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1955-12-13 第23回国会 衆議院 大蔵委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十二月十三日(火曜日)    午前十一時五分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君    理事 小山 長規君 理事 高見 三郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 春日 一幸君    理事 横路 節雄君       浅香 忠雄君    生田 宏一君       大平 正芳君    奥村又十郎君       加藤 高藏君    川島正次郎君       小西 寅松君    内藤 友明君       中山 榮一君    保利  茂君       坊  秀男君    前田房之助君       山本 勝市君    山村新治郎君       石村 英雄君    石山 権作君       井上 良二君    小川 豊明君       木原津與志君    田万 廣文君       平岡忠次郎君    横山 利秋君       石野 久男君  出席政府委員         自治政務次官  早川  崇君         大蔵政務次官  山手 滿男君         大蔵事務官         (主計局次長) 原  純夫君         大蔵事務官         (主計局次長) 宮川新一郎君         大蔵事務官         (主税局長)  渡邊喜久造君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      村上孝太郎君         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    白石 正雄君         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      新澤  寧君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 十二月十日  三級清酒設定反対に関する請願野田卯一君紹  介)(第二二五号)  同(井手以誠君紹介)(第二二六写)  同(平野三郎紹介)(第二六六号)  同(井堀繁雄紹介)(第二七九号)  かん害被害農家に対する所得税減免に関する請  願(松平忠久紹介)(第二三四号)  証券取引法の一部改正に関する請願小山長規  君紹介)(第二四四号)  在外資産処理促進に関する請願村松久義君  外一名紹介)(第二八〇号)  互助組合掛金の非課税に関する請願五島虎雄  君紹介)(第二八一号)  同(川村継義紹介)(第二八二号)  同(加賀田進紹介)(第三一一号) の審査を本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第二号)  交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出第六号)     —————————————
  2. 松原喜之次

    松原委員長 これより会議を開きます。  交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案並びに食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案の両案を一括議題といたします。  質疑を続行いたします。小川豊明君。
  3. 小川豊明

    小川(豊)委員 私はせんだっての大蔵委員大蔵当局との質疑の中で、お聞きしておって疑問に思う点が二、三出てきたので、これをお聞きしたいと思うのであります。  そこで先般の質疑の中で、地方公共団体が、府県が何かかなり財政を圧縮し得るような、逆に言うならば放漫な形が相当あるというような印象を受けたわけでありますけれども、それを調べてみましても、そういうことが出てこないので、これに対してどうお考えになっているか。たとえばここで私調べてみますと、昭和十一年度を基準として、昭和十一年度には国家財政は二十二億あった。この中には軍事費があり、国債費があるわけです。それですから、これを差し引くと、純行政費というのは八億三千四百万に国家財政がなるわけです。ところがこれが昭和三十年度となると、御承知のように九千九百九十億というような予算が組まれ、この中に軍事費が千三百二十億、国債費はありません。そういう点から、純行政費というのは七千二百九十四億、こういう形になって、これは膨張率が倍数からいうと昭和十一年度に対して八百六十八倍になっておる。ところが一方地方財政の方を見ると、これは十一年度には二十三億、この中には地方債費等があるわけです。これを差し引くと純行政費というのは十五億。今日の地方財政を見ると、これが六百倍になります。すると国家財政は八百六十八倍、地方財政の方は六百倍にしかふえていない。従ってこういう点から見ると、地方財政はむしろ窮迫せなければならないような状態に置かれておるのではないか、こう数字の上から見ると出てくるのですけれども、これが地方財政はもっと圧縮し得る、削減し得るのだという根拠は一体どこから生まれてくるのか、この点をお尋ねしたい。
  4. 早川崇

    早川政府委員 ただいま御指摘通り、特に地方の方が中央より放漫であるという論拠はないと私は思います。その理由は、戦争前に比べまして、地方が根本的に大きい費用を受け持たなければならない原因は六・三制なんです。六・三制に伴う教員の非常な増加と、それから建築費、その他から見まして、むしろ今の国家地方比率からいいますと、六百倍という数字は相当無理をしているという根拠になろうかと思います。逆にふえる要因が非常に多くて、しかも実際は国家よりも少い。それは二重の意味で地方財政としては窮屈になっておるということは言えると思います。ただ県個々に当ってみますると、県の財政力に不相応なことをやっておる県が間々あるのであります。一つの県で六つの大学校ができたり、造船の非常に好景気のときに、事業税が非常に入るというので、たくさんな福利施設を作り、しかもそれに伴って人員が増加するというような、先を見ない、放漫といいますか、積極的なことをやったために困っている府県が相当ございます。そういうような点は、やはりケース・バイ・ケースで見て、こういった県は少し緊縮しなければならぬというような面は、交付税特別交付税、あるいは起債その他の面で健全財政に行くように間接的に指導していきたい。御承知のように、自治庁は前の内務省とは違いますから、直接的な監督指導はできませんが、交付税あるいは起債その他でそういう県は指導していきたい、かように考えております。
  5. 小川豊明

    小川(豊)委員 そういう特別なケースがあって、赤字を出さざるを得ない府県もあることは今の御説明でわかったわけですけれども、それを間接的に指導していくのもいいでしょうが、ただ私どもの言いたいことは、こういうような数字が出ているにもかかわらず、地方財政が何か特に全般的に放漫なことをやっているのだという、そういう先入観で見ていくということは、非常に危険であり誤まりじゃないか。むしろ私は、国家財政の方にこそ検討すべき余地が相当あるのではないか、こういうことを考える。これについて大蔵政務次官はどうお考えになりますか。
  6. 山手滿男

