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1955-11-29 第23回国会 衆議院 大蔵委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十一月二十九日(火曜日)    午前十時五十六分開議 出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 大平 正芳君 理事 加藤 高藏君    理事 内藤 友明君 理事 藤枝 泉介君    理事 春日 一幸君 理事 横路 節雄君       有馬 英治君    黒金 泰美君       小山 長規君    薄田 美朝君       福田 赳夫君    古川 丈吉君       保利  茂君    坊  秀男君       山村新治郎君    山本 勝市君       石村 英雄君    石山 權作君       井上 良二君    木原津與志君       田万 廣文君    平岡忠次郎君       石野 久男君  出席政府委員         大蔵政務次官  山手 滿男君  委員外出席者         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局経済部         長)      坂根 哲夫君         大蔵事務官         (主計局次長) 宮川新一郎君         大蔵事務官         (主税局長)  渡邊喜久造君         大蔵事務官         (理財局長)  河野 通一君         大蔵事務官         (銀行局長)  東條 猛猪君         国税庁長官   阪田 泰二君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 七月三十日  委員田子一民君、保利茂君、石田宥全君、井手  以誠君及び岡良一辞任につき、その補欠とし  て薄田美朝君、福井順一君、小川豊明君、石山  權作君及び河野密君が議長指名委員選任  された。 十一月七日  委員石村英雄辞任につき、その補欠として櫻  井奎夫君議長指名委員選任された。 同月二十五日  委員福井順一辞任につき、その補欠として保  利茂君が議長指名委員選任された。 同月二十六日  委員櫻井奎夫君辞任につき、その補欠として勝  間田清一君が議長指名委員選任された。 同月二十九日  委員宇都宮徳馬君、菅太郎君、森下國雄君、勝  間田清一君及び横山利秋辞任につき、その補  欠として川島正次郎君、高見三郎君、藤枝泉介  君、石村英雄君及び木下哲君が議長指名で委  員に選任された。 同日  理事森下國雄委員辞任につき、その補欠とし  て藤枝泉介君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  国政調査承認要求に関する件  金融に関する件  税制に関する件     —————————————
  2. 松原喜之次

    松原委員長 これより会議を開きます。  諸君の議席は、必要ある場合には委員長において適宜変更することとし、ただいま諸君の御着席になっておられる通り指定いたします。     —————————————
  3. 松原喜之次

    松原委員長 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  理事でありました森下國雄君が本日委員辞任いたしましたので、理事一名が欠員となっております。この際理事補欠選任を行いたいと存じますが、これは先例によりまして、選挙の手続を省略し、委員長より指名いたすに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。それでは委員長におきましては、藤枝泉介君を理事指名いたします。     —————————————
  5. 松原喜之次

    松原委員長 次に、国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。  諸君承知通り常任委員会は、会期中に限り、議長承認を得て、所管事項について国政に関する調査をすることができることとなっております。当委員会におきましても、調査する事項税制に関する事項金融に関する事項外国為替に関する事項国有財産に関する事項専売事業に関する事項印刷事業に関する事項造幣事業に関する事項補助金等にかかる予算の執行の適正化に関する事項といたしまして、議長に対しその承認方を要求いたしたいと思いますが、これに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  なお議長に提出する国政調査承認要求書の作成、その提出等手続につきましては、委員長に御一任を願っておきたいと思いますが、これに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。     —————————————
  8. 松原喜之次

    松原委員長 次に、大蔵政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。
  9. 山手滿男

    山手政府委員 私は、今回はからずも政務次官に任命をされまして、皆様の御厄介になることになりました。私は、大蔵省のことにつきましてはきわめてふなれでございますので、皆様方のお引き回しによりまして、大過なく任務を果さしていただきたいと思います。勉強もいたしますから、どうぞよろしくお願いをいたします。(拍手)     —————————————
  10. 松原喜之次

    松原委員長 次に、金融に関する件及び税制に関する件等を議題として調査を行います。  質疑を許します。春日一幸君。
  11. 春日一幸

    春日委員 中小企業の年末金融に関する事柄について、以下政府方針をお伺いいたしたいと存じます。  この問題につきましては、新聞報道によりますと、昨日の商工委員会において、すでに適切な決議を行われておる様子でございまして、勢い二番せんじのきらいはありますが、金融事柄は本委員会所管にも属しますので、その責任的立場に立って問題を明確にいたしたいと存ずるのであります。  第一にお伺いいたしたいことは、昨日の商工委員会決議は、大体において、その必要とする事柄が八項目に分れて決議をされておると思うのであります。そこで、私は全体的な問題をまず事前に明らかに理解して質問をいたしたいと思いますので、この八項目に対しまする大蔵省当局見解はいかがなものであるか、まずもって東條銀行局長からこの委員会決議に対しまする政府方針、これを一つ具体的に、明確率直に御答弁願って、それから私ども質問に入りたいと存ずるのであります。
  12. 東條猛猪

    東條説明員 中小企業に関しまする、特に年末金融につきましての昨日の商工委員会決議に対して、大蔵省といたしましてどういうような考え方なのかというお尋ねでございます。実は、まだ正式に通知もいただいておりませんし、私手元に資料を用意いたしておりませんので、あるいは順序を間違え、あるいは項目によりましては落すかもわかりませんが、その点は御了承いただきまして、御指摘に応じてお答え申し上げたいと思います。  第一は、国庫指定預金の問題であったと存ずるのでありますが、この点につきましては、約六十二億円の国庫指定預金は、十二月中はその引き揚げを延ばすということに大蔵省といたしましては一応決定をいたしておるわけであります。ただこの指定預金制度は、春日委員承知通りに、先般会計検査院からも政府に対して申し越しがありまして、私ども制度本来の趣旨から申しますと、必ずしも適当なものでないというふうに考えておりまするので、関係金融機関資金繰り等を見まして、支障ない場合におきましては、逐次これが引き揚げをはかって参るのが、指定預金制度の本来の姿であろうと考えておるわけでありますが、御承知のごとく年末を控え、特に中小企業に対する金融重要性にかんがみまして、十二月分につきましては延期をいたす、かように考えておる次第であります。  第二の問題は、政府関係機関、特に国民金融公庫及び中小企業金融公庫に対する資金運用部からの資金の供与の問題でありますが、御承知通りに、最近郵便貯金等の伸びが大へん思わしくありません。資金運用部資金の源泉におきまして、はなはだ窮屈でありまするが、第三・四半期に一応当初予定いたしました資金運用部からの国民金融公庫及び中小企業金融公庫に対する資金貸付は、さような情勢にかかわりませず、第三・四半期の分につきましては予定通り貸付を行いたい、これは理財局長がここに見えておりまするから、資金運用部の問題でありますので、理財局長から御答弁願う方が適当かと思うのでありますが、便宜申し上げますれば、いろいろと検討いたしまして、資金運用部資金は非常に困難な状況でありまするが、この両公庫に対する第三・四半期貸付額は予定通り実施いたして参りたい、かように考えておる次第であります。  政府関係機関以外の、一般市中金融機関中小企業に対する金融の問題でありまするが、これにつきましては、私どもといたしましても、かねがね市中金融機関において、この中小企業金融重要性にかんがみまして、できるだけの考慮を払うようにという要請をいたしておるわけでありまするが、年末を控えまして、この際特に非常な親切心を持ってこれらの事柄処理するようにということにつきまして、もちろんそれぞれの関係金融機関でも考えておることでありますけれども、われわれといたしましても、あらためて注意を喚起いたしたい、かような次第であります。  その次は大企業親企業と申しますか、親企業から下請中小企業に対する支払い促進の問題でありまするが、この点につきましては通産大臣から、直接約二百に上る大企業に対しまして、下請中小企業に対する支払い遅滞なくやるようにということの要請の文書を出しておりまするが、大蔵省といたしましても、関係金融機関に対しまして、親企業に対して融資をいたすような場合においては、その親企業から下請中小企業に対する支払いの遅延をできるだけなくするように、支払い促進するようにという、金融機関からもさような努力をしてもらうという要請をいたしておるわけでありまするが、また先般の次官会議におきまして、政府支払いをいたす場合におきましても、その支払いの相手方が下請企業となる場合においては、やはり遅滞なく支払い促進するようにということも注意いたそう、かようないろいろの措置を講じておるわけであります。これが親企業から下請中小企業に対する支払い促進の問題であろうと思います。  次は、国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫、もっぱら中小企業金融公庫の問題であろうかと思うのでありまするが、それらの代理店の取扱いにおきまして、中小企業金融の本来の使命に必ずしも沿っておらぬというような事例がありました場合におきましては、これらの公庫におきまして、場合によってはそういう代理店指定を取り消すということまで考えたらどうかということが、一項上っておったのでありまするが、われわれといたしましては、でき得る限りさようなことの起りませんように、代理店において中小企業金融ということの趣旨にのっとりまして、できるだけ手続も簡素化し、または親切心を持って事務処理をはかってもらうということを本旨とすべきでありまするが、もし万一さようなことが反省を促しましてもあがらない場合においては、あるいは指定取り消しということもやむを得ないかと思います。それらの点につきましては今後なお研究をいたして参りたい、かように考えております。  災害都市における公庫金融の問題について、その実情に即するように、いろいろ手続等の問題について特別の考慮を払うようにという決議もあったと思いまするが、さような方向で従来行われておると考えておりまするし、今後さような趣旨に沿って善処いたしたいと考えております。  なお、中小企業各種保証制度拡充強化ということでありますが、現在の制度も相当拡張されていると思いますので、現在の制度運用になお今後遺憾なきを期して参りたいと思います。
  13. 春日一幸

