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1955-07-21 第22回国会 参議院 予算委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十一日(木曜日)    午前十時二十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     館  哲二君    理事           池田宇右衞門君            石原幹市郎君            西郷吉之助君            豊田 雅孝君            佐多 忠隆君            吉田 法晴君            松澤 兼人君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君    委員            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            伊能 芳雄君            泉山 三六君            重政 庸徳君            左藤 義詮君            佐藤清一郎君            田中 啓一君            西岡 ハル君            堀  末治君            安井  謙君            吉田 萬次君            片柳 眞吉君            小林 政夫君            田村 文夫君            中山 福藏君            溝口 三郎君            秋山 長造君            高田なほ子君            永岡 光治君            羽生 三七君            湯山  勇君            田中  一君            永井純一郎君            松浦 清一君            石坂 豊一君            深川タマヱ君            武藤 常介君            千田  正君            八木 幸吉君    国務大臣    内閣総理大臣  鳩山 一郎君    法 務 大 臣 花村 四郎君    外 務 大 臣 重光  葵君    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    農 林 大 臣 河野 一郎君    労 働 大 臣 西田 隆男君    国 務 大 臣 川島正次郎君    国 務 大 臣 杉原 荒太君    国 務 大 臣 高碕達之助君   政府委員    内閣官房長官  根本龍太郎君    内閣官房長官 松本 瀧藏君    法制局長官   林  修三君    法制局次長   高辻 正巳君    調達庁長官   福島愼太郎君    経済企画庁総務    部長      酒井 俊彦君    経済企画庁計画    部長      佐々木義武君    外務省参事官  寺岡 洪平君    外務省参事官  安藤 吉光君    外務省アジア局    長       中川  融君    外務省欧米局長 千葉  皓君    外務省条約局長 下田 武三君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    大蔵省管財局長 窪谷 直光君    食糧庁長官   清井  正君  事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十年度特別会計予算補正(特  第一号)(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 館哲二

    委員長館哲二君) これより開会いたします。  昨日の左藤義詮君の質疑中、農林大臣に対する分が保留されてありました。この機会発言を認めます。
  3. 左藤義詮

    左藤義詮君 昨日、会期を延長せずに政府希望法案をお出しになるお見通しを伺ったのでありますが、この国会が終りますると、相当閣僚外遊計画が伝えられております。総理大臣外遊云々は、お盆の何か怪談話みたいに、どうも消えてしまったようでありますが、外務大臣が先般先方都合で御延期になって、今度国会が済みましたら、いろいろ打ち合せをしておいでになって、自由国家、特にアメリカとのいろいろ根本的な問題について御協議になる御計画があるようでございますが、一萬田大蔵大臣国際通貨基金総会でございますかに御出席になる。そうしますれば、いろいろ日本の将来の財政経済等についてお話し合いになる御腹案もあると思うのであります。河野農林大臣も、きのうのお話では、ロンドンヘ、総理の真意を松本ホームシックにかかっておられる松本大使に何か連絡にいらっしゃるとか、あるいは農林大臣の強い馬力で一つホームシックをおなおしになるのか、それだけでなしに、何か余剰農産物等の問題について御折衝になるやに伺うのでありますが、その他、松田郵政大臣とか、あるいは与党の幹事長とか、いろいろ外遊の御計画がある。私は広く世界の各方面閣僚お出かけになることは非常にけっこうなことと思うのでありますが、しかし、何か、私はただ長い国会が済んだから息を入れに行くんだということではなしに、積極的に日本の将来の財政計画その他の上にプラスになる面がなければならぬと思うのでありますが、こういう問題に対して、総理はどれだけの閣僚をどういう目的でお出しになるつもりであるか。今私の申し上げた閣僚、特に農林大臣がどういうよう使命を持っていらっしゃるのか、その点を伺っておきたいと思うのです。
  4. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私ですか……。私聞いていなかったのですが、農林大臣だと思ったものですから。
  5. 左藤義詮

    左藤義詮君 農林大臣初め各閣僚外国へお出しになるようですが、どういう目的で、どういう閣僚をお出しになる御腹案であるか。総理自身お話は、何か総理はあまりお進みにならなかったようでありますが、そのいきさつもお伺いできればけっこうであります。外務大臣が一度行こうというて、中止になっておる。これも外務大臣おいでになる。総理としてこれを積極的に御推進になって、自由国家、特にアメリカとのいろいろな連携を緊密にされる御計画があるかどうか。こういう閣僚外遊総理自身を含めまして、その御計画あるいは御腹案等を伺いたい。
  6. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) いかなる目的閣僚外遊されるかということについては、まだ正式に聞いておりません。確定をした後に、閣議報告があるはずになっております。
  7. 左藤義詮

    左藤義詮君 総理自身のことは。
  8. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私自身としては、別に具体的のことを考えておりません。河野君がイギリスに行った場合においては、松本君にかくかくの伝言をしてもらいたいという話は河野君とはいたしましたけれども、他の閣僚とまだそういう段階にも達しておりません。
  9. 左藤義詮

  10. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 今総理の御説明通りでございます。まだ私の米国行きのことは決定をいたしておる次第ではございません。しかし、必要があれば参ることもできるように、いろいろ向うとの間に準備はいたしております。日米関係全般のことについてです。
  11. 館哲二

    委員長館哲二君) 農林大臣の方は……。
  12. 左藤義詮

    左藤義詮君 もう一つ外務大臣は、前回は非常に唐突であったために、先方準備が整わないという理由で実現しなかったようでありますが、そうしますれば、いずれ臨時国会、また次の通常国会も迫っておりますので、またいろいろな、現在の四巨頭会談その他、世界情勢が刻々動いておりますので、おいでになる。私はそういつでもいいからということでないと思うのでありますが、相当の重要な任務を負うていらっしゃると思うのです。もうすでに前回ような轍を踏まないように、いろいろ先方との交渉等もあるのだと思うのでありますが、大体は、外相がいらっしゃるおつもりでそういう準備を進めていらっしゃると解していいのですか。それとも、まだもう少し行くか行かぬかもまだ考え中だ、こういうことでございますか。
  13. 重光葵

    国務大臣重光葵君) この件につきましてはまだ決定をいたしておりませんことは、先ほど申し上げた通りであります。前回の渡米の問題については、そのときに御報告した通りで、それで切れておるわけでございます。しかし、日米関係にはいろいろな問題がたくさんございますから、その問題の処理を疎通するということはきわめて重要なことでございます。そこでさような必要が生じた場合には、私もお役に立つならば行っても差しつかえない。また一つように取り計らったらいいじゃないかというようなことは、寄り寄り鳩山総理大臣と主としてお話をしておるわけでございます。今はそういうことになった場合の準備をしておる。しようとしておる、またしておる。若干しておる。こういう次第でございます。それがどういうふうになりますかは、まだ決定はいたしておらぬことを申し上げます。
  14. 左藤義詮

    左藤義詮君 農林大臣にお伺いすることが横へそれたようですが、ちょっともう少し、はっきりいたしませんので……。前回は、私はこんなことをくどく御質問いたしますのは、昨日の対ソ交渉その他からも、西ドイツのアデナウアー首相の例も私きのう申し上げたのでございますが、自由国家との十分な私は連携というか、基礎を固めて御交渉にお臨みになるべきであって、それが前回日ソ交渉の取り上げ方も非常に裏口であり、はなはだすっきりしなかったのでございますが、米国おいでになるということも非常に唐突であって、しかも新聞等には、おいでになるということを先方へ通じた、しかもそれが先方から都合が悪いということで断わられた。大へんどうも、私ども国民からいたしまして、あんまり受けた感じがよくなかったのでございますが、そういう点で、今度いらっしゃるならば、堂々と十分先方折衝せられて、国民を代表する外務大臣として私は使命を果していただきたいと思うのでありますが、そういう点で、もう少しはっきり、外務大臣としては、議会中はやむを得なかったが、国会が済んだらさっそく行って、四巨頭会談以後の世界情勢等十分頭において、米国、その他の国は存じませんが、少くとも米国前回以上の抱負を持っておいでになる積極的な御意思があるかどうか。それに対して、前回ような不手ぎわのことにならないように、相当私は一カ月、二カ月、先方都合もありますので、下交渉しなければならぬと思うのでありますが、そういうことに対してどの段階まで行っていらっしゃるのであるか。これは前回ああいうことがあったものですから、私どもは心配して申し上げるわけでありますが、もう少しそこをはっきりお伺いいたしたいと思います。
  15. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 先ほど申した通りでございますが、今直接の御質問に対してのお答えは、目下は準備中である、下交渉中である、こういうふうに申し上げれば、あるいは御了承願えることと思います。
  16. 左藤義詮

    左藤義詮君 大蔵大臣の御計画なり、御抱負なり、伺いたいと思います。
  17. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私のは、これは九月の中旬に例年よう国際通貨基金年次総会が、今度はトルコのイスタンブールであります。例年各国大蔵大臣が集まってきておりますので、事情が許せば行った方がいいだろう、こういう考え方でおるのであります。
  18. 左藤義詮

    左藤義詮君 米国その他は……。
  19. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) そういう所までは、今のところは十分検討いたしておりません。まず総会に出まして、まだだいぶ時間もありますので、内外のいろいろな情勢を見た上で私は考えたい、かように考えております。
  20. 左藤義詮

    左藤義詮君 イスタンブールへ行って、その都合でというお話なのですが、私は日本経済事情等を、日本と緊密な関係を持っている、貿易その他のいろいろな関係の深いところに十分に理解をされるように、むしろ私はその都合と言わずに、来年の予算編成を前にして、ぜひ一つこういう日本の積極的な意思を通ずるというような迫力を持って、はっきり踏み切っておいでになればいいと思うのでありますが、どうもその点があいまいだと思うのですが、ただついでに行ってくるという意味であるか、余剰農産物の問題もございますし、世界銀行その他の問題もございますし、またそれに関する法案を現在われわれ国会で審議しておるわけでございますから、そのことに対して大蔵大臣としてこの機会にうんと働いてくるのだ、こういう抱負を持っておるのだということはございませんか。ただ行ったついでに、ちょっと行くかもしれないというふうなたよりない返事でございまするか。
  21. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 決してたよりなくて——ただ年次総会出席ようついでがあればあるいはロンドンアメリカへ行こうというのでは決してございません。ただ、そこが確定いたしておりませんものですから、今ここで、こういう計画を持って断然こう行くのだと言うことを差し控えておるだけであります。事情が許せば、むろん私は具体的な目的を持って、英米は訪問したいと思っております。しかし具体的な目的、並びにどういう人に行ったら会うかということも具体的にきめたいと思っているのでありますが、今ここで言うのは少し早過ぎると思います。何さま来年度の予算編成だけにしても、これはいろいろな、要するになまやさしいことでない。そう長い間外国に行っていていいか、こういう点を十分考えたいと思います。行く場合は、決して漫然と行くことはいたしません。
  22. 左藤義詮

    左藤義詮君 農林大臣にお伺いいたします。
  23. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私は実は北洋サケマスが非常に大漁でございまして、予想以上にカン詰がたくさんできまして、これの英国向けの販売がなかなか困難でございます。また将来の見通しといたしまして、どういう計画北洋漁業を進めてよろしいかというようなこと等について、ぜひ英国事情を見てみたい。なお向うでいろいろ話し合ってみたいということを考えておりますので、かたがた、肥料の問題につきまして、カリ肥料がどうも安く入って参りませんので、これを西独を中心に、フランス、東独方面カリ事情を調べてみたいということを考えて、事情が許せばそれらのことを欧州において調べてみたいということを考えて、総理にお願い申しておるのでございます。その帰路アメリカに回りまして、余剰農産物関係折衝したい。かたがた、前から話し合っております東亜の農業技術センターの問題がございまして、これについてなお説明する必要がありますので、その説明をしてみたいというふうに考えておるわけでございます。
  24. 館哲二

    委員長館哲二君) 左藤君、時間がきておりますから……。
  25. 左藤義詮

    左藤義詮君 あと一つだけ。カリの問題、それからカン詰問題等、大へん私は、農林大臣所管する重要な問題に挺身していろいろ御研究になり、それを打開なさることは私はけっこうだと思います。余剰農産物の問題につきましても、いろいろ議論はございましたが、これをさらに明年度進めて参りますのに、できるだけ私は時宜に適した、またわが国農業その他の関係を十分勘案せられまして、受身でなしに、こちらから進んで行かれますことに、私非常に満足をいたすのでありますが、ぜひその使命を達成せられるように要望いたしますが、なおこの機会に、これは必ずしも農林大臣だけではございませんが、取りあえずは大蔵大臣あるいは通産大臣所管でございます、ガリオアイロアの問題、賠償問題もいろいろありますが、これもまた明年度以降の予算等も勘案いたしまして、一日も早く解決しなければならぬと思うのであります。これに対して、ただ農林大臣としてでなしに、国務大臣として有能達識河野さんがおいでになるのでありますから、相当の私は御折衝をなされるおつもりがあるかどうか。  なお、この問題に関しまして、かって野党時代爆弾質問と申しますか、予算委員会で、ガリオアイロアの、債務でなしに、逆に日本の対米債権の問題について、農林大臣は非常な意気込みを持って、当時岡野通産大臣のときに御質問になっております。この問題について非常な関心をお持ちになっておる河野農林大臣として、その後いろいろ御研究になり、あるいはこれの打開を、この問題について所管通産大臣あるいは大蔵大臣とも関連をして、閣議その他において努力していらっしゃるかどうか。あるいはこの問題をこの機会に、米国おいでになったら何らかの見通しをつけるおつもりであるかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
  26. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。その問題は、外務省において引き続き、ガリオアイロア解決策とあわせて、お話し合いのことでございますので、外務大臣において適当にしていただけると考えておりますが、今その問題は直接まだ打ち合せしておりませんので、外務大臣の方からお話があれば別でございますけれども、さしあたりは考えておりません。
  27. 左藤義詮

    左藤義詮君 外務大臣から、もしありましたら……。
  28. 重光葵

    国務大臣重光葵君) この問題は、対外債権債務の問題として、具体的に取り上げておる問題でございます。対米債権、これははっきりアメリカ側も認めておるわけでありますから、これは他の債務の問題の交渉の最も有力なるこちらの材料にしておるわけでございまして、さようにしておそくともガリオア等の問題の妥結するときには、この問題はその意味において最もよく使いたいと、こう考えております。
  29. 左藤義詮

    左藤義詮君 もう一点だけ。ちょうど外務大臣も大体いらっしゃる計画農林大臣も今度いらっしゃる。農林大臣はこの問題を野党時代に非常な意気込みを持ってというか、吉田内閣爆弾を投げつける非常に悲壮な意気込みを持って、御質問になったのでありますが、政治家として私はその跡始末をするという意味におきましても、ぜひ相協力せられまして、所管が違いまするけれども、私は大政治家である河野農林大臣としてこの機会一つうんとお力を入れていただきたいということを特に要望いたしまして、私の質問を終ります。
  30. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ちょっと、関連して。総理大臣にちょっとお尋ねをいたしたいのでありますが、今各閣僚から外遊計画その他について御報告、御答弁がありました。外務大臣あるいは大蔵大臣特殊任務を持って行かれるので、これは一応うなずけます。さらに農林大臣余剰農産物交渉の問題でいらっしゃるというよう特殊任務があるとすれば、所管大臣としていらっしゃること、もちろんわれわれも反対ではありませんが、ただ河野農林大臣の御答弁の中には、今年サケが非常にたくさんとれたので、それの売れ行き、売り込みの問題が大きな問題である、そのためにイギリスに行きたい、あるいは硫安の問題の研究ヨーロッパ諸国に行きたいというようお話がありましたが、これは大臣任務として持って行かれるにはあまりにも不見識な題目であり、あまりにも大臣外遊をルーズに考えておられるのじゃないかと思うのであります。と申しますのは、サケマス、そういうものが非常にたくさんとれて、それをどうさばくかというような問題は、会社の社長なり専務なりにおまかせになっておけばいい問題であって、そんな売り込みのためあたりにわざわざ農林大臣お出かけになる必要はごうもないのではないか。もし政府で何か御必要であるなら、水産庁長官なりあるいはその関係事務官をおやりになればいいことであって、さらに硫安の問題にいたしましても、そういう特殊調査の問題があるのならば、何か係の事務官なり何なりを政府からおやりになればいい程度のものであって、それらの漫然とした調査であるとか売り込みであるとかいうようなことで、一国の大臣がふらふらと歩いてくるというような不見識は、断然おやめになることを私は切に希望をいたしたいのでありますが、これらについての総理大臣の所見をお願いします。
  31. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 御注意をよく検討いたします。
  32. 秋山長造

    秋山長造君 関連して。農林大臣お尋ねしたいのですが、先ほどの御答弁でも、アメリカ余剰農産物交渉にお回りになるというお話があった。実はこの間、十八日の夕刊各紙に一斉に報道されておったのでありますが、大臣が横浜のホテル・ニューグランドで開かれた神奈川県農政懇談会出席をされた際、こういうことを語っておられる。外遊の際米国余剰農産物について交渉をするが、二百億円のうち百億円を日本農業に使わせねば、余剰農産物買付は全面的に断わる。また農相の職を今年一ぱいでやめるが、保守合同は絶対にやる。こういう報道をされておるのです。  これが事実かどうかということをまずお尋ねした上でなければ、次のお尋ねができないのですが、まあ関連質問ですから、一緒にさらにお尋ねします。  それが事実とすれば、二百億円のうち百億円を日本農業に使わせねばということなんですが、では、一体来年度も二百億円程度のものを入れようという方針が大体もうすでにきまっておるのかどうか。それからさらに、この金を何に使うかということについては、一々これは向うの指図通りにやらなければならぬかどうかという点。さらに、そのうち半分の百億円を農業に使わなければいかぬというのは、どういう理由でそういう御発言をなさったのかということ。それからさらに、農相の職を今年一ぱいでやめるというのは、どういう意味なのか。それらの点についてお尋ねをしたい。
  33. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。新聞に出ておりまする記事がうそとは申しませんが、書き方がその一部々々を書いておりますので、非常に強まって書いておるのでございまして、そういう断定的なことを申したのではないということを、第一に御了承を願いたいと思います。  第二点は余剰農産物関係でございますが、大体の見込みとしては今年度程度、もしくはそれよりも私の考えとしては、大豆飼料用小麦等について今検討中でございますが、協定ができれば、もう少しよけい入れてもいいじゃないか、必要量を満たしてもいいじゃないかというふうに考えておるわけでございます。  そこで、第三の半分使わさなければ云々、使わなければならないということではないのでありまして、これは御承知ように、大ワクは双方で協定することになっております。従って、私といたしましては、今年議会の各委員会等の御要望もありまする通り、私自身といたしましても、二百億の中の三十億の土地改良というだけが非常にいろいろ御批判の対象になっておりまするし、私自身といたしましても、少くとも輸入いたしまする余剰農産物の金額の半分くらいのものは、直接間接にわが国の農村に裨益するようなものにその金を使いたい、こう考えておるので、そう話をしたのでございます。  第四番目に、十二月、年末に大臣をやめるということは、そういうふうに話をしたのではないのでございまして、これは誤解でございます。
  34. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 簡単に……。ただいまの農林大臣の御答弁の中に、来年度余剰農産物輸入する場合に大豆も入ると、大豆予定にされるやに今言われました。これは非常に重大な問題になると思うのです。アメリカ大豆は非常な豊作で、過剰だそうであります。現在中国からの大豆輸入が難航しておるのですが、話に聞きますと、それはアメリカから大商社が大豆輸入するために、中国からの大豆輸入をチェックしよう、こういう動きがあるやに聞いておる。ただいまの河野農林大臣お話で初めてその様子がわかってきたように思うのですが、来年度余剰農産物輸入の際に大豆も入るという、そういう予定があるということですが、それは果してそういう計画になっておるのですか、どうですか、その点はっきりお伺いしたい。
  35. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知通り中共大豆は、従来、アメリカ大豆に比べて、非常に割高であったことは、御承知通りであります。しかも、そういうことで中共大豆輸入いたしますのにいろいろ困難な事情がありましたので、今回の処置も通産省でとられたことと私は思うのであります。御承知通りに、大豆は年間六、七十万トン入り用でございますので、これを全部中共にするとか全部アメリカにするとかいうようなことは、結論においてあり得べからざることでありまして、現在の情勢から考えて、私は今年も実は大豆輸入余剰農産物として取り扱いたいという希望があったようでございますが、これはたまたまアメリカの方にその品物がなかったために、大豆をその品目の中に入れることができなかったよう事情がございますので、期年はぜひ私は、入れるならば、大豆は優先的に入れる方がよろしいのではないか、こう考えておりますが、これは目下検討中でございます。
  36. 館哲二

    委員長館哲二君) 小林政夫君の昨日の御質問に対する林法制局長官答弁について、小林政夫君から御質疑があるようでありますから、所属会派の持ち時間のうちでお許しをいたします。
  37. 小林政夫

    ○小林政夫君 昨日、最後に林長官から補足説明があったわけでありますが、例の首班指名の選挙方法についてどうもただ絶対過半数ということを確保するのには憲法の改正を要する、しかし過半数の指名を得なければならぬということについては、衆議院規則の改正のみで足りる、この点がはっきりしておらないので、その点について重ねて林長官の見解を求めます。
  38. 林修三

    政府委員(林修三君) お答え申し上げます。御承知ように、内閣総理大臣の指名は、憲法の規定によりまして、国会の議決によって指名することになっております。その国会の議決は、御承知ように、憲法五十六条二項から申しまして、出席議員の過半数でこれを決する、こういうことでございます。従いまして、いわゆる各院の議決そのものは出席議員の過半数ということできめるべきものだと思います。ただ、その議決に至るまでの過程において、いわゆる指名されるべき人の投票でございますが、この手続は現在、厳密にいいますと、この国会法なり各院の規則は最後の議決と投票の手続を区別して考えておるわけでございまして、その投票手続が各院の規則に書いてあります。現行の規則で申しますと、まず指名さるべき人の投票を行なって、そのうちの一人が過半数を得ない場合には、さらに上位二人についての決戦投票を行う。それで過半数を得た人が指名される、指名の議決を受ける、こういう観念できております。その過程におきまして、今お尋ねのいわゆる決戦投票をやめる方法はできないかというお話でございます。これは現在いわゆる国会の議決に至るその指名の手続の一環でございますから、議事規則の改正でできないことはない。政治的な当否いかんは、これは別問題でございますが、決戦投票をやめて、何回でも最初の候補者について、その人が過半数を得るまでやるということは、これはできないことではないのじゃないかと私は思います。ただ、昨日仰せのように、その一人がいわゆる定数の過半数、衆議院でいえば二百三十三名以上、こういう数をとらなければ指名されないということは、これは議決そのものではないので、多少疑義はございますけれども、やはり憲法五十六条二項の趣旨からいってゆけるのではないか。こういう趣旨でお答え申し上げたのであります。
  39. 小林政夫

    ○小林政夫君 まあ林長官は政治的な考慮をせずに、現憲法及び法規の範囲において御答弁願えばいいわけでありますが、できないことはないのじゃないかと思うというような、少したよりないような言い方ですが、とにかく、できるわけですね。衆議院規則十八条の改正により、指名選挙の際には過半数を獲得しなければ指名はされなかったものとする。すなわち指名選挙の要件としては、過半数でなくちゃならぬ、決選投票という比較多数ではいけないというやり方について、改正しようと思えばただ衆議院規則の改正で足りる。私も実はいろいろ研究してみて、意外であったのであります。そういうことがただ衆議院規則の改正だけでやれるということについては、意外であったのでありますが、結論としてはそういうことになるので、再度確かめて……、御答弁は簡単に、できますということだけを御答弁願います。
  40. 林修三

    政府委員(林修三君) 今おっしゃいました衆議院規則の十八条の中の、いわゆる第一回の投票で過半数を得た者がない場合には決選投票にするという規定を削除するという手続だけでできます。すなわち、決選投票の方式によらないということは、法律的にできると考えます。
  41. 小林政夫

    ○小林政夫君 総理大臣、お聞きの通りでありまして、私昨日用語として絶対過半数ということを申し上げたのは、衆議院の過半数の指名を得るということは、実際の状態においては、おおむね衆議院の過半数、絶対過半数の賛同も得られておるであろう、こういう現実の今までの過去の経緯から考えて、そのときに欠席者等がおりまして、実際の投票した人は、今の現勢力でいうならば、二百三十四名以下であるかもしれないけれども、その日その信任投票をやった人は実質的には二百三十四名以上であろう、過半数の信任投票を得たならば……こういう意味であります。従って、私は衆議院規則の改正だけで、昨日申し上げたような、一たび内閣が成立したならば、衆議院の絶対過半数の支持を得ておる内閣だということだけにはならないのだ。同時に、政治慣行を伴わなければならぬ。この投票も即儀礼的あるいは形式的投票でなくて、投票する人も信任をこめた投票に意味づけるということと、同時に、指名を受けた、首班の指名を受けた者も、実際に自分に指名選挙で一票をくれた人が、実際にそのときの衆議院勢力から見て絶対過半数ではない、こういう場合には、みずから辞退すべきだと、こういう政治慣行を確立して、その制度の改正と同時に、政治慣行の確立によって、一たび内閣が成立したならば十分その施策が行える、行えなくなったときには総辞職をするのだと、こういう……。今のような比較多数党でもって、どこに一体責任の主体があるのかわからないような政治の混迷というか停滞、これを防ぐのには、それ以外に方法はなかろう、こういう意味で申し上げたわけでありまして、御了解願えましたかどうか、重ねて総理大臣にお伺いします。
  42. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は、少し小林さんの考え方の根柢に、何かそういうような憲法の改正が必要であるか、あるいは衆議院規則の改正だけで目的が達成できるかというようなことは、伺っておるだけでは私は判断がつきませんが、あなたのように、規則の改正だけで現在の政局の不安定を除くような方法ができるということが、どうも腑に落ちないのです。そんなうまい方法が果してできるものかと思っておるのであります。実際においては、まあアメリカの大統領の選挙のように、だんだんと候補者同士争ってゆきまして、そうして選挙をたびたびする間に、スタッセンもアイゼンハワーの方に合流するというような形で、合流すればスタッセンもアイゼンハワーのために働くというような形に途中でなってゆきます。ああいうような方法が日本でも規則の改正でうまくゆけば、これほど便宜な方法はないと思うのです。そういうような方法があるようなことを初めて伺いましたから、これから検討をしてみたいというよう希望を持ったのであります。
  43. 小林政夫

    ○小林政夫君 全く、私も最初申し上げたように、検討してみて意外であったのでありまして、衆議院規則という規則だけの改正でそういう結果が期待できる。今法制局長官もできると言っておる、法的にはですよ。だから、同時に、法律とか規則の改正だけで肉づけば必ずしもできぬかもしらぬから、十分政治慣行とあわせて、しかし第一次としてはその規則の改正もしておく必要がある、こういうことであります。内閣が生れるまでに十分——現在あなた方が苦労しておられる保守合同とか何とかいう政局安定のための苦労を内閣成立前におやりになって、一たび内閣ができたらすっきりした形でやっていく、こういうふうにするためには、今の規則の改正と同時に、政治慣行の確立ということで行けると私は思います。御研究をわずらわしたい。
  44. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 承知いたしました。
  45. 羽生三七

    ○羽生三七君 最初に国際情勢の問題からお尋ねしたいと思います。鳩山内閣が日ソ交渉のために道を開いたことは、国際緊張緩和のために私は非常にけっこうだと思います。人によってはいろいろ論評がありますが、私はきわめて時宜を得たものとして、この点は歓迎をいたします。   〔委員長退席、理事池田宇右衞門君   着席〕  そこでこの日ソ交渉問題について、今日論評を加えるのはいささか早計だと思いますので、内容的な問題には全然触れる意思はありませんが、政府の態度そのものについて二、三お伺いしたいのであります。  そこで首相にお伺いしたい最初のことは、保守合同の政策協定の議題の中に、日ソ交渉というものが含まれておるのかどうか、この点をまずお伺いいたします。
  46. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 自由党と民主党とが保守合同を目途として政策の協定を現在やりつつありますが、どういうように会議が進行しておるかということは、私聞いておりませんので存じませんが、あなたの御心配になっておるような日ソの交渉の問題は、当然に政策協定の中に含まれておるものと思います。何となれば、現内閣は日ソの交渉を非常に重夫問題として扱っておりまするから、この問題について、この問題を除外して政策の協定はあり得ないと思っております。
  47. 羽生三七

    ○羽生三七君 もしそうであるとすると、この鳩山内閣の対ソ交渉方針は、保守合同とのにらみ合せで将来制約を受けることにはならないのでありますか、この点いかがでありますか。
  48. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 制約を受けることはないと思います。
  49. 羽生三七

    ○羽生三七君 私は、首相が制約を受けることがないと確信をお持ちになるならば、これは私非常に——また確信をお持ちになっておやりになるならば非常にけっこうだと思っております。ところが実際には、昨日もどなたかもお話しになりましたが、民主党の外交の長老、あるいは自由党の方が外交問題に関する日ソ交渉促進ですか、貫徹ですね、日本の立場を貫徹する国民大会なんかを開いておりますが、実際にはこれは交渉がつぶれた方がいいと期待しての大会だというふうに聞いておるのです。そういう向きがある。実際には鳩山首相が日ソ交渉を成功させたくとも、中にはむしろ成功しないことを期待しておるのが、実は保守合同の動きの中に看取されるのです。そういう意味から私は、首相がこの問題に、保守合同話し合いの過程で日ソ交渉に拘束されることがないという確信があるならば非常にけっこうだと思いますが、そこで昨日も同僚左藤議員が御質問になったように、ロンドン河野農相を回されるということも、これは私は政府の外交交渉としてほんとうの確信のない証拠だと思います。これはうしろ向きで松本全権がものを言わなければならぬ、うしろをしょっちゅう気にして言わなければならぬ、こういう態度は外交交渉としては一番まずい格好である。もちろん鳩山首相は保守合同の過程にやめるのではないから、そういう事態は起りはしないが、これを心配しながら松本全権がソ連にものを言っておって、これはちゃんとした外交ができるはずはないです。だからそういう意味で私はもっと確信を持って、保守合同の過程に、もし自由党が政策協定で非常にむずかしいということがあるならば、あなたはそれをお断わりになって、むしろ民主環から左よりで社会党に協力を求められたらどうですか。それはけっこうできます、この問題に関する限りでありますよ。他の問題は別として、この問題に関する限りできるのです。というのは、もうちょっと理屈になりますが、あなたは憲法改正問題は日ソ交渉とバランスをとっておられる。保守合同の中でそういうふうに感じられる。だから重要な問題は、国内問題に関する憲法改正とかあるいは国防会議とか、そういう問題は、三月や半年たな上げしても日本の命に別条はないのです。だからしばらくたな上げして、自由党がむずかしければ、民主党から左寄りの面で、政府はそして日ソ交渉を達成するという強い確信を持ったらどうですか。ヨーロッパにおいては、ときどき右より左寄りで、客観情勢の変化で外交をやってゆくことがある。私は、他の問題はいざ知らず、この問題に関してはこういうふうにお考えになったらどうですか。
  50. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は、日ソ交渉についてのみならず、憲法改正についても社会党の御協力を得てやってゆきたいと考えております。社会党と憲法改正についてもよく話をすれば——社会党はどうして反対するか私にはわからないのです。私は憲法改正をして日本の軍閥の再建をこいねがっておるわけではありませんし、また憲法九条を改正いたしましても、自衛の目的以外は、国際紛争を解決するために軍隊を持ちたいと思っていないのでありますから、現在のことについても、考え方としては同じことなんですから、憲法の改正についても、社会党と分れて新しい憲法を作るということは非常に日本のために嘆わしいと思っております。いわんや日ソの交渉についても社会党の協力を得たいと考えておりますけれども、自由党との間に、日ソの交渉について私は懸隔があり得ないと思うのです。私は自由党の総裁緒方君に会いましたとき、君が日ソ交渉について心配をしておるということは、米国関係と共産党の日本に対する宣伝力というか、その二つのことを心配されておるのであろうが、それについて心配する必要は少しもないではないか、というような話をしたことがあります。緒方君も決して日ソ交渉の成功を欲していないというようなことは断じてないと冠は考えておりますので、この点についても、自由党との合同の支障になるかというようなことは私考えていないのであります。
  51. 羽生三七