    山手政府委員 中央地方を通じまして、予算の総計は一兆七千億ばかりになっておると思っておりますが、そのうち中央の分につきましては、非常に大きな金額に上るもののうちで、地方に対する交付税あるいは補助金、そういうふうなものが中央の支出の中には含まれておりまして、これは地方の方とは違って、地方の方は組まれておる予算はストレートに全部そのものが地方歳出になるということになるわけでありまして、ただいま御指摘になりました数字比率は、まだ私もよくつまびらかにしてはおりません、けれども、十分検討してみるならばいろいろ問題はあろうと思います。特に職員給与問題等につきましても、これはほとんど最後的な集計ができておるようでございますが、ごく最近の中間報告を聞きますと、一部の地方団体東京都等におきましては、給与国家公務員に比べて三割くらい高いんじゃないだろうかという推定がほぼ事実になっておると見られております。そのほかいろいろなことがございまして、われわれは、中央はもちろんでございますが、地方の方にもまだ相当節約をしていただく余地もあろうかと考えております。
  7. 小川豊明

    小川(豊)委員 今地方公務員が三割程度高いんじゃないか、こういうお話でしたが、今度〇・二五ヵ月の問題が出てきたので、これを見ますと、昭和二十九年度の給与所得推計額、これが二兆六千七百億、ここから算出してみますと、国家公務員に〇・二五ヵ月今度支払うとすると、三十六万人と見て十八億、それから中小学校教員のワクは二十四億、この中で半分の十二億というものは当然国家が出さなければならない。それから三公社現業で、〇・二五で四十億、地方公務員は三十六億、これらを今度引いてみると、一般民間の場合は幾らかというと三百五十九億、こういう数字が出てきます。これを合算すると四百七十七億という数字が出るわけです。この四百七十七億に、圧縮し圧縮してみて、〇・〇九四という税率をかけてみると、四十五億というものははね返りとして国庫の収入になってくる。あなたの方では十八億に、国庫負担しなければならない中小学校教員十二億を加えて、この分だけ負担すれば四十五億というものははね返ってくることになるわけです。そうでしょう。だから、こういう点からいうと、きのうも地方行政委員会などで〇・二五ヵ月を支給することによって、地方財政赤字が出る、これは予算措置通常国会においてしょうというようなお話があったわけです。それは一体あなたの方でどういうふうになさるのですか。
  8. 山手滿男

    山手政府委員 今いろいろ御指摘がございましたが、民間の方の給与につきましては、今度の問題は別でございますけれども、百十八億の方につきましては、これを出すことになりますと、もちろん税がはね返ってくるということになるわけで、さっき私が申し上げました給与の点が、国家公務員地方と多少の差があるというような考え方につきましても、これはまだはっきりしたことを申し上げる段階ではもちろんございませんし、ごく近いうちにはっきりした数字が出ると思いますので、給与の点につきましては、そういう権威のある数字が整いました上でよく検討してみたいと思っております。
  9. 小川豊明

    小川(豊)委員 これはゆっくり検討なさる段階でないと思うのです。非常に差し迫った問題なんです。今あなたは地方に三割もよけい高く行っているといいますが、国家公務員の方は一ヵ月から三ヵ月をもって昇給されているのです。ところが地方はみな延昇といって、一つも昇給を実施していない。それから日直や宿直を見ても、国の方は三百六十円行って地方は二百円、起動手当は国の方は七%、地方は三%、旅費でも国の方のは一等から三等まであるが、地方はみな三等になっている、こういうふうに圧縮に圧縮して地方財政の立て直しをやっているわけです。今度あなたの方は〇・二五ヵ月を支給することによって、地方財政は当然赤字になってくるわけです。きのうの委員会で付帯決議されたそうですが、これに対してあなたの方ではどういう措置をされるかということをお聞きしたいと思います。
  10. 早川崇

    早川政府委員 先ほど大蔵次官の言われました三割国家公務員の方が多いというのは、実は五大都市、特に東京その他でございまして、御指摘通り、この給与実態調査が昨日でき上りました。それによりますと、学歴勤務年限、そういうものを全部合せましたそういう条件のもとにおいて平均しますと、ほんの少し地方の方が多い。ただし現在自治庁におきまして、予算において組まれております地方財政計画における給与数字から比べますと、はるかに下回っておる。従って国家としては、なお給与に対して若干の補填をしなければならない、こういうのが大体の給与実態調査報告でございます。先ほど国の方が三割地方より少いというのは、東京とかほんの二、三の都市の実例でございますから、その点は私から補足さしていただきたいと思います。  なお期末手当所得税はね返り分が大体三十何億か出るようでありますが、地方といたしましては、それがいわゆる交付税率二二%というものによってはね返ってくる分を計算いたしまして、その計算だけでは実は大した数字は出てきませんので、今後期末手当民間を入れた税のはね返りということは、大蔵省の方で御検討願いたいと思っております。
  11. 小川豊明

    小川(豊)委員 大蔵次官にちょっとお伺いしますが、あなたはこの数字が間違っておると考えるかどうか。あなたの方が正確な数字を持っておられるわけで、私はしろうとで調べたのでありますが、私の調べによると、あなたの方は〇・二五ヵ月を上げることによって、その税金で四十五億がはね返ってくることになる、これは間違いありませんか。そうするとあなたの方は、十八億出すことによって四十五億吸い上げてしまうことになる。
  12. 白石正雄

    白石説明員 数字のことでございますので、私から説明さしていただきます。今回国家公務員並びに公社地方公務員につきまして、〇・二五ヵ月分が前年に比較いたしまして純粋に増加する、かようなことに相なりますと、その総額は百十八億程度推定せられておりますから、それに対しまする所得税はね返りは、二十五億程度ははね返るものと、かように推定されるわけであります。ただ民間につきましては、前年度に比較いたしまして〇・二五ヵ月分だけ純粋に増加するかどうかという問題は、また別個の問題でございまするので、全体の給与水準その他賞与の支給状況等の実施の状況に応じまして、源泉所得税全体がどのような収入状況を示すかということになって現われるものと考えております。
  13. 小川豊明