    春日委員 ただいまの御答弁によって受けまする感じは、せっかくの商工委員会決議にもかかわらず、これに対処せんとする政府方針は、ほとんどその核心をそれたと申しましょうか、いずれにしても抽象的なことや、研究してみたいということ、これでは問題の的確な解決には相ならぬと存ずるのであります。従いまして、以下の諸点についてお伺いいたしますから、これについて一つ政府の御見解をお述へいただきたいと存ずるのであります。  特に指定預金の問題についてでありますが、東條局長の御答弁によりますと、これは法律上多少の疑義があるというようなことが述べられて、従って、この指定預金制度そのものに対して疑義をお抱きのようでございますが、これははなはだけしからぬことであります。こういう問題については、これが財政法会計法違反疑義があるということで、かつて会計検査院警告を発せられたということが新聞に載りておりました。本委員会はいち早くその翌日この問題を取り上げて、究明をいたしました。特に会計検査院からもここへお出かけ願いまして、一体どこが財政法会計法その他に照らして違反するのかということをただしましたところ、会計検査院の御答弁によりますと、そういうような警告を発したことはない。多少疑義があるので、こういうような指定預金を行おうとする場合においては、相願わくば予算総則のわくの中で、預託をする場合の最高額をきめておくことができるならば望ましいことだ。しかし長い慣例に属する事柄であるから、従ってそういうことをぜひともしなければ違反であるとかどうとかいうようなことではございませんということを、ここで明確に断定的に表明せられました。従いまして、本委員会はその問題について、さらに専門的にあらゆる角度から法律的にも調査をいたしまして、その結果次のようなこの委員会議決が行われておるのであります。すなわち「指定預金制度については、政府部内にはこれを廃止する意向が強いようであるが、本制度法理上何ら違法とは断じがたいのであるから、中小企業金融現状にかんがみ、今後とも指定預金引揚延期のみならず必要に応じ新規預託する等適切な措置をとられることを政府に要望する。右決議する。」こういうことが昨年の十二月二十一日の本委員会において議決されておる。こういう議決を受けて立って、山手大蔵次官は、あなたが属しておられました商工委員会も同様の決議を行っておる事柄なのであります。大蔵通産等を通じまして、金融に関する責任を負うております委員会が、いずれも法理上何ら違法とは断じがたいといって議決をしておる事柄、立法府がそういう議決をしておる事柄について、行政の府が疑議があるということを今なお申されておることは、まことにふに落ちないことであり、まるで国会決定に対する反逆的行為と断ぜざるを得ないのでありまして、まことにゆゆしい事柄であると思うが、この問題はいずれ後日責任を追及するといたしまして、こういう工合にその当時の会計検査院を交えた審議においても、この問題は明確に解消しておるところである。すなわち何ら法律違反をしないのだ。しかも本委員会商工委員も、中小企業金融梗塞現状にかんがみて、それを緩和するために、その引き揚げを猶予しろ、さらに進んで新規預託をしろ、こういう決定をしておるのであります。果せるかなその所論の上に立ちまして、商工委員会においても同様の議決を新しく昨日加えられたのでありますが、私ども調査によりますと、最近この金融相当楽になったというような漫然たる新聞報道が伝えられておりますけれども、それは大企業の会社に対してはあるいはそういう傾向はあるかもしれません。中小企業に対する金融現状というものは、ごうも改善されないのみならず、特に東京手形交換所不渡り手形件数等によって示されておりまする足取りは、それが日とともに悪化、激化の傾向をたどっておると思う。申し上げるならば、昨年の東京手形交換所における九月の一日当り不渡り手形件数は千四百二十三通であった。本昭和三十年九月における一日当り不渡り手形件数は千七百通、これは二〇%の増である。昨年の十月においては千三百九十八通であったが、本年の十月においてはそれが千八百三十三通、まさに三五%の不渡り手形の増加を示しておるのであります。手形一件当り金額等からこれを推測いたしますれば、これは明らかに中小企業関係金融にしわ寄せされておる。すなわち中小企業金融というものは、九月、十月、さらに年末にかけてこの傾向は一そう激化しておることは、これは明確にこれによって示されておる事柄であるのであります。従いまして、いよいよ本年度におきまして、政府が行財政の措置を通じてこの問題の抜本的解決をはからなければ、あるいは臨時応急的措置を講ずるのでなければ、あるいは中小企業がこの年の瀬を越すことができないのではないかということを、最も深く憂えるのであります。  そこで今東條さんの御答弁によると、十二月中は猶予するということを政府部内で意見の一致を見たということであるけれども、しかし私ども中小企業金融機関についてこれを調査したところによりますと、政府は、十二月は一応待ったのであるけれども、一月以降これを回収するために、あるものは念書をとる、あるものは厳重な催告をする、こういう状態である。金融機関にしてみれば、十二月は待ってもらったところで、一月はこれを返済しなければならぬというようなことであるならば、その返済債務の準備をあらためて十二月からしておかなければならぬことは当然である。そうすれば、十二月の金融梗塞というものは、この指定預金引き揚げ資金源とも関連して、さらに激化するという傾向を私どもは案ずるのであります。  そこで私は、大蔵政務次官にお伺いをいたしたいことは、あなたがかつて加わった商工委員会においても、指定預金引き揚げるな、新規預託をしろと言っておるのだし、しかも私が申し上げたように、中小企業金融が一そう今悪いの、だから、従って、なおこれを政府部内において計画されておるように、一月以降計画的に引き揚げるその方針をあなたは踏襲するのであるか、あるいはこういうような状況にかんがみて、少くとも一月以降引き揚げようとするその計画を無期延期して、かつてあなたが責任的に処理した商工委員会のその決議を、あなたがせっかく今次官責任の座にすわっておるのだから、責任をもってこれを無期延期される御方針であるか、まずこの点を明確に御答弁を願いたいと思うのであります。
  14. 山手滿男

    山手政府委員 ただいま春日委員から指定預金お話がるるございましたが、私どもも一々もっともだと考えます。私は着任早々でございまして、さっき銀行局長から御説明を申し上げました大蔵省方針についても、いろいろまだふに落ちない点もございますし、今後よく関係官と協議をいたしまして、善処をすることにいたしたいと思います。
  15. 春日一幸

    春日委員 希望が持てる御答弁でありますが、しかし政治家国会において抱負経綸を述べ、やがて志を台閣に得て、その責任的な処理をするということがなくして、男子の面目いずこにかあると言わざるを得ないのであります。私はこういう意味において、あなたの長い所論であるから、今あなたが大蔵政務次官につかれることによって、この政府指定預金六十二億一千万円は少くとも無期延期になるということを強く期待し、もし実現ができなければ、あなたは食言されたのであり、その場その場ででたらめを言っておる政治家であるということを、これを今後のよき心構えとして、われわれは今後あなたに対抗するであろうということを、まずもって申し上げて次の質問に進みます。  それから指定預金新規預託の問題でありますが、これは一体いかなるものでありましょうか。ただいま銀行局長の御答弁によりますると、資金運用部資金というものは今十分ではないと言っておられるけれども、日銀の当座預金その他短期国債、こういうようなものを運営して参るならば、新規預託を行うということについて私は必ずしも財源がないわけではないと思うのであります。私どもは過ぐる二十日ごろでありましたか、一萬田大蔵大臣に対しまして、こういうような実情にかんがみまして、新規預託もあわせて行なってもらいたいという申し出を行いまして、大臣は、当時、資金運用部の現在高等とも勘案をしてできるだけ一つ措置をしたい、こういうことを言っておられた。私ども調査によりますると、なるほど現金そのものはないけれども、しかし短期国債等を運営、操作することによって、私は百億程度財政余裕金を捻出し、これを中小企業金融資金源として中小企業金融機関に回すことは、必ずしも不可能ではないと思います。新規預託に対する山手大蔵次官の御方針はどういうものであるか、この際お伺いを申し上げておきたいと思います。
  16. 山手滿男

    山手政府委員 預金部資金についても、私はまだよく十二分に腹の中におさまるような説明を聞いておらないのでありますが、大へん最近は苦しくなってきたような話を伺っておりまするし、この問題は、いろいろな関係も総合的ににらみ合せて処置をする必要があると思いまするので、十二分に春日委員お話を承わって研究をいたします。
  17. 春日一幸

    春日委員 それからもう一つは、金融機関に対しまする政府行政指導でありますが、今までの商業手形割引適格期日ですね。これは慣例によって九十日手形というものが限度期日に相なっておった様子であります。しかし親企業下請企業に対する支払いの悪い状況、その他一般経済事情の渋滞にかんがみまして、手形期日がだんだんと延びて参っておる。特に年末においてはその傾向が強い。そこで政府関係金融機関並びに行政指導を通じて、市中金融機関に対しても、年末時においては特に長期手形に対しても、これを割引商手対象として取り扱うような通達が必要ではないかと存ずるのであります。こういうような事柄によって、なお相当額金融難が解消できる面が私はあると思いますので、特にこの際年末においては、政府金融機関はもちろん、市中金融機関に対しても、百二十日程度商業手形については、これを割引対象として取り扱い得るように一つ通達を行なって、効果の上るような処理をする意思はないかどうか、その問題に対する東条銀行局長の御見解を承わっておきたいと思います。
  18. 東條猛猪

    東條説明員 春日委員承知通りに、各種金融機関手形割引に当って、果して割引に値する適格性を持っているかどうかということは、現状におきましては、これはいおば当事者の信用度の問題、あるいは商取引内容等の問題、さような意味におきまして、これはビジネス等の観点から決定せらるべき問題、でありまして、どうも役所からの通達でもってしゃくし定木に、こういう期日のものまで適格に扱え、あるいはこういうものを扱うのは適当であるまい、さような点は、行政指導の面からはちょっと届きかねる問題であろう、かように考えます。
  19. 春日一幸

    春日委員 金融機関に対しては、行政指導では何も効果が上らぬというととでありますが、それなら金融に対しては、行政監理というものは何も必要はないということになる。われわれが指摘しているごとく、それでは金融政府という状態になって参るのであって、そういう状態ではいかぬと思う。効果の上る方法は何らかあるはずだ。なければある方法を考えて、そういう効果を上げよというのが私の主張であります。私は、もとより信用のないものをむちゃくちゃに割れというのではなくて、要は、商業手形はずっと継続的に取引が行われておるから、手形受取人発行人に対する信用には変動がないが、ただ期日だけが、この年末の支払いが窮屈だから、九十日の手形が発行できないで、これが百二十日になる場合においては、年末時においては、特にこれを何らかの形において割り引くことによって、金融問題の解決に資するような措置をしていけ、こういう通達くらい銀行局長で出せぬはずはない、政府が出資しておりますところのいろいろな金融機関は、そういう必要があるからして政府財政投融資をしておるのである、だから政府が年末の金融を緩和することのための措置として新しく財源を供与することができなければ、そういうような別途の通達を出すことによっても一部の効果が上り得ると思っているから、そういうことをやられてはどうかということを指摘しておるのであって、そんなえたいの知れないむちゃくちゃな手形を、むちゃくちゃに割れというような通達を出してくれと言っておるのではない。もう少しすなおに話を聞いて、もう少しまともな答弁をしてもらわぬと何もならぬと思うので、もう一度御答弁願いたい。
  20. 東條猛猪

