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1955-05-20 第22回国会 参議院 予算委員会 第12号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十年五月二十日(金曜日) 午後一時三十九分開会
—————————————
出席者
は左の通り。
委員長
館
哲二
君 理事
池田宇右衞門
君
石原幹市郎
君
西郷吉之助
君 豊田
雅孝
君 堀木 鎌三君
委員
秋山俊一郎
君 伊能 芳雄君 植竹 春彦君 小野 義夫君 木村 守江君
左藤
義詮君
佐藤清一郎
君 田中 啓一君 西岡 ハル君 堀 末治君 安井 謙君 吉田
萬次
君 小林 政夫君
秋山
長造
君 久保 等君 永岡 光治君 湯山 勇君 石坂 豊一君 武藤 常介君
政府委員
経済審議庁計画
部長
佐々木義武
君
外務省国際協力
局長
河崎 一郎君
大蔵省主計局次
長 正
示啓次郎
君
文部大臣官房会
計課長 北岡 健二君
文部省調査局長
内藤誉三郎
君
工業技術院長
駒形 作次君
事務局側
常任委員会専門
員
野津高次郎
君
常任委員会専門
員
長谷川喜作
君
常任委員会専門
員 正木 千冬君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
昭和
三十
年度
一般会計予算
(内閣送 付、
予備審査
) ○
昭和
三十
年度
特別会計予算
(内閣送 付、
予備審査
) ○
昭和
三十
年度
政府関係機関予算
(内 閣送付、
予備審査
)
—————————————
館哲二
1
○
委員長
(
館哲二
君) それではこれから
委員会
を開きます。 本日は
文教対策
について御
審査
をいただくことになっております。なお、引き続いて原子力問題についても御
審査
をいただきたいということになっております。 今週までの
予定
は立てておいたのですが、来週のことにつきまして、今まで
審査
ができなかったのは、
建設省関係
の
公共事業
の問題、
地方財政
の問題、
中小企業対策
の問題があるのでありまして、これは来週の二十四日火曜日に、午前に
中小企業対策
の問題を審議し、午後
地方財政
の問題を御
審査
いただき、二十五日の午前には
建設省関係
の
公共事業
の御
審査
をいただくということに一応きめておきたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
館哲二
2
○
委員長
(
館哲二
君) それではそういうことで取り計らいまして、また改めて御通知は差し上げることにいたします。 それでは本日は
文教対策
の問題につきまして御
審査
をいただきます。
文部省
の方から
説明
を聞き取ることにいたします。
内藤調査局長
。
内藤誉三郎
3
○
政府委員
(
内藤誉三郎
君) お手元に配布いたしました
昭和
三十
年度
概算要求額事項別表
というのがございますが、それに従いまして御説明を申し上げたいと存じます。 本
年度
の
文教予算
の総額は、一番
最後
の
ページ
に出ておりますように千二百三十一億円でありまして、これを前
年度
予算額
千百九十一億円に比較いたしますと約四十億円の
増加
となっております。しかし前
年度
予算
の中には
義務教育費
の
国庫負担金
の
過年度分
といたしまして八億二千八百万円が含まれておりますので、それは当然減にいたしますと、そのほかに災害の
復旧費
が前
年度
十三億ほど計上されておったのですが、本
年度
は七億円で一応完成することになっておりますので、両方合わせますと実質的には五十四億三千万円の
増加
となっておるのであります。このほかに
松方コレクション
の
建設費
の
予算外契約
一億円を加えますと約五十五億三千万円という
増加
でございます。さらに未決な
事項
といたしまして、
学校給食
の
助成
につきましては、これは
余剰農産物
との
関連
において処理するということで話し合いがついておりますので、この
関係
が将来
文部省予算
に移しかえが行われると思うのであります。これは農林省の
食管特別会計
との
関連
でございます。 以下この別表に従いましておもな点を申し上げさしていただきたいと思います。 第一番目の
義務教育
の充実でございますが、前
年度
予算額
が七百十億と出ておりますが、それが
昭和
三十
年度要求額
七百三十九億、その一番初めの
義務教育費国庫負担制度
の実施のところが七百八億二千八百万円、この八億二千八百万円というのが、
昭和
二十八
年度
の
負担金
の清算した分が八億二千八百万円ですから、これは
過年度支出
として補正で計上いたしたのであります。当初
予算
は七百億となっておりまして、それに対しまして本
年度要求額
は七百三十七億でございます。この七百三十七億は、主としてこの
昭和
三十
年度
に
児童生徒
が約七十七万人
増加
いたしますので、それに要する教員といたしまして一万二千五百人の増員を見込んでおるのであります。そのほかにこの
義務教育費国庫負担制度
は、各
都道府県
が出した実
支出額
の二分の一を
負担
するという法律の建前になっておりますが、ただし書きがございまして、ただし特別の事情あるときは
政令
をもって各
都道府県
の
負担金
の
最高限度
をきめることができるというのがございます。それで
政令
によって、実
支出
でなくて
頭打ち
になっておる
府県
が相当あるのでございます。その
頭打ち
になっておるのはどういう
府県
を
対象
にするのかと申しますと
東京
、
大阪
、
神奈川
のように
交付税交付金
を一文ももらっていない、いわゆる
交付金
の不
交付団体
でございます。それから二番目は、比較的
富裕団体
と申しまして、これはそれ以外に約十四県ほどあるのですが、この県は、
地方税収入
と
交付税交付金
とが半々になっておればいいのですが、半々より少しでも
地方税収入
が多い
府県
は比較的
富裕県
と申しまして、この県は全部
政令
で
頭打ち
になっておるのであります。こういう県が全国で十七県ございまして、そのうち三県は
東京
、
大阪
、
神奈川
のように一文も
交付金
をもらっていない団体です。そこでこのたびは
義務教育費国庫負担法
の本来の
趣旨
である実
支出
の二分の一という
趣旨
を貫くために、
東京
、
大阪
、
神奈川
の三県だけを
対象
にいたしまして、自余の十四県につきましては実
支出
の二分の一
負担
にいたしたわけであります。その方の
関係等
もございまして、そこに約三十七億の
増額
が見込まれたわけであります。 それからそのほかに二番目の
特殊教育
の
振興
でございますが、
特殊教育
の
振興
のうち一番目の
盲ろう児童就学奨励
、これが前
年度
より二千五百万
程度
ふえておるのでございます。
盲ろう児童
の
就学奨励
につきましては盲
学校
、
ろう学校
の
児童
は大体貧困でございますので、現在実施しておりますのは教科書を全員に
無償
でやっております。そのほか
寄宿雑費
を六割
程度無償
でやっておるわけでございます。それからそのほかに昼の
給食
は六割を
無償
でやっておる。本年
予算
増額
いたしましたのは、寄宿舎におって朝と
晩食事
をしますので、朝と晩の食事を困っておる者に対して
無償
でいたしたいというのでここに
増額
をいたしたわけであります。
特殊教育
の点で特に申し上げておきたいのは、
最後
の四番目にございます
特殊教育施設整備
、これが千七百万ほど入っておりますが、これは身体不自由、
精神薄弱
の、いわゆる特殊な
学校
、私
ども
がいわゆる
養護学校
と申しますが、それの
建築費
の
補助
でございます。具体的には
東京
と
大阪
を考慮しておるのであります。 三番目の
へき地教育
の
振興
でございますが、これも
へき地教育振興法
に基きまして先年来力を入れておるのですが、その中で本年特に考慮いたしましたのは、六番目の
へき地
の
小中学校
の
教職員
の
宿舎建築費補助
、これが前年千万
足らず
でございましたのを二千四百五十三万六千円にこれを
増額
したのであります。これは教員の住宅を倍くらいに
増加
したい、倍と申しましても数は大体二百五、六十戸を予定しております。それは三分の一
補助
にいたしたわけであります。従来四分の一
補助
であったのを三分の一
補助
に引き上げたのであります。それからその次に、七番目に
へき地
の
公立小中学校
の
施設整備
、これが前年九千万
程度
でしたのが九千九百万、約千万円
足らず
増額
したわけであります。これは
小中学校
の
集会室
の
整備
。その八番目に
へき地手当
の
増額
で、カッコしてありますが、二千二百万円の増を見てあります。これは
へき地
の
先生方
は現在非常に待遇が悪いのでございますので、できるだけ引き上げたいという
趣旨
から
へき地手当
というものが支給されております。で、一番
へき地
のところでは最高千二百円ぐらい出しておるのであります。
へき地
には五
段階
ほど
段階
がございまして、それぞれ単価が違うのでございますが、ここで申し上げたいのは単、
複学級
、いわゆる一年から六年まで全部一クラスで教えている
単級学校
、それから四学年までをまとめて教えている分が
複式学級
と申しますが、この複式と単級の手当を約三倍
程度
に引き上げた額であります。これは少し
増額
いたしたわけであります。 それから四番目の
学校給食
の
助成
、これは前年よりは若干の
増加
で、約七百万
程度
の
増額
になっておりますが、このうち
施設
の
整備費
が五千万、これはだんだんと
学校給食
が普及いたして参りますが、そのためにはどうしても建物と設備を充実しなければならない、こういう観点から昨年から実施して参ったのであります。それから二番目の
日本学校給食会
の
補助
、約一千百万円ほど計上されておりますが、これはこの
給食
の
事務
をまあ
政府
の
代行機関
のような形で
給食会
がいたしておるのであります。これは前年四百万
足らず
でありましたが、七百万ほどの
増額
をいたしましたのは、
全額事務費
を国で持つという
考え方
に基いたものであります。これは私
ども
としては、
特殊法人
にいたして、
政府
の監督を強化して、
学校給食
をうまく運営していきたいということでございます。これは先ほど申しましたように、
学校給食
につきましてはまだ
余剰農産物
の
関係
がはっきりいたしませんが、大体今まで私
ども
が把握しておりますところによりますと、千五百万ドルの、小麦がそのうち千二百万ドルと三百万ドルの綿花を
無償贈与
をされることになっておりますので、それと
関連
いたしまして、
食管特別会計
の方に従来、小麦の原麦の半額が
政府
の
補助
になっておりますので、その
関係
で多少余裕が食管の方に出ると思うのでありまして、それとの
関連
において、さらに私
ども
の
考え方
といたしましては、非常に貧乏な子供は
生活保護法
で救われますが、
生活保護法
の
対象
になりませんが、公私の扶助を受けておるというような
児童
が約二十万ぐらいおりますので、これに
無償
で
給食
を支給いたしたいと考えて、それの問題と、それからさらに
給食設備
の
増額
をいたしたいと考えておりまして、この
余剰農産物
の
関係
が明らかになりましたら、将来
予算
の移しかえを行う
措置
を
予算総則
十八条に規定しておいたのであります。 それから次の二番目の、
教育内容
の
改善充実
でございますが、一の
教育内容
の
刷新改善
と申しますのは、これは主として
占領下
に作られたいろいろな
教育内容
上困る点もございますので、それを指導するところの
学習指導要領
の改訂と、それからそれに伴って教師の
手引書等
の改訂、さらにそれの
趣旨徹底
をはかるというような点から、前
年度
予算
よりも額はわずかでありますが、
増額
をいたしたのであります。 それから次の二番目の
産業教育
の
振興
につきましては、これは相当
補助金整理
で非常な大幅な整理を受けたのでありますが、大体二割
程度
の削減に食いとめたわけであります。この中では特に
産業教育
につきましては、
高等学校
の
設備費
が、
皆さん方
のおかげで非常に充実して参りましたので、当初の
計画
は、基準の七割を目標にいたしまして、五カ年
計画
で完成するということでございましたので、
昭和
三十一年に一応七〇%までは完了するという点もございまして、この
予算
が相当きびしい
節約
を受けたわけでありますが、
復活要求
の
最後
の
段階
におきまして承認されて、大体二割
程度
の
節約
にとどめたのであります。
節約
の話が出ましたが、原則として
各省共通
でございますが、一五%の
事務費
、
補助費
の
節約
を受けておりますので、特に重要なものにつきましては私
ども
は
節約率
を低減するような方針で参ったのであります。 その次に申し上げます理科と
学校図書館
、これは大体一割
程度
の
節約
にとどめた、一割五分のところを、特に重要だという点で一割にとどめたのであります。 それから、その次の
ページ
に入りまして、三の
文教施設
の
整備
でございますが、それの一は、
国立文教施設
の
整備
、これは前年よりも約三億ほど、二億九千二百万円の増になっておるのであります。主として今まで
老朽校舎等
が
国立
では進んでおりませんので、
戦災復旧
と
老朽校舎
の改築に重点を置いたわけであります。大体
国立学校
といたしましては、百億
程度
あれば何とか
緊急整備
ができますので、その四分の一
程度
を見込んだのであります。 それから二番目の
公立文教施設
の
整備
は、その
カッコ書き
の方が、
文教施設
の
整備
の
予算
に出る数字でございます。前年五十六億が五十四億九千万、約一億四千万の減になっております。これは一般的には
公共事業
は原則として一五%の
節約
を受けたのですが、特に
学校
