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1955-06-13 第22回国会 参議院 予算委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月十三日(月曜日)    午前十時三十九分開会   —————————————    委員の異動 本日委員石坂豊一君及び安井謙君辞任 につき、その補欠として、最上英子君 及び田中啓一君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     館  哲二君    理事           池田宇右衞門君            西郷吉之助君            豊田 雅孝君            佐多 忠隆君            吉田 法晴君            松澤 兼人君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君    委員            秋山俊一郎君            伊能 芳雄君            泉山 三六君            植竹 春彦君            小野 義夫君            木村 守江君            左藤 義詮君            佐藤清一郎君            田中 啓一君            高橋進太郎君            西岡 ハル君            吉田 萬次君            片柳 眞吉君            小林 政夫君            中山 福藏君            廣瀬 久忠君            溝口 三郎君            秋山 長造君            小林 孝平君            高田なほ子君            永岡 光治君            湯山  勇君            曾根  益君            田中  一君            永井純一郎君            深川タマヱ君            武藤 常介君            最上 英子君            千田  正君            八木 幸吉君   国務大臣    内閣総理大臣  鳩山 一郎君    外 務 大 臣 重光  葵君    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    文 部 大 臣 松村 秀二君    厚 生 大 臣 川崎 秀二君    農 林 大 臣 河野 一郎君    通商産業大臣  石橋 湛山君    運 輸 大 臣 三木 武夫君    労 働 大 臣 西田 隆男君    建 設 大 臣 竹山祐太郎君    国 務 大 臣 川島正次郎君    国 務 大 臣 杉原 荒太君    国 務 大 臣 高碕達之助君   政府委員    内閣官房長官  根本龍太郎君    内閣官房長官 松本 瀧藏君    内閣官房長官 田中 榮一君    法制局長官   林  修三君    法制局次長   高辻 正己君    調達庁次長   山内 隆一君    調達庁不動産部    長       山中 一朗君    防衛庁防衛局長 林  一夫君    防衛庁経理局長 石原 周夫君    経済審議庁次長 石原 武夫君    経済審議庁計画    部長      佐々木義武君    外務省参事官  安藤 吉光君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    大蔵省主計局次    長       原  純夫君    大蔵省為替局長 東条 猛猪君    農林大臣官房長 安田善一郎君    食糧庁長官   清井  正君    文部政務次官  寺本 広作君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省鉱山    保安局長    正木  崇君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十年度一般会計予算内閣提  出、衆議院送付) ○昭和三十年度特別会計予算内閣提  出、衆議院送付) ○昭和三十年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)   —————————————
  2. 館哲二

    委員長館哲二君) これから委員会を開きます。
  3. 木村守江

    木村守江君 私は質問に入ります前に、まず私はきわめて短い、限られた時間においていろいろな本予算案関係する質疑を行わなければならないのであります。従ってその点から、総理並びに各省の大臣にお願いしておくことは、質問を繰り返す必要のないように、答弁に当りましては、率直、明瞭なる答弁をお願いしたい。私の性分からいたしますと、不明な点があり、または正鵠を得ない答弁がありました際には、どこまでも追及せねばならない性質でありますので、そういうようなことになりますと、あるいは気にさわるようなことを申さなければならないようになるかもしれませんから、どうかその点をお含みの上、御答弁を願いたい。  まず、私は総理大臣にお尋ねいたしたいのであるが、ただいま本委員会で審議されておるところの予算国会提出のおくれました原因につきましては、再々本委員会において論議された通り政府防衛分担金減額をはかるために米国との折衝が長引いた結果によることは疑う余地がないと思うのであります。すなわち、あるいは鳩山総理、一萬田大蔵大臣施政方針演説、あるいは選挙演説等で約束いたしました防衛関係費を減少して、社会保障あるいは住宅建築、その他の選挙公約に振り向けることであったのであります。ところが、防衛分担金は百五十二億の減額を見たのでありまするが、防衛庁費に振り向けなければならなくなり、昨年同様防衛関係費は一千三百二十七億となって、私どもがこの金額につきまして、別に多いとか少いとかいうのではありませんが、一体、鳩山内閣の三十年度予算編成の基本的な方針、いわゆる大眼目と申すべきものは、一つ防衛関係費の縮減であり、一つ補助金整理の問題であったと思うのであります。ところが、一方は重光外交渡米拒否というような恥を天下にさらされたような状態になり、しかも、一文の減少もすることができず、一方は予算修正、みずからその基本線を打ち破られた結果となったのであります。この状態をもってしまするならば、政治的には鳩山内閣はちょうど短刀を心臓に突きつけられたような状態と同様であると考えまして、私は重大責任問題であると考えるのであるが、総理は一体どういうようなお考えをもたれますか、御答弁をお願いしたい。
  4. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 自衛力漸増ということは条約上きまっておるものでありますから、防衛庁費というものがどうしても増すのであります。それですからして、防衛分担金の方から減額要求しなければ、いろいろ公約が実行できないことは明瞭なのであります。そうして、自衛力を漸増すれば、それに応じて防衛分担金減額要求ができるようになっておりますから、防衛庁費、これが増額すれば防衛分担金減額要求をアメリカにするのが当然の行き方なのであります。それをやっておるためにひまがかかりましたことは、まことに遺憾でありましたけれども、とにかく、防衛分担金を百七十八億減額をされまして、それによってどうにかこうにか予算を作ることができるようになったのであります。
  5. 木村守江

    木村守江君 ただいま鳩山さんの御答弁でよくわかりますが、しかし、実際問題からしまして、私は鳩山総理防衛分担金を減少して、しかも、減少した額より少く防衛関係費に振り向けまして、いわゆる防衛費を現在よりも少くして、そうして、その経費でもっていろいろの公約を果たそうとしておったのがほんとう気持ではなかったかと思うのですが、いま一度御答弁願います。
  6. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) ちょっとしまいのところがわかりませんでしたが。
  7. 木村守江

    木村守江君 総理防衛分担金を減少いたしまして、この金を防衛庁費に振り向けて、しかも防衛関係費全体を昨年よりも少なくいたしまして、そうして、その金をいろいろな公約に振り向ける考えであったと思うのです。それがほんとう気持であったと思うのですが、いかがですか。
  8. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は、ただ漠然と防衛庁費自衛力漸増のために使う金は大蔵大臣が相当に考えていると思ったのであります、予算の上で。それですから、防衛分担金減額できれば、それが直ちに社会保障費だのその他の方に、住宅建設の方に回せるものと最初思っていたんです。大蔵大臣は、防衛庁費の方に特別の金を用意して、頭の中で用意していなかったのだろうと思うのですが、それですから、防衛分担金減額防衛庁費増額の方にもっていったのだろうと思うのです。私の頭では、防衛庁費というものは、もう条約上きまっているからして、大蔵大臣考えていただろうと思う。それですから、防衛分担金減額ができれば、それが住宅の方、あるいは社会保障の方にもっていけるものと自分一人で考えていたわけです。(「それは珍しいことをおっしゃる」と呼ぶ者あり)
  9. 木村守江

    木村守江君 私はただいまの総理の率直なる、偽わらざる答弁に対しまして、心から敬意を表するりであります。(「敬意じゃないぞ」と呼ぶ者あり)しかし、この話を聞きまして、非常にふに落ちないことは、一体大蔵大臣は、防衛庁費をもっと総理大臣考えておるような状態にできなかったかというような結果はどういう関係にあるのか。今の話を聞いておりますと、大蔵大臣のそろばんの思い違いか、あるいは、いわゆる内閣不統一ですね、全く食い違った考えをもって、予算編成に当っておった。全く食い違った考えをもって、あるいは選挙演説あるいは施政方針演説を行なっておったということを言えると思うのですが、これに対する御答弁を願います。(「その通り」と呼ぶ者あり)
  10. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答え申し上げます。これは、私は、やはり、言葉の違いで、お金でありますから、どの金、この金というしるしがあるわけではないのであります。(笑声)従いまして、私と総理大臣考えが違うわけではありませんので、私はこの防衛庁費分担金施設費、全部の金を防衛支出金が前年度の千三百二十七億、このうちと、こうきめておったわけでありますから、それがきまれば、他の一般のものについて総理の言われるような、たとえば、社会保障費に回すとか、もしも、これが前年度以上になるということになれば、社会保障費に、内政費に回そうと思っておるものを、防衛庁費の方にもってこなくちゃならんということになりますが、そうでないのでありますから、総理は初めから取っておけばいいとこう言う。私はまあ、防衛庁費の方を取っておく。結局、これはお金のことですから、結果は同じお考えだろうと考えておるのであります。そういうふうに御了承を得たいと思います。(「ごまかしだ」と呼ぶ者あり)
  11. 木村守江

    木村守江君 どうもただいまの大蔵大臣答弁は、全くもう言葉の魔術と言いますか、ごまかしではないかと私は言わざるを得ないのであります。何となれば、ただいま総理が言われましたように、防衛分担金を少なくして、その少なくなった金を、あるいは社会保障費、あるいは住宅建築費その他の公約に向けるつもりであった、ところが、大蔵大臣防衛庁費としてきまった金を取っていないで、その減少した金を防衛庁費に振り向けなければならなくなった。こういう答弁をいたしております。そうしたら、金は同じだ、どこの金も同じだ、番号がついているわけではないというような話をしておりますが、これはある金とない金とは違うのです。
  12. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 予算編成に対しまして、防衛庁費のことについての閣議決定は、先ほど申しましたように、防衛庁費分担分その他全体の防衛支出金を前年度ワクにとどめる、これが閣議で御決定を願ったのであります。これに基いて私が予算編成をいたしたのであります。ですから、この点については何も私は意見の相違はないと考えております。
  13. 木村守江

    木村守江君 ただいまの問題につきましてはどうもどうしてもわからないのですが、時間がありません関係上、これを保留いたしまして、次の問題について御質問いたしたいと考えております。  大蔵大臣は、防衛関係費の問題につきまして、十日分本委員会において同僚の木村禧八郎君の質問に対しまして、きわめて僅少ではあるがパーセンテージの点で増額しておることを指摘されまして、これを認めざるを得なくなったのであります。しかし私はそれとは別に、実質的に昭和二十九年度防衛費よりも昭和三十年度防衛関係費増額しておると認めざるを得ないのであります。大蔵大臣はどう考えるか。
  14. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私は増額はしていないと考えております。
  15. 木村守江

    木村守江君 大蔵大臣防衛関係費は三十年度は二十九年度よりも実質的に増額していないというような御答弁でありまするので、私は昭和二十八年度繰越金昭和二十九年度繰越金は幾らであるかをお伺いしたい。
  16. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 二十八年度から二十九年度への防衛庁費繰り越しは……。
  17. 木村守江

    木村守江君 総額
  18. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 防衛庁費からまず申し上げます。約二百五十五億でございます。二十九年度から三十年度への繰り越しは約二百三十三億であります。そのほかに防衛支出金繰り越しが二十八年度から九年度へは約四十五億、二十九年度から三十年度へは約五億でございます。そのほかに安全保障諸費という費目がございますが、これは財政法第四十二条の特例によりまして、特に二十九年度限り繰り越し使用も認められたのでございますが、その額が約百四、五十億であります。そのうち昨年度中に使いました金額が八十二億くらいと、さようなことになっておりますが、詳細はもう少し資料を整えて申し上げます。
  19. 木村守江

    木村守江君 私の調査によりますと、昭和二十八年度一般会計繰越金は一千二百七億円であります。二十九年度繰越金は大体において六百億円見当だと言われております。こういう点から考えますと、二十九年度一般会計予算額九千九百九十八億円であり、本年度予算が九千九百十四億円というような状態でありますと、二十九年度においては実際実行されました金額というものは九千九百九十八億円プラス一千二百七億円であり、本年度の実行すべき予算というものは九千九百十四億円プラス六百億円であると考える。こういうような点から考えまして、本年度防衛関係費が一千三百二十三億円であり、昨年度防衛費が一千三百二十七億円であると考えましたならば、私はパーセントの上におきまして、昨年度は一四・四%であったのが、本年度は一五・二%以上になると考えるのであります。かような点から考えまして、私は、大蔵大臣は実質的に増加していないと言っておられますが、金額の点においては増加していないかもしれませんが、実際の実質的な予算の面から考えますれば、優に増加いたしておると言わなければならないと思うのであります。大臣はどう考えるか。
  20. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 繰越額数字を私が申し上げましたのは、いわゆる防衛関係費だけの繰り越しを申し上げたわけでございまして、先ほど概数で申し上げましたが、もう一度正確な数字で申し上げますと、保安庁費におきまして二百五十三億円が二十八年度から九年度への繰り越し、今年か防衛庁になりましたが、二十九年度から三十年度へは二百三十三億、そのほかに防衛支出金が二十八年度から九年度へは四十三億、三十年度へは五億、ほかに先ほど申し上げましたように安保諸費繰り越しが昨年は百四、五十億ございましたが、これは本年度にはいわゆる事故繰り越しだけで、その数字は後刻詳しく申し上げます。ただいま木村委員のおっしゃいました繰越額数字は、これは全体の繰越額でございまして、それは御指摘通り、二十八年度から二十九年度へは千二百八億、ただいま申し上げました防衛関係費のほかに、連合国財産保障費とか公共事業費その他あらゆる一般会計費目が入っておるわけでございます。それが千二百八億、本年度はそれが六百億ということに相なっております。全体のいわゆる予算原額といたしましては、昨年度の方が繰越額が多かったわけであります。その繰り越しを含めた予算原額に対する千三百二十七億、それから今年の繰越額が少い予算原額に対する千三百二十三億、その割合をとりますと、なるほど御指摘通りに本年度防衛関係費の比重が多いということになりますが、これは予算規模考えます場合には、私ども年度からの繰り越し、後年度への繰り越しを一応除外して考えるべきだというふうに考えておるのでありまして、その意味予算原額でなくてやはり予算総額、当年度予算額の中での防衛費規模あるいは防衛費金額考えまして、前年との増減を考えるべきではないかと、さように考えて上るおけてあります。
  21. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今の繰越額の二十八年度よりの内訳を資料として後刻御提出願いたい。
  22. 木村守江

    木村守江君 大臣答弁を願いたい。
  23. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 先ほど主計局長からも答弁しましたが、この繰越金を含めないところで予算規模考えております。含めるとそれはおっしゃる通りになります。
  24. 木村守江

    木村守江君 どうもやはり主計局長が言ったように、実質的には防衛関係諸費は二十九年度より三十年度がふえたということが言えると思うのであります。  次に総理大臣にお尋ねいたしまするが、私は真の平和は、ほんとうに心から打ち解け合った平和でなければならないと思うのであります。すなわち鳩山総理大臣言葉を借りて申し上げますならば、真の友愛精神から出発したものでなければならないと思うのであります。しかし今日の世界状態は決してかような友愛精神から出発した状態ではなく、軍備による力の平和であるといわなければならないと思うが、総理大臣ほどう考えておられますか。
  25. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 大村君のお話の通りに、今日の平和は力によるバランスから起きておる平和だと思います。
  26. 木村守江

    木村守江君 総理大臣がただいま私が申し上げました現在の世界の平和は、軍備による力の平和であると申されたのであります。さよういたしますと、日本サンフランシスコ平和条約によりあるいは安保条約によりまして、自由主義国家群の一員として集団保障の責任を持たなければならないことは、今さら申し上げる必要がありません。ところが日本ソ連とは戦争状態にあり、米国ソビエトとは第二次世界戦争以来盟友国として、戦後も国際連合代表国として両者の間は表面的にきわめて平和なはずでありまするが、真実は力の平和である、辛うじて平和を保っておる状態でありまして、決して友愛精神に基く平和ではないといわなければならないと思うのであります。この間に立ちまして、日本ソ連戦争終結によって平和状態にしようとする、しかも日本は依然として自由主義国家群米国を中心とした国々と集団安全保障ワク内になければならない。そうしますと、今の総理のなさんとするいわゆる対ソ交渉というものが、戦争状態終結にあるといたしますれば、それは表面の平和を作り、内心冷戦状態に導入することでありまして、全く意味をなさないナンセンスといわなければならないと私は思うのであります。またこの際、この機会に総理はあるいは歯舞、色丹その他の領土問題、あるいは漁業権の問題、あるいは同胞の抑留問題その他を処理する目的であるかどうか、このことについてお伺いいたしたいと思うのであります。私はこのことを尋ねる理由といたしまして、一体ソ連に対しまして、ソ連というものが警戒を要しなければならないという点は、戦争状態にあるから戦争をもってソ連日本を侵略するということではないと思うのであります。平和に名をかりましていわゆる共産党の平和攻勢によって、平和侵略によって、ひいては日本の国内に暴力革命を企画するというようなことをおそれておるのだろうと思うのであるが、総理は一体どういうような考えを持っておられるか、どういうような考えで、今回の日ソ交渉を進めておられますか、御説明を願いたい。
  27. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 今日の平和は力による平和だとは思いますけれども、しかし同時にやはり世界各国友好関係になることを希望しておるのであります。力による平和というものはお互いに力の競争になりまして、決して永続するものではないのであります。その間に各国はやはり友好関係によって世界の平和を維持したいというような考えをすべての国が持つようになると思うのであります。特に日本ソ連との間は戦争状態終結がまだ未確定事態になっておるのでありまするから、これを確定事態にもって行くということは特に必要があると思うのであります。イギリスのチャーチルのごときはソ連国民は、戦争によりあるいは革命によりあるいは飢餓によって非常に疲弊こんぱいしておる、それに衣食を与えようじゃないか、これに楽しみを与えようじゃないか、そうして友好関係を結ぼうじゃないかということを提唱したくらいに、やはりイギリスソ連との間の友好関係を回復することに非常に熱心であったのであります。そういうわけでありまするから、各国は力による平和ではあるけれども友好関係をまた一面において持とうとするのは、私は世界の情勢だと思います。
  28. 木村守江

    木村守江君 私はただいまの総理大臣のお答弁に対しましては総理考えておるいわゆる根本精神である友愛精神というものと、いわゆるソビエト考えておる共産主義というものとが根本的にイデオロギーの点において違っておると同じように、この問題につきましては了承でき得ない点がありまするが、この質問は後日に譲りまして、通産大臣に次にお尋ねしたいと思います。  まず通産大臣にお尋ねいたしたいのは、私は昨年電力料改正の問題についてお尋ねいたしたのであります。昨年電力料金の改訂のときは、電源開発等により電力会社が赤字になるので、夏料金を廃して冬料金一本にすることにしたい。四月以降の料金については四月になってから考慮するとのことであり、しかもこのことに関しまして、私は前国会においてこの席上から石橋通産大臣質問したのでありますが、大臣冬料金頭打ちして三割以上の値上りを防ぎたい。電力料金の根本的なことについては、なお研究したいというような御答弁であったのでありますが、大臣が二二〇%で頭打ちした、すなわちもとの夏料金より三割値上げした価格が適正と考えられておりますか。その後の電力事情はきわめて良好である点からかんがみて、あるいは税金の問題とかあるいは利子補給の問題とか、そういうものが解消したようにも思われるし、また一三〇%の頭打ちも少し値上げをし過ぎたと考えていないか。日本産業の大きな原動力であるところのこの電気料金、しかも国民大衆に大きな影響を持つ電気料金に対しまして、大臣はどういうような考えを持っておられますか。
  29. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) お答えいたします。冬料金夏料金を一本にして、まあその結果としてある程度の値上げをするということは、前内閣に、一昨年になりますが、きまったことであります。ただその際に四月になったら何らかの考慮をするということを前内閣である程度の公約をしておったわけであります。そこで本年になりましていろいろ研究いたしましたが、急にこれを大幅に変えるということは困難でありますので、御承知のように取りあえず家庭料金を三割頭打ちということで決定して、御了承を得た次第であります。これはむろんこれで満足しておるわけではございません。だが御承知のように、今後電源をどういうふうに開発するか、とにかく日本の一番大きな資源である水力開発ということはやっぱりやらなくちゃならぬと思います。同時に火力発電が近頃だいぶコストが安くできるということになりましたので、この火力発電、特に低質炭の利用による火力発電ということも考えて、これを奨励いたしておりますが、これらのことはありましても、いわゆる水力開発は、すればするほど高くなるというわけではございませんけれども、これはもう古い部分の、つまりコストの安い、建設費の安い部分がだんだん割合いが減りますから、その結果を受けて、どうしても料金がある程度高くなるということは、こういうことは御承知通り、今さら申すまでもございません。そこでこれをどうして今後処理するかということは、実は今非常な大きな問題で、関連するところが大きいものでありますから、実はまだ検討中でありまして、最後の結論に到達しておらないのであります。これは前にも申し上げましたようにできるだけ建設費を安くする、あるいはその中の公益事業的の部分は何とかはずして、電気へそのコストをかけないようにする、あるいは金利及び税金の問題も考えるということで検討を進めておる次第でございます。最後の結論に今到達しておりません。
  30. 木村守江

    木村守江君 ただいまの通産大臣答弁でありますが、どうか、この電力料の問題の起りました場合には、会社が赤字経営になるというような見通しであったのですが、これは会社は決して赤字経営になっておりませんので、どうぞそういう点からこの根本的な電力料金の問題については御解決を一刻も早くお願いいたしたいと考えておる次第であります。  次に、私は通産大臣にお尋ねいたしますが、私は先般の本会議におきまして、常磐地区における戸部炭鉱の地下乱掘により常磐市、内郷市の上水道、導水路が沈下されましてきわめて危険なる状態を呈しておることについて、これらの対策に関して質問をいたしたのであります。ところが大臣はその答弁に、「この採掘をいたしておりますのは戸部鉱業株式会社というものでございますが、これに対して厳重に戒告 その他の方法を講じております」、こう答弁されたのであります。この「厳重に戒告その他の方法」とはどんな一とであるか、具体的に御説明を願いたいと思うのであります。特に戒告という言葉は刑罰の一形式でありまして、いかなる判断からこの刑罰の形式をとったかを御説明を願いたいと思うのであります。
  31. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 戸部炭鉱に対しましては、先月の十九日に充填命令を出しまして、七月三十一日までに完成するようにさせておりまして、これは御承知のあの保安炭壁といいますか、保安炭壁が取り去られることから生ずる危険がありますので、その保安炭壁内の充填をいたすように命令を先月十九日下しました。七月三十一日までに完成するということで、ただいま工事を進行しております。一日おきに保安官が参りまして検査をいたし、向うからは毎日報告をさせることにして厳重にやっておりますから、内郷の方の問題は大体それで危険を去ったのじゃないかと思います。それから常磐の水道……、内郷の方は、単に水道の問題だけでなく、充填いたしませんと、そこに水が流れ込んで大被害を生ずる危険がありますので、充填をさせて急いでやっておるのであります。それから常磐の方は、水道に亀裂を生じたということでありまして、これはかなり工事にむずかしい点があり、もと常磐炭鉱が掘りました跡を戸部が引き受けてやっておるのでありますが、今どれだけのことをさせたらいいだろうかということを技術的に調査をさせております。
  32. 木村守江

    木村守江君 そうすると、大臣の本会議における厳重に戒告というのは、厳重に警告ということであるように考、えられますが、言葉の違いかもしれませんが、そのくらいにいたします。  いろいろ今の御答弁につきまして御質問いたしたい不審の点がありまするが、進行する意味におきまして次の問題をお尋ねいたします。  昨年十四号台風の被害の際宮川が陥没いたしまして、それに続きまして現在先ほどの内郷、常磐の水道の導水路の沈下の問題がありますが、それに対しまして導水路のすぐ下の直下の採掘禁止区域をどういうふうに設定しておられますか。
  33. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 採掘禁止はまだいたしておりません。
  34. 木村守江

    木村守江君 そういうところに私は非常な欠陥があると思うのであります。しかしその問題につきましてもまたあとの委員会で詳細に質問いたすといたしまして、次の問題を聞きたい。  一体通産省は、保安炭壁として残す破断角度は保安上ぜひとも必要であると私は考えておりますが、それは一体どの程度が適当と思うか。聞くところによりますと、ただいま問題化しておる常磐地区においては坑道通過を認めるという考えがあるようでありまするが、破断角度の軟化をきたすおそれがないか、特にとかくの批評ある鉱業権者に対しましてかようなことをなさしめて果して将来支障をきたさないという責任を持つことができるかどうか。かような軟弱な当局の態度が今日のように事態を悪化せしめ、いかに無謀な鉱業権者といえども、当局にもっと確固たる監督と指導の方針があったならばかような状態にはならなかったと思うが、どうですか。
  35. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) ただいまのことは、技術的になりますから、政府委員から答えさしていただきますが、大体大ざっぱなことを申しますと、私の感じでは、実は石炭の需要が非常に多いときにはつい石炭がほしい、経済的に石炭の需要があるだけにこれが乱掘させる危険があります。現在鉱害問題が非常にやかましくなりましたのは、実は石炭の需要が減ってきたということの反面でもあるわけでありまして、ちょうどこの際でありますから、できるだけ一つ鉱害の防止に努力をいたしたいと考えておる次第であります。技術的のことは政府委員に答えさせます。
  36. 正木崇

    政府委員正木崇君) ただいまの保安炭壁内の坑道の掘進でございますが、坑道の掘進のみでありますれば、深いという点もございまして、地表に影響はございません。しかしながらこの保安炭壁の坑道掘進を認めるかどうかということにつきましては、まだ施業案として出て参っておりませんので、出て参りました上でその内容を深く検討いたしまして結論を出したいというふうに考えております。
  37. 木村守江

    木村守江君 ちょっと局長に。現在保安炭壁の中を掘ったのはどうするのです。それを許可したのはどうするのです。
  38. 正木崇

    政府委員正木崇君) 保安炭壁の掘採は許可をしておりません。これは明かに施業案違反でございまして、これにつきましては、先ほど大臣から御説明申し上げましたように、保安法二十五条による充填命令を出しております。
  39. 木村守江

    木村守江君 局長にちょっと聞くがね、二十一年に施業案で保安炭壁の中を掘ることをちゃんと許可しておる。しかもそのときにはいわゆる導水路のあることを知らなかったと言っておる。それに対して……。
  40. 正木崇

    政府委員正木崇君) 二十一年の施業案の認可につきましては、防水炭壁は掘っていないと私は考えております。ただ図面上の多少の誤差がございましたかと思いますけれども、鉱業権者としては保安炭壁でないというふうな考えをもちまして掘進をしたと、うようなふうに考えられます。従いまして、監督官がこれを発見いたしまして直ちに中止の勧告をいたしました。
  41. 木村守江

    木村守江君 今の答弁は全く違っておりまして、これは実情を知らないと言わなければ私はならないと思うのであります。なお一そう詳細な調査をしてもらいたいと思います。  次に私は、これはちょっとこまかいことになりまするが、一体鉱業権というものは、施業案の認可によって初めて取得されるものであると思います。これによって初めて採掘ができ得るものであろうと私は考えております。しこうして一体その鉱業権なしに採掘しておるものに対してはどういうような処置をとってきたか。
  42. 正木崇

    政府委員正木崇君) 鉱業権がなく鉱業をやっております場合には、これも明らかに鉱業法違反でありまして、これに対しましては鉱業権の取り消し等の処分が考えられるわけでございます。
  43. 木村守江

    木村守江君 その通りにやってもらいたいと思います。  それから次に、鉱害は採掘の深度によって私は違うと思います。地下十メートルから九十メートル、あるいは地下百五十メートルから百六十メートル、このくらいの深さで掘ったならば、鉱害が一体何年ぐらいで起り、何年ぐらい続くのであるか、御説明を願いたい。
  44. 正木崇

    政府委員正木崇君) 地下採掘の影響が表面に現われます時間的な差異は、その地質の状態あるいは採掘の方法等によりまして異なっておりまするので、一がいに何年というふうに申し上げることはできないかと思います。
  45. 木村守江