    東條説明員 政府関係機関国民金融公庫、あるいは金融公庫貸付は、大部分証書貸付でありまして、御指摘のごとく手形割引によるという方法は、実際の効果といたしましてははなはだケースが少いのではなかろうかと思っております。もちろん私どもは、先ほどもちょっと申し上げたのでありますが、年末を控え、中小企業金融の重大性は十分考えておりまして、政府関係機関のみならず、一般市中金融機関につきましても、平素にも増して、いろいろな面におきまして十分親切心をもって処理するようにということは申してございますので、もし御指摘のごとく、通常非常に信用度の高い取引の相手方であって、特別の事情で期限が長くなっているというような場合におきましては、関係金融機関といたしましてもしかるべく善処をせられることを私どもといたしましては期待いたしております。また手形の期限の問題のみならず、担保の問題その他におきましても、いろいろな問題があろうかと思いますが、すべての点について、この年末を控え、中小企業金融の重大性にかんがみて、十分親切な扱いをするようにということで、政府関係機関のみならず、民間の市中金融機関に対しましても申してあるということで御承知を願いたいのであります。
  21. 春日一幸

    春日委員 問題を進めまして、阪田国税庁長官にお伺いをいたします。この年末徴税攻勢とでも申しましょうか、この年末時における税金滞納に対する国税庁の方針が、いわば強行方針をとられるという形になりますと、ただいまお聞きの通り中小企業が非常に金詰まりなので、差し押えされた差し押え物件がさらに競売されることになりますと、その事業資金がそちらの方に収奪されてしまって、よってもって一そうその苦しさを加えて、これが破綻のもととなるというような意味合いから、私どもは先般文書によって、大蔵大臣に次のごとき事柄を申し入れました。すなわち、中小企業金融難にかんがみ、年末時における滞納の処理に関しては、これを差し押え、競売等の強行措置を講ずることなきよう必要なる行政措置をとられたい、こういう申し入れを行なっておるのであります。この問題につきましては、一昨年も昨年も同様の措置を、大蔵委員会においてとられるように要望して参ったところでありますが、特にこの際強調しておきたいことば、差し押え、特に差し押え物件の競売措置、こういう問題は、私は現地におきまして、少くともその係官の措置にゆだねるべきではない。少くともこういう中小企業の経営の死命を制するがごとき重大問題は、必ずそこの署長の決裁で、これは代決を許さない、こういう処置をすべきである。すなわち経験を積んで、思慮分別の十分なる者をして行わしめて、その判断を誤まらしめない、こういうことを強く要望したいのでありますが、ともすれば税務官吏が、これは滞納だからと、いきなり差し押え通達をして、差し押えしてもなかなか納めに来ないから、いきなり競売だ、こういうようなことが随所にあり、なま血のしたたるような犠牲が行われております。従いまして、私どもは先般大蔵大臣に申し入れました年末徴税に関しまする特別宥恕の申し入れに対して、当然あなたに御連絡があったと思うが、この申し入れに対処するあなた方の御方針をこの際一つ明らかにしていただきたいと思うのであります。
  22. 阪田泰二

    ○阪田説明員 ただいまの御質問にお答えいたしますが、滞納につきましては、なかなか滞納が減りませんので、私ども滞納整理は、納められた方たちとの振り合いからいっても、よほど努力をしなければならないと思っております。ただ滞納整理の方針といたしましては、これは何が何でも強い方針でやる、こういうことでなくて、あくまで納税者の実情に合った適切な方法で、穏当にやっていきたいということを考えております。ただいまお話のありましたような、年末に際しまして、特に強い措置をするというようなことは全く考えておりません。年末等になりますれば、これは中小商工業者の方もいろいろ御商売がお忙しいといったような事情もございますし、年末、年始というような時期に、特別に強い措置をするということは全く考えていないわけであります。それで一昨年、昨年いろいろお話がありました。また今回も申し入れがありましたことは、よく承知いたしておりますので、これは十分御趣旨に沿うように、年末に際して無理な措置はとらないということで、実情に合ったように実施して参りたいと思っております。なお御指摘のございました差し押え、公売等のことにつきまして、署長に決裁させるというようなことにつきましては、これは収税官吏が出かけましてやってくることでありますが、いよいよどうしても納めない、公売するというようなことになりますと、これは大きな問題でありますから、もちろん署長が十分に見てやるように、従来も指導をいたしておりますが、今後ともそういうようにいたさせるつもりでございます。
  23. 春日一幸

    春日委員 次に公取の経済部長にお伺いいたしますが、これは何回か申し上げるので、私もいやになってしまうくらいなんだが、下請企業に対する親企業の代金支払いがめちゃめちゃなんです。従って下請企業諸君は、強く請求すれば出入りが禁止になるし、もらわなければ経営が成り立たぬということで非常に困っておる。この問題を解決するためには、法律を作ろうということで、私ども下請関係調整法という法律案を先国会に上程したが、保守反動のやからの共同防衛で、これは紛砕された。それで私どもは、この際現在生きている法律である独占禁止法によって、この問題の取締りを願わなければならぬ。しかしながら、独禁法に触れる事柄が現在全国各地において、白昼公然として行われておる。あなた方は何べんも指摘する通り、開店休業から、真昼間熟睡しておるような状態だ。現実の問題としてこういうような事柄をあなた方が何も手をつけぬというばかなことばないではないか。一体何と心得ておるか。私は、この問題は会合があるたびに、中小企業者が泣いて訴えておる事柄だから、年末に当っては、通産大臣がそんな希望的な勧告をしてみたり、銀行に頼んでみたり、そんなばかげたことはやるべきではなくて、明らかにこれは不公正取引の告示された項目に反することになる。だからどんどん検挙してなぜ懲役に入れないか。何でもほうっておいたら、あなた方は大企業と八百長になって、そして彼らの法律違反事柄を助長しておる。共同謀議と申し上げても、これは過言ではないとすら私ども考えざるを得ない。一体これはどういう取締り方針でやっておるのか、この際はっきり言っていただきたい。
  24. 坂根哲夫

    ○坂根説明員 ただいま下請代金の支払いにつきまして、春日先生から、公取の態度は白昼熟睡をしておるかのごときおしかりを受けたのでありますが、春日先生も御指摘になりましたように、われわれとしては、独占禁止法の不公正取引方法一般指定の項によって、これを処理をしておるわけでありまして、昭和二十八年の暮れにおきましては、すでに御承知でございましょうが、機械関係三十七社の親企業支払い状況調査して、特に悪い親企業に対して、下請代金の支払いを改善すべく勧告をしたのであります。さらに二十九年の暮れには、上場会社百三十一社の支払い状況調査いたしまして、十三の特に悪い親企業に対しまして、やはり法律の規定に基きまして、支払い改善の勧告をしたのであります。本年度は十九業種を対象といたしまして、親企業百四十九社、百五十六工場の調査をこの夏に完了いたしまして、現在それのうちで、特に悪いと思われる四十三社に対しまして、精密な調査を大体完了いたしまして、来月十二月一日から一週間以内くらいに、その四十社ないしは四十三社に対して、支払い改善の勧告、あるいは特に悪いものは、今春日先生のおっしゃったように、法律の規定に基くところの審判開始をするということを考えておるのであります。しかしながら審判開始をいたしますと、これはかなり時間を要するものでございまして、そういう手段をとらずに、われわれが二十九年の三月に認定基準として出しました、その基準に合うようにわれわれが勧告をいたしますれば、大体過去四年間の経験から見まして、われわれが勧告をした親会社については改善されておるという経過から考えまして、本年度の、四十ないし四十三社に対して改善の勧告をいたしますれば、その限りについては、十分成果が上るのではないか、こう考えております。
  25. 春日一幸

    春日委員 その改善で成果が上るというようなことならば、私どもは何も申し上げることはない。あなた方がしさいありげなことをやったんだが、何も効果が上っていない。問題の解決が何もされていないからこそ、われわれがこういう論述を行わなければならぬのです。われわれは架空の事柄を論じておるのではない。二百十日も三百日も帳簿残があっても、そこの中の何分の一しか払わぬということで、これではやっていけないからという声に応じて、私どもはこういう主張を行なっておる。あなた方は独占禁止法の運営、管理等を通じて、一体今までだれか一人でも処罰したことがありますか、審問、審決して有罪の判決をくだしたことがあるのか。いろいろな勧告をやってみたり、基準を出してみたり、まるでそんなことは子供の火遊びと同じことだ。私はもう少し法律に準じて、国民があなた方にこの法律を信託しておるのであるから、もっと誠実に、権威ある運営をしてもらうのでなければ、この問題の解決ははかりがたい。私はあなたに申し上げるのだが、審問を開始すれば三年も四年もたって、客観情勢が移ってしまう。その間に無罪の判決がおりてしまう。だから独占禁止法に違反をしたことをやっておる当事者たちは、すなわち公正取引委員会を甘く見て、これを軽視して、むしろこれを無視して、そうしてこういう不公正な取引が横行しておるのです。物事をよく正確に判断されて、もう少し責任的に権威を持ってこの問題の処理をされたい。従って勧告なんということでなく、どんどん審問を開始して、審結して、悪いやつを一人でも二人でも懲役へ入れてごらんなさい。たちまちにして一殺多生の剣として成果が上ってくる。強くこのことを警告いたしまして私の質問を終ります。
  26. 松原喜之次

    松原委員長 次に、横路節雄君。
  27. 横路節雄

    ○横路委員 主計局次長にお尋ねしますが、予備費八十億円は今どういうふうになっておりますか、その点についてお知らせをいただきたい。
  28. 宮川新一郎

    ○宮川説明員 手元に資料がございませんので、正確な数字を申し上げかねますが、最近までの実績におきまして、約五十数億円支出済みになっております。なお災害復旧関係、義務教育費国庫負担関係、裁判費の不足等に充てますれば、おおむね八十億円は全部支出しなければならぬような状況にあると記憶しております。
  29. 横路節雄

    ○横路委員 主計局の次長に数字がないという話ですが、もう少し具体的に話をしていただきたい。実は年末手当の問題をわれわれ新聞で見ておりますと、政府の方では、最後には給与法の一部改正だけはどうしてもやるだろうと私は思うのです。やらなければ、政府として全く超保守反動ということになりますから、やるだろうと思うのです。その場合の財源を、これまた新聞で見ておると、予備費をもってやるというふうに書いてある。一体予備費があるのかないのかという点は、いよいよわれわれとしても、財源の点についてただしていくときに非常に大事なんです。あなたは主計局の次長なんで、もう少し数字——ぼくらも一応持っておるのです。もう少し具体的に話してもらわなければ、大体の話ではきょう来ていただいたかいがないのでして、その点もう少し具体的にお話を願います。
  30. 宮川新一郎

