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重光国務大臣 国連加入が
わが国及び
国民の非常な
要望であることは申すまでもございません。その
要望を結集したものが
衆参両院の決議となって現われておると私は心得ております。さようなわけでございますから、この問題についてはこれまた御報告申し上げた
通りに、
外交機関をあげて努力いたして参りました。そこで、今回初めて
日本を含む十八カ国案が出て、これが通れば
日本も加盟ができるわけでありますから、十八カ国案を通すことに全力を尽したのであります。不幸にして、これは外蒙の問題で
国民政府が拒否権を用いて、
安保理事会を通過いたしませんでした。さらに外蒙以外の国については、ソ連が一々拒否権を使ってとうとう十八カ国一括上程案は成立をいたしませんでした。そのところまでは大体お耳に入れておいたかと思います。
さて、その後であります。
安保理事会が続けて行われました。そこでまだ私の入手しておる公けの報告はそろっておりません。今非常にたくさんの報告が入りつつありますが、まだそろっておりません。
しかしそれのそろうのを待つことができませんので、私はとりあえずニューヨークに電話をもって状況を聞き合せてみました。その結果を今申し上げるのでございます。
十八カ国案がだめになったので、その後の事態を救済する方法を
安保理事会で非常に
審議を続けたのでございます。その際にソ連が十六カ国案を提出したのでございます。十六カ国案というのは、主として問題になっておる
日本及び外蒙を除いた十六カ国案をソ連が提出いたしました。これに対して米国は直ちに十七カ国案を提出いたしました。十七カ国案というのは
日本を加えた十七カ国案でございます。米国は
日本の
加入の要請をつぶさに
承知をいたして、これに対しては全力を尽して援助するという
関係におりますので、十七カ国案をすぐ提出いたしました。これを表決に付しましたところが、ソ連の拒否権にあって十七カ国案は葬られました。そこで直ちに
安保理事会はソ連提出の十六カ国案を
審議することになったのでございます。この十六カ国案を
審議する際に、ソ連はこれには
日本は入っていない。入っていないけれども、次期総会において
日本を加盟せしめることには反対はしない、こういう発言をして十六カ国案が上程されたのでございます。これはソボレフの説でございます。そこでこれを表決に付しましたところが、これが通過いたしたのでございます。
そこでなぜそれならば十七カ国案はソ連の拒否権のために通過しなかったが、十六カ国案が通過したかというと、御
承知のように、ソ連以外の特に米英その他は、こういう
国連加入の問題については拒否権を使わないという方針を初めからとっております。また約束をいたしております。そこでその方針のもとに拒否権を使わなかったがために、十六カ国案が成立いたしたそうでございます。
しかしそれにはソ連は次期総会に
日本を加盟せしめることには反対をしないという発言をいたしたものでありますから、この発言に対してはイランその他の
日本支持の国の発言がございまして、ことにイランは
自分らはこれはソ連の約束と認めるから、必ずこの約束は実行してもらいたいという発言をして、この案が通ったのでございます。そこで
日本及び外蒙古を除く十六カ国の連合
加入ということについては、
安保理事会はこれを総会に勧告をすることになりました。これは
日本が取り残されたわけでありますから、
日本としてはまことに残念なことでございます。
日本国民の要請がいれられなかった結果に相なります。
そこでその善後処置を今講じつつあるわけであります。善後処置としては、この
理事会は続けられておるのでありますから、
日本の
希望を少しでも達し得るような方法があれば、あらゆる方法でもってこれを救済してもらいたいのが
日本の要請であります。これに対して米国はさらに
日本大使に対して、国務長官の直接の代理としてロバートソン氏が、米国としてはなおもあらゆる努力をする、
日本の
国連加入の要請はよくわかっておるから、あらゆる努力をするといって今奔走をしておるわけでございます。その努力の結果がどういう形において現われますか、これは今わかりません。米国としてはまた
日本の
加入を保証するような決議案を出そうという案もあるようでございます。これを今しきりに出先で
関係国と折衝をし、また列国はそういう
方面について努力を進めておるわけでございます。
日本の
国連加入についてはソ連側としてはまだ国交を開いていないにもかかわらず、十八カ国案が成立するならばこれに異存がないという態度をとってくれたことは、私は非常に多としておることを申し上げておきました。そこでソ連も次期総会に
日本を加盟せしめることには反対はしないというソボレフの言明がございました。そういうような状態で十七カ国案が成立いたさなかったことはまことに残念でございます。
しかしソ連も主義として
日本の
加入に異存のないということをさようなわけで
承知をいたしておるわけでありますから、将来この問題が好転することを熱望して努力をいたしておる次第でございます。