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政府委員(
岡松進次郎君) お手元に
日本国有鉄道の
経営調査の結果に基く
勧告事項説明という書類をお配りしてあると思います。それと厚い
調査報告書があると思いますが、その今申し上げました
説明事項に基きましてあらまし御
説明申し上げたいと存じます。
日本国有鉄道の
調査に関しましては、昭和二十八年の九月以来、
運輸省の
監督行政に関連いたしまして
調査を続けて参ったのでございます。
国有鉄道の
管理業務あるいは
資材業務、あるいは
工事関係の
業務等につきまして
調査をいたしまして、それぞれ
所管運輸省に対しまして
改善方を
勧告して参ったのでございますけれども、本年度は
年次計画の
一つといたしまして、それらの
業務の資料も合せまして、その他
調査しておりません重要な
事項につきまして
調査をいたしまして、総合的な
経営調査の結果を出したのでございます。もちろん
国鉄の
経営関係は広い
範囲でございまして、すべてにわたりまして微に入り細をうがつことは時日を要しますので、あらましこの
範囲において一応の
監察ができるという
範囲に限定いたしまして、本年の五月から
調査を開始いたしました。去る十一月十七日に結果を
運輸省に
勧告した次第でございます。
大体
勧告の内容は三つに分れておりまして、
一つは
公共企業体の
制度の
運営に関しますことでございます。第二は、
企業体の
施設の
維持に関する点につきまして
勧告をいたしました。第三は、
経営の刷新、
合理化につきまして
勧告をいたしました次第でございます。以下、今申し上げました一、二、三につきまして、個々に御
説明を申し上げておきたいと思います。
第一の
公共企業体の
制度の
運営についてでございますが、
公共企業体としての
国鉄の
性格におきましては、いわゆる
公共企業体として
相当自主性を与えられておるわけでございまして、それは本来
公共企業体として
能率的な経常をするために与えられたものだろうと思うのでございます。しかしながら、一面
国鉄としての
公共的性格というものが相当強いのでございまして、また従いまして
国民生活に及ぼす影響も非常に多いという半面を持っております。今申し上げましたいわゆる
自主性というものを尊重して、
能率を上げるという点に関しまして
国鉄を見まするならば、その点におきましてさらに工夫、
改善と申しますか、
能率の向上にさらに格段の努力する
余地があるように見受けられるのでございます。また
公共企業体の
性格に関しまして、今までの
政府の監督という点におきまして、
指導監督を強化する而も必要であると考えられたので、その点につきましてここに列挙いたしております五項目につきまして
意見を述べた次第でございます。
第一の
経営委員会の
制度は、これは
説明にも載っておりますので、お読み願えばわかると思いますけれども、
経営委員会の、
国鉄が
公共企業体として発足以来の現在の形におきましては、いわゆる
国鉄の重要な
決定機関としての
運営にどうも不十分な点があるように見受けられるのであります。従いまして、主体性ある
経営指導が期待できない。これを何とか十分な形に考え直していく
余地があるのじゃないかという点を指摘したわけでございます。
第二は、役員の構成でございますが、これは現在
国鉄は総裁だけが
政府の
任免ということになっておるわけでございまして、他の
公共企業体でありまする
専売公社あるいは電々
公社、あるいは最近発足いたしましたやはり同様な性質と見られる
公団あるいは
公社におきます役員の構成、
任免におきまして、
国鉄はむしろそれらの
公団、
公社中におきまして最も
公共性の強いと認められる
性格におきまして、割合に薄いように思われるのであります。従いましてこれらの他の
公社あるいは
公団等に準じた程度の
政府の
任免権というものを及ぼす必要があるのじゃないかという点を申し上げたわけでございます。それから
経営管理につきましては、これは
一つの例を申し上げますと、
内部機構に検討すべき点があるといったのでございますが、一例といたしましては、これは進駐軍の
指示等によりまして
機構が戦後変ったのでございますけれども、
資材関係の
業務が
業務関係とは別に、縦割の中央からの
末端組織になっておりまして、これは非常に
資材の運用という面において妙味のある