    ○羽生三七君 憲法改正のことは社会党に御相談を受けても困るので、これはお断わりいたしますが、この問題は別として、今申し上げたようなことは、イデオロギーで言っているわけではないので、これは首相がよく言われる思想は思想、外交は外交という立場で言っているわけです。そこで次にお尋ねしたいことは、目下開会中の四カ国巨頭会談において、情報によると、ソ連がアジア問題の討議を新たに提唱したという報道もあるのです。かつ、今、目下ロンドンに滞在中のインドのメノン国連代表が、政府の意向を持って日本代表を含む新しいアジア会議の開催を提案するように四巨頭会談に持ち込むであろうとの報道も伝わっております。それから昨日は、目下来日中のビルマのウ・ヌー首相は、記者団との会見の席で、アジア問題の解決は国際会議がよろしいと語っているのです。そういう四カ国巨頭会談機会に、やはりヨーロッパの問題だけでなしに、極東問題にしても何らかの解決をしなければならぬという新しい気配が動いておるのです。また重光外相も先日の外務委員会で、今回の四カ国巨頭会談とは別に極東問題の討議が行われる機会があるのではないか、外務省はそれに備えて準備しなければならぬとおっしゃっているのです。そこでこの際、日本政府もアジア問題の平和的な解決のために、積極的に日本を含むアジア関係各国の会議を提唱してはどうか。しかも時期的には四カ国巨頭会議の今日がまことによろしい。方法はどういうふうなケースでいくか、それは政府がお考えになっておられるでしょうが、これに関しては首相、外相それぞれから御見解を承わりたいと思います。
  52. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 冷戦の影響はわが国に深刻に関係しておるのであります。それでありまするから、冷戦に終止符がつけられる企てに対しては、わが国も非常に協力をしなくてはならないと考えております。ただその時期は、ただいまの四巨頭会談の進行を待って、そうしてこういうようなことを、あなたの言葉をもっていえば提唱するとかいうことでありますが、機会を見て、東洋においての冷戦の終止符を作るためにやはり四巨頭会談の会議が延長されていく、日本もこれに協力をしたいという希望は非常に熱烈に持っておる次第であります。
  53. 重光葵

    国務大臣重光葵君) ただいまお示しの御趣旨は、私は日本の対外関係上非常に大きな意議を持っておることだと、こう考えます。ただ特別のアジア会議を提唱するという、まだそこまで私は考えてはおりません。おりませんが、さような御趣旨によって、今後の四国会議後の発展等を見まして、もし必要ならば時期を失せず処理いたしたいと、こう考えております。
  54. 羽生三七

    ○羽生三七君 これについては、もっと政府も積極的にお考えになることを希望するわけであります。というのは、もう世界のあらゆる政治家が身を挺して、やっぱし国際問題の打開のために動いておるのです。(「その通り」と呼ぶ者あり)首相はたまたま健康を害されておるので、多大な要求をすることは無理でありますが、しかし何らかの方法をもってやるならば、その意思表示の機会は至るところにあると思うので、さらに今の問題は十分考究されて、すみやかに成案を得られることを希望して次の質問に移ります。  次の問題は、対外債務の支払いに関する問題でありますが、御承知ように、さきにビルマとの賠償協定が成立をして、今フィリピンとの協定が問題になっておるわけであります。さらにまた、現在この外務委員会では、タイの特別円に関する協定を目下審議中であります。さらに今後これに引き続いて、御承知ようにインドネシアの賠償、さらにまたガリオア等、いわゆる対米債務の問題があり、そのほかにもまだ若干の案件があって、関係各国が、もう競って日本に何らかの請求をしてくるのが今の現状ではないかと思います。そこで、これから対外債務を支払っていく場合に、この一兆円予算というワクの問題は一応別としましても、わが国のこの経済力に関連して、私は一応の限界があると思うのであります。この国の経済力、予算規模等を見ますと、無制限の支払いということは私には考えられない。そこで、その支払いの方法として二つあると思うのであります。一つは、わが国の経済力とか何とかと若干の関連はあるでありましょうが、その一国々々の要求に応じて問題を処理していく、もう一つの方法は、わが国の国力を一応想定して、わが国の経済力の範囲で国民生活との関連を考えながら、そして、対外債務として支払い得る限界を設定して、その限度内において各国に対する債務のウエートを勘案しながら、総合的な対策の一環として、相手国一国一国に交渉するという方式と二つがあると思うのであります。そこで私は、今のこの日本の貧しいこの経済の現状においては、かくも莫大な対外債務が毎年累債し、しかもその支払いが——これはあとから機会があれば申し上げますが、この予算の中で非常な大きなウエートを占めるということになってくるならば、国民生活に与える影響も非常に甚大でありますので、この際何らかの対外債務支払いの総合的な対策を政府がすみやかに立案する必要があると思いますが、これに対して何らかのお考えがありましたならば、これは一つ外務大臣からお伺いをいたしたいと思います。
  55. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 日本の戦敗によって負いました対外債務の処理、これは対外的に見ますというと非常に重要な問題になります。それがそれぞれの国々との間における平和関係の樹立の前提にもなる場合もございますし、少くとも日本が今日最本重視しなければならぬ対外経済発展のこれは一つの大きな布石ともなるものでございます。従いまして対外債務の処理を適当にいたしまして、国際的に日本の信用を高めるということは、これは非常に重要な戦後の外交の最も大きな部分だと、こう考えております。従いまして、これはぜひ解決をいたさなければなりません。しかしながらお話通りに、これは日本の今日の財政経済上の制約がございます。そこで対外的には、大体これは一国々々と交渉をするよりほかに道がございません。みんなを集めて一堂に会してやるというやり方は、これはまず考えられません。しかしながら対内的にはこの問題は全部の日本の国力、経済力等を総合して、全部のことを総合した計画のもとに立案されなければ、私はこれは効果的でない、またいかない、こう思うのでございます。そこでむろん、この問題につきましては、内閣全部として責任を持たなければなりません。またそうやっているわけでございます。しかし、私はこの問題の処理に当って、どうしてもこれは一つ最も関係のある閣僚の十分な協力がなければこれはできることじゃございませんから、その関係の最も密接な関係をこの問題に持つ閣僚の間において十分意思を疎通して、そうして総合的な計画を立てる必要があると考えております。その考え方を持って私はこの問題の処理に当り、今後は一そうこれを具体化していくよう一つ相談をしていきたいと、こう思っているのでございます。特別に、賠償のために一つの特別の機関をこしらえる——前にはあったようでございますが、むしろその機構を複雑にするよりも、今ある機構を最も能率的に動かして円滑に協力関係を進めていくという方がむしろいいのじゃないかと、こういうふうに今のところは考えている次第でございます。そういう考案を持って進めたいと今のところは考えていることを申し上げておきたいと思います。
  56. 羽生三七

    ○羽生三七君 今の外相の御答弁である程度の考え方はわかってきましたが、先ほどもちょと触れたように、今の——その前にちょっと申し上げておきますが、一堂に関係各国を集めてということは、それは外相の受け取り方が違うので、日本の総合対策を立てて、その範囲内でこのことはどの程度まで適当か、そういう交渉をやるという意味でございます。  そこで次に大蔵大臣関連してお伺いいたしたいことは、この対外債務を、まあフィリピンもインドネシアもガリオアもきまっていないのに変でございますが、新聞等に伝えられるところを総合して、およそ常識的に総合すると、対外債務の年間支払額は三百数十億円に上ると言われ、あるいはまた、これはあとから予算の際にお伺いいたしますが、この内政質については、減税が平年度化すれば六百五十億円ぐらい減税になると言われている。もっとも国民所得の自然増ということもありますから、一がいには予算規模、財政収入の点は言えませんが、とにかくそういうことで出る方と入る方とでは、極端にいえば差引一千億というものが、すなわち本年度差が出てくるという説さへあるのであります。どうもそういうときに、今も外務大臣からお話がありましたように、何らかこれはもう大蔵省としても、この対外債務に関する支払いの方法で積極的な対策を立てられないと、必ずこれは将来民生費に非常な食い込みをするということになりますので、この対外債務の支払いに関する総合対策として、今の外務大臣と同じように何か総合的な対策を御検討する意思があるかどうか。これを関連して大蔵大臣お尋ねをいたします。
  57. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) ただいまの御意見はごもっともであるのであります。大蔵省としても、そういう見地に立ちまして今後考えていきたいと思っておるのであります。ただ、私がこの機会に申し上げておきたいのは、今日の日本においての経済力というものが非常に自分の自力の上に立っておるのではないということをよほどよく注意を喚起いたしたいのであります。ですから、これは今いかにも日本の経済がいいかのようにありますが、たとえば国民の税負担にしても、なかなか外国と比べれば非常に大きい。それから国際収支にしても、いい、いいと言いますが、なお今日アメリカの特需というものにどうしても年間五億ドルくらい依存しなくては収支がとれないのであります。従いまして今日のやはり情勢は、むろん国民の非常な苦しい生活状態と、他面アメリカの援助によってささえられておるなお現状です。ですからこの日本の経済の力をもって、すぐに何か海外において大きな支払い能力があるかのように錯覚をしない——これからこそこういう援助も減り、自力でありながらしかも新しい支払いが開始されていく、あるいは古い支払いも開始されていく、こういうことであるのであります。同時に国民生活についても考慮を加えていかなくちゃならぬ。ですから私は今後の問題について非常に慎重に、同時にまた、しかし、賠償というようなものについては可及的すみやかに解決をいたすべきでありますが、あまり問題を急ぐのあまり、国民負担に重大な影響を与えるというようなことは私としてもよく避けなければいけない、そういうふうな見地に立ちつつ今後一体どういうふうにやっていくかということについて、根本的に考えていこうと今そういう作業をさせておるのであります。
  58. 羽生三七

    ○羽生三七君 これは外相とあなたの御答弁は大体似たようですけれども、私は本質的に相当違って計ると思うのです。それはあなたは内政第一主義ですから、そういう意見が出てくるのは無理もないですが、しかしとにかく東南アジアその他に日本は戦争で迷惑をかけているのだから解決しなければならない。だからそのことの必要性はあなたも認めていると思う。そういう論はアメリカ依存、特需依存しており、半面においては防衛費も増額しながら、あるいは民生費を削りながら、さて対外債務の方はということでなしに、とにかくやはりそれらも含めて、いわゆる各国の賠償全部含めて日本の経済力と勘案しての総会対策が必要であるということを私は申し上げておるのです。これはあとの機会にもう一度お尋ねしますから次に回して、次にガリオア等のいわゆる対米債務について、その後の進行状況をお伺いしたいのであります。実はこの問題は私は昨年自由党内閣のときにお伺いをしたのでありますが、その内容に入る前に、今どういう段階にあるか、それを承わりましてから内容に入りたいと思います。今どういう段階にあるかという段階を承わって、それから内容に入ります。
  59. 重光葵

    国務大臣重光葵君) それではガリオアの処理の問題についてお答えをいたします。このガリオア処理の問題につきましては、昨年日米間に会談を行なったのでありますが、その後、これはまあ自由党の内閣のときからやっておるのであります。内閣の交代後においても会談は続けておりました。政府は近く交渉再開の予定でございますが、現在のところ双方の主張の間になお相当の開きがございますので、妥結に至るまでにはさらに時間を要することと予定されております。最近在京米国大使館からガリオア処理促進に関し通報がございました。政府としてはそれを検討いたすということを答えておいたわけでございます。そこで関係省との間に打ち合せをしてこの問題も促進したいと、こう考えております。
  60. 羽生三七

    ○羽生三七君 そうすると、アメリカからこの問題について通報があったということは事実でありますから、もう近日これは討議の対象になるわけでありますが、そこでお尋ねしたいことは、先方からの要求額はどの程度になっておるか。これは必ずしも大臣でなくてよろしゅうございます。それからこれは一つ一つメモしておいていただきます。どなたか、大蔵省と外務省とこれはどちらですか——メモしてお答え願いたいと思います。  一つ先方からの要求額はどの程度か。何を基準に計算をされておるかということですね。昨年私がお尋ねした際に、こういうことがあるのですね。「この債務は、一九四五年九月二日から対日平和条約が発効した一九五二年四月二十八日までの間、日本が受取った原料、物資その他の援助と」いわれるものであります。これはわが方の見返り資金積み立て以前のものはこれは日本に資料が何もない。で、米国の一方的な記帳で請求を受けておるのです。それらを総合して昨年日本に要求されたものが大体あれは二十億四千万ドルだったかと思いますが、その後最近は五億九千万ドルの線が出たとか、六億の線とかいろいろ言われておりますが、その辺少し詳しく御説明願いたいと思います。
  61. 千葉皓

    政府委員(千葉皓君) お答え申し上げます。ガリオアイロア援助として日本が終戦後援助を受けました額は大体二十億ということでありました。この大体二十億の数字につきましては、ただいま羽生委員からお話がございましたように、必ずしも全部の資料がわが方にありません。一部占領時代に司令部の持っておりました資料をわが方にもらい受けまして、それについて検討いたしております。援助額の大体二十億という数字については、わが方の調査の結果も大体これは一致しております。なおその後いろいろ交渉がございました。その間にまあ七億とかいろいろ数字がございました。それはまだ検討中のことでございまして、何ら最後の債務額については相互に一致したものがございません。
  62. 羽生三七

    ○羽生三七君 これはある程度正確にお答え願いたいと思うのですが、これは去年自由党内閣のときも緒方副総理、それから岡崎外務大臣、それから小笠原大蔵大臣等がそれぞれかなりの答えをしておるのであります。一年前の話でありますから相当正確にお答えを願いたいと思うのです。  それからその次にお伺いしたいことは、日本が終戦処理費として毎年アメリカに支払ったものの総計は五千二百億であります。これは毎年私たちが数年前まで予算に組んできたものの総計が五千二百億である。この日本が終戦処理費として支払ったものが話し合いの場合の材料になったかどうか。アメリカとして日本に要求しておるものは、こういうものを勘案して今いう六億ドルなり七億ドルという線が出てきたのか、これは討議の対象にしたかどうか。これは前の岡崎外相もそれから小笠原大蔵大臣も、これはやはり占領費は占領費、債務債務ではあるが、しかし日本国民の税金で五千二百億支払ってきたのであるから、これは十分相手方の理解を得るようにしたいという発言をしておりますが、これをやはり協議の中でやってそれで六億なり七億の線が出てきたのか、その辺お答え願います。
  63. 千葉皓

    政府委員(千葉皓君) お答え申し上げます。終戦処理費といたしましてわが方として負担いたしました金額につきましては、講和条約の規定によって日本政府は放棄をいたしております。このガリオア交渉については、理論上これを引用することはできないと考えます。
  64. 羽生三七

    ○羽生三七君 だから理論上借りたものは借りたもの、返すものは返すものであるから、そうでなしに政治的な問題として十分話し合いたいというのが、自由党内閣時代の大臣発言だったのです。私はそれを言っているのです。だからそんなことを引用してどうかということじゃない。この問題、どうですか、外務大臣
  65. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私はその自由党時代のなには存じませんが、それは当然そうやらなければならぬことだと思います。これは講和条約の十九条によって、放棄したということになっておることは、これは争えぬことです。そこで権利としては要求はできますまい。しかしながらお話通り終戦後の複雑な日本の国状から見ても、それだけの便宜をしたのでありますから、それは十分にそれを説明して向うの了解を得る、それ以上には十分なし得るとこう考えますから、私も同じようにそうやる意向を持っております。
  66. 羽生三七

    ○羽生三七君 実はこの問題を十分やっておるというと私のいただいておる時間が済んでしまうので、ほんとうに要点だけを申し上げていくわけでありますが、非常にこれは問題を含んでおるのです、このガリオア債務というものは。そこでこれは質問ということになるか、ちょっとこの際やはり総理大臣にも関係閣僚にも注意を喚起する意味で私申し上げておきたいと思うことは、国会アメリカからの援助に感謝決議をもう何べんもやったわけです、これは援助であったと期待していたわけです。それで感謝決議を何回もやったが、しかし払うものは払わなければならぬが、ともかくこれは反米とは何も関係なしにやっているわけです。それは誤解のないように願いますが、それで国民は当時の配給食糧に金を払ったのです。全部国民は払った。だから国と国との問題でアメリカ債務を、ガリオア債務を払うということは、これは国際間の信義からいえばもちろん制約を受けることはありましょう。しかし国民からいえば国民は全部支払っておるのですよ、配給を受けた食糧代というのを。今度も国民の税金で払うと二重払いになる、国民からいうと。もう一つは、これと関連してぜひ御承知おき願いたいことは、こういうことがあるのですね。この対日援助資金は御承知ように対日援助見返り資金特別会計というものを作ったわけです。その総額は三千六十九億円になっている。この中で使った金は債務償還に一千百十八億円、それから公企業投資に八百八十四億円、それから私企業投資に一千六十七億円計三千六十九億円というものをこれを対日援助見返り資金特別会計で処理しておる。そうすると国民に売った食糧代を積み立ててそれが三千何十億円になって、その金で私企業投資あるいはその他に回されたわけです。その総計が三千何十億になっておる。だからその金はもちろん開銀に受け継がれております。その後その処理はどうなっておるか、私はよく聞いておりませんが、だから支払う場合には、ガリオアを返済する場合にはよほど政府は対内問題として——国際問題は別個の信義というものがありますから別でありましょうが、国内的の問題としては今いうよう国民からいえば、もうすでにその食糧代を払っておる。もう一つは、今申しましたように、その積み立てた対日見返り資金特別会計から私企業なんかにたくさんな投資をしている。その金は開銀に受け継がれておる。これを税金で支払う場合にだれからも同じように取り立てるということになると、対内的には相当不公平な問題が起ると思う。だからこの前小笠原大蔵大臣は、私の質問に答えて、それは将来の問題であるから対外、対内区別しなければならないが、対内問題として慎重に検討を要するものと思うと答えておる。私は質問ではありませんが、この機会政府として十分このガリオアの問題の処理というものは非常に重要な問題であるいうことを申し上げておきます。請求権は五千二百億放棄したかもしれませんけれども国民の税金で五千二百億終戦処理費で払っておるのでありますから、これらを相手の了解を得てアメリカ日本経済の援助をするというなら、兵器なんか払い下げてくれるよりも、むしろこういうガリオアなんかで大国の襟度を示して日本の経済に役立つ方に生かしてもらいたいと思います。そのために総理大臣外務大臣大蔵大臣とが積極的な熱意をもっておやり願いたい。七億万ドルということは大へんなことであります。ビルマがそうであり、インドネシアもそうであり、フイリピンもそう、またこのガリオア——大へんなことになると思いますから、私はこの機会政府の注意を喚起したいと思いますが、総理大臣、どういうふうにお考えになりますか。
  67. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) あなたの御意見を尊重しまして、できるだけガリオア問題も向うと話し合いをしたいと思っております。
  68. 羽生三七

    ○羽生三七君 これは先ほど申し上げたように非常にこまかいことになるので、私は時間がもし余ったらこの問題に戻りますが、ガリオア問題は——先ほどの向うから政府に正式に要求されている金額はどの程度か。別に秘密にされることもないと思うが……。
  69. 千葉皓

    政府委員(千葉皓君) 先方から要求した金額は、まだ交渉中でございますので公表は差し控えたいと思います。
  70. 羽生三七

    ○羽生三七君 大体六、七億ドルのところだろうと思いますけれども、これは先ほど申し上げましたように、あとから時間があったらもう一度そこに戻ります。  次に、総理大臣に行政協定の問題でお尋ねをいたします。実はこの問題は外務大臣にはしばしばお尋ねをしましたので、総理大臣の見解を承わりたいのでありますが、毎年御承知よう予算編成のつど、防衛分担金の問題で必ず日米間でいろいろ問題が起る。それで本年度の予算の編成がおくれて議会もおくれたことも、またこの防衛分担金の削減問題にからんでおる。だから日本に予算の自主性がないとかあるとかという問題が出てくる。この防衛分担金の問題は非常に大きな問題だと思ふ。そこでこの問題を解決するには今一億五千五百万ドルと行政協定二十五条できまっておりますが、これは米軍がこれをきめるときの考え方は、数で私は一億五千五百万ドルをきめたと思う。ところがこの間同僚木村議員が予算委員会で討論のときに言われたように、米軍は当時より半分よりちょっと多いくらいになっていると思う。ほかに空軍がありますから一がいに言えませんが、やはり防衛分担金を削減してもらう時期が来ていると思う。それには行政協定二十五条を改訂しなければそれはできない。だからまず防衛分担金の削減のために必要な処置として、この二十五条を改訂する御意思があるかどうか、それが一点。   〔理事池田宇右衞門君退席、委員長着席〕  その次に御承知ように本会議でもしばしば同僚議員から緊急質問があり、またこの委員会でもきょうおそらくあとから他の議員から質問されると思いますが、飛行場等基地拡張の問題も、全国至る所に問題が起っている。これを一つ一つ解決することは、私はなかなか容易ならざるわざと思いますが、これは、行政協定三条から来ている。これはもうこの問題をやはり解決しないと、この飛行場の基地問題等も十分な解決はできない。これが第二の問題であります。これは飛行場等基地拡張の問題が行政協定第三条です。それから第十八条の3というのがある。これは補償の問題ですが、これはどういうことかと言いますと、これはこの間総理大臣も御承知だと思いますが、東海道でアメリカのガソリン・トラックと日本の列車が衝突して、列車が焼けて大へんな犠牲者を出した。そして、何千万、の損害といわれている。ところが、その後これは解決したという説もありますけれども、少くとも五月三十一日、私が質問するまではこの問題は解決していないのですが、これはアメリカは、国鉄のことでありますから、国鉄公社は政府機関である。だから、行政協定第十八条の3は政府関係機関は損害補償は要らないのですよ。だから損害補償する必要がないということで、損害を払わわなくなってきた。去年の夏まではアメリカはそういう種類の損害はみな払ってきておる。ところが、去年の夏ごろから、こういうものは払わなくなっておる件数が三十二件に及んでおる。これは十八条の3の補償の問題であります。こういうように行政協定を見てきますと、今の防衛分担金の二十五条、それから飛行場等基地の問題に関する三条、それから損害補償に関する十八条3というように、問題が累積をしている。それで、私は先ほど申し上げましたように、これはイデオロギーで、反米とかいうことでこういうことを言っておるのではないので、まじめな問題として政府がこの解決に努力をしないと、これは政府がお考えになるような対米感情には国民はならぬと思う。しかも、聞くところによると、アメリカの中にも、やはり、これは何らか再検討する時期にあるのだ、その方が日米間のためによくないかという説すら出て、その動きがあるやに聞いております。だから、真剣にこの問題に政府が破り組まれて、行政協定の改訂をおやりになってはどうか。自由党内閣のときに、裁判管轄権の問題を行政協定の方で改訂しております。だから二十八条には、問題が起ったときには双方で協議するときめてありますから、二十八条の規定に基いてすみやかに交渉を開いて、しかも、重光外相が訪米されるよう機会があるならば、こういう問題についても、日本の立場を積極的に訴えられるということが、私は非常に価値ある問題だと思うのですが、先に一つ総理大臣から御意見を承わって、それから外相の御見解を承わりたい。
  71. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) ただいま御質問中に、私がよく知らないようなことがずいぶんありましたのですが、とにかく分担金の減額についても、定期的にアメリカと相談をするというように記憶しておるのでありますから、つまり、予算を作るたびごとに分担金の減額はアメリカ交渉をするというような規定になっておるように記憶しておるのでありますが、別にそれで差しつかえないと思っておるのであります。  それから国鉄の電車の衝突の問題は、これはとにかくまだ話し合いがついていないと思います。とにかく日本の国鉄は政府のものではないというような主張を日本側はしておるはずでありますから、まだ話し合いはついていないと思っておりますが、詳しいことは……。
  72. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私もそういう個々別々の問題については、実は十分にお答えをし得ないかもしれませんが……。
  73. 羽生三七

    ○羽生三七君 総括的でよろしいです。
  74. 重光葵

    国務大臣重光葵君) しかし、今羽生委員から申されました全般の御意見の御趣旨は、私はこれはお話通りに、反米感情が何とかいう問題でなくして、たとえば、親米感情を特に作っていく上においてもお話通り必要だと私は思います。従いまして、私が機会があれば、御趣旨に沿うよう一つ自身として努力をしていきたいと、こういうことを申し上げておきます。
  75. 羽生三七

    ○羽生三七君 じゃ、それで一つ十分御検討おきを願いたい。  それから総理大臣は、今、定期的再検討のことを言われましたが、二十五条の定期的再検討をやっておっても意味がない、条件が変るという再検討でないと。
  76. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 条件が変るわけでしょう、駐留軍が減ったという条件が。
  77. 羽生三七

    ○羽生三七君 それは、あれを基礎にして作ったのが一億五千五百万ドルですから、当然私は変っていいと思います。
  78. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) そうです。私もそう思います。駐留軍が年々減っておりまするから、それに応じて進駐軍のあれですね、分担金を減らしていくのは当然だと思います。
  79. 羽生三七

    ○羽生三七君 だから減らすには二十五条を改訂しないと減らせないのでありますから、それで私、全面的再検討をされたらどうかということを申し上げておるのです。
  80. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) そうですか。
  81. 羽生三七

    ○羽生三七君 そういうわけです。だから御検討を願います。  じゃ続けます。行政協定の問題はこの程度にして、次に明年度予算の編成方針のことで、これはもう簡単な問題でありますが、大蔵大臣の所見だけを確かめておきたいと思います。これは先ほども申し上げましたように、対外債務の支払い、それから御承知の恩給費の増加、減税の平年度化、それから場合によると防衛費が明年度は少しふえるかもしれない。そういうような場合に、一体一兆円予算のワクに必ずしもこだわる必要はないという発言を、この前外務委員会で総理大臣がお答えになっておるし、また当委員会で大蔵大臣がお答えになっていると思うのです。必ずしも一兆円予算のワクにこだわる必要はないと。そこでときに少しはみ出したというようなことに、私は必ずしもこだわる必要はないかと思いますが、一兆円予算を堅持していこうと思うが、諸般の情勢で少しはみ出したということと、積極的にワクをはずして、今申し上げたように、対外債務の問題と、それから減税の問題、あるいは防衛費の増加、恩給費の増加、そういうような問題で、もうこれでは一兆円予算というものは守りきれないのだから、五十億、百億はみ出したというのでなしに、ワクをはずして、五百億、八百億、一兆一千億ということになってもやむを得ないのだと、そういうニユアンスで言われたのか。その辺のところは明年度予算編成の基本問題として、どういうふうにお考えになっているのか。この点だけを一つ大蔵大臣から承わっておきたいと思います。
  82. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これはもう申すまでもありません。財政規模を小さくして、国政の運営ができるとすれば、これはもうこだわることはないのであります。がしかし、今お話ように、明年度の予算につきましては、相当歳出がふえる状況下にあるのも否定し得ません。そこで問題は、一兆とかということよりも、むしろ健全財政はあくまで堅持しなくちゃならぬ、こういうことになると思います。そうしますと、債務が一体どうなるかということを考え、同時にまたいかにして歳入の増収をはかり得るかということは、これまたそう満足をいたすこともできません。で、その辺に明年度の私はやはり予算規模の限界があると、こういうふうに考えておるのでありますが、しかし先ほど御指摘の、いろいろと歳出に増大がありまするが、同時に、しかし増大する方ばかりを増大させて、他を放っておくわけにいきませんですから、本年度にも増して歳出入を十分検討を加えまして、歳出を減らす方面について格段の努力を払いたい、かように考えておるわけであります。従いまして、一兆ということについては私は今考えておりません。いかにして健全財政を——限界は、歳入をどういうふうにして増収し得るかというところに限界があると思います。特にまた明年度は、経済的に見ましても、六カ年計画の第二年度になっておりまして、計画としては、経済の若干の拡大への前進になる年でありますから、これらの点も考慮いたして進んでいきたいと、かように考えております。
  83. 羽生三七

    ○羽生三七君 そうすると、もう一度くどいようでありますが重ねてお尋ねしますが、財政の健全化といいますか、健全方針が貫かれるならば——その考え方にもいろいろありますが、それならば一兆予算にはこだわらぬ、それは一兆五百億になっても八百億になってもいいという意味ですか、そういうふうにもう一度お答え願いたい。
  84. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 明年度につきましては一兆円で押えておいて、そうしてだんだんはみ出る、こういう考えは持っておりません。従いまして一兆ということは、私は、明年度においては頭からそういう数字的なものはとっております。ただしかし今言うたように健全財政ということから限界は当然あることと考えております。
  85. 羽生三七

