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1955-12-16 第23回国会 衆議院 決算委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十年十二月十六日(金曜日) 午前十一時三十九分
開議
出席委員
委員長
上林與市郎
君
理事
櫻内 義雄君
理事
關谷 勝利君
理事
田中 彰治君
理事
山田
長司
君
理事
吉田
賢一
君
赤澤
正道君 臼井 莊一君
椎名悦三郎
君 床次 徳二君 本名 武君 三鍋 義三君 細田 綱吉君
出席政府委員
厚 生 技 官 (
公衆衛生局
長)
山口
正義君
食糧庁長官
清井
正君
委員外
の
出席者
運輸事務官
(
大臣官房会計
課長) 梶本
保邦
君
運輸事務官
(
海運局長
)
粟沢
一男君 運 輸 技 官 (
船舶局長
) 山下 正雄君 運 輸 技 官 (
港湾局長
)
天埜
良吉君
会計検査院事務
官 (第三
局長
) 石渡 達夫君
会計検査院事務
官 (第四
局長
)
中川
薫君
会計検査院事務
官 (第五
局長
) 上村
照昌
君 専 門 員 黒田 久太君 —
——
——
——
——
——
——
本日の
会議
に付した
案件
閉会
中
審査
に関する件
昭和
二十八
年度
一般会計歳入歳出決算
昭和
二十八
年度
特別会計歳入歳出決算
昭和
二十八
年度
政府関係機関決算報告書
病変米
の
輸入
、
保管
及び
処分等
に関する件 —
——
——
——
——
——
——
上林與市郎
1
○
上林委員長
これより
会議
を開きます。 この際本
委員会
の
閉会
中
審査
の件についてお諮りいたします。会期もきょう一日となりましたので、
目下審査
中の
昭和
二十八
年度
決算
及び
調査
中の
歳入歳出
の実況に関する
事項
、
国有財産
に関する
事項
、
政府関係機関
の
収支
に関する
事項
につきまして、
閉会
中もなお
審査
を継続いたしたいと存じます。つきましては、
国会法
の定めるところによりまして、院議によりこれらの
案件
が
閉会
中
審査案件
として本
委員会
に付託されなければなりません。つきましては、その
手続
といたしましてこれらの
案件
について
閉会
中もなお
審査
をしたい旨の申し出を議長に対して行うことといたしたいと存じますが、このように取り計らうことに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
上林與市郎
2
○
上林委員長
御
異議
なしと認めます。よってそのように取り計らうに決しました。 —
——
——
——
——
——
——
上林與市郎
3
○
上林委員長
次に
病変米
の
輸入
、
保管
及び
処分等
に関する件について
調査
を進めます。 この際
吉田
君より発言を求められておりますから、これを許します。
吉田賢一
君。
吉田賢一
4
○
吉田
(賢)
委員
昨日の
委員会
の
審議
の経過について、一、二確かめてみたい点がございます。
会計検査院
は御
出席
になっておりますか。
上林與市郎
5
○
上林委員長
政府側
の
出席者
は
農林省清井食糧庁長官
、それから
厚生省山口公衆衛生局長
が
出席
しております。それでは
質疑
を継続して下さい。
吉田賢一
6
○
吉田
(賢)
委員
会計検査院当局
に御
質問
申し上げます。ただいま問題になっております
在庫病変米
の
数量
は十二万九千三百七十一
トン
ということであります。それにつきまして、昨日当
委員会
に、
厚生大臣
より同
病変米
の転用に関し、
飲用アルコール原料
として転用すること差しつかえなしという
趣旨
の回答が参っておるのでございます。つきましては、この
在庫黄変米
のおそらく大
部分
が
イスランジア黄変米
及び
タイ国黄変米
と
イスランジア黄変米
の
混合物
であろうと存じます。
タイ国黄変米
のみはごく少量であろうと考えられます。その場合、これらの
黄変米
を
飲用アルコール原料
として転用するときには、何ほどの
国損
が生ずるのか、こういう点についてお調べになっておりましたら、それを御
説明
願いたいと思います。
中川薫
7
○
中川会計検査院説明員
ただいまの御
質問
でございますが、
飲用アルコール
に転用するにつきましても、これはおのずから
需要
に制限があることと思います。昨日
食糧庁
の方から
お話
があったと記憶いたしますが、それによりますと、
飲用アルコール
に向けるべきものは
年間
二万二千
トン
程度
というふうに記憶いたしておりますが、そうなりますと、これの消化については今後数
年間
を要するわけでございます。さてそういたしますと、まだ
需要先
はないかということを考えて参りますと、これはいろいろ考えられます。しかしながら、それは
推測
がよほど入りまして、たとえば
通産省所管
の
アルコール専売事業特別会計
におきまして、
官営工場
及び
民間工場
を含めました
生産計画
で、
糖密
を
年間
四万
トン
程度
入れております。それから
サツマイモ
をとれに加えて使っておりますが、これの比率が年々変って参りまして、
精密原料
による方が非常に割安になりますので、最近は
糖密
の占める割合が七割を越える
状況
でございます。そういうような
状況
でございまして、そういうようなものを、たとえば
糖密
を全部排除いたしましてこれに充当するというようなことに一体できるものでありますか、どうでありますか。そういうようないろいろな
事情
が錯綜いたしまして、仮の
計算
はできないではございませんが、非常に困難でございます。昨日も
吉田委員
から御
質疑
がございましたが、
食糧庁当局
におかせられましてもどういうような
結論
が出ましたか、そういうような内容も私
