○
説明員(
石井昭正君) 去る十一月十七日でございましたが、
行政管理庁の方から
運輸大臣あてに「
日本国有鉄道の
経営調査の結果に基く
勧告事項」をお出しになりまして、この
勧告をいかに取り扱い、またどういう御
結論を出されるかということは
運輸省のお
仕事でございまするので、私
どもといたしましては、
運輸省からのいろいろのお尋ねに対して私
どもの御
意見を申し上げて、
勧告事項の御処理の御参考にいたしたいと、かように
考えておるわけでございます。
ただ御
承知の
通り、だいぶとの問題が
事前におきまして
新聞紙上等をにぎわしました結果、いろいろ
誤解もございましょうし、また私
どもの申し上げている真意もあるいはおわかりにくい点もあるかとも思いまするので、この
機会を与えていただきましたのを幸いに、
管理丁の御
勧告の
内容に沿って私
どもの
見解を申し述べさせていただきたいと存ずる次第であります。
管理庁の御
意見につきまして、基本的な問題で私
どもが
前提として大きく
考えていただかなければならぬと思う点が相当あるのでございます。その一つは、私
ども考えまするのに、
政府あるいは
国家、あるいは広く申しますれば国民の皆様が国内の
輸送機関の根幹として、
旅客並びに
貨物の
輸送、これを責務として果しております
国鉄に対して、一体どういう
程度の
施設でよろしいか、その
施設の
規模もそうでございますし、
施設の
保安度というものもそうでございまするが、そういうものに対してどういう
程度のものを御要請になり、また私
どももそれを果すべく全力を尽さなければならないか、そういう
施設の
規模、
保安度の上に立ってどれだけの
旅客、
貨物の
輸送を果さなければならないか、
輸送量をどれだけ送らなければならないか、また単に数をこなすといっては失礼でございますが、だけの問題でなくして、どれだけの
サービスでもってお送りしなければならないか。
旅客輸送につきますれば、その
混雑度などはどういう
程度の
サービスまで持っていって、同時にこれも安全になりまするが、安全な
輸送にしなければならないか。
貨物輸送につきましても、果して荷主さんが送りたいと思うとをに直ちに送れるという
サービスが必要なのか、あるいはそうでなくて、ある
程度待っていただいても、何とか送れればよいという
程度でよろしいのかという問題がございます。これが結局
国鉄に対しての
国家が御
決定になるべき
交通政策の基本ではなかろうかと思うのでございます。
この
交通政策の根本をはっきりをめていただいて、初めて
国鉄の
経営に対するいろいろの御
批判も御
検討もなさるべきではなかろうかと思うのでございますが、
管理庁の御
意見が、こういう基本的な
政策面に触れるということが、もちろん
管理庁のお
仕事としてやるべきことかどうか、これは私
どものとやかく申し上げるところではございませんが、まあかりにそういう点につきましてやはり何らかはっきりした御
見解を持って御
批判をいただかなければ、私
どもに対する正鵠な御
批判が出て参らないのじゃないかと、かように
考えるわけでございます。
その点について
管理庁の御
意見というものは私
どもにははっきりしておらない。ある場合におきましては現在
程度の
輸送の
状況をもって足りるという御
観点に立っておるかのようでありますし、また他の場合にはそうでないようでありますし、また
施設の
安全度につきましても、現在のような状態で全く不安がないという御
観点に立っておるかのようでございますし、ある場合にはまたそうでないというような御
観点もあるわけでございます。そういう点、私
どもといたしましてはきわめて明確に
輸送の安全を確保するためには、過去におきます
財政的苦悩のために累積されておりますところの
老朽施設の取りかえという点が第一点。それから現在早急に解決を迫られておりますところの
通勤輸送の混乱あるいは
逼迫、あるいは東北、
北陸方面におきまするととろの
貨物輸送の非常な
逼迫、こういうものを緩和いたしまして、そうして
経済六カ年計画の裏づけとなる
輸送要請、これに即応するための
設備の
拡張増強という点が第二点。第三点は、
経営の
合理化、
企業の
合理化の基礎となる将来の
輸送コストの低減をはかるために必要な
施設の
近代化、すなわち電化であり
ディーゼル化であり、あるいはいろいろの
作業の
機械化というために必要な
近代化法による
鉄道の若返りと申しますか、そういうものが必要である。以上のようなことを実施するためにはどうしてもある
程度の
資金が必要でございますので、その
資金の調達をどう
考えるか、そのためには
財政健全化ということをどう
考えるかという点に私
どもの
考え方の基盤を置いておるわけでございます。
それから第二点といたしましては、
管理庁の御
見解の中で、いわゆる
公共企業体というものの性格に対する
