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1955-12-01 第23回国会 衆議院 運輸委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十二月一日(木曜日)    午後一時四十七分開議  出席委員    委員長 原 健三郎君    理事 有田 喜一君 理事 今松 治郎君    理事 臼井 莊一君 理事 木村 俊夫君    理事 山本 友一君 理事 青野 武一君    理事 中居英太郎君       伊藤 郷一君    岡崎 英城君       佐伯 宗義君    關谷 勝利君       徳安 實藏君    畠山 鶴吉君       濱野 清吾君    堀内 一雄君       眞鍋 儀十君    井岡 大治君       大西 正道君    栗原 俊夫君       下平 正一君    竹谷源太郎君       正木  清君    山口丈太郎君       小山  亮君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 吉野 信次君  出席政府委員         運輸政務次官  伊能繁次郎君  委員外出席者         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君         日本国有鉄道副         総裁      天坊 裕彦君         日本国有鉄道常         務理事     小林 重國君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 七月二十九日  委員大村清一辞任につき、その補欠として上  林山榮吉君が議長指名委員に選任された。 同月三十日  委員大倉三郎辞任につき、その補欠として南  條徳男君が議長指名委員に選任された。 十月七日  委員畠山鶴吉辞任につき、その補欠として山  崎巖君が議長指名委員に選任された。 十一月七日  委員山崎巖辞任につき、その補欠として畠山  鶴吉君が議長指名委員に選任された。 十二月一日  委員上林榮吉君及び南條徳男辞任につき、  その補欠として松田鐵藏君及び早稻田柳右エ門  君が議長指名委員に選任された。 同日  理事大西正道理事辞任につき、その補欠とし  て中居英太郎君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  国政調査承認要求に関する件  国鉄従業員の年末手当に関する件     —————————————
  2. 原健三郎

    原委員長 これより運輸委員会を開会いたします。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。衆議院規則第九十四条により、陸運海運空運及び観光に関し、国政調査承認要求書議長に提出いたしたいと存じますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 原健三郎

    原委員長 異議なきものと認め、さよう決します。     —————————————
  4. 原健三郎

    原委員長 次にお諮りいたします。理事でありました大西正道君より理事辞任いたしたい旨申し出がありますので、これを許可するに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 原健三郎

    原委員長 それではこれを許可いたします。  次いで理事補欠選任を行いたいと思いますが、委員長より指名するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 原健三郎

    原委員長 それでは中居英太郎君を理事指名いたします。     —————————————
  7. 原健三郎

    原委員長 最初に新任の大臣政務次官よりごあいさつを申し上げたい旨申し出がありますので、これを許します。運輸大臣吉野信次君。
  8. 吉野信次

    吉野国務大臣 私は吉野でございます。このたび全く思いがけなく運輸行政の責任を引き受けることになりましたので、これから格別皆様の御指導を仰がねばなりません。どうかよろしくお願いをいたしたいと思います。  運輸行政につきましてはずぶのしろうとでございまして、今せっかく店を開いて試験勉強をしておる程度でございますが、運輸省にもやはりいろいろ差し迫った問題もあるようでございます。たとえば国鉄の問題、また船の問題、広く申せば海運政策というような貿易に関係する問題、それから国鉄の問題につきましては御承知通り行管から勧告が参っておりまするし、あの問題を外にいたしましても、新線の問題とかあるいは電化の問題とか、いろいろな問題がたくさんあるようでございまして、私もはなはだふびんではございますけれども、お引き受けをいたしました以上は、できるだけ勉強いたしまして、それらの問題につきましての目鼻と申しますか、方向というようなものをできるだけ早くつけて参りたい、こう存じておりますので、それらのことにつきましてこれから何かと皆様方に御心配を願うことだと存じますから、どうかよろしくお願いを申し上げます。はなはだ簡単でございますけれどもお願いだけ申し上げておきます。(拍手
  9. 原健三郎

  10. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 ただいま大臣からごあいさつを申し上げましたが、私もこのたびはからずも政務次官を拝命いたしまして、毎々皆様方には公私とも格別に御厄介にあずかっておりましたが、これから皆様方と一緒に、大臣の話にありました当面の各般の運輸政策の問題について、格別な御指導、御鞭撻をいただきたいと存じますので、どうぞ今後よろしくお願いを申し上げたいと存じます。(拍手
  11. 原健三郎

