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1955-06-22 第22回国会 参議院 予算委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十二日(水曜日)    午前十時三十五分開会   —————————————    委員の異動 本日委員高橋進太郎君及び山下義信君 辞任につき、西川彌平治君及び松浦清 一君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     館  哲二君    理事           池田宇右衞門君            石原幹市郎君            西郷吉之助君            豊田 雅孝君            佐多 忠隆君            吉田 法晴君            松澤 兼人君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君    委員            伊能 芳雄君            小野 義夫君            木村 守江君            左藤 義詮君            佐藤清一郎君            田中 啓一君            西岡 ハル君            堀  末治君            吉田 萬次君            梶原 茂嘉君            小林 政夫君            中山 福藏君            溝口 三郎君            秋山 長造君            湯山  勇君            松浦 清一君            石坂 豊一君            深川タマヱ君            武藤 常介君            千田  正君            八木 幸吉君   国務大臣    外 務 大 臣 重光  葵君    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    厚 生 大 臣 川崎 秀二君    農 林 大 臣 河野 一郎君    国 務 大 臣 川島正次郎君    国 務 大 臣 杉原 荒太君   政府委員    内閣官房長官  根本龍太郎君    内閣官房長官 松本 瀧藏君    行政管理庁管理    部長      岡部 史郎君    自治庁行政部長 小林與三次君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁経理局長 石原 周夫君    外務省参事官  安藤 吉光君    外務省アジア局    長       中川  融君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省管財局長 窪谷 直光君    厚生省引揚援護    局長      田邊 繁雄君    水産庁長官   前谷 重夫君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————昭和三十年度一般会計予算内閣提  出、衆議院送付) ○昭和三十年度特別会計予算内閣提  出、衆議院送付) ○昭和三十年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)   —————————————
  2. 館哲二

    委員長館哲二君) これより本日の委員会を開会いたします。
  3. 千田正

    千田正君 本日は、大蔵農林外務大臣にお尋ねをしたいと思いますが、外務大臣農林大臣がお見えになっていないようでありますから、その分はのちほどに保留していただきまして、取りあえず大蔵大臣にお尋ねいたしたいと思います。  大蔵大臣に特にお尋ねしたいと思いますのは、今度の濃縮ウラニウムの受け入れに関しまして、仮調印が済んで、やがては本式の調印になると思いますが、その点については相当時日があると思いますけれども、すでに政府としましてはこの濃縮ウラニウム借り入れに対しては決定しておるがごとく新聞において聞いておるのでありまして、これに対する借り入れの準備あるいはその他に対して大蔵省としてはどういうふうに考えておられるのか。たとえば原子炉の設置であるとかあるいはそれに伴っての諸般の設備等に対しての大蔵省としての見解を承わっておきたいと思うのであります。
  4. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。取りきめがまだ今後になっております。それに現在予算で私の今の記憶では約三億六千万円ぐらいなものです。さしあたってはこれでやっていける。一方の協定も結びまして、さらに具体的にどうするかという御意見は今後検討を加えて考えていこうと思います。今のところはそういう過程にあります。
  5. 千田正

    千田正君 次には、最近、多分今月の十八日だと思いましたが、フィリピンの副大統領ガルシア氏と日本フィリピン駐在ト部在外事務所長との間に仮調印しましたところのフィリピン周辺戦時中の沈船でありますね、いわゆる沈んだ船の引き揚げに対して一トン幾らという価格のもとにその引き揚げ契約が仮調印された。この問題は将来もちろん大野、ガルシア協定のいわゆる四億ドルに関係する一つ労務出資になるのかどうかわかりませんが、いずれにしても、それは将来の日本賠償関係する問題になると思うのでありますが、そういう場合には、これは幾らに一体見込んで大蔵省としては賠償査定根本一つとして考えておられるのかどうかという点について承わっておきたいと思うのであります。なお、総金額はどれほどになるかということを大体見当をつけてお答え願いたいと思います。
  6. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今お話のように、この沈船引き揚げは、これは賠償のうちに入ることになるのであります。
  7. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) フィリピン沈船引き揚げ関係でございますが、すでに二十八億千三百万円で契約が締結され、このうち十六億一千万円を昨年度すでに運輸省に移しかえ済みでございます。で、運輸省ではこの範囲で播磨造船ほか六社と契約を結んでおるわけでございまして、トン当り引き揚げ価格百十四ドルということで契約ができましたのでございますが、その後この入札に参加しなかった一業者から百十四ドルは高過ぎるというような書簡がフィリピン大統領までに出された。それに端を発しまして、この百十四ドルが高いか安いかということで両国間にいろいろ問題がございまして、そのために引き揚げの着手に時間がかかって、昨年度内にはついに引き揚げを始めるに至りませんでした。ごく最近しかしこの三十五ドルというのは全く実現不可能な安い値段であるというようなことがフィリピン当局にもわかりまして、最初の百十四ドルは若干値引きをするということに至ったのじゃないかと思います。フィリピン当局との間には引き揚げ価格につきまして、今後適正な価格がきめられると承知いたしております。つきましてはその価格沈船引き揚げが行われるわけでありまして、それはそのまま後日フィリピンに対する賠償の中に算入せられる、さように承知いたします。
  8. 千田正

    千田正君 それは日本政府外交折衝によって、賠償の額はかりに四億ドルにしろ、あるいはそれを上回るにしろ、将来確定した場合においても、この問題については何ら変りがない、こういう御所信でありますか。
  9. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 将来きまります賠償の総額の中から引きおとすということであります。
  10. 千田正

    千田正君 次にお伺いしたいのは、御承知通りこの戦争と同時に、日本の国外におきますところのいわゆる在外資産、これは非常に膨大なものでありまするが、その中にはいろいろな項目に分かれておると思います。すでに十年たちまして、外交折衝の結果、国交を結んだ国もあるし、これから結ぼうとする国もありますけれども、現在において在外資産処理の問題はどうなっておるか、特に個人財産処理の問題はどうなっておるか。  もう一点、先般のこの予算委員会で、私は特に閉鎖機関処理の問題についてお尋ねしておきましたが、そのとき岩動課長からのお答えは、今国会にこの整理の法案を出す予定になっておる、こういうのであります。特にその点の中で、私は考えなければならない問題があると思うのは、韓国におけるところのいわゆる朝鮮殖産銀行あるいは朝鮮銀行あるいは台湾銀行、あるいは中国におけるところの中支那振興北支那開発あるいは南方におけるところの南方金庫等に関するところの処理方針はどうやるつもりなのか、かりにこれを債権を優先にして、これを一応解消するとしました場合において、韓国との国交が正式に軌道に乗った場合において、韓国内におけるところのあるいは財産処分権、あるいは個人の権利の要求等がありました場合に、この問題はすでにゼロになったとして別個の問題として、大蔵省としてはそういう問題が発生した場合においては、特別なる予算を組んで支払わなければならないと思うのですが、そのへんのところを勘案しつつ、今度の法案を出そうという御意向なのでありますか。その点をこの際明らかにしていただきたいと思うのであります。
  11. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 在外財産処理につきましては、在外財産処理調査会にかけて、今御審議を願っております。まだ結論を得ておりません。これに関連しまして、朝鮮銀行等資産処理に関する法案については、今私なおお話のような点もありますので、慎重検討を加えておりまして、本国会に出すかどうか、まだ決定をいたしておりません。十分仰せのところを今検討を加えております。
  12. 千田正

    千田正君 これは非常に影響するところが大きいと思うのであります。ちまたのいろいろなうわさによるというと、いろいろな朝鮮殖産銀行等日本政府腰入れによって、別個の改正によって再建されるのではないかといううわさの下に銀行の株券が暴騰しておる、こういううわさもわれわれは聞いておる、とにかく政府としてはこうした在外資産閉鎖機関によって一応清算されたものを、いかにこれを有効に生かしていくかということが、また大きな日本財政の見地から言って、慎重に考えなければならない問題だろうと思うのであります。それでこれはあらゆる点に目を通されまして、慎重にこの問題は取り扱っていただきたい。これはこう要望しておきます。  次に、戦争中の接収金属の問題、たとえばプラチナであるとかダイヤモンドであるとか金とかいうものを接収して、当時の戦争の役に立てようと国民の一人々々が持てるものを全部出したのでありますが、現在においてその出した際の預り証を持っておるところの個人は、ほとんど持っておる人は少いだろうと思うのです。むしろそれを取り扱ったところの業者は、御承知通り地金協会その他の有力な昔からの金属商その他がその間に入って国家への寄贈の手続きをやったのでありますが、そうしたリストは、そういうところにあるかもしれませんが、現在現物は御承知通りあなたの方の管轄でありますところの、大蔵省管轄の下に日本銀行地下室金庫に保管されておる、大体この金額は推定にして相当膨大なる金額と称されておるのでありますが、大体この金額幾らぐらいか、それから聞くところによるというと、この接収金属に対する処理方針をきめて、今国会にその法案を提出するやのうわさを聞いております。ところがこのうわさ中心としまして、これまたちまたにおいてはいろいろな問題が流布されている。真偽のほどはわれわれははっきりわかりませんけれども、たとえば所有権の不明のものに対しては、当時取り扱ったところの協会あるいはそれに所属しているところの金銀取扱い業者が自己のリストのもとに載せて、これはわれわれの財産であったということを確認させようとしこ猛運動をしているかのごとく聞くのであります。しかもそのかげにはかつての内閣首脳部であった人たち関係しているかのごとぐに宣伝されている今日でありますがゆえに、この処分はこれまた重大な問題であると私は思う。私はこれは国家財政の上かち数千億に及ぶところの膨大なる貴金属をいかに処理するか、ある社会党の諸君などは所有者の不明なものは国家がこれを接収して、これを国の財産に繰り入れるべきだということを、主張している衆議院議員もあります。いろいろな方法によって国の役に立てる方法があると思いますが、この接収金属をいかに取り扱うか、甚だ失礼な話でありますけれども、われわれの周囲におきますところの主婦であるとか、あるいは娘さんたち自分の持っておった結婚のときの指輪であるとか、結婚目標として買ってもらったあるいは親の遺産であったところのプラチナであるとかいうものを、全部差し上げている、しかしその領収書は不幸にして終戦のどさくさのときまぎれてないがしかしそれを今の取扱い業者が取り扱った一つリストからくり抜いて、あるいは政府に向って自分のこれは所有であるがごとく主張するかもしれません。その点においてわれわれは非常に今後の社会問題に影響するところが大きいと思いますので、政府としましては、この接収金属を正しくかつての所有者に返すと同時に、返す相手がなかった場合におけるところの所有権の喪失されたこの金属に対しては、いかなる処分をなして国の役に立てるか、当初国民のすべては何らかの方法によってこれを国家のお役に立てようと、いわゆる国のための赤誠から出したものであるために、この処理は十分に慎重に考えなければならないと思いますので、大蔵大臣に特にこの処理方針をお示し願いたい。
  13. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 接収供出金属のことですが、これは大蔵省の算定によりますと七百一億とかいうことに一応なっております。これにつきましての処理方法は旧連合軍が、接収した所有者の意思にかかわらず、接収した分については、その所有者が明確になれば、これは返して上げるという方針であります。それから供出した分につきましては、これは当時所有者国家のため供出したということになりますので、これは国家帰属させてもらう、今のところこれは売却をして一応一般歳入になるのだ、これらの人に対してはなお十分に考慮しよう、こういうような形で処理をいたしております。  なお、政府委員からこの点については御納得のいくように数学的にもっと詳しく説明させます。
  14. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 大臣の御説明に若干補足して申し上げたいと思います。今大臣から保管をいたしております金額価額にいたしまして約七百億ということでありますが、この評価につきましてはいろいろむずかしい問題がございまして、たとえば金の地金等につきましては、政府が今その新産金を買い入れております価格が四百五円、これは大体国際相場でございますが、これを民間で売っておりますのが今たしか五百八十円くらいになっておるかと思います。従ってその五百八十円で評価するか、四百五円で評価するかによっていろいろ違って参りますが、大体そういうふうな国際相場で金の地金を見ております。それから銀の地金につきましても大体国際相場で考えております。ダイヤモンドもこれまたいろいろむずかしい評価がございますが、一応これはまず暫定的なものではございますが、占領中に占領軍がアメリカの専門家日本専門家と合同で金の評価をいたしたものであります。これによってやって約七百億ということになっております。やや大きな項目を申し上げますと、金の地金が三百二十五億、それから銀の地金が二百三億程度、それからダイヤモンドが七十二億程度、そのほかに金貨でございます。地金でなく金貨が、これもやはり金の純分評価をいたしまして五十一億円、銀貨がやはり銀の純分評価して十五億、合金の地金が三十七億円、貴金属加工品がこれもやはり純分計算で約二億円、そういうふうな合計をいたしますと七百億ということになります。これをどういうふうに処理するかと申しますと、これは今政府にこういうものが入りましたのは、一つは軍が持っておりました当然本来国有のものが接収されたものがございます。そのほかに民間から接収をされておるのが相当ございます。この民間から接収されましたものの中には二つの系統がございます。一つは、今お話のありましたように、戦時中に国民供出をいたしましたもの、これはたとえば当時の扱い機関である交易営団でありますとか、あるいは中央物資活用協会あるいは金属配給統制株式会社というふうな機関手持ちをいたしておりまして、国家に献納をする手続きをいたしておる途中に終戦に相成ったのであります。従って形式的には一応とにかく交易営団等供出者代金を払って取得いたしておりますので、形式的には所有権交易営団にあるわけでありますが、この点は衆議院でも各方面の委員会で、たとえば民間憲法学教授でありますとかあるいは国際法教授等いろいろ参考人として来ていただきまして検討いたしました結果、形式的には交易営団所有権はあるけれども、実体的にはこれは国の所有として差しつかえない。しかしながらこれは立法を要する。その立法はそういう意味において憲法違反ではないという結論が出ております。大体今の政府案がそういうふうな線に沿って出ております。従いまして、交易営団手持ちをいたしておりますものは、その現物は国に帰属させる。しかしながら交易営団戦争中にそれを取得いたしますために、代金を支払っておるわけでございますから、その支払い代金はこれを交易営団に交付をするということにいたしまして処理をいたしたいというふうに考えております。それで国の帰属になりましたものをどういうふうにして処分いたしますか、なかなかいろいろむずかしい問題がございますが、その歳入金につきましては、今のところ一応とにかく一般会計に入れて、おのずから重要な要途にそれが使われるというふうな建前が適当ではなかろうかというふうに考えておりますが、これは具体的にその歳入を見合いをとりまして、予算を編成いたしますときに、具体的には考慮さるべき問題であろうというふうに考える次第でございます。
  15. 千田正

