○
政府委員(清井正君) それでは
昭和三十
年度の食糧管理
特別会計予算案の概要について御
説明申し上げます。
本
予算を
編成いたしました基本的な方針について申し上げますと、先ず米についてでございますが、米につきましては、さしあたり
昭和三十年産米につきましては、集荷制度を従来の供出割当制度から事前売渡申込制度に切替えるということにいたしまして、配給は現行配給量の確保に努めるということにいたしているのであります。麦の管理制度につきましては、従来の
通りの管理を継続いたすということで
予算を
編成いたしたのであります。
米及び麦の価格につきましては、政府の買入価格は、米は
昭和二十九年産米の価格を米価
審議会に御諮問の上決定いたしました当時におきますところの生産者の想定手取価格により
編成いたしてあります。麦は二十九年産の麦の価格をそれぞれそのまま
計上いたしているのであります。消費者価格につきましては、米麦も現行の消費者価格を維持するということで
編成をいたしたようなわけであります。
農産物価格安定法によります澱粉、カンショなま切りぼし、菜種及びてん菜生産振興臨時措置法によるところのテンサイ糖の買い入れ、それから飼料の輸入等につきましては、それぞれ従来からの管理制度をそのまま継続するということで
予算を
編成いたしてあるのであります。
以上が大まかなことでございますが、なお
編成上の重要な事項について簡単に御
説明いたしますと、まず米及び麦の需給
計画でございますが、
内地米の買い入れ数量につきましては、従来は国内生産の見込みから集荷可能数量というものを推算しまして買い入れ数量ということで
計上いたしておったのでございますが、三十年産米につきましては、ただいま申し上げましたように、事前売渡申込制度ということにいたしております
関係上、
昭和二十九年産米の集荷
予定数量と同量の二千三百五十万石を買い入れるということを基準といたしまして、集荷数量を決定いたしてあるのであります。
それから三十年産麦の買い入れ数量につきましては、昨年の二十九年産麦の作付面積に過去三カ年間の平均反収を掛けまして生産数量を推定いたしまして、昨年の農家の保有いたしておりまする割合、それから民間に出廻っております麦の割合等から、政府の買い入れ数量の比率を推算いたしまして、それによって政府の買い入れ数量を、小麦は五十万トン、大麦は二十七万トン、裸麦は五十一万トンと
予定いたしてあるのであります。
輸入の米及び麦につきましては、配給の外米の品質を少しよくする。従って準
内地米の輸入比率を従来よりもごくわずか増加いたしまして、結局準
内地米を四十一万六千トン、普通外米を八十一万三千トン輸入することといたしまして、さらに砕米を九万三千トンばかり輸入いたし、
合計百三十二万二千トンの外米を輸入するということにいたしておるのであります。外麦につきましては、需要量から国内の供給量を
差し引きまして、さらに若干の政府手持ち数量を見込みまして、結局小麦は二百二十四万四千トン、大麦は六十七万三千トンを輸入するということにいたしております。米の配給数量につきましては、
昭和三十米穀
年度及び三十一米穀
年度ともに、
内地の米の配給数量は毎月生産県は十五日、消費地は約八日ということにいたしておりまして、外米の方は、
昭和三十米穀
年度は大体準
内地米が二日、普通外米は五日
程度でございますが、ごくわずか三十一米穀
年度においては準
内地米をふやしまして、約二、五、四、五くらいの割合にいたしたいということで数量を
計算をいたしてあるのであります。
それから米麦の価格でございますが、価格につきましては、先ほども申し上げました
通り、まず米につきましては、二十九年産米の米価決定におきますところの農家の想定手取価格というものを採用いたしておるのでありまして、すなわち超過供出奨励金の石当り
金額千二百八十円と早場米奨励金の
予定額の七十一億円を当時の集荷見込み数量で割りまして平均の手取額を
計算をいたしまして、そうして九千七百三十九円ということで
計算をいたしてあるのでございます。麦の価格は、先ほども申し上げた
通り、前年産の麦の価格をそのまま、大麦は一億千六百二十円、裸麦は二千百七十三円、小麦は二千六十八円の二十九年産の価格をそのまま据え置いてあるのであります。輸入食糧の価格につきましては、これはいろいろ生産地の事情等によりまして変動をいたして参りますので、なかなか予測はむずかしいのでございますが、とりあえず買付済みのものにつきましては、その買付の価格により、今後買い付けるものにつきましては、最近の買い入れ実績価格を基礎といたしまして、若干産地価格、運賃等の値下り傾向を加味して
計上して入れてあるのであります。
それから次は農産物、テンサイ糖あるいは飼料でございますが、大体澱粉、カンショ、なま切りぼし、菜種等は大体前
年度と同様の
数字を
計上いたしまして、買い入れ限度数量を
計上いたしましたその半額を一応
計上いたしております。それからテンサイ糖につきましては、テンサイ糖の生産振興
計画等も別途あるのでありますが、それによる三十
年度の
計画数量を全部買上げするということにいたしておりますし、輸入の飼料につきましては、三十
年度の濃厚飼料の需給推算に基くところの要輸入数量のうち、ふすま、マニトバ五号小麦、大豆、トウモロコシにつきましては約六〇%を
計上をいたしてあるのであります。買い入れ価格につきましても、それぞれこれは前年の価格を原則として踏襲をいたしておるのでございますが、輸入飼料等につきましては、特に最近の実績を見まして、あるいはテンサイ糖につきましては、テンサイの前年産の価格に加工費を加えて算定をいたしてあるのであります。
以上のようなことで
編成いたしました食糧管理特別会計の歳入歳出は、総計七千二百四十五億九千七百四十九万円でございまして、
昭和二十九
年度に比べて若干上廻っておるのであります。また
昭和三十
年度におきます食糧管理特別会計の収支の状況は、損失におきましては
内地米及び内麦によるものが約百八十七億、その他の損失八億を合せまして
合計百九十五億の損失があるのでございますが、一方また外麦等の益金、酒米等の利益等が約百二十五億ございますので、
差し引き約七十億の損失になるという
予定をいたしているのであります。この七十億と、二十九
年度に
予定されておりますところの二十九特別会計の損失約三十億を加えますというと、
昭和三十
年度末におきまして、本会計の損失は約百億となる見込みになっているのであります。この損失の処理につきましては、
昭和二十六年にインベントリー・ファイナンスといたしまして、
一般会計から約百億円を繰り入れを受けたのでありますが、これを取り崩すことによって補てんをする方針であるのであります。
以上をもちまして特別会計の
予算のおもな事項を御
説明申し上げたような次第でございます。