    ○羽生三七君 これも時間がだいぶ切迫いたしたのであとにしまして、次に農林大臣に若干お伺いします。  農林大臣にお伺いいたしたいことは、今度政府が——私米価問題等はまた何か機会があったらいたしまして、ここで承わりたいことは、今度政府が予約集荷制に移ったのでありますが、政府が今直ちに自由販売を実行する考えは持っておらぬということは、これは私も知っております。しかし近く統制を撤廃する方針であるということは間違いないと私は思う。政府がそういうことはお考えになっておると思うのです。ただ時間の問題だと思うのです。私どもも需給のバランスがとれたとき、均衡しておるときに、コントロールを主張するほどの統制マニヤでもなんでもない。とにかく、しかし現状では、私は食糧事情はコントロールを廃止するような客観的な条件はまだないと思うのであります。成熟しておらぬ。しかし政府がそのうちに統制をはずすことは間違いないと思うのです。農相閣議で軽々にこれは言われぬようにと言ったようですが、それは世論を気にしているだけで、ほんとうは近く統制をはずすという心がまえであろうと思うのです。そういう意味政府なり農相の考え方をぜひ確かめておきたいことは、世界の食糧事情から推して、今後の食糧価格は、世界の食糧価格は下向かいにある。すると今度自由販売になれば、当然水は低いところに流れるのですから、日本の食糧価格というものも低いところにいってしまう。これは当然であります。今の買入価格よりもずっと低いところに行くでしょう、国際相場から見て。この場合に他の物価も同様に下向かいであるならば、これは問題でないのです。ところが他の物価は依然として現在の水準にある。食糧だけはずっと下っていく。そこで自由販売になったという場合に、これは私は日本農業としては、相当大きな問題が起って来ると思う。そこでその場合に食糧の統制撤廃——今のことではありませんが、かりに河野農相として、食糧統制撤廃をお考えになっておるとしたならば、この米麦等は販売というもの、売買のみならず、その価格も自由経済の原則にゆだねるのか、あるいはアメリカでやっておるようなブラナン・プラン——前のブラナン農相であります、今はベンソン氏でありますが、そういう価格支持政策、プライス・サポートをお考えになっているのか。もしお考えにならぬとすると、これは日本農業としては重大な問題が起ると思うのです。だからその点どういうことをお考えになっておるのか。この点一つ農相の基本的な考え方をお示し願いたい。
  86. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 米の将来につきまして、もし自由販売をするようなときがあれば、そのときに価格政策についてはどういうふうに考えるかということだと思うのであります。私は、現内閣としては予約買付制度でこれでやっていくということにきまっておりますことは申し上げるまでもありません。私自身米に統制を撤廃すべきものだという考えを持っておるということは、かねて私は申しておるわけでございます。その際に、私の考えておりまする統制撤廃の際の米価についてはどうかと申しますと、これは世間で間接統制という言葉を使っておりますが、価格統制をやっていくつもりだ。どういうふうにするかといえば、くどいことは申しませんが、御承知通り国内の米麦をもってしては国内の食糧の需要は満たせませんので、当然ある時期までは輸入に依存しなければならぬ。としますれば、この外麦、外米を統制することによって、国内の価格の維持はできるじゃないか。その際には、私は別途考えておりまする農産物の価格はどういう状態に置くべきか、米麦だけでなしに、繭にいたしましても、その他一般の農産物の、主要農産物の価格はどの程度にこれを保持することが妥当であるか、保持の手段、方法につきましては、またこれは別途方策がありまするけれども、農政を運用する上におきまして、どういう目安に価格を置くかということは、まず考えなければならぬことであって、それはどういうふうにするかということについては、近き将来に調査会を作って、その調査会において十分これらの価格のありどころについての検討を願って、そうして日本農政の持っていき方を考えたい。でございますから、米の統制を撤廃するにいたしましても、世界的に米麦価が下落の方向にありましても、それと国内の米麦価とは並行して下っていくというものでは絶対にない。これはわが国農業政策の基本として、価格政策についてはまず十分考えてゆかなければならない。この価格政策を確立するには、どういうふうにしていくかということについては、今申し上げたように手段方法は、いろいろな人によって考えは違いますけれども、これは当然どなたでもこれを放任してよろしいという議論を持っておられる自由販売論者はないと私は考えております。
  87. 羽生三七

    ○羽生三七君 次に、これは簡単なことですが、今度予約集荷制度にした場合に、前の直接供出制度とどういう違いが実体的に起ってくるか、これをお示し願いたいと思う。どういう相違が起ってくるか。
  88. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知通り従来の供出割当制度は、私今ここで申し上げるまでもないような経過をたどって参りまして、すでに今年、前年に引き続きこの制度で参ることはほとんど不可能だったろうと私は思うのであります。もしこれをそのまま移行いたしますれば、天候によって豊作であるとか凶作であるとかいうことは別にいたしまして、平年作を想定いたします場合に、非常なめんどうな問題が各地に続発したろうと思うのでございます。それはどこにあるかと申しますると、その間に介在して、農民に対して供出を義務づけ、もしくは供出を強要するというような気持が、今の客観情勢と合わないのだと私は思うのでございまして、これは占領の行政から、今日すでに一般の経済が自由になっておりまする際に、農民だけがその主たる農作物を義務づけられておるというところに、非常ないろいろの感情が起っておるというふうに考えたのでございます。それが今回は一応政府計画もしくは希望は申すにいたしましても、これに対して農民諸君の協力、団体、個人の協力によって、その割当が円滑に進んでおるということ、もしくは事前に売り渡しをしていただきますのに対して、政府として前渡金その他のいろいろなそれに報いる手段方法を講じておるということ等について、現在相当に事務も進んでおりますが、全国各地比較的御共鳴を受けておるように私は考えております。
  89. 羽生三七

    ○羽生三七君 実はこれはそういうモラルのことを伺ったのじゃないのです。実体的にこの制度にすれば、どれだけ集荷が余分になるかということを承わったのですが、時間がないから次の問題を伺います。  そこで、実はこの委員会の当面の議題であり、この特別会計に関連する問題ですが、この余剰農産物の購入は明年度もやるというよう政府の大部分の方はおっしゃっておる。しかし文部大臣だけは来年度やらないとおっしゃっておるのですが、そういうことは政府部内で統一ができておるのですか。文部大臣は文教委員会でも何回もそういう御発言をなさっておる。どういうふうに政府としては意見が統一されておるのか、お伺いいたします。
  90. 重光葵

    国務大臣重光葵君) この問題は衆議院の予算委員会にも出まして、私御答弁を申し上げましたが、文部大臣の言われたことは結局こうだと私は了承いたします。これは私どももそう了承しておるのでございます。そう御答弁をしておるのでございます。それは本年度の余刺農産物は本年度限りのことであって、来年度の余刺農産物の交渉をやるかやらぬかは別個の問題として考えていくのだ、そうして来年度は果しそれでは余刺農産物の借款をやるかどうかという今度は予想の問題にいきますというと、これは政府といたしましては、来年度も同じようなことをやりたいという意向でこれを進まなければいかぬ、こう考えておるということを申し上げましたのです。文部大臣のお考えは、来年度は来年度のことだということは、少しあまり鮮明になりすぎたのじゃないかと思いますが、どうかそういうふうに御了解を願いたいと思います。
  91. 羽生三七

    ○羽生三七君 どうもそんなことはこまかいことですから、まあどちらでもいいのですが、そこで経審長官に、今度は経済企画庁長官とおっしゃるのですが、お伺いいたしますが、衆議院の予算委員会で来年度継続して受けるかどうかということを質問の場合に、こちらの意向に同意されれば明年度も——こういうお答えをされておるのです。こちらの意向というものは、本年度の購入条件と比較してどういう明年度は差を期待しておるのか、その点をお伺いいたします。
  92. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) その問題につきましては、ただいま各省内の意見をまとめておりますが、大体から申しまして、昨年米を買ったということは、これはよほど日本として考えなければならぬ点があると思いますから、米を除くとか、あるいはものによっては先ほど河野農林大臣が申しましたごとく、飼料のようなもの、えさのようなものを持ってくるとか、そういうことですが、あるいはまたその資金の使途につきましては、これは小さな問題は全部こっちできめますが、大きなワクをきめるに際しまして、こちらの意向もあるのでありますから、そういう点につきましてこちらの希望を申し出たい、こう考えております。それがいれられればやろう、こういう何であります。
  93. 羽生三七

    ○羽生三七君 そこで今経済企画庁長官から米の問題が出ましたが、これはもう来年のことは来年としましても、今交渉されることは絶対に私は米を省かなければいかぬと思うのです。今年のような十万トンをアメリカから買うことはやめなければならぬ。ビルマ首相がアメリカを訪問して、アイゼンハワー大統領がダレス長官か知らんが会ったときに、日本が米を買うということをやめてくれということを訴えておる。しかも十万トンでアメリカが別にどうということはないのです。十万トンの米を日本で買わなければアメリカがつぶれるということはないのですけれども、ビルマにとっては非常な問題です。アジアの感情を害するのでぜひやめてもらいたい。しかもこれは長官が御存じのように、大蔵大臣も一部御了承と思いますけれどもアメリカの米が非常に高い。だからたとえばビルマ米が、政府の資料ですよ、ビルマ米がトン当り百三十四ドルから百六十六ドルに対して、アメリカの米は百八十四ドルないし百八十七ドル、これに対する答えはビルマ米は質が悪いからとこうおっしゃった。ところが長官の御承知ようにビルマ米の質はどんどんよくなっておる。FOB・CIFの関係も若干あるでありましょうが、そういう高い米をむりに十万トンを買って東南アジア諸国を困らせる必要はない。でありますから、来年またそのことは批判しますが、政府が現在これを交渉されるなら、絶対この条件の中にアメリカの米を買うようなことを入れてはだめだと思う。これは私は強く要請したいと思いますが、貫けそうでありますか。どうでありますか。
  94. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) アメリカといたしますと、米の消費地としては日本を非常に重きを置いておるのであります。しかしこっちは今の御説の通り全く私としても御同感でありますが、いろいろな方法を考えまして、たとえばタイの米のごときは、ラオスあたりではタイの米の方がアメリカの米よりも、つまり日本よりも希望しておる、こういう所もあるのでありますから、タイの方の米を日本に持ってくるものをラオスにやる、そのかわりにアメリカの米をタイ米のかわりに持ってくるとか、そういったようなことも考えられるかと思っておりますが、これは一つの小さな技巧でありますが、原則といたしますれば、ただいまお話のごとくなるべく私どもは米を持ってこないという方針で進みたいと思っております。
  95. 羽生三七

    ○羽生三七君 なるべくということはもういかぬと思うのです。絶対それはいかぬと思うのです。そんな必要はないのです。アメリカからこれだけたくさん小麦を買ってくれば、まだ余分に米を買ってやらなければならぬほどアメリカは困っていないのです。ビルマと仲よくやって行く意味から、十万トンでアメリカはどうなるということはないのですから、これは絶対に来年の条件に入れないようにしていただきたいと思うのです。  それから次にお尋ねしたいことは、この前参議院の連合審査の過程で明らかになったのですが、農林省の外資導入開発事業資金計画の四十億二千五百万円ですか、そのうち三十億が今年度農産物購入協定による資金から回った金であります。残りの十億については明年度は増額するように考慮するということがこの前の三大臣、大蔵、経審、外務ですか、三大臣でお約束になったわけですが、このことは間違いありませんか。
  96. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) この間農林水産委員会においてお答え申し上げました通り間違いございません。
  97. 羽生三七

    ○羽生三七君 これは間違いなければけっこうでありますから、ぜひそういうふうにお願いします。  それからこれもこの前論議したことですが、愛知用水のような五百六十億ですか、膨大な資金を食う大事業の場合、この必要資金を得るためにはどうしてもこの協定を毎年継続していかなければならぬことになる、そういう必要性に迫られておるわけです。ところがこの協定を続けていくことがいいか悪いかということは別問題として、それを途中でやめた場合に、御承知ようにこれは国内資金の調達をやらなければならぬ。五百六十億の資金の調達を国内でやらなければならぬ。調達をやるのに御承知ように今の日本の予算状態では非常に困難でありますから、場合によると既定の農業予算に食い込む危険がないとはいえない。そういう点はそういうことのないという保証と見通しはほんとうにお持ちになっておるのですか。どうでありますか。
  98. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 愛知用水の計画を全部が五百億になるか、あるいは私は数字はよく何しておりませんが、二百六十何億だと記憶しております。愛知用水の点については、いやしくも本年これを着手いたします以上は、来年度農産物がアメリカから得られなかったという場合も必ずこれを実行して行くというだけの覚悟をもってあれはかからなければならぬと思いますが、しからば来年度この農産物が得られなかったという場合にほかの予算に食い込むことはないか、こういうお尋ねだろうと思いますが、これは食い込まないように努力いたします。また来年度の予算を編成する上におきまして、かりに余剰農産物ができ、再来年度もできる、こういうことになりますれば、それだけその運行が非常に楽になる、こう存ずるわけであります。
  99. 羽生三七

    ○羽生三七君 もう私の持ち時間がちょうど終るところであります。  私は最後に、質問ではなしに私の意見を述べておきたいのです。これもこの前外務大臣と御列席の際に申し上げたことがあるのですが、千五百万ドルの贈与に関連した問題です。アメリカから日本の児童のためにこういう贈与をしてくれるということは私はそれにけちをつける、そういう意思は全然ない。けちをつける必要はないのであります。日本の側から私はほんとうに考えなければいけないと思う。これはきのうも緑風会の小林議員が言われましたように、至るところに射幸心をあおるような事業で地方財政なんかささえておる。それで政界においても少くも先年までは汚職や疑獄がしょっちゅう問題になっており、スキャンダルが至るところにある、そういうことを一方においてやっておいて、次の時代の日本をになう児童にアメリカから何らかの贈与を受けてそれで喜んでおる。私はアメリカにけちをつけるわけではない。受け入れる側の日本としてもっと真剣に考えなければいかぬと思う。そんなことで次の時代をになう自立精神に富んだ青年はできない。だから日本がもっとしゃんとして、そういうものを受け入れるよりももっと自立経済の基盤を確固として作って、そんな必要のないような施策をすみやかに進める必要があろうという注文を申し上げて、私の持ち時間が終りましたから、これで質問を終ります。
  100. 湯山勇

    ○湯山勇君 関連して。今米の値段について羽生委員の御質問がありましたが、私は小麦の値段について伺いたいと思います。それは本委員会に提出されました購入分の小麦につきましては三十四万トンで二千二百五十万ドル、そうするとトン当りの単価は六十六ドル程度になるようでございます。ところが一方余剰農産物の現物給与の受け入れの分では小麦八万トンで九百二十八万ドル、トン当り百十六ドル、こう見ますと、大体贈与の分の小麦の価格はこちらの方で購入する分の約二倍近くになっております。これは一体どういう関係なんですか。あまりにもこの開きが大き過ぎますので、資料の誤まりがどうか、伺いたいと存じます。
  101. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) この購入いたします分につきましては、世界的の競争価格をもって買うということに相なっております、それから贈与の方につきましては、アメリカ政府が農民から買い上げた値段をもって贈与される、こういうことになっておりまして、従いまして贈与の分は非常に高くなっております。それは事実でございます。
  102. 湯山勇

    ○湯山勇君 どうももらうものに向うが値段をつけるのは勝手に値段をつける、だからこれが百十六ドルとしようが三百ドルとしようが、勝手に値段をつけてよろしい。そうするとこの贈与を受けた八万トンというのは買うとすれば五百万ドル以内で買えるものを、もらうときには九百万ドルの値打としてとらなくちゃならない。これは私大変おかしい話だと思うし、こういうことをやったものを子供に給与するということもおかしいと思うのですが、これについては交渉の際何か申し入れをされましたか。あるいはこれはもうもらうものだからどうでもいいのだというのでおやりになったのか。こういうことが子供たちにわかっても、親たちにわかっても決してこれは小さい問題では済まされないと思うのですが、それについてはどのようにお考えでございましょうか。もう少し経緯並びにこれについての詳細を承わりたいと思います。どうもこれではあまりにも値段の開きが大き過ぎますので、納得しがたいと思うのですが。
  103. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) その問題につきましては、数回にわたりまして交渉したのでありますが、同じくれるならば何もそういう高い値段のものにせずに普通の値段でくれればいいじゃないか、そうした方が気持が違うじゃないか、こういったようなことは何べんも言ったのでありますが、向うの方とすれば、それだけの帳簿で政府が農民から買い上げたものがある、そのものを金額にしてこれだけ渡す、こういうことになって、どこに対してもこういう方法をとっているんだ、こういうわけで、日本だけ特殊扱いはできない、こういうふうなことでその条件が入れられたようなわけなんであります。
  104. 高田なほ子

    高田なほ子君 羽生委員の最後の御意見は非常に貴重な御意見でありますが、これに対して外務大臣お尋ねをしたいと思いますが、一九四九年のアメリカ農業法によると、アメリカは国内の慈善団体に対して、政府が余刺農産物を外国の貧困者の援助に充てることができる条項があるわけであります。この条項を適用して今回の余刺農産物の学童の福祉充大のためにする受け入れに対して外務省の一部見解は、場合によっては救済機関を通して協定を結ぶことも考えられるという意見を文部委員会あたりでは述べておるわけでありますが、これはそうすると大変性格が違ってくるように思いますが、救済機関を通して将来これを受け入れるという態勢をお考えになっておるものでございましょうか、この点について承わりたいと思います。
  105. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 余剰農産物の向う贈与分を日本の救済機関を通じて受け入れるということを考えておるか、こういうことでございますが、この点につきましては、将来問題が起ったときにはとくと文部省あたりと協議をしなければならない問題と思いますが、今日はそこまで考えておらないということを申し上げておきます。
  106. 高田なほ子

    高田なほ子君 重ねてそれでは御見解をお承わりしたいのですが、これは明らかにアメリカ外国の貧困者に対する救済の意味を持つものでありますが、外務省としてはこの受け入れに対し、明らかにアメリカの一九四九年の農業法の四百十六条を考慮されて受け入れたと私は思うのです。なぜならば文部委員会の答弁によれば、場合によっては救済機関を通して協定を結びたい、だがしかし現在それができないから、さしあたりの措置としてこの余剰農産物の受け入れの中に学童の福祉拡大という意味において受け入れるのだという、こういう答弁をしておられるのでありますから、外務大臣の御答弁とは若干性格が違ってくるわけです。私は日本の学童が貧困者を救済するという目的をもってこれをアメリカから与えられ、しかも貧困者という立場において日本が受け入れ、それを学童に提供するということについては相当の私は問題があると思う。私どもはこういう立場において物を受け入れたくないという気持を持っておるのでありますが、外務省はあくまでも外国の貧困者に対する援助という性格をもってこれを受け入れていこうとするのか、この辺の性格について明確に御答弁を願いたい。
  107. 重光葵

    国務大臣重光葵君) それは今お話しのアメリカの法律をも考慮しなければならぬと思います。思いますが、次の余剰農産物の受け入れ交渉によってこれはすべて決定することでございますから、そのときに最もそういう御意見のあるところも考慮して、最も適切にその問題をきめたいとこう考えております。
  108. 松浦清一

    ○松浦清一君 時間が十五分間ですから、もたもたやっているひまがありませんので、原稿を見ながら簡潔に聞きますから、答弁は御丁寧に願いたいと思います。鳩山総理、それから外務大臣、特別調達庁の長官、この御三人に伺いたいと思います。  最初に鳩山総理にお伺いをいたしますが、最近、立川、横田、木更津、新潟、小牧、伊丹等の飛行場の拡張問題が起りまして、また東富士、それから青野原、宝塚等の演習場の問題が起りましてから、地元の住民はもちろん、国民全体が非常に大きな不安に包まれておることは御承知通りであります。その原因の第一は、アメリカ側から要求される、またがって要求されてきた基地問題の真相が正直に国民に伝えられていないということが第一だと思います。第二には、要求された基地の接収について、政府と地元側との間に完全な了解ができないままで立ち入り調査などが強行されている、これが第二の理由だと思います。鳩山総理大臣はこのような現地住民や国民の不安を取り除くために、今日までどのような努力をされ、今後またひんぱんとして起るでしょうが、どのように今後は努力されるのか、その基本的な御所信を最初に伺いたいと思います。
  109. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) このごろ基地の拡張に伴いまして、いろいろの支障が起きましたことは、まことに遺憾に存じます。不当の支障を起したならば、適当な措置をとることは政府としては当然に考えておりますが、不当の支障が頻発すれば、適当の処置はとらなければならないと思っております。どういう措置をとったかということにつきましては、そのつど調達庁で交渉しておるのでございます。
  110. 松浦清一

    ○松浦清一君 外務大臣はどのよう交渉されてきたか。
  111. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 基地拡張問題を含むいわゆる施設の提供でございます。かような問題につきましては、御承知通り日米合同委員会を組織をいたしまして、この委員会で米国側の要請を受け入れ、そうしてわが方のこれに対する措置ぶりをここで討議して、相談しておるわけであります。その状況が十分に世間に知られていないうらみがあったかもしれません。それで御批評のようなことが言われるわけでございます。私はこの日米合同委員会の仕事についても十分一般に知らせるような手段をとることがいいと考えておりますので、そうしたいと思っております。
  112. 松浦清一

    ○松浦清一君 新聞記事がときどき出ますけれども、今まで新聞の報道について伺いますというと、どうもそれはうそだというようなことをよく答えられるのですが、これも新聞記事ですが、政府は十五日の定例閣議で、最近米軍の飛行場拡張要求に対する地元の反対運動がだんだん盛んになってきたので、これに対する態度を決定することをきめた、こういうことが新聞に出ております。それは一体どういう態度をおきめになったのか。もしまだきまっておらなければ、将来どのような態度をおきめになろうとするのか。
  113. 西田隆男

    国務大臣(西田隆男君) お答えいたします。十五日の閣議で基地の問題についていろいろ発言はありました。しかしながら今まであなたがおっしゃったような、どういう方針でどういうおうなことをやるんだということを決定したことはございません。関係閣僚からそれぞれ発言はあっておりましたが、結局において関係閣僚において、今後慎重に検討してこの方針を決定するということで、閣議は了承したわけでございます。
  114. 松浦清一

    ○松浦清一君 それじゃまだその方針というものは決定しておらぬわけですか。
  115. 西田隆男

    国務大臣(西田隆男君) 方針は決定しておりません。
  116. 松浦清一

    ○松浦清一君 総理大臣はどのような方針を決定されるというお考えでしょうか。
  117. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) そのときの話というのは、方々で頻発して事件が起きるから、不当の支障が頻発するのならば、適当な処置をとらねばならぬというよう話し合いがあったと記憶しておるのでありまして、どういう措置をとるかということについては決定はなかったものと記憶をしております。
  118. 松浦清一

    ○松浦清一君 私どもが今日まで承知している自由党内閣以来の駐留軍に対する考え方というものは、日本の自衛力が漸増するにつれて米軍は撤退して行くということであったと思うのです。軍備に対する賛否の議論はこの機会の議論ではありませんから別といたしますが、保守党の政権下における現実の推移としては、それが筋道であると私は思う。ところが日本の自衛力は御承知通り、二十五年に警察予備隊の七万五千、ここから発足して、二十七年には保安隊の十一万、二十九年には自衛隊の十六万、さらにまたことしは三万一千も増強されようとしておるわけです。そうしてアメリカから基地要求はますますふえていきつつある、だんだんふえていきつつある。日本の軍備は強化されるにかかわらず、アメリカの基地は際限なく広がっていくという傾向を見るわけです。飛行場の拡張という点についてですね、これは一体どういうわけなのか。自衛隊を増強するという方針については、大体自由党内閣以来鳩山内閣は踏襲しておるものと了解をしておるわけですが、首尾一貫しない方向に向っていると思うのです。これは一体どういうわけですか。
  119. 西田隆男

    国務大臣(西田隆男君) お答えいたします。詳細な数字は事務局からあとで発表されますが、接収されております地域は、講和条約発効時に比べますと、現在は相当減少いたしておりまして、あなたのおっしゃるように無制限にふえていっておるという実情はございません。
  120. 松浦清一

    ○松浦清一君 具体的に福島調達庁長官にお伺いいたしますが、アメリカの駐留軍が日本に駐留するようになってから、基地、演習場等について先方から要求された地区数と面積、今まで一度も正式に政府のしかるべき機関から発表された記憶いたしませんので、これを伺いたいと思います。ちょっとメモに控えて覚えていただきたいのですが、その第一は、すでに合意をした地区数とその面積、それから現在留保されておる地区数と面積、それから合意しなかった地区数と面積、その合意しなかった理由、すなわち適当でないという理由によるものと、地元の反対で提供しなかった地区数及びその面積を具体的にお示しを願いたいと思います。
  121. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) お答えを申し上げます。演習場、飛行場ということでございますが、一応全般の事情のために、全般的な数字をとりあえず先に申し上げたいと思いますが、施設特別委員会というのができまして、それ以前に外務省交渉が行われておりましたものを、つまり交渉中の案件を引き継ぎましたもの全部の施設関係で百二十六件あったわけです。施設特別委員会と申しますのは設立以来二年ほどになります。その二年間にアメリカ側から施設特別委員会、すなわち日米合同委員会でありますが、それに新規提供方を要求して参りましたのが三百五十二件あります。従いまして、この二年間に合同委員会といたしまして、アメリカ側の要求を考慮いたしました数が合計四百七十八ということになります。そのうち御指摘のありました、合意に達したと申しますか、合意に達して先方に提供いたしましたのが百二十九、断わりました分が百八であります。なお研究中と言いますか、留保いたしておりますのが二百四十一であります。そのうち飛行場の関係、演習場の関係が占める数でございますが、飛行場の関係は、アメリカ側から要望のありましたものが十であります。断わりましたものが二つであります。目下研究中のものが八つであります。合意いたしたものは一つも一ございません。陸上演習場の関係につきましては、申し出がありましたものが三十一であります。合意いたしましたものが十、断わりましたものが一つ、目下研究中のものが二十であります。海上演習場関係につきましては、申し出のありましたものが六十五、合意いたしましたものが九つ、断わりましたものが三つ、目下留保いたしておりますものが五十三ということで、留保いたしておりますものも、大部分はだいぶ長い間留保したものもあるわけであります。留保するということは合意しないということと同じ効果になります。実際には五百七十八の要求に対して百二十程度二年間に合意しておるという結果になります。  なお面積というお話がございましたが、面積につきましては、今日合意いたしましてアメリカ側に終戦以来提供いたしております演習場の面積は大体十四万町歩であります、そのうち四万町歩が民有地、他は国有地であります。飛行場の関係におきましては、一けた違っておるだけでありますが、提供いたしております面積が大体一万四千町歩、民有地四千町歩、国有地一万町歩であります。
  122. 松浦清一

    ○松浦清一君 今まで日本政府が接収をしてアメリカに提供した、ただいま御報告のありました演習場、基地等の土地、家屋、漁業損害等に対して国が補償した金額の総額はどのくらいですか。
  123. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) 今日まで提供いたしました土地につきましては、国有地の関係を除きまして、民有地に対しましては地代、家屋に対しましては家賃を払い、場合によりましてはこれを買い上げるという方法をとっておるわけであります。また海上演習場の場合につきましては、漁業上の損害につきまして漁業補償を支払っておるわけであります。これが今日までの総計はただいますぐ調べまして後ほど申し上げたいと思いますが、大体の現状で申し上げますと、御承知通り本年度の防衛支出金予算がかれこれ八十億成立いたしておりまして、そのうちに飛行場の拡張という関係を除きますと六十七、八億になるわけです。本年の状態で申しますと、地代、家賃に支払う金額、漁業の補償、あるいは演習場におきます立木その他の損傷に対しまする補償、そういうものに支払われまするものが、本年の予算の状況におきましては六十数億ということになるわけでございます。
  124. 松浦清一

    ○松浦清一君 これは本年分だけでなくて、今までの総額が直ちにおわかりにならなければ、あとから表にしてお知らせ願いたい。  それから総理大臣外務大臣に重ねてお伺いいたしますが、アメリカ日本基地に対する現在の最大関心というものは空軍勢力の拡充にあることは申し上げるまでもないのであります。アメリカの共和党政権が一九五三年の一月から対中ソ強硬政策をとるようになりましてから、原水爆戦力を骨子とする戦略空軍の戦備を急いでいることは、わが国に対して、ただいま特調の長官からお話がありましたように、引き続いて空軍基地の拡張を要求しておるところから見ても明らかであります。このようにして圧倒的な破壊力を持っておる原水爆を高速でしかも長距離飛行に可能なジェット機で運ぶという、いわゆる即時報復政策をとるというこのアメリカ空軍の方針に対して、それが日本国民にとってどれだけ大きな犠牲であっても、鳩山総理重光外務大臣はあくまで協力態勢をとっていこうとお考えになっておるか、伺いたい。
  125. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 日本の基地の拡張は制限がついておるはずであります。日本の自衛のために必要な最小限度という制限があるわけでありまするから、報復策というものに日本は協力するわけには参りません。そういう意味において日本の基地の拡張があるとは私どもは考えておらないのであります。
  126. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 今総理より御説明通りだと思います。日米協力の問題は、これはもう条約の精神からいって、つまり共同防衛の精神から申しまして、非常に協力しなければならぬと私思います。けれども協力の方法につきましては、おのおのこれはやはり条約上にちゃんとしたきまりがこしらえてありますから、そのきまりに従って協力をしなければならぬと思っております。そこで無制限というわけには参りませんので、合同委員会で十分論議をし、そうして条約の行政協定その他の取りきめに従って一々処理していかなければならぬと、こう考えております。
  127. 松浦清一

    ○松浦清一君 それでは、鳩山総理大臣重光外務大臣のお考えになる条約上で規定されておる日本を自衛するための限度というものは、一体どれくらいの程度だとお考えになっておりますか。今福島長官から御説明がありましたように、十カ所の飛行場の拡張要求がきているのですね。そのほかにまだ八カ所もあると、こういう話もある。それが限度なんですか。それ以上に要求があっても、アメリカ側から日本の国を自衛するのにはもう少し必要なんだということを要求された場合に、一体どういう態度をおとりになるか。これが日本を自衛する限度だと、あなた自身の政権下においてお考えになっておる限度というものがおありでしょうから、それをはっきりして下さい。
  128. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私はそれは非常に大切なことだと思っております。アメリカが必要であるからこれを無制限にというわけにはこれは参りません。そこで日本の自衛のために必要なる施設ということがそこに入るわけでございまして、従いまして日本側としては、これは日本の自衛のために必要であるという目安をつけて、その具体的問題々々についてこれを処理しなければならぬと考えております。この飛行場が必要であるかということまで検討をしてこの問題を処理しなければならぬと考えております。
  129. 秋山長造

    秋山長造君 ちょっと関連して。今の総理の御答弁も、外務大臣の御答弁も、基地拡張はこれは純然たる日本の自衛のためという限界があるというお話なんですけれども、この点にわれわれは疑問を持っておるのです。この間七月十六日の新聞記事としてAP電報で、アメリカの極東空軍作戦副部長補佐ジェームス・T・スチュアート大佐というのがこういうことを語っておるのであります。ここ一年間に共産側はその空軍を台湾攻撃の援護に利用できるような場所へ移動させた。つまり共産空軍が中国大陸の北部から南部の方へ南下して台湾の攻撃のしいい場所へ移動したというのです。で、それについては、米国はこの共産側の脅威に対処するため在日空軍基地の拡充に努力しつつあるが、新型ジェット機には長い滑走路が必要なので、その用地をどうして入手するかが大きな問題となっておる。つまりこの記事から判断いたしますと、今問題になっておる基地の拡張問題、飛行場の拡張問題というものは、純然たるお話よう日本の自衛ということではなくして、アメリカ軍が台湾の国民政府をいかにして大陸の方の脅威から守るかということに出発をして、そうしてこの基地問題というものが起っておる、こうわれわれは解釈せざるを得ない。だから今の総理大臣なり外務大臣なりのおっしゃった純然たる日本の自衛のためという限界をはるかにはみ出しておると思うのであります。台湾を守るために日本の基地の拡張ということをやっておる。この点についてもう一度私はっきりとした政府の見解をお伺いしたいと思います。
  130. 重光葵

    国務大臣重光葵君) この共同防衛の趣旨は日本の周辺の領域を守るということ、防衛ということが基礎になっておると了解いたしております。従いまして日本側の主張としては、あくまで日本の防衛ということから出発しなければならぬと思います。しかしこれは合同委員会あたりでこの問題を議論をする場合には、つまりアメリカ側日本側の見解を調節する必要があるのでありますから、アメリカ側はその場合において必ずしも日本の意向と同様であることは、これは望めないと思います。これは調節をしなければなりません。それでその調節をする場合にいろいろ向うの考え方があり得ると思います。しかし日本側としては、これは日本の自衛のためにすべての考え方を立論をしていって、その相談に応じていいのじゃないか、こう考えておる次第であります。
  131. 秋山長造

    秋山長造君 一応はその御答弁わかるのですけれども、そういたしますと、今私読み上げましたAP電報に現われたこのアメリカ側の意向というのは、これはアメリカ側の一方的な意向である、日本側はあくまで日本の純然たる自衛のためという限界を守って、そして合同委員会なり何なりでの話し合いに臨む、こういうよう政府の方針は確固としてこれは確立をしておるものと解釈してよろしゅうございますか、その点。
  132. 重光葵

