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1955-05-20 第22回国会 参議院 予算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十日(金曜日)    午後一時三十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     館  哲二君    理事           池田宇右衞門君            石原幹市郎君            西郷吉之助君            豊田 雅孝君            堀木 鎌三君    委員            秋山俊一郎君            伊能 芳雄君            植竹 春彦君            小野 義夫君            木村 守江君            左藤 義詮君            佐藤清一郎君            田中 啓一君            西岡 ハル君            堀  末治君            安井  謙君            吉田 萬次君            小林 政夫君            秋山 長造君            久保  等君            永岡 光治君            湯山  勇君            石坂 豊一君            武藤 常介君   政府委員    経済審議庁計画    部長      佐々木義武君    外務省国際協力    局長      河崎 一郎君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    文部大臣官房会    計課長     北岡 健二君    文部省調査局長 内藤誉三郎君    工業技術院長  駒形 作次君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十年度一般会計予算(内閣送  付、予備審査) ○昭和三十年度特別会計予算(内閣送  付、予備審査) ○昭和三十年度政府関係機関予算(内  閣送付、予備審査)   —————————————
  2. 館哲二

    委員長館哲二君) それではこれから委員会を開きます。  本日は文教対策について御審査をいただくことになっております。なお、引き続いて原子力問題についても御審査をいただきたいということになっております。  今週までの予定は立てておいたのですが、来週のことにつきまして、今まで審査ができなかったのは、建設省関係公共事業の問題、地方財政の問題、中小企業対策の問題があるのでありまして、これは来週の二十四日火曜日に、午前に中小企業対策の問題を審議し、午後地方財政の問題を御審査いただき、二十五日の午前には建設省関係公共事業の御審査をいただくということに一応きめておきたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 館哲二

    委員長館哲二君) それではそういうことで取り計らいまして、また改めて御通知は差し上げることにいたします。  それでは本日は文教対策の問題につきまして御審査をいただきます。文部省の方から説明を聞き取ることにいたします。内藤調査局長
  4. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) お手元に配布いたしました昭和三十年度概算要求額事項別表というのがございますが、それに従いまして御説明を申し上げたいと存じます。  本年度文教予算の総額は、一番最後ページに出ておりますように千二百三十一億円でありまして、これを前年度予算額千百九十一億円に比較いたしますと約四十億円の増加となっております。しかし前年度予算の中には義務教育費国庫負担金過年度分といたしまして八億二千八百万円が含まれておりますので、それは当然減にいたしますと、そのほかに災害の復旧費が前年度十三億ほど計上されておったのですが、本年度は七億円で一応完成することになっておりますので、両方合わせますと実質的には五十四億三千万円の増加となっておるのであります。このほかに松方コレクション建設費予算外契約一億円を加えますと約五十五億三千万円という増加でございます。さらに未決な事項といたしまして、学校給食助成につきましては、これは余剰農産物との関連において処理するということで話し合いがついておりますので、この関係が将来文部省予算に移しかえが行われると思うのであります。これは農林省の食管特別会計との関連でございます。  以下この別表に従いましておもな点を申し上げさしていただきたいと思います。  第一番目の義務教育の充実でございますが、前年度予算額が七百十億と出ておりますが、それが昭和三十年度要求額七百三十九億、その一番初めの義務教育費国庫負担制度の実施のところが七百八億二千八百万円、この八億二千八百万円というのが、昭和二十八年度負担金の清算した分が八億二千八百万円ですから、これは過年度支出として補正で計上いたしたのであります。当初予算は七百億となっておりまして、それに対しまして本年度要求額は七百三十七億でございます。この七百三十七億は、主としてこの昭和三十年度児童生徒が約七十七万人増加いたしますので、それに要する教員といたしまして一万二千五百人の増員を見込んでおるのであります。そのほかにこの義務教育費国庫負担制度は、各都道府県が出した実支出額の二分の一を負担するという法律の建前になっておりますが、ただし書きがございまして、ただし特別の事情あるときは政令をもって各都道府県負担金最高限度をきめることができるというのがございます。それで政令によって、実支出でなくて頭打ちになっておる府県が相当あるのでございます。その頭打ちになっておるのはどういう府県対象にするのかと申しますと東京大阪神奈川のように交付税交付金を一文ももらっていない、いわゆる交付金の不交付団体でございます。それから二番目は、比較的富裕団体と申しまして、これはそれ以外に約十四県ほどあるのですが、この県は、地方税収入交付税交付金とが半々になっておればいいのですが、半々より少しでも地方税収入が多い府県は比較的富裕県と申しまして、この県は全部政令頭打ちになっておるのであります。こういう県が全国で十七県ございまして、そのうち三県は東京大阪神奈川のように一文も交付金をもらっていない団体です。そこでこのたびは義務教育費国庫負担法の本来の趣旨である実支出の二分の一という趣旨を貫くために、東京大阪神奈川の三県だけを対象にいたしまして、自余の十四県につきましては実支出の二分の一負担にいたしたわけであります。その方の関係等もございまして、そこに約三十七億の増額が見込まれたわけであります。  それからそのほかに二番目の特殊教育振興でございますが、特殊教育振興のうち一番目の盲ろう児童就学奨励、これが前年度より二千五百万程度ふえておるのでございます。盲ろう児童就学奨励につきましては盲学校ろう学校児童は大体貧困でございますので、現在実施しておりますのは教科書を全員に無償でやっております。そのほか寄宿雑費を六割程度無償でやっておるわけでございます。それからそのほかに昼の給食は六割を無償でやっておる。本年予算増額いたしましたのは、寄宿舎におって朝と晩食事をしますので、朝と晩の食事を困っておる者に対して無償でいたしたいというのでここに増額をいたしたわけであります。特殊教育の点で特に申し上げておきたいのは、最後の四番目にございます特殊教育施設整備、これが千七百万ほど入っておりますが、これは身体不自由、精神薄弱の、いわゆる特殊な学校、私どもがいわゆる養護学校と申しますが、それの建築費補助でございます。具体的には東京大阪を考慮しておるのであります。  三番目のへき地教育振興でございますが、これもへき地教育振興法に基きまして先年来力を入れておるのですが、その中で本年特に考慮いたしましたのは、六番目のへき地小中学校教職員宿舎建築費補助、これが前年千万足らずでございましたのを二千四百五十三万六千円にこれを増額したのであります。これは教員の住宅を倍くらいに増加したい、倍と申しましても数は大体二百五、六十戸を予定しております。それは三分の一補助にいたしたわけであります。従来四分の一補助であったのを三分の一補助に引き上げたのであります。それからその次に、七番目にへき地公立小中学校施設整備、これが前年九千万程度でしたのが九千九百万、約千万円足らず増額したわけであります。これは小中学校集会室整備。その八番目にへき地手当増額で、カッコしてありますが、二千二百万円の増を見てあります。これはへき地先生方は現在非常に待遇が悪いのでございますので、できるだけ引き上げたいという趣旨からへき地手当というものが支給されております。で、一番へき地のところでは最高千二百円ぐらい出しておるのであります。へき地には五段階ほど段階がございまして、それぞれ単価が違うのでございますが、ここで申し上げたいのは単、複学級、いわゆる一年から六年まで全部一クラスで教えている単級学校、それから四学年までをまとめて教えている分が複式学級と申しますが、この複式と単級の手当を約三倍程度に引き上げた額であります。これは少し増額いたしたわけであります。  それから四番目の学校給食助成、これは前年よりは若干の増加で、約七百万程度増額になっておりますが、このうち施設整備費が五千万、これはだんだんと学校給食が普及いたして参りますが、そのためにはどうしても建物と設備を充実しなければならない、こういう観点から昨年から実施して参ったのであります。それから二番目の日本学校給食会補助、約一千百万円ほど計上されておりますが、これはこの給食事務をまあ政府代行機関のような形で給食会がいたしておるのであります。これは前年四百万足らずでありましたが、七百万ほどの増額をいたしましたのは、全額事務費を国で持つという考え方に基いたものであります。これは私どもとしては、特殊法人にいたして、政府の監督を強化して、学校給食をうまく運営していきたいということでございます。これは先ほど申しましたように、学校給食につきましてはまだ余剰農産物関係がはっきりいたしませんが、大体今まで私どもが把握しておりますところによりますと、千五百万ドルの、小麦がそのうち千二百万ドルと三百万ドルの綿花を無償贈与をされることになっておりますので、それと関連いたしまして、食管特別会計の方に従来、小麦の原麦の半額が政府補助になっておりますので、その関係で多少余裕が食管の方に出ると思うのでありまして、それとの関連において、さらに私ども考え方といたしましては、非常に貧乏な子供は生活保護法で救われますが、生活保護法対象になりませんが、公私の扶助を受けておるというような児童が約二十万ぐらいおりますので、これに無償給食を支給いたしたいと考えて、それの問題と、それからさらに給食設備増額をいたしたいと考えておりまして、この余剰農産物関係が明らかになりましたら、将来予算の移しかえを行う措置予算総則十八条に規定しておいたのであります。  それから次の二番目の、教育内容改善充実でございますが、一の教育内容刷新改善と申しますのは、これは主として占領下に作られたいろいろな教育内容上困る点もございますので、それを指導するところの学習指導要領の改訂と、それからそれに伴って教師の手引書等の改訂、さらにそれの趣旨徹底をはかるというような点から、前年度予算よりも額はわずかでありますが、増額をいたしたのであります。  それから次の二番目の産業教育振興につきましては、これは相当補助金整理で非常な大幅な整理を受けたのでありますが、大体二割程度の削減に食いとめたわけであります。この中では特に産業教育につきましては、高等学校設備費が、皆さん方のおかげで非常に充実して参りましたので、当初の計画は、基準の七割を目標にいたしまして、五カ年計画で完成するということでございましたので、昭和三十一年に一応七〇%までは完了するという点もございまして、この予算が相当きびしい節約を受けたわけでありますが、復活要求最後段階におきまして承認されて、大体二割程度節約にとどめたのであります。節約の話が出ましたが、原則として各省共通でございますが、一五%の事務費補助費節約を受けておりますので、特に重要なものにつきましては私ども節約率を低減するような方針で参ったのであります。  その次に申し上げます理科と学校図書館、これは大体一割程度節約にとどめた、一割五分のところを、特に重要だという点で一割にとどめたのであります。  それから、その次のページに入りまして、三の文教施設整備でございますが、それの一は、国立文教施設整備、これは前年よりも約三億ほど、二億九千二百万円の増になっておるのであります。主として今まで老朽校舎等国立では進んでおりませんので、戦災復旧老朽校舎の改築に重点を置いたわけであります。大体国立学校といたしましては、百億程度あれば何とか緊急整備ができますので、その四分の一程度を見込んだのであります。  それから二番目の公立文教施設整備は、そのカッコ書きの方が、文教施設整備予算に出る数字でございます。前年五十六億が五十四億九千万、約一億四千万の減になっております。これは一般的には公共事業は原則として一五%の節約を受けたのですが、特に学校につきましては七%の節約で話をまとめたわけですが、特にそのうち戦災復旧とか、あるいは危険校舎については、さらに不正常授業の解消、こういうもの、そのほかに特殊教育、こういう点は若干ではございますが、それぞれ増額したわけであります。  で、内の公立学校危険校舎改築は約八千五百万円の増になっておりますが、これは、このたびは特に高等学校国庫補助対象にするという考え方からこの増額を見たのであります。あとは大体ほぼ前年同額程度であります。  それから先ほど申しました(ト)の特殊教育でございますが、千七百四十八万二千円、これは新規に計上したのであります。特殊教育振興趣旨からでございます。  それから、その三の公立文教施設災害復旧でございますが、これが先ほど申し上げましたように、前年十二億七千五百万が本年は六億七千六百万で、一応完了することになっておりますので、約六億ほど当然減でございます。  それから四番目の学術振興でございますが、学術振興のうち、一の科学研究費拡充です。これは前年八億五千五百万円が、特に重要政策という点から十億五千万に、約二億の増額をしたわけでありますが、そのうち特に私ども増額いたしましたのは、科学研究費交付金関係を約五億円、それから最後の、七番目の、化学研究促進補助金、これを新たに一億五千万円見込んだのであります。七番目が新規の要求事項であります。特に資源の乏しいわが国におきまして、化学の力によって日本の産業あるいは経済の面に、生活の面における画期的な振興をはかろうという趣旨からでございます。  それから二番目の在外研究員派遣費六千万円、これは文部省予算におきまして、唯一の例外として削減を受けなかった経費であります。節約を免除したのであります。それから三番目の学術情報事業拡充、これは若干の節約を受けております。民間学術団体補助、これもほぼ前年同額程度であります。  五番目の、国際文化の交流、これが前年千八百万が、二千五百万、約七百万の増額になっておりますが、これは、このうち大きな経費は、二番目の外国人学生招致外国人を毎年三十人ぐらい呼んでおりますので、そのうち東南アジア関係が二十一万、そのほかの欧米各国が九名ほど招致しておるのですが、それの学年進行に伴う分であります。それから三番目の、在外教育学術文化担当官設置、これがいわゆる文化アタッシェと称せられるものですが、これは一名増員を認められたのですが、文部省予算定員から一名減にいたしまして、外務省に一名増をみたわけでありまして、そのかわり文部省経費を百万円減らして、外務省所管経費を一千万円ほど増額したのであります。これは文部省予算では現に三角印になっております。それ以外には大体前年同額程度でございます。  五番目の勤労青少年教育振興でございますが、一番目の定時制高校及び通信教育整備、これは先ほど申しました一五%の節約を、特に重要であるという点から一〇%程度にとどめたのであります。次の青年学級につきましても同様であります。  六番目の育英事業拡充、これは政府重点政策一つでございますが、(1)の日本育英会事業拡充で、前年三十八億七千九百万円が四十一億二千七百万円で、約二億五千万円の増額をみておるのであります。これは増額の大きな点は、従来大学については、二〇%に月額二千円支給貸与しておったのですが、これをそのうちさらに成績優秀で、経済的困難な者につきましては、そのうちの一割に限って二千五百円の道を開いておったのであります。ところがこれを三割に拡充いたしまして、三割を三千円に引き上げたのであります。ですから成績優秀で経済的に困難な者につきましては、今後できるだけアルバイトしないで、学業に専心できるような措置を講じたのであります。そのほかに、新しく大学院が生れましたので、大学院博士課程に就学する者につきましては、修士課程と同様に、月額一万円と六千円の二口を設けて貸与することにいたしたのであります。その経費、さらに定時制高等学校の従来の奨学費につきましては、総員の一%を支給しておったのですが、これを二%に引き上げたのであります。貸与率を二%に引き上げてする。そういう点でこれが増額をいたしたのであります。それからあとは若干の節約を受けた程度でございます。  七番目の私立学校助成でございますが、そのうち(1)の私立学校教職員共済組合事業費補助、これが千百七十万円増になっております。このうち、これは主として私立学校教職員共済組合は非常に事務が繁雑でありまして、事務量増加しておりますので、特に公立国家公務員の場合と違いまして相当複雑になっておりますので、その関係事務費の増をみたのであります。それから次に私立学校振興会出資金、これは前年五億の七億五千万、二億五千万の増額になっておるのであります。  ただいま私学共済の点で申し落しましたが、私学共済の中には従来恩給財団がありまして、その恩給財団に加入しているところの教職員につきまして、その給付額を引き上げる措置を講ずるように要求しておりましたが、この点につきましては私学振興会剰余金をもって充てるということで大蔵当局と了解がついておるのであります。  それから八番目の教育委員会運営指導、これは市町村教育委員会事務局の職員の研修費でございましたが、これが減になりましたのは、市町村の方の教育委員会研修計画が一応完了いたしましたので、都道府県の分だけをそこに三十四万程度計上したわけであります。  九番目の社会教育助成でございますが、これが前年度よりは相当増額されておりますのは、特に一番目の社会教育特別助成金、これを新しく創設いたしまして、一億二千万円計上したわけであります。この一億二千万円のうち五千万円が新生活運動に必要な経費として、あとの残りの七千万円が青少年活動促進する、こういう点で今いろいろと、特に放送、映画、あるいは読書指導、こういうような観点から青少年活動促進しようという経費でございます。この(1)が新しい経費でありまして、あとは大体前年同額程度、若干の節約を受けておる程度であります。このほかにフランス美術館につきましては債務負担行為といたしまして一億円の予算外契約を認められておるわけであります。  それから次に十番のユネスコ活動促進文化財保護事業の強化、ユネスコ国内委員会事業促進、これは大体前年回顧程度で、まあ若干の節約を受けたのであります。文化財保存事業費は約六千三百万ほどの減になっておりますが、このうち前年度約四千万円程度法隆寺建築費が計上されておったのですが、法隆寺が完成いたしましたので、それの減に伴いまして、あとは若干の節約を受けた程度でございます。  その他は雑件でございまして、雑件のうち教職員保健管理幼稚園教育振興広報活動文化功労者年金、大体前年同韻程度であります。広報活動増額いたしましたのは、これは従来文部広報市町村教育委員会まで配付しておったのですが、これを各小中学校高等学校まで、各学校まで配付するための経費でございます。  それから文化功労者年金につきましては、大体十名程度功労者としていたしたいという考えで、二百五十万円ふやしたわけであります。一人五十万円でございますから二百五十万円ですと五人ですが、このほかに現在五人ほど欠員がございますので、二百五十万円の増額をいたしますならば、今のところ十人程度文化功労者として年金を支給することができるということであります。  その他につきましては一応十二番目はその計算をしただけでございます。  十三の国立学校費、このうち国立学校の小計を見ていただきますと、前年二百九十八億が三百九億、十億六千九百万円の増額になっております。このうち特にふえましたのは、一つ学年進行等経常的経費の増によるものと、もう一つは特に科学振興関係でございます。この中に原子核研究所経費といたしまして二億五千万円が計上されております。それから文教施設の方に、建物の整備費として、原子核研究所について前年に引き続きまして約一億程度見込んでおるのであります。そのほかにロケットの研究とかあるいは大型構造物試験機とか、風洞とか、極低温の装置、地震研究所爆破装置、そういうような点や、さらに東大の理工学研究所航空部門の増設、あるいは応用微生物研究所拡充等経費、さらに東北大学排水溶液研究所トロポロイド化学部門の新設、そういうような科学振興に伴う経費がこの中に相当、約五億程度見込まれておるのであります。このほか国立学校につきましては、そのほかに学部の設置といたしまして、大阪大学に薬学部を分離独立するということ、あるいは弘前、佐賀両大学農学部設置する、神戸大学に法学部の夜間課程設置すること。あるいは県立大学国立移管としては、鹿児島大学の工学部と医学部を、それから香川大学農学部、これは香川県立農科大学農学部にしたわけであります。さらに短期大学設置では茨城大学工業短期大学、静岡大学には法経短期大学を県立から国立に移管する問題があるのであります。  学科の新設では京都大学に新しく航空学科設置すること。富山大学機械工業科、工学科、室蘭工業大学機械科、こういうような学部、学科等設置がこの中に含まれておるのであります。  以上で前年度予算千百九十一億に対しまして千二百三十一億、三十九億四千二百万円の増でございます。  以上簡単でございますが、文部省所管文教予算について申し上げた次第であります。
  5. 館哲二

