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1955-05-09 第22回国会 参議院 予算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月九日(月曜日)    午後一時十九分開会   —————————————    委員の異動 四月八日委員平林剛君及び三輪貞治君 辞任につき、その補欠として、秋山長 造君及び小林孝平君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     館  哲二君    理事           池田宇右衞門君            石原幹市郎君            西郷吉之助君            豊田 雅孝君            佐多 忠隆君            成瀬 幡治君            松澤 兼人君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君    委員            秋山俊一郎君            伊能 芳雄君            植竹 春彦君            小野 義夫君            木村 守江君            佐藤清一郎君            堀  末治君            安井  謙君            吉田 萬次君            小林 政夫君            高木 正夫君            廣瀬 久忠君           小笠原二三男君            久保  等君            湯山  勇君            田中  一君            永井純一郎君            松浦 清一君            石坂 豊一君            深川タマヱ君            武藤 常介君            八木 幸吉君   国務大臣    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君   政府委員    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省主税局長 渡辺喜久造君    大蔵省理財局長 阪田 泰二君    大蔵省銀行局長 河野 通一君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十年度一般会計予算(内閣送  付)(予備審査) ○昭和三十年度特別会計予算(内閣送  付)(予備審査) ○昭和三十年度政府関係機関予算(内  閣送付)(予備審査)   —————————————
  2. 館哲二

    委員長館哲二君) これより委員会を開きます。本委員会に付託されております昭和三十年度予算三件の審査につきましては四月の二十七日の委員長及び理事打合会におきまして協議いたしました結果本日大蔵大臣並びに関係政府委員から説明を聞きまして、今週は明十日から十三日まで、来週は十七日から二十日まで委員会を開くことに決定いたしましたので御了承をいただきたいと思います。  それではこれより大蔵大臣説明をお願いいたします。
  3. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 昭和三十年度予算につきまして御説明を申し上げます。  昭和三十年度予算編成方針及びその大要につきましては、過日、本会議で御税明いたしたところでありますが、予算委員会において、本日から御審議をお願いするに当りまして、あらためてその概要を御説明申し上げたいと存じます。  昭和三十年度予算につきましては、御承知の通りさきに四、五月分につきまして暫定予算が成立し、現在この暫定予算を執行いたしておるわけでありますが、今回提出しました本予算が成立いたしましたときは、暫定予算は本予算吸収されることになっております。  まず財政規模について申し上げます。  三十年度一般会計予算総額は、歳入歳出とも、九千九百九十六億円でありまして、財政投融資資金計画は、総額三千二百七十七億円となっております。この両者を含めた財政規模は、その合計額から、重複額として一般会計からの出投資二百六十二億円を差し引いた一兆三千十一億円でありまして、前年度財政規模一兆二千六百四十八億円に比べ、三百六十三億円の増加となっております。  次に一般会計について申し上げます。  一般会計歳入総額は、九千九百九十六億円でありまして、前年度に比べ二億円の減少となっております。  歳入のうち、主要なものは、申すまでもなく租税収入でありまして、七千五百九十六億円を見込んでおり、歳入全体の約七六%に相当しております。三十年度におきましては、国民生活の安定と資本の蓄積等を促進いたしますため、低額所得者所得税軽減中心として直接税を軽減いたしますほか、臨時に、預貯金等利子及び配当所得に対する源泉課税を減免いたします等総額三百二十七億円にのぼる減税実行いたすことにしております。減税額は、平年度約五百十四億円となる見込みでありますが、減税案の詳細な内容につきましては、政府委員をして説明いたさせます。本年度におきましては、右の通り直接税において三百二十七億円の減税実施いたしましても、他面において、砂糖消費税酒税等間接税におきまして、増収が見込まれますので、租税収入全体としましては、前年度をやや上回る程度となっております。専売納付金は、前年度より若干減少いたし、千百八十九億円となっておりますが、これは、ピース等高級たばこ売れ行きが依然として不振であること、地方税であるたばこ消費税平年度化に伴い三十二億円ほど増加したことのほか、新たに収益のうちから三十億円を地方財源として、交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れることとしたこと等によりまして、専売公社納付金見込みが六十二億円減少するためであります。  次に歳出でありますが、その総額は、九千九百九十六億円でありまして、前年度に比べ二億円の減少となっております。  以下、主要経費につきまして、簡単に申し述べることといたします。  第一に、社会保障関係費でありますが、これにつきましては、失業対策費中心とし、担当充実をはかることといたしておりまして、その総額は一千六億円に達しております。  まず、生活保護費児童保護費におきましては、前年度に対して生活困窮者増加を約五%と見込んで所要額計上いたしております。生活保護費計上額は、三百四十八億円でありまして、前年度に比べ八億円の減少となっておりますが、二十九年度及び三十年度ともその前年度赤字補てん分として、それぞれ、二十九億円及び十億円を含んでおりますので、これを除きますと、三十年度は二十九年度に比べ十一億円の増加となっております。  社会保険費は、百二十億円を計上いたしておりますが、このうち重点を置きましたのは、政府管掌健康保険赤字対策であります。この健康保険におきましては、主として医療給付増加によって収支状況が悪化し、前年度末には四十億円の赤字となり、さらに三十年度におきましても相当額赤字を予想されるに至っていたのであります。そこでこの対策といたしまして、まず、極力保険料収入増加をはかりますとともに、給付適正化をはかることによりまして、給付費増加を抑制いたしますほか、保険料率現行法の許容する最高限度すなわち千分の六十五まで引き上げ、標準報酬等級改訂ずる等措置を講ずることによりまして、極力赤字圧縮をはかることといたしておりますが、さらにとりあえず、国による財政援助措置といたしまして、一般会計からこの保険会計へ十億円を繰り入れるほか、本年度末までの赤字六十億円につきまして、運用部資金の貸付を考慮いたしまして、健康保険の健全な運営を期することといたしました。なお、船員保険疾病給付において生じた赤字につきましても、ほぼ同様の措置を講ずることといたしております。  次に、失業対策につきましては、三十年度失業情勢を勘案し、前年度の一日平均十七万人に対し、三十年度は一日平均二十二万人の失業者吸収することとし、失業対策事業費中心といたしまして、失業対策費を前年度に対し、約四十六億円増額し、二百八十九億円を計上いたしました。このうち、特別失業対策事業費といたしまして、三十四億九千万円を予定し、道路等事業費として三十一億八千万円を建設省所管に、港湾事業費として三億一千万円を運輸省所管に移しかえ使用し、事業効果の高揚を期しつつ失業者吸収重点的に行うことといたしております。  なお、一般公共事業実施に当りましては、失業者吸収を一段と強化することといたしておりますが、三十年度は特に道路整備事業を大幅に拡充し、事業費として二百三十六億円を計上しておりますので、事業実施に当り、前年度補正予算以来実施いたしております緊急就労対策事業趣旨を十分生かして失業者吸収に努めたいと考えております。以上のほか、鉱害復旧事業費を四億円増額し十三億円を計上いたしまして、炭鉱失業者吸収を強化することといたしております。  なお、結核対策費におきましては、前年度に引き続き、一万床の結核病床増加を予定しておりますほか、結核予防のための諸施策を拡充することといたしております。  次は文教費でありますが、まず、義務教育費国庫負担金につきましては、教職員給与費について最高限度を定める政令を改正いたしまして、この政令の適用を富裕府県のみに限定することといたしますとともに、児童生徒増加に対応する教員の増加等見込みまして、七百三十七億円を計上いたしました。  このほか、国立学校私学振興育英事業科学振興社会教育等につきましても、重点的に経費計上し、その効率的使用をはかることといたしております。  旧軍人遺族等恩給費につきましては、下級者遺族に対する公務扶助料の単価を引き上げることといたしましたほか、公務扶助料受給人員実績増加等によりまして、四十億円を増加いたしますが、他面、年金及び一時金におきまして、二十七億円の自然減少が見込まれますので、差引十三億円増額し、六百五十一億円を計上いたしました。  地方財政につきましては、赤字累積現状にかんがみ、その刷新改善を各方面から強く要請されておりますが、まず、地方団体自主的努力によりまして、徹底的に経費を節減するとともに、収入確保をはかることが必要であると考える次第であります。  近時、地方公共団体の側におきましても、財政健全化について真摯な努力を傾けられるに至っており、これはさらに推進されるべきものと考えておりますが、かかる観点から、政府としても地方団体に対しては積極的に援助いたしたいと考え、各般の措置を講ずることといたしました。すなわち、補助金等整理合理化を促進し、補助率を改訂する等地方負担軽減をはかることといたしておりますが、他面、地方交付税交付金につきましては、定率の増加に伴い昨年度に比べ百三十二億円を増額し、一千三百八十八億円を計上いたしました。このほか、地方財源充実をはかるため、専売公社収益のうちから三十億円をさいて交付税交付金に付加いたしますとともに、特に本年度に限り、入場税の一割相当額一般会計へ繰り入れることを取りやめ、入場税収入の全額を地方に譲与する等の措置を講じたのであります。  さらに地方道路税を創設いたしまして、道路整備五カ年計画実施等に伴う地方道路財源確保することにしております。  また、地方財政再建整備につきましては、自主的努力の進められている地方公共団体に対しましては、再建整備債の発行を認めへ政府の引き受け、あるいは民間引受分に対する利子の補給を行う等の施策実行することといたしております。  公共事業費及び食糧増産対策事業費につきましては、総額一千四百三十六億円を計上しております。これが計上に当りましては、継続事業重点的に取り上げ、新規事業の採択を極力抑制いたしますとともに、道路関係事業費鉱害復旧事業費等を除きまして、前年度補正後の予算額より若干圧縮をはかっておりますが、事業実施に当りましては、調弁価格引き下げ等措置によりまして、ほぼ前年度程度事業量確保し得る予定であります。  道路関係事業費につきましては、「道路整備費財源等に際する臨時措置法」の趣旨を尊重いたしまして、前年度に対し大幅に増額を行い、二百三十六億円を計上いたしましたが、このほか、労働省所管計上ざれる特別失業対策事業費のうちから、二十六億八千万円を建設省所管に移しかえて、道路整備を促進することといたしております。  なお、道路整備のための地方財源を強化するため、揮発油にかかる消費税として、新たに地方道路税を創設し、揮発油一キロリットルにつき四千円の税率といたしましたが、同時に揮発油税につきましては、揮発油一キロリットルにつき一万三千円の税率を一万一千円に下げることとし、国、地方道路費財源の調整をはかることといたしました。  次に住宅対策につきましては、わが国の深利な住宅難を今後十年間で解消することを目標とし、長期計画を樹立いたしておりますが、三十年度はその初年度として四十二万戸の建設を実現することを目途といたしております。  まず、そのうち、財政資金による建設戸数を十七万五千戸と予定し、そのため財政資金といたしまして、一般会計において二百十八億円を計上し、運用部資金等を含めるときは総額四百二十四億円、前年度に比べ約五割、百四十億円の増額を予定いたしております。なおこの際、財政資金による住宅建設方式として、従来の公営住宅住宅金融公庫等による方式のほか、新たに日本住宅公団割設し、大都市及びその周辺における集団不燃性庶民住宅建設等を促進することといたしております。  また、民間における住宅建設の意欲を大いに促進するため、住宅融資に対する保証保険制度割設、税制上の特別償却制度の拡張、地代家賃統制令緩和等措置を講ずることといたしておりますほか、民間不要不急建物建築を抑制し、建築資金及び建築資材需要増加をできるだけ少くすることによりまして、住宅建築を容易にいたしたいと考えております。  