につきましては七%の
節約
で話をまとめたわけですが、特にそのうち
戦災復旧
とか、あるいは
危険校舎
については、さらに不
正常授業
の解消、こういうもの、そのほかに
特殊教育
、こういう点は若干ではございますが、それぞれ
増額
したわけであります。 で、内の
公立
諸
学校
の
危険校舎改築
は約八千五百万円の増になっておりますが、これは、このたびは特に
高等学校
も
国庫補助
の
対象
にするという
考え方
からこの
増額
を見たのであります。
あと
は大体ほぼ前年
同額程度
であります。 それから先ほど申しました(ト)の
特殊教育
でございますが、千七百四十八万二千円、これは新規に計上したのであります。
特殊教育振興
の
趣旨
からでございます。 それから、その三の
公立文教施設
の
災害復旧
でございますが、これが先ほど申し上げましたように、前年十二億七千五百万が本年は六億七千六百万で、一応完了することになっておりますので、約六億ほど当然減でございます。 それから四番目の
学術振興
でございますが、
学術振興
のうち、一の
科学研究費
の
拡充
です。これは前年八億五千五百万円が、特に
重要政策
という点から十億五千万に、約二億の
増額
をしたわけでありますが、そのうち特に私
ども
が
増額
いたしましたのは、
科学研究費交付金
の
関係
を約五億円、それから
最後
の、七番目の、
化学研究促進補助金
、これを新たに一億五千万円見込んだのであります。七番目が新規の
要求事項
であります。特に資源の乏しいわが国におきまして、
化学
の力によって日本の産業あるいは経済の面に、生活の面における画期的な
振興
をはかろうという
趣旨
からでございます。 それから二番目の
在外研究員
の
派遣費
六千万円、これは
文部省予算
におきまして、唯一の例外として削減を受けなかった
経費
であります。
節約
を免除したのであります。それから三番目の
学術情報事業
の
拡充
、これは若干の
節約
を受けております。
民間学術団体
の
補助
、これもほぼ前年
同額程度
であります。 五番目の、
国際文化
の交流、これが前年千八百万が、二千五百万、約七百万の
増額
になっておりますが、これは、このうち大きな
経費
は、二番目の
外国人学生招致
、
外国人
を毎年三十人ぐらい呼んでおりますので、そのうち
東南アジア関係
が二十一万、そのほかの
欧米各国
が九名ほど招致しておるのですが、それの
学年進行
に伴う分であります。それから三番目の、
在外教育学術文化担当官設置
、これがいわゆる
文化アタッシェ
と称せられるものですが、これは一名増員を認められたのですが、
文部省
の
予算定員
から一名減にいたしまして、
外務省
に一名増をみたわけでありまして、そのかわり
文部省
の
経費
を百万円減らして、
外務省所管
の
経費
を一千万円ほど
増額
したのであります。これは
文部省予算
では現に
三角印
になっております。それ以外には大体前年
同額程度
でございます。 五番目の
勤労青少年教育
の
振興
でございますが、一番目の
定時制高校
及び
通信教育
の
整備
、これは先ほど申しました一五%の
節約
を、特に重要であるという点から一〇%
程度
にとどめたのであります。次の
青年学級
につきましても同様であります。 六番目の
育英事業
の
拡充
、これは
政府
の
重点政策
の
一つ
でございますが、(1)の
日本育英会事業
の
拡充
で、前年三十八億七千九百万円が四十一億二千七百万円で、約二億五千万円の
増額
をみておるのであります。これは
増額
の大きな点は、従来
大学
については、二〇%に月額二千円支給貸与しておったのですが、これをそのうちさらに成績優秀で、経済的困難な者につきましては、そのうちの一割に限って二千五百円の道を開いておったのであります。ところがこれを三割に
拡充
いたしまして、三割を三千円に引き上げたのであります。ですから成績優秀で経済的に困難な者につきましては、今後できるだけアルバイトしないで、学業に専心できるような
措置
を講じたのであります。そのほかに、新しく
大学院
が生れましたので、
大学院
の
博士課程
に就学する者につきましては、
修士課程
と同様に、月額一万円と六千円の二口を設けて貸与することにいたしたのであります。その
経費
、さらに
定時制高等学校
の従来の
奨学費
につきましては、総員の一%を支給しておったのですが、これを二%に引き上げたのであります。
貸与率
を二%に引き上げてする。そういう点でこれが
増額
をいたしたのであります。それから
あと
は若干の
節約
を受けた
程度
でございます。 七番目の
私立学校
の
助成
でございますが、そのうち(1)の
私立学校教職員共済組合事業費補助
、これが千百七十万円増になっております。このうち、これは主として
私立学校教職員共済組合
は非常に
事務
が繁雑でありまして、
事務量
が
増加
しておりますので、特に
公立
や
国家公務員
の場合と違いまして相当複雑になっておりますので、その
関係
で
事務費
の増をみたのであります。それから次に
私立学校振興会出資金
、これは前年五億の七億五千万、二億五千万の
増額
になっておるのであります。 ただいま
私学共済
の点で申し落しましたが、
私学共済
の中には従来
恩給財団
がありまして、その
恩給財団
に加入しているところの
教職員
につきまして、その
給付額
を引き上げる
措置
を講ずるように要求しておりましたが、この点につきましては
私学振興会
の
剰余金
をもって充てるということで
大蔵当局
と了解がついておるのであります。 それから八番目の
教育委員会
の
運営指導
、これは
市町村教育委員会
の
事務局
の職員の
研修費
でございましたが、これが減になりましたのは、
市町村
の方の
教育委員会研修
の
計画
が一応完了いたしましたので、
都道府県
の分だけをそこに三十四万
程度
計上したわけであります。 九番目の
社会教育
の
助成
でございますが、これが前
年度
よりは相当
増額
されておりますのは、特に一番目の
社会教育特別助成金
、これを新しく創設いたしまして、一億二千万円計上したわけであります。この一億二千万円のうち五千万円が新
生活運動
に必要な
経費
として、
あと
の残りの七千万円が
青少年
の
活動
を
促進
する、こういう点で今いろいろと、特に放送、映画、あるいは
読書指導
、こういうような観点から
青少年
の
活動
を
促進
しようという
経費
でございます。この(1)が新しい
経費
でありまして、
あと
は大体前年
同額程度
、若干の
節約
を受けておる
程度
であります。このほかに
フランス美術館
につきましては
債務負担行為
といたしまして一億円の
予算外契約
を認められておるわけであります。 それから次に十番の
ユネスコ活動
の
促進
と
文化財保護事業
の強化、
ユネスコ国内委員会
の
事業
の
促進
、これは大体前年
回顧程度
で、まあ若干の
節約
を受けたのであります。
文化財
の
保存事業費
は約六千三百万ほどの減になっておりますが、このうち前
年度
約四千万円
程度法隆寺
の
建築費
が計上されておったのですが、
法隆寺
が完成いたしましたので、それの減に伴いまして、
あと
は若干の
節約
を受けた
程度
でございます。 その他は雑件でございまして、雑件のうち
教職員
の
保健管理
、
幼稚園教育
の
振興
、
広報活動
、
文化功労者年金
、大体前年
同韻程度
であります。
広報活動
が
増額
いたしましたのは、これは従来
文部広報
を
市町村
の
教育委員会
まで配付しておったのですが、これを各
小中学校
、
高等学校
まで、各
学校
まで配付するための
経費
でございます。 それから
文化功労者年金
につきましては、大体十名
程度
を
功労者
としていたしたいという考えで、二百五十万円ふやしたわけであります。一人五十万円でございますから二百五十万円ですと五人ですが、このほかに現在五人ほど欠員がございますので、二百五十万円の
増額
をいたしますならば、今のところ十人
程度
を
文化功労者
として年金を支給することができるということであります。 その他につきましては一応十二番目はその計算をしただけでございます。 十三の
国立学校費
、このうち
国立学校
の小計を見ていただきますと、前年二百九十八億が三百九億、十億六千九百万円の
増額
になっております。このうち特にふえましたのは、
一つ
は
学年進行等
の
経常的経費
の増によるものと、もう
一つ
は特に
科学振興
の
関係
でございます。この中に
原子核
の
研究所
の
経費
といたしまして二億五千万円が計上されております。それから
文教施設
の方に、建物の
整備費
として、
原子核研究所
について前年に引き続きまして約一億
程度
見込んでおるのであります。そのほかにロケットの
研究
とかあるいは
大型構造物試験機
とか、風洞とか、極低温の装置、
地震研究所
の
爆破装置
、そういうような点や、さらに東大の
理工学研究所
の
航空部門
の増設、あるいは
応用微生物研究所
の
拡充等
の
経費
、さらに東北
大学
の
排水溶液研究所
の
トロポロイド化学部門
の新設、そういうような
科学振興
に伴う
経費
がこの中に相当、約五億
程度
見込まれておるのであります。このほか
国立学校
につきましては、そのほかに学部の
設置
といたしまして、
大阪
大学
に薬学部を分離独立するということ、あるいは弘前、佐賀両
大学
に
農学部
を
設置
する、神戸
大学
に法学部の
夜間課程
を
設置
すること。あるいは
県立大学
の
国立移管
としては、鹿児島
大学
の工学部と医学部を、それから香川
大学
に
農学部
、これは
香川県立農科大学
を
農学部
にしたわけであります。さらに
短期大学
の
設置
では茨城
大学
に
工業短期大学
、静岡
大学
には
法経短期大学
を県立から
国立
に移管する問題があるのであります。 学科の新設では
京都大学
に新しく
航空学科
を
設置
すること。富山
大学
に
機械工業科
、工学科、室蘭工業
大学
に
機械科
、こういうような学部、
学科等
の
設置
がこの中に含まれておるのであります。 以上で前
年度
予算
千百九十一億に対しまして千二百三十一億、三十九億四千二百万円の増でございます。 以上簡単でございますが、
文部省所管
の
文教予算
について申し上げた次第であります。
館哲二
4
○
委員長
(
館哲二
君) 質疑がございましたら……。
秋山長造
5
○
秋山長造
君
国立大学
のことをちょっとお伺いしたいと思います。
全国
にいろいろ
大学
があるのですが、
国立大学
がたくさんあるのです。その
国立大学
の
建設
がまだほとんどこれは
建設過程
であって、完成しているところは少いのじゃないかと思う、
新制大学
は……。その
国立大学
の
建設費
について、
地方
の県なり
市町村
なり
地元負担
と言いますか、
地元寄付
というものを
建設費
の中にはっきりと
予定
をして、そうして
建設計画
を立ててやっておられるだろうと思のです。そうなりますと、今
地方財政
がどこも非常に苦しい。そこで今度の国会でも
地方財政再建促進特別措置法
というような
法律
を出されるようです。それからまたそのほかにも
地方財政法等
の改正をやりまして、そうして国に対する
地方団体
の
寄付
というものを押えようということを考えておる。それが通りますと、これは
新制大学
の
建設
ということは一そうテムポが遅れてくるのではないか。またそれだけ
文部省
のほうでも、それによって出てきた穴を何とかしなければならぬという問題が出てくる、そういう問題はどうされるのかお伺いしたい。
内藤誉三郎
6
○
政府委員
(
内藤誉三郎
君) お話のように
新制大学
につきまして
地方
の公共
団体
の
寄付
の問題が再建
整備
法等で問題になっていることは御承知の通りでございます。御
趣旨
については私
ども
も全く同感でございまして、国が
措置
すべきものを
地方
にお願いするのは、はなはだおもしろくないと思っております。しかしながらこの中にもいろいろと性質がございまして、
県立
から
国立
へ移管のものもございまして、当然県で
建物
設備
を
措置
するから国に移管してくれというような条件でされたものもございまして、この場合には、ある意味で経常費が浮きますので
地方財政
を救い得ると私
ども
も考えております。そういう約束されたもの、すでに約束されたものについては、私
ども
としては除外していただきたい。今後につきましてはできるだけ国の
予算
を
増額
していただきまして、
地方
に御迷惑のかからないような
措置
を講じていきたい、かように考えております。
秋山長造
7
○
秋山長造
君 具体的にそういう条件のついている場合はどのくらいあるのかをお伺いしたい。
内藤誉三郎
8
○
政府委員
(
内藤誉三郎
君) これは特に移管の分は全部ついております。というのは、移管の場合には
施設
を全部
整備
して移管するということになっておりますから、今までに
県立
からの移管のきまったものが
相当
ございます。それからそれ以外に、私
ども
は
昭和
二十四年に
新制大学
を
設置
するに際しまして、地元の
寄付
を
相当
仰いでおりまして、これが継続的になっておりますので、大部分完了したところもございますし、まだ残っているところもございますが、もう一、二年ぐらいで全部終ると思います。その分はできるだけ
寄付
金禁止に例外として除外さしていただきたい。そういうふうなことで自治庁あるいは大蔵省とも交渉しているのであります。
秋山長造
9
○
秋山長造
君 それはいいですけれ
ども
、具体的に、たとえば
県立
から
国立
に移管された
大学
が幾らあるか。それからその場合に県のほうから国のほうに対してどれだけの金額の
寄付
金を約束しているのか、具体的な数字です。それからさらにその他の
新制大学
で、とにかくぜひ作ってもらいたいという誘致運動をやったその代償として今後何カ年間かにこれだけ