    千田正君 今の御説明の間に、ちょっと私は伺っておきたいと思いますのは、交易営団等が当時買い上げた。買い上げたから所有権は当然その営団所有権である。これは一応はそう考えられます。しかしその買い上げるときの査定金額の問題ですね。その当時はたとえば金なら金を一匁五円なら五円、そういうふうに買った。しかし現実貨幣価値というものは大分そこにまた差がついてきておる。そこでこれに対しての私は世間一般的な処理におけるところの疑惑が相当生じてくるのじゃないか。これを一旦国家のものにしてさらにこれを再び払い下げるか売り渡しするかということにもなると思いますが、いずれにしても、供出したときの気持は、相当安くてもとにかく安いのがほとんど当然であったほど、その当時の国民国家に忠誠を誓うという意味で出したのでありますが、それが今日おいて、取扱い業者がむしろその利益目標とした方向に、こういう運動をしているがごとく世間には伝えられているのであります。ですから、この処理方法はよほど慎重に考えないというと、あなた方は正しく筋道の通ったやり方をやるつもりでおっても、それを利用するところの、そうした営団なんかに関係しておったところの商社はむしろ利益目標とした行動に出るおそれが多分にある。これに対するある程度の制約をする一つ法律というものを考えておられるかどうか、その点を承りたい。あるいは当時買い上げた値段と今日の差額におけるところの精密な換算の結果、それ以上に今日の価格がなっておった場合に、その価格の差はどういうふうにするか、政府がそれを国家に収納させるのかどうか、そういう点まで研究しなければ、この処理は簡単にはできないと思いますので、その辺を聞いておきたいと思います。
  16. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 仰せごもっともでございまして、私どもその点を中心にして検討をいたしたわけでございます。たとえば交易営団を例にとって申しますが、交易営団国民から買い受けました現物は国に帰属させる。そうして交易営団戦時中に現実に支払いました金、これを補償してやろう。従いまして現物の現在の時価を基準にして交易営団に補償をするということではございません。従いまして、現在の現物のもっております処分価額と、それから交易営団等戦時中に現実に支払いました金額との差額、これは国庫の帰属に相なるということで考えているわけであります。仰せのように、いろいろなにかうわさを私どもも耳にしておりますので、その辺を誤りなく適正な処理をいたしていきたいというふうに考えている次第であります。
  17. 千田正

    千田正君 もう一点。その当時の交易営団なりその貴金属の買い上げの協会等に対しては、政府はむしろ買上げ資金というものを特別融資をしておったのじゃありませんか。全然個人の、営団関係した各商社がお互いの資金を出し合ってやっておったのですか。私の聞くところによると、当時の政府はそういう金銀を買い上げるための特別な援助をしておった。そうして全国民から一定の価格で買い上げて政府にそれを献納させるような手続をとったと記憶しておりますが、全然政府関係せずに、そういう交易営団なり地金協会なりが個人自分の持ち金でそういうふうな国民貴金属を買い集めたということになりますか、その点はどうなんです。
  18. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 交易営団につきましては、これは特別にそういうふうな貴金属買上げ資金ということではございませんで、政府出資一般的な業務のものとしてございます。それ以外に貴金属の買い集め等のための資金銀行から融資を受けております。それから、あと政府融資いたしましたのは、今の貴金属特別会計でございますが、当時ちょっと名前が違っておったかと思いますけれども、そこからたしかどこかの団体でありましたか、若干の融資をいたしているのがございます。ちょっと今手もとに具体的な資料を持ち合せませんので……。
  19. 千田正

    千田正君 それが私は実に不思議だと思うのであります。当時の銀行融資にしても政府の示唆がなかったら、そういうことはでき得ない。国民または政府意向をくまなければ、そうした献金運動はしません。おそらくそういう理由のもとに、営団領収書を発行したからといって、それが営団所有になるということは考えられない。政府資金融資しあるいは資金あっせんをして銀行をして出させて、そうしてそれを買い上げたものが今日において、その正式な領収書がかりにそこから発行されておったとしても、そのかげには当時の政府資金あっせんをしたり、あるいは融資をしておったとすれば、その会社の所有にはならないと私は考える。ここがいわゆる社会政策上非常に大きな問題なのでありますので、その点は慎重に考えていただきたい。その点の所信はいかがでありますか。伺っておきます。
  20. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) これは形式的には公益営団所有と言わざるを得ないと思います。しかしながら実態を考えますと、仰せのような関係にあるということでございますので、これを特別の立法なしには処置できない。従ってそういうふうな実態に即した措置をすることが適当であるということから、接収貴金属等処理に関する法律案として、十分御審議をお願いいたしたいというふうに考えている次第であります。
  21. 千田正

    千田正君 今国会中に提案する予定になっておりますかどうですか。
  22. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) すでに提案に相なっておりまして、目下衆議院の方に提案をいたしておりますので、まだ衆議院の方では具体的な御審議は始まっておりませんけれども、まもなく始まるかと思います。
  23. 館哲二

    委員長館哲二君) 千田君に申し上げますが、今外務大臣がすぐ出席しますが、そして、ただ参議院本会議が始まりますと、すぐに本会議の方に参りますから、その間一つ御質問願いたいと思います。
  24. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 ちょっと関連して。交易営団の現状は、今清算されておるのか、どうなっておるのか、その点を……。
  25. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) ちょっと今正確な資料を持ち合せておりませんので、はっきりしたことはあとお話し申し上げたいと思いますが、交易営団交易営団債務をまだ完済しきれない状態でおるわけであります。仮にこの交易営団が、この接収貴金属法律案によりまして、戦争中に支払いました金を交付されましても、なおかつまだ債務の全額は完済ができないというふうな状況であります。
  26. 千田正

    千田正君 外務大臣にお伺いいたします。それは今度の濃縮ウラニウムの日米間における取りきめですが、いろいろ論拠もあると思いますので、これはまあいずれあとにまた回しましても、簡単な点を一点伺っておきたいと思います。  あれは一定の年限を限っての借り入れだと思いますが、その期間中、日本におけるところの研究が仮に進んできて、相当日本の学者も、理論物理学から実験物理学おのおのそのオーソリティがそろっております。あるいはアメリカ側の研究よりもさらに優秀な研究がなされるかもしれません。そういうような場合においても、この取りきめの立場から言うというと、日本で研究した問題であって、さらに優秀な結果が出た場合においても、これはアメリカ側に通報するか、そういうようなあるいは秘密と言わなくても、日本にとっては重大な研究の結果が生じた場合でも、アメリカ側にはこれはその資料を見せなければならない、こういうふうな内容も持った問題になりますか、どうですか。その点を伺っておきたいと思います。
  27. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) その点は協定の文面の解釈になると思います。借り入れたものについてそのものについての研究、またそれによっての研究の結果得たことについては、通報の義務があると私は一応考えております。よく文面を一つ研究いたしたいと思います。
  28. 千田正

    千田正君 それはまあ非常な、日本のウラニウムを借り入れた後における日本の産業の発達、あるいは平和産業へのいろいろな寄与する面において、あるいは他国よりも優秀な結論が出てるかもしれません。これは日本にとっても非常な重大な問題であると思うのであります。  それから同時に、借り入れ期間内においては、仮に現在この原子力の研究はアメリカだけがやっておるのではありませんで、御承知通りソ連もやっておるし、イギリスもやっておる。その他のアメリカ以外の国で優秀な研究が積まれておった場合に、日本としてはそういう面においても研究を進めたいし、そういう国ともある場合においてはこの問題について、進んでお互いに学問の交流、あるいは研究の交流をしなければならないということになっても、これはこの契約期間内においては制限されるのでありますか、どうでありますか。ほかとは全然やってはいけない、やれないのだ、相変らずアメリカとの間にしかやれないのだと、こういうことになりますか、その点はどうでありますか。
  29. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) その点は何にも拘束はないと思っております。こういう通報を、これは平和事業の研究でございますから知識を交換して、広く研究を国際的にやるということは非常に有効であると考えます。
  30. 千田正

    千田正君 これは外務大臣にもう一度御研究を願っていただきたいと思いますが、この条文の中にはそう簡単じゃないと思います。相当これは制約があると思いますので、これは私の持ち時間もあまりありませんので、いずれこの問題をまた改めてお伺いする機会があると思いますが、私はもっと深刻な面において、決してそう簡単じゃないと思うのであります。ある程度これは世間でいうひもつきとかどうとかいうことは別としましても、相当アメリカ側としては、日本に要望する点が大きい、こう思いますので、他国との間のそうした学問的な交流は別としましても、実験その他におけるところの問題に対しては相当制約がある、私はそういう観点に立っておりますので、この点はいずれほかの機会に伺いたいと思いますが、もう少し研究していただきたい。  もう一つ、これは外務大臣は長らく海外におられまして、日本の外交の問題については、すでに第一人者でありますから、私はちょうちょうと申し上げるまでもありませんが、戦争あるいは戦前の日本の外交は、いわゆる宮廷外交であって、歓談の中に外交が進められておった当時と違って、今日の終戦後の、しかも敗戦した日本の外交というものは、かつての外交とは違った行き方をしなければならないことは御承知通りであります。そこで海外におけるところのいわゆる在外公館でありまするが、この活動はとりもなおさず日本にとっては、世界に向った窓であります。この窓の開閉いかんによっては、この国内の経済にしても、政治にしても、産業にしても、あらゆる面に及ぼす影響が大きい、それだけに在外におられるところの外務省の官吏の方々の活動というものは、実は祖国の運命をしょって立っていなければならない。しかし、現在、外務省の予算から見るというと、在外公館におけるところの予算はきわめて少い、私は海外を旅行して歩いて見まして、仮に東南アジアに行きましても、イギリスにしろ、ドイツにしろ、ほかの国々が東南アジアの市場に向っての活動というものはものすごい活動であります。その裏づけとなるところの各国の在外公館の活動はまたものすごい。残念ながら日本の在外公館の活動はある程度予算に制約されている。これはすこぶる私は遺憾な点があると思いますし、さらに、今後、日ソ国交の回復その他を通じまして、在外の日本からのこの公館の活動というものは大きな役割をする、これに対する予算はどうなっているのか。そういう面について伺いたいと同時に、もっと活動を活発にするような方法は考えられないか、戦時中、あるいは戦前において、国際裁判等に暴露されているように、外国の牒報機関が、すでに日本の外交の、日本からの訓令はもう相手方にわかっておったというような貧弱な一つ機関であってはならない。私は少くとも日本の国を左右するような重大な役目を持っているところの海外におられるところの日本外務省のお役人の方々は、十分に活動して、かつての宮廷外交じゃないのですから、真剣に敗戦後の祖国をしょって立つだけの活動をするだけの予算が組まれているかどうか。この点を伺っておきたいと思います。
  31. 館哲二

    委員長館哲二君) 本会議が始まりましたから答弁をこの次にしていただきたいと思います。
  32. 千田正

    千田正君 今の質問は大事な問題ですから簡単にでも……。
  33. 館哲二

    委員長館哲二君) それでは重光外務大臣
  34. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) 御趣旨はまことによく拝聴いたしましたが、現下の困難な財政でございますから、外交機関においても十分な予算的な処置ができておらんということはさようでございます。しかしながら、そのごく限られたる予算の中で、実は在外機関を督励して、さような国家の要請に沿うべく極力努力をいたしているつもりでございます。しかしなお御趣旨に沿うべく活動に十分の考慮を払っていくようにして参りたいと考えております。
  35. 館哲二

    委員長館哲二君) 農林大臣に関する質問は留保しておきます。
  36. 千田正

    千田正君 それでは私の質問は一応終ります。
  37. 館哲二

    委員長館哲二君) 八木君に申し上げますが、大蔵大臣への質問は少し先にお願いしたいと思います。本会議の緊急質問の関係がありますから……。
  38. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 最初に大蔵大臣にお尋ねをいたします。過日の本委員会におきまして、日本フィリピンとの賠償交渉の話のありましたときに、日本の支払い能力に関しまして、外務大臣は一ヵ年間二千五百万ドル、経審長官は二千万ドル、五百万ドルの違いがその言明にあるのでございますが、日本賠償能力に関することでございますから、大蔵大臣むろん御承知と思いますが、どちらか思い違いではないか、かように存じますので、伺っておきたいと思います。
  39. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) この賠償能力についての問題は、これは非常に具体的に申し上げるのはむずかしいのでありまして、これはどういう支払い方法になるかということにもよりますし、日本の経済力にもよりますが、今日の状況において一体一年にどのくらい可能であるかと申し上げますれば、これもなかなかほんとうに申し上げますれば、日本の今日の国情からなかなか賠償を払うということは容易でない。しかしこれはまあ日本が外国に対して国交の回復とかあるいは通商の回復とか、大きな見地もあり、また道義的にも考えなくてはならぬ点もありますので、多少他をおいても主力をそちらに向けるという意味で、まあこのくらいというようなことだと思うのですが、私の考えでは、先般大野、ガルシア会談のときにおきまして日本が四億ドル、二十カ年間、こういう情勢が特に改善されたとも思いません。まあ二千万ドルというところは私は大体やれるんじゃないか、かように考えております。
  40. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 外務大臣が二千五百万ドルとおっしゃられたのは何か言葉の間違いでございましょうか、これは外務大臣にお聞きする方がいいと思いますが……。
  41. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは私どういう根拠で言われたか、よく存じませんが、まあそういうことも考えられるんじゃなかろうかという意味ではないかと私は推測いたしております。
  42. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次に国民の租税負担額の増加の問題についてお尋ねをいたしたいと思いますが、大蔵省から発表されておりまする財政の統計要覧によりますと、昭和六年の国民一人当りの租税負担額は中央、地方を通じまして二十三円、昭和二十九年は一万四千四百四円で六百二十六倍になっております。物価騰貴率をかりに三百倍にいたしましても、なおかつ倍以上の租税負担が過重されている、こういう結果になっておりますので、昭和六年度では一般会計の歳出の三割以上が陸海空軍の費用であります。そう考えますと、現在の自衛隊に関する費用は一割五分内外でありましょうから、他の費用が非常に最近は膨張している、こういう結果になるわけでありまして、従いまして、どうしてもこれは国の費用を節約しなければならぬということは至上命令であると私は思うのであります。その点について大蔵省としては非常な努力をしていらっしゃるということは申すまでもないわけでありますが、一体どの辺のどの歳出の増がかような結果を来たしたかという歳出の問題と、今との比較をして、分析研究をされたことがあるかどうか、大体の趨勢としてどういう考えであるかということをまず伺ってみたいと思います。
  43. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) まず計数の関係を申し上げますが、ただいま昭和六年というお話でございましたが、手元にございますのは昭和九年でございますので、その数字と三十年度と比較して申し上げたいと思います。  昭和九年の数字で割合が一番大きいのはいうまでもなく軍事費でございまして四二%、九億四千万、総額が二十二億、そのうち九億四千万でございます。それに続いては国債費一七%それから補助費一一・六%、年金恩給七・六%。その他二〇・一%、その他の中には、たとえば社会保障費、公共事業費というようなものが入っておるわけでございます。それが昭和三十年度はどうなっているかと申しますと、防衛費は一三・四%、この割合は三分の一に減っております。国債費も四・四%と、これも非常に減っております。年金及び恩給、これは七・六%から八・四%、微増、僅かにふえておるというわけでございます。補助費が非常にふえまして、一一・六%が三〇・九%、これは非常に増加いたしております。その他の経費二割が四割二分ということで、その内訳で一番大きく増加しておりますのは、社会保障費〇・七%が一〇・二%、これが非常に大幅に増加いたしております。なお公共事業だけを取り出してみますと、これも六・二%でございましたのが一四・八%倍以上にふえております。地方財政関係の費用、これは昭和九年には特定の項目はございませんでしたが、今日はこれが交付税ということで一三・九%、この割合が非常に大きな割合になっておるわけであります。  以上のようなことから考えますと、防衛費が、これはもちろん減りましたが、そのかわりに産業振興費及び社会労働保険費が大幅に増加している。補助費等の増加が著しいわけでございます。
  44. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 社会保障費が〇・七%から一〇・二%にふえた、こういうお話でありますが、社会保障費は刻下の情勢から考えまして、まだもっとふえてもいい、こう考えるのでありまして、どうしてもやはり国の費用を安くするという面からいえば、行政費を節約する、こういうところに重点をおかなければならぬと思うのであります。少し数字が古くなりましたけれども昭和二十六年度の一般並びに特別の両会計の狭義における行政費、つまり人件費と物件費の中の一部分のものを私どもの手で集計したことがありますが、当時の予算は、一般会計が七千九百三十七億、そのときに一般、特別両会計を通じまして狭義の行政費が二千三百六億八千八百万円、一般会計だけで千百四十七億円になったのであります。で、私はどうしてもこれは補助費の効率的な使用を考えるのが一つ、それから、もう一つは庁費、交際費、旅費等の節約を徹底的にやらなきゃならぬ、こうまあ金の面では思うわけであります。もう少し観点を広くすれば、行政機構の改革、行政費の節約、こうなるわけでありますが、今は観点をしぼりまして、庁費の節約、交際費、旅費等の節約という点に重点を置いてお伺いいたしますが、本年度は一体昨年に比べましてこれらの三つの点ではどれくらい節約をされたか。先般資料を要求いたしておりますが、まだ御提出ありませんので、大体のつかんだところの方針が伺えれば……。
  45. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) ただいま御指摘のございました行政費、これはまあ行政費と申しましてもなかなかとり方がいろいろあるわけでございますが、私どもが考えておりますのは、侠義の行政費といたしまして庁費、旅費、それから各省の原材料費、渡切費、施設費、報償費、交際費、そういったようなものを侠義の行政費として考えまして、これにつきましては二十八年度以来、再三再四節約をいたして参ったのでございますが、本年度の予算の編成に際しましても、やはり行政費を極力切り詰める意味で、これらのものにつきまして極力節約を実行いたしておるのでございます。旅費につきましてはあるべき金額から一割ないし一割五分、それから庁費につきましては中央官庁一割五分、地方官庁一割、病院学校等が五%、原材料費につきましては五%、渡切費につきましても五%、それから施設費一割五分、一五%、報償費、これは特に節約率を強めまして二〇%、交際費につきましても同じく二〇%、以上のような原則でございまして、たとえば試験研究費等につきましては、これを緩和する等の例外も若干ございますが、原則としてただいま申し上げましたような節約を実行いたすことによりまして、三十年度予算編成上節約をいたしました金額は合計三十五億余りということに相なっております。これらの経費の予算計上額は六百六億ということになっておる次第でございます。  二十八年度以来の再三再四の節約で、大体今回の節約後の金額、これはまあ最小必要限度の金額であると存じますが、しかしもちろん今後におきましても機会あるごとに節約については工夫を重ねて参らなければならぬ、さように考えております。  なお補助費等につきましてもただいま申し上げましたような同じ気持で節約をはかって予算に計上をいたしております。また公共事業におきましても、物価等の推移を勘案いたしまして、大体五%前後単価の値下げを見て計上いたしておるのであります。
  46. 館哲二