    原委員長 続いて陸運、特に国鉄職員期末手当の問題に関して当局より説明を聴取いたします。日本国有鉄道常務理事小林重國君。
  12. 小林重國

    小林説明員 それでは私から今年の年末闘争経過につきまして、概要をお話し申し上げてみたいと思います。  年末手当につきましては、当局から本年度予算の残は〇・九五しかないということで回答をいたしておりまして、その後二、三回の折衝をいたしております。組合側闘争といたしましては、二十四日から二十六日までの三日間に第一波の闘争を行なっております。この闘争順法闘争職場大会を主として行なったのでございます。列車に与えました影響は軽微でございまして、貨物列車旅客列車十数本につきまして、一分ないし十数分程度の遅延を見たというような程度でございまして、昨年当時と比較いたしますと割合平穏に経過いたしております。この職場大会状況を昨年と比較いたしてみますと、昨年は地域的に闘争の非常に強いところがありましたが、本年度組合方針といたしまして、地域的な不均衡をよそうじゃないかということで、全般的に闘争を行なっている傾向がございますが、先ほども申し上げましたように、昨年に比べますとあまり激しくないというような実情でございます。  なお第二波といたしまして、明日と明後日実力行使を行うことになっておりますが、これは主として休暇戦術を行いまして、三割程度職員休暇場所ごとに指定いたします。そうして休暇をとりました者がピケを張りまして職員の出勤をとめるというような方法で、保線区、電力区、機関区、そういう職場をねらいまして行うことになっているようであります。ただいまの状況といたしましては、第二波につきましても第一波と同様そう激化しないのではないか、こういうふうに推測いたしております。  なお年末手当の交渉につきましては、本日も午後から組合折衝をいたしております。われわれといたしましては公務員との振り合い等考えまして対処いたしたい、こういうふうに考えている次第であります。
  13. 原健三郎

    原委員長 これに関し質疑があればこれを許します。山口丈太郎君。
  14. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 ただいま国鉄の年末資金の問題に関して御説明がございましたので、私はこの点に関して質問をいたしたいと存じます。  今年度の当初の予算におきましては、官公労国鉄との間には、こういう臨時給与支給に関しましては、国鉄年間を通じて一・七五の予算を組んでいるのに対しまして、官公労はおおむね二カ月分の予算を立てているのであります。そういたしますとそこにすでに〇・二五の開きを生じているわけであります。今承わりますと、官公労との関係をにらみ合せてこの年末の支給額をきめていきたいということでございますが、そういたしますとこれは今申しましたように、本年度予算措置においてすでにもう〇・二五の開きを生じているわけでありますが、まずこれをどういうふうにお考えになっているか、そうしてその措置はどういうふうにしようとなさっているのか、一つ根本問題についてお答えをいただきたいと思います。
  15. 小林重國

    小林説明員 今お話のございましたように、国鉄職員につきましては、国家公務員より年間〇・二五の差をつけられているわけであります。われわれといたしましては予算要求の際、ぜひ公務員並み予算を組んでほしいというような気持を強く持っておるわけでございますが、予算の査定の際この〇・二五の開きについては、国鉄経営努力によってまかなうようなことを考えるべきだ、こういうようなお話がございまして、今年度も〇・二五低い予算が組まれておるわけでございます。従いましてそれをカバーいたしますためには、われわれといたしまして経営上の努力を尽さなければならないわけでございます。従来の経過を申し上げますと、昨年度におきましても〇・二五の開きはあったのでございますが、われわれの努力と申しますか、そういったものによりまして公務員に劣らないような措置を講じて参ったわけでございまして、本年度におきましてもあと残っておりますのは〇・九五ではございますが、何とか努力いたしまして公務員に劣らないような措置をいたしたい、こういうふうに考えております。
  16. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 今承わりますると、予算以上の支出についてはいわゆる経営努力、これは諸経費節減、あるいはその諸経費節減の中には事務費節減等々毛ありますが、同時にまた工事費等一切のそういうような節減と合せ、収入増収等による企業努力、こういうものがすべて盛り込まれて参ると思うのであります。そしてその努力をされておるといたしましても、根本的には、最近の国鉄主張によりますると、国鉄は赤字である、そして経営は非常に困難な方向に行っておる、こういうようなことで、行政管理庁との間に非常に論争を繰り返されておるということを私ども承知をいたしておるわけであります。そうすると今答弁をなさったその企業努力により官公労との均衡をはかるということは、実質上においては不可能ではないかというふうに私ども考えるのでありますが、そこの年来の主張の相違というものを一体私どもはどう受け取ってよいのか、受け取り方に苦しむわけであります。これについてどうお考えになっておるか、一つお尋ねしておきたいと思います。
  17. 小林重國

