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1955-06-28 第22回国会 参議院 予算委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十八日(火曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     館  哲二君    理事           池田宇右衞門君            石原幹市郎君            西郷吉之助君            豊田 雅孝君            佐多 忠隆君            吉田 法晴君            松澤 兼人君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君    委員            雨森 常夫君            秋山俊一郎君            伊能 芳雄君            泉山 三六君            植竹 春彦君            小野 義夫君            木村 守江君            左藤 義詮君            佐藤清一郎君            田中 啓一君            西岡 ハル君            堀  末治君            安井  鎌君            吉田 萬次君            梶原 茂嘉君            小林 政夫君            田村 文吉君            廣瀬 久忠君            溝口 三郎君            秋山 長造君            久保  等君            竹中 勝男君            永岡 光治君            湯山  勇君            田中  一君            永井純一郎君            石坂 豊一君            深川タマヱ君            武藤 常介君            千田  正君            八木 幸吉君   国務大臣    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    労 働 大 臣 西田 隆男君    建 設 大 臣 竹山祐太郎君    国 務 大 臣 杉原 荒太君    国 務 大 臣 高碕達之助君   政府委員    内閣官房長官 松本 瀧藏君    防衛庁次長   増原 惠吉君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁防衛局長 林  一夫君    経済審議政務次    官       田中 龍夫君    経済審議庁次長 石原 武夫君    経済審議庁総務    部長      酒井 俊彦君    経済審議庁計画    部長      佐々木義武君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省主計局次    長       原  純夫君    通商産業政務次    官       島村 一郎君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○分科会設置の件 ○分科担当委員選任の件 ○昭和三十年度一般会計予算内閣提  出、衆議院送付) ○昭和三十年度特別会計予算内閣提  出、衆議院送付) ○昭和三十年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)   —————————————
  2. 館哲二

    委員長館哲二君) これより委員会を開きます。  まず分科会についてお諮りいたします。昨日の申し合せに従いまして四個の分科会を設けることといたしました。各分科担当事項は、第一分科会、皇室、国会、裁判所、会計検査院、外務省、大蔵省及び郵政省所管、並びに他分科所管外事項。第二分科会内閣、総理府及び通商産業省所管。第三分科会、農林省、運輸省及び建設省所管。第四分科会、法務省、文部省、厚生省及び労働省所管とすることにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 館哲二

    委員長館哲二君) 御異議がないと認め、さように決定いたします。   —————————————
  4. 館哲二

    委員長館哲二君) 次に、分科担当委員の選定は、前例によりまして各委員の御希望をしんしゃくして、委員長において指名することに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 館哲二

    委員長館哲二君) 御異議がないと認めます。  各分科会担当委員は、ただいまお手元に配付いたしております通り指名いたします。  なお、分科担当委員補欠選任につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  6. 館哲二

    委員長館哲二君) さき総合経済六カ年計画並びに総合経済計画前期三カ年の年次別構想に関しまして、佐多委員からこの両方を比較した資料を要求されたのでありまして、本日その資料が提出されております。一応これについて説明を聞くべきであると思いますのとともに、さき小林政夫委員から年次計画そのものについて厳重なる御批判があって、その処置につきまして理事会におまかせになったのでありますが、昨日理事会を開きまして、理事会としましても十二分に検討する必要があるために、本日午前中、この年次計画についてさらに質疑を重ねるということにいたしました。御了承をいただきたいと思います。まず、政府提出資料について一応説明を聴取しまして、漸次御質疑をお願いすることにいたします。  なおお願い申し上げておきますのは、きのう理事会の申し合せでは、本日午前中にこの質疑を終了するということでありますので、関連質問その他につきましては、一つできるだけその意味において御自粛を願いたいと委員長からお願い申し上げてわきます。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 館哲二

    委員長館哲二君) 政府より資料についての説明を求めます。
  8. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) ただいまお手元に配付してございます資料に関しまして、資料中心としまして御説明を申し上げたいと思います。  この資料説明に先だちまして、この資料の理解を便ならしめる意味で、今までの持っておりました六カ年計画の作り方と申しますか、考え方と申しますか、そういう点を簡単に申し上げまして、そうしてこの前期三カ年と、一月にきまりました六カ年計画との差異の点、並びにその理由説明を申し上げてみたいと思います。  この六カ年計画は、御承知のように作業基準といたしましては、ねらいが御承知のように経済自立雇用機会増大という点を二つの二大柱にいたしまして、そうしてその目標に、前期三カ年では割合地道と申しますか、着実に、そうして後期三年で拡大均衡の線を大きく延ばしたいというふうな着想で出発したわけでございますが、そのやり方としましては、お手元に配付しました資料の大体順序になっておりますけれども、若干手順と違っておる点がございますので御説明申し上げますと、まず総人口の問題から雇用問題が中心でございますので、人口の問題から入っていくわけでありますが、まず人口を出しまして、そうして表にはございませんが、総人口の中に生産年令人口がどのくらい入っているか、これは十四歳以上を全部とっております。考えようによっては六十五歳以上の老令人口生産適令人口から省くという従来の行き方もございますけれども、潜在失業者等の点も考えまして、とにかく十四歳以上の入口は全部この生産適令人口というふうに、雇用機会を増すという意味でそれをとりまして、幅を持たせてございます。そうしてこの生産年令人口の中で労働力率をとりまして、その働き得る人の中で、学生とかあるいは婦人で、家庭で働くとか不具者とかいろいろございまして、働き得る人もございますので、その労働力というものもございますので、あと説明しますけれども、それを出しまして、そうして労働力人口が一応出るわけでございます。その労働力人口の中から完全失業者目標数字を、大体どのくらい将来摩擦的な完全失業は許容されるかという点を見まして、そうして要就業人口というものを出すわけであります。今提出されたもので四番目になっておりますが、順序がちょっと逆になっておりますけれども、就業者数というものが出て参りまして、その就業者数週平均労働時間と一人一時間当り生産額、いわゆる生産性をかね合せますと、国民総生産という六番目にあるこの総生産というものが出てくるわけでございます。  そこで、それでは総生産とはどういう意味かという問題でございますが、この総生産というのは、要するにこれくらいの人間がこれくらい働けば、消費財といわず生産財といわず、サービスといわず、全部そういうものが、これだけは生産されるはずだ、これくらいは生産されるはずだという国全体のスケールが出てくるわけでございます。従いまして、この国民総生産国民所得だけでなくて、この中には国民所得プラス減価償却の部面と、それから間接税事業税のものが入って、そうして総生産ということになるわけでございます。そういたしまして、国民総生産がこの前に木村先生から御質問のございましたが、有効需要の点をどう考えておるかという問題に次に入るわけですが、この国民総生産をそれでは有効需要ではどういうふうに分配されるのだろうか、需要の面ではどういうふうに重点的に考えるかについては、次の需要の想定に入るわけですが、その入り方は、次にありますように国民所得の下の欄に民間資本形成政府購入経常海外余剰個人消費支出とこの四つの項目がございまして、これは平たく申しますと、民間資本形成というのは、企業需要部門考えて下さればけっこうだと思います。従って政府から出す財政投融資部分も、企業開銀等を通して出るものは、政府購入には入らなくて、これは企業購入という部分に入ってくるわけでございます。そういう企業からくる需要がこの欄に該当しまして、政府需要というのはこれはどういうものかと申しますと、地方財政、中央財政合わせまして、しかも財政投資財政消費そのものをまぜたものでございます。この際の財政投費と申しますのはどういう意味かと申しますと、これはさっき申しましたような開銀等を通じて企業に行くのではなくて、主として公共事業費的なものというふうにお考え願えればけっこうかと思いますが、あるいは特別な公社的なものはこの中へ入りますけれども、そういう性質のものでございます。それから経常海外余剰、これは主として貿易並びに貿易外のたとえば賠償とかいろいろなものを全部入るわけですが、そういうものの収支関係を見るわけでございまして、これによってこの受け取りか支払いか、全体のプラス、マイナスが出てくるわけでございます。それから最後個人消費部分が出てきますが、これは普通いわれる家計需要と申しますか、こういうふうに解釈していいのじゃないかと思います。そういたしまして、これをそれぞれ出しますと、国内消費個人消費支出家計需要あるいは海外需要企業需要政府需要というふうに出て参りまして、全部の総生産に見合う総支出と申しますか、要するに海外国内有効需要面が出てくるわけでございます。  そういたしますと、その有効需要に見合ってそれではどういうふうな輸入あるいは生産が最も望ましいかというのが次の段階になるわけでございまして、ただそれを出す際に、ここに一人当り消費水準というのがございますが、これはどういう意味かと申しますと、その前の欄の個人消費支出実数がございますので、それを一人当りのそのときの人口で割ったものであります。そういたしますと一人当り消費水準が出るわけでありますが、これは従いまして実質国民所得ではございません。そういうふうに出して、一人当り消費支出がどのくらいになるか、そういたしますと、厳密な作業をやる際には、この消費水準をさらに内訳いたしまして、飲食費、あるいは被服費光熱費住居費、雑費というふうな工合に分けて、そうしてさっきあげました各需要の中を特に生産財的なもの、あるいは消費財的なもの等にそれぞれ出せれば一番けっこうでございますが、そこまでは今度の作業ではやっておりません。そういたしまして需要の内訳が大きく出て参りますと、その総生産あるいは総支出に見合う輸入はどれくらいあればよろしいかということで、大体輸入ワクが出てくるわけでございます。そうしてそういう輸入ワクに見合って全部の出す輸出の額もそれに見合って出てくるわけでございますから、希望と申しますか、輸出の方はむしろ希望になるわけでございますから、それが出るわけでございますが、そういうものを出しまして、その総需要に見合ういわゆる生産構造、これは一番正しい方法はいわゆるアウトプット、インプット方式で、生産需要が少くとも大きい品種に関しては縦横がバランスとって出れば一番理論的には正しい行き方でございますが、今度はそういう行き方を実は時間がないのでとっておりませんので、大体伸びましたこの需要に、何と申しますか、平行数字をとりまして、それによって生産はこれぐらいあってしかるべきだ、これが当然あるべきだという数字がここに出した数字でございます。そうして最後雇用構造あるいは分配国民所得構造、あるいは消費性向蓄積性向といったようなものまで入って、そうして全体の経済が望ましい姿であるかどうかという点を出したのがこの表でございます。  そういたしますと、この表は今までの御説明でおわかりの通り、要するに雇用機会増大、あるいは経済自立というものを目標を掲げまして、そうして三カ年なら三カ年後、あるいは六カ年なら六カ年後にはこういうふうなのが望ましい姿だということであるならば、需要あるいは生産、あるいは貿易等、あるいは雇用等がどういう姿でなければならないか、この方が一番よろしいという姿が出てくるわけでございまして、実際はそれではこの姿だけでは何の意味もないじゃないかという御議論もあろうかと思いますが、その姿をにらみまして、その中の主要な点を政策の根幹にして、具体的なそれに近づける政策をこの中に織り込んでゆくというのが、一番重要な点の一つであるのと、それからもう一つは、年次計画に関しましては、これは遠い将来のものの年次計画を作りましても、特に資本主義下におきましては、特に日本のように海外依存の大きい国ではあまり意味がありませんので、むしろ年次計画を立てるのであれば、そういう将来の目的を基本にし、あるいは政策をそれにのっとった大きい政策の基本的な政策にして、そうして少くとも来年あるいは再来年ぐらい、一年、二年先の年次数字を大体橋渡しに作ってみる。そうしてさらに大きい政策にマッチする部分的なと申しますか、ごく近い政策をそれぞれ砕いてこれに加味してゆくというふうなのが一番いいやり方ではなかろうかと考えまして、そういう作業をしておるわけであります。従いましてこの数字中心にいたしまして、今後さらに来年度、三十一年度予算の始まるまでにはこれを積み上げ作業をいたしまして、この作業は、今申しましたように積み上げ作業ではございません。大きい総生産というところから理想的な目標を作ったわけでございますから、下から積み上げたものではございません。積み上げるということはどういう意味かと申しますと、たとえば貿易で例をとりますと、輸入はさっき申しましたようにこういうふうな輸入ワクが必要だ、こういうのを出しただけでありまして、その輸入が、何は、米であればどこからどれくらい、どれくらいの価格で買った方がよろしいとか、そういう地域的なバランス商品別地域別バランスというものが当然ずっと各商品別に、あるいは国別にずっと出るわけですが、そういうものを一定の目標に従って、あるいは市場転換必要等考えまして、あるいはドル・ギャップをどういうふうに見るのだという場合には輸入をあるいは南方に切りかえるとか、あるいはポンド地域に切りかえるとか、いろいろ政策が出てくるわけですが、下からずっとトータルをとった作業ではないのであります。ところが年度計画になりますと当然そういういわゆる積み上げ作業というものが必要になってくるわけでございます。  で、先ほど申しましたように、そういう積み上げ作業というのは、長い期間をとってもあまり意味がありませんから翌年度あるいはせいぜい二年くらいというのを目標にして作るわけでございます。それはいつそういうふうになるかと申しますと、今せっかく各省作業をお願いいたしておりまして、逐次できつつございますが、そういうものを審議庁各省と相談し、あるいは今度拡大します経済審議会等に諮りまして、これは民間学識経験者、あるいはエキスパートなどにほとんど参加をお願いするようになっておりますが、そういうシステムでその具体的な個別的な作業を積んで参りまして、そうしてこういう大きい方向に積み上げ作業を近づけていくというふうにして、それができますと来年度予算なり、あるいは財政投融資なり、あるいは外貨予算なり、いろいろこういう計画を達成するためのいわゆる間接的な手段と申しますかがございますわけでございますので、そういうものにマッチさすように逐次固めていく、こういう格好になるわけでございます。  非常に前置きが長くなりましたが、大体そういう作業でございまして、この出しました数字は、御要望によりまして前の一月に御説明申し上げました六カ年計画と、今度御要望によりましてお出ししました前期三カ年計画とどういうふうに数字が違って、その違ってくる理由はどうか、それを明らかにしてもらいたいという御要望がございましたので、ここにできるだけ詳細にと思いましてまあ作ってお出ししたわけですが、この表に従って御説明申し上げますと、まず総人口でございますが、総人口数、前のこの六カ年計画というのは、今年の一月にお出しした分と御覧願いたいと思います。それから前期三カ年というのは、今度御要望によりまして提出したものでございまして、従って三十五年は今のところでは前の数字を変えておりません。もう少したてば当然変るべき性質のものかと思いますが、今のところは変えておりません。従いまして三十二年の目標を対比して御説明申し上げればよろしいのじゃなかろうかと思いまして、こういうふうに並べてみたのでございますが、六カ年計画のときの三十二年度目標と今度の前期三カ年のときの三十二度の目標とは相当食い違っておるわけです。  その食い違っておる点をここで説明するわけでございますが、六カ年計画のところで大きいアイテムを見ますと、三十二年度目標とそれから対二十八年度比、それから対二十九年度換算比と、こういうふうにございます。これはどういう意味かと申しますと、三十二年度は、これはよろしゅうございますが、二十八年度比は、この前の六カ年計画では二十八年度基準にしておりますので、それをそのままとってございます。それから二十九年度比というのは、今度の三カ年の計画では、あと理由は申し上げますが、二十九年を基準にしてございますので、その基準に対比できるようにという、念のために二十九年度に前のものを換算してみればどういう格好になるかというのを出してみたわけでございます。従いまして前期三カ年の二十九年度比と六カ年の二十九年度換算比というのを比較して参りますと、指数的には比較ができるというふうに基準を合わせて念のために作ってみたものでございます。  そこでまず総人口でございますが、相当大幅に実数が違ってございます。前の数字は九千九十九万という数字であったのに、今度は九千百二万というふうになって、相当大きいギャップがございますが、これはどういう理由かと申しますと、二十九年度に御承知のように奄美大島が返還になりまして、その人口が二十万ばかりこれに加わってございます。それから最近の出生率等が、前に作りました総人口伸びのときに使いました資料から見ますと相当減じてございますので、それを減らしますと、大体三一二年度の総人口がこういうふうに前のものより変るのが合理的だというのでこの数字をとってございます。  それからその次の労働力率でございますが、これは非常に問題のあるところでございまして、前に作ったときには労働力率はなるべく各国並み年次が進むに従ってダウンしていきたい、だからなるべく働く人が少くても総生産は維持できるというふうな格好にしたいということで、まあしごく理論的に組んでおったのですが、一月に作って以来、各方面のエキスパートの方にいろいろ聞いてみますと、どうも日本の現状ではそういう考え方は危険だと、むしろ減らないというふうに考えるのが、潜在失業考えた場合には合理的ではなかろうかということで、これを減るのをやめまして、そこへちょっとお書き願えればけっこうだと思いますが、労働力率の今までの歩みは、二十七年が六六・七、二十八年が六七・六、二十九年度は六七・七、三十年度は六七・六、三十一年が六七・四、三十二年が六七・四、三十五年も、これはありませんが、これも六七・四と据え置きでやるつもりでございます。前はどうしておったかと申しますと、三十二年には六六・〇と、それから三十五年には六五というところまで落したいという考えでおったのですが、先ほど申しましたようにそれはいかぬ、そういう考え方は非常に危険だというので、全部今の労働力はそのまま変らないものと、従ってそれだけ就労した人口というものは前よりずっとふえるわけであります。そこで今の数字で三十一年が少しダウンし過ぎるんじゃないかという感じがいたすのでありますが、これは二十七、二十八、二十九年を三カ年平均した数字でございまして、まあなかなか労働力率は変動が相当激しいので、三十一年以降は前期三年の平均をとってございます。そういたしましてやって参りますと、労働力率の変化によって変えたという点が第二番の欄でございますが、それによりまして当然労働力人口が大きく変ってくるわけでございます。前の計画では四千百八十九万だったものが今度は四千二百八十三万というふうに約百万近くふえてくるわけでございます。そこでその中から失業者はどう見るかと申しますと、失業者は、これはもう前の約束通りこれは変えない、そうして今大体二十九年の十月が六十七万の失業でございますが、これを基準にして順次減らしていくというので、完全失業者の数は据え置きいたしまして、そして就労者のふえていくのをどんどん収容するし、完全失業者は逆にふやさないでいくという、まあ非常に野心的な考え方でございますが、そういうふうにいたしまして、三十二年には大体一%ぐらい以下に下げるというこれは摩擦失業というにはあまりに少い数字かと思いますが、潜在失業者等考えましてそういうふうにやっております。そういたしますと、就業者はこの表にありますように相当ふえまして、前の計画よりも大体九十万から百万近くふえる。  それを基礎にいたしましてずっと計算して参るわけでございますが、総生産がどうしてこう違ったかと申しますと、総生産におきましてはこの表にもありますように、二十八年度を前は基準にしておったのですが、実際は二十九年の実績を見ますと、相当初めの考えでは二十九、三十年というものはほぼ二十八年度と変らぬだろうというふうな考え方であったのですが、相当伸びてございます。生産等伸びてございますので、そういう点を勘案してそうしてその伸び考え物価にいたしましても、三十年度推定物価基準にいたしまして、これが一応安定した価格だというので、それを中心作業をしてございます。その結果国民総生産はこういうふうに変って参ったわけでございます。ただこの国民総生産で出す際にもう一つ違いますのは、労働時間等は丸まり変えないで、この前は落すという感じでおったのですが、それはほぼ労働時間はしばらくの間は現在の労働時間でがまんしたというので、これは変えずにございます。  それから注の三の経常海外余剰に関する云々という注がございますが、これはどういう意味かと申しますと、前の六カ年計画ではゼロになっておって、今度の三カ年計画ではとたんに五億もふえる、これはおかしいじゃないかという議論がありますので、こういう注を付しておいたわけですが、前の考えでは先ほど申しましたように、非常に理論的に組み立てておきまして、というのはどういう意味かと申しますと、支出の分は全部収入でまかなう。従って経常的な海外支出の分は全部海外収入でまかなうということで、それを理論的にゼロといたしまして、そうしてゼロにするためには一体何はどのぐらいあるべきかというふうな考えでやったわけでございますが、実際その後いろいろ計算してみますと、たとえば二十九年度経常海外余剰が千五百五十億ばかりございます。それから三十年度にはこの前にも御説明申し上げましたように、大体六百十五億近く海外余剰が出る予定でございます。これに相当生産額の二十八年度、二十九年度輸出伸びました関係等もございまして、あるいは三十年になりますと、賠償等が一部支払いになりますので、そういう点も考えますと、そういうことになるわけでございますが、それを考えていきますと、三十二年にはやはり五百二十億ぐらいの受け取り超過があっていいのじゃなかろうかというので、それをとっておるわけでございます。従ってここでは若干積み上げ的な考えで、現状から現実にこの問題を推していったので、理論だけはとらなかったという点がこの差異の根本でございまして、そう深い意味はございません。  それからこの個人消費支出が増加いたしましたのは、これはこの注にも書いてありますように、二十九年度の増加が非常に大きく変化がありましたので、それから国民所得等もさっき申しましたように、相当予定よりは伸びましたので、そういうのを基準にいたしますとこういうふうに変ってきたというだけでございます。基準の変化だけでございます。  それから鉱工業生産生産水準が違いましたのは、これはさっきも申しましたように、総生産がこのぐらいなくちゃならぬという希望でございますので、そのためには当然有効需要に見合ってこれぐらいの生産はあってしかるべきだという推定をしたわけでございます。  それから農林水産の部分でございますが、これは前の計画では、二十七年度基準にしておったのですけれども、今度はもう少し安全をとってと思いまして、二十五年と二十七年平均の三カ年平均をとってございます。その差異でございます。  それからあと貿易の問題でございますが、貿易の点では輸入の増加いたしましたのは、ここにも書いてありますように、国民総生産増大いたしましたので、当然輸入はこういう格好にならなければならぬ。それから輸出の増加いたしましたのは、この作業ではさっき申しましたように、むしろ輸出がゼロになりまして、このぐらいの経済規模にするためには輸出はこれほどなくちゃいけないという希望論になって参りますから、輸入が増して参りますれば当然輸出はこのぐらいほしいというので増加してくるわけでございます。  それから特需に関しましては、この前に長官からも御説明いたしましたように、これは前の数字よりも実績を勘案いたしますと、大体三億ぐらいは確保できそうだというので、傾向値でもって出してございます。  それから注の比でございますが、これには一、二、三の方はお読み下さるとその通りでございまして、別にそれをさらに御説明する要はございませんが、最後に「「構想」における」云々というのがございまして、物価の点を書いたのがございます。これは少し読みにくいのでございまして、どういう意味かと端的に申しますと、前期三カ年の方の対二十九年度調べという、この二十九年度物価基準は、三十年度にさっき申し上げました物価水準でデフレートした数字を出しております。ところが前の六カ年計画の二十九年度に比較する場合において、いろいろな数字が出て参りますので、少くとも民間資本形成政府購入海外経常余剰、個人消費支出の方に関しましては、これはデフレートしない数字を出しておりますので、この四つに関し比較するときには、六カ年計画の対二十九年度換算比というものを二%増加して考えて下されば、その対比ができるという意味でございます。長くなりましたが、資料の御説明をいたしました。
  9. 館哲二

