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1955-05-27 第22回国会 参議院 予算委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十七日(金曜日)    午後二時四十五分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     館  哲二君    理事           池田宇右衞門君            石原幹市郎君            西郷吉之助君            豊田 雅孝君            小林 孝平君            佐多 忠隆君            松澤 兼人君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君    委員            秋山俊一郎君            伊能 芳雄君            泉山 三六君            小野 義夫君            木村 守江君            左藤 義詮君            佐藤清一郎君            田中 啓一君            西岡 ハル君            堀  末治君            安井  謙君            吉田 萬次君            田村 文吉君            中山 福藏君            廣瀬 久忠君            溝口 三郎君            秋山 長造君            久保  等君            高田なほ子君            永岡 光治君            湯山  勇君            曾祢  益君            石坂 豊一君            深川タマヱ君            武藤 常介君            千田  正君   国務大臣    内閣総理大臣  鳩山 一郎君    法 務 大 臣 花村 四郎君    外 務 大 臣 重光  葵君    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    文 部 大 臣 松村 謙三君    厚 生 大 臣 川崎 秀二君    農 林 大 臣 河野 一郎君    通商産業大臣  石橋 湛山君    運 輸 大 臣 三木 武夫君    郵 政 大 臣 松田竹千代君    労 働 大 臣 西田 隆男君    建 設 大 臣 竹山祐太郎君    国 務 大 臣 川島正次郎君    国 務 大 臣 杉原 荒太君    国 務 大 臣 高碕達之助君   政府委員    内閣官房長官  根本龍太郎君    内閣官房長官 松本 滝蔵君    法制局長官   林  修三君    法制局次長   高辻 正巳君    自治庁財政部長 後藤  博君    経済審議庁次長 石原 武夫君    経済審議庁調整    部長      松尾 金蔵君    外務省アジア局    長       中川  融君    外務省欧米局長 千葉  皓君    外務省条約局長 下田 武三君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    大蔵省銀行局長 河野 通一君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    中小企業庁長官 記内 角一君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十年度一般会計暫定予算補正  (第1号)(内閣提出衆議院送  付) ○昭和三十年度特別会計暫定予算補正  (特第1号)(内閣提出衆議院送  付) ○昭和三十年度政府関係機関暫定予算  補正(機第1号)(内閣提出、衆議  院送付)     —————————————
  2. 館哲二

    委員長館哲二君) これより予算委員会を開会いたします。  昭和三十年度一般会計暫定予算補正、同じく特別会計暫定予算補正、同じく政府関係機関暫定予算補正、三案を議題に供します。  昨日理事の打合会を開きまして、補正予算審議について相談をしたのでありますが、本日及び明二十八日の午前中総括質疑を行いまして、二十八日の午後と三十日、一にち一般質疑を行なって、質疑の終了とともに、三十一日の午前に討論採決をするということに一応了解を得ておりますから、御了承いただきたいと思います。  なお、御了承いただきたいのは、総理大臣前例通り着席のまま御発言を願うことにしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 館哲二

    委員長館哲二君) そういうことにお願いしたいと思います。  なお理事打合会で話がありまして、この前の三月二十九日に小林孝平君から原爆禁止に関する質疑が行われたのでありますが、これに対する政府答弁についてなおいまだ了承せられない点があります。本議案を審査される上においても、この点を確めておきたいという申し出がありましたので、この際、小林華甲君に発言を許すことにしたいと思います。
  4. 小林孝平

    小林孝平君 三月二十四日の衆議院の本会議におきまして、総理大臣は、原爆実験中止すべきものであると考える、実験には今日でも反対すべきものだと思うと発言されたのであります。そこで私は三月二十九日の当委員会におきまして、これは総理大臣原爆実験中止すべきものであるという発言をされたのは非常に重大な発言でありまして、それまでの自由党内閣方針とは全く違いまして、新たな方針言明されたというふうに考えまして、総理大臣に対しまして、アメリカ実験禁止申し入れをされますか、こういうふうにお尋ねしたのであります。ところが総理大臣は、すでにアメリカ申し入れをしてある、こうおっしゃったのであります。これに対しまして、外務大臣は、まだその申し入ればしていないという発言がありまして、食い違ったのでありまするけれども、私はいずれにいたしましても、これは何ら正式に原爆実験中止に関しアメリカ申し入れはしていないと考えましたので、これをお尋ねいたしましたところ、外務大臣は、考え違いをしておりまして、申し入れをしてあるようであるという発言をされたのであります。そこで私はそういう発言であるならば公文書を示して御説明を願いたい、こういうふうにお尋ねしておいたのであります。ところが三月三十一日に、当日は私は当委員会に出席しておらなかったのでありますが、外務大臣はこれに対しまして答弁をされまして、アメリカ申し入れをしたのは、昨年の十月の五日付を以て米国政府申し入れをした。その第一点は、ビキニ以外の地域実験してもらいたい。実験を要するならば、あの地域実験してもらいたくない。第二点は、もしどうしてもそれがアメリカのために不可能であるならば、実験規模最小限度にとどめて、また万全の危険予防措置を講じてもらいたい。第三点は、そういう措置を講じてもらっても、予測せざる損害が発生するようなことが万一あるならば、そういう損害については十分将来も補償してもらいたい。こういう申し入れをしてあります、こういうことで私の質問に答えておられるのであります。これが外務大臣のいわゆる原爆実験中止アメリカ申し入れをしたという内容であります。  ところが、私はこの前も申し上げましたように、ただいま外務大臣が御説明になった内容は、何ら原爆実験中止してくれという申し入れでは私はないだろうと思うのであります。現にこの問題は、その当時岡崎外務大臣もしばしば言明されまして、われわれは原爆実験中止に関してアメリカ申し入れをすることができない、こういうふうに話されておったのであります。そういう古い、いわば古証文のようなものを出してきて、これでもって申し入れをしたのだというのは、一体どういう意味でありますか。特に私がお尋ねしたのは、吉田内閣のときは実験中止申し入れができなかったのだけれども、今度は方針が変って、実験中止すべきものであると総理大臣考えておられるのだから、したらどうかということをお尋ねしておるのであります。ところが外務大臣は、これは吉田内閣時代にやった書面を出してきて、これでもう万事終ったというような答弁は、はなはだこれは心外だと思いますので、どういうお考えか、お尋ねしたいと思います。
  5. 重光葵

    国務大臣重光葵君) お話通り、前の委員会におきまして、私は昨年の、(「声が小さい」と呼ぶ者あり)これは昨年の十月に政府公文をもって原水爆実験場を他に移すこと、もし移すことが不可能であるならば、万全の災害予防措置を講じ、万一日本国民損害が発生した場合には完全に補償を行われたい旨を米国政府申し入れたという趣旨説明を申し上げました。これは私の就任前であることは御承知の通りでございます。その後私が就任をいたしまして、ビキニ災害事件を終結する交換公文をいたしました。それが本年の一月でございます。そのときにこういう災害の再び起らないように処置をとってもらいたいということを概括的に米国大使申し入れをしたのでございます。ところが米国大使は、ビキニ災害事件のごときことが起らないように、米国政府としては万全の処置をとると、こう言って言明をいたしたのでございます。しかしこれは私が就任後のことでございます。これは公文でいたしたのではございませんけれども公文と何ら価値の変るものではございません。その後においても、どうも原爆実験がどこに行われるというような新聞報道があるものですから、実は私どもは大へんそれを心配をいたしまして、米国大使、またその他の大使館員等に接触をするたびに、もしそういうことがあってまた問題が起っては、これは大へん日米のために不幸だということは絶えず向うに注意をいたして来たのでございます。そのためかどうかはわかりませんけれども、しかし原爆実験日本利害関係のないところで最近行われたようなことにもなっておりますので、私どものしておった日本政府希望は、十分にアメリカ政府において考慮をしておることと信ぜられます。またこの問題につきましては、絶えず再び不幸なことの起らないように処置をするために、アメリカ政府に対しても絶えず今後もこちらの要請を、希望向うに伝える方針でおる次第でございます。
  6. 小林孝平

    小林孝平君 そういうことではないんですよ。その程度ならこの前の岡崎外務大臣のときと少しも違わないんです。岡崎外務大臣のときは、日本アメリカ原爆実験に協力する、こういう建前で、原爆実験中止してくれということは言えない。できるだけ場所をかえるとか、あるいは予告するとか、あるいは起きた場合に完全に賠償するとか、この前のように二十六億円も損害があったのに七億円でもってもう御破算だというようなことのないようにという申し入れをすると過ぎなかったのであります。そこで総理大臣が、今度ははっきりと原爆実験中止すべきものである、こういう言明をされたから、それなら今度は堂々と中止申し入れをしたらいいじゃないかというのでお尋ねをしたのであります。外務大臣の御説明は、ただごまかして、ごまかすという言葉は悪いかもしれませんけれども、ほんとういうと、外務大臣はこの経緯をよく御存じないからそういうことを言っておられるのです。そなたは今、アメリカはわれわれの、当方の希望をいれて、どうもやらなくなったらしいなどと、のんきなことをあなた言っておられますけれども、この三月の二十九日の当委員会がありましたら、直ちにこれはアメリカに報ぜられまして、アメリカ国務省はですね、参議院において外務大臣原爆実験中止申し入れをした、あるいは総理大臣がしたと言っているけれどもアメリカはいまだかつて一度も日本政府から原爆実験中止申し入れを受けたことはないという外電がきているのです。アメリカは全然日本からそういう申し入れを受けたことはないと言っているのに、外務大臣は一方的に自分意見がいれられたというようなことを言ってもらっては困ります。もっとはっきりしておいていただきたい。総理大臣申し入れをすると言われているんだから、あらためてやられたらどうかというのです。
  7. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私は原爆実験によって日本側被害を受けないようにすることが目的だと、こう考えておったのであります。それを、その原爆実験を、自分の統治する地域を中心としてやることができるか、できぬかという法律問題に私は触れたくなかったのであります。さような法律問題に触れるというと、これは両国の関係において議論がこれは紛糾して参ります。私はこの原爆実験について日本側被害のないように、実益をとりたいという考え方でさような処置をとったわけでございます。
  8. 小林孝平

    小林孝平君 こういうことを公海においてやり得るかどうかという法律問題をここで私も論じようとは思いませんけれども総理大臣はそういう法律問題から離れて、アメリカのやるこの原爆実験アメリカばかりではなく、ソ連もそうですが、ともかくどの国も原爆実験中止すべきものである、こういうふうに考えていると言われたから、アメリカに向ってその申し入れをされたかどうか。法律問題は別にあるけれども、そういうことは中止すべきものであると考えられて衆議院において言明されたんだから、そういうことを申し入れられたかどうか。それから外務大臣はこの原爆の、水爆実験をやって実害のないようになどという、そんなことはできるはずはありません。太平洋まん中でやりましたら、みんなマグロは放射能を受けて被害をこうむるのです。実害のないように水爆実験太平洋まん中でやるわけには参りませんよ。どういうふうにお考えになりますか。
  9. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私の考え方並びにとった処置は、今御説明を申した通りでございます。
  10. 小林孝平

    小林孝平君 総理大臣は先般、そういう申し入れがしていないならば、あらためてそれをやる、こうおっしゃったのですが、今まで、そういう重光外務大臣答弁程度では、アメリカはそういう申し入れを受けたことばない。こう言っているのですから、あらためておやりになるかどうか、総理大臣お尋ねいたします。
  11. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は外務大臣答弁で満足している次第でございます。(「わからない」と呼ぶ者あり)
  12. 小林孝平

    小林孝平君 そういう申し入れがしてないならば、総理大臣はあらためて申し入れをすると言明されたのです。ところが外務大臣お話は、申し入れをしてないのです。現にアメリカは何らの申し入れを受けないと言っておるのです。そういうことで私はこの問題はうやむやにするわけにいかないと思うのです。
  13. 重光葵

    国務大臣重光葵君) アメリカ申し入れを受けないということをどういう方法でお聞き及びになったのか知りませんが、現にその問題は今申し上げた通りに、一つは文書をもち、一つ交換公文の調印のときにはっきりアメリカ側代表に言ったことを私は引用して申し上げているのです。そこでこれは当然わが方の意向というものは向うにはっきりしておるわけでございます。そこで新聞、通信に載っておらないかもしれませんが、事実はさようなことです。
  14. 小林孝平

    小林孝平君 アメリカがそういう申し入れを受けないと言ったことは、これはこの委員会が終りましたら直ちに国務省の当局で、そういうことを、総理大臣並びに外務大臣参議院において発言したような趣旨アメリカ申し入れを受けていないということを言明したといって、外電新聞に報じております。それから第二点のそういうことがないようにというのは、これは何べんもこの委員会において論議されまして、それはアメリカの言うのは、そういう実験をやりましても、あなたがさっきおっしゃった第三点なんです。そういう措置を講じてもらっても、予測せざる損害が発生することが万一あれば、その損害について十分将来も補償しよう、こういうことなんです。実験はやる、それをあらかじめ通知しておくから、そういうところの漁船などは退避して、第五福龍丸のような事件が起らないようにせよ、こういうことを通告をする。それでもいろいろ損害が起ったら、それについては完全に補償するとアメリカ側は言っている。ところが漁船は退避しますけれども、魚は逃げるわけには参りません。ビキニ環礁付近の魚はみんな放射能被害を受けまして、日本はそのために二十数億の損害をこうむっているのです。これを防ぐ方法がないのです。その点はいかがですか。
  15. 重光葵

    国務大臣重光葵君) それはむろん日本の船舶、漁船などの往復するところでそういうことがあれば、それは防ぐ方法がないかもしれません。しかしその地域以外の地域でやる場合には、それはわが国の利益を害するとは言えないと思うのです。
  16. 小林孝平

    小林孝平君 外務大臣はこのビキニ環礁における水爆実験被害実情をよく御存じないからそういうことをおっしゃるのです。そのために非常に広範囲にわたって放射能被害を受けて、わが南方漁業は壊滅的の打撃を受けた。しかも民主党内閣は、この被害の賠償に当って、日本側は二十六億という金額を要求したにもかかわらず、七億円でもって妥協いたしまして、しかもこの七億円で妥協したのを、非常に民主党内閣の功績のようにあなたはたたえられておるのです。それはビキニ被爆実情御存じないからそういうことをおやりになっている。今度もあなたはよそでやるというが、どこでやっても、魚は動くのですから、しかも広範囲にその被害が及ぶのです。しかもその上にアメリカは、ビキニ環礁以外は広範囲に大規模実験をする場所がないと、最も適当なる地域であって、今秋は再びこの実験をするということをしばしば言明しておるのです。こういう状態でありますから、なぜ総理大臣がおっしゃるように、ビキニのこの水爆実験中止すべきものであるという観点に立ってアメリカ申し入れをしたらいいじゃないかと思うのです。それができないのは、何かできない理由があるのですか。アメリカに何か気がねをしなければならぬことがあるのですか。
  17. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 今申し述べました通りに、何もこれはアメリカ中止をしてくれというようなことは、ごくわけないことです。そんなことはわけない。(小林孝平君「わけなければやればいいじゃないか」と述ぶ)わけないけれども、それがどれだけの効果をあげるかということは、外交方針としては十分に考慮してやらなければなりません。私は一番効果をあげる方法をとって、その効果をあげつつあると、こう思っておるわけであります。私が何もそれに遠慮しているわけでも何でもございません。また、中止を端的に申し入れ効果があるということが考えられる状況でありますれば、すぐそれは遅滞なくやるということを申し上げます。
  18. 小林孝平

