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石橋(政)
委員 法律的には、軍直
労働者といえ
ども、
日本の労働法規の適用保護を受けるのだということは、再三言っている通りだと言われるわけなんです。しかし実際問題として困難だと言うのでありますが、私は困難だということだけでは済まされないと思う。適用は受ける、しかし現実の問題としては困難である、適用を受けられないような場合が非常にたくさん出てきているということになると、これは守らない米軍側に責任があるのは当然でありますけれ
ども、やはり毅然とした態度で守らせない
日本政府側にも私は責任はあると思う。私は日米行政協定に反するようなことを言っているわけじゃない。この協定に明らかなことすら米軍に守らせ得ないということは、私は
日本政府の責任をまぬがれることはできないとこのように思っております。現に最近では法を無視してかかっている。その度合いも非常に露骨になってきている。なぜかといいますと、問題がいわゆる準司法機関的な性格を持っている
労働委員会あたりに持ち込まれて来ましても、米軍がこの審問等に全然協力をしない。協力をしないだけではない。実際に出てきた命令をすら拒否する格好で臨んできている。これは非常に問題だと思う。見方によってはこれは挑戦であるといえないことも私はないと思う。
大臣もそうだろうと思いますけれ
ども、往々にして
政府のお歴々も口を開けば労使の問題は平和的にやれ、
ストライキなんかやるから雇用主が、あるいは米軍が硬化して問題の処理を遅らせるのだ、平和的に問題を処理すべきだということを常々言われている。だから
関係組合においてもなるべくそういった実力行使なんというものを避けて、
話し合いで、あるいは平和的な機関で処理しようと思って
労働委員会に問題を持ち込んでくる。あっせんを申請する。ところが肝心の相手側の雇い主はこの
労働委員会の査問に協力もしない、出てきた命令に従いもしないというのでは一体
労働者はどうしたらいいか。私は非常に大切な問題だと思いますので
お尋ねするわけです。この点いろいろ例がございます。あげていけばきりがない。昨年
全国統一ストに参加したという理由で
組合員が首を切られた。これに対して神奈川の地労委が取り上げて査問を開始したけれ
ども、軍は出頭しない。これは神奈川だけでない。埼玉にも起きております。あるいは東京の都労委でも起きている。これは非協力というような例でございますが、先ほど申し上げたように実際に命令が出たものを拒否するという例が今度青森県にはっきり出てきている。この場合などはちゃんと最初は査問にも審問にも応じておった。それで軍のとった態度が不当であると明らかな判定が下りまして、本年の五月二十六日解雇を取り消せ、原職に復帰させろ、そうして解雇された日から原職復帰の日までの
賃金相当額を支払えという命令が出てきた。ところが職場に復帰させない。もちろん
賃金も払おうとしない。一体こういう問題を
政府は黙って放置しておっていいのかどうか。私は当然何らかの
措置がとられなくてはならないと思う。もし解決されておらないとするならば、今後においても全力をあげてこの処理に当らなくちゃならない。そうしなければあなた方がいつも言っておられる平和的な問題の処理というようなことは、軍
関係労働者の場合には絶対にあり得ないということになると思うのであります。この問題について
大臣は一体どういうふうに
考えておられるのか、なお今後どうしようと思っておられるか。この青森県の例の場合でありますが、申立人は湯川富三というのでありますけれ
ども、解雇されましてから、絶対に
自分は首を切られるような理由はない——この当時解雇の理由とされましたのは、この人はコックでありますけれ
ども、エビ料理が半煮えだったという理由だった。これは表面の口実で、実際には本人には何の責任もなかったということが
あとではっきりしておる。実際はただ
組合を作って勤労条件の維持向上をはかろうとしたということにあったわけです。だから
労働委員会がこういう裁定を下すのは当然なんです。だから絶対に
自分は首を切られる理由はない。しかし首を切られて、基地には入ってくるなというから、しょうがない、奥さんと二人で二坪ばかりの店を開いて細々と何とか生きるかてを求めてきたけれ
ども、もうどうにもならないような
状態にきて、奥さんは来月が臨月だそうですが、すでに狂乱寸前にあるというような報告まで受けておるわけです。こういう例があちらこちらで現に起きておるわけでありますが、何としても私は早急に
政府が明確な態度を打ち出して、軍にも相当強硬な決意をもって臨んでもらわなければ、基本的な、人権の問題にもなると思いますので、その決意を私は
お尋ねするわけであります。