    国務大臣重光葵君) さように御了承を得ていいと思うのであります。
  133. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法があるわけですね。これに基いて施設提供をやるのでありますが、これには、アメリカ駐留軍が必要とするときには日本の国有地あるいは民有地を提供する、こういうことになっておるのです。紛争が生じたときには合同委員会にかける、合同委員会で紛争がおさまらないときにはアメリカ極東軍の陸海軍代表からなる上訴委員会というものが取り上げる、そこで決定がなされないときには、アメリカ本国の上訴機関もしくは裁判所に提訴する、こういうことになっておるのでありますが、この法律上あるいは条約上日本の防衛にのみ限定されるのだというお話がありましたが、しかし日本の国内法においてみる限り、今の特別措置法からみると、駐留軍が必要とするときにはとなっておる。それは理屈はなるほど安全保障条約第三条というものは共同防衛、日本を防衛するのだからそこに限界があると思いますが、今秋山氏が言われたようなことが起ってくるのを、これは防衛に必要なときには国内法からいえばアメリカは要求できるという、そういう特別措置法になっておるのです。ですから伺いたいことは、この特別措置法では日本の防衛でない、限界をこえたときはこれははっきり断われるのか、合同委員会で意見が合わなかったときには一体どうなるのか、今私が申し上げたように、最後はやはりアメリカの裁判所あるいは上訴機関で決定になるということになると、これは自主性がないわけです。この点を明らかにしておいていただきたい。
  134. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) 特別措置法の関係につきましてお尋ねでございます。私ども所管の法律でございますのでお答え申し上げますが、特別措置法に米軍の用に供するためと書いてございますのは、それのみによって、特別措置法によって施設区域を提供するのではないのでございまして、合同委員会の決定によって提供をきめるわけで、その場合に所有者の同意を得られないとか、そういう事態に至りましたときに、措置法によって土地の入手方をはかるということになります。そういう米軍の用に供するための法律というのではないのでありまして、合同委員会あるいは閣議決定、その他の関係で米軍の用に供することになった土地の入手の方法に関する法律でございます。従いまして、アメリカ側から言って参ったものをその法律の文句にあるように、最終的に提供しなければならないのではないかということは、決してさようなことはないわけでございまして、合同委員会において提供するかしないかということをきめる、その場合に日本側は日本側の条件なり事情なりに従って提供するかしないかということをきめるわけでありまして、先ほど申し上げました数字でも明らかな通り、過去二年間に合同委員会としてアメリカ側の要求を受け付けましたのがかれこれ六百ございまして、アメリカ側に提供いたしたものがその六分の一、百二十ばかりでございまして、六分の五は提供いたさない状況であるわけであります。従いまして、要求したものがそのまま最後には提供されるということは、実績からいってもあり得ないことでございます。  なお御引用になりました米国上級機関に上訴云々ということは、いわゆる特殊の契約の紛争の調停に関しまして、合同委員会による調停もございますけれどもアメリカ側の契約担当官の適正ならざる行為に対して米軍の上級機関に逐次提訴してゆく方法を定めておるわけであります。土地の使用とかそういう問題には全然関係のない条項でございます。
  135. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それで基地の場合、合同委員会できまらなかったらどうなるのです。
  136. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) 合同委員会で基地の提供がきまりませんければ、提供はできないことになっております。
  137. 吉田法晴

    吉田法晴君 関連して。秋山君の質問に答えて総理大臣それから外務大臣から、日本の自衛という最小限度のワクがある、こういう御答弁でございました。秋山君はAP通信を引いて、今拡張しようとしておる、拡張を要求しておる五つの飛行場なりその他の拡張は、台湾を守るために日本の基地の拡張を要求しておるのではないか、こういう質問であったのであります。目的日本を守るというものでなくて、それを越えておる場合には自衛の限度というものから、答弁からいたしますならば、今回の拡張要求に対しては日本としては応ずる必要がないじゃないか、こういう意見が当然出て参る。総理及び外務大臣は重ねて御答弁願いたいのであります。日本じゃなくて、日本の周辺というなら別問題、台湾というなら別問題であります。日本を守るための基地拡張の要求であるというなら、これは総理大臣及び外務大臣は、日本政府は断わるべきだと思うのでありますが、御答弁をお願いいたします。
  138. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 御案内通りに安保条約におきましては、極東における平和と安全を維持するためにもというようなことも書いてあります。これは書いてあります。極東の安全と平和、これはもう日本の安全、日本の自衛の問題に直接に関係をするものでございます。しかし私は決して日本の自衛が極東の安全及び平和の維持というものと全然一致しておるとは決して申しません。しかしながらさような場合において、アメリカ側は大きな見地から極東の平和と安全というような見地から話をし、日本としては私は今日の場合においては日本の自衛という見地で主張をすることが適当であると、こう考えます。そして話し合いがそこでつくかつかぬか、合同委員会でつくかつかぬかということで、これはやはり話し合いでございますから、こういうこの基地は日本の自衛のために必要でないといって全然これを受けつけないということが全局上利益であるかないかということもこれは考えなければなりません。そこで話し合いをつけた上でその問題の処理ができるのでありますから、その経路をふることは条約上の規定に従うことだと私は考えております。
  139. 吉田法晴

    吉田法晴君 大変恐縮ですが、アメリカが極東の安全なり保障のために日本の自衛のためのみならず、要望があるかもしらぬ。しかし日本日本の自衛ということが極東の安全云々ということで対処する、話し合いをするというようお話ですが、話し合いが行われる建前であることについては否定をするものではございません。しかし先ほどの答弁から、また今の答弁を突きつめて参りますと、要望はあったとしても、日本の自衛を越えるものについては日本としてはこれをがえんじ得ない立場にある、こういうことは明らかだと思うのでありますが、今度の飛行場拡張の場合にそれが日本を守るということじゃなくて、台湾を守る云々ということであるならば、それは日本としては断わる建前にある、こういうこれはお立場と申しますか、先ほどの答弁からしますならばそういうことになると思うのでありますが、その点を明確に一つ答弁を願います。
  140. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私はその点は大体その通りに考えております。日本の自衛のために必要であるかないかという見地で日本は主張すべきだと思います。そしてその新聞記事がどこまでの何を持っておるかということはこれはしばらく別問題として、アメリカのうちにはそういう考え方もあっただろうと思います。これは台湾の防衛のためだとこういって考える人もあっただろうと思います。しかしそういう考え方、主張だけをもってしては日本はこれを受け入れることはできません。   〔高田なほ子君「小牧から飛んで行っているのですよ」と述ぶ〕
  141. 重光葵

    国務大臣重光葵君) それはわかっています。それだから問題はむずかしくなる。当然のことであります。日本日本の自衛のために主張するのが何のために悪い、当然これは主張しなければならぬ。主張しなければならぬけれどもアメリカアメリカとしての主張を持っているということもこれは認めなければならぬ。そこに交渉話し合いの結論を出さなければならぬ、その話し合いの結論を出して、結論が出ないときはこの問題が成立しないわけです。   〔高田なほ子発言の許可を求む〕
  142. 館哲二

    委員長館哲二君) どうですか——今の問題に関連してですか。
  143. 高田なほ子

    高田なほ子君 外務大臣は大変言葉を荒くお怒りになりました。しかしこれは外務大臣がお怒りになる問題ではないと思のです。つまり小牧の飛行場からアメリカ空軍が大陳島の撤退援護作業のために飛び出していることは大臣も御承知のはずなんです。であるならば、合同委員会において共同措置に対する協議をわが日本政府はして、しかもそれを容認した上でそういうことが行われているかどうかというのです。この場合に、先ほどの福島長官の言によれば、日本で不利な場合は断わり得る可能性がある、断わることができるという言明をしておったわけです。そうだとすれば、小牧の飛行場から台湾に飛び立つのは、これは日本の自衛のためではないはずです。これはアメリカ空軍の独自の空軍軍略によってこれは飛び立っているわけでありますから、これは日本の自衛と何ら関係ない。そうだとすれば、当然これは行政協定二十四条による共同措置に対する協議の場合に、日本政府は断わってしかるべきだと思います。なぜ外務大臣はお断わりにならないか、この点を質問されてお怒りになるのはおかしいと思います。
  144. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) ちょっと私から申し上げておいた方がいいと思いますが、小牧の飛行場から台湾へ飛行機が飛んだというお話で、外務大臣もそういうお話でございましたが、これは何かのお間違いではないか。小牧の飛行場というのは戦闘機の飛行場でございまして、現在では戦闘機が全装備をして飛び立てる飛行場ではない。従って小牧の飛行場から台湾まで戦闘機が飛ぶということは、戦闘機以外のそこにジェットの飛行機はおりません。これはあの附近の方はごらんになっているはずだ。沖縄その他台湾に近い所に基地があるはずでございます。戦闘機が一番遠い所から飛ぶということは、しかも完全装備では飛べない飛行場から飛ぶということは、私は飛んでおらないということを主張するわけではありませんが、飛べないと考える方が当り前だと思います。
  145. 下田武三

    政府委員(下田武三君) ただいま高田先生から行政協定二十四条に基く協議の問題につきまして、御指摘がございましたが、御承知ように二十四条の協議と申しますのは、「日本区域において敵対行為又は敵対行為の急迫した脅威が生じた場合」ということでございまして、そういう場合には協議することになっております。大陳島や何かの問題は、そこまで日本区域を拡張して協議をするというようなことは、日米双方とも考えておりません。
  146. 松浦清一

    ○松浦清一君 だいぶ関連質問がございましたけれども、(笑声)まだちょっと明確にならないところがございますので、繰り返して伺いますが、私が先ほど伺ったのは、アメリカとの条約に基いてアメリカから要求されれば、飛行場の拡張その他の基地等を無制限に提供していくのかということを私は聞いたのです。それに対して外務大臣は、日本には日本を自衛する限度というものがあるので、それ以上のものは向うから要求があっても提供しない、こういうふうにお答えがあったから、議論に花が咲いたわけであります。そこで私はもう一ぺんだめを押しておきたいのは、いわゆる日本の国の自衛力の限度というものをあなた方は一体どの辺だとお考えになっているか、これを一つ明確にしていただきたい。衆議院では杉原防衛庁長官だいぶ足を運ばされて、だいぶやかましくこれが問題になったのですから、はっきりおっしゃっていただきたい。この辺までくれば、これ以上は断わるのだという限度の線があるはずなんですよ。
  147. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私が先ほど申し上げたのは私の言葉で説明をいたしたいと思います。私は日本は合同委員会あたりで主張する場合に、日本の自衛のためであるかないかということが出発点で主張していいとこう主張すべきだとこう申し上げたのであります。私はそう思います。  それから自衛力というのはこれを国際的に申し上げれば非常なむずかしい問題になります。それでそのむずかしい問題の今論議の糸口を開くということは、私はやりたくないのでございますが、私は今自衛力ということは、日本の国土防衛というふうに考えております。これに必要なものは日本はやらなければならん、こう考えておりますが、この点においてはまだこの言葉としての、法律上、条約上、また国際的に自衛力というものをはっきりとつかまえておらない点もございますので、私は私自身の考え方を申し上げるよりほかに方法がないのでございます。私は国土の防衛とこう考えております。
  148. 松浦清一

    ○松浦清一君 国際的なことを私は一つも聞いていないのだ。日本の国土を防衛する限度というものは、あなた方はどの辺に置いておられるかということを質問したのです。それはやはり自衛をだんだん強くしていって、それで防衛しようという考え方もあるのです。アメリカの駐留軍にだんだん飛行場の拡張も了解をして、了承を与えて、アメリカの空軍の力を借りて日本の国を守っていくという考えもあるでしょう。おのおのの人によって考え方が違うのです。私は別に考えておる点があるのです。あなた方の日本の国土を防衛する限度というのはどの辺ですか。そうでなければアメリカから要求されて断われないじゃないですか、こちらに限度を持っていなければ断わることができないのじゃないですか。
  149. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私は自衛力とは何ぞやという御質問でありますから、私はそれは国土を防衛する力が自衛力だとこう申し上げたのです。それで御了解を願いたいと思うのです。決して国外に派遣するとかというような性質のものでないと、こういうふうに考えております。
  150. 松浦清一

    ○松浦清一君 これは本来言うと、外務大臣に聞くべき筋合いのものではないのですよ。私はもう一ぺん繰り返しますけれども、飛行場の拡張問題等についてアメリカからどんどんとその要求をしてくる。それを幾ら要求をしてきてもこれを応諾するのかとこういう問いをしたところが、あなたは日本には自衛力の限度というものがあるから、その辺以上に要求されても断るのだとお答えになったから、あなたの考えておられる自衛力の限度は一体どの辺ですかと思って聞いておるのです。これは鳩山総理に私は聞きたいのですが、一体どの辺をいわゆる重光さんの言われる国土を防衛する限度だとお考えになっておりますか、はっきりと日本の国としての考え方、もし国としての考え方が御答弁になれなければ、鳩山さんとしてのお考え方、自衛隊を何万くらい持てば、その防衛ができるのだ、アメリカのジェット機をどのくらい日本に持ってくれば防衛ができるのだと、そういうことをおのずから考える線があるということがあると思うので、それをお答え願いたい。
  151. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は憲法と条約との関係云々する意思はありません。条約が憲法に優先するとも考えておりませんが、とにかく日本の憲法において、日本は現在においては自衛のため以外には戦力が持てないのでございまするから、自衛のため以外の条約等には、日本人としては同意ができないはずであります。それですから条約が結ばれていても、自衛の目的以外のことについては日本はこれを憲法の上からこれを拒否する義務があると私は考えて、先ほど重光君の答弁は、適当だと考えております。ただその限度はどの程度か、自衛のための限度というのはどこにあるのか、それは飛行機が何台、自衛隊としてはどのくらいということは答弁する必要はないでしょうと思います。とにかく自衛の目的のためという限度は出るのでありまして、その自衛の目的といいましても、このごろのような時世においてどの限度が十分にして不足がないということは、私は明言はできないと思います。松浦君の御心配は私はこういうことにあるのじゃないかと思うのです。飛行場はどんどん拡張される。原爆や水爆の時代において飛行場が拡張されれば、日本は危険にさらされやしないかというような点が心配だと思うのでありますが、私は日本はやはり憲法の上から日本の今の国是として、とにかく侵略戦争には日本は加担はどうしてもできないと思っておるのであります。自衛のためなんですから、攻めてきたときにのみ、初めて日本の戦力というものは動くわけなのでありますから、こっちから侵略的の戦争というものには、いかにアメリカといえども協力はできないと私は考えておる。
  152. 松浦清一

    ○松浦清一君 何だかどうもはっきりしないので、僕は頭が悪いのか知らないが、結局質疑応答をしていくということは、何かを尋ねて何かを答えていれば済むということじゃないのですよ。(笑声)これは尋ね方が非常に下手ですけれども、自衛の限度がなかったら、アメリカから要求があるとき、この辺が日本の自衛の限度だと言って断る理由がない。日本を自衛するにはこれだけ飛行場が要るのだ、これだけジュット機を日本に置いておかなければならないのだとアメリカが考えるのですね。いやそんなに要らないという線が日本になければならない。それをときの内閣の首班であるあなたがとやかく言って、はっきりしない御答弁をしておられるのでは、これは満足ができない。私はまだほかにたくさん質問があるのだが時間を食っちゃったのだ、変な自衛力だから……。
  153. 西田隆男

    国務大臣(西田隆男君) 便宜的に私からお答えいたします。自衛力の問題でだいぶん議論に花が咲いたようであります。松浦さんがおっしゃっておる、もし米軍側からいろいろ基地施設等を要求された場合に、どういう条件で断るのかというのが要点のようでございます。私の考えでは米国駐留軍に基地施設を提供しておりますのは、安全保障条約の目的達成のために基地施設等を提供しておりますので、その目的を逸脱しない範囲内の米軍側の要請であれば、これは基地の提供、施設の提供等を日本政府側としては破れないのではないかと一応さように考えております。従って安全保障条約の目的の範囲を逸脱したよう目的のために基地の提供、あるいは施設の提供を米軍側から申し入れを受けた場合においては、これは日本側としては当然日米合同委員会で拒否できるとかように考えております。
  154. 松浦清一

    ○松浦清一君 これは非常に抽象的で結局わかりませんけれども、また内閣委員会で自衛隊法でもやるときにやりましょう。時間がないのでまことに残念ですが……。  それから福島長官に最後に伺いますが、どうも大臣政府委員新聞記事を例にして質問すると、それはうそだとか何とか、あとから新聞報道陣から抗議が出ないのがおかしいと思うほど否定するのですが、これも新聞の記事です。福島長官が十九日の午後の記者会見で「政府の腰がくだけるというよう見通しは全くない。」これは飛行場の拡張問題についてですね。「むしろ早く解決せよと激励されているというのが現状だ。このため立入調査はあくまでやる。」こういうふうなことを語っておられるわけです。そのあとでさらに、「現在日本にある駐留軍用飛行場は約四十だが、いま問題になっている立川、横田、木更津、新潟、小牧の五飛行場の拡張が実現すれば米軍が必要とするのはこの五飛行場のほかすでに拡張の必要のない千歳、三沢、板付と、来年度に拡張を予定されておる伊丹など十飛行場程度となり、他の約三十の飛行場はすべて返還されるみこみである。」こういうことを話をされて、特にその米軍が希望している立川、横田、木更津、新潟、小牧等の五つの飛行場について、どのような住民の反対があっても、これを押し切ってやるんだという強い意思を表明されて、そしてさらに十の飛行場を提供すれば、あとの三十は返還することになっておる、こういうことを語っておられる。これは一体ほんとうなのかうそなのか、福島長官からその真否について御答弁を願って、もしこれがほんとうとすれば、どのような外交折衝を通してこういう結果になったのかということを外務大臣から伺いたいと思います。
  155. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) 新聞記事はすべてその通り、ほんとうでございます。まあ、その閣議云々ということは、私は閣議でどうおきめになったか、それは知らないのでありますが、閣議でおきめになったようなことはなかったんだと思いますけれども、立川初め各地の飛行場の問題の処置がおくれておりまして、いろいろ問題にもなっておるわけであります。これを強制的に収用するとかしないとかいう問題のところまでは、まだ考えも仕事も全然いっているわけではございませんけれども、五つの飛行場について案を立てるために調査をしてみろということが、現在の私ども任務であります。調査をできるだけ早く完了いたしませんと、その飛行場で拡張を考えるか、あるいはその飛行場をあきらめるか、いろいろのことがおそくなるわけでありますから、早くやれという御指示を受けるのは、私は当然だろうと思いますし、しかしまた、そのやり方はあくまで地元民を説得をいたしまして、円満な解決をはからなければならないということを、まあ閣議の御方針として承わったわけではございませんけれども、当然そういうお考えであろう。その意味で調達庁はいつまでも仕事がはかどらないのは困る、早く処置をつけるようにという御指示は得たつもりでおります。その仕事のやり方と申しますのは、今申し上げました通りでありますが、地元の人たちとの間にできる限り早く意思の疎通をはかって調査を完了する、この調査を完了した上で、その飛行場の拡張をやるかやらないかということは、まだこれから閣議決定をお願いしなければならんわけでございます。現在の状態はアメリカから頼んできております飛行場の拡張の問題について、日本政府決定をするかしないかという材料の調査をするというところだけであります。強制調査とか強制立ち入りとか、まあいろいろそういう言葉が新聞に出るわけでございますが、これはあくまで調査だけの問題でございまして、土地を手に入れる、入手をするという問題に強制とかそういうことを申しているわけでは全然ありません。  なお、次に御指摘のございました、現在四十個所の飛行場のうち十個所の飛行場を……、五個所の飛行場の完成をもって大体十個所の使える飛行場になる、あとは多分返還されるだろう、と私が申したかということでありますが、そう申したのでありまして、現在あります飛行場の四十の滑走路が、これは滑走路が短いために飛べなくなってしまう。全部を延ばしたい希望アメリカ側にはあるかもしれませんが、われわれとしてはそういうわけには参らない、とりあえず五つぐらいでかんべんしてもらいたいということで、現在の作業をやっております。これがもし完成いたしますれば、あとの飛行場は飛行機の飛べない飛行場でございますので、飛べない飛行場を使うということはちょっと考えられませんので、民間の飛行場とか、その他の訓練の飛行場ということも多少はあるかもしれませんが、第一線飛行場として使うものは十である。訓練飛行場が三十というようなことも考えられませんので飛行機が飛べない飛行場は、そのところはほかの目的のために使わざるを得ない。またわれわれがアメリカに提供しております施設と申しますのは、その目的のために提供しておりまして、その目的に使えなければ、アメリカ側としては返す義務がある。返ってくるだろう、こういうふうに申したわけでございます。  なお、最後に御指摘のございました立川の拡張については、地元に幾ら反対があっても強制収用するかというお話だったと思いますが、そこまではまだ考えておりません。強制収用をするかしないかということは、立川の拡張ができるか、できないかということが、できるということにきまりまして、それからそういう案を立てまして、地元の了解を得るのに全力をあげる、その地元の了解が得られない場合には、さらに強制収用してでも、その土地の入手をはかるかどうかということは、これまた閣議の御決定を仰がなければならないことでございまして、現在やろうといたしておりますのは、立川の飛行場というものの、アメリカの申しております滑走路の延長というものは、果して技術的にも、あるいは予算的にも、あるいはその地元の受ける被害とのバランスの関係からいっても、できるものであるか、できないものであるか、こういう調査をやりたい。従いまして、この調査は必ずしも地元の不利になることばかりでもありませんので、反対がありましても、調査だけはやらしていただきたい。そのために適正な方法をとっていきたいと考えております。
  156. 西田隆男

    国務大臣(西田隆男君) 松浦さんは外務大臣に外交交渉はあったかなかったかという御質問でございますが、ただいまの福島長官の御答弁関連いたしまして、私から一言申し上げておきたいと思います。福島長官が申しましたように、これは閣議決定したわけではございませんが、二十七年の岡崎・ラスク会談以来ペンディングになったままのものが、米軍側との問題がさっきも御説明しましたように非常にたくさんございます。従って外交上の関係から考えましても、二年も三年も四年もペンディングのままうっちゃっておくということはいいことではないので、提供するようにきめろと言ったわけではございません。提供するかしないかをはっきり決定するように、早急に結論を出すようにという趣旨を福島長官に担当大臣として与えたことは間違いございませんが、これは閣議決定に基くものではございません。
  157. 松浦清一

    ○松浦清一君 今の十カ所の飛行場を提供すれば、三十の飛行場は返還されるということは、そういう見込みなんですか。その具体的にまだ折衝ということはないのですか。
  158. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 実は飛行場の個々の問題に関する米国側との折衝は私やっておらない関係もございまして、私一々存じません。合同委員会もしくはその他事務的に折衝をしていることだと思います。しかし私の承知しているところでは、これは見込みでございます。はっきりそれを返すようにという意思表示をはっきりと受け取った段取りにはまだいっていない。こう思っているのでございます。間違いましたら、またあとから御訂正いたしたいと思います。
  159. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) 四十カ所の飛行場のうち将来この拡張が完成すれば、使えるのは十程度になる、残余は返還されるよう交渉したかしないかというお話しでございますが、その交渉はまだいたしておりません。しかしながら先ほど申し上げましたように、飛行場として提供してある用地が飛行場として使えなくなるということはわかっておりますので、返還の先方に義務もございますし、私どもの方と交渉の必要があるわけでございますので、拡張の完成と同時に、その他の飛行場の処置の問題については、交渉が始まることになると思います。申し上げましたのは見込みでございます。ただ、そのうちに見込みではございますが、かなり明瞭なものもございます。たとえば立川の飛行場の拡張が完成すれば羽田の飛行場は日本政府に返還する。日本政府としてはこれを純然たる民間飛行場、国際飛行場に使うとか、伊丹飛行場の拡張が完成すれば、埼玉県のジョンソン飛行場と申しております、これが要らなくなるとか、全国にそういう話のすでに出ておりますものは相当ございます。一括して正式の交渉は拡張の完了と同時に始まることになると考えております。
  160. 秋山長造

    秋山長造君 関連して。今の福島長官の御答弁で既存の飛行場が全部使えなくなるとおっしゃったのですが、これはどういう意味で使えなくなるのですか。たとえば、この途方もない大きな爆撃機を持ってくるために、既存の飛行場が狭くて使えないとか、あるいま非常なる長距離を飛ぶ飛行機を持ってくるために、今までの短距離を飛んでいる飛行場ではもう間に合わなくなるとか、何かそういう具体的なことをもう少し御説明願いたい。
  161. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) 既存の飛行場はすべて日本軍時代から存在するものでございます。アメリカ側が終戦後入りましてから幾らか整備したものもありますけれども、大部分は従来のプロペラによる飛行機の性能に合せてできた飛行場であります。アメリカ軍の軍用飛行機というものがすべてジエットによる飛行機に転機しつつありますので、ごく近い将来にプロペラ式の飛行機が、まあ練習機などは残るかとも思いますけれども、なくなる情勢にありまするので、いかに小さい飛行機といえどもジエット式の飛行機では、現存の飛行場では飛べないということになると承知しております。ただ、先ほどもちょっとお話がございました、小牧の飛行場においてもジエットの戦闘機が飛び立っておる事例などがございますけれども、これは練習のために三分の一なり五分の一なりの燃料を搭載いたしまして、その他の兵器を搭載いたしませずに飛ぶだけの練習をしている、たけでございますので、ジエットの飛行機の現在飛べる飛行場と申しますのはほんのわずかしかない、大部分の飛行場というものは、飛行機がジエットになるということが一つの趨勢であります限り、使えなくなるという事態がくるわけであります。
  162. 館哲二

    委員長館哲二君) もうだいぶ時間がたっていますが、いかがですか。……では簡単に願います。
  163. 吉田法晴

    吉田法晴君 この機会調達庁長官に一点だけ伺いますが、それは十ほどの飛行場というお話でありますが、名前が出ておりますのは九つでございます。九つのほかにもう一つありますのか、約十ということで九つなのか、これは具体的に大へん問題なので、その点一つ答弁を願います。
  164. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) 約十ばかりでございます。名前の出ておりますのが十あるように私は承知しておりますが、つまり今五つ計画して拡張したいと申しておりますのは、小牧、新潟、横田、立川、木更津、五つでございます。なお来年度においては伊丹を考えたいという問題がございます。それに千歳、三沢、岩国、板付、これが使えるということでございます。
  165. 館哲二

    委員長館哲二君) これにて二時十五分まで休憩いたします。    午後一時二十三分休憩    ————・————    午後二時三十五分開会
  166. 館哲二

    委員長館哲二君) それでは休憩前に引き続きまして委員会を開きます。
  167. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はまず第一に総理大臣外務大臣に御質問したいのですが、なお各省大臣にも関連しておるのですが、これはまだお見えになっていない大臣でありますから、あとから質問いたしたいと思います。  第一の質問は、昨日もこの委員会で問題になりましたが、ジュネーヴ会談の問題でありますが、これについては昨日も総理外務大臣もこの成果に非常に大きく期待しておる。そうして世界から戦争の惨禍を除くようにこの会議の成功を祈っている、こういうお話でございました。ところで、日本のこれまでのこの財政経済、あるいはまた貿易政策等は一応国際緊張の前提の上に立って展開されて来たと思うのです。日中、日ソ貿易なんかもそういう国際緊張ともはり関連があると思いますし、また防衛費なんかでもそうでありましょう。そこでわれわれ今度のジュネービ会談を非常に期待している点は、もちろん総理外務大臣本期待されたように、平和の確保、戦争の回避、そういう点でございますが、しかしこれが具体的に日本のわれわれの国民生活にとって、これが非常にプラスになるという点は今度の会談の成功というものが……今まで国際緊張の上に展開された日本の財政経済、あるいは貿易政策というものが、今度は世界平和の上に立ってそれが展開されるようにやることが望ましいのですし、そういうことによっていわゆるいろんな直接間接の軍事的負担というものをだんだん軽くしていく、これを民生安定の方に振り向ける、あるいはまた国際緊張の上に立っていたために日本が自由に貿易しようと思っても東西貿易が遮断されておった、極東においてもそういう点があったと思うのです、それがだんだん緩和されてくる、そうして日本は貿易は自由になる、そういう点、特にまた外交としてはこの経済外交を広く展開する上に非常に有利になってくるのではないかと思うのです。そういう意味でこのジュネーヴ会議の成果に期待し、そうして大きく世界史的に国際情勢がここで平和の方向に転換する。ここで日本はこのチャンスをとらえてこれまでのこの軍事的な財政経済、あるいは貿易政策そういうものをここで切りかえて国際緊張緩和の前提に立ったところの財政経済、あるいは貿易政策そういうものに移行していくという着眼に立って、来年度の予算なりそういうものを立てていく必要があるのじゃないかと思うのです。これは非常に日本にとってはいい機会である。先ほども羽生委員からも御質問ありましたが、来年度の予算はこれは大へんなものだと思います。賠償、あるいはガリオアの返済、あるいは防衛費がまたそこで増加すればさらに財政は膨張し一兆円のワクが大きくはずれていく。それで財政収入も確保が困難になってくる。赤字が多くなる。そういう来年度の予算編成のことを考えても、ここでこのジュネーヴ会議の成果に期待し、それをチャンスとして日本の財政経済、貿易政策をここで平和的な方向に切りかえる、このことこそが、今度のジュネーヴ会議に具体的に国民生活のつながりにおいてわれわれが期待するところなんであります。この点に対して総理大臣及び外務大臣の御意見を伺いたい。特に外務大臣については、経済外交との関連において御意見を伺いたい。  なお、私は前からそう思っておったのですが、外務大臣も足がお悪いようでありますし、われわれはここで外務大臣の御答弁を聞くたびに、非常に苦痛のようにわれわれ思われますので、外務大臣も、まあほかの委員に諮らなければなりませんが、少くとも私に対する御答弁はすわったままでけっこうでありまするから、この点について御答弁をわずらわしたい。
  168. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) ジュネーヴの四巨頭会談が重大な影響を日本に及ぼすことは、木村さん御説明通りだと思います。緊張が緩和いたしまして冷戦がなくなるということになれば、中共との貿易などについてのワクも自然になくなって参りまして、中共との貿易も非常に伸展するものと私は考えております。そういうような大勢にもう少し四巨頭会談の方向が明瞭になりましたなら、もとよりその方向に応ずるよう日本の政治ももっていかなくてはなるまいかと考えます。
  169. 館哲二

    委員長館哲二君) ちょっと……。今木村委員からお話がありました、外務大臣の御答弁もその席でおすわり願ったらいかがかと思うのですが……。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 館哲二