一つの組織だろうとは考えますが、
長所はもちろんあるのでありますけれども、その運用の面をいろいろ
調査いたしました点におきまして、やはり
資材の扱いというものが、いわゆる
資材関係におきましては非常に回転がうまくいっているのでございますけれども、これを受けて実際使う
工事の部面におきましてはかえって不要な
資材が滞留するというような形におきまして、必ずしもこの
制度が
長所ばかりは発揮していないという面が見られるのでありまして、この
制度をやめろとか、そういう問題ではございませんが、
長所を生かして短所をなくなすというような、将来
機構の問題において御工夫を願いたいということを
意味しているわけでございます。次は人材の登用について、
人事運営の
自主性を認めた効果がほとんど認められないということ、
国鉄は
公共企業体として人材の登用におきましては、
政府の官吏のごとく
資格等が非常にやかましくなくできておるわけでございまして、適当な
業務に練達な人はいわゆる民間からも自由に入れて、大いに
能率的経営をする
余地が残されておるわけでございますが、発足以来そういう面につきまして見るべき形が現われていない。今後はそういう面も大いに生かして、
企業体としての
能率を向上していったらどうかという
意味におきまして述べたのであります。それから
財務運営に与えられた広範な
自主性がかえって懇意的な支出に陥っている点があるということでございますが、これもやはり
一つの
公共企業体の特色といたしまして、いわゆる国の
会計法の適用を受けないで自由に
国鉄内部において
会計規則を作って、そして流用というような点が比較的
国家行政機関とは違って自由に運用できることになっております。いわゆる
財務の
自主性というものが与えられておるわけでございます。これはやはり
企業体としての
能率的に運用する
意味において、いわゆる
規則ずくめな、がんじがらめな
財務では
能率的な
経営ができないという点でございますけれども、この
財務の
運営状態を見ますと、ここに述べてありますように、かえってその
自主性が、
国鉄だけの
判断で自由にできるということが、結果におきまして重点がそれておるというようなことがしばしば見受げられたのであります。もちろん
財務の
自主性というものは、これは
公共企業体の特色として認めなければなりませんけれども、その中にもやはり悪意的な
判断というものが結果において現われる点は、やはりある程度規制していくような処置が必要ではないか、こういう
意味におきまして申し述べた次第でございます。第二は、
事業施設の
機能維持についてでございます。これは
国鉄は
運輸事業を国家からまかされて、継続して行わなければならぬ
一つの使命を帯びておるのでございますから、いわゆる
運輸事業に欠くべからざる
施設はこれは何としても優先的にこれを確保していかなきゃならぬわけでございます。運転上危険なる
施設あるいは客扱い上非常に危険である
施設というものはこれを放置しておくことは許されないのでありまして、
施設の
荒廃は努めてこれの回復に当らなければならんわけでございます。で、この面におきますわれわれの
監察の結果におきましては、もちろん戦後非常に
荒廃に帰していたということは事実でございます。しかしながら、その後
国鉄当局の努力によりまして漸次その域を脱しておりまして、相当な回復をみておるとわれわれは見ておるわけでございます。もちろん、個々の鉄橋とかあるいはその他の
施設におきまして、現在やはり列車の徐行を行なっておるとか、その他なお一部補修を要する
施設は残っておりますけれども、大勢的に見まして、大体戦後のいわゆる
荒廃の域を脱して、
改善の
上昇線をたどっておると、大勢的にはそう見られるというふうな見方をわれわれはしておるわけでございます。従いまして、この点におきましては、多少
国鉄の現在いわれておるような
相当施設がまだ
荒廃が多いのであるというような点とは多少見解が相違しておるようにも見受けられるのでございます。これらのことを前提といたしまして、現在
施設の
維持、
修繕と申しますか、そういうような面におきましての
運営を見ました点で気づいた点をここに項目として列挙いたしまして、
勧告いたした次第でございます。第一の毎年多額の
修繕費が
業務費等に流用せられておるということでございますが、これはいわゆる
国家予算として国会を通過した
予算が、
決算面におきまして、いわゆる