    小林説明員 先ほど御説明申し上げましたように、経営努力と申しましても経費節約のみではございません。御指摘のございましたように収入の増加もはかるというような努力をいたしまして、その結果生み出されたものによりまして何とか公務員の線に合せていく、こういうような方法をとって参っておるわけでございます。本年度につきましても当初の予算執行に当りまして、相当昨年度に引責続きましてデフレが進行していくのではないかという予想のもとに、予算節約に努めて参ったわけであります。ところが鉄鋼、造船等の景気を反映いたしまして、収入の方も予想ほど悪くなかった、予算に対しては必しずもよいとは申し上げかねるのでありますが、われわれが当初実行に移りました計画よりは多少よかったというような実情にございます。また本年度災害も比較的少かった。昨年度におきましては台風その他による災害も多うございましたし、また御承知洞爺丸の事件もございまして、国鉄としては非常に苦しい事態でありましたが、今年はそういった災害も非常に少かったので、そういう面から割合に捻出の方法も去年に比べては楽ではないか、こういうような感じがいたしておるわけであります。こういった事情を考慮いたしまして、今年は公務員並みには合せる、こういうようなことで努力をいたしたいと思います。
  18. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 そういたしますと、今度は運輸大臣お尋ねをいたしますが、今国鉄当局では企業努力によってやる、予算上の官公労との差額はないように支給をしたい。夏季手当支給額おのおの〇・八を支給されておると承知いたしております。そこで今度はそういう国鉄努力があるといたしますると、本年度人事院勧告というものがございました。これは御承知のように官公労給与は、昨年は人事院給与引き上げない、据置にするという勧告をいたしております。一昨年は相当の引き上げ勧告したようでありましたけれども政府としてはこれは引き上げておらない。従って官公労諸君は非常に実質的には据置の形で苦しんでおるわけであります。その中には多少給与矛盾を是正するという意味の若干の引き上げはありましたけれども、しかしながらそれ以外には実質的には他の産業に比べて官公労引き上げがなかったのであります。そういうために人事院は本年は実質ベース引き上げはないとしても、実際の給与を潤わしてやるためにさらに臨時給与増額してやれ、こういうことで予算化されております。官公労二ヵ月、国鉄一・七五カ月、これに対しましてさらに〇・二五カ月分の増額をすることが適当だというふうに勧告をしておると聞いておるのであります。私はこの人事院勧告というものは、他の労働者に比べて、そう無理なものではなくて、実際にはこの勧告に応じてやるべきだと思うのであります。政府も最近に至っては、多少そういうようなことも考慮に入れられるような考えを持っておられるのではないかと思うのでありますが、これについて一つどういう措置をお考えになっておるか、お尋ねをいたします。
  19. 吉野信次

    吉野国務大臣 お尋ねの点は私もごもっともだと考えております。という意味は、決して人事院勧告というものは現下の情勢から見て無理なものだとは思いません。ただ今の財政現状から見て、つまり財布がこれに耐えるか耐えられないか、これだけの問題に決着する、かようにしぼれる問題だと思っております。この問題は御承知通り官公労というものは各省にわたる膨大な組織組合でございますから、運輸省だけでどうこうというわけに参りませんが、みなそれぞれの行政官庁の方で連絡をとりまして、その支出ということを今検討しておる最中でございます。まだそれに対して的確にどうするこうするという結論は出ておらないのであります。
  20. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 なかなか大臣はうまい答弁をされたと思うのであります。けれども私はやはり大臣の言われるように、官公労というものはこれは一省だけにとどまるものでないことはよく承知いたしております。また地方公務員等との関係のあることもよく承知をいたしております。しかし私がお尋ねをしたいのは、そういう各方面多岐にわたる官公労おのおの所管をしておられる大臣が、その所管されておる場所に勤めておられる官公労諸君に対して、就任早々でもありますからこうだという大臣所信というものをこの際はっきりされることが、大臣を信頼して職場にいそしむことになると思うのであります。これなくては、私は運輸省諸君が安心して大臣を信頼することはできないと思う。ですからこの際、この差し迫った事態の中において、大臣がどのような所信をもってこれに対処されんとするか、その所信をはっきりしていただきたいと思いますので御質問申し上げたのですから、そのおつもりで一つもう一回御答弁をいただきたいと思います。
  21. 吉野信次

    吉野国務大臣 申し上げました通り運輸省関係職員に対する今度の要求につきましては、私もこれが無理であるとは思いません。同情しておるので、よく了解しておるつもりであります。ただ具体的に、ただいま一・何がしというような数字についての御尋ねでございましたから、数字の点になりますと、今せっかく検討中でございまして、まだ申し上げる機会にはなっておらない、こういうことでございます。
  22. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 政府として総合的にお考えになることは、それは大臣の御答弁了承いたしますけれども、その総合的な計画をお立てになる場合の大臣所信というものは、そういうものではないと私は思うのです。数字にしても、大臣自身人事院勧告は妥当であるというふうにお考えになるならば、閣議なり何なりにおいてもその主張はされておるものと思うのであります。今の大臣の言われるように、総合的に考えるためにどこかのところで協議をされる、その協議にまかすものであるが、あなたとしての主張は何もないというふうに私は受け取るわけでありますがどうでしょう。
  23. 吉野信次

    吉野国務大臣 そう突き詰めてお考えになる必要はないので、私はやはり自分の考えはそういうところで相当述べておるつもりであります。ただそれは、その意思を決定する内部あやでありますから、その内部あやを今ここでこうだああだと申し上げない方がよろしいと思います。
  24. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 大臣の政治的なあや、なるほどそれはあると思いますけれども、しかし大蔵省等は、人事院勧告などは度外視して、今まで予算化されたそのものについての若干の増額についてもなかなか承知をしておらない、強硬に反対をしておるということを聞いておるのであります。そういたしますと、大臣のように、相手を非常に善良なものとして見ておられるということになりますと、大蔵省などはなかなかうんと言わないということになると思うのです。ですからやはりこの際大臣としては、現場担当者としての要求を強く出されることが、最も肝心なときに来ておるのではないかというふうに考えまして御質問申し上げたのであります。  第三にお伺いしたいのは、国鉄の方では企業努力によって官公労並みにしたい、この矛盾であります。たとえばこれを運輸省にとってみますと、同じ運輸部門に携わる者として、その行政面の者も、現場に携わる国鉄職員も、企業体政府機関というふうに分れていましても、私は同じ性質をもって国家のために尽しておるものであると思うのであります。しかるに一方においては一・七五にし、一方は二・〇にする。実際には一番危険度の高いところに働いておる者に予算上このような差をつけて、あとは君らの企業努力でどうにでもまかなえということで、一番危険なところに働いておる者にさらに大きなあやを設けて、そうしてうしろからむちうって、これらの諸君に非常な犠牲をしいるようなことでは、私は適切な措置とは考えないのでありますが、大臣はこれについてどういうふうにお考えになっておりますか。
  25. 吉野信次