    小林孝平君 総理はこの前、もう自分はやってあると思ったけれども、かりにやってなければ直ちにやりますということを言明されたのです。この前も申し上げたけれども、どうも外交方針については総理外務大臣はときどき意見食い違いがあるのです。こんな実験中止問題一つでもこういうふうに食い違いがあって、総理はやろうと言うのに、外務大臣はなおその考慮をされて、いまだにやられない。これはどういうことなんです。私は実際これはおかしいと思うのですね。簡単にやれるならやったらいいじゃないですか。なかなか簡単にやれないから、岡崎外務大臣は、ビキニ水爆実験にわれわれは協力するからという建前をずっととってこられたからやれなかったのです。ところが、この間も申し上げたように、今度は民主党内閣は、その方針を変えられて、原爆実験中止すべきものだということを言明されておるのです。しかも繰り返して申し上げるように、総理はそういうことを申し入れると、こう言っているのに、それをどういう根拠でできないのです。
  19. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私は総理の御意思を遂行するために最も実効的な手段をとったと、こう思っておるわけでございます。
  20. 小林孝平

    小林孝平君 そうじゃないのです。この前は総理は出してあるとこうおっしゃって、あなたも最後には出してあると、こういうふうに言われまして、だんだん調べてみたら出していない。それで十月何日かの古証文のようなものを、ほこりをたたいてここに出してきて、そうしてこれでもってうやむやにしよう、こういうことをおっしゃっているわけです、これはおかしいと思うのです。はっきりと出すと言われているのだから出したらいいじゃないか。この国会における論議は大体こんなものなんですか、民主党内閣というものは……。しかもこの三十一日には私はたまたまおらなかったものですからこのままに過ぎたのです。これは悪い変な言葉でいえば、あき巣ねらいのようなものだ。私がおらなかったからこれで済みましたけれども民主党内閣公約とか、その他いろいろの問題はすべてこういう程度のものなんですか。追及しなければそのままやっていくと……、それをはっきりしてもらわなければ、これから総括質問をやります。私もやるのですけれども、幾らやってもこの程度のことなら、やらぬ方がましじゃないか、委員長一つはっきりしていただきたい。
  21. 館哲二

    委員長館哲二君) 小林君、ただいま政府意向だけは御了承いただいたと思うのですが、いかがですか。
  22. 小林孝平

    小林孝平君 いや、ちっとも了承いたしません。全然いたしません。
  23. 館哲二

    委員長館哲二君) いかがですか……。
  24. 小林孝平

    小林孝平君 私は、こういうことははっきりすべきものだと思う。(「そうだそうだ、これじゃいけない」と呼ぶ者あり)この前私がこう言ったことは、この前はこう言ったけれども、よく考えてみたらあれは間違いだった。われわれはやはりアメリカ原爆実験には協力するのだ、こういうふうに言われれば、それで私も納得します。今までのそういう態度を今度かえられた、はっきりとかえたと言われたから私はそういうお尋ねをしたわけです。岡崎外務大臣のときは、アメリカ原爆実験には協力するのだ、こういうことをしばしば言われたから、われわれが何べん追及してもそれが出なかったのです。ところが今度は、それは総理大臣中止すべきものであるということをはっきり言われた、この委員会でも言って、私はその申し入れをすると言われたから質問しているのです。だから出さないなら、あれは間違いである、やっぱりアメリカ原爆実験には協力するのだということをお話しになれば、私は了承します。(「答弁々々」「はっきりはっきり」と呼ぶ者あり)
  25. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私は、今までの説明を繰り返すようですが、私は原爆実験について、日本実害のないようにすることが一番適当であると考えて、その処置をとったと御説明申し上げたのであります。
  26. 小林孝平

    小林孝平君 外務大臣がそんなばかなようなことを言っては因りますよ。ビキニでやって、日本実害のないようなやり方をやるなんということは不可能なことなんです。広範囲にわたって放射能被害をこうむって、そのために魚をわれわれは食えなくなってしまったのじゃないですか。それを実害のないようにやるなんというのは、どういうやり方をやるのですか。(「持ち時間をどうする」と呼ぶ者あり)いや、私はこれは持ち時間とか何とかいう問題ではありません、はっきりしてもらいたいのです。こういうことをやるならば、これは追及しなければ、どんなことをいってもいい、民主党内閣公約はみなこのたぐいだと国民は思うのです。そういうことではいかぬ。民主党内閣の言っていることはもっともだ。われわれはいいところは、たとえば、この日ソの外交交渉のごときは鳩山内閣に大いに協力を惜しまない。批判するところはしますけれども、いいところは協力します。それをそういう、たとえば日本外務大臣が、ビキニ実験をやって、日本実害のないように、こんなことは小学校の生徒でも言いませんよ。おそらくあなただけですよ、そういうことを言っておられるのは。そういうことでは私は、これ以下皆さんが総括質問をやられましても、それは万才のごときものです。責任がないじゃないですか。はっきりと速記録に載っておるのだから、誤りだった、勉強が足らなかった、あるいはその後心境の変化をきたしたとか、何とかはっきり言ったらいいじゃないのですか。
  27. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私はビキニでこれをやって損害がないとは言ません。しかし、その後に原爆実験がやられているようですが、しかしそれは日本実害を受けないということも事実であります。さようにして日本実害を避ける、こういうことが事実起っておるのでありますから、私はそれはいいことだと、こう考えております。
  28. 小林孝平

    小林孝平君 その後アメリカの国内でやったことはわれわれも承知します。ところがアメリカの国内でやるのは規模の小さい原爆実験であります。大規模にやるにはアメリカの国内ではできないのです。だからビキニの環礁に持ってきて、太平洋まん中でやらなければならない、こういうことになってくる。それで大規模実験をやるのは、アメリカビキニ環礁以外に適当な場所がない、あそこが最もいいと、日本が幾ら困っても、この秋にはやりますということをしばしば言明しているのです。そこでわれわれがこういうふうにお尋ねしているのです。実害がなくやるなんということはできないのです。それが外務大臣のようなそういうお考えだから、この間のように二十六億の損害があって、日本が要求したにもかかわらず、七億円で妥協されてしまったのです。そうしてしかも大いに宣伝されて、民主党内閣の功績であるというようなことをいわれておるのです。ところが外務大臣は、知らないからそういうことを言っておられましたけれども、その後これがだんだんとわかって、非常に漁民が不満を持ってきましたので、あの問題をうやむやにして、民主党内閣の功績であるということは言われなくなったらしいのです。もっとはっきり、もう少し勉強していただかなければ困ると思います、お答えになるならば。まだ答えるだけの勉強をしていないとか、よく調べていないとか何とかいうことならばいいが、牽強附会の論をここで弄されるのはどうかと思います。
  29. 館哲二

    委員長館哲二君) 小林君にお諮りいたしますが、政府のお答えになることは、同じことを繰り返されておりますが、一応この程度で御了承になったらどうですか。(「外務大臣がお答えになるかどうかわからない」と呼ぶ者あり)
  30. 小林孝平

    小林孝平君 委員長は、ともかくきまった時間に審議が進めばいいと思っておやりになっていると思うが、問題が片づかぬでもいいというふうにお考えになるのならばしょうがない。そうならばわれわれは考えがある。(「そういうことを聞いているのじゃない」「発言があるかないか確かめてからやってくれ」と呼ぶ者あり)
  31. 重光葵

    国務大臣重光葵君) いや、私はビキニの結末があれは非常に満足なものであるということは決して申し上げたこともなく、私も考えたこともありません。しかし、とにかく解決したことは、私もこれはけっこうなことだと思って、解決したのでございます。  それからこの原爆実験そのものを、先ほど申しました通りに、アメリカの権力の及ぶところで実験するということを中止してもらいたいということを直接申し入れることはかえって効果的でないと、疑惑を招いて、効果的でないと、こう申し上げたのです。私はその見地によって、実際的の効果をあげるために措置をしたいと申し上げたわけであります。しかしさような実験をしないような世界的の空気を作るということは、これは非常にけっこうであり、またその力でもって他国の政策にもさように影響を与えるということもできると、こう思っているようで、たとえば、バンドン会議において原爆の行使、実験について禁止的にこれをやろう、こういう決議もしたことに賛成いたしたのであります。それからまた、その後原爆実験は東太平洋方面でもやられたということが報道されております。これは日本実害の及ぶ地域を避けているわけでございます。(高田なほ子発言の許可を求む)
  32. 館哲二

    委員長館哲二君) 小林君いかがですか……、高田君。
  33. 高田なほ子

    高田なほ子君 ただいまの問題は非常に重要な問題であります。問題は中止をするということ、もう一つは原水爆実験を認めるということ、これは基本的に全く性格の違う問題であって、重光外務大臣が幾たび御回答になりましても、この二つの異った性格について本質的な御回答をいただいておらないからこのように議事が混乱するのだと私は思います。すなわち、原水爆実験中止の提案は、明かに日本を含む人類に対する悪影響を全くここでもって根絶するために中止という問題を出しているのであって、実験日本に影響のない範囲において許すということは、やはり実験の影響によるいろいろな問題をも含めて、日本被害のない程度において許すということでありますから、これは、この問題がはっきりいたしません限りは、小林委員質問内容がぼけてきてしまうわけであります。どうぞ、これは大へん重要な問題でありますから、鳩山総理大臣から明確に、原水爆実験に対して中止をするという態度をとられるのか。あるいは日本被害のない程度においてこれを許すというお考えなのか。非常に性格の違っている内容でありますから、この二点をきわめて端的に御回答いただきたいと私は存じます。
  34. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 原爆並びに水爆を戦争には使わないというような多数意見が国連にまで出ておるはずであります。そういうようなわけで、原水爆を戦争にも使うなというような意見が世界の各国にあるのでありますから、私どもとしても、原水爆をこれから使わないというような、日本中全体の千何百万という人が署名をしました、それに私も署名しているのですから、原水爆を戦争用には用いないというその主張には、私は賛成であります。そういうようなことのないように私は望んでおります。
  35. 高田なほ子

    高田なほ子君 実験のことです。
  36. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 原水爆を戦争に使わないというのが理想ならば、もとより実験なんというのは不必要なことでありますから、戦争に使わないものを実験することも不必要なことでありますから、実験をするということも必要なしと思うのであります。
  37. 小林孝平