寄付
をするという約束をしておるわけです。
県立
から移管した以外に、そういう
大学
が幾つあって、どれだけの
寄付
総額になるのか、約束しているのは総額になるのかということが知りたいのです。
内藤誉三郎
10
○
政府委員
(
内藤誉三郎
君) その調べはございますが、今日手元に持っておりませんので、後刻お届けいたしたいと思いますが、
原則
といたしましては旧制
大学
以外のものはほとんど何らかの形で
寄付
をあおいでおると思っております。と申しますのは、移管のものが
相当
ございますし、そのほかに
学部
あるいは
学科
あるいは
短期大学
等の創設に当って、地元の要望が非常に強いので、これこれの額を出すからぜひ作ってほしいというような、私
ども
としてはむしろ既設のものを
充実
したいという
趣旨
で参っておるのですが、そういうものが
相当
ございますので、まあそのお約束の分だけはやっていただきたい。そこで数字につきましては調べがございますが、今ちょっと手元にないのでお待ちいただきたいと思います。
館哲二
11
○
委員長
(
館哲二
君) 後ほど出していただきます。
秋山長造
12
○
秋山長造
君 出していただくついでにもう少し詳しくですね、終戦後新制度が施行になってから以来の統計を、詳しいものを出していただきたい。お願いします。それでその統計の中には、たとえば
地方
が国の方と総額においてどれだけの約束をしておる。そして今日までにどれだけそれが履行されて、
あと
債務がどれだけ残っているかというようなところまで、詳しく何か表にでもして出して頂けませんか。
内藤誉三郎
13
○
政府委員
(
内藤誉三郎
君) 承知いたしました。
湯山勇
14
○湯山勇君
義務教育
の
充実
のところでですね、本
年度
は七十七万の
児童生徒
増に対して
教員
を一万二千五百名、これはどういう基礎による計算でしょうか。
内藤誉三郎
15
○
政府委員
(
内藤誉三郎
君) 先ほど申し上げましたように、
東京
、
大阪
、
神奈川
は
政令
県でございますので、
政令
県につきましては、小
学校
は十二分の十三、中
学校
は九分の十三という学級数を推定いたしまして、ただいま申したような比率を乗じたのであります。それからその他の
府県
につきましては、実績をはじきまして、前
年度
の実績を考慮いたしまして七十七万の
増加
に対応するものではじきますと今申しました十二分の十三、あるいは九分の十三というのが大体実績でございますので、この
増加
学級に対する比率で計算したわけであります。
湯山勇
16
○湯山勇君 これは今の御
説明
では、実績を考慮してと言われましたけれ
ども
、本当に実績を考慮しておりますか。それを切り下げたりしませんか。
内藤誉三郎
17
○
政府委員
(
内藤誉三郎
君) この点は完全に実績に基いて私
ども
もそういう数字をはじき出したわけであります。各県別の表をとりまして、
全国
平均の実績でございます。
湯山勇
18
○湯山勇君 それはいつの実績ですか。
内藤誉三郎
19
○
政府委員
(
内藤誉三郎
君) これは最近の最も新しい実績でございます。
湯山勇
20
○湯山勇君 それはいつですか。
内藤誉三郎
21
○
政府委員
(
内藤誉三郎
君) 統計でとっている資料は二十九年五月一日の統計が一番新しい数字でございますので、その数字を基礎にいたしました。
湯山勇
22
○湯山勇君 これはまたもう少し詳しく聞きたいと思いますけれ
ども
、恐らく今おっしゃったのと違うと思います。というのは私この前の暫定
予算
のときにいろいろお聞きしたのですけれ
ども
、そのときのお話では、自治庁の方で大体無理しながら一万二千名
程度
ふえているのじゃないかという推定の発表がありました。しかしながら実際に計算してみますと、
政令
による不交付県をのけましても、こういうことではなくて、もっとふえなければならないはずです。そのことにつきましては、昨年の基準は基準を切り下げて、しかも九十何万に対して約二万の増であったわけです。今年も基準を切り下げておりますけれ
ども
、去年は基準だけ充足されていないのですから、その割合でこの基準を切り下げて計算しましても、
全国
で一万二千五百の増で、これでぴったりいっておるということにはなっていないことはたしかですから、もう一ぺん
一つ
御検討願いたい。 それから次に教材費ほどうなっておりますか。
内藤誉三郎
23
○
政府委員
(
内藤誉三郎
君)
教員
の増につきまして、前年に約百万人に対して二万人を見込みましたことも事実でございますが、実際の充足をみますと約一万五千でございまして、そこで
全国
的に各県を洗いまして平均いたしますと、先ほど申した十二分の十三、中
学校
の場合には九分の十三というのが
全国
平均になっておりますので、私
ども
はその数字をとったわけであります。 それから今お話の点で、自治庁の方で一万二千人くらい
増加
しているというお話があったのですが、これは何か勘違いじゃないかと思うのですが、多分
昭和
三十
年度
に
地方
で
予算
化したところの定員の数字じゃないかと思います。それは正確に私
ども
の数字で把握しておりますのは約一万三千五百人でございます。で、その一万三千五百人のうち四千人が
政令
該当県である
東京
、
大阪
、
神奈川
なんです。ですから自余の県は九千五百人
程度
です。九千五百人に対しまして、私
ども
で見込んでおりますのは一万人を見込んでおりますから、実施上の支障はないと考えておるのであります。 それからもう
一つ
お尋ねの教材費につきましては、先ほど申しましたように、
補助
金は
事務費
であり、一応一五%の
節約
を受けたのでありますが、特に教材費の重要性にかんがみまして、
大蔵当局
と折衝の結果、一〇%の
節約率
に及んだのであります。
湯山勇
24
○湯山勇君
局長
は大へん事実を誤認しておられる。というのは各
府県
で
教員
定数がきまっていない県が
相当
あるの御存じでしょうか。それは知事がかわったりなんかしますし、基準が示されていなかったために、特に
予算
が成立していないために、六月の——これがきまった
あと
の六月の県議会で
教員
定数をきめようというので待機しておる県がたくさんあります。そういうものは最近の実績と申しましても、最近の実情というものは必ずしも妥当な数ではないと思うのです。将来これがきまればふやしたいという、そういう要素を含んでおるのが事実ですから、いつおとりになっても、きょうかりに資料をおとりになって、その実数に合わしても、それは七十七万の
児童生徒
増に対する適応した数じゃないということだけを
一つ
御認識願いたい。 それから教材費を下げるというのは、これは大蔵省の方へお聞きしなければわからぬと思うのですが、こういうものまで削らなければならないような今回の
予算
の性格でしょうか。
内藤誉三郎
25
○
政府委員
(
内藤誉三郎
君) 最初のお尋ねでございますが、この私が実績と申し上げましたのは、二十九
年度
の
教員
数をとったわけでございまして、最近の分はこれは三十
年度
はたまたま
政府
の
予算
がおくれましたので、それによって
地方
はやむを得ずもう組んでしまったわけであります。ですから四月からもう
児童
がふえてくるのでございますから、待っているほどの余裕は私はないと思うのです。必要迫られれば当然
予算
化いたしますので、一応各県とも必要な数だけはとりあえず
予算
化してあるのであります。そういう意味であるいは将来六月分の若干の訂正があるかもしれませんけれ
ども
、三県を除いた四十三県につきましては、実績で一応
補助
する、こういう規定になっておりますから、
予算
上は不足が起きますれば
過年度支出
という問題になると思いますが、私
ども
の見解ではそういう心配はまずなかろうかと考えております。
湯山勇
26
○湯山勇君 今の問題は、あなたは先ほど聞いたときは最近の実績だ、今いえば二十九
年度
のだ、私はそういうところが非常に大事だと思って聞いたわけです。おそらく組んでおるだろうというようなことをおっしゃいますけれ
ども
、事実についての調査が足りません。組んでないところがたくさんあります。
予算
なくして、
予算
を組まないで、とりあえず知事の計らいで定員を幾らかふやしておるところもあるのです。ですからこれは
一つ
もっと調査してもらいたいのと、もう
一つ
はこの間聞きましたときに、この一万二千五百名と自治庁の
地方財政
計画
とは一致しておると、こういうことです。そうしたら今あなたが言われたように、かりに各
府県
でふやした場合には、これは義務
負担
だからふやすとおっしゃいましてもそういうことはできないように機構ができていることも御存じだと思う。
地方財政
計画
でそうきめられて、今日
地方
がこの
地方財政
計画
にきめられたもの以上に組むということもきわめて特殊な場合を除いてはあり得ないことです。そうすればこれは義務
支出
だから、ふえてくればふやすというようなことはこれは理屈だけであって実際に合わないことですから、で、この一万二千五百というのが、本当にどこの実績に基いてどういう計算で出てきたか、もう少し詳しく資料として出していただきたいと思います。 それから今の大蔵省の方に
一つ
。
正示啓次郎
27
○
政府委員
(正
示啓次郎
君) お答え申し上げます。教材費の
節約
をしなければならんような財政状況であるかという御質問でございますが、先ほど
文部省
の方からお答えになりました通りに、教材費につきましては、これの大切な点を十分認識をいたしまして、実は一般の
補助
金の
節約
に、湯山先生御承知のように非常に今度はきつくなっておるのでございますが、教材費につきましては特に一割の
節約
にとどめておる次第でございます。 なお
地方
債におきましても、
原則
といたしまして一割五分
程度
のいろいろな
節約
をやっております。これは全部が全部そういうものを牧量的に減らすという考えではございませんので、たびたび申し上げました通りに、昨年以来の一兆円
予算
、今回の一兆円
予算
の効果といたしまして、
相当
程度
に物価を下げて参りたい、また現実に
相当
下っておりますというふうな点に着目をいたしまして、調弁価格その他において合理的に
措置
をいたし、なるべく数量は減らさずに実績を確保して参りたい、かような
考え方
を持っております。
湯山勇
28
○湯山勇君 教材費はやっぱり
補助
金だと思っておられますか。
正示啓次郎
29
○
政府委員
(正
示啓次郎
君) お答え申し上げます。これは定額で
負担
と申しますか、
補助
と申しますか、出すようになっております。
湯山勇
30
○湯山勇君 ですから
補助
金ですか、やっぱり。
補助
金じゃないでしょう。
正示啓次郎
31
○
政府委員
(正
示啓次郎
君) 大蔵省の広い意味の
補助
金の中に入れております。これは
地方財政
交付金
のごときものも全部入れまして、いわゆる
補助
金、
負担金
、委託費、すべてを入れた中には入れておりますから、いわゆる広義の
補助
金というふうに御理解を願えばけっこうだと思います。
湯山勇
32
○湯山勇君
補助金整理
というのはこういうものも
対象
にしておるのですか。
正示啓次郎
33
○
政府委員
(正
示啓次郎
君)
補助金整理
のいろいろのねらいはございますが、物価が下ったような場合には当然やはりこういう
経費
につきましても縮減をはかりまして、国並びに
地方
の
負担
の適正化並びに調弁方式の合理化改善に資していきたい、かように考えております。
湯山勇
34
○湯山勇君 今の御
説明
は、物価が下ったら下るということは、これはわかりますけれ
ども
、これは
一つ
お考え願わないと……。
義務教育
に対する国庫
負担
というのは、いわゆる一般
補助
金とはだいぶ性格が違うと思うんです。それを今のように、ほかのは一五%引くんだけれ
ども
これは少し引き方を少くしてがまんしてもらったと、
文部省
の方もそれを喜んだり満足したりする筋合いのものではないと思います。こういうものを私、しなければならないほど、それほど一兆円というものが厳格なものですか、
一つ
なお御検討願いたいと思う。 それから次にお尋ねいたしたいのは、
産業教育
、理科教育、
学校図書館
ですが、
法律
ができたばかりですね、そうしてまあ大体議員立法だからというので、次からは考慮するというので昨年はごく少額しか組まれなかったはずです。それをまた下げるというのは、これはどういうわけでしょうか、削る
趣旨
は。
内藤誉三郎
35
○
政府委員
(
内藤誉三郎
君)
産業教育
につきましては、先ほど申しましたように、一応基準の七割を目標にいたしまして五カ年
計画
で進めておりますので、大体三十一年で七割のところまでは第一
段階
としては完了することになっております。そういう意味で
相当
補助
金敷理のきつい査定もございましたが、ともかくお話のように重要でございますので大部分復活いたしまして二割
程度
の
削減
になった。私
ども
は決して満足するものではございませんが、国の財政全体の上から組むならばこの
程度
はやむを得ないと考えております。 それから理科教育と図書館につきましては、これは基準をきめまして、大体前年
同額程度
でほぼ基準の達成ができるであろうというふうに考えております。ただ今申しましたようにこれも一五%の
節約
のところを特に重要でありますので一〇%のおつき合いをしたわけであります。もちろん今後物価の低下等もございますので、この
程度
なら何とか既定の
計画
を進めていくのに支障はまずなかろうかと考えております。
湯山勇
36
○湯山勇君 いろいろありますけれ
ども
なるべく少く聞きたいと思いますが、次には
公立
諸
学校
危険校舎改築
ですが、この割合でいけば、今年の
予算
のような割合でいけば
危険校舎
の解消には何年ぐらいかかりますか。それから現在
危険校舎
として
改築
されておるのは、建てて何年ぐらいたったものが