    委員長館哲二君) 経済審議庁よりの説明は一応終りましたので、これより順次質疑に入りたいと思います。
  10. 小林政夫

    小林政夫君 先般も申し上げたのでありますが、今の佐々木君の説明を聞いても経審長官——大臣もおわかりのごとく、これは積み上げ作業でもなく、まあ希望図であるという結論になるわけであります。積み上げてあれば推測ということは言えるんですけれども、それもできない、それも言えない。要するに希望図であります。そこで六カ年計画とかというような、いわゆる計画と名をつけて、国民はソ連、中共のごとき経済計画を想定して、政府は必ずこういうふうに努力してくれるもんだ、こういうふうに考えておると思うのでありますが、まずそういうわれわれに与えておる印象というものを訂正すると申しますか、あるいはこの通りやるんだ、確実に政府は施策を進めるんだという腹づもりをしている国民が、そうでなかったということになると、非常に困る向きも出てくるわけであります。まずその計画は——言われた計画は見通しであった、こういうふうに訂正してもらいたいと思うのですが、その点いかがですか。
  11. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。政府のやっております六カ年計画というものは、経済計画性を持たすということがその意味でありまして、積み上げ式をもって将来こういうふうにする、努力してもっていくというその目標を示すというだけでありますから、ただいまのごとく積み上げ式でやったものでないことも事実でございますが、ここで初めから経済六カ年計画というものにつきまして経済計画性を持たす、こういう意味でやっておりますから、別にここで訂正してどうこうという必要はないと存じております。
  12. 小林政夫

    小林政夫君 訂正して言う必要はないと言われますが、しかし初めからそういうことでもない。たとえば本年度の三十年度予算は六カ年計画の初年度予算である、こういうことが言われておるけれども、だんだんきょうのあなたのニュアンスは多少違います——今おっしゃったことは多少違いますけれども、その当時のニュアンスとしては、いわゆる計画でこの通りやる一つの施策の第一年度だ、こういうことは施政方針演説にも言われておることだし、そういう意味においてはかなり計画に対するウェイトのおき方が違っておるのです、今おっしゃった気持と。だからそれは訂正ということは相当面子に関するということであれば、何もあらためて訂正すると言わなくても、要するにこの六カ年計画の構想というものは、政府ではない経審の見通しである、こういうふうにおっしゃっていただくことは、国民の示されたいろいろな数字に対する気持というものがはっきりすると思います。
  13. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。六年先における国民の経済を安定せしめ、かつこれに対する完全雇用をするのには、ここまでの生産をしなければならぬ、そうしなければ実行できない、こういうことが前提でありますから、この数字に適応するように国民とともに努力をしてゆかなければならぬ、この数字に適応するような方針をとってゆかなければならぬ、これは政府はもちろん国民もこれに協力していただかなければならぬ、こういう数字でありますから、これをひとり経審が作ったものでなくて、各省との間の連絡はもちろん内閣自身におきましても、これを大体了解され、同時にこれは国民全体に呼びかけて、そうして、もしこの数字に間違いがあれば訂正するということはやぶさかでないということは申し上げている通り。この数字を国民全体の力によって完全に仕上げて、完璧なる数字をここに示そうじゃないか、こういうふうな理想のもとに進んでおるわけでありますから、ただいまの数字は、これも完璧だとは申し上げませんけれども、できるだけ各方面の意見を聞いて、これを各先々の見通しをつけてゆきたい。ただいまは六年先を見ておりますが、来年になればまた六年先を見る、できれば十年先を見る、こういうことができれば、国民経済のために非常にいいことだと存じておりますから、この意味におきまして経審だけがやったものでなく、国民の数字ということに持ってゆきたいのが理想でございます。
  14. 小林政夫

    小林政夫君 前回も申し上げたように、あなたの御気持、考え方というものはわれわれはわかるのです。わかるし、またぜひそうあってほしいと思う。けれども現実のこの示されたものは、あなたのおっしゃるように、政府各省の了解を得て協力して作ったものでもなく、これは現実には経審の方で試算をしたものなんで、今後これを大蔵当局に——この前も大蔵大臣がおっしゃったように、今後十分協力を得たいと、こういうことだから。またあなたも一応この三十年度予算の審議期間中は困難だけれども、来年度予算編成時までは各省十分打ち合せして、今おっしゃった通りの理想的なものにいたします、こういうことであるから、今示されておるものは、まだそういう過程を経ておらないのですから、今の段階においては経審の試案としての希望図である、こういうことはおっしゃれないかのですか。そういうことだからといって、この初めての予算をどうするというのじゃないのだから、はっきり言われる方が国民が誤らない道だと思う。
  15. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 国民に示すべき方向はこういう方向であるということは、これは曲げたくないわけであります。ただし三十年度はすでに積み上げ式でやりましたが、三十一年度はもうさっそくこの予算が済みますれば、積み上げ式でやってゆきたい、こう存じます。積み上げ式にやるについても、三十一年度はここに示しました数字をもちまして、この数字に適応するように積み上げ式をもってゆきたい、これに協力してもらうということにつきましては、各省間の連絡をとっておるわけであります。従いましてあの数字は多少変更されましょうが、基礎的にはこういう基礎を、この方向をもって進んでゆきたい、こう存ずるわけでございます。
  16. 小林政夫

    小林政夫君 まあそれではっきり取り消すとか修正するとかということではないけれども、今おっしゃったことによって私の申し上げておる通り一つの経審としての、試案としての希望図である、こういうことを言われたと同じ発言であると思うのであります。といってあなたのお気持としては、長官のお気持としては、これを政府の、何というか構想として、国民も国会も、まあ全部この構想の下に総力を結集してもらいたい、こういうお気持をお持ちであることも事実であろう。けれども現実はそこまでの手順が踏まれておらない。こういうことなんで、私の言うようにお気に召さんかもしれませんが、経審の試案としての見通しである。こういうこの数字、ただいまのところの数字の表、これがいろいろ検討されて、大同小異の数字でもって政府としての確固たる施策の根拠をなす六カ年計画の構想として格づけされるかどうかということは、今の問題である。今の段階においては、あなたの試案であり、しかもそれは希望図である、こういうふうに格づけされると思う。まあ私がこの前、委員長に取扱いを一任したのは、そういう意味の、当予算委員会として一体この政府の示された六カ年計画をどう判定するかという問題をも含めて取扱いをまあお願いをしたわけでありまして、それは先ほども申すように、この六カ年計画ということについて国民の中には非常な重きを置いて考えておる向きもあるし、またわわれも初めはそういうふうに受け取って、今度の年次計画あたりも各省完全に一致したものが出されるということを期待してお願いをしたにもかかわらず、そうでなかった。こういう結果からいって今申し上げるようにこの年次別の構想にしてもまた前の六カ年計画の構想にしても、これは経審の試案としての希望図である。こういうことをわれわれははっきりここに確認をしておきたいと思うのであります。  従ってそうなりますと、あまりここに、個々の数字にわたってこの段階において検討することは、そう大して意味がないのでありますが、折角われわれはこういう経済計画性を持たし、国の施策をなるべく全部合していくというこの経審長官考え方には非常に賛成をするものであり、ぜひそういうふうにあってほしいと思うので、よりよき将来の計画が固まる意味において、多少の疑問点を質問をいたしますと、まず国民総生産の観念ですけれども、これは一体、まあサービスというものを生産と見るかどうかということについては、相当学者間にも議論があるのですが、これは当然今の算出方法からいうと、一応総生産の中に入れられておるわけですね。
  17. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 当然この中に入っております。
  18. 小林政夫

    小林政夫君 それから、じゃあ観点を変えて、この中で政府の意思によって、政府の施策によって、あるいは行政指導をも込めて政府限りで決定できる要素、これは何と何ですか。この政府購入はもう間違いない、政府購入だって、地方公共団体がありますから、これはもうはっきり政府の意思によって数字がきまる、こういう要素ですね。
  19. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) この中で政府がはっきりきめるという要素はまあいろいろございますが、大きく申し上げますと、地方財政、国の財政はもちろんでございますが、あるいは財政投融資の財政面からいく投融資、国でまあコントロールしております投融資でございますが、これは当然考えておるわけでございます。それから民間資本の動員でございますが、これは今のところではまだ不十分でございますけれども、この計画を進めて参りますと、あるいは一部その中で、まあ何と申しますか、計画的にやれる部面というものも考え得るかとも思います。それからもう一つは外貨予算の面でございまして、この経常収入の方に入ってくる部面でございますが、外貨収入の問題がそこに一つあります。それから物価等を算定いたします場合のいわゆるマル公部面が日本物価で非常に多うございますので、いわゆる規制物価をどういうふうに扱うかという面も当然考えていく、政府でコントロールし得る計数ではなかろうかと思います。大体大きく分けますとそういうものかと思います。
  20. 小林政夫

