○
福田(昌)
委員 それじゃ
質問を省かしていただきます。
ただいま
社会保障というのは
民生の安定だという
お話しがございましたが、全くその通りでございますが、ただ漠然と言われております
社会保障というものは、個人々々で非常にお
考えが違うのでございます。私
どもが見ておりますと、
政府のお
考えになる
社会保障というものは、
民生の安定とはおっしゃっておられますが、その
熱意におきまして、私は
社会保障の精神までいっていないと、失礼ながら
考えざるを得ないのでございます。昔は
社会保障と申しますと、社会保険と社会福祉制度、この二本立て、これをあわせてやっていけばどうやら
社会保障だというふうに
考えられておったのでございますが、戦後の新しい動向といたしましては、ことにヨーロッパの先進国が
社会保障として
考えておりますことは、社会保険と社会福祉制度の二本立て、並行線の制度ではないのでございます。社会福祉と保険制度が有無相通じて一体となった、溶け込んだ制度になっているのでございまして、保険を主にいたしましても、いずれにしても、最後まで国の
責任において国民の不幸、国民の健康を守り抜くというのが
社会保障の精神になっております。こういう点を
考えてみますと、
日本の
社会保障についての
政府のお
考えというものは、まだいささかおくれているといわざるを得ません、社会保険というものはあくまで保険であるから、相互扶助の精神でやるべきであって、保険に対して国庫負担をするというのは行き過ぎだというような御
意見を発表されることがたびたびございまして、従ってたとえば今日の医療保険の面におきましても、赤字に対する国庫負担ということになりますと、
政府は、これは保険の性質上負担すべきじゃない、金がないのにそんなところまで出せないというような御
意見になりまして、社会保険、医療補助の赤字の負担というものに対して、非常に
熱意がないというような態度になっておりますが、これは私今後お改め願わなければならない問題だと思うのであります。ヨーロッパの
社会保障というものは、医療保険におきしまても非常に進んで参って、国庫負担の面が多いということを十分お
考え直しを願いたいと思います。たとえば
英国の
社会保障は、
日本の
社会保障制度とは比べものにならない進んだ状態であります。また医療保険の面におきましても機構が
日本とは違っておりますが、それにいたしましても、医療の負担面ということになりますと、国費をもって約九〇%近い支出をいたしておるということを
考えていただきたいと思います。また負けた国イタリーやドイツにいたしましても、医療面に対しましては国庫負担分というのは非常に大きいのであります。総医療費に対して少くとも国庫が二〇%から二四、五%の負担をしておるというのが、負けた国西ドイツやイタリーの現状でございます。こういうような点をお
考えいただきまして、今日は社会保険は保険の性質で、相互扶助の精神でやるべきで、国庫が負担すべきじゃないというようなお
考えはお改め願いたいと思うのであります。そういう精神で、新しい
社会保障の概念でなければ、私は
日本のこの貧困家庭の多い、また疾病の多い国民の不幸というものは救われないと思います。この点を今後ともよく御配慮いただきまして、今後の
社会保障に対する
予算措置というものを、また御
計画というものをお
考えいただきたいと思います。
大蔵大臣に一点だけお伺いさせていただきたいと思うのでありますが、そういう
意味におきまして、私
どもは今後の社会保険の赤字というものに対しまして、ぜひこれは国庫の負担
——これは民間でも、もう長年にわたりまして、今日の社会保険には、医療給付面に少くとも二割の国庫負担をしてもらいたいということを繰り返し繰り返し陳情もいたしておりますし、具体的にお願いをいたしておりますが、これはゆえなしとしないことでありますから、また
社会保障の精神から当然のことでございまするから、その点について
大蔵大臣もよく御配慮をいただきたいと思います。この健保、国保の赤字に対してどういう
措置がされるか、少くとも二割の国庫負担が要求されておりますが、二割の国庫負担をなされる御意思があるかどうか、この点を伺わさせていただきたいと思います。