    小川(豊)委員 昭和二十九年度の給与所得は二兆六千七百億ときまっているのです。あなたの方の数字で出ておるのです。その二兆六千七百億というものを分類すると、国家公務員は七十二億であって——このあれでいきましょう、〇・二五ヵ月で、七十二億を基礎にした、あるいは中小学校の九十六億、こういうものを基礎にした〇・二五ヵ月でいくと、あなたの方は国家公務員に十八億出さなければならない、中小学校教員には二十四億出さなければならない。その中で、全体の半額の十二億はあなたの方で出す。三公社現業は四十億である。それから地方公務員は三十六億である。そういうものを差し引くと、三百五十九億というものが当然出てくる数字なんです。あなたの方では〇・二五ヵ月出すところもある、出さないところもあるからわからない、こういうことでしょう。今はそれがどうなるか、その数字がわからないからこの点ははっきり申し上げられない、こういう御答弁だと思う。そういう点からいくと、昨年はともかく千四百三十六億というものが民間給与所得である。これに対して三百五十九億というものが上っておる。ことしこれが上らないというのならこれは別です。私は上ると思う。上るとはね返ってくるものは四十五億になる。だからあなたの方で十八億と十二億、三十億を支給することによって四十五億というものは当然あなたの方にはね返ってきてしまうのではないか。大へんにあなたの方はもうけておるのではないかということを聞きたいのです。
  14. 白石正雄

    白石説明員 国家公務員、三公社地方公務員につきましては、おそらく前年に比較いたしまして〇・二五ヵ月分が純増になるものと考えられますから、その分の増加額が百十八億という程度に私ども承わっておりますので、その分の所得税はね返りは二十五億程度になるものと推定できるわけでございます。民間につきましては、国家公務員が〇・二五ヵ月分ふえたから直ちに〇・二五ヵ月分ふえるというような推定は必ずしも適当でないと考えられますので、これにつきましては別個の問題として検討しなければならぬのではないか、さように考えておるわけでございます。
  15. 小川豊明

    小川(豊)委員 食糧庁に対してはあとで質問します。
  16. 松原喜之次

    松原委員長 関連質問があります。これを許します。横山君。
  17. 横山利秋

    横山委員 今のお話に関連してちょっと早川さんにお伺いしたいのですが、東京その他の少数の大都市人たち国家公務員との比較の問題ですが、それはどういう方法比較されておるのですか。
  18. 早川崇

    早川政府委員 詳しい資料をけさ見ましたが、ここに持ってきておりません。勤続年数学歴、そういったものを総合いたしまして、国家公務員一般職と、それから地方公務員大都市一般職とを比較いたしてあります。ただ教員比較するものが実はないのです。だからこれは別に考えております。
  19. 横山利秋

    横山委員 そうしますと、大蔵政務次官のおっしゃった俗にいう三割説というものは、あなたの方では根拠なきもの、こういうふうに推定をされるわけですね。
  20. 早川崇

    早川政府委員 そうではなくて——三割という不正確な数字ではなくて、正確な数字で、たとえば東京一般国家公務員一般職とのあれは明確に出ております。従って私の申し上げたのは、そういう一部では三割近い——三割にはならぬと思いますが、三割近い同じ条件地方公務員国家公務員との差が出ておりますが、市町村というものの公務員は、今度は逆に国家公務員よりもはるかに悪い。従って全般的に地方公務員国家公務員を今申し上げましたような条件下で比較いたしますと、ほんの少し国家公務員より地方公務員が多い。しかし従来の地方財政計画による給与基礎よりは国家公務員の方が多い、こういうことになっておりますので、その穴埋めは、一つ財政措置として、地方財政計画を立てるときにどうしても考慮しなければならぬものではないか、こういう結論になっております。
  21. 横山利秋

    横山委員 あなたの話は大体わかりました。俗にいう三割説というものは、たとえば東京大阪府県、市、区の職員金額の総トータル国家公務員の総トータルとを按分比例してとると、そういう結果になると思います。おっしゃる通りそういう学歴なり、勤務年数なり、そういうものを抽出して比較すれば、三割説というものは僕は根拠なきものと思う。大阪なんかは、地域給国家公務員にはついて、府の職員にはそういうものがつかない。それから大体において勤続年数学歴、その他については、大都市職員の方が比較的多いことは、御調査になっておわかりのことだろうと思います。そういう科学的な方法によって比較をなさらないと、俗にいう三割説というものが国会に横行して、誤まった判断をすると思います。これは大蔵政務次官にも頭の中に入れておいてほしいと思います。
  22. 山手滿男

    山手政府委員 先ほど私が申し上げましたのは、自治庁政務次官から補足を申し上げました通りでありまして、一部のところではそういうのもあるという工合であって、給与実態調査の結果を詳細に調べてみなければいけないけれども、多少高い部面もあるだろうという話を申し上げたわけであります。今の給与実態調査内容につきましては、正確を期するためにいろいろ努力はされたように聞いておりますが、今あなたの最後の段でお話になりましたような、いわば科学的な調査をしたように私は聞いておるわけであります。
  23. 藤枝泉介

    藤枝委員 動議を提出いたします。ただいま議題となっております交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案につきましては、質疑も大体尽されたと存じますので、この程度にて質疑を終了せられんことを望みます。
  24. 松原喜之次

    松原委員長 ただいまの藤枝君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  討論の通告がありますので、これを許します。石村英雄君。
  26. 石村英雄