    ○宮川説明員 こういうことを申し上げてはなはだ恐縮なのですが、実を申しますと、ほかの問題で国会へ参ったのであります。政府委員室へ参りますと、井上先生が地方財政の問題で御質問になるから、大蔵大臣に出ていただきたいが、大臣が出られなければ局長がだれか出て、とにかく話を聞いておけというわけで、私は何にも持ってきていないが、顔だけ出そうということで参ったのでありまして、はなはだ申しわけありませんが、数字の点は、多少不正確ではございますが、先ほど申し上げました数字に大きな狂いはないと記憶しております。
  31. 横路節雄

    ○横路委員 今の点は午後からでもけっこうですから、もう少し具体的な数字を出してもらいたい。実はきのう大蔵大臣と私ども党の立場で折衝した場合に、大蔵大臣から具体的な数字は一応出されているのですが、どうもふに落ちない点があって、事務当局のあなたの方としてはどういうふうに計算されているのか、一応お尋ねしたいと思ったのです。これは一つ早急に検討して、何でしたらちょっとこの席をはずされて、電話でお聞きになってもわかることですから、一つぜひしていただきたい。  それでは次に理財局長にお尋ねしますが、私ども新聞を見ていますと、これも夏以来国会をしばらくやらなかったのですが、どうも郵便貯金がさっぱり増加行き悩みだ、こういう話なんですが、そうしますと、この前の国会できめました資金運用部資金の千七百十二億についての具体的な財政投融資の計画が、郵便貯金の増加が思うようにいかないということになると、これは計画を変更しなければならないのではないかと思うのですが、その点は、郵便貯金がその後どうなっているものか。それから思うように増加しないならば、一体どうい一ふうに変更なさるのか、その点をまず最初にお尋ねしたいと思います。
  32. 河野通一

    河野説明員 郵便貯金の増加状況は、今御指摘のありました通り、必ずしもよくないのであります。数字について申し上げますと、最近十一月の半ばごろ現在におきまして、昨年の同日までの増加額に比較いたしまして、約二百二十億増加額が少い。その上に去年の郵便貯金の実績は、御承知通り九百九十数億ということになっております。それが本年度におきましては、千百億の郵便貯金の増加ということを見込みまして、財政投融資の計画ができておる。従いまして、去年の実績と今年度の当初の見込みとの間には、約百億の数字のずれがある。しかもかりに去年と同額を見込んだといたしましても、二百二十億ばかり足りないということでありますから、現在で差引いたしますと、約三百億余りが足りないということになります。もっとも、これはまだ今後数カ月の期間がございますので、だんだん郵便貯金の伸びもよくなる方向に向っておるようであります。従いまして、この数字でそのまま年度を越すとは私は考えておりません。しかしながらいずれにいたしましても、その金額の大小はあれ、郵便貯金の増加の状況からして、計画に対して相当程度不足するということは免れないところであります。そのほか財政投融資財源といたしましては、若干の出入りがありますが、こういった当初見込んだ財源が不足いたします場合に対処いたしますために、いろいろな方法を現在考えおります。その中で近く実施をいたしたいと考えております点は、いわゆる金融がだんだん正常な状況に進んで参りました点等をも考慮いたしまして、従来財政投融資として開発銀行を通じて産業設備の資金の供給を予定いたしておりましたものを、民間に移すことを現在計画いたしております。まだ数字ははっきり具体化いたしておりませんが、大体その関係で百三十億程度を民間に移すということで参りたいと考えております。それからもう一点は、電源開発会社の資金の計画につきまして、これもいろいろ出入りがあるのでありますが、結論といたしまして、約三十億程度を民間に移すということで計画をいたしたいと考えております。この両者合せて約百六十億、これだけは民間に移すことができるというふうに考えております。そのほか先ほど申し上げましたように、まだ郵便貯金がこの年度間を通じてどういうふうになりますか、私は今の不足額がだんだん埋められてくると期待いたしておるのでありますが、さらに郵便貯金が私どもの期待に反してどうしても伸びないというような場合におきまして、どう処していくかということは、今後この推移をにらみながら、並行して考えて参るということにならざるを得ない、こういうことでありまして、現在までそれ以外のことにつきましては、まだ具体的に計画を持っておりません。しかしながら、最悪の場合に処してどういうことをやらなければならぬ事態がくるかということにつきましては、いろいろと検討はいたしておりますが、まだ最後的な結論に到達しない。その点は、先ほど申し上げましたように、どの程度現実に結論として財源が不足するかという点につきましても、まだはっきりした見込みが立てられないということになりますので、現在検討は続けておりますけれども、結論に到達しておらない、こういうふうな次第であります。
  33. 横路節雄

    ○横路委員 今のお話で、二百二十億が十一月末現在で昨年より伸びていない、しかし年度内には回復するであろうと期待しているというお話ですが、理財局長としては、十一月末現在で昨年に比べて二百二十億も伸びがないという面、その原因はどういうようにお考えになっておりますか、その原因をお聞きしたい。
  34. 河野通一

    河野説明員 この原因につきましては、私どももいろいろ出先のものなどを使って調べております。また日本銀行等にも調べてもらっておりますのみならず、郵政省自体において現場においても調べております。しかしどうも的確に、こういうことの原因で幾ら程度予定よりも伸びなかったということは、なかなかつかみ切れない、どうもわからないのです。ただ全体的に見ますると、やはり民間の金融機関の預金が相当に伸びておる。その相当に伸びておるということは、やはりそのことがなければ、郵便貯金の増加ということに相当現われたであろうというふうなことの推定はできますけれども、はっきりどういうふうな原因でこうなっておるかということは、なかなかつかみ得ない、そういうふうな現状でございます。
  35. 横路節雄

    ○横路委員 そうすると理財局長としては、今の御答弁で、この前二十二特別国会でやった銀行預金の利子の免税というのが、相当影響しているというふうにはやはり考えているわけですね。
  36. 河野通一

    河野説明員 これはあの際も申し上げたかと思いますが、あの民間預金の利子の免税をいたしたということ自体が数字的に影響しているということは、私はあまりないと思います。と申しますのは、従来から郵便貯金と同じ限度程度のものは、国民貯蓄組合の預金ということの形におきまして、実際には民間の預金についても利子には税がかかっておらぬ、これは御承知通りであります。実際問題としては、その窓口の国民貯蓄組合というような制度の利用によりまして、民間の預金——その当時は十万円でありましたが、現在かりにそういうことがあるとしますれば、十万円が二十万円になっておると思いますが、その十万円までの郵便貯金と同じ限度までは、やはり民間の金融機関においても預金の利子には税がかかっておらないということであったと私は思うのであります。従いまして、そのこと自体からは、私は、今度の免税ということが物理的、数字的に影響いたしたとは思いませんが、やはり心理的には相当程度影響いたしたことはあるというふうに思っております。
  37. 横路節雄

    ○横路委員 先ほど資金運用部資金は、当初計画から三百二十億どうも足りないので、開発銀行と電源開発の方で百六十債程度一般金融機関の方に移したいという話ですが、そうするとあなたの見通しでは、残り百六十億は大体回復できるだろう、こういう見通しに立っているわけですか。それとも残り百六十億がなお回復できない場合には、さらに他の投融資について削減するというのですか。大体今度の臨時国会に対して、あなたの方では、変更するならばやはり変更された計画を出さなければならぬ、これは当然われわれは要求するわけですが、それはどうなんですか。
  38. 河野通一

    河野説明員 これは先ほど申し上げました通り、具体的に申しますと、たしか十一月二十日現在で今申し上げた数字になると思いますが、その後における増加の伸びに、私どもは実は期待いたしております。従いまして年度内を通じまして、今お示しがありました三百二十億が計画にうして不足するという結果にはならないというふうに考えております。
  39. 横路節雄

    ○横路委員 どのくらいですか。
  40. 河野通一

    河野説明員 ただその点は、先ほど申し上げました通り、まだどの程度それでは不足するであろうかということの数字はなかなか出ないので、今後の推移を見ながらそういうことに対しての見通しを立てたい。その場合に、かりに不幸にして今お話のありました百六十債程度が回復できないということになりました場合には、当初予定いたしました投融資について、あるいは削減するとか、あるいは削減はしなくても、これを現金の支出を延ばすとか、あるいは他に何らかの財源を見つけるとか、いろいろな手を考えて参らなければならぬと思います。
  41. 横路節雄

    ○横路委員 あなたの方で、資金運用部資金の方で、地方財政の方へ、今どういうふうに考えていらっしゃるのか。参議院にかかっている地方財政再建整備特別措置法では、あれは百五十億ですか、その他ありましょうが、一つその点、地方財政の方についてあなたの方で今考えていらっしゃる——これから先のことはあとで聞きます。今考えていらっしゃる予定の金額というのは、一体どれだけになっておりますか。
  42. 河野通一

    河野説明員 地方財政と申しますと、いろいろな資金が相当出ております。千億近くの金が出ておりますが、あの継続審査になっております再建整備法の関係におきましては、本年度資金運用部から別途に予定いたしておりますものは、現在のところ百十億ということになっております。
  43. 横路節雄

    ○横路委員 それは理財局長、数字はそうすると私の記憶違いで、百五十億でなしに、五十億と六十億ですか。  それでは次に地方財政の赤字について、これはあなたの方の関係にたるのですが、何か大蔵省の省内の意見のまとまったものとしては、やがてこの大蔵委員会に交付税その他に関する特別会計法を出して、その財源資金運用部資金から借りてくるのだというのだけれども、今あなたの話を聞いていると、資金運用部資金から借りてきて交付税その他の特別会計法に入れるところの金があるどころでなしに、現に開銀やそれから電源開発の方から取り上げても、なお今のままの伸びであれば百六十億足りない。それがかりに回復するとしても、その他の既定の財政計画だけで、そのほかにどうも私は、交付税の特別会計の方へ百八十億とかいう数字が、どう考えたって今のあなたの説明からは出っこがない。これがいよいよもって二日から本会議が再開された場合に、ぽっと百八十億が出ると私は考えられない。その点は、理財局長どうなんですか。資金運用部資金から交付税の特別会計に百八十億も出すような余裕は、今のあなたの説明からは絶対に出ないのですがね。この点はどうなっているのですか。
  44. 河野通一