    小林政夫君 確認すると、今のお話だと、この点について言うと、少くとも政府購入として上げられておる三十二年度数字一兆六千二百三十億、こういうものは政府の意思でこの通りきめられる、これは全額きめられる、それから民間資本形成の中で企業への財政投融資、この額はきめられる、それから輸入のトータル、これが外貨割当によってきめられる、この三項目の中で全額きめられるというのは政府購入である、こういうことが言えますね。輸入の全額もきめられるわけであるが。そこではっきり政府の構想、政府計画、積み上げ式推算を経ての政府の構想として、今度の予算編成と同時にやられる、まあ少くとも三十二年度くらいまでを見通しての計画ということになると、この政府購入の今ここに示されておる数字が一兆六千二百三十億、これだけは動かせない数字として、少くとも三十二年度までの年次計画を作るならば、三十一年度はもとより三十二年度もこうなるんだという数字になるべきものですね。その中には、防衛庁長官がおられるが、防衛費も含まれておるわけですから、そういう数字を固められる御所存ですね。
  21. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) この中の分類等はただいま小林委員から仰せられた通りでございます。そこでこの積み上げ作業をやる際に、これがどういうふうに三十一年、三十二年にはなっていくかと申し上げますと、これがいわゆる国民所得等がこういうふうにきまって参りますと、これによってさっき申し上げましたような確定し得るもの、国の財政の規模とかあるいは投融資関係とか、いろいろそういう関係のものはできるだけ今後積み上げて固めて参りまして、そしてこの数字に近いような数字にしたいというのが狙いでございますが、それではさてぴしっとこの数字通り合うかと申しますと、実は政府購入の内容は先ほど申し上げましたように、地方財政、中央財政あるいはそれをさらに分類いたしますと、財政投資あるいは財政消費というような部門に分れまして、ただいまお話ありましたような財政消費という中の一部として、今の国防費等が入ってくるわけでございます。そこでその国防費がそれではこの財政消費という中にどのくらい今織り込んでおるかと申しますと、今のところはそこまで考えておりません。大きいところから割ってなるべく財政消費を抑えて、そして財政投資の方を若干逐次ふやして、そして生産拡充に向いたいという思想でいるわけですから、財政消費の中にはいろいろなものがございます。官吏の給料等も全部その中に入るわけですが、ただ単に防衛庁費のみではございませんのでして、そういう点は防衛庁費とは言えませんが、財政消費あるいは財政投資のパリテイ等はなるべく財政投資の方にウエイトをおきたいという感じでこの作業はできてございます。ただそれがさっき長官からも申し上げましたように、さてしからば三十一年度、来年度どうなるかという点に関しますと、こういう大きい見通しの線に従って出した一つの基本的な政策と申しますか、たとえば消費はできるだけ節約して蓄積の方に回さなければ将来の拡大生産はできないとか、輸出は万難を排してもこの程度は確保しなければならぬというような大きな政策がこの中から生れ出るわけですから、こういう大きな政策を基本にして財政計画に向うためには、それでは財政の規模なり内容というものはどうあるべきかと、あるいは国際収支関係等はどうあるべきかといったような点が具体的な今後の積み上げ作業になって参るわけでございまして、その際には当然大蔵省の方とも非常な強い関連を持って参りますので、そういう作業の際には各省とも十分相談をしなければならぬ、もちろん防衛庁とも相談申し上げまして、そして少くとも何と申しますか、年度の途中等ではこのくらいの姿が望ましいというくらいの積み上げたものを作る予定でございます。ただそれがすぐ予算になるかと申しますと、必ずしもそれはそうならぬのでございまして、さらに十二月ごろになってほんとうに予算を組む際には、さらにその後の現実の経済の動きというものを見まして、そして三十一年度の歩みというものはどうなるかという最終的な国民経済の見通しを立てまして、そして大蔵省の方でなるべくはその線に沿って具体的にこの予算を組むと、こういうふうになるのではなかろうかというふうに考えております。従って、この中には防衛庁費はなんぼ含まれておるかということにつきましては、今のところはそういうものは織り込んでおりませんということを申し上げるわけであります。
  22. 小林政夫

    小林政夫君 いや、そういうことを聞いておるんではないです。私の言うのは、もうこれは今の段階においては個々の数字を審議する価値を僕は認めていない。けれども、今度来年度予算の編成と関連して、先ほど来経審長官が言われたようなこの年次計画を立てる、こういうことであれば、少くとも政府の意思によってきまる数字というものは、この政府購入と、民間資本形成の中の政府の投資と、そして輸入と、こういうものは確定できる数字なんです。ほかのことを考えなくても政府の一方的の意思によってきまることなんです。もちろん各省とも打ち合せ、大蔵省とも十分打ち合せの上でできたこの三十一年度予算の確定時には、おそらくわれわれに発表されるのであろう数字の場合においては、ここに示された政府購入というものが三十一年度幾ら、三十二年度幾ら、少くとも三十二年度くらいまでの数字は示していただけるものと期待しますが、そのときに示された数字の中には当然防衛費も含まれ、公務員の支払い給与も含まれたこのワクというものがはっきりするだろう、またそれは動かない数字としてはっきりするものでなくては、経審長官の先ほど来言われておるものにはならない。また三十一年度だけは、今度は六カ年計画の第二年目でございます、済んだあとから二年目だとはだれでも言います。それが少くとも三十二年度まではこういう数字だと、こういうことになるかならないか、経審長官が先ほど言われておる気持を敷衍して考えれば、当然そうですということが言えるはずなんです。ただそのときに私はあまりうっかりした数字を出されては困るから、この中には防衛費も入っておるのだということを、当然佐々木君は知ってておるけれども、経審長官や防衛長官や大蔵大臣という人には注意を喚起しておくつもりで申し上げておるわけなんです。そのつもりで政府購入というような数字をきめないと、全くわれわれが取り上げて問題にする数字ではないということになる。また民間資本の形成に対するその中の企業への財政投資にいたしましても、同じ経審からこの国会中に出された諸般の企業に対する投融資の将来の数字だって違っているのです。これは一一あげれば時間がありませんが、違っておる。こんなことではこれは実際計画とは言えないですね。現在の経済態勢において少くともこういうようなことをやっていこうということであれば、少くとも重点をしぼってこれとこれとこれとこういうものに全施策を集中する、こういうことでなければ、到底全部の指標をこの通りにやっていこうなんということは無理なんです。だから投融資なら投融資の中で、少くとも石炭、鉄、合成繊維、あるいは電源開発、あるいは石油化学だとか、原子力だとか、こういうようなものについては少くとも三カ年あるいは五カ年というものは絶対こういこふうな計画でいくのだと、最小限度にしぼった計画に重点を置く、そこに示された計画というものは一つも狂いはない、政府の施策としての狂いはない、技術上のそごができたとか何とかいうことならこれはやむを得ませんけれども、あるいは天災地変というようなことならやむを得ないけれども、政府の集中する施策としては狂いがないと、こういうようなことでないと、われわれが計画として受け取れないのであります。そういう意味において申し上げておるわけでありますが、経審長官はそういうことをおやりになる確信があるか、また同時に大蔵大臣は経審長官と一緒になってそのようにやられるのであるかどうか、一つ最後に承わっておきたい。
  23. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) ただいまの小林さんの御意見、私はまことにごもっともだと思うのでありまして、なるべく一日も早くそこへいきたいと存ずるわけなのであります。大体政府の方針といたしましても、この六カ年計画の大ワクをきめます上からいきましても、政府投資というものにつきましては、大体国民総生産の一九%程度をいつもずっと持っていきたいと、こういう方針でございます。それで国民消費の方はできるだけ節約していきまして、今回の計画におきましても、二十九年は民間投資融資は一五%くらいになっておりますが、これを一九%八までに上げていきたいとこういうことで、民間の資金をまとめまして、民間投融資の方へどんどん持っていこうと、根本の方針はそこへ持っていきたいわけでありまして、政府購入というものは大体一九%くらいでずっと持っていこうと、こういうような一つの方針を立てております。それに合うようにやっていくにつきましては、どうしても石炭は石炭、あるいは鉄は鉄と、個々別々に積み立てをもって、そうして一年よりも二年、二年よりも三年の目安をつけて積立式の案を作りまして、それに持っていかなければほんとうの計画にならないと私はそう思っておりますが、ただいまのところでは、もうすぐに三十一年度のものは予算も編成せなければなりませんから、これは積立式をもって経済審議庁の方針と大蔵省の方針とを相マッチしつつこれを作っていく。それと同時に三十二年度もやりたいと存じますが、三十二年度はまだなかなかそこに困難性があると思いますけれども、三十一年度は、すぐにやれると思っておりますが、それにつきましても、できるだけ三十二年もあるいは三十三年もやれるように持っていくためには、各個々々の計画をやはり立てていかなければ本式でないと思います。根本におきまして人口問題のごときも、これは私が思うておったよりも、実際に突発的にふえる人口があったのですけれども、初めの予定よりも人口は減っております。予定通りふえておりません。そういうふうな点を根本に変えて調査していかなければならない、こういうふうな点がありまして、いろいろな方面から研究すべき点がたくさんできてきておるわけなのでありまして、できるだけ完成を期してただいまのお話のごとくそれに持っていきたいと存じておりますから、どうぞよろしくお願いいたします。
  24. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 経審から経済の方向を示めされておりますが、これを今後積み上げていって具体的な数字が出て参ると思いますが、これにまあ十分協力していく、そうしてりっぱなものができるようにいたしたい、かように考えております。
  25. 小林政夫