次に、防衛関係費について申し上げます。わが国の自主的な防衛態勢を整えるため国力に応じて漸次自衛隊充実をはかって参ることは政府幕末方針でありますので、本年度陸上自衛隊二万人の増員を中心といたしまして、自衛隊を強化することとし、防衛庁経費を前年度に対し、百二十五億円増額し、八百六十八億円を計上いたしました。  また、施設提供等のため必要な経費につきましても、増額の必要がありますので、前年度に対し二十七億円増額し、七十九億円を計上いたしました。しかしながら、国民経済現状を考えますとき、防衛関係費全体として、これを増額することは困難でありますので、米国政府に対し防衛分担金の減額を要請し、交渉の結果、前年度より百五十二億円減少し、三百八十億円ということになりました。従って、防衛関係費総額は、前年度の一千三百二十七億円のワク内にとどまったのであります。  以上の重要事項のほかは、一々の事項についての説明は省略することといたしておりますが、特に輸出の振興、資源の開発、中小企業対策農林漁業振興、移民の振興等につきましても、さきに発表いたしました予算編成大綱の線に沿って、所要予算重点的に計上することといたしております。  三十年度財政投融資資金計画は、前にも申し述べました通り総額三千二百七十七億円でありまして、前年度実行計画額二千八百五十億円に比べ四百二十七億円の増加となっております。  財政投融資資金運用に当りましては、住宅建設貿易振興、鉄、石炭、肥料等の車産産業合理化促進等重点を置いて、それぞれ所要額を配分することといたしております。  なお、砂糖等輸入特殊物資超過利潤吸収は、大蔵省に新たに設置する特殊物資納付金処理特別会計において行うこととしておりますが、この会計納付金として吸収されました資金は、産業投資特別会計へ繰り入れて活用することになっております。  特別会計及び政府関係機関予算につきましても、一般会計に準じ、極力経費の節減をはかりますとともに、事業の円滑な遂行を期することといたしまして、所要予算計上いたしております。ここでは、そのうち重要な二、三の点について御説明いたします。  まず、食糧管理特別会計でありますが、この会計におきましては、米の予約買付制度を前提といたしまして、消費者価格を十キロ七百六十五円に据え置くとともに、生産者価格を二十九年産米決定米価による農民平均手取価格石当り九千七百三十九円と予定いたしております。この結果、この会計全体を通じ、二十九年度分を合せ、一応百億円程度赤字を生ずる見込みでありますが、この赤字につきましては、今後の実行において、数字が確定するのを待ちまして、その処理を考えることといたしております。  次に、国有鉄道につきましては、貨物運賃収入減少等によりまして、最近の収支状況は必ずしも良好ではありませんが、低物価政策を堅持する建前のもとに、運賃を据え置くことといたしますとともに、とりあえず工事計画において、必要とする資金を極力資金運用部資金等で手当することといたしております。この工事計画のうち、新線建設のためには、二十五億円を予定し、事業継続に支障のないようにいたしております。  なお、本年度におきましては、新たに、あへん特別会計を厚生省に、自動車損害賠償責任保険特別会計運輸省に、特殊物資納付金処理特別会計大蔵省に新設することといたしております。  なお、このほかに、今後、余剰農産物資金の借り入れに関する米国側との交渉の結果に伴いまして、その関係特別会計の新設を考慮いたしておりますが、これにつきましては、今後の交渉の推移に待つことといたしております。  以上、三十年度予算につきまして、ごく概略を御説明申し上げましたが、なお詳細にわたりましては、政府委員をして補足して説明させることにいたします。
  4. 館哲二

    委員長館哲二君) 次に森永主計局長
  5. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) ただいま大蔵大臣から念入りに詳しく御説明がありましたので、重複はできるだけ省きまして、もっぱら計数的な面で説明申し上げたいと思います。  お手元に、昭和三十年度予算説明という印刷物をお配りしてあると思いますが、この印刷物につきまして申し上げたいと存じます。まず一ページ以下に総説がございますが、これはただいま大臣から説明いたしましたことと重複いたしますので省略いたします。ただ、一ページの右側の予算規模国民所得との関係数字にだけお目をとめていただきたいと存じます。一般会計予算規模は九千九百九十六億円でございまして、一方昭和三十年度国民所得は六兆三千二百三十億と推定せられております。その割合は一割五分八厘でございまして、昨年度よりはわずかに小さくなっております。なお一般会計財政投融資との純計額、これもただいま説明がございましたように、三十年度は一兆三千十一億でございます。これの国民所得に対する割合は二割六厘でございまして、この面では前年度の二割四厘よりわずかにふくれておる、さような数字に相なっております。  なおこの総説の所に、四ページ五ページに財政投融資計画がございますが、この点につきましては、一般会計を申し上げましたあとに触れることにいたしまして、まず歳入関係から申し上げたいと存じます。  歳入は二十二ページ以下でございます。一般会計歳入予算は、九千九百九十六億三千百万円でございまして、前年度より二億四千八百万円の減少に相なっております。その内訳は租税皮印紙収入が七千八百十五億千八百万円、それから専売納付金が千百八十九億六千三百万円、官業益金及官業収入が百二十二億五百万円、政府資産整理収入が、七十一億四千六百万円、雑収入が三百八十九億九千万円、前年度剰余金の受け入れが四百八億六百万円といったような内訳に相なっております。このうちの租税及印紙収入につきましては、後ほど主税局長から説明がございますので、一切省略をさしていただきます。  専売納付金、二十四ページでございますが、専売納付金は千百八十九億六千三百万円でございまして、前年度より六十二億三千三百万円の減少に相なっております。この減少は最近たばこ売れ行きが不振でございまして、一向向上いたしませんので、それによりまして前年度以上の収入が確保が困難でございますが、さらにそのほかに、たばこ消費税関係減少をいたしておるのでございます。たばこ消費税は昨年度創設されまして、昨年は十一カ月分でございましたが、本年度はそれが平年度化いたしますので三十二億円増加いたします。さらにこれは昨年度地方交付税税率審議の際に端を発するわけでございますが、税率の国会における修正にからみまして、三十年度以降はたばこ益金から三十億円を地方配付するようにと、そういう要請がございまして、当時の大蔵大臣より公約を申し上げておったわけでございますが、本年度地方財政現状から申し上げまして、この三十億円を増加して地方配付することになったわけでございます。問題はその配付の方法でございまして、本来でございますればたばこ消費税増率という形をとるべきでございましたが、本年度はこの予算の成立がおくれました関係、従いましてたばこ消費税増率という形をとります場合には、その施行もおくれまして同じ三十億円をあげますのに、初年度だけ非常に高い税率を設けなければならぬという不自然な結果になりますので、かたがたたばこ消費税府県市町村における配分につきましてもいろいろ問題がございますので、税率の問題につきましては、しばらく後日の検討に譲りまして、本年度限りの臨時措置といたしまして、この三十億円は交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れることにいたしまして、その会計を通じまして地方団体配付すると、さような措置がとられたわけでございます。その三十億と平年度化の三十二億と合せまして、その六十二億程度のものが専売納付金における減少に相なっておるわけでございます。  次は官業益金及官業収入でございますが、百二十二億五百万円で、十億四千二百万円の減少でございます。この減少の主たる原因国営競馬特別会計が廃止されまして、民営に切りかえられたそのための特別会計からの受入金が十五億五千二百万円落ちたわけでございます。そのほか若干増加したものがございますが、結局十億四千二百万円の減少となりました。  次に政府資産整理収入でございます。七十一億四千六百万円でございまして、前年度より十二億九千六百万円の減少に相なっております。減少の一番大きな原因国有財産の処分による収入、売り払いによる収入が十八億余り減少いたしましたことが大きな原因でございます。ほかのところで増加もございまして、結局十二億九千六百万円の減少になったわけでございます。  次に雑収入でございますが、三百八十九億九千万円、これは前年度より四十六億一千四百万円増加いたしております。その増加の主な原因は一つは先ほど申し上げました競馬が国営から民営に移されたそのために、日本中央競馬会ができまして、そこからの納付金となるわけでございます。その分が九億八千三百万円ございます。そのほかに恩給法納金及特別会計等恩給負担金増加十七億円、さらに特別調達資金受入増加十七億円、さようなものが増加の主なファクターでございまして、若干増減がございまして結局四十六億一千四百万円の増という計数に相なっております。前年度剰余金受入四百八億円、これは決算の確定による剰余金の推算をそのまま受入れております。  歳入につきましてはその程度にいたしまして次は歳出でございます。六ページにおかえりをいただきたいと思います。  六ページに東要経費別の前年度との比較表が出ております。ここへ現われております重要経費につきまして以下主として積算の根拠といったような観点から御説明をいたしたいと存じます。まず生活保護費でございますが、計上額は三百四十八億三千四百万円、前年度に対しましてこれは八億六千五百万円の減少に相なっております。この内訳でございますが、保護管が三百三十四億九千四百万円、それから保護施設事務費が七億二千七百万円、保護施設整備費が一億八千二百万円、法施行事務費が四億三千万ということに相なっております。八億六千五百万円減少いたしましたのは、先ほど大臣説明中にもございましたが、二十九年度、三十年度、いずれもそれぞれの前年度赤字の補てんを見込んでおるわけでございまして、その赤字補てん額が二十九年度は二十九億八千六百万円でございました。本年度は十億を見込んでおるわけでございます。従いまして赤字補てん額を除いた実質的な生活保護費について考えますと、十一億四百万円の増加に相なっておるわけでございます。積算の根拠でございますが、人員につきましては二十九年度予算に対しまして五%の増加を見ておりました。単価につきましては原則として二十九年度予算における単価をとっておりまするが、在宅結核患者につきましては若干の栄養改善をはかっております。  次は児童保護その他社会福祉費でございます。計上額は七十四億三千六百万円でございます。内訳は児童保護費が六十三億二千五百万円、それから身体障害者保護費が三億六千八百万円、母子福祉費が五億円、社会福祉事業振興会出資が一億円、社会福祉諸費が一億四千二百万円というような内訳に相なっております。増加いたしましたのはこの児童保護費でございまして、ここで七億二千四百万円の増加に相なっております。この増加は昨年度から児童福祉施設を増設いたしておりまする分が完成いたしまして、収容人員が増加いたしましたこと、並びに保育所、母子寮等における援護率、これを昨年度より五%引上げまして、そのために保護人員が増加いたしましたために増加いたしたわけでございます。そのほかに社会福祉事業振興会出資におきましても三千万円を一億円と七千万円増加いたしております。これらの項目を通じましてこの項目における増加額は前年度に対して七億四千四百万円ということに相なっております。  それから次は遺族及び留守家族等の援護費でございます。計上額は四十四億三千六百万円でございまして、前年度に対しまして五億六千八百万円の減少に相なっております。この内訓は遺族等援護費が二十九億八千百万円、留守家族等援護費が十四億五千五百万円というように相なっております。両者を通じまして五億六千八百万円の減少になっておりまするのは、遺族年金及び留守家族手当の受給資格者が失権によりまして減少いたしましたこと、ないしは引き揚げ、死亡処理の進捗に伴いまして、対象人員が減少いたしましたことによるものでございます。なお、後ほど申し上げまする旧軍人遺族等恩給費における遺族扶助料の単価の引き上げに伴いまして遺族年金及び留守家族手当につきましてもそれに権衡をとりました若干の引き上げを予定いたしておることを申し上げておきたいと存じます。  次は社会保険費でございます。計上額は百二十億三千十百万円、前年度に対しまして十四億九千五百万円の増加に相なっております。この百二十億の内訳は厚生保険特別会計への繰り入れが四十三億七千三百万円、それから船員保険特別会計への繰り入れが二億九千万円、健康保険組合補助が四億六千万円、国民健康保険助成費六十九億一千二百万円、こういうふうな内訳になっております。この中で特に増加いたしましたのは厚生保険特別会計への繰り入れでございますが、この増加は、政府管掌健康保険につきまして最近医療給付増加により収支状況が悪化いたしておりますが、この赤字解消対策といたしまして一方におきまして医療給付適正化保険料率の率の許す最高限度まで引き上げ、並びに標準報酬等級の改訂等を考えることにいたしておりますが、そういたしましてもなおこれが三十億円の赤字が出る見込みでございまして、この赤字のうち十億円を一般会計から繰り入れるということにいたしたのが主な増加でございます。