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政府委員(
河野通一君) 今
年度の
財政投融資が当初の計画に対して若干そごをきたして参っておるようであります。この点は、財源と申しますか、原資の面の問題と、運用面における問題と両方あるのであります。
まず最初に原資の面について申し上げますと、主として二つの点から当初
見込みました原資が予定通り集まらないということに相なっておるわけであります。その第一は郵便貯金の増加の点であります。最近までの推移を申し上げますと、本年の四月から十一月末までにおける増加額の去年の同期間における増加額に対する比率が、去年に対してことしは約二百三十億ばかり減ということになっております。しかるに去年の
年度間の郵便貯金の増加額が約千億弱、九百九十数億ということになっておりますが、それに対して本
年度の当初の増加
見込みは千百億という
数字でありますから、去年の実績に対して本年の
見込みは約百億ちょっと多く見込まれておるということに相なるわけであります。しかも十一月末までの実績において、去年よりも約二百三十億減少いたしておりますから、両者を合せて
考えますると、十一月末において本年の計画に対して不足いたしておりますものがやはり三百億ちょっとに上っておるということであります。郵便貯金の増加の状況はそういうわけで、はなはだ当初の予定に比べまして不振の状況にあるのでありますが、今後の
見込みにつきましては、できるだけいろいろその増加についてさらに努力を傾けることによって、このおくれと申しますか、現在までにおける不振の状況をできるだけ回復いたすように努めて参りたいというふうな
考え方に立って目下郵便貯金の増強について郵政当局においていろいろ努力をしていただいておるような状況であります。それからもう一点。当初の計画に対して狂いが参りました主なものは、特殊物資
関係のいわゆる砂糖その他の差益を徴収いたしまして、これを
財政投融資の財源に充てるという当初の計画が御
承知のようなことでまだ
法律として成立するまでに至っておらぬという状況であります。かりにこれが次の
国会におきまして予定通り提案されるといたした場合におきましても、当初の七十億というものは約三十億
程度穴があくという状態であります。さらに、かりにこれが
国会の通過ということが見られないという
事態を予想いたしますならば、七十億全部が穴があくということに相なるわけであります。現在のところでは、私どもといたしましては、なるべくすみやかな機会にこの法案が
提出されて
国会を通過することを期待いたしておりますので、大体この
関係で三十億
程度の当初の
見込みに対する不足が起ってくる、かように
考えておる次第であります。そのほかこまごました、いろいろな
会計からの原資、これらにつきましては増減いろいろでございますが、まあ大した全額には上らない予定でございまして、主たる問題は今申し上げました郵便貯金と特殊物資との
関係、あわせて大体今の見通しでは三百数十億というものが当初の計画に対して不足いたしておる、こういうふうな状況であります。しからば
年度末までにどういうふうな
数字になりますか、この点につきしましては
先ほど申し上げましたように、今後の努力によってできるだけそのおくれを取り戻すということに期待いたしておる次第でありまして、まだはっきりしたことは申し上げられないのでありますが、まあ最悪の場合には今申し上げましたような三百数十億、あるいは特殊物資の
関係の法案が通りません場合にはさらにそれよりも多く不足してくる、こういうふうな次第に相なっておるのであります。
次に運用の面でありますが、現在までこの原資の予想通り伸びないという点に対処いたしますためにとりました
措置は、第一は開発銀行の
関係の
資金を、これは先般当
委員会でも御説明申し上げた通りでありますが、金融が漸次正常化いたして参りますに応じまして、開発銀行に当初予定いたしておりました
融資を民間の金融に移すという
措置をとりましたことが第一点であります。これは電力その他あわせて百三十億を民間の
資金に振りかえるという
措置を実行いたすことにいたしたのであります。なお開発銀行におきましては、そのほかに当初の計画よりも約二十億
程度回収が増加いたす
見込みでありますので、この回収増加を開発銀行の予定した
資金に振り向けるならば、今申し上げました百三十億にプラス二十億、百五十億
程度が
政府資金の開発銀行に対する放出というものの限度として
考えていっていいのではないか、かように
考えておるのであります。それから第二は電源開発会社の
資金でありますが、この
資金につきましても、金融情勢がだんだん民間にウェイトが転移して行っているような状況になって参っておりますので、電源開発会社の
資金コスト等に対する
影響をできるだけ緩和するという含みも持ちまして、当初の計画に対して約三十億
程度を民間に移すという
措置を講じたのであります。この両者をあわせまして約百八十億
程度の
措置は現在まで
方針として
決定をいたしました。しかしながら、まだ原資の当初の予定に対する不足額に対しては十分にそれをカバーするだけの
措置は請ぜられていないということは、今申し上げました
数字でおわかりの通りであります。今後これをどういうふうな形において
補てんしていくか、これは今後の推移を見ながら、なるべくすみやかなる機会にその
方針を立てなければならぬと
考えておりますが、現在のところではまだ具体的にその
方針を
決定するまでに至っておらないような次第であります。少くとも、これは
例年のことでありますが、キャッシュ・ベースにおきましては、
例年、
年度末におきまして翌
年度への繰り越しがなされる
財政投融資の
資金というものは
相当多額に上っておるのでありますから、キャッシュ・ベースにおいては現在のところそう大した問題はなしに
年度を越すことがおそらくできるんじゃないかと
考えておりますが、しかしながらキャッシュだけの問題でありませんので、来
年度以降における
財政投融資の財源に食い込むか、あるいは食い込まないで済ますことができるかという問題が起ってくると、こう
考えられます。この問題につきましては、
先ほど申し上げましたように、今後の推移を見ながら、特に原資の充実の状況等の推移を見ながら、これらの問題についての具体的な対策、
補てん策というものを
考えて参りたい、かように存じておる次第であります。