修繕費として成立した
予算が、
修繕費と申しますのは
施設の
維持あるいは改修するという、
施設の保持に必要な経費でございますが、それが毎年多額に
業務費の方に流用せられておるというような面が見受けられるわけでありまして、これは
施設の補修に非常に金が要るという主張とは多少和一反するような形になっておるという点を指摘したわけでございまして、これは前にも申し上げました、いわゆる
財務の
自主性というものが、
一つの
判断で自由にこういうふうに流用せられるという面とも関連いたしまして指摘した
事項でございます。第二は
資産の現況の
把握の基礎となる
台帳がはなはだ不
整備であるという点であります。これはいわゆるあとの
減価償却費にも関係することでございますが、いわゆる
施設の
実態的な
把握というものが十分でないという面におきまして非常に
台帳の
整備が不
整備である。不
整備であるがためにいわゆる
施設の
実態の
把握というものが不確実であるということを指摘したわけでございます。これは各地方におきまして各
管理局につきましていろいろとわれわれ
調査した結果によりますと、戦後いろいろ帳簿が滅失したりして非常に整理に困難された事情があると思いますけれども、そうした
台帳面におきまして
施設の
経歴等が非常に不明確であるというようなものが多々見受けられたのでありまして、従いまして、いわゆる
資産の
評価という面とも関連いたしますと、今後
台帳の
整備と即
実体資産の
把握というものを確実にやる必要があるのじゃないかという
意味で述べたわけであります。
次は
減価償却費につきまして申し上げたいと存ずるのでありますけれども、この点につきましてわれわれは一っの
考え方を打ち出しておるわけでございますが、
減価償却というものは、これは申し土げるまでもなく、投下された
資本をいわゆる
施設の
耐用手数に応じて年々これを回収する
会計手続でございますが、ただ、これをいわゆる
私企業における
減価償却と、われわれが
調査いたしました
国鉄の、いわゆる
公共企業体としての
減価償却とは多少そこに
考え方を変える必要があるのじゃないかという点でございます。それは
公共企業体であります
国鉄は、いわゆる
営造物法人として
事業を解散した場合に、国が投下したもとの
資本を国に回収することを予想しているものでないという点でございます。従いまして、いわゆる
減価償却というものは、
一つの
施設の
実態を
維持する取りかえ費と見ていいのじゃないかと、こらいちことでございます。
実態を
維持すると申しますのは、もちろん現在運行しております。たとえば
車両に例をとりますと、それがある一定の
耐用年数と申しますか、年限を経て使いものにならないので、新しく
車両を取りかえるということも、これもやはり
実体資産の
維持に当るわけでございますし、また単に物理的に
車両は取りかえる必要はないけれども、しかしいわゆる
近代化と申しますか、
陳腐化と申しますか、古くなっていわゆる時勢にマッチしない。新しい形式の
車両にかえていくということも、これもある
意味におきまして、程度の問題はございますけれども、これもやはり
実体資産の
維持でございまして、その点は多少われわれの
考え方が誤解を受けている点があるかと思いますけれども、この点ももちろん考えた上の
実体資産の
維持ということをいっているわけでございますが、いわゆる
運輸事業としての
施設を十分
維持していくということに
減価償却費は使わるべきものであって、いわゆる
拡張改良というような費用に
償却費は使わるべきものでないと
いち考え方に立っておるわけでございます。この点、
私企業におきます
減価償却費を、
施設の
拡張、
改良に使用しているのはこれは差しつかえないと、またそれが現況でございますが、
公企業体としての
国鉄は、前に中しました
実体資産の
維持にこれを使うべきであるということを前提として申し上げておるわけでございます。従いまして第三の
耐用年数が、現在
国鉄の
減価償却費を計算する上におきまして採用しておりまする
耐用年数というものが、いわゆる
実体資産の
維持に適当な
耐用年数であるかどうかという点につきまして、われわれは多少
意見があるわけでございます。たとえばあとにも申し上げますが、
隧道——トンネルでございます。あるいは
土工という言葉を使っておりますが、これは線路の盛り土の
部分というようなものが