    小林政夫君 どうも今の経審長官、大蔵大臣の御答弁に至ってはもう問題にならぬが、経審長官の御答弁も三十一年度はどうにかやれるけれども、三十二年度に至ってはということで、はなはだ自信のなさそうな答弁なんです。これでは計画ではないですよ、だから計画なんということをやめたらいい。なるべく計画的に考えて行く、たとえばこの前も申し上げたけれども、重油々々と言っておって、すぐ一年もたたぬうちに石炭に切りかえるようなことはやらない、相当先を見通した施策をやるのだという程度の話でいいので、実際ほんとうの集中的な計画すらもできないような口ぶりであれば、そういうことをやはり今まで通りに毎年毎年予算を組んで、そのつど組んで行くのだということと結果的には変らぬようなことになっておるので、今の防衛計画だって立たぬということであれば、今の政府購入という数字を出されれば、われわれはじけば、すぐ一銭一厘違わぬ数字は出ませんけれども、三十二年度までの政府購入という総額が示されれば、それによっておよその防衛総額というものが推算できる。こういうことから言うと、これは絶対動かぬ数字だということが一体できるのかできないのか、はなはだ私は心もとないと思う。そういうことであれば、なるべく施策は永続性のある施策をやるという程度の話し方で、あまりかえって言うと自縄自縛に陥って、そうして苦しまれる結果にもなる。むしろ経審単独の経済の見通しはこうだ、希望図はこうだというふうに言った方が気楽じゃないか。それをやるならばほんとうにやってもらわなければいかぬ。ほんとうにやってもらうことを希望しますけれども、そう申し上げまして……。
  26. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 まず大蔵省の主計局長に聞きますが、三十年度予算の編成方針は閣議決定をしたのかどうか、それから予算編成方針を閣議決定したとすれば、その月と日、それから同じく予算自体を閣議決定をした月と日、それをお知らせ願いたい。
  27. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 予算編成大綱が本年度予算編成方針になっておるわけでございますが、これは前内閣の当時、たしか一月の十八日に閣議決定になったように私記憶いたしております。新内閣になりましてから、引き続きその方針を踏襲するいうこととで、この大綱に基きまして予算編成に努力をいたしまして、大蔵省予算原案かきまりまして、これを閣議に提出いたしましたのがたしか四月の二日でございます。その後各省との折衝、党との協定並びに分担金の削減に関する交渉等を経まして、政府の提出案が閣議決定になりましたのは、たしか四月の十七日ごろじゃないかと思います。あるいは一日、二日のズレがあるかもしれません。——失礼いたしました、四月の十九日だそうであります。
  28. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 三十一年度予算の大綱、あるいは予算編成方針はいつごろおきめになるか、それから通常に行けば予算そのものはいつごろ来年度のものは閣議決定をすることになるか。
  29. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 毎年の予算編成の手順を申し上げますと、八月末までに各省から概算の要求を出して参ります。その各省の概算要求を出す前に予算編成方針をきめていただくというのが従来の例でございましたが、最近はむしろある程度の財政の見通しを立てて、多少抽象的なものでなくて具体性を持った予算編成方針をきめる、その方がいいのじゃないかというようなことから、ほんとうのそういった具体的な予算編成方針がきまりまするのは、予算につきましてのある程度の輪郭的な数字についての見通しがついた後というようなことになっておりますのが、ここ二、三年の例でございます。そういたしますと、八月末に各省から概算要求が出て参りますが、歳入の面あるいは経済審議庁における経済の何カ年計画に基くもう少しこまかい積み上げ的な作業等の推移を待ちまして、おそらくは十月、十一月くらいのころにほんとうの数字を盛り込んだ、具体性を持った、その基礎の上に立った予算編成方針をきめていただく、さようになりますのが予算編成の手順といたしましては最も希望すべきところであるというふうに、これは私どもの事務屋の立場から申し上げました希望でございます。それらの点につきまして、政府御当局の御決定になったというような、そういうものではございませんが、私どもの希望から申し上げますれば、大体そんなような段取りになるのが一番望ましいと思っております。
  30. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 予算そのものはいつごろ……。
  31. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 八月末に出て参りましたものに基きまして、大体年末までに事務的な作業をおえまして、その間にただいま申し上げましたような大綱的方針をおきめいただいて、それに基いて最終査定をするわけでありますが、年末までに私どもの原案を作成し、相なるべくは年末までには各省との事務折衝をおえる、これが通例あるべきところから申し上げますと、望ましい段取りでございます。
  32. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今お聞きのように、従来予算編成方針をまず大きくきめて、それからもっと数字的な具体的なものが出てきて、大綱的なものをきめて、しかる後に予算そのものをきめるという手順であるべきはずのものが、予算編成方針なる抽象的な一般的な総合的な方針あたりはほとんどきめないで、もっと事務的な計数的な具体的な見通しができて、それに基いて予算が固められてゆくということに予算の一貫性のなさ、予算が非常にばらばらで事務的な、一貫した政治方針が盛り込まれていない無性格な予算ができる原因があると思うのであります。そこで幸いに総合経済計画自身が長期にわたって立ち、しかもその総合経済計画は各年度ごとに一つの総合計画をお立てになることになっておるので、その総合経済計画にマッチした、それの一環としての予算が編成される、こういう体系が立てられなければならない。鳩山内閣は幸にしてそういう問題を総合的に計画的にやろうというお考えでありますから、今度こそはそういうふうな手順を踏まれて、きちっとした予算なり何なりを組まれることが必要であると思うのでありますが、そういうふうな心がまえがおありであるかどうか、それをお聞きしたい。  それに関連をいたしまして、従って三十一年度総合経済計画も、その総合経済計画計画方針といいますか、編成方針がきめられ、それに基いて総合経済計画がきめられて、それをきめるときにはもちろんその各一翼としての予算であるとか、外貨予算の問題とか、その他生産計画貿易計画、資金計画等々もいろいろ同時並行的にきめられて参るでしょうから、そういうものも勘案をしながら年度の編成方針がもっと具体的にきめられて、それが貫かれてゆくというこが絶対に必要であると思うのでありますが、高碕経審長官はそういう用意、そういう決意をお持ちになっているかどうか。さらに大蔵大臣はそういうものにあわせて、一つ総合的な計画的な経済計画の一環として、予算を今後編成をしていくというふうに改めていかれる決意があるかどうか、おのおのの大臣にお伺いいたします。
  33. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 率直に申し上げますと、三十年度のこの予算と、翌年計画経済計画との間のつながりというものにつきましては、完璧を期したものとは言えないわけでありまして、並行的に進んでいった、こういうふうなきらいがあるわけでありますが、今回三十一年度につきましては、相当ゆとりのあることでありますから、さっき主計局長の申しました通りに、八月中くらいに大体各省希望予算が出る、それをさらに検討いたしまして、経済六カ年計画の総合計画にマッチしているか否やということを十分検討いたしまして、それに合うように大蔵省当局と折衝していきたいと、こう存じます。
  34. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 予算の編成の基本的な方針についてのお話しでございますが、大体私はそういう御意見を了承するのであります。今回私は三十年度予算の編成に当りましても、従来のようなまず事務的にいろいろと折衝をやって、そのあと一つ予算ができるというのを廃しまして、先ほど申し上げたと思いますが、まず先に各省大臣でなく各国務大臣に、一体どういうふうな政策をそれぞれ持っているのかということを問いまして、まず予算編成大綱というものを先に閣議決定をして、その線に沿って各省に折衝をさせる、こういう方針をとったのであります。その方針は持続するのでありますが、その予算編成大綱というのが、今度六カ年計画というものが数学的にもかためられて、そして翌年にわたって見通しがついてくる、こういうふうなことになると思いますが、従いまして、ただ私がここで一応御了承、御理解を願っておきたいことは、ただ計画一つできたから、その計画に合わせてただ資金を配賦する、そういういき方は私は妥当ではないと思う。そういう予算はやはり私は妥当ではないと思う。従いまして、この計画が総合企画庁においてされる場合に、資金的においてもすべてが見通されてくる、そこでもうすでに資金とかその他の面と、経済の実態面とがほんとうによく組み合いができて、そういう形のものでなくてはならぬ、言いかえれば今後においては大蔵省と企画庁がほんとうに一体のような形で一つやっていこう、こういうのが私の構想であります。
  35. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 特に総合的な経済計画が、まず方針なり計画の大綱が組まれて、その中における予算の問題なり、貿易の問題なり、資金の問題として考えられることが必要であると思う。ところが今御報告にもありましたように、予算の編成大綱は一月十八日に作られた、そして予算そのものがきまったのが四月十九日でございます。そして経済計画の大綱はその四月十九日の閣議決定、予算が決定された同じ日に決定をされておる。こういうやり方であるから、そうすれば経済計画がむしろ予算に追随をしておる。ただ予算経済計画をどう合せようかということをやっているにすぎない結果になっている。三十年度計画自体を見ればそれであってはならないのであって、総合国力の判定あるいは総合国策、重要国策の順位、その他がきまって、それによって経済計画がきまって、それに基いて予算が編成されるということでなければならないと思いますので、今後は今の大蔵省側の話しによりますと、予算編成方針といいますか、編成大綱といいますか、それは十月末ごろまでには作られる、従ってその以前に三十一年度計画方針なり大綱は立たなければならないと思いますが、それらをやる用意があるかどうか、決意があるかどうか、それを。
  36. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) ただいま佐多さんのおっしゃったごとく、それを十分実行いたす決意はございます。
  37. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 経済審議庁からお作りになった六カ年計画は、三十年一月十八日に閣議了解事項となっております。それから三十年度経済計画大綱が閣議決定となっておる。それから今お手元にいただきました前期三カ年の年次別構想は、一つの試案として出されているので、これは内閣全体として、政府全体としてどういう扱いになるかがよくわかりませんが、私は六カ年計画が少くとも閣議了解の程度になり得るものならば、三カ年計画もまたそれぐらいの扱いをされなければ、計画としての意味がないではないか、従ってそれをどういうふうにお考えになっているか。今一応の試案であるが、もっとこれを手直しして、近い機会に閣議了解に持ってゆくというおつもりであるかどうか、その辺の心がまえをお聞きしたい。私はそう言いましても、閣議了解、あるいは六カ年あるいは三カ年の数字がいろいろきまっても、それはこんりんざい変更してはならないものだと、そういうことは申しません。むしろ実情の相違、いろんな見通し、その他の変化によって刻々と変っていると、始終数字は手直しをしてしかるべきだと思う。しかし大きな方向なりあるいは大きな政策なりは、はっきりしたことを内閣政府全体の方向としておきめにならなければ、総合的な計画的な運営とは言えないと思うのでありますが、その点はどうですか。
  38. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 大体お手元に差し上げました数字につきましては、これを国会に提出するということについて閣議の了解を得ておるわけでございます。ただいま佐多さんのおっしゃったごとく、各方面の方の意見を聞きますれば、修正すべき点があるだろうと思いますから、その場合には修正するということの了解のもとに閣議の了解を得ておるわけでございます。決定いたしましたときには、またもちろん決定の了解を得るわけでございます。
  39. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 全般的なことは一応それくらいにいたしまして、一つ一つについてお聞きをしてみたいと思いますが、国民所得の問題であります。国民所得は、いただきました表によりますと、六カ年計画では一〇%の増加になっておりますが、三カ年計画では一三・八%の増加、ちょっと一四%くらいの増加になっている。非常に増加が伸びが大きくなっておる。これはさっき言われた程度の報告では了承がしかねるので、特にこの傾向なり趨勢をさらに伸ばしてゆけば、六カ年後の三十五年度には、もっとこの開きが大きなものになるのではないか、こういうふうな感じがいたします。従ってこれは当初の計画ができたときも私は申し上げたのですが、生産伸びなり所得の伸びというものは、非常に意識的におさえようとしておられるけれども、そういうふうにおさえられるものではないし、むしろその伸びをインフレにならないようにいかにうまく伸ばして行くかという積極的な方策なり態度が望まれるべきであるにかかわらず、単にインフレをチェックするんだという消極的な見地から、生産伸びその他にも非常にむりな想定をされたのじゃないか。二十九年度がすでに相当くるいを生じていることがそういうことを意味しておると思いますが、それらの点をどういうふうにお考えですか。
  40. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 国民所得伸びに関しましては、伸びました理由に関しましては先ほど御説明申し上げた通りでございまして、この作業やり方は、要するに国民総生産がこのくらい伸びて、そうしてその伸びた中で償却あるいは間接事業費等がどのくらいというのをとって参りますと、こういうふうな大体国民所得の率になるのが望ましいというのが本来のやり方でございまするが、しかしこれは特に重要な問題でありますので、単にそういう計算のみじゃなしに、先ほど説明したように、二十九年、三十年の実績を大体見まして、三十年は見通しでありますが、見まして、それによると大体このくらいは伸びそうだ。たとえば、二十八年の計画を作った際には、二十九年、三十年は大体横ばいというふうに見ておったのでありますが、実績を見ますと、横ばいでなくて相当増加するわけでございます。そこでああいうデフレの際でもこういうふうに増加するものであるならば、当然三十一年、三十二年に関しましては、その二十九年をかりに今申しましたように基準にとるならば、これは据え置きというのはおかしいので、やはり相当程度国民総生産の上昇に従って伸びるというふうに見るのが当然じゃなかろうかというので、その国民生産伸び、言いかえますと、人口伸び就労者伸び等と見まして、この国民所得というものを増して行ったわけでございます。ただその際の物価の変動によってそういうものが出たのじゃなかろうかというお話もございますが、そうじゃないのでありまして、物価はいわゆる計算物価ということで三十年の物価基準にいたしまして、そのまま伸ばしてございます。
  41. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 いや、物価が不変なものをとっておられることはわかっているので、その問題は申し上げてはおりません。問題は、希望図としてはあなた方の総生産なり、従ってそれを所得化したものはこれぐらいであることが希望なんだけれども、実際の趨勢から見れば、これよりこえるような趨勢になっている。実際の趨勢は。下から積み上げて行かれれば必ずこれを突破するような情勢になっている。それにもかかわらず、その希望としてそれをそこに押えなければならないという政策をとられるべきなのかどうか。それは消費なり何なりを押えつけておこうとされるから、そういうふうな人工的な抑圧を加えなければならない。しかるにかかわらず、そういう政府の意図なり方策にもかかわらず、実際の成長力なり伸びは非常に大きいので、そこに狂いが出てくる。従って、のちほど申しますが、個人の消費支出も当初あなた方が計画されたよりも大きくなるとこいうとになるし、それが従って非常に大きな輸出入のアンバランスでももたらし、さらには物価騰貴でももたらし、インフレ傾向にでもなれば、これはそういうものとして実際にそうなったことが失敗だといって反省をして、さらに政府希望なり意図のところに押し下げる努力をしなければならないけれども、二十九年度においては必ずしもそうでない。政府の意図に反して生産も上昇をしたし、個人消費もふえた。にもかかわらず貿易の収支はアンバランスでなかった。物価もそれほど上っていない。とすればこの程度の消費伸びその他はむしろ積極的に意識的に計画をしてここまで行かるべきである。そういう政策のあやまちが今後六カ年の長い間にわたって続くことになりやしないか。その辺をどういうふうにお考えになるか。
  42. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 非常にその点は長い見通しを立てた際にも基本的な問題でありまして、ただ国民所得は、お説のようにできるだけふやすという方向が望ましいのでありますが、どういたしましても、国民所得が増しますと、ただいまお話しにありましたように、やはり輸入増大して、どうしても輸出に相当程度ウエイトをかけなければならぬということになって参ります。ただいまの輸出の量でも、相当これはまあ各省間とも問題がございまして、なかなかこういう輸出というものはむずかしいのじゃなかろうかという点もいろいろ——私どもは大丈夫だとは思っておりますが、やりようによっては行けるのじゃなかろうかと思っておりますけれども、ございまして、なるべくは輸入の問題とのかね合いで、かりに物価というものは上げないということでありますれば、国民所得がふえますと輸入がふえるのが当然でございますから、生産がそれに追随すれば別でございますけれども、そういう関係がございまして、意識的にまあ国民所得を押えるという意図はないのでありますが、ただその内訳の個人消費の部面に関しましては、これは相当外貨等の情勢から見ましても、日本消費内容に関しましては、むだが多いと申しますか、まだ改善の余地があるのじゃなかろうかと思いますので、そういう点はできるだけの方法で改善を加え、そうしてこの蓄積の方に回して、そうしてかりに国民所得が増すといたしましても、健全な意味国民所得が増加するというふうな方が望ましいのじゃなかろうかというふうな感じでこの案は作ってでございます。ただ佐多さんのおっしゃるように、国民所得がもう少しふえるのじゃなかろうか、押えようとしてもふえるのじゃなかろうかというその見通し、意識の問題でなくて見通しの問題からいたしますと、あるいはお説のようになるかとも考えられます。
  43. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 個人消費の問題が非常に不健全な消費がたくさんあって、そういう意味ではむだがなされており、それは健全な消費に切りかえられなければならないという御意見は、その通りだと思います。しかし同時に絶対的な必要消費が非常に満たなれないで一般の人たちが生活苦に悩んでいることもまた事実なんです。それらの点ははっきり区別をして、消費全体としてはむしろ伸ばす、しかもそれを伸ばす場合に不健全なものを健康な必要なものに切りかえるというようなことをやれば、実際の必要消費はさらに飛躍的にふえるという結果になるのであって、むしろそのことをもっと意識的に計画をされなければいけないのじゃないか。たとえば六カ年計画では、あなた方は三十二年度までには五・八%の個人消費支出をお考えになっていた。ところが、二十九年度一カ年の趨勢値その他から考えて、一二%まで上げ得るし、上げなければならないという検討をすでにここでやっておられる。そうだすれば、さらに六カ年後の三十五年にはこれがどういうふうに六カ年計画と食い違ってくるのか、それもお示しを願いたいと思いますが、個人消費に関する限りは非常な誤算をしておられたということが結果としてはっきり出ておるので、この点はあなた方は数字をあるいは無意識のうちにはじいておられるかもしれないけれども、非常に重要な問題を含んでいることとして、よくこれをいかに意識的に政策化するかということをぜひお考えを願いたいと思う。その点に対する御所見を、これは大臣に一つお願いいたします。
  44. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) お答えいたしますが、二十八年度の個人消費が非常な率で急速に上ったわけなんでありまして、これはむしろアブノーマルと言わなければならぬ。けれどもお説のごとく、順次これは上げるべきものだと、また上るべきものだと、こういう考えで最初の六カ年計画では、三十二年度は、国民消費水準は五%一となっておりますが、これを八%七に、こういうふうに消費水準が上っておるわけなんです。幾らか上げたわけなんでございます。
  45. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 いや、その二十八年度は非常に個人消費がふえていたんだとおっしょるが、二十八年度数字は御承知通り四兆四千百五十一億なんです。三十九年度消費をもっと減すんだとか、あるいは少くともこの程度で押えるのだとか言っておられたが、それにもかかわらず、四兆五千七百八十億にふえている。そのふえる趨勢が今後もっとふえるだろう、ふやさざるを得ないと、そしてふやしてもなおかつ物価も上らないし、物価も減るし、輸出入もうまく自立の方向に行くんだという数字がここにちゃんと出てきている。そこでこの問題は非常に重要な意味を持っていると私が言うゆえなんです。その点をもっと明瞭に一つ数字がこう出ているというだけでなくて、非常に重要な問題を含んでいるんですから、それを特に意識して、もっとこれを政策的にうまく政策化するにはどうするかということをお考えを願いたい。
  46. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 先ほどの御説明で、若干補正さしていただきますと、二十九年度基準にしてこの前期三カ年を組みかえ、前の六カ年計画で二十八年度基準にしておったわけでありますが、二十九年はデフレで、と申しますか、通貨が非常に安定に向いました関係もあって、個人当り消費水準は相当大幅に上昇したわけでございます。その上昇したのを基準にしたので、前期三カ年と六カ年計画とがこういうふうに大きく違ったのでありますが、年別の伸び等に関しましては、六カ年計画に採用しましたのとほとんど変りございません。そこでお話のような個人消費のむだは排除すべきであるが、全般的な水準としてはまだまだ各国に比較して低いので、これに関しましては、十分むだは切って、健全なものは水準としては伸ばすべきではなかろうかという御議論じゃなかろうかと拝察したのでございますが、今の消費水準伸びを見て参りますと、蓄積性向と申しますか、この方も相当伸びて参りまして、貯蓄性向と申しますか、通貨の安全と申しますか、こういう点さえ、物価の安定さえ今後はかり、そしてさっき申しましたような総生産が増し、国民所得が増して参りますと、当然この個人消費水準の方もいわゆるこの消費として出るのか、蓄積として出るのかという、そのバランスがまだはっきりわかりませんけれども、いずれにいたしましても、蓄積の方も、個人の蓄積の方も増すが、消費されるものも健全化されながら増していくというふうな姿をとっていくのじゃなかろうかというふうに考えられます。ただその際個人の蓄積、貯蓄性向よりも、むしろ消費性向をもう少しあるいは健全な意味で助長——増すような方策が必要じゃなかろうかという意味でございますれば、これはなかなかやっぱりむずかしいものじゃなかろうかという感じがするのでありまして、むしろ私どもは全般的な水準は高めますけれども、その中でできますれば、余裕ができましたら、個人の蓄積性向というものをある程度増して、そうして資本形成の方に回していただきたい、こういうふうな感じを持っているわけでございます。
  47. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうしたら、もう一ぺんそれを聞きますが、基準を違えたからこういうふうに違ってきたんだとおっしゃるけれども、基準を二十九年度に換算しても非常に違っているんです。たとえば個人消費支出ならば、二十九年度換算比にして一〇五・八%を六カ年計画には予定されていたのが、三カ年計画では一一二・一%にふえている。それから一人当り消費水準も、六カ年計画では四・五%を計画しておられたのが、三カ年計画では八・七%の上昇を見込まなければならないような計画変更をされて、従ってこれをさらに伸ばしていくと、一体六カ年後には当初六年計画では一四・九%、一五%の伸び、上昇ということを考えておられたが、これをもっとずっと上げていいはずである、そういうことをどういうふうにお考えになっているのか。
  48. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 先ほども申しましたように、これは二十九年度基準が上ったのでこういうふうになったのではございますが、私もう一つ言い忘れましたが、国民総生産伸びをごらん願いますと、前の計画では一〇九、あるいは一〇六というところだったのですが、今度は一一四というふうに非常に大きく大幅に伸びる、伸ばすべきだ、何となればその際の人口等をある程度思考するということになりますと、これくらいの伸びは当然必要だという御説明を申し上げたのですが、そういうような国民総生産が増して参りますと、それに比例しまして当然個人の消費支出も増すのが当然でございますが、それでは同じような調子が個人の消費支出が増すかと申しますと、そうではないのでありまして、総生産の二四・五でございますが、個人消費支出の方は一一二・一というふうな、これはただいま申し上げましたように、できるだけ個人の蓄積性向を増していただくということで、少し押えると申しますか、シヴィアに見ていくわけでございます。
  49. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうなるとそこにさらに問題が出てくるのですが、この個人消費支出あるいは消費水準に見れば、たとえば三十二年度、三カ年計画では一一二%とか、一〇八・七%という程度の伸び考えておられる、とろが政府購入については一一六%という伸び考え、さらに民間資本の形成にあっては二二四・三%という非常に膨大な伸び考えておられる、この間に一体不均衡がないかどうかという問題が出て参ります。ことにこの総生産をこの程度でいいと、この程度に押えなければならないと言っておられる場合に、民間資本の形成がこういうふうに大きくなっては、総生産はこれよりはるかに増大するであろうということが考えられるのでありますが、この点をどうお考えになりますか。さらに、なるほど国民経済の拡大再生産といいますか、発展を考えなければならない意味からいえば、民間資本の形成が非常に高率であることは必要であり、その点は私たちも否定するものではないですが、しかし個人消費支出消費水準伸びをこれだけに押えて、その成果をすべて民間資本の形成にこういうふうに重点を持っていくという政策をおとりになる限りは、これは総体的には負担がすべて一般の大衆にかかってきておるのでありますから、この形成される資本の利用なり、資本の管理なりという問題については、大衆的な管理なり国民自身のための生産という問題が行われなければならないのであって、いたずらに大資本のためだけに資本の形成が行われるということであってはならないと思うのでありますが、これだけの大きな偏差をつけられる限り、そういう覚悟がなければならないと思うのですが、その具体的な政策の方向はどういうふうにお考えになるか。これは特に大臣にお聞きをしたいと思います。
  50. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) お答えいたします。この二十九年度における国民消費水準が急速に上ったということについては、これは国民全体がやはり心せなけりやならぬと存ずるわけなのでございます。それに比較いたしまして民間資本の蓄積がいかにも悪い、特に経済六カ年計画前期の三カ年におきましては経済の地固めをせなけりゃならぬ、それにはできるだけ消費を節約してそうして国民の資本の蓄積にもっていきたい、こういうことが主眼でありましたから、ただいま佐多さんのおっしゃったごとく、資本の蓄積は民間資本の三四%三程度に対して個人支出が一二・一だと、これはいかにも少いようでございますが、三カ年計画はこの程度で国民にしんぼうしていただきたい、こう存ずるわけなのですが、根本といたしますれば、大体が国民の総生産が何%程度になるか、そのパーセントに従って国民個人消費支出もふやしていきたいと存ずるわけでございまして、六年計画におきましては九%一の国民総生産はふえますから、これと同じく九%一とこうやっておったでのございますが、いろいろ各方面の意見を願きました結果、三十年、三十一年、三十二年は民間資本の蓄積が大事だということについて、そういう変更をしたのであります。この六年計画の三十五年度におきましては、ここにただいまの佐多さんの御意見のごとく国民消費も相当ふやしていく、で、大体か国民総生産と増加率と同じにもっていきたいとこういうふうな考えでおるわけなのでございます。
  51. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 民間資本の形成にそれだけのウエートをかけられる以上は、その形成される資本について社会的な規制、それが国民大衆全体のためになるような規制、運営がなされなければならない、そういうふうに考えるのですが、その辺の心がまえを政府なり高碕大臣はどういうふうにお考えになるか。   〔委員長退席、理事西郷吉之助君着席〕
  52. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) お説のごとく、輸出の増進をいたし国民経済を安定せしむるということ自体が国民全体の福祉を増進するというゆえんでありますから、できるだけただいまの御意見に従って、国家の自立経済が達成するようになりますれば、逐次国民の消費も増加し国民の生活が向上するようにもっていきたいと存じます。
  53. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 非常に大きな問題だと思いますが、その点は政策をおきめになるときに、十分そういう問題があることを一つ念頭に置いて、政策決定に際して配慮をしていただきたい。  さらに経済自立の問題ですが、この六カ年計画にしましても、あるいは三十二年、前期三カ年計画にしましても、大きなねらいは、先ほど言われたように、完全雇用の問題と経済自立の問題、その経済自立の問題が当初六カ年計画では、三十二年度に二億五千万ドルの特需ということでとめるという計画であったのに、今度は、三カ年計画では三十二年度が三億ドルになっている、先ほどの御説明によりますと、三億ドル特需に依存することができそうだだから、これをこういう計算をしたのだということをおっしゃる。ところがこの政策目標は、できそうであってもこういう特需依存から脱却をする、早い機会に脱却をするということが計画目標ではなかったか。それにもかかわらず、むしろこれは逆の方向に行っているとしか思えないのでありますが、これはおそらくMSAの援助なり、余剰農産物の援助なり、あるいは世界銀行その他の経済援助なり、そういうことを、実際の状態を配慮をされてこういう数字が出てきたし、これくらいは期待ができるだろうというので、実際に合わされた数字であろうとは思いますが、しかしそれならば、なるべく早い機会経済自立をするという政策は放棄して、援助がある限りは、援助がもらえる限りはあらゆるものをかき集めて、この程度の援助はずっと続けていってもいいのだというふうな大きな政策変更をやられたのかどうか。これはそういう大きな政策変更を含む芽であると私は見るのですが、それらの点を高碕大臣はどういうふうにお考えになっているか。
  54. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) これは援助とは全然関係ないのでありまして、大体私どもは、三十二年度には三億ドルくらいに、まあ二億五千万ドルくらいに減るものだろうと、三十五年度にはゼロになるだろう、こういうふうな考えでおりましたところが、最近の実績から見ますると、二十八年度が七億六千百万ドルであり、二十九年度が五億八千九百万ドル、三十年度が四億二千万ドル、三十一年度が三億六千万ドル、それで三十二年度が三億ドルになる。大体これくらいの推定は、別に援助でもなくて、当然日本が特需を受ける状態だという実数に近い数字を出したわけでございまして、何らそういうふうな政策的な意味はないのでございます。
  55. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうしたら援助その他はどっちへ入っているのですか、貿易外の方に入っているのですか。
  56. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) お答えいたします。これは一般貿易外の方に入っておりまして、二十八年度が一億五千六百万ドル、それから二十九年度が一億七千五百万ドル、こんなにふえましたことは、五千万ドルのMSAのが入ったのです、その二十九年度には……。三十年度にまた二億二千七百万ドルとなっておりますことは、これは八千五百万ドルの余剰農産物が入った結果なのでございます。それで三十一年度は、余剰農産物もMSAもないものとして、大体一億五千万ドル、それで三十二年度は一億六千万ドル、こういうふうに順次、そういうようなこれは実数に近いものになっております。
  57. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると今の一般貿易外で援助その他は三十年度を境にして三十一年度からは相当減って、そうして三十二年度以降もそれが大体続くというようなふうな、その程度の依存はあるというふうにお考えになっているのかどうか。これはおそくら三十一年度計画を作られるときにはまた三億二千二百万ドルよりももっとふえて二億五千万ドルとか何とかいう数字になるのじゃないか。むしろなることがはっきり見通されているのじゃないかと思いますが、一体この計画通りにこれ以上は要らないのだと、もう絶対に断わるんだと、そういう形で経済自立化を進めていくのだという御覚悟があるかどうか。
  58. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。この一般貿易外収入は三十一年度、三十二年度におきましては順次こう、三十二年度は幾らかふえておりますが、これはもとの予定では二億ドル、こういうことになっておったのでありますが、これを一億五千万ドルに減しておるのであります。援助は得られないものだ、こういうことの前提でやっておりまして、これはふえておりますことは、これは貿易外の受取勘定として日本の商船が外貨をかせいでくるわけであります。これがおもなる収入になって、いるわけなのであります。
  59. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、大体三十一年度が最高であとは大体において減っていって、三十五年度にはここも援助その他以外の貿易外収支は、もちろん収入が多い方がいいでしょうからそれはふえるでしょうが、そういう援助に関達するものは逐次減していくというふうな計画をお持ちなのかどうか。
  60. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 別の問題でございますが、余剰農産物の問題につきましてはこの予算には、計画には入っておりません、来年度は。しかしながらこれは各般の事情をしんしゃくいたしました結果、これは日本経済自立のために必要だという結論が出ますれば、来年は余剰農産物を入れれば、それだけの数量は貿易外の受取勘定としてふえるわけでございます。(「おかしい」と呼ぶ者あり)
  61. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 だからそういうことになってくれば、むしろ一億五千万ドルという数字がおかしいので、すでに今からそういうことが見通されるのなら、そうしてそれが希望であるのならばそれをお入れになって、そうして経済自立には必要ないんだ、そういうものはむしろ依存するんだ、そうしてあとはきっとそれを今は依存するけれども、十年先十五年先の経済自立のためになるから、今依存しているのだというようなきっと御説明になるでしょうが、何かそこをごまかすことなくはっきり出して、計画計画として、数字数字としてはっきりお出しにならなければ、われわれの議論の対象にならないと思う。政策を非常にあいまいにしておられることになる。何をもって経済自立とお考えになっているか。その点から議論をし直してこなければならない問題ともなりますので、そこいらは一つ明瞭にしていただきたい、この経済自立を達成をするということがこの計画の眼目なんですから。一番大きな眼目なんです。その最も重要な問題をそんなごまかした数字では、われわれこれを検討する価値がないし、愚弄されているとしか思えない。その点をもう少し明瞭にしていただきたい。
  62. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) お答え申します。明年度の余剰農産物を受け入れるか、受け入れないかという問題につきましては、いろいろ各方面の御意見があるものでありますから、まだはっきりきめていないことでございますからこれは計画に入れられないわけでございます。入れていないわけであります。
  63. 吉田法晴

