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1955-12-09 第23回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十二月九日(金曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君    理事 大島 秀一君 理事 荻野 豊平君    理事 薩摩 雄次君 理事 瀬戸山三男君    理事 今村  等君 理事 西村 力弥君       逢澤  寛君    大高  康君       高木 松吉君    仲川房次郎君       中村 寅太君    二階堂 進君       小松  幹君    中島  巖君       松尾トシ子君    三鍋 義三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 馬場 元治君  出席政府委員         大蔵政務次官  山手 滿男君         建設事務官         (大臣官房長) 柴田 遠夫君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   鹿野 義夫君         建設事務官         (計画局長)  町田  稔君         建 設 技 官         (河川局長)  米田 正文君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君         建 設 技 官         (住宅局長)  鎌田 隆男君         専  門  員 西畑 正倫君     ————————————— 十二月二日  委員町村金五君辞任につき、その補欠として徳  安實藏君が議長指名委員選任された。 同月三日  委員櫻井奎夫君辞任につき、その補欠として安  平鹿一君が議長指名委員選任された。 同月五日  委員長内海安吉委員長辞任につき、その補欠  として徳安實藏君が議長指名委員長選任  された。 同月七日  委員荒舩清十郎辞任につき、その補欠として  久野忠治君が議長指名委員選任された。 同月八日  委員有馬輝武辞任につき、その補欠として楯  兼次郎君が議長指名委員選任された。 同月九日  理事山口好一君、逢澤寛君及び高木松吉理事  辞任につき、その補欠として内海安吉君、大島  秀一君及び薩摩雄次君が理事に当選した。     ————————————— 十二月五日  昭和橋改修に関する請願笹本一雄紹介)(  第三二号)  国道仙台山形線舗装工事施行に関する請願(  内海安吉紹介)(第三三号)  内海橋開閉式架替え等に関する請願内海  安吉紹介)(第三四号)  北上川柳津こう門より迫川合流点の区間を直轄  工事区域編入等に関する請願内海安吉君紹  介)(第三五号)  道路整備促進に関する請願久野忠治君紹  介)(第四〇号)  道路財源法制定に関する請願久野忠治君紹  介)(第四一号)  牛首別川の改修工事施行に関する請願本名武  君紹介)(第八九号)  茂岩橋架設に関する請願本名武紹介)(第  九〇号)  十勝川の改修工事促進に関する請願本名武君  紹介)(第九一号)  尼崎市災害防止対策確立等に関する請願山口  丈太郎紹介)(第九二号)  本庄橋永久橋架替え請願瀬戸山三男君  紹介)(第一〇八号)  津山市、柵原町間の道路改修工事施行に関する  請願大村清一君外一名紹介)(第一〇九号)  同(小枝一雄紹介)(第一一〇号)  岡山市、三石船坂峠間の道路改修工事施行に関  する請願小枝一雄紹介)(第一一一号) 同月七日  三陸沿岸国道整備促進等に関する請願(淡谷  悠藏紹介)(第一五〇号)  国道十九号線の改修工事施行に関する請願(原  茂君紹介)(第一五一号)  同(下平正一紹介)(第一九九号)  災害復旧のための資金融資に関する請願相川  勝六君外五名紹介)(第一六五号)  宮崎県の土木災害復旧工事促進に関する請願(  相川勝六君外五名紹介)(第二〇〇号)  台風二十二号による被害家屋特別融資に関する  請願相川勝六君外五名紹介)(第二〇一号)  被害家屋復旧のための特別わく割当に関する請  願(小山長規君外五名紹介)(第二〇二号)  清水、直江津間中部日本横断道路改修工事施行  に関する請願塚田十一郎紹介)(第二〇三  号)  東頸城郡治山砂防事業促進に関する請願(塚  田十一郎紹介)(第二〇四号)  栗谷沢橋永久橋架替え請願松澤雄藏君  紹介)(第二〇五号) の審査を右委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  公共事業に関する件     —————————————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 それではこれより会議を開きます。  この際一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。私今回はからずも委員長の重責を汚すことに相なりました。お見かけの通りにきわめて浅学非才でございますし、議事にもきわめてふなれでございますが、本委員会には私どもの尊敬する先輩同僚の方がたくさんおいでになりますので、それらの方々の御指導と御援助によりまして、大過なきを得ますように努力をいたしたいと存じております。どうぞ皆様の絶大な御支援をひたすらお願いを申し上げたいと存じます。  本日の議事に入ります前にお諮りいたしたいことがございます。すなわち理事でありました高木松吉君、山口好一君及び逢澤寛君よりそれぞれ理事辞任いたしたい旨の申し出がございます。これを許可するに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なきものと認めます。よってさように決しました。  つきましてはこれが補欠選任を行わねばなりませんが、これは前例によりまして選挙の手続を省略して、委員長において御指名するに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認めます。よって委員長は、    内海 安吉君 大島 秀一君    薩摩 雄次君をそれぞれ理事指名いたします。     —————————————
  5. 徳安實藏

    徳安委員長 公共事業に関する件につきまして調査を進めたいと存じますが、公共事業費削減問題につきましては前回の委員会におきまして政府より一応の説明を聴取いたしております。本日は大臣も御出席でございますので、一応それらの点につきまして、あるいはまた建設省の来年度予算に対する基本方針等につきまして意見をお聞きいたしたいと存じます。発言を求められておりますからこれを許します。馬場建設大臣
  6. 馬場元治

    馬場国務大臣 経済の自立を達成し、国民生活の安定をはかりますことは、今日わが国経済に課されております大きな課題でありまして、政府総合経済計画の樹立に努力いたしておりますゆえんもまたこの課題を一日も早くしかも円滑に解決する意図にほかならないのでありますが、その基盤となる国土の保全、利用、開発住宅建設等を担当いたしております建設省使命はますます重大であると痛感をいたしておる次第でございます。従いましてこの責任を深く認識いたしまして総合的見地から従来の施策を再検討し、法制上及び予算所要措置を講じまして、この使命を一日も早く達成すべくできるだけの努力を傾ける所存であります。私は就任日なお浅くかつ明年度予算編成方針措置につきましては、政府としても党としてもなお未決定の段階でございますので、個々の政策について具体的に申し上げる時期ではございませんが、現在建設省として考えておるところを申し上げてみたいと存じます。  まず第一に治水対策でありますが、毎年莫大な災害をこうむるわが国におきまして治水事業重要性については今さら申し上げるまでもありませんが、昭和二十八年の秋に内閣に設置されました治山治水対策協議会決定されました治山治水基本対策要網に基きまして、具体的に治水事業基本計画を定め、事業緊要度に応じまして五カ年ごとに区分した実施計画を樹立し、計画的に逐次実行に移していきたいと思います。またその実施に当りましては事業を円滑かつ効率的に運営するために、重要河川については原則として継続費制度を採用し、なお現下の地方財政の窮迫を緩和するために国の負担率及び補助率引き上げをはかる措置を講じたいと考えております。これらの諸施策を強力に推進するため治水事業法ごときものを制定すべく目下検討中であります。またただいま申し上げました河川とともに最近海岸災害が激増の傾向にありますので、その対策として海岸法を制定し、海岸保全にも大いに努める所存であります。  第二に道路対策でありますが、最近道路交通量は増大の一途をたどり、また車両は大型化して参りましたので、産業開発、文化の発展、安全なる交通の確保の上から道路整備の急務がますます痛感されますが、これらの対策といたしまして、現在は、昭和二十九年に制定されました道路整備費財源等に関する臨時措置法に基きまして、ガソリン税収入額を充当して五カ年計画により実施いたしておる一般道路事業と、昭和二十七年に制定されました道路整備特別措置法に基き長大橋、遂道その他料金を徴収することができる道路に対して政府長期低利資金を融通して、特別会計実施する有料道路事業との二本立で実施いたしておるのであります。しかしながら道路整備費財源等に関する臨時措置法は、御承知通り昭和三十三年までの時限法でありますから、前国会における当委員会の御決議の次第もあり、この制度を恆久化して参りたいと考えております。有料道路につきましては、全国的に見て要望の個所もきわめて多く、政府資金のみでは財源的にも制約がありまして本制度飛躍的発展は望み得ない状態でありますので、政府資金にあわせまして民間資金、でき得れば外資の導入をもはかり、またこれが経営を総合的に運営し、経営合理化能率化をはかるために、現制度を改めまして日本道路公団とも申すべきものを設立すべく計画をいたしておる次第であります。  第三に都市計画事業でありますが、現在の都市人口の著しい増加に対処いたしまして都市施設総合的整備をはかることは、都市住民生活を安定し、産業基盤を確立するために必須の要件でありますが、昭和三十一年度からは各都市別に五カ年ごとの総合的な整備計画を樹立し、計画的に本事業を促進するため都市計画事業法を制定するとともに、これと関連いたしまして地方財政の緩和をはかるためごく軽度の都市計画税を市町村の目的税として復活することとしてはいかがかと存じておる次第であります。  第四に住宅対策でありますが、住宅対策につきましては、前内閣方針を踏襲し、現在二百八十四万戸といわれる住宅不足を本年度以降十カ年で解消するという計画のもとに、低所得階層を対象といたしました公営住宅政府低利資金融通による公庫住宅政府資金民間資金との協調による公団住宅の三方式により実施することといたしたいと存じております。三十一年度におきましては、前年度に比べ戸数において若干の増加をはかるとともに、特に不燃率高層率の向上、坪数の増加融資率引き上げ共同施設拡充等、質の改善に努力する所存であります。  第五に災害復旧対策でありますが、先般公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法も一部改正され、緊要工事につきましては三カ年で完了することになりましたので、三十年災につきましては三十一年度において総事業量の四〇%を復旧するものとし、二十九年災以前のものにつきましては、残事業を三カ年で復旧するものといたしまして所要予算措置を講じたいと考えております。  以上現在計画いたしております昭和三十一年度重要施策の概要について申し上げましたが、なお今後委員各位の御意見等も十分拝聴いたし誤まりなきを期したいと存じますので、格別の御支援をお願いいたします。
  7. 徳安實藏