    委員長館哲二君) 八木君に申し上げますが、大蔵大臣は本会議で緊急質問に対して要求されておるので、しばらく御留保を願って、自治庁長官の方の御質疑を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。緊急質問が済めばすぐ……。
  47. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 そういうことに順序を変えることにいたします。
  48. 館哲二

    委員長館哲二君) では一つ
  49. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 それでは自治庁長官にお尋ねをいたします。  最初に行政整理の問題について伺いたのでありますが、現内閣は行政整理の問題を前の吉田内閣に比較しますとどうも熱が私少いように思うのでありますが、そこで行政管理庁長官として、ごく大体の方針として現内閣は行政整理の問題をどういうふうにお考えになっておるかという基本方針をまず伺ってみたいと思います。
  50. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 現在の行政機構が戦前に比べまして非常に膨張しておることは事実でございます。先般八木さんから公務員の数などをいろいろお示しになりまして、熱意のある御議論を拝聴いたしたのであります。私どもといたしましても現在の行政機構そのものは決して国情に当てはめて健全な姿とは考えておらぬのでございます。吉田内閣時代に一部行政機構の改廃をやりまして、約六万人の人員整理をいたしました。昨年からこれが今年に引き続いてなお整理中でございまして、これは大体円満に進行をいたしております。しかしこれで行政機構が完全に整理されたのでないのでありまして、また一方におきまして国内の経済事情、社会事情等の変化に伴いまして、新しい機構なんぞが当然ふえる面もこれはあるのでございまして、それらと見合わせまして行政機構というものを常に簡素合理化することにつきましては、政府としては当然注意しなければならぬのでございます。  行政管理庁の中に行政審議会という制度がありまして、こういう問題につきまして民間の有識者を集めまして、意見を聞くような組織があるのでありまするが、今日はこれが眠っておる状態になっておりまして、私は長官になりましてから新たに委員の任命を控えまして、これを活用しようと思いまして、今人選をいたしておるのでございまして、行政機構の改革につきましては今日的確なる案はまだありませんけれども、必要性は十分に認めております。とりあえず新規に機構の拡張すべき分につきましては、これは極力抑制をいたしまして、現在定員法の改正を御審議願っておるのですが、四千数百名の増員は主として郵政省関係の郵便事務に関係する人間とか、あるいは厚生省に関係する看護婦、医者等に限りまして、事務系統の人間はもう極力圧縮をいたしておるわけであります。  私が管理しておりまする自治庁と行政管理庁の両面におきましても、今回地方の財政再建をするについて相当の人員を必要として、一応大蔵省に事務当局から要求しておったのですが、私は自分の意見でこれを取り下げまして、行政管理庁からして人間を配置転換してこの事務やらせるというくらいの措置を私自身としてもとっておるのでありまして、八木さんと同じような考え方で今後進みたいと、こう存じております。
  51. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 先般この委員会で、行政整理に関する一大調査会を設けていただきたいということを総理に私お願い申し上げた、長官もおいでであったったと思いますが、そのときの総理の御答弁等を伺いましても、失業問題と関連するから、よほど重大問題だというふうな御答弁がございました。そこで私長官にお伺いいたしたいのは、失業対策が確立されなければ行政整理を行えない、あるいは行政整理案は立てることは立てるが、同時にまた失業対策も並行して考えて行くんで、決して失業問題がめんどうだから行政整理に手をつけないというふうなことではないと思うのですが、念のためにもう一度伺っておきます。
  52. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 先般総理大臣がお答え申し上げましたのは、行政整理をして、その余った人間の行き場所がないのに、ただ整理したのではかえって社会不安を招くのではないかという意味で申し上げたのでありまして、失業者が出るのをおそれて行政機構の改革をしないという意味ではないと私は存じておるのでありまして、むろん失業対策も並行して考えなければならぬことは当然でありますけれども、それはそれとしまして、行政機構の改廃をいたしまして、国費の節約その他をすることは、これは当然なんでありまして、並行して考えるべき筋合いだと、こう考えております。
  53. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 これは質問として非常にお答えになるのにむずかしいかと思いますけれども、今の敗戦国の日本の国力相応の行政規模、これをまあ人間で標準をとって、半分とか、四分の三とか、大体の目安のお考えがあれば承わってみたいと思いますが、いかがですか。
  54. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 突然の御質問で、実はそういうことに対して、私はここで申し上げるだけの資料も知識を持っていない、まことに申しわけないのでありますが、お考えの点はよく了承いたしましたからして、この点は一つ研究をいたしまして、適当の資料を発表いたしまして、国民の批判を求めるような処置をとりたいと、こう考えます。
  55. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 なおそのほかに、内政関係を統一する民生省と言いますか、自治庁と言いますか、省の設置の問題、それから食糧庁、林野庁等の外局を大臣の責任から内局に入れる問題、それから調査統計事務が非常に多いのでありまして、厚生省のごときは三割五分もこの方に人がかかっている。民間から言えば、方々から調査が来て非常に困っている。こういうものをもう少し簡単にすればいいんじゃないかといったような、まあいろいろな問題がありますが、一点だけ私ここに抽出して伺いたいのですが、農林省の管下に食糧統計事務所と統計調査事務所というものがあって、約四万人ばかり、御承知通りありますが、これはもっと統合して簡素化する必要ということが常に論議されておるのでございますが、行管長官はどういうふうにお考えになりますか。
  56. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 内閣に統計局がありまして、総括的の国家統計の事務はそこでやっているのでありますが、専門的の統計事務は各省別々でやっているのが、御指摘の通り現在の実情でございます。ことに農林省の統計事務は相当膨大でありまして、これは各県に駐在員を置いて統計事務の収集をやっておるのでありまして、こうした制度につきましても、これは再考の余地があるのだというふうに、かねて考えておるわけであります。これらの点も、先ほど申し上げました行政審議会ができますれば、取り上げまして一つ検討したいという項目一つに数えております。
  57. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 そのほかになお法令の改廃の問題も一つ取り上げてもらわなければならぬと思います。それから、中央官庁で三万二千人ばかりの人の中で、四千六百人が統計調査事務にかかっている。十分一つお調べを願たいと思います。それから内容に立ち入りませんが、行管整理の事務がやはりセクショナリズムでなかなか徹底的に行かないで、行政管理年報にもいろいろ詳しく出ておりますが、一つこれは行管長官の政治的力によって御解決をいただきたい。それから地方の管区監察局、管区のいろいろな出先機関があります。たとえば行管のもとにも管区の監察局が四百九十一人の定員で、そのほかに地方の監察局、郵政省にも御承知通り地方の郵政監察局が約九百人ばかりの定員である。その下にやはり地方の……。私はこの侠い日本の中で、この地方の監察局というものは十分その機能を発揮すれば管区というものは大体要らぬのじゃないか。少くとも行管について言えば、全国で約八つだと今記憶しておりますが、関西と東京と、あるいは九州と三つぐらいで私は十分じゃないか、私の議論から言えばもう要らぬと思うのですけれども、かりに置くにしても七つも八つも九つも要らぬじゃないか、二重じゃないかと思うので、これを一つ御研究をお願いして、あえて答弁を求めません。  そこで、今度は自治庁長官としての立場で私お伺いしたいのですが、各府県が陳情のためにたくさん東京に事務所を持っている。相当費用もかかっていると思うのです。各府県の東京出張所に要する費用をお調べになったことがあるか、あれば、一つ伺っておきたいと思います。
  58. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 各官庁が地方に持っておりまする管区事務所のごときは、これは先般来しばしば問題になっておりまする道州制、府県の統合などとにらみ合せて考えまして、相当にこれは縮減すべきものは縮減したらよかろうと、私はこう考えております。それからお尋ねの各府県が東京に出張所を持って、まあ陳情の足がかりにしておるということは、これは従来もしばしば世間から非難されておりました。これが地方財政の膨張の一つの原因じゃないか、まあこういうことでありまして、確かにその通りの事実だと思うのでありますが、ただいまお尋ねのそれがためにどのくらい経費を使ったかということは、まだ自治庁として調べておりません。二十八年度もしくは二十九年度の決算の中から抽出いたしまして、これは至急に調べまして一つ御参考に供したいと思っておるのですが、ただ決算じりで見たので、事務費はわかるのですが、事務費以外にどういう費用を使っているか、いわゆる交際費的なものが果して判明するかどうかということは、ちょっと私はここで言明できないのですが、なるべく詳細にそれは調べまして、できるだけ早く一つ御参考までにお示しするようにいたします。
  59. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次に、地方の各種議員の退職金の問題ですが、この前の三月の末のこの委員会で、私その問題について申し上げましたら、さっそく自治庁長官から御通達をいただきまして非常に感謝をいたしております。その後この方面の何かお調べ、対策等ができたかどうか、それを一つ伺っておきたい。
  60. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 先般の地方選挙前に各府県に通達を出しまして、あまり乱暴な退職金なんかはとっちゃいかぬということを厳重に勧告いたしてありますが、その結果の報告はまだきていないそうでありますが、これも先ほどの東京の出張所の費用と同様に調べまして御報告申し上げます。
  61. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次に、私は庁舎の建築のことについて申し上げます。町村の合併が非常に進みまして、これも大へんけっこうなことでありますが、町村が合併されますと、まず第一に起るのは新らしい町村の役所を建てる。埼玉県でも、これは町村合併ではありませんが、県庁のために二億何千万で庁舎を建てた。最近、二、三日前の新聞では千代田区役所を何億かで建てる。私は別の機会でも申し上げますが、国会の外に新らいし建物が建て、私は非常にふんまんしておるのですが、赤字財政があるのにむやみに建物を立派にするということは、国会はもちろんのこと、中央も、地方もみな不都合なことだと私は非常に腹が立っているのですが、町村合併で方々で必ず新築の庁舎というのが問題になる。そこで自治庁としては、赤字の現在の状態ではこういうものを建てちゃいかぬ、小さい方でやれということを一つ強力に示達をしてもらうのが地方財政の上から言って必要じゃないか、こう考えますのでこの点の御見解を伺いたい。
  62. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) まあ国家、地方を通じまして、庁舎などに多額の金を使うことは、現在財政の方面からみましても、住宅難の方面からみましても、これは慎しむべきものだ、こう考えまして、現内閣になりましてからは中央官衙の建築はこれは極度に圧縮するようにいたしまして、それがために建設省内における人員も整理するというようなことにいたしておるわけであります。県庁の庁舎につきましては、埼玉県も御指摘の通りでありまするし、もう少しひどいのは、現に福島県において七億円以上の費用を使いまして県庁の改築をやる。福島県の赤字は、これが決して全部でありませんが、これが一つの原因だと世間では言われておるのでありまして、赤字財政に苦しんでいる地方公共団体が、庁舎等の建築に相当多額の金を使うことは、これは自粛していただく方が望ましいのであります。しかしこれにつきましては、今まで自治庁からして特に勧告したことはないそうでありますが、庁舎等に対して起債の許可申請をした場合には、相当これに対しては厳重な検討を加えるようにいたしたい、こう考えております。
  63. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 町村に自粛の通達をなさるお考えはないかどうか、それと最後に道州制の問題について御見解を承わりたい。
  64. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 庁舎の建築などを自粛するように通達することにつきましては一応よく考えてみます。ただ、今申し上げました通り、起債等によって新たに庁舎を建築するような申請があった場合には、これはなるべく押えたいと考えております。三十年度の起債許可の方針はなるべく公益的事業に向け、消費的経費の方は極力圧縮しよう、こういうことを考えておりまして、これも赤字解消の一つの原因になろうかと、こういうふうに思っておるわけでありまして、それを通達するか、しないかにつきましては、御意見一応尊重いたしまして、考えてみます。道州制の問題につきましては、これは町村合併が完成しますとともに当然起る問題でありまして、現在地方制度調査会のうちの小委員会におきまして、道州制にすべきか、あるいは府県を統合すべきか等については熱心に研究をいたしておりまして、近く結論が出るはずになっております。その答申を見ました上で、政府としての態度をきめたいと思っているのでありますが、何といたしましても非常に大きな問題でありまして、地方制度の大改革なんでありますかへして、この点につきましては、慎重に一つ研究をいたしたいと思っております。ただいまのところはせっかく地方制度調査会で研究中でありますから、その答申を待っている。こういう段階でございます。
  65. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次に、防衛庁の長官にお尋ねいたします。防衛庁の物品買入れ等の不正がしばしば問題になっているのでありますが、昭和二十九年度予算の執行状況を拝見いたしますと、防衛庁費が七百四十三億、そのほかに前年度の繰越額が二百五十七億、合計一千億の予算のうちで、本年二月末現在で支出済額が六百八十八億、三月以降支出見込額が六十二億になっているわけであります。一カ月に六十二億も一ぺんに使うというのは相当乱雑なことがあるのじゃないか、会計検査院等から指摘されております批難金額も八億四千四百万円で、どうも物品経理が非常に系統がまだ立っていなくて乱雑である。省が新らしいですから、無理もないと言えばそれまでですけれども、やはりこれは一つ、一大改革を要するということは当然な話でありまして、それに対して何か具体的に、こういうふうに改善したいという話があれば伺いたい。
  66. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) お答え申し上げます。これまで保安庁時代、たびたび批難事項が出ましたことは、まことに申しわけない次第でございます。実は今国会にも報告されております二十八年度の決算報告におきましても、会計検査院から不当事件として、二十六件にも上る指摘を受けているので、この点われわれ深く反省いたしまして、改善の実をあげるために全力を尽したいと考えている次第であります。この今までの批難事項のどういう点が悪いかという点を調べてみまするというと、おもなるもの大体三つくらいの種類に分け得られると思います。第一は調達計画の立案の基礎になります編成装備表、これの検討が十分でない。部隊において現実に使用しております使用の実態の把握というものの検討が欠けている。その結果といたしまして、不用不急というような物品を購入した結果になっている。こういったのが一つの重要な点であります。それにつきましては、実は編成装備表の根本的な検討ということがまず第一に必要だと思いまして、実は部内に、これが根本検討の特別の委員会を作りまして、各専門別に六つの分科会を作りまして、今着々検討いたしております。その中で検討済みのものは、すぐこれを実施に移すということで、電気機械等が五十項目に上るものが、すでに実施に移している次第であります。なお装備品等の在庫の状況の把握、それから使用による消耗度の測定というようなところに留意いたしまして、実情の把握ということを考えている次第でございます。  それから第二に、批難事項になっておりまするので、原価計算、仕様、規格についての検討が不十分だ、そこからいろいろなものがきているのだ、こういうことでございますが、この点につきましてはいろんな点から検討を要するわけでございまするけれども、昨年の七月に各幕僚統一的の調達の機構を一元化しまして、そうして調達実施本部というものを設け、専門の職員を充実いたしましてやっている次第でございますが、その中で特に新しい計画といたしましても、この原価計算につきまして船舶建造の関係というのが非常に重要な部分でありますので、従来は原価計算課でそういうことも含めてやっておりましたが、船舶建造関係は新しく独立いたしまして、今度の予算の成立を見ましたならば実施したい。それからさらに仕様の関係でございますが、今度予算の成立を見ましたならば、また仕様課というものを新しく作りまして、そうして各陸海空幕から作成してきましたものをすぐ原価計算課に回すのでなくて、一ぺん仕様課でそれをチュックする。そうして回す、こういうふうにいたしたいと思います。それからなお原価計算等につきましての関係職員の教育ということが非常に大事でございますから、業務学校にとくに会計のコースを設けまして、そこで関係職員の再教育をやっている次第でございます。  それから、第三の批難事項といたしましては、物品の検収及び工事の監督が不十分であった、そうしてまた物品の検収等につきまして、もっと科学的の検収をやらなければいかぬ、こういうことでございます。それらの点につきましては、今検収関係、検収に当る職員を整備いたしまして、また物品納入の検収基準をさらに整備し、さらに調達実施本部においての検収設備をさらによくいたしまして、科学的の基準によって検収ができる、こういうふうなことでおおむね励行を期している次第でございます。なお全般にわたりまして、部内の監査、調達実施本部に監査室というものを置きまして、そこには特に優秀な人間を配置いたしまして、それからさらに行政考査委員会というものを部内に設けまして、陸海空各幕におきまして、陸上監部、海上監部、航空監部、各幕の監査と相待ちまして、この内部監査の強化、大事な国費をいやしくもむだづかいとか、あるいは乱費とか、そういうことでなく、むしろ積極的にこれを効率的に、むしろこれは当然のことである、また、会計検査院の批難を受けるまでもなく、われわれやらなければならぬことでございますから、その点は特に大きな重点を置きまして一つ最大の努力をいたしておる次第でございます。
  67. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 もう一点伺いますが、自衛隊は憲法違反だとわれわれも思っておりますけれども、さようなまず世論のもとで日陰者であるがごとき自衛隊の精神高揚、隊員の精神を高揚させるために、どういうふうな方針でおやりになっておりますか、それを最後に伺っておきます。
  68. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) お答え申し上げます。その精神の高揚ということが実は根本だと私は考えます。いわゆる魂を入れるということが、この点が一番実は大事な点だと思います。実は昨日、一昨日も各管区の総監を集めまして会合を開いたのでありますが、そういう点、特に実はいろいろ実情も聞き話し合ったところでございます。この点、何と申しましても大きなことは自衛隊の使命の自覚に徹するということだと存じますが、この点は自衛隊法にははっきりと、御承知通り日本の平和と独立を守り、国の安全を保つため、そういう目的のための使命を持っているのだということは明示いたしておりまするから、その点のほんとうの使命の自覚に徹するということが基本だと存じます。それが基本でありますが、それからさらに自衛隊といたしして、やはりその使命を達成する上からいたしまして、根底におきましては、やはり徳操の涵養ということが重大に違いございませんし、そういう点をもとにして考えて、基本にして考えているわけでございます。これが一般国民の、いわゆる防衛に対する考え方とか、そういうもの等も非常に実際上は密接な関係を持つわけでありますから、(「それが一番大切だ」と呼ぶ者あり)今御指摘の点、私どもとしても大事なこととして実は考えておる次第であります。
  69. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 憲法違反の問題に対して隊員にどういうふうに教えておられますか。
  70. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) この点につきましては、自衛隊に対しましては、あくまで自衛隊法にのっとって、自衛隊法に基いての使命ということで教育いたしております。
  71. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 大蔵大臣農林大臣がお見えになってから次の質問に入ります。
  72. 館哲二