    委員長館哲二君) 質疑がございましたら……。
  6. 秋山長造

    秋山長造君 国立大学のことをちょっとお伺いしたいと思います。全国にいろいろ大学があるのですが、国立大学がたくさんあるのです。その国立大学建設がまだほとんどこれは建設過程であって、完成しているところは少いのじゃないかと思う、新制大学は……。その国立大学建設費について、地方の県なり市町村なり地元負担と言いますか、地元寄付というものを建設費の中にはっきりと予定をして、そうして建設計画を立ててやっておられるだろうと思のです。そうなりますと、今地方財政がどこも非常に苦しい。そこで今度の国会でも地方財政再建促進特別措置法というような法律を出されるようです。それからまたそのほかにも地方財政法等の改正をやりまして、そうして国に対する地方団体寄付というものを押えようということを考えておる。それが通りますと、これは新制大学建設ということは一そうテムポが遅れてくるのではないか。またそれだけ文部省のほうでも、それによって出てきた穴を何とかしなければならぬという問題が出てくる、そういう問題はどうされるのかお伺いしたい。
  7. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) お話のように新制大学につきまして地方の公共団体寄付の問題が再建整備法等で問題になっていることは御承知の通りでございます。御趣旨については私どもも全く同感でございまして、国が措置すべきものを地方にお願いするのは、はなはだおもしろくないと思っております。しかしながらこの中にもいろいろと性質がございまして、県立から国立へ移管のものもございまして、当然県で建物設備措置するから国に移管してくれというような条件でされたものもございまして、この場合には、ある意味で経常費が浮きますので地方財政を救い得ると私どもも考えております。そういう約束されたもの、すでに約束されたものについては、私どもとしては除外していただきたい。今後につきましてはできるだけ国の予算増額していただきまして、地方に御迷惑のかからないような措置を講じていきたい、かように考えております。
  8. 秋山長造

    秋山長造君 具体的にそういう条件のついている場合はどのくらいあるのかをお伺いしたい。
  9. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは特に移管の分は全部ついております。というのは、移管の場合には施設を全部整備して移管するということになっておりますから、今までに県立からの移管のきまったものが相当ございます。それからそれ以外に、私ども昭和二十四年に新制大学設置するに際しまして、地元の寄付相当仰いでおりまして、これが継続的になっておりますので、大部分完了したところもございますし、まだ残っているところもございますが、もう一、二年ぐらいで全部終ると思います。その分はできるだけ寄付金禁止に例外として除外さしていただきたい。そういうふうなことで自治庁あるいは大蔵省とも交渉しているのであります。
  10. 秋山長造

    秋山長造君 それはいいですけれども、具体的に、たとえば県立から国立に移管された大学が幾らあるか。それからその場合に県のほうから国のほうに対してどれだけの金額の寄付金を約束しているのか、具体的な数字です。それからさらにその他の新制大学で、とにかくぜひ作ってもらいたいという誘致運動をやったその代償として今後何カ年間かにこれだけ寄付をするという約束をしておるわけです。県立から移管した以外に、そういう大学が幾つあって、どれだけの寄付総額になるのか、約束しているのは総額になるのかということが知りたいのです。
  11. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) その調べはございますが、今日手元に持っておりませんので、後刻お届けいたしたいと思いますが、原則といたしましては旧制大学以外のものはほとんど何らかの形で寄付をあおいでおると思っております。と申しますのは、移管のものが相当ございますし、そのほかに学部あるいは学科あるいは短期大学等の創設に当って、地元の要望が非常に強いので、これこれの額を出すからぜひ作ってほしいというような、私どもとしてはむしろ既設のものを充実したいという趣旨で参っておるのですが、そういうものが相当ございますので、まあそのお約束の分だけはやっていただきたい。そこで数字につきましては調べがございますが、今ちょっと手元にないのでお待ちいただきたいと思います。
  12. 館哲二

    委員長館哲二君) 後ほど出していただきます。
  13. 秋山長造

    秋山長造君 出していただくついでにもう少し詳しくですね、終戦後新制度が施行になってから以来の統計を、詳しいものを出していただきたい。お願いします。それでその統計の中には、たとえば地方が国の方と総額においてどれだけの約束をしておる。そして今日までにどれだけそれが履行されて、あと債務がどれだけ残っているかというようなところまで、詳しく何か表にでもして出して頂けませんか。
  14. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 承知いたしました。
  15. 湯山勇