    木村守江君 大体常磐地区で十メートルから九十メートルでは……。
  46. 正木崇

    政府委員正木崇君) 非常に浅い場合には二、三年で出ています。
  47. 木村守江

    木村守江君 ただいまの御答弁によりますと、先ほど通産大臣があの地区は戸部鉱業が掘った前に磐城炭鉱が掘っておったというようなことを言われておりまするが、私は、これは磐城炭鉱の、常磐炭鉱の前身である磐城炭鉱が採掘したのは昭和四年であります。磐城炭鉱が譲渡したのが昭和九年の十月の二十四日であります。こういうことから考えまして、沈下が二十一年から始っておって、二十七年度には最も盛んになっております。こういうことを考えて参りますと、私はいわゆるあの沈下は前の責任者にも、鉱業権者にも責任があるというような判定はでき得ないと思いますが、大臣はどうお考えになりますか。
  48. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) それは技術上のことでありますから、私にはここではっきりと御答弁を申し上げる資格がございません。
  49. 木村守江

    木村守江君 それでは前の答弁は取り消しますか。
  50. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) いや、前も磐城炭鉱に責任があると申し上げたわけではありませんが、磐城炭鉱の掘ったあとを戸部が引き受けてやっておりましたので、従ってそこのあとに残っておるまあ被害が、前のところをさらに掘ったからよけい被害が起ったのだろうということで、前の者に責任があるとかないとかいうことを申し上げたわけではございません。
  51. 木村守江

    木村守江君 政府委員に……。
  52. 正木崇

    政府委員正木崇君) ただいまの旧磐城炭鉱が採掘しました跡を現戸部炭鉱が譲り受けまして採掘いたしました。しかしながら、前に採掘いたしました跡は一応安定をいたしましておりましたのが、その後の採掘によりまして、沈下の現象を現わしたというふうに考えられます。しかしながら、前に掘りました影響と新しく掘りました影響と、二つの影響が地表に現われるということは、技術的に考えられるわけでございます。
  53. 木村守江

    木村守江君 ただいまの御答弁ですが、これは後刻また委員会において詳しく聞きます。これでやめておきたいと思いますが、私は当局がとりましたですね、あるいは施業案の不許可、採掘中止という勧告を、一応行政措置をまあとったのでありますが、戸部炭鉱が鉱業法を無視いたしまして、いわゆる二十三年度以来七年間も採掘を継続して、しかも今日のような状態を起したのであります。これに対して、私は当局がなぜもっと果敢なる態度をとり得なかったかをお聞きしたい。
  54. 正木崇

    政府委員正木崇君) この採掘の影響その他につきまして、十分慎重な調査をする必要がございましたので、なお私ども考え方といたしましても、なるべく命令を出すとかいうような方法でなく、よく了解をつけた上で十分な措置をとってもらうという方がいいというふうに考えましたものですから、多少時間をかけて折衝した次第でございます。
  55. 木村守江

    木村守江君 それから先ほど大臣が、あるいは充填命令を出したというようなことを言っておられましたが、しかもこれは非常に厳格な期限付で出したと言っておりますが、今日の被害の及ぼしている個所は、内郷と常磐と両市の水道であります。しかも内郷は全長にわたって沈下しております。それから常磐市は第一水道全部であります。しかも防水炭壁だけの充填命令を出しております。内郷の方は防水炭壁だけのこの充填命令を出しております。なぜ一体問題になっている導水路の保安炭壁の充填命令を出さなかったか。
  56. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 先ほど申しましたように、とりあえずこの内郷の方に充填命令を出したのでございますが、常磐市の方はただいまなお研究中でありまして、ずいぶん広い地区でございますので、それをどういうふうにやらせるかということをただいま保安局の方で検討しているところでございます。
  57. 木村守江

    木村守江君 ただいま問題になっているのは、これは水道の沈下の問題です。それに対しまして導水路の保安炭壁に対して充填命令を出さずに、私の質問は、導水路の沈下の問題なんですよ。それに対して防水炭壁だけのいわゆる充填命令を出して、それでいいと思われますか、なぜ一体これを早くやれないのですか。
  58. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) まあその仕事をとめさせてしまえば早いことになるのでありますが、これもなかなか大へんなことだろうと、決してそう簡単に行うべきじゃないだろうと思うのでありまして、もっとも戸部炭鉱なるものが特別の性格を持っているようにも聞いておりますから、それをその厳重にやるという必要は認めておりますが、しかしながら、とにかく一つの稼行をとめるということでありますから、これに対しては十分この被害の状況も調べなければならんが、同時にいろいろの点を考慮いたしまして処置をとらなければなりませんから、従って調査に幾らか時間がかかってくる、こういうわけでございます。
  59. 木村守江

    木村守江君 それでは一体いつごろまでにその調査が済みまして、いつごろからかからせられるおつもりでございますか。
  60. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) それは政府委員からお等えいたさせます。
  61. 正木崇

    政府委員正木崇君) 常磐市の水道の地下の採掘跡の状況につきましては、六月の六日から監督官を派遣いたしまして現地の調査をやっております。しかしながらここは先ほど申し上げましたように、旧磐城炭鉱が採掘しまして、なおかつその上を戸部炭鉱が掘っておりますので、非常に危険な状態になっております。いつ崩落いたしまして人命に被害を及ぼすかわかりませんので、その人命の被害を避けますよう調査をいたしますのに時間がかかります。従いまして場合によりましては遠方から写真等をとりまして、今後の状況をよく調べました上で、充填が果して地表に対して十分な効果を持つかどうかということの研究を今いたしている最中でございます。大体一週間ぐらいでもってこの調査は終りまして、御報告申し上げたいと思います。
  62. 木村守江

    木村守江君 これぐらいにしまして、最後に私はこの上水道の復旧の問題についてでありますが、これは何と考えましても、やはり今まで長い間法を無視して採掘しておったのに対する当局の監督の不行き届き、いわゆる行政措置の怠慢ということを私は見のがすことができないと思うのであります。そういう点から考えまして、これは現在あるいは充填不可能に陥った個所があるとか、あるいはなかなかむずかしい点があるとかというようなことでありまするが、これから今やめましてもなお十年間ぐらいは沈下が続くということを考えなければならないのでありまして、こういう点から考えられまして、いわゆる両市民が安心するように復旧させるような当局において責任を持っておると思うのでありますが、どうでございましょうか、責任をもって復旧させるような考えがありますか。
  63. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) それは申すまでもなく両市の市民の生活に脅威を及ぼすような事態を起さないようにいたす責任が、むろん政府にはございます。ただ実際はこれは常磐の方がことに最近問題になっておるのでありますが、筑豊の方でもなかなか問題が多うございまして、日本の石炭工業そのものの実は一つの大きな問題になると思うのであります。事柄は単に両市の市民の問題だけではないのでありますが、むろん当面においては両市の市民の生活に危険を来たすというようなことはさしてはなりませんから、その点においてはむろん政府は責任を負うてやらせるつもりでおります。
  64. 木村守江

    木村守江君 私はただいまの通産大臣の御答弁を信じまして、この程度でこの問題をやめたいと思います。  次に農林大臣に対して御質問申上げたい。御承知のように鳩山内閣が成立いたしまして以来、いろいろなスローガンを掲げまして、国民に宣伝して、選挙民にこびて参ったことは今さら言うまでもないと思うのであります。農林政策の点におきましても幾多この例をあげることができると私は考えております。しかし私はほかの閣僚は別といたしまして、あの政治性の旺盛な、しかも押しの強いと言わるるところの河野農林大臣でありまするから、農林省関係の問題だけは空念仏に終らないだろうというような期待を持っておったのであります。ところがここでも落胆を禁じ得ない幾多の点があるのであります。たとえば選挙さなかにおいて、農林大臣の一方的な、肥料審議会に諮らないところの肥料の値下げもその一つであろうと思われます。農民は農林大臣が肥料値下げを行うというので期待して、下るのを待っておったのであります。とうに使わねばならないところの肥料を使わずに待っておったが、きまった肥料の価格はわずかに一かます五円です。十かます使う農家であっても五十円の値下りしがなかったのであります。すなわち世間をあれほど騒がした強引な河野農相の値下げ策も、選挙には大変きき目があったかもしれませんが、農民にはそれほど喜ばれなかったといってよいと思うのであります。御承知のように肥料は農作物にきかなければ何にもなりません。その値下げもまた農民のふところ工合にきかなければ何の役にも立たないのでありまして、私は選挙のみにきいたのでは何の役にも立たないと言わなければならないと思うのであります。一体農林大臣は、これからこの肥料の価格の問題をどうするつもりであるか、あの鳴りもの入りの宣伝で、これでおしまいであるというようなことになりましたならば、私は非常に農林大臣の政治性のみではありません、一般の政治家に対して国民の不信を買うと言わなければならんと思うのであります。どう考えておられますか、御答弁を願いたいと思います。
  65. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。肥料の問題の中で硫安の問題だけが業者の諸君の協力を得ることができませんで、当時、お説のように所期の目的を達することはできませんでしたが、肥料三要素全体で見れば当時すでに大体三十億くらいの値下げになっておるのでございます。さらに私は当時大体この肥料年度において十万トンの増産ができるであろう、そうすると大体このくらい下げていただいてもいいだろうとお願いいたしたのでございますが、結果は最近になりまして約十万トンの増産になっておることは、これは事実でございます。従いまして近日開催いたしまする肥料審議会に付議いたしまする政府の案といたしましては、相当に農民諸君の期待に沿うような値下げに私は持って行くことができると思っております。これは硫安でございます。その他過燐酸、石灰窒素、石灰窒素の方はこの間の値下げでその後あまり採算が、今度値下げをするというような事態にはならぬと私は考えますが、過燐酸もしくはカリについてはさらにもう一段の値下げをしてもらってもいいんじゃないか、こう考えておりまして、農産物の生産費の引き下げに肥料の面から相当の期待はできると私は考えております。
  66. 木村守江

    木村守江君 私はただいまの、これからの値下げの問題を期待いたしまして、次の質問をいたします。  本年度政府の買い入れ米の数量は二千三百五十万石と予定されておるのであります。今かりにこの買い入れ値段を、ただいま問題になっておる一万二千円といたしますと、予算米価よりも石当り四百六十一円の値上りとなると私は思うのであります。そうすると食管特別会計に新たに百八億円に上る負担が生じて参ります。先に問題になりましたあの政府の不用意な発言から支払わねばならなくなった産米の減収加算額三十二億円と合せますと、百四十億円に及ぶ赤字が予想されて参るのでありまするが、このような膨大な赤字をどのように処理されるのであるか。消費者価格を引き上げるようなことはないと思うが、これをやるつもりか、または一般会計から負担する予定であるか、お聞かせを願いたい。
  67. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。三十年産米の米価の決定は、目下政府におきましてもいろいろ検討いたし、また民主党の政務調査会もしくは自由党の政務調査会、社会党両派の政務調査会におかれましてもそれぞれ御検討のようであります。私といたしましては、今回の予約集荷制度は農民諸君の御協力を得なければなりませんのでございまするから、一方的に政府が単独できめまするよりも、相なるべくはこれら院内の勢力と、各種の方々の御意見も十分尊重いたしまして、この方向を見て決定する方が妥当であろうというように考えておるのでございます。ただいま御指摘になりましたたとえば一万二千円とか言われましたが、一万二百円でございます。一万二百円というようなことを言われるへもありますが、それらにつきましては、いずれも、どうせ今月中にはきめなければならぬと考えておりますので、今これについてはしばらくお答えを控えさせていただきたいと思うのでございます。  なお、今のお話の、政府の不用意な発言のために減収加算の支払いをしたのではないのでございまして、減収加算は減収加算方式によりまして、昨年末の実収の数字からそういう結論になった(「本当かなそれは。」と呼ぶ者あり)ということに御了承いただきたい。
  68. 木村守江

    木村守江君 私は日本の農業というものは、あらゆる面から考えて農産物のコストの高いのが現状であると思うのであります。これらのことは、あるいは経営規模とかあるいは集約度の高い日本の特殊性によることは申し上げる必要もないと思います。米価の問題がこれに関連しまして非常な重要な問題になって参りまするが、御承知のように世界の食糧事情というものは年々好転して参っております。終戦後の売手市場から現在は完全なる買手市場に変っております。準内地米というものも相当値下りして参っております。本年度の外米購入予算価格も、トン当り百六十四ドルと言われております。国内産米よりも安い値段になっております。これらの外米価格は当然政府の食管会計で操作され、内地米が保護されるのでなければならないと思っておりまするが、農林大臣自身は、安くなりつつある外米に魅力を感じまして、貿易でもうけて安い米を買う点に主眼が置かれておるのではないかと思われる点があるのでありまするが、この点いかがでありますか。また米の値段の問題につきましてでありますが、本年度買い入れ価格は予算の点から申しますと、九千七百三十九円となっております。私はこの値段では安いと思っております。また民主党の方々も一万二百円という数字はどうであるか、このただいまきめられました政府予算の九千七百三十九円では安いというような声が多いようであります。またこういう点から考えまして、今一万二百円というような問題が起っておりまするが、これに対しまして予約制度を設けられるようであります。この本年度の産米の予約制度によって買いつけされるのでありますからして、一体農民が予約制度によって買いつけされるためには、作付けさせられる前に買い入れ価格を示さなければならないと私は考えております。一体いつごろにどのような価格で買い入れを行うつもりであるか、お示しを願いたいと思っております。また、予約制度に基くところの前渡金はどのような経路、どのような方式によっていつ支払われるつもりであるか、この点もお伺いいたしたい。
  69. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。  外米、外麦を安く買って、それを操作して内地米の価格をある程度周くして行くつもりであるかどうか、この点について第一にお答えいたしますが、これは私が申し上げるのは少し独断に過ぎるかもしれませんが、私は今日の一般の貿易の面から見ましても、輸入するものと輸出するものとの価格、これらの損得等から考えて、今日の為替のレートのあり方がどういう実態にあるか、その結果外国産のものを入れる場合、これが非常に割安に入ってきて、国内で作られるものが割高になるというようなことを考慮の中に置く必要があるのではなかろうか。決して農民を保護する、農産物を割高に買うというような考えだけでなくても、そういうことがある程度考えられるのではなかろうかと思うのであります。でございますから、安い外米を買ってそうして内地米を圧迫するだろうと河野は考えておると、しきりに世間で言われますけれども、決して私は、たびたび申し上げますが、そういうふうな考えではないのであります。食糧問題はあくまでも全国民の食糧を勘案いたしまして、これに対してどういう施策を講ずるかということで考えるべきでありまするし、今、米価の決定をいたしまするに当っては、わが国の農業経営、農業政策の観点から米価の決定をして参りたいというふうに考えるのでございます。でございますから、これをむやみに関連して考えるわけには参らぬ、外国の米が下ったからといって、これに内地の米がつられて行かなければならぬものではなかろうというふうに考えまするが、そこで、内地の米価の決定は、先ほど申し上げましたように、九千七百三十何円といういわゆる予算米価、この予算米価は従来予算に米価を想定いたしまする際に前年も、前々年も考えられたもので、単に予算上こういうふうに処置するということできめたのでございまして、常に予算米価とほんとうの米価の決定の間には関連はございません。でございますから、三十年産米価の決定に当っても、この予算米価が九千七百三十何円であるということは、全然考えの中に置く必要はない、これはあくまでも従来考えられておりまするところの物価指数の傾向でありますとか、ないしは生産費がどういうふうになるとかというようなものを基準にして考えまして、妥当な価格をきめて参りたいというふうに考えておるのでございますが、これらの決定につきましては、先ほど申し上げました通りに、今せっかく研究中でございます。お許しをいただきたいと思います。  時期はどうか、この時期はなるべく早いがよろしい。私は大体この六月の十五日を目途としてやりたいと思っておりましたが、十五日にはまだ参議院の方で米価審議会の委員の御決定もいただかぬようなことでございますから当然問に合いません。間に合いませんが、一方別の条件から参りましても、まだすべてが整っておりませんから、少しおくれると思いますが、なるべく早くきめたい、こう考えております。その他前渡金の問題でありまするとか、減税の問題でありますとかというようなことにつきましては、政府部内においてせっかく検討中でございますから、決定いたしますまでしばらくお待ちを願いたいと思います。
  70. 館哲二

    委員長館哲二君) 持ち時間が来ておりますが。
  71. 木村守江

    木村守江君 ちょっとお尋ねしますが。
  72. 館哲二

    委員長館哲二君) これから超過時間は所属会派の時間の中から差し引きますから。
  73. 木村守江

    木村守江君 日本の農業というものの特殊性から考えまして、私はどう考えてもいわゆる保護農政を持続して参らなければいけないと思うのであります。世界の農業の中にほうり出すというような考えであっては、この恵まれざる日本の農業の実体から申し上げて、どうしても妥当でないと私は考えておりまするが、農林大臣は本年度予算の編成に当りまして、いわゆる補助金を打ち切った、いわゆる補助金を整理したというような点が明瞭になっておりまするが、今後一体この補助金をどうして参るつもりであるか、どういうような考え方でどういうような観点から補助金の整理をはかったかを御説明願いたい。(池田宇右衞門君「関連質問をあとでいたします」と呼ぶ)
  74. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えをいたします。本年度予算の編成は、御承知通り一兆のワクの中へおさめるという基本方針の中にあっていたしたものでございますから、補助政策について十分でなかったことはかねて申し上げておりまする通りであります。ただ、その中におきましても、従来の農業政策を、順次戦争占領の段階から日本の農業の自然的なあり方に変更して参る必要があると考えまして、ここに多角経営を極力推進して参りたいというような観点からいたしまして、畜産でありますとか、養蚕でありますとかいうような方面に比較的力を置いて予算の編成に当りまして、農林省予算の中で減額さるべく予想される数字の中で、ここに多少の高低をつけて処理いたしました関係から、一部においては非常に補助金が大幅に削られたものもあれば、一部においては現状維持、もしくは新たに補助金をつけたものもあるというようなふうにいたしたわけでございます。
  75. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 国連。この際農林大臣一つお尋ねしておきまするが、どうも米価審議会において大臣は、今までのパリティをある程度まで参考にするが、生産価格を基準として米価を打ち出したい。これは非常な一歩前進したことであると承知しております。しかるに今まで米価審議会の委員の顔ぶれを見れば、おざなりの役所上り、学者の一部とか、ちっとも変っておりません。野に遺賢がある。少くとも米の価格に対する生産価格を基準とするならば、日本におけるところのあらゆる稲作に対する権威者が各府県に相当あります、各府県の中から人選をしてその地方々々において生産が違っておるが、これを総合して、そこに生産価格を打ち出して、これを十分ににらみ合わして、そこに生産価格の——米価の正しい、公平に適するような——少くとも生産農民の納得のできるような価格を打ち出すのが、今日新しい農政の一歩であろうと思います。言うことはなかなかけっこうなことを言うが、仕事は一つも新しい面が加わっておりません。ことに、この点は総理にもお尋ねしようと思いましたが、各大臣ともいよいよ詰まれば審議会に諮る。審議会に諮る、そういう言いのがれは今日通じません。もっと河野農相に対しては、全農民が非常に期待を持っているが、端から裏切っていけば、全くさっきの木村君の話ではないが、糸のほどけるようにだんだんに始末がつかなくなってしまうのであります。この際そうした決意があるか、またここで農政を一新するところの熱意があるか、はっきり答弁を望むものであります。
  76. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 御指摘でございますけれども、米価審議会は審議会の従来の委員政府が勝手にきめておるのではございません。たとえば衆参両院からそれぞれ代表者をお願い申し上げるとか、ないしは各方面のそれぞれの団体の代表者をお願いいたしておるのでありまして、決して農林省の役人をやった人を押しつけるようなことを勝手にしておるのではないのでございます。  もう一点は、審議会の議を経て諮問してその上できめることになっておるのでございますから、これを全然無視してきめるわけに参らないものでございますから、そこで私は審議会の答申を待って政府としては考える、こう申し上げたのでございまして、決して審議会に責任を転嫁して言いのがれをするというようなことは考えておりません。どうぞお許しを願いたいと思います。
  77. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 それでは通り一ぺんの答えであって、今後は少くとも生産価格を打ち出す基盤を——相当活路を開かれなければなりませんと思うが、そういう方法をおとりになって、よく野における各県の代表者をして農政を刷新する決意があるかどうかということを聞くのであります。
  78. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。これは数字でございますから、別の農林行政を刷新をする意味においては各県の代表者を——お話のような方々の御意見は十分伺ってやるつもりでございますけれども、今の米価の決定に当りましては、これは生産費の数字をちょうだいするのでございますから……。
  79. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 今後の農政を聞くのです。
  80. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 今後の農政につきましては、池田さんの言いますような方々の御意見を十分拝聴いたしまして、決定いたすつもりでございます。
  81. 左藤義詮

    左藤義詮君 議事進行。先ほどの農林大臣の御答弁の中に、米価の決定は急がなければならぬ、これは木村委員質問のように集荷制度という——予約制度というような画期的なことをなさるのでありますから、作付をいたしますまでにできるだけ早くお示しにならなくちゃならぬと思うのでありますが、それが非常におくれている理由の一つとして、米価審議会の委員がきまらない——参議院でまだそれを議決しない、いかにも参議院に責任を転嫁したような御答弁でありましたので、この点につきましては、何月いつかに参議院に承認を求められたのであるか、またこういう重大な案件であるから一日も早く議決してくれるようにということの努力をしておられるかどうか。いかにも参議院がじんぜん米価審議会委員決定しない、そのために全国農民に不安を与えておるというようなふうにとれる御発言でありますので、参議院の名誉にかけましても、その点をはっきり一つお示しをいただきたい。
  82. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。これは五月三十一日で前任者の任期が切れるものですから、六月一日から新たな人にかわるということでございますので、六月になって手続をとったのでございます。決してむやみにおくれておるという意味で申したのではございません。  もう一つは、先ほどのお答えの中にも申し上げました通りに、審議会の委員もまたきまらぬ分もあります。それから別に私はこれこれのことで、それらを十分考慮いたさなければなりませんからと先ほどの御答弁に申し上げた通り、決して参議院に責任を負わして云々というような考えは全然持っておりませんから、この点は誤解のないように御了解いただきたいのであります。
  83. 左藤義詮

    左藤義詮君 私はただいまの御答弁は、さようにとれたものですから、この参議院の名誉のためにお尋ねしたのでありますが、それでは六月一日からの任期であるから六月になって手続をした、それが今日までまだ議決ができない。なぜ議決ができないのか、そういうことを十分御了解になっているのであるかどうか、あるいはこれに対してこういう非常に重要な問題であるから、一日も早く議決をしていただきたいというような了解工作と申しますか、政府が誠意を尽くして参議院に御交渉になっているのでありますかどうか、その点を一つはっきり伺いたい。
  84. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。これは六月になっておりますけれども、前任者の方と今回は人がかわるようになった点もございまして、これは事前にお打ち合せをいたしまして、今度はどなたを御推薦申し上げようというお打ち合せをいたさなければなりませんので、その間に多少の時日は遷延いたしました。で、ようやく決定いたしましたので、お願いをいたして目下いろいろお願い中でございます。今日にも本会議があれば御承認を願っておると心得ております。
  85. 小林孝平

    小林孝平君 農林大臣は先ほど自由党も、それから社会党もそれぞれ米価の問題について研究中であるから、十分その意見を聞く、こうおっしゃったのです。これは農林大臣として従来かつてない重要な発言であろうと思う。具体的にどういう形で各政党のこの米価に関する意見を聞かれようとするのか、それをお伺いいたしたい。
  86. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。民主党、自由党のことは、これは民主党とは私は自分の所属する政党でありますから、十分意見を交換しております。自由党の方面にも、国会対策委員長その他に申し上げてそれぞれの機関をお作り願えるように——これはそちらからもお話がございましたし、相なっております。社会党の方からは、おとといでございましたか、私のところへ要望書をちょうだいいたしております。そういういろいろ取引があるわけでございます。
  87. 小林孝平

    小林孝平君 そういうことは、従来からも行われているのです。今回農林大臣が特にそういう発言をされましたから、従来のような通り一ぺんのことでなく、非常に重要な参考としてこれを取り上げる、そういう決意のもとに発言されたと思うのであります。それで従来と違ってどういう取扱いをされるか、そういう取引と言われますけれども、具体的にそういう要望書をどういうふうに取扱うかということをお尋ねいたしたい。
  88. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 要望書をちょうだいいたしましたから、そこで私は、その要望書の中には一万二千四百円とぜひするようにということが書いてありました、そこで私は、それに対する私の私見も申し上げて、そうして農林委員会等に社会党の両派の委員の方々も出ていらっしゃいますから、それらの方々に私の意見も申し上げ、なるべくこれを円満にいくように実はせっかくお話し合い中でございます。
  89. 小林孝平

    小林孝平君 それは非常に重要であるから、私はくどいようでありますけれどもお尋ねいたしたい。この米価審議会に従来も社会党両派から代表が出ておった、だからこれは米価審議会の意見を聞いてやるといえば、それで従来通りなんです。特にそういうふうに社会党の意見も十分聞くとおっしゃいますから、どういう具体的な方法でやられるかということをお尋ねいたします。いかにも農林大臣は米価の決定はそういうふうに政党の意見を聞く、あるいは米価審議会の意見を尊重する、そういうようなことをやっているから米価の決定はおくれているように言われますけれども、それならばそういうように米価の決定がおくれているならば具体的にどういう措置をとられてそういう意見を参酌されるのか。
  90. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 米価の決定はまだ私はおくれておると考えておりません。決しておくれておるのでないのであります。これは値付の前に植付の前にとおっしゃいますけれども、値付の前にしなければならんのではないのであります。予約買付制度はとってからではいけません。とってからではいけませんけれども、植付前になるべく早いがけっこうでありますけれども、植付前でなければいかんという制度では私はないと思います。これは従いまして事務を運用いたします上におきまして、大体六月の十五日を目途としてきめた方かよろしいという御意見は先般の米価審議会の懇談会にもあったのであります。中には、社会党の諸君の中にも、九月にきめた方がよろしいとおっしゃっている人もあるのであります。従いまして決してこれは六月の十五日にきめなければならぬというわけではないのでありまして、私はなるべく早いがいいとは考えておりますけれども、日を切って、いつでなければいかん、先般の減収加算のように、これはきまったならば一日も早い方がよろしい、きまった以上は早く払え、これはごもっともでございます。しかし、今度の価格決定は六月十五日になったらいかん、これが二十日になったらいかんということではないと、現に各府県におきましてはそれぞれ予約集荷に対しまして事務的な手続は各県販連を中心にして進められておるように私は聞いております。でありますから、この農民諸君の努力に対してわれわれとしても一日も早くきめる方がよろしい、しかしそのきめる価格は、これは各方面の御意見を十分尊重いたしまして、参考にいたしまして、政府としても適当、妥当なところにきめることが最善であると考えておる次第でございます。
  91. 館哲二

    委員長館哲二君) 小林君に申し上げます。小林君は後刻御質問になる時間もありますので、この程度でおとりやめを願っておきます。  午前中はこれにて休憩いたしまして、午後本会議終了後再開いたしまして、片柳眞吉君の質疑に入ります。    午後零時三分休憩    ————・————    午後二時十四分開会
  92. 館哲二