対象
になっておりますか。
内藤誉三郎
37
○
政府委員
(
内藤誉三郎
君) 大体私
ども
の考えでは、五年ぐらいのうちには今のテンポで解消できるのではなかろうか、もちろんこのほかにも単独
事業
の方で起債を認められておりますので、そちらの方からも推進ができますので、五年ぐらいで大体の目標は完了するのではなかろうか。それから
危険校舎
の基準でございますが、これは必ずしも年限によりませんが、古いのですと五十年をこえたようなものですが、これはこまかく精密な検査をいたして、垂直にはかったり、あるいは水平にはかったりしまして、その傾き工合等を計算して出しておるのであります。もちろん最近に建てたものでも、終戦後のいわゆる若朽校舎がございますので、こういうものも一応
対象
にしております。ですから必ずしも年限だけでいくというわけではございません。
館哲二
38
○
委員長
(
館哲二
君) ちょっと、実は
文部省
の方、まだ質問を続けていただきたいと思うのでありますが、きょうの
予定
では原子力の方の
説明
を聞く
予定
になっておるのです。ところでその
関係
の方が先ほどから待っておられるのですが、御承知のように非常に多忙な中なものですから、一応その
説明
を先に聞いて、
文部省
の方にはお気の生母ですが……。
湯山勇
39
○湯山勇君 すぐ終ります。
館哲二
40
○
委員長
(
館哲二
君) そうですか。まあそれにしましても一応そういうことにして進みたいと思いますから御了承いただきます。湯山さんの質問は簡単に済むなら
一つ
……。
湯山勇
41
○湯山勇君 使用制限とか、それから使用禁止、そういうものになっているのは全部入るようになっておりますか。実際は私は入っていないと思うのですが。
内藤誉三郎
42
○
政府委員
(
内藤誉三郎
君) 使用制限になっておるような
危険校舎
は一応
対象
になっておりますが、先ほど申しましたような
相当
こまかい検査をいたしますので、垂直検査、水平検査等の計算もございますので、そういう点を考慮してきめるわけであります。しかし
老朽校舎
全部が一ぺんに
対象
になりませんので、やはりその中では緩急の度によって
補助
金を交付いたしますので、その点も御了承いただきたいと思います。
湯山勇
43
○湯山勇君 今申しましたのは、おっしゃったことよくわかりますので、古いからといって
対象
にならない。しかし使用制限なり、あるいは使用停止というのは
文部省
がやるわけじゃありませんですね。そこでそれぞれの現場において使用制限なり、あるいは使用禁止になっておる校舎はすべてこれで、ただいまなっておるものは解消するようになっておりますか。
文部省
はどう考えておられるか。私が調べたところではなっていないのですが、どういうふうにお考えですか。
内藤誉三郎
44
○
政府委員
(
内藤誉三郎
君) 今お話のような点は大体はなっておると思うのでございます。ですから私先ほど申しましたようにいろいろの精密な検査をいたさなければ、ただ単に使用禁止になっておるからといって
補助
金を交付するわけには参らんと思います。いろいろな垂直検査なり、水平検査、そういうふうなものをやった結果、
危険校舎
という判定になりますれば当然
対象
になりますので、その点で若干そこに食い違いがあるかとも思います。
湯山勇
45
○湯山勇君 まだずいぶん問題ありますけれ
ども
、その問題はそれだけにして、また
あと
でお尋ねします。 それから
文部広報
ですね、これは各
学校
へ配るというのは毎号全部配るのですか。
内藤誉三郎
46
○
政府委員
(
内藤誉三郎
君) これは毎号全部配るほどの
予算
もないので、特に
文部省
の政策上重要なものにつきましては各
学校
にお配りしたいと思っております。
館哲二
47
○
委員長
(
館哲二
君) それでは湯山さんに御相談申し上げますが、今申し上げましたような事情でしばらく
文部省
の質問をちょっと御留保願いまして……。
湯山勇
48
○湯山勇君 これだけで終ります……。それはあなたはそういうことを言われますけれ
ども
、
文部広報
、特定なものを特定なものだけ選んで送るということは、こういうことを認める大蔵省もけしからんと思うのですけれ
ども
、こういうことはやめた方がいいんじゃないですか。
内藤誉三郎
49
○
政府委員
(
内藤誉三郎
君) その御
趣旨
がよく理解しかねるのですが、
文部省
で現在やっておることを各
学校
に徹底するのは私
ども
一向に……。
湯山勇
50
○湯山勇君 それなら全部やったらいいでしょう。
内藤誉三郎
51
○
政府委員
(
内藤誉三郎
君) 全部やるということは私
ども
は正しいと思うのです。その場合にもちろん紙面にも制限がございますので、記事そのものにも緩急の度があると思います。私
ども
は
文部省
でやっている全部の行事を網羅するにはやはり足らんと思います。そこにどうしても取捨選択が入ってくると思います。文部行政上重要なことを現場の
先生方
にお伝えするということは私
ども
のむしろ義務ではなかろうかと考えております。
湯山勇
52
○湯山勇君 それでは、これで終ります。
館哲二
53
○
委員長
(
館哲二
君) それでは原子力の問題につきまして当局から一応
説明
を聞きたいと思います。それでは駒形
工業技術院長
。
駒形作次
54
○
政府委員
(駒形作次君) 原子力の平和的利用の
助成
に関しまして二十九
年度
の状況と今
年度
、三十
年度
に御審議をお願いいたしております内容について御
説明
をいたしたいと存じます。 ただいまお配りいたしました「二十九
年度
原子力平和的利用
助成
費の使用状況」というのを恐れ入りますがごらん願いたいと思います。これは昨年二億三千五百万円の原子力の費用が国会において成立されまして工業技術院の
助成
費ということになったのでございますが、
政府
におきましては原子力の重要性から内閣に原子力利用準備調査会というものが作られまして、ここでいろいろと原子力に関する政策というようなものを審議することに相なりました。
予算
につきましては通産省に原子力
予算
打合会というものができまして、利用準備調査会の方針に従いまして
予算
打合会において
予算
の配分をいたしたのでございます。
予算
打合会は学識経験者十数名並びに通産省内の
関係
者等その他
関係
者をもって組織いたしたのでございますが、いろいろと審議をいたしまして配分をいたしました。しかしながら二十九
年度
におきまして使用いたしました
経費
といたしましては、その表のごとくでございまして、原子炉の構造
関係
といたしまして、一千六百二十五万円でございます。原子炉材料
関係
費といたしましては二千五百二十五万一千円、資源
関係
といたしまして四百二十七万三千円、それから調査
関係
といたしまして千七百七万六千円、合計六千二百八十五万円というふうに相なっております。これによりまして原子炉の設計、それから原子炉の材料、資源などの基本的の基礎的の
研究
を緒につけたわけでございます。調査
関係
におきまして外国における原子力の開発状況の調査ということで調査団といたしまして十四名のものを海外に出しまして、そうしてこの
予算
の中からは十一名のものの
支出
をいたしておるのでございますが、先般帰りましてこれに対する調査の報告の大体結論的のようなものの報告を受けた次第でございます。三十
年度
の審議をお願いいたしております分につきましては、その次の
ページ
の二十九
年度
繰越分及び三十
年度
原子力平和的利用
研究
費のところに書いてございますように、二十九
年度
の繰越分といたしまして一億五千九百十二万五千円というのがございますので、それと三十
年度
の
予算
といたしまして二億円、合計いたしまして三億五千九百十二万五千円というものをもって、三十
年度
におきまして原子力の平和的利用の
研究
に当りたいということを考えております。この繰越分と三十
年度
予算
の両者を一括いたしまして、原子炉の構造
関係
といたしましては一億七百十一万八千円、材料の
関係
といたしまして二億一千四百六十四万五千円、資源
関係
として二千二百五十九万八千円、それからウランの探査旅費を含んだ庁費及び職員旅費といたしまして二百七十六万四千円、外国旅費といたしまして千二百万円というものがその内容でございます。外国旅費につきましては、留学生、あるいは調査出張というようなことに充てたいと考えておる次第でございます。二十九
年度
並びに三十
年度
の
予算
の上から見ました原子力平和的利用の
研究
の状況を御
説明
いたしました次第でございます。この刷りものが、あるいは私
ども
の方でもそうでございましたが、
ページ
が間違ってとじてございまして、はなはだ恐縮いたしました次第でございますが、この「調査
関係
」と上に書いてございますのは、二十九
年度
の使用状況の二
ページ
でございますので、もしそういうふうにつづり間違っておりましたら、大変恐縮でございますが、御訂正願いたいと思います。
左藤義詮
55
○
左藤
義詮君 この二十九年、三十年の
予算
を承わりましたが、これは何年ほどしたらどれほどになるかという、大体
計画
の見通しの上に立っておるのでありますか、そうでないのでしょうか。
駒形作次
56
○
政府委員
(駒形作次君) もちろん一応全体の
計画
を
予定
いたしました一環でございます。私
ども
といたしましては、原子炉を作るということにつきまして、一応五年くらいの目途をもって当ったらどうかというふうに考えておりました。第一
年度
、第二
年度
におきましては、基本的の
研究
というようなことにいたしまして、第三
年度
以降におきまして、実際の面に及びます
研究
を実施いたしていきたい、そういうふうな一応
計画
のもとに二十九
年度
、三十
年度
は考えておる次第でございます。
左藤義詮
57
○
左藤
義詮君 五カ年間を通じてどれくらいの総額になりますか、そうしてどれほどの成果をあげることを見込まれておるのでありますか。
駒形作次
58
○
政府委員
(駒形作次君) この
計画
全体につきましては、
相当
基本的の
研究
の状況等を勘案しなければなりませんので、明確な数字を申し上げることは非常にむずかしいと思うのでございますが、いろいろと場合を検討いたしておる次第でございます。これは外国においていろいろな原子炉築造の
計画
がございます。たとえばイタリアでございますとか、スイスでございますとか、ベルギーでございますとかというところで現に原子炉の築造
計画
をやっておるのでございますが、イタリアにおきましては、四年
計画
をもって、炉自体の
経費
といたしましては、三十億リラということに相なっておるのでございますし、スイスにおきましては三年の
計画
をもちまして、二千万スイス・フランということに相なっておるのでございます。
左藤義詮
59
○
左藤
義詮君 外国のお話しをお尋ねしておるのではございませんので、私
ども
は
予算
の審議をいたします参考に資するために、二十九
年度
、三十
年度
はわかりましたが、これの五年間でどういうふうな総額になり、どういうような成果をあげるお見通しであるか、これも私ははっきりしないで、いろいろ状況が変るからどうなるかわからんということでは、はなはだどうも科学技術の重要なそういう専門家の方の御
説明
として納得できないんです。
佐々木義武
60
○
政府委員
(
佐々木義武
君) 原子力開発の根本方針の問題に関しましては、内閣に原子力利用準備調査会というものが御承知の通りございまして、その
事務
を
経済
審議庁のほうで担当しております
関係
上、ただいま御質問のような根本方針の問題に関しまして、若干補足的に
説明
さしていただきたいと思いますが、ただいま御質問のありましたような、将来五カ年あるいはその後にわたって
日本
の原子力開発の根本方針は今どうなっているんだという御質問でございますが、率直に申し上げますと、海外調査団が去年の暮でございますが、出まして、帰って来るまでは大体小規模の天然ウラン、あるいは重水等の小型の炉で出発したいという考えで、これもまだ正式とまではいかなかったのでございますが、そういう考えで問題を進めておったんですけれ
ども
、調査団が帰って参りましての報告によりますと、もう少し規模の大きいものを、基本的な炉の形態として持っていきたいというふうな結論でございまして、合せてそういう
相当
大規模の数千キロから一万キロワットぐらいの炉でございますが、こういう原子炉のほかに、これは
相当
時間もかかりますので、アメリカから提案のありました濃縮ウラニウムの受け入れにからんで、これはごくもう小規模の炉でございますので、
建設
その他も早くできます
関係
上、その方と合せてやったらどうだろうというふうな調査団の報告になっておりますので、そういう点を考え合せ、同時にこの調査団の報告だけできめる性質のものじゃございませんから、それを有力な参考資料にいたしまして、ただいま利用準備調査会のもとにあります総合部会というところで、この問題を三回ぐらい議論を続けております。それで、ま
あと
りあえずの
措置
といたしましては、根本方針と申しますか、一万キロぐらいの本来の原子炉と、それから基本的なこの原子力問題を扱う機構問題、これは統轄機関といわず、あるいは実施機関といわず、そういう機構問題等をどういうふうにするか、こういう根本問題に関しましては早急に態度をきめることになりまして、この二十八日ぐらいにはある
程度
の討議の材料になります機構の草案みたいなものを出したいと、こういうふうに考えております。が、いずれにいたしましてもそういう基本問題が実はきまらんにいたしましても、アメリカから申し出のありますこの濃縮ウランの問題に関しましては、早急に態度をきめる必要もございまして、実はこのアメリカからの申し入れは、一月の初めに申し入れを受けたのでありますけれ
ども
、選挙の
関係
で、
日本
側の選挙の問題でございますが、選挙の
関係等