    河野説明員 本年度の地方財政のいわゆる赤字問題、赤字があるかないかという問題は、いろいろ見方があるかと思いますが、いわゆる本年度の地方財政の赤字の処理の問題につきましては、まだ政府内として最終的な結論に到達いたしておりません。従いまして、百八十億といったような数字につきましても、何も政府内としてきまった方針があるわけではございません。現在いろいろ検討を加えていることは事実でありますけれども、そういう数字がきまったわけではありません。その数字がどういうふうになるということは別といたしまして、資金運用部の金繰りといいますか、その状態は、先ほど来私が申し上げた通りでありまして、非常に苦しい状態であります。既定の計画だけを実行するといたしましても、今申し上げましたように、相当楽観的な見通しを立ててようやくというようなところであります。それが郵便貯金等が十分伸びなかった場合には、相当大きな問題が起ってくると思います。従いまして、資金運用部というものを現在のままの姿に置いてこの問題を考えました場合には、それに対して、今お話のありましたような新しい資金需要というものに対応いたしますためには、相当思い切ったことを考えなければならぬ。その思い切ったこというのは、先ほど来申し上げましたように、具体的にはまだ方法について私どもは結論を得ておりませんが、一方では当初予定いたしておりました運用をやめるとか、あるいはこれを来年度に延ばすとか、そういったことを考えるとともに、何らかの方法で別に財源をひねり出すということを考えざるを得ないような立場に追い込まれるかもしれません。あるいは今申し上げましたところの一つをやれば済むかもしれませんし、あるいは二つぐらいをやらなければならぬ場合も起ってくるかもしれません。それらの点につきましては、どういう方法をとるべきかにつきまして、今お話がありましたように、どの程度の金額が今後資金運用部運用対象として予定されてくるか、期待されてくるかというような点にも関係いたしておりますので、非常に苦しい状態ではありますが、どうしても何らかの捻出の方法を考えなければならぬという場合におきましては、今申し上げましたようなことを、具体的に検討しなければならぬような時期がくるかと考えております。
  45. 横路節雄

    ○横路委員 今のお話で大体はっきりしたことは、三百二十億足りない、それから百六十億は切りかえをする、残る百六十億についても、まあ限度一ぱいだろうと思う。従って財政投融資について全面的な変更をしない限りは、いわゆる交付税に関する特別会計へ資金運用部資金から百何十億なんという数字を入れられるということは絶対ないという点は、はっきりした。しかし、おそらくこれもいよいよもって法案が出なければわからぬが、おそらく私は、資金運用部資金から出してくるものだろうと思う。その場合に、既定の財政投融資の計画を変更する場合、一体どこを変更していくかということになると、開発銀行、電源会社という点を大幅に変更する以外に、その他は、たとえば農林漁業金融公庫にしても、国民金融公庫にしても、その他にしても、これはこの前の財政投融資の変更ですね、自由党、民主党の妥協でした場合においても相当切り詰まっている。従って今あなたの話のように、どうしても変更せざるを得ないという場合に、あなたとしては、農林漁業金融公庫国民金融公庫中小企業金融公庫や、そういうところに一体手をつけるのかつけないのか、そういう点は絶対に確保しておくというのか。この点は、さっきの春日君の中小企業に対するところの金融措置と非常に関係があるので、理財局長としての所信を承わっておきたい。
  46. 河野通一

    河野説明員 どうしても当初予定した運用計画を変えて削限しなければならぬということになりました場合に、いかなる順序でもって何を対象にしていくかという問題は、いろいろ考え方があると思うのです。私は、今ここで中小企業関係のものにはできるだけ手をつけないでいきたいという希望は持っております。希望は持っておりますが、いろいろ金額等がふえて参りまして、切らなくては済まないような事態に絶対にならないということは、私は今理財の立場としてはお引き受けはできません。これはやはり事柄の順位に従ってだんだん切っていくより仕方がないと思っております。
  47. 横路節雄

    ○横路委員 次に国税庁長官にお尋ねしますが、本年度の税の自然増の見通しは一体どうなっているのか、その点一つ、所得税、法人税、酒税その他についての的確な見通しについて、それから今までの税の収入が、あらかじめ予定されているものと一体どうなっているのか、長官の方から一つお願いします。
  48. 渡邊喜久造

    ○渡邊説明員 今のお尋ねの点は、実は私の方でやっておりますので、私から御答弁さしていただきたいと思います。現在まで数字がはっきりしておりますのは、十月末におきましての租税及び印紙入両の収入額であります。これは十月末の累計でありまして四千二百五十六億、一般会計だけであります。一般会計の予算額が御承知通り七千百七四十八億、収入歩合といたしましては五四・九%。われわれが収入の状況は順調に進んでいるかどうかという点を考えて参ります場合におきまして通常とっておりますやり方に従って御説明申しますと、前年におきましては、予算が七千七百八十三億、決算が七千九百八十四億、十月末でもって四千三百二十六億という収入の状況でありました。この四千三百二十六億の予算に対する割合が五五・六%、決算に対する割合は五四・二%、こういう数字になっております。一応季節的な変動がございますので、月数だけでは問題が言えない、大体この%を見ながらわれわれは判断しております。決算に対する割合がほぼ同じ数になりますと、大体自然増収はゼロということになります。それから予算に対する割合がほぼ同じであれば、相当の自然増収が出ることが期待されます。現実の数字はちょうどその中間をいっている、こういうところでございまして、われわれの方としましては、ある程度の自然増収を期待できるのじゃないかと思っております。  しかし、もちろん今申しましたのは非常に総括的な話でございまして、結局個々の具体的な各税についてわれわれは一々当っております。御承知通り、額として非常に大きいのが所得税、法人税、酒の税金であります。所得税について一応見て参りますと、収入歩合は今年の分が五四・八%になっております。昨年は、予算に対する割合が五一・九%、決算に対する割合が五二・三%、昨年は所得税はちょっと予算を切りました。それで決算に対する割合の方が大きくなっております。法人税の場合におきましては、本年の収入歩合が五〇%、昨年は予算に対して五三・五%、決算に対して五四・一%、これは本年の方が数字が落ちております。それから酒の税金でございますが、これは本年の割合が五八・三%、昨年は予算に対して五八・五%、決算に対して五四・五%。  ただ御承知のように、本年と昨年との間にはかなり幾つかの違ったファクターがあるのじゃないかと思っております。第一のファクターは、これはむしろマイナスのファクターでございますが、本年は七月から減税を行なった。従いまして減税の効果が八月以降に数字に出てきます。それまでは減税前で入ってくるということを考えてみなければならぬと思います。同時に、この年末におきまして選択控除の問題とかいろいろの問題が、これは源泉でございますが、一時に固まって出て参ります。そういったような関係がございまして、減税の全体が下半期の方にくるということをやはり頭に入れて見なければならぬ。  それから、これは主として法人税について言えることでございますが、昨年は三月の方が業績がよくて、九月が少かった。今年は三月が少くて九月が業績が上っております。従って、その点をやはり頭に入れて見る必要があるだろうと思います。法人税について簡単に言いますと、われわれの方で見込んでおりましたのは、昨年の九月の決算に対してこの三月が横ばい、それから三月に対して九月が一三%くらい上昇するだろうという見当で見ておりまし。七三月は昨年の九月に比べて九九・幾つでしたか、ちょっと忘れましたが、ほぼ横ばいというのが大体当っていたようでありました。それから九月が、こないだずっと調べて参りましたところでは、これは正確には申告がまだ出ませんからわかりませんが、一応大きな会社につきまして、大体われわれの方の国税庁を通じまして問い合せたところによりますと、二八%くらい上っているのではないかという数字を一応得ております。見方において三%増、そうしますと半年分ですから三十億弱だろうと思っております。  それから酒の問題ですが、酒についてはこういう傾向にあるようでございます。ビールは御承知のように七月に非常によく、四十二万石出ました。これは昨年に比べてはるかに多うございまして、戦前戦後を通じて実は最高の出方をしたようであります。しかし八月以降は大体従来と同じです。現在予算に二百十万石を見込んでおりますが、大体勝負がついておりまして、われわれの見込みでは二百二十万石から二百二十五万石の間だと思っております。十万石ふえますと約二十億増収になります。ただこれもおわかりだと思いますが、特級酒、一級酒の売れ行きが非常に落ちております。特級酒は七万石見積っておりますが、五万石ちょっと切るのではないかと思っております。今までの状態ですと四万石台だと思います。一級酒は三十二万石見積っておりますが、今の状態ですと二十七、八万石じゃないか。この方の減収がばかになりません。大体ビールの増を食べてしまうような状態のようです。それから合成酒の出方が最近だいぶにぶくなっております。しょうちゅうは順調に出ております。かれこれいたしまして、予算程度が大体いいところではないかというふうに酒については見ております。  そういったわけでございまして、全体としまして、実はこの暮れのボーナスの関係がどうなるか、同時に暮れにおいて、ことしはいろいろ従来と変った減税が入ってきておりますから、それがどんなような効果として現われるか、実はこれがわれわれの方も非常にまだ見通しのきかないところでございまして、私もそんな意味責任ある数字は言えませんが、数十億の自然増収は出るんじゃないか。百億とまではちょっと行かぬじゃないだろうか、七、八十億くらいかというようにいっておりますが、あまりはっきりしたものとしてちょっと言い切れない。ただこれも要らぬことかもしれませんが、専売の方が御承知通り成績が悪うございまして、私の聞いておるところによりましては、益金が七十億近くといっておりますが、七十億見当減るんじゃないかというような話を伺っておるのであります。従いまして、歳入全体として見ますと予算を切ることはないと思いますが、大きな自然増収を期待することは、今年におきましては無理だというふうに考えております。
  49. 横路節雄

    ○横路委員 主税局長にお尋ねします。たばこの方は別にまたたばこの方の関係として聞くといたしまして、あなたの方の件を聞きたいのですが、所得税については去年より非常に伸びがいいわけです。所得税については一体どれだけ去年よりも税がふえるのか、お話がございませんでしたが、今あなたのお話では、所得税については五四・八%だという。昨年は五一・九%ですか、ずいぶん伸びている。所得税については大体自然増収の見通しはどうなんですか。
  50. 渡邊喜久造

    ○渡邊説明員 所得税につきましては、今われわれの方で見ておりますのは、結局年末のボーナスとかいろいろな関係において、相当の減税が出てくるのではないかと思っております。従いまして現在までのところにおきましては、一つは先ほど言いましたように、本年は七月から減税が行われている、減税前が相当入ってきたということ。従いまして各月についてわれわれ一応の試算などもやっておりますが、年末における減税とかなんとかいうものが相当出てくることが予想されますので、現在までにおける収入状況はよろしゅうございますが、これは予算に比べましてあまり増というよりも、むしろ下手をすれば減が出てくるのではないだろうか、しかしどちらにしても、予算とそう大きな違いがあるとは思っておりません。法人税の方はマイナスになっておりますが、これはむしろ予算よりもかえるのではないだろうか、こういうように見ております。
  51. 横路節雄