    ○湯山勇君 義務教育充実のところでですね、本年度は七十七万の児童生徒増に対して教員を一万二千五百名、これはどういう基礎による計算でしょうか。
  16. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 先ほど申し上げましたように、東京大阪神奈川政令県でございますので、政令県につきましては、小学校は十二分の十三、中学校は九分の十三という学級数を推定いたしまして、ただいま申したような比率を乗じたのであります。それからその他の府県につきましては、実績をはじきまして、前年度の実績を考慮いたしまして七十七万の増加に対応するものではじきますと今申しました十二分の十三、あるいは九分の十三というのが大体実績でございますので、この増加学級に対する比率で計算したわけであります。
  17. 湯山勇

    ○湯山勇君 これは今の御説明では、実績を考慮してと言われましたけれども、本当に実績を考慮しておりますか。それを切り下げたりしませんか。
  18. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この点は完全に実績に基いて私どももそういう数字をはじき出したわけであります。各県別の表をとりまして、全国平均の実績でございます。
  19. 湯山勇

    ○湯山勇君 それはいつの実績ですか。
  20. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは最近の最も新しい実績でございます。
  21. 湯山勇

    ○湯山勇君 それはいつですか。
  22. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 統計でとっている資料は二十九年五月一日の統計が一番新しい数字でございますので、その数字を基礎にいたしました。
  23. 湯山勇

    ○湯山勇君 これはまたもう少し詳しく聞きたいと思いますけれども、恐らく今おっしゃったのと違うと思います。というのは私この前の暫定予算のときにいろいろお聞きしたのですけれども、そのときのお話では、自治庁の方で大体無理しながら一万二千名程度ふえているのじゃないかという推定の発表がありました。しかしながら実際に計算してみますと、政令による不交付県をのけましても、こういうことではなくて、もっとふえなければならないはずです。そのことにつきましては、昨年の基準は基準を切り下げて、しかも九十何万に対して約二万の増であったわけです。今年も基準を切り下げておりますけれども、去年は基準だけ充足されていないのですから、その割合でこの基準を切り下げて計算しましても、全国で一万二千五百の増で、これでぴったりいっておるということにはなっていないことはたしかですから、もう一ぺん一つ御検討願いたい。  それから次に教材費ほどうなっておりますか。
  24. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 教員の増につきまして、前年に約百万人に対して二万人を見込みましたことも事実でございますが、実際の充足をみますと約一万五千でございまして、そこで全国的に各県を洗いまして平均いたしますと、先ほど申した十二分の十三、中学校の場合には九分の十三というのが全国平均になっておりますので、私どもはその数字をとったわけであります。  それから今お話の点で、自治庁の方で一万二千人くらい増加しているというお話があったのですが、これは何か勘違いじゃないかと思うのですが、多分昭和三十年度地方予算化したところの定員の数字じゃないかと思います。それは正確に私どもの数字で把握しておりますのは約一万三千五百人でございます。で、その一万三千五百人のうち四千人が政令該当県である東京大阪神奈川なんです。ですから自余の県は九千五百人程度です。九千五百人に対しまして、私どもで見込んでおりますのは一万人を見込んでおりますから、実施上の支障はないと考えておるのであります。  それからもう一つお尋ねの教材費につきましては、先ほど申しましたように、補助金は事務費であり、一応一五%の節約を受けたのでありますが、特に教材費の重要性にかんがみまして、大蔵当局と折衝の結果、一〇%の節約率に及んだのであります。
  25. 湯山勇

    ○湯山勇君 局長は大へん事実を誤認しておられる。というのは各府県教員定数がきまっていない県が相当あるの御存じでしょうか。それは知事がかわったりなんかしますし、基準が示されていなかったために、特に予算が成立していないために、六月の——これがきまったあとの六月の県議会で教員定数をきめようというので待機しておる県がたくさんあります。そういうものは最近の実績と申しましても、最近の実情というものは必ずしも妥当な数ではないと思うのです。将来これがきまればふやしたいという、そういう要素を含んでおるのが事実ですから、いつおとりになっても、きょうかりに資料をおとりになって、その実数に合わしても、それは七十七万の児童生徒増に対する適応した数じゃないということだけを一つ御認識願いたい。  それから教材費を下げるというのは、これは大蔵省の方へお聞きしなければわからぬと思うのですが、こういうものまで削らなければならないような今回の予算の性格でしょうか。
  26. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 最初のお尋ねでございますが、この私が実績と申し上げましたのは、二十九年度教員数をとったわけでございまして、最近の分はこれは三十年度はたまたま政府予算がおくれましたので、それによって地方はやむを得ずもう組んでしまったわけであります。ですから四月からもう児童がふえてくるのでございますから、待っているほどの余裕は私はないと思うのです。必要迫られれば当然予算化いたしますので、一応各県とも必要な数だけはとりあえず予算化してあるのであります。そういう意味であるいは将来六月分の若干の訂正があるかもしれませんけれども、三県を除いた四十三県につきましては、実績で一応補助する、こういう規定になっておりますから、予算上は不足が起きますれば過年度支出という問題になると思いますが、私どもの見解ではそういう心配はまずなかろうかと考えております。
  27. 湯山勇

    ○湯山勇君 今の問題は、あなたは先ほど聞いたときは最近の実績だ、今いえば二十九年度のだ、私はそういうところが非常に大事だと思って聞いたわけです。おそらく組んでおるだろうというようなことをおっしゃいますけれども、事実についての調査が足りません。組んでないところがたくさんあります。予算なくして、予算を組まないで、とりあえず知事の計らいで定員を幾らかふやしておるところもあるのです。ですからこれは一つもっと調査してもらいたいのと、もう一つはこの間聞きましたときに、この一万二千五百名と自治庁の地方財政計画とは一致しておると、こういうことです。そうしたら今あなたが言われたように、かりに各府県でふやした場合には、これは義務負担だからふやすとおっしゃいましてもそういうことはできないように機構ができていることも御存じだと思う。地方財政計画でそうきめられて、今日地方がこの地方財政計画にきめられたもの以上に組むということもきわめて特殊な場合を除いてはあり得ないことです。そうすればこれは義務支出だから、ふえてくればふやすというようなことはこれは理屈だけであって実際に合わないことですから、で、この一万二千五百というのが、本当にどこの実績に基いてどういう計算で出てきたか、もう少し詳しく資料として出していただきたいと思います。  それから今の大蔵省の方に一つ
  28. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。教材費の節約をしなければならんような財政状況であるかという御質問でございますが、先ほど文部省の方からお答えになりました通りに、教材費につきましては、これの大切な点を十分認識をいたしまして、実は一般の補助金の節約に、湯山先生御承知のように非常に今度はきつくなっておるのでございますが、教材費につきましては特に一割の節約にとどめておる次第でございます。  なお地方債におきましても、原則といたしまして一割五分程度のいろいろな節約をやっております。これは全部が全部そういうものを牧量的に減らすという考えではございませんので、たびたび申し上げました通りに、昨年以来の一兆円予算、今回の一兆円予算の効果といたしまして、相当程度に物価を下げて参りたい、また現実に相当下っておりますというふうな点に着目をいたしまして、調弁価格その他において合理的に措置をいたし、なるべく数量は減らさずに実績を確保して参りたい、かような考え方を持っております。
  29. 湯山勇

    ○湯山勇君 教材費はやっぱり補助金だと思っておられますか。
  30. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。これは定額で負担と申しますか、補助と申しますか、出すようになっております。
  31. 湯山勇

    ○湯山勇君 ですから補助金ですか、やっぱり。補助金じゃないでしょう。
  32. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 大蔵省の広い意味の補助金の中に入れております。これは地方財政交付金のごときものも全部入れまして、いわゆる補助金、負担金、委託費、すべてを入れた中には入れておりますから、いわゆる広義の補助金というふうに御理解を願えばけっこうだと思います。
  33. 湯山勇

    ○湯山勇君 補助金整理というのはこういうものも対象にしておるのですか。
  34. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 補助金整理のいろいろのねらいはございますが、物価が下ったような場合には当然やはりこういう経費につきましても縮減をはかりまして、国並びに地方負担の適正化並びに調弁方式の合理化改善に資していきたい、かように考えております。
  35. 湯山勇

    ○湯山勇君 今の御説明は、物価が下ったら下るということは、これはわかりますけれども、これは一つお考え願わないと……。義務教育に対する国庫負担というのは、いわゆる一般補助金とはだいぶ性格が違うと思うんです。それを今のように、ほかのは一五%引くんだけれどもこれは少し引き方を少くしてがまんしてもらったと、文部省の方もそれを喜んだり満足したりする筋合いのものではないと思います。こういうものを私、しなければならないほど、それほど一兆円というものが厳格なものですか、一つなお御検討願いたいと思う。  それから次にお尋ねいたしたいのは、産業教育、理科教育、学校図書館ですが、法律ができたばかりですね、そうしてまあ大体議員立法だからというので、次からは考慮するというので昨年はごく少額しか組まれなかったはずです。それをまた下げるというのは、これはどういうわけでしょうか、削る趣旨は。
  36. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 産業教育につきましては、先ほど申しましたように、一応基準の七割を目標にいたしまして五カ年計画で進めておりますので、大体三十一年で七割のところまでは第一段階としては完了することになっております。そういう意味で相当補助金敷理のきつい査定もございましたが、ともかくお話のように重要でございますので大部分復活いたしまして二割程度削減になった。私どもは決して満足するものではございませんが、国の財政全体の上から組むならばこの程度はやむを得ないと考えております。  それから理科教育と図書館につきましては、これは基準をきめまして、大体前年同額程度でほぼ基準の達成ができるであろうというふうに考えております。ただ今申しましたようにこれも一五%の節約のところを特に重要でありますので一〇%のおつき合いをしたわけであります。もちろん今後物価の低下等もございますので、この程度なら何とか既定の計画を進めていくのに支障はまずなかろうかと考えております。
  37. 湯山勇

    ○湯山勇君 いろいろありますけれどもなるべく少く聞きたいと思いますが、次には公立学校危険校舎改築ですが、この割合でいけば、今年の予算のような割合でいけば危険校舎の解消には何年ぐらいかかりますか。それから現在危険校舎として改築されておるのは、建てて何年ぐらいたったものが対象になっておりますか。
  38. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 大体私どもの考えでは、五年ぐらいのうちには今のテンポで解消できるのではなかろうか、もちろんこのほかにも単独事業の方で起債を認められておりますので、そちらの方からも推進ができますので、五年ぐらいで大体の目標は完了するのではなかろうか。それから危険校舎の基準でございますが、これは必ずしも年限によりませんが、古いのですと五十年をこえたようなものですが、これはこまかく精密な検査をいたして、垂直にはかったり、あるいは水平にはかったりしまして、その傾き工合等を計算して出しておるのであります。もちろん最近に建てたものでも、終戦後のいわゆる若朽校舎がございますので、こういうものも一応対象にしております。ですから必ずしも年限だけでいくというわけではございません。
  39. 館哲二

    委員長館哲二君) ちょっと、実は文部省の方、まだ質問を続けていただきたいと思うのでありますが、きょうの予定では原子力の方の説明を聞く予定になっておるのです。ところでその関係の方が先ほどから待っておられるのですが、御承知のように非常に多忙な中なものですから、一応その説明を先に聞いて、文部省の方にはお気の生母ですが……。
  40. 湯山勇

    ○湯山勇君 すぐ終ります。
  41. 館哲二

    委員長館哲二君) そうですか。まあそれにしましても一応そういうことにして進みたいと思いますから御了承いただきます。湯山さんの質問は簡単に済むなら一つ……。
  42. 湯山勇