    徳安委員長 質疑申し出がありますから順次これを許します。なおこの際特にお願いいたしたいことは、大臣参議院の方に出席を要求されておるそうでございますので、きょうはきわめて簡単な点だけを大臣に御質疑を願つておきまして次の機会に十二分に御質疑を願うことにしたいと思います。なお大蔵政務次官が見えておりますから、大臣質疑が済みましたら大蔵政務次官に御質疑を願うことにいたしたいと思います。大蔵大臣予算委員会がございましてにわかに手が抜けないようでございますので、一応大蔵政務次官に御質疑を続けていただきまして、その間にもし手がすくようでございましたら大蔵大臣にも出席を願うようにいたしますから御了承を願います。  それでは順次質疑を許します。瀬戸山三男君。
  8. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 大臣参議院関係でお忙しいそうでありますからごく簡単にお尋ねしておきます。  ただいま昭和三十一年度の諸計画についていろいろ御構想を承わりましたが、これはわれわれがふだんから要望いたしておるところでありましてきわめてけっこうであると思います。こういう問題についてはあとでゆっくり御意見を承わることにいたします。  そこで、ただ一点でありますが、先般来地方財政赤字解消と申しますか赤字穴埋めの問題で非常に論議の的になりました公共事業費削減するという問題が、御承知のように非常に問題になりまして、政府最初方針を変えられて、公共事業費削減しないという意向を公表されましたが、私どもはそれは非常に適切な処置であると考えております。ところがその後の様子を見ておりますと、必ずしもその方針の表明が政府部内において一致しておるかどうかということについて、その後の予算委員会等質疑応答を見ますと私は多少の疑義があります。そこできょうは簡単にお尋ねしておきますが、あの問題は国民の各方面の注視の的になっておる政策の重要な問題でありますから、その間に多少の疑義があるというようなことのないようにしていただかなくてはならない。と申しますのは、建設大臣はあの公共事業費については、今年度既定予算は強力に推進する、従ってこれを何らかの行政措置によって仕事をおくらして、余裕金と申しますか、最切に計画されたように八十八億に近い金を残すという方針でおられるのか、あるいは既定予算は強力に推進して仕事を進められるお考えであるか、この際はっきり言明していただきたいと思います。
  9. 馬場元治

    馬場国務大臣 地方財政問題のためにあの措置がとられました経過につきましては、瀬戸山さんのよく御承知のところであろうと存じます。既定経費を特に節減をするというような意味合いは持っておりません。計画通り実行をいたしまして、その実行が事実において、不可能な場合にはこれを節減に振り向けるということになると思います。そこで建設省といたしましては、今までの計画をそのまま実行に移しどんどん仕事はやっていく、こういうことになるのでありまして、地方財政の窮乏を補填するために、特に今までの計画を変更してわざと仕事をおくらせるというような意志は、こうまつも持っておりません。仕事既定計画通りに進めて参ります。ただ実行が不可能なものが出て参る場合、それを節減に振り向けることは、やむを得ざる措置であると存じております。従いまして最初うわさに飛びましたような、一括して公共事業費削減するといったようなことはいたしませんので、実情をよく調査をいたし、その実情に即した措置をとって参りたい、かように考えております。御了承を願いたいと思います。
  10. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 今大臣の御説明通りでありますれば、これはきわめてけっこうであります。けっこうでありますが、今のお話のようにやむを得ざる事情、こういうこともあり得るのでありますが、ただそのやむを得ざる事情というのに、あるいは用地の買収遅延だとか、そういういろいろな支障があることは私どもも認めております。これはやむを得ざる事情でありますが、そういうことでなしに、今財務当局も見えておりますけれども財政法上の措置によって、実際上金を出すことの指令をおくらせるとか、あるいはそれを押えるとかいうことが、今日までたびたび行われておる。私は大蔵大臣お答えを聞いておりますと、これは言葉じりをつかまえるわけではありませんが、ちょいちょい今日本会議においてもあるいは予算委員会においても、公共事業費繰り延べということがまだ使われておる。繰り延べということは大蔵省がよくやられることであって、原局建設省にいたしましても、運輸省にいたしましても、文部省にしても、あるいはその他の公共事業仕事をやっておられる方では、一生懸命やりたいけれども大蔵省の方で文句をつける、——と言うと失礼でありますが、金を出ししぶる。実際上仕事をやらせないという方法、やらせない方法というのは言葉がおかしいかもしれませんが、そういうふうに見受けられる処置がだんだんに講じられておる。今度は八十八億を一応頭に入れておいて、そうして各省の一生懸命やりたいという仕事をずっとセーブするという方法がとられるおそれが私は十分にあると思う。そういうことは閣内の問題でありますから、ないという御方針でありますれば、ないというふうに聞いておきたい。もしそういうことであるならば、この間から問題になりましたあの論議の結果、政府既定方針を変えられたものは、国民を偽わるものであるというふうに考えられるおそれがありますので、その点をもう一度お答え願いたい。これで大臣に対する私の質問は終ります。
  11. 馬場元治

    馬場国務大臣 この問題はしばしばお答えを申しておる通りでありまして、瀬戸山さんの御心配もさることながら、われわれといたしましては、どこまでも既定計画事業を進めて参ります。そうして各位もよく御承知通りに、事業を進めて参りまして、それが事実において実行できない不用額が出たといったような場合に、これを地方の方の節減に振り向けるということがあり得るのでありまして、いわゆる一括削減をしないという言葉意味は、まさにその点にあるのであります。賠償費であるとか、あるいは一般経費節減であるとか、公共事業であるとか、そういった各方面から節約すべきものを節約して、これに充てるという趣旨でありまして、公共事業から幾らという数字的の無理はしないという意味でありますことは御承知通りでありますので、われわれとしてはどこまでも仕事は進めて参りたい。そうしてもし不用の額が出たなら、これを当面の急であります地方財政の補填のために使っていく、こういう方針でありますので、どうかさように御了承願いたいと思います。
  12. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 非常にくどいようでありますが、もう一点、これは財務当局に聞くべきものでありますが、そういうことでありますれば、これは閣内の問題でありますから、どうせ御相談にあずかると思います。そこでそういうことでありますれば、これは百六十億と説明されておりますが、これを今度の通常国会補正予算を出さなければなりません。そういうことになりますれば、補正予算をいつ出されるか、これは今われわれにはわかりませんが、その時期によっては、それを計算して財源に充てなければならぬという場合に、一体公共事業費というものはどういう余裕があるかということは、年度ぎりぎり近くにならなければわからない。それとの関連において、一向めどがない財源考えるということになりますが、その点はどうお考えになっておりますか。
  13. 馬場元治