で内閣の方では全部ほとんど首脳閣僚がこのメンバーになっておりますので、なかなか集まりかねるといったような状況、あるいは肝心のこの問題に関する
政府
の
関係
者の首脳の方たちは海外に行っておりまして、この報告をまあ待つのが一番正しかろうというので、この四月の初めごろまでこの問題の処理を延ばしておったわけでございますので、あまり国際儀礼的にも長く放置するわけに参りませんし、そういう
関係
もございまして、取りあえずこの濃縮ウラニウムの受け入れの問題に関して討議を進めようということで、第九回のこの総合部会では、この問題を中心に討論したのでありますが、その結果濃縮ウラニウムをアメリカから受け入れるための交渉を始めたらどうだろう、その条件によって
最後
的な態度というものはきめるべきだというので、この交渉に入るという点をまず議題にいたしまして、それはまあそれでいいのじゃなかろうか。ただ
一つ
の議論は、交渉に応ずる前に国内態勢の
整備
という問題もありますので、基本方針、あるいは国内態勢の
整備
という問題が、ある
程度
目鼻がついてから交渉したらどうだろうという行き方と、それでなくしてそれは並行して進んでいってもよろしい問題ではなかろうかという議論と両方ありまして、この点を昨日の
最高
機関であります利用準備調査会にお諮りいたしまして、まあ並行論の方がよかろうということで、結果的には並行論にきまりまして、そうしてきょう閣議で了承がございまして、とりあえず交渉には入る、しかしそれと並行して総合基本問題、あるいは態勢
整備
の問題等も早急に固めるというふうにきまってございます。従いまして長々と御
説明
申し上げましたが、当初の御質問に返りまして、今後の基本方針はどうなっておるのだという面に関しましては、おそらくは海外調査団の報告というものが基本になって、あるいはその方向にきまっていくのじゃなかろうかというふうには感じておりますけれ
ども
、最終的なまだ結論というまでは、
政府
といたしましても、あるいはこの準備調査会といたしましても、きまっておりませんので、ただいまのところでは従来の方針を調査団の出かける前の方針を大体基礎にいたしまして
予算
等を組んでおるのではなかろうかというふうな感じを持っております。ただし濃縮ウラニウムの受け入れの問題等が実際協定がいつ締結され、そうして実際の受け入れの時期がいつかという点が、実際交渉しませんとまだはっきりいたしません。はっきりいたしますと、あるいは来
年度
の
予算
の問題になりますか、一部は今
年度
の
予算
からこれに流用するということになりますか、その点はもう少し交渉の成果を見てみませんと、はっきりいたさんのではないかという感じがいたします。
左藤義詮
61
○
左藤
義詮君 まあ日進月歩の話でありますが、特に重要な原子炉の問題に対して、一向見当がついていないというような、ただいまの御
説明
での印象を受けるのでありますが、特にこちらは選挙があったために首脳閣僚が飛び回って、一月の申し入れがそれによって態度がきまらん、今もってきまらないというような、非常に
政府
の政治的責任というものまで含まれておるような御答弁でありまして、そうでありますと、そうでなくてさえ濃縮ウランに対してひもがついているとかいないとかいうような国民に疑惑を与えるのでありますが、これは別といたしまして、さよういたしますと、そういうことがきまらん限りは、
予算
は全然見当がついていない、ただ腰だめで
予算
を出しているだけだ。もしこれが今お話のような一万キロの炉とそれに対する機構というようなものが、五カ年
計画
の目標のためにやられるならば、この
予算
は
相当
補正しなければならぬということになってくるのじゃないか。あるいは三年以後にして、三十
年度
はこれだけでお茶を濁していくつもりだと、どうもそういう点が私はわからんから、非常に今の御答弁では納得できませんけれ
ども
、それは別といたしまして、
予算
との
関連
で…十
年度
予算
というものはこれで十分なのか、あるいはとりあえず腰だめで出しただけで、また補正する必要があるのか、あるいは別途にまた何か考えておられるのか、
予算
との
関連
において、こういう重要な問題に対して、肝心の私は
政府
が本当に手探りでその日暮ししておられて、根本は何もできていないのじゃないかと思うのです。
予算
との
関連
においてその点をもう少しはっきりしてもらいたい。
佐々木義武
62
○
政府委員
(
佐々木義武
君) ただいまちょっと
説明
に誤解がございましたようで、はなはだ恐縮しておるのでございますが、私が申し上げましたのは、そういう意味ではございませんので、通産省でおきめになっておる
予算
に盛られておる内容は、もちろん原子力の開発の問題で緊急必要な
事項
は盛っておる、そうして今後進める上の基礎的な準備を整えつつあるのは事実でございまして、ですからこの
予算
自体に盛られている内容を私は言っているのではないのでありまして、基本的な将来の原子炉の開発方針というものほどうなっておるんだという御質問がありましたので、その問題に関する経過を申し述べただけでございますから、ただいまの来年の
予算
の件に関しましては、通産省の御意向通りで御審議をお願いしたいと、こういうふうに考えます。
左藤義詮
63
○
左藤
義詮君
経済
審議庁はこの問題の
計画
をいろいろとやっていらっしゃる、とりあえず実施する通産省当局としてはこれだけの
予算
を請求している、それでは
経済
審議庁で今やっていらっしゃる作業と、五カ年
計画
はどうか。五カ年
計画
というから、もうできているかと思ったら、まだ何もできていないようなことでは、五年
計画
もちょっとできないようですが、現
政府
は非常に自由党と違いまして、
計画
が非常に緻密で、総合
経済
計画
、その他を基盤にして、あの原子力の問題は、私はもう十分な
計画
ができていると思ったところが、いろいろまだ選挙その他で夢中になっておられて、一向できていない、こういうことを伺ったのでありますが、(笑声)そうしますと、
計画
なさる
経済
審議庁と、とりあえず
研究
その他実施なさる通産省当局とは、全然もうまず
関係
なしにやっている。通産省はその日暮しで、手探りでやっているだけで、
経済
審議庁は
経済
審議庁として手探りでやっている。まだできておりませんが、どうなるかわからない。海のものとも、山のものともつかないものを、その日その日に相談していらっしゃる、こういうふうに私は
計画
者と実施者と全然そこに私はマッチしていないように思うのでありますが、さように心得て間違いないのでございましょうか。
佐々木義武
64
○
政府委員
(
佐々木義武
君) 大へんどうも私の答弁がまずくて、恐縮なんでございますが、もう少しはっきりそれでは申し上げます。(「はっきりしてくれ、初めから。」「もう少しはっきりどうぞ
一つ
」と呼ぶ者あり)今までの方針で、そして重水、あるいは天然ウラン等を中心にいたします開発の方式に従って、そのために必要な
予算
を三十年の
予算
に組んであるのでございます。ただし先ほど御質問がありましたのは、あるいは濃縮ウランの問題にからんで、そういうものがどういうふうに将来の根本問題と
関連
があるかという御質問がありましたので、私経過を御
説明
しただけでありまして、(「弁解はいいから早く
説明
しろ」と呼ぶ者あり)ですから根本方針は、今までの天然ウランと重水との
関連
をつけながら開発するという根本方針には、今のところ変化はございません。で、その
予算
は盛られているわけでございます。ただそれとからんで、重水、ウランとの
関連
いかんという御質問がございましたので、その経過を、調査会を中心といたしまして、特に海外調査団の帰って参りました報告書等にからんで、御
説明
を申し上げただけでございます。
左藤義詮
65
○
左藤
義詮君 私そういうことを何も質問していないのに、
経済
審議庁の方から答弁というか、勝手に言っておられるだけの話でありまして、私のお尋ねしているのは、通産省で、ただいま駒形院長からお話しのありましたこの
予算
とマッチするような
計画
を、どういうふうにお立てになっているか。
計画
というものを、第一
年度
、第二
年度
とずっと五年
計画
でおやりになるなら、五年たったときにはどれだけの、たとえば一万キロのものなら、今これは
計画
部長からお話しありましたが、一万キロの炉と、それに伴う機構というものは、五年でこういうふうに完備して、それからしてこれはたとえば平和的な利用のこういう基礎になるとか、これだけの発電ができるというような、何か五年間見通した
計画
を持っていらっしゃるのであるかどうか。その五年間の
計画
にマッチするように、この
昭和
三十
年度
予算
が組まれておるのかどうか、これを伺わなければ、この
予算
そのものは審議ができないと思うわけでございますが、今伺っておりますと
経済
審議庁の方ではそれと別にいわゆる濃縮ウランをどうするとか、いわゆる別の問題を相談していらっしゃるようですが、私は実施を担当しておられる通産当局として、どれだけのお見通しを持っておられるのか、その点をもう少しはっきり伺いたい。
駒形作次
66
○
政府委員
(駒形作次君) 私
ども
実施をいたしております通産省工業技術院の考えを申し上げたいと思います。先ほど申し上げましたように、二十九
年度
、三十
年度
はもっぱら基本的の
研究
ということを考えておるのでありますが、大体もちろん原子炉と申しましても、実験用の原子炉というものを考えておるのでありまして、発電用等の原子炉というものは、これはまだまだ将来の
対象
になるべきものというふうに考えております。実験用原子炉につきましても、今ほ
ども
ちょっとお話がありましたように、重水を用いますものもありますし、あるいはグラフライトを用いますものもございますけれ
ども
、私
ども
の考えといたしましては、重水を用いる天然ウラニウムの炉というものはウラニウムの所要量が少くて済む、
日本
のウラニウムの資源というものから考えまして、やはり天然ウラニウム重水炉の実験炉を選ぶべきだというふうに私
ども
考えているのでございます。最少量のウラニウムというものは、重水の場合とグラフライト、黒船の場合を比較いたしますと、黒鉛の場合は大体十倍くらいになるのでございます。それで天然ウラニウムと重水というものを
研究
の
対象
とすべきであるというふうに思います。しかしながらグラフライトは減速剤としてではなくて、反射剤といたしまして、やはり実験用原子炉に必要でございますので、黒鉛の製造に関しましても、やはり基本的の
研究
というものほこれはなさなければならぬと考えまして、そういうものも基本的の
研究
の中に加えてございます。これから炉の設計のことはもちろん基本的の
研究
といたしまして取り上げ、すでにそれは
学術振興
会の中にその方の専門家の
委員会
を作りまして、
相当
分厚い報告書ができ上って参っておるような進行状況でございます。しかしこの炉の
関係
におきましても、設計のみならず、原子炉の中で働きますところの中性子、この中性子の測定ということが非常に必要になるのでございます。中性子を取り扱う測定の問題、それから放射線の計測器の
研究
、こういうものも基本的の
研究
の一環といたしまして取り上げている次第でございます。そのようにいたしまして、それから重水の
研究
につきましては、
日本
といたしましては電解工業というものが非常に大きく
日本
の
産業
の中にありますからして、電解工業の中の仕事といたしまして重水というものを作るということは、
日本
の場合におきましては非常に有利であるわけでございますから、重水の
研究
というものも取り上げ、そうしてまず最初の
段階
におきましては、その基本的の
研究
ということで、ここに書いてございます回収電解でございますとか、濃縮
装置
というものの
研究
、基本的の
研究
を始めておるのでございます。 そういうふうにいたしまして、所要量のことは設計の方の基本的
研究
から、
最後
的に明確にウラニウム何トン、重水何トンということが決定されるわけでございますけれ
ども
、私
ども
が一応いろいろな文献その他からこれを推定いたしまするというと、ウラニウムを大体三トンないし五トン、重水を六トンないし十トンという
程度
におきまして考えるならば、天然ウラニウム、重水の千キロ
程度
の実験原子炉というものが製作可能になるというふうに考えておる次第でございます。三十一
年度
以降におきまして、この基本的の
研究
というものを、スケールを大きくいたしまして、そうしてそれらの資材というものを
日本
でできる限度におきましてそれを作り上げて参るように運ぶようにしたい、これが私
ども
工業技術院として、一応の
計画
といたしまして考えておりますところの全貌でございますが、大体そういうふうにスケールを大きくいたしました以後におきまして、三年というくらいの時間というものは必要であるというふうに考えておるのでございます。
左藤義詮
67
○
左藤
義詮君 先般高碕長官は非常にこの原子力の利用を重要視されて、今後の努力によっては、
経済
再建六カ年
計画
の中にも取り入れようというくらいの非常な意気込みを示しておられるのでありますが、今お話を伺っておりますと、その部下である
計画
部長のお話でも、はなはだまだ当てにならない話で、今通産当局のお話を伺いましても ウラニウムなら三トンないし五トン、重水なら六トンないし十トンという数字をお示しいただきましたが、それならば、千キロの実験炉を作る、それが三十一年から三年でいける見込みだ、まあ初めて大体の見通しを今やっと伺ったわけでありますが、それの二十九年、三十
年度
は基本的な
研究
であるということはよくわかりましたのですが、そうしますと、これだけの仕事を大体完成をするのに、達成をするのにどれくらいの
予算
が必要であるのか。三十一
年度
にはさしずめどれくらいの
予算
を御要求になるおつもりでありますのか。今お示しになりましたスケールにおいての
予算
的な
関係
を私はもう少し伺っておきたい。大体そういう見通しをすると、五カ年