    委員長館哲二君) それでは八木君の大蔵大臣に対する質疑の残りと、農林大臣の分は一つ留保していただきまして……。  速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  73. 館哲二

    委員長館哲二君) 速記を始めて下さい。
  74. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私は遺族の処遇に関連して、靖国神社に対する政府の考え方につきまして所見をただしたいと思うのであります。われわれ八百万に及ぶ全国の遺族のものはその処遇に対しましては非常な関心を持っておるのでありますが、さらにまた靖国神社に対する関心もなみなみならぬものがあるのであります。われわれの肉親は戦争のために国家から召集をされました時には、神社の社頭に集まりまして、村の人、町の人、親戚、知人全部が集まって、あとのことは心配するな、死んで靖国神社に帰れと、そうして国のために尽せよと言うて、国民ひとしく、政府国家のために身を犠牲にすることを強要されたのであります。敗戦の結果、今日までの遺族に対する処遇につきましては、われわれといたしましてもほんとうに涙なくては聞くこともできない、また訴えることもでき得ないような、全国至るところにそういったような話があったのでありまして、日本民族としてこれほどの悲劇はいまだかってなかったろうと私は考えるのであります。いまだ当時の戦死者をはっきりと把握することはできませんが、シベリアにおりまするいまだ帰らないところの人たちを加えますると、おそらく二百万以上になるであろうと想像されるわけであります。現在遺族に対する処遇は本年度の追加予算におきましてもまだはなはだ不満足ではございまするが、一通りはできたわけでございまするが、この靖国神社に対しましては何らの方策もされておらぬのであります。今回靖国神社におきましてはいろいろな経費を含めまして六億七千万という金額を、靖国神社奉賛会という組織を作りまして、全国の都道府県知事その他の諸団体にこれが寄付を呼びかけておるわけであります。今、地方財政が逼迫いたしまして非常に困難な地方行財政の時代におきまして、こういったような寄付をして靖国神社の運営をせなければならぬというような事柄は私ははなはだ残念に思うのであります。この寄付の内容につきましては、いろいろ批判もございまするが、少くともこの合祀者の通知状、これが七千七十万円ばかりございまするが、それから祭神簿費、これが千七百七十万円、それから索引簿費、これが千八十万円と、大体一億程度のものは、どうしてもこれは厚生省におきましてこういったようなものを今の引揚者援護費等のうちにおきましても何とかせなければならない私は費用ではないかと考えるのであります。国家といたしまして、敗戦したからと申しましても、こういったような、遺族に対する処遇の一環といたしまして靖国神社のどうしても出さねばならぬような経費というものは、寄付というようなものによってまかなうべきでないと考えるのでありますが、これにつきまして川崎厚生大臣の所見を承わりたいと思います。
  75. 川崎秀二

    国務大臣(川崎秀二君) お説の通り、今回の大戦が生みました最も大きな悲劇は、西においてはドイツであり、また東においてはわが国であることはもとよりでありまして、この両国の受けました惨害は歴史あって初めてのことだと思うのであります。その意味では、われわれはこの戦死者並びにその遺族に対しまする処遇について格段の努力をいたさなければならぬのでありまして、遺族の心事を思いまするときには、恩給法の改正あるいは遺家族援護法等の強化を中心に今日まで各政党とも超党派的に御努力をいただき、ことに一昨年以来法律の強化を企図いたしまして着々その処遇改正に向って邁進をいたして参ったのであります。本年も政府原案におきましても相当な額が計上されまして、一方にはこの恩給に対する、少数ではありますが、相当な批判もある折柄であっても、われわれとしてはまず国家財政の苦しい中からも、この人々に対する処置を改正するに全力をあげてきたのであります。ことに今回は自由党、民主党の修正が衆議院を通過をいたしまして、予算上はすでに通過をいたしまして、新たに法律も一両日中には衆議院に提出になることに相なりまして、相当な改正をいたし、ここに進捗を見ておるわけであります。靖国神社に対しましても同様な考え方のもとに私どもは気持としては対処いたさなければならぬのでありまして、靖国神社の合祀がおくれておるということについては私は御遺族の心事を思うときにまことに遺憾のことと存じております。しかしながら、御承知のように靖国神社は今日では宗教団体でありまして、憲法第二十条の「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」ということを規定をされておりまして、この解釈につきましては何とか他に便法はないかということも考えたのでありますが、今日のいわゆる政教分離の見地から、国が直接合祀に対して援助をいたすわけには参らないことをはなはだ遺憾に思っておる次第であります。先ごろ予算の修正に当りましても合祀またはただいま御指摘の、政府がすべきこれらの連絡についての費用だけでも一千万円ないし二千万円は国から補助を計上してはどうかという案が民主党政調会並びに自由党政調会の双方にあったのでありますが、最終的な見解は、やはりこれが障害になるということに相なりまして、そのために何らの計上をいたさなかったことを、はなはだ今日の法律の建前からいたしまして遺憾に思っております。しかしなお政府の気持といたしましては、法の許す範囲内でもって何らかの方法でお手伝いをいたしたい。その措置を今日研究をいたしておるような次第でありまして、この点は十分に御了承願いたいと思うのでございます。
  76. 館哲二

    委員長館哲二君) 佐藤君にちょっと御質問の進行中でありますが、農林大臣がおいでになっておるわけです。農林大臣はいろいろの関係でちょっと時間を急がれておるような事情もありますので、適当な時に農林大臣の方に御質問を向けてお進めを願いたいと思います。
  77. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 憲法第二十条に、信教の自由と、それから、国がいかなる宗教団体にも権力を用いてはならないというような規定がある。これは私も十分承知しておるわけでございまするが、憲法の規定はもちろんそういうことになっておりましても、厚生省内におけるやはり何らかの便法というものが私はなければならぬと思うのであります。もちろん、私は、憲法改正の問題がいろいろ論議されているときでございますから、憲法改正の場合におきましてはこの問題もあわせて解決されんことを切に希望するのでありますが、これにつきまして、厚生大臣はどうお考えになっておりまするか。
  78. 川崎秀二

    国務大臣(川崎秀二君) 建前はそういうような次第になっておりまして、また憲法上紛議を招くようなことの行為は、国として、責任者として、いたすことはできませんけれども、遺族の集会あるいは恩給法並びに遺家族援護法等の諸問題の整備によりまして、通知をされる際に、何らか靖国神社の合杞と結びつけてこれを行うというようなことで、相当に便宜的な方法もあるのではないかということを考えておりますので、それらについては、さらに具体的に研究をいたしてみたいと思っております。御心情のほどは十分わかりますので、何とか解決の方法を講じたいというのが私の考え方でございます。
  79. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 御苦心のほどは十分に私らも了承するわけでございますが、全国の遺族の方々は、おそらくこの川崎厚生大臣に対して、私の質問等にも、非常な関心を持っておられると思うのであります。全国の遺族会連合会ができているのでありまするから、どうか一つ、こういう点につきまして、遺族会に対してならばできるというような面が私はあるのではないかとも考えられるのでありまするので、十分御考慮を願いたいと思うのであります。  次に、やはりこの遺骨の問題でございますが、まだ遺骨が自分の手に入っておらぬで、外国の領土の南方の島々にさらされたまま、いわゆる鬼哭しゅうしゅうという状態において私たちの肉親の骨がさらされているわけであります。これを何とかして自分の手元に引き寄せたいというその肉親の切なる念頭は、何人にも相通ずるものがあるわけであります。昨年は、ごくほんとうの小部分の遺骨が収集されたのでありますが、続いてこういったような計画をほんとうに、いわゆるかたわの子ほどかわいいというような親の愛情をもって考えられまするならば、私はこういったようなことも政府として十分考えられないことはなかろうかと考えるのでありますが、これにつきまして厚生大臣の御所見を承わりたいと思います。
  80. 川崎秀二