    吉田法晴君 ちょっと関連……。経審長官は別の機会には余剰農産物は今年限りだという御発言があったように思うのでございます。今は少し変って、いろいろ御意見がございますからきまっておらんと、こういう御意見のようでありますが、この六カ年計画あるいは三カ年計画の中で入れるのか入れないのか、はっきり一つ御答弁を、お考えを表明していただきたい。
  64. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) ただいまお手元に差し上げました計画の中には入れていないのでございます。しかしながら、私が申し上げたことは、今後さらに検討いたしました結果において、あるいは入れることになるかもしれないと、こういうわけなのでございます。
  65. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今まだきまってなくて審議庁限りの問題だから、そこに入れてないのだとおっしゃるけれども、それならばこの表全体がその程度のものなんで、きまっていない問題はたくさんある。だから閣議決定でもないし、閣議了解でもない。そういう試案として出しているとおっしゃるのだから、まだきまってないから、それに入れてないのだということでは、それを入れなかった弁解にはならないと思う。その程度の不確定な要素はほかの項目にもたくさん入っておまりすから、だからもしあなたの方でそういう計画、意図がおありになるのならば、それをはっきりここに掲げて、従って経済自立ということはどういうテンポで、どういう意味経済自立考えているのだということをもっとはっきりなさらなければ、この表によると二億二千二百万ドルから一億五千万ドルに減り、それがおよそ横ばいで一億六千万ドルだから、しかし下の特需の方が少しずつ減っていくからそういうものは減り、そういう限りにおいて経済自立への方向に少くとも行っているのだということが言えるわけです。しかしもしそれがさらにふえるのであるならば、そうして全体としてあまり減らないのであるならば、少くとも最近の二、三年間は、あるいは五、六年間は経済自立……遠い将来の経済自立考えて、今ではむしろ経済依存の方向を積極的にとった方がいいだという政策なり目標になるのだと思う。そこいらは一つはっきり経済自立をどういうテンポで、どういう態様で、どういう意味でお考えになっているのか。もう少しその辺をはっきりした計画一つ作り直していただきたい。その経済自立の問題こそは、この総合計画の眼目であるとあなた方も言っておられるし、私たちもそうだと思うのでありますから、その点は一つ明瞭にしていただきたい。
  66. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 御意見はごもっともだと思いますが、ここで来年度余剰農産物を入れるか入れないかということは、まだきまっていないわけなのでございますから、きまっていないものを入れると言って計画を立てるのがいいのか、入れないと言って立てるのがいいかということになれば、私は入れないと言って立てるのが正しいと思いまして、これには入れておりません。
  67. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 どうもその程度の不確定なきまっていないものならば、さっきから申し上げるように、全部がきまっていないのだから全部落してしまわなければならないというようなことになって、計画にならないと思う。しかし、少くともあなたの意図において、意欲においては、政策においては、それを入れることを決意しておられるのならば、それを入れて計画をお作りになることが、この計画計画らしいわけなんで、そういう意欲なり目標を織り込みながら、なるべくそれを達成するために、すべての施策なり方向を決定していくための計画であり、目標であるのですから、私はむしろそうさるべきだと思うのですが、これはまあ意見の相違になりますから……。
  68. 吉田法晴

    吉田法晴君 ちょっと関連……。佐多さんの御質問は余剰農産物もですが、六カ年計画の基本的な構想である、本計画の最終目標年次たる昭和三十五年度において、特需に依存することなく正常貿易によって国際収支のバランスを維持しつつ云々、こういう点が変ったのかどうか。特需に依存することなく経済自立を達成するということを、この三カ年計画の一番新しい構想によると、その要素がなくなっておるのじゃないか。それでは経済自立という点は放棄したのか、あるいは経済自立という点ははっきり残っておるのか、こういう点でございますので、これは余剰農産物を来年度入れるとか、入れんとかいう問題を抜きにしても、これは回答ができるはずです。その基本的な構想を一つ承わりたい。
  69. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) お説のごとく、昭和三十五年度にはもう特需には依存しない、特需はなくなってしまうものだ、この計画は変っておりません。ただ、三十二年度において五千万ドルくらいよけい入ると、実績があるものですから、実績から推定して、なるべく、それに近いものにしたわけなんでありまして、全然なくなるという原則のもとに立てていきたいと思っております。
  70. 西郷吉之助

    理事西郷吉之助君) 佐多君時間がきております。
  71. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 時間がありませんから、最後に一点だけ、経済自立の問題と並んでこの計画の眼目は完全雇用の問題だと思うのでありますが、完全雇用の問題には、先ほど労働力率の重要な変化の問題に関連しておる非常に大きな問題がありますが、時間がありませんからもう詳しくはお聞きしませんが、これで百万程度のさっきお話しのように九十何万、百万程度の就業者数の増加が出て参ったのですが、これが簡単に吸収をされておる。一体そういうふうに簡単に吸収される雇用政策というようなものは、どういうふうに具体的にはお考えになっておるのか。さらにこの計画によりますと、三十年産には八十三万の就業増加があります。この八十三万の就業増加をどこで吸収をすることにしておられるのか。これはあるいはお出し願った数字によると、第一次産業にはあまり吸収できない、第二次産業に若干吸収し、第三次産業に相当大部分を吸収するというような御計画のようでありますが、これは三十一年度、三十二年度についても、そのようなことをお考えになり、三十五年度までそういうふうな吸収の仕方をお考えになっているのかどうかっそうだとすれば、第三次産業に吸収をされるということはむしろ不完全就業、あるいは半失業潜在失業を増加する以外の何ものでもないのであって、雇用の対策にはなってないというふうな感じを持つのですが、それらとの関連において雇用政策をどういうふうにお考えになっているか。これは特に数字については事務当局からお願いをいたしますが、方向として、政策としてどういう心がまえでおられるか。これは経審長官労働大臣にお聞きをしたいと思います。
  72. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) お答え申します。体人口の増加及びこれに伴う就業人員の増加というものが六カ年間にふえる率と、鉱工業生産なり農産物の生産が六カ年間に増加する率とを比較しまするというと、生産の率がずっと上に回っておるわけなんであります。従いまして各方面に増加する人口を吸収していきたい。その詳細の数字政府当局から述べますが、根本におきまして、私は生産人口の率よりもずっと上回っていかなければ、潜在失業者というものは相当ふえるだろう、こう存じまして、潜在失業者の方は中小商工業なり農業方面に吸収される結果となるであろうと思いますから、その方面の政策をまた別に考えるというふうな方針をもって進めていきたいと思います。また数字のことは十分政府委員からお答えいたします。
  73. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 数字について申し上げますが、総生産は先ほど申し上げましたように大体年間五%ぐらい伸びて参りました。就業者の増加率は大体二%ぐらいでございます。潜在失業の面におきましてはこれは一種の所得の問題というふうに考えまして、総生産が増しますと当然一人当りの手取り等がふえるというような考えで、自然不完全就業者というものは所得の全般的な総生産の増加に従って解消していくというふうに考えております。  それから産業別の就業者が一体どういうふうになっておるかという点でございますが、お説のように第三次産業にあまりウェイトをかけるというふうには私ども考えておりません。できるだけ二次産業で吸収するものは吸収したいということで、先ほど申しましたような総生産伸びに従いまして各産業別の区分を考えてみたのでございます。ちょっと指数で申し上げてみますと、全産業で二十九年を一〇〇として、三十年が一〇二・一、三十一年が一〇四・一、三十二年が一〇六・四になっております。問題は三十一年度が主かと思いますので、三十一年度限りで申し上げますと、三十一年度は第一次産業が一〇一・三、これはやはり農業の関係では漁業あるいは林業等、特に畜産等は相当増産に向うように見られますので、少し多く収容してもらいたいというふうに考えております。それから第二次産業は一〇六・一というふうに相当大幅に考えております。第三次産業は一〇六・六になっております。この中には御承知のように交通とか、あるいはいわゆる文化と申しますか、商業部門のみならず、いろいろ文化系統の就職問題と申しますか、教授とか学校関係のいろいろ文化的なあるいは娯楽とかいう方面のものもございます。第三次産業には一〇六・六というふうに見てございます。これは最近の伸びから見ますと、こういうふうに大体第三次産業が少し伸びが多いのが健全な姿かどうかは別問題として、相当ふえる格好になっておりますから、こういうふうな考え方をしております。しかしながらそれでは全部いわゆる産業の伸びだけで吸収ができるのかという点になりますと、ただいまの考えでは、やはり公共事業あるいは失業対策等相当程度政府として決意をいたしまして、そしてこの生産伸び、産業の伸び、あるいは第三次産業の伸び、サービス等の増加と伴って、そういう面でカバーして初めてこういうような就業の吸収ということはできるのではなかろうかと考えております。
  74. 西田隆男