    吉野国務大臣 ごもっともなお尋ねだと思います。しかしその点は、白紙に返って新しく制度を編むときの問題ならば別ですけれども、もうすでに国有国営形態——つまり官僚組織形態でなしに、公共企業体という形態をとって独立してやるという建前になっておりまして、たとえば給与ベースなどにつきましても、必ずしも官庁と同一でなくてもよろしいという建前で今やっておるものですから、そこで賞与の問題につきましても、お話通り同じ関係でございますから、官公吏職員も同じようにいきたいのですが、実際は今そういう建前になっておりまして、国鉄現状が採算上それだけの負担をやれるかやれないかというような問題もございますので、現状におきましては必ずしも同一歩調に出るということを確言することはできないと思うのであります。
  26. 中居英太郎

    中居委員 山口君の質問に関連して一点お伺いをいたします。先ほど国鉄小林理事から、国鉄職員の年末手当についての公務員との差額〇・二五は、国鉄企業努力によって公務員並みに少くとも支給したいというお話がございました。昨年も同様な処置を講ぜられておるのでございまして、非常に賢明な処置であったと私どもは思っておるわけでございますが、今年度におきましてもさような方法をとるといたしました場合に、これを昨年同様予算化しないで、何らかの形で支給する御意思でありますか。あるいはまた予算補正をいたしまして、手当の項に〇・二五をプラスして二カ月分という金額を表示せられる御意思ですか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  27. 小林重國

    小林説明員 お答えいたします。私の方で今考えております〇・二五の差につきましては、何とか予算運用によって措置いたしたいと考えておりますが、その運用につきましてももちろん政府の御了承を受けなければならぬ場合があろうと思いますので、そういう面につきましては政府の御了承を得まして処置をいたしたいと考えております。
  28. 中居英太郎

    中居委員 政府了承ということは、現在の予算表のままで、実質的には公務員並み支給したいという意味ですか、それとも予算修正をするという意味ですか、この点が一つと、さらに先ほどの山口君の質問にもあったのでありますが、人事院から現在の年末手当に対してプラス〇・二五を支給するのが妥当であるという勧告が出ておりますが、これに対して運輸大臣は、何とかさよう処置したいということを述べられております。しかし先ほど大臣からもお話がありましたように、今日の国鉄経営形態というのは、国家公務員と異なりまして公社制度をとっております。従いまして必ずしも国家公務員俸給ベースにすべてがイコールしなくてもいい。非常に弾力性を持っておる経営形態給与体系になっておると私ども承知しておるわけでございます。そこで人事院から一般公務員に対しまして、〇・二五のプラスをするのが妥当であるという勧告が出た。現在国鉄当局はこの人事院勧告をどう解釈されておるか、どう受け取っておるか。一般公務員大蔵省なんかの話を聞いてみますと、人事院勧告の〇・二五はなかなか予算ができないというようなことを私ども承わっておるわけでありますが、国鉄は必ずしもこの一般公務員方針というものに従わなくてもいい。先ほど申し上げましたような弾力性を持っておる経営体でありますから、従いまして人事院からさような勧告があった現在は、公務員並み支給する、〇・二五に加えて人事院から勧告せられました〇・二五というものについても、相当程度具体的な考慮が払われておるのじゃないか、こう思うわけでありまして、この点についての国鉄首脳部考え方並びに財政上の見通しについてお伺いしたいと思います。
  29. 小林重國

    小林説明員 現在公務員の年末手当についてきまっておりますものと、私の方の現在予算化されておりますものとの間の差額の〇・二五でございますが、これにつきましては、何とか予算のやり繰りによって処置し得る見通しでございます。ものによってあるいは流用を御承認願わなければならぬようになるかとも存じますが、大体国鉄の腹で処置して参れると思っております。それから国家公務員の方は、すでに一・五という勧告が出ておるのでございますが、この額は妥当かどうかというような意見になりますと、これはもちろん人事院で十分御調査になりまして決定されたものでございますので、われわれといたしましても、その線は尊重いたさなければならないと思っております。しかしながら国鉄財政から見ますと、これをさらに捻出するということになりますと、相当困難な問題にぶつかるのではないか。行政上の措置その他を政府の方でお考え願わなければならぬようになりはしないか、こういうように考えております。
  30. 井岡大治