    国務大臣(川崎秀二君) ただいまの御質問はまことにごもっともでありまして、今日まで…… 昨年でありますか、大成丸という船を派遣いたしまして、そしてニュギニア、ソロモン群島の方の遺骨の拾集に成功いたしまして、各方面に相当な反響を呼び、また感謝もされたわけでございますが、なお、御承知のように、ビルマであるとか、あるいはその他の地域におきましては、まだ相当多数の英霊が原野にさらされ、眠ったままになっておって、まことに政府といたしましても心苦しく存じておる次第であります。今回、ビルマの西域に眠る将士の遺骨の収集方につきましては、民間団体におきましてこれが収集方に着手をせられるようでありますが、政府としても十分にこれに協力をし、関係国の了解を得まして漸次これを実施をいたして行きたいと思っておる次第であります。
  81. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 ぜひこれは実現するように希望いたしまして、厚生大臣に対しての質問は一応終りといたします。なお残っている面もあったわけでありますが……。
  82. 館哲二

    委員長館哲二君) それは後ほどどうぞお願いいたします。
  83. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 次に、私は農林大臣に対しまして、米の予約制度につきましてその内容を詳しくお尋ねしたいと思うのであります。  この予約制度というのは、農家が随意に契約できるというような任意の契約のように農林大臣説明されておるのでありますが、一方におきましては、食糧管理法はそのままにしておくんだ、第三条の規定も存置しておくわけでございまするから、この米の予約制度というものの性格というものがはっきりしておりません。これは先ごろ社会党の小林孝平委員からも、わが党の木村委員等からも米価問題等にからみまして質問されたわけでございますが、予約制度というものは農家のどのくらいの手取りになるのか、また実際に闇が一千万石も動いておるというような現況におきまして、闇米の値段とどの程度の開きがあるのかというところに多大の農家の関心があるわけであります。もちろん米価というものは豊凶によりましてだいぶ変ってくるわけでありますが、この米価というものが決定しないで、そうして予約せいというようなことを農協等に指令をいたしまして、農協は集荷の上におきまして、農業協同組合の収入に多大の関連がありまするために、農協としてはほんとうに命取りでございまするから、この予約制度というものを一生懸命にやっておるわけであります。ところが、その内容はさっぱりわからない。これじゃ農家も手をあげて、農協に対しましてはお手伝いをしたいというようなかしないのか、ほんとうに自由任意な契約でやるのか、この性格につきまして農林大臣の御意見を承わりたいと思います。
  84. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お尋ねの予約集荷制度と申しますか、これは、従来の割当主義で参りますると、そこにいろいろな難点が出て参りましたことは御承知通りでございます。そこで、従来の割当にかえるに何か方法はということでいろいろ研究いたしました結果、農家の方々の米を売ろうという自由意思と、政府が米を買おうという意思と、ここに双方で意思の合致をし、すなわちそこに予約をする、こういうことで行きたいと、こういうことでございます。その食管法三条との関係はどうなるかと申しますと、今申し上げました段階、すなわち契約の段階までは予約取引でございます。自由に取引をする、で、そういうふうにして契約をいたしましたものについて、あとから三条の規定によりましてそれが食管法によるところの集荷の対象になってくる、こういうふうに考えておるわけであります。従って農家の方は三条の有無ということをお考え下さらずに、自分で生産されるものを政府の方に売り渡していただく、売る場合に今申し上げますように、あらかじめ約束をして、これだけのものを努力して作って政府に売ってやろうというような御協力によって、この制度を完遂して行きたい、こういうことになっておるわけであります。
  85. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 そういたしますると、豊凶によりましてせっかく契約いたしました農家の個々の俵数に非常な狂いがくることがあるわけであります。たとえば凶作で米がとれなかったと、こういうときには契約した数字に対しましては食管法の契約後の供出責任があるわけでございますから、これにつきまして食管法を適用するかどうか、こういうことがまあ考えられるわけであります。また一方におきましては今度は豊作で実際はこのくらいの程度しかとれないと考えておったものが、非常に今年は豊作でとれた、そこで今度は契約以上に売りたい、一方におきましては米がとれたというのでありますから、従ってやみ値が下るわけであります。やみ値が下りますから農家としては政府に売った方が得であるというような考え方から、契約以上の米の供出を念願をする場合も想像されるわけであります。その二つの場合におきまして、一方においては凶作であるから、政府は配給の責任を持っておりまする関係から、予約の数量を是が非でも集めなければならないという責任がわいてくるわけでありますが、そういった場合において、食糧管理法の第三条を適用するかせぬか、また今度は米が豊作でやみ値が下って、農家がどうしても政府に売りたいというときに、政府がいかなる処置をとるのか、この二点につきまして農林大臣の御見を承わりたい。
  86. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 決して政府は無理なことをしようという考えは持っておりません。従いまして凶作の場合にはむろんその凶作の事実は事実でございますから、たとい契約はしましても、その契約の変更に応ずることは当然であると考えております。これは決して三条を適用するかしないかという法律上の問題よりも当然私は下げるのは当りまえである、実情に応じてこれを、契約を改訂して双方合点の上で契約を改訂してやらなければならないと、またとれた場合にはどうかと、とれた場合にはけっこうでありますから、政府はいくらでも買うわけでございます。予約があろうとなかろうとそういうことは問題なしに、政府幾らでも多々ますます弁ずで、その買い上げには応ずるわけでございます。(八木幸吉君「関連して」と述ぶ)
  87. 館哲二

    委員長館哲二君) 八木君にちょっとお尋ねいたしますが、八木君も農林大臣に対する御質疑があるのでありますから、少し農林大臣急がれるので、そのときにお願いしたらいかがでしょうか。
  88. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 そういたします。
  89. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 温情のある米のいわゆる供出予約制度をもってやると、こういうような話でありますが、しからばこの米の増産された場合に幾らでも買うということでございますが、その予約内容に少しく立ち入るわけでございますが、予約の米の値段というものがどういうふうにされるのか。農協等に説明している内容を聞きますると、予約したものには石当りについて何百円か差額をやって予約のいわゆる制度を有利に導こうというような政策をとっておるのでありまして、もし予約しないものに対しましても米がとれたとかいうので同じ値段で支払いをするのかどうか、そうしてまたこれに関連いたしまして、もう一つは昨年は超過供出のも出したわけでございますが、予約以上に出した農家に対して超過供出料を出すかどうか。もし出すとすればその金額はどうするか。そうすれば予約した農家に対しましては、非常にまじめに政府に協力して予約した農家に対しては何な優遇されないで、予約を非常に少く契約しておいて、そうして超過料をとるという弊害も出てくるわけでありますが、この間の事情について農林大臣の構想をお願いしたいと思います。
  90. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。現在私たちの考えておりますものは、大体昭和三十年産米の政府の集荷予定量と申しますか、これだけの配給を継続して参りますに必要な量があるわけでございます。それは大体二千三百万石程度でございます。それで、それをわれわれの方としてはぜひ予約を願いたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。それで、それを決して割当てはいたしません。割当をしたり強制はいたしませんが、それに全販連または各地の販売協同組合の御協力をいただいて、その数字が、各農家の御了解のもとに予約ができる、こういうふうに考えております。でございますから、その御協力に対してわれわれとしても報いるべく万全の努力を考えておると、こういたしておるのでございまして、従って大体の農家の方々からはこの制度に御共鳴、御協力を願う態勢で行くのであって、決して今御指摘のような事態のないようにお互いに理解と御納得の上で行きたい、こういうふうに考えております。ただ問題はとれた場合にはどうだそれじゃお前の言うように二千三百万石でなしに、それが二千五百万石も供出のできるような事態のときにはその分についてはどう考えるのだ。われわれといたしましてはそういう豊作の場合には、いずれ豊作に処する道をあらためて考えて行きたい、こう考えております。
  91. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 そうすると先に予約の内容について農林大臣は予約者に対してはこれこれの差額金額上においてやるというようなことはなさっておらなかったのですか、これをお聞きしたいのです。
  92. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) それは今回の米価の決定と同時に政府の考えておりますことを、前渡し金を幾らいたしますとか、ないしはまた減税処置をどういうふうにとりますとか、ないしはまた予約をしていただく人に対してはどういうふうなことを考えるかとかいうことにつきましては、今回の米価決定と同時に諸般の決定をいたして、各農家の方々の御理解を得たいと考えております。
  93. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 今減税の問題が出ましたが、そうすると米価決定後でなければ詳細なことはわからぬということでありますか……。  次には、それじゃ時間もなくなりましたから急いでお尋ねいたしますが、農協に対してはどういう特典を予約制度に対しまして農林大臣は考えておられますか。
  94. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。別に特典ということではございませんが、農家の諸君の農産物を共同販売するという精神を涵養して参ることが、今後の農家の各種の農産物を処理する上において非常に大事なことだと考えます。その一つ方法、問題として、今回特に米について全面的に共同販売の二とに御尽力を願うということで、この御尽力、この事務上必要なる経費、それらにつきましては適当に政府としては考慮する、こういうつもりでございます。
  95. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 次に、この予約制度は自由販売にするその段階であるということをしばしば説明されておるのでありまするが、自由販売にする時期、あるいは方法、それからまた準備というのはどういう準備をしておられるのか構想を承わりたいと思います。
  96. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 私はこの制度が自由販売に行く準備であるとか、この制度から自由販売に行くべきだというふうには申しておらないのでございます。ただ私が申し上げましたことで誤解をしていただいたのではないかと思いますことは、米価の問題について、これらの制度の問題についていろいろ専門家の諸君がお集まりになった際、ないしは私といたしましても、今後の米穀政策をどういうふうに考えるかという考えの基本として考えられることは、専売にするか、自由販売にするか、この二つの方向を、終点を定めまして、専売の方向に将来の米穀政策は持って行くべきか、ないしは自由販売の方向に行かなければならぬ必然的なものであるかというようなことについて、いろいろ意見の交換をいたしました際に、米は自由販売に行くべき方向を持っておるのじゃなかろうかということに皆さんの意見が一致いたしましたが、私もそう考えておりますということを申し上げたのでございます。そこでこの制度と自由販売とはどういう関係があるかと申しますと、決してこの制度そのものと自由販売とは関係がないと私は思うのであります。この制度は、この制度として採用しておるのでございまして、この制度が自由販売の前提でもなければ、自由販売に行く一段階でもない、こういうふうに御了承をいただきたいと思うのであります。  そこで、次に自由販売についてどういう準備が要るか、どういうことを考えなければいかぬかということでございますが、これはお尋ねでございますから申し上げますが、私は自由販売をいたしまするには、いわゆるわれわれがかねて主張いたしました自由販売、すなわち外国から入って参りまする米麦、これらを政府が管理いたすことによりまして、これによって国内の米価の高低に影響を与えまして、そうして米価の低落を防ぐのに、外麦の輸入量の増減によってこれができるのではなかろうか、すなわち間接統制と世間の人が言うております。そういうことをするのに一定の政府に保有量が必要でございます。持ち越しが必要であります。政府がある数量を持って、そうしてこれだけの食糧を政府が持っておりまするから、これで一般国民諸君には御心配はかけませんという、国民諸君の安心感を得るということが絶対に自由販売に移行するのには必要であるし、これだけのことはぜひしなければなりません。これが第一であります。  第二には、出来秋に農家から一時に米が出て参りますることがありまするから、その際に処するのにどういう方向をとり、よく準備をとる必要があるか、これには全国の農業協同組同を十分に育成強化いたしまして、この農業協同組合の力によって出来秋の米の一時に出て参りますものについてはプール処置をとるようにしなければならぬだろうというような、それぞれまだいろいろあると思います。それらの準備を完了しなければ、みだりに自由販売をとるということは非常に危険があるということを私は考えております。
  97. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 ただいま農林大臣説明されましたような準備も当然これは必要であると考えます。何にいたしましても、食糧は生産者も消費者もともに生活になくてはならぬものでありまするから、これにつきましては不安をなくするような方法が最も望ましいところでございますから、当然そういったようなことも必要であると考えますが、価格安定も、農家といたしましても安心をして米作に専念ができるような価格の安定ということも私はなければなるまいかと考えるのであります。これは法制化する必要がありはせぬかとも考えます。また国民の消費者側におきましても、急激な変動によって生活に不安を来たすようなことがあってもなりませんから、こういう面からも当然必要ではあるだろうと考える次第でございます。  ただも一つ私が切にお願いしたいことは、こういったような場合における農家といたしましては、従来の食糧管理になれまして、政府が買上げるということでありまするから、安必をしてもう金銭の授受が行われたわけでありますが、自由販売ということになりますると、そこに採算的な、いわゆる商取引が横行闊歩しますことは火を見るよりも明らかであります。これによりまして農家が不当に損失をこうむるようなことのないように、ことに農業協同組合への資金というものは、きわめて微々たるものでありますから、この秋の収穫時におきまして大量に米の買い占めをして、農家に不安なからしめるような操作というものができないわけであります。これらにつきましては、大量の何しろ何千億以上の金が要るわけでありますから、こういう金が農家自体の協同組合においては準備をすることはとうていできません。これを準備するとすれば、勢いいわゆる銀行、あるいはその他の特権的な資金を移入しなければなりません。こういうことでついに農家の経営というものにしわ寄せをしてくることは、これまた当然考えられることでありまするから、こういう面も十分に考慮に入れられんことを希望する次第であります。  次に、食糧増産についての本年度の予算の問題でございますが、これは先ごろ私は本会議におきましても、実は河野農林大臣を抗議する意味で申し上げたわけじゃなくて、河野農林大臣が全国農民のために十分なる努力をせなければならぬように実は申し上げたのでありますが、本年の農林省の予算案におきまして異常の減額をされているわけであります。来年におきましては、これらの全国農家のいろいろの期待につきまして、これは、詳細に申し上げるつもりでおりましたが時間が切れておりますから、簡単に申し上げますが、来年度の予算において十分に河野農林大臣の名誉回復のために御努力願いたいというのが、切なる農家の声でございます。これにつきまして農林大臣の御所見を承わりたいと思います。
  98. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。私といたしましては、政府の一兆円予算のワクの中に縛られまして、今年の農林予算がいろいろ全国の農民諸君に御不満のありますることも十分承知いたしております。で、今御指摘のように、明年度の予算におきましては、必ず最善を尽しまして、御期待に沿うように善処するつもりでございます。せっかく御援助たまわらんことをお願い申し上げます。
  99. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 もう一点お願いしておきます。最近麦の包装が非常に厳重に、昨年と比較にならぬほどの厳重な包装を指定して来たのでありますが、これにつきましては、まあ私の邪推かもしれませんが、いわゆる余剰農産物が大量に来る、そういったような場合に内地の産麦も相当の長期にわたって貯蔵しなければならぬ、でありまするから下積みになったようなものもはみ出すようなことがあってはならぬというような見地から、外装を非常に厳重に申し渡したのではないかと想像するわけでございますが、長期にわたって貯蔵することについては何ら異存はございません。ただ農家が非常に外装に、昨年と比較してなわかけから何から手間がかかる、なわがかかるというようなことで、そんなめんどくさいならば、どこか簡単にそこらへ売ろうじゃないかというような声も聞くわけでございますが、これにつきまして、農林省か食糧庁が全国にそういう指令を出したのか、あるいは出したとすれば、この外装費をどういうふうに見積られるのか、この点につきまして農林大臣の御答弁を願いたいと思います。
  100. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。麦につきましては、今年から規格検査を改正いたしました。それはむしろ農家のために規格を一部下げたわけでございます。そういうことにして検査を少し実質的には甘くするようにいたしてあります。そういう関係で、検査を変えました関係から、包装について今御指摘のようなことがあったかもしれません、これはさっそく取り調べまして善処いたします。今お話のように外麦が入って来るから云々というようなことではございません。従来の例で申しますると、内麦は非常にこの国内で製粉業者その他から希望が少うございました。小麦につきましてはとかく外麦の希望が多いものでございますから、そこで今年は米価の決定等に当りましても、それらの点を十分考慮して、そうして内麦に対する需要の多く向うようにあんばいしていきたい、こう考えております。取り調べて善処いたします。
  101. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 時間が来ましたから、これで終りといたします。
  102. 館哲二