    ○国務大臣(西田隆男君) お答えいたします。佐多さんの御質問潜在失業、不完全就業者が今の計画のようではふえるではないかという御質問と解釈いたしますが、今佐々木政府委員が答えられましたように経審で計画しておりますように、国民の総生産がふえ、総所得が増加していきます場合におきまして、必ずしも第三次産業に予定しております人員が多いとは考えておりません。詳細なあれはわかりませんけれども、大体昭和二十八等度と二十九年度伸び考えますと昭和二十九年度におきましては二十八年度に比しまして七十万以上が第三次産業部門に増加いたしております。従って今度四十七万を想定いたしておりますから、大したことにはならないのじゃないかというふうに一応考えております。従って国民の所得の増加につれて不完全失業者並びに潜在失業者と現在いわれておりまする人たちの所得も逐次増加していって、潜在失業者あるいは不完全失業者の数が大へん減るとは考えられませんが、内容、実質においては多少なりとも所得の増加に伴ってよくなっていくだろう。従って本年度においては二十万人の増加する失業対策を立てていけば、どうにか切り抜けていくという観点に立って労働行政をやっているわけであります。
  75. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 もう一点だけ。私はいろいろ経審の計画に対する弱点その他を批判いたしましたけれども、しかし、計画自体は非常に重要な計画であり、しかも、非常に重要な意味を持っている。この計画がさらに押し進められて、特に予算の問題も、雇用の問題も、貿易の問題も、外貨の問題もすべてそういうものがこの計画を主軸にして、支柱にして発展しなければならない体制が打ち立てられることが絶対に必要だと思いますので、一つ政府全体としてそういう心がまえで進んでいただきたい、これを最後希望として述べて私の質問を終ります。
  76. 永岡光治

    ○永岡光治君 関連質問
  77. 西郷吉之助

    理事西郷吉之助君) 時間がありませんから一点だけ。
  78. 永岡光治

    ○永岡光治君 この失業問題は私は二回にわたり、総括質問、それから一般質問で相当に、非常に重要な問題であるので質問いたしましたが、しかし、残念ながら時間が十分でないために、意を尽すことができなかったのでありますが、私はどうもこの計画を見ていて、ただこうやりたいとか、こうしたいというだけの問題では、どうもそれだけの誠意をほんとうに持ってやっているであろうかということに実は疑問を持つのであります。その一、二の例を、今考えついたものだけでもただしてみたいと思うのでありますが、たとえばいろいろ産業を起して吸収するとかいうようなことを言っておりますが、近くは石炭合理化法案によって七万以上の失業者が出て参る、それから鉄道業あるいは通信業のサービス業についても、ずっと前の昭和二十六年当時に比べてずっと整理をしておる、それからまた教員その他の公務員の面においても昭和二十六年の行政整理を見ましても、大巾な整理をいたしております。それではその後政府は増員しているかというと、むしろ増員はしないで行政整理をしようという傾向にあるのじゃないかという、そういうふうにこれが当面のいろいろの関係からそういう感じを受けております。そういたしますと、将来この相当部分失業者を吸収する立場にある官庁あるいは地方公共団体、あるいは公共企業体そういうものが将来増員の傾向をたどる、こういうふうに解釈してよろしうございますか。そうでないとやはり失業救済にならないと思うのですが、今までの行政整理というものは数の上でいろいろな組織、行政整理はいろいろありましょうけれども、吸収面においては、将来、だんだんこの数字を見ましても三十二年度までに相当の増員をみると、こう解釈してよろしうございますか、そうしないとこれは言うだけのことであって、ほんとうのそういううらはらの、むしろ逆の方向に行こうとしているのではないかというように私は解釈するのでありますが、その点どうでございますか。
  79. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) お答え申します。大体人口の増加によってやはり教職員とかそういうものはふえていくべきものだと思いますが、しかしながらどうしてもやはり産業という方面から見ますというと、輸出貿易ということを振興するために合理化しなければならない。合理化するということはいつも人員整理ということが出る。ところが合理化をする前に人員を整理するという前提からいって、合理化する前にその失業者をどういう方面に吸収するかということを考究することがまず先決問題で、それをやらずに合理化するということは、ここに非常に無理があると思います。従いまして私が考えておりますことは、かりに石炭合理化にいたしましても、合理化について起って参ります失業者をどう吸収するかということにつきましてまずもって考えると、労働大臣ともそれを一番先に考えているわけであります。その考えがつかなくてはなかなか合理化はできないのだ。それにつきましては私は生産性本部もできるわけでありますから、従前のような工合にその土地で同じ職業でその失業者を吸収するというやり方はもう非常に困難だと思います。従いまして今後の失業救済という問題はいかに転業するか、転業先は将来性のある転業先を見つける、同時に場所におきましても、同一の場所でその失業者を吸収するというふうなイージイな考えではこれは解決しないと思います。従いまして人口の配分というふうなことから考えて、その場所を変える。それから職業というものについては転換の策を根本的に講ずる必要がある。これは審議庁としましても、その点を重心に置いて今後検討していきたいと考えております。
  80. 永岡光治

    ○永岡光治君 公務員の関係はそれがありますか、企業体その他……。
  81. 西田隆男

    ○国務大臣(西田隆男君) お答えいたします。これは数字が必ずしも完全であるかどうか保証がつきませんが、これは私どもの方で調べた数字でありますからそうだとは言い切れませんが、大体今おっしゃった公務員が昭和二十八年と九年と比較いたしますと、二十九年度では十万人ふえております。公務に従事する者が中央地方を通じ。三十年度では四十七万人が第三次部門に増加するという観点に立って考えますと、二万ぐらいの増加を予定いたしております、それからあなたか御心配になりました運輸、交通、貿易、これは二十八年に比較すると二十九年度では一万減少いたしております。それで三十年度におきましては、これは一万の減少を回復してこれも約二万ぐらい増加するだろう、こういうふうな大体計画のもとに考えております。
  82. 永岡光治

    ○永岡光治君 将来は増加する傾向だと見ていいわけですか。
  83. 西田隆男

    ○国務大臣(西田隆男君) 三十年度においては実は増加いたしております。
  84. 永岡光治

    ○永岡光治君 六カ年計画によるものです。
  85. 西田隆男

    ○国務大臣(西田隆男君) それは私どもの方では三十年度分だけしか今考えておりませんので、三十一年度分の結論は今出ておりません。   〔理事西郷吉之助君退席、委員長着席〕
  86. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 人口の増加、事業の増加に伴いまして逐次増加するという方針をとっております。
  87. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 先ほど佐多君の質問に対しまして、この六カ年計画なり、あるいは現在問題となっております初め三カ年の構想というものを国民の支持を得てこれを実現に移していきたい、こういうことを経審長官は述べておられるのであります。実際に国民の支持を得るという基本的な構想は、どういうところにおいておられますか、これをまず第一に承わりたい。
  88. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。経済審議庁で持っております経済審議会を拡大いたしまして、できるだけ各方面の方々の御意見をよく尊重してお聞きするということをやっております。と同時に、今後の方針といたしますれば、できるだけこの数字等も目に見えるようにして、目で見える……、それで簡単に国民諸君にわかるようにしてこれを国民によく示したい、そうして国民全体の批判を請いたい、こういう考え方で進みたいと思います。
  89. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 ただ、経済審議会ですか、これを通じて目で見えるような形において国民を啓蒙したい。こういうことだけではおそらくこういう重要な問題は国民に浸透していかないと思う。第一国民が持っておりますところの疑惑というのは、これは鳩山内閣の六カ年計画という点にあると思うのです。もちろん一定の計画が立ちましたら、その財政上の裏づけをするということは当然であって、財政と計画とが表裏一体をなすということは非常に必要なことであります。しかしながらただ思いつきのようにして書かれましたこの六カ年経済計画というものが国民に納得されないということは、国民的な規模の上にこの計画が樹立されなかったという点にあるのであろうと思うのであります。私も経済計画性を持たせるということは必要なことであり、またこれに対しては支持を与えたいと存じますけれども、ただ一つの政党がときの内閣政策としてこういうものを打ち出したという形において、国民は何となく割り切れないものを感じているのではないか、こう考えるのであります。これをかりに暫定の案として、これを国民一般から衆知を集めたような形における機関において決定してこれを周知徹底せしめるという形であれば、国民は国民の経済計画として持って、あるいは内閣が変りましてもこの一定の経済計画というものにのった財政なり予算の立て方をする、また民間もこれに対して協力を与えるという形になってくるであろうと思うのです。これにつきましてはいかがです。
  90. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。お説のごとく国民の一番密接な関係のある経済計画というものは、一政党だとか政派によってこれはきめられるべきものでなくて、政党政派を超然として立ったものによってこれはきめられて、それがいかに政党内閣が変っても、これは国民はこれを信頼し得るというように持っていきたいということは、私は非常に御同感でございまして、そういうふうに希望するわけでありますが、しからばそういう方向に進むのはどうやったらいいかということでありますが、現在におきましては国民の支持を受けている政府が国民を代表してまずやろうということになっておりますが、これは先ほど申し上げました通うに、できるだけ多方面の方々を審議会の委員のメンバーに選んで、その方々によって検討していただくという以外に、さらにこれはもう少し範囲を広げてどうやったらいいかということにつきましては、今せっかく検討いたしておるようなわけでありますが、国民自体に呼びかけますことは、あるいは貯蓄の増進だとか、あるいは生活改善だとか、あるいは生産性の向上だとかいうふうな方面からも、よく間接的にこの計画を明示して呼びかけたいと、こう存じておるわけでございますが、いろいろな御意見等もございますれば、よく各方面の御意見をお聞きして、これに善処していきたいと存ずるわけであります。
  91. 小林政夫

    小林政夫君 関連して……。私松澤君と同様のことを考えるのでございますけれども、経済審議会委員、それの人選、最近十名ばかりふやす、十名ですか十五名ですか、ふやす、この人選が新聞に出たところによってちらっと見たのですが、各界を網羅しているかどうか、そういう選ばれる基準はどういうところにおいてどういう質の人を選ぶつもりでおられるのか。
  92. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 従前は金融だとか、資本家方面の方々が多いようでありましたが、できるだけ業種を、種類を広げましたことと、それから労働問題等についてよく研究された権威者を入れるとか、できるだけ広範囲に選びまして、業種を中心におきまして全体の業種の方々を選ぶ、こういうふうに考えております。
  93. 小林政夫

    小林政夫君 これはきまっておるのですか、新聞に発表されておったようですが、これから人選されるのですか。もし人選されるとすれば、今の業種別ということも必要でしょうが、たとえば労働界あるいは中小企業界だとか、あるいは消費者団体というものも必要ではないかと思うのですが。
  94. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 今後専門委員というのを選びたいと思っておりまして、それは各方面の方々を入れる考えでおります。それから業種をどうやるかということについては、労働方面の方々はもちろんでございますが、そういう方面も入れたいと思っております。
  95. 小林政夫