    ○湯山勇君 使用制限とか、それから使用禁止、そういうものになっているのは全部入るようになっておりますか。実際は私は入っていないと思うのですが。
  43. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 使用制限になっておるような危険校舎は一応対象になっておりますが、先ほど申しましたような相当こまかい検査をいたしますので、垂直検査、水平検査等の計算もございますので、そういう点を考慮してきめるわけであります。しかし老朽校舎全部が一ぺんに対象になりませんので、やはりその中では緩急の度によって補助金を交付いたしますので、その点も御了承いただきたいと思います。
  44. 湯山勇

    ○湯山勇君 今申しましたのは、おっしゃったことよくわかりますので、古いからといって対象にならない。しかし使用制限なり、あるいは使用停止というのは文部省がやるわけじゃありませんですね。そこでそれぞれの現場において使用制限なり、あるいは使用禁止になっておる校舎はすべてこれで、ただいまなっておるものは解消するようになっておりますか。文部省はどう考えておられるか。私が調べたところではなっていないのですが、どういうふうにお考えですか。
  45. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 今お話のような点は大体はなっておると思うのでございます。ですから私先ほど申しましたようにいろいろの精密な検査をいたさなければ、ただ単に使用禁止になっておるからといって補助金を交付するわけには参らんと思います。いろいろな垂直検査なり、水平検査、そういうふうなものをやった結果、危険校舎という判定になりますれば当然対象になりますので、その点で若干そこに食い違いがあるかとも思います。
  46. 湯山勇

    ○湯山勇君 まだずいぶん問題ありますけれども、その問題はそれだけにして、またあとでお尋ねします。  それから文部広報ですね、これは各学校へ配るというのは毎号全部配るのですか。
  47. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは毎号全部配るほどの予算もないので、特に文部省の政策上重要なものにつきましては各学校にお配りしたいと思っております。
  48. 館哲二

    委員長館哲二君) それでは湯山さんに御相談申し上げますが、今申し上げましたような事情でしばらく文部省の質問をちょっと御留保願いまして……。
  49. 湯山勇

    ○湯山勇君 これだけで終ります……。それはあなたはそういうことを言われますけれども文部広報、特定なものを特定なものだけ選んで送るということは、こういうことを認める大蔵省もけしからんと思うのですけれども、こういうことはやめた方がいいんじゃないですか。
  50. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) その御趣旨がよく理解しかねるのですが、文部省で現在やっておることを各学校に徹底するのは私ども一向に……。
  51. 湯山勇

    ○湯山勇君 それなら全部やったらいいでしょう。
  52. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 全部やるということは私どもは正しいと思うのです。その場合にもちろん紙面にも制限がございますので、記事そのものにも緩急の度があると思います。私ども文部省でやっている全部の行事を網羅するにはやはり足らんと思います。そこにどうしても取捨選択が入ってくると思います。文部行政上重要なことを現場の先生方にお伝えするということは私どものむしろ義務ではなかろうかと考えております。
  53. 湯山勇

    ○湯山勇君 それでは、これで終ります。
  54. 館哲二

    委員長館哲二君) それでは原子力の問題につきまして当局から一応説明を聞きたいと思います。それでは駒形工業技術院長
  55. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) 原子力の平和的利用の助成に関しまして二十九年度の状況と今年度、三十年度に御審議をお願いいたしております内容について御説明をいたしたいと存じます。  ただいまお配りいたしました「二十九年度原子力平和的利用助成費の使用状況」というのを恐れ入りますがごらん願いたいと思います。これは昨年二億三千五百万円の原子力の費用が国会において成立されまして工業技術院の助成費ということになったのでございますが、政府におきましては原子力の重要性から内閣に原子力利用準備調査会というものが作られまして、ここでいろいろと原子力に関する政策というようなものを審議することに相なりました。予算につきましては通産省に原子力予算打合会というものができまして、利用準備調査会の方針に従いまして予算打合会において予算の配分をいたしたのでございます。予算打合会は学識経験者十数名並びに通産省内の関係者等その他関係者をもって組織いたしたのでございますが、いろいろと審議をいたしまして配分をいたしました。しかしながら二十九年度におきまして使用いたしました経費といたしましては、その表のごとくでございまして、原子炉の構造関係といたしまして、一千六百二十五万円でございます。原子炉材料関係費といたしましては二千五百二十五万一千円、資源関係といたしまして四百二十七万三千円、それから調査関係といたしまして千七百七万六千円、合計六千二百八十五万円というふうに相なっております。これによりまして原子炉の設計、それから原子炉の材料、資源などの基本的の基礎的の研究を緒につけたわけでございます。調査関係におきまして外国における原子力の開発状況の調査ということで調査団といたしまして十四名のものを海外に出しまして、そうしてこの予算の中からは十一名のものの支出をいたしておるのでございますが、先般帰りましてこれに対する調査の報告の大体結論的のようなものの報告を受けた次第でございます。三十年度の審議をお願いいたしております分につきましては、その次のページの二十九年度繰越分及び三十年度原子力平和的利用研究費のところに書いてございますように、二十九年度の繰越分といたしまして一億五千九百十二万五千円というのがございますので、それと三十年度予算といたしまして二億円、合計いたしまして三億五千九百十二万五千円というものをもって、三十年度におきまして原子力の平和的利用の研究に当りたいということを考えております。この繰越分と三十年度予算の両者を一括いたしまして、原子炉の構造関係といたしましては一億七百十一万八千円、材料の関係といたしまして二億一千四百六十四万五千円、資源関係として二千二百五十九万八千円、それからウランの探査旅費を含んだ庁費及び職員旅費といたしまして二百七十六万四千円、外国旅費といたしまして千二百万円というものがその内容でございます。外国旅費につきましては、留学生、あるいは調査出張というようなことに充てたいと考えておる次第でございます。二十九年度並びに三十年度予算の上から見ました原子力平和的利用の研究の状況を御説明いたしました次第でございます。この刷りものが、あるいは私どもの方でもそうでございましたが、ページが間違ってとじてございまして、はなはだ恐縮いたしました次第でございますが、この「調査関係」と上に書いてございますのは、二十九年度の使用状況の二ページでございますので、もしそういうふうにつづり間違っておりましたら、大変恐縮でございますが、御訂正願いたいと思います。
  56. 左藤義詮

    左藤義詮君 この二十九年、三十年の予算を承わりましたが、これは何年ほどしたらどれほどになるかという、大体計画の見通しの上に立っておるのでありますか、そうでないのでしょうか。
  57. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) もちろん一応全体の計画予定いたしました一環でございます。私どもといたしましては、原子炉を作るということにつきまして、一応五年くらいの目途をもって当ったらどうかというふうに考えておりました。第一年度、第二年度におきましては、基本的の研究というようなことにいたしまして、第三年度以降におきまして、実際の面に及びます研究を実施いたしていきたい、そういうふうな一応計画のもとに二十九年度、三十年度は考えておる次第でございます。
  58. 左藤義詮

    左藤義詮君 五カ年間を通じてどれくらいの総額になりますか、そうしてどれほどの成果をあげることを見込まれておるのでありますか。
  59. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) この計画全体につきましては、相当基本的の研究の状況等を勘案しなければなりませんので、明確な数字を申し上げることは非常にむずかしいと思うのでございますが、いろいろと場合を検討いたしておる次第でございます。これは外国においていろいろな原子炉築造の計画がございます。たとえばイタリアでございますとか、スイスでございますとか、ベルギーでございますとかというところで現に原子炉の築造計画をやっておるのでございますが、イタリアにおきましては、四年計画をもって、炉自体の経費といたしましては、三十億リラということに相なっておるのでございますし、スイスにおきましては三年の計画をもちまして、二千万スイス・フランということに相なっておるのでございます。
  60. 左藤義詮

    左藤義詮君 外国のお話しをお尋ねしておるのではございませんので、私ども予算の審議をいたします参考に資するために、二十九年度、三十年度はわかりましたが、これの五年間でどういうふうな総額になり、どういうような成果をあげるお見通しであるか、これも私ははっきりしないで、いろいろ状況が変るからどうなるかわからんということでは、はなはだどうも科学技術の重要なそういう専門家の方の御説明として納得できないんです。
  61. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 原子力開発の根本方針の問題に関しましては、内閣に原子力利用準備調査会というものが御承知の通りございまして、その事務経済審議庁のほうで担当しております関係上、ただいま御質問のような根本方針の問題に関しまして、若干補足的に説明さしていただきたいと思いますが、ただいま御質問のありましたような、将来五カ年あるいはその後にわたって日本の原子力開発の根本方針は今どうなっているんだという御質問でございますが、率直に申し上げますと、海外調査団が去年の暮でございますが、出まして、帰って来るまでは大体小規模の天然ウラン、あるいは重水等の小型の炉で出発したいという考えで、これもまだ正式とまではいかなかったのでございますが、そういう考えで問題を進めておったんですけれども、調査団が帰って参りましての報告によりますと、もう少し規模の大きいものを、基本的な炉の形態として持っていきたいというふうな結論でございまして、合せてそういう相当大規模の数千キロから一万キロワットぐらいの炉でございますが、こういう原子炉のほかに、これは相当時間もかかりますので、アメリカから提案のありました濃縮ウラニウムの受け入れにからんで、これはごくもう小規模の炉でございますので、建設その他も早くできます関係上、その方と合せてやったらどうだろうというふうな調査団の報告になっておりますので、そういう点を考え合せ、同時にこの調査団の報告だけできめる性質のものじゃございませんから、それを有力な参考資料にいたしまして、ただいま利用準備調査会のもとにあります総合部会というところで、この問題を三回ぐらい議論を続けております。それで、まあとりあえずの措置といたしましては、根本方針と申しますか、一万キロぐらいの本来の原子炉と、それから基本的なこの原子力問題を扱う機構問題、これは統轄機関といわず、あるいは実施機関といわず、そういう機構問題等をどういうふうにするか、こういう根本問題に関しましては早急に態度をきめることになりまして、この二十八日ぐらいにはある程度の討議の材料になります機構の草案みたいなものを出したいと、こういうふうに考えております。が、いずれにいたしましてもそういう基本問題が実はきまらんにいたしましても、アメリカから申し出のありますこの濃縮ウランの問題に関しましては、早急に態度をきめる必要もございまして、実はこのアメリカからの申し入れは、一月の初めに申し入れを受けたのでありますけれども、選挙の関係で、日本側の選挙の問題でございますが、選挙の関係等で内閣の方では全部ほとんど首脳閣僚がこのメンバーになっておりますので、なかなか集まりかねるといったような状況、あるいは肝心のこの問題に関する政府関係者の首脳の方たちは海外に行っておりまして、この報告をまあ待つのが一番正しかろうというので、この四月の初めごろまでこの問題の処理を延ばしておったわけでございますので、あまり国際儀礼的にも長く放置するわけに参りませんし、そういう関係もございまして、取りあえずこの濃縮ウラニウムの受け入れの問題に関して討議を進めようということで、第九回のこの総合部会では、この問題を中心に討論したのでありますが、その結果濃縮ウラニウムをアメリカから受け入れるための交渉を始めたらどうだろう、その条件によって最後的な態度というものはきめるべきだというので、この交渉に入るという点をまず議題にいたしまして、それはまあそれでいいのじゃなかろうか。ただ一つの議論は、交渉に応ずる前に国内態勢の整備という問題もありますので、基本方針、あるいは国内態勢の整備という問題が、ある程度目鼻がついてから交渉したらどうだろうという行き方と、それでなくしてそれは並行して進んでいってもよろしい問題ではなかろうかという議論と両方ありまして、この点を昨日の最高機関であります利用準備調査会にお諮りいたしまして、まあ並行論の方がよかろうということで、結果的には並行論にきまりまして、そうしてきょう閣議で了承がございまして、とりあえず交渉には入る、しかしそれと並行して総合基本問題、あるいは態勢整備の問題等も早急に固めるというふうにきまってございます。従いまして長々と御説明申し上げましたが、当初の御質問に返りまして、今後の基本方針はどうなっておるのだという面に関しましては、おそらくは海外調査団の報告というものが基本になって、あるいはその方向にきまっていくのじゃなかろうかというふうには感じておりますけれども、最終的なまだ結論というまでは、政府といたしましても、あるいはこの準備調査会といたしましても、きまっておりませんので、ただいまのところでは従来の方針を調査団の出かける前の方針を大体基礎にいたしまして予算等を組んでおるのではなかろうかというふうな感じを持っております。ただし濃縮ウラニウムの受け入れの問題等が実際協定がいつ締結され、そうして実際の受け入れの時期がいつかという点が、実際交渉しませんとまだはっきりいたしません。はっきりいたしますと、あるいは来年度予算の問題になりますか、一部は今年度予算からこれに流用するということになりますか、その点はもう少し交渉の成果を見てみませんと、はっきりいたさんのではないかという感じがいたします。
  62. 左藤義詮