土工でございます。あるいは
プラットホームというようなものに四十年という
耐用年数を適用して
減価償却費を算出しておるわけでございます。これが果していわゆる
実体資産の
維持と、その
施設を
維持するために必要なこれが
耐用年数であるかという点を考え合せますと、これはもっと長い
耐用年数でいいのじゃないかというような
考え方になっております。投下した
資本を適当な期間に分けて早く回収するというような
私企業的の
考え方をすれば、これはあるいは四十年あるいは三十年にして早く
資本を回収するというのが有利な場合がございますけれども、今のように
実体資産を
維持していけばいいという
考え方からすれば、四十年は相当考える
余地があるのじゃないかということでございます。また、
家屋につきまして例を申し上げますと、
家屋につきましては、これは
鉄筋コンクリートもありますし、木造の
家屋もございます。これはそれぞれ
法人税法におきましてもいわゆる
耐用年数は区別してございますが、
国鉄の
減価償却費算出に使いました
耐用年数はなべて二十五年という計算をしておるわけでございます。従いまして
鉄筋コンクリートを二十五年で計算することは
実体資産の
維持という見地からいたしましても再検討の
余地があるのではないか、こういうことでございます。またそういう
意味におきまして、いわゆる
減価償却費というものは、適正な
償却資産の
評価、適正な
耐用年数がきめられて、初めて適正ないいわゆる
実体資産の
維持に必要な
減価償却費が生まれてくるものであるという
意味において、
耐用年数も十分再検討する
余地があるのじゃないかといもことを申し上げておるわけでございます。
次は
車両についてでございますが、これは現在
国鉄は、
レールはこれは取りかえ
資産として、
償却資産の対象からはずしてございますが、
車両はいわゆる
償却資産といたしまして
減価償却費の計算をしておるわけでございます。しかしわれわれの
調査いたしました結果から考えますと、
車両は現在
国鉄では戦後非常に大
修繕なり特別
修繕なり、
更新修繕というような形式で、いわゆる大
修繕で非常、に
車両というものの何と申しますか、内容はよくなっておりますけれども、この
修繕の形を見ますと、大体いわゆる
車体部分と申しますか、それ以外の上の
部分はいわゆる
修繕によって新しいものにかわっているのでありまして、かわらないのは下の車体の
部分ということになるわけでございます。従いまして、これはしかしその大
修繕、
更新修繕というのは
修繕費で行なっているわけでありまして、しかしながらその実質的にはやはり取りかえをやっているということになるわけでございます。一部は。従いましてここにありますように
更新修繕等の場合の
資本的支出と、それからやはり
車両全体を
一つの二十年という
耐用年数で計算しました
減価償却費とは、そこにある
部分は経費が競合するということになるわけであります。従いましてこれを取りかえ
資産として
減価償却資産からはずして、いわゆる
レールと同じような
一つの小単位な多数
集合体という形態におきます
車両の取りかえ
資産として見ることがいいんじゃないかというふうに考えまして、これを
一つ検討していただきたいという
意味で指摘したわけでございます。
次に
隧道、
土工のごとき
自然的条件に属するものは、これは今
国鉄におきましてはやはり
償却資産の対象として
減価償却費を計算しておるわけでございますけれども、こういうものはほとんど
耐用年数と、自然的とか物理的な原因による滅失というものが予想せられない
耐用年数というものをきめることが非常に困難な
施設でございます。しいてきめますれば非常に長い
耐用年数をきめていくということになりましてまあこわれると申しますか、
施設がこわれるというのは、あるいは災害によるとかあるいは地震によるとかいうような自然的な原因によりまして変るのが多いのでございます。従いましてこらいえ、ものをたとえば四十年というふうに初めから
耐用年数をきめて
減価償却費をきめることは、これはこういう
施設の
実体資産の
維持に必要な
減価償却費という観念から申しますと、非常に適正な
減価償却費は算出されないということになるのでございます。従いましてこういうような
施設は
永久的資産としての取扱いをした方がいいのじゃないかというふうに考えております。ただまれに発生いたします自然的ないろいろの災害とか、その他の事故による滅失につきましては、これは当然取りかえていかなければならないので、これはいわゆる