    小林孝平君 先ほどからお尋ねいたしておりますけれども、さっぱり明確になっておりません。これは明らかに速記録を御覧になれば、外務大臣のおっしゃっていることは誤まりである。また外務大臣の先ほどからの御答弁は、全く水爆実験実情御存じないと言わざるを得ないと思うのです。従って、これ以上追及いたしましても御答弁ができないと思いますので、これで打ち切りますから、十分御研究下さいまして、改めて統一した御答弁をいただきたいと思います。
  38. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私はただいま提案になっております三十年度六月分暫定予算案を中心といたしまして、当面の内政、外交に関する諸政策について、主として鳩山総理大臣お尋ねをいたしたいと思います。大体、私のお尋ねいたしますることは常識的なことでありまするので、なるべく総理大臣からお答えを願いたいと思います。  まず第一に、先日この予算委員会におきまして、同僚左藤委員から、この暫定予算案は目下衆議院で審議中の本予算案を基礎として政策を盛ったものであるというが、もし、この暫定予算案が通過実施せられたのちに本予算が否決または重大修正を受けた場合には、いかなる政治責任をとるかという質問に対して、一萬田大蔵大臣は幾たびかさようなことにならんことを期待するという答弁を繰り返されて、最後には責任をもって善処すると言明せられておるのであります。衆議院における予算審議もいよいよ大詰めに近づいて参りまして、自由党では本日組みかえ要求をするということに決定をしたのであります。新聞の伝えるところによりますれば、政府及び民主党は、本日午前、最高首脳部会議を開いて、予算案に対する最終的態度をきめることになっておるということでありまするが、果していかなる決定をされたのであるか。閣僚の中には、自由党があくまで組みかえを要求してくるならば解散もまたやむを得ないというような強い決意をもつと伝えられておる人もあるようであります。また総理衆議院予算委員会で重大決意をするという意味のことを言っておられます。官房長官も出先の談話で、一兆予算が破られるようなら解散をするという言明をせられたこともあるのでありまするが、かようなことになりましたならば、六月はおろか七月、八月、九月、あるいは十月までもこのこま切れ暫定予算ということになりかねないのでありまして、国民生活に及ぼす影響は私ははなはだ重大になると思うのであります。これに対して総理はいかなる所見をもっておられまするか。できれば詳細に承わりたいと思います。
  39. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) ただいまでは、七月の暫定予算を提出するというような意思はもっておりません。六月中にはぜひ三十年度の予算を通していただきたいという考え方で進んでおります。
  40. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 しかし、ただいまのいろいろの情勢から判断いたしまするに、予算の審議もなかなか遅々としてはかどらなかったのでありまするが、ようやくこの大詰めにきて組みかえ案を出して折衝に入るということになっておるのでありまするが、これが長引くということであり、あるいはまたこれを入れないということになりました際には、必然、重大な結果になるか、あるいは七月暫定とかいろいろなことになると私は予想されるのでありまするけれども、ただいまの総理答弁だけでは私はまだ満足できないのでありますが、総理はいかなる心境と言いまするか、どういう決意でそういうことを言っておられまするのか、重ねて承わりたいと思います。(「はっきり」と呼ぶ者あり)
  41. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 六月中に三十年度の予算が通るように、できるだけの努力を払う決心でございます。もし、六月中に幾らの努力を払っても通らないということがきまりましたならば、その時分には決心をするよりいたし方がない、こう思っております。
  42. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 その場合の決心というのはどういうことでありますか。
  43. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 今日はどういうようにするかは、そのときにきめるのがいいと思っております。
  44. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 しかし先ほど冒頭に申し述べましたように、もしものことがありましたならば、七月暫定予算にならんとも限りませんし、重大な場合に立ち至りましたならば、国民生活に及ぼす影響は私は非常に甚大であると思いまするので、総理がただ六月中に成立するものだと思っているとか、その場合には決心するのだということだけでは、われわれはこれほど大きな影響をもちまする問題に対しまして、まだ納得いたしかねるのでありまするが、総理の決心並びにあるいはこの六月中にこの予算を通すには、どういう自分として努力をしてみたいとか、そういうことにつきまして、いま少しく詳細に承わってみたいと思います。
  45. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) その瞬間まで慎重な考慮を続けていくより仕方がないと思っております。
  46. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私は政府が当初におきまして、四、五月の暫定予算を審議いたしまする際にも、われわれは本予算は四月十五日に政府は提出するのだ、一刻も早く本予算の審議に入り得るものだという了解のもとに不本意ながらあの四、五月暫定予算に同意したのでありますが、それが、四月二十五日になってようやく提出されまして、しかもその後の様子を見て参りますると、予算の審議はきわめて遅々として、また予算に関連する法律案の提出というようなことにつきましても、今日ようやく七十一件のうち六十件ばかり提案になっておりますが、まだ十一件も残っておる。こういうことによりまして、非常に遅々として、ついに六月暫定予算となり、こういう大詰めに来ておるのでありますが、この暫定予算によりまして、一般国民生活がさらに非常な不況に、これはあとで述べてみたいと思うのでありますが、陥っておるのでありまして、こういうことから考えまして、この重大な関頭にあって、われわれは何とか七月暫定は避けけたいというつもりで、しかもこのただいま提案になっておりまするこの予算案については、これは強度の不況政策を基調としておるものでありまして、このままでいきましたならば、産業経済が萎縮してしまう、あるいは民生の不安、こういうことを思いまするときには、この事態を黙過し得ない、原案には何としても賛成しがたいというつもりからいたしまして、真剣にこの組みかえといいまするか、予算の再検討をいたしておるのであります。この自由党の態度に対しまして、検討に対しまして、不幸な事態の起らないように、総理として一つ重大な決心をするとか、そういうことでなしに、いま少し国民には迷惑をかけないようなことをしてゆく固い決意であるというようなことにつきまして、再度の一つ答弁を願いたいと思うのであります。(「高声に願います」と呼ぶ者あり、笑声)
  47. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 前回の答弁を繰り返すよりほかに答弁のしようがございません。(「聞えないよ」「総理うしろのほうは聞えないらしいですよ、少し大きい声でお願いします」と呼ぶ者あり)できるだけ大きい声を出すことにしますが、疲れてくると声が出なくなってしまうのです。(「休憩したらどうかね」「総理が疲れたから休憩したらどうです」と呼ぶ者あり)
  48. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私はきわめてまじめな気持からいたしましてただいま質問を続けておるのでありまするが、どうも総理のただいまのような御答弁では、私はきわめて不満なのであります。でありまするが、質問を進める関係上、六月暫定なり政府のただいま提案になっておりまする三十年度予算によって、経済界なり国民生活はどういうふうになっているかということについて申し上げまして、慎重に一つ考えを願いたいと思うのであります。  新聞でも御承知であろうと思いまするが、きょうの新聞にも、失業者は町に溢れまして、三たびも血を売ってようやく生活をしておるというような悲惨な事例が出ておるのであります。二十九年末には六十三万人であった失業者が、去る四月末には八十四万人ということに激増いたしております。これでは完全雇用を目標として立てられたいわゆる経済六カ年計画というものが、すでに初年度におきまして大きなそごを来たしつつあるのであります。これは何といいましても四、五、六と三カ月も暫定予算が続くというようなこの態勢と、それから三十年度の予算の根本的性格からいたしまして、経済界の不況というものは私はきわめて深刻になりつつあるのではないかと思うのでありますが、こういうふうな情勢から判断いたしまして、一体政府の立てておりまするあの経済六カ年計画というようなものは、果してまじめに考えてああいうものを出したものであるかどうか、また現在の八十四万人にも激増しておりまする失業者の状態等から考えまして、三十年度の予算の構成その他について、どういうふうに考えておられるのであるか、この点について感想を伺ってみたいと思うのです。
  49. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。経済六カ年計画は六年後の日本の人口を推定いたしまして、これに対して完全雇用を与える、そうして日本の経済を自立させるということの一つの目標を置きまして、それに向って進んでゆこうというものであります。それにつきましては三十年度、明年度は六カ年計画の初年であります。六カ年計画は大体三年、三年と二期に分けまして、初めの三年におきましては、できるだけ経済の基調を地ならしをする、そうしてこの目的を達成するためにはインフレーションを防止けるということをやってゆく、こういうことが主眼である、そういう意味から三十年度の第一年度計画につきましては、拡大均衡に至る一つの地盤を作るということが主眼であります。従いましてその予算も御承知の一兆のワク内において、できるだけその基調に沿うようにいたしましてやっておるわけでありますが、大体明年度は総生産を二・六%ふやすということが、国民の総生産をふやすということが目標でございます。それにつきましては大体現在の失業者を——昨年度の六十三万人の失業者を年度末においてはその程度にとどめたい、こういう考えでございますが、今お託のごとく現状のままにしておけば二十万人ふえるという初めからの予算でありまして、その二十万人を何によって吸収するかということになりますと、まず十三万人を失業対策事業及び河川、道路、その方面に吸収するという計画でございます。あとの七万人は転業対策という方面に吸収いたしまして、そうして年度末におきましては、二十九年度の年度末における失業者の数六十三万人に横ばいとゆきたい、六十三万人の程度にとどめたい、こういう計画であるわけであります。ただいま現状におきましては、石原さんのお話のごとく非常に増加しておるということな事実でございまして、これは私ども非常に心を悩ましておるのであります。これはお話のごとくまだ予算も通過しない、暫定予算をやっている、こういうふうな現状でありまするので、はなはだ遺憾に存じておるわけなのでございます。これはどうしても今年度の年度末までには所定の目標に達したいという所存で進む次第でございます。
  50. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 今度六月暫定予算には、大体こういう現状等から考えまして、そういうことも考慮を加味してこういう予算が組まれておるかどうかということと、それからただいま六カ年計画についてはいろいろ効能はお話になったのでありますが、現状は遺憾ながらこういう状態でありまして、しかも一カ月に三たびも血を売る失業者が出ておる。これは中小企業で相当の人まで使ってやっておった者がこういう状態になって失業をしておるということでありまして、これらの事態等から考えましても、われわれは一刻も早く適正なる予算を成立せしめまして、国民生活の安定ということに向わなければならぬのでありまするが、この本予算の一刻も早く成立する、あるいは七月暫定等を組まないでも済む、こういうようなことにつきまして、私はくどいようでありまするが、総理はもう一度、重大なる決心と言いましても、これは解散とかそういうことでありましたならば、おそらく十月くらいまでは私は暫定、こま切れ予算になるのではないか、もしもそういうことになりましたならば、今でもすでに六十三万の失業者が八十四万にもなっておるこの状態で続きましたならば、一体失業者がどのくらいになるか、考えるだけでも寒心にたえないのであります。日ごろ友愛、協調というようなことを始終説かれまする総理といたしまして、ただいまどういう心境でこの予算の成立過程を眺めておられるかということにつきまして、私は国民の一人としても心配しておるものであります。そういう意味において少し親切にもう一度お答えを伺っておきたいと思います。
  51. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は世の中の事情を顧みますれば、ますますどうしても三十年度予算をすみやかに通したいという熱望を持つだけでございます。それが通らないということがきまったときにどうするかということは、そのときに登るまで申し上げることはできないと思います。
  52. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 これ以上言えないということであれば、この問題についてこれ以上の追及はできないと思うのでありまするが、ただいまのところ失業者の激増しておる不況の現況と関連いたしまして、私はいま一つ本年度予算の性格について若干触れてみたいと思うのであります。  この経済六カ年計画等を立てまして、いかにも五、六年先には、完全雇用の目標に達し得る、経済均衡拡大が図り得るというようなことを言っておられるのでありまするが、本年度の予算なり、財政あるいは金融の状況等から考えまして、これはなかなかこういうことにはならぬのではないか、六カ年計画の初年度として何ら政府はこの点について真剣に考えていないのじゃないかと考えられるのでありますが、それは日本銀行の二十九年度の預金増は四千億であります。しかるに貸し出しは二千三百億でありまして、千六百億の吸い上げになっておる。一方政府資金の二十九年度の散布超過は千九百億であったものが、三十年度の予定は七百億に減ずるのでありまして、金融とか資金とか、こういう面から見ましても、三十年度は相当窮屈になって来ると思うのであります。一方、三十年度の予算はたびたび申し上げまするように、極端な不況政策の考えの上に立っておるものでありまするから、私は経済界というものはますます萎縮をいたしまして、拡大均衡への何らの芽ばえすらも用意されていないと思います。それからまた一方、あとでも触れる問題でありますが、地方銀行が地方財政赤字のしわ寄せを受けまして、ほとんどその方へくぎづけにされる資金が非常に多い。一般産業資金に流れ出ることが非常に抑制されておるという事実も、これは私は考えてみなければならぬと思うのでありまするが、こういう考え方のもとに一体三十年度の拡大均衡、六カ年計画というものが考え込まれておるのかどうかということにつきまして、これは経審長官からいま一度承わりたい。しかも四、五、六の暫定予算というものが、六月が現実の事実として暫定に進んだのでありますが、これは初め考えられたことと相当違ってくるのじゃないかと思うのであります。こういう点についてどういう配慮、考慮をされておるのか、長官から承わりたいと思います。
  53. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。経審長官お尋ねになった部分についてはのちほど経審長官から御答弁があるとも思うのですが、御質問の当初が三十年度予算の性格に関する御質問でありましたので、まずその点を私からお答え申し上げます。  三十年度の予算の性格と申し上げますれば、一つには日本の経済の地固めを完成をしようというのが一つ、もう一つはこの地固めをする過程において日本の経済の拡大をはかる基盤をここに育成してゆこう、こういう考え方一つ、もう一つはこういうふうな政策を遂行してゆくことがすでに一年半を経過いたしましたので、今後においても、相当なでこぼこといいますか、特に苦労を多くする階層といいますか、社会のうちにそういうもろもろの現象が起る、これに対して何と申しますか、補正を加える、手を差し伸べる、こういう政策、この大体三つを加味して今回の予算を編成しておるわけであります。その地固めをするというのが形の上の一兆という予算になるのでありますが、しかしぜひとも私は御了承を得たいことは、昨年が一兆である、今年も一兆である、いかにも一兆であるからというふうにお考え下さらぬように、昨年一兆ということ、あれは日本の経済が非常に膨張過程、インフレ的な要素のときに一兆というワクをきゅっといれましたから、よほどこれはきびしくひびいてきます。しかも先ほど御指摘があったように、千九百億円に上る散超をする、金融はますます引き締めざるを得ない、こういうもろもろの相反する施策といいますか、をやらなければならぬ。ところが本年におきましては、すでにもう一兆を一カ年経過した上に、日本の経済が一兆に適応する様相を今日すでに呈しておるのであります。従いまして同じ一兆の予算が経済に及ぼす影響というものは、昨年とはよほど違うということをお考えを願っておきたいのであります。現に先ほど申しましたように、同じ資金の入り用にしましても、御指摘のように四千三百億の預金増に対して、二千数百億の貸し出し、これは自由党内閣からずっと一兆円予算をやってきて、財界がよほど整備をしてきたということを一面において、これは示す指数であるのであります。それからこの三十年度の予算をみると、昨年は千九百億の散超であるにかかわらず、今度は七百億だから、非常に財界に影響が大きいのじゃないか、これも私はぜひとも御理解を得たいのは、昨年千九百億の散超のために日本銀行を初めとして、金融政策としてはいわゆる金融独走のそしりを受けつつも、インフレを防ぎ物価を下げるために非常に努力してきた、そうしてその結果、千九百億を引き揚げた。今年は七百億なら、かりに通貨量を、もろもろの条件がありますが、すべての条件がひとしいとすれば、今年は七百億の散超を引き揚げればいいので、金融の締め方はよほど楽になる、こういうふうにも考えていいのでありまして、そうしてもう七百億の散超があるという予算は、これはもう決して健全ないわゆるデフレ予算ではないのであります。これはむしろインフレ予算、デフレ予算という限りにおいては、どちらかというと引き揚げの多い、いわゆる市場にある資金をプラスして引き揚げるというので、市場に対して大きなデフレの影響を与えるのですが、これはプラスして七百億にするのですが、おそらく日本銀行は場合によっては散超七百億くらいは締めなければならぬという考えをおそらく持つだろうというふうに考えるのであります。同時にこういうふうな政策を進めてゆく反面におきましては、物価も安定して下る、そうすると皆がしんぼうして預貯金がふえる、金利も下る。他面においてこういうふうな傾向をして、こういうことになることが拡大生産に一番いい措置ができる、かように考えておるわけであります。私は、その三十年度の予算の性格について一応御了承を願う次第であります。
  54. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。ただいまの大蔵大臣の説明で大体尽きると思うのですが、この六年計画の第一年といたしまして、一そう輸出を振興する、産業の基礎になる事業を合理化するということにつきまして、あるいは輸出入銀行の資金を増額するとか、産業合理化のために民間資本を導入してこれにつぎ込むとか、それがために預貯金をふやすとか、こういうふうないろいろな方策を講じておりますのでありますが、ただこれが暫定予算等のために、時間にズレが幾らか起ったことはまことに残念でございますので、幸いに最近の事態において予算が通過いたしまして実行できることになれば、私どもこの実行に努力いたしたいと存ずる次第であります。
  55. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 今経審長官の話によりましても、この暫定予算によって、いろいろの計画にズレが来ておることはすでに話され、繰り返すようでありますが、今後またこういう暫定が続くとかいうようなことになりましたならば、とんでもないことに私はなると思うのでありまして、大蔵大臣のいろいろのお話で効能書きはもうよくわかるのであります。経済六年計画の効能書きは非常によくわかるのでありますが、一般社会の現状、現実の事実というものは、私は決して政府が言っているようなことには行ってないと思うのであります。これが暫定のズレでこういう事態が出ておるということならばまだいいんでありまするが、現在のこの現状というもの、失業者が八十三万人激増しておる。中小企業の倒産も極めて多い。われわれいつもいろいろ事業をやっておる人の話を聞きましても、これは非常な深刻なものがあるのでありますが、この現状というものに対して、どういう認識を持っておられるのかということを、簡単で結構でありますから、もう一度お答えを願いたいと思います。効能書きはもうよくわかっておるのです。
  56. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。大体御質問趣旨は、暫定予算の関係からどういうふうに財界に影響を与えておるかという御質疑と思います。むろん本予算が早く成立をいたしまして、これが施行されるときに、ここに暫定予算がいろいろ財界におもしろくない影響を与えておることは、これは私は否定することができないと思います。それでありますから、できるだけお願いを申し上げまして、予算の成立を急ぐゆえんもここにあるのでありますが、今まで具体的に私はいろいろと調べたのでありますが、今のところ、これは四、五月でありますが、それほどのこれはまあ資金関係から見ましても四、五月の財政から出ます金の収支の差引は、昨年に比べるとほとんど変りありません。少しことしの方がやはり金が多く出ておるのであります、今のところは……。しかし私は問題はやはり今のところよりも今後にあるというふうに、今後の推移を見ましていかなければならないと思います。それで今度の六月暫定予算には、季節的な関係及びこの仕事の性質等から見まして、ぜひとも法律の制定、新しい改正を要するものはこれはむろんいきませんが、それらを除きまして、ぜひともこの六月に支払い負担をする必要のあるものはなるべく計上いたしまして、そうしてたとえば北海道とか北陸とか東北とか、こういう寒冷地域につきましては、半年分、二分の一のものを六月、四、五を加えまして二分の一になるけれども、こういうところを早く仕事をする、こういうふうなことをやっておりますので、できるだけそういう悪いところを除く措置を予算面ではとっておる考えであります。
  57. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 先ほど私申し上げました地方銀行が地方財政の赤字のしわ寄せを受けて、一般産業資金に当然流れなければならぬ金が相当抑制されておるという事実は、これは大蔵大臣お認めになっておりますか。あるいは認めるとして、それがどういうふうに一般経済界、産業界に影響を及ぼすか、この程度のことは大したことはないと思いますか、その点について意見をお述べ願いたい。
  58. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答え申し上げます。地方財政が非常に窮迫しておる結果、そのしりが地方銀行に及んでおるということは、それはもうその通りであります。私はこれを数年前から実は憂えておりまして、すみやかに地上財政の再建整備が確率することを切望をいたしておったわけであります。今回そういう意味から、地方財政の再建整備をやりまして、法案も御審議を願うことになっておるのでありまするが、その際におきまして、私はこの地方銀行に地方財政の赤字の重荷が行っておるのを、なるべく財政資金の方に少し移行させよう、こういう方針を今後においてとるつもりでおります。たとえば今度発行します百五十億円の赤字のこれは、一応今日地方銀行が地方団体等に貸付金になって固定しておる、これを一応地方債に振りかえますが、来年になりましたらこれを政府資金に肩がわりをするようにして、ずっと地方銀行の重荷を軽くしてあげようというような具体的な考慮を払っております。今日地方銀行に重荷になっておることは、おっしゃる通りであります。
  59. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 産業界に及ぼす影響につきまして、この地方銀行の金がしわ寄せ、赤字が……。
  60. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 暫定予算の……
  61. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 いや、いや……
  62. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私が主として心配しておるのは、地方の財政の赤字が地方銀行にしわ寄せしている、特に資金獲得上のいろいろな縁故関係から、力の上で無理にいろいろしておるという点は心配しますが、資金全体の産業との関係におきましては、これはもう今日に、たとえば地方銀行で日本銀行に借り入れをしておる銀行というものは非常に少うございます。ほとんど借り入れなくしてやっておる程度に、むしろ金が余る。今後地方銀行は金をどういうふうに運用しようかというふうなむしろ過程に近寄ってくるので、その面から産業資金にどうということはないと思うが、地方財政の赤字が地方銀行の蔵の中に入ってくるということを非常に心配をしておる、これだけであります。
  63. 田中啓一