    小林政夫君 きまっていないのですか。
  96. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) まだ決定しておりません。
  97. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 経済計画性を持たせるということは、今申しましたようにやはり国民の協力納得がなければとうてい成功するものではないと思うのであります。たとえば近くはビルマにおけるビダ・ウダ計画のような計画の樹立に当りましては、国中の代表者を集めましてそして各部門に分けて詳細な計画を検討し、その集ったものがビルマのビダ・ウダ計画という形になっておるのであります。こういう形のものが日本において現実にとられるかどうかということは別問題として、少くとも現在問題となっております経済審議会の委員だけに、しかもこの構想が樹立の初めに相談されたかどうか、その点も不明であって、事務官の机上のプランであるかもしれない、こういうことで上から押しつけて、果して経済六カ年計画というものの実現ができるかということは非常に私は疑問と思うのであります。現在、ただいま審議庁長官が今後とも十分な国民の協力を得るために努力されているということでありますから、私は今後この門戸を非常に広く広げて、一応は六カ年計画というものは試案としてこれを提出して、縦横からその検討なりあるいは批判なりを受けて、あらためて私は六カ年計画として確立さるべきではないかと、こう考えるのでありますが、いま一度この点につきまして……。
  98. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) ただいまの御質問通りでございまして、私はこれは初め立てましたことは、これは経済審議庁において長年持っておりました数字、その経験等をもってこれをまとめたわけでありますが、これは要するに官庁で作った一つの机上のプランにすぎないということは事実でございます。従いまして、これを試案として出して、この数字は十分検討した上で変更さるべきものだというわけでありますから、この数字にいつまでもとられているわけではありませんで、これをまず基準とし、これを一つ目標として、そして各方面の御意見を聞いた上におきまして、これを修正していって、そして結局は今御質問のごとく国民全体の支持を得たものにしていきたいと、こういう所存でございます。
  99. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 実際にどういう形でそれが実現されるかは今後われわれも注意をして見ておりますが、ただいまそういう御所見を承わりましたので、その方向に持っていっていただきたいと存ずるのであります。そこで問題は日本経済計画性を持たせるということは、これはある程度産業なりあるいは金融なりあるいは財政なりに対して何かの規制を行わなければならない。これなくして経済をただ数字だけ並べたということであれば、それは政府なりあるいは党の希望する一つり見通しにすぎないのであります。これを裏づけをするところの施策なり政策なりというものが現実にとられなければなりません。たとえば財政政策であるとか、あるいはまたは金融政策であるとか、あるいは産業政策であるとか、貿易政策であるとかいったようなものがとられなければならないのであります。さしあたってこの六カ年計画が単なる希望でなくして、国民としてそういかなければならないという強いお考えを持っておいでになるとすれば、まず産業の面ではどういうふうにその方向に引っ張っていくための施策を行い、金融の面においてはどういう施策をもってその方向に持っていく、財政におきましても同様、ということがおのずから出てこなければならないと思うのであります。政府希望する一つのゴールに到達するその方法に対する一つの施策というものをここに明示していただきたいと思います。
  100. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。この経済六カ年計画の遂行に当りまして、これが実行に当りましては、現在自由主義の経済の基調をくずさないで、その上に立ちまして国民の創意と工夫とを十分生かしていきたい。こういうことが主眼でありまして、できるだけ政府の力をもって規制するということは避けたい、相談ずくでやっていきたい。こういうのが実行上の方法でありますが、しかし、ある程度のものは規制し、ある程度のものは政府はこれを押えていかなければならない。これには現在におきましては、たとえば税制において国民の貯蓄を増進させなければならぬといった場合には、税制において考えるとか、あるいは財政投融資の面におきましても、重要な方面についてはこの財政投融資を十分やっていく、あるいは同じ民間の資金を流用するにつきましても、この重要なる方面、不要なる方面につきましては、各方面の意見を聞いた上においてこれを実行に移すべきである。また外国為替の割当、あるいはそういう方面におきましても不急不要のものに割当をしないとか、そういうふうな現在政府の持っております財政金融方面及び為替の割当等につきまして、この政策を実行することに進みたいと存じております。その運営の間におきまして、あるいは必要欠くべからざる抑制すべき点が起ればそのときに考えていきたい、こう存ずるわけであります。
  101. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 ただいま御答弁のありました点は了解いたしました。しかしわれわれとしましては、少くとも貿易の問題につきまして、あるいは外貨収支の問題につきましても、たとえばビルマの賠償問題にしても、この問題を取り上げてみましても、やはり建設なら建設の方面におきまして、一元的な一つの規制というものが必要でありましょうし、あるいはまた工業原料品の輸入というような場合におきましても、これは一元的とは言わないまでも、それぞれの部門に従いましてプール計算等をするというようなことも必要であろうと考えるのでありますが、輸出入及び外貨の面におきまして、ただいま外貨の割当の点はわかったのであります。しかしたとえば賠償の問題であるとか、今後の日比賠償、あるいはインドネシアとの賠償の問題も片づくとするならば、そういうものもただこれを野放図にしておくというのではなく、一定の一つの規格なり、あるいは規制なりというものを持たせる必要があると思うのでありますが、この点はいかがでしょうか。
  102. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。この輸出貿易につきましては、事はいやしくも海外関係でありますから、できるだけ国内の動作、作業を統一して考える必要があると存じまして、この点につきましては輸出組合なり、そのほかの方法でもってやりたいと存じておりますが、特に東南アジア方面におきましては、相手国が社会主義の国家であります関係上、貿易等を統制して一本でやっておる、こういう国が多いのでありますから、そういうものに向ってはやはり日本輸出をする、あるいは輸入するという方面にも、ある一つの統制機関をもっていかなければならぬと存じますし、特にまた賠償問題等につきましては、責任が政府にあることでありますから、そういう部門の解決のためにはやはり国内のこれに対する取扱い方につきましてはできるだけ統制したる一つの機関をもってこれに当りたいと、こう存じております。
  103. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それに関連いたしまして、外国船の受注などにつきまして、それぞれ出血受注をしているという向きもあります。これなども私は一元的にこれを受注いたしまして、それぞれ規模なり能力なりに応じて、国内的に割り当てるという方法をとるべきであると、こう考えますが、その点はいかがでございましょう。
  104. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) まさにお説の通りでありまして、最近におきましてもアルゼンチン、ブラジル等におきましては、何も競争をしなくてもいい競争をして、かえって相手方に不審を抱かしめる、こういう結果が造船においては特にあるわけでありますから、こういう方面におきましては、できるだけ政府もこれに関与いたしまして、一本にまとめていきたい、こういう所存でございます。
  105. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 大蔵大臣にお伺いいたしたいのであります。製糖業者などにおきまして過剰設備の問題が出て参りました。こういう原料を外国から輸入して参ります産業におきまして、特に自分の力でもって、資力があると申しましても、それをそっくりそのまま自己の設備の拡張に当てるということは、こういうことは慎しまなければならない問題であろうと、こう考えるのでありますが、たとえば製糖業者などにおける過剰投資の問題を一例としまして、今後こういう過剰投資を起さないということにつきまして、どのようにお考えでございますか。
  106. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) お説のように、継続性が予定されないのにいたずらに設備を拡大ならしめることは、むろん避けなければならない。これは金融面から調整を加えて参りたいと考えております。
  107. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 自民両党の修正のときに公募債の問題等において、資金委員会を作るという話があったように思うのです。最近予算に関連して民間資金を投資に当てる、あるいは公募債とかというような問題につきまして、それぞれ資金委員会のようなものができるようであります。たとえば地方財政再建促進特別措置法の中でも、資金委員会というものができるようであります。それから民自両党の話し合いにおきましても、資金委員会というものが構想に乗っているようであります。こういう資金委員会というものがあちらこちらできまして、果してこういうことで資金の規制というものが行われるでございましょうか。何かこれに対して適当な機関が資金を規制をするということが必要であると考えるのでありますが、大蔵大臣いかがでございましょう。
  108. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 所々方々に資金委員会ができるということでございましたが、地方財政資金整備に関連しまして、地方債の消化を進促する意味合いにおきまして、協議会的なものが予定されておるのでありますが、これは別に資金について何と申しますか、まああっせんといいますか、あっせんをする程度のものであります。これが地方債を持てとかどうするとかということは考えておりません。今予定しておりますのが、民主党と自由党との共同修正に関連しまして、資金委員会というものが問題になっている。これは御承知のように金融機関に集まる預金の一定量を重要な方途に使うように法的な規制を加える、こういうことになるだろうと思うのであります。主として公債その他の債券こういう形を、その他大蔵大臣の指定する……。これは私の考えでは、いい面もあると思いますが、同時にこれはまた非常に注意を要する問題もあるのでありまして、非常に立派な計画のもとにやるのでないと、戦時中のようなああいう事態を生じないとも限りません。また今日としては財政等の放漫を招く大きな糸口になるということも十分考えなければならぬと思います。がしかし、と同時にまた他面これが立派に行けば、それも考えられる、しかし私はまだ今日の段階におきましては、金融の本質からいたしましてこういうふうな制度は、あるいは立法は、考えておくが、しかし金融機関の自主性に待って、十分経審等におきまして六カ年計画が具体的に積み上げられて、そうして全体に対してこういうふうに日本経済は動くべきである、あるいはこういうところにこういう資金が貯蔵されるべきであるということがはっきりして行くと、これは私は金融機関においても自主性を持ってやらしても十分資金の配分が適正に可能である、かように考えておるわけであります。
  109. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 経審長官にお尋ねいたします。先ほど私の質問に対しましてお答えになりました中に、自由主義の中において国民との話し合い、相談づくでもってこの計画の実施に当りたい、こういうふうに言われておりましたが、もちろんこの自由主義というのは経済学上の自由主義であろう、こう考えるのであります。私がお尋ねいたしました点でも、相当各方面にわたって規制と申しますか、自由放任でないその反対の政策というものをとられなければならない、あるいはとることを必要とするという御意見のようであったと思うのであります。そういたしますと、いわゆる経済上の自由主義というものと、それからこの政策遂行に当っての規正というものはどういう点において調和されようとしておいでになりますか、私どももこの二つの考え方というものは全然相背馳するものであるとは考えませんけれども、少くとも保守党の内閣の中におきましてはこの二つを調整するということは非常に困難ではないか、こう考えるのでございます。その基本的な構想について承わりたい。
  110. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) お答え申します。これは非常にむずかしい問題でございまして、いささか抽象論になるようでございますが、私どもやっぱり戦争中非常な強力なる統制経済を数カ年間経験いたしましたし、また長い間自由経済のもとで仕事をいたしておったのでございますが、そういう点から考えまして、私は根本の構想といたしますれば、政府が力をもって規制するということはなるべく生産方面は各生産する人の意欲と創意とを生かして行く、これに小さないろいろな干渉をし、いろいろな統制を加えるということはこれは生産を阻止するゆえんだと存じます。けれども、いやしくも消費というものになりますれば、これは政府の力をもって相当規制しなければならない、こういうことが、やはり今後計画経済を運営して行く上においての根本の基礎になるような気が私はいたすのでありますが、そういうふうな原則から行きまして、その場合その事実に即して、そうして規制すべきものは規制するという方針をとって行きたい、こういう方針でございます。
  111. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 六カ年計画によりますというと、財政の規模、投資の規模は三十一年度以降堅実に拡大せしめなければならないということがうたわれております。堅実に拡大するということはどういうことでございますか。
  112. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 堅実と申しますというと、将来における消費がどういうふうになるかということを検討いたしますと同時に、これを生産する上においては内外の需要関係を考えまして、その原料はどうするか、それに対する労力はどうするかという各方面のファクターを持って行かなければならないのでありますが、特に一番先に考えるべき問題は、その消費の面の将来はどうなるかということをよく検討する要があると思っております。
  113. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 堅実にということは、おそらく生産的を堅実だということと、消費的に堅実だということがあるだろうと思うのであります。しかし実際本年度予算考えてみましても、また来年度予算は一兆円のワクには納まらないだろうということを大蔵大臣もおっしゃっていたのであります。この国の財政の規模というものは増大する、その増大する規模の中において、生産的の方面に使われるものと、それから消費的な方面に使われるものと、この割合というものをどういうようにしたならばそれが堅実であるというふうにお考えでございますか。
  114. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。ただいま申し上げました通りに、消費面のことを考える必要がありますが、一方におきまして財政計画を立てる上において、その生産をする上におきましてインフレを助長するというふうなことは厳に値しまなければならぬ。で、ここ一、二年の間はデフレ政策をとる、こういうこともやはり根本政策の基礎になっております。
  115. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 二、三年の間デフレ政策ということは、今まであまり聞いたことがない。本年はデフレ政策といいますか、あるいは地固めの経済あるいは財政である、拡大のための地固めであるというふうに承わってきたんであります。二年も三年もデフレ政策をおとりになるということはちょっと珍しい発言なんですが、これはいかがですか。
  116. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) ただいまの私が申し上げましたことは、デフレと申しましたのは誤まりでありまして、インフレでなくて地固め政策でありますので、どうぞそういうふうにおとりを願います。
  117. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 大蔵大臣にお伺いいたしますが、三十年度予策及び修正されたもの、これを見ますというと、生産的というよりか非常に消費的な経費というものが割合において増大しているんじゃないか。これは三十一年度以降現実に財政投資の規模を拡大するということから考えてみるというと、あまり感心しない予算及びその修正であったと考えますが、これはいかがでございますか。
  118. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) これにつきましてはいろいろと御意見もあることと存ずるのであります。がしかし、すべてが不生産というわけでもありません。大体八十八億の歳出増が一番問題であるのでありますが、このうちには約三十億以上の地方公共事業がふえておるようであります。これは生産的とも十分考えられるものであります。その他減税についてはこれはまた国民負担を軽減するとともに、それがさらに貯蓄に回ることによって産業資金を増大ならしめる、こういうふうに解すべきだと考えております。その他につきましてはこれは直接の融投資になるのでありますから、これはむしこ生産的である、かように考えております。むろん歳出増のうちにおいて後年度において財政負担となる、そういう配分もあったこともこれも承知いたしておりますが、これはやむを得ない今日の社会情勢と考えております。
  119. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 政府原案における防衛費であるとかあるいは修正における旧軍人恩給であるとか、そういうようなものはわれわれ考えると、不生産的な経費であろうと、こう考えるのであります。これを果して現実に堅実な予算としてこういうものを考えることができるかどうかという点を私どもは考えているのであります。この点は議論の分れ目、相違であろう、こう思いますから、ほかの点に移ります。  そこで、この三カ年構想によりますというと、三十二年までの間就業者の増加率は労働力人口の増加率とほぼ同じであるというふうに断定しております。これは希望と客観的な判断とが一緒になっているんではないかというふうに考えます。この間に就業者労働力人口の増加と全く同じであるということが果して断定できるかどうか、多分に希望的な見解がまざっているのではないか、こういうふうに考えるのでであります。この点はいかがですか。
  120. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) これを希望数字といえば希望数字ですが、この希望数字と同時に生産数量を目標通りに進めて行きますれば、この程度の需要率をもって行ける、就業率をもって行ける、こういうふうに考えているのであります。つまり生産をそこまでふやして行かなければならないということが前提でございます。
  121. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 私は三十二年に至るまでの三カ年におきましても、なるべく希望的に全産業が拡大して行けば、おそらく労働力人口と同じ率をもって就業者の増加というものが考えられるとも思います。しかしマイナス要素というものを考えてみますと、たとえば貿易の決済ということに、黒字を果して期待できるかどうか、あるいは特需の減少、特に最近内地におけるところの特需産業が大量の失業者を出しているという状態、あるいは合理化の促進に従いまして失業者が増加するということも考えなければならない。総人口はもちろんふえて行くわけであります。こういうマイナスの面がうまく吸収されまして、就業率が労働力の増加率と全く同じであるという、そういう断定が下せるかどうかという問題であります。そしてこの今の点、マイナスの点が、果してこういう就業率の増加というものにマッチするかどうかという面、それからもう一つは、この人口の問題につきましては一ところ家族計画という点が六カ年計画の中でうたわれているようであります。この家族計画とそれから移民の問題、この問題についてどういう数字をお持ちでありますか、この点をお示し願いたい。
  122. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 大体この特需関係は三十五年をもってゼロにする、ゼロになるものだ、こういうことを見込んで計画を立てておりまして、逐次これは減っておるのであります。それだけはやっぱり輸出の振興によって行きたい、こういうことでありますから、幸いに現状におきましては輸出は予定しておるよりも幾らか上回っておるというわけでありますが、今後ますますこれに重点を置きたい、こういうことになりますれば、特需がなくなっても輸出入のバランスはとっていけるという考えでございます。それから合理化の方面におきます失業者の吸収は、合理化をする前にこの失業者をどこに持って行くかということをまず考えて行かなければなりません。それがためには差しあたり公共事業であるとか、あるいは治山治水であるとかあるいは道路の建設あるいは鉄道建設という方面に逐次持って行きたいと存じます。特に今後国土開発をやって行きます上につきましては、道路の開発ということがよほど必要だと存じまして、その方面に相当の失業者を吸収して行きたい、こう存ずるわけでありますが、詳細の数字政府委員からお答えいたします。
  123. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それから家族計画、移民の計画……。
  124. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 家族計画に関しましては三十五年まで百五十万従って大体年間三十万くらい、今の政府の方針をもう少し強度に遂行いたしますと、バース・コントロールあるいは中絶等で可能になるのではなかろうかということで、せっかく立案中でございます。さてその数字をそのままそれでは今度の、先ほど申しました三カ年計画の中に織り込んであるかというと、その数字は今のところ織り込んでございません。今のところはいわゆる自然増の人口をかかえておりまして、人工的に今後抑制する点は今後の研究問題としては残っておりますが、まだその数字は採用しておりません。  それから移民の問題も同様でございまして、今年度は五千人あるいは八千人、来年から一万人、まだわずかでありますが、そういうことで移民の方も、せっかく緒についたばかりでございまして、今年度予算の実施から本格的な実施に移るわけでございますが、これももう少し外務者と十分打ち合せいたしまして、当然この線は人口問題の重要な問題でございますので、今後大いに研究もし、推進する要があろうかと思いますが、今の六カ年計画にはこの数字はアローアンスとして残してございまして、見てございません。
  125. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 各委員が重要な点についての質問をされましたから、私は重複を避けまして、きわめて問題になる点だけについて伺いたいと思います。一応私はこのコルムの方式による例の「一九六〇年のアメリカの経済」、これをひな形にしてシンガーの方式によって検討、確認した、こういうやり方については私はある意味では意義を認め、そうして評価をしておるわけであります。もちろんこれには非常にいろいろ問題があると思います。吉田内閣のもとで計画は赤であるというので、ほとんど経済審議庁作業をやめさしてしまった。その間に経済審議庁がこつこつといろいろ努力して、アメリカの一つの長期計画というものをモデルにして、とにかく日本でも長期的な一つ経済の姿を描いてみたい、こういう努力をしまして、今度は鳩山内閣になり高碕さんがこれを日の目を見るようにされたということについてはある意味ではその評価をいたし、意義を認めておる、それだけにこの三十年度予算を一応基礎として、三十年度予算経済六カ年計画の第一年目であるというので、長期計画の第一年目、そしてまた長期財政計画の一年目としても見られるわけであってこの計画を検討すればするほど、非常に意味があるということは、こういう姿に日本経済を持って行く場合に、日本経済の問題点がどこにあるのか、日本の財政金融政策の問題点がどこにあるかということがきわめてはっきりとわかる。こういう意味において私は非常に意義を認め、評価をする、こういう意味であります。そういう点から質問いたしたいのであります。特に私はこの総合計画と財政計画の面から焦点をしぼって伺いたいのであります。先ほど政府委員の方も御説明されましたが、これには私は有効需要をどう裏付けして行くかという質問に対して、政府購入ということが計上されておる。また小林君の質問に対して、政府で確定できる要素というものはこれこれであるということを答弁されました。そこで政府購入をこういう数字に表わすについては、三十二年度までの財政計画というものが裏付けになっていなくてはならないはずであります。そういう作業があるはずであります。従いましてその三十二年度まで、この政府購入を算定するに至った三十一、三十二のこの裏付けとなった財政計画を、その輪郭でよろしいのですが、大体示して頂きたい。特に私こう申しますのは、こういう姿の日本経済を作り上げて行くについては、それでこれが意義があるのは、今後日本の財政規模というものは一体どのくらいであるべきかということが、大体こういうことからあるいは想定しなきゃならぬ。また財政収入と財政支出バランスは一体どうあるべきかということが第二に重要になってくると思うのです。第三には非生産支出、さっき問題になりました防衛費、旧軍人恩給、賠償費対米債務の返還等の非生産支出とそれから民生安定費と、経済自立に対するそういう資金と、この三つのバランスがどうあるべきかということをこれからわれわれが研究しなきゃならぬ。  現在の日本経済ではこの三つが競合しております。防衛費的な非生産費的なものと、民生安定費と、経済自立のための資金と、この三つが競合しておって、防衛費がふえれば民生安定が犠牲になる、経済自立の資金が犠牲になる。経済自立を急ごうとすれば、その資金を確保すれば、防衛費が抑圧されなきゃならぬ、あるいはまた民生安定費が抑圧されなければならぬ。この三つは、今、日本の現状においては競合しているのです。そこでこの計画においては——私はこの計画を一応その意義を認め、評価するのは、いろいろこれまでの委員質問して問題がありますけれども、この計画をやるについては防衛費はそんなにふやせないと、そういう計画になっているのです。そういう計画になっていると思うのです。これで防衛費をふやしてこの計画ができると言ったらこれはおかしいです。——この政府購入の計数が出たのでありますから、三十一、三十二の政府購入を算出するに至った財政計画経済審議庁作業が、おそらくこれはされなければ出てこないはずであります。それをお示し願いたい。
  126. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) この点は先ほども御説明したかと思いますが、本来でありますれば詳細な各省のデータを積み上げまして、そして財政のワク配分を考えて、その中から所要な項目を抜きまして、そして整理按分してここに出すのが当然の筋道だと思いますが、この作業ではその資料を出す際にも、くれぐれもお願い申し上げましたように、まだそこまで作業は進んでおりませんので、大体政府購入の内容は厚生費をもって考えまして、たとえて申しますと全体の総生産の中でこの政府購入の率はどのくらいかというと、二十八年度は十九・四、二十九年度は一九・三、三十年度は一九・六、三十一年度は一九・六でございますが、そういう比率をとりまして、その一九・六の内訳も先ほど申しましたように地方財政の方はなるべく緊縮にしていただきたいという方針と、それから政府投資並びに政府消費に関しましては、政府投資の方にいささか重点を置きまして、そうして客観的な数字といたしまして、こういう姿が望ましいというふうなのを出したのでございまして、お話のようなこれを出す際の積み上げた財政計画というものは、ただいま持ち合せございません。これからやろうというところでございますので、御了承頂きたいと存じております。
  127. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はその積み上げたものを要求するのはまだ無理だと思う。決してそれを要求しているわけではありません。また将来具体化してくれば要求しなければなりませんが、私は望ましい姿としての数字がほしいのですよ。その具体的に積み上げるデータよりも、これが望ましい姿、望ましい姿として今のパーセンテージを書いておりますが、それでは具体的に計数が出てくるはずであります。その計数を伺いたい。望ましい姿としてのこの計画政府購入の裏付けとなった、この望ましい姿の、たとえば三十一年度の財政規模は大体幾らと見ているか、その中で社会保障費は幾らと見ているか、あるいはまた防衛関係費は幾らと見ているか、それは今のお話ではわかるはずであります。こういうパーセンテージ、作業をされたのですから、それはわかるはずでありますから、それを出して頂ければ、なるほど望ましい姿としては、この財政の中で三十一年度、三十二年の数字を出して頂ければですよ、防衛費がこれでは多すぎるではないか、あるいは財政支出が財政収入をこえるではないか、こえている分については公債を出すのか、あるいは増税でやるのか、あるいは社会保障費がふえていないではないか、従って防衛費をふやすから社会保償費がこう犠牲になるのではないか、こういうことがわかるわけです。それがわからなければ、この長期財政計画の三十年度はその一環でありますが、われわれ三十年度予算を見る場合に、長期財政計画の一環として、その基礎としての六カ年計画、三カ年計画を要求している、そうしてようやく苦心されてこの審議庁がこういう作業をされたのです。それを私は非常に評価しているのですから、望ましい姿の数字をわれわれは欲していて、そうして現実の姿がいかにゆがめられて行くかというそういうことをわれわれはここで明らかにする、そういう意味では非常にこの作業は意義があるとわれわれ評価する。ですからぜひそれは今のパーセンテージでけっこうです。パーセンテージで機械的にはじかれてもけっこうですから。そうすればどうなりますか、お聞きしたいことは、まず財政規模三十一年度と三十二年度は今のパーセンテージではじくと幾らになります。それから歳入の規模は幾らになる、それから社会保障費関係、それからさっき申しました公共事業関係は確定で、わかると言っていましたし、公共事事業費関係、出資及び投資、地方財政の規模、防衛費これだけについては機械的なそういうパーセンテージのはじき方でけっこうですから、数字によってわれわれこれをぜひ頂きたい。そうすれば非常に参考になると思う。ぜひ伺たいい。
  128. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) この点に関しましては小林委員からも再三同じ御要求がございまして、あれば当然お出しする筋のものかと思いまするが、先ほど来説明申し上げましたように、これは国民総生産の内訳を民間資本形成と、政府購入経常海外余剰と個人消費と、この四つの分類で過去の百分比からにらんで、こういうのが望ましいというのを出したわけでございまして、それ以上深く進めてございませんので、当然先ほど長官の方からも御説明いたしましたように、今後問題を進める際には、ただいま木村さんから御要求のありましたそのものが一番キー・ポイントでございますが、それはこれから作業に入るのでございますから、きょうのところは御勘弁願いたいと思います。
  129. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは私はごまかされません。政府購入を出したその積算の基礎はないはずがありません。あくまで要求します。そんなばかな話はありません。
  130. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) これは先ほども御説明申し上げましたように、下から積み上げて行く計算の仕方もございますし、従いまして、今年度がこのくらいの予算規模でありました際には、来年の国民所得がこのくらいあればどうかという算術計算で出す出し方はもちろんございます。あるいは全部積み上げて出す出し方もございますが、ここではそういう行き方でなくて、あくまでも各国で申し合せしておりますいわゆる総生産方式と申しますか、そういう方式で、そうして大きく国民経済全体がどういうふうな生産の規模になり、その有効需要の配分がどういう配分が望ましいという点に問題をとどめるだけでありまして、それをさらに深く入って、財政の内訳がどう、あるいは財政投融資の現状はどう、あるいは民間資本の各要素はどういうふうになっているのだ、またどうすべきかという問題はこれからの作業でございますので、ただいまのところは持っておりません。
  131. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはそうお隠しになったってだめなんです。最初鳩山内閣が総選挙に臨むに当って、総合経済六カ年計画を非常に自慢にして、各方面に配付した資料がございます。その各方面に配付した資料を見ますと、財政計画までちゃんと出ています。ですからそういう作業をやっておるわけです。非常に各方面に自慢してばらまいたじゃありませんか。それを見ますと、財政投融資計画も、財政計画もあるのですよ。ですからそういうものをわれわれに……、私は非難するのではないのです。真剣に日本経済自立計画考えて見る場合には、問題点が一体どこにあるのか、防衛費に重点をおけば民生安定がこういうふうに破壊される、経済自立資金計画がこう破壊される、そのバランスを見る上においてきわめて重要なんです。それを出してもらえば、初めてこの予算委員会において長期財政計画を見る場合に非常にためになる。それだからこそ私は執拗にこの三十年度予算の基礎となる六カ年計画、あるいは三カ年計画、これを要求している。これとの裏付になる財政計画があるにかかわらず、またなければならぬはずであります。一体意味がないじゃありませんか、予算委員会としてですよ。こういう経済をやって行くにはどういう財政計画を立てたらいいか、これは実施計画じゃありません。望ましい姿の財政計画はどういうものだ、その点ですね、その点説明して下さらなければちっとも進まないです。あるのじゃないですか。
  132. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。いろいろ試案があったようでありますが、これはまだ確定したものでもないのでございますから、なかなかこれを発表するわけにいかぬようでございまして、これをよく検討いたしました上において、よく御相談申し上げたいと思います。
  133. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その試案が必要なんですよ。試案でいいんですよ。それはコンクリートにするためには、われわれもそんなむちゃなことを言うわけじゃありません。大体あるべき姿でしょう、好ましい姿について、試案として日本の財政計画をこう立ててみた、三十一年、三十二年と。ここにやはり問題があるんだということをはっきりさせなければ、それとこの計画とにらみ合せなければ、われわれは予算委員として長期財政計画を検討する場合に役立たないんです。その試案でいいんですが、御発表願えませんか、研究資料としてです。
  134. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 実はまだ先ほどから何べんも御説明申し上げますように、そういう大きい目から見た一つの分類を作っているだけでありまして、これから九月あるいは十月ごろまでかかりまして、そういうものを作ろうということで今せっかく準備中のところでございまして、従いまして、ただいまあると申しても、それは単に個人的な一つの推算に過ぎませんので、審議庁自体といたしましても、別にまだそういう内容を審議した事実もございませんし、これから審議庁の原案も固めようということでございますから、私としては持っていないというふうにお答えする以外にございません。
  135. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 前にお配りになった財政総合経済六カ年計画にはこれはあるんですよ。方々へ経済審議庁は自慢してお配りになったでしょう。それは新聞社の人なんかも持っておるはずですよ。それがただ表面に出ていないだけであって、従ってそういうのはやはりこういう際に明らかにされた方がこの予算審議の上に、長期財政計画をわれわれ検討する上に非常に有益であると思うのです。その点もう時間がございませんので、とらわれないで一つ発表していただきたい。
  136. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) とらわれないでお話申し上げます。前に一月に閣議で御了解いただきました数字は、この前一月でしたか、この前の議会で御説明をした通りでございまして、あの中には実は財政規模等は正式に閣議了解をとったという数字ではないのでありまして、閣議了解をとった原文は皆さんにお示しした通りのものでございます。従いまして、そのバック・データーになっておる数出子の中に、財政投融資あるいは財政の規模等の数字はございます、参考資料の中には……。しかしこの参考資料はあくまでも参考資料でありまして、これはまだ各省と十分打ち合せが済んだというところまでは行ってございません。従いまして、古いことしの一月に作りましたその数字ということでよろしうございますか。
  137. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでけっこうです。
  138. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) それでございますので、それで申し上げますと、歳入は二十八年度は御承知のように一兆二百七十億でございまして、三十二年は一兆八百億でございます。三十五年は一兆二千二百億でございます。それから一般会計の歳出でございますが、これはただいまもくれぐれ申しますように、単なる一試案でございまして、何ら審議庁といたしましても、各省といたしましても決定したものでもありませんし、閣議の了解をとったものでもないのでありますが、私どもの試案といたしまして、たっての御要求でございますので申し上げますと、二十八年は御承知のように防衛、平和回復といった、そういう一連の対外費関係と言いますか、そういったものが千二百六十億でございます。
  139. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは何でございますか、何の費用ですか。
  140. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) これは防衛関係とか、あるいは平和回復等と、全部まぜて見ているのでございます。それから公共事業とか、食糧増産とかといったようなものは一千七百五十億、一応これは過去の実数でございますが、投資及び出資は四百二十億、それから社会、厚生が千五百億、文教が千二十億、地方財政が千七百七十億、一般行政が二千九百十億、その際、今年一月に試案で作っておりましたのは、防衛、平和回復は千八百億、それから公共、食糧は千六百億、それから出資及び投資が三百億、社会、厚生が三千十億、文教が千百七十億、地方財政が千五百七十億、一般行政が二千三百四十億、三十五年が防衛、平和回復費が千八百億であります。それから食糧、公共が千九百二十億、出資及び投資が四百億、それから社会、厚生が二千三百三十億、文教が千四百四十億、地方財政が千七百七十億、一般行政が二千五百三十億、こういうふうな工合に一応想定しておりました。これは繰り返すようですが、単なる私どもの試案でございまして、何ら権威を持ったものではございません。それから最近の三カ年の計画に関しましては、繰り返し申しましたように、まだできておりません。
  141. 館哲二