たち
存じ上げておりませんので、そういうようなものの検討をいたしました結果、この点はあるいは無理ではないだろうか、この点は
数量
なり単価なりについての
——
その場合には意見も立てられますけれ
ども
、今の
状態
におきましては、
会計検査院
の
担当者
といたしましては、直ちに
国損
がこうであるということは申し上げかねるのでございます。
仮定
の点で申し上げますれば、一応の
計算
をしていないではございませんけれ
ども
、一応
事情
に通じている
食糧庁当局
の
計算
を私
たち
が現在見ていない
状態
において、私
たち
のような、そうした
需給状態
に明るくない者が簡単な
結論
を出すということはいかがかと考えるのでございます。
吉田賢一
8
○
吉田
(賢)
委員
農林省
はなおいろいろと施策があると思いまするが、
飲用アルコール
の
砕米
需要
年間
二万二千
トン
であるけれ
ども
、かりにこれを
厚生省
が申しておりまする
飲用アルコール
に一時に消化するものとして、あなたの方では、そういうような前提に立った上で
計算
すればどうなるのでしょうか。あるいは、これが
年間
二万
トン
だから、全部
飲用アルコール
にするとするならば数
年間
を要する、あるいは、これをえさに回しその他にも回すものが生ずるならば
計算
はおのずから変って参ります。要するに本
委員会
といたしましては、何ほどの
国損
が生じたかという過去の
決算
であるならば、これは今後に待たねばなりません。問題はやはり、一応今後の
推定
をしておくことは無意味ではございませんから、せっかく出ました
資料
によって今後の
推定
をするにすぎませんので、
参考
にすぎないのであります。そういう意味におきまして
一つ
御
説明
を願いたい。
中川薫
9
○
中川会計検査院説明員
たっての御
希望
でございますから、
ほんとう
に仮のものでございますが申し上げてみようと思います。先ほど来申し上げましたように、
飲用アルコール
と申しますか、蒸溜酒に至当されるものが二万二千
トン
といたしますと、これは大体
砕米
の
値段
で振りかえられると思います。これは
イスランジア黄変米
と
タイ国黄変米
の
混合
のものでございます。それから、実はこれだけでは非常に長くかかりますので、
希望
的な観察でございますが、なまの
サツマイモ
から
アルコール
に充当されるものが相当ございますが、これにかわるものとして一万
トン
、それから
糖密原料
で
アルコール
を作っております分に一部割り込むものとして一万
トン
、そういうふうに考えて参りますと、この
イスランジア黄変米——
これは
タイ国混合
の分を含めて申し上げますが、
イスランジア黄変米
の
年間処分予定量
が四万二千
トン
になります。そんなふうに見て参りますと二年半
程度
かかります。それから
値段
の点ですが、これはなかなかむずかしい問題湾ありますが、
サツマイモ
にかわるものといたしましては
サツマイモ
と匹敵した
価格
、それから
糖密原料
に比準ずるものは
糖密原料
に比準した
価格
で
計算
いたします。それから
タイ国黄変米
の分が一万五千余
トン
ございますが、これは大体
みそ原料用
に充当されてしかるべきものと思いますので、これは
砕米
の中品位のものと
計算
いたします。それから
保管料
が十月末までに六億二百余万円かかっておりますが、この中には
外米
が通常払うべき
正常保管料
を一億円
程度
見込んでおりますが、六億二百万円から一億二百万円を引きまして、
保管料
の
損失
が四億九千九百万円と
計算
されます。そういういろいろな要素を合せました結果は、ざっと
計算
いたしまして二十五億余万円という
計算
が出ました。ところがこれは、実は大まかな
計算
と申しますか、今後の
保管料
の
計算
ができておりません。それで順次処分されまして
数量
が減少いたしますが、いつ処分されるのであるかということもわかりませんので、その
計算
は一応しておりませんが、まずざっと見まして、非常に調子よく処分されるべきものと
仮定
いたしまして、大体三十億円
程度
が
損失
になるんではないか、こういうふうに考えます。昨日の
新聞
でございましたか、
アルコール用
として消費すべき
糖密
の
輸入
をやめて、この
黄変米
を充てるというようなことが出ておりましたが、これは
新聞
のことでございますので、どの
程度
の根拠があることか存じませんけれ
ども
、精密は実はフィリピンから
輸入
されるものが大
部分
でございます。これは
独占ルート
になっておりまして、
通産省当局
といたしましても、
独占品
でいわゆる
売手
の強い
売手市場
であるために、ある
程度
の
数量
は毎年確保しておかなければならない。すなわち簡単に、ことしは
糖密
は
輸入
しないというようなことにもならないのではないかと考えます。その他いろいろな
事情
を考えますと、私が
計算
いたしましたものも
ほんとう
に
仮定
のものでございまして、御
参考
になるかどうかわかりませんが、一応お答え申し上げます。
吉田賢一
10
○
吉田
(賢)
委員
ただいまは
推測
の
計算
ということでありますが、それでよろしゅうございます。 そこで
委員長
、私の
質問
はそれで終りまして、本
委員会
は
動議
を提出したいのでありますが、ようございますか。
上林與市郎
11
○
上林委員長
よろしゅうございます。
吉田賢一
12
○
吉田
(賢)
委員
本
委員会
は
病変米
の
輸入
、
保管
及び
処分等
に関する件につきまして、次の
決議
をなされんことを
動議
として提出いたします。 まず
決議
の案文を朗読いたします。
病変米
の
輸入
、
保管
及び
処分等
に関する
決議案
本
委員会
は、
昭和
二十九年八月