残りました赤字二十億につきましては、二十九年度赤字四十億と合せまして合計六十億円につきましてこれを資金運用部からの長期借り入れによりましてたな上げをするのでございまして、その六十億円につきましては三十一年度以降六カ年間にわたりまして毎年度十億円ずつを一般会計からこの会計に繰り入れることによってこの赤字の解消をはかろう、かような考え方をいたしておるわけでございます。なお、この赤字政府管掌健康保険だけではなくて、程度の差はございます。らんと少いのでございますが、船員保険特別会計につきましても同じような現象が起っておりますのでこれにつきましても同様の措置を講じております。なお、日雇労働者健康保険につきましては、この際給付の内容の充実をはかることにいたしまして療養給付期間を従来は六カ月でございましたが、これを一年に延長することを予定いたしております。さらに歯科における補てつ、出産給付、葬祭給付等も給付の対象に加えることを予定いたしておることを付言申し上げておきたいと存じます。国民健康保険助成費につきましては従来通りの方針で補助金を計上いたしました。  次は失業対策費でございます。計上額は二百八十八億八千四百万円でございます。前年度に対しまして四十六億千八百万円の増加に相なっております。この内訳は失業対策事業費の補助が百六十八億二千万円、失業保険費が百十七億四百万円、かような内訳に相なっております。失業保険費におきましてはこれが約二億七千六百万円の減少でございまして、従いまして失業対策事業費補助におきましては四十八億七千万円の増加ということに相なっております。この増加を来たしました基礎になりました数字でございますが、まず失業者数につきましては一平均吸収人員を二十九年度は十七万人でございますが、これを二十二万人に増加することといたしております。これはもっぱら量の面でございますが、さらにもう一つ質の面といたしましてもこの二十二万人のうち三万人につきましては本年度から新たに特別失業対策事業費という新たな観点からの項を起しまして事業効果の向上を期するために労力費、資材費、事務費等の単価ないしは補助率等につきましても若干改善を加えることにいたしておるのであります。これによりまして失業対策事業の能率を向上し、事業効果を向上することを期待いたしておるわけでございます。そういうことでございますのでこの特別失業対策事業費、これに当ります金額は三十四億九千万円でございますが、これを事業実施いたしまする場合には、河川関係道路関係、都市計画関係、これにつきましては建設省所管に移しかえて、建設省所管事業の一環としてその実施に当る。もう一つ港湾関係につきましては運輸省に移して事業実施させる。金額を申し上げますと、河川関係が五億、道路関係が十六億三千万円、都市計画関係が十億五千万円、合計、建設省へ移しかえますものが三十一億八千万円、それから運輸省へ移しかえますものが三億一千万円、かようなことに相なっております。  失業保険費でございますが、これは従来の実績を基礎にいたしまして、この年間における平均受給人員を四十五万四千人、日雇いにつきましては九万四千人という基礎のもとでこの金額を計算いたしております。  なおもう一点申し上げておきたいと存じますのは、失業保険法では現在給付日数が一律に百人十日ということに相なっておりますが、これを被保険者期間、すなわち在職期間の長短に応じまして若干較差を設けるということを考えておるのでございます。五年以上の者に対しましては一応二百七十日、六カ月以上九カ月未満の者に対しましては九十日というようなことで、実情により適合するような制度に変えて行くということを予定いたしておるわけでございます。ただしこの点につきましては目下審議会等で審議中でございまして、最終的な結論には達しておりませんことを付け加えて申し上げておきたいと存じます。  失業対策のもう一つのアイテムとして政府職員等失業者退職手当三億六千万円がございます。それは政府職員が退職いたしました場合に、政府から受け得る退職手当と失業保険法による失業保険金との差額支給のための金額でございまして、この金額につきましては格別付け加えて御説明申し上げることはございません。  次は結核対策費でございます。計上額は百二十九億九千四百万でございます。その内訳は国立結核療養所の経営費が九十八億六百万円、国立結核療養所の施設が七億三千三百万円、結核予防費補助十九億四千五百万円、公立並びに非営利法人立結核療養所増床費補助四億七千四百万円、その他三千五百万円ということに相なっております。総体を通じまして二億一千六百万円の減少になっておりますが、これは病床の増加は前年度に引き続き一万床という増床を予定しておるのでございますが、病床の回転率をよくいたしますために、その一万床のうち一部分をいわゆる軽快ベッドとして考えておる、これに伴う減が主なものでございまして、病床の増加におきましては前年度と同じ病床数を計画いたしております。そのほかの面でたとえば健康診断、予防接種等の予防対策費は、従来よりも強化いたしておりまするし、また医療費の公費負担の範囲も若干拡張をいたすことにいたしております。さらに結核患者の居宅療養室につきましては新たに補助金を出すことも考慮いたしておる次第でございます。  以上、1から6までの経費が社会保障関係経費でございまして、その小計が一千六億円、前年度に対しまして五十二億円の増加と相なっております。  次は文教関係費でございます。  まず義務教育費国庫負担金でございますが、計上額は七百三十七億円でございます。前年度に対しまして二十八億七千百万円の増でございますが、増加いたしましたのは、本年度における学童数、生徒数の増加に伴う教員の増加一万二千五百十人を考えておりますが、その増加並びに給与の単価の自然増に伴うものでございます。なお、従来この負担金を支給して参ります上におきまして、交付税を交付しないいわゆる富裕府県のほかに、基準財政収入額が交付税の額を上廻っている都道府県、比較的富裕府県という言葉を使っておりますが、その両者に対しまして、この負担金の最高限度を設けまして、この限度以上のものは打ち切っておったのでございますが、今回はこれに関する政令を改正いたしまして、頭打ちをいたしますのは交付税を交付しないいわゆる富裕団体のみということにいたしました。その他の富裕府県には頭打ちの規定の適用がないように政令の改正を見たのでございます。この新政令を基礎といたしまして、今回の予算の積算をいたしている次第でございます。  次は国立学校運営費でございます。計上額は三百九億三百万円でございまして、前年度より十億六千九百万円の増加に相成なっております。この内訳はここにございますように、国立学校二百二十九億六千万円、附属病院五十六億七千三百万円、附置研究所二十二億六千八百万円ということに相なっております。これを通じまして、増加の主な内訳は人件費の自然増が四億九千百万円、それから昨年の北海道における風害による大学演習林の被害が大きかったのでございますが、その風倒木の処理等のための経費一億六千万円、病院の医療費の増が一億一千四百万円、そのほかに原子核研究所の設備その他研究費の増が三億四百万円、かような内訳に相なっております。  次は文教施設費でございます。計上額は八十二億八千六百万円でございまして、前年度より四億九千七百万円の減少になっております。しかしそれはこの内訳をごらんいただけばわかっていただけますように、この内訳は国立文教施設費で二十一億三千九百万円、公立文教施設費で五十四億九千百万円、文教施設災害復旧費で六億五千四百万円、ここのところで前年度より約六億五千万円減少しているわけでございます。これは昨年度の災害が少かったことによるわけでございまして、従いまして、この災害による当然減の六億五千万という減を考慮いたしますれば、文教施設費は全体といたしまして一億五千三百万円の増加に相なっているわけでございます。この八十二億八千六百万円の中で、国立文教施設につきましては戦災の復旧についての継続事業重点を置いております。さらに公立文教施設につきましては、中学校の一般校舎並びにいわゆる危険校舎の改築に重点を置いて予算を積算をいたしました次第でございます。  次は育英事業費でございます。計上額は四十一億二千七百万円でございまして、前年度より二億四千八百万円の増加に相なっております。この増加原因は、一つは質的な面でございまして、すなわち従来大学生につきまして採用学生の一割に対して月額二千五百円ということで考えておりましたのを、三分の一に対しまして月額三千円ということに改善をいたしたのが一つ、それからもう一つは高等学校の定時制高校につきまして、採用率を一%から二%に拡張いたしましたこと、それにもう一つは大学院の博士課程が本年度から発足することになりましたので、それらも当然この育英制度の対象につきまして増額いたしました。それらによる増加二億四千八百万円ということに相なっております。  以上七番から十番までの文教関係費における小計が千百七十億円でございまして、前年度に対しまして三十七億円の増加に相なっております。  さらに文教関係では雑件として計上いたしましたものに、いわゆる科学の振興並びに科学の振興費がございます。科学振興費は前年度十億を十二億、私学振興費は前年度約六億を今年度は約八億、これを引っくるめて計算をやりますと千百九十億円ということになりまして、前年度より四十二億の増加といいことになっております。  次は国債費でございまして、計上額は四百三十三億五千七百万円、三十億八百万円の増加になっております。この内訳は、国債の償還が二百四億三百三十七万八千円、この償還は財政法の規定による前々年度剰余金の半額、二十八年度の四百八億円の剰余金の半額を国債償還に充てるためのものであります。これによりまして償還いたしまする最も大きな部分は、遺族国庫債券の年賦償還九十一億円、同じく買上償還二十億円、その他でございます。利子の方は二百二十七億九千二百万円、これはごく事務的に、機械的に計算をいたしました結果でございます。三十億八千百万円の増加に相なっております。これは実は昨年度の特殊な事情によりまして、昨年度計上額が少かったためでございます。すなわち国債整理基金に若干のゆとりがございましたのを、昨年度の補正の際にこれを一般会計からの繰り入れの減という形で財源に供しまして、そのために昨年度の国債費が昨年度だけの特殊な事情として少かったために、本年度は機械的に計算いたしました金額四百八億円はこれは前年度の場合と大差はないわけでありますので、そうふえるはずがないところが三十億もの増加に相なっておるということを御了承いただきたいと存ずる次第でございます。  次は文官恩給でございます。計上額は百六十三億九千九百万円、前年度に対しまして十八億三千万円の増加になっております。これは最近における受給権者の増加等によりまして、ごく機械的に計算をいたしました増加でございまして、特に申し上げることはございません。  次は旧軍人遺族等恩給費でございます。計上額は六百五十一億二千六百万円でございまして、前年度より十三億七百万円の増加に相なっております。この項目にはいろいろな増減のファクターがございます。減の方は既定計画に基く年金及び一時金の減少、当然減でございます。これは二十七億円でございます。それからもう一つは、当初見込みました旧軍人遺族等の受給人員が、最近の実績によりますと若干増加いたして参っておりますが、その人員の増加による増加が四十一億四千万円でございます。さらに普通扶助料受給人員減少するという金額が七億円、そのほかに遺族に対する公務扶助料の年額引き上げ等の措置に伴う増加六億五千万円があるわけでございまして、これらを通じまして十三億八百万円の増加ということに相なっております。遺族に対する公務扶助料増加でございますが、兵長以下の公務扶助料につきまして年額千五百円を引き上げる、それに伴いまして伍長、軍曹等にもバランスを取りましてごく若干でございますが引き上げるということにいたしております。なおこれらの改訂は十月から実施するということで所要額を計算いたしておる次第でございます。  次は地方交付税交付金でございます。計上額は千三百八十八億七千七百万円でございまして、前年度に対しまして百三十二億七千七百万円の増加に相なっております。この交付税は、御承知のように、所得税、法人税、酒税の三税収入に対しまして、平生度百分の二十二の定率で交付せられるわけでございまして、三十年度におけるこれら主税の収入見込額が六千三百十二億六千万円でございますので、その百分の二十二が千三百八十八億七千七百万円ということに相なるわけでございます。  なお、この機会に、この交付税における百三十二億七千七百万円の増加のほかに、本年度から地方道路税を創設することにいたしまして、これによりまして都道府県及び五大市の財源に充実せられる金額が七十二億七千五百万円ということに相なっております。この地方交付税につきましては後ほどまた申し上げます。そのほかに、冒頭にちょっと申し上げましたように、たばこ消費税関係で、本年度限りの臨時措置といたしまして三十億円を交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れまして、これを交付税に付加して地方公共団体に交付するということにいたしております。  さらに入場譲与税でございますが、本来でございますれば三十年度は十一カ月分の収入しか地方に譲与せられないという規定になっておりましたが、地方財政現状にかんがみまして、制度を改めまして、三月分、本来ならばそれは来年度分に回るわけでございますが、三月分を年度内に概算して繰り上げ交付することができる。こういう道を開くことにいたしまして、十一億四千五百万円をここで増額いたしております。