計画
でいえば、五カ年でどれくらいの
経費
、それが
年度
計画
にしてどれくらいかということがあるはずでありますから、三十
年度
はこれだけですから、三十一
年度
以降の御
計画
を
一つ
伺っておきたい。
駒形作次
68
○
政府委員
(駒形作次君) 非常に明確な数字を申し上げませんというといけないと思いまして、先ほどは外国の例のようなものを申し上げましたわけでありまして、はなはだ恐縮でございましたが、私
ども
そういうものを考えますというと、全体の炉自身の
経費
といたしまして二十億円くらいになるのでございます。しかしながら、これはその他のいろいろな、炉だけができましたとしても、これは原子力に関する
研究
を遂行する上には不十分でございますので、従いましてその他の
経費
というものがそれに追加されて参らなければいけないと考えます。それから先ほど申し上げましたように、基本的
研究
の結果、たとえば炉の設計というような面におきましてもまだ
研究
の途上でございますので、今申し上げました数字というものは、そういう
程度
の数字でございますことを御了承願いたいのであります。
左藤義詮
69
○
左藤
義詮君 私がお尋ねしておりますのは、これだけの……千キロでありますから、その実験炉を作るのに二十億、またそれに伴ういろいろな
経費
がある。その
経費
がどれだけかまだお示しいただかないのですが、それがかりに三十億なら三十億と、大体の数字でけっこうですから、お示し願いたい。そうしてそれが三十
年度
はこれだけの基本的
研究
の
経費
だが、三十一
年度
からはこれだけになるという、もう少し今お示しになったスケールの大体の
予算
的
措置
の私は見通しがあっていいはずだと思うのですが……。
駒形作次
70
○
政府委員
(駒形作次君) 今申し上げましたのは全体の額でございまして、
年度
別等につきましても、その基礎
研究
の実際というものからこれは
年度
別になってくるわけでございますので、現在三十一
年度
は幾らかというようなことはまだ検討中で、わかっていないわけであります。
左藤義詮
71
○
左藤
義詮君 最初、非常に科学的に物事をお考えになる院長の御
説明
があったのですが、私
ども
五カ年
計画
という言葉があったので、その
計画
は大体もっともであり、それに対して
予算
も
相当
私は御考慮になっておられると思っておったのに、はなはだ不満足な御答弁であります。炉に二十億とありますが、そのほかにもあるというのですが、それはどのくらいあるのですか。
年度
別がもし困難であるならば、全体の御
計画
が一体どれくらいのお見通しになっておるのか。それだけの
研究
をしてどれだけの成果が上るのか、私はしろうとでありますから……。それの基礎ができ上り工業化していけばどれだけの成果があるのか。科学的な面でどれだけの成果が上るのか。それだけの仕事をやったら、今スイス、イタリアの例をおあげになりましたが、世界の水準にどの
程度
まで達し得るのであるか。最初五年では非常に
日本
は立ちおくれておるけれ
ども
、
あと
はさらにこういうふうに努力して追いつくことになる。非常に国民が心配しておりますことでありますから、もう少し私は将来の見通しもお示しをいただかないと、ただもう手探りでやっておる。五年たってどれくらいになるのか。大体今やっと実験炉の規模だけお示しをいただいたのでありますが、その炉に対する二十億ということは伺ったのですが、そのほかにまだ要るというが、それだけの実験炉を作って一体どれくらいの仕事ができるか。そうしてどれだけの世界の水準に達し得るのか。それからさらにこういう原子炉が将来に非常に大きな期待を持たれておるのですが、果して各国に追いついていけるだけの見通しが立っておるのか。五年たってどうにもならない、
あと
はまたそれが腰が折れてしまうというようなことでは困ると思うのでありまして、国民がもう少し安心するような御
計画
があるはずだと思うのですが、もう少しそこをはっきり数字を入れてお示しを願いたい。
駒形作次
72
○
政府委員
(駒形作次君) 今申し上げましたような炉ができたならば、どういうようなことになるかという御質問でございますが、大体千キロくらいの炉ということでございますから、その炉を使ってどういうことができるかということは、炉の大きさでおわかりいただいたものと思っておりまして、
説明
が足りなくてはなはだ申しわけないのでありますが、この炉は大体中性子の密度が十の十三乗くらいのことを考えておるのでございます。従いまして十の十三乗くらいの炉で実験ができる範囲というものは、
相当
の
程度
の実験ができることに相なります。材料のいろいろな試験、ラジオ、アイソトープ——放射性同位元素を作ること等もこの炉でもってある
程度
は可能でございます。こり東予炉の技術は、何しろ自分のところで手をかけて原子炉というものを作り、原子炉の技術を確立するということが非常に私大事なことではないかと考えております。また自分のところで苦心をいたしまして、そうして一応ものをでかすということが、将来の原子工業というものを進展させていきます上に、どうしても必要でないかと考えるのでございます。従いまして、その炉というものは、あまりに小さいものでございますと、それだけの技術というものでは将来に対する発展性というものを失う。しかしながら、千キロ
程度
のものでございますれば、将来に対する技術の発展ということに対しては、大体まあ考えられるところではないか。しかしながら先ほど毛
説明
がございましたが、動力炉というようなものの実験をやるということになりまするというと、やはりまだまだ大きい方がいいだろうということはいわれるのでありまして、調査団の報告によりまして、一万キロ
程度
という考えが出ましたのも、やはりそこにあると私は了解をいたしておるのでございます。しかしながら、それはまだ調査団の結果というのは、
一つ
の意見でございまして、決定は原子力利用準備調査会等においてこれは行われることと私は思っておるのでございます。なお、その中に多目的炉ということが書いてございますが、この多目的というのは、いろいろなことができる、いろいろなことと申しますのは、先ほど申しました材料の実験でありますとか、あるいは放射性同位元素を作ることとか、あるいはある
程度
の動力の実験もできるというようないろいろな目的を
一つ
の炉に対してなるべく可能なようにするということになりますと、炉は余裕をもって作った方がいいということになるわけでございまして、一万キロの炉と申しましても、一万キロでいつも運転しているという意味でなくして、一万キロの能力を備えさせておきまして、余裕をそこにとってやるというのがいいのではないかというふうにも私は考える次第でございますが、ここに私
ども
がまだそういう調査団の報告を受ける前に一応考えましたものは、先ほど御
説明
いたしましたような、それよりはやや小さい炉というものを工業技術院で一応考えておった次第でございます。
左藤義詮
73
○
左藤
義詮君 前にお伺いした千キロならば二十億だと、その数字を伺ったのですが、今私は数字を非常に求めているのですが、
相当
の余裕をもって多目的に使われるような、たとえば一万キロとしますと、どれくらいの
経費
になりますか。それから今の実験炉のお話ですが、その実験炉と濃縮ウラニウムの提供を受けるかどうかということはどういう
関連
があるのでありますか。これは並行していく問題だと思いますが……。
駒形作次
74
○
政府委員
(駒形作次君) 一万キロの炉になりますというと、一千キロの炉とどのくらい違うかということでございますが、一万キロの炉になると、ウラニウムの七トンくらいと、それから重水が大体十三トンないし十五トンくらいということになるのじゃないかというように考えておる次第でございます。若干の余裕をとっての数字でございますが、そういうふうになっておるのでございます。
左藤義詮
75
○
左藤
義詮君 費用は。その
経費
です。(小野義夫君「
建設
経費
及び運転
経費
」と述ぶ)
駒形作次
76
○
政府委員
(駒形作次君)
建設
経費
につきましては、(小野義夫君「千キロで二十億というお話だったんですが、一万キロでは幾らかということ」と述ぶ)四十億ないし五十億くらいはかかるのではないかと考えておる次第でございます。 それから濃縮ウランの炉に対しての
考え方
でございますが、私
ども
の考えでは、今度の濃縮ウランというのは、アメリカが供与しようとしておりますのは、全体が百キログラム、そしてこれを大体五十個分くらいということが向うから言って参りましたものに書いてございますので、平均いたしまして二キログラムということにまあなるわけでございましょう。出力の非常に少い炉にならざるを得ないと思います。大体これは数十キロワットくらいの実験用小型炉でございます。しかしこれがありますならば、要員の訓練あるいはある
程度
の材料試験、あるいは設計の実験というようなものに役立つわけでございますので、適当な条件というのは、たとえば
研究
が阻害されないというような条件、あるいは今後にわたりまして拘束を受けないというような適当な条件がありますならば、やはりこれは受け入れました方が、先ほど申し上げました天然ウラニウム、重水炉の
建設
というものを非常に
促進
することになるであろうというふうに考えているのでございます。
建設
しようとする重水炉と、今度のもし受け入れた場合どうなるかというその
関係
は、今申し上げましたような
関係
でございまして、この濃縮ウランというものが、小型炉というものがそう大きな炉にはならないし、それから天然ウラニウム、重水炉にとってかわるというような、そういうものにはなり得ないというふうに考えておるのでございます。
小野義夫
77
○小野義夫君
経費
は幾らかかりますか。
駒形作次
78
○
政府委員
(駒形作次君) 濃縮ウランを用います小さい炉につきましては、大体タイプが三つございます。で、
一つ
の炉はウオーター・ボイラー・タイプと申しますものでございまして、ウランを溶液にいたしまして、そのウランの溶液を燃料にいたしますものでございます。これは大きなものはできません。非常に小さいものしかできないのでございます。第二のタイプはスイミング・プールと申しまして、これは金属のウランを、金属ウランの板のようなものにいたしてございまして、これを水の中に深く沈めてちょうどプールの底に燃料を置いたような、そういう形になるのでございます。第三のものはクローズド・ベッセル・タイプと申しまして、いわゆるクローズしました、密閉いたしました容器の中におさまるものでございます。で、私が今申し上げました順序で出力は順次大きくなる、可能な最低出力というものが大きくなるというふうになっているのでございます。それでその三つのタイプのうちのどういうものを選ぶかということになると思うのですが、しかしながらその第一のウオーター・ボイラー・タイプというのは、ほとんどその結果というのは公表されておるものでございます。これにはまず私は秘密にわたる条項というものはないと思っております。しかしながらクローズド・ベッセル・タイプということになりますと、そう全部が全部公開されておるものとは考えられない点もございます。たとえば加工をいたしました燃料の部分の製品でございますけれ
ども
、品物になったものというのは、その製造方法その他内容等は、一部分はいわゆるクラシファイされておる事柄の中に属するものというふうに考えられるのでございます。で、値段が幾らになるというお話でございましたけれ
ども
、この値段につきましては、今の三つのタイプというものに対しまして、一応向うの雑誌にこういうタイプでこれだけのものは幾らである、こういうタイプで幾らから幾らの範囲であるというふうに書いてございますので、私が今ここで宙に覚えました数を申し上げることなく、資料にいたしまして差し上げるようにいたしたいと思っております。
左藤義詮
79
○
左藤
義詮君 ただいま千キロ
程度
ならば二十億、それから一万キロ
程度
なら非常にこれはゆとりをもってやると四十億ないし五十億だと、いろいろ
計画
等は
経済
審議庁でもやっていらっしゃるようでありますが、
一つ
目先だけの
一文
惜しみの銭失いにならぬように、
相当
まあ将来の文明を左右すると言われるくらいの重要な問題に初めてこれは取り組まれるのでありますから、今のような手探りのその日暮しでなしに、しっかりした腰を据えて私はこの問題に御対処を願いたいと思います。それに対してここにおられる大蔵省等も十分協力して、
一つ
やる以上は中途半端なことにならないように、その点について
一つ
経済
審議庁に御方針を伺っておきたいと思います。
佐々木義武
80
○
政府委員
(
佐々木義武
君) ただいまの御要望通り私
ども
も考えておりまして、とりあえず急いでやるのは、先ほど駒形院長からお話がありましたように、できれば今度の話がきまりますれば、濃縮ウラニウムの小型炉を早急に完成し、長い将来におきましては、先ほど申しましたような中型と申しますか、というものをまず仕上げまして、そして漸次将来の強力炉というものに向っていくべきではなかろうかということで、せっかくその準備
研究
等は進めつつあります。ただいまの御要望通りに進めておりまして、
研究
中でございます。
小野義夫
81
○小野義夫君 私が承わりたいのは、この原子力は申すまでもなく今日の時代を画するところの非常な問題でありまして、ちょうど蒸気機関から電気に来て、今度は電気の時代から原子力時代に入るのであります。けれ
ども
、
日本
が従来文明に接触したときの初めにさかのぼって考えますと、たとえば蒸気機関にしても、
日本
の学者がイギリスでできたときからこれを追究して大いにいわゆる蒸気機関をやるということも、私はどうであるか、
日本
に入りましたポンプであれ、その他鉄道、汽車にしましても、初めはそれは輸入によっている。次の電気におきましても、あるいは水車、あるいはその他の発電所にしても、今日なお独立の域を完全に確保してないのでありますから、この原子力に対する