    馬場国務大臣 それは実情をよく調査してみなければ、今ここで明言はいたしかねます。
  14. 二階堂進

    二階堂委員 関連して。なるほどそれは年度末ぎりぎりにならなければ、どの工事がどのくらい繰り延べになるかということはわかりません。われわれの少くとも党との折衝において了解を得てもらったことは、その繰り延べ仕事を一割削減するとかなんとかいうことでなくして、公共事業費の中でやむを得ざる場合に残った金を来年度補正に組む、こういうようにわれわれは了解しておるわけであります。その通りであれば、私どもも何も異存はありません。ただしかし大蔵省は、瀬戸山委員も申されました通りに、なかなかこれは金を出そうとしない。予算を一応組んでも、それを何らかの方法によって、少しずつでもこの金を出さぬようにして繰り延べて、そうして余裕金を作りたい、こういうことを考えておるように私どもは印象を受けておるのであります。この前われわれが党との間に話を一応きめました以後、私は運輸省とか文部省とかあっちこっちに参りまして、その後のいろいろなことを聞いておりますが、これは正式な文書ではないが、相当一割程度の金を繰り延べするようにというような話し合い大蔵省当局から受けておる。これはたとえば北海道港湾にいたしましても、ほとんど仕事は今年度は十一月でできなくなるわけであります。いろいろ突き詰めて聞いてみますと、港湾関係北海道仕事についても、約一千万円程度のものは繰り延べしなければならぬような金がある。しかしそれにもかかわらず、大蔵省当局は五千万円か七千万円ぐらいの仕事繰り延べしろ、こういうふうな話し合いを持ち込んできておる、こういうようなことを聞くのであります。こういうようなことが建設省内にあるかどうか、私は存じません。私はないことを望んでおります。しかしながらそういうように一応われわれが党との間に話をきめたが、その後事務的に大蔵省当局各省に対して一体どういうような話し合いをしておるのか、先ほど申し上げましたような話を承わると、どうも大蔵省当局各省に対して、頭ごなしに一割程度のものは繰り延べしろ、こういうようなことを強制的に言っておったやに印象づけられるのであります。ここに大蔵政務次官も来ておられますが、私はこのようなことはないと考えておりますが、そういうふうに言われて参りますと、事務当局においては一体どこまで仕事をしていいのかわからなくなる。やらなければならぬ仕事はたくさんあります。しかしながらそのようなことを言ってくる、あるいはそういうような指示があるということになりますと、仕事をやらなければならぬ現業官庁としては——これは一兆円の予算をそのまま年度内にすっかり使い切るというのは困難であります。予算が与えられて、その予算の範囲内において金を出して仕事をされるというのが現業官庁の今までの習慣じゃないか、考え方じゃないかと思っております。にもかかわらず、ことしは一割削減しろというような声が出てきてそいつはいかぬということで、余ったものは使ってよろしいということになってきたわけですが、そんな非常にびくびくしながら仕事をしているときに、その仕事はある程度繰り延べして余裕金を出せというような話し合い大蔵省の方から事務当局にされるということになりますとこれは大へんなことになる。三十年度予算を国がきめて国会がきめたものを、それを大蔵省がそういうような話し合いを進めめてきて、仕事ができないように、予算を浮かすようなふうに話し合いを進めてくるということになりますと、これは議会というものは要らなくなる、委員会というものは要らなくなる、国会を無視した態度であると私は思います。でありますから、私どもは再三繰り返して申し上げますように、そういうことがあってはならぬ、仕事はどしどしやれ、やむを得ざる場合において金が余ったならば、これは翌年度の金に回すとか、地方財政窮状にかんがみまして何とか手当をしなければならぬのでありますが、そのために金を回すということは当りまえであります。しかしながら、今の予算の執行の途上においてそのような差し出がましい——はなはだ失礼でありますけれども、差し出がましい指示をされる、話し合いをされるということは、言語道断だと思っております。そういうことがないように善処していただきたいと思うのであります。そういうような話を聞きますが、一割程度事業繰り延べるとか削減をするとかいわれておりますが、大蔵省当局は私はそういうことはないと考えておりまするが、一体どういうふうに来年度補正に当って処理されるつもりであるか、その点を一つ大蔵省当局に伺っておきたいと思います。
  15. 山手滿男

    山手政府委員 健全財政の線をできるだけ堅持しつつ、しかも地方財政窮状を救わなければいかぬということで、先般来御承知のような決定がなされまして、当委員会皆様方にもいろいろ御心配をかけておることをまことに恐縮に思っております。     〔委員長退席、瀬戸山委員長代理着席〕 今お尋ねのございました点等につきましても、私どももいろいろ御注意を心いたしまして、皆様方の御期待に沿えるように善処したい、こういうことで事務当局をもいろいろ鞭撻し注意をいたしておりますが、御承知のように、昨年度も六十数億の繰り越しがありました。しかも年度内に相当な節約をした上に繰り越しがありました。一昨年も大災害がございました関係もあって、公共事業費補正をやつたことは皆様の御承知通りでございます。ことしは特に六月までは暫定予算を組んでおりまして、そういうふうないろいろな関係から工事がおくれておる。さっき瀬戸山委員からお話がございましたように、用地の買収や何かの話し合いがつかない等々の理由によって相当工事がおくれておることが想像されます。そのために当然工事繰り延べる。金が余るというふうな事態が各省ともできてくることが予想をされますので、それを一つ財源化して、地方財政の赤字窮乏を救おうじゃないか、こういうことでやっておるわけでございます。でございますが、まだ今それじゃどの省でどれだけ出すとかどの費目でどうこうということは、よく各省と事務的にも打ち合させなければ、その概算も出て、正確に御説明申し上げる線までは出てこないわけでありますが、今後よく各省と緊密な連絡をとりつつ皆様方の御期待に沿えるようなふうに善処をしたいと思います。
  16. 二階堂進

    二階堂委員 いや、その話はよくわかるのであります。非常に地方財政窮状にかんがみてある程度の節約をしなければいかぬ、そのために大蔵省の方でもいろいろ御苦心なさっている点はよくわかるのでありますが、今政務次官も就任早々であられますし、いろいろな点がわからぬ点があるかと思っておりますので、はなはだお尋ねするのも少し遠慮いたしたいような気持がありますが、しかしこれは国家国民のためでありますので、私はそういう遠慮をいたさずにお尋ねしておきたいと思っておるのであります。なるほど大蔵省事務当局各省と緊密な連絡をとって、そうして仕事を進める上において支障なきょうにいたしたい、こういうことはもっともであります。しかしながら、議論はこまかくなりますけれども、先般来一割程度繰り延べをしろというようなことで、それを財源に充てるというような話があったのであります。そのことが各省にある程度——これは書面ではなかったと思いますが、国の方は公共事業費治水事業幾ら、公営住宅の方幾ら、たとえば具体的に申しますと治水関係において三十億ですか、それから住宅関係におきまして約五千五百ばかりを節減しろ、繰り延べしろというようなお話があったわけであります。そこで私どもはそういうことはいけないというのでああいう議論をいたしたわけであります。ところが今政務次官のお話によりますと、いろいろ苦心をしておられて、支障なきょうにいたさなければならぬが、そのためには各省とよく打ち合せをして話を進めておる、その話を進められておる上において、先ほど申し上げましたように財源の上においてある程度のめどをつけていかなければならぬわけであります。私ども考えからいうと、三十年度年度末にならなければ——建設省当局もどんどん仕事は遠慮せずにやらしておるはずだと思っております。にもかかわらず、これはやむを得ないことで、ある程度繰り延べがあることはわかっております。だからその繰り延べ考えながら仕事をやっていくときに、大蔵省の方から、あなたの方は約三十億程度はどうしても治水関係において仕事繰り延べてもらわなければならぬ、あるいは住宅において五千五百、こういうような話が出ておる、それから運輸省関係港湾関係の方でいろいろお話を聞いておりますと、北海道の方においても、いろいろ契約を済まして仕事を進めなければならぬが、それを大蔵省の方から五千万か七千万程度仕事繰り延べしなくちゃいかぬというような場合が出ておる。そういうように、大蔵省の方から緊密な連絡をとられるのは、これは当然でありますが、その話し合いをされる上において大蔵省の方からこれくらいのことはどうしてもやれ、こういうようにやってこられると、仕事をする方では困ってしまう、こういうような意見が出ておるわけであります。それがわれわれが申し上げている一つの不満であります。そういうふうに事務当局話し合いをされる間において、これくらいの金はお前の方で繰り延べしろというようなことがあるやに私どもは聞いておる。話し合いをせられる上においてそういうような態度でもって大蔵省各省話し合いを進めておられるのかどうか。もしそういうことをされているならばこれは重大だと考えておりますので、その点について一つ事務当局でもいいし、政務次官の方からはっきりした御答弁を願いたいのであります。
  17. 山手滿男

    山手政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、頭から一律にこれだけひねり出すようにせよ、あるいはこういうふうに切っていけというふうなことを事務当局建設省の方押しつけているような事実は私どもは万々ないと思いますし、もちろんさせる意思もございません。たださっきも御説明申し上げましたように昨年度も相当の繰り越しがありますし、できなかった工事もあるわけでございます。本年度において地方財政の赤字の窮乏を救うために公共事業費ばかりでなしに、各費目にわたって節約をしようということになったわけでありますから、やはり妥当な線を各省とよく話し合いをいたしまして、どの程度財源が出るのかあるいは出ないのか、そういう点については大蔵省としては早く見通しを立てる必要がございますから、その見通しを立てる上についての検討と申しますか話し合いをいたしていることは私はあろうと思うし、また当然のことと思いますが、一律にそれじゃこれだけ頭から出しなさい、これを切ってしまえとかいうことは万々申している事実はないと思います。
  18. 二階堂進