さらに、もう一つの点といたしまして、入場譲与税は、入場税収入の九割で、すなわち一割は一般会計に繰り入れるということになっておったわけでございますが、地方財政の窮状を幾分でも緩和いたしますために、これは本年度限りの措置でございますが、一般会計がいただく一割をとりやめまして、その一割も含めて入場税の十割、全部を地方に譲与税として交付する。それによりまして地方に余計に参ります金額が十三億五千四百万円ということに相なっております。これらのいろいろな地方財政に関連した措置をとっておりますことを、この機会についでに申し上げておきたいと存じます。  次は防衛支出金でございます。計上額は四百五十九億六千四百万円。前年度に対しまして百二十五億一千六百万円弱の減少に相なっております。その内訓は、合衆国軍交付金三百八十億円。それから施設提供等諸費及び軍事顧問団交付金七十九億六千四百万円ということに相なっております。この七十九億六千四百万円は、さらにここに書いてございますように二つに分れまして、一つは施設提供等諸費、この分が七十三億九千七百万円。それから軍事顧問団の経費が五億六千七百万円。かような内訳になっております。この施設提供等諸費及び軍事顧問団で、前年度に対しまして二十七億六千四百万円増加いたしましたが、このほかにこの次に述べまする防衛庁経費における増加が百二十五億一千六百万円あるわけでございます。この施設提供等諸費並びに軍事顧問団経費防衛庁経費、これらの経費増加が百二十五億一千六百万円。これを合衆国軍に交付いたしまするいわゆる防衛分担金から減額をいたしますることに交渉がまとまったわけでございまして、その結果ここに三百八十億円として計上せられているわけでございます。  次は防衛庁経費でございます。前年度より百二十五億一六千百万円弱を増加いたしまして、八百六十八億一百万円を計上いたしました。この組織別の内訳でございますが、ちょっと見にくいので恐縮でございますが、内局及び統幕関係付属機関の系統、その分が約二十七億円、陸上自衛隊関係が約五百三十三億円、それから海上自衛隊関係が約百九十億円、航空自衛隊関係が約百十八億円ということに相なっております。この百二十五億一千六百万おります。この百二十五億一千六百万円弱の増加によりまして増勢を考えておりまする主な点を申し上げますと、陸上では現在の制服職員十三万人を二万人増加することにいたしております。又一般職員九千六百二十八人を約二千人増加することにいたしております。これらの増員によりまして九州に約一方面隊を新設いたします。さらに北海道並びに九州に一つずつの混成団を新設をする、さような積算の下に予算額を計上いたしております。海上関係の増強の内容でございますが、十隻の艦船の建造を計画いたしておりまするほかに、米国から供与を受けまする艦船が一隻、さらに航空機四十二機、こういう増勢を予定いたしておりまして、これに見合って制服職員一万五千人を三千五百八十三人、約三千六百人ふやします。また一般職員五百七十七人を四百二十人増加する、さような内容に相なっております。航空関係でございますが、航空機は二百三十機増加する、このうち米国からの供与に期待いたしておりますものが二百三機でございます。この航空機の増強に伴いまして制服職員六千二百八十七人を四千五十九人増員する、また一般職員につきましても四百五十一人を七百八人増加するということにいたしております。内局統幕関係付属機関等におきまして若干の人員の増加を予定いたしております。この予算額のほかに予算外契約といたしまして御承認を仰いでおる金額が百五十四億八千万円でございます。その内訳は装備品購入のためのものが十六億円、航空機購入のためのものが五十二億八千万円、それから施設整備のためのものが二十五億九千五百万円、艦船建造のためのものが六十億五百万円というような内訳に相なっております。これは三十一年度及び三十二年度におきまして国庫の負担となるわけでございます。うち三十二年度の国庫の負担となりまするものがこの航空機の関係におきまして二十四億円でございます。従いまして三十一年度の国庫の負担となりまする金額は百三十億円でございます。  ちなみにこの種の予算外契約は二十九年度は八十億円でございました。二十八年度は百二十億円でございました。十五番と十六番の防衛関係費の全体を通じましては増減がございませんことは先ほど大臣説明にも申し上げた通りでございます。  次は賠償等特殊債務処理費でございます。計上額は百億円でございまして、前年度に対しまして七十五億九千九百万円の減少に相なっております。この経費は従来平和回復善後処理費並びに連合国財産補償費、この二つの項で処理いたしておりましたものを、本年度からこの賠償等特殊債務処理費という一つの項に統合いたしまして、一括して処理することを考えております。只今申し上げました昨年度経費、二つの項からの経費につきましては、だいぶ繰り越しがございます。即ち平和回復善後処理費の系統で百五十億円、連合国財産補償費の系統で二十六億円、そのほかにいわゆる自己繰り越しに属しますものが十六億円、これは平和回復善後処理費の系統でございます。合せまして百九十二億円の繰り越しがあるわけでございます。本年度の百億円はこの百九十二億円の繰り越しがあることをあわせて考えまして、本年度のこの種の債務の支払いに支障がないようにと、そのために必要なる最小限度の金額を計上したわけでございます。  次は公共事業費でございます。公共事業費につきましては十四ページから十九ページに亙りまして非常に詳しい資料が出ております。これを全部申し上げておりましたのでは時間がかかりますので、ごく概略を申上げたいと存じます。総額は千四百三十五億六千七百万円でございまして、前年度に対しまして九十三億二千二百万円の減少に相なっております。この公共事業費につきましての予算の編成につきましてとりました方針といたしましては、一般的には極力重点的に資金の効率を上げるというような観点から考えたい。その場合道路につきましては道路整備費財源等に関する法律の趣旨もございまするし、又失業対策を重視しなければならぬというような観点もございまして、道路につきましては相当金額を増加することにいたしました。更に河川の総合開発、砂防、港湾等につきましても事業の性質上若干重点的に金額を増加することに努力いたしましたが、その他の一般的な事業につきましては物価の下落、国費の節約、地方負担軽減、そういったような観点から僅かながら予算を減額いたしました。しかし物価の下落ということをあわせて考えますれば、おおむね二十九年度程度事業量は実行できる、さようなところを狙って今回も予算の編成に努力をいたしましたわけでございます。重点的施行という観点から新規事業につきましてはできるだけこれを採択しない。単年度完成の工事であるとか、災害その他とも関連して必要な工事であるとか、あるいは大部分が能率的な速度で進行しておってしかも継続事業の大部分が完成する、こういうものにつきましてはこれは新規をとっておりますが、その他の場合につきましては原則として新規はできるだけ抑制する、さような考え方をいたしております。又災害復旧費につきましては、従来とかく予算執行の適正化を要望せられる声が強かったのでございますが、これにつきましては関係各省と協力いたしまして、極力残事業の整理に努力いたしました。従来は予算委員会でもしばしば御指摘を受けましたように、残事業につきまして大蔵省と他の省との見解が合わなかったという問題もあったわけでございますが、その点は累次に亙る事業の結果、又現地査定の結果、見解の統一を見まして、その統一した見解による残事業量をもととして予算を計上いたしております。その場合災害関連事業をどろ編成するか、この点につきましても災害復旧事業費との関連を考慮いたしまして、彼此融通、彼此調整ができるようにと、そして災害復旧全体が合理的に能率よく進行するようにというような観点をあわせて考えておる次第でございます。又地方財政に及ぼす公共事業費の影響の問題でございますが、地方財政現状にかんがみまして、極力公共事業費に伴う負担を減らす、それには一つには事業量の問題がございますが、そのほかにも、たとえば道路関係事業につきましては補助率を相当引き上げて地方の負担を軽減する、さような考え方をも交えて、今回の予算の編成に当ったわけでございます。その結果、国費としては以上申しましたように千四百三十六億円でございまして、九十三億円の減少でございますが、総事業費といたしましては、二千八十億円でございまして、前年度に対しまして約七%ぐらいの減少になっておるわけでございます。地方公共団体の負担としては五百二十二億円でございまして、これまた一割四分ぐらいの減少に相なっておるわけでございます。そこで十四ページ、十五ページの表をちょっと御覧いただきたいと思います。一番下の合計のところにございますように、千四百三十六億円でございまするが、そして前年度に対しましてこれが九十三億円の減少でございますが、内訳で申しますと、治山治水対策事業費三百五十八億五百万円、ここにカッコがございまして、非常に表が見にくくなっておりますが、ここのカッコの中に入っております数字は、先ほど申し上げました特別失業対策事業費を移しかえた場合の数字でございます。ここではしばらくこの数字を無視してごらんいただきたいと思います。無視いたしました場合は三百五十八億五百万円でございまして、前年度に対しまして約八億円の減少でございます。二形ぐらいの減少でございます。ただし、この中でも河川の総合開発七十六億一百万円、これは六・四%の増加に相なっております。また砂防五十四億四千四百万円、これも六・四%の増加になっておりまして、事業全体としては二%の減でございますが、総合開発、砂防に重点を置いておることをこの表でごらんいただきたいと思います。  それから道路関係でございますが、三百十五億九千三百万円、五十四億円の増加に相なっております。なかんずく道路というところの増加二百億八千百万円で、前年度に対する増加は四二%と、ここで大きく増加いたしておるわけでございます。  それから港湾は三十九億四千三百万円でございまして、八・六%の増加、漁港は前年と同額というような、同じ道路港湾等整備事業費の中でも、いろいろニュアンスをもって考えた次第でございます。  それから食糧増産対策事業費でございますが、二百三十七億五千百万円でございまして、七億の減、パーセンテージで申しますと三%の減ということに相なっております。しかしその中でも開拓が、これはわずかではございますが、前年度よりも増加いたしております。開拓実施につきましても前年度よりわずかに増加いたしておるわけでございます。  災害復旧費は五百十億五千万円でございまして、ここで百三十六億円の減少ということに相なっております。内地と北海道の区分が出ておりますが、この食糧増産対策事業費までのところで内地と北海道の区分をいたしました  の集計をいたしますと、そうして全体に対する割合をとってみますと、北海道の割合が一五・三九%、昨年は一五・〇四でございましたから、わずかに北海道の割合が増加いたしておるわけでございます。この表は非常に見にくい表でございまして恐縮でございますが、この中で非常に増減のはなはだしい道路と災害復旧についてだけ補足的に申し上げることにいたしたいと存じます。  まず道路でございますが、道路につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、道路整備費財源等に関する臨時措置法という法律の規定がございまして、揮発油税収入相当額を国の道路費として計上しなければならぬということに相なっております。そうして五カ年計画が立っておるわけでございます。ところでこの五カ年計画を実行いたして参りますためには、地方にも相当大きな財源が必要なわけでございますが、従来はその地方の財源の確保において欠けるところがございました。そこで今回は揮発油税は現行一万三千円でございますが、そのうちこの道路整備費財源等に関する臨時措置法が成立いたしましたときの揮発油税税率を一万一千円、この分を国の揮発油税収入として残しまして、一万三千円との差二千円、これを地方道路税として割愛する。その二千円のほかに、さらに二千円を、これは実質的な増税になりますが、持って参りまして、結局地方道路税は一キロッリター当り四千円ということになりまして、この道路整備計画地方における財源を充実するという措置を講ずることを考えたわけでございます。そういたしますと、国の揮発油税収入は、十八ページをごらんいただきたいと思いますが、約二百六十億でございまして、その二百六十億の揮発油税収入に見合う国の道路事業費として、この十八ページに書いてございまするように、狭い意味の道路費で二百億八千万円、街路の関係で三十二億円、災害関連で約三億円、それから労働省所管に計上いたしておりまする特別失業対策事業費の中の街路関係、二十六億八千万円、合計二百六十三億三千百万円を計上いたしたわけでございます。前年度に対しまして、約九十億円をこの関係増加いたしておるわけでございます。  もう一つは災害復旧でございます。先ほど申し上げましたように、百三十六億円の減少に相なっております。災害復旧事業につきましては、二十八年の大災害以来相当額を計上しておったのでございますが、二十九年度は災害も比較的軽微でございましたし、それに先ほど申し上げましたように、残事業費につきまして各省と協力いたしまして再調査をいたしました結果、残事業費が相当減って参りました。その残事業費を基礎といたしまして、三十年度における復旧率といたしましては、二十九年災につきましては年度末までに五五%、そのうち直轄は大体八〇%、補助分は五二・三%、二十八年災につきましては六五%、うち直轄分は大体これは完成いたします。補助分は六二・九%、二十七年災以前の災害につきましては、残事業の三〇%、さような災害復旧の進捗率を考えまして今回の予算を計上いたしたわけでございます。