    ○横路委員 ちょっと阪田さんにお尋ねいたしますが、私今の主税局長お話はどうもふに落ちないのですが、所得税についてはずいぶん伸びていると思う。事実%も伸びているのですが、あなたの方のお調べではどうなんですか。私は、所得税については、このままの推移でいけばやはり年度末には相当の自然増になると思う。ただ今年末に、七月一日から実施のもので減税になるというけれども、実際の金額はわずかなんです。所得税についてはもう少し伸びると思うのです。たとえば四十億とか五十億とかいうきちっとした数字があろうと思うので、その点国税庁の方として、実際に収入を預かっているあなたの方としてはどういうお見通しなんですか。
  52. 阪田泰二

    ○阪田説明員 申告所得税関係につきましては、御承知のように、昨年の予算、今年の予算に対する純徴収率という点からいきまして、なるほど今年の方が収納率がいいのであります。これは、予算額自体が昨年よりも今年は少く見積ってあるわけであります。それで今日までの収入状況を見ますと、申告所得税関係は、本年の第一期分の収納成績というものがわかっているわけでありますが、これはやはり昨年よりはややよろしいようであります。しかし先ほど来渡邊局長からも申し上げておりますように、減税の影響というような問題もありますし、それから源泉関係の所得税につきましても、これはやはり八月まで昨年の実績を若干ずつ上回るような収入成績になっております。それから八月分は、実は七月一日から減税になりましたので、減税の影響で昨年に比べて減収になるかと思われたわけでありますが、これは実は六、七月に支給される賞与が、いろいろ減税の関係等もありまして、一カ月ずれた関係があると思うのでありますが、実際八月も昨年同期と比べて減収にならなかったのであります。ただこれが九月、十月から、当然一昨年に比べて減税の結果減収になっております。いろいろそういうような関係がありますので、今日までの状況から今後の収入がどの程度になるかと推定しますと、やはり私ともの方でもいろいろ検討をいたしておりますが、大体におきまして、主税局で言われておりますと同様、大体予算程度の収入になるのではないかというように見通しているようなわけであります。
  53. 横路節雄

    ○横路委員 主税局長にお尋ねしますが、去年の十二月にわれわれ社会党は年末手当五千円の免税をあなたの方にお話しした。そのときに大蔵委員会でこういう答弁があった。金はないのだ、税の自然増はないのだ、やれば七十億からの赤字になるからだめだ。大蔵大臣もあなたの説に屈服して、どうか了解して下さいということになった。ところが年度末になったら二百億から二百二十億の税の自然増があった。十二月の話と年度末の話では零がいきなり二百億にもなるのですから、そういう点からいくと、七十億というのは——去年は七十億だとは言わなかった。零だと言う。今年は七十億だと言うのだから、この点からいけば年度末には、去年よりは率直に言うようになったでしょうから、うそでもやはり二百億に近いものは当然予定されるのであります。だから、そういう意味では、去年はうそを言ったということになるのか、去年の暮れはないといって年度末には二百億から出たのですから、今年は今率直に七十億あると言う。この計算でいったら三百億くらいにもなりそうだと思うのですが、これはどうなんです。去年はうそを言ったのか、去年は全然こういう数字に当らないで答弁されたのか、どうもわれわれはふに落ちないのです。あのことは忘れておりませんから、一つしっかり話してください。
  54. 渡邊喜久造

    ○渡邊説明員 私も去年そういうことを申し上げたことは忘れておりません。昨年におきましては、いろいろ検討してみたのですが、どうも出方の工合が悪いというのでああいうふうに申し上げましたが、結果は御承知通り二百億プラスになっております。従いまして、本年は心がけといいますか、やり方を大いに改めまして、かなりこまかに実は検討を重ねております。従いまして、昨年のやり方と比べますと、今年のやり方は、かなりわれわれは詳細にやっておるつもりでございまして、詳しく御説明を申し上げる機会があれば御説明申し上げていいと思うのですが、昨年そういうような状態であったから今年はということにつきましては、私は、今年は今申し上げているもの以上はとても期待できないのではないだろうかというふうに考えております。
  55. 横路節雄

    ○横路委員 主計局の次長おりましょう。予備費の点は今度の国会の一番大事なところなんですから、これはきちっと大蔵委員会答弁してもらいたい。  それから私は率直に言うけれども大蔵省の人は、予算委員会では数字を発表するけれども大蔵委員会ではそういう具体的な数字について発表しないというあまりよくない習慣がある。これはだれがつけたか知らぬが、少くともここに出た主計局の次長は、具体的な数字を答弁してもらわなければならぬ。ただ大蔵委員会は、渡邊主税局長の法案ばかりやっておるわけではない。そういうわけで、一つ具体的にやっていただきたい。
  56. 井上良二

    ○井上委員 ちょっと関連して……。ただいまの主税局長の税収に対するお見通しの問題ですが、あなたが税収を確実に把握していくというこの努力に対しては、これは当然の任務であろうと思うのです。しかしわれわれが常識的に考えまして、初めから減税という問題は、予算上明確に織り込んである問題です。減税を織り込まずに予算が組めるわけはありませんから、その後の経済の動向というものをわれわれが見ました場合に、たとえば貿易の帳じりの関係、輸出が非常に伸びておるという関係、それから一つは国内における異常の豊作とい円問題、これらを一体どうあなた方はお考えになっておりますか。御承知通り貿易のこのような伸びは、国内輸出産業全体に好影響をもたらしておる。また造船関係においても非常な好景気がきておるわけです。さらに一方国内の異常な豊作は、回り回って国民全体の経済に非常にプラスになっておるわけです。こういうことが全然税収の上で考えられないということは言い得ないのです。そういうことを織り込まずに、トントンにいくのではないだろうかという、去年の答弁と同じようなことをここでぶり返して、何とか予算要求をできるだけ食いとめていこう、補正は出すまいというような、その裏づけ財源をあなたがことさらに削っていくような印象をわれわれは受けておるわけです。そういうものの考え方は改めてもらわぬと、適任者と言えません。
  57. 渡邊喜久造

    ○渡邊説明員 御注意の点は、私も十分心得ているつもりでございますが、先ほど申しましたように、われわれは本年度の予算を組みますときにおきまして、多分に希望的な気持が入っていたかもしれませんが、法人の収益につきましては、とにかく下期においては当然改善されるだろうということを実は期待しておりました。同時にそれを予算の上に反映させて、そこに自然の増収が出てくるからというので、減税財源もそこに求めたわけであります。従いまして、どの程度それを反映させてきたかと申しますと、ごく大ざっぱに言えば、先ほど申しましたように、今年の三月の決算は昨年の九月の決算に比べれば大体横ばいであろうが、今年の九月の決算は今年の三月の決算に比べれば一割三分くらい上昇するであろうと見ておったわけです。従って自然増収になると見ていたので、すでに織り込み済みの数字以上に、それがどれくらい上ったかという問題になるわけであります。幸いにしまして本年の景気はわれわれが多分にこうあってほしいと思っていた一三%以上に上りまして、ごく大ざっぱに申しますと、一割六分程度よくなっておる。従って現在われわれは、これを見込んでおるわけであります。それで法人税について申しますれば、大体九月の決算、十月の決算で一応本年度入ってくる税収はきまってしまいますから、従いまして、大体その点で、われわれの方は先ほど申し上げたような一応の見通しをしている、こういうわけでございます。農業関係におきましては、御承知のように米作が非常によろしゅうございます。これもわれわれは一つのファクターに見ております。ただしかし農業所得を平年作におきまして七十億程度に押えまして、七千九百万石という未曾有の豊作の場合におきましても、何と申しましても所得者が分散しておりますから、税額として入ってきますもののプラスというものにつきましては、これは数十億、それでも農家の負担としては、現状に比べると倍数から言うと非常にふえるわけであります。そう言ったからといって、予算の全体の数字を動かすという程度のものには——とれが同じ千何百億という数字が法人の所得についてふえて参りますと、それは四〇%からのものでございますから、何百億というような税収になって参りますが、農家においての増加ということになりますと、これは非常に分散してしまいますおかげで、数十億という影響にしかならないということで、問題にならないのであります。われわれの方といたしましては、今何十億ということも申し上げかねますが、五十億にはもちろんいきませんし、約三、四十億というようなわけでありまして、われわれの方といたしましては、あれこれ検討してみまして、今申し上げましたような一つの結論を出しているわけであります。
  58. 井上良二

    ○井上委員 あなたの今の御説明を伺っていると、さらにあなたは確実の財源でいこう、こういう根拠に立っているようです。今あなたが御説明をされました法人税の自然増の動向をわれわれ考えましても、予定は一三%であった、それが今一六%に大体なる、ここでもすでに三%現実に上昇している。そうすると、法人税は約二千億と推定しておりますが、この三%上昇しただけですでに六十億からあるでしょう。
  59. 渡邊喜久造

    ○渡邊説明員 違いますよ。それは、三月の決算のやつはわれわれの見込みと同じですから、二千億の中で千億はわれわれの見込みと同じです。残りの千億についての分なのですから、今あなたのおっしゃいましたものの半分です。
  60. 井上良二

    ○井上委員 さらにその農業所得についても、農業所得自体は御承知通りそう伸びない。ところが農業所得から今度回って他の産業への影響、これはどう考えておられますか。
  61. 渡邊喜久造

    ○渡邊説明員 その点については、われわれの方でもまた国税庁の方と一緒になって調査しておりますが、結局やはりそういう農家の所得がふえたといって、農家の方が、現状において消費の方にすぐそれをむぞうさに向けるというようにはわれわれも思っておりません。われわれは全体として、本年は法人において見ましたように、個人においてもある程度の景気の上昇は一、二これは見ておりました。しかしわれわれの見ておったそれ以上に、農家がそれだけ所得がふえるから、従って他の産業もそれによってふえてくるというような数字にまでは、個人の所縁税についてはまだそういうふうには考えておりません。
  62. 松原喜之次

    松原委員長 次に平岡委員
  63. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 税金問題で中断せられましたが、実は同僚春日君から、先ほど中小企業向けの融資要請質問がるる開陳せられましたが、私はこれと一連の関係から、労働金庫に対する年末融資の件につきまして、要望と質問を申し上げたいと思います。  すでに銀行局長の手元まで、あるいは全国労働金庫協会の方から資料が提出され、要望もなされておると思いますが、その概要は、今全国にありまする四十五の単位金庫の集計としまして、年末における資金需要が全部で二十九億円、そのうち自己資金でまかない得るものが約十八億円、従って十一億円の不足を生ずるので、これを資金運用部資金から短期資金として、三カ月を限度として融資してほしい、これが骨子でございます。この点についてまず銀行局長の、この要望にこたえ得るかどうか、どの程度こたえ得るかの見通しを聞きたいのであります。
  64. 東條猛猪