    委員長館哲二君) 異議がなければ、外務大臣の御気分によりましてどうぞ……。
  171. 重光葵

    国務大臣重光葵君) そう願えれば、ありがとうございます。  今御指摘の点は、実際今後日本としていくべき道、政策の運用に対して根本の示唆をなされたものと私は存じます。外交の方面から申して、この日本国民生活に直接影響を与え関連をもっている、すなわち外国貿易、ひいては経済外交、その前提は、これは申すまでもなく世界情勢の平和及び安定ということであるわけでございます。そこでゼネバ会議が幸いにして所期の目的を達して世界情勢の緊強を緩和の方向に現実に向わしめることができる、そうなってアジア方面にも好影響を与えることはむろんでございますが、そう相なりますれば、今、日本人としてほんとうに死活の問題でありますこの外国貿易、経済外交、こういう政策運用の点についても非常に好影響を与えることば、これは申すまでもございません。そうでありますから、この四国会議の成功をわれわれは祈る情が特に切なるものがあるわけでございます。国際情勢の緊張しておる間は、どうもさような平和的な政策を運用するということに事欠ける点が多かったのでございまするが、将来は、さよう見通しがはっきりつきますならば、またその見通しを期待して、そうして平和的の政策運用ということ、特に対外的には貿易関係の伸張、経済外交を一生懸命にやる、こういう方面に十分手落ちなく努力をしていきたいと、こういう考え方を持っております。お話通りに、また今総理大臣からお答えがありました通りに、この国際情勢緊張の緩和ということになりますれば、何といっても日ソ貿易はむろんのこと、日中貿易にも好影響を与うることでございます。これまで国際緊張のためにいろいろな故障があった。その国際緊張がなくなれば、従って故障が少くとも非常に多く取り除かれることになりますから、これは最も歓迎しなければならぬことだと思うのでございます。  以上でお答えといたします。
  172. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 外務大臣に対する質問はこれで終りにいたしまして、大蔵大臣及び経済審議庁長官にお伺いしたいのです。  ただいま総理大臣及び外務大臣質問したことは、これまでの日本の財政金融及び貿易政策等は、経済政策一般は一応国際緊張の上に立って立てられていたと思うのです。そういう前提の上に、そういう国際情勢の上に……ところが今度ジユネーヴ会議によって、この成功をわれわれは期待し、また総理も、鳩山内閣全体としてこれを期待されているという御発言がありましたが、そうして平和の方向へ非常に国際情勢が強く動いていく、国際緊張が緩和される、そうしますと、これは日本の今後の財政金融、あるいは貿易政策を立てる上に、一つの大きなチャンスが、転換のチャンスがここで国際的な条件から生まれてくる。これは先ほど大蔵大臣も、来年の度予算について御答弁がありましたが、三十一年度の予算はこれを組むときは大へんなことになると思う、そういう際に今までの軍事的な財政経済、あるいは貿易政策を、ジユネーヴ会議の平和的方向に即応して、ここではっきりと平和経済の方に切りかえるという、そういう着眼をもって今後臨む必要があるのではないか。国際情勢が幸い非常に歴史的に大きく転換する際に、今後のそういう国際情勢に即した、これまでのような考え方、着眼とはまた違った、思い切って違った着眼をしていきませぬと、来年度以後の財政金融政策はもう行き詰まりになるのではないかと思いますので、そういう点から今後の財政金融政策、あるいはまた経済総合六カ年計画、長期計画等についてそのいわゆる心がまえ、そういう点を伺っておきたい。
  173. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 日本の存立といいますか、これが国際的な意味において私は可能であるというふうな考え方を特に終戦以来持っておるわけであります。従いまして国際情勢の変化が日本の各般にわたって大きな影響を与え、またその国際情勢の大きな変化に応じて日本の進路というものもやはり変っていく、これは私も全く同感であります。そういう考えで常に私は考えておるわけでありますが、特に今回は世界平和、だれもがこいねがっておる世界平和ということがみなの努力でかりにできるといたします、これはまだ今後の推移に待たなくては、果して具体的にどういうふうになるか軽々にも私は言い得ないと思いますが、ともかく四巨額が一堂に集まって大きな努力を払っておるということは認めなければならないと思います。それが具体的にほんとうになってくるとすれば、日本としても、私自身としては来年度予算編成についても、むろんこれは私は影響を持つと考えております。特にそういう場合、私の立場からすれば、日本の経済の自立ということ、よそにいわゆる依存をしないという経済を早くやはり打ち立てていくことがどうしても基調にならなければならない。従来、日本がある程度恵まれておるといいますか、あるいは本質において恵まれてなかったかもしれませんが、まあいろいろの意味において国際的な関係において日本をヘルプしておりました政情は、やはりこの国際的な緊張といいますか、あるいは両陣営の対立というそういう関係からきているものも少くなかったのであります。そういうものが今後特に緩和されて行くならば、それに対応した財政金融政策をとることば当然であると考えております。
  174. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいま大蔵大臣がお答えいたしました通りでございまして、日本の長期にわたる経済計画を立てる上におきましては、対外関係というものが非常な重要なフアクターになっておりまして、この一二月にわれわれが立てましたときと比較いたしますと、当時私はあるいは国際情勢相当緊迫し、東西両陣営の冷戦がこのまま続くものというような考え方で立てておったのでありますが、これが今度のジュネーヴ会議におきまして緩和されるということになりますれば、当然対外依存、つまり貿易関係等におきましては、この行き方をよほど考え直して行かなければならぬ、こう存じまして、国際情勢の変化によりまして逐次これを変更いたしたい、こう存じております。
  175. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういう場合にこそ鳩山内閣の唱える自主性ですが、自主性をここで確保するに非常によいチャンスが来るわけなんです。そういう際に日本の防衛に必要のないような基地の拡張とか、そういうものに対してはもっとはっきりした態度で望むような、たとえばですが、その他の問題についてもこれまでのアメリカに引きずられる、こういうような外交あるいは政治、あるいは経済政策でないようにこれを機会にしっかりした自主性を打ち立てるよう希望します。  次に総理大臣にもう一つ伺いたいことがあります。それは非常にくどいようでありますが、この前に補正予算の問題でこれを組まない、天災以外に組まないとおっしゃいましたが、すでにこれは特別会計でありますが、補正第一号が出て来ている。これはまあ一般会計でありませんから、一応予想された補正ではありますから、この前の総理が補正を組まないといわれたものの範囲には一応含まれないといたしましても、今後、あとで御質問したいと思うのですが、食管会計の赤字の問題、あるいは地方交付税が二二%から二五%あるいは七%、衆議院で修正されたような場合に、また、自由党は非常に強く補正を要求しているようであります。そういう情勢にだんだんなってきているのです。前に総理大臣が御答弁になったときよりも、実際の情勢はやはり補正を組まざるを得ないよう情勢がだんだんに生まれてきていると思うのです。それでも総理大臣は依然として前にお答えになったように、三十年度はやはり弔う補正は組まない、天災以外は組まないと、その点についてはお変りないのでありますか。
  176. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私としての希望は、前回も申した通り補正予算を組みたくないと考えております。
  177. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 前の御答弁では組みたくないという御答弁ではなくて、そういう場合には、たとえ総辞職なりあるいは解散か、そういうことをはっきり責任をとるようなきつい御答弁であった。その点は変らないのであります。
  178. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) つまり予算の性質をかえるような補正予算は、一兆円というワクの以内という考え方で本年度の予算は提出したのでありまするから、その性質がこわれるような補正予算をすれば、政府は重大な事件として考えなければならない、こういう気分を持っております。
  179. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その点少しぼやけてきますが、またそういう御答弁ではあとで議論になって、これは予算の性質をこわすとかこわさないとかいうことになってくるが、前の御答弁では、とにかく天災以外には組まない、組む場合には政治な的責任をおとりになるようお話であったのです。はなはだくどいようですが、もう一度繰り返して御答弁を願いたい。
  180. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) ただいまあなたのおっしゃる通りの考え方をしております。
  181. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣はどうですか。
  182. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) むろん同様でございます。むろん補正予算を組む意思はありません。
  183. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは具体的にお伺いいたしますが、この食管会計の赤字の問題です。あの予算が通ってしまってから米価がきまりましたが、今度のこの一万百六十円の米価決定による財源措置ですね、この財源措置が私にはどうしてもわからないのです。これは一応新聞伝えるところによりますれば、今度の一万百六十円による必要金額は、石当り一万六十円で百五億、百円引き上げで二十三億、合計百二十八億円、そこでこの調達方法については輸入食糧の値下りが四十八億、業務用米の売却が三十九億、酒造米の値上げが二十三億、食管の節約が十八億、これで百二十八億になりますが、しかしその前に減収加算の三十二億というものは、これは農林大臣の御説明によると、輸入食糧の値下りによってまかなうというお話である。ところが今度の一万百六十円の財源措置を見ますと、それだけで百二十八億になって、減収加算分の三十二億がどこから出てくるのか、これがどうもわからないのであります。この点を大蔵大臣にまずお伺いしたい。
  184. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今度の予算米価の九千七百三十九円と、きまりました一万百六十円、この差額に要する財源は九十六億であります。これに三十二億加えまして百二十八億、こういうふうに御了承を願います。
  185. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたしますが、ただいま大蔵大臣からお答え願った通りでございますが、今度の一万百六十円に要する分は今申し上げた通り九十六億であります。それに三十二億の減収加算分を加えた百二十八億円。  ただここで御説明を申し上げておきたいと思いますことは、前回輸入食糧の買い入れ費の節減が大体三十一、二億ということを申し上げておいたのであります。ところがこれはその後よく検討いたして見ますると、この三十一億は今度の輸入食糧の時日から推移を演繹いたしまして、年度末までには大体その通りの率で行くとすれば三十一億、ただ、これが実際傾向を見てみますると、漸次御承知通り外麦、外米が下る傾向にありますので、だんだん先安というふうに過去一両年の実績がなっておりますから、そこで今年もその下降率を加算いたしまして、ここに四十八億ぐらいのものが可能ではなかろうかと一応見込んでいるわけでございますので、この点の御説明を申し上げておきたいと思います。
  186. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 九十六億という……、あとでいいのですが、九十六億という積算の数字があったらお示し願いたい。百二十八億、一万六十円で百五億、百円で二十三億、そういう数字になるのじゃないのですか、九十六億というのはどういう計算でなるのかですね。
  187. 清井正

    政府委員(清井正君) ただいま大臣から申し上げました数字でございますが、それは九十六億の内訳は、一万百六十円の米価と予算上算定いたしました米価の九千七百三十九円との差額が四百二十一円になるわけでございます。それに今会計年度に買い上げますところの三十年度産米が二千二百八十五万九千石でございます。これは一部が来年度になりますので、この会計年度に入りますのは二千二百八十五万九千石になります。それをかけますと九十六億になります。減収加算につきましても今年二千三百十五万石程度買う見込みでございます。それに百四十円をかけますと三十二億、合計百二十八億、こういう数字になっておるわけでございます。
  188. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 来年度に一応繰り越されるということでわかりました。  それで問題は来年度です。来年度の食管会計は一体どうなるのですか。本年度でこれだけの赤字が出たのですよ。それでこれをどうやら埋めて、また今のお話ですと、来年度に一応繰り越すことによってつじつまをここでは計数で合してあるのですけれども、来年度の食管では一体どうなるのですか、この赤字は……。消費者米価の引き上げという問題が起ってくるのじゃないかという懸念もするのでありますけれども、ことしはこれで追っつきましたが、来年度はこれだけの赤字の財源がどこにあるのか、来年度の食管の見通しについて大蔵大臣いかがですか。
  189. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 来年度のことは来年度になって一応考えなければなりませんけれども、ただ、今木村さんからのお話でありますが、外米、外麦はやはり現在よりも来年度が上るとは考えなくていいと思うのであります。そうすれば今ここに財源として想定いたしましたものは皆その通り来年は考えられる。ただ考慮しなければなりませんのは、それだけ外米、外麦が安くなったにもかかわらず、消費者にこれを出す場合に、その差額を取って、これを内地米に繰り入れてよろしいか悪いかという問題は別に起ると思いますけれども、財源措置としておそらくそうむずかしくなってこない、こう私は考えております。
  190. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣はどういうお見通しですか。
  191. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これはまあ今回の米価決定に際しましても、食管制度のことについて本根本的に検討を加えるということもあります。こういうふうな研究の結果もあります。さらにまた、そういう研究の結果に特に待つことが多いのでありますが、いずれにいたしましても食管に赤字ができないような措置をとる必要が私はあると思います。できないような行き方を考える必要があると考えております。
  192. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはどういうような方法ですか。
  193. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは今申しましたように、根本的に検討を加えることになっておりますので、そういう研究の結果を持ちたいと思います。
  194. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 赤字の出ないような方法というのは、根本的に検討を加えても、もう大体結論は出てくるのじゃないのですか。統制撤廃あるいは消費者米価を引き上げる、それよりほかに方法がないと思います。しかしもう時間がありませんからこれに多くかかっていることができないのです。  次に今上程されているこの余剰農産物の特別会計の問題でありますが、これの目的ですね、何のために余剰農産物を買うのか。また来年も買われるそうでありますが、結局はこれは国内の円資金調達の手段として買う、これが主たる目的ではないかと思うのですが、そうではないのですか。
  195. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) あるいはこれは経審長官から御答弁があると思いますが、まあ国内の円資金の調達に関連しての御質問でありますから、私から答弁しますが、私はそういうふうな考えではないのでございます。また今度これができましたのもそういう目的をもってやったわけではないと思います。結果においてはそういう役割をある程度果しておりますが、これはやはり結局今日の日本の食糧の需給関係、御承知ように非常に多額のものを輸入しておる、そういう事情にある、それを借款の条件が日本の今日の資本市場から見て相当に有利であるということ、そういうことから余剰農産物買い入れ協定を結ぶことが適当である。こういうふうな考え方から、自然これは円資金がたまりますから、これが日本の開発に使われるという効果はありますが、何も円資金自体を調達するためにこういう協定を結んだのではない次第でありますから、さよう御了承願います。
  196. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 経審長官いかがですか。
  197. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいま大蔵大臣がお答えいたしました通りでございまして、アメリカといたしますればあり余っておる農産物、これの処置に困っておる。日本は絶対に必要なものだ、これだけを買うということはいわゆる相互の間にどっちもいいわけであります。しかもそれが日本に参りますれば、その結果として長期にわたる低金利の金が使えるという結果になるのでありますが、その円資金を得るということが目的でないのであります。ほんとうの目的は、日本は絶対に足らない食糧を取るということでございます。
  198. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 円資金調達が目的でないとしましたならば、余剰農産物輸入しないで、国内で円資金を調達する方法はあるはずであると思います。どういう方法がございますか。これは直接の目的ではないというのですから、円資金調達の方法はほかにあるはずです。あるけれども——アメリカは余っておる、アメリカは売りたい、日本はちょうど必要でないから、たまたま買うのだというのですけれども、しかしそのほかに円資金調達の方法はあるのだけれども——これは主たる目的ではないというのですから、ほかにどういう円資金の調達方法がありますか。
  199. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは一つこういうふうにお考えを願えば御了解が願えると思うのですが、もしも日本で食糧の自給ができまして、外国から食糧は輸入しないといふ状態であるといたしますれば、私はこういう買い入れはしなかったろうと思います。言いかえれば、やはり基本的には外国から、食糧事情というものがどうせどこかから四億ドルに及ぶような、あるいは二千万石、二千五百万石に及ぶような食糧を輸入しなければならぬという基本条件があるので余剰農産物を買うことになりました。その結果円で買います。いろいろな形はありますが、ごく平たくいえば結果的に見れば円で買うということでありますから、その円が蓄積される、これは当然長期の産業資金に使う、こういうふうなことになったのであります。基本は、何でもかんでもそういうふうに金を借りるために余剰農産物を買ったというわけではない。これはそういう必要があれば別個に借款契約をすればよかろうと考えます。
  200. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは詭弁だと思うのです。円を借りるというけれども、今度はドル借款ではありませんか。アメリカから入ってきて、五千九百五十万ドルですか、これは一応国内で売って円をためて、日本政府が持っておるドルをアメリカに売って、そのドルを日本は借りるのじゃありませんか。それでは自分の保有しておる外貨をアメリカから利息をつけて借りるのですよ。そのかわりにアメリカの余っておる余剰農産物が入ってくるという関係であって、何ら日本のドル節約になりません。自分の保有外貨を自分で借りるのですよ。そうでしょう。ですからドル借款である。アメリカに一応われわれの持っておるドルを売るのです。それをまたわれわれが借りるのです。四十年間三分の利息で借りる。それから食糧輸入が必要であるから借款するというのですけれども、それが必要であることはいうまでもない。しかし保有外貨があるのじゃありませんか。しかもこの間本会議で質問いたしましたように、この保有外貨の八割くらいは外国銀行に預けて、この間のお話は、前は八割くらい、この間は五割四分ですか、五割四分くらいが外国銀行、しかもそのうちの定期は一分七厘五毛くらいですね。一・八何%、また当座は無利息でしょう。それで貿易の運転資金に必要とありますけれども、そんなに必要であるはずがないと思うのです。わずか五億九千五百万ドルくらい、日本の今持っている外貨でなぜ買わないか。前の電力借款のときでもそうでした。電力借款しなくても、日本の外貨でこれを調達したらどうかという意見もあったくらいです。しかもこれは元利償還しますと、最後には一億ドル以上になるのです。なぜそんなにする必要があるかというのです。今五億九千五百万ドルくらいの外貨は日本で調達できないはずはないのです。来年度もまた買うやに言われる。これは結局そうしないと国内の円資金が調達できないから、従ってそれも買いたくないのだけれども、ことに来年度においては、余剰農産物を買わないと、愛知用水その他のああいうものの国内円資金が、電源開発の円資金が調達できない。そこから来ているのです。それはいかに御答弁なさっても、国内でそのほかに円資金調達する方法ないじゃありませんか。ですから私はこういう方法で国内の円資金調達をやっていいかどうか、真剣に考える必要あるのじゃないですか。将来、今後においても国内円資金の調達が困難なときにおいて、輸入しなくてもいいものまで輸入してしまう、そういう点が多分にあるのではないか。ですから、今後において国内円資金調達の問題については、再検討する必要があるのじゃないですか。自分に外貨があるのにそれを使わない。しかも、それは外国銀行にただ同様に使わしておいて、そうしてアメリカから利息のついた金を借りて、しかも自分の保有外貨ですよ、保有外貨をアメリカに売ってそれ々借りるのですから、こんな私は不利なことはやらないで、そうして国内円資金調達の方法をここで根本的に再検討しなければならぬ、そういう段階に来ているのじゃないかと思うのです。この点大蔵大臣及び経審長官の御意見を伺いたい。
  201. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今度の余剰農産物買い入れに日本の保有外貨は使っておりません。これはもう当初からアメリカ側で買い付けまして、そうしてこちらに持って来る、こちらで取り立てるという形、これが円になる、円になるつどこれは外貨に変って、アメリカ輸入出銀行から日本政府に貸す勘定になる、こういうふうなことになっている。前のMSAのときには、まず日本の外貨々使ってやっておったのですが、今度はそういうことはない。今度はMSAのときとは違います。それからもう一つ、外貨をたくさん持っておるのじゃないか、それで使ったらいいじゃないか。これはまた一つ別個な考え方で、もしも外貨の保有が非常に多いとなれば、そういうこともあるいはまた考える。しかし今日の日本の国際収支というものは決してそんなに、世間が非常にいいように言いますが、決してそうでもないのでありまして、先般からたとえば新聞等に約十二億程度の外貨保有が全部である、こういうふうに言っておりますが、あれからまたいろいろな実際使えないようなものを差し引きますと、それほど大きなものでもない。今日の日本の貿易を運営して行きまする運転的な資金に必要とするものを、そう大きくオーバーしておるとも考えられない。まして今日の国際収支は、御承知ように、アメリカの特需に大きく依存をまだしている、こういうふうな状況下であるのでありますから、私はそう気前よく行くわけにいかぬ。ああいうふうなどうしても農産物は現金で買わなくてはならない。これはまた東南アジア諸国との関係も十分考えなくてはなりませんが、まあある程度のものを有利な条件で買うことができ、その結果がまた今日の日本の、お話しのよう日本で欠乏しておる長期の資金にそれを使い得るとすれば、これは一石二鳥ですか、いろいろな意味において効果がある。そこで私は理屈を言えば、余剰農産物を買うのが主であって、そうして長期資金の調達はそうでない、私はそう考えておるのでありますが、むろん長期資金に使う役をしておるということは私は否定しておらない。そういう役割は十分四十年の長きにわたりまして円にして四分、ドルですれば三分で使えるということは、これは好ましいことであるのでありまして、それを否定するわけじゃない。ただ理論的にどっちが主であるかと言えば、これは農産物を買う必要があって買うことが原因である。その結果長期資金もここに形成をされた、かように私は思っておるだけであるのであります。
  202. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それじゃ最後に……。それは大蔵大臣はそういう答弁をなさいますけれども輸入しなきゃ国内円資金調達が困難ですから、特に来年度あたりには政府は今検討中と言われるが、来年度輸入するか、輸入しないか検討中と言われますが、円資金調達の見込みがないから、どうしたってこれを輸入して円資金を調達するよりほかない。実際問題としてそうなんです。そこで輸入条件は非常に私は不利だと思う。綿花などは、さっきいただいたこの資料によりますれば、それから経審長官の御説明ですと、世界価格によって買うというのです。アメリカの綿花価格は御承知よう世界の価格よりも二%高いのでしょう、高いのですよ。そういう高いものを買わざるを得ない。そこで私は農林大臣に伺いたいのですけれども、この余剰農産物については価格条項というものはあるのかどうか。それで通常輸入については価格条項がございますね。通常輸入については、小麦、これは本年度です、小麦七十五万トン、大麦二十万トン、米二十万トン、綿花二十七万五千俵、タバコ二千九百トン、これについては価格条項があって、アメリカがあまり高い場合には拒否できるとなっていますが、余剰農産物の場合には価格条項がないのでしょう。ですから高い場合に拒否できない、そういうことになっておる。ですから、綿花について高いのに、これをわざわざ買わざるを得ない。通常輸入の場合には価格条項があるのですよ。余剰農産物の場合には価格条項がないのはどういうわけか、高いものを押しつけられた場合どうするか。この点今後の、今後かりに輸入するというような場合に、やっぱり重要な問題だと思う。その点と、さっき米については十万トンと言われたのですけれども、二十万トンを計画しているのじゃないですか、ことしは……。その点ですね、これは河野農林大臣に伺いたいのですが、それから品質の点ですね、品質の点は一体どういうことになるのか、この点もわれわれ非常に疑問に思うのです。期待したような品質とはずれたものが来た場合、一体どうなるのか、そういう点もっとはっきりさしたいと思うのです。それから大蔵大臣は外貨節約になるように非常に強調されていますが、アメリカが使用する分ですね、八千五百万ドルのうち三〇%分、すなわち二千五百五十万ドルはこれは外貨節約にならないのであって、アメリカのいわゆる域外調達のかわりになるわけですね。そうしますと、もしこういうことをやらなければアメリカからドルが入るのに、ドルが入らないでアメリカの余剰物資が日本にやって来て、余剰物資が日本は収入になって、その余剰物資をもってアメリカ日本から好きなものを買う。東南アジアに向ける軍需品を買う。そうすると、ドル収入は減少するわけですよ。域外買付分がそこで減るわけです。理論的にいきましてこんな不合理な協定はないと思う。アメリカから一定の使用価値、余剰農産物という、小麦、綿花とか、一定の使用価値しかないものを日本に持ってくる。そうして日本において日本の通貨に変えて、日本の通貨というものはあらゆるものに変るのですよ。それで一般的等価物に変えてしまうのです。日本は一定の使用価値分しかアメリカからもらわない。ですからドル借款ならわかります。ドルの借款ならばこのドルで何でも買える。ところが一定の使用価値分だけしかアメリカから持ってこないで、それで日本へ売った場合アメリカは何でも買える。アメリカの余剰物資でもって好むものを買える。しかもこれは域外買付の外貨収入にならないのです。もしそうでなければドル収入になるのに、これを輸入するために二千五百五十万ドルはドル収入にならない。それからさっきも五千九百五十万ドルの借款分について、これは日本の保有外貨をあれするんじゃないと言いますけれども、ドル借款じゃありませんか。ドル借款ですからアメリカから農産物を売って円にして、その円に対して日本がドルをアメリカに売ってやって、そのドルを日本が借りる、こういうプロセスになるでしょう。ですからそのかわりに余剰農産物日本がもらう。こういうことになるわけです。ちっともこれは外貨の節約になるわけじゃないと思うのです。ですから当初の場合と非常にこれは違ってくる。ですからこの前本会議においても余剰農産物を受け入れる場合に日本の外貨が非常に少くて困っている。当時食糧が売手市場で買う方が非常に不利な場合、これを非常に期待したのですけれども、今は条件が変っているのです。どこからでも食糧は安く買えるのです。それから外貨ポジションも改善されてきているのです。条件が変っているのです。ただ国内の円資金調達のためにこれをやった方が便利であるということだけからきているのですから、この点よほど再検討しなければ非常に、日本にとってむしろこれはマイナスですよ。最後にその点について河野農林大臣大蔵大臣、経審長官にお伺いしまして私の質問を終ります。
  203. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。ただいまの価格のことでございますが、これは交換公文の中にありまする、あの参考資料として差し上げてありまする資料の中に書いてある通りであります。従ってこれは一般のものと同じであります。
  204. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうすると、高い場合にはやめていいのですか。
  205. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) この交換公文にありまする「協定第一条の規定に基き、及び第四条にいう「通常の市場取引」に基いて日本国が行う合衆国の農産物の購入は、世界市場における競争価格で行われるべきものと了解される。」ということですから、世界市場価格で買うというのです。
  206. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは断われるのですが、高い場合はいやだということが言えますか、この余剰農産物についてですよ。
  207. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 余剰農産物についても高ければ断ってよろしいのです。それから米の予定でございますが、これはすでに協定いたしました分は十万トンでございます。で、今後のものにつきましては、先ほど経審長官高碕さんからお答えになりました通りに、米はなるべく日本としては買いたくない、こういうつもりでおるわけであります。
  208. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) この二千二百五十万ドル、三割の分ですが、この分はこういうことがないならアメリカは当然ドルをもって買うのだから、それだけ日本のドルがふえるのをむしろ妨げておるのじゃないかという、これはもしもこれをやれない場合に、そういうふうなアメリカが必ず買い付けをやればこれは私はお説のようになると思いますが、その辺が必ずしも、これをやめた場合に、それならアメリカが特にそれだけ大きく買うか、これはまた私は必ずしもそうは言えないのじゃないかと思う。こういう金があるから買おうかということにもなるのじゃないかと思いますが、これはしかし理論的には私はお説のようだと思います。それからもう一つのこの外貨のことは、保有外貨の節約にならぬじゃないか。これは私ちょっと理解をしかねるのでありまして、これはアメリカの方で自分のドルを使って食糧を買いつける。そうしてその食糧が日本にきまして、これを払い下げて円になります。そうすると、その円が今度はドルにまたなる、円がたまるつどドルに変って行って、その累計が結局五千九百五十万ドルになる。その間にむろん勘定としてはアメリカの輸出入銀行から日本政府に貸す勘定になって、日本銀行に勘定が浮きます。すべてがアメリカのドルが元になる。それが食糧になり、円資金になり、その円資金がドル借款という建前をとる関係上、一応ドルに変る形をとりますが、まあこれはごく平たくいえば円でも返していいのですから、売却代金の円がずっとたまると、二百十四億ですかたまると……、こういうふうに考えてもいいのですから、これはどれだけの食糧を入れる入れないにかかわらず日本の外貨は使っていない、こういうふうに解釈すべきだと思っております。
  209. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 国内の円資金調達の問題ですね。国内の円資金の問題について一つ……。
  210. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 第一に御質問余剰農産物の価格の問題につきまして、価格は国際価格よりも高くなったといった場合ですね。あれだけの数量なり、金額の範囲において買い取ることになっておりますから、こちらがどうしてもその値段で折り合いがつかぬということなら、これは断わってもいいわけになっております。従いまして、価格は向うから押しつけられるという心配はないと、こう解釈していただいていいと思います。それから日本で使いますアメリカの保有しておる円でございますが、これは日本の正常貿易をじゃまにしないとか、日本の経済のじゃまをしないということが条件になっておりますから、大体大部分はアメリカの人たちのいいようにということがおもなる目的になっておるわけでありますから、そのほかにいろいろ小さな問題は御承知のごとくあるようでございますが、大体日本の正常貿易をじゃましないということになっております。
  211. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 答弁になっていないです。簡単にもう一度……。国内の円資金の調達の方法ですよ。余剰農産物のこの長期計画関連して、今後円資金を調達しなければならぬでしょう。そういう場合に余剰農産物をしよっ中輸入すれば、円資金を調達して行くそういう方法を、将来の円資金計画としてどういうふうにすればいいと考えているのか。余剰農産物の買えないときは円資金の調達ができなくなる。そういう場合に長期計画関連して円資金調達をどういうふうにお考えになるかという点については御答弁がないのです。
  212. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 六カ年計画を立てまするにおきましては、余剰農産物が入ってきたこの円をもってこの計画を立てるということは初めから考えておりません。従いまして、本年は余剰農産物があったから、この計画遂行上この円資金を得ることについて非常に円滑に楽に行くと、運営が楽になるというだけのことでありまして、これがないからといって六カ年計画遂行を阻止するというようなことはない方針で進んでおります。
  213. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 去る七月十五日の閣議で、現内閣が行政改革の問題をお取り上げになりましたことは、まことにけっこうと存じております。御承知通り行政改革は吉田内閣でしばしば取り上げられた問題でありまして、昭和二十六年の政令諮問委員会は官制によったものではありませんでしたけれども、中枢にその人を得ましたがために答申は相当徹底したものでありました。一昨年の緒方副総理を本部長として大がかりな臨時行政改革本部は、機構改革を与党の委員会の手に移してからは龍頭蛇尾に終ったのであります。そこで私の申し上げたいのは、行政改革を成功させるのには、中心に専心没頭して草案の作成に当る人がおることと、方針をきめるために、民間人を委員長とした熱意のある委員会があることと、相当の予算とスタッフを有する事務局があることが必要であると思います。そこで私のお伺いいたしたいのは、行政改革の問題を推進するために、いかなる組織で、どのくらいの予算と期間をもって、これをなし遂げる御構想であるかどうか。  申すまでもなく、この問題は相当根強い官僚の組織的抵抗を覚悟せねばなりませんから、これを突破するには強い政治力を必要といたします。総理はあらゆる困難を排除して、この問題を真剣に取り組んでいただきたいと存じますが、どうか不退転の決意をもってこれを成功させるようにお願いを申します。今の、いかなる組織で、どのくらいの予算で、どのくらいの期間で……その構想をまず承わりたいと思います。
  214. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 財政の負担を軽減いたしまして事務能率を増進させるということの必要なことは申すまでもございません。そのために、ただいまの御質問ように、担当機関を設けて取り組むのかどうかというような御質問に対しましては、ただいまのところ正式にそれを取り上げておりません。しかしながら、必要なことは非常な重大な必要性を持っておりますから、引き続いて検討して、各方面の意見を聞いて、慎重に対処していきたいと考えております。
  215. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 先般本委員会で、国防会議の性格について、自衛隊法第七十六条第一項ただし書きは、国会開会中といえども総理大臣の独断で自衛隊の出動を命ずることができ、事実上の戦争に突入する危険があるから、緊急防衛出動の場合のみ国防会議の同意を要することとして、そのために国防会議を挙国一致的の体制とすべきであると申し上げて、総理も一応ごもっとものように考える、こういうお答えがございましたが、その後、国防会議の構成から民間人を除くべしとの自由党の申し出に同意せられたということが報ぜられておりますが、事実でございますかどうか。もし事実、民間人を除くとすれば、国防会議は国防関係閣僚懇談会が足ると思うのでありますが、その設置の要はなくなると思いますが、いかがでございますか。
  216. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 民間人を除くことに同意をいたしましたことは、御質問者の通りであります。民間人を除くことに政府は同意いたしました。しかし民間人を除きましても、本来の目的からみまして、民間人を除いても運営ができると考えたからでございます。
  217. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私は、国防会議に民間人を入れるということは、これは国防会議設置の基本方針であると思います。しかもこの基本方針を譲ってまでも、今までの延び延びになっておった国防会議の成立を急ぐ根本的の理由は一体どこにあるか、これを承わってみたいと思います。
  218. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 国防会議ができまして、長期の国防計画を立てるということは、非常に必要に迫られておりましたためであります。
  219. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 民間人をのければ骨抜きになるのではございませんか。
  220. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 通常には差しつかえないと考えました。これは民間人を除くというのは、自由党本来の主張でありまして、前から民間人を除く論を自由党は持っていた次第でございます。それでありまするから、どうしても民間人を除かないと国防会議は成立いたさないのです。成立いたしませんと、長期国防計画が立たぬことになりますので、やむを得ず民間人を除くことに同意をいたしました。同意をいたしましたけれども、運営には差しつかえないように考えたのであります。
  221. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私は国防会議は、緊急防衛出動の場合を想定して、挙国一致的のものでなければならない。それにはどうしても有力なる代表的の民間人を入れねばならぬ。これが国防会議の基本的の最も重要な点である、かように考えておりますから、今の御説明には納得できませんけれども、これ以上ば時間が制限されておりますので、次に移ります。  政府は、七月九日に食管制度の根本的検討を条件として、新米価をきめられましたが、いかなる方針で今後検討されるか、自由販売との関連においての総理のお考えを承わりたいと思います。
  222. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私の個人としては、自由販売に移行することがいいと思っておりますけれども、ただいまのところ、自由販売をしたならば危険が伴うという議論がなかなかあるのでありまして、ただいま直ちに自由販売に移行するわけにも参らないのであります。
  223. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 再検討の方針は——根本方針はいかがですか。食管制度の再検討の根本方針、方向はどうですか。
  224. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 変更いたさなくては、この形で継続をしていくことは困難なことと考えております。
  225. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次に、新米価は一万百六十円で、予算米価と相当の値開きがございますが、一体、予算米価というのは、それほどずさんなものであるかどうか、予算の信用の上から大蔵大臣に伺いたいと思います。
  226. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 予算米価が決して私はずさんであるとは思わないのでありますが、予算編成当時において最も適当という考えで予算米価は組だんわけでありますが、しかし御承知ように、米価決定についてはいろいろな御意見もあります。またいろいろな機関の手を通して慎重にきめなくてはなりません。その結果、今回予算米価と相当開いた一万百六十円ときまったのでありますが、結局これもわが財政経済全体から見て運用ができると思いましたので、同意をいたした次第であります。
  227. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 さらに蔵相に伺いたいのですが、新米価が決定しまして、食管会計の赤字が出た。結局国民負担の増大を来たすわけでありますが、その赤字補てんの財源の内訳の詳細と、石百円あたりの減税のための税収入の減額は幾らでありますか、伺いたい。
  228. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 減税分につきましては大蔵大臣からお答えしていただきますが、今の値上げについての財源は、食管会計の中でこれを操作することといたしておりますので、便宜私からお答えいたします。  先ほども申し上げました通りに、今回の一万百六十円に、予算米価をさらに実際の米価として決定いたしましたにつきまして、その差額は九十六億円要るわけでございます。この九十六億円要りますのに、さらに食管会計といたしましては、先般の減収加算の分として三十二億円、合せて百二十八億の支出増になるわけでございます。これに引き当てまして今一応想定いたしておりまする財源措置といたしましては、輸入食糧の買い入れ費を節減する分が四十八億円、この四十八億円は、先ほども申し上げましたが、大体外米、外麦を買い入れますのに、今日まで実際買い入れを行いました実績から見まして、この実績を予算の数字と見合いまして、これを今後の輸入量を全部今までに買い入れました計数でそのままはじきますと、大体三十一、二億円予算よりも安く買えることになります。さらにわれわれといたしましては、現在よりも年度末に、さらに外米、外麦が最近一年間値下りしておりますから、その値下りの傾向をさらにはじき出しますると、三十一億円の今までの実績にさらに加えるに十六、七億の値下りの傾向率が出て参りますので、これを勘案いたしまして、四十八億くらいが今年度中に予算で一応立てましたものよりも安く買えるだろうということが想定できるわけでございまして、これによって四十八億をはじき出しておるわけであります。次には食管会計の経費を節約する分で十八億を見ております。大体この十八億の内訳といたしましては、運賃の値引き、倉庫料、つまり保管料の値引き、さらに事務費の節約、この事務費は、前年度つまり二十九年産米が、当初予定いたしましたよりも買い入れ額が少うございましたので、予定だけ買っておりませんので、そのために節約になっておる分が約四億ほどありますので、それと、さらにMSAによるところの輸入の運賃の払い戻しの分が約五億ほどございます。これらを合せまして約十八億になります。これが第二の経費の節減であります。第三に、業務用米の販売をいたしたいと思います。これは準内地米、すなわち内地米に準ずる外米を約十七万トン、これも運用の上に、実施の上におきましては、多少変更を加えますが、一応想定といたしましては一升百三十円前後をもって、これを列車の弁当米でありますとか、旅館の食糧でございますとか、従来これらをやみで買って充当しておりましたものに対して、これを政府から販売をいたしまして、これによって三十九億円、それから酒造用米の増量並びに値上げ、酒米を予算上は八十二万石ということになっておりますが、これを百十万石に増加いたします。ただしこれは二十九年産米においては百万石になっておりますので、実際の増加は十万石でございます。これを十万石増加することと、さらに価格において、予算では一万二千四百円になっておりますのを一万三千八百円に値上げをする。これによって二十三億大体想定できまするので、合せて百二十八億ということで、これによって食管内の会計の処置ができるということに想定をいたしたわけであります。
  229. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 ついで農相にもう一ぺん伺いますが、酒造米や業務用米の増加は、結局配給量の上前をはねるということで、私は妥当でないと思います。  それからもう一つは、十八億の節約が今さらできるということは、一体予算を組んだ当時に当然わからなくちゃならぬので、今になってこういうことができるということは、非常に放漫じゃないか、この思うのですが、この点に対する御弁明を承わりたい。
  230. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 今の業務用米、酒造米につきましては、業務用米は今申し上げましたように準内地米でございまして、内地米を回すことは考えておりません。さらに酒造米につきましては、これは特殊の状態でございまして、大体配給辞退米が二十数万石東北その他で出て参るわけでございます、これらを引き当てて、例年やっておることでございまして、それを十万石ふやしても、配給量は従来通り決して八日分を減らさないということで確保して参るつもりでございます。  さらに経費の節減は、予算編成当時どうしてこういうことがわからなかったかということでございますが、これは今も御説明申し上げました通りに、一応運賃は丸通関係のものでございまして、従来引き続いてやって参りましたものをそのまま予算に計上したのでございますが、各方面調査検討いたしまして、私といたしましては、丸通との契約を変更いたしまして、少くとも六、七億のものを節減したいということで、せっかく今、丸通と交渉中でございます。運賃は総括してやっておりますので、それから倉庫料につきましても、倉庫料が漸次下っておりますので、これも公定の倉庫料を従来払っておりますから、これを公定よりも市中の実際の倉庫料を勘案いたしまして、これも引き下げの交渉をして下げていくということにして、従来公定で一切運用して参りました、数年来やって参りましたものを、現在の実情に即して各方面調査いたしまして、そうして節約していきたいということで出したのが、今申し上げましたように約十億でございます。
  231. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 準内地米でも配給をふやす方が私はいいと思いますが、この問題はそれでとめておきまして、業務用米、酒造米、この値段を上げるということは、結局低物価政策に反するのじゃないか。それからもう一つは、昭和三十年度産米については、消費者価格は今後一切上げないか、この二つを蔵相に伺いたい。
  232. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 消費者価格は上げる考えは持っておりません。  それから酒造米で結局これは消費者負担になりはせぬか……(八木幸吉君「低物価政策」と述ぶ)低物価政策、これは私、別にこれをしたから酒を上げるというわけではありません。直接には私は低物価政策に反することはないと思っております。
  233. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 補助金適正化法案が提出されたのはまことに結構でありますが、一日もすみやかに参議院に送るように御督促をお願いしておきます。  そこで私は伺いたいのですが、補助金の適正かつ効率的の使用のためには、三つの方法があると思います。その一つは会計検査院の機能拡充であり、その第二は行政管理庁の監察部の強化であり、第三は各省内部監査の強化と対策樹立であります。そこで、会計検査院の予算の増加は数十倍の国費節約となって、国費の最大の効率的使用であると考えますが、政府は来年度に会計検査院の予算を一体どれくらいふやすお考えであるか、また補助金の総花的の傾向を引き締めるために、どういう御用意があるか、これを大蔵大臣に、それから行政監察を有効に行うために、いかなる具体的政策をお持ちになっておるか、これを行管長官におのおの伺いたいと思います。
  234. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 来年度におきまして会計検査院をどういうふうに拡大強化するか、これは来年度の予算編成については、なおこの国会も済みまして早速取りかかるつもりにいたしておりますが、まだ具体的にどうということはきまっておりません。がしかし、この補助金等の適正化をはかるために、会計検査院の検査の必要なことは言うまでもありません。そういう見地から、三十年度の予算におきましては、御承知ように六十人を増員をしまして、かつまた出張その他の旅費等についても、予算措置を講じまして、この強化をはかったような次第でありまして、その精神は十分持っていきたいと思います。なお補助金につきましては、特に私は今年もそういうふうな考えをもって臨んだのでありますが、はなはだ微力で、結果におきましてはなはだ思わしくないことになりまして、私自身としては遺憾といたしております。しかし明年度におきましては、歳出は特にふえる面が多いのであります。こういう意味におきましても、補助金が本当に補助金の効果を発揮して、その役目を果すということでない限りは、補助金についても厳格な態度で臨んで、一つの基準を作りましてやっていきたい。これもしかし結局強い政治力のバックを持たないと、なかなかむずかしいのじゃないかと思って実は悩んでおりますが、そういうこともおそらくこの国内の情勢から見れば、私は期待ができるのじゃないかと思いまして、これは来年は思い切って一つやりたい、かように考えております。
  235. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 行政監察につきましては、毎年、年度の当初に一カ年の大体計画を立てまして、三カ月ごとに再検討をして、計画を実施することにいたしております。ただいま問題になっている補助金につきましては、本年は特に取り上げまして、補助金が適正に使われておるかどうかということを検討いたすことにいたしております。
  236. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 補助金の使用については農林省が最も乱脈でありまして、二十八年度の会計検査院の検査報告によれば、八十七億円が工事節約額として早期検査のために発見された、これは災害復旧費の査定が八〇%以上机上査定であるからということも大へん関係を持っているのであります。それでこれを是正するために不正の防止、零細補助金の整理、実地検査の励行等について、どんな具体案をお持ちになっているか。
  237. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 農林省は御承知通り補助金の種類も非常に多うございますし、しかもこれが各町村に非常に細かく参りまする関係、その他今の農業災害、また保険等の事務がとかく徹底いたしませんで、御指摘のようなことになっておりますることは、はなはだ遺憾にたえない点でございます。そこで私といたしましては、これらの点を十分考慮いたしまして、三十年度予算におきましては十一名の災害査定官を増加いたしまして、すなわち農林省に現在考査室を設けまして、みずから事業の考査をやっておるわけでありますが、それを十一名増加いたしまして、そして過年度の災害についても、これらを実地に現地に派遣いたしまして、調査をいたしておるわけでございます。また零細の補助金につきましては、会計検査院より検査報告、行政監察庁の御報告等を十分検討いたしまして、今後これらの点について遺憾ないようにしたいと考えておりますが、特に私は明年度予算の編成に当りましては、従来細分化されております補助金の予算の組み方を、この機会にできることならば最大限に予算編成がえをいたしまして、そして今までの細分化されております予算の組み方を筋を大きく立てまして、そして大筋で補助等をして、所期の目的を達するようにいたしたい。現在農林省の補助金の費目が大体三百五、六十あるわけでございます。そういうふうになっておりますので、何としても予算の運用に非常に目が届きかねると申しますか、遺憾の点が多いのでございまして、この点については特に慎重に検討を加えまして、何とか御期待に沿うように折角努力するつもりでございますから、御了承いただきたいと思います。
  238. 羽生三七