    委員長館哲二君) 昨日の小林政夫君の御質問及び本日の千田正君、八木幸吉君、両君の御質問の中で農林大臣に対する分が保留されております。この際順次御発言、御質疑を願いたいと思います。
  103. 小林政夫

    小林政夫君 農林大臣に、鳩山第一次内閣成立の際の施政方針演説に対しての質疑の際に、水産業振興ということを鳩山内閣の重要政綱の一つにしておられるが、私の見解では水産業振興の基礎は、資本漁業は別として、中小漁業、沿岸漁業等については漁業共済制度が早期に確立されることが最も基本となるべきものである、こういう見解を述べたのに対して、十分調査研究をいたします、研究中である、こういうような御答弁でありましたが、その後調査研究の成果はどのようになっておるか、お伺いします。
  104. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。ただいまの点はむしろ私よりも水産庁の長官から具体的に御説明申し上げた方が適切かと思いますが、いかがでございますか。ここにおりますが……。
  105. 小林政夫

    小林政夫君 けっこうです。長官からでもけっこうですが、大臣も水産業に縁がないことはないのです。相当関心を持って推進していただかなければならぬ、どうぞそういう意味において説明されたい。
  106. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 私からお答えいたします。漁業共済の問題につきましては、御承知通りの実情でございまして、なかなか危険率の把握が困難である。そういう点から、しかし困難であるからほっておいてよろしいという問題ではありませんので、目下調査中でございまして、これらの調査の進行状態についてはむしろ私からお答え申し上げるよりも、水産庁長官からお答え申し上げた方が適切ではないかと思いますから、長官からお答えいたします。
  107. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) お答え申し上げます。漁業共済制度の調査につきましては、二十九年度におきまして漁船特別保険の特別会計に経費を計上いたしまして、約百二十万でございますが、計上いたしまして、農業に近い養殖漁業、ノリ、カキ等の養殖漁業につきまして、及び協同組合の自営事業につきまして、平年の漁獲量、災害の種類、程度、頻度、不作の大要等の基礎的な点を調査をいたしたわけでございます。本年度におきましても同様特別会計に経費を計上いたしまして、さらに共同販売を行なっております漁業協同組合等について漁獲量の把握、共済制度につきましては、漁業につきましては農業と違いまして、非常に毎日その生産が処理されますので、その漁獲量を把握するということは非常に大事でございますので、その具体的な把握方法をいかにしてするかという点について調査を進めたい、かように思っているのであります。
  108. 小林政夫

    小林政夫君 漁業共済の問題はもう四年前から問題にして、私も本院で取り上げている一人です。そのつど調査研究する、こういうことでありますが、幸い鳩山内閣が成立して庶政の一新を大いにやる、水産振興も大いにやるということでありますから、大いにわれわれ期待しておったわけでありますが、今その百二十万くらいの予算で何が調査ができますか、相当大きな問題のことであり、すでに農業方面においては相当批判的再検討を要するような問題も多々あるのですけれども、とにかくやっている。漁業においてやる気になって考えればやれるはずです。これは農林大臣としては相当腰を入れてぜひ仕上げるという、こういう心組みで研究を願いたいと思うのであります。すでにもう民間団体と申してもいい全国水産業共済会においては、政府の一銭の補助がなくても十分漁業共済あるいは漁具共済というものをやりますということを言い切っている人もある。そういう点について農林大臣はどう考えているか、お伺いいたします。
  109. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。ただいま御指摘の通り農業共済につきましてもいろいろ問題がございます。従いまして、政府といたしましては、さらにいろいろ複雑な原因のありまする漁業につきましては、慎重の上にも慎重にいたしませんと、なかなかむずかしいということを私は考えているのであります。先ほどお答え申し上げましたように、さればといって、そのままむずかしいからやらんでよろしいというものではないと、これも御指摘の通りに資本漁業に対して一般の沿岸もしくは中小漁業家にこの制度がないということは、これは将来の育成強化の上において非常に欠点なところもある。金融その他の点から考えてもぜひ基礎的にしなければならないものであるということは、私も十分自覚いたしております。そういうふうな見地に立って進めなければならないことはわかっておりますが、しかし何分御承知通り私も予算編成のときに大臣になり、その後御承知のような事情でまだとつくり取っ組んでものを考えているひまが実はないというようなわけで、これは率直に申し上げますが、私の気持でございます。気持はいろいろありますけれども、そういう事情でございますので、特に水産につきましては先般来私この席で申し上げます通りに、議会終了後直ちに漁業全般にわたって特別の調査審議会を作りまして、これによって全面的に日本の水産のあり方、将来の行くべき方向を一つ朝野の意見をとりまとめて、その上に立ってゆくのでなければ、今日の日本の水産というものはあらゆる面において、あらゆる角度からどうも行政面から行き詰りがきておるのじゃないかというような気持がいたしますので、それらと相関通いたしまして、十分一つ御趣旨のあるところを、私も全く同感でございまするから、善処いたしたいと考えておる次第であります。
  110. 小林政夫

    小林政夫君 先般の農林大臣の漁業制度全般についての調査研究会を設ける——われわれもその調査研究会の成果には期待する気持でおるのですが、あのときにわれわれが拝聴した印象では、共済制度の検討というようなことばどうも入ってないように思ったのでありますが、ただいまの言明は、共済制度もその調査会の諮問事項というか、調査事項にすると、こういう言明のようでありますが、御承知のごとく共済制度はかなり保険知識が要ります。ただ単に漁業についての専門家のみを集めたのでは意味をなさないことであって、特に共済制度は私はもう中小漁業の根本的な施策だと思う。そういう意味においては別途にそういう調査研究機関というか、諮問機関、立案機関を設けられて、相当予算等もやりくりをして、百二十万円のようなものでは、これはもう一年百二十万円ですから、何の仕事もできないと思う、こういう点についてやると、こういう御言明がほしいわけです。
  111. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。実はただいまの御指摘、ごもっともでございまして、私は実はこの制度を、さらに漁業の課税につきましても、大漁と不漁等の関係等も十分考えなければならぬというような点等、万般にわたって一つ検討を願いたい、こう思っておることでございますから、もちろん今の御指摘の通り善処いたします。
  112. 小林政夫

    小林政夫君 けっこうです。  もう一点、水産庁長官がせっかく見えておられるようですが、農林大臣はあのように御言明された。どうもわれわれ今まで見ていると、農林省の中の水産庁という立場は、かなりいろいろな面において少し弱いように——せっかく大臣があれだけ言明されたのでありますから、水産庁長官一つ遠慮なしに大いにぶつかって、ぜひ今の言明通りこの制度の実現に邁進されるように要望いたしますが、一つ決意のほどを述べてもらいます。
  113. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 決してそういうふうに、今御指摘のように水産庁が弱いとか、そういうことでなしに、私が一たんここで言明いたしました以上は、必ず御期待に沿うようにその方向でいたしますから、御信頼いただきたいと思います。
  114. 千田正

    千田正君 きわめて残り時間がありませんので、短かい時間でありますが、それだけお答えはしっかりいただきたいと思います。というのは、ただいま同僚議員の小林君からもお尋ねがありましたし、先般も松浦議員からもお尋ねがあったようですが、今のお答えと同じように、大臣は漁業に関する問題については根本的に立て直しをしよう。それで国会が一応済んだならば直ちに着手したい。大体大臣のお考えになっておるのは、学識経験者あるいはその他の漁業に熱心な人たち中心として、そして一つの諮問機関のようなものを作って、根本対策を考えようという御趣旨のようであります。ただ、私はそれはまことにけっこうなことであるけれども現実において今の漁民が非常に苦しんでおる、手をあげておるというのが現状であります。資本漁業はこれは別個といたしましても、中小あるいは零細漁民の今の状況は、まさになすところはない、ほとんど手をあげている。これは根本的に考え直さなければならないのですが、大体今までの水産行政を見ても、これは非常に散漫な政策しかやっておらない。一体どこに根本的な施策の重点を置くか、これを一つ具体的に考えていただきたい。御所信のほどを承わりたいと同時に、私は大臣が二年も三年も農林大臣でおられるかどうかということは非常に疑問に思います。ですから今のような諮問機関をお作りになっても、ただ聞きおくという今までのような、方々にあるところの形式的な諮問機関であったならば、これは意味をなさぬのでありまして、実際現実において今苦しんでいる漁民のためにどういう根本的対策を立てるのか。本年度における公共事業費などの予算の裏づけを見ましても、まことに貧弱きわまる。これでは日本の漁民は救われません。どこに一体根本対策を具体的に立てるのか、その第一段階としての根本施策について承わりたい。
  115. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 私が各方面の権威の方々の御意見を拝聴いたしたいと考えますことは、私自身の考えをそのままやりますことは、非常に問題がむずかしいことでございますから、非常に重大でございますから、そういう措置をとっていきたいと思うのでございます。ただしかし、そういうことで決して逃げようと思っているわけではございません。私には私の考えがございます。しかしその考えがいいか悪いかというようなことを十分御意見を拝聴いたしたいと思っているのであります。たとえて申しますと、現在の沿岸漁民の諸君におかれましても、これだけの科学の発達進歩もしくは漁撈の進歩の中にあって、それを少しも進歩改良することなく、依然として沿岸に従来の漁撈の方法をもってやっていくということで、一体この社会の移り変りにやっていくことが将来できるかどうか、本質的に考えなければならぬのじゃなかろうかというようなことも、私は沿岸漁民諸君についての考え方じゃないかと思うのであります。そこで資本漁業と沿岸漁業との融合を一体どこに求めていくかということも考えなければならぬのじゃないかと思うのであります。  第二といたしましては、御承知通り、各以西にいたしましても、以東にいたしましても、カツオ、マグロにいたしましても、依然として今日ますます権利が幾ら、何万円、何十万円だというようなあり方が一体いいのか悪いのかというようなことについても考えなければならぬと思うのであります。さらにまた、生産されたものが市場に行く、市場関係が、今日の取引がこれで一体いいのか悪いのかという点も考えなければならぬと思いますし、さらに輸出のものにつきまして、これを現在の資本漁業のみに依存した輸出の方向が、一体今のこの漁業協同組合の本質から、輸出の方面にまで発展するようなことは考えられるのか考えられないのかというような点について、私はすべての面において実は行き詰っていると思うのであります。このまま続けてゆくということは、ただいたずらに行政が混淆し、そこに権利があってみたり摩擦があってみたりするだけであって、ただそれを深くするだけであります。もうこの辺でほんとうに抜本的なことをできればやらなければいけない、また案が立っても立たなくてもそれに取っ組んでいかなければならぬときが来ているのじゃないか、こう思うのであります。もちろん私も何年もいつまでも大臣をしているわけじゃありませんから、案ができれば直ちにそれに向ってできるだけのことをやっていきたいという決意は持っているのでありますから、せっかく御協力をちょうだいいたしたいと思うのでございます。
  116. 千田正

    千田正君 そこで、まことに御趣旨のほどはけっこうなことでありまして、われわれも協力を惜しまないのでありますが、先ほど申し上げました公共事業費その他に対して、水産行政に対しては非常に薄い。むしろこれは発展しなければならない立場にあるのを逆に圧縮されている。この点一つ。それから今のお考えであるならば中小漁民なり沿岸漁民の力となるところの漁業協同組合の育成強化ということがやはり根本的に、かつまた抜本的に考えなければならない問題であるが、この育成強化に対しての御所信があるかどうかということを一つ承わっておきたいと思います。
  117. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 実はこれははなはだお小言をちょうだいするかもしれませんが、今申し上げましたような考えのもとに、実は水産においては今年度の予算編成をあまり力を入れなかったのでございます。それをきめてから大いにやろうというようにほんとうは考えておりましたので、この点お小言をちょうだいするかもしれませんが、従来通りのありきたりの行き方で今年は行った。来年からはそういうふうにほんとうに得心の行った上でしっかりやっていこうという考えを持っておるのでございますから、その点お許しをいただきたい。  第二の協同組合の問題でございますが、これは私は現在の協同組合に満足しない点があります。これも露骨に申し上げます。地域別協同組合では必ずしも妥当でない点があるのではないか。漁業別、業種別の協同組合にしていくのでなければ、たとえば沿岸において地域別になっておりますから、利害は相反する立場にあるものが同一の協同組合になってやるというような場合もあることも事実だと私は思うのであります。従いまして、これらについても相当に掘り下げて再検討いたしまして、その再検討の上に立って、もちろんこの協同組合を育成強化して、そして先ほど申しましたように、販売の面において大いに努力していくことにしなければいかぬではなかろうかと、こう思うのでございます。もちろんそれには各地に冷蔵庫の建設も入り用でございますし、またその他これに資金の裏づけをいたしまして、できれば今の資本漁業の、あえて申せば独占されているようなことについても大いに是正していくようにしていかなければならぬのではないか。ただし資本漁業と沿岸漁業のいたずらに対立的な考え方ではなしに、これを何とか考える道はなかろうかということも、一つ研究の課題としてお取り上げになっていただいたらどうかと、まあ何もまとまって取りとめてこうあるべきだという結論は持っておらないわけでありまして、これらにつきましては、あらゆる角度から御検討いただいて、一つお考えを伺いたいと、こう考えております。
  118. 千田正

    千田正君 時間もないようですから一点だけ、これを最後に。それからもう一点一つ承わっておきます。それは今農林大臣がなかなか大臣としての根本方針を立てられないと同時に、私は水産庁の調査といいますか、統計といいますか、こういう面は特に私は重点を得なければならないのではないか。というのは、御承知通り、水産は国際事情をはらんでおります。海外との調査機関、あるいは国際法その他の幾多の調査しなければならない資料が十分にないと私は思う。必要ありながらない。さらにまた国内におけるところの漁業の統計や何かというものに対しましても、占領軍が来ましてから、そのアドヴァイスによってかろうじてできたという程度であって、真剣なるところの日本の水産行政の根本政策を立てるような十分なる予算もなければ、そのスタッフの養成もできない。それが現在の水産行政が遅々として進まないところの一つ根本原因だと私は思います。その点に対しては将来どういうふうに考えておるかどうか。この点だけを一点伺って、私は終りたいと思います。
  119. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 御指摘のようなことがあるかもしれません。もちろん大事なことでございますから、よく取り調べまして善処することにいたします。
  120. 湯山勇