    東條説明員 先般、労働金庫の資金繰りがいろいろ問題があるので、短期に資金運用部から何かめんどうを見てくれないかという御要望をちょうだいいたしたのでありますが、これは今平岡委員からお話のございました、労働金庫の協会の正式のものというものではございません。別の方面からいろいろ御要望がございました。それに対しまして、私どもといたしましては、一応かように申し上げたわけであります。御承知のような金融の正常化の傾向から御判断いただけまするように、最近この労働金庫の資金繰りは、相当楽になっている。もちろんこれは、金融正常化だけというわけではございませんで、御承知のように労働金庫の経営が非常に順調に、経営者の方あるいは会員の方の御努力によって伸びておりますことが、非常に有力な要素でありまして、この点私どもといたしましても御同慶の至りでありまするが、それとともに、全般的な金融情勢もありまして、相当手元が潤沢になっておる。従ってこの際しいて資金運用部まで資金の供与を申し出なくても、何とかそういう全体の資金繰りの関係でまかなえるのではなかろうかという疑問を私どもの方から出しまして、それでは一つ労働金庫の全体の、協会としての金繰りがどうなっておるか、一ぺん検討してみましょう、かようなことで、実はただいま私どもとしては、そういう段階として承知いたしております。先ほど来ここでお聞きをいただきましたような資金運用部状況でございますので、できることならば、本年は労働金庫自体の資金でまかなっていただけますならば、大へんありがたいことだと考えております。何分にもそういう正式の要望をちょうだいいたしておりませんので、もう少しこの点は検討してみたいと思います。
  65. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 ちょっといきさつが違うかもしれません。最初あなたがお答えになったうちで、ある方面からの要望があったが、それはきわめてずさんと思える。もっとコンクリートなものにしてこいということから、私がただいま申し上げた数字がつい最近、おそらくきのう当り、あるいはまだ局長の手元まで届かぬかもしれませんが、提出された、その数字を私は申し上げたのです。ある方面からというのは、十七億円ぐらいの、要するに七月末における賃金遅欠配の総額がそのまま、なまのままに出されたのでありまするが、その点はすでに濾過されまして、私が申し上げた十一億が結論的な要望金額でございます。この労働金庫の融資につきましては、あらためてここに新規な事案として提案されたわけではございません。すでに阪田さんが局長をされておった時代から、具体的には一昨年末においては二億七千万円、それから昨年末には十億の要望に対しまして、四億円が府県を通じて資金運用部から融資された事実がございます。ですから、この点は実績もあることですし、それから手放しに楽観されているほど労金の資金繰りがよいのではありません。しかし労金自体が自助的な精神を貫くという意味におきまして、農林中金の踏んだ、いわゆる政府のとりこになるような出資というものは積極的に断わっていることは事実です。しかしまだ生誕間もない労働金庫自体としましては、その成育期におきまして、やはり政府の、年末とかあるいは災害などの、突発的な、例外的な立場における融資というものは、どうしても欠くことができないのでありますから、この点は前局長のよい前例を踏襲しまして、極力融資してほしいのであります。  それから、先ほど理事会の席におきまして、この労働金庫の性格に対して不案内なところから疑義も出たようなので、私はこの生誕、発生史的な跡づげをしようとは思いませんけれども、労働金庫自身が二十五年に岡山において発足しまして、それから六年の経過のうちに四十五行、今全国の都道府県で持たないところはございません。そのように全国的な、普遍的な組織として非常に有効な機能を発揮しております。この事例をあげますれば、一昨年の夏の大水害に際しまして、あるいはまたやはり一昨年秋の台風禍に際しまして、この労働金庫が政府からの導入資金によりまして、結局その災害地帯の中小企業関係というようなものを、間接的に強力に資金の面においてささえたために、社会不安を起さずに済んでおります。しかもその決済もきわめて順調に償還されておりまして、おそらく大蔵省としましては、国種の他の信用金庫とかあるいは信用組合とかに比しまして、労働金庫の金融機関自体としての評価も高いことと思うのであります。せっかくこのようにりっぱな成果を上げておりますこの機関に対しまして、前例をやめるというようなことでなしに、ぜひとも融資の面において政府の配慮を願いたいのであります。  預金高が、昨年の同期におきましてはおそらく七十五億ほどでございましたが、ことしの現在ただいまでは百十五億、六割の増加を示しております。ただしこれは組合員も、要するに預金者の数もふえておりますから、これは絶対的に今ふえているということではありませんで、やはり政府からの融資の必要はあるのでありますから、この点を御念頭において御善処願いたいのであります。  それからこの労働金庫というものは、今までの事業金融というものに比して新しい概念の金融であります。生活金融であります。今まで日本では、いわゆるサラリーマンの諸君、労働者の諸君に対する金融の道というものは、質屋きりなかった。この質屋が公共性を加味して公益質屋にまで発展しましたけれども、近代化された一つの機構というものはなかったので、労働金庫の生れ出る必然的な母体というものは、つとに成熟しておったわけであります。こういう意味で、この労働金庫はあるべくとして誕生したのでありまして、やはりその通りの必然性がありましたのでりっぱに育っているのであります。まだ過渡期でございますから、どうぞこの要望は、これはそのまま手形通り受け取って、ぜひとも要望金額の十一億を融資してほしいのであります。特にもう一回東條さんの好意的見通しをお願いしたい。それから資金運用部資金をあずかっている河野さんの意向もお聞かせ願いたい。なお河野さんには、現在資金運用部資金の残額がどのくらいあるかも、ついでにお示し願いたいのであります。
  66. 東條猛猪

    東條説明員 労働金庫の健全な発展を庶幾して参りたいという希望におきましては、平岡委員のお述べになりましたことと私も全く同感でございます。先ほどお仰せになりました、もう一ぺんこなして、濾過した案が出ておるということでありましたが、実は出ましたのもつい最近ではないかと思います。係の者に聞いても、はっきり覚えておらぬということでございましたが、よく内容を拝見したいと思います。もちろん希望といたしましては、平岡委員のおっしゃいましたことと全く同感であります。また私も、先ほど申し上げましたような事情ももちろんございますので、その辺のところも十分御考慮を仰ぎたいと考えております。
  67. 河野通一

    河野説明員 資金運用部の金繰りは、先ほど来お答え申し上げましたように、なかなか今年は苦しい模様であります。御要望の点もよくわかる点もあるのであります。本年特別に資金の苦しい状況もよくおくみ取りいただきまして、私どもはできれば一つ、だんだん労働金庫も順調に育って参っておられるような点も考慮しながら、この辺については本年度はかんべん願えることが非常に望ましいと考えておるのであります。なお御要望の点はさらに具体的に検討いたしまして、最終的な決定を得たいと思います。  それから資金運用部の残高というお話でありますが、ちょっと意味がよくわかりませんのですが、資金運用部全体の資金の総額は、大体六千億くらいじゃないかと思います。
  68. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 先ほど春日君の要望に対して、中小企業のための資金も非常に窮屈だということを東條さんは答えております。それで中小企業に対する事業融資というものはもともと少いのですから、これが労働者の賃金不安を解消し、その生活意欲を刺激して企業不安を脱却する形にまで還元されない、融資そのものが焼け石に水となって消滅しがちな従来の経験にかんがみましても、労働者の生活確保と労働不安の除去のために直接的な措置を講ずべき必要がある。こういう意味で私は強調したいのであります。ですから、このことはあえて言うならば、むしろ賃金確保のための直接的な融資対策こそが、企業再建の捷径であるとすら私は考えておるのであります。こうした意味におきましても、年末に対して、特にこのことを取り上げてほしいのであります。今までの事業金融以外に生活金融の道を開いておるのですから、今までの既成概念と違いますので、よく御消化の上特段の善処方をお願いします。
  69. 春日一幸

    春日委員 今、東條さんも河野さんも何となく否定的な答弁をされておるので、これは平岡君も論じて十分尽きておると思いますけれども、特に強調したいことは、単なる生活金融というばかりでなく、御承知通り、これは中小企業者と当該労働者との共同の申請によってその企業融資をも行なっておるという現状にかんがみまして、これは企業救済にもなる。中小企業の経営が資金難で困っておる現状において、資金源が十分でない場合、こういう方面からもたとえばその賃金の面だけでもとにかく第一義的に払い得る、そういう金融機関としての労働金庫の有する使命は大きいのであります。特に今回の年末需要の中で一番大きな指数は、賃金遅欠配に対する融資であるのでありますから、これは単なる労働者の問題ということばかりに局限しないで、やはり中小企業金融ということとからみ合せて、この問題の御処理を願わなければならぬと思います。これは今申し上げました通り、一昨年から今年を通じて、財政乏しい中から現実に府県庁を通じて、こういう融資が行われておる。昨年も参議院において強い御主張が行われ、本委員会においても累次の主張を繰り返して、あの四億円という困難なる実績をとにかく打ち立ててきたんです。今財政が困難だと言われておりますけれども、しかし膨大な七千億の資金運用部資金の中から十億やそこらの額が、あなたの努力によって操作ができ得ないということはあり得ないわけなんです。すなわち預金がふえておるということは、彼ら自体の信用度がそれだけ増大をしたということにもなるし、さらに重大なことは、こういう工合に預金量がふえたから、年末において政府のそういう融資が受けれないという前例を立てますと、むしろ政府に依存するというような別の考え方から、資金をあまりふやさない方がいいという形になってきている。よってもって将来労働金庫の健全なる発展に対して悪い影響を与えることを私は最も心配するわけなんです。  そういうような意味合いにおきまして山手次官は、東條銀行局長はまだ新米でありますから、よく実情に通暁されていないかもしれないので、その点を十分勘案されて、願わくは平岡君の主張、しかもその主張は東條さんの手元へすでに提出されておりまする主張とはだいぶ変った資料でありますので、その新しい計数の上に立って、全国の労働者並びに賃金遅欠配で因っておる中小企業者の年末資金源が弁じ得るがごとく適切なる措置を講じられるよう、すなわちその要求額を預託願うことによってこの問題の御解決をはかられるよう強く強く要望いたしまして、私の質問を終ります。
  70. 松原喜之次