    左藤義詮君 まあ日進月歩の話でありますが、特に重要な原子炉の問題に対して、一向見当がついていないというような、ただいまの御説明での印象を受けるのでありますが、特にこちらは選挙があったために首脳閣僚が飛び回って、一月の申し入れがそれによって態度がきまらん、今もってきまらないというような、非常に政府の政治的責任というものまで含まれておるような御答弁でありまして、そうでありますと、そうでなくてさえ濃縮ウランに対してひもがついているとかいないとかいうような国民に疑惑を与えるのでありますが、これは別といたしまして、さよういたしますと、そういうことがきまらん限りは、予算は全然見当がついていない、ただ腰だめで予算を出しているだけだ。もしこれが今お話のような一万キロの炉とそれに対する機構というようなものが、五カ年計画の目標のためにやられるならば、この予算相当補正しなければならぬということになってくるのじゃないか。あるいは三年以後にして、三十年度はこれだけでお茶を濁していくつもりだと、どうもそういう点が私はわからんから、非常に今の御答弁では納得できませんけれども、それは別といたしまして、予算との関連で…十年度予算というものはこれで十分なのか、あるいはとりあえず腰だめで出しただけで、また補正する必要があるのか、あるいは別途にまた何か考えておられるのか、予算との関連において、こういう重要な問題に対して、肝心の私は政府が本当に手探りでその日暮ししておられて、根本は何もできていないのじゃないかと思うのです。予算との関連においてその点をもう少しはっきりしてもらいたい。
  63. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) ただいまちょっと説明に誤解がございましたようで、はなはだ恐縮しておるのでございますが、私が申し上げましたのは、そういう意味ではございませんので、通産省でおきめになっておる予算に盛られておる内容は、もちろん原子力の開発の問題で緊急必要な事項は盛っておる、そうして今後進める上の基礎的な準備を整えつつあるのは事実でございまして、ですからこの予算自体に盛られている内容を私は言っているのではないのでありまして、基本的な将来の原子炉の開発方針というものほどうなっておるんだという御質問がありましたので、その問題に関する経過を申し述べただけでございますから、ただいまの来年の予算の件に関しましては、通産省の御意向通りで御審議をお願いしたいと、こういうふうに考えます。
  64. 左藤義詮

    左藤義詮君 経済審議庁はこの問題の計画をいろいろとやっていらっしゃる、とりあえず実施する通産省当局としてはこれだけの予算を請求している、それでは経済審議庁で今やっていらっしゃる作業と、五カ年計画はどうか。五カ年計画というから、もうできているかと思ったら、まだ何もできていないようなことでは、五年計画もちょっとできないようですが、現政府は非常に自由党と違いまして、計画が非常に緻密で、総合経済計画、その他を基盤にして、あの原子力の問題は、私はもう十分な計画ができていると思ったところが、いろいろまだ選挙その他で夢中になっておられて、一向できていない、こういうことを伺ったのでありますが、(笑声)そうしますと、計画なさる経済審議庁と、とりあえず研究その他実施なさる通産省当局とは、全然もうまず関係なしにやっている。通産省はその日暮しで、手探りでやっているだけで、経済審議庁は経済審議庁として手探りでやっている。まだできておりませんが、どうなるかわからない。海のものとも、山のものともつかないものを、その日その日に相談していらっしゃる、こういうふうに私は計画者と実施者と全然そこに私はマッチしていないように思うのでありますが、さように心得て間違いないのでございましょうか。
  65. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 大へんどうも私の答弁がまずくて、恐縮なんでございますが、もう少しはっきりそれでは申し上げます。(「はっきりしてくれ、初めから。」「もう少しはっきりどうぞ一つ」と呼ぶ者あり)今までの方針で、そして重水、あるいは天然ウラン等を中心にいたします開発の方式に従って、そのために必要な予算を三十年の予算に組んであるのでございます。ただし先ほど御質問がありましたのは、あるいは濃縮ウランの問題にからんで、そういうものがどういうふうに将来の根本問題と関連があるかという御質問がありましたので、私経過を御説明しただけでありまして、(「弁解はいいから早く説明しろ」と呼ぶ者あり)ですから根本方針は、今までの天然ウランと重水との関連をつけながら開発するという根本方針には、今のところ変化はございません。で、その予算は盛られているわけでございます。ただそれとからんで、重水、ウランとの関連いかんという御質問がございましたので、その経過を、調査会を中心といたしまして、特に海外調査団の帰って参りました報告書等にからんで、御説明を申し上げただけでございます。
  66. 左藤義詮

    左藤義詮君 私そういうことを何も質問していないのに、経済審議庁の方から答弁というか、勝手に言っておられるだけの話でありまして、私のお尋ねしているのは、通産省で、ただいま駒形院長からお話しのありましたこの予算とマッチするような計画を、どういうふうにお立てになっているか。計画というものを、第一年度、第二年度とずっと五年計画でおやりになるなら、五年たったときにはどれだけの、たとえば一万キロのものなら、今これは計画部長からお話しありましたが、一万キロの炉と、それに伴う機構というものは、五年でこういうふうに完備して、それからしてこれはたとえば平和的な利用のこういう基礎になるとか、これだけの発電ができるというような、何か五年間見通した計画を持っていらっしゃるのであるかどうか。その五年間の計画にマッチするように、この昭和三十年度予算が組まれておるのかどうか、これを伺わなければ、この予算そのものは審議ができないと思うわけでございますが、今伺っておりますと経済審議庁の方ではそれと別にいわゆる濃縮ウランをどうするとか、いわゆる別の問題を相談していらっしゃるようですが、私は実施を担当しておられる通産当局として、どれだけのお見通しを持っておられるのか、その点をもう少しはっきり伺いたい。
  67. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) 私ども実施をいたしております通産省工業技術院の考えを申し上げたいと思います。先ほど申し上げましたように、二十九年度、三十年度はもっぱら基本的の研究ということを考えておるのでありますが、大体もちろん原子炉と申しましても、実験用の原子炉というものを考えておるのでありまして、発電用等の原子炉というものは、これはまだまだ将来の対象になるべきものというふうに考えております。実験用原子炉につきましても、今ほどもちょっとお話がありましたように、重水を用いますものもありますし、あるいはグラフライトを用いますものもございますけれども、私どもの考えといたしましては、重水を用いる天然ウラニウムの炉というものはウラニウムの所要量が少くて済む、日本のウラニウムの資源というものから考えまして、やはり天然ウラニウム重水炉の実験炉を選ぶべきだというふうに私ども考えているのでございます。最少量のウラニウムというものは、重水の場合とグラフライト、黒船の場合を比較いたしますと、黒鉛の場合は大体十倍くらいになるのでございます。それで天然ウラニウムと重水というものを研究対象とすべきであるというふうに思います。しかしながらグラフライトは減速剤としてではなくて、反射剤といたしまして、やはり実験用原子炉に必要でございますので、黒鉛の製造に関しましても、やはり基本的の研究というものほこれはなさなければならぬと考えまして、そういうものも基本的の研究の中に加えてございます。これから炉の設計のことはもちろん基本的の研究といたしまして取り上げ、すでにそれは学術振興会の中にその方の専門家の委員会を作りまして、相当分厚い報告書ができ上って参っておるような進行状況でございます。しかしこの炉の関係におきましても、設計のみならず、原子炉の中で働きますところの中性子、この中性子の測定ということが非常に必要になるのでございます。中性子を取り扱う測定の問題、それから放射線の計測器の研究、こういうものも基本的の研究の一環といたしまして取り上げている次第でございます。そのようにいたしまして、それから重水の研究につきましては、日本といたしましては電解工業というものが非常に大きく日本産業の中にありますからして、電解工業の中の仕事といたしまして重水というものを作るということは、日本の場合におきましては非常に有利であるわけでございますから、重水の研究というものも取り上げ、そうしてまず最初の段階におきましては、その基本的の研究ということで、ここに書いてございます回収電解でございますとか、濃縮装置というものの研究、基本的の研究を始めておるのでございます。  そういうふうにいたしまして、所要量のことは設計の方の基本的研究から、最後的に明確にウラニウム何トン、重水何トンということが決定されるわけでございますけれども、私どもが一応いろいろな文献その他からこれを推定いたしまするというと、ウラニウムを大体三トンないし五トン、重水を六トンないし十トンという程度におきまして考えるならば、天然ウラニウム、重水の千キロ程度の実験原子炉というものが製作可能になるというふうに考えておる次第でございます。三十一年度以降におきまして、この基本的の研究というものを、スケールを大きくいたしまして、そうしてそれらの資材というものを日本でできる限度におきましてそれを作り上げて参るように運ぶようにしたい、これが私ども工業技術院として、一応の計画といたしまして考えておりますところの全貌でございますが、大体そういうふうにスケールを大きくいたしました以後におきまして、三年というくらいの時間というものは必要であるというふうに考えておるのでございます。
  68. 左藤義詮

    左藤義詮君 先般高碕長官は非常にこの原子力の利用を重要視されて、今後の努力によっては、経済再建六カ年計画の中にも取り入れようというくらいの非常な意気込みを示しておられるのでありますが、今お話を伺っておりますと、その部下である計画部長のお話でも、はなはだまだ当てにならない話で、今通産当局のお話を伺いましても ウラニウムなら三トンないし五トン、重水なら六トンないし十トンという数字をお示しいただきましたが、それならば、千キロの実験炉を作る、それが三十一年から三年でいける見込みだ、まあ初めて大体の見通しを今やっと伺ったわけでありますが、それの二十九年、三十年度は基本的な研究であるということはよくわかりましたのですが、そうしますと、これだけの仕事を大体完成をするのに、達成をするのにどれくらいの予算が必要であるのか。三十一年度にはさしずめどれくらいの予算を御要求になるおつもりでありますのか。今お示しになりましたスケールにおいての予算的な関係を私はもう少し伺っておきたい。大体そういう見通しをすると、五カ年計画でいえば、五カ年でどれくらいの経費、それが年度計画にしてどれくらいかということがあるはずでありますから、三十年度はこれだけですから、三十一年度以降の御計画一つ伺っておきたい。
  69. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) 非常に明確な数字を申し上げませんというといけないと思いまして、先ほどは外国の例のようなものを申し上げましたわけでありまして、はなはだ恐縮でございましたが、私どもそういうものを考えますというと、全体の炉自身の経費といたしまして二十億円くらいになるのでございます。しかしながら、これはその他のいろいろな、炉だけができましたとしても、これは原子力に関する研究を遂行する上には不十分でございますので、従いましてその他の経費というものがそれに追加されて参らなければいけないと考えます。それから先ほど申し上げましたように、基本的研究の結果、たとえば炉の設計というような面におきましてもまだ研究の途上でございますので、今申し上げました数字というものは、そういう程度の数字でございますことを御了承願いたいのであります。
  70. 左藤義詮