    ○湯山勇君 水産問題に関連して。
  121. 館哲二

    委員長館哲二君) 今、実は農林大臣非常にお急ぎで、他の委員会で待っているのですが、この次あなたの御質問のときにお願いします。
  122. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 質問の第一点は、米価は何を基準として決定せられるか。生産費を基準としてせられる場合には、自家労力をどういうふうに計算されるか。農村で雇い得る労賃であるか、あるいはその他のものであるか。  それから第二点は、生産費は平均生産費でおやりになるか、限界生産費でおやりになるか。  第三点は、生産費の地方差をいかに調整されるか。まずこの点を伺いたい。
  123. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。御指摘のように、米価の決定は、申し上げるまでもなく現在では食糧管理法にありまする規定に基いてきめるということに、これは法律の指定通りにきめることになっております。これは間違いありません。  そこで今御指摘のその中にある生産費はどういうふうにしてとるかということでございますが、これは非常にむずかしい議論がいろいろあるのでございまして、せっかく今日も専門家ないしはまた米価審議会の小委員会におきまして、ただいま御指摘のような生産費の取り方はどうすべきかということについて研究をされておるということでございます。
  124. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次は、予約買付制度のことを伺いたいのですが、自由販売の瀬踏み的のものではないというのであれば、同一の米価から、供出よりよけいに、あるいはスムーズに出るとでもお考えになるのか。その本来の一体特色はどこにあるか。簡単に伺っておきたい。
  125. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。従来の制度は、御承知通り政府が今年度は幾ら、それを各府県に割当て、各府県はこれを各町村それぞれに割当て、そしてあなたのところでは幾ら作っているから幾らできるはずだ、その中で保有量が幾らあってその他は政府供出してもらいたいということの割当制度をとったわけであります。それを今回は、その政府の強制的な割当によりませんで、農家の責任で計算をされ、農家の御自覚によりまして、そして御供出を願うという自発的な意思によって、自分のところでは幾ら作っておって、今までの経験で幾ら米があれば足りるのだから、これだけは政府に売ろうというふうなことを基礎にして、そしてこれはまあはっきり申し上げます。政府の方としても、むろん配給の責任を負っているのでございますから、明年度におきましては、約二千三百五十万石がほしいのでありますということを農業協同組合連合会の方に一これは二千四百万石という目標になっておりますが、それを申し上げますと、そうすると、全国協同組合は、これを過去の実情でありますとか、耕作事情等を勘案いたしまして、各府県にそれじゃ何県ではどのくらいの集荷を目標にして一つやってくれぬかと言って、下にずっとそれを流して参ると思うのでありますが、そうしますと、そこで各単位の販売組合におきましては、各農家の諸君と話し合われまして、そこでそれじゃおれの村ではこれだけまとめて政府供出することに、予約売り渡しすることにしようじゃないかという目標で、各農家の方からそういうふうにしていただくわけでございます。そしてそれをまとめて政府契約をいたします。そこでこの今の米価がきまり次第、各農家の諸君が、おれの家では三十俵売ろうということになりますれば、その三十俵に対して大体あなたのところでは、これだけの耕作でこれだけの家族では三十俵がいいところだろうというので、協同組合の中へいろいろお話し合いがあると思います。そこでそれに対して政府は三十俵売っていただきたいということを契約するわけであります。契約ができ上ったときに、このでき上った事実を従来の食管法の第三条によるところの割当するのはこの事実なんだということで、これらから一緒になって切りかわっていく、こういうことであって、先ほどからいろいろ皆さんの中に御意見もあるようでございますけれども政府の方としては、一方において配給の責任を持っております関係から——全然これは失敗だった、失敗で河野一郎が腹を切れば済む問題でございませんから、そこで一方におきましては食管法というものを、向うと合意で契約したものを食管法の第三条に切りかえる。初めから強制的に割当をいたしませんで、合意で契約したものを、契約のでき上ったあとで食管法の第三条に切りかえて、そしてしていただく。それは一たん約束した以上は、それをすべて出来秋には、先ほど御意見もありましたが、とれなかったときには強制的に罰則規定をもつて締め上げるか決してそういうことは考えておりません。これはどこまでも不作の場合は不作に応じて、従来とても補正割当をして直してしたのでありますから、もちろん今後におきましても、実情に応じてわれわれはやっていくのでございます。こういうことで御了解をいただきたいと思うのであります。
  126. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 予算米価で二千三百五十万石集まるというお見込みであるかどうか、それが一点と、それからもし米価を安くきめたら、自由ですから予約を申し込まない、結局食管法があるからやみに流せという結果になるが、その点はどうか。それからもう一つは、十五日分の配給しかない現在、一千万石のやみ米が横行している現在、果して食糧管理制度が完全に行っておると私は思わぬのですが、何か改善に将来こういうふうにというお考えでもあれば、それをつけ加えて承わりたいと思います。
  127. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 予算米価につきましては、これは御承知通り予算編成時におきまして、昨年の米価の決定の当時の事情を参酌いたしまして、そうしてこの数字を出して予算を組むわけでございます。従いましてこれは三十年産米の食管法の規定によって決定するのとは実は事情が違うわけでございますから、これは二十九年の産米について考慮せられた数字をそれを三十年の予算の上に組んである、こういうことでございますから、その点は事情を御了承いただきたいと思います。従ってこの予算米価で三十年の産米について云々するということは、私は、事情が同じであって同じ結果になる場合は——結果が同じになる場合はあるかもしれませんが、これが三十年の米を買うのに妥当な値段である、初めから妥当な値段であるというわけには参らないのじゃなかろうか。これはただいま申し上げますように、三十年産米の価格の決定は、ただいま申し上げましたように法律の規定によってきめるのでございますから、この規定の根拠になるべき数字がこの予算米価をきめるときの数字と結果が同じになる場合はあるかもしれませんけれども、時期は違うのでございますから、その点を御了解いただきたいと思います。  それから米価が安ければ集まらぬじゃないかということでございますが、これはむろんただいま申し上げましたようなことで農民諸君の御協力を得るのでございますから、政府におきましても、これらの諸般の情勢を十分勘案して、食管法の規定にありまする通りに、経済事情を参酌して再生産に支障のないようにきめなければならないと結論がなっておるのでありまするから、それらの点を十分勘案してきめなければならぬと、こう考えております。  それからやみ米が一千万石以上あって、そうして八日か十五日しか配給していないじゃないか。それで一体いいのかということ。もちろん私はこれでいいとは考えておりません。おりませんが、今日までの現状をもっていたしましては、何としても集荷が十分でございません。なかなか集まらなかったのでございます。しかも戦後のあの当時でございますればともかくといたしまして、他の農産物、他の一般の経済界の事情が、米のような極端な統制であるとか、極端な束縛をしてやっておるのではない今日でございますから、米だけを縛ってやるということには、専売をすればともかくといたしまして、他の方途をもってしては、なかなか私は所期の目的は達成が困難であろうと思うのであります。そういう事情でございますから、今ここで考えましたのは、予約集荷制度によって、前の制度にかわって、これによってやっていこうということは政府がきめたわけでございますから、しかしそれをしもなお八日か十五日の配給量でございますから、それは最善ということには参らぬと思うのでありまして、これにつきましてはわれわれといたしまして十分検討いたしまして、何とか国民の食糧の全体の問題、ないしは農家の米の問題、農家経済の問題等々から勘案いたしまして、最善の道を探究することに努力して参らなければならぬのじゃなかろうかと思う次第でございます。
  128. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 時間の関係で、農林大臣にはこれで私は終り、あと大蔵大臣に尋ねます。
  129. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 議事進行について。委員長は、昨日も衆議院予算委員長に対しまして、参議院の予算審議中において衆議院が再開、つまり二回も予算委員会を開き、御承知通り定例、参議院にも本会議はあります。その間二日間関係大臣衆議院予算委員会に出席させるということは、とりもなおさず三十年度予算を自然にそれだけ遅らせるという結果に相なることは論を待たないのでございます。もし、会期延長が今日なされてはおりません。会期中に予算審議を終了し、決定をする途上に、かようなことを二日間もされてしまえばそれだけおくれるのでございまして、申し上げるまでもなく、その責任は衆議院予算委員長及び衆議院関係でしょって立たなければならないという結果になりつつあるのであります。与党も、衆議院委員長は、予算を早く両院を通過させるという熱意と今日の日本の状態、いわゆる経済状態及び諸般の政府関係のあらゆる情勢をにらみましたら、かようなことはなさないのが適宜であろうと思いますが、私どもは、本日の委員連中においてもかようなことが響きまして、委員の出席もきわめて少数に相なるのはここらにも大きな原因がないとは言えません。従って委員長衆議院委員長に対し、参議院の予算審議が遅々としてはかどらないのは、あなた方のこうした二日間も、真剣に、慎重にやっている際に間をおかせるようなことは好ましくない、責任は当然とらぬと重ねてこの点を厳重に抗議を申し込まれんことを要求するものであります。
  130. 館哲二

    委員長館哲二君) ただいま池田宇右衞門君の御発言は、委員長も痛切に感じておるところであります。委員長自身といたしましても、強くこの点を要望するつもりでおります。  これにて二時二十五分まで休憩いたします。    午後一時二十七分休憩    ————・————    午後四時九分開会
  131. 館哲二

    委員長館哲二君) これより休憩前に引き続いて委員会を開きます。
  132. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 ただいま官房長官は、堀木理事の迎えにゆくこと嫁の迎えのように、お百度踏んだというか、事務繁多なところをお見受けしたと御推察を申し上げます。しかしながら私は決して官房長官を責めるのではない。(「責める」と呼ぶ者あり)普通ならば総理を責めたいと思います。同時に予算関係あるところの閣僚諸君を私どもは責めなければならないと思います。何ゆえならば、私どもは参議院において、政府の最も重要政策たる予算審議中において衆議院に二日間の——日比あるいは米価問題ということがあるからと申しまして、同じ予算委員会を開かせる。参議院の予算審議はそれだけおくれるということを覚悟しなければなりません。一日で事足らず二日間の衆参両方の審議に果して二人分の——両方へ出席することができるかできないか、常識的判断をもちましても不可能であります。不可能なことを可能にするということはとうてい奇術師でも魔術師でもできません。ましてや今、余剰農産物において、本院において外務農林の両者の共同審議が、委員会が開かれておる。この実情を政府が知らないはずがないと思います。官房長官ごらん下さい。全部午前中からまじめに来ておってしかも今何時でございます、あと四十五分すれば退庁時間です。ここまでまじめな委員各位の政府の出席をお待ちしておるこの熱意に対しましても、なぜ政府は出席しないか。私どもといたしましては、政府仰せ通り経済界の実情から考えましても、政府の諸政策の遂行が、あらゆる機関から申しましても、国民関係ある諸支払いから申しましても、一日だけおくらせることにおいてすべての機関を通じてどんなに不安とどんなに損害と、そこに生ずる産業上の伸展阻止の大きなその責任は一体だれがしょって立つのです。決して私ども予算委員会予算審議がおくれるなどというようなことは、断じて私どもはさような責任はしょいたくない。この熱意に対して、この努力に対して一体政府はどういうお考えでありますか。この点をまず官房長官から明らかにしていただきたい。私は皆さんからこの点を明らかにするようにここに発言せよというお言葉を賜わりまして、この点をお聞きいたすのでございます。
  133. 吉田法晴

    吉田法晴君 関連して。本委員会の最終段階の模様は官房長官聞いておられると思います。この委員会が再開する予定は二時半。ごく最近になって官房長官の行方を聞きますと、官房長官の行方がわからぬ、こういうことで、政府を代表して事態の収拾、あるいは説明を十分求められるまでもなく官房長官としてなさるべきだと思うのでありますが、今までどういうことをしておられたのか。事態はここまで来て、これから委員会を開くということができるかできぬか、これはおわかりになると思う。この事態に対して官房長官としても、政府を代表して説明をするとしても、私はその責任を果せられる今までの態度ではなかったと思う。これらの点についてどういう工合に考えられておられるのか、一つ官房長官に承わりたいと思います。
  134. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) お答え申し上げます。本日本委員会が非常に御熱心に審議なさる一切の態勢をとっておるにもかかわらず、衆議院予算委員会あるいは参議院の外務農林合同委員会の要求によりまして、各閣僚が手ぎわよく運営ができないために御迷惑をかけたことは、まことにこれは政府の手落ちといいますか、非常に遺憾に思い恐縮に存じておる次第でございます。実は昨日以来、いろいろの調整をお願いしたのでございまするが、院の予算委員会といたしましては、どうしても既定の日程通りやらなければならないということで大臣の出席を要求されております。また一方外務農林の参議院の合同委員会におきましては、御承知のように余剰農産物に関する協定は非常に時間の迫った問題でありまするので、衆議院におきましても、各党とも格別のお取り計らいをもちまして昨日通過しましてこちらに参り、本院におきましても、これがどうしても関係閣僚の出席なくしては審議ができないというような形で、その間の調整を委員長並びに委員の方々にお願いしたけれども、われわれの力足らずして、こちらの方に閣僚を差し回すことができなかったことは、まことに遺憾にたえない次第であります。今朝来館委員長とも再三の折衝もし、またいろいろ調整をはかったのでありまするが、結果において御迷惑をかけたことはまことに遺憾にたえないと存じている次第であります。  なおまた、ただいま私が今日までこの調整の問題について努力が足りないじゃないか、何をしておったかというようなおしかりでございまするが、実は昨日来私は頭を悩ましてこの問題の調整に当っているのでございまするが、おのおのの委員会でまた非常に御熱心にそれぞれの立場において主張されておりまするので、まことに力及ばず残念に存じている次第でありまするが、ただいま衆議院との方におきましては予算委員長と理事の方とお願いしまして、きょうは向うの方ではこれ以上の審議を続行することが困難でもあるし、またこれ以上出席を求めてもむずかしいだろうということで、向うの方では御了解を得た次第でございまするので、問題は参議院の合同委員会の方でございます。この合同委員会の方はどうしても大蔵農林外務この三閣僚、それに経済審議長官は今度の協定の承認を認むべきかいなかに関して最も重大なる関係があるから、どうしてもこの閣僚だけは、きょうのうちに審議を進めなければならないというので、先ほども実は手分けをして副長官が行っていろいろ連絡をとりましたけれども、御了承を得ない状況でございます。右のような次第でございまして、政府といたしましては、また閣僚といたしましても決してサボっておることはもとよりのこと、まして参議院の、本院の予算委員会をいささかたりとも軽視する観念はないのでございまするが、同じ委員会同士における非常に熱心な要求によって、そのさばきがとれないことがわれわれの力の足らざるところでございまして、この点は何とぞ御了承をしていただきまして、さらに今後かようなことのないように、さらにわれわれも各委員会の方々に事の軽重——と申しますというと、はなはだ言葉が実は反撃を受けまするので、その点の説明にわれわれまことに苦慮しているのでありまするが、これは各会派とも御理解ある御協力を願わなければ運営ができないので、恐縮でありまするが、政府は今後とも誠心誠意努力をいたすつもりでございまするので、何とぞその点曲げて御了承のほどをお願い申し上げる次第であります。
  135. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今御説明を伺いましたが、われわれは参議院の外務農林連合委員会があることは知っておりまするが、今も官房長官もみずから言われた通り衆議院予算委員会が開かれていない。しか午後からの質問に対しては各省大臣を要求してあります。しかも三時半から二時間も各党委員はここへ出ておる。しかるに、他の委員会に出ておられない閣僚はたくさんあるのに、一閣僚さえもここに来ていない。(「そうだ」と呼ぶ者あり)しかるに、こちらはまだ開くのをやめたなんということを言ったこともない。委員長を通じてですよ、その二時間の間各閣僚の出席を求めている。一閣僚さえ来ないじゃないですか。そのざまはどうだ。衆議院に出ていない閣僚はどこにいる。予算委員はわれわれここで二時間も待っているのですよ。外務農林に全部の閣僚が出ているのじゃないじゃないか。他の閣僚はどこにいる。われわれはここで二時間待ったんですよ。そういうことに対して、官房長官はどう考えるか。かようなことで、この大切な予算案の運営ができると思っていますか。はなはだ不可解千万だと思う。予算委員会は開かれていやしません。他の閣僚はどうしたのです。一閣僚さえもここへ来ませんよ、二時間の間、委員長初めいるのに。そういう不見識のことはどうかと思うのです。はっきり答弁してもらいたい。
  136. 秋山長造

