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長谷川(保)
委員 私は最近の
全国の
国立療養所、公立結核療養所、つまり長期の療養を要する病院の入院患者の実態を見て参りまして、御承知のように昨年
厚生省でお出しになりました御調査の結果、入院治療を要する結核患者が百三十七万人あるという数字が出ておる。
全国の結核療養所のベッドは公私立全部合せまして二十万足らず。こういうことであれば当然
全国の結核療養所のベッドはいつでも全部満床であって、しかもたくさんの入院を希望する者が待っていなければならない。しかるに御承知のように、
全国の結核療養所の、ごく優秀な一部の病院を除きましてはベッドがあいてきている。この空床がどういうようになっておるかということについては後に事務局の方から正確な数字をいただきたいのでそのことをお願いしておきますが、こういうことが行われているということは何かそこに大きな間違いが政治的にあると思う。こういうことはあり得ないと思う。もちろん患者が入院を以前のように望まないというのはいろいろ理由があると思います。たとえば化学療法の進歩とか、またそれをいいかげんに扱っているとか、いろいろあると思いますけれ
ども、大筋といたしましては約二十万足らずのベッドが今百三十七万という入院治療を要する患者を前にしてあいておるということは、これは大きな間違いがあるのではないか。ことに、私はこのことについても事務局にあとで
資料を要求したいのでありますが、入院しております人がつまりどういうように
医療費を払っているかという種類、これは私が一病院の実態を調査してきましたのを申し上げるのでありますが、これはある非常に有力な病院のでありますが、ここでは自費患者がわずかに全体の六%、それから
国民健康保険のの患者はわずかに四%、
健康保険の患者が四九%、生活保護の患者が三九%、予防法の患者が二%、こういう数字であります。しかもなお内側を掘って見ていきますと、
健康保険の患者では家族入院はほとんどない。また生活保護で入っております患者のうち、入院料の一部
負担の未払いが三〇%ある。しかも徴収については
相当に勤勉にいたしましても三割の未払い。それで一部
負担を強く要求しますと患者は退院してしまう、こういう
状況が現われているのであります。そうして自費患者も国保の患者もずっとこの一年くらいのケースを見ていますと入院している率が順次下ってきている。言いかえますと、つまり長期の療養を要する結核患者が自己
負担があるために入院治療ができないということです。そういう傾向なんです。そういう傾向がただいま申しました結核療養所のベッドがあいてきたという
状況であるとしますればこれは大へんな問題だと思うのです。つまり本来すべての
国民が当然健康な生活を営む権利を有する、従って病気の場合には治療を受ける権利を有するわけでありますけれ
ども、現実の問題としてそれが受けられなくなってきておる、こういう基本的人権が侵害される政治が今日
厚生省において行われているということになってくる。でありますからこれはきわめて重大だと思うのです。今日
地方の社会福祉事務所べ参りますと、もうケース・ワーカーは要らないというのです。残念なことに
社会局長がお見えにならないのでありますが、もちろんこれはお伝え願いたい。ケース・ワーカーは要りません、なぜかというと、もうぴしぴしと
厚生省できめた基準、たとえば生活扶助であれば一人千七百円か幾らでありますか、それをきちっとはめて、もうちっとも融通がきかない。実情を見て相談に乗ってやるということがない。医療扶助でもそうです。その低い生活費を除いた全部を取り上げてしまう。だから実際の問題としては生活ができない。だから入院をさせられない、治療を受けさせられない、こういうことであります。ですから何も小むずかしいことはない、きちんと初めから型を作っておいてそれをはめればいいのでありますから。ケース・ワーカーが社会福祉事務所に要らないということは驚くべきことでありますが、これは大臣もよくお
考えをいただきたいのであります。最近社会福祉事務所の社会福祉主事と申しますか、ケース・ワーカーと申しますか、そういうたぐいの者に警官の古手、税務署の吏員の古手というものが目立ってふ、えておる傾向がある。きょうの朝日新聞にも横山泰三の漫画で、税務吏員に警官を使う、もしそれが自衛隊になったらタンクに乗って税金を取りに来るだろうという漫画です。自衛隊が税務吏員になるかどうか知りませんけれ
ども、社会福祉の第一線でありますケース・ワーカーが、もうその必要がなくて税務署の古手、警官の古手で、一部
負担を厳格に取り上げる、生活保護の適用についてはもう血も涙もないという適用しかできない、こういうことになって参りますれば、私は重大だと思うのです。その半面
厚生省自身が経営になっております社会
事業大学の卒業生が、今年就職口がほとんどないじゃありませんか。どういうことでしょうか。一番ケース・ワーカーの専門家が出て参ります社会
事業大学の卒業生の就職口がない、こういう
事情なのです。これはどこかに大きな間違いがあり、今日の
厚生行政を根本的に
考え直さなければならぬときが来ていると思うのです。
先ほど
お話の社会保険の医療給付について一部
負担をさせるということは、私がただいま申し上げたような結核療養所の内部の傾向ということを
考えて参りますと、これは非常に
考えなければならぬ。今日
国民として当然の基本的な権利であります医療も受けられない傾向が現に出てきている、結核療養所のベットがあいてきている、しかも一方には百三十七万の入院治療を要する人間がいるという厳然たる事実がある、こういうことであります。私がただいま申し上げます一部
負担の問題は、ほんとうに
考えなければならぬ問題だと思います。これは今の
健康保険のみならず、
生活保護法におきまする医療扶助の適用についても同様であると思います。この点につきまして軽々に一部
負担をさせる
制度を作るということはとんでもない話だと思いますが、こ、ういう点について大臣のお
考えはどうでしょうか、もう一度お伺いいたします。