    委員長館哲二君) 休憩前に引き続いて委員会を開きます。
  93. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 私はただいま問題になっておりまする今年の米価及び麦価の問題につきまして総理大蔵大臣、農林大臣及び経審長官質問をいたしたいと思うのであります。  米価の問題につきましては午前中他の委員からも御質問があったのでありまするが、この問題は生産者、消費者両面から見て参りましてきわめて重大な事項でありますので、数点に分かちまして御質問いたしたいと存ずるのであります。  最初は、これは特に総理にお聞きを願いまして御答弁を願いたいのでありまするが、米価の問題が非常に大きな問題でありますることはただいま申し上げた通りでありまして、その重大性からかんがみまして米価審議会におきまして農林大臣の諮問を受けてここで十分審議をして決定をすることになっておりますることは御承知通りでありまして、むしろ財政法三条の規定から見て参りますれば、事実上「国の独占に属する事業における専売価格若しくは事業料金については、すべて法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。」こういう財政法第三条の規定があるくらいでありまして、事の重大性なり、あるいは財政法の精神から見て参りますれば、むしろ国会決定すべき事項かとも思うのでありまするが、しかし諸種の事情で現在米価審議会に農林大臣が諮られて、決定をいたすことになっておるのであります。ところが新聞の報道等をいろいろ見ておりますと、むしろ中心の農林大臣なり農林省はほとんどサイレントでありまして、何ら御意見の発表がないのでございますが、ところが民主党の内部においても米価対策委員会を設置されて、廣川さんが会長になっていろいろ案を研究されておるようであります。あるいは一万二百円、一万百六十円、あるいは一万二百六十円、こういうような構想が新聞等に見えておるのでありますし、また大蔵大臣もおいででありますが、まあ米価は当然これは農林大臣が責任をもって決定さるべき事項だと、こう私は思っておりますが、何かしら米価の決定が農林省にあらず、大蔵省に移管をされたというような実は錯覚さえ新聞では持つのでございまして、事実は私はわかりませんが、去る十日の日本経済新聞の記事を見ますと、大蔵省では予算米価よりもさらに低いところの九千六百二十九円という米価を算定して与党である民主党に申し入れをしておる、こういうような記事も出ておるのでありまして、私は大蔵当局が財政上の見地から米価問題を審議することは、これは当然であると思うのでありますが、何かしらまた大蔵省自身が米価の細目にまで入っていろいろ意見を吐かれているという実は感じを持つのであります。そういう点から、実は私どももやはり米価の決定については午前中も小林委員から関連質問がございましたのでありまするが、もちろん与党なり自由党なり社会党の御意見を聞いて政府案の作成をすることはこれは何ら異存はございませんけれども、やはり最も権威ある決定をされるのはこれは私は米価審議会であると、こういうふうに実は確信をいたすのでありまして、要するに国会の議決にかわって便宜米価審議会でこれを審議するわけでありまして、そういう点から私は米価の決定についてはもちろんこれはきわめてナイーブな御質問になるかとも思うのでありまするが、米価の決定についてはどの機関の意見を最も尊重されますか。米価審議会、あるいは農林大臣というような、やはり所管機関の意見というものを尊重されることが当然であるのでありますが、先ほど申し上げましたような昨今の新聞等の情報がどうも肝心の農林省が全く沈黙を守っておって、他の政党なり、あるいは大蔵省方面から諸種の報道がされるということは、これは近く開かれんとする米価審議会の権威のためにも多少私は遺憾に思うような感じを持つのでありまして、財政法第三条の精神からして参りましても、あるいは事の重大性に照らしましても、要するに国会にかわる機関としての米価審議会でございますので、この意見を十分尊重されていただきたいと思うのですが、その点について総理の御見解を承わりたいと思います。
  94. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 農林大臣は諮問機関たる米価審議会の意見を最も尊重して決定するものと考えております。
  95. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 ただいまの総理の当然の御答弁了承いたしたわけでありまするが、そこで午前中にも農林大臣からもお答えがあったわけでありまするが、すでに東日本の方は植付がほとんど完了しておりまするし、再来月には新米も出回るというような、非常に時期も切迫しておりまするので、米価審議会を、十五日が困難でありましても、できるだけ早く開催をして、米価の決定を願いたいと思うのでありまするが、そこでただいま総理からもお答えがありましたように、米価については農林大臣の諮問機関である米価審議会の意向を十分尊重して決定していきたいと、こういうきわめてはっきりした御答弁であったのでありまして、またそうあるべきだと私も確信をいたすものでありまするが、そこでまあ米価審議会の結論がどうなるか、もちろんまだ予測ができませんが、以下私もあとで御質問申したいと思いまするが、どうしても昨今の情勢からしますれば、予算米価の九千七百三十九円ということでは、私は何も高米価のみを主張するわけではございませんが、九千七百三十九円では、米の再生産にも支障があり、特にせっかくの予約集荷制についても、この価格では私は米が集まらぬだろうという実は見解を強く持っておるのであります。そういたしますると、審議会が終ってみませんければわからないわけでありまするが、審議会で予算米価母上に答申をいたして、それを政府なり農林大臣が採用されて、あるいはその一部でもけっこうでありまするが、採用されて、予算米価以上に本年度の米価を決定した場合において、ただいま審議をしておりまする食管特別会計との関係がどういうふうになりまするかということを大蔵大臣に御質問いたすのであります。食管会計全体の赤字の問題につきましても、後刻時間がありますれば、御質問いたしたいのでありまするが、食管会計では現在三百億の予備があるわけでありまして、予算通過後に米価がきまって参りますれば、あるいは予備費を一応使うという行き方もあろうかと思うのでありまするが、今この食管会計予算の審議中に、政府予算米価以上の米価をきめたという場合において、この食糧管理特別会計を組み直すのか、あるいは便宜予備費を使って、これを糊塗していかれるのでありまするか。これは従来とも米価決定予算審議との時期がちょうど合致をしておりまするので、この辺を一つ明らかにしておきたいという意味で御質問いたすわけであります。
  96. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答え申します。まだこの米価についてはむろんきまっておりませんし、また御承知のようにこの米価がきまりましても、予算米価に比べまして、どういうふうにきまるか、そのきまり方にもまたよることであると考えております。ただ、今、私は予算を、食管の予算について修正をする、こういうことは考えておりません。
  97. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 今の点は米価審議会が開かれておりませんからそういう御答弁もされると思うのでありますが、大体大勢としては予算米価以上に私はきまるものと、実はきまらなければならぬというような見通しを立てておるのでありますが、そういう点から、かりに今、大蔵大臣の御答弁に対して、かりに予算米価以上に決定をされた場合においては、この食管会計をどういうようなふうで処理されていきますか。また、さらに邪推的な質問をいたしますると、そういうこともありますると、米価審議会の決定なり、あるいは最終の政府の米価決定がおくれるというようなことも、実は若干のそういう危惧を実は持つわけでありますが、かりに予算米価以上に、この食管会計の予算が最終的に成立する以前にきまった場合においてはどういう措置をとられますか、お答えを重ねて願いたい。
  98. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) ただいま私、お答え申し上げたつもりでありますが、繰り返して申し上げますれば、予算米価以上にどういうふうにきまるか、このきまり方にもよりますし、ただ、今ではこれは仮定のことでもありますし、食管の予算を変える、修正するという考えを今は持っていないということだけを申し上げておきます。
  99. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 今の御答弁で多少米価決定の権限に触れるような問題だとも思うのでありますが、大蔵大臣は現在米価が決定しませんから、予算米価でいくほかないという御答弁以外にないと思うのでありますが、要するに予算の成立前にきめた場合にどうするかという御質問をいたしておるのでありますが、その点は時間もございませんからこの程度にとどめて、次の実際問題につきまして御質疑をいたしていきたいと思うのであります。  そこでこれは総理大臣大蔵大臣に特に、これは一つの腰だめ的な見解でもけっこうだと思うのでありますが、この予算米価の九千七百三十九円という価格で、果して今年の米が集まるかどうか、そういう大局的な見地からの御答弁を願いたいと思うのであります。私どもはいろいろ資料につきまして調査もいたしておるのでありますが、米穀懇談会の答申の次第もありまして、過去二カ年間の生産者の手取り価格、これは二十八年産米は五百五十五円のいわゆる減収加算が入っておりますから、その点多少問題だと思うのでありますが、過去二カ年の生産者奨励金を含めての手取り価格の平均は一万二百六十六円であります。さらに二十九年産の、最近決定されました減収加算百四十円を加えますると、過去二カ年間の平均が一万三百三十六円ということになるのであります。もう一つは、これは政府から配付された官報による資料でありますから間違いがないと思うのでありますが、生産者の、要するに販売実数価格といいますか、政府供出価格と、やみで流した価格とのいわゆる実数価格というものは、二十八年が一万一千七百六十九円、二十九年が一万二百二十四円であります。これは結局闇と供出価格との加重平均でありまするが、こういう点も一つ実際上米価決定の参酌事項としてみるべきではないかと思うのでありまするし、さらに私どもは、米価審議会なりあるいは食糧管理法の精神から見て参りましても、生産費を大体やはり中心にみるということが、実はかつての食糧管理法の運用でもあったのでありまして、アメリカが進駐されて以来、パリティ方式をとっておりまするが、食糧管理法の条文を見て参りましても、生産費、物価、その他の経済事情を参酌して米価を決定する、こういうことになっているわけであります。そこでわれわれは、もちろんパリティ価格というような、他の物価との均衡という問題も、当然これば考慮はしなければならんところと存じまするが、やはり生産費というものにもつとも中心をおくべきではないかというふうに思っておるのでありまして、そういう意味から、もちろん生産費のとり方がいろいろありまして、むずかしいことではありまするが、大体従来の米価審議会等の大方の意向としては、供出限界農家、供出をしている農家で、一番小さい農家の生産費をカバーする、しかも問題は、肥料等の実際現金払いをするものは、これは概して問題がないわけでありまするが、二十数人から、あるいは自給肥料までもみて参りますれば、三十数人分の農家の自家労賃をいかなる基準で評価をするか、これによって生産費は大幅に実は違って来るわけでありまして、この自家労力の評価の場合においても、農村の賃金は、二百数十円から、農繁期の場合においても、まあ三百円どまりの、非常に安いのでありまして、同じ労働をしておる都市の製造業労務者と、大体労働の程度は同じであるという見方に立ちまして、要するに、同一労働同一賃金という見解に立って、やはり農村で働く人も、都市の製造業労務者と同じ賃金水準に均霑すべきであるという意見が実は強いわけでありまして、私どもも、同じ日本人で、同じ労働をしていれば、同じ賃金水準にあずかるということが、むしろ正しいのではないかというふうに思っておるのでありまして、そこで、都市の製造業労務者に準じた賃金で生産費をはじいてみますれば、今申し上げました供出限界農家の生産費というものは、大体農業団体が要請している一万二千四百円という数字も、決して私は無理ではなく出て来ると思うのであります。しかし何も一万二千四百円が金科玉条ではないと私は思うのでありまして、その辺は十分さらに検討の余地はあろうかと思うのでありまするが、今言ったような生産主義、あるいは実効価格、過去の二カ年間の生産者手取価格等を彼我勘案してみますると、腰だめ的な見解としては、私ども予算米価九千七百三十九円ではどうしても低いのではないか、少くともけたが一つ違っているのではないかというふうに実は率直に思うのでありまするが、これに対しまして、総理及び大蔵大臣から、腰だめ的な見解でも結構でありまするから、お答えを願いたいと思います。
  100. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今回の米価につきましては、先ほどからいろいろ御意見がありましたように、これは各関係者の意見を十分お聞きして、そうして政府の案ができるだろうと思っております。私といたしましては、そういう場合に本当に納得がいけばいいと考えておるわけでありますが、そういうふうな考え方であります。今、専門的なお尋ねで、たとえば米価について生産費方式というようなこともありましたようでありますが、まあ、これなんかあるいは非常に検討を要することだろうと思うのでありますが、しかしこれも非常な幅のある問題じゃないかと思って、これはまあ日本全体の米の生産ということから大へんな幅を持つというようなことも考えておる。特に私は財政上の見地からよほど考えなければならん。また、私自身の率直な見解を申し上げれば、早く米の値段を上げることが必ずしも農家がよくなるとも思えん。これは結局また回り回ってベース・アップがあり肥料が上がりというような、そういうことをせんために消費者価格を常に据え置くということになると、これはまた二重価格制度になり、財政負担が大きくなるのではないかと思うのであります。いろいろ及ぶところは大きいのでありますから、よほど考えなくちゃならんと思います。ただ九千七百三十九円の予算米価が、これが従来から見て非常に小さいじゃないかというのでありまするが、これは事務当局も十分検討を加えまして、予算米価として適当なものである、かように考えておるわけであります。
  101. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 今の御答弁必ずしも私はっきり了承できない点もあるのでありまするが、これは午前中他の委員から御質問があったようにも記憶しておりまするが、農村に対する補助金の整備、あるいは米価問題というものを考える場合に、どうも最近の都市の生活者に比して農村の方が少し暮らしが楽になっているというような、そういう私はやはり一つの基本的な考えが今の政府の中にはどうもそういう意見が多少あるのではないかということを実は心配をいたしておるのでありまするが、確かに今全体の水準としては農村の生活水準の上り方が最近はよろしいということも指摘はできると思うのでありまするが、ただ米の経済、米を生産して米を売るという米の経済から見てみれば、私はやはり米の生産者価格の上り方のほうが都市所得の上昇にくらべてむしろ低いということを、これは政府の発表した実は数字を引例して申し上げてみたいと思うのであります。  都市所得が、二十六年を基準としますると、二十九年が一五七・七%であるのであります。それから都市の所得の上昇率は五割七分七厘という数字が発表されておりまするが、それに対して生産者の手取り価格は一三二・三%、これを一般物価等の関係で実質的な生産者価格にこれを直しますると、実質的な生産者の手取り価格は指数で一二二・二であります。こういう点から見ると、米以外のほかの兼業収入なり、あるいはその他の農業収入を総合すれば、あるいは農村の方が割がいいということも、そういう議論もあるいは成り立つかとも思うのでありまするが、少くとも米を生産して米を売るという米の経済から見て、今度やはり私は米価が、やはり生産者価格が割安であるということが私は言えると思うのでありまして、米の生産をしなくてもよろしい、米を政府に出さなくてもよろしいということであれば、これは私は別でありまするが、やはり米をできるだけ増産して政府が把握をするという点からすれば、今言った点からも、やはり米は少くとも割安である、少くとも米の経済からいえば生産者価格は割安であるというふうに考えるわけでありますが、これに対しまして大蔵大臣から御所見を承りたい。
  102. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 米価が割安である、これは私はやはり米というものの国民生活における特別な地位からも考えてみなくてはならぬのじゃないかと思うのでありますが、どういうふうに今後において米価がきまるかにもよることでありますが、これは特に私米価が安いようにも……これは内外の経済の、物価の上昇率、国際的な農産物価格あるいはその他の国際的な物価の動向あるいは国内的な物価の動向、これはやはりすべてを勘案して考えていかなくてはならぬのじゃないかと思うのであります。こう思うので、特に私は米価で、若干ここで、私の考え方を申し述べさしていただけば、私は農村の出身であって、農村が非常に因っておる、あまり進歩しないということをよく承知いたしておるのでありますが、これはやはりどんなに米価を上げたからといって解決する問題でもない。むしろ米価は安定が先で、米を作る生産費を下げる方向に考えていくのがいいんじゃないか。農村のためにもまた全体の国民生活の上にもいいように考える。言いかえれば、肥料とか農機具とかあるいは税制とか、こういうものについては考える。こういう行き方で私はむしろ米価は解決すべきじゃないか。ただ年々米価を上げていく、そうして他の物価ははね返らん限り消費者価格を据え置いて人口はふえていく、こういうようなことを考えると、私これはよほど財政を考えないと、財政負担としてたえられなくなるおそれが多分にあるんじゃないか。こういう点について米価の二重価格ということを考えると、単にこれはいろいろな財政上の見地とか、あるいは政治的理念において異った見解を持てば別ですが、そうでない限りは考えなければならぬ。率直に申しまして今年の米価決定については非常に考えるときじゃなかろうかと、こういうふうに考えております。
  103. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 私も単に米価を高くせんために高くするという意見ではないのでありまして、さっき言った生産費なり他の物価との均衡から見ても、あるいは都市所得と生産者の手取り価格との、そういう関係からも実は申し上げておるのでありまして、私は結論としてはできるだけ避けたいと思いまするが、二重価格制も実はやむなしという見解をとっておりまして、この辺は今日は時間がございませんから、申し上げることを省略したいと思いますが、そこでその次に一つ農林大臣に特に御質問いたしたいのでありますが、米価がどうきまるかという問題が大きな問題でありますが、しかしそれは結局当面の問題としては、今年の三十年産米が政府にどの程度集荷されるかという問題とからむ問題でありまして、そこで私どもは、いろいろ農林大臣が御苦心をされて、予約集荷制というものに切りかえるということも考えられておるわけでありますが、いろいろやり方をかえても政府の買い入れ期待量が全然ふえておらんという点について私は非常に遺憾に思うのであります。二千三百五十万石、いろいろ仕組をかえて、また今言った米価が相当適正にきめられましても、二千三百五十万石ということでは、私は非常に、もっとどうして大きな数量を、政府は農村に対してなすことはなした上でやはり要求しないか、実はそういう感じを持つわけです。これは私のやっておった昔の、非常に供出過度の数字をあげることは適当でないと思いますが、現に昭和十七年には三千九百九十七万石の米が政府に買い上げられておりますし、ごく最近の終戦後においても二十七年までは最低二千五百万石から二千八百万石くらいの米は政府に出されておるのであります。自由経済時代の農家の販売量から見て参りましても、農家はやはり三千五百万石くらいの米は売っておるのであります。しかもこれまた官報に書いてある記事によりましても、二十八年のあの凶作の年においても、やみ米の数量が農家の販売面から推算すると約七百万石、消費者の面から推算すると千三百九十六万石、約千四百万石の米が横に流れておる、こういうことでありまして、まず常識的には一千万石以上の米が横に流れておることは、これはもう公知の事実だと思うのでありまして、そういう点から、私は特に、もちろん価格その他の問題について政府が誠意を示す必要がある前提でありますが、一千万石以上のやみをわかっておりながら、しかも制度をかえても二千三百五十万石とは、ちょっとこれはどうも今少しく、少くとも五百万石くらいのものを農村に対して協力を求めてよろしいかと思うのでありますが、その点につきまして特に農林大臣から御答弁を願いたいと思います。
  104. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。御承知通り予算でございますから、見方によって片柳さんのおっしゃるように二千六百万と見ることもけっこうでございましようし、二千五百万と見ることもけっこうだと思います。私といたしましてはまず昨年の実績の検討によりまして、価格におきましても九千七百三十幾らというものを考えますし、それから集荷する予定といたしましても、まず昨年の実績から考えて二千三百五十万石くらい見ておくのが適当だろうというふうに一応予算を組んでおるわけでございまして、これは今後農業団体の諸君とよく相談をいたしまして、米価の決定、集荷する予定量等につきましては一々その現実に当って処理をして参りたい、こう考えておるわけでございます。従いまして予備費におきましても前年に比べて非常に多い予備費を持っておるわけでありまして、そういうことで今後従来の行き方を予約制度にかえました関係で、緊密な連絡をとって最も時宜に適した処置をとって参りたい、こう考えておるわけでございます。
  105. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 関連。米の集荷の問題に関しまして、また米価ときわめて関連があるわけであり産すが、河野農林大臣は先ほど米価審議会の決定等を待ってきめるのであるが、まだおそくはない、むしろ中には早いと言う人もあるというようなことを言われておるのでありますが、本年におきましては予約制度をとるということであるのでありますが、従来の供出制度とはかなり違ったやり方をするわけです。農家といたしましてはどのくらいの価格で買い上げてくれるのかどうか、それにつきましてはその価格の決定によって予約をしてやってもいいが、これも強制力を持って値段が安すぎるのに強制的に供出と同じように予約して取り上げられるというようなことでははなはだ困る。従って予約制度をとるならば、農家が栽培計画を作る前に十分に価格も決定し、これこれで今年は買い上げるのであるから予約をしてほしいというような誠意ある、農民に対しましても誠意あるところの集荷方策をとるべきである。しかるにかかわらず値段はどの程度であるかわからない。そうして予約制度をとるというようなことは、本来の農民の琴線にふれていないところの政策であるというように農家は言うておるのであります。ただいま陸稲のごときものも、水田は他に作る方法もございませんから、稲を作るわけでございますが、もし米の価格が非常にいいというならば、今年の春のまき付に対しまして、陸稲を作った方が有利であるから今年は陸稲を作ろう、こういうことになりますから、米の生産も非常に上ってくるわけであります。ただいたずらに形式的にできる限り各方面から攻撃を受けないようにというような非常に用心深いやり方ではありまするけれども、実際に食糧を増産するという考え方からみましたならば、はなはだなまぬるいように私は感ずるのであります。これにつきまして農林大臣の御所見を承わりたいと思います。
  106. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。私は今月のうちになるべく早く米価の決定はするということにたびたび申し上げておるのでございまして、先ほど申し上げましたのは、一部の人の中には出来秋を待って豊凶の見通しをつけて、米価の決定をした方がいいという御意見がいまだにあるのでございます。でありますから、これは見方でございまして、先般の米価審議会の懇談会の結果早くきめろ、きめた方がよろしいという御意見でございましたから、そういうことに政府はきめまして、なるべく早くきめることにいたしておる次第でございます。決して秋まで待とうとか、おそくまでほっておこうとかいうようなことは考えておりません。
  107. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 農林大臣から今の御答弁でありましたが、二十九年の全国の都市のやみの購入数量は、比率で三八・七%という比率が出ております。それを全体の支出金額の比率から見ますると、実に五〇・一%、半分以上やみを買っておる。東京に例をとりますれば、数量比が三七%、支出金額比が四九・八であります。やはり大体、半分近いものでありまして、そこでやはり米価問題を中心として政府が買う数量をふやすということがありませんというと、どうもこの食管制度をやるということが非常に何かはっきりしない、ぬるま湯に入っておるような感じでありまして、ですから一部ではまあこの予約集荷制をやって大して集まらぬと、やがて自由販売に移行するというのではないか、その前提として大して集荷にも身を入れないのではないかという実は意見が一部にされておりまするが、やはりやる以上ははっきり政府が、少くとも私は二千三百五十万以上とって、一日でもいいですから配給量をふやすということになりますれば、あとで質問したいと思いまするが、あの消費者価格という問題もそういう発展的な意図がありますれば、また問題の解決の方向も見出し得ると思いますので、重ねてできるだけの一つ集荷をこれはお願いをいたしたいと実は思うのであります。  そこでそういうことを強く要求をいたしまして、時間もございませんので、その次に入りたいと思いまするが、次の問題は食管会計の赤字の問題でございまして、これは大蔵大臣予算米価以上現在決定しておらぬから、修正の意図はないということでありまするが、しかしすでに減収加算の支払いでも三十三億の赤字ができてきておりまするし、また予算米価以上にきめてもらいたいと思うのでありまするが、きまって参りますれば、またその分だけ赤字がふえてくるわけでありまするが、そこでこれは私は一つのジレンマを常に感ずる点でありまするから、これは大蔵大臣にも特にお聞きを願いたいと思うのでありまするが、食管会計の赤字という問題が、私は他の会計の赤字と性格を異にしておるという点を特に申し上げておきたいと思うのであります。というのは、食管会計で米をたくさん買えば買うほど、これは国家のためによろしいと思うのですが、米がたくさん集まってくればくるほど赤字がふえてくる仕組みであって、この赤字は単に不要不急なものに金を使ったり、いらないものに金を出したわけではないのでありまして、今の予算でいっても二千三百五十万石以上買ってほしい、また農林大臣も買いたいということでありまするが、そうなってくると、政府の倉に米がふえてくればふえてくるほど赤字がふえてくる。しかしそれは結局計画配給がふえてやみが減るということであって、国民経済全体からみれば、望ましいことをすれば赤字がふえてくるということで、農林省が大蔵省から常に押えられるというようなことは非常に本末転倒しておるというような感じでありまするが、その点につきまして、これは質問というのもおかしいのでありまするが、そういうことは他の会計の損失、赤字とは違うというふうに私は思いますが、いかがでございますか。これは大蔵大臣から御答弁を願いたい。
  108. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 拝聴しておきます。
  109. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 拝聴されただけでありまして、御答弁がないのでありますが、(笑声)そこでこの赤字補てんの問題は非常に大きな問題でございまして、そこで与党である民主党の内部に設置されました米穀対策委員会では、例の第三級酒をふやして、これで酒の税をふやして、また酒米の売却単価を上げて、両面で赤字を何とか糊塗していきたい、こういうような御意見がすでに出ているようでありまするが、しかしこの辺はすでに業界からも相当の反対が出てきておりまするし、私はやはり食糧政策としては、酒が現在そう足らぬというわけでもないのでありまして、二十万石であれ、酒として飲むよりも、やはり配給に回した方が食糧政策の本道ではないかというふうに思っておるわけでありますが、その点はまだきまったわけでありませんから、特に御意見はけっこうでございまするが、これは農林大臣がこういうような御意見を持っておられないかどうかという点を御質問いたしたいのであります。それはもう現在食堂車に乗っても、どの町へ行っても、もう米の飯がどこでも食べられておるわけでございまして、これは概してやみ米がその給源になっておることは申すまでもないのでありますが、それでもちろんどの食堂というわけにもいきませんが、公衆食堂というようなものを設けて業務用米を、これは現にあるわけですから、さっきいった二千三百五十万石以上相当集めた上で、業務用米にある程度高く売っても、私はやみで買うよりもその食堂で安く食事が供給できるし、現にわれわれも実はやみの昼飯を毎日食べておるわけです。そういう事実に即応した実際的な大都市に業務用米をある程度売ったらどうかという、実はそういう考えを私は持っておるわけでありますが、そういう点についての御所見を伺いたいと思います。
  110. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) ただいま片柳さんのお示しになりましたような意見は、相当各方面にそういう御意見がおありであることを承知いたしております。ことに大阪市場等のやみ米対策として、やみ米と配給米の中間価格くらいで別途政府は米を出してみたらどうかという御意見もたびたび私のところへ言うてみえる方もございますので、これらにつきましては、なお検討を加えまして、これは各方面の食糧問題は何分一存で政府がきめますことは非常に弊害がありますので、十分各方面の御意見を伺いまして、そうして実際やみ米で買っておられる現金支出と、今言うようなことで多少配給米よりも高い値段で差し上げても、その方がよろしいという理屈はその通りわかりますが、さてそうなりますと、なかなか方々でやかましい御意見もございますから、これらは主婦連合会の方の御意見も拝聴しなければならぬでありましょうし、各方面の意見も拝聴いたしまして、納得が得られるということであれば、これも一つの方法であると考えておる次第でございます。
  111. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 問題は次に移りますが、今食管会計が政府の原案でも例のインベントリーを棒引きにしてようやくつじつまを合せておるような状況でありまして、加えて減収加算なり、あるいは今後決定される米価との関係で赤字がさらにふえてゆく情勢でありますが、そこで私は先に言ったような二重価格制もやむなしという見地をとっておりますが、これにも限度があろうかと思うのでありまして、これは特に経審長官に御質問をしたいと思うのでありますが、結局さしあたり今年は消費者米価十キロ七百六十五円を上げるというわけには、これは政府公約でもありますのでできないと思いますが、先に言った都市の所得の上昇率と消費者米価の指数等から見て参りますと、もちろん現在でもエンゲル係数が五〇%を上下しておるという状況でありますから、できれば消費者米価を上げたくないのでありますが、これは消費者価格は据え置いて、生産者米価はさっき大蔵大臣の御意見のように、これはあまり上ることは望ましくないということになれば、非常に片手落ちだという感じを持つわけでありますので、一般会計と消費者、生産者三者がとにかくいろいろ協力して、生産者、消費者の均衡のとれる価格体系にするということも必要じゃないかと思うのですが、そこで財政の点からも消費者米価をある程度上げざるを得ない私は時期にもうきておるのではないかという感じがいたすのであります。もちろんこれはさっき言った配給数量がどんどん減るという情勢ではこれはできないかと思うのでありますが、政府の集荷を強力にした上で、一日でも二日でも増配ができるという見通しがたちますれば、やはりある程度消費者米価も上げる余地があるのではないかというふうにも思いますが、これは高碕長官からどんなお考えを持っておりますか。全体の立場からの御所見を拝聴したいと思います。
  112. 高碕達之助