    ○羽生三七君 委員長関連して。今八木さんの御指摘の点はごもっともな点で、私も同感でありますが、ただ問題は会計検査院が指摘し、また参議院の決算委員会が取り上げたこれら補助金の使用状況は、今八木さんが御指摘になりましたように、これももとをただして、抜本的対策をとらなければならぬと思いますが、同時に私は考えていただきたいことは、この五割なり六割、七割の国庫補助、県費補助をもらって、残り三割、四割というものを地元負担でやる、ところが地元負担もまるまる出して工事をやるほどの能力がないのが日本の大多数の町村です。いいことだが——いいことではない、悪いことだ、長年彼らは地元負担というものは出さない工夫をして、そして県費なり国庫補助で事業をやるという長い習慣を持ってきておるが、これは実を言うと、日本の町村のあまりにも貧しい財政を如実に現わしているのです。そういう意味からいって、不正使用をためるとともに、一面において補助の効率的使用、もう一つは、何か農村のサービス・センターでももっと拡充して、たとえば実行組合単位にして、農業用噴霧器を入れてやる、あるいは脱穀機を入れてやるとか、何かそういう目に見えた補助だけでなしに、そういう農村の生産力の増強というものをあわせて考え、補助としては効率的な使用をやることをあわせて考えていかないと、ただ罰則だけでは今の農村はどうかと思う点があるので、厳正に不正をためるとともに、今のこともお考え願いたいと思いますが、農林大臣いかがですか。
  239. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私はただいまの御意見全然同感でございます。先般も参議院の方面からこの罰則の強化につきまして強い御要望がありましたときに、ただいまの御意見と同様な意見を私も開陳いたしまして、まず国として考えなければならぬことの方が先だというようなことを申したのでございますけれども、これは併行してゆくべきだ、一方罰則の強化は強化としてこれを提案し、一方においては今御指摘になりましたような点について今後考慮してゆかなければならぬ。  そこでこの機会に申し上げておきたいことは、農政そのものが混淆しておる、これは食糧の統制と相関連いたしまして、この食糧の供出制度を一方においてやります半面において、これを補強する意味において、あらゆる補助政策が行われておるというようなことから、地域的な補助政策、細分化されたる補助政策というようなものがありまして、非常に複雑になっておりますのと、それからまた一面において地元負担をどうしてもつけなければならぬようなことになっております点等からいたしまして、今日のような状態になっていることも勘案いたしまして、全面的に考え直す必要があるだろうということで、せっかく価格政策と補助政策とあわせて考えてゆきたい、農林省の予算の編成もあわせて持ってゆきたいということで、せっかく今努力をいたしておるわけでございます。御趣旨に沿うように努力するつもりでございますから御了承願います。
  240. 秋山長造

    秋山長造君 委員長簡単に……。
  241. 館哲二

    委員長館哲二君) なるべく一つ簡単にお願いします。
  242. 秋山長造

    秋山長造君 今農林大臣お話しでは、農林省に考査室を設けて徹底的にやるというお話しですが、大体補助金の監査なり検査なりということがずいぶんいろんな方面に分れてしまって、まず会計検査院というものがある、行政管理庁がある、さらに各省に大臣直属の考査室とか考査課とかいうものがある、さらにまた各課がそれぞれに自分の担当する補助金の行方について地方の県や市町村に対して監査をやっておる、だから中央の方はそれでいいとしても、監査や検査を受ける地方の自治体としては、もう中央からの検査官や監査官の応接にいとまがないというようなのが地方の実情だと思う。そのたびにやはり温泉へ連れていったりあるいは料理屋に連れていったりということが実態なんです。だからそれだけまたその面では、そうでなくても苦しい地方財政を膨脹させるということになっている。そこで私は検査事務、監査事務はあっちこっちでやらずに、会計検査院なら会計検査院で徹底的に強化して、そしてそれ一本でやる。また各役所の各課がばらばらにやっておる監査事務は、府県や何かには監査委員制度というものがあるのですから、それを今のような中途半端ではなしに、もう少し権限を強化して、それに委任する、何かそういうような、経費をできるだけ少くして、しかも徹底してやれるという方法をお考えにならぬと、ただやたらに監査をやろう、窓口ばかりふやしておやりになっても、これは実効は上らんと思う。その点について一つ政府の方の根本方針をお伺いしたいと思います。
  243. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 行政監査の一元化につきましては、年来いろいろ御議論もあったかと思います。私どもがあずかっておりまする行政管理月といたしましても考究をいたしておるのであります。ただ現在の段階におきましては、会計検査院は主として経理の監査をいたしまするし、行政管理庁では行政面の監査を主としてやっておるわけであります。また各官庁にありまする監察官、考査官というものは専門的の知識が要る点につきまして、特に自分の役所の仕事を監査しておるのでありまして、ばらばらになっておるのでありますが、少くとも会計検査院と、もう一つは行政監査のために一本化する意味と、この二本建ぐらいにすることは必要じゃないかと考えまして、方法につきましては一応検討しまして案ができましたら、それぞれの各省の大臣に協議をする、こういうつもりで今やっておるのであります。
  244. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 最後に新生活運動についてお伺いいたします。新生活運動は上意下達ではなくして、民間からの盛り上る国民運動にしたい御趣旨は大変けっこうでありますが、そこで身近な問題を一つ二つ伺いたいと思います。  第一は、先般国会の事務関係の三億円の建築のことを申し上げましたが、その後総理は何かこれについてお考えがありますかどうか。  それから第二は……。
  245. 館哲二