その結果先ほど申し上げましたように、百三十六億円余りのものがここで減少いたしたわけでございます。それから災害関連事業を五十三億九千六百万円別掲いたしましたが、これは従来も一般の改良事業費の中に、あるいは災害復旧助成事業として、あるいは地盤変動対策事業として、あるいは災害関連事業という名前の下に入っておったのでございますが、これらは災害復旧事業と密接な関係がございまして、合併施行が常例でございまするし、また、いろいろな意味で関連がございますので、これは本年度から別掲いたしまして、災害復旧事業との間に融通性を持たせ、工事の進度の調整をこの経費で行うことにいたしまして、予算効率的使用を期しておるわけでございます。その金額五十三億九千六百万円は、前年度もこれはばらばらに入っておったわけでございますが、これを集計いたしましたものよりわずかに二、三億ではございまするが、増額をいたしました。公共事業費につきましては特に増減の著しい道路災害についてだけ申し上げて、その他の点は省略いたしたいと存じます。  その次は住宅の関係でございます。住宅対策費として二百十八億四千六百万円を計上いたしております。前年度に対しまして四十九億八千九百万円を増額いたしております。これは一般会計だけでございまして、このほかに資金運用部なり、その他の資金から政府資金が住宅関係に投ぜられるわけでありますが、その簡単な一覧表が二ページに出ておりますので、ちょっとあと戻りしてごらんをいただきたいと存じます。三十年度は合計四百二十四億円、それを出すルートでございまするが、公営住宅一般会計から百六億円、住宅金融公庫に一般会計から五十二億円、資金運用部から百八億円、簡保資金から三十億円、合計百九十億円、それから新たに日本住宅公団を創設することを予定いたしておりますが、これに一般会計から六十億円、資金運用部から十八億円、簡保資金から二十億円、合計九十八億円、そのほかに勤労者厚生住宅用として資金運用部から三十億円、合計四百二十四億円を予定いたしているわけでございます。この四百二十四億円で建設いたしまする住宅の戸数でございますが、それは二十ページの表をごらんいただきたいと存じます。一番左測りところに戸数が出ておりますが、公営住宅五万二千戸、そのらち一般住宅が五万戸、災害関係が二千戸、この一般住宅は一種と二種に分れておりますが、一種が三万二千七百戸、二種が一万七千三百戸、そろいう内訳に相なっております。それから住宅金融公庫では七万五千戸、うち一般住宅が四万五千戸で、増築、改築等によるものが三万戸、この増、改築等の資金を住宅金融公庫から出すことにいたしましたのは、ことしからでございまして、これらの資金の需要も相当大きかったのでございます。それらの点を考えまして、改築、増築等の資金も住宅金融公庫から融資できるようにいたすこととしたわけでございます。合せて七万五千戸でございます。それから住宅公団が二万戸、この二万戸のほかに宅地造成を考えておりまして、その分が百万坪でございます。以上の合計が十四万七千戸でございまして、そのほかに財政資金によるものといたしまして二万八千戸ございます。その内訳は備考の2にございますが、公務員宿舎のためのもの、勤労者厚生住宅のためのもの、入植者住宅等のためのもの、これら一切含めた戸数でございます。そういたしますと政府住宅対策として建設いたしますものが十七万五千戸ということに相なりまして、民間自力建設に待ちますものが二十四万五千戸、合計四十二万戸の住宅建設を意図しているわけでございます。この民間の自力建設の促進をはかりますために、いろいろな措置を講じておりますが、それは一つには住宅金融公庫をして新たに住宅融資に対する保険業務をやらせることにいたしまして、五十億円の住宅融資を促進するような計画をもって今回の住宅金融公庫の予算の編成に臨んでおります。さらに税制上の特別償却制度の拡張、登録税の減免を行うことになっております。それから地代家賃統制令も緩和せられるはずでございます。その他不要不急の建築の抑制を要請することによりまして、資金並びに資材の面で住宅建設を容易ならしめよう、そういう一連のことを考えまして、民間の自力建設の促進に期待をしている次第でございます。  次は出資及び投資でございます。計上額は百五十億円で、それに見合う前年度が百五十億円でございます。ただしこのほかに住宅対策のところで申し上げました住宅金融公庫の関係一般会計から五十二億円、それから住宅公団に六十億円、これはやはり財政投融資でございまして、今回は便宜上住宅対策のほうの住宅関係のものを分けましたのでございますが、それを含めますと、一般会計からの財政投融資は二百六十二億円ということに相なっております。百五十億の内訳は農林漁業金融公庫九十五億円、国民金融公庫二十億円、中央企業金融公庫十五億円、国際航空事業十億円、商工中金十億円というようなことに相なっております。このほかに金額が小さいので一々特掲をいたしませんでしたが、たとえば東北興業に対する一億円の出資とか、中央開拓融資保証協会に対する五千万円の融資とか、特別の目的のための小口の出資が若干ございますので、そのことを付加して申し上げておきます。  そこで一般会計財政投融資のことを申し上げます際に、四ページ、五ページの財政投融資の原資並びに資金計画の表に立ちかえっていただきたいと思います。まず原資でございますが、四ページの上のほうにございますが、ただいま申し上げました一般会計からのものは二百六十二億円、そのほか資金運用部が千六百八十三億円、産業投資特別会計が百六十億円、簡保年金資金が五百三億円、余剰農産物資金関係が二百十四億円、特殊物資資金が七十億円、合計二千八百九十二億円、これが財政資金を投じまする財政投融資の原資でございます。このほかにいわゆる公募債があるわけでございまして、その金額の三百八十五億円を合計いたしまして、三千二百七十七億円強に相なるわけでございます。この特殊物資資金七十億円、これは砂糖、バナナ、パイナップル等の輸入特殊物資の超過利潤納付金として納付させることを予定しているわけでございまして、新たな原資でございますので、ここに特記いたしましたが、予算上は産業投資特別会計の中にこれを組み入れまして、産業投資特別会計において運用する、さようなことに相なっていることを申し上げたいと存じます。  この三千二百七十七億円の財政投融資の配分でございますが、これは資金計画の表の三番目の欄をごらんいただきたいと思います。開発銀行三百五億円、電源会社二百九十八億五千万円、以下数字は省略いたします。ただ一カ所ミス・プリントがございますが、住宅公団のところに、公募債のところに(〇)98といろ数字が上っておりますが、これは一番右のほうにずらして頂きたいと思います。合計のところに入るわけでございます。一々の数字の朗読は省略いたしますが、こういうような内訳に相なっております。  なお新たなる財政投融資といたしましては、政府資金並びにこの公募債によるもの三千二百七十七億円をごらんいただけばよいわけでございますが、特定の機関の融資活動なり事業活動がどうなるかという場合には、その期間の自己資金量を合せて考えなければならぬわけでございまして、その自己資金等を含めました数字が一番右の合計欄に掲記せられております。普通事業活動を考えます場合には、この自己資金を含めました合計の数字で考えておるわけでございまして、たとえば中小企業金融公庫では新たなる政府からの出資は百十億円でございまして、前年度より二十億円減少いたしておりまするが、自己資金を含めました全体の融資活動のワクでは二百四十五億円でございまして、前年度より三十億円増大をしておるわけでございます。国民金融公庫につきましても同じようなことが言えるわけでございます。  だいぶ時間がたちましたのでこの程度にいたしまして、次は二十一ページに返っていただきまして、農業保険費でございます。計上額は百四十五億七千九百万円、前年度に対しまして二十六億三千八百万円の減少になっております。  これはこの内訳で御覧いただけますように、昨年度は二十八年度の大凶作のために、その前年度の再保険金支払財源不足補てんの財源が六十七億円でございまして、本年度予算におきましては、二十九年度の再保険金支払財源不足補てんの財源は二十八億にとどまっておりまして、主としてこのことから全体の計上額減少をいたしております。  次に二十二の外航船舶建造資金貸付利子補給三十五億六百万円でございます。前年度に対しまして三千七百万円の増加に相なっております。これは外航船舶建造資金貸付利子補給の場合、外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法分三十四億六千九百万円、臨時船質改善助成利子補給法分三千七百万円と二口に分れておりますが、前者につきましての基礎になっております三十年度の建造予定トン数は約十九万トンでございまして、市中融資二割ということで考えております。これによりまして利子補給契約の限度額は十億四千六百万円でございます。損失補償契約限度額は十一億四千二百万円、いずれも予算総則にかかげております。  最後に予備費でございますが、前年度と同額の八十億円でございます。  一般会計はこれで終りまして、特別会計でございます。二十七ページ以降でございます。特別会計の数でございますが、本年度特殊物資納付金処理特別会計、あへん特別会計、並びに自動車損害賠償責任保険特別会計、この三つが新設されました。一方国営競馬特別会計が廃止されましたので、差引いたしまして特別会計の数は三十五ということに相なっております。このほかに財政投融資のところで原資に出ておりますことでもおわかりいただけますように、余剰農産物に対する対米交渉がまとまりますれば、その原資を財政投融資に充てる、それにはやはり新たな特別会計が必要になるわけでございまして、これは交渉の妥結を待ちまして、新たに特別会計予算を追加して提出して御審議をわずらわす、さような段取りになるわけでございます。  特別会計につきまして一々の御説明は省略をさしていただきたいと存じます。ただ三十二ページの食糧管理特別会計、これについて一言だけ申し上げておきたいと存じます。米の管理につきましては、いろいろ問題があるわけでございますが、これらにつきましては、根本的な検討に譲りまして、本年度予算編成の前提といたしましては、従来の供出割当制度のかわりに事前売り渡し申込制をとるということで予算の編成に臨んでおります。その場合に一番問題になりますのは米価でございますが、今回この予算の編成に当りましては、生産者価格につきましては米、麦とも原則として二十九年産米政府買入価格の水準によっております。消費者価格につきましては、現行の価格水準をそのまま据え置くことにいたしまして予算を編成いたしました。その結果前年度の食管会計における赤字三十億円を含めまして、年度を通じまして約百億円の損失が見込まれるのでございますが、これは昭和二十六年の制定にかかる食糧管理特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律、この法律によって食管会計が一設会計から借り受けている百億円、いわゆるインベントリーの百億円と見合っているわけでございます。現実に年度を経適いたしました後にこの法律をどう処理するか、借入金を免除するかどうかという問題が起ってくるわけでございますが、さしあたりといたしましては、この予想損失百億円はこのインベントリー百億円にちょうど見合っているということを御了承いただきたいと思う次第でございます。  それからもう一点、自動車損失賠償責任、これは新しい会計でございますが、三十四ページでございますが、最近ひき逃げ等の事故がだいぶ増加いたしておりますので、自動車所有者に損害賠償責任を民間の保険会社に強制付保させる、そういう制度を創設いたしまして、その民間保険会社の損害賠償責任を国が再保険する、その再保険の割合は元受額の六〇%ということで考えております。そういう目的のために新たにこの自動車の損害賠償責任再保険特別会計を設けることにいたしたわけでございます。  自余の点は省略いたしまして、最後に政府関係機関でございます。三十七ページでございます。専売公社につきましては、先ほど歳入見込みを申し上げました際に申し上げましたので省略をいたします。  国有鉄道でございますが、国有鉄道収入の状況は三十九ページにございまするように、前年度より六億余り増加いたしております。併し支出のほうは十七億円もの増加になるわけでございまして、なかなか経理が楽でないわけでございます。従いまして、損益勘定から資本勘定への繰入、減価償却等に見合うものでございますが、それは前年度より約二十九億減少せざるを得なかったわけでございます。そり減少を極力緩和いたしまするために、資金運用部からの借入金等も極力増加をいたしたのでございますが、結局のところといたしましては、工事勘定の支出で御覧いただけますように、前年度の五百二十九億に対しまして本年度は五百二十一億と約八億円の縮小を来たしている次第でございます。この工事勘定五百三十一億円の内訳といたしましては、新線関係二十五億、通勤輸送三十三億、幹線輸送約二十六億、幹線電化約五十億、車両の増備七億、車両の取りかえ及び諸改良三百十六億、これには相当力を入れておりますが、その他の項目におきましては、前年度より減少いたしておるものも少くないようなことに相なっております。  電信電話公社以下、特につけ加えて申し上げることはございません。  最後に日本開発銀行でございますが、新たな政府資金の開発銀行に対しまする投資の額は、三百五億でございまして、前年度より十五億円減少いたしておりますが、自己資金を加えました開発銀行の貸し出し予定額は五百九十五億円でございまして、前年度と同額ということに相なっております。この前年度同額のワク内におきましては、電気の関係が相当減少いたしております。その減少いたしましたものは石炭、鉄鋼、合成繊維、硫安、機械その他のいわゆる合理化資金につぎ込むことにいたしておるわけでございまして、これによりまして、六カ年計画初年度としての合理化資金の供給に努力いたす、そういうような意味合いにおきまして、ここに増額いたしておるという次第でございます。そのことだけを申し上げておきたいと存じます。  輸出入銀行につきましては、輸出増強の要請から相当力を入れた次第でございまして、前年度に対しまして、自己資金を含めまして百二十一億円の増加、新たな資金といたしましては、二百二十億円を投資いたすことにいたしております。  以上、はなはだ長時間にわたりまして、簡素よろしきを得ませず、大へん申しわけございませんが、以上御説明を申し上げます。
