○加藤(精)
委員 関連して。ただいま今度内閣にできます仮称臨時
教育制度審議会というのにつきましていろいろ御熱心な御議論があったのでありますが、それを政府がどういうふうな意図でやるかということのほかに、われわれ文教
委員の連中もどういうふうな姿で持っていってもらいたいという建設的な
意見も若干申し上げたいと思っているのでございます。
戦後の教育が試練の時期を経まして、ある程度安定期に入っておる面もございます。なお政令諮問
委員会の活動が中途で中絶いたしましたが、しかしながらそうした観点から進めるべき部面も相当あると思うのでございます。
文部大臣の言われるがごとく、
教育制度は一度方針を決定いたしますれば学年の進行が数年にわたる関係から、そう軽々しく改廃すべきものではないのでございまして、わが国におきましてもかつて義務教育の延長とかあるいは中
学校、高等女
学校、高等
学校、専門
学校との連繋とか、制度の創設の際に非常に瑕疵がありまして苦しんだ歴史を持っております。誤まった制度ができますと、非常に長い期間それによって国民教育並びに教育行政に支障を生ずるのであります。そうした抜本的な改正を前に控えまして内閣に臨時
教育制度審議会ができますことはわれわれはむしろ歓迎すべきものでありまして、党派を越えてこれをよき姿に持っていきまして、そうしてわが国の教育行政の将来数十年間にわたる制度がいい形で生まれることを期待することが進歩的な政治家の
考え方だ、そういうふうに
考えております。その点につきましてただ非常に心配をいたしますのは、明治、大正、昭和の初めにおきましては、
教育制度それ自身が必ずしも国会の意図によっては動かなかったのでございまして、教育の基本を規定するものはすべて勅令であり、法律によって規定せられなかった。そうした関係上、国の教育に関して学識
経験のある人、または世論の代表者を配置しまして、文政
審議会なりあるいは教育評議会なり、臨時教育
会議というものがあったように記憶しておりますが、いずれも最後になりますと、そういう
審議会が政府を制肘いたしまして、大体
文部大臣の命取りのような形にもなり、これを廃止しなければ新しい時代に即応する
教育制度の改革ができなかったというような、相当大きな重荷になったような過去の
経験があると思います。また同時に
教育制度を改善しようとしましても、その決定に数カ年間を要しまして、ために国政の進展が非常にはばまれたというような過去の歴史があると存じております。その点、今度の
審議会を作るに当りましては、十分御考慮になられたい。この
文部大臣の文教政策が与党の教育に関する政策の理想を実現することは、私は大へん民主的でけっこうだと思うのでございます。と同時に、少数党の
考え方を尊重するというアメリカのジェファーソンの民主主義の原則を十分その
審議会において聴取する機会を持つことは非常に大切だと思いますので、政策遂行と同
調査会とが適切なる調整を保つことをお願いするものでございます。
つきましては当面の非常に重要な問題で、しかも緊急政策と同じように時間を争う問題か他に
一つあると思います。それは現在政府におきましては長期経済
計画というものを立案いたしておりまして、それを政府の施策の基礎的な出発点にしようとしておるようでありますが、これに関連しまして、将来六カ年間に
日本の経済を拡大して参りますにつきまして、果してこれに
日本の科学技術者教育、産業従事者教育がマッチするかどうかという問題であります。現在政府で立案しております経済六カ年
計画におきましては、いかなる調和をもってこの長期経済
計画の立案に参加しているか、また必要な産業技術者の獲得につきまして、具体的にどういうふうに長期経済
計画に取り入れられることになっているのか。私、長期経済
計画の原案を読みましてもこれが見当らないのです。その点をお尋ねいたしますと同時に、大臣にお尋ねいたしたいのは、(「簡単、々々」と呼ぶ者あり)
日本におきましては職業教育、ことに高等
学校ないし大学においての職業教育と申しますと大へん語弊がございますが、高等教育を受けました者が社会に出まして、そして
日本の国の産業経済の中に飛び込んで参ります際にそれに必要な知識、技能を獲得するために、その前提としての教育を受けるわけでありますが、(「
委員長、注意」と呼ぶ者あり)文科系統と理工科系統との比率が、
日本におきましては大体文科系統七に対して理工科系統が三になっておるということを聞いておるのでありまして一こうしたような比率になっている国は、世界には大国を除いて全然ない。いずれの国も理工科系統が圧倒的に割合が高いのであるのにかかわらず、
日本におきましては、文科系統が非常に比重が大きくなっているということを聞いておるのでございます。こうした状況におきましては、長期経済
計画を樹立いたしましても、経済拡大になりました際におきまして、十分にその産業に必要な技能者を獲得することができないんじゃないかということを
考えられます一面、この大学卒業生、高等
学校卒業生の就職難の非常に深刻なものが現在展開されておるのでありますが、そういう面から見まして、ことに文科系統の学生過剰という問題に対しましては、何か手を打つ必要がないか、ことに私立大学の営利的経営というようなことが問題になっておりますので、これがなおさら文科系統の学生量を全体の比率において重くしているうらみがないか、これらのことは国民が常識として、何とか
国家的に
考えてもらいたい、改正を要するのじゃないかということを、国民が常識として世論として
考えておることだろうと思いますので、私一言その点を(「一言じゃない万言だ」と呼ぶ者あり)
文部大臣に御質問申し上げておきたいと思うのであります。