    ○国務大慶(高碕達之助君) お答えを申し上げます。もちろん来年はこの経済六カ年計画の初年でございますから、どうしても物価を来年度は平均に二%ずつ引き下げたい、こういう所存でありますので、この物価の中心になる米価は、消費者米価というものは引き上げたくない方針でございますが、将来についての御方針でございますが、私は生産者米価というものにつきましては、これは単純に経済問題でなく、やはり社会問題として、農村対策として、食糧増産として、これは相当考慮せなきゃならぬ時期がくるかとも存じますが、六カ年計画の範囲におきましては、不足する農産物はやはり海外依存をせなきゃならぬ。外国の状態から申しますれば、だんだんこの生産がふえて参りまして、だんだん消費者物価になってきておる関係がありますから、そういうものとあんばいして六カ年計画におきましては、私の考えといたしますれば、現在の物価が大きな変動がない範囲におきましては、できるだけ消費者米価というものは据え置くという方針で進んでいきたい、こう存じております。
  113. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 ですから消費者米価を据え置くことはできれば賛成でありまするが、ただ消費者の方は据え置いて、生産者の方も要求が押えられて、要するにアンバランスになることを、私はそういうどうも今年の米価が選挙の公約で消費者米価は上げない、これが絶対条件できまっちまって、それで財政上の理由から生産者価格にしわが寄ってくるということを非常に心配しておるわけでありまして、私は食管会計の赤字が、説明では六十九億ということを言っておりまするが、実は予備費三百億というものは、これは全然当てがないわけでありまするから、政府の配っておる三十年の食管会計の損益の見込みからしても、これは赤字は六十九億にあらずして、三百六十九億のわけです。従って予備費でありまするから、どういう方面にこれが使われるかどうか今のところはわかりませんが、これがもし全部使われたという場合においては、それはやはり三百億の赤字が出てくるわけである。もちろんデフレ政策でありまするから、食管会計の方もできるだけ赤字を出したくないと思うのでありまするが、しかし生産者から米を集めるという点なり、米の再生産費を見るという点からは、要するに消費者は据え置いて、生産者が不当に遇せられるということのないように、これは特に大蔵大臣なり経審長官、農林大臣に特にこれは希望を申し上げておきたいのであります。  時間もございませんから、最後に麦の売却価格につきまして質問をいたしたいと思うのでありまするが、麦が食糧管理法の改正で直接統制から間接統制になって参ったことはもう申すまでもないのでありまするが、ところが生産者価格の関係もこれはあると思うのでありまするが、ほとんど国内麦は政府にむしろ大部分が入っておる、むしろ米は直接統制をしておりながら、これは入らないで、統制をはずした麦の方が政府に入っておるという実は逆な現象を生んでおるわけでありまするが、そこで国内麦も大部分政府に買われており、輸入麦はこれはもう制度として全部政府がキャッチしておるわけでありまするが、そこで現在では製粉なり精麦業界というものは、特にこれは精麦業界は裸大麦が概して政府に買われておりますので、もう政府の売却価格で業界というものは全く生殺与奪の権を実は農林省に握られておるわけであります。ところがこの精麦事業が非常に中小企業でありまして、非常な零細な企業であるわけでありまするが、この精麦業者に対して政府が麦を売却する場合において、非常な実は無理をしておることを私は陳情を受けて驚いたわけでありまして、要するに実態と非常に違った無理な売却価格を算定しておる。と申しまするのは、外麦の方は船が入ってきますれば、その船の現物を試験をして、たとえば六五%ならば六五%歩どまりということで売却価格を算定しまするから、外麦の方は概して問題はないようでありまするが、内麦の方は昨年は大麦が七〇%の歩どまり、裸麦が八一・五という歩どまりで、現在の押し麦価格一キロ五十四円、対米比価からみても妥当なる市場価格から逆算する場合において、歩どまりの大麦が七割、裸麦が八割二分という強度な、私ども戦争中やっておるような非常な歩どまりの高い計算で政府の売却価格を逆算をしておるわけであります。これが非常に精麦業界には強くこたえて参りまして、昨年の麦は天候等の関係で品質が悪かった事情もあるようでありまするが、農林省で実際搗精試験をしてついてみた結果は、大麦は五九%につかないと麦が精麦にならない。裸麦は八一・五のものを七一・五%につかないと食べられる大麦にならない。両者とも一〇%程度の非常な無理な価格で売却をされておるのであります。これは私は中小企業という問題から見ても非常な大きな問題であって、こういうような不合理はぜひとも今度は直していただかなければならぬと思うのであります。しかしこの問題もやがてはやはり食管の赤字問題に関連をしてくる問題でありまするが、しかしこういうような不合理がいつまでも続くということであっては、現に業界ももう逐次倒産状況に入ってきております。われわれは食糧政策という立場からはもちろんでありまするが、中小企業対策として、政府の売却価格の無理によって業界が四苦八苦をしておる。そうかといって、できた製品価格を上げるというわけにもいきませんし、また上げていけば今のデフレ政策にも背反をするわけでありますので、これはぜひとも一つ、要するに、天候がよければ歩どまりも上って参るわけでありまするから、要するに実態に即したもので政府の売却価格を決定していただきたい。これはもう当然のことを実は御質問をするわけでありまするが、この機会に農林大臣から御答弁を願いたいと思います。
  114. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。ただいまお示しのような数字になっておるようでございますが、しかしまた一面におきましては、麦ぬかその他副製品の価格は、当時よりも非常に上回っておる。私は、畜産振興の見地から麦ぬか等の上ることは好ましからざることでございまして、これらにつきましては、近く開かるべき米価審議会において十分御検討いただきまして、適正に是正されることは、私としても最も望ましいことと考えておるのでございまして、これは麦の質、天候等の関係もございましょうし、ないしは戦争中歩どまりのきめ方をとったという点もいろいろ欠点があったかと思いますが、今年の麦価の決定におきましては、決して無理をしてどうこうするというような考えは私は持っておりませんから、最も適正なところに御決定を願うように、また政府としても、それを参酌して適正な価格の決定をするということに考えております。
  115. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 歩どまりを下げますれば、今飼料がふえて参りますので、もちろん両者を勘案した上でおきめを願いたいと思います。時間もございませんから、最後に、一点だけ農林大臣に御質問したいと思うのですが、これは麦の大麦、裸麦、小麦の三者の価格比率の点からきておると思うのですが、大麦が非常に最近減ってきておる。ところがやはり消費者の面からすれば、また反当収量からしても、私は有利ではないかと思うのでありますが、大麦の方をむしろ消費者も歓迎しておるという状況でありますが、ところがどんどん裸の方が東漸をして、関東地区まで裸麦を作っておる。これはやはり私は食糧政策なり農業政策としては、小麦はむしろ優秀なる外麦を買って、国際商品でない大麦を国内で作るようなやはり政策をはっきりお立てを願いたいと思いますが、農林大臣どんなものでございますか。
  116. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。全く同感でございます。
  117. 高田なほ子

    高田なほ子君 総理大臣に御質問いたします。防衛分担金に関する日米共同声明の中で、本会計年度防衛分担金が三百八十億とすることについて合意に到達した、合意に到達したというこの問題です。日米両国政府の合意とございますから、両国政府間のこれははっきりとした約束に基いているものでございますが、当然ここには国と国との間における権利や義務という問題が生じてきておると考えられます。そこでこの内容は、行政協定二十五条第二項(b)項に関する内容でございますから、この場合にも当然これに基く権利義務という問題が発生してきておると思いますが、この義務は、今日の日本政府が当然将来までも継承して負うべき義務であるというように考えられますが、これに対して鳩山総理ほどのようにお受け取りになっておられますか、お答えをしていただきたい。
  118. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 防衛分担金の共同声明のうち、日米共同声明、合意しまして減額しました点につきましては、これは安保条約、行政協定に基いてやったものでありまするから、やはりそれに準じた拘束力は持つものと思います。
  119. 高田なほ子

    高田なほ子君 衆議院における鳩山首相の御答弁によれば、これは日本国会に対して将来において継続した拘束力を持つものではなくして、当然この問題については、共同声明に関する限りにおいては、鳩山内閣自体が負う政治的な責任である。つまり日本の国それ自体を拘束するものではないということをおっしゃっておられますが、この点衆議院の御答弁と若干食い違うように拝承いたしますが、いかがでございましょうか。
  120. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私が衆議院で申しました答弁は、条約としての拘束力はないと申したのであります。
  121. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういたしますと、やはり衆議院における御答弁のように、この問題について、本問題については、鳩山政府として責任を負う、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  122. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 約束をした当事者でありまするから、もとよりそうでございます。
  123. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういたします〜、これは私ども考え方からいたしますと、当然安保条約、行政協定に基くものでありますから、日本に対する将来の拘束力を持つというような非常な強い影響を私ども考えておりますが、ただいまの御答弁では、鳩山政府のみが責任を負うのだというように御答弁になったわけでありますが、これについて、特別な了解事項としてこういう項がございましょうか。
  124. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) その約束は、本会計年度に限るとあります。それですから私のような解釈でいいと思います、三十一年度の分からはです、三十一年度の分からわれわれの意向を述べたようなものでありまして、これについては法律的の拘束力はないと思う。
  125. 高田なほ子

    高田なほ子君 それではこの中に予算上の措置が内容として含まれておるわけでございますが、これは行政協定の第二十七条の第二項にいうところの、予算上の措置と解釈してよろしゅうございますか。この点については外務大臣から御答弁を願います。
  126. 重光葵

    国務大臣重光葵君) そのために、予算措置をするために、予算を提出しておるわけでございます。予算審議権を拘束するものではないのでございます。それで御答弁になっておると思いますが、その点でしょうか。
  127. 高田なほ子

    高田なほ子君 重光大臣の御答弁が大へん、あまり上手過ぎて私によくつかめないが、私の質問は、共同声明の中には、はっきりとした予算措置の問題について明記されているわけです。でありますから、この措置は行政協定の第二十七条の第二項によって、こういう予算措置をこの中に明記したのかどうか。つまり将来この予算措置は変更することがあり得るわけです。あり得るから、この第二十七条の第二項の中に、予算措置あるいは立法上の措置については、特にこの二項に私は加えているのだと思うのです。あとの質問に関連がありますので、これにいうところの予算措置であるかどうかということを一応お尋ねしているわけです。
  128. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 御質問の趣旨が私にはっきりしませんが、つまりその合意に基いて、そして二十七条にいう予算措置をとるために予算を提出したのでございます。
  129. 高田なほ子

    高田なほ子君 防衛分担金の交渉妥結について、今回初めてこの共同声明をお出しになったように存ずるわけです。なぜ今回初めてこういう共同声明をお出しになりましたのですか、その理由について承わりたい。これは総理大臣からお伺いしたがったのですが。
  130. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) これは外務大臣が協議したものですから……。
  131. 重光葵

    国務大臣重光葵君) これはなんです、正式のことは、まだ予算措置がとってありませんから、できないのでございます。そこでこういう合意が成立したということは、そのつどなるべくすみやかに一般に周知徹底せしめる方法をとらなければなりませんから、合意したということを、共同声明の形においてすぐ出したわけでございます。
  132. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういたしますと、この共同声明は、周知徹底させる、内容を周知徹底させるという意味でもって出されたというふうに御答弁になったわけですが、そういたしますと、この声明の第二項の中にも、はっきりと飛行場を拡張し、また在日米軍の使用する施設の所有者並びに提供者に対して八十億の予算を計上するというふうに、非常に予算額が明確になっているわけです。ところが今大臣の御答弁によりますと、正式なことは、まだ予算措置がとられておらないから、ただこういうことが妥結したのだということを周知徹底させるために出したのだと、こういうふうに御答弁になっておりますが、私はちょっと了解いたしかねますが、もう一度御答弁いただきたいのです。
  133. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 御質問の趣旨、ポイントを私ちょっとつかみがねますが、政府としては、こういう合意をしたのでございます。合意をして、そしてこういう方針でやるということを、政府としては意思表示をしたわけでございます。そのことを共同声明として発表したわけでございます。しかし、もとよりその予算措置のことは、まだ決定はしていないので、つまり議会の審議の後に予算ははっきりきまるわけでございます。そこで政府の意思として、こういう決定をし、合意をしたわけでありますから、予算措置が決定をいたしました上で、これが正式のものになる、こう御説明したわけでございます。
  134. 高田なほ子

    高田なほ子君 共同声明をお出しになった理由は、ほぼそれでわかるわけですが、ただ一つ、ここに疑点が残る問題は、今回の共同声明の内容は、非常に複雑な内容を持っているわけです。つまり防衛費関係全面のワクと、そのワクの中に示される防衛分担金防衛庁費のこの比率の問題が、はっきりこの共同声明の中に盛られているわけでありますが、今後ともおそらく、鳩山首相並びに外務大臣が、衆議院においても、あるいは本予算委員会においても、防衛分担金も減らしたい、同時にまた防衛庁費も減らしたいという考え方を持っている。こういう考え方に基くならば、将来もまた本防衛分担金の削減の問題については、いろいろ御折衝があると私は思うのです。で、今後もまたこういつたようなケースでもって共同声明をお出しになるというお考えを今もお持ちになっていらっしゃるでしょうか、いかがでしょうか。
  135. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 将来も防衛分担金の軽減を実現するように折衝をしたいとは思っております。しかしそのときに、これと同じような形式でやらなければならぬかということはまだはっきり申し上げるのは、ちょっとそこまではいかぬのでございます。
  136. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 関連質問。今、外務大臣が将来も防衛目的のための経費は削減、減額をすること、特に防衛分担金減額をすることに努力をしたいという御答弁だったと思いますが、非常に賛成をすべき御答弁で、その限りにおいては、私非常に満足をいたすのでありまするが、しかし、もしそうであるならば、この共同声明の中に、「昭和三十一年及びそれに引続く年間において、自己の資力のより大きな部分を防衛目的のために振向けることが、日本政府の意向であり、政策であることが明らかにされた。」、こういうふうにうたってある。さらに防衛分担金減額は、本年度以降には適用されない、今年だけの、本年度における特別の協力措置であるということも明記をしておられる。そうであるとするならば、この共同声明には全く反対のことを言っておられるのであって、もしこういうことを共同声明をすれば、先ほどから高田委員が問題にしておられるように、われわれの予算審議権を長きにわたって拘束をするものであって、われわれの断じて承服をし得ないところであると思うのでありますが、その点はどういうふうにお考えになるか。特に総理大臣は、先ほど、今年度限りの問題としてこれを約束をしましたという御答弁をしておられるので、まず総理大臣に、さらに外務大臣に、それから予算審議権との問題に関連して、さらに大蔵大臣におのおの御答弁願いたい。
  137. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 来年度以降の防衛資力のふり向けに関しますこれは日本政府の意向にすぎません。政策を述べただけであります。お読みになった通り、そうであります。これに対しては、日本政府は、拘束はされないわけであります。日本の政策を述べたこの点は、自衛力漸増という方から、その主張は、その主義は、私は日本がとらなければならない方針だと思うのです。ただし防衛分担金減額の方は、外務大臣も申しました通りに、減額要求日本としてはできるものと、そうして来年度以降の防衛資力の振り向けに関する部分と、防衛分担金減額の方の約束とは性質が違いますから、これは区分して考えていいものと思います。
  138. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 今の総理大臣の御説明をやや補足的に私は申し上げたいと思います。なるほど昭和三十一年度及びそれに引き続く年間、すなわち将来において自己の資力のより大きな部分を防衛目的のために振り向けることが日本政府の意向であり、政策であることが明らかにされた、現内閣はそういうふうに考えている、こういうことをまあ言うわけでございます。これは今申される通りに防衛力の漸増はあくまでもやる意向である、防衛力の漸増はすなわち資力に直接関係を持つわけでございます。しかし防衛分担金の方はアメリカに支払う、それはなるたけ減らしたいという意向は持っているのでございます。それで防衛分担金の軽減は交渉しないという意味は、ここには少しも含まれておらないのでございますから、私は防衛分担金の方は一つできるだけ軽減をしてもらいたい、こう思っているわけでございます。しかし防衛力の漸増という方から来る防衛力の増強は、これは日本としては条約関係もございますし、十分これは考えてやらなければならぬと、こういうことを向うに言っているわけでございます。
  139. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えいたします。ただいまのお話で大体尽きたと思うんですが、私少し数字的に申し上げて御了解を得たいと思います。この昭和三十一年度及びこれに引き続く年間において、自己の資力のより大きな部分を防衛目的のために振り向けるという意味のことが一つでありますが、これは今回の三十年度の防衛支出を見ますと、防衛庁費で百二十五億ふえております。それから施設に関係する費用で、昨年が五十二億のが、ことしは七十九億で二十七億ふえております。この合計が、従ってこれだけが去年よりもことし、一応三十年度の実際に使う金としてはふえるわけであります。これが合計で百五十二億であります。この百五十二億全部を防衛分担金から減額している、昨年に比べて。言い換えれば、三十年度の防衛力の増強に関する財政上の費用は全部アメリカが持った、こういうふうに解釈している。ですから毎年防衛力が増強しても全部アメリカが毎年持つということはなかなかだから、三十一年度以降においては自分の力でやはり持つようにする、これは私はそういうふうに考えている。こういうことを明らかにしている。そうしてこの限界は、また全体が、それならばそれをどういうふうにするかという防衛庁費等の全体は、日本の経済力全体で、また条約の上で十分制約を受ける、こういうふうに考えておる。そういうふうに全体をアメリカが今回持ったということは、三十年度のこの予算、この会計年度、来年ば来年の、またこれは全額持つかもしれんし、あるいはまたどうなるか、これは明年度のことで、一応三十年度の会計年度だけにしておく、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  140. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連して。今大蔵大臣が今度の防衛費の増強は全部アメリカが持ったというお話です。しかしこれは予備審査のときに防衛庁の人から私は説明を聞きました。聞きましたところが、最初は防衛庁は約九百五十二億の予算を組んだ。ところがMSA援助は、MSA協定によるMSAの兵器の援助が期待通り来なかったために、九百九十億の防衛支出の予算要求した、こういうことをはっきり説明されておる。そうして結局いろいろ計算してみますと、今度の八百六十八億と国庫債務負担行為、これを全部加えると大体防衛庁要求した費用に合致しております。ですから、これはアメリカのロス国防次官補代理が参りまして、四月八日外務省に対してはっきりと、今後アメリカの防衛費の節約方針によって、アメリカは日本に兵器の注文は一千万ドルしかやれない。そのかわり日本防衛費をふやして、日本政府の兵器発注をふやせ、それでも軍需産業がつぶれて不景気になるといけないから、その施設は国で買い上げろ、日本政府が国で買い上げろ、それでも足りない分は温存補償料を払え、こういうことをロス国防次官補代理は四月八日文書をもって外務省に出しているはずであります。これは朝日新聞にはっきり出ております。こういう結果として防衛費がふえているのです。ですから全く逆です。アメリカがMSA協定において、日本に当然その援助すべき兵器、それを期待していたのです、防衛庁は。防衛庁長官も大いに期待していたのです。それが来なかったから、日本防衛費がふえた。今のお話では全く逆だと思うのです。この点について大蔵大臣、それから防衛庁長官、それからロス国防次官補代理の問題については、外務大臣がはっきりお知りになっているはずであります。この点について明らかにして下さい。ただいまのようなお話では、全くこれは問題をごかすものです。今のような説明では、これは予算委員会に対して、そんな説明をされてはわれわれはとても承服できません。
  141. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。決して私は逆になっていないと思うのであります。防衛庁費を八百六十八億にきめまして、そうしてこれが昨年に比べて百二十五億ふえておるということを申しました。それから施設費関係は七十九億で二十七億ふえておる。そうして合計百五十二億、これを防衛分担金の削減でやっている。これで三百八十億の分担金になっている。これはもう昨年との比較において合うのであります。そのほかについてはいずれ外務大臣その他から御答弁がありましょうが、私の説明自体は私は違っていないと思います。
  142. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣、MSA協定によって防衛庁がアメリカ援助兵器というものを前提として予算を最初組んでおったのですよ。そして大蔵省に要求したところが九百五十何億ですか、それが来ないために九百九十億の予算要求したのですよ。そして、それは結局は八百六十八億みたいになっておりますけれども、実はそうではないのであって、国庫債務負担行為をふやすことによって、結局、アメリカの援助がなかったために、九百九十億にふえたのと、実質的には同じになっているのですよ。ですからそういうふうに考えなければならないのであって、アメリカの援助分が少くなったために予算がふえたのだと、こういうふうに解釈するのがほんとうなんです。防衛庁長官からその経過をはっきり伺えばはっきりしてくると思うのです。
  143. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) ただいまの木村さんの御質問でございますが、私の了解しておりまするのは、ロスがこういった、ああいったということを言っていらしゃいますけれども、私そういうことを聞いておりません。これは外務大臣からお答え申し上げましょうが、私の方では、主なるものを申し上げますというと、船舶建造の関係でございます。これは日本側で警備艦を二隻建造するということを最初考え、それからアメリカ側からのMSAの援助としまして、域外買付によってそれをアメリカ側から供与してもらいたいという、こういう期待を実はもっておったのでありますが、それが期待は実現できないということに相なりました。それで船舶建造関係の分がふえたわけでございます。  それからジェット機の関係でございます。これはかなり前からの話でございますが、それがアメリカ側としてもいろいろ——私らの方では防空の方の増強ということを考えておりまして、アメリカ側からの供与ということに期待しておりましたけれども、それをアメリカ側では、まず日本に部品類をMSAによって援助して、そして今度は日本で生産する、そういうことに相なりまして、その結果、実は今度の国庫債務負担行為の方にもその方が五十二億八千万円になっている、歳出予算の方は約五億円計上いたしておる、そういうものがふえた次第でございます。
  144. 重光葵

    国務大臣重光葵君) ロスというアメリカの国防省の人ですか、から外務省に申し入れが、書面が来ておるというお話でありますが、私はそれは全然記憶がございません。おそらく何かの、それは御調査の間違いじゃないかと思います。また国防省のロス氏から、外務省にいろいろなことを申し入れたり、またくるわけもございません。どうもそういう記憶がございません。そしてまたそういう事情にはないようでございますから……。
  145. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは非常に重大な問題です。四月八日の朝日新聞をごらんになっていただきたい。四月八日であります。こんな重大な問題を外務省が知らんというはずはありません。そのために防衛産業国有化の問題が起ったのじゃありませんか。これはアメリカが軍需発注を一千万ドルに減らしたから、日本の軍需産業がつぶれちゃっては困るので、ロス氏が日本の軍需産業を温存するために、日本の軍需産業の国有化の法律を出せ、こういう話し合いが私は防衛分担金の削減の条件になったと思うのですが、条件になったかどうかはこれは一応別としましても、こんな重大な申し入れがあったのです。それを外務省が知らんのは、これは問題だと思う。そのために防衛産業国有化の法律が出てくるのでありましょう。このことを知らぬということは、私はこの問題は防衛分担金の折衝の問題と重大な関係があると思うので、それはよくあとで御調査願いたい、われわれもよく調査してみます。
  146. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 少し私も合点がいかないので局に当っておる者に今聞いてみましたら、どうもそういうことは事実ないようであります。それはロス氏が自分の意見を新聞に発表したことはあるかもしれません。しかしそれはわれわれとは何にも関係のないことであります。
  147. 高田なほ子

    高田なほ子君 御答弁の中に少し矛盾した点を私は感じるわけです。それは先ほどから外務大臣が御答弁になっていらっしゃるように、「米国政府が本年度における特別の協力措置として、本会計年度以降には適用されない」、これは削減することは適用されない、こういうふうに書かれておるわけですが、外務大臣はあたかも本年度だけのことであって、来年度は削減されるような印象を与えておるわけです。非常にそういう印象を与えておる。でありますから端的に申し上げると、来年度防衛分担金の削減は外務大臣のお言葉によるとできるということになるわけですが、果して来年度防衛分担金の削減ができるのでしょうか、いかがでしょうか。
  148. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私の申し上げたのは、来年も分担金の削減をしてもらいたいと思って交渉するつもりだ、こういうことを申し上げたのでございます。またそれをはばむことは何も書いてあるわけではございません、共同声明の中で。
  149. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、来年度もやはり防衛分担金の削減の交渉をして、これは、来年度の分はまた削減という方向にもっていくと、こういうふうにお考えになっていらっしゃるように承わっておきます。  それで続いて大蔵大臣にお尋ねしたいのですが、大蔵大臣はその論法で申しますと、昨年度の防衛関係総計費一千三百二十七億のワク内に本年度もとどめた、つまり本年度は地固め予算なんだから、もう無理だ、だからこの一千三百二十七億のワク内にとどめたのだ、こういうふうに御説明をしておられます。そういたしますと、これは日本の国防全体に対する最高の限度だと考えられますが、これは、いかかでございますか。これが総ワクにおいて最大の限度なのかどうかです。
  150. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) この金額が最大の、いいかえれば、三百八十億以下に分担金が下ることはないのだ、そういうふうには御了解願わなくていいと思います。これは私は下ることが可能であると思います。問題は、これはまあ木村さんあたりいろいろ御意見もあるようですが、防衛費の全額といいますか、防衛庁費が去年に比べて増額した金、それに施設費もまるまるアメリカが今回は分担金の消滅によったと、その点を特にアメリカはいつもそういうふうではないという意味に解釈しております。金額の点では私はないと思います。
  151. 吉田法晴

    吉田法晴君 委員長ちょっと関連して。説明が総理、それから外務大臣大蔵大臣、少しずつ違っておるのですが、もう一度明らかに願いたいと思うのは、今高田委員質問をいたしております点は、共同声明の末項のところですね。日本文で書いてありますものは、防衛分担金に関連をして「本会計年度以降には適用されない、前記の防衛分担金減額に同意したものである。」、それに対して外務大臣は、防衛分担金減額は、ことしはこの声明にありますように減額をした。来年も減額を交渉するつもりだし、減額ができるのだ、こういう御答弁。それから大蔵大臣は、防衛庁費あるいは予算外契約、こういうものをひっくるめて、その総額について相談をしたし、それからその総額日本の経済力の範囲内で云々と、こういうまあお話で、防衛分担金の削減交渉をするとしても、それと防衛庁費その他のものとの関連がある、こういうまあお話のように承わるわけであります。そうすると日本文とは、防衛分担金だけについていいますというと、私どもの受ける印象は、外務大臣のお話のようではないのであります。あるいは英語の方が正確かもしれませんけれども、それらのものを提示しながらもっとはっきりしていただきたいと思うのです。  もう一つ総理大臣は、その前の方の「三十一年およびそれに引続く年間において、自己の資力のより大きな部分を防衛目的のために振向けることが、日本政府の意向であり、政策であることが明らかにされた。」、こう書いてあるけれども、これには拘束されないのだ、こういう先ほどの答弁でありましたが、その点については外務大臣答弁総理答弁との間には食い違いが先ほどあったように私どもは聞いたのであります。その両者についてはっきり一つしていただきたいと思います。
  152. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 非常に文章が難解に見えまして、いろいろ解釈が……、しかし私は、今のわれわれの答弁が食い違いがあるという点につきましては、私の聞いておるところじゃ少しも食い違いはございません。そこで一つずつ……。この何は日本文も英文もこれは同じでしょう。「本会計年度以降には適用されない」、その通りであります。将来のことは何も書いていないのです。将来のことというのは、将来の防衛分担金の交渉のことは書いてない。(「以降適用されないというのは将来のことでしょう」と呼ぶものあり)いや、適用がないというのは、この減額をするということは将来に適用はないと、こういうことなんです。しかし将来適用はないと書いてあっても、私はあなたの御質問に対して、将来はどうするのかと、こう言うから、将来はやっぱり防衛分担金を私は日本側としては軽減するように一つ交渉してみたいと、こういうつもりだと、こういうことを申し上げたので、それはここには書いてないのです。それからまた将来の、三十一年度以後のこの何は、防衛力を増強するという意向は表示をしておるわけでございます。しかしそれは条約上の拘束力を持ったなんじゃなく、現内閣の意向として表示をしていると、こう総理が言われるのは、少しも矛盾はないと私は思います。大蔵大臣の御説明は、本年度に合意した内容について説明をされておるわけでございますから、私は矛盾はないと思いますが、今の御説明で御了解を得たいと考えます。
  153. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういたしますと、本年度防衛分担金減額いたしました。前年度も若干の減額をしているわけです。そうしてまた将来も減額のために努力すると、お口をそろえて首相も外相も言っておられるわけです。こういうことでございますならば、当然行政協定第二十五条第二項の項については、改正をするという内容を含んでいるように私は受け取れますが、行政協定を今後改正するという御意思がございますか、どうですか承わりたい。
  154. 重光葵