輸入病変米
の取扱につき
決議
し
政府
の善処を要望した。然るにその後一年数箇月を経過した今日、
政府
は
右決議
の
趣旨
を尊重せず、依然適切なる
措置
を講ぜず、現在十三万九千余
トン
の
病変米
が
処分保留
のまま倉庫に
保管
され、多額の倉敷料を空費する等
国損
を益々大ならしめている。 よって、本
委員会
は、
政府
に対して速やかに左の
措置
を講ずべきことを重ねて強く要望する。 一、
政府
は、
在庫病変米
の
毒性研究
の渋滞による
処理
の延引につき、その責任を明かにすべきこと。 二、
政府
は、
病変米
の
処理
の
具体的方針
を速やかに樹立し、
処理
に当っては、公正を期するとともに横流しその他の
違法行為
の発生せざるよう厳重に監視すべきこと。 三、
政府
は、
在庫病変米
の
処理
に当っては、
国損
を
最少限度
にとどめるべきこと。 四、
外米輸入
に当って、
政府
は、速やかに
病変米
の
輸入防止
に関して万全の対策を樹立しこれを完全に実施すべきこと。
右決議
する。
昭和
三十年十二月十六日
衆議院決算委員会
理由
につきましては格別にここに申すことを省略いたします。すでに幾たびかの当
委員会
における
質疑
及び
政府
の応答によりまして、また出されました
資料等
によって明らかでございます。
上林與市郎
13
○
上林委員長
ただいま
吉田委員
より提出されました
病変米
の
輸入
、
保管
及び
処分等
に関する件について、
動議
の通り決するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
上林與市郎
14
○
上林委員長
御
異議
なしと認めます。よって
吉田
君の
動議
のごとく決しました。 ただいまの本件の
決議
は、
委員長
において
関係大臣あて送付
の
手続
をすることといたしますから御了承を願っておきます。 なお
農林省並び
に
厚生省
両
当局
に申し上げておきますが、ただいまの
決議
の
趣旨
に沿ってその
処理
をすみやかに実行されたいとと、そうしてその
状況
を当
委員会
にいろいろ報告されたいとの
理事会
における強い要望がございますので、申し添えておきます。
政府委員
の発言ございますか。
清井正
15
○
清井政府委員
農林省
の
担当官
といたしまして、ただいまの御
決議
に対しましてお答え申し上げます。
病変米
の問題につきまして当
決算委員会
に長期にわたっていろいろ御
審議
をわずらわしておったわけでございますが、いまだに所期の通りのような
処分等
につきまして今日までこれの目的を達せなかったことは、私といたしましても
委員会
の御
審議
に対しましてまことに恐縮に存ずる次第でございます。ただいま当
委員会
の御
決議
がございましたが、御
決議
の御
趣旨
は一々ごもっともだと存じます。この
趣旨
に沿いまして
誠意
をもってできるだけすみやかに善処することをお約束いたす次第でございます。
山口正義
16
○
山口
(正)
政府委員
厚生省
の
担当官
といたしましても、ただいま
農林省
の
食糧庁長官
から申し上げましたように、本
委員会
において長い間御
審議
いただいておったのでありますが、最終的な
結論
を得ませんことに対しましてまことに申しわけなく存じておる次第でございます。
厚生省
といたしましても、本
委員会
の本日の御
決議
に沿いまして
誠心誠意
をもって事に当りたいと存じております。
上林與市郎
17
○
上林委員長
それでは
病変未
の
輸入
、
保管
及び
処分等
に関する問題についての本日の
調査
はこれをもって終了いたします。 —
——
——
——
——
——
——
上林與市郎
18
○
上林委員長
次に、
昭和
二十八
年度
決算
中、
運輸省所管
について
審査
を進めます。 それでは
昭和
二十八
年度
決算検査報告
二七〇ページより二七九ページにわたる
報告番号
一八九八ないし一九九六を
一括議題
とし、そのうち
審査促進
のため、
報告番号
一八九八ないし一九九五について重点的に
審査
を進めます。
質疑
の通告がありますので、これを許します。
吉田賢一
君。
吉田賢一
19
○
吉田
(賢)
委員
運輸省
の
海運局長
にお伺いしたいのであります。当
委員会
におきまして、
造船融資
に関しまして長い
間調査
をし、
幾多
の問題すら生じたのでありまして、そこで
昭和
二十八年に制定されました
外航船舶建造融資利子補給
及び
損失補償法
、これの適用といたしまして
利子補給
の
契約
をせられ、
幾多
の
会社
に、五十四かと思いましたが、
融資
並びに
利子補給
が実施せられたはずでございます。つきましては、
利子補給
のその後の
年次別
の集計及び最近の実施の
状況
、つまり
予算
の執行の
状況
、これらをまず御
説明
を願いたいと思います。
粟沢一男
20
○
粟沢説明員
御
説明
申し上げます。ただいま御
指摘
のように、
昭和
二十八年に
法律
ができまして、その後
利子補給契約
を締結して逐次
利子補給
をいたしておりますが、現在
対象
となっております
会社
は五十六社になっております。そうしまして、その所有いたしております。
利子補給
のいわゆる
対象船舶
としましては、
貨物船
が百五十三隻、百十万四千
トン
という
数字
になっております。それから油送船は十四隻、十八万八千総
トン
、合計いたしまして百六十七隻、百二十九万二千総
トン
になっております。なおこのほか
開発銀行
と
利子補給契約
を結びました船が、
貨物船
五隻、三万八千
トン
ございます。従いまして厳密に申し上げますと、
対象船舶
は百七十二隻・百三十三万総
トン
という
数字
になっております。この
利子補給契約
を締結いたしますのは
政府
と