日本
政府
並びに学界というものの頭の動き方が少し違っているのではないか、こう申しますのは、まずもって今日もう原子炉というものは秘密でないから、それをアメリカは今年の一月に大統領の教書において、原子力の平和的利用を世界に向って公開して、自由国家にこれを分つと言って、その言った現われが今来ているのであります。でありますから、あるいは原子力の
研究
においては、すでにもはやこれは何にもない、秘密の境を通り過ぎたコンモンセンスになりつつあることは申すまでもない。だがしかし、これで機械化していろいろやるということになりますると、そのコンモンセンスだけではいけないのでありまして、非常ないろいろな多種多方面の技術が要る。いわゆる
化学
者だけではいかぬ、物理学者だけではどうもいかぬ、あらゆる材料なり、それからケミカルでなくメカニカルのいろいろなものが要ってくるわけになるのでありまするから、私
ども
はこれらの原子力を、たとえば一万キロの発電までの原子炉を利用するとなれば、この問題はむしろ今日でいえば、電源開発その他が大々的に、あるいはその他の実業
団体
におきましてもこれが力を出せば二十億、三十億というものは決して大金でない。今日
日本
の動力源の開発というものに対しましては四十一億、五十億という金は小金である。これらを幾つか輸入してこれの運営その他の技術を納得して、それから五年、十年かかって初めて
日本
が電気にしろ、あるいはその他の機械にしろ、いわゆる輸出のできる
相当
の独自性を帯びたのでありまして、このことを忘れていろはのいも知らぬといって——はなはだ
日本
の学者に対して相済まぬ、湯川先生のような
大学
者もおられる。けれ
ども
今の学界でいろいろ御心配になっているような諸点は、これはまずそういうものを幾つか輸入して、
日本
で多少それが赤字になりましても、それを水力の利益で補うとか何とかいうことに、これは
日本
のエネルギーの欠乏、これを補充する。現に今来ているところのダイナマイトの社長のICCにおけるところの演説を見ましても、これは
日本
初めアジアの諸国、この貧乏にしてエネルギーの乏しい諸国は率先してやるべきだ、ことに
日本
を中心にしてやるべきだと言うているのに、
日本
は依然としてまだアメリカが提案しているものを受け入れるがいいか悪いかというような論議に日を暮らしているというのは、私ははなはだ不可解なんであります。でありまするから、ここに掲げてある
予算
は、私はこれは
研究
費として、それらの輸入される機械が現実に動いておっても、まだまだこの
研究
に向って多くの金を
政府
は注ぎ込まなければならぬと思うのです。決してこれは過大でない。過小であろうと思う。繰り込みまで加えてわずかに三億五千万で何の
研究
ができますか。おそらく
最高
級の科学の
研究
としてこんな貧弱な
予算
はなかろうかと思う。でありますから、ここに截然と、私
ども
の考えとして、
経済
審議庁に対しましても、そんな三年、五年の後に、わずか千キロ、二千キロの発電力を持つような原子炉をわれわれの手によって工夫専念して、
日本
の学者を総動員してそうしてやるなんということは、これは時代おくれです。やっぱり東洋的の、これは依然として島国根性です。学者は世界を舞台とする際におきまして、もう少し大きな心を持ってやれば、
日本
の学者が世界を指導することもできるんです。しかるに、これにひもがついておる、あるいはなんである、将来までも心配しないで、私は、これは動力源として、一方にどんどんとこの水力、火力並行して原子力の発電所を持つべきである。少くとも
一つ
くらいはすぐに注文すべきである。と同時に、この
研究
費は大よそ
年度
割で今年は結局繰り越しと三億五千万、来年は五億、再来年は十億というように漸次
研究
費をふやし、その副産物としていい機械やいい方法を発明するということは、まことに望ましいことでありまするけれ
ども
、初めからすでにでき上った品物を自分で
研究
調査して苦心するということは、私はあんまり賢明なやり方とは思わない。またそれは賢明であっても国家としてはそういう遅鈍なやり方をすることは許されないと思う。もっと迅速果敢なる、私はこの原子力においては国家がいわゆる国の
経費
をなげうって、あるいは実業家が自分たちの資金をなげうって、そしてやるべきではないかと思うが、
関係
諸公、
経済
審議庁、技術
研究所
の各責任者のこれに関する所見を伺いたい。
佐々木義武
82
○
政府委員
(
佐々木義武
君) ただいまの御意見はまことにもっともなことだと思います。私
ども
も外国を回って参りまして、実際見ますとおくれてこれから原子力を始めるといううちには、やはりただいま御指摘がございましたように、すぐ公社あるいは特殊会社等を作りまして、そして実施の
段階
におきましては民間の資金等が主としてイニシアチブをとって開発には積極的に向うというふうな体制に大半の国家はなってございます。古くからやっておる国でも、国でやっておりました
事業
を順次民間の方に切りかえまして、そして民間の資金と一緒になって開発に向っていくというふうな開発形態になっていくのが、今の世界の実情でございまして、そういう点も考えあわせまして、そして今後の開発等を進めます場合には、勿論技術的な検討も必要ではございますけれ
ども
、一方動力資源等から見まして、どうしてもこの問題は慎重を要する問題ではありまするが、同時に国をあげて解決をせねばならぬ問題でもございますので、ただいまの事態等を十分考えまして、先ほ
ども
申し上げましたように、至急開発したいし、その他
整備
したいというふうに考えております。
駒形作次
83
○
政府委員
(駒形作次君) 今お話がありました点につきまして、私も原子力の
研究
というものは早急に進めなければならないというふうに考えておるのでございます。まあしかし、向うからいろいろな技術を持ってくるにいたしましても、われわれのところにやはり技術の目というものがどうしても私は必要であるというふうに考えるのでございます。そういうわけで、早くするということと、確実にするということとの二つの要件を満足するように、そこでわれわれは考えていかなければならないというふうに思うのでございます。この早くしなければならないという理由は、各国の状況等を見ましても、非常なテンポで進んでおるのでございますからして、われわれといたしましては、一応そういう先ほど申し上げましたような方法で、
日本
の
産業
の形態というものを考えて、やるべき
研究
を進め、しかしながらそれで追っつかないものにつきましては、たとえば材料ならばその不足の分、あるいはいろいろな機械技術につきましても、やはりある
程度
間に合わないものにつきましては、輸入、導入ということも考えまして、そうして早急にするという条件を
相当
満足して参らなければならぬというふうに思っておる次第でございます。
小野義夫
84
○小野義夫君 私の伺いたいのは、
研究
はどこまでも今のように、ひとり原子力にかかわらず、その他の電波その他の問題にしても、どんどんと大いに
日本
は国費をもって
研究
をやっていく、これはこれでいい。しかし一方に、それをやるがために、
日本
で炉を作るまで安閑として三年、五年待って、外国に注文することをなさらないで、そうしてその
研究
を待っていろいろ決するというような今日の、今の国民がそういうようにも考えておるのです。国民はあなた方の
研究
が完成するようなことを考えておるのです。けれ
ども
、それでは私は時代にもうすでにおくれておると思う。
日本
の発電なるものを水力にするか火力にするかというような盛んな論議がわが国に行われておる。こういう時に今果して原子力の発電所を一カ所でも持っておれば、これはだんだんに原料が安くなったり、
日本
で発明されたりすることが来るであろうと思うのです。でありまするから、私はこの際学界も、大いにこの方は今の学界でやってほしい。しかしながら実業的にいわゆる動力も水力、火力並びに原子力という方へ至急にやることはどうであるかということを伺っておる。これはもっぱら審議庁長官が大いに熱をあげておるのにかかわらず、何らそれらに対しての施策なり何が述べられないということは、はなはだ残念ですが、一体どういうふうに原子力の
日本
の利用ということを、これでもって万事だと考えておるのか、それともその他の方法を講ずる意思があるのかどうか、
一つ
伺っておきたい。あなた方にお尋ねするのは少し無理かもしれない。もし何なら大臣に出てもらう。
駒形作次
85
○
政府委員
(駒形作次君) ごもっともなことでございまして、原子力というものの重要性から考えて、これを急速に
日本
においても炉ができるところにもって行く、ただ私はそのときに、やはり技術というものが
日本
にもなければならないということを申し上げたのでございまして、その点私が申し上げましたことが非常に十分でなかったというきらいがあるかもしらぬと思いますけれ
ども
、技術はこちらにないといたしますと、これは十分な利用という面におきまして、やはり好ましくない、むだなことになる場合もあるように考えられますので、つけ加えた次第でございます。
永岡光治
86
○永岡光治君 これと
関連
してお尋ねしたいわけですが、先般来の新聞の記事で、学術会議で濃縮ウラニウムを受け入れる問題について論議をされた。何やら三
原則
というものがあって、どうしたものだろうということで、どうまとまったか私ははっきりした結論を聞いておりませんが、その内容を、これは当然当局としてやはり関心を持っておられると思う。無責任ではないと思う。おそらくああいう問題が論議される限りにおいては、何かあるのじゃないかということを
研究
せられたと思うのですが、
日本
学術会議であのような論議をしたという経緯について、
一つ
御
説明
願いたい。
駒形作次
87
○
政府委員
(駒形作次君)
日本
学術会議におきまして、原子力の
研究
を推進いたしますためには、三つの
原則
的なことを守るようにしたい、こういうのでございまして、その三つの
原則
と申しますものは、原子力の
研究
に当りましては、公開するような工合にしたいというのが
一つ
でございます。第二は、原子力の
研究
に当りましては、民主的に運営をしたいというのが第二でございます。第三は、原子力の
研究
に当りましては、自主的にこれをやっていくようにする。公開、民主的運営、自主性というものが三つの
原則
としていろいろ論議をされたのでございまして、それはこの前よりも前の総会におきまして、そういうことが論議されたのでございます。今お話がございました決議の点につきましては、濃縮ウランを受け入れるにつきましては、十分慎重にやって、今の三つの
原則
にもとるような場合はこれを受け入れないようにしたいという、そういう羽仁
委員
の御提案が論議をされたのでございます。その間にありまして、そういう決議案をお出しになったのでございますが、いろいろ検討いたしました末、その決議案を決議するということを決議しなかったと、こういう結果になったように拝承しているのでございます。
永岡光治
88
○永岡光治君 そこで、
政府
の立場からこの問題についての学術会議で論議になりました三
原則
、それはやはり正しいと考えておいでになるかどうか。
駒形作次
89
○
政府委員
(駒形作次君) すべて科学技術的の問題は、その結果を公開することにおいてやはり相互の進歩があるものであると考えているのでありまして、原子力に限るべき事柄ではないと私
ども
は考えているのでございます。しかしながら、商業上のいろいろな問題におきまして、公開ということがまたできないものもあるであろうというふうに思います。たとえば特殊の技術でありますとか、あるいは特許等におきましては、そういうこともあるというふうに考えているのであります。しかしその
原則
におきまして、公開ということは、これは何も原子力に限らず、すべての科学技術におきまして必要なことであると考えます。なお、第二の民主的な運営ということも、これは原子力に限らず、また科学
研究
のみに限らず、一般
原則
といたしまして、そういうことは考えていかなければならぬものであると思っております。自主性につきましても、また同じようなことであるというふうに考えているのでありまして、この方針というものは、何も原子力に限らぬものであるというふうに思うのでございますが、実際私
ども
といたしましては、この
原則
は具体的な個々の問題が起きましたときに、こういう方針でやるべき事柄である、こういうふうに思うのでありまして、三
原則
自体を論議するというのは、これは学問上そういうことを議論してもいいかと思いますけれ
ども
、具体的な問題に当って、そういうことで
最後
の目的を達するように原子力の
研究
というものが推進されるというふうに行けばいいのではないかと思っております。
永岡光治
90
○永岡光治君 そういたしますと、先ほど小野
委員
からも質問の中に出ておりましたが、確かにこれは第二次
産業
革命か、第三次屋業革命になるかしりませんけれ
ども
、動力における画期的な革命になるであろうことは想像にかたくないと思います。そういたしますと、今のお話でも、たれでも、そうしてまた常識的に考えられることは、技術を広く理解してもらうことが進歩に役立つことは、これも議論がないと思います。そうしますれば、公開ということは最も必要だと思う。今小野
委員
が言うように、
日本
にすみやかに技術を取り入れてどんどん発達させるという以上は、とりわけこれは公開でなければならぬだろうと思いますが、ただいまのあなたの答弁において、特許とかいろいろ言われておりますが、この公開ということをどう解釈するかという問題になりますけれ
ども
、特許をとっておりましても、いずれは漏れることだし、だがこれを強く学者の諸君がこだわっているということは、濃縮ウランの件について、何かそこに特別なこれを知られてもらっては因るというようなものが隠されているのではないかという、新聞記事を読んだ限りではそういう印象を受けると思う。そういう事実はあるのですか、ないのですか、その点をちょっとお伺いしたい。