予備費としてある程度考えていけばいいのであって、最初から
耐用年数をきめてかかるというようなことは、われわれの
減価償却の
考え方から申しますと、適正な
減価償却ではないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。なおこの
隧道——たとえばこの
工作物というものが、今申しましたような
工作物が鉄道の
資産の約六〇%を占めておるわけでありまして、そのうちの
隧道とかあるいは線路の上に盛ってあります路盤とか、
プラットホームのごときものは、そのうちのまた六〇%、全体の三六%を占めておるというような
資産の
評価になっております。これは一応
国鉄は第三次
評価を前にして、現在一兆八千億という
資産評価をしておりますが、その三六%を占めるような
隧道とか
土工とかというものを四十年という
耐用年数で計算いたしますと、非常にわれわれとして見ますれば、適正でない
減価償却費が算出されるということになるわけでありまして、その
資産額に占める地位が大きいという点について再検討する必要があるのじゃないか、こういうふうな
意見を申し述べた次第であります。
次は取りかえ費と
改良拡張費とを適正に区分し、
修繕費による
資本的支出を明確に分離
経理することが望ましい。これはいわゆる
工事費の中に取りかえ費と
拡張改良費とが分れるわけでございますが、いわゆる
拡張改良費は
資産の増というものを伴うのでありまして、その点が不明確でございますと非常に
経理上不明確なものになりまして、
国鉄の
工事における取りかえ
工事であるとか
拡張改良工事であるとかという点がまま不明確でありまして、その点がやはり
資産の
評価と
資産の増減ということにも関係して参りますので、今後そういう点にきっぱりした区別を設げて、そうして行う必要があるのじゃないかという点を申し上げたわけであります。
第三は、
経営の
刷新合理化ということでございますが、
国鉄は御承知のように固定
資産が今申しましたように膨大な
資産を持っておりまして、また人件費の割合も相当大きくなっておるわけでございます。従いまして
国鉄は本来
運輸事業に専念するという
意味におきまして、必要以外の
施設というものはなるべくこれを切り離して、身軽になるということが必要ではないかと思うわけであります。また一面
工事費その他におきまして相当巨額な費用を使っておるわけでありますので、その費用の効率的使用という面に頭を置いて、なるべく不必要な費用はこれを節減するという面に努力をして、そうして企業の
刷新合理化をはかっていただきたいという面を申し述べたおけでございます。
その
一つといたしまして、外郭団体に対する取扱いを今後公正な取扱いにしていただきたいという点でございます。これは外郭団体は、最近
国鉄におきましても非常に整理につきまして努力をいたしておられるようでございまして、以前におきましても、われわれの
調査の結果こういう点を発見しまして、
勧告を申し上げたこともあるのでありますが、いまだわれわれの
調査の結果から見ますと、非常に特権的に扱われておる。従いまして、一部の
工事の請負契約におきましても、もちろん
国鉄の特殊な事情というものは考慮に入れましても、特殊な会社に集中的に契約が行っておる、あるいは下請が非常に行われておる、こういうような結果いわゆる請負
工事契約というものに多少甘い点が見受けられる、こういう点をもう少し規制していただければ、いわゆる膨大な
工事経費のうちにおいて節約すべき額も相当出るのじゃないかという点を申し上げたのでございます。
それから第二に、それとも多少関連するとも思いますけれども、請負
工事の積算が非常にずざんでありまして、不経済な契約を締結している。これはやはりその担当に当りますところの係官が、いわゆる設計から、契約から一手にやるというような結果、これは
一つはこの見積価額があまり外部に漏れないというような考慮からでもありましょうが、やはりそれぞれの専門によって単価がわからないために、市場実勢がわからないために、非常に不経済な契約をするというようなこともあると思います。いろいろな事情もあると思いますけれども、われわれの見ました点におきまして、非常にずざんな、あるいはそれを算出する基準というものが各