    二階堂委員 よくわかりましたが、そういうふうな態度でもって話をされないように、むしろ大蔵省の方から仕事をくれて早く仕事をせよというような気持でもって、余裕財源を探すというふうな気持で話を進めてもらいたいと思っておりますが、鹿野主計官にちょっとお尋ねします。そういたしますと、たとえば具体的に話を進めて参りますと、住宅の問題であります。これは約九億余りの財源予算関係からできるならば何とかしてもらいたいという話があったことは事実と思っております。技数におきまして公営住宅約五千五百戸、もしあなたの方でどうしても繰り延べしなければならない、財源を住宅関係に見つけなければならないということで話を進められるといたしますならば、あくまでも庶民階級を対象とする公営住宅五千五百戸のうちから何とか余裕財源を見つけたいというお考えでありますか。あるいはその他住宅関係の費用について繰り延べができるものならば、たとえば公団等の住宅関係の費用からでも、もし繰り延べするものがあるならばどこからでも出してもらいたいというお考えであるかどうか。その点を一つ鹿野さんの方から御説明願いたい。
  19. 鹿野義夫

    ○鹿野説明員 ただいまも政務次官からお話がありました通り繰り延べをさせるとかまた繰り延べをしてもらいたいとかいう意味で内容を検討しているわけではございませんので、住宅につきましても実際にほんとうに金が余ってくれば、それはやはり補正の際に財源として出してもらいたいということになると思いますが、住宅で五千五百戸ぐらいを繰り延べして節約しろという意味で現在話し合いを全然進めておりません。ですから住宅で出ない場合もありましょうし、川で出る場合もありましょうし、いろいろその事業々々によって施行の状況その他を十分検討していただいて、そういう財源がどこからどの程度出てくるかということを現在の事業の施行状況等実際に調べていただいて御検討願っているというのが現状でございますから、住宅の五千五百戸を繰り延べるかどうかという御質問に対しましては、現在そういう具体的なことでいろいろ検討しているわけではございません。具体的なといいますか何千戸節約をしろといったような意味繰り延べをしいるというような意味での調査をしているわけではございませんから……。
  20. 二階堂進

    二階堂委員 私どもは一割の問題が出たときに、建設省関係は治水が一番大きな犠牲になるという印象を受けたわけでありますが、その後住宅関係予算でも、当然繰り延べされるものが出てくる。公営住宅の方から五千五百戸ばかりを考えたらどうかというような話があったことは事実と思っております。そうでなければわれわれにそういう話が出てくるわけがない。これは事務当局も見えておられますから、承わればわかるはずでありますが、そういう議論はいたしません。ですがこれは鹿野さんが言われたことをそのまま受け取りますと、必ずしも公営住宅の方にかけたわけではない。いろいろ相談して、余った金が出てくればそれを繰り延べしてもらいたいというのであって、公営住宅とか公団の住宅と限ったことではない、こういうふうに申されたと私は承わりますが、そうであるならば私はよろしい。これが住宅関係から相当繰り延べしなければならぬことが出てくると私は思っております。たとえば公団の仕事といたしましては住宅公団、これは二万戸はおそらく本年度内には建たないと私は考えております。これは事務当局はどういうふうに考えておられるかわかりません。しかし用地買収等の進捗状況から考えまして、おそらく三月の末日までに二万戸の住宅が全部建ってくるとは私は考えられません。従って契約は全部なさるかもわかりませんが、実際の仕事は翌年度に回ってくるものも相当私はあると考えております。この議論は前の国会におきましても、私どもが自由党として野党時代だったときに私が中心となって議論した問題であります。そのときも二万戸はできないだろうと言明したにもかかわらず当時の竹山大臣はできると言明されておりました。なおまたこの住宅の問題は建設省よりもむしろ大蔵省がまるで建設省住宅局長のような考え方で二万戸を出してきた。大いにやれという。これは事実であります。その当時から大蔵省が主になって計画をされたものが四十二万戸の計画が、あるいは四十三万戸というふうに努力されるのが当然と思っているのに、五千五百くらいは繰り延べしてもいいのじゃないか、あるいは削減してもいいのじゃないかという意見が出ることは私は不可解だ。私どもは新しく合同して三百名の政党を作った。作った政党の政策からいっても住宅政策を四十三万戸、四十五万戸、さらにこれを広げた政策をとることこそが私ども合同した使命ではないかと思います。そういうところに地方財政が苦しい、しかも庶民住宅を対象にして五千五百戸繰り延べるということを考えられること自体がおかしいと思います。こういう議論はすれば幾らもまだありますが、しかしながらそういうことを私どもはしていただきたくないのでありまして、どうしても公団関係の費用もおそらく幾らか繰り延べになるものがあると思います。事務当局はどう考えておられるかわかりません。しかしながらそういうふうにどうしても繰り延べがやむを得ない場合には、少くとも公営住宅に手をつけることなく公団住宅等の一部を借りて、それを来年度予算に計上する、これは事務の遂行上支障を来たすことはないのであります。そういうふうに一つ話を持っていっていただきたい。具体的には今いろいろ話を伺いますと、大蔵事務当局は一割程度こうせよとかあるいはこれくらいの金をよこせということはやっておらないということを承わってやや安心をいたしたのであります。しかしながら問題は八十何億というものを予算にどうしても計上して、来年度補正に加えなければならないわけであります。その財源をどうしても探さなければならないわけであります。そうでなければ政府地方に約束した予算ができないわけでありますから、その財源を探すのに——これははっきりいうと三月末日になってこのくらいの仕事が出てくる、金が出てくるということがわかって初めてわかることでありますが、その期間に至る間において財源を探さなければならない。従ってこれはどうも財源がないということになりますと、今度は上の方からこれくらいの金はどうしても回せとか、お前の方から一億くらいの金はどうかしろという話も出てくるのはやむを得ないことじゃないかと思います。その点が心配なのです。ですから何べんも何べんも政務次官は何を変なことを言うとかお思いになるかもしれませんが、そこまで国家国民のために念を押しておかなければならない。心配でありますので、この点を特にお尋ねいたしたわけでありますので、われわれが心配しております点を十分お考えになりまして、一つ事務当局もよく相談をされまして、所期の目的を達成されるようにお願いを申し上げるのであります。
  21. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長代理 西村力弥君。
  22. 西村力弥

    ○西村(力)委員 大臣に質問しようと思っておったのですが、逃げられてしまってどうもならぬのでありますが、山手さんにちょっとお尋ねしたい。今度の地方交付税引き上げにからんだ地方団体のいろいろの動きに対して、あるいは今の質疑応答をお聞きしましても、われわれの敵は社会党ではなくて大蔵省だ、こう盛んに自由民主党の諸君は言われる。どうもわれわれは解せないことだと思っておるのですが、ああいうことを聞かれて次官はどういうお考えを持たれるか、お聞かせ願いたいと思う。
  23. 山手滿男

    山手政府委員 大蔵省といたしましては、いろいろな事情を勘案をいたしまして極力健全財政を貫いていきたい、これは大蔵省の悲願であると申しますか、これをぜひ貫いていきたいという根本方針で参っております。ところが一方におきまして、いろいろな問題が戦後起きております。そのためにぜひ金をこういうふうに出せ、あるいはこういう事業を興せ、こういうふうな要求が次から次へとございますし、歳入と歳出とがあまりにもかけ離れておりますので、それをどういうふうにつじつまを合せていくか。簡単に赤字公債を発行していったりなんかするようなことをいたしますと、通貨価値が大へんに変って参りまして、経済界に異常な動揺を与えることにもなりますし、どうしてもうまく皆さんの御希望を調整をしていただいて、健全財政が維持できるようにやりたい、こういうことでいろいろ事務当局も、従来皆さんの御希望を全部が全部おいれをするわけにもいかないような結論に結果的になった。そのために大蔵省が非常にどぎついことを言っているのだというふうに非難をされる向きもあるようでございますけれども、私はごく最近大蔵省に行って、いろいろこれを見て参りまして、なるほどこれは大へんなことだ、だれがやっても全部の人の言うことを満足さすようなわけには参らない実情にあるというふうに私は考えております。ただ大蔵事務当局がいろいろな関係で議員各位のごきげんを損じたり、不必要な刺激をするようなことはできるだけ注意をして避けるように、注意をいたさなければならぬと思いますけれども、そういう国家財政のいろいろな苦しい立場もございますので、国会内におきましても、ぜひ大蔵省の立場をよく御了承をいただいて御協力を願わなければいかぬ、こういうふうに私は考えております。
  24. 西村力弥

    ○西村(力)委員 各委員会どこに参りましても、最後のかたい壁というか、そういうところは大蔵省になるので、大蔵省にほこ先を向けるようになりますが、そういう点からかどうか知らぬが、現在行政機構改革の一つの構想として予算局というのが出ておる。私なんかもそういうことをずいぶん考えたこともあったのですが、ああいう機構に対しては次官はどういう工合にお考えになっておるか。
  25. 山手滿男