    ○田中啓一君 ただいま大蔵大臣の今年度予算の性格の御説明を伺いますと、拡大均衡に一歩を進めるというのではなく、その進むべき地固めをするのだ、これは今年度の予算の最大の基礎だと、こういう御説明であり、また今日に限らずこれまで機会あるごとにしばしばそういうことをおっしゃったのを承知しております。そこで先ほどの失業問題と関連をして御質問するのでありますが、昨年末と比べて本年の三月末においては失業者は二十万増加をしておるが、しかし幸いにこの予算が通れば、今年末には昨年末と同様の六十三万ぐらいにできるであろう、こういうことを期待しておるという御説明であります。そこで一体日本の労働力の一年間の増加というものについて、経済審議庁の長官は、およそ何人で、それは労働人口の、ことに私は農業労働人口は含めないで、その他に大体向っておるところの労働人口というものはどれくらいで、その何%に当るか、こういうことを一つ説明を願いたいと思う。
  64. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。本年の失業者が、先ほど申しました通り、存外よけいふえておる、今日では六十二万のものが八十何万になっておるという数字でございますが、これはまさにその通りでございます。一年に大体八十万の労働力がふえるという計画を立てておるわけであります。現状のままでおきますというと、今年はやはり二十万ふえるから八十何万になる、こういう数字になっておるのでありますが、実際から申しますと、毎年三月、四月、五月ごろは、昨年毛同様でございまして、失業者が十六万人ぐらいふえたのであります。これは学校の卒業生が出る時期でございますから、これは今年は十八万くらいになっておるわけなんであります。これは時期的にふえたわけなんでございます。しかしそれにしても、これは対策を早く講じなければならぬ、こういう考えでございますが、ただいま御質問の農業方面に人口を吸収したらどうか、こういう御意見がだいぶんあるようですが……。
  65. 田中啓一

    ○田中啓一君 そうじゃない……。
  66. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 農業方面には人口を吸収できないという私ども考えで、それで三十五年には農業方面にはちっともふやさない、農業方面の人口はとらない、主として工業方面とそれから第三次産業、その方にもっていこうではないか、三十五年には農業方面はもう一〇〇%そのままでおいておく、それから鉱工業のほうは二割ふやす、一二〇%にしようじゃないか、それから第三次産業、つまりサービスだとか商業、その方には一八%ふやす、こういうことで今計画を立てておるのでございますが、これにはだいぶ議論がありまして、もっと農業の方に引っぱったらどうかという意見もあるのですけれども、私ども考えでは、日本の農業はこれはこれ以上人間を吸収すれば、農業方面にいい影響は及ぼさない、こういう考えで進んでいるわけでございます。
  67. 田中啓一

    ○田中啓一君 さらにその続きを御質問したいのでありますが、私は六カ年先に農業方面へ多くの労働人口を吸収できないという長官のお考え、私も同感であります。のみならず、私は今年も多くは期待できないと思う。それは今年も六カ年先も同じであろう、こう実は思うのであります。実は潜在失業的なものが非常に多いので、これをいかにして農業方面で十分に働く機会を与えるような方策をとるかということが、私は日本の農業問題のあり場所だと思います。おそらくこれは長官も同意見なんでございましょう。そこで、本年度八十万人労働人口がふえる、しかもこれを鉱工業あるいは第三次産業で吸収しなければならない。そうすると、鉱工業並びに第三次産業方面に働いておる現在の労働人口というのは、おそらく二千万前後のものになろうと思います。あるいは二千五百万くらいになりましょうか。まず八十万増加するということは、何%になりましょうか。ちょうど二十万で一%、四倍でありますから四%ぐらいの、私四、五%の増加になるのであろうと思うのであります。そこで予算の方では拡大均衡に進むのではない、産業規模が大きくなるのではない、生産も増加するのではない、こうおっしゃっておるのでありますが、一体八十万の労働人口を吸収する、雇用力をふやす。従って、第一次産業並びに第二次産業がこれは食べるもの、着るものを作っておるのでありますから、これは八十万人の増加を見なければならない。第三次産業でサービスや、ただ動かしておるだけでは、なかなか私は食べものも十分増加いたさぬと思っておる。そうなると、結局は鉱工業生産で三十年で五%ぐらい拡大均衡にならなければ、失業者は八十万人増加するではないですか。だから、おそらくこれを増加しないように、拡大均衡にはしないという性格だということをおっしゃっておりますけれども、少くとも私は八十万人は吸収できるつもりでおやりになっておるに違いないと思うのであります。そうでなければ、大へんなことだと私は思う。ところが、もう暫定予算のために二十万人だけはふえた。あるいは暫定予算でなくとも、多少は年度当初にはふえるのはやむを得ないというお見込みであったかもしれませんが、どうも私はおっしゃることの見通しておられるところに何かはっきりせんものがあるのじゃないか。そうして本予算が通らなければ決心をするんだと呼号しておられるが、もし総理の決心のしようによりましては、結局もう今年一ぱい暫定予算になってしまうということも考えざるを得ない。そうしてその結果今のように失業者が昨年末の倍にもなる、こういうことを私はみすみす見過ごされるようなことになっては、これはもう何をおいても重大事だと思うのであります。でありますから、私は高碕長官からお答えを願いたいのは、大蔵大臣はああ言われるが、それは八十万人は吸収できることに今年度の予算はなっておる、なっておらん、そこを一つはっきり御答弁を願いたいと思うのであります。
  68. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。もちろん大蔵大臣の説明いたしましたごとく、大体の基本方針は拡大均衡に移る基盤を作るというのが来年度の予算の編成の趣旨でございますから、それにつきましても全然生産を増加しないのか、こういうわけでありますが、そうでありません。国民の総生産は本年に比較いたしまして明年度は二六%増加する、こういう計画でございます。従いまして重点産業の方にはできるだけ資金を集中して、そうしてそれは拡充していくと、こういう考えでございます。人口の方は約八十万と申しますと、大体……、
  69. 田中啓一

    ○田中啓一君 私の見当もそんなものです。
  70. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) それは増加率は一・六%になっております。
  71. 田中啓一

    ○田中啓一君 それは総人口に対する……。
  72. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 総人口でなくて、労働人口が……。総人口は一・四%増しになる。
  73. 田中啓一

    ○田中啓一君 農村を含めておられるでしょう。
  74. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 労働人口は一・六%、こういうことになっております。
  75. 田中啓一

    ○田中啓一君 それならば、農村も含めておられるのでしょう、総人口に……。
  76. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ええ、もちろん。(「私語をやめろ」と呼ぶ者あり)そこで大体本年度の吸収率は、第二次産業の方に三十二万もっていこうと……。第二次産業、鉱工業の方に……。それから第三次産業の方に四十七万もっていく。そこで八十万を吸収しようとこういう計画になっておりまして、農村の方には吸収しない。農村は、お説のごとく今日はこの完全失業者以外に潜在失業者というのが相当大きな問題になっております。これは多く農村にあります中小工業の方にむしろ吸収されている。これは非常に大きな問題だと思いますから、そちらの方にはできるだけもっていかないこと、こういう方針でございます。
  77. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 時間の関係で次に進みたいと思いますが、この政府の三十年度予算というものに対しては、ほとんど国民全体から、これは全く政府与党の公約違反であるというわけで非常な猛反攻が出ております。御承知のように、農業関係の冬団体がほとんど総決起している。あるいは厚生といいますか、社会保障関係の団体が総決起しているような事態でありまして、これは与党の諸君の中においてすらも、ちらほら、これはとうていこのままの予算ではいけないと、予算の補正ということを適当なときには考えなければならぬのじゃないかというような話すら耳にするのでありまするが、一体政府は今後この予算の補正ということの考え方を持っておられるのかどうか。総理並びに大蔵大臣ともに聞いておきたいと思います。
  78. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えを申し上げます。大蔵大臣としてはそういう考えを持っておりません。
  79. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私も同様であります。
  80. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 そういうことであるといたしましたならば、ただいまいろいろ言われたのでありまするが、たとえば地方財政の根本的再建充実の問題にいたしましても、あるいはまた、詳細には時間の関係で論ぜられませんけれども災害復旧の問題でも、これは非常に残っているわけです。食糧増産の問題、治山治水、社会保障等も前進いたしたと言っておるのでありますが、これは私もあとで触れたいと思いますが、肝心かなめのところは後退しておる。こういう、このままの事態で私は本年を推移できるものかどうか、これは非常に心配を持つものでありまして、ことにまた、そこへ暫定というようなことでも入るとすれば大へんであろうと思いまするが、そういうことの見通しについて大蔵大臣からもう一度所信を承わりたい。またもし災害等が起った場合には、果してこれでやっていけるのかどうか。
  81. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 御質疑の主眼の点は、やはり農業に関する予算にあったかと思うのでありまするが、なるほど今回農林省予算が、百九十六億ですか……、そういう程度と思っておりますが、これはまあおもに災害復旧費が中心をなしております。それを特別会計に移したのもあります。全体としても、従って実質的にはそれほど減っていないと思います。特に今回は、重点的なといいますか、できるだけまあ従来よりもより以上に畜産、水産あるいは蚕糸と、こういうふうな方向にも力を注いでおります。また、財政融投資にしましても、今回は農業漁業金融公庫の出資も、貸し出しの資金量もふやしまして、そしてこの中にまた多年の懸案でありました農地担保金融制度も創設をいたしまして、あるいはまた繭については共同保管、乾繭の買い入れ等の制度をやっていきたい、こういうふうにできるだけ重点的に各般の施策をいたしたい所存であります。
  82. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私は、ただいま大蔵大臣は補正も行わないとかこれでやっていけるとかいうようなことを言っておられますけれども、おそらく大蔵大臣は今ここで、のほほんとこういうことを言っておられますが、果してそういうことで三十年度を乗り切れるものかどうか。これはどうするのですか。もし、今そういうことを言っておられまするが、しばらくして、補正予算だ何だというようなことが出てきた場合に、大蔵大臣、一体どうされますか。そのときは情勢が変ったのだというようなことで言われますか。簡単に、補正予算など絶対今考えてないと言われますけれども、これだけの事態になっておって、各団体、国民がもう公約違反、食い逃げであるということで総反攻しているこのときに、そういうことで乗り越せますか。
  83. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。今回の予算が公約を盛っていない、公約に違反しているとはむろん考えておりませんし、この予算の執行において、私どもは経済をよくしていく、健全化していくという考えで執行するのでありまして、この結果が悪くなることはむろん考えておりません。なお、特別の災害があった場合は、どうするという問題については、これはそのときの災害規模にもよりますが、そういう場合は、これは突発のことでありますから、そのときにまた考えてみなければならぬと思っております。
  84. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 まあこれはこの上何回繰り返しても、同じことの繰り返しでありますから、またあとでもう一、二度この点に触れることがあると思います。  先ほど地方財政の問題等もいろいろ出ましたので、ちょっと地方財政の面について、詳細のことは別の委員会等で論じてみたいと思うのですが、四、五、六と暫定予算が続くということによりまして、私は地方財政の困窮はまた一そう輪をかけてくることに相なると思うのであります。先般、新聞で見ましても、佐賀県では四月分の俸給が払えない。財政手当に知事が東京に出て来たけれども、その何分の一にも達しなかった、こういうことが記事に出て、またその後どういう措置をとられたかわかりませんが、自治庁長官等においてもいろいろ並べた対策を立てておられますけれども、私はここらで抜本的の対策を、構想を持たなければ、地方財政の赤字立て直しということは容易でないのじゃないか、非常に重大な破局に陥るときがくるのではないかということを考えまするので、これは総理一つ承わりたいと思うのでありますが、いろいろの意味で、知事の公選制度というようなことについても、論議があるのでありまするが、この現在の知事公選制度というものに対して、総理は一体どういう考えを持っておりまするか。それから、これはひとり地方ばかりではありません。中央にもいろいろあるのでありますが、たびたびこれが問題は議論には出ておりますが、各種の行政委員会というものが非常にある。地方の一例を見ましても、公安委員会、人事委員会、あるいは教育委員会、非常にこの行政委員会等が多数ありまして、こういうものの経費もこれは膨大だ。こういう問題について総理はどういう考えを持っておるか、構想ですね、考え方……。  それからこれは地方財政だけではないのでありまするが、今まで民主党内閣になりましてから、私は行政整理という問題について一度も政府の構想というか、考え方を聞いたことがないのであります。で、今回のこの予算等を見ましても、防衛庁関係で三万千二百七十一名増になりますが、これは別といたしまして、一般官庁において千百八十五名の定員がふえております。役人ではありませんけれども、役人に準ずる住宅公団であるとか、いろいろな問題、住宅公団だけでも二百七十名の増加があって、整理どころかむしろ定員はふえてきておるのでありまして、これはやはり中央がそういう状態であるというと、地方に大いに行政規模を縮小しろとか何とかいってみたところで、それは響きが薄い。それだからこの行政整理ということについて、鳩山総理はどういう構想、考え方を持っておられるか、以上三つの点について、総理から所信を承わりたいと思うのであります。(「完全雇用だろう」と呼ぶ者あり)
  85. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 地方財政が今日のようになりましたことについては、抜本的な何か考え方をしなくてはならぬということについては、あなたと同じような気分を持っております。それを委員会の整理あるいは選挙法の何といいますか、公選制度を官選にするとかいうようなことについても検討すべきものとは思っておりますけれども、只今のところ、公選制度をやめて官選にした方がいいという結論はまだ持っていないのであります。とにかく抜本的のことを考えねばならぬということについては、石原君と同様な考え方を持っております。  行政整理のことは、まあようやく今年で吉田内閣時代のやりかけが済むわけなんでありますけれども、行政整理の必要はもとより当然なことではありますけれども、なかなかいい結果を出すということが非常にむずかしいのでありまして、行政整理についてもよく検討しなくてはならぬ。いいことには違いないけれども、いつでも結果が上りませんから、結果を上げることについて、検討しなくてはならないと思っております。
  86. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 その最後の行政整理についての考え方でありまするが、これは行政整理をやろうとしてもなかなかいい結果が上らぬことは、今までのやり方の結果から見れば、これは事実でありますが、しかし常にやはり整理といいまするか、戦後膨大にふえた機構の縮小、整備ということについては、いつも心がけておらなければ膨張の一途をたどると思うのであります。ところが今回の予算から見まするというと、むしろ定員がふえておる。しかも公団のようなものもできておる。あるいは住宅公団以外にもたしか公庫方面で役人に準ずるそういうもので増員になっておるものが、まだ詳しくは調べておりませんけれども、若干あるのではないかと思うのであります。ふえる傾向に持っていっているということは、これは私、現内閣は行政整理ということについて、ほとんど関心を持っていないのだというふうに言っても言えるのじゃないかと思うのでありますが、この点は、地方財政あるいは地方の行政規模縮小等について、これから大いに考えていかねばならぬときに、政府のこういう考え方については、私は極めて批判し反省しなければならぬと思うのでありますが、総理からもうそれ以上のお答えがなければ、どなたか主管大臣から、内閣を代表して内閣の考え方一つ承わっておきたいと思います。
  87. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 行政整理の問題につきましては、昨年来二カ年にわたりまして、約六万人の整理の計画を立てました。これは順調に進捗をしておるわけでありまして、今年度として、それ以上行政整理をする案は持っておりません。ただ今後各官庁の機構が膨張しないようにという点については非常な関心を持っておりまして、行政管理庁といたしましては、極力これを押えておるわけであります。三十年度の予算で約四千人近くの公務員がふえるのでありますけれども、それは主として郵便局の郵便配達であるとか、電話交換手であるとか、あるいは厚生省関係の看護婦、医者等でありまして、純粋の事務系統の人間というものは、これは極力押えておりまして、ほとんど増員にはなっておりません。
  88. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 自治庁長官が今出られましたので関連して、続けて聞いておきたいと思うのでありまするが、町村合併というものが非常に促進されまして、町村の教も非常に減少してきておるのは事実でありまするが、このごろ何だか少し行き過ぎまであるようで非常なトラブルまで起しております。それから一郡がそのまま市になったとか、山の国境まで市であるとかいうような毛のが非常にたくさん出てきておるのでありまするが、しかも最近聞きまするところによるというと、合併の基準をさらにもっと上のものに、大きなものにするとかいう話を聞いておりますが、これは町村というものがだんだんそういうふうな形になってきた際に、町村と府県というものの性格というか、関連、どういうふうな考え方で町村合併を今推進しておるか、理想といいまするか、目標というもの、府県というものの今後性格を変えていこうとするのか、そういう点についての考え方と、同時に合併促進によりまして、これは相当の地方財政の緊縮に、これは一応理屈としては私は緊縮に当り得ると思うのでありまするが、現実に非常に困っておるあの現在の情勢から見て、一時的には却って膨張しておるようなところがあるのではないかとも考えられるのでありまして、そういう点について町村合併促進の理想というか、目標、それから府県との関連、並びに地方財政のやはり収縮というか、緊縮の意図も含まれておるのかどうか。考えようによっては今のままでは府県と町村と、住民は二重の負担をしていくような問題が相当出てきておるのではないかと思うのでありまして、これらについて、自治庁長官の御所見を承わりたい。
  89. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 地方公共団体が赤字に悩んでおりまする原因はいろいろあるのでありまするが、その一つとして、府県と市町村と両方とも完全自治体である。二重の自治体が行われておるということもこれはまた事実であります。町村合併が推進されまして、これが完成の暁には、当然府県の性格も変更を来たすことは予想いたされるのでありまするが、今日のところ、政府といたしましては、府県の性格をどうしようかという結論を出すに至っておりません。政府にありまする地方財政調査会等におきましても、それを考究中でありまして、そういう方面に意見を聞いて今後府県の性格をどう変更するかということは決定いたしたいと、かように考えております。  それから町村合併のためにむしろ金がよけい要るのではないかということは御指摘の通りでありまして、町村によりましては、合併したがために、公務員の給与その他において多少増加したことはあります。ありますが、これは漸次整理をされまして、幾年か後には、町村合併のために全体としての経費は減るんだ、こういうことは十分期待をできるわけでございます。
  90. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 自治庁長官にもう一度お尋ねしたいのでありますが、この府県の性格というものは、今地方制度調査会等で研究中であるというお話でありまするが、町村合併によって、非常に町村が大きくなってきて、小さい県になればきわめて少い町村になってしまうのではないかと思うのでありまするが、その際に、町村と府県というものをどういうふうに考えるのか。町村合併を今これだけ推進され、しかも近くまた合併の基準すら拡大されようとしているやに聞くのでありますが、何かそこに私は一つの理想というか、目標があってやっていることでなければ、やたらに町村の合併競争、拡大競争をやってこれだけに減ったからこれだけ成績が上っておるのだという気持でやられては、地方自治体というものの今までの歴史あるいは本質的の性格、こういうものが非常にくずれるというか、乱されるということになっても困る。何かやなり理想を持っておられるのだと思いますが、長官の理想を一つ伺いたい。
  91. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 町村合併が完成いたしますれば、当然府県の性格に変更を来たすのだと私ども考えております。しかし戦前のような知事官選にした不完全な自治体にするのがいいのか、あるいは現在のようなやはり完全な自治体にしておいて仕事の範囲を変えるのがいいのか。たとえば今回御提案申し上げて御協賛を得るつもりでおりまするが、五大都市につきましては、これまで府県でやっておりました仕事の一部を五大都市に移すことにいたしておるのでありまするが、漸次そういうふうにいたしまして府県の性格というものを変えていくことが必要じゃないかと思いまするけれども、今日ではまだその結論が出ていないのであります。従って先ほど総理大臣からお答え申し上げたように、知事公選につきましては、今日のところきまった意見はまだ出ておりません。
  92. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 次に進みまして、私は社会保障の問題について若干聞いてみたいと思うのであります。社会保障制度の推進ということは、各党とも今回の総選挙に当って公約せられております。民主党はやはり最も大きな公約として打ち出された政党の一つでありまするが、この社会保障制度の推進ということは、問題が非常に私は広範囲に多岐にわたると思うのでありますが、俗に社会保障制度の推進々々というのでありますが、この社会保障制度の推進について、一体どういうことをやるか、根幹となってやるもの、何もかもやるというのじゃ、これは議論の余地がないのでありまするが、社会保障制度を推進していく上には、自分はこれを根幹として、中心としてやっていきたいのだ、こういうものが私は何かあるのじゃないかと思うのでありまするが、これはきわめて常識的なことでいいのであります。総理大臣から、今の内閣の社会保障制度推進の中心的の考え方はここにおいておるのだということを一ぺん承わっておきたい。
  93. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) そのことについては厚生大臣より答弁させます。
  94. 川崎秀二

