○田村文吉君 今の問題はいろいろ見方によって議論が出るようでありますが、時間の
関係もございまするから、その点にとどめておきまして、先般私が本
会議で独占禁止法の全廃、あるいはまたカルテルの届出主義程度に改めるお考えがありませんかということをお伺いしたのです。それにつきましては、きわめて事務的な御
答弁を、ちょうど
長官はおいでなかったので、事務当局の
答弁をそのままお読みになったので、少々私とすると、靴を隔ててかゆきをかいたようでもの足りない。そこで今日はあらためてお伺いしたいのですが、私は、今日本の経済の当面しております一番大きな問題は何かというと、昨年以来行われてきた、昨今やや緩和されました金融独走の問題、それから税金が重いということ、重税であるということ。それからもう
一つは、現在残っておる独占禁止法、こういう三つの問題が今日の非常に経済の発展を阻害している問題であるのでありまして、御
承知のように二十六年、七年くらいまでは、日本の
生産というものはどんどん
伸びる一方でございまして、それを十分に吸収するだけの力を持っておった。ところが二十九年になりますというと、もうすでに飽和状態に相なって参りまして、そこへ金融の独走が出て参りましたから、非常に品物によっては余る、こういうような状況になって参ったのでありますが、カルテルというものは、そう人が考えるほど悪質なものではないのでありまして、非常に余ってきたような場合に、おのずからこれを制約するという
一つの落下傘の役目をする、またボイラーの安全弁の役目をする、これによって私
ども明治から大正、今日に至るまで、われわれの自由主義経済においては、すべてのリストレイントをとりながら産業は発達してきた。こういうことは、ここに二人お残りになっていらっしゃる高碕
長官あるいは労働
大臣、お二人ともこれは実際の経験者でいらっしゃるので、私はお二人に特に残っていてお話いただきたかったのです。よくおわかりのはずです。石炭合理化
法案というものが今度出るという話ですが、こういう問題も、今のカルテルという問題も、別におとめになっておかなければ、お互いに調整をして、こういうものはおのずから直す方法がある、病気をなおせる、また失業者も出さないで、ほんの一割二割の操短をする、その場合少しは遊んでいてもいいよという調子でもって、ある程度までそういう一時的に品物の余るものに対しては、これをコントロールする方法がある、失業者を出さないでゆくのであります。こういうように、経済というものは微妙な理があるにもかかわらず、こういう不都合な、落下傘の役目をするものがなかったり、あるいは安全バルブがないような方法をしておくと、日本経済は立つ道がない。こういうことを私は
経審長官に申し上げて、そこで問題は——いやそれはそうだが、これに対しては不況カルテルというものを認めている、あるいは中小企業安定法というものもある、それから合理化によるカルテルも認めているんだ、こういうふうにすぐ御抗弁が出るかもしれませんが、これは、いわゆる六日のあやめ十日の菊といいますが、いわばそれが許可になる前には倒れてしまった
あとだ、いわゆる落下傘が下に落ちてからあくのです、ボイラーが破裂してから安全バルブを抜くのです。そういうことでは、今重大な時期に立っている日本経済の立ちようがないと思うから、これは一日も早くやめてほしい、もしこれをいろいろの形にお変えになりまして、あるいは通産省がこれをコントロールする、こういう場合には、昔のやはり通産省のコントロールが入りまして、非常に実際の運用はまずくなる。これはやはり各同業者間でコントロールしながらいくということと、これによって失業者というものを少くもかりに一万人出すものならば千人で済む。こういうように過去におけるわれわれの経験はお二人も御
承知のように、十分して来ているのでありまするから、今のような失業者をどうするかというような問題が非常に大きな問題になっているときには、まず第一にこういう点はお考えになって、アメリカの占領政策で無理に日本の経済をつぶそうと考えたようなふうにとられるこの独占禁止法は、この際一日も早くおやめにならなければいけない。また輸出については輸出入取引法のお話がございますけれ
ども、輸出入取引法や何かで、特別に貿易
関係のようなものにこういうものをお入れになると、むしろ外国の誤解を招くことが多い。だからいっそこれは全然おやめになるか、あるいはどうしてもやむを得なければ届出をする、届出をして著しく公安に害があると認めます場合には、何らかの機関においてこれをリストレイントというようなことをするというようなことが私は必要だと、これは私は日本の経済の現状から考えて、実際心配でならぬのであります。でありますから、これは失礼でございますが、ただ経済を御
承知になっていらっしゃるという方じゃわからぬのです。実際に事業をおやりになってきたお二人でないと私はわからない。そこできょうは
経審長官と西田労働
大臣にその点についての
一つお考えを伺って、何かほかに手がおありなすっての御自信があるのか、そうでなければ、これは一日も早く
一つお改めにならないというと、いわゆる金融独走の問題と、もう
一つ税金の重いという問題と、この三つの問題で日本の経済は参っちまう、こういうことを私は申し上げたいと存ずるのであります。