  6. 館哲二

    委員長館哲二君) 引き続きまして、渡辺主税局長から御説明をお願いいたします。
  7. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 私の担当しております租税及び印紙収入予算について御説明申し上げます。  お手元に三十年度の租税及び印紙収入予算説明というパンフレットがお配りいたしてあるはずでございますが、それをごらん願いたいと存じます。一ページをごらん願いますと、そこにごく総括的なことが書いてございます。三十年度一般会計における租税及び印紙収入予算、それは七千八百十五億でございまして、昭和二十九年度予算額に比べまして、三十一億の増加になっております。これは一応現行税法のままという場合の見積り八千百四十二億、もっとも、これにつきましては、あとで御説明申し上げますが、この八千百四十二億という数字は、一応揮発油税を一キロリットルにつきまして一万一千円として計算した数字でございますが、八千百四十二億に対しましては、三百二十七億減になっておりますが、これはあとで御説明申し上げます。一応税法の改正要綱に伴う減収による減収を差し引いたものでございます。なおこのほかに交付税及び譲与税配付金特別会計地方の財源となる分でありますが、国が徴収しております地方税及び今度新しく設けようと考えて提案いたしております地方道路税、これが二百八億でございまして、これを加えますと、国で徴収する税は一般会計特別会計合せまして八千二十三億になる見込みでございます。  予算の見積りに当りましてとりました考え方でございますが、それはそこにごく概括的に書いてございますが、三十年度におきましては、国際的には正常貿易の拡大によって国際収支の均衡を保持し、国内における経済の正常化の達成、自立経済の確立に向って、国民経済の発展の基盤が育成されるものと、こういう想定のもとに立ちまして、生産は二十九年度に比べまして若干上回る、雇用もわずかでございますが増大する、賃金の収入も水準も昇給その他によりまして、わずかながら上る、物価は前年度に比しまして若干低水準に落ちつく、しかし全体といたしまして国民所得増加する、こらいったような考え方に立っております。  国税の内訳につきましては一枚まくっていただきまして、三ページに一応載っております。二十九年度予算額一般会計だけで七千七百八十三億、特別会計としまして入場税等がありまして七千九百三億、これが現行法による収入見積りになりますと、一般会計で八千百四十二億、特別会計まで入れまして八千三百二十五億、なお正確に申しますならば、現行法のままでございますと、地方道路税に入っております現行法のままの四十七億というのは、これは揮発油税に入るべきものでございまして、従いまして、現行法のままという点につきましては、そのままでは多少注釈を要するだろうと思いますが、一応注にその旨を書いておきました。これによりまして一般会計において三百二十七億の減税をいたしました結果が、一般会計の見積りが先ほど申しました七千八百十五億、本年度に比べまして三十一億の増、特別会計のほらでは地方道路税につきまして四千円ということで、揮発油税のほうを二千円下げまして、現在の一万三千円を一万一千円にしますが、その二千円に相当する分と、別途二千円に相当する分、それが七月から実施いたしますと二十五億五千六百万円、これを差し引きますと、全部合わせますと減収額は三百二億になるという次第でございます。  なお御参考までに二十九年度の決算見込みでございますが、まだ正確な数字は出ておりませんが、大体一応の見通しが立ちましたので、現行法による収入見込みなどと御比較願う関係におきまして簡単に申し上げたいと思いますが、大体自然増収と考えられます数字が二百四十億、多少これより減るかもしれませんが、まあ二百四十億見当と考えております。  増のおもなものは酒の税金が予算額に対しまして百五億、砂糖消費税が百億、揮発油税が五十億、もっともこの中には砂糖消費税の百億の中には一カ月徴収猶予の期間を短くしましたことと、繰り上げ徴収といいますか、その分が一カ月分四十億入っております。揮発油税の中にはこれは半月猶予期間を短くしまして、その分が十二億入っておりまして、この三つの税が大体おもな自然増の原因でございまして、所得税につきましては源泉が予定よりもやや増加になりますが、申告がやや減としまして、全体としましては大体予算とそう大きく違わないのじゃないか。法人税のほうも大体予算に書いてあります数字、これよりやや減と見込んでおりますので、そう大きな減でもないと思っております。大体予算のような数字になるのではないか。相続税で多少増がありますとか、その他各税で予算よりもやや減があるようないろいろ入り組みがございますが、主としては先ほど言いました三つの税が大きく動きまして、二百四十億程度の自然増収が出るのじゃないかというふうに思っております。なお入場税は百二十億程度予算で見ておりますが、二十億くらい減が出まして、約百億くらいになるのじゃないか、かように考えております。  そこで本年度行なおうとしております税制改正の一応の要綱でございますが、それにつきましては二十五ページに一応ございますので、ごらん願いたいと思います。今度提案いたします税制政正の案でございますが、第一、所得税につきましては基礎控除を現在の七万円から八万円に上げる。それから給与所得につきましては現在の一五%控除の率は動かすことはいたしませんが、限度額が現在四万五千円になっておりますのを六万円に上げる。それから税率が現在御承知のように非常に累進の角度が急になっておりますので、幾分ともこれを伸ばしていこう、ただそれにいたしましても、二百万円から上の方は、これはもう動かさないで、現行通りこういうふうな案を考えております。もっともこの全体は、給与所得者につきまして七月から源泉徴収分が新しい基礎控除等によって課税される、六月までの分につきましては従来の課税をそのままにしておく、それで年末調整の場合に差し引き増減なしというところを狙いにしておりますので、三十年度につきましては、基礎控除は七万五千円、給与所得控除の限度額も三十年分は五万二千円、税率につきましても、三十年分につきましては、一応特別な税率を盛ろう、こういう考え方でございます。同じ意味におきまして、申告所得税におきましても、これと同じような基礎控除税率で課税していくという案になっております。それから青色申告者に対する専従者控除の限度、これは基礎控除の額と同じように引上げる。生命保険料の控除の限度を、現在は一万二千円でございますが、三十年度は一万五千円に引上げよう。なおこれと合せまして控除の適正化について必要な措置を講ずる。これは考えております点は三つございます。一つは現在の生命保険料は御承知のように配当金といったような名前でリベート、割り戻しがあるわけでございますが、今まではそういう制度にもかかわりませず、一応表面的な生命保険料の額でもって生命保険料を最初に払い込むべきその額で控除していましたが、あの払い戻しは生命保険料の割引きとみるべきものじゃないか、結局割り引いたものが実際に払った保険料ではないかというので、この点を是正したい。それから第二の点でございますが、最近生命保険の中に非常に短期の、いわば定期積金と見られるようなもので生命保険という名で呼んでいるものがございますが、これはどうも生命保険料控除の本来の趣旨でございます相当長期的に資金が寝るということからみまして、少し行き過ぎのように思いまして、この点を是正したい。こういう点については控除を認めないようにしたい。ただ過去にすでに契約しております分につきましては、一応生命保険料控除を前提として契約されたということが考えられますので、将来の契約の分についてだけでありますが、これは生命保険料控除から外そう、こういう考え方の提案をしております。もう一つは生命保険料の実際に払った証明関係でございますが、少し現在は煩に流れているような感じがいたしますので、ある程度これを的確に把握できるような措置を講じていきたい。あるいは証明書を出してもらう、どの程度のものを出してもらうかという点については今保険会社などとよく打ち合せておりますが、そういった点につきまして、あまり保険会社にも納税者にも迷惑にならない限度におきまして、その適正化を期する措置を講じたいというのがこの内容でございます。  それから三十二年の二月三十一日までに支払われる預貯金、公社債等の利子所得に対する所得税免除、まあこれは貯蓄奨励の意味を込めまして、かねて言われておったことでありますが、これの免除を行うと同時に、配当所得に対しましては、現在百分の十五の税率で源泉徴収をしておりますが、この源泉徴収の税率を百分の十に下げたい、こういう考え方をしております。これによる負担の関係でございますが、どうなるかと、二十八ページにございますが、まず第一に所得税がかかるか、かからないかの境目がどういうことになるかという点でございます。普通よく言われております標準世帯という言葉が適当かどうか知りませんが、いわゆる標準世帯、夫婦、子供三人の世帯をとってみますと、扶養家族四人の給与所得者でございますと、今度の改正によりまして、年額二十二万六千四百三十九円、一月に直しまして一万九千円程度でございます。この程度の額の数字までは所得税を払わないで済むようになるということになります。それから事業所得者でありますと、同じ数字が十八万五千円、扶養家族四人の欄をごらん願いたい、これがそういう数字になります。  それから負担の軽減割合でございますが、これは二十九ページから三十三ページまでにわたりまして一応並べてございますが、先ほど申しました標準世帯というのでちょっとごらん願いますと、三十ページに夫婦、子三人という欄がございます。二万円の場合でございますと、現行に比べまして四四・九%、三万円ですと二〇・七%、五万円で一七・五%、十万円で一一・六%、こういったような軽減になるわけでございます。それから事業所得者でございますと、これはまあ平年度の計算でございますが、二十万円の場合は四三・七%、三十万円の場合は一三・八%、五十万円の場合は一二・九%、以下そこに書いてございますが、こういったような数字になります。  負担の関係は一応詳細な数字が並べてございますので、あと省略させていただきまして、二十六ページに返りまして、法人税でございますが、法人税につきましては、いろいろな角度から検討いたしました結論でございますが、現在の四二%より四〇%に下げようと、普通法人全体について引き下げを考えております。それから清算所得でございますが、これはまあ法人税の引き下げに伴いまして、清算所得の税率も四十六から四十五に引き下げる、なお輸出振興に資するために輸出所得の一部を控除する制度、これの期間、これが三十一年の七月三十一日一日で終ることになっておりますが、これを三十二年の十二月末まで延ばしますと同時に、現在の所得による控除の限度額、大体ここで頭打ちしておりますので、これを現行の百分の五十から百分の八十に引き上げたい。と同時にプラント輸出につきましては、現在取引き金額に対しまして百分の五と特別な率を使っております。この範囲を広げよう。大体広げることを考えておりまするものは鉄道などのレール、それから動力用などのケーブル、そういったようなものが一つのセットとして注文になっております場合がありますので、こういったようなものも一応プラントというふうに考えられますので、これに拾い上げていきたいというつもりでございます。  それから住宅建設促進のための措置といたしまして、貸家を新築した場合の特別償却の割合を、現在は五カ年五割増でやっておりますが、これを鉄筋コンクリート作りの耐用年数五十年以上の家屋につきましては、五カ年二十割増、その他の家屋につきましては、五カ年十割増の引き上げをしよう。これによりまして、鉄筋コンクリートの耐用年数五十年以上の場合におきましては、五年たちますと、定率法で償却していく場合には五割一分三厘、約半額が五カ年で償却できるようになります。また木造の耐用年数二十年のものでありますと、この制度で、五カ年で七割が償却できるようになります。会社などで工員宿舎などを作る場合におきましては、相当の刺激になるであろうということを期待しておるわけであります。  それから登録税につきましては、住宅建設促進をやはり考えまして、三十三年の宋までにおいて、地方公共団体、住宅の建売業者が住宅を建設し、または譲渡する場合の登録税を軽減または免除する、これの内容といたしましては、現在におきましては、こうした住宅の保存登記は千分の一の軽減税率になっております。ただ移転登記の場合におきましては、それが千分の五十になっております。そこでまず一つとしましては、この建売住宅について移転登記がなされる場合、この場合は保存登記と同じように考えて、千分の五十を千分の一に下げよう。それから現在保存登記は千分の一でございますが、公共団体などが市営住宅等を建てましても、やはり千分の一の税がかかっております。公共団体である場合にはこれを免除しよう。