    井岡委員 関連して。大臣答弁小林常務理事答弁との間に、食い違いがあると思うのです。この点を明らかにしていただきたいと思います。と申しますのは、大臣はいわゆる公社になって、国から独立をしたのであるから、給与そのものについては必ずしも国並み給与を持たなくてもよい、こういうふうに考えるという御答弁でございました。ところが小林常務理事お話では、先ほど山口君の第一問の質問に答えて、〇・二五の落差については、これは行政の省と同様に二を要求したのであるけれども予算上の関係政府の方から許されなかった、こういうように言われておる。従って年末手当、いわゆる期末手当についての考え方というものは、どういうようにお考えになっておるのか、この点を一点と、先ほどのその違いはどういうように違っておるか、その違いを明らかにしていただきたいと思います。大臣にお伺いします。
  31. 吉野信次

    吉野国務大臣 私の申し述べましたのは、つまり建前公社になっておりますから、そこは違ってもやむを得ない、こういうことを申し上げたのです。それについてどういう点が矛盾だとおっしゃいますか。その矛盾だという点がのみ込めませんので、はなはだ失礼ですがもう一度……。
  32. 井岡大治

    井岡委員 違ってもいい、こういうことなんです。その通りです。ところが小林常務理事は、本年初頭に予算を編成するに当って、政府職員同様の二を要求した、ところが政府が許してくれなかった、こう言うのです。違ってもいいという建前であるならば、あくまで違ってもいいという建前をとるべきであって、政府云々という答えはないと考えますが、この点はどうなんですか。政府に相談する必要はないじゃないですか。
  33. 小林重國

    小林説明員 先ほど私からお話し申し上げましたのは、予算要求の際、何とか国家公務員と同じようにしてほしいという要求をいたしたわけでございますが、公共企業体については企業努力によって出せるなら出したらいいじゃないか、こういう考え方で、予算としては〇・二五落ちたものが組まれたわけでございます。われわれは労働問題の処理といたしまして、少くとも財政が許されるならば国家公務員並みのものを出したい、こういうことで努力をいたしておるわけでございます。
  34. 下平正一

    ○下平委員 関連して。先ほど同僚委員質問の中で、少し答えがまちまちになっておるような気がしますので、お伺いしたいのですが、さっき小林理事の方は、いろいろな災害の問題とか、増収の問題、節約の問題等で公務員並み支給したいと考えておる、こうおっしゃったのですが、今あとの方の答弁を聞くと、最初の〇・二五だけは公務員並みにするということで企業努力で出るが、あとの〇・二五の方はちょっと財源の余裕がない、こういうような御答弁のようです。そうすると小林常務理事の言われる公務員並みというのは、人事院勧告によって差の〇・二五だけふやす、こういう公務員並みなんですか。私は先ほどの御答弁を聞くと、一応人事院勧告が出れば、公務員は一・五になる。小林常務理事の最初の御答弁は一・五並みまでは出したい、こういうふうに聞いておったのですが、あとの答弁とちょっと違っておるのです。公務員並みというのは、数字的にどれをさすのか、御答弁を願いたいと思います。
  35. 小林重國

    小林説明員 先ほど御答弁申し上げましたように、現在の公務員並みを出しますためには、〇・二五だけ必要なんでございますが、この点については何とか予算上のやりくり、それから過去の企業努力等によりまして、割合楽にと申しますか、何とか処置できる。しかしそれよりさらに上になりますと、われわれとしましても非常に困難を感じますし、政府の特別の御措置お願いしなければならぬのじゃないか、こういうような答弁を申し上げたのであります。
  36. 下平正一

    ○下平委員 大臣にちょっとお伺いしたいのですが、今国鉄側の答弁を聞くと、現在の差額の〇・二五は企業努力で出る、こういうわけなんですね。人事院勧告は、〇・二五というものが妥当性があるかどうかということは別として、一応〇・二五というものを基準の数字として考えたい。そうすると政府人事院勧告を受けて〇・二五の数字だとすれば、国鉄側に対して政府の責任で何らかの措置がなされて当然だ、こんなふうにも考えられますが、その点について大臣の御所見を聞きたいと思います。
  37. 吉野信次

    吉野国務大臣 お話の点は、かりに行政措置というものを、公務員並みだからと言うてきましても、それはちょっと私どもとして、さっき申しました通り、もともと建前が違うのですし、公共企業体でこれをやるのですから、その業態が非常によければ時にはやはり公務員よりよけいになる場合もあるのですが、現状からいえば、悪いために、せめて公務員並みということが今問題になっておるわけです。というて、公務員並みまでに行政措置を講じて政府がやるということは、私考えておりません。
  38. 下平正一

    ○下平委員 国鉄当局並びに大臣にお伺いしたいのですが、公務員国鉄という公共企業体とは全然別だという考え方に立たれておるならば、問題は国鉄の財源の問題になってくると思います。企業努力によってどれだけの財源が浮いているか、あるいは増収によってどれだけの財源が浮いてきているか、こういう問題になると思うのです。そこで大臣の方へ一つお伺いしたいことは、国鉄の労働組合要求は二カ月の要求をしておるわけであります。そうすると国鉄に当然それだけの増収が企業努力によってあり、あるいは節約があり、あるいは災害その他が少かったことによって予算が浮いてきている。こういう国鉄に財源の余裕があるということなら、公務員との比較は全然考慮しなくて国鉄の年末手当を決定してもよろしいか、この点について一つ大臣の所見を伺いたい。  ついでに、この問題で国鉄当局にも聞いておきたいのですが、当初予算の編成のときは二カ月分を要求した。ところが一・七五であとは企業努力でやりなさいということで、当局は引き下ってきた。そうすると当局としても、企業努力その他によって財源があれば、国家公務員その他と比較しなくて、国鉄当局自身の腹で、財政上の見積りで年末手当を出す、こういうお考えかどうか、その点を一つお伺いしておきたい。
  39. 吉野信次