考え方でございまするが、これはもちろん
公共企業体がどうあるべきかということは、これはいろいろ御
批判の問題でもございますし、私
どもも
公共企業体の今のあり方がまことに妥当である、これ以上のものはないというような
考え方は持っておらないのでありまするが、そうでなくして、いわゆる
財務的な
観点から見ましたときに、
国鉄が
企業体であるかどうかということは、結局
自分の
企業の力でもって
自分の
事業の、
自分と申しますか、との
輸送事業の
継続に
必要血経済力を
自分の
企業の中で生み出していく、作り出していくという
観点に立っているかどうかということでございまして、との点に対しては、私は現在
政府のおとりになっている態度並びにわれわれが
考えております感度は、いうまでもなく
国鉄は
事業の
継続に必要な
経済力というものは、これは自己の
企業の力で生み出していくのだという建前をとっておればこそ
独立採算制度として別の
企業体になされ、またかつ
昭和二十三年度から
減価償却制度を採用することをお
認めになった、かように
考えているわけでございます。この点につきましては、
管理庁のお
考えは私
ども必ずしもはっきりうかがわれないのでございまするが、国の
営造物法人であるというような御定義をなさっておりまして、従いましてこれに対する
国家投資は回収の必要がないのだという
前提になっておられるようであります。この点私
どもは、やはり
事業を
継続していく上におきましては、
施設に投下いたしました
資本を回収いたしまして、またその
資本によって
事業の
継続に必要な
設備を整えていくということが、現在
政府が
国鉄に対してとっておられる
財政政策の行き方であると、また現在もそうやっていただいていると
考えておるわけでございます。
それからはなはだどうも申し上げにくいのでございまするが、
行政管理庁の御
調査の
内容につきまして、これは私
ども決して間違いであるというようなことを申し上げるわけではございませんが、しかし責任のある官庁として
数字をあげてわれわれに御
指摘いただく、俗な言葉で申せば、おしかりというのは少し……、御
調査については軽卒な点がいろいろあるんじゃないかという
感じをいたしておりますし、また個々の実例も多々あるのでございます。この点
会計検査院の方でもいろいろ私
どもの方の
仕事の
やり方をお調べになるときには、事案の対象というもの並びにそれに基く
数字につきましては、必ず私の方に公文書をもって御照会になりまして、これで間違いないかということを一応その点を御確定になった上でいろいろ御
指摘なり御
批判をいただいております。ところが
管理庁の方は、もちろんお
仕事の
やり方も違うのございましょうが、そういう点については一方的におやりになりまして、私
どもの方からいろいろ申し上げなければならないこと、またいろいろ
誤解に基くと思われることについて御訂正をいただくような
機会がほとんどない、その結果の
数字をもって
世間に御
発表になり、またわれわれの方へ御
指摘になっているという点は、これは監察の御方法としては、私
ども決してありました事柄につきまして申しわけのない点について弁解を申し上げる気持はさらさらないのでございますが、たとえば率直に申しまして、たとえば五あることが十あるというようなふうなことになって、
世間を疑わせて、またいろいろの
誤解を抱くということは、これはまあ一朝、市井の
経済評論の
方々がおやりになるのでありますれば、私
どももとやかくは申し上げたくないのでございまするが、いやしくも責任のある官庁として外へお示しになるというには、少し私
どもといたしまして御慎重に御
検討を願う
機会をお持ちになるべきではなかったかという
感じをいたしておる次第でございます。
それで
行政管理庁が実はさような大
問題——に大問題というのもおかしいのございますが、
世間をお騒がせいたしました大きな問題は、
国鉄の
経営は赤字だといっているが
黒字であるというのでありまして、その点いろいろの御
意見がありまするが、結局
黒字説の一番大きね根拠は、
減価償却費は百七十億乃至二百億円で足りるのだ、
国鉄が言っておるような額は、のちろん現在やっておりますところの第一次再
評価ベースというような
程度でも過大であるという点、それから
黒字の
経営ができた根拠といたしましては、
輸送量の増加によって
運賃が安くても十分まかなえるんだという点と、それから
最後に、
施設は安全である、
国鉄が主張する緊急取りかえというような
施設の
老朽は
認められない、こういう点が主たる点でございまして、これらを総合いたしまして、
管理庁は
十分現行の
運賃でやっていける、
国鉄が
運賃値上げを言うのははなはだ不都合だというような御
趣旨がうかがわれるような
事前の御
発表があったようでございまするが、これらの四点につきましては、今回の