    石村委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題に供せられております交付税等特別会計法の一部改正法律案に対して、反対意思を明らかにせんとするものでございます。  われわれ社会党の主張は、昨日の本会議におきまして、補正予算関係での法律案改正に対しましても反対意思は明らかにされておりますので、ごく簡単に要点だけ申し上げておきたいと存じます。  この改正案内容は、交付税及び譲与税配付金特別会計法に、歳入において借入金の道を開かんとする修正案でございます。特別会計法で、たとえば事業なんかをするような特別会計においては、あるいは借入金という方法も場合によっては考えられるかと存じますが、地方財政のためのこの交付税についてその財源借入金によるということは、健全財政という立場から申しまして絶対に承服することのできない改正でございます。政府はしきりに健全財政ということをおっしゃるのですが、健全財政という立場を貫くためには、赤字公債発行を事実上認めるところのこの借入金の道を特別会計法において認めることはとうてい困難でございます。政府は、単に今日の窮乏している地方財政を救うために歳出をしなければならぬ、そのために、歳入についての意見がまだ統一されないので、とりあえず借入金でやっておくだけだ、ただ予算歳入歳出の面をつくろうのにすぎない、こういう御説明でございました。しかしながら、政府が今後どんな処置をされるかということはまだ未確定でございます。そうして、少くともこの法律案改正によりまして、交付税特別会計法において借入金の道が開かれる、赤字公債発行の道が開かれるということはきわめて重要なことだと存じます。財政紊乱端緒をここに開くといわざるを得ないと思います。政府通常国会において処置をすると言っておりますが、いかなる処置が行われるか、それは全く未定であります。今日明らかなことは、赤字公債発行の道をここに開いたということで、重要な問題だと存じます。日本社会党は、財政健全化のために、赤字公債発行には絶対反対いたしておるわけでございます。従って、赤字公債の道を今日開く、財政紊乱端緒をここに引き起すというこの法律案には、われわれは絶対に承服することはできません。もし政府は、今日の地方財政の窮乏を救うために何らかの処置を講じなければならないというお考えであるならば、はっきりした歳入をここに持ってくるべきである。借入金によってこれをまかなうという考え方は、絶対に承認することのできない方法だといわざるを得ないのであります。与党の諸君も、この財源についてはいろいろ御異論があるかに聞いておりますが、前尾君の代表質問では、防衛庁費の繰越金でまかなえという自由民主党を代表しての質問もございました。従って、いかなることになるかわからない問題でこうした赤字公債発行の道を開くということについては、財政健全を主張せられる自由民主党の方もぜひとも反対していただきたいと存じます。  これをもって私の討論を終ります。(拍手)
  27. 松原喜之次

    松原委員長 次に石野久雄君。
  28. 石野久男

    石野委員 私はただいま上程になっております交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案に対して、反対意見を簡単に申し上げます。  ただいま社会党を代表されて反対意見がありましたように、この法案の意図する根本はどうありましょうとも、結局はこれによって健全財政が紊乱されようとするという点が第一点。  第二点は、地方自治体の現在の赤字財政に対する対策といたしまして、政府は非常にごまかし方策をとっておるということに、私たちは強く反対しなければなりません。地方財政の問題に対するほんとうの施策を地方から要望している点に対しては、何もこたえていないのであります。特に税率三%に相当するものをここで補おうとする意図は、ほんとう地方の要望に対するごまかしであるということは、しばしば同僚議員からの質問でもはっきりしておるところであります。特にこれに関連して、引き当ての財源とされるべきものが地方団体公共事業の削減にまで及んでいるという点は、かえって逆に地方財政を一そう窮迫させるということになってくると思います。われわれは、こういうような方策に対しては根本的に反対しますとともに、もっと自民党の皆さんが、地方財政ほんとうに窮迫している事実を真実に認めていただいて、補正予算等処置をとって、こういう赤字に対する対策として赤字財政の端を開くような方策をとらないように私は念願したいと思います。このような意味合いから、私どもはもっと抜本的な地方自治体に対する方策を打ち出されることを希望して、このごまかし法案に対しては反対をいたします。  以上、労働者農民党を代表して本法案反対するわけであります。(拍手)
  29. 松原喜之次

    松原委員長 これにて討論は終局いたしました。これより採決に入ります。交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案について採決いたします。本法律案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  30. 松原喜之次

    松原委員長 起立多数。よって本法律案は原案の通り可決いたしました。  この際お諮りいたします。ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成、提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議はありませんか。   〔「異議なし」ヒ呼ぶ者あり〕
  31. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。
  32. 松原喜之次

    松原委員長 引き続き食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案についての質疑を続行いたします。小川豊明君。
  33. 小川豊明

    小川(豊)委員 この前の委員会で井上委員から砂糖の問題で質問があって、それに対するお答えがあったわけですが、ただここで私お聞きしたいのは、アメリカの全部ではありませんが、ある州等では砂糖に精製ブドウ糖を一割か強制混入している州があるということですが、あなたの方ではそういうことをお調べになってありますか。
  34. 新澤寧

    ○新澤説明員 お話通りどもの方でも、アメリカの州で州の法律を作りまして、強制混入をしているという話を聞いております。
  35. 小川豊明

    小川(豊)委員 今砂糖価格が暴騰したり暴落したりしている。これは砂糖の正常な価格ではなくて、むしろ輸入の不手ぎわ等からくる投機によってこういう結果が出てくる。これを防ぐことを考える場合に、日本の有効需要を私は大体百万トンだと見ているのですが、百万トンの中にもし強制混入等が一割されるとすれば、十万トン混入することができるようになるわけです。十万トンの混入ができるとすれば、その十万トンの分だけは砂糖の輸入を圧縮することができるわけです。一方にこの砂糖の価格と見合って、輸入糖の価格の上り下りに応じて澱粉の価格が絶えず上り下りをしており、このことから澱粉業者が非常な不安と動揺の中に置かれている。こういうことを防ぐことからも、調べてみると、昭和二十九年度には十四億万貫というのが日本のカンショの生産高なんです。これを精製ブドウ糖にして、一割、十万トン混入するとすると、これに要する澱粉が二千九百六十万貫、カンショにするとこれがちょうど生産高の一割になり、一億四千万貫というものがここに振り向けられることになるわけです。そういうことになると、砂糖の輸入が一方において抑制できると同時に、澱粉の価格も非常に安定してくるのじゃないか。今聞くと、中小企業等の澱粉業者には金を貸さないそうです。というのは、絶えず不安の中に置かれているから貸さない。そういうことから、澱粉業というものは一そう困難な状態に追い込まれている。こういうことをあなたの方ではお考えになって、この精製ブドウ糖というようなものを作っていくようなことを研究されたことがあるか、ないまでも、そうい・りことを日本でもやるべきであるというような見解を持っておられるのかおられないのか、この点をお尋ねしておき  たい。
  36. 新澤寧