    国務大臣(川崎秀二君) 現内閣の社会保障制度に対する考え方は、選挙当時に民主党が約束をいたしました考え方に基いてはおりまするが、当面一兆円の歳出のワクがありますので、その中においては今日最も財政の崩壊の危機にさらされておる健康保険の財政崩壊というものを食いとめたいということが当面焦眉の問題であろうかと思うのであります。もとよりこれに満足するものではありませんで、積極的な施策といたしましては、第一に、社会保険の強化ということを枢軸にいたしたいと思っております。もとより社会保険の強化だけが社会保障制度の眼目ではありませんので、これに伴って健康保険制度の系列に属するものを次第に統合していって、一方一般国民に対するところの国民健康保険を充実をさせていきたいということが第一の問題になると思います。これと並行いたしまして、当然最低生活保障の見地から、生活保護の充実並びに将来は総合的な年金というものも取り上げていくことが、社会保障の三つの大きな柱になる、こういう私は考えをいたしておるものでございます。
  95. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 社会保障制度の根幹として、ただいま厚生大臣からいろいろお話がありました社会保険の強化推進を自分は中心として考えておるというこの考え方に対しましては、私も全く同感なものでありまして、この今の日本の財政からいいまして非常に多岐多端にわたるあらゆる面を同時に伸ばそうということはなかなか困難であります。やはり病気に対する備えをしておくことだけは、何とかまとめていかにゃならぬということに全力を注いでもらいたいと思うのでありますが、それについては、私は社会保障の専門家で、熱心だと自認をされておる厚生大臣でありまするが、たったいまも健保についていろいろの措置をとったと、焦眉の急だからとったと言われますが、国民の一般農村、中小企業等を対象としておる、すでに二千八百万の加入者を擁し、また一方今後二千八百万の未加入者をこれから入れようとしておりまする国民健康保険に対しまして、今回のまあ暫定予算にも少し頭を出しておるようでありますが、国民健康保険に対してきわめて冷淡な態度を今度とっておる。国保は後退しておるということは、国民健康保険が私は何といっても社会保険の中軸ではないかと思う。その国保を後退せしめておるということは、社会保障をほとんど一枚看板のように大きくうたった今の内閣といたしまして、私はこれはきわめて遺憾な措置ではないかと思うのであります。一兆億のワクということを言われましたが、一兆億のワクということは、この前の選挙を戦われたときから一兆億のワクということは大体わかっていたので、予算規模考えも持たないでやられたわけはないと思うので、一兆億のワクがあるからできないのだということは、私はこれは単なる言い逃れであって、それは承服できない。国保を後退せしめたということは川崎厚生大臣としてこれは私は非常なミステークじゃないか、あやまちじゃないかと思うのでありますが、今日間違ってなかったとやはり考えておられまするか、この点伺いたい。
  96. 川崎秀二

    国務大臣(川崎秀二君) ただいま石原委員から御指摘の通りでありまして、国民健康保険が社会保険の将来の柱にならなけりゃならぬ、むしろ支柱にならなけりゃならぬというのは私も同意見であります。しかし、今日まで日本の社会保険が発達した過程をたどってみますると、もとより勤労者、労働者に対するところの給付から始まったのでありまして、その中心である健康保険がくずれておるということに対しては、われわれとしてはこれを見逃すことができないのであります。従いまして、政府管掌の健康保険、あるいは組合管掌の健康保険というものの崩壊の危機というものをとりあえず食いとめるということに中心をおいたのが今回の施策であったことは間違いないのであります。従いまして、国民健康保険の方に冷淡であったという御指摘でありますが、内容を見ていただきますれば、国民健康保険は、なるほど総額からは多少の後退をしておる点があるかもしれませんが、助成交付金の問題は重点的な施策を講じまして、昨年四十七億二千万円であったものが本年は一億以上ふえておる。もとより受給者の対象というものもふえてはおりまするけれども内容において充実をしておるということを見ていただきたいと思うのであります。また予算編成の過程におきましても、直営診療所などは、政府の非常な財政節約の見地から相当に落されておりましたものを、編成途上において復活に努力をいたしましたので、本年はとりあえずこの程度をもって御満足をしていただかなきやならぬ状況であると私は考えておるのでありますが、これをもって全般的に満足をしておるというのでは私はないのであります。従って今日の財政の状況からやむを得ざる措置でありまして、将来は国民健康保険というものを中軸にしたる社会保険の発展に努力をしたいと、かように考えております。
  97. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 ただいまの厚生大臣の御答弁は、まことに私としては遺憾しごくの答弁でありまして、去年の、昨年度の予算を改進党が修正されたときに、国保の医療補助に対する予算を修正されたのであります。そのときは、川崎厚生大臣は改進党においてやはり最も急先鋒となって訂正された一人であって、二割補助ということになっておりまするけれども、二割補助の基準をどうとるかということによって、これは数字の魔術は幾らでも使える、去年その数字の魔術をあなたが中心になって指摘されて、これは訂正されたのです。今年出ておる予算は四十七億が四十八億になっておるかもしれませんが、これは人間の被保険者の対象がふえるからこんなことは当りまえなのであって、採用されておる基準というものは、去年の修正前の間違った基準を使ってやっておるのがこれは事実です。直営診療所の補助にしましても、二年間四億というものが続いておるのに、今年は二億になっておる。きわめて後退しておる。これはあっさり後退しておるということを厚生大臣が認められたらいいと思うのです。  それから関連してもう一つ、健保に対していろいろのことを言われたのですが、私ももちろん健康保険の危機というものは、ここで救済しなければならぬと思うのでありまするが、健保に対してもう少し根本的な、抜本的な検討をしておいてもらいたい。もちろん御承知でしょうと思いますけれども、このごろ健康保険患者の入院患者というものは非常にふえておる。ふえておるのでありまして、入院すれば完全給食という、うちにおれば自分でものを食わなきゃならぬ。あまりろくなものも食えない。これは言い方が非常に悪ければ取り消しますけれども、こういう患者が入院しておれば完全給食がされるのであります。だからそういうことでも非常にこれは膨大になってくる。あるいは結核のベッドというものは、年々結核対策でベッドが増床されておりまするけれども、その回転率というものは二年に一回というか、二年間一人で占められてしまう。一方結核病床がどんどんふえていけばいくほど、健康保険の赤字が、私は言い方は悪いかもしらぬが、増してきておるということになるのじゃないかと思う。だからここで十億を入れたりあるいは幾らかの財政資金を融資をしてみたところで、これはほんとうに極端な言い方であるが、焼け石に水であって、もう少し進んだ私はやはり一部負担を、ある程度年限を限ってでも一部負担をとるというような構想でも入れていかなければ、この健康保険の赤字の危機というものを切り抜けることは僕はできないと思います。それから先ほど社会保険の統合ということが一つの理想であるという、理想を訴えられましたけれども国民保険の現状と健康保険のちぐはぐから考えてみまして、どういう構想でこの両保険を、社会保険を一体統合されようという目標をもっておられるのか、そういうことについても厚生大臣の所見を一つ聞いてみたい。
  98. 川崎秀二

    国務大臣(川崎秀二君) だんだんの御指摘に対しまして、非常に傾聴すべき御意見だと思っておりますが、質問は相当多岐にわたりましたので……。
  99. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 簡単でよろしい。
  100. 川崎秀二

    国務大臣(川崎秀二君) 簡単にお答えします。国民健康保険の内容というものは後退したという御指摘でありましたが、これは助成交付金においては伸びておりますので、全部後退したとは私は認めておりません。ただし直営診療所の問題については、御指摘の通りでありまして、その点は厚生大臣としても十分満足しておらぬということだけは申し上げておきたいと思うのであります。  それから将来社会保険の統合に際して、どういう措置を講ずるかということでありましたが、これはやはり被用者の保険と国民一般を対象とする保険というものは、まず第一の段階としては区別をしなきゃならぬ。健康保険の制度に属する系列のものを統合していきたいという考え方であります。これは社会保障制度審議会も二十五年の十月から数回にわたってこの考え方を出しておりまして、その意見も尊重しなければならぬと同時に、私もそういう考えであることを明白にいたしておきたいと思うのであります。しかし終局的にはその一段階経た後に、あるいは社会保険全体の統合をすべきだという意見は相当に強力に台頭してきておりますので、これらも十分勘案をいたしたいとは思いますが、これは今日の問題ではないのではないかというふうな私は考えをいたしておるのであります。なお、健康保険の根本的対策につきましては、もとより十分に考えなければならず、ことに乱療乱診がある。あるいは入院をしたくて、むしろ完全給食の形であるから、そういうものが非常にふえておるという御指摘はごもっともであります。しかしこの問題は、たとえばイギリスあたりでも相当に保守党と労働党との間に議論をかもした問題でありまして、今日日本の健康保険の段階では、私は患者の一部負担は極力避けたい、まだ発展の途上でありますから避けたい。かように考えております。
  101. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 この問題は、まだ私は厚生大臣となんぼでも論議する材料、それから意見をもっておりまするけれども、この問題であまり時間をとるのも何ですから次に移ります。  今度の予算全体を見まして、私はどうも今の内閣のとっておられる措置が農村を、農村と言いますか、農業地帯を軽視しておる予算の立て方になっておるのじゃないかということをつくづく感ずるのであります。それは端的に言えば、この食糧増産や土地改良、農業関係の予算が荷十六億七千万円も削減されておるというこの一つの事実。それから一方これも本会議等でいろいろ論ぜられましたが、農村の方の課税はむしろだんだん重くなってきておる。それから社会保障の関係の面を見ましても、健康保険であるとか、あるいは日雇い健康保険、こういうものに対しては極力いろいろの措置を講じられておるが、主として農村を対象としておる国民健康保険というものに対してはきわめて冷淡というか、健保に隠れてしまっておる、こういう事態。それから小さな問題でありまするけれども、季節保育所というような問題でも、今まで季節保育所、農村の季節保育所はいろいろ予算がずっと続いてあったのでありますが、これが本年は全部削除をされておる。こういうふうにしていろいろ集められてきた予算がいわゆる民主党の今の一枚看板である住宅方面に投ぜられておるということになるのであります。私ももちろんこの住宅問題ということに手をつけ、重点的に考えられるということには決して反対する者ではないのでありまするが、この住宅の大部分の予算というものは、私はおそらく東京とか大阪とか名古屋とか、こういう大都市へ投ぜられる金じゃないか。農村の方の費用をずっと縮減してきまして、これが大都市の方に流れるような感じに見えるのでありまして、これらの問題について私は大蔵大臣、農林大臣、厚生大臣それぞれ決してそういうものでないのだとか、あるいはそういう結果になっておるとか、所見を一応承わっておきたい。
  102. 川崎秀二