    左藤義詮君 私がお尋ねしておりますのは、これだけの……千キロでありますから、その実験炉を作るのに二十億、またそれに伴ういろいろな経費がある。その経費がどれだけかまだお示しいただかないのですが、それがかりに三十億なら三十億と、大体の数字でけっこうですから、お示し願いたい。そうしてそれが三十年度はこれだけの基本的研究経費だが、三十一年度からはこれだけになるという、もう少し今お示しになったスケールの大体の予算措置の私は見通しがあっていいはずだと思うのですが……。
  71. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) 今申し上げましたのは全体の額でございまして、年度別等につきましても、その基礎研究の実際というものからこれは年度別になってくるわけでございますので、現在三十一年度は幾らかというようなことはまだ検討中で、わかっていないわけであります。
  72. 左藤義詮

    左藤義詮君 最初、非常に科学的に物事をお考えになる院長の御説明があったのですが、私ども五カ年計画という言葉があったので、その計画は大体もっともであり、それに対して予算相当私は御考慮になっておられると思っておったのに、はなはだ不満足な御答弁であります。炉に二十億とありますが、そのほかにもあるというのですが、それはどのくらいあるのですか。年度別がもし困難であるならば、全体の御計画が一体どれくらいのお見通しになっておるのか。それだけの研究をしてどれだけの成果が上るのか、私はしろうとでありますから……。それの基礎ができ上り工業化していけばどれだけの成果があるのか。科学的な面でどれだけの成果が上るのか。それだけの仕事をやったら、今スイス、イタリアの例をおあげになりましたが、世界の水準にどの程度まで達し得るのであるか。最初五年では非常に日本は立ちおくれておるけれどもあとはさらにこういうふうに努力して追いつくことになる。非常に国民が心配しておりますことでありますから、もう少し私は将来の見通しもお示しをいただかないと、ただもう手探りでやっておる。五年たってどれくらいになるのか。大体今やっと実験炉の規模だけお示しをいただいたのでありますが、その炉に対する二十億ということは伺ったのですが、そのほかにまだ要るというが、それだけの実験炉を作って一体どれくらいの仕事ができるか。そうしてどれだけの世界の水準に達し得るのか。それからさらにこういう原子炉が将来に非常に大きな期待を持たれておるのですが、果して各国に追いついていけるだけの見通しが立っておるのか。五年たってどうにもならない、あとはまたそれが腰が折れてしまうというようなことでは困ると思うのでありまして、国民がもう少し安心するような御計画があるはずだと思うのですが、もう少しそこをはっきり数字を入れてお示しを願いたい。
  73. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) 今申し上げましたような炉ができたならば、どういうようなことになるかという御質問でございますが、大体千キロくらいの炉ということでございますから、その炉を使ってどういうことができるかということは、炉の大きさでおわかりいただいたものと思っておりまして、説明が足りなくてはなはだ申しわけないのでありますが、この炉は大体中性子の密度が十の十三乗くらいのことを考えておるのでございます。従いまして十の十三乗くらいの炉で実験ができる範囲というものは、相当程度の実験ができることに相なります。材料のいろいろな試験、ラジオ、アイソトープ——放射性同位元素を作ること等もこの炉でもってある程度は可能でございます。こり東予炉の技術は、何しろ自分のところで手をかけて原子炉というものを作り、原子炉の技術を確立するということが非常に私大事なことではないかと考えております。また自分のところで苦心をいたしまして、そうして一応ものをでかすということが、将来の原子工業というものを進展させていきます上に、どうしても必要でないかと考えるのでございます。従いまして、その炉というものは、あまりに小さいものでございますと、それだけの技術というものでは将来に対する発展性というものを失う。しかしながら、千キロ程度のものでございますれば、将来に対する技術の発展ということに対しては、大体まあ考えられるところではないか。しかしながら先ほど毛説明がございましたが、動力炉というようなものの実験をやるということになりまするというと、やはりまだまだ大きい方がいいだろうということはいわれるのでありまして、調査団の報告によりまして、一万キロ程度という考えが出ましたのも、やはりそこにあると私は了解をいたしておるのでございます。しかしながら、それはまだ調査団の結果というのは、一つの意見でございまして、決定は原子力利用準備調査会等においてこれは行われることと私は思っておるのでございます。なお、その中に多目的炉ということが書いてございますが、この多目的というのは、いろいろなことができる、いろいろなことと申しますのは、先ほど申しました材料の実験でありますとか、あるいは放射性同位元素を作ることとか、あるいはある程度の動力の実験もできるというようないろいろな目的を一つの炉に対してなるべく可能なようにするということになりますと、炉は余裕をもって作った方がいいということになるわけでございまして、一万キロの炉と申しましても、一万キロでいつも運転しているという意味でなくして、一万キロの能力を備えさせておきまして、余裕をそこにとってやるというのがいいのではないかというふうにも私は考える次第でございますが、ここに私どもがまだそういう調査団の報告を受ける前に一応考えましたものは、先ほど御説明いたしましたような、それよりはやや小さい炉というものを工業技術院で一応考えておった次第でございます。
  74. 左藤義詮

    左藤義詮君 前にお伺いした千キロならば二十億だと、その数字を伺ったのですが、今私は数字を非常に求めているのですが、相当の余裕をもって多目的に使われるような、たとえば一万キロとしますと、どれくらいの経費になりますか。それから今の実験炉のお話ですが、その実験炉と濃縮ウラニウムの提供を受けるかどうかということはどういう関連があるのでありますか。これは並行していく問題だと思いますが……。
  75. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) 一万キロの炉になりますというと、一千キロの炉とどのくらい違うかということでございますが、一万キロの炉になると、ウラニウムの七トンくらいと、それから重水が大体十三トンないし十五トンくらいということになるのじゃないかというように考えておる次第でございます。若干の余裕をとっての数字でございますが、そういうふうになっておるのでございます。
  76. 左藤義詮

    左藤義詮君 費用は。その経費です。(小野義夫君「建設経費及び運転経費」と述ぶ)
  77. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) 建設経費につきましては、(小野義夫君「千キロで二十億というお話だったんですが、一万キロでは幾らかということ」と述ぶ)四十億ないし五十億くらいはかかるのではないかと考えておる次第でございます。  それから濃縮ウランの炉に対しての考え方でございますが、私どもの考えでは、今度の濃縮ウランというのは、アメリカが供与しようとしておりますのは、全体が百キログラム、そしてこれを大体五十個分くらいということが向うから言って参りましたものに書いてございますので、平均いたしまして二キログラムということにまあなるわけでございましょう。出力の非常に少い炉にならざるを得ないと思います。大体これは数十キロワットくらいの実験用小型炉でございます。しかしこれがありますならば、要員の訓練あるいはある程度の材料試験、あるいは設計の実験というようなものに役立つわけでございますので、適当な条件というのは、たとえば研究が阻害されないというような条件、あるいは今後にわたりまして拘束を受けないというような適当な条件がありますならば、やはりこれは受け入れました方が、先ほど申し上げました天然ウラニウム、重水炉の建設というものを非常に促進することになるであろうというふうに考えているのでございます。建設しようとする重水炉と、今度のもし受け入れた場合どうなるかというその関係は、今申し上げましたような関係でございまして、この濃縮ウランというものが、小型炉というものがそう大きな炉にはならないし、それから天然ウラニウム、重水炉にとってかわるというような、そういうものにはなり得ないというふうに考えておるのでございます。
  78. 小野義夫

    ○小野義夫君 経費は幾らかかりますか。
  79. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) 濃縮ウランを用います小さい炉につきましては、大体タイプが三つございます。で、一つの炉はウオーター・ボイラー・タイプと申しますものでございまして、ウランを溶液にいたしまして、そのウランの溶液を燃料にいたしますものでございます。これは大きなものはできません。非常に小さいものしかできないのでございます。第二のタイプはスイミング・プールと申しまして、これは金属のウランを、金属ウランの板のようなものにいたしてございまして、これを水の中に深く沈めてちょうどプールの底に燃料を置いたような、そういう形になるのでございます。第三のものはクローズド・ベッセル・タイプと申しまして、いわゆるクローズしました、密閉いたしました容器の中におさまるものでございます。で、私が今申し上げました順序で出力は順次大きくなる、可能な最低出力というものが大きくなるというふうになっているのでございます。それでその三つのタイプのうちのどういうものを選ぶかということになると思うのですが、しかしながらその第一のウオーター・ボイラー・タイプというのは、ほとんどその結果というのは公表されておるものでございます。これにはまず私は秘密にわたる条項というものはないと思っております。しかしながらクローズド・ベッセル・タイプということになりますと、そう全部が全部公開されておるものとは考えられない点もございます。たとえば加工をいたしました燃料の部分の製品でございますけれども、品物になったものというのは、その製造方法その他内容等は、一部分はいわゆるクラシファイされておる事柄の中に属するものというふうに考えられるのでございます。で、値段が幾らになるというお話でございましたけれども、この値段につきましては、今の三つのタイプというものに対しまして、一応向うの雑誌にこういうタイプでこれだけのものは幾らである、こういうタイプで幾らから幾らの範囲であるというふうに書いてございますので、私が今ここで宙に覚えました数を申し上げることなく、資料にいたしまして差し上げるようにいたしたいと思っております。
  80. 左藤義詮

    左藤義詮君 ただいま千キロ程度ならば二十億、それから一万キロ程度なら非常にこれはゆとりをもってやると四十億ないし五十億だと、いろいろ計画等は経済審議庁でもやっていらっしゃるようでありますが、一つ目先だけの一文惜しみの銭失いにならぬように、相当まあ将来の文明を左右すると言われるくらいの重要な問題に初めてこれは取り組まれるのでありますから、今のような手探りのその日暮しでなしに、しっかりした腰を据えて私はこの問題に御対処を願いたいと思います。それに対してここにおられる大蔵省等も十分協力して、一つやる以上は中途半端なことにならないように、その点について一つ経済審議庁に御方針を伺っておきたいと思います。
  81. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) ただいまの御要望通り私どもも考えておりまして、とりあえず急いでやるのは、先ほど駒形院長からお話がありましたように、できれば今度の話がきまりますれば、濃縮ウラニウムの小型炉を早急に完成し、長い将来におきましては、先ほど申しましたような中型と申しますか、というものをまず仕上げまして、そして漸次将来の強力炉というものに向っていくべきではなかろうかということで、せっかくその準備研究等は進めつつあります。ただいまの御要望通りに進めておりまして、研究中でございます。
  82. 小野義夫