勧告について何らの御
説明もないわけでございまして、従いまして率直に申しますと、
世間をお騒がせした問題につきましては、今度の御
勧告の中で取り上げられている問題と全く別のことであるということになるような
感じをいたしております。
なお、
経営の
刷新合理化につきましては、
国鉄といたしましても従来からいろいろ努力をいたしておりました。もちろん、われわれの努力の足らざる点、並びにあまりに機構が大きいためになかなか行き届かない点もございまして、常
日ごろ皆様からいろいろお小言をちょうだいいたしまして、私
どもも
十分反省をいたしておるわけでございまするが、なお今後ともこの点につきましてはできるだけ力を尽して御
趣旨に沿うようにやって参りたいと思っております。また、いろいろ当
委員会で御
指摘がございました
外郭団体等の問題につきましても、過
般来私どもといたしまして、一応の
整理刷新の方法を確立いたしまして、その方向に向って邁進して参りたい、かように
考えておりまするので、御了承を得たいと思う次第でございます。
ただ
行政管理庁の御
指摘の中の事項には、もちろん私
どもといたしましてむ当然
認めておりますが、いろいろほかの
観点からどうにもならないというような問題も多々あるのでございます。一例を申し上げますれば、
志免炭鉱のごとく、現在私
どもが炭鉱を自営するというようなことでございますれば、もちろん私
どもも異議なくその必要はないという
結論に到達いたすのでございます。現に引き続き持っておりますもので、今日これを処分いたしますということにつきましても簡単に参らない、あるいは労働問題その他も
考えなければならぬし、あるいは売却というような場合には、その価格という点でもつて妥当な売り払いができるかどうかという問題もございましょうし、あるいはまたそうでなくして、出資して別会社にするというようなことについては、やはり根本的に
政府の
政策として御
決定を願う、あるいは
法的整備も必要とするというようなものもございまするので、こういう点についての御
勧告としては、もちろん私
どもも前々から
考えておったところでございまするが、今直ちに御
勧告の
趣旨に沿って行い得るというわけにも参りかねるような実情にあるものも多々あることと御了承願いたいと思うのであります。
勧告の
グループは大体三つに分れておりまして、第一点は、
公共企業体制度の問題でございます。これはまあ
経営委員会が現在ではあまり積極的に動いておらないということでございます。この点と、それから役員の
構成任免という点につきましては、現在
運輸省において
国鉄経営調査会で御審議中でありまして、いずれ
運輸省の方でも何らかの御
見解をおまとめになると思うのでございまして、私
どももいろいろ御
検討願って、もっといい姿になっていくということにつきましては、何ら申し上げることはないと思うのでございます。
ただこの第一の
グループである
公共企業体の
制度の
運営については、「
財務上与えられた広汎な
自主性は、その
運営が適切でなく」云々という言葉がございまするが、この
内容はいろいろございますが、第一は
修繕費を毎年
業務費に流用しておるということと、
減価償却の算定が
耐用年数をまあ短かくしておるという点とにあるようでございます、御
説明の
報告を拝見いたしますると。しかしまあ私
どもといたしましては、この点については後ほど
減価償却費の方にも出て参りますので、御
説明申し上げたいと思いまするが、むしろ私
どもは、現在その
財務運営上広範な
自主性が許されていないのじゃないか。御
承知のように
公共企業体になりましていろいろ私
どもが自主的な
観点で、
政府からのいろいろの制約なくしてでき得るようになった点も数々ございまするが、
財務上の
観点については、非常にまあ
枝葉末節といってはどうかと思うのでありますが、そういうこまかな点については若干いろいろ自由になったと申しますか、便宜になった点はございまするが、根本的な点につきましては、
予算の作成あるいは
運賃の
決定、あるいはいわゆるいつも労働問題となります
給与総額の問題、その他ほとんど旧
国有鉄道今計時代とあまり変ってないというような結果ではなかろうかと思うのでございます。従って
決算につきましても、やはり
運輸省で
決算の御承認をいただきまして国会にも御
報告になっていることと思うのでございます。そういう点で、私
ども必ずしも
財務運営の
自主性が広範であるというふうには
考えられていないのでございまするが、この点につきましては、
制度の問題としていろいろ御
検討を願いたいと
考えておる次第でございます。
問題の重点は
勧告事項の第二のグルーブでございます。そこで毎年多額の
修繕費が
業務費に流用されておるという問題でありまするが、これはおっしゃる
通り、
国家予算に比較いたしますると多額の金額が