    国務大臣(川崎秀二君) ただいま御指摘になりました季節保育所の国庫補助でありますが、これは従来も市町村が行う季節的な保育事業に対しまして、一カ所当り三千円の補助金を出しておったのでございますが、御承知のごとき今回の政府の予算編成に当りまして、補助金整理の大方針が確立をされまして、そのためにまあ一件当り三千円の補助でありますから、地域的に特殊な補助でありまするから、市町村が行うというだけのことはできるであろうという考え方をもちまして、非常に少い額でありまするから、そう困難を感じないのじゃないか。従来は啓蒙、啓発という見地から出しておったという観点もありまして、本年は打ち切られた次第であります。
  103. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 考え方について大蔵大臣から。どうも私は農村の方が軽視されておる予算になっておる構想じゃないか。
  104. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今回の予算が緊縮の予算であります結果、思うように配付が困難でありますことは事実でありますが、決してこの農村軽視というような考えは毛頭もっておりません。
  105. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 結果がそうじゃないですか。
  106. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) しさいに検討して、十分に資金を配付をしてやるという考えであります。
  107. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 大蔵大臣の今のお答えはきわめて私は不満でありまして、数字なり、厚生関係についても先ほど言った事実がちゃんとそのまま国民保険が軽視され、季節保育所が削られたりしておる。それから農林関係の面を見ましても、農林関係の予算が百十六億七千万円削減せられておるということも、これは一つの事実でありますが、さらに私はここでこれは農林大臣からちょっと聞いておきたいと思うのでありますが、三十年度の食糧輸入計画を見まするというと、米は前年度に比べて十八万トン、これは換算で若干の数字の違いはあるかもしれませんが、米は十八万トンふえておる。小麦は二十八万トン輸入がえふるのであります。大麦が若干減りまして、三十六万トン減るのでありまするが、食糧の輸入が前年より総括してふえておる。せっかくたまった外貨が食糧輸入ということによってだんだん減ることになるのでありますが、これは農林大臣は否定されておりますけれども、食糧増産増産といって、これはあほうの一つ覚えで、それより安い外国食糧を買えばいいので、採算のとれることを考えていかなければいかんということを、真偽はわかりませんが、新聞にそういうことが一時出ておった。否定はされておりますけれども、どうも結果から見ますと、食糧増産とか、土地改良の予算が大幅な削減を受けて、しかも外国食糧の輸入がここにふえてきておるのでありますから、どうも否定はされるけれども、現実の事実ほこういうふうな結果が現われておるのでありますから、これに対して農林大臣のお気持を聞きたいと思います。
  108. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。食管会計の、もしくは食糧に対する予算の数字は、これはあくまでも従来の慣行を御考慮いただけばおわかりになります通りに、何分にも収穫をして見なければわかりませんものですから、たとえば昨年の予算書をお開きになればおわかりいただけると思いますが、二千六百万石の内地米の買い入れを予算に計上いたしております。従いまして、それの見合いに外米、外麦を計上いたすということになっておることと私は思います。でございますが、今年は御承知の通りに内地米におきましては、二千三百五十万石、これは二千三百五十万石という数字は決して過少な数時ではないのでございまして、昭和二十九年産米の実績から申しまして、私は妥当な数字であろうと思うのであります。この妥当の数字を見合って一応予算に計数をあげますときには、そういう数字が出るのでございまして、あくまでもこれは作柄、実績を見なければ出てこないのでございますから、ただ私の考えますことが、安い外米をむやみに買って、内地の米はどうでもいいというようなことは考えておりませんということを、あらためてここで申し上げて、明確にいたしておきます。
  109. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 いろいろ御答弁がありましたけれども、現われておる現実は、きわめて農村軽視の予算であり、遺憾ながらどうも農林大臣の言われたやに伝えられることが、いかにも事実のように見える構想が現われていることを、まことに遺憾に思うのでありまするが、時間の関係で次に移ります。  一点だけでありまするが、これは建設大臣に。四十二万戸計画をうたっておられるわけでありまするが、予算が三カ月暫定になったのであります。法律を伴わない関係の予算は、おそらく今度の暫定予算にもこれは盛られておるのだろうと思いますが、少くとも法律を伴う住宅公団関係の予算は、これは暫定に入れるわけにいかない。三カ月ここで空費するわけでありますが、これでいわゆる四十二万戸計画というものができるのかどうか。それからこの前もこの委員会で非常に同僚左藤委員からの議論で蒸し返されたのでありますが、四十二万戸というのは、一応若干の出入りはありますが、建ててしまうということが目標なのか、それとも、とにかく何らかの形で着手しておれば、それで四十二万戸というのであるか、その点を確かめておきたい。
  110. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 暫定予算のために時間的にずれますことは、まことに仕事の上におきましては遺憾の点があると思いますけれども、当初二カ月の暫定予算のときにも一応考えたようなわけでありますから、今の状態で考えますると、努力をいたしますれば、この計画は遂行し得るものと考えております。
  111. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 この四十二万戸というのは、一応完成目標として四十二万戸というのでありますか。
  112. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは従来毛そうでありますが、実際の実情から常識的に判断して考えておるようなわけであります。
  113. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 非常にぼやけた答弁だったのでありますが、少くともこの三カ月暫定で相当ずれたという事態があり、このズレがかりになくても、今の政府の計画で一応の計画がその通りいくということは、これはなかなか困難である。そうすると、相当翌年度にずれて来るものが出ると思うのでありますが、また三十一年度は三十一年度で、これは政府は年次計画をもってやっておられるのでありますから、四十二万戸なりあるいは五十万戸、それ以上の番のが出るのではないかと思うのであります。こういう場合に、一体重なり合って資材なりいろいろのことが果してやれるかどうかということを、私は非常に心配をいたすものでありまするが、簡単に建設大臣からその点をお答え願いたい。
  114. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) この点は事実今までも非常にずれて参りましたのは、東京などにおきましては、いちじるしい例は地方起債が解決いたしませんために、数千戸の家が繰り越しております。そのために今回約十億の資金の裏打ちをいたしまして、急速に実行をいたしたようなわけであります。そういう点を今回は十分に考慮して計画をいたしましたから、従来から見まして、さような点はわれわれはまずないものと考えております。
  115. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 次に通産大臣に一つだけ承わっておきたいと思います。この前の当委員会において電力料金の問題が……。
  116. 館哲二