大体そういうのがこれの考えている内容でございます。  それから通行税でございますが、通行税につきましては、航空会社の経理、まあ大きなのは日本航空でございますが、これにつきまして、いろいろまあ赤字などの問題もございまして、予算の方でも出資とか補助とか、いろいろ考えております。今度相当料金の引き上げも必要になってきた情勢にございますので、それと見合いまして、現在の百分の二十を、三十二年末まで百分の十に下げるということを考えて提案するつもりであります。  それから砂糖消費税でございますが、これは全体として大きな改正はするつもりはございません。内容的には、大体現在の砂糖消費税法が相当古い法律でございまして、かたかなになっておりますので、これを全部改正いたしまして、口語のものに直したい。その機会に、現在の新しい法律に合せたものに直していこうというのがおもでございますが、内容的に一、二考えている点は、一つは、たる入り黒糖及びたる入り白下糖以外の含蜜糖でございますが、これは現在糖度八十度を境にしまして、百斤九百五十可のと二千五十円のと、二つに分けております。台湾から輸入される赤糖あるいは国内の再製糖、これいらろいろな関係を考えまして、これを二つのものを一本の税率に直しまして、百斤千七百五十円くらいのものに直していきたい。税収としてはあまり増減は考えておりません。なお、そのほか細かい点で、たとえば自家用だけに作っているたる入り黒糖、たる入り白下糖のようなものにつきましては、税金を免除する、そういったようなことも別途この法案には提案したいと思っております。  それから次が地方道路税でございますが、地方道路税は、先ほど主計局長からも説明がありましたが、道路のための地方財源充実ということを考えまして、揮発油一キロリットルにつきまして四千円の地方道路税を新設する。なお、これに伴いまして、揮発油税のほうは、現行の一万三千円を一万一千円に下げる。従いましてこの二つの税を合せますと、揮発油に対する課税は、現在の一万三千円が一万五千円、二千円だけ負担がふえるわけでございます。なお、この四千円の地方道路税は七月一日から、法案が通りましたら実施されるわけでございますが、四月の初めから七月までの間に入ってきた揮発油税のうち、二千円分は国税収納金のうちから特別会計の方へ別途繰入れるということを提案するつもりでございます。  なお、その他の事項としましては、利子税額、延滞加算税額、還付加算金、これが現在日歩四銭になっておりますが、これを最近の情勢にかんがみまして、日歩三銭に引き下げたい。その他、税法の規定について、必要な整備、簡素化を行う。  こうした各種の措置によりまして、どういう減収額が立つかということにつきましては、四ページに一応の内訳が出ております。所得税におきまして、合計二百八十七億の減、源泉が二百六十六億、申告が二十億、法人税で三十九億の減、それから通行税が入りまして、全体で三百二十七億の減、多少税明を必要とすると思いますのは、法人税の方の項目で、預金等の利子課税免除によって四億七千百万円プラスになる数字が出ております。これは源泉の方でもって現在課税しております分は、法人税の計算をしたあとで、先に納めた源泉の税金を差し引くことにしております。今度、利子の課税をやめますと、その差引金額がなくなりますので、従いまして法人税の額はそれだけふえるということが見積られるわけでございまして、その分が四億七千百万円として載っているわけでございます。同じことは、配当所得の源泉徴収税率の引き下げについても言えることでございますが、これは二つの面に現われるわけであります。所得税の方で、源泉徴収の方はまず三十億減りまして、申告課税の方でこれが九億七千二百万円まずふえます。これは個人の分でございますが、そのほかに法人の分が、やはり同じようなことがありまして、これは法人税の項目の方で、配当所得の源泉徴収税率の引き下げによる増として、六億二千四百万円プラスになる、こういうわけでございます。  以上が税制改正案の、ごくあらましでございますが、これらを加味しまして、予算の見積りをしております。その内訳は、五ページ以下にございます。簡単に御説明申し上げます。考え方といたしましては、まず現行税法によります歳入の見積りを立てまして、それから税制改正による増減を差引いたしまして、そうして個々における見積りを作っておるわけでございます。大体従来のやり方をそのまま踏減しております。所得税は源泉所得税と申告所得税の二つに分れますが、源泉所得税は、その一番大きなものは、もちろん給与所得に対する源泉所得でございますが、二十八年の支給人員実績、一応これをもとにいたしまして、三十年度分について二十八年の数字をもとにしまして、三十年度につきましては、支給人員、給与額、給与総額というものを、一応そこに書いてありますような増を見込みまして計算しておるわけでございますが、先ほどの雇用とか何とか、いろいろな問題につきましての数字など、ここに入ってくるわけでございます。支給人員におきましての二十九年度分に対して一%増、一人当りの給与額が二十九年分に対して二・七%増、両者の総額におきましては三・七%増、こういう考え方を持っております。これから失格人員の見込みを差し引きまして、課税有資格の人員を八百二十七万人に見込みまして、所得控除、基礎控除、扶養控除、その他をいたしまして、六ページに移りますが、課税所得が八千五百九億、算出税額が二千九十四億、それから日雇労務者の賃金に対する分、これは別の課税方法をとっております。これを加えた数字が二千百億、これから各種控除を引きまして、同時に収入割合九割七分というものをかけまして、そこが二千十六億、これに滞納の収入見込額を加えますと二千七十五億という数字になります。  それから給与所得以外の所得に対する源泉所得税といたしましては、預金利子に対するもの、配当所得に対するもの、退職所得に対するもの、社会保険診療報酬、外交員報酬等に対するもの、こうしたものが合せて三百二十二億ございます。これと給与所得に対する源泉徴収分を合せまして二千三百九十七億から還付の見込み税額四十億を差し引きまして、現行税法による収入額を二千三百五十七億見込んだわけでございます。改正法におきましては、前の数字をもとにしまして、そうして基礎控除の引き上げと、所得控除の限度額の引き上げ、これを計算に入れまして、それから生命保険料控除の限度引き上げ等を入れまして新しく失格になるものを差し引きまして、要するに課税有資格の見込み数七百九十一万人、これから各種控除を差し引いたやり方を、大体前と同じようなやり方をとりまして、八ページに参りますが、給与の関係が千八百七十五億、それからその他の関係が二百五十五億、両方合せまして二千百三十一億、還付見込み税額四十億で、総計しまして二千九十一億、こういう見込みをしておるわけでございます。  申告所得税につきましては、これはやはり同じように二十八年度の課税実績をとりまして、それから生産、物価というものを見合いまして、現行法による課税人員がどれぐらいかということをまず出してございます。この場合にちょっと一言つけ加えておきますが、農業の関係におきましては、二十九年に基本米価は九千百二十円でありまして、今度の農業所得の計算は、この二十九年の基本米価九千百二十円という数字をそのままとって計算いたしております。予算ではこれは俵込みでございますが、九千七百三十九円という数字をもとにして計算しております。今度米の供出制度が変りますにつきまして、従来は超過供出奨励金、あるいは早場米奨励金というものを免税しておりましたが、今度は違った制度にならざるを得ませんが、やはり何らかの格好でもって米の供出についての税の軽減措置を考えたいと農林省と話し合っております。従いまして基本米価九千百二十円と見積りました場合の数字も一応予算に載っておりますが、どんなふうにきまりますか、その結果を待ちまして、これとの差額相当程度のものを軽減の方に措置として考えていきたいというつもりて、一応この予算におきましては、先ほど言いましたように、米価を九千百二十円で計算してございます。現行法による課税見込みにつきましては以上申しましたような点を考慮しまして、一応所得金額を出し、それから基礎控除、扶養控除の額を差し引く、以下大体従来と同じようなやり方によりまして、十一ページにございますが、六百八十五億という現行法の見積りを出しました。  それから今度改正法によりましては、基礎控除の額をまず上げます。それから各種の控除の引き上げ、税率の改正等による減を見まして計算をし直してございます。その結果としまして、申告所得税の納税人員は二百七万四千人になることを見込んでおりますが、この数字はすでに、そして源泉の方は先ほども御覧願いましたように七百九十一万六千人、両方合せまして九百九十九万人の納税人員を予定しております。一番納税人員の多かったときは二十四年度でございまして、千九百十一万九千人、約半分ぐらいにまあ減ったわけでございます。  なお、納税人員その他を多少つけ加えて申しますと、改正後の納税人員、営業の関係が九十四万人になっておりますが、これは一番多かったのは二十三年でございまして、二百三十六万人、二十四年が二百二十四万人でございますが、これが九十四万人に減ってきておるわけでございます。農業面、これも一番多かったのは二十三年でございまして三百七十三万人、二十四年が三百二十万人、今度の政正によりましては、これが六十五万三千人程度に減る見込みでございます。申告だけで見ますと、二十三年には申告だけの人員が七百四十三万人、二十四年が全体で一番多うございまして、七百五十一万人、これが二百七万人に減るわけでございます。あと計算の方法は大体従来と同じでございまして、結論的には、申告所得税は改正後は六百六十四億の見込みを考えております。  次に法人税でございますが、これが二十九年の三月から三十年の二月まで、最近の資料をとりまして、それに対しまして生産、物価等の見通しを立てまして、まず申告見込み税額を出しまして、それから従来の税法改正が平年度化したことによる減税の分まで見込みますので、これを差し引く等の措置をとりまして一応の数字を出しております。法人税につきましては、ごく大体の考え方といたしましては、二十九年度におきましては、三月の決算が割合によくて、九月の決算がずっと悪かった。二十九年度におきましての法人税の収入になるのは大体三月と九月の決算、三十年度収入になりますのは今年の三月と九月の決算でございますが、今年は三月の決算が去年の九月の決算よりややいい。更に九月の決算は今年の三月の決算よりいい。しかし去年の三月の決算に比べるとそれよりは相当落ちている。まあこういったような考え方で全体を見通した数字予算を組んでございます。現行法でもって、十四ページにございますが、千九百九十七億、改正後におきましてはそれが千九百五十八億になるわけでございます。  それから相続税でございますが、これは今度特別の改正は考えておりません。現行法だけの見積りでございますが、最近評価が、だいぶ引き上げる状態にありますので、それなどを見込みまして、従来の実績を考えまして五十億五千万円と見込んでございます。  それから十六ページ、十七ページの再評価税でございますが、これは大体ある部分はもうすでに実行が済んでおりまして、税が入ってくるだけが残っております。割合に見積りがしやすい数字でございますが、御参考に申し上げますと、大体第三次再評価で評価がなされた分が、これがまだ見込みが相当入っておりますが、本年度の上期までに終るわけですが、約五千億円程度再評価がされたのではないか。第一次、第二次の再評価としてなされた数字が八千億円でございまして、両方合せて一兆三千億円程度の再評価がなされたのではないかと我々は見込んでおります。もっともこれは償却資産だけの見込みでございまして、もっとも再評価のおもなものは償却資産であるということは御承知の通りでございます。  それから次に酒でございますが、酒の関係におきましては、これも改正法はございませんで、現行法だけでございます。石数としまして、全部合わせまして七百四十六万石、清酒だけとりますと二百八十三万右、この数字は本年度の見積りに比べますと相当大きな数字になっておりますが、本年度の実績が約二百五十八万石出ております。それに対しまして本年、まあ御承知のように去年の秋、暮といいますか、酒に対する米の配給が百万石に殖えましたので、清酒の供給増も見込みまして、同時に密造対策等もさらに強化することを考えて、一応こういう見積りをしてございます。百万石の米をもらいますことによりまして二百九十六万石の清酒が大体供給できる見込みでございますが、一部はすでに本年の分に早出ししております。三十一万石ほど早出ししております。酒税がふえたのは、主としてこの早出しの関係でございますが、来年もある程度の早出しがある。しかしその程度は本年のまあ半分よりちょっと上ぐらいであるというようなことを加味しまして一応の見積りをしてございます。なお、千五百九十八億の中には、そこに書いてございますように、従来ありました甲卸というものの廃止によりまして、一応徴収猶予した税金十四億が入っております。  次に砂糖消費税でございますが、砂糖消費税は昨年度におきましては、八十五万トンの輸入計画をもとにして見込んでいたのでございますが、実際は従来の繰り越しの分の輸入などがありまして、大体つぶした砂糖が百万トン、本年度の課税見込みは、先ほども言いましたように、相当ふえまして、四百八十億ぐらいの実績になるわけでございます。もっともこのうち四十億は、一カ月の徴収延期を短かくしたということですから、十三カ月分入って四百八十億、十二カ月分にして四百四十五億、本年の見積りは九十五万トンの輸入をもとにしまして、その他に含みつ糖とか、テンサイ糖とか加味しまして大体百五万トン、約百万トンというものをベースにして四百四十五億の数字を見積っております。  