○滝井
委員 きわめて本質的な御答弁をいただいたのですが、
経済六カ年
計画等を見ましても、現在の日本で、
経済審議庁が
考えているほど第二次
産業と申しますか、こういうものはそう
雇用率というものはふえないのではないかという感じがしてならないのです。というのは、
経済審議庁あたりでは年々五%も国民の総生産が上っていくんだという見方をしておりますが、戦前でさえも四%しか上っていない。しかも現在労働力人口というのは八十一万から百万くらいふえてきている。こういう中で第二次
産業に膨大なものを十分に
吸収することはできません。しかもここ二、三年の状態を見てもほとんど職についたというのは女子労働がふえてきているわけです。なるべく
賃金の安い女子労働というものがふえてきているというのが実態なんです。そうしますと、安い女子あるいは年少労働というものを使ってくる形でありまして、第一次
産業の農林業というものは過剰である。
現実にこの数年来ふえてきているのは、第三次
産業の商業部門あるいはサービス部門なんです。日本の
産業の均衡の上からいったら、非常に労働力人口の均衡性というものが消費的、奢侈的な
産業構成にだんだん傾く
傾向が出てきているということなんです。そうしますと、今後の
雇用をふやすところの面というものはどこかというと、第二次
産業の大
企業というものが
企業合理化によって輸出を促進しなければならぬ。日本の輸出貿易というものは
昭和二十九年の十六億くらいのものが少くとも二十五億か二十六億ドルというようなものに五カ年
計画の終期にはなっていくのでありますが、これは大
産業の
企業合理化、人員整理を通じて行なっていく、いわゆるオートメーション化というようなもので
雇用力というものはだんだん少くなってくる。そうなると
雇用力の出てくるのは商業部門か
中小企業以外にはないわけです。そうすると昨年から今年にかけての自由労務者の登録人員の
増加というものは七万から八万になっている。こういうものをどんどん
吸収していく長期的な
失業対策事業というものが日本に
現実にあるかというと、どうも能率を上げるようなものはない。たとえば出てくる
失業者というのは炭鉱
労働者、あるいは綿業、あるいは駐留軍というような非常に特殊な労働形態を持っておったところの
労働者が出てくるのです。そういうものを今度は港湾とか、
住宅の建設、上下水道、都市
計画というような比較的技術を要するものに再編成をしていくというのは非常に困難性が伴ってくるわけです。しかも年少労働、婦人労働の
増加してくるという
傾向、こういうものをやはり十分に整理していくということになると、当然
社会保障
政策というものを老人や婦人層に対してぐっと打ち出していくという
政策がなければならぬし、
中小企業における
雇用の増大をはかっていく
政策というもの、
中小企業対策が出てこなければならぬ。一方同時に長期的な、今までの
失業対策、
ニコヨン的な、一時的な
失業対策でないものが出て、この三つの
政策というものがうまくコンビネーションされた
政策をやる以外にはないと思うのです。そういう点でどうもこれは一安定局だけの問題としてでなく、今局長さんが述べられたような点をもっとクローズ・アップしてやる以外にはないじゃないかと思うのです。たとえば具体的にそれを見て参りますと、鉱害復旧の
失業者の
吸収率、たとえば九州の炭鉱
地帯における
失業対策というものは、鉱害復旧でやらなければならぬということが
失業対策事業で一番先に取り上げられたものなんです。ところがことし四月から九月までの
実情を見ると、目標のわずか一割しかいっていない。一日一万人
吸収するのだといって笛や太鼓で
政府は炭鉱
地帯の
失業対策事業をやるのだと打ち出したが、調べてみると九月までに一万人が、一月わずか千人しか
吸収されていない。もちろんこれは
予算の確定が、暫定
予算等があっておくれたということもあります。あるいはちょうど五月、六月の農繁期にかかったという
理由もありますが、しかし
予算はとったが実際にその仕事が行われてないという実態になってしまったのですから、こういう点、今の鉱害の問題とも関連して、もう少しはっきりとした局長さんの方の
政策を全体にやる心構えと申しますか、そういうものをちょっと御
説明願いたいと思うのです。