    ○新澤説明員 お話通り、砂糖をできるだけ国内で自給するという線、それから栄養的な観点からも、精製ブドウ糖は非常に価値の高いものだということを聞いております。従いまして、精製ブドウ糖の生産ということに関しましては、私どもも非常な関心を持っておるわけであります。数年前から二村につきまして応用研究費を出しまして、その工業化の研擁を促進して参ってきておるわけでございますが、御承知通り、精製ブドウ糖として砂糖にまぜますためには、非常に純度の高い製品ができることが必要でございますので、なかなか工業化がむずかしいわけでございます。そういうわけで、今まではまだ完全な企業化、工業生産というところまで行きませんで、実験室の段階であったわけでございますが、幸いにして実験室の段階を過ぎまして、工業生産をなし得る曙光が見えてきたわけでございます。実は今年度、その技術がある程度まで完成しました数社に対しまして、開銀等の資金のあっせんをするという心組みでおりましたが、なかなか今のところ思うようにいっておりません。さらに私の方も側面的な援助をいたしまして、早く工業化ができるように持っていきたい、こういうふうに心がけておるわけでございます。残念ながら実は今日の段階では、ようやく実験室の段階を終えたというところにとどまっておるわけでございます。今後さらに一そう努力いたしたい、こう考えております。
  37. 小川豊明

    小川(豊)委員 農林省でそういう点について研究に着手されておったということは、私は今初めて聞いたのですが、非常にけっこうなことだと思います。砂糖の輸入を削減することが、さらにはこの価格、それから関連する澱粉価格等の安定もはかり得ることだから、これはぜひ急速に一つ各省とも連絡してお進めに努力を願いたいと思います。  次に、昨年問題になった砂糖の消費税の三ヵ月延納が二ヵ月になったわけであります。あれもいろいろ問題があって、三ヵ月を三ヵ月にしたわけですが、あれは二ヵ月が妥当でありますか、それとも二ヵ月をもっと圧縮するというような意思は大蔵省の方にありますか。
  38. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 砂糖の消費税の延納期間の問題でございますが、御承知のように法律では三ヵ月になっておりますが、現在三ヵ月以内ということで二ヵ月で実施いたしております。現在の二ヵ月が妥当か、もう少し短かくしてもいいかどうかという問題につきまして、いろいろわれわれの方も検討しておりますが、来年度の予算などと見合いまして、もっと短かくしてよいという結論が出ればさらに考えてみたいと思います。現在といたしまして、もう少し検討さしていただきたい、かように考えます。
  39. 井上良二

    ○井上委員 食糧管理特別会計法の一部改正に関連して、先般の質疑の続きをいたしたい。いろいろ資料を要求しておりますけれども、間に合いませんから伺いますが、九月から始まります三十年度産米の買い入れですが、この買い入れ石数は、最近まで月別どのくらいの石数になり、その支払い金額はどのくらいになっているか。概数でよろしい。
  40. 新澤寧

    ○新澤説明員 三十年産米の買い入れでございますが、実は月別まで出ておりませんので恐縮でございますが、十一月末現在の累計を申し上げますと、二千三百六十二万七千石買い入れを了しております。これに見合います政府の支払い金額は、実は買い入れ数量よりも集計がおくれて参りますので、これに見合った買い入れ金額は集計がまだできておりません。大ざっぱに申し上げますと、これに大体一万円をかけた数字が支出金ということになります。
  41. 井上良二

    ○井上委員 大体予定通りの集荷ができているようでございますが、それに伴って、買い入れ代金の支払いに関連する食糧証券の発行も順調のようでありますが、ただ十一月になりまして五十億不足しておりますね。その五十億をどこからお借りになったか知りませんが、一時借り入れ金をいたしておるが、この一時借り入れ金というのは中金から借りたと思いますが、この金利は何ぼお払いになっておるか。それからその後立てかえ払いなるものをさしているようですが、立てかえ払いの総金額は何ぼですか。
  42. 新澤寧

    ○新澤説明員 第一の一時借り入れ金の金利は一銭九厘であります。それから中金に立てかえ払いをさしております金額は約二百億であります。
  43. 井上良二

    ○井上委員 政府機関である食管特別会計の米の買い入れ代金を、中金をして立てかえ払いをさせるという法的根拠は何に基いておるのか。
  44. 新澤寧

    ○新澤説明員 現在食管特別会計法によりまして、政府の支払いの事務を農林中金に委託しております。農林中金に資金を流し、それで支払いをさせておるわけでございますが、政府の予定されております買い入れ見込み数量と実際とはなかなか一致いたしませんので、契約におきまして、政府がひどく貸し越しをいたしました場合には、貸し越しをいたしました場合の処理の方法、逆に政府の資金交付が少かった場合、いわゆる中金が立てかえ払いをいたしまして赤字になっております場合には、そのときの処理の方法につきまして中金と契約を取り結んでおるわけであります。結局食管特別会計法に基きます中金と食糧庁との間の契約でやっておる、こういうことになります。
  45. 井上良二

    ○井上委員 食糧売り払い代金が納付金額で約三千四、五百万円ぐらい収納されておるようでございますが、一体この収納されたものの金利は、中金からなんぼもらっておるのです。つまりこちらに収納されてくるとき、中金へ入れるでしょう。その場合の金利はどのくらいになりますか。
  46. 新澤寧