金融機関
でございまして、その
金融機関
は、いわゆる
市中銀行
六十九行と、ただいま申し上げました
開発銀行
と合計七十
銀行
になっております。しかるに
補給金
には
支給
すべき
限度額
というものがございます。大体
予算
その他で最高の
限度額
をきめまして、実際には
会社
の計画いたしました
数字
よりも債務の弁済をよけいするところもございますので、この
限度額
よりも現実には下回る見込みでございますが、ただいまの
限度額
といたしましては百四十五億八千八百万円、これが
市中金融機関
の
限度額
でございます。それから
開発銀行
に対しましては九千五百万円、合計いたしまして百四十六億八千三百万円というのが
限度額
になっております。 次に、
利子補給金支給
の
実績
を申し上げますが、
昭和
二十八
年度
に
市中銀行
に対しまして四億三千九百万円、
開発銀行
に対しましては九千六百万円、合計いたしまして五億三千五百万円という
利子補給金
を
支給
いたしております。それから
昭和
二十九
年度
には、
市中銀行
に三十二億七千六百万円・それから
昭和
三十
年度
には同じく
市中銀行
に三十三億四千四百万円、結局
支給
の総額といたしましては七十億五千九百万円
市中銀行
に
支給
いたしております。それから
開発銀行
には九千六百万円、
市中
と開銀と合計いたしまして七十一億五千五百万円というのが現在の
支給実績
でございます。
吉田賢一
21
○
吉田
(賢)
委員
ちょっとあとの
数字
を聞き漏らしましたが、そうしますと三十
年度
の
予算
の
利子補給額
はどうなりますか。
粟沢一男
22
○
粟沢政府委員
昭和
三十
年度
は、
予算額
は三十四億六千九百四十万八千六百七十六円となっております。これに対しましてただいままで
支給
いたしましたものは、先ほど申し上げました三十三億四千三百五十三万四千八百十一円、こういう
数字
になっております。
吉田賢一
23
○
吉田
(賢)
委員
最近の
海運界
の
ブーム
はずいぶんと好況を伝えられておるのでございますが、実際におきまして
法律
に基いてこの
利子補給
を受けた
会社
が、
利益
があったので
国庫
に納付した
金額
があるのかないのか、ないとすればどういう
理由
に基くのか、その点の御
説明
を願いたい。
粟沢一男
24
○
粟沢政府委員
御
指摘
のように最近
海運事情
が非常に好転しておりまして、
海運会社
の
収支状況
は非常に
改善
されております。たとえて申しますと
償却
前の損益の
計算
をいたしまして前期三月期には三十三億
程度
の
黒字
だったのが、
今期
は百四億
黒字
であるという
数字
が出ております。しかしながら一方に
今期
の
償却額
が大体百億を越えておりまして、正しく
償却
しますと百三十億の
限度
が
今期
の
償却
の必要な
数字
でございます。従いましてただいまの百四億では
今期
の
償却
もできないというふうな
程度
の
状況
でございます。なお過去における
償却不足
というものが相当累積いたしておりまして、これが、ただいま
数字
を手元に持っておりませんが、たしか七百億くらいになると思います。それから
銀行
から
融資
を受けまして設備の新設その他しておるのでございますが、その
延滞額
も三百億
程度
に達しております。従いまして、最近
市中
で非常にいっておりますように
海運会社
は
ブーム
であり、非常に
黒字
であるという
程度
にはまだ
改善
を見ておらないのであります。従って
利子補給法
にございます一割以上の
利益
をあげておる
会社
、あるいはさらに
利子補給
の過去の分を返納するという一割五分の
利益
をあげるという
程度
の
会社
というものはまだ出ておりません。ただいまのところ過去の
利子補給分
を返納したというものはないのであります。
吉田賢一
25
○
吉田
(賢)
委員
そういたしますと、結局これは各
会社
を通計いたしまして、今後
償却
などにさらに相当大きな
金額
が予定されるわけでありましょうから、大ざっぱな言い方でありますけれ
ども
、各
会社
総計いたしまして、一体何ほどの
利益
をあげたときに初めてこれは
利子補給金
が
国庫納付
の段階に立ち至るのでありましょうか、その概数を承わりたい。
粟沢一男
26
○
粟沢政府委員
ただいまの
見通し
では、今日の
状況
はなお相当続くのではないかというふうに見られております。なお先ほど申しました
数字
も来年の三月期にはさらに若干の
改善
をみるのじゃないかというふうに私
ども
予想しております。従いまして
会社
の
経理
はここしばらく少しずつなお上回っていくということは考えられるのでありまして、なお
タンカー等
についても、御
承知
のように運賃も堅調を示しておりますので、さらに若干の上昇を見ていくのではないか、こういうふうに考えております。しかし先ほ
ども
申しましたように非常に大きな過去の
償却不足
と、
累積欠損
あるいは
償還未済等
がございまして、大体
会社
の
経理
といたしましては
不足
の
償却
を埋めて
利益
を出す、あるいは
累積欠損
を埋めて
利益
を出すというのが常道でございます。従いましてそれだけのものを埋めていかなければ出ないというふうに一応考えられるわけであります。ただここで考えられますのは、
船会社
といたしましても御
承知
のように
自己資金
はわずかに二〇%に満たないという現状でございまして、できれば
決算
では
利益金
を計上いたしまして増資をしたいというふうな動きも
希望
も若干あるのでありまして、そういうような場合には
利益金
を計上して
配当
をする。その
配当
によって
資本増加
をはかるということも考えておるわけであります。その場合にはその
利益
が一割に達して
利子補給