    国務大臣重光葵君) さようなことは行政協定の改訂を要しないでも当然やらなければならぬことでございますので、改訂の意思はございませんことを申し上げます。
  155. 高田なほ子

    高田なほ子君 しからば、衆議院においてはたびたび鳩山首相は、行政協定も改訂したいと、こういうような御発言をされておるわけです。この点について大へん矛盾があるように思うのです。やはり防衛分担金の問題について、改訂したいという意思を持っておられたと私は了解します。
  156. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は防衛分担金減額要求等について、安保条約なり行政協定を改正したいと言ったことはないのです。だが、戦争によって生じたる諸法令は日本独立完成のために改廃したいということは申しました。  ただいまちょっと誤解があるようでありますけれども、来年度以降の防衛資力の振り向けに関する日本政府の声明の中に書いてありますことは、これは日本政府の意向なり政策なりであって、これが約束のように日本を拘束しないと言ったのでありまして、誤解のないように願います。
  157. 秋山長造

    秋山長造君 総理大臣は衆議院の予算委員会におきましても、また参議院の予算委員会におきましても、従来この防衛分担金に関する日米共同声明は、現在の政府は拘束するけれども、将来の政府に対しては拘束力はない、こういう説明をしてきておられる。ところが、ただいまの説明では、現在の政府をも拘束するものではない、ただ一方的な政策の表明だと、こういう御説明に変ってきたのですが、私はこれは常識論ではなしに、これは法律論として、ほんとうにこれは法律的な拘束力があるのかないのか、もっとはっきりしていただきたいと思う。  それと、それからもう一つは、ただいま高田委員安保条約、行政協定の改訂ということを総理が従来言ってこられたのだが、どの点を改訂するのか、こういう御質問に対して、安保条約、行政協定の改訂ということを言ったのでなしに、占領中にできた諸法令の改訂ということを言ったのだと、こう御答弁でございますけれども、現に総理は先般本会議において、富士山麓の演習問題に関するわが党の成瀬議員の質問に対して、はっきりと独立完成のためには安保条約、行政協定を改訂の必要がある、こういう答弁をなさっておる。これはもうはっきりと答弁しておられる。またさらに、もっと前に、この委員会佐多委員の直間に対して、安保条約や行政協定は彼我対等でない状態のもとで結ばれたものであるから、できるだけすみやかに改訂しなければならぬ、こう答弁しておられる。そこで、この答弁に基いて高田委員はどの点を改訂をなさるのか、この二十五条の二項の(b)のような、きわめて不明確な一億五千五百万ドルというようなものは、まっ先にその改訂をその問題として取り上げなきゃならないのじゃないか、こういう意味質問されたと思う。だからその点について、総理大臣の二点についてはっきりした……、そのときそのときで言い方を変えずに、はっきりした方針を、確定的な方針をわれわれにお示し願いたい。
  158. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 日米協定について、私はその本年度の分の減額した合意の点も、あとの三十一年度以降の防衛の資力の振り向けに関する日本政府の意向についても、ともにこれは条約としての拘束力は両者ともにない、まずそう思います。それから条約としてはないが、三十年度の分の減額した合意の点は、これは約束ですでに実行に移されておる。第二の来年度以降の防衛資力の振り向け方についての日本政府の意向なり何なりは、これは約束した当事者は、その文章にある通りのものは、法律的には何も拘束力はないけれども、約束した当事者でありまするから、道義上、あるいは信義上というか、そういうような責任は、拘束力というか、拘束力は……、法律的の拘束力はないけれども、そういうような信義上、道徳上、道義上の拘束力はむろん当事者として持つのは当然であります。ただその法律的効果があるかどうかという御質問ならば、条約としての拘束は受けない。法律的としても、第二段の部分については法律上としても、条約以外の法律的な効果もない、拘束力もない、こう申したのでありまして、前後矛盾していないと思うのです。
  159. 秋山長造

    秋山長造君 もう一点は、総理大臣がしばしば安保条約、行政協定を改訂する必要があるということを言ってこられた。ところが今は、そういうことを言ったんじゃなくして、占領中にできたいろいろな諸法令の改正の必要があるということを言ったのだというふうに言葉を濁されたのですけれども、はっきりこれは速記録に、安保条約、行政協定を改訂しなければならぬということを従来言ってきておられる。だからその点をはっきりしていただきたい。
  160. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 安保条約、行政協定等の条約、それは日本でもとより改正をしたいという希望を持つことは当然だと思うのです。私は、だけれども、そういうことをしなければ防衛分担金減額はできないとかという、現実の問題に結びつけて、防衛分担金減額要求するのには、これらの諸法令の改正が必要だと、改正しなければできないという解釈はとっていないのであります。
  161. 館哲二

    委員長館哲二君) ちょっと秋山君……、(「もうちょっとやらなきゃ、そこのところ」と呼ぶ者あり)それじゃ秋山君。
  162. 秋山長造

    秋山長造君 そうすると私は非常におかしいと思うのです。総理大臣安保条約、行政協定の改訂の必要があるということを機会あるごとに言ってこられたんだけれども、これは抽象的におっしゃっただけで、じゃ具体的にどこを改訂するのかということになると、どこも改訂するつもりはないと、こういうことになるのでありますから、言ってこられたことと、実際やってこられたことは全然相反しておると思う。一体どこを改訂するつもりで改訂する必要があるとおっしゃるのでありますか。
  163. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私はどこをどういうように改訂しようというようなことはかつて申したことはありません。抽象的に、そういうような安保条約や行政協定は改正し得るような事態日本が進むことを望んでいるという趣旨のことを申したに過ぎません。(「速記録を認めさせたらいいよ」と呼ぶ者あり)
  164. 秋山長造

    秋山長造君 もう一度、今のところがはっきりしないのです。じゃもう関連ですから繰返しませんが、従来こういう発言をしておられるんです。独立完成のためには安保条約、行政協定の改訂の必要があるという言明をやってこられておるのですが、この通りと解釈してよろしゅうございますか。
  165. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) その通りのことを私は申しました。ただいまも申したのであります。
  166. 館哲二

    委員長館哲二君) 委員長から高田さんにお諮りいたしますが、外務大臣が外交使節と会う時間で、どうもほかに都合ができないので、四時十五分から五時十五分まで時間をあけてもらいたい、今も実は向うの方といろいろ話をしたのだが、向うの方も時間があかないので、その時間に限るということになっているようでありますので、高田さんの質問をしばらくお待ちを願って、間にほかの方の質問一つやることにしたいと思いますから、御了承いただきたいと思います。
  167. 高田なほ子

    高田なほ子君 了承いたします。
  168. 館哲二

    委員長館哲二君) 十何分か残っておりますから、御継続をそのとき願うことに……。
  169. 高田なほ子

    高田なほ子君 鳩山首相にまたお尋ねをしなければならなくなりました。大へんにおっしゃることがふらふらで、どうも納得が参りません。ただいまこの共同声明に関しては、将来も日本政府を、日本国そのものを、条約と同じように拘束はしないのだ……、これはわかりました。だがしかし、鳩山政府としては道義上、信義上やはり拘束されるのだ、こういうふうに今お答えになっております。そういたしますならば、今後来年度防衛分担金の削減に対しては、この拘束力があるという以上は、アメリカに対して発言権を持っていないというふうに私は理解するわけですが、いかがでございましょう。拘束力を持ったものが、同じようなことを発言することはできないでしょう。そうすると大へん私に対して不信の答弁をされているように思うのですが、いかがでございますか。
  170. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 来年の分担金減額要求し得る権利を放棄しておるということは、この共同声明の中にはないのです。さっきの外務大臣答弁も、共同声明の中にそういうことを放棄したという意味のことは書いてないとおっしゃいました。その通りでありまするから、来年の分担金減額について交渉はむろんできると思います。それは自衛力の漸増ということが約束してあると同時に、自衛力の漸増に伴う防衛分担金減額についての交渉をし得るように書いてあるものですから、自衛力が漸増していけば、自衛力がふえて漸増していけば、分担金減額は交渉し得るものと私は思っております。
  171. 高田なほ子

    高田なほ子君 大へん貴重な時間なので、ここでぐるぐる回りしていることは、ちょっと……、同僚議員からあとまたまとめて質問があろうと思いますから、私はあとまだほかにいろいろ問題を持っておりますから、ぐるぐる回りの質問はここでやめます。あとは同僚議員にあらためて質問をお譲りしたいと思います。  で、次に……。
  172. 湯山勇

    ○湯山勇君 今の点に関連がありますから……。今総理防衛分担金をまけてもらうことによって、自衛力の漸増をしていくのだというような意味の御発言があったわけですが……。
  173. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) そうじゃないのです。
  174. 湯山勇

    ○湯山勇君 今おっしゃったのはそういう、それとの関連においての今の御発言だったと思いますが……。
  175. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 前後を違えちゃったのです、あなたは。自衛力の漸増という言葉は、条約上の私は日本が背負っておる義務だと思っておるのです。自衛力が漸増できれば、それに応じて分担金減額要求し得るものと思っております。そういう意味で申しました。
  176. 湯山勇

    ○湯山勇君 それはただ前後が違うというのじゃなくて、言い回しがただ違うというだけなのであって、その証拠は、先般本会議におきまして杉原防衛庁長官が、この防衛分担金の折衝において日本側はどういう態度をとったかということに対する答弁、私はこれを読み上げますから、一つ総理、よくお聞きいただきたいと思うのです。  自衛力防衛分担金との関係をこういうふうに述べておられます。「今回の分担金交渉におきまして、政府として最もこれは堅持すべきものとしてやりましたことは、終始一貫堅持しましたことは、とにかくこの防衛関係の今年度の経費、分担金とそれから防衛庁の経費と合わせたものが、とにかく前年度ワク内ということ、もちろん、政府といたしましても防衛力のある程度の増加ということは、これはそういう方針をとると、」、ちょっと文章がわかりかねますけれども、まあこういうことを言われて、どうしても前年度ワク内ということ、それに対してはどうしても分担金減額が必要だと、こういうことから、経費を合算したものが前年度ワク内ということは当初から最後まで一貫してとった強い態度でございます。そして共同声明にありますように、ああいうことにまとまったわけでございます。これは杉原長官の四月二十八日本会議における答弁でございまして、今総理の言われたような意味では決してないはずでございます。
  177. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は別に大して違っていないように思うのですが。
  178. 湯山勇

    ○湯山勇君 違っていないから、私がお尋ね申し上げようとしたら、総理は前後が違うとおっしゃるから、前後は違っていないということを私は申し上げておるわけでございます。おわかり下さいましたでしょうか。おわかりいただけたならば、お尋ねしなければならないことがあるわけです。どうでございましょうか、おわかりいただけたのであればお尋ねいたしますし……。
  179. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) わかったような気がします。(笑声)
  180. 館哲二

    委員長館哲二君) 湯山君に申し上げますが、湯山君も御質疑の時間がありますから、その際にお譲りを願います。
  181. 湯山勇

    ○湯山勇君 まだちっとも私は聞いていないのですから。質問し始めたら総理が違うとおっしゃったので、違わないということについてお尋ねしたいと思います。
  182. 館哲二

    委員長館哲二君) 一つ簡単に。
  183. 湯山勇

    ○湯山勇君 そこで今おっしゃるように、自衛力の増強ということは大体日本の立場でやっていくと、従来ともおっしゃっていられたし、分担金とそれとは別だと、総理はそういうことを今おっしゃろうとしたわけですが、実際はこの共同声明から見ましても、日本の自主的に決定すべき自衛力の漸増と防衛分担金とは切っても切れない関係にある。あるいはそういう表現をしなくても、防衛分担金を通じて日本自衛力にアメリカが関与する、内政に干渉する、そういうことがこの声明によって確立されておる。従来はそういう例がございませんでしたから、今回からそういうことになったということを総理はお認めになりますか。
  184. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) そういうような話し合いはこの共同声明の中に書いてないと思います。
  185. 高田なほ子

    高田なほ子君 次に問題を変えてお尋ねしたいと思います。  この共同声明の第二項の中には「日本政府は飛行場を拡張し、」という一項があります。この一項はきわめて重要な内容を含んでおるものです。特に先般母親大会が開かれまして、全国から母親が集まりました。裏山に咲いておるしょうぶの花を持ったりすずらんを持ったり、ほんとうに津々浦々から集まった母親が声をあげて心配をしておるのは、やはり軍事基地の問題でした。そうしてこの共同声明の中に、今後さらに飛行場が拡大されるということであれば、これはまた非常な不安を持っておることは当然であろうと思うのです。それで首相に、まず飛行場からこれを拡大して、軍事基地一般の問題について若干の御質問をしたいと思うのです。  まず私がお尋ねしたいという第一点は、講和、安保両条約日本の基地化、さらに軍事的な面においては占領当時以上に隷属的な関係をもたらしておりますが、さらに一そう具体的に規定したのは行政協定でございます。行政協定は単に米軍の配備を規律する条件というようになっておりますが、これはそれだけではなく、日本の共同防衛の義務を規定するという大きな内容を含んでおります。また他に例を見ない広範な軍事基地の保有を認め、そのほか米軍に対してさまざまな特権を与えているわけです。従って今日の日本は、米軍の必要さえあれば水域あるいは土地、その別なくどこでも自由に基地として取り上げられつつあるのですが、ここに総理大臣として御注意を願わなければならないことは、現実にはこの基地の設定あるいは拡張のために土地や漁場を取り上げる手続とか法律とかいうものは、すべて日本の国内法によらなければならないと思うのです。つまり国民の側からいえば、直接には行政協定ではなくて、国民の基本的な権利を保有するところの、守るための日本の憲法に保護されるものだと考えておりますが、首相のお考えはこの点についてどういうお考えをお持ちになっているでしょうか、まずお伺いいたします。
  186. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 大体においては私お答えをいたしまして、あとは西田君から答弁してもらいます。
  187. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは大へん重大な問題ですから、事務的な問題じゃないんです。基本的な考え方ですから総理大臣にお答えを願いたい。
  188. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は安保条約があり、行政協定があって、アメリカが日本の防衛に任じておる以上は、アメリカが必要ありと認定して飛行場の設置を日本要求してきた場合は、日本はこれに応ずる義務があると思っております、私大体においてはそういうような解釈をするのが当然だと思いますが、原則としてはそう思うんです。むろん国内法に従って、法律に従わなければ土地の収用はできませんから、その規則はありますけれども安保条約の上からいって、アメリカが要求するものには、飛行場の拡張について日本は協力すべき義務は持っていると思います。
  189. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちょっと感違いしてお受け取りになっていると思うんです。それは国外的にはそれでいいと思います。だがしかし国内的には、国民の基本的な人権というものは絶対に私は国内的に守らなければならないと思う。つまりこの場合国民の擁護という面からいったときに、日本の憲法下に国民は保護されるのかという質問をしているわけなんです。国外的には軍事的な義務を負っているでしょう。だがしかし、国内的には日本の憲法のもとに日本国民は保護されるのであろう、こういう質問をしておるのです。
  190. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 日本の法律に従わなければかってに飛行場の拡張はできないことはもとより当然であります。
  191. 高田なほ子

    高田なほ子君 日本の法律は日本の憲法によってきめられる国内法だと私は信じておりますが、しからばなぜ国民を保護するためのその法律によって行われている各地の軍事基地設定に対して、あるいは施設の設定に対して、あらゆるところで国民の不満と怒りというものが爆発しているか、この原因はどういうところにあるのか、この原因について首相からお承わりしたい。
  192. 西田隆男

    国務大臣(西田隆男君) お答えいたします。私が特別調達庁を担当いたしておりますので、便宜上私からお答えいたします。  高田委員のおっしゃるように、もちろん駐留軍からの要請がありましても、日本人は日本の法律によって保護されておることは間違いございません。各地に非常に反対が多いが、世論を無視してやっておるのではないかと、かような御質問だと思いますが、日本政府といたしましては、日本の法律の条章に従ってどこまでも了解を得て、そういうことを実施いたしたいという観点に立って、どこまでも協力を求めております。しかしながら、かりに例を引きますならば、百人関係者がおるうちに九十九人までは賛成をしたが、一人の人が反対であったというような場合は、日本の国内法に従いまして、俗に申しまする強制立ち入りと申しますか、強制調査と申しますか、そういうことをやらざるを得ない段階でございまして、そういう場合においては、もうやむを得ず強制立ち入り等をやっております。がしかし、それは必ずしも日本人全体の、関係者全体の権利を無視し、日本の国内法を無視しておるという結果にはなっていないと思います。従って政府としましては、どこまでも了解を得てやるという基本的な方針に変りなく、現在もやっております。
  193. 高田なほ子

    高田なほ子君 了解を原則にして行なっているというのですが、実際問題としてはあらゆるところに紛争が起っております。富士もそうです。内灘もそうでした。また各地にこうした問題が今なお起り、今後なお起ろうとしております。こういうような実際に紛争が起っているということは、これは見逃すことのできない現実だと思うのです。この現実に対して一体誰が最高の責任を負うのか、その責任の所在について私はもう一度これは総理大臣から承わりたいのです。
  194. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 西田君から……。
  195. 高田なほ子

    高田なほ子君 いや、総理大臣に今御質問しているのです。
  196. 西田隆男

    国務大臣(西田隆男君) 内灘の問題も富士山麓の問題も、これは岡崎、ラスク会談によって当然日本が提供する義務を負っているものであり、かつ数年前にすでに現地の人たちとの間に土地貸借に関する契約が成立いたしておったのでございます。たまたま、内灘は以前の問題ですが、富士山麓の問題は八年目にB地区を使おうとする際に、調整という字句の解釈に疑義がありまして、そうして紛争を来たしたということでありまして、現在では県側と使用者側と話し合いがついて、現在では米軍との間に調整の上において了解をいたしておるような次第でございます。
  197. 高田なほ子

    高田なほ子君 個々のケースについて私は承わる時間的な余裕がないのです。だが、しかしこうした土地あるいは水域の使用の面についていろいろ紛争が起り、また起りつつあることは事実なんです。これに対しての最高の責任者は誰かという質問に対してまだお答えがありません。
  198. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) お答えいたします。政府の責任は私がしょいます。負うのが当然であります。
  199. 高田なほ子

    高田なほ子君 最高の責任は鳩山総理大臣がお負いになっている、そういたしますと、その責任者に私はお尋ねをしたいのです。  この場合、土地や水域を使用する場合、御承知のように日本政府は三つの土地使用に関する特別措置法、あるいは漁業操業の制限に関する法といったような法律をもって規定しているわけですが、御承知のように、土地あるいは漁業に関する特別措置法は、いずれも行政法上の公用負担法に属していると思うのです。公用負担の場合は、特別の公共事業の目的に供するため、強制的に人民に課せられ経済負担のことである、こういうふうにまあ規定しておるようでありますが、そういたしますと、政府としては、今日の軍事基地を公共の事業というふうに解しておることに法文上なりますが、果して今日の軍事基地は公共の事業と解釈されるものかどうか、お尋ねをいたします。
  200. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は公共の事業とは言えないと思います。条約上の義務だと思いますが、法制局長官から答弁してもらいます。
  201. 林修三

    政府委員(林修三君) 今おっしゃいました通りに、この駐留軍の施設区域の提供のため、あるいはその施設区域に提供した結果、いろいろ起る損害を処理するためには、この行政協定に基きます土地等の使用に関する特別措置法、それから漁業の操業の制限等に関する法律、それからまあ俗に特損法とされております特別損失に関する法律というものがあります。これらは、いずれも条約の実施のために、その実施上起る法律上の問題を解決する意味でできている法律でございまして、土地収用法がそのまま特に直ちに適用されるものじゃございませんで、御承知のように駐留軍に施設区域を提供するために土地の収用ができる。場合によっては強制収用ができるということでございまして、公共事業のためにしか強制収用ができないじゃないかという御質問でありますが、国内法だけの問題でありましたならば、まさにその通りであろうと思いますが、今の土地収用等の特別措置法等は、駐留軍に施設区域を提供するために特に立法されているものでありまして、そういうことのために土地等の強制収用ができるということを書いてあります。これは条約を実施するために。これは条約は国の義務でございますから、条約の実施は。それに伴いましてできている法律でありますので、これは別に、当然と申しますか、条約上の義務を履行するために当然できている法律だと、かように考えます。
  202. 高田なほ子

    高田なほ子君 もう一度お尋ねいたします。この土地あるいは漁業の繰業制限に関する特別措置法、これは法から言うと公用負担法に属しているわけです。公用負担法に属しているとするならば、今度の公共事業の目的を達するために強制的に人民に課せられた経済的な負担ということになるわけですから、当然政府は公共の事業のために軍事基地を設定するということにならなければ、私は法的に根拠がないと思うのです。また従来までも政府は、軍事基地を公共の事業と解してきたように私には思えるのです。いかがでしょう。
  203. 林修三

    政府委員(林修三君) 条約を実施するために土地等を使用する、これはもちろん広い意味において公共のための使用だと思います。一種の公用負担だと思います。
  204. 高田なほ子

    高田なほ子君 私どもは軍事基地を公用の負担だということにはどうしても考えられません。そういう考えだから、私は種々な紛争が起ってくると思うのです。そこで総理大臣にお尋ねしたいと思うのですが、土地使用の要件について、続いてそれに関連して尋ねたいのですが、土地使用の特例法ですが、第三条に規定してておりますように、駐留軍の用に供するために土地を必要とする場合においては、その土地を駐留軍の用に供することが、適正かつ合理的であるときに、総理大臣はアメリカ駐留軍に対して提供するのだ、こういう規定があります。でありますから、この場合駐留軍優先であって、国内の事情はいざ知らず、とにかく駐留軍に対して合理的であり、かつこれが適正であると認めた場合には、これは提供することができるとなっている。しかも日本国民よりは優先して規定しております。しかもこれを決定する権限は総理大臣にある。オールマイティなんです。この場合総理大臣は、駐留軍優先に、適正かつ妥当であるという判定を下されるのか、国民の生活を脅かすか脅かさないか、こうした国民の側に立っての判定を下されるのか、これば総理大臣の権限の上に実に大きな責任がかかっているわけですが、大臣はこの点についてどのようにお考えになっておりますか、お伺いをいたします。
  205. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は条約の目的の範囲内にあるかどうかによって決定すべきものと考えます。西田君、何か僕の言うことに違いがあったら直して下さい。
  206. 高田なほ子

    高田なほ子君 法律論なんです。理屈じゃないのです。
  207. 西田隆男

    国務大臣(西田隆男君) お答えいたします。  もちろん日本政府として、日本人の利害関係を全然無視してそういうことをしようとは考えておりません。しかしながら、条約上の義務として負わされまして、そうして日本側から考えましても、駐留軍側から考えましても、とにかく適切妥当であろうということになれば、条約の趣旨に従って提供する義務を負っておりますので、日本人側の権利を全然無視するという考え方ではございませんけれども、協議の上で妥結ができました場合においては、それを使用することはもちろんやらなければいけませんし、もし協議がどうしても整わないという場合には、これまた条約上の義務でございますので、さっきから長官が説明しましたように、強制的な法の適用もある場合においてはやらなければならぬと考えておりますが、そういうことは最終のことでございまして、できるだけ了解を求めて実行に移したいと考えております。
  208. 高田なほ子

    高田なほ子君 どうもいろいろ伺っておるうちに、こういう重大な問題が総理大臣にはあまりよくおわかりになっていらっしゃらないみたいに思われる。少くとも日本の国内に数知れない軍事基地があり、しかも今後飛行場も拡大されるというのに、この土地を駐留軍に供するために、適正かつ合理的であるという最終的な判定を下すのが総理大臣の権限なんです。しかし総理大臣はあまり個々の問題に、そういうことはお携わりになっていらっしゃらないように思われますが、まことにこれは残念きわまりないことである。つまり責任の所在というものが不明確になっているところにいろいろの問題の紛争があるように思われる。その具体的な例がただいま非常に紛争を来たさしている代々木の基地設定の問題、御承知のように、代々木の基地は明治神宮のまん前にある。あれは都会の中心地区にある。しかもあそこは緑地であります。これは当然日米の協定によって、都心にはああした施設を建てないことは約束されているにかかわらず、堂々とまん中に建てている。しかも緑地なんです。そこでこれを合理化するために、伺うところによると、建設大臣はあとになってから緑地を切除しようというような、まことにこういうばかばかしい、国民ごまかしたことをやっておる。こういうことをやるから紛争が起ってくるのだと私は思うのです。大体なぜ代々木のああいう緑地の、都会のまん中に、協定を無視し、国民の反撃を無視して、あそこにああいうものを持ってきたか、国内法を尊重すると言うのなら、責任のある御答弁をここで伺いたいと思います。
  209. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) ただいまの問題は、昭和二十年の十月に接収を受けまして、二十一年に全面的な緑地を指定をいたします際に、あの地帯は将来公園等になるべき所であるということで、広く緑地に指定したことは事実であります。その後ずっと接収の状態で今日まで、形は変りましたけれども、現状は御承知のような事態でありまして、この中に、二十九年に家を建てようということになりまして、東京都は建築基準法の手続をとりまして、建築をいたしたわけでありますが、そのときに、条件といたしまして、将来、公園事業実施のために必要があるときは無償で移転または除去することあるべしという条件をつけて建築をいたしております。今お話の通り、国内法につきましては必要な手続はとっておりますので、緑地、公園という観念は、占領直後に接収を受けましたという事態にさかのぼって、それはけしからぬとおっしゃられても、今私としてはどうにもならない事態でありますから、これはなるべく近い機会におきまして、この駐留の状態がなくなりますときに、改めてすみやかにこれを公園、緑地に直して行くということを考えておる次第であります。
  210. 高田なほ子