  71. 石村英雄

    石村委員 年末金融についていろいろ論議が重ねられておりますが、今日の金融情勢から考えまして、こうしたいろいろな方策が効果あるようにするためには、一つ方法として、例の国家の保険制度の拡充ということが必要になるのではないかと思います。今まで銀行なんかに聞いてみますと、一応のワクがはめられている。それで銀行は支店にそれぞれのワクをはめる。従ってワク一ぱいだからどうにもならぬ、こういうようなお話を聞くのでありますが、このワクをふやすような御意思があるかどうか。また信用保証協会というようなものが各県にできておりますが、この資金をふやすようにするお考えがあるかどうか。この二点をお尋ねいたします。
  72. 東條猛猪

    東條説明員 信用保証協会の資金の拡張の問題でありますが、現状におきましては、出資金自体も都道府県の方でめんどうを見られますし、それを行いました保証を国で再再保するという仕組みになっておることは御承知通りであります。それから一般金融機関は、一般中小企業向けの金融を行いました場合に、国がこれを最後に再保するということも、これまた御承知通りであります。国の再保につきましては、国会において議決を得ましたワクの範囲内でありますが、そのワクが適当であるかどうか、もう少し拡張の道があるのではないかという御所見でありますが、いま少し私どもといたしましては各方面のそういう御要望を緻密に検討いたしまして、来年度の予算のきまります前後にこのワクの拡張の余地、それに関連する問題について慎重に検討させていただきたいと思います。ただいまのところ非常にこのワクが窮屈で、ぜひともこの年内に拡張してもらわないと、中小企業金融が非常に円滑にいかないというところまでの熾烈な御要望というものには私接しておりませんが、かようなところに問題がありますことは御承知いたしておりますので、今後とも十分検討させていただきたいと思います。
  73. 石村英雄

    石村委員 このワクの問題は、来年の予算というようなことでなしに、差し迫った年末において、ちょうど臨時国会も開かれておりますことですから、早急に検討を加えていただきたいと思います。  次に河野さんにお伺いいたしますが、国民金融公庫に対する資金運用部資金を、さっきの横路君の質問に対する御答弁では、今日の預金部運用資金の窮屈なところから、削っていくところが出てくるのじゃないか。ただしそれに対してどのところを削るか削らぬか、順位もある、こういうお話ですが、国民金融公庫については、この年末の中小企業金融問題から考えれば、むしろふやすべきではないか。削らないというよりも——削るかもしれぬというような趣旨にも解釈されるのですが、削るかもしれないではなしに、削る削らないではなくて、むしろふやすというお考えを一つ持っていただきたいということでございますが、お考えはいかがでございますか。
  74. 河野通一

    河野説明員 年末の問題といたしましては、先ほど銀行局長からお答えいたしました通り、予定通り資金の注入をいたすつもりであります。問題は年が明けまして後の問題と、先ほど来いろいろお話が出ておりまする資金運用部に対する資金の不足の問題等をどういうふうに調整するかという場合に、その場合でもできるだけ中小企業関係は手をつけないで済ますように努力はいたした仏ということは、先ほど来申し上げておる通りであります。少くとも年内においてそれの予定を削減するということは考えておりません。
  75. 石村英雄

    石村委員 私の申し上げるのは、削減を考えないんじゃなく、ふやすということを考えていただきたいということですから、一つ十分お考え願いたいと思います。  それからもう一つ年末金融関係でお尋ねいたしますが、現在の地方財政の問題については、いろいろ真剣な問題となって論議されておると思うのですが、自治体が金がないために、昨年からもう金が払えない、一般の市中から買い上げているものの支払いをとめておるという状況なんです。この根本的な問題は別といたしましても、年末の中小企業金融を緩和するためには、支払いが一日も早くできるようにしてやらなければならない。その措置というものは、大体十一月中に政府方針がきまらないと間に合わないじゃないかと思うのですが、根本問題は別として、自治体の年末金融ということについて、至急に何らかの方針をきめられる必要があると思うのです。またすでにきめられているかと思いますが、方針がきまっておればお示し願いたい。
  76. 河野通一

    河野説明員 年末における地方公共団体への短期融資、応急融資の問題でありますが、なるべく早く決定いたしたいと思っております。これは御承知のように、資金運用部だけでなしに、簡易保険の資金もやはりそういう方面に動員をいたしたいというふうなことで、さらに具体的に申し上げれば、資金運用部と簡保の資金を合せて、去年の短期融資程度のものは少くとも融資ができるようにいたしたい。あるいは許すならば、それよりも若干ふやすようなことに努力をいたしたい、かように考えている次第でございます。ただ若干ふやす問題につきましては、先ほど来申し上げましたように、資金全体が非常に窮屈だ。これは金繰りの問題と長期的に見た資金不足という問題と両方あるわけでありますが、金繰り的に見ても、なかなかこの年末は苦しいという問題が一つありますので、これも去年よりも簡保とあわせてふやすことができるかできないか、これは相当困難な問題を控えておりますけれども、できるならばある程度でもふやして参りたいというふうに考えて、せっかく今具体的な計画を樹立いたしつつある次第であります。
  77. 石村英雄

    石村委員 それは一つ早くふやすようにやっていただきたいと思います。  最後に金融問題ではありません、大蔵省がいつですか、百円紙幣をやめて硬貨を出すという問題が出まして、ミツマタ製造農家はミツマタの価格が暴落した、一方印刷局の従業者は首切りになるということで、大変心配しておるわけなんです。これは単に印刷局の労働者の問題だけでなしに、ミツマタ生産者の農家の重要な問題だと思うのです。これに対して大蔵省はどういう決定をなさったか。またどういうお考えで今いらっしゃるのかお話し願いたいと思います。
  78. 河野通一

    河野説明員 結論を先に申し上げますと、まだ大蔵省として最終の決定に至っておりません。現在まだいろいろな点から総合的に検討いたして参りたいということでございます。基本的には、私はやはり各地の例及び戦前における状況等から見まして、特別にマイナスの状況が出てこない限りは、もう百円程度のものはコインでいいというふうに考えております。しかしながら、これにはやはりマイナスの要素もいろいろありますから、そういう点をさらに検討いたしたいと考えます。ただ御参考までに申し上げておきたいと思いますのは、ミツマタの所要量が百円を硬貨に直すことによって著しく減少するであろうとか、あるいはそういうことがされると印刷局の職員が四千人も整理を要するような事態が起るであろうとかいわれておるようでありますが、これほさらに正確に申し上げますならば、相当誤解に基いておる点が多いと思います。一例を申し上げますと、たとえばミツマタの問題等は、私どもがいろいろ計算いたしましたところでは、百円の銀行券を硬貨に移すことによって、それ自体といたしましては、少くともここ十年なり十五年の間は、ミツマタの所要量それ自体は減らない、むしろある程度はふえる見通しであるということが出て参る。これを簡単に申し上げるとどういうことかと申しますと、現在は日本銀行の銀行券に対する手元準備、未発行券というものは、発行高一〇〇に対して六〇しかない。ところが戦前のいわゆる正常年度といわれた昭和十年前後のときにおきましては、発行高一〇〇に対して二五〇から三〇〇手元準備を持っておった。大体その程度持つことがおそらく正常な状態においては必要なんだと思います。しかし私どもは、急激にその準備を充実するということはなかなか困難であるから、かりに今後二十年間かかって発行高一〇〇に対して二〇〇の準備をする、三〇〇でなくて二〇〇の準備をかりに持つとして、いろいろその準備のやり方、及び印刷の進め方を研究いたしましたところが、ここ十年なり十五年の間にミツマタの使用量は滅らない、こういう計算になる。その中でいろいろ問題がありますのは、やはり印刷量、製造量を相当ふやさなければならぬということが一つと、それから百円につきましてはミツマタは約四分の一しか入っておりません。それを千円によって置きかえて準備をいたしますならば、千円は九〇%以上ミツマタが入っておる。従って千円一枚に要するミツマタの量は、百円一枚の約四倍を要するわけであります。しかるに百円と千円とは十対一でありますから、その点からいいますと、千円によって置きかえることによって、半分だけミツマタの所要量は減る、こういうことになるわけであります。その程度は、先ほど来申し上げましたような印刷量、製造量をふやさなければならぬという要求からいたしますと、逐次カバーできる、こういう計算かできておる。それから人員の問題につきましても、これはいろいろ私から今申し上げましたような製造計画を長い自で立てておりますところから見ますと、四千人の整理を要するといったような数字には全然ならないのであります。ではどの程度整理になるかという点につきましては、これはまだ——ある程度はやはり整理を要するということになるかと思いますけれども、これもできるだけその影響を遮断していくといったような形でやって参りますならば、そう大きな影響はないのではないか。しかしいずれにいたしましても、若干でも整理を要するということは重大な問題でありますから、私どもは決してこれを軽視いたしておるわけではありません。その点につきまして、人一人の整理もなしに済むようなことができれば非常にいいと思います。これらの点につきましては、そういった要請と通貨制度全体の体系をいかにして整えていくかということ、この点をにらみ合せて考えております。御参考までに申し上げておきますが、現在の百円紙幣というものは一年しか持たないのです。印刷費用その他製造経費が、たしか四円六十銭程度である。日本のような高金利の国でありますから、おそらくアメリカ、イギリスのような低金利の国ではとても保たない。ところが硬貨を出しますと、硬貨は大きさ及び品質にもよりますが、大体百円を作るのに対して四十円余りではないか。そうすると百円の銀行券を十年間使うだけの経費をかければコインが一枚できるわけです。百円で、しかもコインはもちろん半永久でありますから、半永久保つ。しかもそれをつぶせば素材としての価値はいつまでも残っている。こういうことで計算をいたしますならば、その方がはるかに国民経済的には利益だということがいえるのであります。しかし、だからといってしゃにむにほかの影響を考えないでやることがいいか悪いか、これは十分考える余地があるのであります。こういったことでいろいろ研究はいたしておりますが、そう私どもはこの点についてむちゃをやろうということは考えてないということだけは、その点については誤解もあるようでありますから、そのことを一応御参考までに申し上げておきたいと思います。
  79. 石村英雄

    石村委員 大体お話はわかりましたが、ある程度は整理しなければならぬというようなお話でしたが、百円銀行券でいくか硬貨でいくか、どっちがいいか悪いかという問題は別といたしまして、かりに硬貨に切りかえるというときには手持ち準備量を早く——それは二十カ年計画だというような話だったが、二十カ年を十カ年計画にでもして、一人も整理者を出さないような配慮をぜひやっていただきたい、こう考えております。どうぞよろしくその点慎重に御検討願いたい。
  80. 松原喜之次

    松原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来る十二月三日午前十時より開会することといたします。  これにて散会いたします。    午後一時二分散会