の停止をするというものも実際に出てくるかと考えます。今のところいつごろになったらば
利子補給金
が返ってくるだろうという
見通し
といいますか、そういうものはつきかねるのでございます。
吉田賢一
27
○
吉田
(賢)
委員
ちょっとわかりませんが、私
ども
が聞いてみたいと思いますることは毎年数十億円の
予算
を組んで、なお
利子補給
、
利子補給
といって
予算
を組んで出しておる。たとい三十億円にいたしましても、今日のごときせ
ちからい実情
から見ましたならば、のどから手が出るほどみなあちこちで
予算
を要求しておりますが、一方
船会社
がずいぶんと
利益
を上げる、一航海で一億円も
利益
を上げているというようなうわさが飛んでおるときでありますので、
累積欠損
を穴埋めしたりあるいは
償却
にどんどん充てるということ、これも
法律
上許されておる
経理
の方法でありましょうから、そういうことも可能でありまするが、一体そういうような
状態
であるならば、これは事実上
利子補給
したものが国へ償還されることがないのじゃないだろうかということがもっぱら言われておりますので、そういうことであるならば
利子補給
をもっとほかの
事業
にもやってもらったらどうかという声さえ今日出ておりますので、はたして実際はどうかということを明らかにしたいというのが私
ども
のきょう御
質疑
を開始したゆえんなのであります。そこでやっぱりそういう辺に
一つ焦点
を置いてお答え願いたいのであります。船は何年でありましたか、
船自身
の資産もそれぞれ
償却
していくということになりましようし、過去の
欠損
もたくさんありましようし、またその他特別な
法律
によっていろいろと積み立てとか
償却
とかいうものが、
船会社
にたくさんありますから、何ぼ
利益
を上げても
経理
の仕方でこれは一割以上の
利益
、そんなものは出ないという
経理
は簡単にできるのだという声すら出ております。ただ外見上多少の
配当
でもしなければ
営利会社
として工合が悪いし、だから
配当
するようなときには少しくらいは国にお返しするだろうというようなことまでも言われるのでありますが、そういうふうに考えて参りますると、一体これは今後何ほどの総
利益
を上げたときに国へ
利子補給金
が返り出すのであろうか、こういうととはそろ
ばん
は立たぬものであります。そういうそろ
ばん
の仕方というものは、
会計
上不可能なものなのでしょうか。それはどうなのでしょうか。
粟沢一男
28
○
粟沢説明員
ただいまの
お話
でございますと、結局
会計
の
法律
上の
処理
の問題にも当ってくるわけでございますが、
法律
上は、過去の
償却不足
を
償却
いたしませんでも、当期の
償却
だけ
償却
して
決算
をすることは可能でございます。また普通に考えまして、たとえば先ほど申し上げました
数字
で、本
年度
の
償却限度
が百三十億である。来
年度
はさらにこれが下回ると思います。そうしますと、本
年度
の
償却
前のものが百四億、来
年度
これがかりに百二、三十億円に上るといたしますと、来
年度
の
償却限度
の方が下った分と、
償却
前の黒の見合った差額というものは、
会社
の
経理
上は上げようと思えば上げられるという
数字
になると思うのであります。その際に、先ほ
ども
申し上げましたように、
会社
としても長いこと株主に無配を続けてきております。なおさらに将来の増資ということを考えますと、
配当
もし、増資もしたいというふうな機運も起ってくるかと思います。その際にはやはり
利益
を計上いたしまして、
配当
もし、増資もしたいというふうなことになります。その場合には、
利子補給金
も、
法律
の
限度
に従って返ってくるというととは可能である、こういうふうに考えております。必ずしも過去の
償却
は全部
償却不足
を埋めなければ、
利益
を上げられない、あるいは
利子補給金
も返せないということではない、こういうふうに考えます。
吉田賢一
29
○
吉田
(賢)
委員
これはいま少し
数字
を明らかにいたしまして私は
質疑
を続けたいと思いまするから、この際
一つ
資料
を提出するようにお計らい願います。すなわち、貸し付けてありまする五十六の全
会社
につきまして、最近の
決算
の
状況
、損益の
状況
、及び各
会社
—形は
銀行
でありまするけれ
ども
、実質は
会社
であることは間違いないのであります。
会社
がすでに受けておりまする現実の
利子補給
の
金額
、それから貸付を受けておりまする元金の額、それから利子を支払っておる事実の有無、利子の延納を認められておるかどうか、利子の延納を認められておる
会社
において一体
利益
を上げておるかどうか。延納と
利益
との関係を少し明らかにするための
数字
であります。これは
市中
と開発とを区別していただきますよう、これだけを
一つ
資料
として当
決算委員会
にお出し願いたいと思います。元来これは
昭和
二十八年以来のことでありまするから、相当お手数もかかるかと思いますけれ
ども
、しかし
決算委員会
といたしましてはこの点相当明確にしておかねばならぬ必要もありまするので、若干手数がかかりましても、ぜひ
資料
を整えて年内にお出しを願いますようにお計らい願います。
山田長司
30
○山田
委員
ただいまの
吉田
さんの
資料
要求に関連いたしまして、返済期日が来ていて、返済未納のところがあると思うのですが、それもついでに提出していただきたいと思います。
上林與市郎
31
○
上林委員長
それでは年内に御提出を願います。 なお
質疑
を継続いたします。
吉田賢一
君。
吉田賢一
32
○
吉田
(賢)
委員
運輸省
当局
に伺いますが、あなたの方で
昭和
二十八
年度
に
会計検査院
によって不当
事項
を
指摘