    ○小野義夫君 私が承わりたいのは、この原子力は申すまでもなく今日の時代を画するところの非常な問題でありまして、ちょうど蒸気機関から電気に来て、今度は電気の時代から原子力時代に入るのであります。けれども日本が従来文明に接触したときの初めにさかのぼって考えますと、たとえば蒸気機関にしても、日本の学者がイギリスでできたときからこれを追究して大いにいわゆる蒸気機関をやるということも、私はどうであるか、日本に入りましたポンプであれ、その他鉄道、汽車にしましても、初めはそれは輸入によっている。次の電気におきましても、あるいは水車、あるいはその他の発電所にしても、今日なお独立の域を完全に確保してないのでありますから、この原子力に対する日本政府並びに学界というものの頭の動き方が少し違っているのではないか、こう申しますのは、まずもって今日もう原子炉というものは秘密でないから、それをアメリカは今年の一月に大統領の教書において、原子力の平和的利用を世界に向って公開して、自由国家にこれを分つと言って、その言った現われが今来ているのであります。でありますから、あるいは原子力の研究においては、すでにもはやこれは何にもない、秘密の境を通り過ぎたコンモンセンスになりつつあることは申すまでもない。だがしかし、これで機械化していろいろやるということになりますると、そのコンモンセンスだけではいけないのでありまして、非常ないろいろな多種多方面の技術が要る。いわゆる化学者だけではいかぬ、物理学者だけではどうもいかぬ、あらゆる材料なり、それからケミカルでなくメカニカルのいろいろなものが要ってくるわけになるのでありまするから、私どもはこれらの原子力を、たとえば一万キロの発電までの原子炉を利用するとなれば、この問題はむしろ今日でいえば、電源開発その他が大々的に、あるいはその他の実業団体におきましてもこれが力を出せば二十億、三十億というものは決して大金でない。今日日本の動力源の開発というものに対しましては四十一億、五十億という金は小金である。これらを幾つか輸入してこれの運営その他の技術を納得して、それから五年、十年かかって初めて日本が電気にしろ、あるいはその他の機械にしろ、いわゆる輸出のできる相当の独自性を帯びたのでありまして、このことを忘れていろはのいも知らぬといって——はなはだ日本の学者に対して相済まぬ、湯川先生のような大学者もおられる。けれども今の学界でいろいろ御心配になっているような諸点は、これはまずそういうものを幾つか輸入して、日本で多少それが赤字になりましても、それを水力の利益で補うとか何とかいうことに、これは日本のエネルギーの欠乏、これを補充する。現に今来ているところのダイナマイトの社長のICCにおけるところの演説を見ましても、これは日本初めアジアの諸国、この貧乏にしてエネルギーの乏しい諸国は率先してやるべきだ、ことに日本を中心にしてやるべきだと言うているのに、日本は依然としてまだアメリカが提案しているものを受け入れるがいいか悪いかというような論議に日を暮らしているというのは、私ははなはだ不可解なんであります。でありまするから、ここに掲げてある予算は、私はこれは研究費として、それらの輸入される機械が現実に動いておっても、まだまだこの研究に向って多くの金を政府は注ぎ込まなければならぬと思うのです。決してこれは過大でない。過小であろうと思う。繰り込みまで加えてわずかに三億五千万で何の研究ができますか。おそらく最高級の科学の研究としてこんな貧弱な予算はなかろうかと思う。でありますから、ここに截然と、私どもの考えとして、経済審議庁に対しましても、そんな三年、五年の後に、わずか千キロ、二千キロの発電力を持つような原子炉をわれわれの手によって工夫専念して、日本の学者を総動員してそうしてやるなんということは、これは時代おくれです。やっぱり東洋的の、これは依然として島国根性です。学者は世界を舞台とする際におきまして、もう少し大きな心を持ってやれば、日本の学者が世界を指導することもできるんです。しかるに、これにひもがついておる、あるいはなんである、将来までも心配しないで、私は、これは動力源として、一方にどんどんとこの水力、火力並行して原子力の発電所を持つべきである。少くとも一つくらいはすぐに注文すべきである。と同時に、この研究費は大よそ年度割で今年は結局繰り越しと三億五千万、来年は五億、再来年は十億というように漸次研究費をふやし、その副産物としていい機械やいい方法を発明するということは、まことに望ましいことでありまするけれども、初めからすでにでき上った品物を自分で研究調査して苦心するということは、私はあんまり賢明なやり方とは思わない。またそれは賢明であっても国家としてはそういう遅鈍なやり方をすることは許されないと思う。もっと迅速果敢なる、私はこの原子力においては国家がいわゆる国の経費をなげうって、あるいは実業家が自分たちの資金をなげうって、そしてやるべきではないかと思うが、関係諸公、経済審議庁、技術研究所の各責任者のこれに関する所見を伺いたい。
  83. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) ただいまの御意見はまことにもっともなことだと思います。私どもも外国を回って参りまして、実際見ますとおくれてこれから原子力を始めるといううちには、やはりただいま御指摘がございましたように、すぐ公社あるいは特殊会社等を作りまして、そして実施の段階におきましては民間の資金等が主としてイニシアチブをとって開発には積極的に向うというふうな体制に大半の国家はなってございます。古くからやっておる国でも、国でやっておりました事業を順次民間の方に切りかえまして、そして民間の資金と一緒になって開発に向っていくというふうな開発形態になっていくのが、今の世界の実情でございまして、そういう点も考えあわせまして、そして今後の開発等を進めます場合には、勿論技術的な検討も必要ではございますけれども、一方動力資源等から見まして、どうしてもこの問題は慎重を要する問題ではありまするが、同時に国をあげて解決をせねばならぬ問題でもございますので、ただいまの事態等を十分考えまして、先ほども申し上げましたように、至急開発したいし、その他整備したいというふうに考えております。
  84. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) 今お話がありました点につきまして、私も原子力の研究というものは早急に進めなければならないというふうに考えておるのでございます。まあしかし、向うからいろいろな技術を持ってくるにいたしましても、われわれのところにやはり技術の目というものがどうしても私は必要であるというふうに考えるのでございます。そういうわけで、早くするということと、確実にするということとの二つの要件を満足するように、そこでわれわれは考えていかなければならないというふうに思うのでございます。この早くしなければならないという理由は、各国の状況等を見ましても、非常なテンポで進んでおるのでございますからして、われわれといたしましては、一応そういう先ほど申し上げましたような方法で、日本産業の形態というものを考えて、やるべき研究を進め、しかしながらそれで追っつかないものにつきましては、たとえば材料ならばその不足の分、あるいはいろいろな機械技術につきましても、やはりある程度間に合わないものにつきましては、輸入、導入ということも考えまして、そうして早急にするという条件を相当満足して参らなければならぬというふうに思っておる次第でございます。
  85. 小野義夫

    ○小野義夫君 私の伺いたいのは、研究はどこまでも今のように、ひとり原子力にかかわらず、その他の電波その他の問題にしても、どんどんと大いに日本は国費をもって研究をやっていく、これはこれでいい。しかし一方に、それをやるがために、日本で炉を作るまで安閑として三年、五年待って、外国に注文することをなさらないで、そうしてその研究を待っていろいろ決するというような今日の、今の国民がそういうようにも考えておるのです。国民はあなた方の研究が完成するようなことを考えておるのです。けれども、それでは私は時代にもうすでにおくれておると思う。日本の発電なるものを水力にするか火力にするかというような盛んな論議がわが国に行われておる。こういう時に今果して原子力の発電所を一カ所でも持っておれば、これはだんだんに原料が安くなったり、日本で発明されたりすることが来るであろうと思うのです。でありまするから、私はこの際学界も、大いにこの方は今の学界でやってほしい。しかしながら実業的にいわゆる動力も水力、火力並びに原子力という方へ至急にやることはどうであるかということを伺っておる。これはもっぱら審議庁長官が大いに熱をあげておるのにかかわらず、何らそれらに対しての施策なり何が述べられないということは、はなはだ残念ですが、一体どういうふうに原子力の日本の利用ということを、これでもって万事だと考えておるのか、それともその他の方法を講ずる意思があるのかどうか、一つ伺っておきたい。あなた方にお尋ねするのは少し無理かもしれない。もし何なら大臣に出てもらう。
  86. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) ごもっともなことでございまして、原子力というものの重要性から考えて、これを急速に日本においても炉ができるところにもって行く、ただ私はそのときに、やはり技術というものが日本にもなければならないということを申し上げたのでございまして、その点私が申し上げましたことが非常に十分でなかったというきらいがあるかもしらぬと思いますけれども、技術はこちらにないといたしますと、これは十分な利用という面におきまして、やはり好ましくない、むだなことになる場合もあるように考えられますので、つけ加えた次第でございます。
  87. 永岡光治

    ○永岡光治君 これと関連してお尋ねしたいわけですが、先般来の新聞の記事で、学術会議で濃縮ウラニウムを受け入れる問題について論議をされた。何やら三原則というものがあって、どうしたものだろうということで、どうまとまったか私ははっきりした結論を聞いておりませんが、その内容を、これは当然当局としてやはり関心を持っておられると思う。無責任ではないと思う。おそらくああいう問題が論議される限りにおいては、何かあるのじゃないかということを研究せられたと思うのですが、日本学術会議であのような論議をしたという経緯について、一つ説明願いたい。
  88. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) 日本学術会議におきまして、原子力の研究を推進いたしますためには、三つの原則的なことを守るようにしたい、こういうのでございまして、その三つの原則と申しますものは、原子力の研究に当りましては、公開するような工合にしたいというのが一つでございます。第二は、原子力の研究に当りましては、民主的に運営をしたいというのが第二でございます。第三は、原子力の研究に当りましては、自主的にこれをやっていくようにする。公開、民主的運営、自主性というものが三つの原則としていろいろ論議をされたのでございまして、それはこの前よりも前の総会におきまして、そういうことが論議されたのでございます。今お話がございました決議の点につきましては、濃縮ウランを受け入れるにつきましては、十分慎重にやって、今の三つの原則にもとるような場合はこれを受け入れないようにしたいという、そういう羽仁委員の御提案が論議をされたのでございます。その間にありまして、そういう決議案をお出しになったのでございますが、いろいろ検討いたしました末、その決議案を決議するということを決議しなかったと、こういう結果になったように拝承しているのでございます。
  89. 永岡光治

    ○永岡光治君 そこで、政府の立場からこの問題についての学術会議で論議になりました三原則、それはやはり正しいと考えておいでになるかどうか。
  90. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) すべて科学技術的の問題は、その結果を公開することにおいてやはり相互の進歩があるものであると考えているのでありまして、原子力に限るべき事柄ではないと私どもは考えているのでございます。しかしながら、商業上のいろいろな問題におきまして、公開ということがまたできないものもあるであろうというふうに思います。たとえば特殊の技術でありますとか、あるいは特許等におきましては、そういうこともあるというふうに考えているのであります。しかしその原則におきまして、公開ということは、これは何も原子力に限らず、すべての科学技術におきまして必要なことであると考えます。なお、第二の民主的な運営ということも、これは原子力に限らず、また科学研究のみに限らず、一般原則といたしまして、そういうことは考えていかなければならぬものであると思っております。自主性につきましても、また同じようなことであるというふうに考えているのでありまして、この方針というものは、何も原子力に限らぬものであるというふうに思うのでございますが、実際私どもといたしましては、この原則は具体的な個々の問題が起きましたときに、こういう方針でやるべき事柄である、こういうふうに思うのでありまして、三原則自体を論議するというのは、これは学問上そういうことを議論してもいいかと思いますけれども、具体的な問題に当って、そういうことで最後の目的を達するように原子力の研究というものが推進されるというふうに行けばいいのではないかと思っております。
  91. 永岡光治

    ○永岡光治君 そういたしますと、先ほど小野委員からも質問の中に出ておりましたが、確かにこれは第二次産業革命か、第三次屋業革命になるかしりませんけれども、動力における画期的な革命になるであろうことは想像にかたくないと思います。そういたしますと、今のお話でも、たれでも、そうしてまた常識的に考えられることは、技術を広く理解してもらうことが進歩に役立つことは、これも議論がないと思います。そうしますれば、公開ということは最も必要だと思う。今小野委員が言うように、日本にすみやかに技術を取り入れてどんどん発達させるという以上は、とりわけこれは公開でなければならぬだろうと思いますが、ただいまのあなたの答弁において、特許とかいろいろ言われておりますが、この公開ということをどう解釈するかという問題になりますけれども、特許をとっておりましても、いずれは漏れることだし、だがこれを強く学者の諸君がこだわっているということは、濃縮ウランの件について、何かそこに特別なこれを知られてもらっては因るというようなものが隠されているのではないかという、新聞記事を読んだ限りではそういう印象を受けると思う。そういう事実はあるのですか、ないのですか、その点をちょっとお伺いしたい。
  92. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) 濃縮ウランのことにつきまして秘密条項があるかないか、こういう御質問だと思います。これは話し合いをしてみなければほんとうはわからないと思いますけれども、アメリカ側のほうで前に言ったといって新聞に出ておりますところでは、秘密条項は含まれないというふうに言っているのでございます。先ほど私濃縮ウランの小型実験原子炉に対する三つのタイプにつきまして申し上げたのでございますが、その大きな方の部分につきまして、燃料の関係のところで非公開のものがあるということを言いましたけれども、果してどういう個所が非公開なところであるかわかりませんし、第一にあげました炉等につきましては、これは非公開の部分はないというふうに言われているのでありますから、アメリカ側が非公開の秘密条件がないと言っておりますものも、やはりいろいろ話をしてみてからでないといけないと思いますけれども、秘密条項の協定というものは結び得るだろうと、私は技術的には考えておる次第でございます。
  93. 湯山勇