    山手政府委員 大蔵省の主計局を切り離して内閣直属の、あるいは経済企画庁内に予算局を設けようというふうなことが一、二うわさに上っておるように聞いておりますが、まだ正式にこの問題は日程に上っておるわけでもございませんし、いろいろそういうことも一つの方法としてあるというふうに政界の一部で議論をされておる、その程度だというふうに私ども考えております。あえて私どもの私見を言えというお話でございますれば、私見がないわけではございませんが、何といいますか、さっきの御質問にありましたように、大蔵省が財布の口を締め過ぎておって金がとりにくいから、金を出さしやすいようにしようという気持で予算局を作るというのでございますならば、おそらくそういう意図の結論が予算局に現われるということになれば、一兆円予算とか、あるいは健全財政ということは立ちどころに崩壊をいたしまして、収拾すべからざる結論が出て参るのであって、もしそういうふうな意味であるとするならば——これはどうかよく私どもにはわかりませんが、もしそういうふうに大蔵省がけちくさいとか、大蔵省が財布のひもを締め過ぎておるから困るというようなことで、とりやすいようにするという意味でございますならば、これは私どもは断じて了承するわけには参らない、こういうふうに考えております。
  26. 西村力弥

    ○西村(力)委員 金がとりにくいから、とりやすいようにしよう、そういう点もあるでしょうが、一昨年でしたか、預金部資金の一部ですかを郵政省に移管する場合に、ああいう問題が起きたときの大蔵省の官僚諸君の動きというものは、実に目に余るものがあった、こういうことは私たちもはっきり見ておるのですが、ああいう点も相当やはり影響しておるのではないか、こういう工合に思うのです。そういう点はやはり十分に引き締められるというか、自粛せられるというか、そういう工合にいくことが必要じゃないかと思われるのですが、そういう話は直接関係ございませんのでそれまでにします。  次に建設省のお方々に聞くのですが、現在の地方財政の窮乏状況は、県負担分の裏づけをなかなか困難ならしめておる。そのために本年度も国庫補助率引き上げをあちこちやられたわけですが、明年度は、そういう国庫負担率というようなものの引き上げを何らか考えておられるかどうか。局長お二人おいででございますが、三人ですか、それぞれの分担の事業において、国庫負担率引き上げ考えておられるかどうか、ちょっとお聞きしたい。
  27. 柴田遠夫

    ○柴田政府委員 私ごく最近官房長を拝命いたしたものでございまして、建設行政につきましては、全くの新参者でございますので、今後御指導のほどをお願いしたいと思います。  ただいま西村委員からお話がございましたことでありますが、先ほど大臣からさしあたり明年度ということを考えまして、建設省において構想を練っておると申しますか、考えておりますことのお話があったのであります。その中にも今お話の点についていささか触れておるのでございますが、道路につきましては、すでに過去におきまして、臨時措置法によりまして、これは時限法ということになってはおりますけれども、国庫負担率及び補助率引き上げられておることは御承知通りであります。  明年度におきましては、さらに先ほど大臣もお話になりましたように、治水事業につきまして、基本計画を定めて、これは五カ年計画を定めて進みたい、こういうことでございますが、その中におきまして、治水関係におきましても国庫負担率補助率をちょうど道路に見られるように、現状よりもさらに引き上げて、地方財政の負担の緩和をはかりたいという考えを持っております。なお都市計画事業等につきましても、若干の負担率引き上げ考えまして、地方財政の負担の緩和をはかりたいという考えを持っておる次第でございます。
  28. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それは具体的には何も固まっていないということなのですね。
  29. 柴田遠夫

    ○柴田政府委員 建設省考えとしては固まっておるのでございまして、先ほど大臣もお話しになりましたように、まだ新内閣が組織されまして新しい予算編成方針とか、党としての態度というものが最終的にきまっていないという理由はございますけれども、私ども予算要求の面におきましてその考えはすでに固めておりまして、予算の要求中でございます。
  30. 西村力弥

    ○西村(力)委員 次に緊急失対事業ですが、あの問題についてちょっとお聞きしたいと思うのです。あの事業に従事する日雇いの諸君の身体検査というものが相当厳重なんでありまするが、ああいう点から緊急失対事業の施行が不可能になる。労務者の選定ができない。あの諸君はほんとうにお気の毒な状況に置かれて、むしろ労働というよとも治安対策というような形で日雇いの諸君は就労しておる。そういう考え方で扱われているのではないか。そういう点から健康上十分に働くだけのエネルギュシュな身体を持っていないということになるので、それになお厳重な身体検査をやることによってみなはじき出されてしまう。そして緊急失対事業をやろうとしても労務者の手当ができない、こういうようなことが出てきておるということも聞いておるのですが、その間の事情はどうでございましょう。そしてまたそういう点から事業施行が不可能になっておるような具体的なケースはどのくらいあるか、おわかりになったらお知らせ願いたい。
  31. 柴田遠夫

    ○柴田政府委員 特別失対事業におきましては御承知通り予算としては労働省が持っておりまして、これの移しかえによりまして建設省関係事業についてはやっております。その場合に労働省の方と建設省が協議をいたしまして、先方から非常に詳細ないろいろの条件がありまして、労務者の吸収率でございますとか、あるいは今の適格者につきましても特別の適格の基準というものがございまして、それに基いて必要な身体検査もやってその失業者を就労せしめるという措置を講じていると思うのでございます。その身体検査のやり方が非常に厳重であるために当然就労されるべきものが就労されないで、失業対策として意味をなさない、こういうお尋ねであるかと思いますが、その身体検査の基準がどのようになっており、またどんなふうであるかということについての詳細は、私実は存じておらないわけでございまして、その詳細につきましてはさらに取り調べましてお答えいたしたいと思います。要するにそれらのむずかしい諸条件をこの通り実行いたしまする結果として、あるいはそのようなことが起っているかもしれません。そのために非常に就労の目的を達しておらないというようなことにつきましては、これは労働省との関係もあることでございまして、その間の事情をよく調べましてまたお答えいたしたいと思います。
  32. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長代理 三鍋義三君。
  33. 三鍋義三

    ○三鍋委員 山手政務次官にお尋ねしたいと思いますが、先ほどから同僚委員瀬戸山二階堂さんあたりからの質問に対する御答弁によりますと、結論的に公共事業は当初予算通りどんどん能率的に遂行していって一向差しつかえない、大蔵省はこれに対して何ら予算的の制約を加えません、やむを得ずどうしても仕事ができない場合は繰り延べる、こういうことにしっかりと確認してよろしゅうございますか。
  34. 山手滿男

    山手政府委員 先ほど申し上げましたように、例年の経験からいたしますならば、この相当額のものが出ることが予想されますし、特に今年度は暫定予算等の関係もあって、非常におくれておるという印象を持っております。特に寒い地方などは新しく公共事業をやろうと思いましても、冬が参りまして、なかなか工事ができないような地方もできて参るわけでございまして、経済効果が十二分に上りますようにうまくおやりいただくのをわれわれ大蔵省の方で特にチェックするということでなしに、実際にどういうふうに工事が行われたら一番適当であるか、その結果はどういうふうにこの繰り延べが行われ、金が出てくるのか、そういうことはよく各省と打ち合せまして、話し合いはいたしますけれども、頭から一率にこれだけ切れ、これだけひねり出せ、こういうようなことは全然行う意思はありません。     〔瀬戸山委員長代理退席、委員長着席〕
  35. 三鍋義三

    ○三鍋委員 お話の点はよく了解の上での私の質問なのであります。暫定予算が六月まで組まれておる。実際に予算が確定されたのがおくれたのでありますから、これに制約されて事業がなかなか思うようにいかないということももちろんでございます。それから地域的に気候の制約を受けて十分仕事ができないということもお話の通りでございます。そういういろいろな悪い条件のもとにおいてやはり一生懸命に仕事をやろうとしておるのが地方の熱意であり、努力であると思います。これに対して何ら大蔵省として予算関係その他で制約を加えるようなことはされないのかということを確認したいと思ってお尋ねしたのであります。それからもう一つ地域的の問題、これをよく考えていただかなければならぬ。予算はずっとおくらしてきめて、そうして仕事ができないような状態の時期に非常に苦しむ地方もあるということは、これは前もってわかっておると思うのであります。そういう地域的に冬期に入って仕事ができないところ、できないから当初の予算繰り延べざるを得ない状態に置かれておるという地方の実態というものは、これはやはり十分に研究をしておられるかどうかということ、この点をやはり十分御配慮の上、地方の建設の意欲を阻害しないように十分御考慮願いたいと思うのです。その点もう一度御答弁をお願いいたしたいと思います。
  36. 山手滿男

    山手政府委員 予算が組まれて決定をいたしておりまする以上は、ともかくもその予算を忠実に実行をいたしますことは当然の建前でございまして、私ども各省が一つ一つ計画に基いておやりになることは、何らそれを制肘する意思はございません。ただ今のお話のように、気候的な、物理的ないろいろな問題もありましょうし、ことしは政治的には、せっかく工事や何かをやるのにも一番いい時期が暫定予算や何かで空費をされて、予算があとから成立をして、現実にはなかなかむずかしい事態が起きておる。例年そういうことで、昨年までの公共事業費繰り延べ状況を御説明申し上げますと、公共事業費におきまして昭和二十七年におきましては二十億ばかり、二十八年度は節約をいたしました上で五十五億、二十九年度も節約いたしました上で、さらに六十三億ばかりの繰り延べが現実に出ておる実績がございます。そういうことでございますから、ことしは諸般の事情から相当のものが出ることは想像にかたくないのでありまして、今までの経験を土台にして、各省とよく連絡をとってやっぱり補正をするわけでございますから、補正の心がまえといいますか、計画を立てる必要もございますので、具体的な点をよく各省と当って話をしていくつもりでございます。
  37. 三鍋義三