せられておりまするものが、大体におきまして補助金が多いのでございます。そこで伺いますが、この
報告番号
一八九八ないし一九九五、これは「公共
事業
に対する
国庫
負担金の
経理
当を得ないもの」になっております。幾つか代表的に上げられておるのでございます。あなたの方では最近の地方財政の窮乏、赤字の事実、もう
一つ
は補助金によって全額の支弁をしてしまおうという、こういう一般的な悪い傾向の事実、それから、いろいろと要らざる冗費、運動費であるとか、あるいはつけ届けであるとか、そういう批難されるべきような使い方をしたものも、当
委員会
ではすいぶんたくさんに出てきたのでございます。よって、先般補助金適正化
法律
というものも立法化されたようなことになっておるのございまするが、御
説明
を伺いたいのは、たとえば島根県簸川郡岐久村の例であります。これは三百七十二万、そのうち
国庫
負担金が三百二十三万六千四百円、そうすると、これはほとんどが
国庫
負担金でございます。ところが同村が負担したという四十八万三千円というのは、全く負担していないという事実、それから九十四万六千四百円という金が余ってしまったという事実、こういうようなことになりますと、実にだらしないのでございまして、ことに約百万円が余ったというのでありますると、三分の一弱が余ってくるのでありまするので、何としても、私
ども
としては見のがし得ないことなのでございます。これはどういうわけでこうなったかという原因を十分に究明なさったかどうか。
予算
執行の責任者として、当然そのくらいなことをしなければならぬのですが、その点についての御
説明
を伺います。
天埜良吉
33
○
天埜
説明
員 申し上げます。これはさっそく現地につきまして、非常に徹底的に究明したのでございますが、その原因は負担能力がなかったので、結局不正といいますか、
程度
を下げて工事をやったということになりましたので、非常にその点遺憾でありまして、さっそくこれの
処理
をいたしたわけでございます。出来高
不足
につきましては、手直し工事をさっそくやらせるごとにいたしました。二十九年七月の二十日に竣工しております。 それから設計過大に類するものにつきましては、四十万一千七十円を減額するという処置をとりましたのでございます。
吉田賢一
34
○
吉田
(賢)
委員
これは、私
ども
が
幾多
の事例を見まして、あるいは出来高が足りないときは工事を手直しするとか、設計を変えさすとか、そういうこともさることでありますけれ
ども
、やはり補助金の問題につきましては、これは今の内閣におきましても、いろいろ行政管理庁あたりにおきましては、新しい行政改革の
一つ
の指標にもしようかということになっておるようであります。やはり補助金がこういうふうに乱用されることにつきましては、
一つ
は原因を究明するということにもつと積極的でなければいかぬと思うのですが、負担能力がないから
程度
を下げたとか、三百七十万の工事で百方円金が残っているというのでは、ちょっとしろうとにしましても受け取れない。これはそれに当るかどうか存じませんけれ
ども
、との種の補助金の不正というものは中に介在する機関とか、人間とか、代表者があって、そういうところでかなり不正に計画されるのではないか、こういうことも他の事例でわれわれは経験するのであります。土地改良において、何とか協会が歩を取るとか、あるいは設計料を取るとか、あるいは代表者がたくさんの運動費を使うとか、あるいは他の方へ流用するために
予算
をとるとかいうような、
一つ
の他の目的が付着しておったり、人間が介在しておったり、いろいろそういうことのために補助金というものはとかく公正に使われないということになるわけであります。あなたとしては、一体約百万円の金が余ったということについては、どうお考えになっただろうか、余った場合に手直しさしたとか、どうしたとかいうようなことだけで済んでは、国家の財政執行としましては、実に寒心にたえぬのであります。それはどういうふうにお考えになったのか、それは
ほんとう
に重大な問題として即答しかねるというのは、察するにこんなものはたくさんなほこりほどの問題で、大してお気にとどめていらっしゃらないとすれば大へんでありますが、そういう点はどうお考えになりますか。
天埜良吉
35
○
天埜
説明
員 今の点まことに非常な問題でございまして、こういうことでは非常に困るというわけで、これは査定の当初において、非常に手
不足
で査定に疎漏があるという点も一面ございますし、また中間によく検査をして、そういう間違いが起らないようにしなければならぬと思います。
吉田賢一
36
○
吉田
(賢)
委員
一般的な例を伺っていては、時間が際限ありませんから、きょうは
一つ
要点だけを簡単に伺っておきたいと思います。当該具体的事例についてどうお考えになるか、それだけはっきりおっしゃっていただきたい。
天埜良吉
37
○
天埜
説明
員 これについては、災害査定をもっと強化するということと、中間査定を確実にやるということで、これが起らないようにしたいというように考えております。
吉田賢一
38
○
吉田
(賢)
委員
まことに残念ながら、それは不完全しごくな答弁でございます。今關谷
委員
の
お話
では、あなたは就任早々で、当該
事項
に通じていらっしゃらないということはもっともであります。いずれにしても個人同士のやりとりにしましても、三百七十万円のうちで百万円を抜いたかどうか知らぬけれ
ども
、金庫へそっと置いておくというような事態が生じたら大へんなことであります。日本の政治がもっと厳格、厳正に行われましたならば、
運輸省
において、島根県の某工事で三百七十万円のうち約百万円が抜かれておった、金庫で眠っておったという事態が起きた場合、省議にかけても原因を究明して今後その絶滅を期する対策を講じなければならぬ。こういったことは神経を麻痺してしまっているから、そこらの石ころかちりみたいにお考えになってあまり気にとどめられないのですが……。