修繕費から
業務費に流用せられております。この点につきましては、まあ簡単に御
説明申し上げますと、これは
占領軍下におけるまあ実情に即しない
予算査定に端を発したものでございまして、つまり
昭和二十三年度までは
業務費の
予算と
決算はほぼ一致していたのでございます。
昭和二十四年には物価は前年に比して四〇%ばかり上っておりますのに、
業務費の
予算は百三十一億円から七十七億円に四〇%ばかり減額されたわけでございます。これはまあ当時御
承知かと思いまするが、
鉄道関係の
占領軍の
担当官には相当むちゃくちゃをやる人がおりまして、そしていわゆる有無を言わさずこういうことにいたしたのでございます。そこで大蔵省におかれましても、これでは
仕事がやれないということは十分御
承知いただきまして、そこで一応まあ
占領軍の方を通過するには
修繕費の方へその金額を回しておいた方がよかろうということでスタートをしたわけでございます。そういうわけでございまして、そのままの形がその後
占領治下が過ぎ去った今日まで
継続しておったということにつきましては、これは形式的には大へん申しわけないと存じますが、それでいわゆるむだづかいをして、不都合な支出をしているという御判断に直結するのは、いささか早計ではなかろうかという
感じがいたすわけでございます。私
どもの
業務費はほとんど御
承知のように現場の
作業、
営業運転に必要なものでございまして、
機関車の水の代金、あるいは
乗車券の紙代、
印刷代あるいは
シートロープの代金、あるいは駅舎の
光熱費というようなものでございます。
一般会計のいわゆる
庁費に相当する部分は大体一四%くらいではないかと思っております。従いましてこの
業務費を非常に圧縮いたしますと、
運輸事業そのものができないわけでございます。私
経済で申しますれば、なるほど家に雨が漏って屋根を修繕しなければならないが、それより前にやはり
水道料、
ガス代というものは、これは払ってゆかなければ生活ができないというのと同じようなことではなかろうかと思うのです。その意味におきましてやむを得ず
修繕費も必要な経費はもっとふやさなければならないという主張はいたしております。にもかかわらず
予算面から申しますと、ある
程度の流用を今日までさしていただいてきたわけであります。
行政管理庁におきましても、諸般の事情は十分御
承知の上でございます。御
承知の上でこういう御
指摘をされておりますことは、結局形式を直せという点に御
趣旨があるのじゃないかと、かように
考えておる次第でございます。
業務費自体につきましては、大勢的に見て毎年圧縮されておるということを
管理庁自体も
報告書の中でお
認めになっているわけでございます。
それから
工事経費においてもいろいろな不急な
工事があるのじゃないかという御
指摘でございますが、これはいろいろ
見解の相違ではなかろうかと思うのでございますが、
管理庁が御
指摘になっておる一番大きなものは、札幌の
用品庫の取りかえ
工事でございます。この
倉庫は五十年もたっておりまして
老朽をいたしております。御
承知のように
北海道のような気候のところでございますので、どうしても新しく建て直さなければいけない。年間数十億の
資材の保管をいたしておるわけでございますから、あるいは雨漏りなりあるいは火事の心配というような点も十分
考えなければならないわけでございす。そこでこの
倉庫を新しく新築いたしますに際して、
北海道の中の
資材の
集中管理をはかるために、近代的な
倉庫構造に作りかえまして、今までの古い
倉庫を十分整理いたしまして、これによって
倉庫面積は全部で一四%減少しております。そうして
用品経費が一年間に七百万円節約される見込みでございます。またこの
用品庫の土地を移しましたために、駅前のいい土地があきまして、それを売却いたしますことによって約一億円近い収入を上げるということが
考えられておりまするので、従いましてそういう改築は、私
どもとして見るならば、むしろ
経営の
合理化であり、妥当な
工事であると
考えておるわけでございます。
倉庫自体を作ることが
不急工事であるというような御
指摘は遺憾ながら承服いたしかねる点でございます。
それからいま一つ、この際特に申し上げておきたいととは、何か
国鉄の
資産についての
台帳の整備などがほとんどなっていない。極端に言えば、
台帳なんかないのじゃないかというようなお
考えになられておる向きも実は少くないようでございます。私
ども大へん驚いておるわけでございまするが、この点につきまして御
説明申し上げますと、私
どもの方では
固定資産に関します
財産関係の
台帳といたしましては、
固定資産原簿というものを備えつけております。それから同時にこれと別にその
財産の
管理、
保守を担当しております現場、たとえば保線区、建築区、電力区というようなところにおきましては、その