    ○三鍋委員 私ずっとこの国会が始まりまして、地方財政の問題等にからんで、いろいろな方面から切実な陳情を受けておりますが、ただいまの御答弁によりまして私もそう理解いたしまして、どんどん仕事をやりなさいという工合に言うておきましたが、私の地域は非常に冬季間が長いので仕事がやりにくいのでございますけれども、幸いことしは天気がいいし、どんどん能率が上っていっておりますので、どんどんやらせますから、どうかその点よろしくお願いをしておきます。  それからもう一つ住宅局長にお尋ねしたいのですが、住宅の四十二万戸の問題は、二階堂委員とともに本会議政府に相当迫ったのでございますが、四十二万戸のうち自力建設の問題は別り問題といたしまして、政府の資金でやってくれる十七万五千戸、これは公約通り鳩山さんも実施いたしますということを本会議で明言されておったのでございます。この公約を実現するために、当局はずいぶん御努力なさっておると思いますがどうでございましょうか。大体年度内に十七万五千戸が確実に建設されるかどうか。またその公約を実現するために当局はどのような熱意と努力をされているか。これについて当局のお気持を聞きたいと思います。
  38. 鎌田隆男

    ○鎌田説明員 政府施策の住宅は、公営住宅五万戸、住宅金融公庫融資七万五千戸、それに公団住宅二万戸でございますが、これの進渉状況につきましては、先ほど来いろいろお話の出ておりましたように、予算の成立がおくれました関係、あるいは地方財政の窮乏その他によりまして、若干例年よりスタートはおくれたのでありますけれども、その後鋭意関係方面を督励しまして計画を進めております。公営住宅年度内にちゃんと着工することは可能でございます。それから公団住宅につきましても、十二月一ぱいに約半分、一月までに全部着工することになっております。住宅金融公庫の融資の状況でございますが、これはすでに大部分貸す対象を決定をいたしまして、ただいま契約その他を結んでおります。
  39. 三鍋義三

    ○三鍋委員 住宅問題の重要なことは、民自党の政策に掲げられておる点でもございますので、この上とも鋭意実現に最善の努力を払っていただきたいと思います。そうして繰り延べとか削減とかをされないように、一つがんばっていただきたい、このようにお願いいたします。
  40. 二階堂進

    二階堂委員 私は住宅局長大蔵省にちょっとお尋ねをいたしたいと思います。四十二万戸建設の中に増改築は三万戸計画されておると思います。この三万戸の増改築の現在までの申し込みの戸数がどのくらいになっておるか、第一回と第二回でどのくらいの戸数の申し込みがあったか、これをちょっと伺いたい。
  41. 鎌田隆男

    ○鎌田説明員 住宅金融公庫の増築融資の点でございますが、第一回の募集をいたしまして、契約を今日結びつつありますのが、しっかりした数字は今持っておりませんが、大体戸数にして八千戸程度であったと思います。これを平均坪数から言いますと、少し上りまして、大体一万戸程度に上るかと思います。第二回の受付はただいま実施をいたしておりまして、まだはっきり判明いたしておりません。十二月の半ばまで受け付けてやっております。この状況につきましてはまだ判明いたしておりません。この結果が出ましたときに申し上げます。
  42. 二階堂進

    二階堂委員 大体この申し込みの予定は三万戸といたされております。ただいま承わりますと、第一回は大体八千戸、私が承知いたしました数字も大体八千戸であります。第二回はまだ締め切りになっておらないようでありますが、大体一千戸というふうに承わっております。そうすると第一回、第二回で九千戸、大体一万戸に足らない数であります。これが年度内に三万戸になれば、四十二万戸計画に支障はないわけでありますが、ところが今のような進捗状況によりまして考えてみますと、おそらく三万戸の申し込みは至難ではないかと考えるのであります。一体これは三万戸に満たない場合にどういうふうな対策をお立てになるのか、これが一点であります。  それから大蔵省当局にちょっとお伺いしたいのでありますが、この増改築融資の申し込みがおくれておる理由、これは一つには、融資率が非常に低いという点にあると考えております。これは約五〇%であります。そうして手続が非常に煩雑で、手数料が大体一万円見当かかる。これは正確に調べたわけではございませんが、手続が非常にむずかしい。あるいは手数料と申しますか、そういうものが相当金がかかる。ここに私は問題があると思っております。参を借りて増築改築したい人はたくさんあるわけであります。ところが融資率が大体五〇%だ、しかもこの手続に非常にむずかしい点がある、こういうことからいたしまして、この三万戸の予定が現在においてまだ一万戸に達していない、これはまあ四十二万戸計画政府が進めておりまする上から考えましても、大蔵省の方におかれてもよく考えていただかなければならぬ点じゃないかと思っております。この融資率をさらに引き上げるというようなことは、これは法律で五〇%以内とか五〇%とかいうふうに規定されておったのかどうか私はよく覚えておりませんが、しかしこれは内部的な行政措置によって予算のワク内で、もう少し融資率をふやす方法があるのじゃないかと考えておりますが、このような融資率ではとうてい三万戸の増改築融資の申し込みを満たすことはできないと考えますので、この融資率をさらに七〇%、七五%にふやしてやるような措置考えられないものかどうか、もしできるとするならばそのくらいの措置はどうしても大蔵省の方において事務当局と話をされてやっていただかなければならぬ。それから手続等の問題で非常にうるさい問題があるというふうな話も承わっておりまするが、その点について一体どうなっておるのか、住宅局長の方から一つ御答弁願いたいと思います。
  43. 鎌田隆男

    ○鎌田説明員 増築問題につきましては、現在までの成績は確かにそう芳ばしい方ではないと存じます。そこでこの原因をいろいろ考えてみますと、増築融資を受けたい希望者が少いのかどうかという問題が第一点であります。しかしこれはいろいろ調べてみますと非常に多いのであります。多いにもかかわらずこういうふうになっているのはどうなのかということを考えてみますと、これは確かに御指摘のありましたように、一つは最初の第一回でありました関係上、まだ一般の方々にこの増築融資という問題が徹底していないという点であろうかと思います。それからもう一つは、融資率が五〇%で非常に低いという点であろうと思います。もう一点は手続が煩瑣である、わずかな金を借りるにしては今の手続では少し煩瑣過ぎるという問題があろうかと思います。ほかにも原因があろうかと思いますが、大きな問題はその三つぐらいであろうと思うのでございまして、今後こういう点につきましてできるだけ改善をはかりまして、さらに数回申し込みの受付をやりましてこれを伸ばしていきたい、こういうふうに考えております。
  44. 山手滿男

    山手政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、できるだけ私ども政府決定をいたしました線を成功さすために努力をする必要があると考えておりますが、今局長から御答弁がございましたように手続が非常に煩瑣であるとか、あるいはほんとうにああいう制度を活用するという意欲が出るまでに融資率がなっていない、そういうふうないろいろな事情もあるようでございまするから、よく検討をいたしたいと思いますが、ただ融資率引き上げるということは予算そのほかの関係もございますのでいろいろめんどうなことも起ろうと思いますけれども、御趣旨は十二分によく検討をしてみたいと思います。
  45. 二階堂進