    委員長館哲二君) 石原君にちょっと申し上げます。通産大臣は五時から六時までのっぴきならない用事で退席しました。
  117. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それじゃこれは別の機会にやります。  最後に、もう時間が非常に少くなりましたので、簡単に外交問題につきまして、総理の所見を承わっておきたいと思います。外交問題については、昨日の衆議院で、本日は参議院の本会議で論議されましたので、ごく一、二の点を重ねてただしておきたいと思います。今回の日ソ交渉は、私は国民の最大関心事であろうと思います。考えようによりましては、先年のサンフランシスコ平和条約の時よりも問題は大きく、かつ困難であろうと思うのでありまして、これは何といっても国民の総力のうしろだてのする非常に強力な内閣が強力な態度で、あるいは言葉をかえれば、超党派外交的にやっていかなければなかなかやりきれない問題であろうと思います。しかし今日の情勢を見ますと、きょうの本会議でもわかりますように、左翼政党から非常に激励され、拍手を受けた。(笑声)志を同じくする保守政党からは非常に冷眼視しされておる。こういう事態を見ますときに、私は前途まことに暗たんたるものを感ずるのであります。しかしこれをずっと考えてみますのに、もう何回もここで論議されましたけれども、私は今日までの外交に関する総理大臣の言動は、率直に言って、危くてついていけないというような感じがいたすのでありまして、今日までの総理が言われたいろいろの失言というか、まっ先に私どもラジオで聞いておりまして非常にびっくりしたのでありますが、二つの中国の独立論の問題でございます。これは常識人として、あるいは単なる国会議員としての鳩山さんが言われるならば、これは私は納得できると思うのでありますが、一国を代表する今では頭でありますね、その総理大臣が、中国が二つある、これはりっぱなそれぞれ独立国でありますということ、重ねて日華平和条約を結んで日本はどういう、いわゆる外交上の国際法関係でどういう立場をとっておるのかということは、私は総理大臣としてはやはり慎重に発言してもらわなければならないと思うのであります。それから今回の日ソ交渉の最初になりました戦争終結宣言というようなこともあります。日本から一刻も早く戦争終結宣言を出したいのだ、出さなければいけないのだということを言われた。それからまた物議をかもした、例の平和のためならば日本原爆を置いてもいいのだ、これは仮定的な質問というか、仮定的なことで答えられたのでありますが、こういうことも、まことに言わぬでもいいようなことを言われる。その他たくさん、こういうことは一々あげれば数多い言動があると思うのでありますが、これではわれわればかりじゃない。おそらく極論すれば、閣内でも、内閣の中でも心配でなかなかついていけないというような気持を持っておる人が相当あるのではないかと思う。今日になって初めて各党を回って、いかにも責任の一端を——一端とまではいかないにしても、いわゆる超党派外交みたいな格好に持っていきたいということを言われても、それは無理じゃないか。  現に、鳩山さんが吉田総理を非難攻撃された一番の目標は、秘密独善外交吉田総理がやるということで非常に非難された。鳩山総理の行き方は、これはもうどこから見て毛秘密とは言えない。むしろあけっぱなし過ぎて困るくらいであります。独善ということは、考えようによっては、むしろ鳩山総理の方が独善じゃないか。専門家とか、閣内においてもあまり相談もされないで、ひょいひょい、一、二の進言者があるかもしれませんが、思いつきを発表されておる。これはむしろ鳩山さんの方が独善じゃないかという感じすら持つのでありまして、こういう行き方では、これはまことに失礼な言い分でありまするけれども、ついていけないという感じを私は持つのです。  総理はたびたび、やはり外交というものは超党派的にやらにゃいかぬ、超党派外交、国をあげての外交でなければいかぬということを自分で非常に言われるのでありますが、自分で超党派を言いながら、総理が今まで言ってこられた言動は、これはだれも危くてついていけないような言動をとっておられる。あなたは、総理のいわゆる超党派というのは、わしの言うことをみんな聞いてくれというような超党派でありますから……。総理大臣は、外交は超党派でやらにゃいかぬということを始終最初のころは言っておられたが、どういう超党派という考えであったのか、総理の信念をここで再び伺っておきたいと思います。
  118. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 各派の協力を符、そうして日ソの国交調整をしたいというように考えておる、これが超党派ということになるわけであります。そういう方向に進みたいと最初から思っていたのでありますけれども、超党派の外交調査会というものを作るような情勢に立ち至りませんものですから、次に考えたことは、懇談会というようなことで、ただ相談したいというようなことで各派に呼びかけたいと思ったのでありましたが、これもなかなか自由党の同意を得なくて、だんだんおくれてしまいまして、ついに私から各派を訪問して御注意を受けた方がいいと思いまして、御注意を受け、政府方針お話ししたいと思って、おそくなりましたけれども各派を訪問して、そうして党派を超越した御協力を得て日ソの国交調整をやりたいと思った次第であります。
  119. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 御答弁がありましたが、私が言うことはもう先ほどで尽きているのでありまして、ついていけないような言動をされて、超党派で責任を分ったような外交をやろうといってみたところで、これは私はやはりできないのじゃないかと思うので、外交懇談会か外交調査会、こういうことを聞いているのではないので、総理が超党派ということを唱えられるならば、もう少し超党派ができるような今後言動といいますか、やり方をとってもらいたいということを希望いたします。  それから本日の参議院会議におきまする同僚小瀧君に対する総理の御答弁は、私はこれはきわめて遺憾であったのでありまして、いろいろ気にいらないことがあったかもしれませんが、しかし昨日自由党等もいろいろ訪問されて、気持を一にしていきたいという気持で臨んでおられる総理が、小瀧議員の質問に対して答えられました様子は、私はこれはまことに遺憾であったと思うのでありますが、これはこれまでといたしまして、ただ今日の御答弁の中で、たとえば抑留者引揚であるとか、国連加入の話があったかどうかわかりませんが、こういう問題はこれは日ソ交渉の内容になるのじゃなしに、これは交渉の前提というか、前の問題であるというような意味のことをいろいろ話したかと思うのでありますが、それに対して総理は、戦争をした始末をするのはこれは当然であって、戦争関係の一切の始末をこの日ソ交渉でやるのだというような答弁だったのでありますが、私は抑留者の帰還というような問題は、これはもうポツダム宣言に基いて当然やらなければならぬことであります。いな、こういう宣言があろうがなかろうが、人道、正義の立場から、これはもう当然のことであります。  ところが、ソ連の今日までやってきたった様子というのは、御承知のように、ジュネーヴで俘虜特別委員会という毛のが毎年開かれるが、ここへ決して代表も来ない。それから幾ら日本から要求いたしましても、抑留者の名簿をほしい、せめて名簿だけでもほしい、生存、死亡、これらに対する調査だけでもほしいということを数年懇請し続けても、何らの音さたもない。特別委員会には代表も出てこない。資料も出さない。こういう態度を今までとっておった国でありまするから、こういう点に対しては、よほど慎重に考えて交渉に臨まなければならぬとわれわれ思うのでありまして、抑留者の引き揚げであるとか国連加入とか、こういう問題までも交渉のいろいろの、両方から出る材料の一つになって、おれの方ではこれだけ聞いたのだから、その代償にこれまで聞け、こういうことになりましたならば、これは私はなかなか日本にとってきわめて不利な問題であると思うのであります。こういう問題は、これはもう日ソ交渉のいわゆる正式交渉の条約といいまするか、その前の別な問題である、こういうふうにわれわれは強く考えておるのでありまするが、この点について、総理あるいは外務大臣から、もう一回はっきり一つ言っておいてもらいたい。
  120. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 未帰還者の釈放並びに帰還、この問題は私は、むろんこれは戦争の結果そういうことになったのではございますが、今日までお話通りに絶えず交渉をしてきた、要求をしてきた問題でございます。そうでございますから、これはむろん、この交渉があるとないとを問わず、これは成果を上げるように努力をしなければならぬ問題だと、こう思っておるわけでございます。しかしながら、交渉がある以上は、その機会にこの問題も極力実現をはかるように、まっ先にこれを進める努力をする、こういうことは私はやるべき問題だと、こう思っております。
  121. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 この問題は、これはもう条約とかなんとかいうことを離れた人道、正義上の、抑留者の帰還というのは当然な問題でありますから、こういうことを交渉のいろいろの材料に、取引の材料にこれを使われるというようなことは、断じてないように、この点を強く私は申し入れておきたいと思います。  それから、いずれ領土問題等はこれはいろいろ議題となって論議されると思うのでありますが、これはよほど断固としてやり遂げる確信を持って臨んでもらわなければ、途中でうやむやになったというような場合には、これはかえって一つの既成事実みたいになりまして、非常に一そう不利なことになるのではないかと思います。この領土の問題については断固たる決意を持って、何年かかろうと、あくまで解決するまでやり遂げるつもりであるのかどうかということについて、これは一つ総理から承わっておきたいと思います。
  122. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 辛抱強く、極力尽力をするつもりでございます。
  123. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 外務大臣に伺っておきたいと思うのでありますが、途中でこれが変なこと、うやむやになるというようなことになった際には、かえって既成事実として不利なことになるのじゃないかということも懸念されるのでありますが、外交上の問題に非常に通じておられる外務大臣として、そういう点はどういうふうにお考えになっておりますか。
  124. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 交渉を始めました以上は、要求を十分貫徹するために極力、腰くだけにならぬように進んでいきたいと、こう考えております。
  125. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 最後に……。極力という言葉では私はまだ不満足で、断固あくまでやるのだという気持でなければ、極力じゃ、これは極力やったがやり得なかったということはあるが、断固邁進するのだ、日本の国のある限り邁進するのだというくらいの確信を一つ、ここでもう一回述べておいていただきたいと思います。  最後に、もう一つ質問といたしまして、ヨーロッパの事例から見ましても、オーストリアの中立、それからソ連はドイツの中立化をいろいろと考えてやっておるようでありますが、これはきょうの議場でも論議された問題でありますが、いろいろ多くのえさを持ってきて日本の世論を攪乱して、そうしてこの日本の中立化ということの野望を遂げようとするのじゃないかということを、——、これは全然懸念されないことじゃないと思う。この点は最も注意をしてもらわなきゃならぬ点でありますが、今の極力でない、断固だということと、最後のこの中立化というような問題について、これは本会議で大体総理等からもそういう答弁があったので、いいのでありますが、重ねて、こういうことに対しては万全の外交交渉上の措置をとっているということを、外務大臣から一つ……。
  126. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 交渉の問題、わが方の主張を貫徹するために極力、——先ほど申し上げましたが、それが工合が悪ければ、これはあらゆる努力をいたすことに、(「弱い弱い」と呼ぶ者あり)十分にやることに……。断固というのは、何か意味が特にあるならばですが……。
  127. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 これは不退転という意味です。
  128. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私も、気持は断固でございますが、まあ十分にやります。そうして日本の地位、立場は十分にする決心を持っております。今中立のお話があったので、これをついでに申し上げておきます。
  129. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 衆議院の本予算の審議の状況を見ますると、修正あるいは予算組みかえの可能性が非常に濃厚になってきているように見えるのでありますが、万一予算の修正あるいは組みかえというようなことに相なりましたる場合には、この暫定予算をいかに措置せられるかということを、御質問の前提として、まず総理から伺っておきたいと思います。
  130. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) まあ、われわれは政治の目的が独立の完成にあると考えておりますので、独立の完成をするのにはどういうことを考えておるかといえば、占領中に作られたところの諸法令は検討して、改正すべきものは改正していった方がいいというような考え方を持っております。
  131. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 さようなことを私は聞いているのじゃないのであります。(「変だぞ」「聞いていなきゃだめだな」と呼ぶ者あり)まず質問自体の、全体、前後その他の関係がありまするから、まず前提として最初に伺っておきたいと思う一点を、特に今質問したのです。(「よく聞きなさいよ」と呼ぶ者あり)それは、衆議院の本予算の審議の状況を見ますると、四、五月分の暫定予算のときに比べて、はるかに予算修正なりあるいは予算組みかえの可能性が濃厚になっておるということは、現実の事実であります。従って、さようなことがいよいよ実現しましたら、あるいはしないと総理は言われるかもしれぬですが、万一にもそういうことが実現したら、この暫定予算をどういうように措置せられようと思っておるかということを、まず聞いておきたいと思うのであります。これは前に通告しておらぬでも、この程度のことは伺ってもいいだろうと思います。
  132. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は、三十年度の予算は六月中には通るものと思っております。それでありまするから、今回の暫定予算が通って、三十年度の予算が通れば、当分の間は政局は安定していくと考えております。
  133. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 きわめて総理は楽観せられておるようでありますが、まあしかしこれ以上ここで押し問答をしておっても始まらぬと思いますから、そういう前提のもとに立って、基本的な問題に触れていくことにいたします。  その第一は、第一次鳩山内閣のときに総理は、その施政方針演説におきまして、占領下において制定せられた諸法令あるいは諸制度についてはわが国の国情に即した改善をするということを言っておられるのでありまするが、今なおこれを真剣に考えられておるかどうか。一つや二つのことでなく、真剣に考えられておるかどうかということを、まず確めたいのであります。
  134. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は、憲法を初めその他の法令についても、占領中にできたものについては、真剣に検討していくべきものだと考えております。
  135. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 それでは、まず三つのことを具体的な問題として伺いたいのでありますが、一つは国家公安委員会あるいは国鉄の経営委員会等、ああいう委員会の行き方というものは、これまさに占領時代の遺物であります。しこうして、それは日本の国情に即しておらぬ。従って非常なむだがある。国鉄にあれだけの不祥事が続発しましても、一体、国鉄の経営委員会というものの責任はどうなるか。動いておるのか、何をしておるのか。全然無用の長物であります。しかも、これは今申す通り、占領時代の遺物であって、これこそ総理が施政方針演説において言われておるごとく、国情に即するような改善をせられるということが、国情本位に考えても、また経費の節約から考えても、能率の向上から考えても、当然だと思うのでありますが、特に国家公安委員会、また国鉄経営委員会、この二つについて、率直なる御意見を伺いたいと思います。総理から御答弁をお願いいたします。
  136. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 国家公安委員会につきましては、先般警察法の改正がありまして、その性格が変更せられ、今後の警察制度運営について、必要かつ適当と思われる方向に整えた次第であって、改正後なお日が今日はまだ浅いのでありますから、にわかに、その適否を論ずべきじゃないと考えております。今後の運営の状況を見ながら検討を加えていきたいと考えております。  国鉄の経営委員会につきましては、先般内閣に設けられました公共企業体合理化審議会からの答申もあったので、その趣旨を尊重いたしまして、それぞれ主管大臣に研究をさしておる段階でありますから、その結果を待ってから、適当な措置をとりたいと考えております。
  137. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 それでは第二の具体的な問題といたしまして、これも占領下の遺物でありますが、住宅金融公庫、あるいは国民金融公庫、あるいは中小企業金融公庫、今日金融機関は公務員によって、しかも予算によって縛られながら金融をやる、かような行き方というものは、金融国営の行き方でありまして、これもまた日本の国情には合わない。政府の資金なるがゆえに、これが公庫でなければならないということは、これはアメリカ式の考えであります。金融のごときものは、民主的な行き方をしなければいかぬ。従ってこれについては、半官半民の弾力性のある行き方の方がいいというふうに、総理はお考えになりませんか。この点を伺いたいのであります。
  138. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) この点については、大蔵大臣から答弁してもらいます。
  139. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 基本問題ですから、一応総理からお答えをしてもらって、それから大蔵大臣に。
  140. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私はよくわかりませんから。
  141. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは私は、将来はお説のような考え方がいいのじゃないかと、私も思っております。ただ何さま、敗戦という、ああいうことで、終戦後の日本の経済の状況から見ますと、やはりああいうふうな金庫の、政府資金を全部入れて、そうしてまあ特別に中小企業に資金を供給する、ああいう形が今のところは私はいいと、こういうふうに考えております。
  142. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 今のところいいという意味は、私はわからぬのでありますが、占領下においては、あるいはアメリカ式の行き方をしなければならぬという、やむを得なかった事情もあるでありましょうけれども、今日、独立国になった以上は、ただいま大蔵大臣の言われまする通り、将来やっていいというようなものなら、今やれぬということはないと思う。民主的な金融をやるには、民主的な行き方のし得るような金融機関に改めるべきだ。ああいう公庫を廃して出直すべきだと考えるのでありますが、いかがでしょうか。
  143. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは理論と、実際考えても、そうはいかないのでありまして、結局これは蓄積された資金の量とか金利の問題、あるいはこの資金を利用する相手方が、今日どういう状況にあるか、こういうようなことを総合して考えなければなりませんが、特に今日の日本の中小企業というものは、私は弱いと思っております。ですからやはり、ああいう機関で国家が比較的安い金利を適切に供給するという道を持っておることはいいと思う。そうしないと、これは今、民間に移すと、資金コストはどうしても上ってくるし、そうして今日の金融機関ではなかなか、むろん公共性に目ざめてやっておるにしても、中小企業の金融というものはなかなかむずかしゅうございますから、うまくいかないだろう、こういうふうに考えております。
  144. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 それに関連いたしまして質問いたしますが、中小企業対策の根幹というものは組織にある、組合化を推進していかなければならぬということにつきましては、政府もしばしば言っておられまするし、また経済六カ年計画の中にもうたってるのでありますが、この点は大蔵大臣はお認めになるでありましょうか。
  145. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私は特にさように思っております。
  146. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 これは通産大臣がおられるとあわせて質問したいのでありますけれども、通産大臣がおられないものでありますから、大蔵大臣にのみ御質問いたしますが、組合の組織化を中小企業対策の根幹として認めるということになりますと、それに沿った施策が必要だと思うのでありますが、現実に、ただいま組合を作り、組合本位で金融を受けよう、しこうして組合専属の金融機関からこれを受けようということになりますと、金利が一番高い、組合を作ったら損だというようなことになっておるのであります。しこうして一面、中小企業金融公庫等に対して、政府資金を流さなければならぬと言われることは、一応肯定するとしますと、これは政府のただの金をぶち込むのでありますから、全く資金コストはゼロであります。ゼロの金によってこれをじりじりやっていくということになりますと、この方は個人なり、あるいは会社そのままでも金が借りられる。一方、組合によって合理化しよう、健全化しようとして、組織化の線を歩んでいくと、高い金を借りなければならぬ。これで一体、組織化を推進しようという国策に沿っておられるのかどうか。ここに根本問題があると思うのでありますが、この際、その点について伺いたいと思います。
  147. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これはこういうようにお考え願いたいのでございます。たとえば具体的の例で申し上げますと、商工組合中央金庫ということになりますと、これは民間の金融。そうすると、この商工組合中央金庫の金利は高い。一方、中小企業金融公庫の金利は安いというようなことになると思うのですが、この中小企業金融公庫とか、国民金融公庫というものは、これは民間の金融機関が融資をこれと競合して競争することは悪いので、民間のそういう金融機関が融資を渋るような、あるいは融資を困難とするような向きに、こういう金庫から金を出す。従って特別に比較的金利が安いということもあります。しかし原則的には私は、商工組合中央金庫等の金利はやはり下げていくように、むろん経理の問題もありますが、そういう点と関連いたしまして、やはりこの際下げていきたい、かように考えております。
  148. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 ただいま他の金融機関から貸せられないようなものに、中小企業金融公庫が貸せばいいということでありますけれども、これは実情からいえば、どこでも貸してくれる、また金利の安いところへいこうということに、もう当然なるのでありまして、そういう点で組合を最も作らさなければならぬ国策でありながら、組合を作らぬでいこうという傾向がはっきり出てくると思うのであります。この点については、組合を破壊に導きつつある、組合制度を崩壊に導きつつある。ことに最近の中小企業金融公庫はさらに直接貸しまでやろう、こういうことになりますると、いよいよもって中小企業は脆弱な個人企業このままで何とか国家の救済金融に訴えて行こう、組織化の線を、合理化の線を歩むという、そういう行き方をむざんに砕いて行くという行き方になっておるのでありまして、この点について、根本的なる対策を何かお考えならばこの際伺いたいのであります。
  149. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。ごもっともなことであると思うのでありますが、これについては私今二つのことを具体的に考えております。  一つはこの中小企業金融公庫の資金運営について、商工組合中央金庫と運営の面で連絡をとらせようと考えております。  もう一つの具体的なことは、こういうふうな政府機関でない一般民間の金融機関が金利を安く相手に貸すためには、どうしても資金量がふえなくてはならぬ、言いかえればなお具体的に言えば商工組合中央金庫の資金の面についてふやすことができるか、こういうふうなことを私は考えて今回特に商工組合中央金庫には十億円の資本出資をいたしたわけであります。この資本出資によりましておそらく民間から私はまあ五億ぐらいなまた資本出資を可能ならしめるだろう、これをもとにして相当の商工組合の債券を発行しよう、こういうふうにしてこの資金のボリュームをふやして行く、同時に今日一般に金融の情勢が金利低下をしておりますので、今後の債券発行者の金利負担も徐々に逓減の途をとって行く、こういうふうに一挙には行きませんが、そういうふうにおのおのの分野を守りつつ、運営の連絡をはかりつつ全体としてうまく行くようにというのが私の考えであります。
  150. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 そうすれば債券引き受け金利の引き下げということは具体化するというふうに考えてよろしゅうございましょうか。
  151. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) さように存じます。
  152. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 それと相並んで、これはまた総理に基本問題ですから伺わなきゃならぬのでありますが、またわからぬと言ってお逃げになられるかもしれませんが、昔は預金部資金というものがあったことは総理も戦前派の大政治家として御承知だと思います。この預金部資金は郵便局から吸い上げた金、これを低利資金として適当なる金融機関に低利資金で貸し付ける、しこうしてコストの安い金を零細なる業界に還元した、要するに郵便局から吸い上げた金であるがゆえにまた零細なる方面に還元するという行き方を戦前はやっておったのであります。預金部資金の低利資金運用制度、御記憶にあろうと思いますが、これで相当効果を発揮しておったのであります。ところがこれがやはり占領下におきまして、アメリカ式の金融財政方式をとるということから預金部資金、今の運用部資金というものを低利資金で関係金融機関に出すということをとめられたのであります。そうしてみすみす高い金で関係の金融機関に出す、しこうして業界の方へより一層高いコストでやる、こういう状態になっておるのであります。きわめて不合理であると思うのであります。かようなこともやはりこの前施政方針演説でわれたごとく、国情に即して、日本の国情から見ていいと思うものは独立した以上もとの制度に復活さすべきだというふうにお考えにはなりませんか。
  153. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私よりは大蔵大臣の答弁の方が適切だと思いますから一つ御了解願いたいと思います。
  154. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 全く同感でありまして、なるべく安い金を豊富に貸したいと念願しております。ただ御承知のように戦後におきましては郵便貯金のコストが上りまして、自然この運用部資金もある程度の金利で貸さないと赤が出る、こういうふうな関係もありまして、今後こういう点をできるだけ是正をして、決してこの資金全部資金で金利をかせごう、こういうふうなことは考えをいたしておりません。
  155. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 ところが資金運用部資金で関係金融機関に出しまする場合には、先ほど申す日本実情に即しておらぬ、公庫に対しては貸付を認めておりまするけれども、しからざる半官半民のごとき金融機関に対しては債券引き受け、日歩で二銭三厘にもなるような高い金利を債券引き受けという形で政府自身が高利をかせがなければ承知しない、そういう行き方になっておるのが問題だということを指摘しておるのであります。何ゆえに昔のような資金運用部資金、もとの預金部資金を低利でそのまま貸し付けの道を復活しないか、こういう点を伺っておるのであります。
  156. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 先ほど申しましたように郵便貯金あたりのコストがなかなか今日高くなっております。ですから預金部資金もある程度同じような金利もありますが、また安く出しておる金利も一面ございまして、これは平均してみなければならぬ、こういうことであります。結局資金部の集める資金の費用といいますか、このコストをまず下げる、これは一般の大勢と同じように下って行く、そうしてそのコストでカバーするようなそれに若干のこれは何がないと将来のやはり危険もありますから、それは若干上回るという程度で今後はやり得るのではなかろうか。これは具体的な実際問題でありまするから、そろばんをはじいた上で十分検討を加えてみたいと思います。
  157. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 それに関連しまして指定預金を引き揚げようという問題が起きておったようでありますが、指定預金を引き揚げる御意思があるかないか、この点をお伺いいたします。
  158. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 指定預金につきましてはこの政府の金が財政経済の中に入って、そうして引き揚げたり出されたりすることは私はそう好ましくないと思う。ただ民間資金が不足している結果そういうふうな操作を従来必要ならしめておりますし、また今後その価値はあると思います。従いまして今日すぐ引き揚げるというふうなことは考えません。しかし今後資本の蓄積が民間にできまして、金利も安くなるし、十分金を必要とする人が借りるというような情勢が樹立されればこれはまた考えなければならぬ。無理をして引き揚げるということは考えておりません。
  159. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 今すぐは引き揚げないということをはっきり明言せられたのでありますが、その点はそれでいいと思いますが、将来引き揚げられるというような場合には代案を、合理的な代案をお考えになる必要があると思うのでありますが、これについてどういう御構想を持っておられるか。
  160. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えいたします。これは引き揚げる対象とそのときの経済的な状況を勘案しないと原則的にかれこれ申し上げることもないと思います。しかしそのときに引き揚げたことによって著しい影響を受けないということを十分考えられる、そういうふうなときに引き揚げる、こういうふうに考えます。
  161. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 指定預金というような浮動的な不安定な資金であるがゆえに問題になってくるのだと思うのでありまして、これは先ほど申しました郵便局から吸い上げた預金全部資金、今の資金運用部資金というものに集合いたして、そうしてそれから関係金融機関に、零細金融機関にこれを低利で貸し付けて行く、具体的にいうならば資金運用部資金法を改正して直接貸しの道を開くということが一般関係金融機関の資金コストを引き下げることにも適切だし、また問題の指定預金の代案としても合理的なものだと、また昔やっておったことでありまするから、独立の今日最もそれが適切なる方法だということになると思うのであります。これは過去の実績から見てそうなると思う。この点はいかがでありますか。
  162. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今のお話の点は十分検討いたすつもりであります。
  163. 館哲二

