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木村禧八郎君 それじゃ最後に……。それは
大蔵大臣はそういう
答弁をなさいますけれ
ども、
輸入しなきゃ国内円資金調達が困難ですから、特に来年度あたりには
政府は今検討中と言われるが、来年度
輸入するか、
輸入しないか検討中と言われますが、円資金調達の見込みがないから、どうしたってこれを
輸入して円資金を調達するよりほかない。実際問題としてそうなんです。そこで
輸入条件は非常に私は不利だと思う。綿花などは、さっきいただいたこの資料によりますれば、それから経審
長官の御
説明ですと、
世界価格によって買うというのです。
アメリカの綿花価格は御
承知の
ように
世界の価格よりも二%高いのでしょう、高いのですよ。そういう高いものを買わざるを得ない。そこで私は
農林大臣に伺いたいのですけれ
ども、この
余剰農産物については価格条項というものはあるのかどうか。それで通常
輸入については価格条項がございますね。通常
輸入については、小麦、これは本年度です、小麦七十五万トン、大麦二十万トン、米二十万トン、綿花二十七万五千俵、タバコ二千九百トン、これについては価格条項があって、
アメリカがあまり高い場合には拒否できるとなっていますが、
余剰農産物の場合には価格条項がないのでしょう。ですから高い場合に拒否できない、そういうことになっておる。ですから、綿花について高いのに、これをわざわざ買わざるを得ない。通常
輸入の場合には価格条項があるのですよ。
余剰農産物の場合には価格条項がないのはどういうわけか、高いものを押しつけられた場合どうするか。この点今後の、今後かりに
輸入するという
ような場合に、やっぱり重要な問題だと思う。その点と、さっき米については十万トンと言われたのですけれ
ども、二十万トンを
計画しているのじゃないですか、ことしは……。その点ですね、これは
河野農林大臣に伺いたいのですが、それから品質の点ですね、品質の点は一体どういうことになるのか、この点もわれわれ非常に疑問に思うのです。期待した
ような品質とはずれたものが来た場合、一体どうなるのか、そういう点もっとはっきりさしたいと思うのです。それから
大蔵大臣は外貨節約になる
ように非常に強調されていますが、
アメリカが使用する分ですね、八千五百万ドルのうち三〇%分、すなわち二千五百五十万ドルはこれは外貨節約にならないのであって、
アメリカのいわゆる域外調達のかわりになるわけですね。そうしますと、もしこういうことをやらなければ
アメリカからドルが入るのに、ドルが入らないで
アメリカの余剰物資が
日本にやって来て、余剰物資が
日本は収入になって、その余剰物資をもって
アメリカは
日本から好きなものを買う。東南アジアに向ける軍需品を買う。そうすると、ドル収入は減少するわけですよ。域外
買付分がそこで減るわけです。理論的にいきましてこんな不合理な協定はないと思う。
アメリカから一定の使用価値、
余剰農産物という、小麦、綿花とか、一定の使用価値しかないものを
日本に持ってくる。そうして
日本において
日本の通貨に変えて、
日本の通貨というものはあらゆるものに変るのですよ。それで一般的等価物に変えてしまうのです。
日本は一定の使用価値分しか
アメリカからもらわない。ですからドル借款ならわかります。ドルの借款ならばこのドルで何でも買える。ところが一定の使用価値分だけしか
アメリカから持ってこないで、それで
日本へ売った場合
アメリカは何でも買える。
アメリカの余剰物資でもって好むものを買える。しかもこれは域外
買付の外貨収入にならないのです。もしそうでなければドル収入になるのに、これを
輸入するために二千五百五十万ドルはドル収入にならない。それからさっきも五千九百五十万ドルの借款分について、これは
日本の保有外貨をあれするんじゃないと言いますけれ
ども、ドル借款じゃありませんか。ドル借款ですから
アメリカから農産物を売って円にして、その円に対して
日本がドルを
アメリカに売ってやって、そのドルを
日本が借りる、こういうプロセスになるでしょう。ですからそのかわりに
余剰農産物を
日本がもらう。こういうことになるわけです。ちっともこれは外貨の節約になるわけじゃないと思うのです。ですから当初の場合と非常にこれは違ってくる。ですからこの前本会議においても
余剰農産物を受け入れる場合に
日本の外貨が非常に少くて困っている。当時食糧が売手市場で買う方が非常に不利な場合、これを非常に期待したのですけれ
ども、今は条件が変っているのです。どこからでも食糧は安く買えるのです。それから外貨ポジションも改善されてきているのです。条件が変っているのです。ただ国内の円資金調達のためにこれをやった方が便利であるということだけからきているのですから、この点よほど再検討しなければ非常に、
日本にとってむしろこれはマイナスですよ。最後にその点について
河野農林大臣、
大蔵大臣、経審
長官にお伺いしまして私の
質問を終ります。