    委員長館哲二君) もうだいぶ時間がたっておりますから……。
  142. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それじゃ最後に、今大体参考資料として参考のあれを伺いましたが、そこで最後に伺いたいのですが、時間がありませんから要点だけ申し上げますが、御答弁願いたいのです。防衛庁長官に伺いたいのですが、これまで大体ずっと予算委員会で聞いて参りましたが、今後の防衛費は国民所得に対して大体二%くらいが望ましいということが、現実にどうなるかわかりませんが、望ましいということが大体二%ちょっとこえたくらい、そうしますと、この計画による国民所得から見ますと、防衛費は大体千三百億円くらいなんです、国民所得に対して……。そうしますと、さっきのは大体の試案ですから、これをまた元にしてはあまりあれかもしれませんが、千八百億、この中へ平和回復とか、何とか入っていると言われましたが、これは今のもだいぶ内輪に見積ってあると思うのです。千八百億は、防衛費と賠償費あるいは平和回復費を入れて……。それを除けば千五百億くらいですかね。大体こんなような心づもりで足りるのですか。防衛庁長官は防衛計画に専念されなければなりませんが、しかし先ほどからお話のように、これは十分おわかりと思うのですが、日本経済で今一番重要な点は防衛費と経済自立費と民生費と競合しておるんですね。従って防衛庁長官は、どうしても防衛費が国民経済の中でどういう地位を占めなければならぬかということを真剣に考えていただかなければならぬ。従って大体今の参考案、千八百億ぐらい、賠償平和回復諸費を入れて三十五年度はそのくらいで済むのでありますか。そういう心づもりのところを伺っておきたい。本来ならば防衛計画もこれと並んでお示し願わなければならぬのを、いくら要求しても出されない。防衛計画がわからなくてほんとうにわれわれ今後の望ましい日本経済の姿なんていうものは描こうとしても描けない。今までのお話では防衛費は全然織り込んでないのでありますから……。この点、防衛庁長官は国民経済とまた長期財政計画との関連、この点を、私はもう質問できないのでありますから、いつも非常にあいまい模糊としたわからないような御説明をしておりますが、この際一つ十分腹を割って御意見を承わっておきたいのであります。
  143. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) お答え申し上げます。この防衛費というものが財政、国民経済の全体との関係においていろいろの意味におきまして非常に重要な関係にあることは申すまでもございませんので、実はそういう点を特に私も長期計画考えます際も真剣に考えている次第でございます。ただいま経審の方で一応の試案として考えておられます政府購入の額とかいうようなこと、そういうことも十分私考慮に入れまして、今後国民経済にあまり無理のない範囲内において一つ防衛の計画考えて行きたいと思います。
  144. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 二%の点はどうですか。
  145. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) 防衛費を考えます場合には、あわせて防衛支出金の問題も考えなければならぬわけでございますが、それらを総合いたしまして、この間大蔵大臣及び経審長官は、含めての意味だと思いますが、二%ないし三%ということをおっしゃっいましたが、私もそれとそう遠くないことを実は考えております。
  146. 館哲二

    委員長館哲二君) これにて長期経済計画に関する質疑通告者の発言は全部終了いたしました。  これにて一般質疑の全部を終了いたしました。  これよりすみやかに分科会を開会されることを望みます。なお、理事会の申し合せによりまして、明二十九日中に各分科会の主査の報告をいただくことになっておりますので、さよう御承知を願います。  次回は、明日の午後四時より開会いたします。本日は、これにて散会いたします。   午後二時八分散会