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政府委員(
森永貞一郎君)
財政法の
関係の問題につきまして、補足的に
お答え申し上げます。
予算総則十六条の規定でありますが、まずこの規定の実質的な目的と申しますか、
意味を申し上げた方がよかろうかと思います。御
承知のように本年度の防衛庁の
予算におきましては、陸、海、空につきまして増強をはかっております。それに伴いまして、営舎、航空基地等の施設の整備を
計画いたしておるわけでございまして、その
予算が六十八億でございましたか、あるわけでございます。しかるにこの施設の整備の
実行、具体化に当りまして、いろいろ問題が起ってくることも
考えられるわけです。たとえば土地の取得につきまして、いろいろ困難があって間に合わぬとか、あるいははなはだ円滑に処理しがたいとかいうようなことで、支障をきたすこともなくもないわけでございますが、そういう場合、
予算の効率的使用という
観点から、現在米国の使用しております施設を日、米すなわち防衛庁と自衛隊と米軍とで共同して使用する。その方が
予算の使用上効率的であるという
意味も
考えられるわけであります。あるいはまた、現在米軍が使用をいたしております施設に追加的な施設を加えることによって、他の米軍が使用しておる施設の接収を解除してもらう。その解除されたものを自衛隊が使う。こういうことによりまして目的を達する方が、
予算の使用に当って効率的であるというような場合もあるいは起ってくるかとも
考えられる。かかる場合に備えまして、この移用規定を設けましたのは、経理を明確にするためにという意図にほかならないのでありまして、すなわち米軍が現在使用中の施設を整備するようなときは、
予算の効率的使用の
観点から、防衛庁の施設費の一部をこれに移用する、そのように
予算上経理するということにした方が、
予算経理の明確化を
期待することにもなるわけでございます。さような場合があるいは起ってくるのじゃないかという
観点から、この移用の規定を設けた次第でございます。このように異なる所管間の移用の例の前例といたしまして、
昭和二十五年、二十六年の
予算に、
総理府所管に計上いたしました地方
財政平衡交付金を
各省所管として計上をしましたし、地方
団体に対する補助金、負担金等の
金額との間の移用、あるいはまた二十八年及び二十九年の
予算に計上いたしました
総理府所管の旧軍人遺族等の恩給費等と厚生省所管の留守家族援護費並びに戦傷病者戦没者遺族援護費との間、この間に移用ができることに
予算総則に規定いたしまして御
審議を得ておる次第でございます。
財政法第三十三条の規定には、「
各省各庁の長は、」ということでございまして、これは
各省各庁の所管外の問題はこの規定によって規定されておるわけでございます。所管を異にする場合の規定はございませんが、これはそれができないという
趣旨ではないわけでございまして、この前例からも
了承いただけまするように同じような目的の類似の経費、しかも相互に緊密な
関係のあるようなものにつきましては、
国会の承認をお願いいたしました範囲内で、これを移しがえの移用をすることができる。すなわち、それが
予算の目的と
金額との間の範囲内で
政府が
予算を執行するという
趣旨から申しまして、そういう御承認をいただいた範囲内で移用をするということは、これは何ら
財政法上違反ではないと
考えるわけでございまして、ただいま申し上げましたような前例も、かかる
観点に立っているというふうに
考える次第でございます。そのような
観点から、実質的並びに
財政法的にこのような
観点から、今回の移用権の十六条の規定を設けましたことを御
了承いただきたいと思います。