    吉野国務大臣 今お尋ねになりましたその仮定でございますね。つまり現状はそうなっておりませんけれども国鉄経営が非常によくて、現在のように予算の項目をやりくりしてやるということでなしに、りっぱに収益が上って、そうしてその仮定のもとにおいてやる場合にはやってもいいか、こういうお尋ねです。ところがその場合ならこれは問題は別だろうと思います。それはそのときの問題ですが、ただ現状においてはそういう状態になっておらないのですから、いろいろ当初の予算をやりくりしなければ出せないような状態になっておりますから、その状態においては人事院勧告並みに必ず国鉄はやるということには私は考えておりません。
  40. 小林重國

    小林説明員 お答えいたします。先ほども申し上げましたように、われわれの方といたしましては予算は〇・九五しか残っておらないのでございます。これを企業努力によりまして何とか公務員並み処置していきたい、こういうような気持で努力をいたしておるわけであります。それにしましても公務員の額が相当大きな額できまりますとおっつけなくなりますし、また捻出いたしますにしましても、血の出るような努力をしなければ実現できない、こういうような格好になると思います。
  41. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は今の大臣答弁国鉄当局答弁とは、非常な矛盾をしておると思うのです。というのは、第一予算からそもそも無理なことをやっておるのです。片一方は二カ月やるし、片一方は一・七五だ、それで公務員まで同額支給してもいいが、それは企業努力でやれという、初めから無理な予算の執行をやっているのです。ですから給与法あるいは予算執行方法からいきますると、実際に〇・二五というものは、公務員並みにするということそのこと自体は、これは違法なことを当初から黙認しているようなものです。そういうことになるでしょう。予算でやりくりしなければ出ないのだ。ところが今大臣お話を聞くと、それは公社として全然性格が違うのですから、企業努力によってなされてもあえて差しつかえないのだ、この裏は実際には、政府はそれは干渉しないのだ、こういうことと一緒なのです。そういうことになるのですね。それならば今同僚議員下平氏が申しますように、本年は災害その他の不時の支出もありませんでしたし、また国鉄の従業員諸君の非常な努力によって昨年よりも増収されていることも間違いありません。そういたしますると、歳出の不時支出はなかったし、さらに努力によって増収はしておるし、減員の補充もなくて、従って経常費においても非常に捻出ができる。そうならこれは国鉄諸君要求しておる二カ月を上回るような支出に、極端にいえばなるとしても、それは公共企業体が独立資本だから政府はそれでいいのだ、こういうことと私は一緒だと思うのですが、それを認められるなら、今国鉄当局から言われるように、公務員の方で大きな支給額になるということになれば、その支出についてはいわゆる政府の御了承を得るような措置をしなければならない、こういうふうに考えるというのです。私はこれは全く食い違ったことになると思うのでありますが、これについてどういう見解を持たれるか聞きたいと思うのであります。
  42. 吉野信次

    吉野国務大臣 ちょっと私の言い方が悪いかもしれませんが、私は少しも食い違っておるとは思わないのでございます。つまり私は今お話のように、そんなに国鉄の財源が豊かであるとは承知していないので、先ほど国鉄の人がお話しになりました通り、ことしは災害もない何もないといって、失費が少くて非常に好都合な年であるにもかかわらず、なおかつ今の程度のものを出すのについては、やりくり算段しなければならぬ立場にあるというのですから、先ほどどなたかの御質問のように、そういうやりくりをしないで自然の増収があり、経費節約もあって、ふんだんに利益がある場合ならそのときはどうするか、こういう仮定ならば、そのときはこれは独立採算でありますから、ほかの企業体とのつり合いなどもありますから、無制限に三月も四月も五月もというわけには参りませんけれども公務員よりは多くやってもいいということもあり得る、こういうことを申し上げたのです。別にそう大して違っておるものとは考えておりません。
  43. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 そこまで大臣がお考えになっておる、私はこれはいいと思うのです。いいと思うのだけれども、しかし今の国鉄答弁では、国鉄官公労一斉に夏季手当は〇・八支給になった。今度年末には二カ月分を一斉に要求しておる。そうするとこのまま支給されるということになれば、最終的には二・八、こういうことに要求はなっておるのです。ところが今の国鉄答弁では、公務員と同じように企業努力によって非常な努力を払わなければならないが支給をしたい、こういうことが基本だというふうに答弁をされおるのです。そうしてその企業努力に対しては大臣としては、これはその範囲内においては干渉しない、こう私は受け取っておるのです。ところが今度は、しからば今予定しておるものは、それで国鉄当局としては官公労並みになるということを問い詰めていくとどうかというと、要求を無視して、そして官公労が二・〇ときめているのだから、その二・〇の範囲内においてというふうに受け取れるのですね。そうしてそれ以上のことということになれば、私が最初に御質問申し上げたように〇・二五の人事院勧告はどうされるのか。これは私が説明をいたしましたように、実際には官公労というのは長年賃金のストップをされて、そして人事院は、せめて年末にこれだけぐらいのものを増額してやることが適当だ、こういうことでいきますと、それを政府が認められる、当然こんなものは支給してやらなければいけないし、ほんとうの組合要求は二カ月でありますから、それが実現のために努力をしてやるということは、政府の親切心であり、国鉄の親切な措置ではないかと私は思うのです。そういう場合に、今の国鉄答弁によりますと、いや、そのあとの〇・二五については、これはとにかく政府の御承認を得なければならないようになるだろうというようなことで頭からここで答弁をして、それを合理化されるということになりますと、それは実際には支給しないのと同じことだ、こういうことに国鉄諸君は受け取ると思うのです。またそう受け取ってもやむを得ないのではないかと思う。そういうことになりますとこれは大へんなことになりますから、そういう措置については一体どういうふうに督督者である運輸大臣はお考えになるかということです。  それからさらに今の違いについての答弁の部分については、単に政府に対して公労法の十六条にいうような、そんなことで努力をしないで逃げようというような、悪くいえばそういうような措置にとられて誤解をされるということになれば、なお事態を紛糾させることになりますから、そういう点については一つはっきりとした見解を、この際副総裁も見えておるのですから御答弁していただきたい、こういうふうに思います。
  44. 吉野信次