保守を担当する
施設につきまして必要な
保守台帳あるいは図表などを備えつけてこの
管理をいたしておるわけでございます。これらの
台帳並びに図表はこの両方とも戦争中戦災によって焼けたものもございますし、また終戦に際してわざわざ焼却いたしたものも確かにございますが、
昭和二十二年度から二十三度末にかけましては
実地調査を実施いたしまして、数量の把握は行なっておりまして、そうしてある
程度過去の
資料によりましてわかりますものは、その
資料によりまして取得額を整備したわけでございます。従って
昭和二十三字度以降につきましては、ある種の
資産についてはどうしても過去の
資料が手に入らないためにいつ取得したかという取得年度が不明なものはございます。これはどうも遺憾ながら戸籍を失ってしまったようなものでございますので、何ともわかりかねるのでございまするが、それ以外のものはすべて
財産台帳も
保守台帳むちゃんと整備をいたしております。従って現在持っております
財産の
台帳がないとか、あるいは整備されておらないということは全然事実無根のことでございます。
じゃなぜ
行政管理庁が
施設台帳が不整備であるというような御
指摘になったかという点でございまするが、これは
管理庁の方のくわしい
報告書の方を拝見いたしますと、
昭和二十七年度に私
どもの方が帳簿様式を改正いたしまして、旧帳簿から新帳簿に移します際に、二十七年度以前の事項は、
最後のしりだけを新帳簿に転記いたしまして、その後の移動を新帳簿にあげておるわけであります。従いましてもし過去の経歴からずっとごらんになるのならば、旧帳簿と合せてごらんいただけば会服部がおわかりになるのでありまするが、仙台
鉄道局をごらんになりまして、新帳簿だけをごらんになって、旧帳薄も合せごらんになることをなさらずに、二十七年十月日以前の
財産移動については記帳がないという御
指摘をなすつておるわけでございます。それからまた大阪
鉄道管理局を御
調査になりまして、
施設台帳の写しを持っております。多分これは
管理局だろうと思いますが写しの方をごらんになって、そうして
施設の改良、耐用命数等の延長
状況等は記録してないと御
指摘になっておるのでありますが、原簿でありますもとの
施設台帳には、
施設の改良
工事を施行しておれば必ず記帳しておるわけでございます。またその竣工年月日も記帳しておりますが、局などで持っております写しの方は、それは
決算のときにまとめて一括記帳するというような
やり方をいたしております。そういう
やり方がいけないということであれば別でもございまするが、そのいわゆる一括記帳を待っております問の間隙にこれを御
調査になって、記帳されていないと御
指摘をされているわけでございます。そういうわけでございますので、私
どもの方といたしましては、
財産の現況の把握等について必要な帳簿は十分備えつけてあるということを御了承いただきたいと存じております。
次に問題は、
減価償却の問題でございまするが、この問題につきましては実はいろいろ
世間をお騒がせしておるわけでございまするが、ただいままでに
管理庁がいろいろお話しになりましたものと、現在
管理庁の方で御
説明になっていることと、だいぶお変りになっているように私
どもは拝聴いたしております。で、現在は私
どもの方と
管理庁の方との御
意見の相違は、償却費に計上せられたものは、その使途が取りかえに限定されなければならない、いわゆる
減価償却費の使途は限定さるべきであるという点が違っておりはしないかと
考えておったのでございますが、実は午前中衆議院の運輸
委員会で
管理庁の方の御
意見を拝聴いたしますと、その点も必ずしもそうでないようでありまして、結局その
減価償却費によって計上されました
資金の使途は、これは
財務政策の問題である、何に使うということはそのときによって
決定さるべきである。しかし、第一義としては取りかえ
資産の保持というものに重点を置くべきであると
考えるという御
説明でございますが、そういうことでございますると、私
どもの方の
考え方と
管理庁のお
考え方と、食い違いはほとんどないと申し上げても差しつかえないと思うのでございます。そうすると問題は結局どうなるかということでございまするが、そういたしますと、理論の問題としてはほとんどそう大きな相違はないのでございまして、問題は実額の問題になってくるかと思うのであります。
で、もう一つは耐用命数の問題でございまするが、この意につきましても私
どもの方の
意見と
管理庁の御
意見と、これも大差ないのでございます。ただ
管理庁の御
意見が、あたかも現在私
どもの方がやっております第一次再
評価ベースに準拠いたしました
減価償却、正確に示しますと、
減価償却費と特別取りかえ補充費と、二つに分けて
決算をいたしておるわけでございまするが、これを総称して申しますると、