    高田なほ子君 御答弁はいつでもぬけぬけとおっしゃいます。大体都会の中心にああいう建物を持ってきたということそれ自体が協定に違反しているじゃありませんか。いかにあなたが強弁なさろうとも、これは事実じゃありませんか。私はあなたの御答弁はこれ以上求めませんが、そういうことが国民の憤激の一番大きな原因になっている。もう少し各省の方々は国民の立場に立って物事を処理すべきであって、アメリカの立場に立って物事を処理するということは、まことに私どもは了解に苦しむところです。  時間もありませんから、次、にお尋ねをいたします。飛行場の拡張によりまして、伝え聞くところによると、F86ジェット戦闘機、つまり原爆塔載機のための離陸に便ならしめるように滑走路が拡大される、こういうことも伺っております。また艦艇も増強するということも承わっております。MSA協定の日米艦艇貸与協定によって提供されるいろいろな物件がどんどんと拡大されて参ると思います。こういうようなときに一番私どもが心配になるのは、従来規定されている秘密保護法がさらに拡大されるおそれが十分にあると考えられておりますが、先般の新聞の報ずるところによると、閣議によって秘密保護法を拡大するという決定があったやに承わっておりますが、果して本改正によってこれに規定される物件はどのくらい増加するものか、具体的にお示しを願うとともに、このこうした秘密保護拡大によって、国民の精神生活の上に非常な暗い影を投げることについて、私は皆様とともに悲しんでいる一人です。私もクリスチャンです。あなたもクリスチャンです。そういう立場において、この暗い世相をどのようにしたら明るくして行けるかということについて、鳩山首相はやはり相当のお考えをお持ちになっていらっしゃると思う、御所見を承わりたい。
  211. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) このたびの秘密保護法の一部を改正する法律案は、艦艇についてのみでありまして、艦艇について秘密保護の措置をとっただけであります。詳しいことは防衛庁長官から御答弁をいたします。
  212. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) この秘密保護の法律を一般的な大きなものに拡大して作るという、そういうことじゃございませんです。このたびのものは、御承知通り、すでにいわゆるMSA援助と、それからすでに一昨々年でございますか、できておりますあのアメリカとの間の船舶貸借協定、この二つに基いてアメリカ側から供与を受けます装備品等につきまして、その構造、性能とか、その使用方法とか、それに関する図面だとか、そういう技術的な事項につきまして秘密を要するものがあって、そうしてそれは今その元になりますいわゆるMSA協定、それから船舶貸借協定、これの中にそういうものの秘密の保持をとるべきことが規定されておりますので、それに基いて一方国内法としてその秘密を保護するための法律がすでに昨年御承知通りできているわけでございます。それから一方今度その法律の一部を改正すると申しますのは、丁度その国内法ができますのと前後しまして、少しおそくなりましたが、アメリカとの間に艦艇の貸与に関する協定というのができて、そうして国会の御承認を得ているわけであります。その中にも前の二つの協定におけると同趣旨のこの艦艇貸与協定によって受ける装備品等の、今申しました構造とか、性能とか、使用方法等について秘密保持の規定がございますものですから、その部分を今度の協定の適用を受け得るように一部を改正するということ、そういう趣旨のものでございます。それ以外のことは全然考えてございません。
  213. 高田なほ子

    高田なほ子君 首相の御答弁がございませんが。
  214. 館哲二

    委員長館哲二君) 総理大臣の方は先に済んだようです。
  215. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私が先にやって杉原君にそれを補足してもらったのです。
  216. 秋山長造

    秋山長造君 ただいまの高田委員の御質問の中にありました今度の日米共同声明に基いて、二十七億円の金を注ぎ込んで新潟、立川、横田、伊丹、小牧、木更津、この六つの飛行場が拡張をされる。そしてジェット爆撃機の専用の飛行場になるという話でございますが、これが一体、原水爆の基地にならないという保証が政府の方にとりつけてあるのかどうか、この点は従来政府の御答弁もきわめてあいまいであって徹底を欠いておると思う。今日依然として巷間においては、この新しく拡張される飛行場は原水爆基地になるのじゃないかということがもう既定の事実のように受け取られておるのです。この点一つこの機会に鳩山首相からはっきりと、これが原水爆の基地になるのかならないのか、ならないとすれば、その保証はあるのかどうか、どういう形でその保証をとりつけておるのかということを明確にしていただきたいと思う。
  217. 西田隆男

    国務大臣(西田隆男君) 私が担当いたしておりますので、私から御答弁いたします。飛行場の拡張が今話題に上っておりまする地方では、これはジェット機の発着に便利なように飛行場の滑走路を延長するというだけで、アメリカ側から原爆を搭載するとか、せぬとかいうような問題は一つも出ておりません。また日本政府側としましても、総理大臣がたびたび答弁いたしますように、もし日本の国内に原爆を、あるいは水爆を持ってくるというようなことがある場合には、アメリカ政府から当然日本政府に対して話があるものという予定をいたしておりますので、そういう際にははっきりお断わりするつもりでおりますが、現在まではそういうふうな意思表示はアメリカ側からちっともあっておりません。
  218. 秋山長造

    秋山長造君 その今の点ですがね、今後持ち込まれるという申し込みがあるものと思っておられる。ところが重光外務大臣は、時によるとあるものと考えておると言われ、またこの間は必ず相談をするという約束がすでにできておると、こう答弁なさった、一体政府の方が一方的に必ずそういう場合には相談があるだろうと期待しておられるにすぎないのか、それともそういう場合には必ず相談をかけるという確約をとっておられるのか、その点がどうもはっきりしないから、そのときどきによっていろいろなことを言われるから、われわれはしつこくこの点を繰り返して聞かなきゃならぬ、どっちなんですか。
  219. 西田隆男

    国務大臣(西田隆男君) 私は外務大臣でございませんので、外務大臣のかわりに発言はできませんが、現段階においては原水爆を持ってくるということは毛頭私どもとしては考えておりません。
  220. 館哲二

    委員長館哲二君) 秋山君に申します。後刻外務大臣が出席されるはずでありますから、その際……。
  221. 秋山長造

    秋山長造君 いや、総理大臣がいい。
  222. 館哲二

    委員長館哲二君) 外務大臣からお聞きになったらいかがでございますか。
  223. 秋山長造

    秋山長造君 いや、総理大臣がよく知っておられるはずなんだ。
  224. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 外務大臣はアリソン、あるいはテーラー等に対しまして、そういうような話をしました。そうして外務大臣は確信を持ってここで答弁をしたものと私は察しております。
  225. 永岡光治

    ○永岡光治君 関連質問。どうも話がだんだんおかしくなってきましたが、あれですか、原水爆を使用するときには、その際には相談を受ける、そのほかの爆弾はいいんですか、どんなに積んで飛び立っても、それはいいということになるのですか、気になりますので、ちょっとその点お尋ねいたします。
  226. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 原爆、水爆のほかにどんな爆弾のことをお考えになるんでしょうか。
  227. 永岡光治

    ○永岡光治君 それは幾らでもあります。今まで戦争でもつて原水爆を使わない爆弾はたくさんある。細菌爆弾もあろうし、いろいろ爆撃する爆弾もございましょうし、いろいろ爆弾があると思う。そういうものはどんどん使ってもいいということですか、もしそうだとすれば、私は次の質問をしなければならない。
  228. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は知識が非常にそういう点ありませんが、とにかく原爆、水爆等については、外務大臣はアメリカの当局と話し合いをして、日本には日本の同意なくしてはこれらの爆弾を貯蔵はしない。貯蔵をするような場合には必ず日本の同意を求めると思うが、同意を求めた場合においては、これを拒絶するつもりであるということを答弁しました。
  229. 館哲二

    委員長館哲二君) 高田君。   〔永岡光治君「委員長」と述ぶ〕
  230. 館哲二

    委員長館哲二君) 永岡君も後刻御質問ございますが。
  231. 永岡光治

    ○永岡光治君 私だけ許さぬというのはおかしいですよ……。それでははっきりした確約を得たいのですが、答弁を得たいのですが、原水爆を含めて爆弾という名のつくものは一切相談を受けていないし、貯蔵をしていない、こういうふうに解釈していいのですか。
  232. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私はアメリカと交渉した当事者ではないものですから、重光君の話をあなたに紹介をするだけでありますが、重光君は原爆、水爆という二つの爆弾を指して、これらの爆弾を日本に貯蔵することについてはアメリカは日本の同意なくしては貯蔵はしない、こういったのであります。
  233. 永岡光治

    ○永岡光治君 そのほかのはどうなんです。
  234. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) ほかのは知らないです。ぼくは聞いていない。
  235. 永岡光治

    ○永岡光治君 知らないじゃしょうがない。
  236. 館哲二

    委員長館哲二君) また後刻御質問のときに外務大臣などにお確めを願うことにしまして、高田なほ子君。
  237. 高田なほ子

    高田なほ子君 秘密保護法もさらに拡大されるような状況にございます。国内でジェット機の生産も計画されておりますから、おそらく世相はますます暗くなって行くでしょう。そこでそういう世相の中で特に基地周辺の青少年に対する継続的な組織的な保護対策というものを一向私は知りません。行き当りばったりのような気がしてならない。これは根本的にもう再検討しなければならない時期にあると思うのですが、これに対する根本的な対策を政府としてお持ちになっているのかどうか、この対策がない限り、今日さわがれている売春禁止法も容易に私は通過する状況に至らないのではないかということすら案じているわけですから、どうぞそれも含めて御答弁を願いたいと存じます。教育問題じゃありません、教育問題じゃない。
  238. 館哲二

    委員長館哲二君) 高田君、もう一度どうぞ。
  239. 高田なほ子

    高田なほ子君 質問がおわかりになりませんでしたでしょうか。
  240. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) ちょっとわからない。
  241. 高田なほ子

    高田なほ子君 基地のまわりの青少年の問題を再検討する時期ではないか、これに対する対策をお尋ねしているわけです。
  242. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) つまり基地によって生ずるところのいろいろの弊害について何か考えているかということですか。
  243. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうです。
  244. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) たとえば青少年のこと、あるいは……。
  245. 高田なほ子

    高田なほ子君 たとえばではなくて、青少年対策を今伺っておる。
  246. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 顕著なる弊害が起きた場合においてはアメリカに交渉をして……、(秋山長造君「起きた場合じゃない、起きている現に」と述ぶ)交渉しまして、そういう弊害の生じないようなことに取り運ぶよりしょうがない、仕方がないと思います。
  247. 館哲二

    委員長館哲二君) 時間が参っておりますから……。
  248. 高田なほ子

    高田なほ子君 多分そういう御返事しかありゃしないと存じておりましたので、私は詳しく自分の質問の要旨を側近の方に差し上げておいたわけです。そういう事態が起ったとなりますと、ということでなくして、すでに青少年問題については非常な悪い問題がたくさん起っているのです。鳩山首相は非常にいい家庭環境の中にお育ちになったので、基地周辺の子供の問題についてはあまりお知りにならぬように思うのですが、これは非常に重大な問題です。でありますから、時間がないという御注意もありましたが、その御答弁でははなはだ不満です。おそらく首相の答弁を何らかの機会を通して日本の母が聞いたならば、あなたに対する信頼を一瞬にして失うでしょう。私はもっと確固たる実はあなたの御答弁を期待しておったわけですが、はなはだ遺憾でございます。もし御答弁ができまするならば、もう少し誠意のあるはっきりした御答弁を承わりたいと存じます。
  249. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 高田さんは、何か私に詳細に書いたものを出したとおっしゃいましたが、私の手元には来ておりません。(「閣内不統一」と呼ぶ者あり、笑声)
  250. 高田なほ子

    高田なほ子君 大へん正直におっしゃるので、ついどうも笑ってしまうような結果になるのですが、いずれまた機会を見てお尋ねしますが、基地周辺の青少年の問題は、これは日本の母が一番心を痛めておる問題です。ですから鳩山政府としては、今後軍事基地をさらに拡大する方針をとっておるわけですから、この抜本的な方策については当然立てて行かなければならない問題なのです。でありますから、もし、もしどころではない、立っていない、私に言わしめれば……。ですから鳩山さんは、この機会にどうぞ基地周辺の青少年に対する抜本的な対策、何らかの方針を立てていただきたい、私はこういうことを強く要望するわけです。
  251. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 今意見を聞いたので、質問ではございません。私どもに注意をしろ、研究をしろとおっしゃる。(高田なほ子君「総理大臣の御決意はございますか」と述ぶ)むろん研究するし、善処するのは当然ですから、答弁しなくともわかっています。
  252. 高田なほ子

    高田なほ子君 もう時間がないそうですが、防衛庁の方には前々御連絡を申し上げておきましたので、私は重ねて質問いたしませんから、大体の筋だけをお知らせいただきたいと思います。私の承わりたい主たる問題は、共同声明の中にある飛行場拡大という問題であります。
  253. 館哲二

    委員長館哲二君) まだ御発言になるんですか。
  254. 高田なほ子

    高田なほ子君 ええ。
  255. 館哲二

    委員長館哲二君) そうですか、簡単にお願いいたします。
  256. 高田なほ子

    高田なほ子君 飛行場拡大の問題でありますが、この声明に基いて拡大される飛行場、それは具体的にどういう坪数になっているか、どのような計画をもって拡大されて行くのか。それから、これは今までの計画の中のどういう一環となっているのか、つまり日本の軍事計画の中のどういう一環になっているのか、こういうことです。それから駐留軍の使用している飛行場、日本の航空自衛隊の使用しておる飛行場と別個になっているようでありますが、また一緒に使っているところもあって、どうも私どもには何が何だかわかりません。これを計数的にお示しいただきたい。第三点は、自衛隊の隊員の募集については、最近募集定員に満たないと聞いております。その定員に満たなかった原因と、今後さらに二万の増員を計画しておりますが、どんな方法で募集しようとするのか、その点についてお伺いいたします。あと再質問はいたしませんから、すでに質問の内容はお知らせしてありますから、丁寧に答えて下さい。
  257. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) お答え申し上げます。共同声明の中にうたってあります飛行場の拡張云々という文句は、その共同声明の書き方からいたしまして御疑問があったことと存じますが、あれは自衛隊の方の、防衛庁の方の飛行場のことではありませんで、もっぱらアメリカ軍の使用します飛行場のみに関することでございますから、従って予算関係からいたしましても、防衛庁経費じゃなくして、いわゆる防衛支出金の中の施設提供諸費というものの方に該当することは御存じの通りであろうと思います。従ってそれにつきましては、主管の調達庁関係の主務大臣からお答え申し上げることが適当かと存じます。  それから第二に、自衛隊がアメリカ側の飛行場を共用している場合のことの御質問でございました。自衛隊といたしましては、所要の飛行場につきまして、その必要が生ずる場合、なるべく経費等の関係からいたしましても、既存のもので使えるものはこれを使って、それでやって行くということを考慮いたしまして、その趣旨からいたしまして、アメリカ側で使っておりますものの中で一部使用が可能なようなものはなるべくこれを使って行く、それとは別個に、新規にこっちがたくさんの経費をかけて使うというのをなるべく避けたい、こういう趣旨で共用を認めしめているものでございます。たとえば防府だとか、それから松島だとか、築城だとか、そういうところでございます。  それから第三の募集と、それから欠員との関係でございますが、これは募集につきまして今までの実績を見ますと、応募者はおおむね採用人員に対しまして約三・三倍というふうな実績を示しておりまして、ことに現在も募集中でございますが、これは八千名ばかり募集中でございますが、それに対して六万人以上の応募者がすでにあるような状況でございます。(高田なほ子君「少年自衛隊も含めてでしょう」と述ぶ)全体でございますね。それから、それじゃ欠員はどうして生ずるのか、これは予算や施設の関係等からいたしまして、常時募集というふうな、つまり一年中ずっとならして、いつも募集しているということはいたしておりませんので、時期的のズレが生じます。それから一方やめる方では任期がきてやめるとか、それから死亡とか、そういった自然減もあるのでございます。そういうところから欠員は生じているわけでございます。募集について所要の採用人員を得るということには、今不足するような状況にはございませんです。
  258. 田中一

    田中一君 私第一に伺いたいのは、もはや昨日から梅雨期に入っております。日本の国土はまだまだ荒廃いたしております。本年度予算に盛り込んだところの治山治水費、というのは、はなはだへんぱな形で予算が組まれておる。ことに自由党、民主党が共同で修正いたしました二百十五億、この金が割合に大幅に治山治水の面に、公共事業費ワクの増大になっておりますけれども、それが大体においていわゆる選挙民に対するお手盛り予算的な分配をされておる、こういうような感じを受けるのでございます。そこで総理大臣としては、一体日本の国土の防衛、国土の防衛というのは、あなたがやっていらっしゃる軍隊の問題ではございません。この治山治水、あるいは災害の防御ということにつきましては、根本的にどのような考えをもって三十年度予算を遂行して行くつもりであるか、どうか、まず総理に伺いたいと思います。
  259. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) とにかく長期経済計画を立てるということは、六カ年計画を立てるということは非常に必要なことと思いまして、その第一年度でありまするから、長期の経済計画を立てる上において幾らかの助けになることを目的として本年度予算を組んだわけであります。
  260. 田中一

    田中一君 私は今、総理大臣が言うように、経済六カ年計画と災害予防の国土防衛計画、こういうものとが当然マッチしなければならぬと思うのです。かたわになっちゃならぬと思います。従ってその根本であるところの国土の災害をどうして守るか、そうして治山治水の面において三十年度予算がどのように盛られてあるかどうか、従って経済六カ年計画というものに対しまする総理の構想、これをまず伺いたいと申し上げておるのであります。
  261. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 田中君のおっしゃる通りに、防衛計画あるいは生活の防衛計画も、やはり六カ年計画の経済計画に相応したものを作らなくてはなりませんし、社会保障の制度も同様に必要でありますが、これもやはり経済六カ年計画に相応してやって行かなくちゃならぬ。そういうことを睨み合せて本年度予算はできたものと思います。これは私が答弁するよりも関係大臣からの答弁の方が適切と思いますが、いかがでしょう。
  262. 田中一

    田中一君 どうも軍事力に関する防衛とあなたはおっしゃっておるようですが、私はそう申したのじゃないのです。経済六カ年計画を立てるには、まず日本の国土というものを生産面に動員しなければならぬということを申し上げておるのです。従って生産を増強するためというのは、あなたの一番好きな鉄砲や何かを作るのじゃないのです。いわゆる食糧その他の、国から生まれるところの生産をしなければならぬと申し上げているわけなんです。そういうものを作るために、これが経済六カ年計画の一番根太的な要素だと思います。従ってそういうものに対して、三十年度予算の上におきまして、どのようなウェートをもって考えておるかを伺っておるわけなんです。
  263. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答え申します。御質問一つの点は、予算編成におけるバランスの問題でおありと思うのでありますが、むろん予算編成について、国費をどういうふうに使うか、できるだけバランスを考えることも必要であるが、同時にまた、敗戦後における日本の国情というものは、非常に常態でないのであります。そうして見ると、重点的な配分ということがどうしても考えられて行かなくてはならぬと思う。そういう点におきまして、それでは災害等の予防費は減っておるじゃないか、こういうふうな御質問も具体的におありになるだろうと思うのでありますが、これにつきましては、三十年度において、二十九年度に比べて減っておることは事実でありますが、これは災害が二十八年、二十九年と違っておることと、この二十八年の災害等につきまして、その後において各官庁で連合の調査をやった結果、初めの見込みよりもよほど実情が違ってきている、損害が小さくなっているということ等から見まして、大体こういう程度が適切であろうというので災害費を組んであるのでありまして、予算全体として私はバランスが十分とれている、かように考えております。
  264. 田中一

    田中一君 どうも私の申し上げておることがほんとうにおわかりにならないと思う。私の申し上げているのは、経済六カ年計画を総選挙の前に民主党は社会に発表しております。そうしてその内容というものは、どこに根本的な問題を蔵しておるかということが問題なんです。私はそれこそ国土総合開発と申しますか、国土計画と言いますか、少くとも外国から米を買ってわれわれが生きるんじゃなくて、国内から米を生産して、そうして日本の経済的な独立を持つということ以外にないと思うのです。そういう観点から三十年度予算というものが、ただドルを稼いで外国から米を買うということであってはならぬと思うのです。またそういうことがかつての民主党の選挙公約ではなかったと思う。従って日本は宿命的に災害の国でございます。災害がなければ日本の百姓もなかなか生きられない。いわゆる水を持ってきてくれなければ農業も活発に行かないという状態なんです。宿命的な災害国である。従ってその面に相当大幅な施策を持たなければ日本の食糧問題、または自立経済というものは崩壊するという観点から、ただ均衡している予算を持ったというだけでは困るのです。治山治水あるいは国土総合開発に対しまして、どのくらいなウエートを持っておる予算の組み方をしておるかという考え方を伺いたいと申し上げたわけです。
  265. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今後の経済の自立ということが考えられなくてはなりませんが、それについて、一面において貿易の振興、これはまあ日本の今日の課せられた宿命でありまして、他面また同時に国内の資源の開発、これはまあどうしても両建てでなくてはならぬ、特に資源の開発については、そういう意味におきまして予算の面において経済全体を地固めしつつ、同時にこういう資源の開発あるいはまた将来の貿易の発展の基盤を作って行く、こういうふうな性格を今度の予算に持たしてあるのであります。資源の開発については、特に今回は余剰農産物の円資金等で、電源開発あるいは農地の開発、こういうようなものを進めるという方向をとっておるわけであります。
  266. 田中一

    田中一君 大蔵大臣はだいぶ詳しいようですから、大蔵大臣質問しますが、一昨年の西日本水害のあとに、吉田内閣が、ちょうど二十八年十月十六日であります。緒方副総理が首班となって治山治水基本対策要綱というものを発表しました。そうしてこれは鳩山内閣になりまして、これを廃棄したというような御説明は現在まで聞いておりません。従ってこの治山治水の基本対策要綱というものが今日生きておると思う。従いまして、大蔵大臣はこの閣議決定しましたところの要綱を御承知になって、そうして本年度予算を組まれたかどうか、また組もうとしたかどうか、その点をまず伺います。
  267. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) お答えを申し上げます。もちろんわれわれは内閣はかわりましたけれども、治山治水に関する問題等は内閣によって非常に変るということではないと考えまして、われわれとしては治山治水に関する立てられました十カ年計画というものの基本線というものは守って参りたいという立場におきまして、本年度予算大蔵大臣とも話をしてきめておるような次第であります。
  268. 田中一

    田中一君 実際にそういうお考えならば、それからくるところの経済審議庁の設置法の改正であろうかと見られるわけなんです。そこで質問いたしますのは、経済審議庁の今度の設置法の改正案に当りましては、長官の権限が非常に大きくなっております。これは審議庁長官に伺い、かつまた各省の現業を分担しておられるところの各大臣に伺いますけれども長官の権限でございますが、「企画庁の長は、経済企画庁長官とし、国務大臣をもって充てる。」、「長官は、長期経済計画の策定及び推進のため必要があるときは、関係行政機関の長に対し、必要な資料の提出及び説明を求めることができる。」として「長官は、長期経済計画の推進のため特に必要があるときは、関係行政機関の長に対し、長期経済計画に関する当該行政機関の重要な政策及び計画の立案について勧告することができる。」、こうなっておるのです。これは非常に大きな権限でございまして、私がもしこれが実際に正しい意味において運用されるならばけっこうと思うのです。そこで申し上げたいのは、一体その審議庁長官の勧告というものは、閣議決定あるいは総理の意思というものとどちらに重さと申しますか、強さがあるのかということをまず第一に伺います。これは審議庁長官に……。
  269. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。今度の経済審議庁の権限強化につきましては、ただいまお話のように、各省の大臣に対して資料の提出と、それから政策の推進についての勧告をするということに相なっておりますが、これはもっとこの計画を遂行するためには、これだけの権限ではまだ十分ではないと存じておりますけれども、これを根本的に変えるということになると非常な行政機構の改革ということになりますから、最小限度この程度にとどめておるのであります。ここで経済の六カ年、長期の計画ができましたときには、これは元来は閣議決定を経ないことになっておりますけれども、ただいまの考えでは閣議にかけて、それをよく認めていただくと、こういうことになっておりまして、経済審議庁の長官がその策定いたしました政策につきましては、各省の大臣にこれを勧告するわけでございますから、各省大臣はその自分の所管の行政の権限と、それからその責任においてこれを実行するわけでありますから、勧告をかりに入れなかったという場合にもこれは罰することはできません。またこれは行政的に無効だということもできませんが、しかしこれが勧告を受けた大臣一つの責任があると存じまして、これを実行されなかったときにおいては、そのときには審議庁の長官国務大臣としてそのとき閣議にかけまして、その際におきましては、内閣法上の調整によりましてこれを実行すると、こういうことであります。
  270. 田中一

    田中一君 現在の設置法にもはっきりとこの相互調整に関する事項が法文化されてあるのでございます。それで現在まで少くとも経済審議庁がかつての公共事業費の査定のワクと申しますか、権限と申しますか、これを大蔵大臣に持って行かれて以来というものは、まるで眠ったようなものなんです。何ら拘束力がない、多少予算に対してチェックする力を持っておれば、これは何かの形でもって各省大臣は自分のところの事業の計画を有利にするためには多少とも長官の言うことを聞くかもわかりません。しかし現状においては何らそういうものがない。ただこの勧告という文字が入りまして、長官が現在あるところの、各省が持っておりますところの計画、これに対して勧告をした場合に、伺いたいのは、通産大臣、建設大臣、運輸大臣、農林大臣、この四大臣、少くとも現業を持っておる四大臣はどのような形で、どういう範囲まで自分の方の今までの方針を曲げてまでもそれを聞き入れようとするのか、同時にまた総理大臣は、審議庁の国土総合開発審議会というものは、総理大臣答弁申することになっております。そういう点につきまして現業大臣、四大臣ほどのような範囲までこの勧告に応ずるということを考えておられるか伺いたい。各省大臣から伺います。
  271. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 私は経審というのですか、今度名前が変って企画庁ですか、企画庁で作られる案の中には、内部全体としての意思が盛り込まれるので、その際に通産省あるいはそのほかの省も出ておりますけれども、これらの省の意見が十分に取り入れられて作られるものと信じておりますから、従ってその勧告ができるときには、すでにその勧告に従い得る形になっておるというふうに信じます。
  272. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 建設省としても大体通産大臣のお考えと変ったところはありません。われわれはそんな基本的な矛盾したことが起るとは思いませんので、十分その勧告を入れて実行ができるものと考えております。
  273. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 長期計画を策定して、これを成功するためにはやはり経審が中心となって相互の調整が必要であります。そうでないと行政はばらばらになる、そういう点で大いに経審が強化されることに私は賛成でありますが、ただしかし、それは権限としてどうというのでなくして、その計画が策定されるのには事前に各省とこれは打ち合せをやっておるわけであります。いろんな点で、各省との間に計画を立てる前にいろいろ調整をやりつつやっておりますから、そういう点で勧告というようなことまで出さない、事前に計画の策定に参加しておるのでありますから、そういう形にやることがやはり行政としては好ましいと考えております。
  274. 館哲二

    委員長館哲二君) 農林大臣も何か……。
  275. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 農林省としても前各大臣のお答えになった通り、経審長官方針によってやります。
  276. 田中一

    田中一君 これははなはだおもしろいことになったものです。そういうことになりますと、経審長官が立てた長期計画に対しましては、大蔵大臣予算の裏づけをするという意思はどの程度までのものを考えておりますか。
  277. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) むろんこの六カ年計画を実現して行くために、その計画において予算の裏づけが必要な場合については、むろんこの計画自体が私は大蔵大臣としても満足すべきものであると確信いたしますから、予算の裏づけもこれに伴うていたしていいと思います。
  278. 田中一

    田中一君 かつて他の同僚議員の質問に答えまして、経審長官は、三十年度は経済六カ年計画の一年目であるということを答弁しておりますが、これは間違いございませんか。
  279. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 三十年度は経済六カ年計画の初年でございます。第一年度でございます。
  280. 田中一