    吉野国務大臣 私の言い方が悪かったかもしれませんが、私が申し上げたのは原則論を申し上げたので、つまり公共企業体というものでやっているから、公務員と同じ率にする必要はないということを申し上げたのであります。それは干渉しないということですけれども、そのことが今の国鉄財政現状から見て、いろいろ予算を流用したり何かしなければならぬということになれば、そのことについて、予算のそういうことを動かすことは勝手にできない法規になっているだろうと思うのです。法規上運輸大臣の承認を受けることは、これは当然のことであって、それを何も干渉しないということを申し上げたのではないのです。それでありますから、国鉄の方でできる限りのことはいたしましょう。ところが幾らやっても今度の公務員人事院勧告並みにやるにはどうしても足りないから、そのことをさっき行政措置という言葉を使いましたが、それを政府に何とかやってくれ、こう来てもそれは困るのです。それは建前が違う。だからそういうしり——しりといっては語弊があるかもしれませんが、そういうことをこの際一々運輸省として、それに対して特別な措置を講ずるということは私はできない、こう申し上げた次第であります。
  45. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 国鉄の〇・二五と申しますと大体二十億でございます。二十億というと相当な金でございます。先ほどから議論がございましたが、年度当初から〇・二五の不足のままで予算を組むのでありますが、実際問題として公務員の方と〇・二五だけ現実に年末に差があっていいかといったら、それでは私はとても、職員も納得ができない、こう思うわけでございます。大体年度の当初から二十億程度のものがそこへ残るような措置を初めから講じているわけであります。従いまして先ほど申しましたように大体〇・二五の公務員との初めからの差については、予算通り収入が上っていきさえすればそれだけは出せるという話でございます。ただことしの実際上の収入支出状況を申しますと、先ほどもお話がございましたが、国会の予算に比べて非常に大事をとりまして、三十五億ばかり少な目に見て実行予算を組んでおります。それに対しまして九月末でございましたか、十月末くらいに大体四十億ぐらいふえている格好でございます。従いまして国会予算に比べて大体五億ぐらいふえているのではないかというふうに考えます。決算の方はまだ正確につかまえておらぬのでございます。その間、先ほどもお話がございましたが、初めからの〇・二五の差以外に、人事院勧告としてさらにもう〇・二五ふやすというお話がございますので、私どもの方といたしましては、それだけの財源をどういう格好で出し得るかということを目下検討中であります。その答えの出方によって、先ほどもお話のございました企業努力の問題として、業績賞与としてこれだけ出して差しつかえありませんかということを運輸大臣お願いして、お許しを得て出せる場合もありましょうし、もう少しむずかしい措置考えなければならぬかどうか、その辺まだ目下検討中でございます。
  46. 正木清

    ○正木委員 ただいまの天坊副総裁の答弁で、同僚各委員が非常に熱心に議論された点が一応明確になりましたから、私はその点には触れません。いずれ機会を見てまたあらためて議論を展開したいと思いますが、問題は運輸大臣なんです。あなたのおっしゃるのは、一般原則論をここで答弁されているわけですね。ところが実際にあなた自身が日本国有鉄道法という法律を御研究下さっているかどうか、これが一点。もう一つは、現実に国鉄という一つ企業体の経理の実際の運用の面において、各項目の流用がどのように現に流用されておるかということも、あなたは事務当局から意見を徴したことがあるかどうか、一般原則はわかるのですよ。しかし実際はどうかということを御研究になったことがあるかどうか、この二点だけ明確に、非常に大切なことですから御答弁願いたいと思います。
  47. 吉野信次