減価償却とみなさるべき金額で、その金額が第一次再評価べースをほぼ基準として計算しておりますが、それに対して耐用命数その他の取扱い方なりが不当であるかのごとき印象を与えておられるのでございまするが、事実はそうではなくして、正当な
減価償却費が計上せられた場合における
資産の
内容の問題、あるいはその耐用命数の問題ということに解釈されるようなただいま御
意見のように私
ども拝聴しております。それでありますれば、私
どもも決して、正当な
減価償却費が計上せられた場合におきましては、耐用命数その他について法人税法に準拠しておる現在の
国鉄の耐用命数のとり方が
検討の余地があるということについては、それは私
どもも否定しておらないのでございまして、いろいろな専門的な機関で御研究を願うなり、あるいはこれは
政府の権威ある御指示を得るなり、これは当然であろうと思います。
ただ現在私
どもの方では、そんなことよりも何よりも、非常な低いべースで
減価償却費を計上されているということに問題があるのだということが初めからの主張でございますので、この点については
管理庁の方の当初の御
意見では、現在の
減価償却費でも過大償却であるというような御
発表もあったようでございますが、
〔
委員長退席、理事大倉精一君着席〕
今日の
勧告の中では若干そういう点がううかがわれるようなところもございまするが、はっきりとそういうことを申されてはおらないのでございます。結局私
どもから見ますると、
国鉄の適正な
減価償却費は、この
資産と、それから盗難の
内容について耐用命数等を考慮して、果して幾らが適当であるかということになってくるかと思うのであります。この点につきましては、現在私
どもも
資産再評価の途上でございますが、過去におきますところの
資産の推定額というものにつきましては、償却盗難が一兆八千億ということを申し上げております。また
行政管理庁もこの一兆八千億という
資産の総価額については必ずしも正確とはおっしゃってはおりませんが、でたらめなものというふうにもおっしゃっておらないのであります。現に私
どもの方ただいま再評価を実施しております。全部完了いたしませんが、一部推定が残っておりまするが、それて突き合せて見ましても、再評価額はおそらく一兆九千億台にとまるのではないかという
数字が出ております。私
どもとしましては一兆八千億、償却
資産の一兆八千億という
数字はほぼ正確をつかんでおる額だと、かように
考えておる次第でございます。そういたしますと、その償却
資産の価額に対して、もちろん
資産内容はいろいろございますが、そういうものに対していろいろ具体的なお
考えでもって耐用命数を
決定していただく、この耐用命数についてももちろん物理的な耐用命数、
修繕費を幾らでもかければもつというような意味合いじゃなくして、
経済的な耐用命数、ある場合には陳腐化、あるいは事故による滅失というようなこともお
考えに入れての耐用命数というものを御算定になって、初めて妥当な適正な
減価償却費というものがおきめになれると思うのでありまして、そういう御
作業をなさって、
国鉄の
減価償却費が二百億をもって足れりというお話ならば、これはまた御
議論の基礎についていろいろ拝聴しなければならぬかと思うのでありますが、そういうことでなくして、
国鉄の
減価償却費は百七十億ないし二百億で足りるというきわめて推定に基いた御
議論をなさっておるというととは、何としても私
どもとしては了承するわけにはいかない御推論だと思っておるわけであります。ただしそのことは
勧告では明確にはお出しになっておられません。
それから次に
施設の実態の問題でございますが、この点につきましては、私
どもの方では緊急取りかえということ、これは前々御
説明申し上げておりまするように、決して現在あすにも
施設がつぶれるということを申し上げておるのではないのでありまして、これは従来から私
どもの方の
資金不足のために、取りかえをしなければならない
施設がだんだんと累積してきている。しかし
資金のワクが一定できめられておりますので、その中からあるいは取りかえに回せるものは若干は優先的にやらなければならぬものはやる、しかしまた一面
輸送力の増強ということが目下の急務になっておりますし、ことに朝鮮動乱勃発以後、
旅客にいたしましても
貨物にいたしましても非常な増強を示しておりますので、混雑なりあるいは
貨物の
輸送不足というものをそのままにもしておけないという
状況にございまするので、その
観点から
工事経費の配分を
決定いたしまして国会の御審議を願って、その御承認を得て
工事をやっておるわけでございます。その結果といたしまして、取りかえに必要な
施設が、取りかえをしなければならない
施設が累積はしております。しかし私
どもはそれをほったらかしておくという気持は毛頭ないのでございまするが、何分にも