    田中一君 そうしますと、はなはだ質問の材料が多くなってきたのですが、一体民主党が持っておりますところの経済六カ年計画というものは、第一次鳩山内閣ができまして、いわゆるわれわれが選挙管理内閣と申しておりましたけれども、短期の間に、たしか一月の初めでしたか、昨年の十二月の末か発表したものと思います。この経済六カ年計画はどのような具体的な裏づけのある資料をもって計画されたものか、私は自信を持ってこの内容の説明ができないものと思うのです。われわれは経済審議庁がかつていろいろ研究しておりましたところの、吉田内閣のかすですね、いいところと悪いところと両方あります。これをただ拾い上げて発表したのがあの経済六カ年計画だと思うのです。われわれは国土総合開発審議会の委員を兼ねておりますが、これはむろん長期計画でございます。従ってこの中には、かつての民主党内閣選挙公約として発表した経済六カ年計画の内容と同じような計画を、われわれ審議会の国土総合開発の面におきまして諮問を受けております。過去三カ年、四カ年のこの国土開発審議会におけるところのわれわれの意思というもの、決議というものを常に内閣総理大臣に答申をしております。しかしながら、これが一つとして実現した例がございません。今言われたことは、これは非常にうれしいことなんですが、通産大臣、建設大臣、農林大臣、運輸大臣が、ともども口をそろえまして、経審長官の勧告がくるならばこれを守る、それから一萬田大蔵大臣は、むろんこの予算の裏づけをするということを伺いました。これは非常にけっこうと思います。しかしながら、現在ですら一つの計画、国土総合開発一つの特定地域の計画にいたしましても、多少、あるいは五千万円、八千万円の金があれば、総合的な経済効果が早く上るというような場合がたくさんございます。これは私もしあなた方が御承知ないならば、全部示して差し上げます。こういうものがありながら、これを調整する何らの裏づけのある予算がない。また今までですら総合調整の任には長官があずかっておるのでございます。しかしこれを一つとして四つの現業担当の大臣からは聞いたためしがない。これが今までの実情なんでございます。われわれ三年間審議会の委員をやっておりますけれども、一ぺんでも四者の間の協定ができたためしはございません。それで改めてもう一ぺん伺いますが、実際にわれわれが枝葉を分けていますところの審議会の答申というものか、建設省はこうせい、通産省はこうせいというものを出し、同時にこれは審議庁長官が列席している上で本会議を開き、決定したものは、必ずその通り御承認になって、六カ年計画の初年度分、三十年度の事業から必ずおやりになる決意がありますかどうか、これは代表して、むろんそれには予算の裏づけは一萬田大蔵大臣がするのでございますから、大蔵大臣から代表して、ここではっきり御答弁願いたいと思うのです。
  281. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。ぜひそうあるように最善の努力をいたしたいと思います。
  282. 田中一

    田中一君 次にお伺いしたいのは、道路整備五カ年計画に関しまして、昨年は時限法としてガソリン税の二千円の増額を多数によってこれが通ってしまいました。そうして大蔵当局は、この五カ年計画に対する目的税的なガソリン税に対しては反対しておりました。ところが本年はこれに対しまして、また二千円の増額、いわゆるガソリン税というものを実質的には一万五千円に値上げしようということを考えておられます。一方日本国内の油田の開発には約三億円程度の補助金を出すという政策もとっておられるようでございます。そこでガソリン税の一万五千円という増額というものが、国民生活にどのような影響があるかということをお考えになったことがあるかどうか、一萬田大蔵大臣に伺います。
  283. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答え申し上げます。これにつきましては、今日ガソリンの価格、それからガソリンを上げた場合の、特にタクシー等の、あるいはトラック等の、こういう方面に及ぼす影響、こういうことを考えまして、同時はまた今日これは目的税的になっておりますが、道路を作ることの非常な緊要性、またこの道路を作ることが非常に緊要であるが、これが地方財政にどういう大きな負担になっておるか、これらを総合的に考えまして、今日財政その他の状況からガソリン税を地方道路税として新設いたしまして、二千円だけ実質において……、これもやむを得ない、こういうふうなもくろみでやっておるわけでございます。
  284. 田中一

    田中一君 何かあまりわからないんですが、ガソリン税、いわゆる四千円ですね、四千円の値上げというものが、国民生活にどのような影響があるかということを考えたことがありますかと聞いておるんです。
  285. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) むろん考えております。
  286. 田中一

    田中一君 先般木村委員質問に答えまして、総理は補正予算は組まない、組まない方針だということを明言せられたように伺っております。われわれこのガソリン税四千円の増額に反対でございます。従ってこれは自由党の諸君のうちにも、あるいは緑風会の諸君のうちにもわれわれと同調して、このような国民生活を脅かすようなガソリン税の値上げというものには反対しようという空気が大分強くなっております。もしこのガソリン税四千円の値上げの問題が否決された場合に、これは鳩山内閣総理大臣は、これでも補正予算をどうしても組まない。また梅雨期になりまして大きな災害が起きた場合、とうてい今日の予算では間に合わぬ場合に、それでも補正予算を組まないというようなしっかりした御決意をお持ちかどうか、伺います。
  287. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私はせんだって自由党と民主党の共同修正案を出して予算増額いたしましたが、そういう意味における予算修正の補正予算を出すということはしないという意味で述べたのであります。
  288. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょっと関連して。この前私の補正予算の問題について、総理大臣は補正予算を組まないと言われましたので、私は念を押しまして、補正予算を組むような場合には責任をとると言われました。責任とは解散あるいは総辞職であるということまで言われたんです。ところが昨日ですか、総理はこれについての、総理の言われたことについての意味をもう一度改められたようであります。そうして天災等のあった場合は別であると言われたようです。そうしますと、天災という程度はどのくらいかよくわかりませんが、それ以外の、たとえば大きな風水害でも起きた、そういう場合は別であるけれども、今後自由党から修正の話があっても、それ以外はいかなる補正予算も組まないという意味なのですか、どうですか、改めてここではっきりもう一度、前のときに対する答弁をお直しになりましたので、もう一度伺っておきたい。特に、実は私きのうラジオの討論会を聞いておりましたら、自由党の小坂君は、やはり今度の共同修正部分については自由党は協力するが、その他の部分については相当不満があるので、補正を考えなければならないということを小坂君は述べておりました。しかしこれは自由党の正式な意見であるかどうかはわかりません。しかし前に石井幹事長も新聞で補正のことを述べておるのでございますから、従って総理の御言明は今後その補正の問題が起きたときに重大な問題が起きてくると思う。そういう意味でこれをはっきりもう一度この補正を行わないという意味についてお伺いしておきたいのです。
  289. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 先日私申しましたのは、天災、災害等の特別の事情が起きた場合のときは別でありますということを言った意味で、しからざる場合です。この間の共同修正のごとき、どの部分予算はもう少し増額しなくちゃ困るというような補正予算意味には絶対反対だと、その場合においては重大なる決意をしなくちゃならんと、こう申したのであります。
  290. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは一応わかりました。それでは天災あるいは風水害等の問題が起きた場合以外は前に私に御答弁になった……。
  291. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) その通りであります。
  292. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その通りですね。
  293. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) その通りであります。
  294. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 ただいま木村委員から御質問申し上げたのでありますが、木村君も以前申し上げておったと思うのでありますが、民主党と自由党との間に、将来の予算に関連して尾をひくような申し合せがあるやに聞いているのであります。このたとえば石油の採油の調査をするのが、これは補助金という形になっているわけであります。しかしそれがたとえば新らしく採鉱のための株式会社ができる場合に、そっくりそのままやってしまうとか、あるいはビキニマグロの補償についても考慮するとかいうような問題がまだ陰にあるようであります。たとえその金額が三億なりあるいはまた五、六億なり、そういうものが民主党と自由党との申し合せの結果補正予算を組まなければならない状態に追い詰められるというような場合でも、そういう予算は絶対に補正しないということでございますか。
  295. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 二百十五億を限度として修正に応じたのでありまするから、その結論として同じ論拠においてこれからの予算の修正的な補正予算には応じないということは私は当然だと思っております。
  296. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それで先ほど責任をとると仰せになったのでありますが、その責任をとるということは、今申しました民主党と自由党との申し合せというような格好で、たとえ金額が少くともそういう形式の補正には断じて反対である、そういうところまで追い詰められた場合には総理として責任をおとりになる、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  297. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) その通りであります。
  298. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょっと……。
  299. 館哲二

    委員長館哲二君) 木村君はこの次に御質問を願うことにいたします。
  300. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 別の問題です。総理が訂正されたものですから……。
  301. 館哲二

    委員長館哲二君) 今の補正予算の問題——それじゃ今度一回だけ……。
  302. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私が了解いたしましたのは、自由党と民主党と話し合っての修正、今後における修正、それ以外の補正については総理はやらぬ、天災その他の風水害以外には補正はやらぬ、こういうふうに私は解釈した。総理は前にその通りだと……。
  303. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) その通りであります。
  304. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうなんですね。それ以外についてもそうなんですね。
  305. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) その通りです。
  306. 田中一

    田中一君 予算と法案とは別個の問題であります。しかし法案と予算とが関連している法案も多いものだと思うのですが、そういう昨年の繊維税のように予算の裏づけがなければ、財源としての法律が否決された場合、その場合には総理はやはり責任をとられるつもりですか。あるいは補正をしないつもりですか。あるいはその場合には責任の所在はどうなりますか。
  307. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 法案が否決されたときですか。
  308. 田中一

    田中一君 法案が、財源に関係のある法、案が否決された場合、財源がございません。従ってその場合には補正しないで、どういう形でもってそれを切り抜けていくかということを伺っているのです。むろんそのときには総理は責任をおとりになると思いますが、今までの関連する質問の御答弁から見ましても、そう了解してよろしゅうございますか。
  309. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。政府といたしましては、この提案してあります法案がぜひとも御審議を経て、国会を通過することを念じているわけでありまして、通過しないことについては考えておりません。またかりにそういう事態があっても、これはこの法案の性質あるいは及ぼす影響等を考えて見なくてはならぬかと、こう考えております。
  310. 田中一

    田中一君 私は大蔵大臣答弁聞いてるんじゃないのです。責任をおとりになるかどうかの問題を……。大蔵大臣はおやめになればいいでしょうけれども総理はどういう形の責任をとるかということなんです。財源が伴う法律が否決された場合、財源がございません。その場合には補正をいたしませんかどうか、ということを伺っております。
  311. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) その法案の種類によりまして、別の財源が考えられないような場合におきましては、重大な決意をしなくちゃならぬと思いますが、その財源の予算が否決されても、ほかからどうにかなるような場合におきましては、その際にわれわれの行動については考慮をすればいいと思っております。
  312. 田中一

    田中一君 これはもう一ぺん伺いたいのですが、大蔵大臣、建設大臣に伺いますが、今年の二月十二日の人事院裁定、建設省の補助員の身分の問題に対する人事院の判定の出たことは御承知でございますね。で、これに対しまして目下大蔵省といろいろ折衝しているというように聞いているのですが、このような補助員、いわゆる当然国家公務員としての仕事を長年、二年も、四年も、五年も続けておりながら、いまだ事業費による賃金をもらっているところの公務員がたくさんおります。先般内閣総理大臣に対して私の質問をいたしましたその質問答弁を見ても明らかでございます。そうしてこのような実態においては、公務員と同じような仕事をしており、ただ定員法というワクの問題から事業費をもって日雇い稼業をしているという国家公務員が相当いるのでございます。これに対しまして、人事院ほこれば当然国家公務員とみなすべきである、こういう形の判定を下しておりますが、これに対しまして建設大臣、農林大臣、それから運輸大臣、その他ここにおられる大臣の方々は、自分の使用しておりますところの臨時雇いの、あるいは日雇いの国家公務員の身分につきまして、どのような考え方を持っていらっしゃるか。この際各大臣とも明確にあなた方が日夜使っておる公務員でございます、御答弁願いたいと思います。
  313. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これはお話しの通り私の省だけの問題ではないと思いますが、私はこの制度は定員法の定め、いわゆる戦後の人事院の建前に基いて起った問題であって、非常にこれが合理的ないい方法だとは、率直に思っておりません。従って公務員制度全般の改訂をすみやかにやろうということが現内閣考えで、今進めておりますから、その際にこの問題は取り上げて新しい考えに移すべきであるというふうに私は考えております。
  314. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。建設大臣同様であります。
  315. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 同意見でございます。
  316. 田中一

    田中一君 大蔵大臣どうお考えになっているか。あなたが一番頑強にこれをはばんでおるというように伺っておりますが、どうでございます。
  317. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えいたします。将来根本的にこれを考えるということは決してはばむわけではございません。合理的にこれを解決したいと思っております。
  318. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 質問に入る前に、資料要求してありましたが、まだ出ておりませんが、これは出ておるのでしょうかどうか。その資料に基いて質問したいと思っていたのですが。それは、前にこの予算の裏づけとして経済六カ年計画というものをわれわれが配布されました。それを高碕長官質問いたしましたところ、これはまだいろいろな数字も動いたりなんかするので、そう固まったものじゃない。そこでこの予算を審議する上に、相当固まった六カ年計画、それは全体は出せないから、せめて三カ年についてでも出していただくことになっておったのです。それをもとにしてわれわれ審議したいと思う。そしてそれはこの防衛計画を織り込んだものである、そういうものを出していただくことになっております。それが出たのでしょうか。それから防衛六カ年計画についても、予備審査の段階で事務次官の方は、極力これを出すように努力いたします、そういうことを言われましたので、それをわれわれは期待して待っておったのです。そういうものをもとにして共同修正をひっくるめての全体の審議でありますから、その資料ですね。まだ出てないようですが、どうなったのか。これは委員長からも確かめていただきたい。
  319. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。この六カ年計画につきましては、これはとにかく先ほど御質問のありましたように、ほんとうの一カ月くらいの間に過去のいろいろな数字を集めまして、そして大体は今度の方式によりまして六年後に増加する人口、それに対して働く人は何人ある、その人に対しては一時間に幾らずつの仕事を出さなければならぬ、そういうところから経済自立、完全雇用ということについて調べまして、そのめどははっきりきめたわけです。これを実行に移しますについては、従前のやり方から変えまして、積立式で、過去における実績、現状に十分即応してこれはやっていかなければならぬ。ここでなかなかいろいろな数字が出るのでございます。実際において、実はこの前にお答えいたしました通り、せめて三年分でもやろうということについて、実は数字が出ておるのでありますけれども、私はこれを良心的に見まして、まだこれは変えなければならぬ。また変えなければならぬ。こういうことについて相当検討いたしておりまして、各省との連絡をとっておりますから、一方防衛の長期の計画はいろいろ計画を立てますについて大事でありますので、防衛の長期計画は現在でき得ないのであります。そういう状態でありますものですから、私また間違っていろいろ数字が出て迷わしめても困る。こういうことで私はこれを発表することを差し控えたわけでありますが、不完全ながらとにかくある程度の数字はお約束いたしました通り、三十年度、三十一年度、三十二年度までのものは大体まとまりつつあるわけでありまして、これは早い機会にお手元に差し上げたい、こういう所存でございますから、さよう御了承願います。
  320. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) お答え申し上げます。この防衛の長期計画は防衛庁といたしましてせっかく検討中でございます。実は私相当検討を要する点があると、事実私自身そう思ってまだ成案を——、防衛庁限りのものといたしましても成案を得るに至っていないという状況でございます。それからさらにこれは長期の計画となりますと、防衛庁限りではもちろん最終的にきめられないことは当然でございます。この間からも私地の機会にも申し上げましたが、政府としての一つの成し案ができましたならば、今度国会に御審議を願っております国防会議というものが実現を見ました上で、そこにかげました上で、諮問した上で、その意見をよく聞いて、そして然るのちにわれわれとしても決定したい、こう考えておる次第であります。さような次第であります。
  321. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それではですね、審議できないじゃないのですか。必要な、十分もう前に要求してある、これは各委員要求でもあったのですが、必要な資料がなくて、そして経済六カ年計画の第一年目のこの予算を、六カ年計画の一年目の予算と言っていいのですよ。それがわれわれかすに時日をもって今経審長官言われたように、あれは選挙用であったとはおっしゃいませんでしたけれども、非常なわずか一カ月くらいの間に急いで作ったものである。それじゃ当てにならんものだ。そこでもっと固まったものを一つ三カ年の目標を置いて作られる、また作りつつあるとはおっしゃいましたが、そういうものを基礎にしなければ、どうしてわれわれは六カ年計画の第一年目の予算を、それなくしては長期計画の関連においてわれわれ質問することができない。それが予算の審議の一つの重要な点だと思うのです。三十年の一カ年のいろいろな影響、その他についても重要でありますけれども、長期計画はその一カ年においてそれを審議しなければならぬ。それが材料をこれまですぐ出せというのではない、もう大分たっておるのです、大分たっておるのですよ。それでは全くわれわれを無視するようなものじゃないですか。予算の審議を困難ならしめるということになるのではないでしょうか。そういう意味で非常に審議することが困難になるわけですが、委員長この点それでは今これからやめるわけに参りませんから、何かまだ一般質問もあります。ですからそういう場合に備えて政府にここで何か委員長からも大体いつごろまでに出せるかということを、そういうことを確かめていただいて質問に入りたいと思いますが。
  322. 館哲二

    委員長館哲二君) 高碕国務大臣にお伺いしますが、今の三カ年の分につきましては、何か早くお出し願うことができますか。
  323. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。三十年度予算につきましては、経済六カ年計画の初年である、この責任において……、私は責任を持って三十年度は初年度であるということを申し上げます。従ってこれは予算を御審議願っても私はここで責任を持てると思います。三十一年、三十二年ということにつきましては、ただいま御答弁申し上げました通りに、できるだけ正確なものにしたいと思っているということは、何しろこの計画を立てまするにつきましては、現状とそれから過去の実績というものに重点を置きたいと思いますことと、私はもう一つ良心的にお答え申し上げたいと思いますことは、ほんとうのこの計画を立てますについては、日本の国富というものがどのくらいあるか、富はどのくらいあるかということの数字がほしいのでございます。ところが遺憾ながらこれは昭和十年以来までできていないのであります。こういうふうなことをまとめて間違いない数字を作りたい、こういうふうな考え方から私はためらっているわけなんでございます。しかしながら御要求によりまして、できるだけ早くこれは作り上げて差上げたいと思いますが、それは今申し上げた通りに、確実であるということについては、多少疑問のあるということだけは御了解おき願いたいと思います。(「いつごろですか」と呼ぶ者あり)
  324. 館哲二

    委員長館哲二君) 委員長から申し上げますが、今高碕国務大臣から御答弁ありましたように、どうかできるだけ早く審議にぜひ間に合うようにお出しを願いたいと思います。強く要求しておきます。(「日を限って下さい、審議の予定がありますから」と呼ぶ者あり)……、さらに日を打ち合せまして、口をまたお示しすることにいたします。(「今聞いて下さい、委員長、そうしないと審議の進めようがありませんから」と呼ぶ者あり)……およそいつごろというお見込みでありますか。
  325. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。先ほどお答え申しました通りに、三十年度につきましては私は六カ年計画の初年度として御審議願って責任を持てると思います。その三十二年に至るまでの間の計画につきましては、これは先ほどお話し申しました通りに、その数字については、私はまだこれについては相当の疑問があると存じますから、多少変更していただかなければならんかと存じますけれども、大体の数字はここ一週間以内でお手元に届けるということになると思います。
  326. 館哲二

    委員長館哲二君) 今の点で御了承いただいておきたいと思います。
  327. 小林政夫

    小林政夫君 それに関連して、私も同様な要求を、本年の一月二十三日の鳩山第一次内閣施政方針演説に対する質疑のときにもお願いしました。今日までずっと待っている。今の長官の説明は経審限りの、しかもあまり自信のない答弁しかできない。この六カ年計画というのは、本年度予算が初年度であるということであれば、先ほども田中君の質疑に対して各大臣が答えられている。少くとも鳩山内閣としての決定版でなければならない。それと違うような施策は、それぞれの省が行えない。予算の裏づけも十分つくものでなければ、かようなものでなければ意味がない、そのようなものとしてお出しになるのがどうか。
  328. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。ただいまお答え申し上げましたごとく、三十年度予算につきましては、これは決定したのでございます。三十一年、三十二年につきましては多少その間にまた実行に移すにつきましては考慮しなければならないと存じます。けれども、その予定の抜字だけはここに差し上げるという点で進んでおります。
  329. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それではまあ大体厳格な数字ではなくても、一週間以内に、大体一週間くらいでお出しになることに御言明がありましたからこれから質問に入りたいと思います。(「防衛計画は」と呼ぶ者あり)……これは防衛計画も織り込んだものというふうに了解しておりますが……。
  330. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。防衛計画は先ほどお答え申しました通りに、これは長期にわたってはまだできないわけでございますから、これを繰り込むことはできません。さよう御了承を願います。(「おかしいじゃないか」と呼ぶ者あり)
  331. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは、防衛の問題が一番大事な、大きなウエイトを占めているようなわけですのに、それで計画的なあれがお立てになることができるのですか。防衛を全然オミットした計画では全く意味がない。ペーパー・プラン、そういうものを出していただいても、われわれそれをもとにして、三十年度予算を責任をお持ちになると言いますけれども、三十年度予算防衛費が入っているのです。ですからそれとの関連は一体どうなるのか防衛の問題が含まれていなかったらおよそ意味はない。それは困難ではありましょう、ありましょうが、それを作らなきゃならないのです。それではペーパー・プランです。この点もう一度困難であっても、一つ厳格なものではなくても一つの見通し……、どうせ来年、再来年を規定しようとしても無理です。しかし大体の防衛費の比重を出して、国民所得のどのくらいと、大づもりのあれでお作りにならなければ、まるで生きた資料にならないと思う。この予算資料に、予算審議の基礎にならないと私は思う。その点どうしてもわれわれは、それを要求いたします。
  332. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) この経済の計画と防衛の計画は密接な関連があるとおっしやいましたが、それはおっしゃる通りでございまして、防衛の計画の方は、その規模内容等につきましても、私案はいろいろの点からよく検討してゆきたいと考えているわけでございまして、なるべく早く出せとおっしゃるその御趣旨はわかりますけれども、今の研究の進行の段階からいたしますれば、まだ相当私は時間をかしていただく必要がある、そう考えている次第でございます。(「六カ年計画は出したじゃないか」と呼ぶ者あり)
  333. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは資料の問題についてはちょっと了承いたしかねますが、こういうことで時間のたつのも遺憾ですからこの問題はまた理事会等で相談することにしていただきたいと思います。それで質問を進めたいと思います。  建設大臣に、何か御用があるようですから、簡単なことですから一つまず伺いたい。今の住宅不足の現状ですね。現状について率直に御意見を伺いたいと思います。
  334. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 御承知のように今までずっと、経過的に二百八十万戸といろいろ言われておりますが、なおそれに今後の不足を入れ、まして約五百万戸というものを現存不足の対象として考えておりますが、これは率直に申しまして戦後のいろいろな混乱の中を経ておりますので、正確にわれわれも自信をもってその内容についてば細部にわたっては申し上げかねると思いますので、今回若干の予算をもちまして住宅全体の調査をいたすつもりでありますので、これによって実態を把握して参りたい。しかし予算の基礎をなしております現状を、決してわれわれは無視して考えてはおりませんけれども、御質問の御趣旨と同様にわれわれも細部についてはまことに不十分だということを認めておる次第であります。
  335. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは非常に簡単でしたが、戸数について大体どの程度に不足しておるのか。また一戸をかまえておっても、その一人当りの畳数その他、それから老朽住宅、そういうものを含めると、相当深刻なものではないかと思うのです、四十二万かりに建ってもです。そういう実情をはっきり聞きたいわけなんです。
  336. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 数字にとらわれて申してまことに相すみませんが、実情は深刻なことはよく各方面もお認めを願っておるし、われわれも考えております。従って二百八十万戸と申す中には、いわゆる狭小過密の、一軒の中に何家族も入っておるというようなものも相当数あることを前提に考えておるようなわけでありますから、部分的には非常に深刻な状態であり、今までの認識では都会地に非常に深刻に現われておりますが、このごろ地方の状況も、数の程度こそ違え、住宅の不足は全国的であるというふうにわれわれは考えております。
  337. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 建設大臣に対する質問はこれでもうけっこうでございます。  厚生大臣に伺いますが、今生活保護、法の適用の対象になる要保護者というのは、全国で何人くらいおりまして、そしてどのくらいが適用を受けているものか。それから結核患者というのは、今問題になっていますが、全国でどのくらいいるか。それで即時入院しなければならないものは何人くらいいるか。それから結核のベッドというのはどのくらいのもので、どの程度不足しているかその点……。
  338. 川崎秀二

    国務大臣(川崎秀二君) 生活保護の対象になります被保護要員は、ずっと申し上げます。昭和二十六年が二百二万、二十七年二百八万、二十八年百九十三万、二十九年百八十八万ということになっております。本年も大体前年度とほぼ同様の数に見込んでいただけばよいと思います。それに基いて予算も組んでおる次第であります。昨年補正予算がありまして、その際に訂正をいたしまして、その傾向の通り動いておると思います。  それから結核の方は、結核患者は、昭和二十八年に調査をいたしましたのが一番最近の具体的な統計でありますが、その際においては二百九十二万という結核患者が現在おる。これは昭和二十八年に調査をして、昨年度の十月でありますか、発表した数字だと思っております。入院を必要とするものは百三十七万、こう大体考えております。このうち、数字としては百三十七万という数字が出ておりますが、確実にどの患者が必要だということを具体的につかんでおる数字としては三十七万という数字が出ております。それからベッド数は今日二十一万になっております。本年の結核ベッドの増床を予定しておりまするのは、最初は九千台が一万に復活をいたしております。以上であります。
  339. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 要保護者というのは全国で何人くらいですか。これは保護を受けている人ですね、推定でいいんです。
  340. 川崎秀二