天埜良吉
39
○
天埜
説明
員 今の
お話
まことに重要なことと考えますが、実際には百万円金庫に眠っておるということはないのであります。まだそれだけの補助金を出しておりませんでしたので、結局あの例は金は実際にはいっていないということなんでございます。
吉田賢一
40
○
吉田
(賢)
委員
しかし、検査院の報告書によれば、三百七十二万円の工事が二百二十九万円で足りておるのであります。だから眠っておったか、眠っておらなかったか、それは何に使ってしまったか、旅費に使ったか、お茶屋で使ったか知らぬけれ
ども
、いずれにしても余剰が生じたという関係は、やはり非常に大事な重要視しなければならぬことと思うのであります。 またその次のページの高知県の例を見てみますと、これは、高知県が直営施行した幡多郡清水町以布利港地盤変動対策は、内港及び港口が隆起したので、これを掘さく浚渫し、当初の水深を維持しようとするものらしいのですが、これも五百四十七万円で
事業
をやり、残額が二十二万八千円・手元に保有しておった
状況
である。高知県の知事の責任の
事業
だろうと思いますが、知事の責任の
事業
でもこういうことになる。村は負担能力がないので
事業
を縮小してやったので、島根県のような足が出た。県が直営
事業
においては、残金が二十二万八千円残っておった。こんなことは県庁の知事におきましても、
決算
できないだろうと思う。一体こんな金は知事のもとでもやっておるのであるか、ないだろうと思う。またこんなめちゃくちゃなことをして、国に対して責任も負わないのだろうかとさえ私
ども
は感じた。これらのことは、
運輸省
の方としては高知県知事を呼び出して厳重に責任を究明して、どうするこうするというようなことを叱咤すべきだと思うが、そんなことをやりましたか。
天埜良吉
41
○
天埜
説明
員 これは全く
お話
の通りでありまして、高知県の担当の者ははなはだけしからぬ。さっそく高知県に連絡いたしましてその工事
担当者
の処分をするように
措置
をさせております。
吉田賢一
42
○
吉田
(賢)
委員
私は末端の工事
担当者
の処分というよう血問題でなしに、いやしくもこういうような県が直営した
事業
で、
理由
のない金二十二万八千円を手元に持っておったという事件が起ったときは、運輸大臣はすみやかに高知県知事を呼び出して、国の
予算
をなぜそんなむちゃくちゃなことをするのだというようなことで相当やらなければいかぬと思う。だからそんなふうになさったかどうかを聞いておるのです。
天埜良吉
43
○
天埜
説明
員 高知県知事に対しては厳重な戒告書といいますか、それを出しております。
吉田賢一
44
○
吉田
(賢)
委員
こういう場合は、人間を呼ぶということの意味は、向うも一そう恐縮いたしまして自戒する作用を生じますので、やはり戒告書を出すとかいうようなことじゃなしに、当然呼び出してつるし上げなければいかぬだろうと思う。そういうような手を打つことは一体行き過ぎなんですか。
政府
としましては、知事が国の金をこういうむちゃなことをして残額を残しておくということはそもそも何事だ
——
二十二万円というのは小さいようだけれ
ども
大へんですよ。利息も生じていますよ。利息なんというのはどうなのです。こんな金はどうしていたのでしょう。
天埜良吉
45
○
天埜
説明
員 どういうふうに
処理
していましたか、金庫に入っておったということでありまして、利息については考えていなかったということでございます。
吉田賢一
46
○
吉田
(賢)
委員
これはやはり大事な点であると思います。前回もどこかの省で和歌山県の工事の場合にこの種の
案件
があったと思います。そこで
一つ
二七五ページの高知県の分は書面で報告をして下さい。そうして知事に対してどういう処置をとったのか、そうしてあなたの方は当時どういうふうに
調査
もしくは対策をお講じになったのか。その点を
一つ
書面で回答するようにぜひしてもらいたい。これは
委員会
に対してそういうふうにお計らいを願いたいと思います。村の問題でしたらまた考え方がある。やはり知事の責任におきまして、たとい
金額
二十二万八千円にいたしましても重視すべき
案件
と思いますので、ぜひ
委員長
さようにお取り計らい願います。
上林與市郎
47
○
上林委員長
運輸省
当局
、年内に出せますか。
天埜良吉
48
○
天埜
説明
員 はい。
吉田賢一
49
○
吉田
(賢)
委員
こういうものはきょうあすにでもできると思いますから、すみやかにして下さい。
上林與市郎
50
○
上林委員長
一週間ぐらいにお出し願いたいと思います。
吉田賢一
51
○
吉田
(賢)
委員
それからさらに同種の件、長崎県北松浦郡福島町二百二十三万円、これは災害復旧らしい。ところがこれは百四十六万三千円残しておった。二百二十三万円の工事で百四十六万円残すというのは、幾ら考えてもそんなぼろい仕事はないと思うのです。こういうようなときはどうなさったでしょうか。
天埜良吉
52
○
天埜
説明
員 これは査定の当時は浚渫についてポンプ船を回すととが非常に困難な
状態
に認められましたので、プリーストマン式の浚渫船を使う単価で積算したのでありました。ところがその当時別に町が単独工事で塩浜の農地鉱害復旧として九十八反歩ばかりを埋め立てる仕事がありまして、その浚渫個所を含む福島港内の浚渫ができることになりましたので、それで結局請負人の方はポンプ船が使えることになったのであります。それで一立方メートル当りの単価が非常に安くできた、こういうわけでありまして、これは設計が実施と非常に変ってきた場合になったものですから、それでこういう大きな開きが出たのであります。これに対してはさっそくその適正化をはかるような