資金のワクが小さいものでございまするから、このままほうっておいては大へんなことになるというので、
昭和二十八年以降毎年
予算の編成に当りましては
減価償却費の増額をお願いしたわけでございます。ところが
昭和二十八年以後毎年いろいろの御事情で
政府の方ではお
認め願えない。そのお
認め願えないのが、
管理庁の言うように
減価償却費が十分であるという御判定ではなくして、
減価償却費の増加を行うためには
運賃の改正ということに立ち至る。それはこの際
政府としてとるべきではないという御判定のもとに、
減価償却費の不足は
認めるが、しかし現在、今回はそれを回すわけにはいかない。いわば簡単に申しますれば、しばらく待て、次の
機会にというような御
趣旨で毎年過ぎて参ったわけであります。従いまして私
どもといたしましては、このままますます
国鉄が窮地に追い込まれるという
考え方をとっておらない。必ず次の
機会には御理解ある措置がいただけると、かように
考えております。
そのためには、たとえばことしこの
施設を取りかえなければならない、あるいは来年までがまんできるかという判定で、もし来年までがまんできるというならば、その取りかえば一年待たしておきまして、当面急務に迫られておりますところの
旅客輸送、たとえば
通勤輸送の場合で申しますればホームの拡張とか、延伸とか、そういう方へ
資金を回して参りたいという実情でございます。そういうわけでございまするのでそういうものがもう今日相当累積しておる。従ってここ一、二年間に取りかえなければならないと
考えられるものが、いろいろ諸
施設を通じまして約七百八十億、まあそれほどまで緊急ではないが、少くとも五、六年の間には取りかえなければならないものが残り九百億近くあるということが、私
どもの方の緊急取りかえの必要性でございます。これに対して
管理庁の方は、現化汽車が安全に動いているということはその必要があまりないのだというような御
見解を当初お述べになったようでございます。この点については橋梁、隧道あるいは橋脚等につきまして、先般
国鉄経営調査会の方におきまして、大学の教授その他の専門家を御委嘱になりまして、実態を御
調査になりまして、その
結論も先週の
経営調査会の席上に
報告が御提出になっておるようでありまして、それによりましてもやはり
国鉄当局の言い分と申しますか、言っておることにはそう間違いはないのだというような御判断であったように聞いておるのでありますが、
管理庁といたしましても、こういう隧道、橋脚、橋梁のほかには、まだ私
どもとしては電気
設備その他の
設備がございます。そういう
設備全体を御通覧になった上でもってそういう御
結論を下したのだといえば、そうでないのでございまして、電気
設備等については何も御
調査になっておらないわけでありますが、そういう御
調査になっておらないということ自体について私
どもとやかく申し上げるわけではございませんが、しかしもし全般的な御判断をお下しになるならば、やはり少くとも電気
設備等もごらん願ってしかるべきではなかったかと思っておる次第でございます。
次に
減価償却費の取扱い方につきまして、いろいろ償却
資産の
内容を、たとえば車両を取りかえ
資産にしたらどうか、あるいは隧道、プラットホーム等を永久
資産的な取り扱いにせよというような御
意見も出ておりまするが、これらはいずれも経費の計上の仕方の相違でございまして、むしろ私
どもといたしましては償却費によってこれを整理いたしまする方が
企業の安定性、並びに
運賃というようなものはそう毎年々々変えるというべき筋合いのものではないのでありまして、また事実取得法でやるとかいうことは、結局
減価償却制度をとらない以前の形に、古い形に逆行するわけになります。費用のいわゆる均等配分という
観点から見まして、私
どもはあくまで償却費で、
減価償却でこれを整理するということで差しつかえないのでは倣いかと思っておる次第でございます。問題は結局
減価償却費というものの
考え方の相違が非常に大きなように今まで
考えられておったわけでございまするが、今日の段階では私
どもの主張しておりますることとほとんど大差のないような御
結論になっておるように私
どもは
考えるわけでございまして、問題はそれでは一体実際の額が幾らが適正であるかという問題、その
前提として各
資産についての耐用命数の
考え方の問題に帰着するだけの問題になったのではないかと思っております。
それから
修繕費でもって
資本投下となるようなことをやっておられるという御
指摘でございまするが、この点は
見解の相違と申し上げるほかはないのでございまするが、私
どもはまあ当然
修繕費をもって整理してもいいというつもりでやっておったわけでございます。ただこれが
資本経費として整理しなければならぬというお話でございますれば、これは結局単年度におきましては、その当該、当初年度におきましてはある