    ○新澤説明員 政府収入金は、直接政府が日本銀行を通じて収納するわけでございますので、中金は中に入っておらないわけであります。
  47. 井上良二

    ○井上委員 そうしますと、ここで問題になりますのは、御存じの通り食糧証券が予定通り発行不可能になってきて、現実に一時借入金をしたり、立てかえ払いをさせておる。これは、政府の食糧代金、売り払い収納金は、中金を通して食糧証券と相殺される、こういう形をとっておるのかと思ったが、そうではなしに、米の売り払いの収納代金は日本銀行にやらせておる。そうすると、食管は日本銀行から金融を受けて、そして支払いをすればいいのであって、一体どういうわけで政府機関でない中金を通すのですか、中金から立てかえ払いをさせなければならぬのか、政府から払えばいいじゃないですか。
  48. 新澤寧

    ○新澤説明員 ただいまの、収納金が日銀に入りますと言ったのは、国庫金の取扱いがすべて日銀に入っているので日銀に入る、こういう関係でございます。日銀から食管会計が金を借りているという関係ではないわけでございます。それで、食糧代金の支払いにつきましては、御承知通り末端の農協が大体集荷の大部分、九〇%以上を扱っておるわけであります。従いまして、代金の支払いにつきましては、農協系統を通じまして代金の支払いをするということが一番便利であるわけであります。そこで農協の金融機関であります農林中央金庫を政府の食糧代金の支払いの、いわば代行機関として取り扱っていくのが一番代金支払い上便宜である、こういうふうに考えておるわけであります。  なおついでながら融れますと、農協を通じませんで、いわゆる商人系統を通じて米の集荷をいたしております米の代金は、地方銀行を通じて支払いをしておる、こういうわけであります。ただ支払いの便宜によりまして農林中央金庫を使っている、こういうことになります。
  49. 井上良二

    ○井上委員 この一時借入金とか、これの立てかえ払いの金利というものは、食糧証券の金利に比べると高いわけですね。そこでこれを農協に政府が保証保管を命じまして、たとえば今度のように政府の食糧証券の発行限度引き上げの法的措置がおくれました場合、当然その立てかえ払いなり一時借入金をせなければならぬ事態が起ってこうしたと思いますが、そういう場合、農協に対して政府が、農協が集荷いたしました政府買入米の代金を保証する、そうして農協にその米は代金支払いまで保管さす、そういたしますならば、その間の金利は農協に入るのです。つまり農協がその間の金利をいただくことに相なるのに、そういう手はずをせずに、特に高い金利を支払って立てかえ払いまでさせて、急にこれを集めなければならぬという理由はとういうところにあるのですか。
  50. 新澤寧

    ○新澤説明員 ただいまおっしゃいましたような方法考えられないではないと思いますが、農協が保管いたすにいたしましても、農家に対しては代金を払わないというわけにいかないのではないかと思うわけであります。従いまして、農協としてはどこかから金融をいたしまして支払うということになりますと、果して現在中金に対して政府が払っております金利と、農協がどこかから金融を受けまして立てかえ払いをするその金利を政府が保証しなければなりませんから、その金額とどちらが上になるかということになろうかと思います。その間、むしろ政府が中金に支払う金利の方が、いろいろなコスト関係から見まして安上りにいくであろうというふうに考えておるわけであります。
  51. 井上良二

    ○井上委員 そうすると食管では、政府の買い入れ代金は直ちに農民に手渡されておるとお考えになっておりますか。
  52. 新澤寧

    ○新澤説明員 現在の食管の支払いの建前といたしましては、農家が物を売って参りますならば、即座に代金が手に入るようにということを建前といたしまして、資金を中金を通じ、系統団体を通じて流しておるわけでございます。ただ実際上の問題といたしまして、農家といたしましては、必要な現金だけを直ちに受け取り、残余を貯金いたしておる、こういうことは実態としてあろうかと思いますが、食糧庁の建前といたしましては、即座に現金が農家の希望に応じて支払い得るような態勢ということを建前として承認いたしておるわけて拠ります。
  53. 井上良二

    ○井上委員 われわれも、現実に集荷されました食糧代金が、建前としては今御答弁のように直ちに現金化できるような系統機関を通じての支払いをいたしておることを知っております。しかし実際農協においては、いろいろ他の取引関係や組合機関、その他の関係がございまして、精算が非常におくれておる現状です。だからピーク時代の買い入れ代金は、ここで二週間や三週間おくれたところで、そんなに農民が支払いを火のつくようにやかましく言うてこないのです。だからそういう金融機関に特別高い金利を払わなければならぬような事態ならば、集荷しました米は政府が買い入れることは明らかでありますから、買い入れの保証さえするならば、その間の金利は農協に入るわけです。それだけ農民の利益になるわけなんです。そういう措置は何で講ぜられぬのか。法律に規定してない違法行為をやってまで高い金利で金を借りて、特別金融機関だけに金をもうけさせるという措置をとる必要はないじゃありませんですか。農協団体は政府保証をしておけば、その間の倉敷料なりあるいは金利というものは農協に入ってくる。そういう手当が必要だと思いませんか。
  54. 新澤寧

    ○新澤説明員 確かにお話のようなことが考えられないわけでないと思いますが、現在の食管法の建前で参りますと、いつ政府に所有権が移転するかという問題等、いろいろむずかしい問題がからみますと同時に、資金関係と申しましても、中金に非常に不当な利益を与えておるというようなお話でございましたが、中金もそれ相当のやはり資金コストがかかっておるわけでございます。それらを勘案いたしまして、現行制度のもとにおきまして、政府の支出関係をながめあわせまして一番妥当な方法ということで、ずっと従来とも今のような中金と食糧庁との契約によりまして、貸し越し借り越しを含めました相互的な契約をして処置をしていくことが、事務的にも一番簡明明確に処理できる、こういうことでやっておるわけでございます。新しい制度をとります場合にも、いろいろ確かに御意見のような点はあると思いますが、いろいろそれに付随します事務上の困難さということを相殺しますと、今やっている方法が一番適当しているのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
  55. 井上良二