    二階堂委員 その点については一つよく当局とも打ち合せをされまして善処されまするように特にお願いを申し上げておきます。  それからもう一点大蔵省にお伺いいたしたいのでありまするが、住宅融資保険法でありますか正確な名前は私よく知っておりませんが、とにかく住宅を建てるために銀行が金を貸す、その裏づける保険の方でもってやるというふうな法律が通過いたしておるのでありますが、これも実際は、法律はできておりますけれども、総額五十六億の契約でございますか、大体今日までにこの資金を貸し付けたのは二千四、五百万程度であろうかと考えております。なぜこんなに少いかということを考えてみますと、これは地場銀行が非常に協力をしないということに問題があると思っております。私は鹿児島でございますが、過ぐる二十二号台風のときには大へんに家が全壊いたしました。そこで、あらゆる住宅建設に備えております法律を適用いたしまして住宅を作っていただくように県当局もまた建設省の方にも大蔵省の方にもお願いをいたしたわけでありますが、遅々としてこの住宅建設は進んでおらない。これは、法律に乗っけて住宅を作るのには手数あるいは事務的な手続におきましても相当な時間がかかるわけです。家をなくした者は一日も早く家を建てなければならぬが、法律に乗っけて家を建てるということになりますといろいろなむずかしい問題がある。私は、ここに災害等でやられた住宅建設の大きな問題が残されておるように考えますので、この点につきましては後日またいろいろ大蔵省の方にも意見を申し上げて御協力を願いたいと思っておりますが、地場銀行が金を貸さない、金を借りようと思って銀行に申し込んでも、私の方には余裕金がないから金を貸すことはできないといわれる。これは、事実鹿児島の地元銀行等ではそう端的に申しております。私ども二、三回にわたって地元の銀行あるいは信用金庫等に集まっていただきまして、ぜひ協力してくれ、この裏づけは保険でもっていたしておるではないか、こういうふうに申し入れをいたしましたけれども、鹿児島は御承知通り非常に貧乏な県でありまして、銀行に余裕金がない、こういうことで協力をいたしておらないわけであります。そこで私どもは、この協力をいたさせるために、大蔵大臣にもあるいは理財局長にもお目にかかりまして何がしかの資金を預託してもらいたい、そうすることが住宅建設の促進をはかる一つのもとになるのだ、こういうことをお願いいたしましたところが、大蔵大臣も理財局長も、今日は預託制度はやらない方針になっておるからむずかしい、むしろ地元の方から銀行の資金を吸い上げる方針になっておる、そこでなかなか預託もできないといわれる。ところが地元銀行では、貸してくれと申し込みましても貸してくれない、こういうことで、法律はできておりましても何の役にも立たぬ。これは五十六億のうちわずか二千数百万の金しか貸し出しておらぬという現状を見ましてもよくわかることです。従って私は大蔵省の方にこのことを一つお考え願いたいと思うのですが、特にそういう地域的事情があって地場銀行に資金の枯渇しておるようなところには、しかも住宅の建設に非常に緊急な要求をいたしておるようなところには、大蔵省当局として地場銀行の方にも思いやりをもって、ある程度の金を預託してやる、吸い上げる金を延ばしていただくなり、それに適切な一つの方法を講じていただかなければ、こういう法律ができても何ら役に立たぬ。一方においては住宅の建設をしきりにいうておる、一方においては法律はあるが役に立たぬ、こういう矛盾した点もありますので、この点を一つ特にお考え下さいまして御協力をしていただきたい、こういう問題がありますが、これについて政務次官から御見解を承わっておきたいと思います。
  46. 山手滿男

    山手政府委員 せっかく制度ができておりながら活用されないということは非常に残念なことでございます。地方の市中銀行がちっとも協力をしないというお話でございますが、あるいはその原因が資金源の不足からきているということも考えられる次第でありますけれども、最近の経済情勢を通観してみますと、相当資金は市中にはんらんをしております。二階堂委員の国元の鹿児島の銀行がどういう実情か、私今つまびらかにいたしませんけれども、相当市中銀行はそれぞれ資金の余裕を持っているはずでございますし、政府の方は預金部資金や何かが予定通り伸びておりませんので、できればそういう場合には市中銀行に十二分に注意をして積極的に自己資金で努力をしてもらうように何か注意を喚起する必要があろうかと思いますけれども、私はまだよくその間の事情をつまびらかにいたしませんので、よく調査をし研究をしてみたいと思います。
  47. 二階堂進

    二階堂委員 ただいま政務次官の御答弁を承わりまして非常にありがたく考えるのでありますが、これは一つ早急に地元銀行の方の実情をお調べ願いまして協力するように、また大蔵省とされて協力ができるような御援助をお願い申し上げたいと思います。特に今回名瀬に大火がありまして、名瀬の住宅建設につきましても建設省当局にいち早くこの対策を立ててもらっております。これにつきましてもあらゆる住宅建設のいろいろな法律を適用いたしましてすみやかに住宅の建設をいたさなければならぬのでありますが、これにつきましても地元銀行を通じて融資のできるものは融資してやって家を建てるということが適切な方法ではないかと考えております。しかるに今先ほど申し上ばましたような事情を、必ず私は地場銀行は申し立てることと思っております。これは強制的に金を貸せるということはできないわけでありますので、一つこのような事情もありますので、早急に地元銀行等の実情をお調べ下さいまして、大蔵省の方でできるならば協力のできるような態勢を一つ作っていただき、また地元銀行にも督励をしていただきまして協力するように申し入れていただきたい、かように考えます。なおまた災害住宅の問題につきましては後日また次の委員会において質問をいたしたいと思っております。これで私の質問を終ります。
  48. 徳安實藏

    徳安委員長 三鍋義三君。
  49. 三鍋義三

    ○三鍋委員 住宅局長にもう一点お尋ねしたいのでございますが、新潟の大火によりますところの住宅対策はいろいろと心配していただいたのでございますけれども、住宅金融公庫の融資率を、耐火、木造とも一〇%ぐらい今回引き下げることになりましたあれを、新潟の——新潟だけでない、その後災害を受けたところも出てきたわけでありますが、こういう大災害を受けた地域に対して、その引き下げをいたさない元のままで融資をしてやる、そういうお考えをなさっているかどうか、それができないものかどうか、一つお尋ねしたいと思います。
  50. 鎌田隆男

    ○鎌田説明員 今年度の住宅金融公庫の融資率が法律の線より若干下回っておりますのですが、災害の場合、特に法律の線まで上げてもらいたいという非常に切実な要求があることは承わっております。そこでその線に沿いまして私どもこれは何とかいたしたいということでいろいろ努力をいたしておりますが、予算全般の関係もございましてまだ最終的に決定はいたしておりませんが、なるべく災害地に限りましてそういう措置をとりたいというように私ども考えております。
  51. 三鍋義三

    ○三鍋委員 大へん御好意のある配慮をしていただいているようで感謝するのでございますが、繰り延べとか何とかいう地方財政の問題とからんでいろいろ財政上困難な事態に立ち至っておりますけれども、この冬を控えまして難民の方々の気持も十分御配慮になって何とかこれを研究中というのを早く結論を出していただいて善処していただくようこの上とも御配慮を願いたいのであります。
  52. 徳安實藏

    徳安委員長 中島巖君。
  53. 中島巖

    ○中島(巖)委員 公共事業費削減の問題できょうは議案が出ているわけでありますが、この問題は御承知のように与党間でも相当紛糾がございまして本会議を一日延ばした。また本日の委員会におきましても瀬戸山二階堂両与党委員から痛烈な批判があったわけであります。私もこの問題については政府の本年度予算の編成方針において根本的に何らの一定した方針がないのだ、こう断定せざるを得ないわけであるのであります。その理由といたしましては、本年度予算は七月三十一日に成立したのであります。それで臨時国会は十一月二十日に召集されている。わずか本予算成立後三カ月と二十日しかない。しかもこの公共事業費につきましては先ほど大蔵政務次官は皆さんの御希望とかいうようなことを言うけれども、これは政府の提案でわれわれの国会が議決したのである。ことに住宅問題などについては、七月三十一日の予算の成立であるから日本住宅公団におけるところの計画などはとうてい実現できぬだろうということでわれわれはこれに対する削減を迫ったのであるけれども、断然これはできるという建設大臣の声明のもとに、その他の住宅の問題においても、あるいは災害復旧の問題にあっても、みなそういう説明のもとに与党が強硬に押し切ったのであります。そうして三カ月二十日足らずにしてこの公共事業費を全面的に八十八億削減する。実にけしからぬ話である。これは政府委員の方に説明を求めても困難だと思いますけれども、ぜひこの次の委員会には大蔵大臣建設大臣に列席していただきまして、そうして政府の責任の所在をはっきりすべきものである。ことに二月総選挙における一萬田大蔵大臣などは住宅四十二万戸建設を目標にして戦ってきた。それが聞くところによると、公営住宅五千五百戸削減して九億五千万をこれから捻出する。実にけしからぬ政府の態度である。こういうふうに私は考える。それでこれらの問題につきましては、いずれ大臣出席した場合にその政治責任を追究いたしたいと思うのでありますが、事務当局でもけっこうですからもしおわかりでありましたら次の問題についてお答えを願いたいと思うのであります。八十八億公共事業費削減、そうしてこの中で農林関係で三十億、建設関係で三十億、地方関係で二十八億というようなうわさを聞いている。それから住宅関係で五千五百戸を削減して九億浮かすというようなことを聞いている。それで一応与党の反対に出会いまして、本日も建設大臣並びに大蔵政務次官の答弁を聞いていると非常にお茶を濁している。建設大臣は節約の分とかいうようなことを言っているけれども、これは相場の変動なんかによりまして予定した工事額が非常に低くなった場合には節減ということが言えるものですけれども工事をやめておいて節減という理屈はないわけであります。従って当然この特別国会予算決定をした事業は、三月三十一日までに遂行できるように事務当局努力すべきである。しかも七月三十一日に成立して、三ヵ月二十日しかたたないのに、公共事業費八十八億削減なんて実にとんでもない不見識な、けしからぬ話である。それは別として、この八十八億をどういうところからどういう節減をしようとしたかという内容について大蔵政務次官からお伺いしたい。これは与党の反撃に出会いまして、ついにあいまいとして現在お茶を潤しておりますけれども、必ずそのときにはそれなりの案があったと思うから、その案はこういう案であったということをお示し願いたい。われわれはこの案を見て、今後も政府公共事業に対して十分注意して監視しなければならぬ。それが第一点。  第二点といたしましては、先ほどから住宅問題が出ておりましたけれども、今度新しく政府が立案したのは、先ほど二階堂委員からも指摘いたしました住宅融資の保険法、これは現在どの程度実績が上っているか。それからもう一つは、住宅公団法による資料、これの進捗状態、それから増改築分に対する申し込みがどのくらいあり、現在までどの程度実施されているか。特にこの三つは今回新しく政府が立案いたして国会を通したものであるから、この資料をお願いしたい。そのほか金融公庫並びに公営住宅につきましても、現在の進歩状態の御報告を願いたいと思うのであります。  それから、これは公共事業費とは別の問題でありますけれども河川局長から御説明願ってもけっこうでありますが、実は愛知用水公団の関係であります。これは農林委員会の所管になっておりますけれども、御承知のように長野県の牧尾橋にダムをこしらえて、木曽川水系を使って愛知県の知多半島一帯の灌漑用水に充てるというのでありまして、ダムの問題と河川の問題は当然建設委員会の所管であらねばならぬ。それで昨年度におきましても、私建設委員会を代表して北海道災害を視察いたしたのでありますが、鷹泊ダムによるところの災害が最も大きかった。その他各地においてダムの問題で災害が非常に大きいことは、委員皆様承知通りであります。しかも牧尾橋のダムは非常に大きなもので、一億立方メートルとかの貯水用だそうでありますけれども、この地帯はガスの発生が非常に多い。それと地盤が砂れき層である。断層が非常に多い。とにかく地質的にあらゆる悪条件を備えておる。これでロックヒル・ダムをこしらえるという構想のもとに進んでおるというお話でありますけれども河川局としてはこれにタッチしたかどうか。そしてその状況はどういうふうであったか。でき得るならば、あるいは通常国会でもよろしいけれども、当然農林委員会と建設委員会の合議にすべきものである、こういうように考えるわけであります。この点も御配慮願いたい、かように考えるわけであります。  結論といたしまして、この予算編成をしてわずか三カ月と二十日にして公共事業費八十八億の削減、しかもそれは地方財政が困窮しているからという説明でありますけれども地方財政の困窮は今日わかったものではなくて、特別国会の四月五月、六月において、各地方団体より猛烈な陳情があったわけであります。従って政府に、この予算編成に対して、一貫した確固たる方針がないじゃないか。これに対して大蔵政務次官の所信をお伺いいたしたい。それから次に八十八億の公共事業費削減の内訳はどういう話をしたか、その内訳をお聞きしたい。それから住宅局長に対しましては、先ほど申しました住宅融資保険法においてどれだけの成果をおさめたか。それから増改築分の申し込みはどの程度になっているか。日本住宅公団法による公団の仕事はどんな進歩状態であるか。それから公営住宅公庫住宅の進捗状況、これだけの御答弁をお願いしたい。かように考えます。
  54. 山手滿男