    吉野国務大臣 ただいまお尋ねになりましたことは、正直に申し上げましてまだ全然そういうところの運びには至っておりません。やっと国有鉄道法を読み、それから行管の勧告を今読んでいる程度でございます。しかし責任をとったのですから、それを知らぬでは済まされませんから、もしその点について何であれば局長その他も来ておりますから、その方で十分、御質問にまごつくようなことはいたさせないつもりでございますから、それは御安心願いたいと思います。
  48. 正木清

    ○正木委員 大臣のその御答弁で私もいいとは思うのです。思うのですが、あなたの先ほどの同僚に対する答弁からいくと、原則論というものと実際というものとに、事実の問題として大きな開きがあるのです。そのことをあなたが御存じにならないでここで御答弁されたのでは、されるわれわれが迷惑であるということを申し上げたいばっかりに私は発言を求めた、こういうことですから、その点よく事務当局と打ち合して御研究を願いたいと思っております。
  49. 下平正一

    ○下平委員 ちょっと関連して国鉄一つだけお伺いしたいのですが、今天坊副総裁のお話で、〇・二五の差というものは予算執行の最初から見込んで、その差を埋めるように努力してきている、そしてあとの人事院勧告に基くいわゆる〇・二五については今盛んに頭をひねっている、こうおっしゃる。そこで私は別の角度から一つお伺いをしたいのですが、昨年は年末手当が確か一・三五出たはずなのです。そうして昨年の国鉄状況を見ますと、運賃の収入においてもあるいは災害の度合いにおいても、非常に苦しかった年だと思うのです。そういう苦しい中からも昨年は確か一・三五というものが、年末手当として出てきているはずなのです。今年は、先ほどからの答弁を聞いて、具体的な数字はわかりませんけれども、運輸収入においても鉄鋼その他の景気の反映として相当な増収があった。国家予算に比べても五億、国鉄当局が出されている実行予算面からは二十数億ないし三十億の増収があった、災害の方は洞爺大事件もないし風水害もない、こうして見ますると国鉄の経理状態というものは昨年に比べて、大ざっぱにその面だけを見ても四十億や五十億、見方によっては百億くらいのゆとりがあるというふうに御答弁の中から考えられるのです。そういう国鉄の経理の財政的な裏づけの中から、昨年よりも〇・一だけ少い一・二五という数字は、どうやっても考えられないのです。そこで昨年と比べてみて、今年の今当局答弁による一・二五だけは辛うじて確保したが、その後は云々ということは、どうも理解に苦しむのです。その点について少しく御説明をしていただきたいと思うのです。
  50. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 御承知通り給与総額というワクがあるわけでありまして、まずいろいろ災害がございましても、なるべく給与総額のワクにまでは最初から金を——そこへ原資を求めようということはあとの問題にしたいという気持がもちろんあるわけであります。従いまして昨年度給与総額のワクの中で、特に昨年は御承知のように夏ごろ——六月ごろから八月ごろまでにかけまして労働組合との問にいろいろ交渉がありまして、その問超過勤務がほとんどなかったというようなこともありまして、給与総額のワクに去年は割合にゆとりがあったということが言えるわけであります。もう一つは、ああいう緊急な災害が起りまして、この災害の応急対策は何をおいてもやっていかなければなりません。少々ほかのことについては犠牲を払ってでも、その応急対策は講じなければならぬということがありまして、その分を、今年のような災害の割合少かった年に、ほかのものをほうっておいてまでも持っていくという事情が今年はないというだけであって、これをそのまま給与の問題に注ぎ込むということは、これはまた別の問題であろうと思います。
  51. 下平正一

    ○下平委員 もう一つお伺いしたいのですが、今副総裁は給与総額に大んこだわっておられるのですが、給与総額に完全なこだわりを持つということになれば、先ほどからあなた方の言われている企業努力によって生じた金を賃金なりあるいは手当なりに回すという理屈とは、まるきりあべこべになってくる。企業努力によって生じたものは給与総額とは関係なしに従事員に分配される、こういうことでなければ私はおかしいと思うのです。給与総額がきまっているという場合、一・七五どんぴしゃりです。だから企業努力によってその差額は埋めるということを政府当局国鉄当局も認めているとなれば、給与総額のワク内操作というものは全然矛盾があって、どれだけの利潤があってどれだけの節約ができたか、こういうことだけに問題がしぼられるはずなんです。この給与総額の問題を持ち出してくるということについては、今までのあなたたちが答弁をされた内容と理論的に少し食い違ってくる、その点はどうなんです。
  52. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 ただいま申し上げましたのは、昨年は給与総額に超過勤務等の金が余った実情があったということを申し上げたわけでございます。今年は、先ほど申しましたように実際問題として増収の額が、国家予算に比べますと五億程度なんであります。これが年度末まで行ってどういう姿になるかという点は、これからの問題であり、あるいは決算も締め切ってみなければ精密にわからないわけでありますが、それほど大きなゆとりが出てくるかどうかはわかりません。しかしながらその間の節約なり増収の問題については、その一部は企業努力として業績賞与として支給することは私はできると思いますし、またそういう努力お願いしているわけであります。
  53. 原健三郎

    原委員長 それでは本日はこの程度として、次会は公報をもって御通知申し上げます。  散会いたします。    午後二時五十五分散会