措置
をしまして、負担率を減じて処置をとったわけでございます。
吉田賢一
53
○
吉田
(賢)
委員
そうしますと、この長崎県の福島の分は事実上は国の損害は生ずるまでに至らずして、工事計画を縮小もしくは是正してこの負担金の交付は差しとめたわけでありましょうか。
天埜良吉
54
○
天埜
説明
員 ただいまの
お話
の通りでございまして、災害の査定をしておりました工事を進める途中において再査定をいたしましたところ、こういうものを発見いたしましたので、計画を変更させまして国の方には直接損なしに済んでおります。
吉田賢一
55
○
吉田
(賢)
委員
それから二七七ページの三重県の北牟婁郡引本町引本港の災害復旧工事でありますが、これは
運輸省
におきます災害復旧でありますが、七百七十七万八千円がよけいついております。ところで右の防波堤は別途建設省におきまして二千三百二十四万八千円で査定しておる。つまり
一つ
の工事について両方の省が査定しておる。両方の省が査定するということになると、金が二重に渡る危険があるのではないかと思いますが、そういうととはどうですか。
天埜良吉
56
○
天埜
説明
員 これはそういうわけでありまして、実はこの防波堤につきましては・災害があってすぐに
運輸省
として査定に参りまして、県の方から出ました書類について査定をして災害復旧工事をやるという方針で進んでおったわけであります。ところがどういう間違いであったのか、建設省があとで査定に参りましたときに、防波堤ではあるけれ
ども
、河川の導流堤の役をもしておりますので、河川構造物と考えて、これを再び災害復旧工事として査定をしてとって参った。そのことがあとでわかりましたので、建設省と
運輸省
との間で協議をしまして、この際はほかの災害復旧工事の分と一連の関係があるから、港湾の方は防波堤という見地に立たないで、導流堤という見地に立って、この分は建設省の災害として回しましょうということで、片方私の方がやめたわけであります。
吉田賢一
57
○
吉田
(賢)
委員
そうすると一たん両方で査定した後に建設省と
運輸省
が
お話
の上、
運輸省
が手を引くことにした、こういうことになるのでございましょうか。
天埜良吉
58
○
天埜
説明
員 さようでございます。
吉田賢一
59
○
吉田
(賢)
委員
そういう場合やはり事前に両方が重複して査定するというととがないようにすることは最も必要な防止の方法であると思いますが、やはりあらかじめ知ることができなかったのでありましょうか。知り得るならば事前に
政府
間の横の連絡さえすれば二、車の手数はいらぬのでありますが、何かそこに制度的欠陥でもあるのじゃないか。もしくは
事業
主体の方において黙ってあとからの査定する省があやまちを犯すようなことをやったためにこういうことになったのか、その点はどうですか。
天埜良吉
60
○
天埜
説明
員 その点、事前に両方でというのはわかりにくい点がございまして、港湾区域内の港湾構造物については、これは
運輸省
が所管でやるのでございますが、たまたまこの場合は河川の堤防と関連した導流堤であったものですから、河川の堤防の方に災害があり、あわせて一連の導流堤に災害があった、こういう点で、出すといいますか、災害査定を受ける方の側にうっかり両方といいますか、両方入れたというような不用意があったのではないかというふうに考えております。
吉田賢一
61
○
吉田
(賢)
委員
最後にもう
一つ
聞きますが、二七八ページ、高知県の安芸郡室戸町室津港の災害復旧でございますが、これは査定額が一千余万円の工事であります。防潮堤の延長二百五十メーター、ところがこの個所は自然の海岸で従来防潮堤は存在しなかった、また岩礁で浸蝕のおそれが全くないもの、こういうようなものであります。こういうものはやはり机上査定の結果こういうあやまちが犯されたのであろうかどうか、やはり県も介在しているはずでありますが、どこに原因があってこういうふうに実在しない防潮堤を実在するかのごとくにあやまったであろうか、当然県も介在しているはずでありまするが、これは前に高知県は大きな直営工事で間違いを起した、先刻
指摘
したごとくこれまた高知県でありますが、これは何ゆえそういうことになったのでありましょう。
天埜良吉
62
○
天埜
説明
員 これは海岸の浸蝕がこのあたりにありまして、海岸決壊がそのあたりずっと生じておったのであります。その海岸の場所に一連の防潮堤がいるというふうに考えたのでありました。それでいろいろさらに検討しました結果は・どうしても災害ということではできないというわけで、改良工事として別途に施工するととに変えたのでございます。
吉田賢一
63
○
吉田
(賢)
委員
よろしゅうございます。
上林與市郎
64
○
上林委員長
運輸省
関係の本日の
質疑
はこの
程度
にとどめたいと思います。 なお先ほどの答弁中訂正したいという
海運局長
の申し出がございますので、この際発言を許します。
粟沢
君。
粟沢一男
65
○
粟沢説明員
先ほどの
吉田委員
の御
質問
に対しまして申しわけのないことに
一つ
間違いを申し上げました。
利子補給
を
国庫納付
したものはいまだかつてなかった、こう申し上げたのでありますが、一件ございます。
昭和
二十八年の十月の
決算
で森田汽船と申す
会社
がございます。この
会社
が
利益
を計上いたしまして、五百七十九万三千百七十円
国庫
に納付した件が一件ございます。つつしんで訂正いたします。
上林與市郎
66
○
上林委員長
委員会
は臨時国会でも.ある関係上開会回数の多くは行えませんでしたが、終始
委員
各位には熱心に
審議
を尽されましたことをここに感謝する次第であります。一言ごあいさつを申し上げます。 本日の
委員会
はこれにて散会いたします。 午後零時五十六分散会