    委員長館哲二君) ちょっともう一遍、今総理が……。
  246. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 それじゃ時間をもう少し下さい。(笑声)先般ここで地上五階地下一階の事務関係の約三億円の建物をここへ建てる、こういう話しがあった。現に工事にかかっておる。ところが国会相当の金々使っているのにこの上事務室を一体三億円も出すということは国民に対してもよろしくないじゃないか。これはぜひ一つ取りやめてもらいたい、これは第一党の総裁の総理にぜひお願いしたい、こういうことを申し上げた。それについて何かお考えになったかどうかということを第一点に伺いたい。  それから第二点は七月四日に総理大臣のお名前で予算に賛成した人を首相官邸におよびになって晩餐会をおやりになっております。これは小さい何でもないようなことでありますけれども、国費でおやりになったと思いますが、一体予算に賛成した人と反対した人を区別して総理大臣の立場で差別的に遇するということは、これは正しいことじゃないと思う。いやしくも議案の賛否によって人を招待するとか招待しないとかいうことは、これは道徳的に言えば、一種の贈賄とでも言えるくらいの問題で、事柄はきわめて小さいことで、何だあんな小さいこととお考えになるかもしれませんけれども、国の費用で議案に賛成した、反対したで、あれは保守結集の含みで誰か策士が考えてやったことだと思うのですけれども、こういうこともやはり新生活運動の立場からいって、これは十分一つこういうことは今後自戒されるということが私は必要じゃないか。総理は御存じないかもしれませんけれども、特にお願いをしておきたい。  それから最後にもう一点でありますが、これはこの前も伺ったのですけれども総理はよく御存じなかったのであらかじめ申しておいたのですが、滞在費を一応辞退してまた復活をされたという話があるのですね。議員の滞在費一日二千円、それが千円上ったのが、千円はやめておこうというのでやめになったのが、また去年の十三月に民主党ができたときにそれをお取り消しになっておる。総理は御存じありませんかしりませんが、どういう意味でお取り消しになったかということも、この機会に聞きたい。要するに私の申し上げたいのは新生活運動はみずからを正すということが第一でありますから、私自身はむろんでありますけれども国会でもまた各閣僚各位でも、いやしくも指導的な立場にある人は相共に十分自粛自戒することが先決である。これをやらなければ幾ら声を大にして新生活運動を叫ばれても国民はついてこないだろう、国民の方から盛り上ってこないだろうというので、非常に小さい問題のようでありますけれども、今の三つの点を伺います。幸い総理事情を御存じなら率直に一つ答弁いただきたい、こう思うわけであります。
  247. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) この付近に建ちます建築につきましては、すでに始っておりますのでこれを取り消すということができないのであります。  それから総理の官邸へ予算の賛成を願った人の招待は、これは国費は使っておりません。それからこの会合の希望は自由党と民主党の合同を熱望しておる人たちの依頼がありまして、そうして、企てたのでございます。  それから二千円の滞在費の辞退は、これは辞退いたしましても直ちに国費に戻らないというわけでありますので、さたやみになったようなことであります。
  248. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 国費を使わんというお話でありますけれども内閣総理大臣鳩山一郎の名でこういう招待状が出ておるということは、この招待状は公私混合である。今後民主党総裁鳩山一郎でこういうものをお出しになるように官房長官に御注意が賜わりたいと思います。
  249. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) はい。そういうことは存じませんでした。
  250. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 政府は愛知用水事業を初めといたしまして篠津開発を、あるいはまだ確定はいたしておりませんが、八郎潟の干拓、なお機械、大規模の開墾等農業開発を促進いたそうといたされておりますが、この本旨につきましては別に異論はないのでありますが、これに関連して三、四御質問をいたしたいと思うのであります。  見返り円資金を電源開発には百八十二億、農業開発にはわずかに三十億を融資されておるのでありますが、元来農産物の買い入れによって日本農業相当私は圧迫するのではないかと考えておるのであります。かように考えると農業の犠牲において成立したこの借款を電源開発の方に大幅に配分いたされておるのであります。農林大臣も三十億でおそらく満足いたしてはおられないと思うのでありします。総理大臣も農民の身になって一つお考えになって、この点いかようにお考えになっておりますかお伺いいたしたいと思います。
  251. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 農林大臣から答弁してもらいます。
  252. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。余剰農産物の資金が農業関係にこれを受け入れます分が愛知用水その他に三十億は少いということでございますが、実は政府といたしましては、従来そういう計画で参ったのでございます。その他の関係農業関係の方におきましては準備が間に合いませんでしたので、準備完了いたしておりまする愛知用水と機械化開墾の一部ということで今年は終ったわけでありますが、明年からはこれらの点につきまして十分努力いたしまして、その他の農業関係におきましてもなるべく多くこれを使うことに今せっかく相談中であります。
  253. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 愛知用水事業その他世銀の対象となっております事業に対しまして、当初の計画通り世銀の借款及び見返り資金のみではとうていまかないきれない場合が将来生じてくるのではないかと思うのであります。これを一般会計による出資といたしまして実施する場合には、全国の農民が希求しておるいわゆる食糧増産のもとをなす土地改良等の予算のワクに非常に影響を及ぼしてくる。言いかえれば全国の農民のまた犠牲においてこういう特定の地域の開発をいたさねばならぬということが将来生じてくるのであります。この点が非常に農民として憂えておるのであります。大蔵大臣はこの点についていかにお考えになっておりますか。なお農林大臣はどういう決心を持ってこの事業を遂行なさらんとしておりますか。
  254. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 今のお尋ね余剰農産物の資金、世銀の資金がなかった場合に云々ということでございますが、われわれは先ほども他の委員お尋ねにお答え申し上げました通り、今年、明年、明後年、今一応重政委員の抑承知になっております通り、今後三カ年の資金計画といたしまして、われわれは余剰農産物予定いたしております資金につきましては、当然特別の事情の変化のない限りこれを受け入れていくことが妥当であろうと、またアメリカ側の理解ある協力が得られるだろうということのもとに立っておるのでございまして、そういうことでありますれば、これを基礎といたしまして、それに不足する資金は一般会計の方においてこれを補てんしていく。ただしその場合には今御心配いただきました他の土地改良費等に食い込むことのないようにすることには私といたしましても絶対に努力を払って、そういうことのないようにしていくつもりでございます。
  255. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 農林大臣の御意見はわかったのでありますが、単に農林大臣の御希望、御努力だけで解決するものじゃないと思うのであります。これはきわめて重要な問題、将来三カ年の間のことを考えれば、余剰農産物をできるだけ売却してその代金を充てるとおっしゃいますけれども、これはまあ過去の問題で、なかなかその通りにいくかどうかということにも疑問を有しておるのであります。でこういう事柄は一つ閣議ででも決定して明らかにしておく必要が私はあるのじゃないかと思います。その点についてどうお考えになりますか。
  256. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 今私の申し上げました通り、また重政委員も御承知になっております通り、一応この事業の遂行に予定いたしておりまする資金計画につきましては、農林、大蔵その他関係省の間において緊密な連絡をとりまして、それぞれ意見の一致を見まして遂行を意図いたしておるわけでございますから、異常な場合を想定いたしますればこれは別でございます。しからざる限りにおいては既定計画通り予定通りに遂行できるという確信を持っております。御当局においてもこれにはむろん同意を得ておるわけでございます。
  257. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 大蔵大臣、それでよろしゅうございますか。
  258. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今農林大臣から詳しく御答弁がありましたように、私といたしましても、今後余剰農産物がなお買い入れが二年ぐらいまだ続く。なお世界銀行からの借款も借りる、こういう状況でありますから、今御心配のような点は実際なくて済むだろうとかように考えております。なおまたこれらのものが、かりになかったというような場合を仮定いたしましても、できるだけ十分に食糧増産ということは重大な国策であるのでありますから、十分に遺憾のないように検討を加えまして、努力をしたいとかように考えております。
  259. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 経済企画庁長官にお伺いいたしますが、この食糧増産費、経済三カ年計画の三十年度分食糧増産費は六百八十億組んであるようにあるのですが、これは愛知用水とかあるいは機械開墾とかいうような補助費が含まれておるか、その関係はどうなっておるか。
  260. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 経済六カ年計画の三カ年、前三カ年の間におきましては、大体米麦玄米換算といたしまして三百三十二万九千トン、これだけ増産したい。もっともそのほかに約二百四十万石の減収がありますから、これを加算してやりますと、それで大体増加する人口に対する食糧の自給と、これから輸入をふやさなくともいいと、こういうふうになっております。それを遂行するためには大体三十年、三十一年、三十二年、三カ年間で千七百八十億円ということを予定いたしておりまして、三十一年度はお話ように六百八十億円とこう見ております。その中にはもちろん愛知用水等も含んでおるわけでございます。
  261. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 今のお答えであると、愛知用水等特定地域の開発の事業費がこの中に含んである。そうするとどういうことですか。今いう余剰農産物が万一いけなかった場合というようなことを想定して含んでおられるのか。農林大臣のお答えによると、十中八九そういうことは別に心配せいでもいいというお答えであるのだが、その点どうなっておるのですか。
  262. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) この三十一年度は三百五十億円を見ておりまして、その中には今回の愛知用水の三十億円は含んでおりません。従いまして三十年度は三百八十億円になります。三十一年度の六百八十億の中には愛知用水等も含んでおるわけなのでございます。従いまして余剰農産物がかりに手に入らなかったということになっても、これは当初の計画通り遂行いたしていきたいと、こういう所存でございます。
  263. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 そうすると余剰農産物が成功すれば、買い入れが成功すれば、その金額をこの中から減してほかの方に回すということですか。
  264. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 三十一年度の六百八十億というものは大体においてこの中に入っておりますから、その中に愛知用水も入っております。従いましてかりに余剰農産物が来年度も同様に得られるとすればその計画遂行が非常に容易になる、楽になる。予算遂行上楽になると、こういうふうに御解釈願いたいと思います。
  265. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 そこをちょっとはっきりしてもらわなければ——楽になる、もちろん相当な金が増額するのだから楽にはなりましょうが、それを三十一年度の六百八十億をまた組みかえるというのですか。やはり食糧増産になる、楽になってそれだけ多く食糧増産事業を遂行すると、こういうことになるのですか。こういうことと了解していいですか。
  266. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 六百八十億の上に余剰農産物が入ればそれだけプラスするかと、こういう御質問でございますか。それだけの余裕はないはずでございまして、来ればそれだけ容易になると、こういうふうに御解釈願いたいと思います。
  267. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 どうもわからない。容易になるというのは国の予算編成が容易になるということですか。あるいはこの食糧増産の専業がこれだけ多く増したから楽に遂行できるということですか。その点はっきり一つ
  268. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 国の予算を遂行するのが容易になると、こういうことでございますから、さよう承知願います。
  269. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 そうすると、これはまあ大事に大事を踏んで編成したと言われればそれまでだがきわめて私ども今の御答弁でまあ初めて新事実で驚いたのですが、あくまで余剰農産物は売却をして特殊事業に充てるという百パーセントの自信を持って、しかも経審長官のお答えによると、三十一年度一たん組んだ食糧増産の六百八十億はまたそれだけほかの方へ回すというお答えで、この点非常に私は是認することができないのであります。これは幾らお尋ねして幾らお答えをいただいてもしょうがないので次に参ります。  愛知用水、あるいは機械開墾に対する建設機械の問題でありますが、世銀の原則といたしましては、国際入札によると、こういう原則があると私は承知いたしておるのであります。せっかくの借款であるから、最も優秀な、最も安い機械を買うのは、これは当然でありますが、私どもはどうも世銀の借款の過程において、アメリカの機械を輸入するというような暗々裏に何かひもがついておるように考えるのであります。いやしくも国産で間に合うものはこれは当然輸入せずに、私は日本の建設機械の発展を阻害することがないようにしてもらいたいと思うのでありますが、この点農林大臣はどうお考えになりますか。私は借款の交渉の過程において、きわめていろんなひもがついておるように考えるものであります。
  270. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 必要なる機械の購入は、必要の最小限度を海外からこれを求めることにいたしまして、今お話しの通り、大体は国内で間に合うものは国内で間に合わすということにいたすつもりであります。
  271. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 それはまあ当然であろうと思うのでありますが、借款のどのくらい、何パーセントくらいアメリカから買うことになっているか、おそらく大臣が御承知にならぬのは私はどうもどうかと思うのだが、相当大部分がそういうひもがついているのじゃないですか。その点一つお答え願います。
  272. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 購入いたしまする機械の全体の六割ぐらいが海外からこれを求めて、四割ぐらいが国内で調達ができるという大体の見当でございます。
  273. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 その海外の輸入は、世銀の原則通り公入札でおやりになるのですか。
  274. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 公入札でやることになっております。
  275. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 次に、これもあまりおもしろくない問題ですが、愛知用水の設計監督をアメリカの業者にその事業費の五%とか七%とかいうようなものを支払って依頼いたさねばならぬ状態に世銀の交渉の過程においてなっているように私は承知いたしておるのであります。これがどのくらいになるのか、この点も私は少い金じゃないだろうと思います。そうすると、日本の技術ではそれが不可能なのであるかということを疑うのでありますが、もちろん他国の優秀な技術を取り入れるのは別に異論はない、大賛成でありますけれどもが、どうも世銀借款には指導とか監督とか、あるいは機械の輸入にどうも必要以上の強要をされているんじゃないかと私は考えておるのであります。この点どうお考えになりますか。あるいは交渉の過程において覚書と申しますか、了解事項といいますか、そういうものが取りかわしてあるんじゃないか、向うから要求してきているんじゃないかというような疑いまで持つのでありますが、その点どうなっておりますか。
  276. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 今お尋ねの点につきましては、御承知通り、今回のダムの建設にいろいろアメリカの方において注意をいたしましたことについて、わが方の技術者をアメリカ調査研究出しまして、その結果、いずれも先方の技術優秀でもってこれをとることが妥当であるというよう報告々受けております。従いまして、その設計等におきましても、全く新規の構想をやるのでございまするし、しかもこれによって非常に経費が節減されるということでございますので、現在の状態におきましては、アメリカの示唆によってやって参りたいというふうに考えておりますが、しかし今お話しのように、文書の取りかわしがあるんじゃなかろうかとか、あらかじめ設計をどうするんじゃなかろうかというようなことにつきましては、全然ございません。また監督設計の費用をどうするとかというようなことについては目下談合中でございまして、まだ結論に達しておりません。いろいろ御注意は承って善処いたしたいと思います。
  277. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 関連して、ただいま愛知用水の問題に関係しての御質疑でございますが、万事に手落ちのない、すでにお運びにおいても遺漏のないことだと私どもは信じております、また河野農林大臣のことだから、そこに如才はないだろうと、かように信じておるのであります。しかるに御承知のごとく、いまだ水源地たるところの長野県の西筑摩方面においては、あらかじめ調査はいたしましたが、これに関連いたしまして、あるいは百二十五戸といい、百七十五戸といい、住民が他に安住の地を設けて移住しなければならないような問題も起きる。従って生活権は相当脅威を感ずるのであります。申すまでもなく憲法十一条の基本的人権からかんがみましても、十三条の問題からかんがみましても、また二十五条からかんがみましても、これらの国民の少くとも七、八百人程度においては、これが犠牲と相ならなければならないと信ずるのでございます。この犠牲に対しまして、どういう計画と、どういう交渉が今までなされておりますか。もし今後この交渉をいたしますならば、安定の方法は、やはり祖先以来何百年と住んだ方でありますから、よくもののたとえにも、山奥の賤が家でも住めば都だ花がさくという、そこに人情の美点があるので、新しい所へ直ちに行けといっても、そこが果して安定するかどうかということの生活上疑義を生ずるのであります。この点についてまず十分に御研究があったかどうか。  次に、今重政議員の言われた通り外国の技師によって調査されたというのでありますが、たとえば牧尾橋のダムは軟弱のダムであると、かように聞いております。日本の土地の実情につきまして調査はいたしましたけれども、その調査の結果において、もしダムの一方に崩壊することがありといたしましたら、あの山津波のごときおそろしい災害はこれまた濃美の平野に対しまして、一ぺんに何十億という大災害を生じまして、それこそ収拾のつかない結果に相なると、かように危惧の念をいだくものでございます。これらについてあとの問題には十分なるところのこれまた注意を払って、アメリカの新技術、技師もけっこうであるが、日本におけるところの練達、堪能なよく調査できる方も十分に調査させていただきまして、このダムに対しては完璧を期するというような方法をおとりになるかどうか。この二点についてお尋ねいたします。
  278. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 水源地につきましては現地としばしば話し合いをいたしまして、御指摘の通り、その話し合いがなかなか、百二十数戸の方にはお立ち退きを願わなきゃなりませんし、また、その上に五十数戸の方は耕作田畑が非常に少くなりますので、これまた他に移転をしていただかなければならなくなりますので、非常に御迷惑をかけることでございますので、これらにつきましては、近隣の佐久間ダム等の例もございますので、これらを十分勘案いたしまして、十分納得のいく上で事業を進めることに万遺憾なきを期しておるわけでございます。これはすでに長野県庁に農林省から公文書をもって御依頼を申し上げまして、農林省みずから本現地にたびたび人を派しまして、地元の町村長さんその他とは常に緊密な連絡をとって処理に当っておるわけでございます。なお今後も十分注意をいたさなければならないと考えております。  また今のダムの締め切りにつきましては、これはガスが出るとか、いろいろなことがございまして、従来わが国で想定いたしておりました技術をもっていたしましては、なかなか困難であるというふうに考えておったのでございますけれども、その後技術者をアメリカに派遣いたしまして、あちらのいろいろなものについてしさいに検討いたしました結果、現在では経費の節約も非常にできますし、大体これでいけるだろうという見通しを持っておりますけれども、なお今後詳細検討いたしまして、万遺憾なきを期して、これならばいけるというときに今の場所でやるということに考えておる次第でございます。
  279. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 ただいま農林大臣の御答弁で非常に慎重を期しているというので、そうお運び下さればまことにけっこうだと思います。しかしながら長野県の現在の赤字県である実情から申し、また西筑摩はあの目抜きの場所がダムによって一大湖水池ができるということに相なりますならば、申すまでもなく何百年を誇っておりました日本の宝庫とも言うべきあの美林が次第に失われる。従つてこの湖水によってその地方に対するところの観光、あるいは産業途上におきますところの変革もきたすというようなことが必ず生ずると思うのでございます。従ってこれに対しましても十分の手を打っていただかなければなりませんが、これらの計画もあわせて計画中におありであるかどうか。  それから次に、申し上げるまでもなく、愛知だけでも米麦にして三十七万石、七百七十九万六千ドルという外貨を支払わないで済むのでありますが、これをできるだけ有効にし、そうしてわが国の不足する食糧を補うということに対しましては、やはり水利上におけるそれぞれの下部まで万全を期すよう世界的な、模範的の土地改良によって、これらの収獲の増産もはかるような道を講ずる計画を立てておられると思いますが、その方法について今後も十分の御注意をお払い下さるかどうか、重ねて御質疑を申し上げます。
  280. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。第一の点につきましては、地元関係府県、町村と緊密な連絡をとりまして、よく今後善処していくようにいたしていくつもりでございます。  第二の点につきましては、いろいろな点から検討いたしまして、一応の案はできておりますけれども、なおよく今後事業の推移によりまして、実地に当って万遺憾なきを期するように、十分監督をするつもりでございます。
  281. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 今農林大臣は何らの了解事項もしておらない、知らないと、こうおっしゃついましたが、今知らないとおっしゃれば方法がないのですが、しかしただ技術者を派遣して、その技術者が向うの機械がいい、そして向うの人を頼んでくるがいいというようなことで軽々にこういうものをやられては非常に困る。アメリカの機械を買えば、アメリカの機械を運転する技術者がついて来る。またそれを監督する理事者が来るというようなことに必ずなると私は申し上げておきます。この点どうも、まあそう言ったらおこられるかもわからんが、ビルマとインドシナとかいうような借款と同じに日本を考えておるように私は思うて憤慨にたえない。何もかもみな向うから、金は貸してやる、そのかわり設計もしてやる、監督もしてやる、その機械を買えば、それの運転もしてやる、どのくらい人が来るか、それに要する費用はどのくらい要るかということを私はおそれる。まんざら日本の科学がインドシナやビルマと同じじゃないと私は思うておる。この点は日本の、敗れたりといえども日本として私は確固たる信念を持って、渇すればのどから手が出るような格好をせずに、わずかと申し上げては失礼かもわからんが、私はそれを貸りねばこの仕事ができんのじゃないように思うので、この点は深くお考えになってやっていただかなければ、どうもそれは知らんとおっしゃればそれまでですが、私は必ずその過程において、大臣が判をつかれたそういうものはないかもわからんが、とにかくある程度進んだ了解が、今申し上げました点についてついておると私は確信いたしておるのであります。  それからなお、これは申し上げておかねばならぬことは、これはまだ確定いたしておりませんけれどもが、八郎潟の干拓等、これは主要な機械はいわゆる排水のポンプになっておる。このポンプは日本は数十年来研究して、これはアメリカに負けぬ優秀なものができておるのであります。これらについてもすでに向うからいろいろな、どう言っていいですか、詳細は知らんけれどもが、交渉が入ってきておるような状態です。   〔委員長退席、理事池田宇右衞門君着席〕 この点はどうも要るものは、これは優秀な技術はしょうがないけれどもが、よくお考えになって、日本の建設産業を妨げぬように、また日本としてのプライドを持って一つおやりいただかねばならぬということを申し上げておきます。
  282. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいま重政委員から御注意をいただきました点につきましては、実は今まで私全然そういうことの相談がなかったものでございますから、全然ないと申し上げて、あまり注意をいたしておりませんでしたが、今後は十分注意をいたしまして、日本の技術者の誇りを傷つけるようなことのないように、また機械その他につきましても十分注意いたしまして、一方的なものの取りきめになりませんように尽力いたして、御期待に沿うようにいたしますから、御注意がありましたら、たびたび一つお話をいただきたいと思います。
  283. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 経済企画庁の長官お尋ねいたします。余剰農産物の借款特別会計のうち、農業開発に本年度三十億配分されることになったのですが、外資の導入によりまして食糧増産をいたすことは日本では初めての試みでございますが、今後の運営方針をこの際に確立しておく必要があると考えるのでございます。そこで本年度余剰農産物の借款の農業開発の配分が三十億ございますが、それの工事の着手する地区は愛知用水その他三地区で所要資金が四百二十億に達するのでございます。これを三十年度から三十五年度までの間に完成することになっておるのでございますが、そのほかに世界銀行から約五十億の借款をいたしまして、外国の機械を輸入するとか、なおこの機械に関連した工事は先ほど重政委員からも質問がありましたように、外国技術の指導を受けることになっておるように聞いておるのであります。資金も、機械も、技術、サービスも、すべてこの四地区に対しては外国に依存するようなことになっているのははなはだ遺憾でございますが、これがもし完成することになりますれば、将来の水資源の開発につきましても、今までのような重力堰堤でなしにロックヒルダムなら、多少地質が悪くても非常にたくさんあるダムの形式を採択することができるのだ、水資源の開発の問題でも日本のために非常に明るい感じを持っておるのであります。それと同時に機械農業が始まり、畑地灌漑等によって食糧増産の余地が非常に多くなりますから、この際に余剰農産物の借款による事業については、基本方針を確実に立て、その通常を誤らんようにしていく必要があるのでございますが、この際におきまして、今後この運営の根本問題としては先般来からお話がありましたが、着手しました地区は絶対に中断はしないのだ、これは企画庁の長官しばしば言明せられておる通りであります。なお、ことの事業に着手した場合、既定の国内の食糧増産対策事業に対しては断じて食い込むようなことはしないということも、常に農林大臣は言明せられておりますから、ぜひともその方向で進んでいただきたいと考えるのでございます。大蔵大臣はまた、でき得るだけこの地区に着手すれば、相当多額な資金が要ることは覚悟はしている、将来できるだけ協力はするが一般会計でどの程度まで出すかというようなことは、将来検討をする余地があるというふうなことにお考えになっておるようであります。私は大蔵大臣余剰農産物に限らず、どういう資金でも持ってきて、この四地区については既定の年度内に完成するように必ず努力していただけるとは考えておるのでありまするが、どういう方向でおやりになるか、これはあとでお伺いする考えでございますが一応こういうような基本的な問題がありますから、それについて二、三政府の所見を伺っておきたいのでございます。まず、経済企画庁長官にお伺いいたしますが、愛知用水の事業は、木曾川水系の総合開発で、国土総合開発法によりまして二、三年前にすでに特定地域に指定されております。総理大臣から国土開発審議会計画の諮問が出ているのでございます。昨年の今ごろ経済審議会の方々は現地へ調査にも行かれておるのでありますが、その後審議が中断されているような事態になっているのでございます。今度の愛知用水事業は木曾川の総合開発の主要な事業であるのでございますが、今回これが農林大臣が基本計画を立てられ、この事業を完成するために愛知用水公団を設立するというようなことになったのでございますが、日本の国土開発事業の計画の立案なり、この事業を実行してゆくについて、基本的の問題がここから始まるような気がするのでございますが、今までの国土総合開発法による木曾川水系の特定地域の審議の経過はどうなっているのか。そしてできるだけ私は早くこういう問題は計画をきめまして、そうして閣議決定して、日本の国土総合開発計画として、その基本方針に従って進めてゆく必要があると思うのでありますが、ただいまの愛知用水の公団の事業と特定地域の計画との関連なり、将来の調整なりについて、御意見を伺っておきたいと思います。
  284. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 木曾特定地域の総合開発計画につきましては、すでに現在開発審議会の方において審議中でございまして、年内までにその結論は出したい、こういう考えでございますが、一方その一部分である愛知用水の方はすでに御承知ような状態に進行しつつあるわけでありますから、これは愛知用水公団ができますれば、農林大臣の方で基本的計画を確立されるということになっておりまして、基本計画が確立いたしますれば、これは経済企画庁の方へ御相談があるということに相なっておりますから、そのときにその基本計画と木曾総合開発計画と相総合いたしまして、そして木曾総合開発の方と並行的にこれを進めてゆきたい、こういう所存でございます。
  285. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 高崎長官の御答弁では、木曾川の特定地域の計画は年内には確定するんだ、そして農林大臣がきめる基本計画は、この愛知用水公団法によりますと、農林大臣が基本計画をきめる場合に、経済企画庁長官の同意によるということになっているのでございますが、愛知用水公団の発足が十月の末か十一月の初めには、すでに基本計画がきまって発足すると考えるのでございますが、そのときに経済企画庁長官農林大臣が基本計画の同意を求めた場合に、どういう御同意を経済企画庁長官はなさるか。そういう法的の根拠があるかどうか、また総合開発計画との関連をお伺いいたしておきたい。
  286. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) この愛知公団の方の基本計画ができますれば、これを関係大臣の間に協議するとか、あるいはいろいろな問題がありましたが、結局これは同意を得るということに相なっておるようでございますが、これを法的に考えますと、非常にその間にめんどうがあるようでございますけれども、私どもはきわめてこれは常識的に考えまして、愛知用水公団の方でできました基本計画とともに、並行的に木曾の総合開発の基本計画を進めてゆきたい、こう思うわけでありますが、あるいはさっき申し上げました通りに、木曾総合開発計画が年内と申しましたが、それと相並行的にやりますから、どういう程度に愛知公団の方の基本計画が進むか、これによって多少あんばいを加えていきたい、こう存じております。
  287. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 各省関係大臣の間で協議されることは当然だと思いますが、法律上企画庁長官の同意を得ることになるのは、どういうことを同意なさるか、そういう根拠がわれわれはよくわからないのであります。協議ならわかっているが、何を同意するかということを……。なお、特定地域の計画総理大臣から国土総合開発審農会に諮明になっているのでございます。そうしてこれについては私は重要な今度計画等は変更があると思っている。それはあとで農林大臣にお伺いしたいと思いますが、水源のグラビイテイ・ダムをロックヒル・ダムというものに変えてきた、これについては根本的の問題があると思います。ロックヒル・ダムの七十メートル、八十メートルというものは、日本はどこでもやった経験のないものであります。これについては農林大臣がそういうことを基本計画決定していられるのだが、国土総合開発審議会では土木、電気水利、あらゆる学識経験者が多数いられるのであります。そこで日本では今まででは経験しないという大きな問題だったら、できるだけ早くこういう農林省の立てられた基本計画について、あらゆる方面の意見を聞かれて万全の措置をとることが私は必要だと思います。年内までにきめるのではなくて、早々に私は審議会に農林省案を付議して、慎重な審議をしていただきたい。そうして基本計画が発表になるまでに技術界の世論がこれでいいのだというところまで進めるように、ぜひ私はお願いいたしたいと思うから申し上げたのでございます。できるだけすみやかに結論を出していただくことをお願いしておきます。
  288. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 溝口委員の御心配は私はごもっともと存じまして、できるだけ早く各方面の技術者を動員いたしまして、並行的に検討いたしたいと存じておる次第であります。
  289. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 今回の二百十四億の余剰農産物の借款に続いて第二次の借款をするかどうか、交渉を始めるということが先般の閣議できまったことでございます。それについて高碕長官が中心になって交渉をお進めになる、その基本的の構想についてこの際承わっておきたいのでありますが、この前の借款の協定を外務委員会が承認する場合に、農林委員会が外務委員会に申し入れをいたしたのでございますが、国内の食糧増産の建前から、輸入については最小限度でやってもらいたい。そうして品質、価格等の問題についてはなお是正する必要がある。その原則は守っていただきたい。なおそのうちで本年の二百十四億に対して農業が三十億できわめて僅少であったのです。どうしても農林省は事務的には四十億本年度必要なんだが、高碕長官政府を代表して本年度は三十億だが、来年は十億を繰り上げて農業開発に回したいというような言明をしていられるのでございますが、今度の第二次借款をされるについて私は基本的な方針をきめていただきたい。というのは、なおこれから考えるとか、アメリカの意向を聞くとか、基本的には今年は割合に米麦とも豊作である、今年一億ドルをやった、それ以上ということは考えない。なお米も綿花も問題がある、小麦等についてはこれは必要な輸入量の範囲内で受け入れるということになると思いますが、そこで私お願いしたいのは、新聞等によりますと、本年は電源開発、農業開発、生産性向上という三つのワクを日米の間で合意された。その中の配分は政府できめたということでございますが、なおそのほかに各省から希望相当に出てくると思います。防衛産業とか産業道路とかいうのは、昨年も出てきたのですが、先ほど申しましたようにこの農業開発では本年は非常に配分が少い。なお四百二十億のような所要資金も要るのだ、できるだけ余剰農産物借款をするならば、その性質上、今後きまる範囲内で農業に優先的に配分するように、ぜひとも基本方針としてきめていただきたい。この点について高碕長官の御所見をお伺いしたいと思います。
  290. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お説のごとく今回の交渉につきましては、まず第一に日本農業政策にじゃまにならぬもの、どうしても絶対に必要なものということから考えていきますというと、ひとり農業政策だけでなく、貿易政策にも関係いたします関係上、米を今度買うということはどうだろうか、こういうふうな考えでおりますことと、それからの方品種におきましても、少し種類をふやしまして、家畜の飼料になるようなものが余剰農産物の中にあれば取り入れたい、こういうふうなことを考えておりますことと、それからその数量等につきましても、ただいま各省間において検討いたしておりまして、来週ごろからぼつぼつこちらの希望を申し出たいと思っておるわけであります。また使用の道につきましても、本国会におきましていろいろ御意見があったものでありますから、使用の道につきましては、できるだけ農産物増産、食糧増産、これに直接及び間接において必要な方面に重点的にこれを使いたい、こういうふうな方針につきましてアメリカとの折衝をいたいした、こういう所存でございます。
  291. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 大蔵大臣にお伺いいたします。先ほど着手をしました地区について四百二十億の所要資金が要るが、これは事業を中断しないようにという農林委員会の総意で、外務委員会にも申し入れたのでございますが、大蔵大臣はその前の予算委員会で私の質問に対してもお答えがあったのでございますが、事業に着手すれば、相当多額な資金が要ることは、これは覚悟しなければいけない。ただ、資金については余剰農産物に限らず、その他いろいろな資金等を工面してやっていくつもりだ。その事業については、これは四百二十億のうちには今までの規定によりますと、約半額の二百億程度の国の負担が伴っておるものでございますが、その国庫の負担をどうするかというようなことをこの前にお伺いしたのですが、一般会計でそういう負担を出すようなことについては将来考慮するというふうなことで、十分協力はするが、どうも決定はできないというようお話し、私はできるだけこの事業についてその資金を融通していただくことは大蔵大臣これは覚悟していられると思います。との仕事を始めたが国の一般会計はどうなるかわからんということになりますと、非常に怪しいことになってくる。なお愛知用水公団法によりまして基本計画農林大臣が立てる場合に、大蔵大臣の同意を要するということになっておりますが、基本計画のうちには所要資金、国の負担が幾らということが入っているのです。この愛知用水の事業は三百二十億、これを五カ年でやる、そうして国の負担は百十七億だということは決定されていると思うのでありますが、必ずそういう負担というものは出すということに御同意になるかどうか、伺っておきたいと思います。
  292. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今回のこの余剰農産物の資金等によって計画されておりまする農業開発、愛知用水を初め、北海道その他ありますが、こういう計画は、私の考えでも、何と言いますか、重点的に、集中的に一つ農業の開発をやるという計画であります。これは私考え方としてもいいと思います。ですから、こういう計画をされた以上、これを一つ完遂をしたい。それについての所要資金も考えなければならぬ。まあかように私考えておりますが、同時に、そういうことをやった場合に、海外からの資金が来なくなった場合に、一般の農地改良とか、いろいろの資金がしぼられてきやしないか、こういうふうな御心配もあるようです。まあこういう点については、私は海外からの資金も、予定されている程度は来るものと思っておりまして、そういうふうなことをあまり早くから心配をして、いろいろとここで約束することは困難でありますが、できるだけそういうことのないように検討を加え、努力をしたい、かように考えておるわけであります。なお、愛知用水については、今農林省におきまして、基本計画大体三百億くらいで五カ年ということでありますが、こういう程度でありましたら、私も同意ができる、かように考えておるわけであります。
  293. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 ただいま大蔵大臣から愛知用水公団法に基く基本計画は、農林大臣の起案したものに大体同意ができるという御答弁がございましたので、私は安心いたしております。なおこの点につきましては、既定の国内の食糧増産対策費には絶対食い込まないようにということを重ねてお願いいたしておきたい。本年の二百十四億の余剰農産物借款の条件は、ドルにして三分で三年間は無利子で四十年で支払う。国内に貸し付ける場合には四分で二十年かになっておる。三年間の利息だけでも二十二、三億の余剰が出ると思いますが、その処分は先般来申し上げた通り農業開発等には非常に少く割当になっておるから、こういうような余剰が出たようなものは、農業開発等に再投資をしていただけるかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  294. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは償還等において相当厳格な条件もありますし、ある程度の含みというものを持たなくてはなりません。大体それであの三カ年無利息据置き、それをこちらは四分で貸すという関係から、今お話しのように、まあ二十二、三億のものが出ると思いますが、これはまあ含みとして必要だろうと思いますが、なおこの使途については、今の御意見を十分私考えてみたいと思います。
  295. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 農地開発の機械公団は、政府が今国会に提案したうちの最終ぎりぎりのところで出てきたのでございますが、本年の三十億の農業開発の割当については、当初は三十億が全部愛知用水に配分されるように聞いておったが、最終では愛知用水に二十四億五千万、五億五千万が石狩川沿岸その他機械開墾地区に配分されることになったのであります。五億五千万を機械公団に配分されることになっておる。機械公団法はまだ提案理由を伺っただけでよく聞いておりませんが、国営の土地改良専業して委託を受けて機械公団は五億五千万使用する。そしてその五億五千万については、政府は利子をつけて五年間に返済する。そうすると、ほんのつなぎ資金……、国営の土地改良専業に対して本年割当てる事業費が少かったから、余剰農産物の金を機械公団に配分していく。それを国営の方で委託をして一般会計で返すというようなふうに、何か明瞭ではないものがある。今回大蔵省は、余剰農産物によるものは、石狩、それから機械開墾等の地区は、将来は、三十一年度からは一般会計でやるんだ、本年度限りこういうものは配分はしたけれども、五カ年間で精算してしまうんだ、将来愛知用水一本でいくというようなふうにもとれるのでございますが、この根本的な方針を伺っておきたい。
  296. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 初め愛知用水、これは集中的に出す方がよかろうという意味で、まず計画も愛知用水が一番初めにできておりました関係から、三十億を愛知用水に引き当てておったのでありますが、その後北海道の篠津、それに青森の上北、それからさらに北海道の根釧、こういうふうなところの農業開発についてどうしても割り当ててくれ、こういうことで強い要請がありました。それで、篠律に四億五千万、上北に五千万根釧に五千万、こういうふうな配分をいたしておるわけであります。さよう御了承を得たいと思います。
  297. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 私のお伺いしたのは、本年度はそういう配分をしたが、これは四分で二十五年に償還をするというふうな一般的の貸付の条件があるのを、機械公団に対しては五カ年で一般会計から返済するのだというふうなのが条文に入っておると思う附則に。その点はさしあたりこういう便宜な方法をやって、機械公団に引き受けてもらったが、将来石狩とか根釧とか、上北等を一般会計からやっていくという方針を持っておられるのか、毎年この余剰農産物の金をこの三地区に配分するつもりであるのか、それならばなぜ五年で返すのかということをお伺いしたんです。
  298. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは具体的には明年度にいって考えますが、今のところやはり私は明年度余剰農産物の金をそういう方面に配分したいと考えております。
  299. 池田宇右衞門

    ○理事(池田宇右衞門君) 溝口さん時間がきております。
  300. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 時間がないそうでありまするから、農林大臣に二三お伺いいたしたいと思います。本年度に農地開発に対して三十億の配分がされたのでございますが、そのうち北海道、上北、根釧等に五億五千万円機械公団に交付される。これは、承わると、道路の工事をやるということでありますが、東北、北海道等でこの仕事をやっていくには、相当に冬にも入って消化できるかどうか。ことに愛知用水では二十四億五千万円という事業費の配分なんだが、これは使途はどうなるのですか。そうしでこれは年度内に使用できるお見込みがあるかどうか。その点をお伺いしておきたい。それに関連しまして、この際お伺いしておきたいのですが、牧尾橋ダムについては、御承知通り日本ではやったことがない。日本の技術者ではやった経験のある人はないと思います。そこでアメリカの技術に頼ってアメリカ人に設計をしてもらう。九月の半ばごろにはその計画を完了するというように私は伺っているのでございますが、これは牧尾橋のロックヒル・ダムというものもほんとうに築造するということになれば、重要な問題だと思います。電源開発で御母衣のダムと並んで日本で初めて今度やる。アメリカにもたくさん例はないという話を聞いておるが、この計画については慎重にやっていただきたい。日本の土木、電気等の技術者等も総動員をして、先ほど高碕長官にもお願いしましたように、国土総合開発審議会にはそういう方面の学識経験者がいるんであります。ただアメリカ人がこしらえた設計をそのまま九月二十五日にきめてしまう、そうしてその基本計画でやるということは、私はやっていただきたくない。多少工事がおくれましても、日本で初めてやるような仕事でございますから、慎重に計画をしてやっていただきたい。  なお、愛知用水の事業については、明日衆議院も、参議院の農林水産委員会の方々が現地視察に行かれて、その上で審議することになっておりますが、地元の村におきましてもうすでに抗議書を私どもの方に送ってきておる。死活の問題に関することだから、絶対反対をしておる。おそらく、視察に行った場合には、議員に対しても地元からの抗議も出て一くると思います。それに対してこの補償の問題は、これは公団がやるのだというようなことをこの前に政府当局から答弁があったのであります。あの牧尾橋のロックフィル・ダムの基本計画決定するのは、これは農林大臣決定をする、それの事業を行わせる。だから、私はああいう問題については、どこまで本農林大臣は責任を持って、地元の人たちの生活権を奪わない、公正妥当な補償料を出すのだという言明をこの際ぜひしていただく必要がある。そしてダムの、絶対決壊のおそれのないダムを築造するのだということを、これもぜひ農林大臣として適当な機会に、あらゆる技術を動員して計画した後に、これは声明をされる必要があると思うのですが、それについての御所信を承わっておきたい。  もう一点この際に、時間もありませんが、お伺いしておきたいのであります。先ほど重政委員からも触れた点でございますが、今度の余剰農産物関連する事業は、資金も、機械も、抜衆も、すべてがアメリカに依存しておるようなことになっているので、ことに世界銀行からは愛知用水に三十六億、東北、北海道に十二億の借款をしまして、約百億の政府が保証をしておるのでございます。その世界銀行の借款の条件は、覚書等を見ますと、非常に厳格といいますか、これに屈従するようなことが耐えられないような点がたくさんあるのであります。ことにドールがこの六月ごろに来ておりまして、アメリカに帰る前に覚書が新聞等に出ております。内政干渉までの疑いがあるくらいであります。これはぜひとも、農林大臣は自主的な運営を日本としてはすべきであるということをはっきりした確信を持ってやっていただかなければ、今までの行きがかり等もございますから、今度渡米なされて借款等の交渉をなさる場合に、いろいろな条件をすべて向うの言うままに聞くというようなことを決して私どもはしていただきたくない。そういう意味からも、アメリカの干渉を排するのだと、また日本のすべての協力を得るというような問題で、借款による新しい仕事をやるについては、何か公団の業務の運営委員会というようなものをお作りになって、そして民主的な運営をなさるお考えがあるかどうか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  301. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お話ございましたこの事業を遂行いたしますに当りましては、もちろん新しいダムを作るのでございますから、お話通りに、あらゆる国内の技術を動員いたしまして、先方で作った設計をさらに十分批判、検討、御研究願いまして、その上で私どもの責任においてこれを決定してやるということにつきましては、最善の注意を払っていたしたいと考えております。   〔理事池田宇右衞門君退席、委員長着席〕  それからただいまお話の、ダムを建設いたします際にその地方におられる人の関係等につきましては、これまた同様に十分注意をしてやらなければいけないということも、同様だと思うのであります。その他いろいろ御指摘がございましたが、これらはいずれも必要なことでございまして、これにつきましては十分今後も注意をしていかなければならぬと考えますし、また世界銀行の金を借りますに当りましては、金を貸す方の側からいたしますればいろいろ注意も、また要望もあることは当然でございますが、これらにつきましては、こちらとしては主張しなければならぬ点は決してこれを譲ってまでしようという考えはないのでございますから、御趣旨の点を十分考えてやるということで御了承願いたいと思います。
  302. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 もう一点だけ農林大臣にお伺いしたいのですが、今度渡米されて借款の交渉をなさる場合に、八郎潟、それから今回着手になりました四地区、これは有力な候補地として、どこまでも農業優先というお考えでぜひやっていただきたいということが一点と、先ほど大蔵大臣にお伺いしましたが、機械公団法案によりまして、どうも篠津その他の本年度の五億五千万円は、これは借款は打ち切ってしまって、将来は一般会計でやってゆくというふうにもとれるのであります。先ほど大蔵大臣は、やはり今度五億五千万円着手したものは、これは借款をぜひとも考えてゆくのだということでございますが、機械公団を設立した意味は、委託工事のようなものをやるのでないのです。世界銀行からも勧告をしているのは、どこまでも機械公団は日本で新しい試みなんだ。機械開墾作業を、これを委託を受けてやっていく専門の業務なんだというところへ、いろんなトンネルをやったりなんかするような、これはどうも一貫性がないと思うのです。この点については将来、これは会期末ぎりぎりになってお出しになったから、いろいろな混乱があると思うのです。ぜひとも機械公団の本来の仕事を将来進めてやっていくようにお願いいたしたいと思います。
  303. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 先ほどお答え申し上げるのを落しましたが、施行がおくれますので、予算が使い切れなくなります。そういうものをどうするかというお尋ねがございましたが、これはもちろん、期限がおくれましたから、残る場合があるかもしれませんが、それは当然、その事業は明年度に繰り越して使用するということに御了承いただきたいと思います。  なお、八郎潟その他につきましては、既定の方針にのっとりまして、相当調査もしたのでございますから、なるべくこれが実現に努力いたして参りたいと思います。機械公団につきましては、ただいま御指摘の通り予算編成後に、一たん政府としての予定を変更していたしました関係から、多少その施行についてまだ研究の余地があるかもしれませんが、なお今後十分検討を加えまして、そうして期待に沿うようにいたしたいと考えております。
  304. 永井純一郎

    永井純一郎君 この米価問題の審議が十分にできないまま、予算案が通過してしまったわけでございます。その後米価審議会等の答申がありまして、そして最終的に米価もきまったようでありまするので、先ほど来他の委員からも、だんだんとこの問題について質問がありましたが、私もこの締めくくりの意味農林大臣大蔵大臣に質疑をしたいと、こう思います。  まず一番先に、この財源の百二十八億の内訳につきましては、お示しがありました。もう一つは、この前渡金は二千円ということに、これはもうはっきりしておるのかどうかという点、それからもう一点は、免税措置は具体的に一体どういうふうになったか、この二つについてまずお伺いしたいと、こう思います。
  305. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 前渡金は石当り二千円になっております。  それから免税措置は、この米穀予約に応じまして政府に売り渡した場合、その売却代金のうちから千四百円を免税、非課税にする、こういうことでございます。大体これで減税が三十億程度とお考え願います。
  306. 永井純一郎