    委員長館哲二君) 豊田君に申し上げますが、経済審議庁長官はちょっとフィリピン代表と会見のために間もなく立たれるので、ちょっと時間が抜けます。それから通商産業大臣は今、先ほど申し上げましたようにやむを得ない用事で出ておられまして、その問題についての質問は明日に留保されまして、そのほかに移っていただきたいと思います。
  164. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 それでは経済審議庁関係もあとに……そうなりますと相互関連があるので、なかなか質問ができなくなるのでありますが……。
  165. 館哲二

    委員長館哲二君) もう少しはいいという話ですから……。
  166. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 それではもう一つだけ総理質問をいたしまして、経済六カ年計画の方へ移ることといたします。  昨年、アイゼンハワー大統領の演説の中に、対日援助を継続し、また日本に中共貿易を認めるのではなかったならば、かえって日本の思想を悪化せしめるということを言っておるのであります。ところが最近の模様を見ますると、中共貿易に関係をする商社に対しては、米国側から圧迫が加えられておるというようなことが伝えられております。さらにまた中国から輸入した豚毛を加工したブラシは輸入制限を受ける、あるいは柞蚕糸を加工した織物の輸入制限も受けておるというような事実が出てきておるのであります。かつては中共貿易を日本に認めることこそ、かえって日本の思想を安定せしめることになるのじゃないかということであったにかかわらず、最近の動きは逆になっておる。この両者の違い、いずれが本当のアメリカの最高首脳部の真意であるかないか。これを外交通の鳩山総理はどういうふうに読み切っておられるか、その点を伺いたいと思います。
  167. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私はアメリカ政府が、日本と中共との貿易を態度を変更してきたということについては存じませんが、とにかく日本が中共と貿易するということについて、アメリカは妨害する理由は少しもないと思います。日本が国際信義に反して貿易をするならばともかくも、国際信義に反しない中共との貿易をアメリカが妨害を、間接にも妨害するということは私は了解ができません。
  168. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 それは総理の推測でなく、私の希望しまするところは、総理が直接に場合によったらアメリカにも行かれて、そういう説もあるようでありますが、アメリカへも行かれて、そうしてアメリカの最高首脳部とほんとうに腹を打ち割って話し合いをせられ、しこうして今総理が推測せられておるごとき結果であるならば、そうびくびくしないで、安んじて中共貿易をやるという線に向うべく御努力になるという御意向はありませんか。
  169. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は中共と日本との貿易がだんだんと増進して行くように協力は惜しまないつもりでおりますから、もしもそういうような態度でアメリカが出てくるならば、アメリカにはむろん、どういう手づるをもってするかは別として、アメリカに対しては日本の事情をよく訴えて、日本の中共貿易が増進して行くように協力をしたいと考えております。
  170. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 それでは総理に重ねて要望するのでありますが、直接向うへ行かれて、ほんとうに胸襟を開き合って語り合う、私は十分その必要があり、価値もあることだと思いますけれども、もしもそれが不可能ならば、それにかわるようなはっきりした行き方をこの際おとりになる意思があるかどうか、その点を伺っておきたいのであります。
  171. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 御意見は尊重して決心いたしたいと思います。
  172. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 これも基本問題について一応総理に伺っておきたいのでありますが、日本の人口が非常に過剰であることは言うまでもないのであります。特に農村人口が過剰である。農村においては二、三男対策に一番今日困っておる。農家はふところ工合がよくなって、地方大学は濫設せられ、息子はみんな大学出になったけれども、その就職先がない、これが現状であります。で、今日農家の経営単位を見ますると、ざっと六百万ある。ところが商工業の経営単位を見ますると、これは経営単位としての数でありますが、約三百万あります。しこうして農業の経営単位の半分しか商工業の経営単位としてはない。従って農業人口のわが国総人口に占める割合というものは非常に多い。これは今後経済六カ年計画で考えて行くというような計画的な考え方をして行くならば、当然農業人口から商工人口に移動さして行くような政策をとって行かなければいかぬ、またそれを裏づけするような商工政策というものをとって行かなければいかぬと思うのでありますが、この点について総理はどういうお考えを持っておられますか。
  173. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 人口問題の解決方法としてはいろいろな道があると思いますが、具体的にこれは審議庁長官から答弁をいたさせます。
  174. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。全く同感でございまして、現在の農業におさめておりまする人口は四五%に当っております。で、商業のほうには三二%になっておりますが、これを六年後に農業に収容いたしまする人口を約四一%にいたしたい、そうして商業の方には三四・四%と、こういうふうに持って行きたい、こういう所存でございます。
  175. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 経済六カ年計画の中に、商業サービス部門へ失業者を吸収するということを書いておられるのでありますが、これは具体的にどの程度の人数を持って行こうというふうに見ておられるのでありますか。
  176. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 大体にこの六カ年間に労働可能の人口の増加が四百三十二万八千四百になるわけでありますが、その中で、農業に持って行きますものはほとんどもう変りませんですが、商業の方には現在におきまして、二十八年度では千二百五十四万四千でございますが、それを千四百八十九万二千に持って行きたい、こういうふうに考えるのでございます。
  177. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 増加は幾らになりますか。
  178. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 増加は約一八%、一八・七%でございます。農業の方は先ほど申しました通りに一〇〇%、ちっとも増加いたしておりません。
  179. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 現在この商業部門等の、中小企業等の状態を見ますると、自分らが食って行くだけでも容易なことじゃない。そこへ相当他の部門から流れ込んでくる。これはしかし先ほども申しました通り、人口の配分調整をやるという国策からは当然必要なことだと思うのですが、しかし、それならそれなりの商工関係にもっと重点をおいた政策というものをやらなかったならば私は不可能だ、言うべくして行われない。それが今回の経済六カ年計画には裏づけとしてあるのかどうか、具体的に指示してもらいたいのであります。
  180. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 大体にお幸まして、この農業生産の増加率というものは六年間にはあまり多くを期待いたしておりません。しかし、これを数時で申し上げますというと、農林水産総合計いたしまして一〇・一%の増加でございます。これは農業の方におきますというと、九・八%でございます。それから畜産の方にいたしますというと二五%ふやしたい、こういう状態でございまして、平均いたしまして、農林水産の方には一〇・一%でございますが、鉱工業の生産におきましては、三二%半になっております。そういうふうな工合で鉱工業の生産を三二%ふやしますから、大体において鉱工業の方に大多数の人口を収容いたしたい。従いまして、輸出も増加いたします。輸出は大体八八%増加する考えでございます、輸出のみを増加する、そういうことでサービス部門の方に人口を吸収いたしたい、こういうことでございます。
  181. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 結論を希望としてさように持っておられるということはわかりますけれども、今のままの商工業に対する政策、あるいは中小企業に対する政策、商工部門というと中小企業関係が多いのでありますが、これに対してあの程度の政策で行っておったなら、むしろ商工部門からは人を他に送り出さなければなり立たん。戦前の企業整備のようなことをやらなければいかぬ。現に石炭関係についても石炭企業合理化法案を出しているような状態であります。今言われるのとは逆の結果になると思います。その点をどういうふうに見ておられるか、私はもう全然同感ができぬのでありますが、いかがでありますか。
  182. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 全体の生産を人口よりも非常にふやしたい、ただいま申し上げました通り、三十何パーセントふやしたいということになっているわけでありますから、自然それだけのものを収容いたすというふうになるのであります。それで同時に輸出入もふえますから、その方面にも人がふえるというふうな計算でございます。
  183. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 計算であるとか、あるいはこういうふうな数字であるとかいうことは繰り返し伺うのでありまするけれども、今の政策を修正して、かくのごとく政策を変えて行くのだ、私は今の政策というものは、これは日本は農業中心の政策が行われていると思うのであります、意図しているかどうかは別としまして……。ところがこういう状態で行ったならば、今、経済審議庁長官が言われるような結果には絶対にならぬ。むしろ逆になり、ますます商工人口の方は減るようなことになってくる。従ってここで農業中心の政策から商工中心の政策に行くのだ、予算についてもそうするのだということを、総理なりからはっきり言われないと私はつじつまが合わぬと思います、その点どうですか。
  184. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。農業政策におきましても輸出入のバランスを取るということが非常に大切でありますから、おもな輸入品は何だといえば食糧であります。従いまして、食糧の増産につきましては、輸出入のバランスを取る上においてこれは等閑に附することはできません。その方面にはやっております。しかし農業の生産の現状を見ますると、多くはでき上った原産物をそのまま処理するというふうなプリミティブなことが多くありますから、この農業生産の上で農産加工、畜産におきましても畜産加工をする、水産におきましても水産加工をする、こういう方面に重点を置きまして、それは大工業ではありません、大体は中小工業になりますが、それに対しては先ほど大蔵大臣が申しましたごとく、組合組織をもってこの育成をやり、同時にこれの指導をし、更に輸出品と現在なっておりますところの農産物の輸出等も増進いたしたいという所存でございます。
  185. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 輸出振興については、ただいまもだいぶ経済審議庁長官はやかましく言われ、通産大臣も、おられませんけれども、通産省としても言われ、また大蔵省としても言われ、総理みずからも言われる。輸出振興は今や現政府でも一枚看板にせられているのでありますが、その輸出振興費というものが重要経費の中に入っておりますか、どうでありますか、これをはっきり伺いたいのであります。
  186. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) まず輸出振興のために、輸出のための金融をよくするために輸出入銀行の資金を非常によけいふやしているわけであります。私今記憶ありませんけれども、来年の予算におきましても本年よりもずっとふやしている。また市場の開拓及び見本市を作るとかいう方面におきましても特別の支出をいたしているわけであります。
  187. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 ふえたといってもわずかに八億であります。このわずかに八億で一体日本の輸出振興ができるというふうに思いになっているのでありますか。やりようはやりようだというかも知れませんが、われわれは予算をもって判断するほかないのであります。わずかに八億で輸出振興ができるというふうに思うところ自身に、私は日本の産業政策というものは絶対に商工政策中心になっておらぬ。しこうして商工振興に農業振興からさらに移動して行こう、これは木によって魚を求むるがごときものであります。この点どうでありますか。
  188. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 直接輸出振興費としては八億、それだけでありますが、輸出入銀行の資金といたしまして二百億以上増加していると存じております。
  189. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 重要経費の欄が予算の説明書等の中にあるのは御承知の通りでありますが、重要経費の中に輸出振興費というものは出ておらぬ。重要経費の中に入っておらずして、重要なる政策としてこれをやっているということは私は言えないと思うのでありますが、この点は総理、大蔵大臣、経審長官に伺いたいのであります。
  190. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。この輸出振興に関しましては、これはもう各般の施策を総合的にやらなくては輸出振興ができぬことはもとよりであります。従いまして、輸出振興につきましては、税制の上にも今回やはり減税になるような措置をとっております。また資金の、先ほど経審長官お話しになりましたように、財政投融資についても特に資金の配布を直接輸出振興に役立つところにたくさん持って行きます。なお何といっても輸出振興は私は合理化である、産業の合理化に開発銀行等を通じて資金を重点的に配布をいたしております。それからまた今申しました輸出振興八億というのは、おそらく直接海外にどうするとかいうような意味合いの、例えば見本市がどうであるとか、いろいろそういうふうな関係の費用であると思うのであります。単にその費用の高ばかりをもって輸出振興が一体達せられるとも思いません。なおそういう金が多ければ多いほど、それは私はむろんいいと思いますが、今日の財政状態からそうも行かないということも御了承願いたいと思います。
  191. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 それでは、輸出振興費というものは総合的に幾らになっているというふうに見ておられるのでありますか。
  192. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 数字でございますから、間違うといけませんので、政府委員から……。
  193. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 直接の輸出振興費はお話がございますように八億九千七百万円でございます。これは直接輸出面に関連いたしまして、対外宣伝であるとか、あるいは見本市の開催、または参加であるとか、あるいは海外市場調査の経費であるとか、あるいは貿易斡旋所の経費であるとか、重機械相談室の刷新強化のための経費であるとか、あるいは中小企業輸出振興のための諸般の施策、あるいは生糸の宣伝費、そういった直接輸出の関係の経費でございます。輸出振興は、これは予算の金額が多いから輸出が振興するというわけでも実はないわけでございまして、むしろ産業の実態、これの問題があります。産業の合理化を促進し、コストを下げる、この面はたとえば開発銀行の融資の面で合理化資金を重点的に出す、そういう面に期待しなくちゃならぬと思います。あるいはまた直接輸出の面でも金融の面、輸出入銀行の資金の拡充、先ほどお話が出ましたように、今年は飛躍的に拡充しているわけでありまして、あらゆる施策を重点的に輸出の面に施行する。ただ国の経費をふやすというだけでなくて、そういう総合的な施策に重点をおいている、さように御了承をいただきたいと思います。予算分類といたしまして、重要事項である分類表というものを掲げておりますが、これはごらんになります通り、金額の比較的大きなものだけをそこに特記いたしているわけでありまして、それ以外に重要施策がないわけではないおけであります。たとえば農林関係のいろいろな補助金等のごときも雑件の中で処理いたしております。輸出振興費も雑件の中に入っておりますが、これは特に軽視しているということではないわけでございまして、金額が少いから特記はいたしていない、さように御了承いただきたいと思います。
  194. 館哲二

    委員長館哲二君) 豊田君に申し上げますが、適当なところで一つ打ち切りを願いまして、残りの時間は明日に一つお回し願いたいと思います。
  195. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 それじゃ今からそうしてもいいです。そのかわりあしたゆっくりやります。
  196. 館哲二

    委員長館哲二君) それではもう十二分残っておりますが、本日はこの程度で散会いたします。    午後六時一分散会