管理局まちまちでございまして、従いましてそれぞれの係官において、まあ主観的とは申せませんけれども、そのつどの勘によって計算するというような点もありますので、そういう点も今後十分
改善していただきたい。とともにいわゆる一人で設計もし、見積りもし、契約もするというような体制は、いわゆる会計理論としましては、内部牽制的な効果が現われていないわけでございまして、こういう面におきましてたがいに牽制するような
制度を考えていただいたらどうかという点を申し上げたわけでございます。
それから第三は、先ほど中しました
車両の
修繕の状態を
調査いたしました際に、いわゆる
国鉄におきましては
車両工場が今二つございますが、そこでの
修繕形態その他を勘案いたしますと、相当技術も上っていまして、ある程度の
車両は自営、——自分で作ることができるのじゃないかというふうに
判断されるわけでございます。もちろん全
車両皆自営にするというようなことを言っておるわけではございませんし、また車体によりまして不可能な場合もあろうと思いますけれども、一部の型の
車両につきましては、その一
部分はこれを外注からはずして、できるだけこれを自営にするということが有利ではないかというふうに感ぜられるわけでございます。自営と外注とのいわゆる経費の差額から申しましても、でき得れば、こういうことをやれば、経費の節約になり得る。またある程度はでき得るのじゃないかというふうに
判断せられたわけでございます。
第四の被服工場、製材工場、志免炭鉱というような付帯
事業は、これが成立いたします時勢と申しますか、時期と要求においては、もちろん必要があってできた
施設でございますけれども、現在におきましては被服のごときはほかの電電
公社あるいは東京都の交通局等におきます同じ被服の外注の費用から見まして相当高価についているわけであります。従いまして、むしろこれは自営するよりもまあ外注にした方がいいんじゃないかというような
意味におきまして、これは統制時分はとにかくとして、現在におきましては順次こういうようなものはだんだん整理と申しますか、なくなしていく方が経済的ではないか。また製材工場は現在九州に
一つございますが、これは九州の
国鉄の用材をやっているところでございまして、小さい工場でございますけれども、これもやはり特殊な事情でできておりまして、決してこれを持っていなければならぬ強い理由もない。またこれも市場価格等から言って、決して経済的な作用もないように思います。ここに指摘したわけでございます。また志免炭鉱も同様九州にあります炭鉱でございますが、これも成立の特殊事情から考えますと、現在は赤字
経営でございまして、これを特別に
国鉄が持っている理由というものはそう強くないんじゃないか、こういう不経済なものは、順次身軽になる必要があるという
意味で申し上げたわけであります。
第五に、
国鉄の共済組合の物資部の
業務ございますが、これは物資部の
業務を共済組合の職員でやっておられるというのであれば、これはもちろん何ら
異議のないところでございますけれども、現在その職員のらち二千三百名程度の職員がいわゆる
国鉄の職員がこれに専従しているのでございまして、こういうような形は他の
公社等には見受けられないのであります。これはやはり当然共済組合の職員として専従すべきじゃないか、こういう
意味におきまして、相当経費がこれにかかっているのじゃないかという点を申し上げたわけであります。
なお、これに付随いたしまして、共済組合の扱っている物資というものは相当膨大な物資を、生活物資を扱っているわけでありますが、その物資が運賃の八割引きを実施しているわけであります。これは何らその理由がないようにわれわれは考えます。この費用もやはり運賃の減額として現われるのではないかという
意味におきまして、やはり一億円に相当する割引額も再考慮の
余地があるのではないかという点を申し上げているわけであります。次に鉄道公安官
制度でありますが、これもいろいろな事情によりまして設けられたので、今直ちに必要がないということも申し上げられないと思いますけれども、現在の運用におきましては、相当多数が公安官の仕事をしていないで、他の仕事を手伝っているというような実情におきましては、やはり一応検討してみる
余地がある
制度ではないかというふうに考えまして、指摘したわけでございます。大体、簡単でおわかりにくかったと思いますが、
国鉄調査の結果先般
運輸省に
勧告いたしました内容は、一応以上の通りでございます。