    国務大臣(川崎秀二君) 保護を要すべきものと認められるものについては、この数でふんでおりますが、いわゆる社会不安も影響いたしましてボーダー・ライン・ケースと考えられるものは七百万と見込んでおります。
  341. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは労働大臣でもどなたでもけっこうですが、完全失業者、それから潜在失業者、これは最近の数字でどのくらいになっておりますか。
  342. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 大体三十年度の完全失業者は六十三万人にとどめたいという考えでおりましたところが、この三月には八十三、四万人にふえているわけであります。これはもちろん毎年三月が多くなりますが、それは四月になりまして、現在七十万に減じているわけでありまして、本年は六十三万にとどめたいと、こういう考えでおります。潜在失業者の数字というものはなかなかわからないのでございまして、ある人は八百万と言い、ある人は一千万と言い、これを現在のところ調査する方法はなくて困っているようなわけでありますが、これは非常な重要な問題だと存じまして、できるだけこれを詳細につかみたいと存じております。
  343. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ついでに経審長官に伺いたいのですが、今災害の復旧率はどれくらいになっていますか、昭和二十五、六、七年と、それと学校の校舎の不足はどれくらいになっていますか。
  344. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 昭和二十八年の災害につきましては、各省所管によっていろいろ復旧率はまちまちでございますけれども、現在御審議願っております予算による復旧率の目標といたしましては、二十八年災は六割五分、二十九年災は五割五分ということを目標といたしまして予算を計上いたしております。学校の方は今ちょっと手元に資料を持ち合せておりませんが、二十八年災につきましては、二十八年、二十九年の二カ年の予算で大体復旧いたしたものと考えております。
  345. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでもけっこうですが、学校の方はよくわからんのですね。不足数はどれくらい、坪数は何万坪……、大まかでいいのですが……。
  346. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 手元に資料がございませんので、調べましてすぐお答え申し上げます。
  347. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは総理大臣、今の報告ですわ、正確に数字的にはおわかりにならないとしても、大体のことはわかっていただけたと思うのです。今の各大臣に責任をもってわざわざ答弁していただきましたのは、住宅不足は深刻であるということ、これは建設大臣もはっきり言われているわけです。それからまた生活要保護者は七百万という推定であります。しかし人によっては千二百万人もいる、ボーダー・ラインで……。これは潜在失業者の調査と同じように困難ではありましょうが、相当多くの要保護者がおりまして、そのうち保護を受けている人は百八十八万、その程度しか保護を受けられていないのです。それから結核患者数が二十八年で二百九十二万人おりまして、即時入院を必要とするものが百三十七万、ベッドは二十一万ベッドしかないのです。そういう今の御報告でございました。完全失業者は七十万人もおります。潜在失業者は八百万ないし一千万人、六カ年計画では潜在失業者については何ら手を打っておりません。災害の復旧率は二十八年災で六割五分、また学校の校舎の不足もこれは大へんなものであります。小学校児童の校舎の不足、毎年学童は五十何万もふえます。中学生は二十何万ふえ、高等学校の生徒は八、九万ふえるのです。ますます校舎は不足になります。こういう実態を今報告していただいたわけです。この数字だけから大まかに見ても、今の日本のこの国民生活の実態がなまやさしいものではないということは、これで総理も大体頭に入れていただいたと思うのです。  そこで次にお伺いしたいのけ、大蔵大臣に、今の日本のこの防衛負担というものはどのくらいのものですか、お伺いしたいのです。防衛負担はどのくらいでしょう。
  348. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 防衛、これは国民所得に比較して申し上げます。これがどれほど的確にどういうパーセントかいいか、これは非常にむずかしい問題であると思うのですが、日本の場合で実際どうなっておるかということを申し上げますと、二十七年で三・五%、二十八年、二十九年で二・一%になっております。これはまあいろいろまた計数的なあれがありましょうが、英米あたりでも、これは日本の防衛が問題になるところですが、英米あたりで、ごく最近のパーセントで一二%程度というふうになっております。こういうのが今日の実情でございます。
  349. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はそれはあとでお伺いしょうと思ったのですが、今の予算、三十年度予算で結構です。防衛負担というのはどのくらいの金額になるものでしょう。前に大蔵大臣が、国民所得に対してどのくらいの防衛負担が適当かどうかというような質問があった場合に、これはアメリカのヘンゼル国防次官が、日本は四・五%ぐらい負担できるだろう、こう言ったのに対して、大蔵大臣は、防衛分担金とか、あるいは防衛庁費、それ以外のやはり防衛負担というものはあるのであって、そんな少いものではないのだと、そういうふうにおっしゃられましたから、防衛分担金は、あるいは防衛庁費以外にやはりこの防衛費として今日本で負担しているものはどのくらいですか。三十年度予算を例にとっていただいてもけっこうです。
  350. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 予算に対しましては一三%ぐらいかと思います。
  351. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういうことを聞いておるのではないのです。私は、時間が非常に少いのでもう少し正確に答えてほしい。金額を聞いておるのです。
  352. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私の申し上げましたのは、千三百二十七億の今回の予算規模に対する比率であります。
  353. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 日本の財政なり経済なり、そういう問題を考える場合に、防衛費は一応不生産的な支出として考えられる。再生産の方へ回らない。それはまあ戦争があったときには一つの役割をなしますけれども、平時においては不生産的支出です。そういう不生産的な防衛関係費ですか、そういうものはこの防衛分担金防衛庁費だけでないと思うのです。そういう意味で伺っているわけです。
  354. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) アメリカのヘンゼルですか、彼が来て、日本の防衛力増強の意欲について、いろいろと批判をされた。そのときに、国民所得等に対してのパーセントがどうも低い、まあ外国の例で、小さい国でも四、五%ぐらいな防衛力の割合になっている所もあるじゃないかという意見もありました。そうして日本は二%というような話。これはしかし私はそれについては、日本の一人当りの所得というものがほとんど、たとえばアメリカ等の十分の一以下にもなっておる。また所得の配分も非常に違うところから、私はそういうような単なるパーセントで論議すべきではない。国民所得全体についてのパーセントで論議すべきじゃないか、こういうような話を……特にまたこういうような数字、パーセントで比較するのは非常に危険なんでありまして、この中に入っている数字も非常に違う。たとえば日本のような場合では軍人恩給なんか入っていないのです、普通では。アメリカあたりは軍人恩給などはすべて軍事費中に入っておる。こういうようなこともあるので、そういうように簡単に比率をとるべきじゃない、こういうような考えであります。
  355. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この不生産的な防衛費的なものが多ければそれだけ国民の生活が圧迫を受けることは明らかなんですが、従ってそういう観点で、われわれ防衛費国民所得でどのくらい、かりに防衛が必要だとすれば、必要であるか。現にまたわれわれが反対しても防衛費というのはあるのですから、どのくらいこれが圧迫になっているかということは、やはりどうしても正確につかまなければならぬわけです。大蔵大臣防衛分担金とかあるいは防衛庁費、またアメリカあたりでは軍人恩給費ということも言われましたが、それをひっくるめてもそのほかに不生産的な防衛関係費が非常にたくさんあるということをわれわれは念頭において財政経済を考えなければならないのじゃないかと思うのです。たとえば特別会計において、国鉄においては駐留軍はあの大型貨車を使うのであります。そうしてあの料金は、政府が物を使うと同じような料金、低料金で、官庁と同じ料金、しかも準備空車というのがありまして、あれを準備しておかなければならないのです。それだけ非常な不経済になっておるのです、国鉄輸送が。これは非常なマイナスです、国民経済からいえば。これもやはり間接的な防衛費です。それから通信関係におきましても低料率、政府と同じ料率、電信電話その他も同じように使われる。その建設費というものに向ける材料、また地方財政においても、間接的に駐留軍の基地関係その他で相当防衛費的に負担しております。駐留軍が駐留したために、たとえば横須賀市などでは、必要以上に衛生施設を充実しなければならぬというので市の財政負担が非常に大きくなるとか、その他いろいろなところへ来ましてそれが相当なものです。それにまた軍事基地として土地を接収する、海面を接収されて魚がとれなくなっておる。そういうものの賠償のために、われわれがまた税金を払わされる。そういうものも間接的な防衛費です。ですから防衛関係費というのはそういうもので、そういうものは日本の経済の再生産にならない。そういうものはみんな国民生活の圧迫になっておる。こういう観点で防衛関係費というものを考えなければならない。単に予算面に出ておるあの防衛庁費分担金、これだけで不生産的な防衛費が多くなったり少くなったりする、そんな簡単には私は考えるべきものではないと思うのです。そういう点、大蔵大臣はどうお考えですか。また長官は、今後六カ年計画をお考えになり、あるいはその拡大均衡にもっていく場合、資本の蓄積というものは必要なんです。今のようなことは何ら蓄積にならない。逆であります。で、長官にもまた伺いたいのです。
  356. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。この防衛費国民負担に対する関係考え方については、私やほり木村さんと変った考えではありません。同じような考え方を持っておるのですが、まあ私はしかし、今日日本の状況において、国民所得に対して二%ないし三%、こういうところが今日の日本の防衛力の点から、あるいは日本の経済力から見て、内外の情勢に照らして私はやむを得ないところではないか、こういうふうに考えて、こういうものについては、また今後の経済力の増強によってある程度の幅もあり得ると、こう考えております。特に私が防衛力について、これは今後の問題になりますが、一つ考え方は、これは防衛力でありますから、昔と違って、そんなにむちゃくちゃな国民負担を圧迫をする、大きく圧迫する、そういうようには、私は今日の日本の防衛力の性格からして、ならぬのじゃないかと、こういうふうにもまあ考えておる点もありますということを申し上げておきます。
  357. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 六カ年計画のことと防衛力の問題で、先ほど国民所得に対する何%という問題がありましたが、大蔵大臣から大体お答えした通りでございますが、ただ外国は一二%、ある国は四%だとか、だから従って日本国民所得の四%にしろ、これは少し私は暴論だと思うわけであります。で、私は今、これは私個人的の考えでございますが、非常に考えております問題は、国民所得だけによって防衛力を何%にきめるということは、非常な危険があると思う。国の富が幾らあるか、国力が幾らあるかということが、私は先決問題だろうと思います。現在私ども国民所得というものは、戦前においては、大体国富の一割くらいが国民所得になっておったわけでありますが、私の勘でございますが、現在の国民所得というものは、国富に対して一割以上、二割近くにもなっておるように考えておりまして、ここに非常な危険性があると存じますから、一がいに国民所得のいかんによってきめるということでは、私は非常に問題があると、そういうふうな感じで今後やっていきたいと思っております。
  358. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ちょっと関連して。今防衛関係の諸支出を明瞭にしろというお話が木村委員からあったのですが、今お話のように、汽車の運賃であるとか、あるいは通信費であるとか、あるいはガス、水通費であるとか、そういう現物の形で出しておるもの、さらには土地を、国有地を出していて、それを賃貸するとすれば、どうなるか。そういう一切の防衛関係の経費を一応お調べ願って、それを資料にして出していただきたい。同時に道路、港湾等の整備事業費に三百十五億ありますが、この中にも直接に駐留軍関係のためにやらなければならないものが相当あるやに聞いておりますが、それらを一つどういう、経費的にどういう関係になっておるのか、そこらを精細に御調査を願って、資料として出していただきたい。そんなに急ぎませんけれども、お願いしておきます。
  359. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょうど佐多君が非常に整理して質問をしてくれましたから……、私も前からそれを望んでおったのです。ところが、これは非常にわれわれではもう調査が困難です。ただ建設省の中に防衛関係のものはどれくらいあるか、港湾関係の中で防衛関係がどれくらいあるか、これは個々に調べていかなければならないのです。ですから非常に困難です。たとえば厚生省の公衆衛生費の中にだってあるかもしれない。ですから、そういうのをやはり一応拾ってみて、私も急ぎません。しかしこれは今後の日本の経済の再生産を考えるとき、そういうものをやはりひっくるめて調べてみたいのです。ですから、急ぎませんが、これはどうですか、大蔵大臣でけっこうですが、これはちょっと御答弁願いたいのです。
  360. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) ただいまの御要求に対しましては、できるだけのことは調べるつもりでございますが、千三百二十七億、この中に佐多委員がおっしゃいましたガスだとか電気だとか運賃、こういうものはこの中に、防衛分担金の中に入っております。それが国民経済的に安いか高いか、もし安いとすれば、それによる負担がどれくらいかというお尋ねなのでございますが、そこまでの資料はちょっとなかなか簡単にできにくいのじゃないかと思います。なお公共事業費の中で防衛に関連したものがあるだろう、それを調べて出せというお話でございますが、これは実は昨年までは、直接駐留軍関係のものは、例の安保諸費で経理いたしておりまして、毎年、昨年も八十二億円ぐらい支出がございましたのでございますが、今年はその昨年計画いたしましたものの支出未済になりましたものが残っているわけでありまして、安保諸費系統の経費は出ておりません。公共事業費の中にあるかというお尋ねでございますが、これは私どもはそういうものは実は見ていないつもりであるわけでございまして、その中から多少でも関係のあるものを拾えということになりますと、これまたちょっとなかなかむずかしいのではないか。なお、国有財産を提供いたしておりますものについての賃貸料の見積りはどうなるか、この点は私どもの方に資料がございますので、調べまして提出いたしたいと思います。
  361. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 とにかく攻撃しているわけではないのですから、これは国民の一人としてみんな知っておかなければならない。そういうものは調べておかなければならぬものです。われわれから言われなくたって、良心的にほんとうは調べておかなければならないのです。われわれが防衛費は千三百二十七億ですかと質問しましたら、違います。実はこうこう、こういうものがあって、こういうふうに解釈すべきだ、そのくらいの調査をしておかなければ、これは間違いですよ。今後の六カ年計画、日本経済を自立化させようというのでしょう。そんなときに、そのくらいまでの再生産の構造を考えておかなくてどうしてできますか。そういう意味でこれはお願いします。相当金がかかるかもしれませんが、一つ思い切ってやっていただきたいと思うのです。  それから、そこで大体何%ぐらいが、防衛費として国民所得の何%が適当と大蔵大臣はお考えになるか。あるいはまた経審長官、防衛長官は何%ぐらいが大体日本において適当とお考えか。それから六カ年計画をやっていく場合にも、その心づもりは必要なわけです。それはこまかい数字は必要ございません。その心づもりだけでも伺っておきたい。
  362. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これはなかなか、国民所得に対して何%ということはなかなか私はむずかしいと思うのですが、しかし先ほど申しましたように、最近における日本の実績が、国民所得に対して約二%強であります。二・一%。それで私が考えるのに、国民所得に対して二%ないし三%というところが私は適当なところではないかと思っているのですが、これは今後のまた内外の情勢、あるいは日本経済の状況いかんによって、これは幅のある考え方をいたさなければなりません、かように考えております。
  363. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいま大蔵大臣がお答え申し上げました通りでございます。大体において国民所得だけできめるということは、相当危険があると思います。先ほど申しました通り、なるべく早く日本の国富がどのくらいあるかということをきめまして、それから決定したいと思いますが、大体国民所得からいえば、六カ年計画を立てます上において、二ないし三%の程度でとどめたい、これでそろばんを持っていく、こう存じております。
  364. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大体防衛庁長官からも、それは同じ政府ですから、同じような考えじゃないかと思います。それでよろしゅうございますか、そう了承して……。
  365. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 両大臣からも述べられましたように、私もただ国民所得に対して何%というようなことで考えるのは、少し危険じゃないかと実はかねてから考えているのです。何といいましても、国富といいますか、全体のもっと基礎的な国力といったようなもの、そういうのをよく考えていかなければならない。よその国でこうだからこうというわけにも私はいかぬものだと考えております。そうしてさらにこの防衛力の建設におきましても、私、規模だけでなく、その内容の作り方などで効果は割合に上って、比較的に経済的にいくというようなこととか、これは非常にむずかしいところではあるけれども、私そういうところに着眼して、今後も防衛全体というものを考えていかなきゃならぬ。実はそういう点など非常に苦慮いたしますので、実は先ほどから申しますように、なかなか研究にひまどっておるような次第でございます。
  366. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 果して防衛長官はお逃げになってしまったです。せっかく大蔵大臣が二、三%程度、あるいはまた経審長官もそう言われたところが、これから空軍中心の防衛になり、ジェット機を持つ、軍艦を作る、そうなると防衛費は相当かさんで来ると思うのです。また今後のこの財政収入と支出の関係を見れば、国民所得のふえ方に応じて収入はあまりふえない。まあそういう点から見ると、それは今二、三%と大蔵大臣や経審長官言われましたが、防衛長官がそれを肯定してしまっては抜き差しならないから、今なかなかむずかしいと言ってぼやかしてしまった。この点は私は非常に重要だと思う。じゃ仮に二、三%としまして……しかしこれは私は適当と思わない。先ほど大蔵大臣が英米では一一%ないしは一二%と言われましたが、国民所得と比較してみたら、日本の方がずっと重いと思うんです。国民所得と比較しましたら、アメリカは約十倍くらいでしょうね。そういうふうにしたら税と同じことであって、日本の方が私は重いんじじゃないかと思うのです。その国民の受ける重圧の程度ですね。それで二、三%、三十年度は二%弱であると言われました。二%程度、それであってさへ、さっき各省大臣に伺ったように、住宅は非常に深刻なんです住宅難は。要保護者が七百万もいて、百八十久万しか救えない。しかも結核患者が二百九十二万いて、すみやかに入院しなければならぬ人が百三十七万、ベットは二十一万しかない。完全失業者は七十万、潜在失業者は一千万人ございます。そういう犠牲のもとにおいて二%を負担しておる。これは決して適当じゃありません。そういう犠牲が払われておるのです。他方失業対策費、住宅費、災害復旧費、みんな不足しておるのです。そういう不足の犠牲において二、三%が負担されている。今後六カ年計画のもとにこういう考えでずっと進められていったならば、いつまでたっても日本の今の国民の窮乏の状態、これは解決できません。特に六カ年計画では、潜在失業者については考慮されておらないんです。従ってニコヨンの人はいつまでたってもニコヨンです。そういう経過になっておるのです。それでさへ防衛費は、あれは織り込んでいないのでしょう。防衛費を織り込んでなくてそうですよ。それに防衛費を織り込んだらまた大へんなことになる。ですから経済自立も完全雇用もこれはできっこありません。ですからどうしても私は今の日本の現状としてこの防衛費は過大である、しかもこれからどんどんふえていくと、こう思う。そこで鳩山総理大臣に今の国民経済の実態をよく一つ御認識を願いたいんです。国民の末端に行ってみればそれは惨たんたるものです。つぶれた炭鉱のところへ行ってごらんなさい。住宅不足で惨たんたるものなんです。そういうものが解決されていないのです。まだ。その上での防衛費ならば話はわかるかもしれません。まだまだ防衛なんかに金を使う段階ではとても私はもうないと思うのですが、こういう点、ですから私はアメリカの防衛分担金の折衝なんかについても、しつこく質問するのですが、この点総理大臣は今までの質疑のやりとりから感じまして、実際防衛費国民生活の圧迫になっていないとお考えでしょうかどうか。この点総理大臣に伺いたいのです。
  367. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 防御分担金は、防衛庁及び防衛分担金を合計した防衛費減額されて、それが住宅なり、あるいは社会保障費等に回し得るような時世ならば非常にいいと思いますけれども、現在の世界の情勢において、防衛費、防衛を持たなくてはならないということも、また国のためには非常に必要だと思いますから、防衛費社会保障資本、住宅建設費も、すべて経済六カ年計画と見合わして、両方やっていくより仕方がないと考えます。
  368. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まあ総理大臣に対してこまかい御答弁を求めてもむりでありますから、この問題について特にやはり関心を深めておいていただきたいと思います。
  369. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 承知しました。
  370. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから防衛分担金の削減が、まあ必要だと言われましたが、これまでのこの質疑を通じまして、アメリカの駐留軍は減っているから、防衛分担金をもっとこれは減らせるはずだという議論があったわけです。これに対して防衛長官は、アメリカ側から聞くと、あまり減っていないようだ。ところがわれわれに配付されました特需等に基く外貨収入、これが経審から配付されました。それを見ますと、合衆国軍預金振り込みというのが、二十八年度は四億三百万ドルありました。それが三十年度に一億八千万ドルに減っております。それから合衆国軍への円の売却、つまり円セール、これは駐留軍が使う金です。それが二十八年度には三億五百万ドルでありましたが、三十年度には二億一千万ドルに減っております。これは駐留軍の人数が減ってきたから円セールも減るようになったと思うのです、駐留軍が使うお金が。で、もちろん合衆国軍の預金振り込みの方には、これは特需関係が減ったこともありますけれども、それにしても、註として特需関係の減少が書いてありますが、その減少よりも余計減っております。これは先に駐留軍が減ったことを裏からこれは説明しているものだと思うのです。そういう点から推論して、それで減っていないとは言えないと思うのです。この点防衛長官、いかがでございますか。
  371. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 防衛庁長官からお答えいたすと思いますが、これは朝鮮の出動軍がずいぶんあった。二十八年度ありまして、それが日本に来て落した金が相当大きかったのですが、朝鮮の兵隊がいなくなったものですから、だんだんこれは減ってきたわけでありますが、国内のものにつきましては、防衛庁長官から……。
  372. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 二十九年よりもまた減っています。
  373. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 二十八年に比較して二十九年度が減っているわけです。
  374. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ええ、二十九年に対して三十年が減っております。
  375. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 逐次減ってきておるわけであります。(笑声)(「朝鮮事変はいつ済んだよ」と呼ぶ者あり)
  376. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 駐留軍の数のことでございますが、講和発効当時と比べまして最近まであまり減っていないというように私は承知いたしております。ただ、最近約五千人くらい近く撤退を私は完了するものと承知しております。
  377. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 なお私はMSA協定の解釈について質問したいのですが、外務大臣がおられませんから、これは一般質問のときに譲ります。  それで最後に、日中貿易の問題について一つ伺いたいのですが、今日の新聞を見ますと、アメリカのジョージという上院外交委員長が、突如として、日本の対中共貿易緩和論を提唱したということが報道されております。それからまた、六月の十日でありますが、アメリカの民主党の前の副大統領候補のジョン・スパークマンという上院議員の人も、日中貿易に対する米国の諸制限は、今後緩和するよう考慮すべきである、こういうように語っております。ジョン・スパークマン上院議員さらにアメリカの政界のうちでも非常に勢力のあるジョージ、アメリカ外交委員長が、日本の対中共貿易緩和論を述べておられます。これは非常に私は重要な発言であろうと思うわけであります。これまで鳩山総理は、今回の日中貿易協定につきましても、これに対して非常にまじめな考慮をされまして、協力されるということを言われたのであります。従ってこういうふうに、アメリカの方もそういうような、日中貿易を緩和してもいいというような空気が醸成されつつあるように、これを通しますと見受けられるわけです。そこで、今後、総理は、今までよりも、もう一歩進んで、積極的に日中貿易の打開のために態度をおとりになる御用意があるかどうか。この点伺いたいのです。
  378. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) ジョージ氏等の提案は、私はきわめて歓迎すべきものと考えます。この機会を利用して中共貿易の緩和がもしできましたならば、非常に日本のためになるという考えを持っております。
  379. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは具体的には、今度の日中貿易協定で、前に総理がやはり協力するということを御言明になったのですが、その中で、通商代表部の設置の問題、それから支払い協定の問題、それから見本市の開催の問題、それから、ゆくゆくは政府間貿易協定になれば、一番これは理想的だと思うのですが、すぐそこまで行けないとしても、この三つについて、支払い協定、通商代表部の設置、見本市の開催、これについてさらに積極的に政府がこれを協力し、あるいは支援する、そういうお考えがございますかどうか。
  380. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 中共との貿易につきまして、ただいまのお話の、代表部の設問の問題ですが、代表部の設置の問題は、中共が民間代表の形のようにして日本に代表部を置くことを私はこいねがっているわけであります。決済問題につきましても、何かよき方法を考えまして、協力ができるようにいたしたいというように思っております。見本市のも、国際的のような市をこしらえて、ソ連中共も加わるというような形にして日本に置くことも非常に便宜だと思います。何しろ現在の状態において、中共はとにかく共産国で、すべてまあ民間代表部というような形をこしらえるのにも、ちょっと骨が折れるのではないかと思いますし、見本市というようなことぐらいにつきましても、国際的の立場をとるというようなことができるだろうと思うのですが、そういうような形にしてわれわれが協力できるように、ぜひ形を整えてもらいたいということを希望しておるのです。
  381. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この前に衆議院で穂積七郎氏の質問に対して、これは外務大臣でしたが、イギリスは台湾に国交回復はしていませんが領事を認めていますが、領事程度ならいいだろう、こういうような御答弁をなすったことがあるのです。
  382. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 外務大臣はそういうようなことをひとり言のように一度言ったことがあるのですが、どうもその後少しこれはぼやけているように考えるのです。(笑声)どうも私はそういうように観測しているのですが、領事をやはり交換すると承認をしたという形になるというような考え方が有力になってきたのではないかしらんと私は思っておりましたが、外務大臣に聞いてごらんなさい私よりは。(笑声)
  383. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 外務大臣に聞きますけれども総理、今アメリカ上院の外交委員長ですね、ジョージ委員長が日中貿易の緩和についてああいう言明をされましたので、従って今度は総理から外務大臣に、そんなにまた腰の弱いことじゃあかんじやないか、前にせっかく君いいとと言ったのを、イギリスの例もあるわけですから、一つ総理からもこの点一つ説得していただきたい。
  384. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) イギリスはちゃんと承認しているのですから……。
  385. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いや、台湾……。
  386. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 台湾ですか。今のお話は中共との貿易のことでしょう。
  387. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうなんです。台湾にはイギリスは領事を置いていますから、それと同じように日本は中共の人を領事として置いても外交的な慣例にこれはそむかないじゃないか、こういう意味なんでございます。一つ総理からも促進していただきたい。
  388. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私はとにかく中共がまあ、ああいうような現実の形を整えているのですから、それだからして、これを承認したところで一向差しつかえないと思うのですけれども、どうもそこにアメリカとの関係があるでしょう。やはり承認しない理由になるのじゃないかと思うのです。
  389. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大体また情勢が、アメリカ側の考え方が、日中貿易に対する考え方が相当変ってくるやに見受けられますから、総理日本の自立経済をやるというたって、日本の貿易のはけ口は実際問題としてほかにありません。ドル圏では、もう輸入超過ばかりしています。ボンド圏にはなかなか進出困難である。日本の自立計画を考えたときに、日中貿易はイデオロギーの問題ではありません、これは重要なやはり国策であると思いますので、総理は相当フランクに大局に立ってものをごらんになっておりますから、そういう官僚的なものに捉われないで、一つ政治家らしく総理の、これはお願いでございます。御答弁はもう要りませんが、ぜひそういうように希望いたします。  一萬田大蔵大臣は、前に今の中共貿易の決済の、個々の現金決済の仕方は不便がある。そこで何か、さっきも総理も、いい方法があれば、これを円滑にするように協力したいというお話がありましたが、大蔵大臣は前に集団決済と言いましたですがね、なんとかいうことを言われたことがあるのです。そこで今度の日中貿易協定で、円建てで、そうして日銀に一つの勘定を設けて、そうして直接決済ですが、円エスクロの総合したようなものですね。円エスクロの場合は個々でありましょうが、そうでなく、総合したような形の勘定を設けていいということを中国は承認したわけです。これは円の国際的地位を中国は認めるわけでして、非常に私は日本にとってはいい条件であり、しかも日中貿易が国内取引と為替関係については同じような形になる。さらにまた今後、日本がキューバとの今の貿易なんかを考えても、輸入超過ばかりやっているのでしょう、キューバは日本から物を買ってくれない。こういう場合に円建の決済法式がとられたら、これは非常に有利です。イタリーでも最近ではソ連との間に、リラ建の自国通貨による決済方式をとった。だんだん自国通貨の国際的地位を高める努力をしていかなければならないと思うのです。そういう場合に円建でよろしいと、こんなにいい条件はないと思うのです。しかしただここで、まだ円ば国際通貨に指定されていません。だから大蔵大臣が、一つ円を国際通貨に指定していただいて、その弊害があるという御心配があれば、今イギリスにおいてやはりコンヴァティビリティのあるポンドとそうでない制限通貨があるのですから、日中貿易については貿易のみの円と、たとえばアメリカ映画をもってきて、そうして日本に売って銀行預金した円は、大蔵大臣承知のように制限円です。また円セールの円も、これも制限円です。そういう形にすれば円のスペキュレイションが起ったりするそういう弊害は起らない。そういう措置はイギリスはやっておるのですから、それでココムの取引範囲内において、ココムで許されている商品の取引の決済問題なんですから、何ら私はアメリカ側において何か支障があるということはあり得ないと思うのですが、それで非常に日本にとって有利であります。そして日中貿易だけでなく、今後の日本のよその国との決済等において、日本の円の通貨の国際的地位を高めてゆく一つのステップになる。日本は前に東ドイツに申し込んでけられておるわけです。ところが中国は承認しておるのです。ですからこれは一つ私は十分イデオロギーとか、そういう問題にとらわれないで、日本は国交未回復でもインドネシア、ビルマ、フィリピンとすでにやっておるんです。国交未回復の国と精算勘定をやっております。中国とできないばずはないのです。しかも、中国はほかの国と事情が違っても、ココムで許されておる商品についてそれをやろうというんですから、禁止品目について決済しようというんではないんですから、どこから考えても私はこれは不当なものじゃないと思う。日本に有利だと思う。この点大蔵大臣一つわれわれも研究いたしますが、大蔵省においても真剣にこの問題を研究して、そうしてなるべく実現できるように御協力願いたいと思います。最後にこの点大蔵大臣に御答弁をお願いしておきます。
  390. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。この決済の方の考え方としては私はいいと思うのです。ただ、問題はそういう決済がいいか悪いかということでなくて、やはり日中の国際関係、まあ台湾政府が一方にあるというような、いろいろな外交関係からどうかということが、どうしても私は問題になる。そこをまず解決しなければならぬ。そういうところがはっきりしてくれば、こういうふうな取引の関係は、これはもう商売ですから、どうするのが一番いいかということは、私は割合に解決が早い、こういうように思っております。
  391. 館哲二

    委員長館哲二君) 本日の質疑はこの程度でやめますが、なお政府に望んでおきますが、明日も質疑を定刻から開きますから、関係閣僚は間違いなく一つ御出席を願いたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時五十五分散会