    ○湯山勇君 濃縮ウランを受け入れて、今公開になっておるというウォーター・ボイラーの原子炉を作るとすれば、どのくらい日数ほかかりますか、公開になっておるものによって計算してみると。
  94. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) ウォーター・ボイラーの受け入れというのは——受け入れじゃありません、ウォーター・ボイラー・タイプ、濃縮ウランの小型実験炉をこちらで作るとしたら、どれくらいの期間が必要かという御質問でございますが、これは濃縮ウランを硫酸の塩類、すなわちウラニール・サルヘートと申しますが、これには重水を使わなくてもよいのでございまして、軽い水でいいのでございます。実際の製作に要する期間というものをどれくらいかと申しますと、設計その他いろいろ時間もかかることと思いますが、一年ないし二年くらいじゃないかというふうに考えておるのでございます。
  95. 湯山勇

    ○湯山勇君 今の、濃縮ウランを受け入れてそうして重水は要らない、そういうことになれば、しかもかりに二キロなら二キロ程度の小型を作るということであれば、これで二年もかかるでしょうか。
  96. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) やはりすっかりでき上って、これを実際に運転するというところまで持っていきますには、やっぱり一年や二年はかかるんじゃないかしらと、私は自分のまるっきり私見でございますけれども思うのでございます。実際に十キロワットのノースカロライナ州立大学で作りましたものを見ましても、でき上りましてからこれを原子力エネルギーを取り出すまでには、非常な慎重な経過でほとんど出力がないような状態にして一週間くらいはやってみて、それからそれを一キロワットぐらいに上げまして、そうしてまた相当時間やりまして、それからまたそれを二キロワットに上げまして相当やるというような工合にやっておるのを見ましても、それはウォーター・ボイラー・タイプでございますが、ある程度は時間がかかるのではないかというふうに、ただ私は私自身感じたわけでございます。
  97. 湯山勇

    ○湯山勇君 それは最初やるときはそうだと思いますけれども、実際には設計その他についても公開されておる、その操作等についても公開されておるとすれば、そのときの炉の通りではなくてはいいと思うんです。そうすると、組み立てるだけにはどれくらい日数がかかりますか。そういう性能までいかなくて、受け入れた濃縮ウランを一応炉の形に組む、そこまでにはどのくらいかかりますか。
  98. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) やはり一年くらいかかるんじゃないかしらと私は思うのでございますが、それは炉というのはそんなちょろっとしたものではございませんでございまして、ノースカロライナ州立大学の十キロワットの建設当初から写真がずっとあるのを見てみましても、ずっとコンクリートを打って、そうして十キロワットでも相当大きなコンクリートの大きさになりますし、土地に穴を掘って基礎をやりまして、そうしていろいろ炉の実体を入れますものを作っていくというふうにいたしますと、そんなに短い時間ではちょっとできないのじゃないかというふうに私は想像するのでございます。
  99. 湯山勇

    ○湯山勇君 そうしますと、先ほどの左藤委員の質問と関連してくるのですが、濃縮ウラニウムを受け入れて、先ほどのお話ではただ技術的な訓練が中心だ、こういうお話ですけれども、それだってとにかく一応の動き出すまでには二年はかかる。それならば当初の計画通りに天然ウラニウム重水炉にして、そのまま一本でやっていっても、五年向うでは一千キロのものができる。全く小型のほとんど役に立たないものとしてこういう濃縮ウラニウム炉を作ることが、日本全体の原子力開発のためいいのか、一本でやるほうがいいのか。今の年数の計算からいえば、私、疑問じゃないかと思うのですが、先ほどお話のように果して五年向うで今のままでいって、一千キロの実験炉ができる確信があるのでしょうか。
  100. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) 私はやはり非常に小型の濃縮用の実験原子炉があったほうが、その後のものが非常に促進されますし、またそれが確実なものを作る上に、非常に役に立つのじゃないかというふうに考えております。まあ一年か一年半か二年かわかりませんが、それでもしできますならば、直ちに人がこれになれる、人の訓練ということもできますし、それから、材料のいろいろなこまかい試験というものが、ある程度はそれでできますし、それからそれがありますと、炉の設計というものを計算だけではなくて、いろいろチェックすることができるわけでございますからして、そういうものがあれば非常に役に立つ、そうしてそのあとの方の天然ウラニウム重水の炉というものもできるというふうに考えておりますが、さらにさらに確実になってくるということは言われると思います。
  101. 湯山勇

    ○湯山勇君 議論をするという意味じゃございませんけれども、技術の訓練ということであれば、これだけのものがあれば、とにかくアメリカならアメリカへ何百人か人を送って、十分実物について技術の訓練も受けられると思うのです。そこで究極の目的がとにかくも原子炉を作るということであれば、そういう方法を端的にとるのもいいと思うのですけれども、先ほどから御要望がありますように、ただ実験用原子炉を作れば足りるというのじゃなくて、将来大きく開発して行こうということであれば、今のお話のように濃縮ウラニウムで作る炉というものは、将来われわれ考えて——皆さん考えていらっしゃるものとは根本的に様式が違っていく。ですから実際はこの炉そのものが、今おっしゃったように将来作ろうとする原子炉の基礎にはならないわけです。一部役には立ちますけれども基礎にはならない。そういうことであれば、今回濃縮ウラニウムを受け入れる、こういうことのためには今まで計画していた百キロの実験原子炉なり、あるいはまた変更されようとしている一万キロの多目的なものになろうとしても、これを受け入れて、これはもう受け入れてどういうものができるということははっきりわかっているわけですから、濃縮ウラニウムについてはそうすると、それによって今考えているこの一万キロなり千キロなりのものがどれだけどうなるのか、どうプラスになるのか、こういう比較検討が必要だと思います。そういう比較検討をどのようにされておるか、これを承わりたいと思います。
  102. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) 濃縮ウランの小型実験炉ができた場合は、千キロなり一万キロの天然ウラン重水の炉というものの上に、人の面、材料の面、設計の面等において非常に役に立つということでこれを先ほど申し上げました次第でございますが、それでまあアメリカ等の例を見ましても、小型の濃縮ウランを使います炉というものは、これは一つの教育機関などにおきます道具と考えておるのでございまして、すでに例を申しましたノース・カロライナの大学のほかにも数校持っておるわけでございます。さらに、大学全体といたしまして、二十くらいの大学が実験用の原子炉を持とうとしていろいろ計画いたしておるような次第でございます。そういうようなことで、第一号天然ウラニウム重水の炉に対して重要であるばかりでなく、やはり今後の原子力の研究にしましても、濃縮ウランの小型のものは小型のものなりに役に非常に立つものだというふうに考えられるのでございます。
  103. 湯山勇

    ○湯山勇君 私は今の御説明は逆じゃないかと思うのです。そうしてまたそういうように解釈しなければならないではないかと思うのですが、濃縮ウラニウムの原子炉というものは、今おっしゃったように大学研究等に使われる程度のものである。そうして実用になる多目的な、あるいはそれが実験用をかねたにしても、そういうものと切り離して、若干の助けになることは事実ですが、それよりむしろ学校教育とそれから実際の実社会の教育とか、そういうものくらいのへだたりがあるのだから、濃縮ウラニウムの原子炉というものが今日こういう工業技術院で考えておられる重水天然ウラニウム原子炉と、そう大してこれが踏み台になってこうだとか、これがなければできないとか、そういう性格のものではなくして、一般的に今おっしゃったような学校でもこういう基礎的な訓練をするのだ、教育をするのだ、その程度のものだというような把握が正しいのじゃないかと思うのですが、この点いかがですか。
  104. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) 何しろ日本におきましては、まだ原子炉なるものが一つもないのでございますから、天然ウラニウム重水の炉を促進するという上には、それがあるということはやはり大きな役割を果してくれるものであると考えるのでございます。だんだん進んで参りますと、一つの高価な実験用の機械というふうにはなるかもしれませんけれども、現在の段階におきましては、やはり天然ウラニウム重水というものの炉をやります上の方に一応重点を置くのが妥当ではないか、というように考えております。
  105. 湯山勇

    ○湯山勇君 それでは私はもう少し具体的に聞きたいのですけれども、今いろいろおっしゃいましたが、ただ訓練ということは私もわかりますが、その他の面でどれだけ役に立つか、それがあるために既定の計画ですね。五カ年向うで千キロのものができ上る、それに対してどれだけの貢献をするか、具体的に私は一つ文書にしてでもお示しを願いたいと思います。それで大体いまの抽象的なことだけでは役に立たないと私は言い切れません。おっしゃる通りだけれども、その程度というものがきわめて私はそういう面で低いと思うから、で、一つもう少しはっきりした資料なり、あるいは文書なりでその点をお示し願いたい、これを御承諾願えますか。
  106. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) 訓練のことはそうでございますが、材料試験と申しますのは、やはり日本でできますところのたとえば黒鉛というようなものをとりましても、それを中性子を当てる実験をやってみれば非常にはっきりするわけでございます。中性子源といたしまして、いまの天然濃縮ウランというものの炉というものが非常に役に立つわけでございますが、それは黒鉛というものを一つとって申し上げましただけでございますが、その他の材料につきましてもやはり同じことが言われるわけでございます。それを金で幾らだけ節約になるのだということにつきましては、それを金で見積るということがなかなかむずかしいのじゃないかというふうに考えられますので、しかし、定性的のことでございますれば、文書をもって、あるいは説明書のようなものを差し上げるようにいたしたいと思っております。
  107. 湯山勇

    ○湯山勇君 それは定性的なものでけっこうですけれども、今おっしゃったようなことは理由にならないと思うのです。と申しますのは、今出しておられるこの説明書は、これは濃縮ウランの炉がない前提のもとにやっておられるわけでしょう。先ほど御説明のこの資料はそうなっていますね。そうすると、これにだってやはりいまの石墨の製造ということが入っているわけです。このときにはそういうものがなくてこれができるようなプランになっているし、しかも石墨というものは要らないのじゃないかという疑問があるだろうと思って、御丁寧にこれはこういう何といいますか、必要だという御説明もあったわけだから、そうするとそういう炉があろうがなかろうが、やはり石墨はできる、そこに使える、石墨はできるという見通しがこの面ではちゃんと出たわけであります、あなたの方の計画では。だから今あらためてこれがなければできない、濃縮ウランの炉がなければできないということには今のお話ではならないわけです。そうすると、どうもこの計画のために濃縮ウラニウムの炉が必要だということの理由が明確にならない。今御説明になった点におきましても、そういうものがなくてもちゃんと石墨の製造は研究されているわけですから、この過程でそういうものが要するということは別ですが、これはそうでないと思いますから、そこでそういうことが納得がいくような資料が出していただければけっこうですけれども、今の御説明だけではどうも私納得できないのですが。
  108. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) この濃縮ウランの小型実験炉がないと天然ウランの重水の炉ができないということはない、これはたしかにそうでございます。しかしながら濃縮ウランの小型実験炉があれば、この天然ウラン重水の炉というものは、仕事はさらに促進される、さらに確実なデータのもとにやり得る、こういう関係でございますので、あった方が非常にいいと、そういう意味でございます。
  109. 湯山勇

    ○湯山勇君 けっこうですから、そういうとにかく説明の資料を出していただいて、私の方でそれを見せていただいてからあらためて質問します。
  110. 館哲二

    委員長館哲二君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十一分散会