駒形作次
91
○
政府委員
(駒形作次君) 濃縮ウランのことにつきまして秘密条項があるかないか、こういう御質問だと思います。これは話し合いをしてみなければほんとうはわからないと思いますけれ
ども
、アメリカ側のほうで前に言ったといって新聞に出ておりますところでは、秘密条項は含まれないというふうに言っているのでございます。先ほど私濃縮ウランの小型実験原子炉に対する三つのタイプにつきまして申し上げたのでございますが、その大きな方の部分につきまして、燃料の
関係
のところで非公開のものがあるということを言いましたけれ
ども
、果してどういう個所が非公開なところであるかわかりませんし、第一にあげました炉等につきましては、これは非公開の部分はないというふうに言われているのでありますから、アメリカ側が非公開の秘密条件がないと言っておりますものも、やはりいろいろ話をしてみてからでないといけないと思いますけれ
ども
、秘密条項の協定というものは結び得るだろうと、私は技術的には考えておる次第でございます。
湯山勇
92
○湯山勇君 濃縮ウランを受け入れて、今公開になっておるというウォーター・ボイラーの原子炉を作るとすれば、どのくらい日数ほかかりますか、公開になっておるものによって計算してみると。
駒形作次
93
○
政府委員
(駒形作次君) ウォーター・ボイラーの受け入れというのは——受け入れじゃありません、ウォーター・ボイラー・タイプ、濃縮ウランの小型実験炉をこちらで作るとしたら、どれくらいの期間が必要かという御質問でございますが、これは濃縮ウランを硫酸の塩類、すなわちウラニール・サルヘートと申しますが、これには重水を使わなくてもよいのでございまして、軽い水でいいのでございます。実際の製作に要する期間というものをどれくらいかと申しますと、設計その他いろいろ時間もかかることと思いますが、一年ないし二年くらいじゃないかというふうに考えておるのでございます。
湯山勇
94
○湯山勇君 今の、濃縮ウランを受け入れてそうして重水は要らない、そういうことになれば、しかもかりに二キロなら二キロ
程度
の小型を作るということであれば、これで二年もかかるでしょうか。
駒形作次
95
○
政府委員
(駒形作次君) やはりすっかりでき上って、これを実際に運転するというところまで持っていきますには、やっぱり一年や二年はかかるんじゃないかしらと、私は自分のまるっきり私見でございますけれ
ども
思うのでございます。実際に十キロワットのノースカロライナ州立
大学
で作りましたものを見ましても、でき上りましてからこれを原子力エネルギーを取り出すまでには、非常な慎重な経過でほとんど出力がないような状態にして一週間くらいはやってみて、それからそれを一キロワットぐらいに上げまして、そうしてまた
相当
時間やりまして、それからまたそれを二キロワットに上げまして
相当
やるというような工合にやっておるのを見ましても、それはウォーター・ボイラー・タイプでございますが、ある
程度
は時間がかかるのではないかというふうに、ただ私は私自身感じたわけでございます。
湯山勇
96
○湯山勇君 それは最初やるときはそうだと思いますけれ
ども
、実際には設計その他についても公開されておる、その操作等についても公開されておるとすれば、そのときの炉の通りではなくてはいいと思うんです。そうすると、組み立てるだけにはどれくらい日数がかかりますか。そういう性能までいかなくて、受け入れた濃縮ウランを一応炉の形に組む、そこまでにはどのくらいかかりますか。
駒形作次
97
○
政府委員
(駒形作次君) やはり一年くらいかかるんじゃないかしらと私は思うのでございますが、それは炉というのはそんなちょろっとしたものではございませんでございまして、ノースカロライナ州立
大学
の十キロワットの
建設
当初から写真がずっとあるのを見てみましても、ずっとコンクリートを打って、そうして十キロワットでも
相当
大きなコンクリートの大きさになりますし、土地に穴を掘って基礎をやりまして、そうしていろいろ炉の実体を入れますものを作っていくというふうにいたしますと、そんなに短い時間ではちょっとできないのじゃないかというふうに私は想像するのでございます。
湯山勇
98
○湯山勇君 そうしますと、先ほどの
左藤
委員
の質問と
関連
してくるのですが、濃縮ウラニウムを受け入れて、先ほどのお話ではただ技術的な訓練が中心だ、こういうお話ですけれ
ども
、それだってとにかく一応の動き出すまでには二年はかかる。それならば当初の
計画
通りに天然ウラニウム重水炉にして、そのまま一本でやっていっても、五年向うでは一千キロのものができる。全く小型のほとんど役に立たないものとしてこういう濃縮ウラニウム炉を作ることが、
日本
全体の原子力開発のためいいのか、一本でやるほうがいいのか。今の年数の計算からいえば、私、疑問じゃないかと思うのですが、先ほどお話のように果して五年向うで今のままでいって、一千キロの実験炉ができる確信があるのでしょうか。
駒形作次
99
○
政府委員
(駒形作次君) 私はやはり非常に小型の濃縮用の実験原子炉があったほうが、その後のものが非常に
促進
されますし、またそれが確実なものを作る上に、非常に役に立つのじゃないかというふうに考えております。まあ一年か一年半か二年かわかりませんが、それでもしできますならば、直ちに人がこれになれる、人の訓練ということもできますし、それから、材料のいろいろなこまかい試験というものが、ある
程度
はそれでできますし、それからそれがありますと、炉の設計というものを計算だけではなくて、いろいろチェックすることができるわけでございますからして、そういうものがあれば非常に役に立つ、そうしてその
あと
の方の天然ウラニウム重水の炉というものもできるというふうに考えておりますが、さらにさらに確実になってくるということは言われると思います。
湯山勇
100
○湯山勇君 議論をするという意味じゃございませんけれ
ども
、技術の訓練ということであれば、これだけのものがあれば、とにかくアメリカならアメリカへ何百人か人を送って、十分実物について技術の訓練も受けられると思うのです。そこで究極の目的がとにかくも原子炉を作るということであれば、そういう方法を端的にとるのもいいと思うのですけれ
ども
、先ほどから御要望がありますように、ただ実験用原子炉を作れば足りるというのじゃなくて、将来大きく開発して行こうということであれば、今のお話のように濃縮ウラニウムで作る炉というものは、将来われわれ考えて——皆さん考えていらっしゃるものとは根本的に様式が違っていく。ですから実際はこの炉そのものが、今おっしゃったように将来作ろうとする原子炉の基礎にはならないわけです。一部役には立ちますけれ
ども
基礎にはならない。そういうことであれば、今回濃縮ウラニウムを受け入れる、こういうことのためには今まで
計画
していた百キロの実験原子炉なり、あるいはまた変更されようとしている一万キロの多目的なものになろうとしても、これを受け入れて、これはもう受け入れてどういうものができるということははっきりわかっているわけですから、濃縮ウラニウムについてはそうすると、それによって今考えているこの一万キロなり千キロなりのものがどれだけどうなるのか、どうプラスになるのか、こういう比較検討が必要だと思います。そういう比較検討をどのようにされておるか、これを承わりたいと思います。
駒形作次
101
○
政府委員
(駒形作次君) 濃縮ウランの小型実験炉ができた場合は、千キロなり一万キロの天然ウラン重水の炉というものの上に、人の面、材料の面、設計の面等において非常に役に立つということでこれを先ほど申し上げました次第でございますが、それでまあアメリカ等の例を見ましても、小型の濃縮ウランを使います炉というものは、これは
一つ
の教育機関などにおきます道具と考えておるのでございまして、すでに例を申しましたノース・カロライナの
大学
のほかにも数校持っておるわけでございます。さらに、
大学
全体といたしまして、二十くらいの
大学
が実験用の原子炉を持とうとしていろいろ
計画
いたしておるような次第でございます。そういうようなことで、第一号天然ウラニウム重水の炉に対して重要であるばかりでなく、やはり今後の原子力の
研究
にしましても、濃縮ウランの小型のものは小型のものなりに役に非常に立つものだというふうに考えられるのでございます。
湯山勇
102
○湯山勇君 私は今の御
説明
は逆じゃないかと思うのです。そうしてまたそういうように解釈しなければならないではないかと思うのですが、濃縮ウラニウムの原子炉というものは、今おっしゃったように
大学
の
研究
等に使われる
程度
のものである。そうして実用になる多目的な、あるいはそれが実験用をかねたにしても、そういうものと切り離して、若干の助けになることは事実ですが、それよりむしろ
学校
教育とそれから実際の実社会の教育とか、そういうものくらいのへだたりがあるのだから、濃縮ウラニウムの原子炉というものが今日こういう工業技術院で考えておられる重水天然ウラニウム原子炉と、そう大してこれが踏み台になってこうだとか、これがなければできないとか、そういう性格のものではなくして、一般的に今おっしゃったような
学校
でもこういう基礎的な訓練をするのだ、教育をするのだ、その
程度
のものだというような把握が正しいのじゃないかと思うのですが、この点いかがですか。
駒形作次
103
○
政府委員
(駒形作次君) 何しろ
日本
におきましては、まだ原子炉なるものが
一つ
もないのでございますから、天然ウラニウム重水の炉を
促進
するという上には、それがあるということはやはり大きな役割を果してくれるものであると考えるのでございます。だんだん進んで参りますと、
一つ
の高価な実験用の機械というふうにはなるかもしれませんけれ
ども
、現在の
段階
におきましては、やはり天然ウラニウム重水というものの炉をやります上の方に一応
重点
を置くのが妥当ではないか、というように考えております。
湯山勇
104
○湯山勇君 それでは私はもう少し具体的に聞きたいのですけれ
ども
、今いろいろおっしゃいましたが、ただ訓練ということは私もわかりますが、その他の面でどれだけ役に立つか、それがあるために既定の
計画
ですね。五カ年向うで千キロのものができ上る、それに対してどれだけの貢献をするか、具体的に私は
一つ
文書にしてでもお示しを願いたいと思います。それで大体いまの抽象的なことだけでは役に立たないと私は言い切れません。おっしゃる通りだけれ
ども
、その
程度
というものがきわめて私はそういう面で低いと思うから、で、
一つ
もう少しはっきりした資料なり、あるいは文書なりでその点をお示し願いたい、これを御承諾願えますか。
駒形作次
105
○
政府委員
(駒形作次君) 訓練のことはそうでございますが、材料試験と申しますのは、やはり
日本
でできますところのたとえば黒鉛というようなものをとりましても、それを中性子を当てる実験をやってみれば非常にはっきりするわけでございます。中性子源といたしまして、いまの天然濃縮ウランというものの炉というものが非常に役に立つわけでございますが、それは黒鉛というものを
一つ
とって申し上げましただけでございますが、その他の材料につきましてもやはり同じことが言われるわけでございます。それを金で幾らだけ
節約
になるのだということにつきましては、それを金で見積るということがなかなかむずかしいのじゃないかというふうに考えられますので、しかし、定性的のことでございますれば、文書をもって、あるいは
説明
書のようなものを差し上げるようにいたしたいと思っております。
湯山勇
106
○湯山勇君 それは定性的なものでけっこうですけれ
ども
、今おっしゃったようなことは理由にならないと思うのです。と申しますのは、今出しておられるこの
説明
書は、これは濃縮ウランの炉がない前提のもとにやっておられるわけでしょう。先ほど御
説明
のこの資料はそうなっていますね。そうすると、これにだってやはりいまの石墨の製造ということが入っているわけです。このときにはそういうものがなくてこれができるようなプランになっているし、しかも石墨というものは要らないのじゃないかという疑問があるだろうと思って、御丁寧にこれはこういう何といいますか、必要だという御
説明
もあったわけだから、そうするとそういう炉があろうがなかろうが、やはり石墨はできる、そこに使える、石墨はできるという見通しがこの面ではちゃんと出たわけであります、あなたの方の
計画
では。だから今あらためてこれがなければできない、濃縮ウランの炉がなければできないということには今のお話ではならないわけです。そうすると、どうもこの
計画
のために濃縮ウラニウムの炉が必要だということの理由が明確にならない。今御
説明
になった点におきましても、そういうものがなくてもちゃんと石墨の製造は
研究
されているわけですから、この過程でそういうものが要するということは別ですが、これはそうでないと思いますから、そこでそういうことが納得がいくような資料が出していただければけっこうですけれ
ども
、今の御
説明
だけではどうも私納得できないのですが。
駒形作次
107
○
政府委員
(駒形作次君) この濃縮ウランの小型実験炉がないと天然ウランの重水の炉ができないということはない、これはたしかにそうでございます。しかしながら濃縮ウランの小型実験炉があれば、この天然ウラン重水の炉というものは、仕事はさらに
促進
される、さらに確実なデータのもとにやり得る、こういう
関係
でございますので、あった方が非常にいいと、そういう意味でございます。
湯山勇
108
○湯山勇君 けっこうですから、そういうとにかく
説明
の資料を出していただいて、私の方でそれを見せていただいてからあらためて質問します。
館哲二
109
○
委員長
(
館哲二
君) それでは本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十一分散会