種税金の自然増もあるはずであります。困っているのは、五十七億中、純粋地方負担分で、交付団体分三十五億だけであります。これくらいの補てん措置は当然年度内補正予算においてできるものであり、また措置されても一兆億以内で上ることでありますので、強く希望いたしておく次第であります。  これを要するに二法案とも、その内容にわたりましては、今申し述べました通り不満の点もあるわけでありまするが、会期も短かいことでもあり、とにもかくにも、地方団体のこの際の解決の要望も強く、かつは政府の言明を信じまして、両法案に賛成するものであります。     —————————————
  66. 河井彌八

    議長河井彌八君) 小林武治君。    〔小林武治君登壇拍手
  67. 小林武治

    ○小林武治君 私は、ただいま議題となりました二つの法律案に賛成いたすものであります。  申すまでもなく、この両法案は、いずれも目下破局的段階にある地方財政の窮状を打開せんとするものでありまするが、その措置は、ともに過去の赤字のたな上げと、現在の行き詰まりに対する応急的な対策にすぎないのであります。その将来の健全化に対して何らの保証を与うるものではありません。しかし緊縮財政を旨とする政府が、ともかく二百億円余の赤字たな上げ債を認め、また昭和三十年度のためには、国家予算の節減により百六十億円の財源措置を講じたことは、政府の誠意としてわれわれも一応これを了とするものであります。  そもそも赤字の原因は、国の財源措置の不十分なりしことは争われない事実であるのでありまするが、一方におきまして、地方団体側においても、その責任がないとは申されないのであります。すなわち地方団体側が、ややともすれば赤字の原因は一に政府責任であるかのごとく言うのは、必ずしもわれわれの首肯し得ないところであります。要は制度そのものの欠陥と同時に、運用のよろしきを得ざるによるものと思うのであります。従いまして、これが根本的解決は、制度自体の大幅な改革と同時に、これを運用する人の心がまえもまた大いにこれを改むる必要があると思うのであります。いずれにしましても、当面地方財政の問題は、政府並びに地方団体が、いたずらに他を責むるの愚を改め、両々相待ちまして、おのおのの分野において、経費の節減またはその効率化等に万全を尽すべきであり、この意味におきまして、地方側におきましても、政府今回の措置に対応して、さらに戒心すべきものがあろうと存ずるのであります。  しかしてこれらの措置は、政府せっかくの工夫にもかかわらず、依然として単なる間に合せ的の糊塗策にすぎないのでありまして、このまま推移するにおきましては、さらに第二、第三の再建法を次々と必要とすることは必至といわなければならないのであります。ついてはこの際、政府に要望いたしたいのは、次の通常国会にはぜひとも、いわば占領政策の行き過ぎの所産たる地方制度の愚を是正するため、自治法の改正案を提案されたいのであります。  自治法の改正につきましては、前国会におきまして、政府より提案を見たのでありまするが、地方側の一方的な立場よりする猛烈な反対によりましてその成立を見なかったのでありまするが、われわれは、真に国全体の立場から、これが実現を切望してやまないのでありまして、政府の強い決意を要望するものであります。  なお、これと関連しまして、地方団体は、現に財政的にはその大半を国に依存せざるを得ざるがごとき状態にありながら、地方自治の建前からか、政府から見たら、ほとんど手放しの状態にあるのでありまして、地方にいかなる措置がありましても、政府としてはこれを傍観しておる状態であるのでありまするが、いかに自治体とは申しましても、いやしくもそれが国の基礎的な構成分子でありまする以上は、国としてもこれに対して適当なる調整の措置をとり得る道を残しておくことは当然といわなければならんのでありまして、この点につきましては、政府におきましても、適宜の今後措置をとられることをあえて要望するものであります。このためには、私は現在のごとく自治庁のような弱体に、この重大問題をまかせることなく、中央におきまして適当なる機構の強化を希望しておくものであります。(拍手)  なお、自治法の改正と併行いたしまして、われわれはこの際、どうしても各種行政委員会の整理を要望するものでありまするが、なかんずく地方教育委員会につきましては、市町村側の熾烈なる要望の次第もあり、われわれも、どうしてもこれを廃止しなければならんものと信じておるのであります。このままにしておきましては、財政困難な際にもかかわらず、明年十月には、あらためて地方教育委員の総選挙をしなければならないのでありまするから、これに間に合うよう、ぜひ政府の措置を要望しておきます。  なお以上のほか、地方交付税法の改正、あるいは地方と中央との税源の調整あるいは地方起債の処理等、いずれも相待ちまして、初めて地方行政の健全化をもたらすものでありまして、これらの諸点につきましては、政府が次の国会において強力に推進されることを期待するものであります。  おなこの際、地方財政に対する政府部内の態度でありまするが、私は、自治庁は単なる地方団体の代弁者であってはならないと、かように考えるものでありまするし、同時に大蔵大臣としましては、地方に金を取られるというような、けちな根性であってはならないのであります。すなわち、地方も国家財政の一環としまして、全体としてこれを調整することが、大蔵大臣責任であると、かように御注意申し上げたいのであります。(拍手)  以上、私は政府に対し二、三の要望を申し上げたのでありますが、今回の提案につきましては、それぞれ若干の不満もあり、特に再建措置法につきましての衆議院修正には、われわれの納得し得ない点もあるのでありますが、現在の地方の切迫せる事情等にもかんがみまして、取りあえずそのままこれに賛成をいたさんとするものであります。以上。(拍手
  68. 河井彌八

    議長河井彌八君) これにて討論の通告者の発言は、全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  69. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。(拍手)  次会は、明日午前十時より開会いたします川議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後六時三分散会      ─────・───── ○本日の会議に付した案件  一、裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員選挙  一、皇室経済会議予備議員国土総合開発審議会委員湿田単作地域農業改良促進対策審議会委員及び飼料需給安定審議会委員選挙  一、国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(海外移住審議会委員)  一、中央選挙管理会委員及び同予備委員指名  一、日程第一 文化財保護委員会委員任命に関する件  一、国連加盟に関する緊急質問  一、日程第二 万国著作権条約批准について承認を求めるの件  一、日程第三 万国著作権条約条件附批准受諾又は加入に関する同条約の第三附属議定書批准について承認を求めるの件  一、日程第四 無国籍者及び亡命者著作物に対する万国著作権条約適用に関する同条約の第一附属議定書批准について承認を求めるの件  一、日程第五 ある種の国際期間の著作物に対する万国著作権条約適用に関する同条約の第二附属議定書批准について承認を求めるの件  一、罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条の二の災害及び同条の規定適用する地区を定める法律案  一、行政管理庁設置法の一部を改正する法律案  一、地方財政再建促進特別措置法案  一、昭和三十年度の地方財政に関する特別措置法案