    ○井上委員 ただいま食管の総務部長のお話によると、従来も金が足らぬときは中金と契約して、そうして法的根拠のない立てかえ払いなり一時借入金をやってきた、こういう御説明ですが、大蔵当局はさようなやり方を妥当なやり方とお考えになっていないでしょう。先般も、今回はやむを得ない事態だということで御答弁をされたようですが、今の答弁によるというと、従来もずっとさような便宜をとってきた。政府機関の特別会計の経理を、全然政府機関でない他の機関に、しかも高利でもって立てかえ払いをさすという措置を慣例的に認めるようなことがあり得ますか。
  56. 村上孝太郎

    ○村上説明員 この問題は、前回石村委員でございますか、御質問に対してお答え申し上げたようなわけでございますが、農林中金の立てかえ払いと申します制度は、法律的根拠といたしましては、食糧管理法の、食糧代金の支払いについて、これを農林中金に委託することができるという規定から発生しております。一般に国の会計事務を国の会計職員以外にやらせますについては、法律的根拠が要りますが、この法律的根拠に基きまして、国は農林中金と委託契約を結ぶわけでございます。その委託契約は、これは民法の委任の規定と大体同じでございますが、委任の規定におきましては、まず費用は前払いするのが原則でございます。そこで委任契約における費用の前払い契約に相当する部分は、いわゆる食糧代金として国から交付を農林中金にするという関係になります。ただ全国非常に広い範囲で農林中金は支払いをいたしております。従って支払いをいたします金額が、交付しました金額をこえる場合が往々にしてあるのであります。そうした場合に、その交付した金額をこえる部分につきましては、農林中金は国に対して費用償還請求権を持つわけであります。国としてはそれが減りますと、あとでまた不足した資金を交付する。そういう関係で代金支払いを委託してやっておるわけでございますが、国から交付しました資金が遊んでおる間は、国から農林中金に対して利息を請求し、もし農林中金が代金支払いに不足した部分を立てかえましたときには、逆に国に対して立てかえ払いのいわゆる費用償還請求権に付随します利子、これは民法の委任契約で認めておりますが、そういう利子の支払いの請求をする、こういう関係になっております。これは従来もずっとやっておったんでございますが、非上委員のおっしゃいますのは、おそららくこの間石村委員のおっしゃいましたように、そういうような立てかえ払いという制度を活用しますというと、財政法の四条とか七条で、一時借入金なりあるいは借入金の限度を国会の議決を経てきめておるにもかかわらず、そういう立てかえ払いという形でその限度を実質的にこわすようなことがあると、しり抜けになるんじゃないかということだろうと思います。実際に財政法四条なり七条の国会の議決を経てきめました借入金の限度をこすような形で立てかえ払いが行われておるのは、これは例外的です。こういう意味でありまして、ただ通常の場合は食管会計の借入金、一時借入金、食糧証券の限度に余裕がございまして、しかも今申し上げましたような資金交付が不足した場合に、ある程度農林中金が立てかえをするという制度は、これはずっと今までも慣例的に行われておりますし、これは私は合法的であろうと思います。そういう意味から、場合を二つに考えまして、そうしたいわゆる代金の委託支払いに付随します。いわば農林中金におきます代金支払いのしりのプラス、マイナスについての問題、これは慣例的に普通であるが、ただそれが実質的に食糧証券なり一時借入金の限度をこえたような立てかえ払いが行われるのは例外である、こういうように御了解を願いたいと思います。
  57. 井上良二

    ○井上委員 政府支払い資金の金利がだぶついて一時中金に保管されておる。その金利はなんぼもらっておりますか。
  58. 新澤寧

    ○新澤説明員 今契約上の金利は、一銭五厘五毛であります。
  59. 井上良二

    ○井上委員 そうしますと、今大蔵当局の御説明によれば、あなたの方がある程度余分に中金に持たした場合は、金利をこれこれでいただく。もしその資金が足らぬ場合は、一時借入金なり立てかえ払いの措置を便法的に講じてきた、こういうことなら、あなたの方は一銭六厘で金利をもらっておりながら、立てかえ払いをしたときにはこれが一銭九厘なりあるいは二銭というのは、どういうわけか。そんなばかなことはあり得ないのだ。相互の関係なら相互の金利でいいわけじゃないですか。
  60. 新澤寧

    ○新澤説明員 政府が中金に交付いたします資金は、食糧証券あるいは国庫余裕金等で調達いたしましたものを交付しておるわけでございます。従いまして、そういうような余剰を生じました場合には、政府の調達いたしました資金コストに見合った金利を徴収しておるということでありますし、また逆に計画以上に買い入れが進みまして、あらかじめ交付いたしました資金で足りないで、中金が自己資金をもちましてその立てかえをいたしまして穴埋めをしたという場合には、やはり中金としての資金調達上のコストがあるわけでございますから、それらを見合せまして、手続をとっております。
  61. 井上良二

    ○井上委員 あなたの考え方はちょっと違うのです。今大蔵当局のおっしゃるような考え方なら、私は相見互いであるからいい。政府資金の場合は、一銭六厘であなた方は金利の計算をして、中金の一時借入金あるいは立てかえ払いも一銭六厘に相殺しているということならいいと思う。しかしそれが必要限度以上の資金を中金が動かさなければならぬことになった場合には、さような安い金利ではできないという今のあなたの御答弁です。そうならば、一体必要以上の自己資金を動かさなければならぬような会計の現状に放任しておる責任は、だれが負うのですか。この二百億の借入金をやって、日歩二銭の金利を払えば、少くとも三千万円からの金利が払われているのです。三千万円という金は、心やすい金ではありません。あなた方の資金操作のよろしきを得ないために起るもので、これは一体だれが負担をするのですか。結局消費者が負担するか、一般国民が負担することになるのではないか。そんな心やすいことを言っておっては困る。資金が必要以上に足らぬことになって、やむを得ず中金の自己資金を必要以上に借り出したために、こういう利子を払わなければならぬ。これはあなたの言うことは当りまえでしょう。しかしそれでわれわれ国民はいいんだということになりましょうか。そういう会計操作を認めた大蔵省は、どうするのです。大蔵省はそれでいいと思っているのですか。三千万円もの金を、そうはいきますまい。そういう点はもっと責任を負ってもらわなければだめですよ。金額予算全体からすればわずかなもので、食管会計全体の操作からいえばわずかなことかもしれぬ。しかし今日三千万円というような金をあなた方事務当局で心やすく考えられたら、たまったものではない。何ゆえにさようなことをやられるのか、そこを伺いたい。
  62. 原純夫