程度の相違は来たすかもしれませんが、その後長い目で見れば、結局やはりこの
資産の維持に伴う
減価償却費というものの計上が必要になってくるわけでございまして、経費に及ぼす影響につきましては変りないということになってしまうだろうと思っております。
それではなお御
説明申し上げたいこともございまするが、少しお時間を取り過ぎたようで申しわけございませんので、また御質問の
機会に御
説明さしていただくことにしたしまして、第三の
グループは
経営の刷新、
合理化でございまするが、この点につきましては、
外郭団体についての御
調査は、これは
昭和二十八年度におやりになった御
調査だけが
資料でございまして、その後別にあらためての御
調査はございません。ただ
工事会社につきましては、
工事会社のいわゆる
外郭団体と申しますか、そういう方面につきましての御
調査は今回が初めてで、この点に対してはいろいろの御
結論が出ておりますが、この点は先般申し上げました。私
どもの方でも十分改善をいたしたいと、かように
考えてこの前施策を改め、御
発表いたしたような次第でございます。
それから車両の新造
工事につきましては、これは将来の問題としての御提案でございまして、過去のことについて、今までのことについていろいろおっしゃっておるわけではございません。それから被服工場、製材場、
志免炭鉱というものにつきましては、これは先ほど申し上げた
通り、私
どもとしてもずいぶん
合理化しなければならないという
観点をもって対処いたしておりまするが、いろいろの事情で簡単にできかねるものも相当あるわけでございます。
共済組合の物資部職員の問題につきましては、これは過去におきまして従事させておりました者が三千人以上ございましたが、年々圧縮をはかっておる次第でございまして、また建前といたしましては、こういう
施設に対して
政府の職員をもって組合の事務に従事させるということも必ずしも不可能ではないのでございますが、また一般他官庁にもそういう例があるのでございまするが、私
どももこの人数を圧縮するという方針でやっておりますし、今後もその方針で進めるつもりでございます。ただ七十五億円の交付金は、これは組合の方で定めた給付に対する
事業者負担額でございまして、これをもって事務費にかえるわけには参りかねるものでございます。それから共済組合の物資部の
運賃の割引についての御
指摘もあったようで、ございまするが、これも近く改正をいたしたいと
考えております。
それから
鉄道公安官
制度についてでございまするが、これは私
どもの方も社会情勢の推移と相待って逐次縮減して参っております。ただ現在いろいろ通常警察の力が整備したからそれにまかせればいいではないかという御
意見もございまするが、通常警察の方では事故の捜査というような、事件の捜査ということについてはもちろん能力もおありだし、いろいろやっていただけると思うのでありまするが、いわゆる防犯的な立場におきましての御協力という点につきましてはいささか私
どももまだ万全、全部これにお願いできるかどうかという点については、通常警察力の問題もございまするが、やはり相当
検討を要するのではないか、私
どもの方のこの公安職員というものにつきましてはむしろ防犯的な、つまり荷物を盗むどろぼうをつかまえるのが目的ではなくて、むしろどろぼうが入るのを防ぐのが目的である。事故につきましては事故を起す前にそれを防ぐということが目的であるしというふうに考ておりますので、またそれこそ
鉄道の自衛上しなければならない
仕事だと思っております。従いまして公安官という
制度を、もってそれをやるかどうかという点について、これはまたいろいろ御
議論もあるかと思いますが、私
どもとしては、一応現状の
制度でやっていく方がより効果的であるというふうに
考えております。ただ人数につきましては、終戦直後とだいぶ事情が違いまするので縮減をして参りたい、こういうふうに
考えておる次第でございます。
なお
工事の単価につきましていろいろな
数字が出て御
指摘がございまする炉、この点につきましては先ほど申し上げましたように私
どもは決してそういうことが全然なかったということは申し上げかねますが、しかしながら、
管理庁が御
指摘になる
数字そのものが私
どもの方として納得して、卒直に申しますとおそれ入りましたと申さなければならないようなお調べの仕方でもって出ておる
数字とは申し上げかねる点が多々ございます。この点につきましてはまた具体的に御質問によって御
説明申し上げる
機会もあるかと思いますが、そういう点につきましては私
どもはやはり監察のお
仕事の
やり方としては、もう少し一段と御慎重を期せられた上で御
発表願えたら仕合せだと
感じておる次第でございます。
大へん長いこと御
説明申し上げておわかりにくかった点も多々あるかと思います。これをもちまして
説明を終らせていただきたいと思います。