    ○秋山長造君 今のに関連して……。ただいまの官房長官の御答弁の中に、大蔵大臣外務農林の連合委員会へ出ておるというお話でございましたが、私は官房長官は出でおられるのを実際に自分の目で見てこられたのかどうか、お伺いしたい。大蔵大臣はいないはずです、あの連合委員会に。午後二時半ごろにちょこちょこと出て、どこかへ行ってしまわれた。
  137. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) お答え申し上げます。順序が逆になるかもしれませんが、大蔵大臣はただいま連合委員会に入っておるようでございます。
  138. 秋山長造

    ○秋山長造君 それは今入ったのです。
  139. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) あ、そうですか。私の来るときは……。(「今入った」と呼ぶ者あり)  なお、西郷委員からはお叱りを受けまして、まことに恐縮に存じます。要求せられた大臣を主として申し上げたわけでございましたが、他の閣僚も、私が連絡はいたしておりましたけれども、おのおのの委員会に引つぱられておるようでございましたから、この点がすなわち各閣僚が大へん手落ちをしたこととおわびをしている次第でございまして、本来ならば一切の委員会の運営の全般的に円満に行くことが望ましいのでありまするが、しかし各委員会との要求が重なり合っておりまして、それが十分に……。
  140. 秋山長造

    ○秋山長造君 重なった大臣は、そう数はよけいおらぬじゃないか。重なり合ったのは三人。あと大臣は重なっておるわけじゃない。
  141. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 重なっている人もあります、重なっておらない人もあるのでありまして、この点はまことに遺憾にたえないのであります。(「重なっていないのに、よこさぬ」と呼ぶ者あり)
  142. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 ただいま官房長官の言うことは、ことごとく違っておるのであります。八年間私どもは参議院の予算に出席しておりましたが、こうした無責任な、全く各委員の言う通り、なぜ、ほかの大臣にもそれぞれ質問があるのだから、大蔵あるいは外務、経審その他の、農林は来ましたが、閣僚がずっと来ていれば、それぞれの閣僚に対しまして順次質疑のことがある。一人も出席していない。ことに、官房長官はただいま館委員長ともたびたび打ち合せた。委員長はきのうも打ち合せ、きょうも打ち合せ、われわれ理事に対してはもう何回となく、困った、困ったと言っている。あなた方のことは、よく「憎しとてたたくにあらず雪の竹」ということがあるけれども、われわれは政府を怒るのじゃない。政府の失態は国民に及ぶ、これをおそれる。  そこであなたに聞くのは、会期延長をせざるを得ないような事態に政府が追いこんで来るんだよ。会期延長するつもりか、あるいはしなければならない事態に来るか、どういった考えです。これは一点、聞いておかなければならぬ。  それから次は、今副長官が来て御熱心だが、だれが今まで来た。あなただってかって国務大臣時代にお知りの通りだ。熱心に始終ここへだれか、各省の官房長かなにか、連絡係をよこしておったでしょう。ところが、今度どこにいますか。一人もいないじゃないですか。まるであき家同様だ。これで責任があると言われますか。これが民主内閣のやることか。責任内閣のやることか。どうも、われわれはいかに熱心に会期中に予算を上げたいと思ったって、上らないように上らないように仕向けておる。それで大臣も出たり入ったり、顔見せの下手なひやかしじゃないが、出たり入ったり、出たり入ったり。なぜもっと腰を落ちつけて、予算審議は慎重にして、予算の通過までがっちりかまえないのか。あなたが総理の総支配、総元締めとして、ほかの閣僚にもっと予算には出席せよというような懇談をなしたかなさないか。これほど無責任の閣僚もないと思う。ごらんなさい。予算審議にいつでも先に来るのは総理と大蔵あとの閣僚が先に来ておりましたか。あなたのいた吉田内閣、われわれもいたんだが、総理の来るときは閣僚全部並んでいて、その他の説明する係も並んでいるじゃないか。この内閣で、あのからだの弱い、そうして実際お気の毒だが、総理が来るまでは来ない。こんな一体無責任な、協力態勢を持たないで、この内閣が保てると思いますか。国民に信頼される内閣と言われますか。また委員がその実情を見て、ほんとうに力が入ると思いますか。もう少しく、なぜ連帯責任であり協力内閣でなければならないという手本を示さないのです。私はこの点納得できない。国民の名において納得できない。会期もまた必ず延長しなければならないように追い込んで来るとの責任も、また私どもは納得できない。遺憾ながらできない。  この二点について、委員の各位にも納得のできるような——委員長だっても非常な苦心ですよ。私、十数回呼ばれました。
  143. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 政府側の手落ちの結果、御迷惑をかけたことは、再三にわっておわびをしている次第でございます。  会期延長の責任について申されましたが、もとより政府があるいは法案の提出の時期がおくれた、あるいは共同修正をのむに至ったというためにさらに法律案の改正が行われなければならない。さらにまたただいま御指摘のような制度の手落ちもあったことは認める次第でございます。
  144. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 先ほど来各委員から猛烈なる攻撃が行われたわけでありますが、緑風会としては実際、今までできるだけの協力をし、また委員長も出ておることでありまするから最善の努力をして参ったのでありまするけれども、かくのごとき状態では、おのずから協力というものにも限度があるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)先ほどから、二時半から今までおくれたということでありましたけれども、かような状態は、程度の相違こそあれ、きのうからであります。大臣は出てみたりあるいは引っ込んでみたり、ほとんど質問者は満足な質問はしておらぬ。しかもきのうから、きょう午前中もそうである。午後はかような状態で、全く閣僚は影も形も見えないという状態であります。先ほど根本官房長官はいろいろ陣弁せられましたが、しかしながら、われわれは結果をもって判断するのほかない。いかに努力せられ、いかに陰では苦労もあるでありましょうけれども、この見た結果から、われわれはおのずから協力に限度があるということをはっさり申し上げておかなければいかぬのであります。  それに、第一、私納得が行きませんのは、参議院で予算審議せられ、しこうして最も重要なる段階にあるにもかかわらず、衆議院の方で予算委員会の要求がある。これは各党から要求のあることも、それぞれ理由があるでありましょう。しかしながら、何ゆえに民主党としては、また政府としては、本会議の緊急質問程度にこれを持ってゆき得ないのかどうか。それをするために、どれだけの努力をせられておるか。とにかく人数も衆議院においてはあの程度の党員を擁しておられるのでありますが、それをもって最善の努力をせられた結果が、今日あの衆議院において予算委員会を開かれるようなことになっているのかどうか、私はその点において非常なる疑問を持つのであります。  要するに、ほんとうに早くこの予算を通さなければ経済界に及ぼす影響等まことに深刻なるものがあるという、ほんとうの誠意というものの披瀝は私は足らぬと思います。こういう点から見まして、おのずから私は協力には限度がある、そういう点をはっきり申し上げておきまするから、それを各閣僚、総理以下にほんとうにこの深刻なる情勢になっておることをお伝え願いたいと思います。
  145. 木村守江

    木村守江君 私は、官房長官予算委員会が開催できない理由についての御答弁を拝聴いたしたのであります。ところが、官房長官は、他の委員会を最も円滑に運営するために、この予算委員会に閣僚が出席でき得ないというような答弁でありましたが、それは全く官房長官の考え違いである。あるいは農林大臣、あるいは外務大臣は、いろいろな関係で出られなかったかもしれませんが、大蔵大臣に至りましては、しばらくの間国会に、いわゆる委員会等に姿を見せない時間があったのでありまして、少くともその間だけはここに顔を出せるはずだと私は考えております。特に今参議院における外務農林の合同委員会におきましては、先般来大蔵大臣の出席の要求はあったようでありまするが、ここには出なかったのでありまして、しかも予算審議のためにわれわれ予算委員会においては大蔵大臣の出席を求めていることは、今なお、もう二時からずっと同じであります。それにもかかわらず、いわゆるこの国会において一番大事なものは何といっても三十年度予算の問題であります。しかもその最も責任のあるのは大蔵大臣です。その大蔵大臣予算委員会から呼ばれておるにもかかわらず、予算委員会に顔も見せず、何らの話し合いもせずに、ここを素通りして、外務農林委員会に出席するというようなことは、全く現内閣が参議院の予算審議を、予算委員会を軽視したものであると私は断言しても差しつかえないと思うのであります。こういうような点から考えまして、一体この国会におきまして一番大事な三十年度予算をほんとうに通すつもりなのか、通さないつもりなのか。また官房長官は参議院はどうであっても、来月の七日になれば自然成立するから差しつかえないのだというような、参議院を軽視しての考え方なのか、どういうような考え方であるかは、私は政府にかわりまして官房長官からお考えをお聞きしたいと思うのであります。こういうような状態におきましては、私は参議院の予算審議がおくれるというような責任は一にかかって現内閣予算審議に対する誠意がないと、その結果によるものだと、(「そうだ」と呼ぶ者あり)全く責任は現内閣にあるということを、あなたは承知できるはずだと私は思うのであります。この点についてあなたの率直なる御答弁をお願いする次第であります。
  146. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 関連して……。私はこの問題については、官房長官の釈明ぐらいでは満足できません。よろしく今回の問題については総理の釈明を聞き、それから各大臣がこの予算審議に臨む態度を改めざる限りは、この審議を続行できないと私は思うのであります。(「賛成」「その通り」と呼ぶ者あり)そして会期の延長であるとか、この重要な予算審議の遅延の責任は一切政府にあるということを、政府の方から確認してもらわなければ、われわれはこの審議の続行はできない、このことを一つ委員長から各委員に諮っていただきたいと思います。(「賛成々々」と呼ぶ者あり)
  147. 吉田法晴

    吉田法晴君 木村君から若干の質問もございましたけれども、最初池田君から問うて答弁を求めましたが、官房長官の先ほどの答弁を要約いたしますと、参議院を軽視するつもりはないけれども、ということであります。抽象的には軽視するつもりはないかもしれませんけれども、実際的に予算審議ができないようにした責任は、これは政府にありますことは、ただいま石原委員からお話しになった通りであります。そうして、しかも答弁の中に、力足らずしてこうなった、仕方がないんだという、これは根本的な態度であります。なお、外務農林委員会の連合審査の余剰農産物受け入れに関する件も、これは日限りがあるから、その連合審査の委員会に出なければならぬから、予算委員会には出られません、こういう御答弁です。これらの点は、もう質問をして答弁を求める段階ではないと思います。  そこで委員長において、委員諸氏の意見はほとんど一致をしてここに表明せられていると思いますので、委員会を今日は散会を願って、そうしてあとどうするかは理事会において協議をせられたいと思いますが、私は内閣の連帯責任として、予算委員会審議を遅延せしめ、あるいは予算委員会審議ができなくなったという責任について、明らかにせられるようにお取り運びを願いたいと思います。
  148. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 ただいま石原理事から動議が出まして、また吉田理事からも御同様の賛意の御意見がございました。全くこの事態は、先ほど各委員は明日は予算委員会を開かないようにという委員長に対するところの要求から見まして、事態は非常な非常時事態に乗り上げてしまったことは、石原理事の申されたごとく、もう官房長官の手には負えません。総理みずから大蔵あるいは経審、関係閣僚とともに出席して、閣僚諸君の怠慢をこの際お述べ下さらなかったならば、おそらく審議続行は不可能なようにだんだんなると思います。委員長といたしましては、直ちにこの間に、一時間後に総理その他が出席して、この遅延する不熱意を、不誠意を陳謝するか、参議院の予算委員会の責任でないという声明をいたすか、あるいはそれでなければ、明日に対するところの、委員長理事会においてこの問題を何とか解決しなければならないと思います。私はかような大きな事態を起したことをまことに現鳩山内閣といたしまして遺憾のきわみであるということを申し上げて、私は退席いたします。(「散会」と呼ぶ者あり)
  149. 湯山勇

    ○湯山勇君 私は官房長官には言うことはありません。委員長にぜひ要望いたしたいと思います。それは、昨日の秋山君の質問にいたしましても、外務大臣が来ないためにまだ終っておりません。本日の質問のごときは大臣中心であって、出てきた大臣に対して委員がそれぞればらばらに質問しなくちゃならない。こういう審議は、委員会の権威のためにも、委員長としては議事を進める御苦労をなさったことは認めますけれども、今後一切こういう運営はしないという基本を明確にしてやっていただきたいと思います。委員長に特に要望いたします。
  150. 館哲二

    委員長館哲二君) 委員長といたしましても、今日までの政府当局の出席が非常に悪いため、各委員に非常な御迷惑をかけておりますことは、まことに遺憾に思っておったのでございます。質問をせられますのに非常な不都合を感じておられたことはこれはまことに遺憾であります。しかるに、それが高じまして、本日の午後になりますと、政府国務大臣以下一人も出席されない時間が長く続いたというようなことに至りましては、まことに遺憾のきわみであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)この意味において、今官房長官が御出席でありますから、各員の御発言をよくお聞き取りになったと思います。委員長からぜひ明朝本委員会を開くに当りまして総理大臣の出席を求めまして、今後この委員会運営について万全を尽すことの一つお言葉をいただかなければならぬと思います。よく御了承いただきたいと思います。いかがでございましょう。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 参議院予算委員会の責任でないということをはっきりしてもらいたい。
  152. 館哲二

    委員長館哲二君) 根本官房長官に申し上げますが、先ほど石原委員が発言されました通りに、こういう状態で遅延いたしましたことは、委員会自体の熱心さの欠けているゆえんではなく、政府関係の御出席が悪い結果であるということであります。その意味をお含みおきを願いたいと思います。(「散会散会」と呼ぶ者あり)  では、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十二分散会