    ○原政府委員 お話の点はまことにごもっともであります。私どもも中金の立てかえ払いがかさむということにつきましては、お話の資金コストという意味で、食管に相当な負担がかかる。これは相当問題であるということを考えまして、何とかそれを軽減といいますか、厚め合せたいということを大蔵省として考えました。その結果、国庫余裕金を食管はふだんから使っておるわけでありますが、これをあとう限り食管に回すということによって、金利のない安い金を一部使う。それによってただいま御指摘の方の金利の増を何とか防ぐ。とんとんということになりますかどうか、一向私まだ見ておりませんが、そういう気持でいたしましたので、御指摘の点はわれわれも注意をいたし、同時にそこまで手を打っておりますことを御了察いただきたいと思います。
  63. 井上良二

    ○井上委員 その点は今後特に御注意を願いたいし、またピーク時にはかような事態が実際避け得られないことになりますから、やむを得ないと思いますが、そういう場合はさいぜんのように、この三千万円という金が単協なら単協へそれだけ入っていけば、それだけ農民の利益にもなるのですよ。そこらをもう少し御検討願って、国会休会中のやむを得ない事態とわれわれも考えますが、そういうあたたかい行き届いた政策というものをもう少し考えてみる必要があるのではないか。ただ中金との契約があるから、委託契約に基いて、机の上で簡単にそういう書類を作れば、それは簡単です。簡単だけれども、それはだれも利益にならない。そういう点をもう少しまじめに御検討願いたい。  それから大蔵主計当局に伺いますが、大臣などのえらい人はいいかげんなことを言うけれども、あなた方実際そろばんを持って年間の財政計画をいろいろ御検討願っておる専門家の立場からお答え願いたい。いろいろ新聞等で伝わるところによると、大蔵当局は現在生産者米価と消費者米価との開きを何とか縮めようと考えて、消費者米価を上げるべしという意見が非常に強い。事務当局としては、一体来年度予算編成に関して、消費者米価を上げるのを妥当と考えるか。これを上げれば賃金に影響し物価に影響していく、国際収支に影響してくるということから、そう簡単にこれを動かされぬと考えておるか。そこらは一体実際のケースと、専門家としてどういうお考えのもとに、来年度予算の基本的問題と取り組もうとしておるか、この構想を一応あなたから御説明を願いたい。
  64. 原純夫

    ○原政府委員 非常に重要な問題でございますので、慎重に検討いたしました上で申し上げたいと思います。ただいま事務当局の意見としても申し上げる段階ではないと思いますので、ごかんべんを願います。
  65. 松原喜之次

    松原委員長 石村委員より質疑の要求がございますので、これを許します。石村英雄君。
  66. 石村英雄

    石村委員 ただ一点だけお尋ねいたしておきます。  ただいま大蔵省の御答弁では、立てかえ払いの解合には、償還請求権があって、それによって請求しているんだ。こういうことなんですが、食糧庁の方では、農林中金と立てかえ払いについての契約に、この点はどのようにはっきり契約なさっていらっしゃるか。ただ償還請求権があるから、その請求してきたのによって適当に払うというのか、それともあらかじめ契約に当って、政府の方は、政府の方が借り越しになったときには、金利なら金利、何なら何を幾ら払うというような、ちゃんとした契約があるかないか、御説明願います。
  67. 新澤寧

    ○新澤説明員 先ほど来御説明申し上げました通り、できるだけ一切の買い入れ状況を見込みまして、資金交付をいたしているわけでございますが、実際はそうはつきりいたしませんので、若干の立てかえが出ております。それに対処して、契約上もし政府の資金交付が多過ぎた場合には、それに対する金利をもらう、逆に資金交付が少くて、中金で自己資金を運用して金繰りをいたした場合には、その結果、金額に応じて幾らの金利を払うという契約をはっきりしております。
  68. 石村英雄

    石村委員 私の聞いているのは、その金利契約に金利が入っているとすれば、金利を幾ら払う、あるいはもらうという金利の額が契約の中に決定されているかどうかという点でございます。決定されているなら、その金利の決定された額を御説明願います。
  69. 新澤寧

    ○新澤説明員 日歩幾らということで書いておりまして、政府が貸し越しをした場合には、日歩一銭五厘五毛の割合、逆に政府の借り越しになっております場合には日歩二銭の割合で金利を支払う、こういうことになっております。
  70. 藤枝泉介

    藤枝委員 動議を提出いたします。ただいま議題となっております食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案につきましては、質疑も大体尽されたと存じますので、この程度にて質疑を終了し、一討論を省略して直ちに採決されんことを望みます。
  71. 松原喜之次

    松原委員長 ただいまの藤枝君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  これより食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案について採決いたします。  お諮りいたします。本法律案を原案の通り可決するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よって本法律案は全会一致をもって原案の通り可決いたしました。  この際お諮りいたします。ただいま決議いたしました法律案に関する委員会報告書の作成、提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  本日はこの程度にとどめ、次会は明後十五日午前十時より開会することといたします。  これにて散会いたします。    午後零時三十二分散会      ————◇—————