    山手政府委員 地方財政を何とかしなければいかぬからという非常な強い御要望がございますし、片一方大蔵省といたしましては、ぜひ赤字公債などを出さないで健全財政を国家のために貫きたいという決意もございましていろいろの関係から今度決定がなされ、そのために皆さん方に非常な御心配をかけておりますことを恐縮に存じております。今の尋ねのあります点、八十八億の内容を言えというふうなお話でございますが、私ども公共事業費を一律に頭から切って、何ぼ財源をどこからどの工事に捻出するというふうなことを考えておるわけではございません。事業の進捗状況あるいは緊急性あるいは諸般の制約から、例年の経験にかんがみまして相当な節約ができるのではあるまいか。さっきも申し上げましたけれども、昨年も相当額を補正いたしました上にさらに六十数億も繰り延べ、節約ができておる次第でございます。ことしは政治的ないろいろな理由でこの住宅政策についても非常に強化をしてやるんだということを言いながら、政治的な理由によって当初年度初め暫定予算を二へんも組むというようなことになりまして、今御追及のございました本格的な予算実行に着手することがおくれましたことは非常に遺憾でございますけれども、そういう事態が現実に起きて参りましたために、昨年度以上に大きな繰り越しができることも想像をされます。それで一律に画一的に公共事業費を切るということではなく、計画的にそういう従来の経験から、よく事務的な折衝を重ね、無理のないように、かつ合理的な節約をやるように努力いたす所存でございますから、お許しを願いたいと思います。何と言いますか、八十八億の内容を言えとおっしゃいますけれども、これは来年、年が明けてから補正をいたします前後になりませんと、その内容は具体的に確定するわけにもいきませんので、順次この御説明を申し上げる段階が来ると思いますけれども、今日の段階では確然とした数字を申し上げるわけにいきませんのを非常に遺憾とする次第であります。
  55. 鎌田隆男

    ○鎌田説明員 住宅建設の進捗状況につきましてお答え申し上げます。まず第一点の住宅融資保険の問題でございますが、これは本年度計画いたしましたのが保険価額にしまして五十七億円でございます。これに対しまして十二月現在における各銀行との契約状況は、金融機関の数にいたしまして五百十七行、総契約金額が五十六億六千二百十万円でございます。わずかに残しておる程度でございますが、九十数%でございます。  次に増築融資でございますが、これは計画戸数三万戸に対しまして、九月の十二日から三十日の間、二十日に満たないのでございますが、この間に第一回の申し込み受付をいたしましたのが、第一回の受付件数が約八千件でございます。第二回の受付は十一月の十五日から十二月の中旬まで一カ月間やっておりまして、この集計はまだ出ておりませんので、これが出ましたときにまた申し上げたいと思います。  それから公団の建設の状況でございますが、公団は今日現在着工をいたしました戸数が、もうすでに契約をいたしまして工事にかかった分でございますが、これが二千八百七十七戸でございまして、十二月中に確実に着工する予定のものが九千九十八戸ございます。それから一月の末までに、残りの約八千戸を工事発注をする、こういう段階になっております。  それから次に公営住宅でございますが、公営住宅につきましては、すでに各事業主体、地方庁に補助の通達をしておりまして、今日その着工を見ましたが、これは今調査中ではっきりしたところを申し上げられませんが、大体のところ半分ほどでございます。あとの半分はこの十二月中、あるいは少しおくれまして一月ころまでに発注をすべくただいま土地の手当あるいは設計、そういうことをやっておる段階でございます。  以上概略でございますが、現在の進捗状況につきましてお答え申し上げました。
  56. 米田正文

    ○米田説明員 ただいまお尋ねのございました愛知用水の問題ですが、愛知用水事業については、御承知のように愛知用永公団が設立されまして、ただいま事業の準備をいたしておる段階でございます。そのうちで牧尾橋のダムに関しましては、これはただいまもお話しがございましたように、ダム地点としてやや心配な問題としては、ガスの噴出があるというので、その問題について建設省としてはこれは重大な問題だからというので検討方の申し出をいたしました。が、その結果農林省では技術者をアメリカにやり、かつアメリカの技術者を招聘して、現地を検討した結果、これはアメリカの技術を導入すれば解決できるという結論でありましたので、私どもはこの解決の具体的な方法についてはまだ経験を持っておりませんので、これらの結論に信頼をいたしまして、今後どう措置するかについて今後とも研究をいたしたいと考えております。この手続に関しましては、今度の愛知公団法の中にも、設計計画について建設省に協議をすることになっておりますので、今後その線で協議をいたしますと同時に、河川法の水利権の手続に関しましても、そういう設計計画の処理が協議されることになっておりますので、そういう手続によりまして今後研究をし協議をして参りたいと思います。
  57. 中島巖

    ○中島(巖)委員 大蔵政務次官の御答弁をお伺いいたしているとだいぶ苦しいようでありますし、これ以上追及いたしましても、御答弁以上のことはお話ができないだろうと思いますので、ぜひ委員長にお願いいたしますが、大蔵大臣の当委員会への出席を要求するように理事会にお諮りを願いたい。かように考えるわけであります。
  58. 徳安實藏

    徳安委員長 承知しました。
  59. 中島巖

    ○中島(巖)委員 それから愛知用水の牧尾橋ダムでありますが、これは当然河川法によって建設大臣の所管事項であります。そこでただいま局長から御答弁のありましたようにガスの発生があり、それから断層が非常に多い、それからある一部に砂れき層があるというわけで、ダム建設の際に最も悪条件を備えているので、これは非常に重大な問題だと思うのであります。それでかりにアメリカの技術者がいいと言えば、河川局長はこれを許すつもりであるか。河川局としてしっかり納得して、これなら大丈夫という見通しがつかねば許さぬのか。その辺の見解をお伺いいたしたい。
  60. 米田正文

    ○米田説明員 お説の通り非常にむずかしい地質でございますので、今後私どもとしては、河川管理上十分安心のいく工作物であるということの結論になって、処置をいたしたいと考えております。
  61. 徳安實藏

    徳安委員長 次会は公報をもってお知らせすることにいたしまして、本日はこの程度にて散会いたします。     午後零時二十八分散会