    永井純一郎君 その免税の石数は、予約いたしました全石数について、千四百円が免税になるわけでございますか。
  307. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 免税をするわけでございます。
  308. 永井純一郎

    永井純一郎君 全石数ですか、予約した全石数ですね。
  309. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 予約をして売り渡した……。
  310. 永井純一郎

    永井純一郎君 全数量ですか。
  311. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) さようでございます。
  312. 永井純一郎

    永井純一郎君 詳細に言って下さい、最後だから。
  313. 清井正

    政府委員(清井正君) 免税につきましては、平均一石当り千四百円となっておりまするけれども、これは平均でございまして、やはり米穀の売り渡し価格、買い入れ価格と同様に、時期別な価格差に応じまして、減税額を実際問題としては差をつけて参ることにいたしております。そこで、九月三十日までに売り渡したものにつきましては一石当り二千四百円、それから十月一日から十五日までのものについては千八百円、それから十月十六日から三十一日までのものにつきましては千五百円、それから十一月一日から来年の二月の終りまでのもの、それまでのものにつきましては大体千二百円、こういうような大体、平均額について大体そういうようなことになると思います。
  314. 永井純一郎

    永井純一郎君 大体新聞に出ておりましたように、この免税措置が最後的に決定したようでありまするが、そこで私は実際の、農家手取りの時期別格差のない府県、たとえば関西、九州といったような地方の農家の手取りは、一体幾らくらいになるのか、これを知りたいと思います。
  315. 清井正

    政府委員(清井正君) ただいまの御質問でございますが、まあ手取りの平均額について申し上げなければならぬのでございますが、大体一万百六十円といたしました場合に、いわゆる平均時期別格差のつかないものの三等平均が一万三十円でございますから、平均いたしまして三等が一万三十円ということでございまするから、それについてただいまの減税額を照合いたして見ますると、一石当りの平均の手取り額ということになると思いますが、正確な表現ではございませんが、大体その程度にお考え願いたいと思います。
  316. 永井純一郎

    永井純一郎君 次に、この米価審議会が米価につきまして答申をしたわけでございます。その答申によれば、明らかにその内容は、生産費及び所得補償方式になってバルク・ライン農家八〇%の生産費を最低として価格をきめるように、こういう意味の内容を持つ答申になっていると思うのでございまするが、かりに米価審議会が答申をしたこの内容に従って計算した米価を試算してみると、その価格は一体幾らになるのか、それをお示し願いたいと思います。
  317. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) この試算が非常にめんどうでございまして、従って、小委員の方からも試算の方式の報告はあったのでございますが、計数については御報告がなかった。というのはなぜと申しますると、一番めんどうなのは、小作料を一体幾らに見るか、土地の代金を一体幾らに見るか等によって、数字が非常に違って参りますので、そこらについて確たる計数が整理できないのでございます。そういうことのために、その数字を、たとえば小作料を三千円くらいに計算すれば、一万四百幾らという数字が出て参ります、というようなことになりますから、この計数については、今ここでどの数字を入れてどうすることが一番よろしいかということは、非常に困難だと思うのでございます。
  318. 永井純一郎

    永井純一郎君 米価算定専門委員会が答申をした内容は、これは従来のA案であることがもう明らかになっているわけであります。このA案につきましては、地代はどういうように計算する、自家労働報酬はどういうようにするということが、明らかに書いてあるのでございまするから、これに従って計算をすれば、私は数字というものが当然機械的に出てくると思う。物価差も大体幾ら、八三%というようなことを言っているのです。ですから、私はこれは、その数字が出たからと言って、どうということを申し上げているわけじゃない。事務的にこのA案によって出せば、その米価は一体幾らになるという、その数字だけを一つ示してもらいたい、こういうわけなんです。
  319. 清井正

    政府委員(清井正君) ただいまの御質問でございますが、計算といたしましては一応あるのであります。計算の数字だけを申し上げますが、これは米価審議会の小委員におきまして一定の計数の基礎を出してありまして、それによってやりました数字は、大体一万四百五十八円という数字と、それから九千八百八十三円という数字と、両方あるのであります。これは裸の数字でございますから、それに包装代を出せば、一定の金額が出るわけでございます。これは地代の見方、むろんこれは売買地価、下田の売買地価をとったのでありますが、売買地価のとりようによって二様の計算が出たわけであります。しかし、この点につきましての問題点といたしましては、大臣からお答え申し上げた通りでございまして、数字といたしましては一万四百五十八円と九千八百八十三円、両方が出たような次第でございます。
  320. 永井純一郎

    永井純一郎君 それで、予算を審議中に、農林省がやった生産費調査に基いて出しました一万三十五円という内容の説明を、食糧庁長官がこの前されたのでありましたが、あのときに、一万三十五円というものが一応出ておるが、今の供出農家の生産費を全部補償するという建前からの限界農家の生産費、その計算は幾らになるのかということを質問しましたところ、あとでその資料は出しますということでありましたが、この一万三十五円の計算に基く供出限界農家の全部を補償する価格というものは、一体どのくらいになるのか。その金額だけでいいのですが、知りたいと思います。今なければ、あとでもけっこうです。
  321. 清井正

    政府委員(清井正君) ちょっと、ただいま数字を持ち合せませんので、後ほどお答えいたします。
  322. 永井純一郎

    永井純一郎君 それで私は、米価の問題がいろいろと論議をされまして、結局一万百六十円というような価格が出てきたわけなんです。これはしかし、農民がなかなかこれは納得しない。なぜかといえば、はっきりした生産費なら生産費、パリティならパリティといった、これだからこれでやってくれということが、一つも出てきておらないように私はどうしても思われる。結局、農相が言われた一万二百十円と蔵相が言われた一万百十円かの、まあ中間を総理大臣がとられて、それが一万百六十円である、まあこういう結果が私出たのであると思う。私はこれは農業者にとりましては実に重大な問題であって、特に日本の農家は殆んど米麦作農家でありまするから、その所得のほとんど全部を米麦によって支えておるわけなんです。この価格に対する根本的な方針というものが、この国会を通じても、やはり依然としてぼやけておる。しかも、それが米の統制を撤廃するという総理大臣なり大蔵大臣農林大臣の言明等と関連して考えますと、農家は実に迷わざるを得ないわけなんです。  そこで、今後一体米価をきめる方針というものは、依然としてこういったような、わけのわからないことを繰り返しながらやっていかれるつもりであるのか。あるいは生産費ならば、米価審議会が答申をしましたような生産費及び所得方式によってやっていくのであるか。これはその構想をこの際、大蔵大臣並びに農林大臣から、はっきりとこの国会を通じて考え方を農民に知らしておく必要が私はあるのじゃないか。今度の米価がきまった経緯から見ても、私はぜひそれが必要だ、こういうふうに思いますので、この考え方をお伺いしたいと思います。
  323. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 米価の決定についていろいろお話がございましたが、実は食管法にもあります通りに、生産費もしくは物価の趨勢さらに再生産の保障というような、経済事情の変化というような、すべての要素を勘案して決定すべしとなっておりますることは、御承知通りであります。その間にあって、米審が生産費に重点を置いてそうして決定せよという答申がありましたので、今回は特に生産費に重点を置いて、そしてこの一万百六十円と米価の決定をいたしたわけでございます。がしかし、将来にわたって政府はどういうことを考えているかということでございますが、これは今回の米価を決定いたしました際に、政府として、国民に発表いたしました通りに、米麦はもちろんのこと、その他の主要農作物につきまして、たとえば繭でありまするとか、カンショ、バレイショでありまするとか、タバコでありまするとかというような、これらの農産物の価格形成の方式が非常にまちまちになっております。そういうことでございますので、農業政策遂行の上において非常に支障がありますので、政府はすみやかにこれらの方向を一つにいたしますために、必要なる調査会を設置いたしまして、来たるべき国会において必要なる処置をとっていきたいというふうに考えて、目下準備中でございます。これは要するに、米の方の生産費を基準として決定すべしという米審の答申、さらに同じ米審の答申にパリティ計算で決定をいたす麦の価格答申、さらに糸価安定法によりますところの繭の価格の決定の答申というようなものが、実はそれぞれの要素を異にして農産物の価格に対する御答申があるわけでございます。そういうようなことでございますので、これは必ずしも私は、今後の順次自由な取引か行われようとする段階において適当でないと、これを指導して参る農業政策の基本として考えます場合に、適当でないというふうに考えますので、一つの方向を明瞭に政府はつかみまして、この方向によって必要なる補助助成の政策をこれに加味してゆくべきものだというふうに考えますので、ただいま申しましたるように、必要なる調査会等をもって、これらについて各方面の御意見を拝聴いたしまして、その上で来たるべき国会に必要な措置を講じて参りたいというふうに考えているわけでございます。
  324. 永井純一郎

    永井純一郎君 その調査会の正式の名前はもちろんまだきまらないでしょうが、これはあれですか、そういったような米麦を中心とした価格形成についての、あるいは価格形成等についての調査等、それから統制を解除して自由にするための調査もあわせて、調査されるお考えであるのかどうか。農林大臣、その点はいかがですか。
  325. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 今私がお答え申し上げました通りに、自由販売にするしないということは全然考えておりません。そうでなしに、米麦その他主要農作物全体にわたって、農作物の価格形成はどういうふうにしてこれを考えべきかという基本的な方向をきめていきたいと、その計算の要素、基礎等について御調査を願う調査会を作っていきたいと、こういうわけでございます。
  326. 永井純一郎

    永井純一郎君 その際、米価審議会はもちろん今のままで置いていかれるわけですね。
  327. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) その調査会の結論が出ました際に、米価審議会等の関係については考慮いたしまして、必要なる法律上の改正を加える場合もあるかもしれないと考えている次第でございます。その答申によって政府としては、米価審議会、繭糸価格安定法によるところの審議会、これらが価格に対する答申をするという場合の基本方針をどういうふうにおくかということは、この調査の結果によって考えてゆきたいと思うのでございまして、必要がなければ、米審はそのまま置いていい場合もございましょうし、米審によって価格決定をせずに、一つの計数のモデルが出ますれば、それによって政府がおのずから出せるようなこともあるだろうと思います。これは一にその調査会の答申によって考えてゆきたいと考えております。
  328. 永井純一郎

    永井純一郎君 今のお尋ねは非常に微妙であると思うのですが、場合によっては民間あるいはは国会等が入ることのない機構で、あるい場合によっては農林省を中心とする経済企画庁、大蔵省、そういったような役所だけの何か委員会みたいなものを作って、価格をきめていってしまうというようなこともあり得るような、今含みが感じとれたのですが、そういう場合もお考えになっておるのですか。
  329. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) もちろん、今考えておりまする調査会は、法律によるものではございません。ございませんが、その調査会の答申の結果は来たるべき国会に、たとえば米審の扱いをどうするかという場合が起って参りますれば、食管法の改正をして院の御審議を願うということになると思うのであります。決して政府が部内だけで一切のものをきめてしまって、そういうふうな国会でありますとか、一般の法律によって従来ある委員会を無視してやるというようなことには考えておりませんのでございまして、この答申の結果に基いて必要なる法律措置をとるようにしてゆきたい、こう申し上げたのであります。
  330. 永井純一郎

    永井純一郎君 その調査会がどういう結論を出すかがわからぬわけでありますが、私はいかなる場合においても、少くとも農民の、生産者の代表、それから消費者の代表の入らない機構において米価が決定をされるということは、非常に逆行であります。そういうことは私はおそらくされないと思いますけれども、また今の答弁も私はそういうふうに確認したいわけでありまするが、この点は一つ十分に御留意を私願いたい、こう思うのでございます。  次に、大蔵大臣にお伺いをいたすのでございまするが、大蔵大臣も自由販売にするということは賛成だ、またしなくちゃならぬ、こういうふうにお答えになっておるのであります。ところが、これは自由にすれば、その自由にするまでのいろいろな準備農林大臣が言われるようにありまするが、しかし自由にすれば、米というものは日本の商品の中で一番商品価値のある、商売の取引あるいは投機の対象でも非常にいい商品である。商業資本家は、これは一番先にもうけようとして目をつける。今までも幾たびもそういうことがあるわけであります。そのために、米騒動が起ったことも一度や二度ではない。こういうわが国民がほしい米を、しかも絶対量が非常に不足するというこの米を自由にすれば、私は当然値段は上る。消費者の需要が大きいということと、中に商業資本家が、大きな資本家が介在しまして、必ず上ることはもうわかり切っておる。それはせっかく通貨価値を安定し、物価を引き下げる、そして輸出を増進していって自立経済を達成しようという線とは、これはもう明らかに相反する線なんです。一体、大蔵大臣はなぜ自由にするということに賛成されるのか、私その点どうもわからない。この点の一つ御見解をお聞きしておきたい、こう思うのであります。
  331. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私はすぐに自由にする、こういうことを言うわけでもないのです。がしかし、今日の食管制度について検討を加える必要の時期に来ているというふうに私は考え、これは調査会等権威ある、またそれぞれの関係者で十分考えてほしい。この結論を私は待つわけであります。ただ、そういうふうな今日の日本の食管制度というようなことは別にいたしまして、ただいまのいわゆる低物価ですか、物価の安定というようなことに関連しての米の値段というような点について考えますれば、私の考えを言えば、それは常に米価が上るとは限らないと思うのであります。これはどうしても量的な調整は必要であろうと思う。量を調整することによって価格の安定をするか、価格自体々統制していくか、こういうことがやはり私は問題になるのじゃないかという考えであります。特に米の国際的な——単に今の点を、米価と一般の物価というよう関係だけを取り上げて、日本農業という立場をしばらくおきまして、価格関係だけからいえば、今日の世界の農産物の価格情勢並びに今後における生産の見通し等から考えてみると、よほど私はここに考慮さるべき点があるのじゃないか。そうしないと、たとえば非常に国際競争、先ほどお話がありましたように、貿易に依存をしている、できるだけ国際競争に勝つ、それには、できるだけ物価が安定し、かつ安定することが望ましいのでありますが、そういうような場合に、たとえば日本の米価は、物価は毎年々々上る、世界の農産物は必ずしもそういう足取りをしない、そういうふうなことは、かなり今後の日本において考えるべきじゃないか。それだからといって、私は決して国際的なそういうふうな状況に日本農業をさらしていくというわけでもないのでありまするが、そういう点もやはり考える必要があるということだけは間違いないのじゃないかと思います。
  332. 永井純一郎

    永井純一郎君 はっきりした、自由にしようというその方針が、従来あなたが言われている自立経済を達成する方向と政策的に一致するのか、矛盾していくのかという点が、今のお答えではさっぱりわからないわけであります。先ほど羽生君の質問に答えまして河野農林大臣は、外国食糧で、とにかく米を自由にしていく。そうして間接統制でそれはやる。価格の調整で間接統制をやっていく。つまり外国食糧の輸入をされてそれで調整していくのだ、こういったような構想を明らかにされたのでございます。これは私はどこまでも農家の経済も保護育成しようという方向とは逆であって、農産物の価格が上ることを押えることにしか役立たたないわけであります。これは私は農林大臣の考え方としてそれでやっていくならば、ちっとも農業の保護育成にならない。いつも押えることにしか役に立たない、こういうことにしかならないと思う。この統制をはずしていく、はずしたあとの調整は外国食糧をにぎっていて、これでおどしながら調整していくという方向であると思うのですが、しかしそういう方向をほんとうにおとりになるつもりであるのか。その場合の日本農業の保護育成ということは、一体どういう他の方法でやられるのか、こういう点をあわせて説明をしていただきたいと思う。
  333. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいまお答えいたしました通りに、日本農業生産の面から考えまして、米麦の価格のあり方については十分検討する必要があると思います。そうしてたとえばバルク・ライン八〇%でけっこうでございますが、こういうふうに計算した場合に幾らという数字が出てくる。米は一石一万一千円と出る、一升百十円と答えが出てくるということであるといたしますれば、百十円を基礎にして外国の米麦をこれを政府が管理することによって価格の調節は私はできると思います。そういうことによって、全国の農民のうちで保護助成を加える必要の起る地域が出て参ります。生産費が高いとか、ないしはまたその他の条件において必要の起る地方が出て参ります。その地方に対して別途保護助長をして参るという政策が農業政策であると私は考えておるわけでございまして、決して、今申し上げまするように、自由販売にして、間接に外国米麦を統制することによって日本の国内の米麦の価格の位置は、これは上げようとするのも下げようとするのも自由にこれは私はできると考えるのでございます。ただし、それにはいろいろ先般申し上げますように、用意、準備はございます。それらの万全なる用意と準備を整えてやるならば、そこに無用な混乱が起らないようにするならば、あとはその方法によって、価格政策によって私はできると考えるのであります。そういうふうにして価格の安定を期した上で、必要な地方の農家に対して保護助成をしていくことがいいのではなかろうかと実は考えておるわけでございます。
  334. 永井純一郎

    永井純一郎君 もしお考えであれば私ははなはだ迂遠な政策だと思う。そういう外国食糧によって調整する場合もなおかつ、かりに生産費を償う米価というものでやらなければならぬという考えを持った場合、それがまだあなたの方ではっきりしておりませんけれども調査会を作ってやるのだから、しかしかりに私からいえば、少くとも生産費を完全に償うて再生産を十分にやり得ることでなければ、自給度の向上にならぬわけでございますから、そういう再生産費を償うという一つの価格を目標に置いて、その価格を下らないようにするための調整を外国食糧の輸入を押えることによってやるというなら、はなはだそれは迂遠なやり方であって、今の食管制度をもっと改良して考えた方がずっと直接的で、農業の政策としての農家経済を保護するという建前からはりっぱにそれができる。その辺は非常におかしな私、考え方をしておられるのじゃないか。またこれは実績からいってもその程度のことで、役所とそれから大きな商業資本家とのかけ引きでは必ず役所が負けてきているのもあなたの御承知通りであります。ごてごてとやってもうけるのは大資本家だけである。損をするのが結局農家というのはこれは従来の歴史がそうなんです。またそうであることは明らかでございます。で、私は、自由主義のもとにそういうふうに放り出していって、農業というものをあなたがおっしゃるようなことをしていって、生産費を維持してやるような米価を保証してやるというようなことは、そうなると私はできないと思う。もしそのお考えであるならば、今の食管制度をもう少し工夫をしていかれた方が、私はその方が直接的で効果的だと、そう思われないのかどうか。非常に不可解に思うわけであります。どうぞ一つ……。
  335. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) これ以上申し上げましても意見の相違になると思いますが、ただお考えいただきたいと思いますことは、現在のやみ米として動いております一千万石の米の動きをどういうふうに見ていくか、これが一体農家の手ばなれ値段と消費者の手に渡る値段との差額をどういうふうに考えるべきか、この点の解決策をどこに求めるかは重要な課題だと私思うのであります。これが第一点であります。その意味において現在の政策を改善して、思い切って農家からの買い上げ値段を上げれば、そこに一つ解決策があるかもしれませんが、これは二重価格制度によってある程度解決がつくかもしれませんが、と申しましても、やはり米価を上げれば上げたものに上回ったやみ価格が私は出てくると思うのであります。これはやみ価格は、米価を上げていっても、全量を専売にしない限りやみ価格は出てくると、独断かもしれませんが考えます。そこでこの点については私は考慮しなければいけない。それでございますから、ある程度これは今のやみ取引、これによって生ずる不経済な国内のロスをなくするためには、ある程度難点がありましても自由販売の方向に行く方がいいのではないか、その方が農家の実際の収入もふえますし、消費者の取得いたします価格もかえって安くなる、双方の便益をはかることになろうと実は思うのであります。  もう一つお答え申し上げたいことは、今お話に、永井さんの御指摘になりました点は、戦前の数字、戦前の経緯をもって議論される人が非常に多いのであります。戦争前にこうであったじゃないかということでございます。政府がやっても失敗したじゃないか。政府がやっても価格が維持できなかったじゃないか。一部の商人にもうけられ米騒動が起ったじゃないかと言われますけれども、これはあくまでも戦前の、朝鮮米、台湾米が自由にわが国内に入って参りました時代で国内の米麦が常にバランスがとれておりました。ときによっては過剰であった時代のことだと私は思うのでありまして、今日のように外米もしくは外麦を政府が管理いたしております。これだけ大量の外米麦を管理しておりますれば、国内の米麦の価格は、政府がこの数量を管理することによって、私は政府の意図によっては価格はいかようにも安定値を求められることができるというふうに考えるのでございます。
  336. 永井純一郎

    永井純一郎君 その点は、大へん重要な問題だと私も思うのです。御承知通り、戦前の米の対策というものは、過剰米に対する対策だったのです。米が過剰になり、台湾米、朝鮮米をあわせての過剰になる米による麦価の暴落対策をやってきた。ところが戦後はそうではなくして、非常に、一番商品価値のある米という商品で、絶対量が非常に足りない。そのときにどうするかという、根本的に違うのです。そのことは私もよくわかる。そこで大蔵大臣お尋ねするのですが、そういったような、戦前と違うのです、戦後の米の対策というものは。だから一等初めに申し上げましたように、ほっとけばどんどん上ってしまうに違いない。そしてまた扱う総局が戦前よりも小さいのですが、今の商業資本家が持つ商業力の小さくなっているかもしれませんゆえに、活動しやすい、巨利を占め得る余地が非常にあるのです、米という商品は。こういう情勢にあるからよほど慎重に米価対策をやらないと、一方では農民が困る、一方では消費者が非常に困るということは、さらに戦前よりもひどい結果が私はくると思う。ですから戦前のような過剰米対策でなく、今後の非常に過少な米の昂に対する対策の方が私はむずかしいと思う。で、それを今農林大臣が言われるようなことと私は逆の心配を大蔵大臣はされるだろうと思うのですが、大蔵大臣の一体見解はどうであるのか。大蔵大臣の見解の方を私はむしろ聞きたい、こう思うのです。
  337. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私は、先ほどから申しますように、どういうふうに米をもっていくかということについては、調査会で十分な検討を願って、そして今お話ように慎重に考慮いたしたい。しかし今日のこのままでは、私はどうも事柄がはっきりしない、毎年毎年米価が上る、こういうような姿もどうも私は……。そうしますと、これはむろん考え方によっては二重米価ということも——消費者の価格は据え置いて、一方生産者価格は上っていく、これはとうてい私は今後において財政の負担の耐えるところではないと思う。それだからといって、全然米について量的な調整も加えずして、単なる自由というわけにもいかない。私は、米価でもってこれを上げることによって解決しようという、そういうことは私はどうかと思う。量的な調整をもって、そして自然にその場合によって価格が形成されていく、こういう形がよくわないか。こういうのが私の見解であります。
  338. 永井純一郎

    永井純一郎君 どうも農林大臣なり大蔵大臣の話を聞いておりますると、政府の食糧政策並びに食糧価格対策というものは、将来の構想などというものはまだないと私は言わざるを得ないと思のですが、時間がないようで、あと二、三聞きたいのがありますので進みたいのですが、これは少し小さな問題になるかもしれませんが、食管特別会計で百二十八億ひねり出したわけですが、特にこれがこのまま、たとえば輸入食糧の値下りによる益金四十八億なんというのは、当初三十億という話が四十八億になってしまった。ところがこれは実績を見てもほとんど下っておらないと思うのです。いろいろ計算をされたと思いまするが、しかし無理な見積りをして百二十八億が出て、そうして赤字が出たならば、これは当然三十一年度の予算で埋める、こういうことになるわけですか。
  339. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 先ほどお答え申し上げました通りに、今までの実績をそのまま演繹いたして参りますれば、三十一、二億ということになるわけでございます。今まですでに政府が、農林省が輸入いたしました米麦の千算額と、実際輸入いたしました価格との価格差を今後の数字にそのまま当てはめますと、三十一、二億になるのでございます。ところが年初と年末との間は従来ズレがございまして、必ず先安になっておりまするから、その先安を過去の実績によって見込みますると、今御説明申し上げました四十何億という数字をもつのでございまして、一応これは私は可能な数字ではないかと考えておるのでございますが、しかし、もちもろんそれはそういうふうに将来いかない場合には、御指摘の通りに赤字に残って明年度においてこれを補てんする場合が往々起るかもしれませんということは申し上げられると思います。
  340. 永井純一郎

    永井純一郎君 次に、節約の十八億のうち、運賃引下げの分として七億ぐらいを日通との交渉によって引き下げ得るという見込みで今交渉中だ、こういう話ですが、実に不可解だと思うのです。七億もの交渉によって一挙にこれが下るというのであれば、従来こういうことがなかった場合には、日通は楽々七億がそのままもうかってしまう。逆にいえばそういうことになる。この交渉の内容というものは一体どういうことなんでしょうか。それを伺いたい。
  341. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) これはこの話が始まったから交渉を始めたのではないのでございまして、私農林大臣に就任いたしましてから直ちに、日通の運賃が年間五、六十億あるわけでございます。その六十何億あるうちで鉄道納付金が二十何億、横持運賃が四十何億あるわけでございまして、これについて検討を加えたわけでございます。検討の結果、鉄道の公定賃金でこれが契約して従来やって参りましたものを、市中運賃は非常にこの間に値段の差がございますから、そこで市中の一般運賃と見合って運賃を引き下げることが妥当であるという交渉をマル通との間にいたしまして、大体今ここに予定しておりまする七億七千七百万円ぐらいのものを値下げすることを日通に承知をしてもらって所期の目的を達するようにしていきたい。これは決してこの問題が起って初めて、これはこの国会が始まった当時から私申し上げておる通りであります。
  342. 永井純一郎

    永井純一郎君 食管特別会計につきましては、率直に申し上げて、国民が非常に疑惑を持ってこれを従来見詰めてきた問題です。まあ農林大臣河野さんがなられてから、この運賃についてそういう考え方を持っておられるということは、私は非常にいいことだと思いまするが、そうすると従来はそう公定と、鉄道公定と市中運賃との開きというものは、日通はまるまる毎年もうけておったということが言えると思うのですが、二十九年、八年というものはですね……。
  343. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) そういうことになっております。なおつけ加えて申し上げておきますが、その他の財源として、保管料についても今考えております。この倉庫保管料につきましても、鉄道の公定がありますが、これも市中の公定と違いまするし、たとえて申しますれば、肥料の保管料と米の保管料との間には非常に差がございますから、これについても今保管業者と折衝をして、これも一つ引き下げをしようと考えておるわけであります。
  344. 永井純一郎

    永井純一郎君 それは私は重大な答弁であったと思うのですが、従来はそういうふうにして日通が勝手に農民の売った米の中の経費を楽々ともうけておったというようなことは、私はこれは許すべからざることであると思う。従来そういうやり方をしてきた農林省は、よほど国会としてもこれは十分注意を私要すると思う。日通は御承知通りほとんど独占企業なんです。独占企業というものはすべてそういうことが非常に行われるのです。それとの契約でただ十億に余るような大きな金が、交渉一つで七億も八億も下げられるような状態に年来あったものを、あなたがそれをやられたことは、あなたに対してはこれは感謝しなければなりません。こういうことははなはだ遺憾であって、これは会計検査院等が、一体こういうことに対してどういう所見を持つものであるか、きょうはまあ呼んでおりませんから聞けないわけでありまするけれども、私さらにその意見を求めてみたい、こういうふうに思うわけでございまするが、これは十分に一つ適正な、日通と厳重な交渉をされまして、その結果を国会に、私、予算委員会報告をしてもらいたい、内容を詳しく報告していただきたい、交渉が成立の上報告していただきたい、こういうふうに考えます。  それからもう一つお伺いしますが、これは当面の問題である余剰農産物の会計についてでございまするが、米軍の経費として、九十一億八千万円を米軍が使うわけでありまするが、この補正された各目明細を見ますると、よくそれがわからないわけですが、これは現物の麦が来てそれを受け取るのは日本政府が受け取って、アメリカの米軍が使う、九十一億八千万円分もこれは政府がやはり売って、そうしてその売上代金を米軍が使うと、こういうことになるのですか。日本の会計には全然関係がないのかどうか、その点どうもはっきりしないのです。
  345. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 御質問の前段の方をちょっと聞き漏らしましたのでございますが、余剰農産物の買入代金をいかにして米軍が使うようになるか、その経緯の問題かと存じますが、八千五百万ドルを限度といたしまして食糧の買付をやるわけでございますが、これは通常の貿易ルートで行われるわけでございまして、ただその代金が円決済で行われる。この円は日本銀行にございまする米国の特別勘定に払い込まれることによりまして決済が行われるわけでございます。そこで八千五百万ドルに相当する三百六億の円の積立てが行われるわけでございますが、そのうちの三〇%、九十何億になりますか——に相当するものが、日米間の協定で定められておりまする使途に米側によって使用せられるということになるわけでございまして、食糧の買入代金が日銀に払い込まれたものは、これは当然米側のものでございますが、その積立金も米側は協定に従って使う、そういう段取になっておるわけでございます。
  346. 永井純一郎

    永井純一郎君 いや、そうするとあれですか、その受け入れた現物を取り扱って売ってやるのは日本側が売ってやるのですね、向うはただ円だけもらうのですか。
  347. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 八千五百万ドル買い入れまして、現物、これは食糧管理特別会計にすべて入ってしまいまして、これは通常の食糧管理特別会計の輸入外米麦と同じようなことで取り扱われるわけでございます。ただその代金が、ただいま申し上げましたように、日銀に米国のために積み立てられる、それを米国が使う、そういう関係になるわけでございまして、現物はもう全然初めから米軍とは関係がないわけでございまして、日本側の他の通常の輸入外米麦と同じように食管特別会計に入って参りまして、そこで配給ルートに乗せられる、さような段取りでございます。
  348. 永井純一郎

    永井純一郎君 これも小さな問題でございますけれども、ぜひ知っておきたいと思うのは、米が十万トン入るわけでございますが、これは種類はテキサス米だということですが、そうですか。テキサス米というのは非常に悪い米のはずなんです。そうして値段は一体幾らであるのか。
  349. 清井正

    政府委員(清井正君) この米は南部米でありますテキサス米でございまして、値段については目下交渉中でございます。まだきまっておりません。
  350. 永井純一郎

    永井純一郎君 それでおそらく百六十ドル見当だろうと思いますが、ビルマ米と大して変らないというようなことになってしまうのは非常にまずいと思います。なぜアメリカはテキサス米を売ろうとするのか、あの非常に品質の悪い南方米とあまり変らぬようなものを、またなぜそんな悪い米を、いつも品質がいいとか悪いとかいうことを農林大臣は口実にされておりますけれども、テキサス米は有名な悪い米です。それを百六十ドルも百六十五ドルも出して買わされるということは、私は非常な矛盾だと思います。断わっていいと思います。先ほど経審長官も断わることもできるというよう答弁をされておったように思いまするが、これは私は非常にいけないと思う。この点はどうですか。
  351. 清井正

    政府委員(清井正君) カリフォルニア米は現在在庫はございませんので、ただいま買うといたしますと、南部米のテキサス米しかないわけでございます。価格の点につきましては、先ほど来大臣からも申し上げたのでございますが、目下適正な価格についてアメリカ当局と折衝いたしておる最中でございます。
  352. 館哲二

    委員長館哲二君) なお質疑者もありますが、本日はこの程度で散会いたしまして、明日午前十時から質疑を続行いたしたいと思います。質疑が終りましたら、討論、採決を行うことにいたします。  本日は、散会いたします。    午後六時十三分散会