それから次に揮発油税でございますが、これは二百三十五万キロリッターという数字をもとにして計算してございます。二百三十五万キロリッターという数字は、輸入計画としましてまだはっきりきまっておりませんが、一応二百三十五万キロリッターを予定しまして、その中で航空機用等、現在免税しておりますもの、これを五万キロリッターと見込んでおります。二百四十五万キロリッターになっておりますが、御承知のように揮発油税の課税は三・七%の欠減を見た上で税率を適用することになっております。従いまして先ほど言いました二百四十五万キロリッターに九六・三をかけると二百三十五万九千キロリッターになるというわけでございます。なお現行法のままでございますと、六月までは一万三千円、それから先は一万一千円というふうに計上さるべきものかと思いますが、先ほどもちょっと触れましたように、四月からの分、二千円の分を特別会計へそのまま直接繰り入れるということを別途考えておりますので、全部を一万一千円で計算しまして二百五十九億という数字になるわけでございます。  それから物品税は、一応最近の課税実績をもとにしまして消費の減、これはまあいろいろの品物について見ておりますが、平均しまして第二種で約四%ぐらいの消費減を見ております。金額としまして二亘一子億と見込んでおります。  それから取引所税、有価証券取引税、いずれも最近の実績を基礎にしまして計算をしております。通行税につきましても同じようなことでございます。  それから二十二ページへ参りまして関税でございますが、最近のこれも実績をもとにしまして、同時に各品目についての課税の様子を見まして二百三十億と見積ってございます。なお、この中には重油についての関税を、従来一年限りでずっと免税して参りましたが、今度燃料対策全体の関係から、重油だけについてこの免除を、全部ではありませんが、一部復活したいということを考え、それの歳入を見積ってございます。その分が九億七千万円でございます。  屯税、印紙収入等につきましては、特に御説明することもないと思います。  それから入場税でございますが、大体課税実績が先ほど言いましたように百億、これを一年分に換算しますと、今年はまあ五月の半ばから課税になりましたので、平年度ではございませんが、これを平年度に換算をしまして百二十七億、これに消費増をやや見まして百三十三億という数字から全体が百三十五億という数字を出しております。  それから地方道路税につきましては、先ほど来申し上げておりますように、四月から六月までの分の一キロリッター当り二千円、七月以降四千円という数字で出しまして七十二億という数字になるわけでございます。  以上全体の数字を申し上げましたが、それによっての総括的の数字は三十四ページ、三十五ページにございます。これで租税負担全体がどういうふうになるかという問題でございますが、国民所得に対する税全体の負担割合は、三十年度国税だけでございますと一四・六、地方税まで合せまして二〇・三、減税前の数字をとりますと一四・六が一五・一、二〇・三が二〇・八になります。この割合の一番大きかったのが二十四年でありまして、そこにありますように国税だけで二三・二、地方税まで合せまして二八・五になったわけでございます。  それからよく話に出ます直接税と関接税との関係でございますが、それはその前のページの三十四ページに一応ございます。改正法によりますと直接税が五一・九、間接税が四五・四、その他が二・七、直接税の負担の割合が一番大きかったのは二十六年でございまして、直接税が五八・八、間接税が三九・五、その他が一・七、それに比べますと直接税を中心に毎年減税してきたこともございまして、間接税の比重がずっと大きくなっておりますが、昭和九−十一年ごろには、直接税が三四・八、間接税が五七・一、その他が八・一、その時分は現在よりもはるかに間接税の方が大きかった。結局租税負担全体が重くなった関係がやはり直接税負担に出てきておりまして、こういった割合になっているものと思っております。  以上非常に雑駁でございますが、私の担当している分を御説明申し上げました。
  8. 館哲二

    委員長館哲二君) では、引き続きまして阪田理財局長から御説明いただきます。
  9. 阪田泰二

    政府委員(阪田泰二君) 理財局関係資金運用部資金、産業投資会計関係、それから国庫資金の収支の関係につきまして簡単に御説明申し上げたいと思います。理財局関係につきましては別途資料が、ガリ版に刷りました薄いものでありますが、配布してございますので、これによりまして御説明いたしたいと思います。  その第一の資金運用部資金関係でございますが、これも参考資料が第一表に掲げてございますので、これによりましてごらん願いたいと思います。第一表の原資の欄でありますが、資金運用部の資金で三十年度中に新しくふえる額が、ここにありますように、合せまして千六百八十三億円になるわけでありますが、二十九年度からの繰り越しを百二億円加えまして総額千七百八十五億円、これが資金運用部の運用し得る金額になるわけであります。二十九年度の額と比べますと、カッコ内に書いてあるのが、二十九年度の当初の計画でありまして、下の方が最終の計画であります。大体当初計画に比べますと百三億減っておりますが、最後の計画によりますと二億円ほど昨年度よりも減っておるというような計画になっておるわけであります。  原資のうちで一番大きな部門を占めております郵便貯金につきましては、二十九年度の実績は千十四億円の増加になりました。三十年度につきましては、まあ三十年度国民所得の趨勢とか、個人の貯蓄がどういうふうになるか、あるいはそれぞれ郵便貯金で種類に応じて募集計画等もありますが、そういうようなもの、その他をいろいろ勘案いたしまして、大体千百億という増加を見込むことにいたしたわけであります。  それからその次の簡易保険、これは三十九億円見込んでおります。簡易保険は、全体としまして新しく三十年度にふえます五百九十三億円があるわけでございますが、これが法律の改正によりまして、昨年から簡易保険の方で別途に運用することになっておりますので、簡易保険でその中から引き出して使う方を控除した残りの三十九億円を資金運用部で運用するという計画になっておるわけであります。なお簡易保険といたしましては、従来この資金運用部から引き出して独立に運用します金額は、地方債と契約者貸付の二つに運用が限られておったわけでありますが、三十年度からは、その他の公庫等に対する融資でありますとか、金融債の引き受け等にも運用するように法規を改正して運用いたす予定になっております。  それからその次の厚生年金でありますが、これは三百十億、昨年の実績等も考えまして三百十億と見込みました。  その他の資金あるいは回収金等につきましては、特別に申し上げる点もございません。大体償還年次表によって予定をいたしております。  それからそれをどう運用するかということでありますが、これが右側の運用の欄に掲げてあるわけであります。これは四月の二十七日でしたか、運用審議会にかけまして、その決議を経たものでありますが、第一の特別会計の貸付、これについては特別のこともありませんが、郵政事業の五億円、特定道路の二十億円、これは前年度通りであります。開拓者資金は、これは昨年までは一般会計から出していたものでありますが、特別会計にいたしまして、特別会計から開拓者の営農資金等に充てるために貸し出すものであります。  それから政府関係機関貸付、そのうちでまず国有鉄道は百五十五億、これは昨年の百二億、当初は七十億でありましたが、それが災害等で百二億にふえましたが、それに比べまして更に百五十五億というふうにふえております。ただ国鉄全体の経理の関係から言いますと、公募債を昨年よりも多少減らすような見込みが立っておりますし、それから自己資金も収支関係がよろしくありませんで、昨年よりも減少いたしますので、全体として国鉄が三十年度において建設に充て得る資金総額は五百三十二億五千万というようなものでありまして、昨年とあまり変らないというような額であります。本年は五百二十二億ということでありますが、昨年の五百三十二億とあまり変らない程度の金額になるわけであります。それから住宅公庫の関係でありますが、この住宅公庫は、その下の3という所にあります住宅公団に対する貸付、これが資金運用関係で本年度特に住宅関係に力を入れる分でありますが、住宅金融公庫につきましては百八億円、住宅公団については十八億、こういうことになっておりますが、先ほど申し上げましたように、簡易保険の方で郵政省が出すという分につきましても、住宅金融公庫に三十億円、住宅公団に二十億円というふうに出すことになっております。その他の住宅関係運用と合せて、また一般会計で住宅関係に出す分も合せまして、大体四百二十四億円という額が住宅関係施策のために財政費から出る金額というふうになっておるわけであります。その次の農林公庫につきましては、これは大体前年度と同額百五億円ということであります。それから中小企業金融公庫、国民金融公庫、これは合せまして大体百八十位円というような融資額でございます。自己資金としてこれらの公庫の回収金等もございまして、それを又貸し出すわけでありますから、そういうものも一緒にしますと、大体この国民金融公庫では四百六十二億、中小企業公庫では二百四十五億程度の貸付が新規にできるわけであります。前年度の貸付資金に対しまして全体として八十七億ほどふやし得るというような数字になっております。それから開発銀行につきましては、ここにありますように二百四十五億、輸出入銀行は八十億というようなものになっております。  それから7の所の電源会社八十六億というような融資額を予定しておりますが、これは産業投資会計その他の融資額とも一緒になっておりますので、そこのところで申し上げたいと思います。  それから地方債でありますが、これは資金運用部として四百六十六億という金額を予定しておりますが、簡易保険の方で今年度は四百二十八億円出す予定でありますので、合せて八百九十四億円になるわけであります。そのほかに公募債が昨年は二百億でしたが、今年は二百三十億円予定しておりますので、合計して千百二十四億円、二十九年度地方債の実行計画は千百四十二億ありましたから、それよりは十八億円ぐらい小さい額になっておるわけであります。大体この範囲内で現在のところ特に公営企業関係の機械等にはかなり重要を置いて配分をやっていきたいというふうに考えております。なお、この中に例の地方財政再建整備等のために必要なものといたしましては百十億円ほど予定しておるわけでありますが、今申し上げましたほかに、さらに地方債につきましては、百五十億円の範囲内でやはり地方財政再建整備健全化をはかるために公募債を発行することを予定しておりますが、おそらくこれは現在市中金融機関等から短期貸付ですでに地方赤字財政のつなぎのために出ておるものを長期化して公募債にするというようなもの、そういうものを実情に応じて起債化しようということでございます。  その次の5の勤労者厚生資金、これは御承知のように厚生年金保険の増加します資金の還元融資というような意味で出しておるのでありまして、住宅と病院がその内容になっております。昨年よりも十億円ふやしたわけであります。  それから6の金融債は百五十億となっておりまして、簡易保険の資金で二十億円そのほかに引き受けいたしますので百七十億となりますので、昨年の百九十億円に比べて減っております。この分につきましては、市中金融機関の金融債の償還能力等も相当増加すると思われますので、その方を期待いたしますとともに、内容につきましては、重点的な貸し出しを徹底させまして、重要な産業の合理化資金等に不足を生じないように持っていきたいと考えております。  それから帝都高速度営団——地下鉄に対する資金十億、これは昨年通りであります。  最後に、翌年度への繰り越しは百二億円ということで、前年から繰り越してきました金額と同じ金額を予定しております。大体そんなことになっております。  その次の資金運用部状況、これは二十九年度末現在の状況でありますので、省略いたしまして、第三表の産業投資特別会計運用計画、その方を御説明申し上げたいと思います。産業投資特別会計は見返り資金でありまするとか、減税国債の発行による資金等を運用しておる会計であります。従いまして原則としましては、その既往運用の回収金、この右の方にあります運用収入百三十九億、ざっと百四十億の金、これがまあ中心に現在なるわけでありますが、本年度予算の方で御説明申上げましたが、砂糖、バナナ等の特殊な物資の輸入関係から出ました七十億円の金をこの会計に繰り入れまして、この会計運用することにいたしておりまするので、資金といたしましては二百三十九億ということになります。ただ減税国債の償還金が、下にありますように、国債整理基金への繰り入れといたしまして七億六千九百万円ございますので、これを差し引きました約二百三十九億の金が新規投資の財源になるわけであります。その中からまず開発銀行には六十億円予定しております。先ほど申し上げました資金運用部からの二百四十五億円、それから開発銀行の回収金等を合せまして、開発銀行が三十年度に貸し出し得る額は五百九十五億円ということで、昨年度と同額であります。内容につきましては、石炭の縦坑関係資金でありますとか、鉄鋼の合理化資金といったような重要基礎産業の合理化資金重点を置きまして、そういうような資金をふやしていくようにして参りたいと思っております。  それから輸出入銀行はここで百四十億予定しておりまして、資金運用部資金の八十億円と自己資金を合せますと、四百八億円の融資が可能であります。昨年度に比べて輸出入銀行に力を入れまして相当資金増加した次第であります。  それから電源開発会社はここに三十億円予定しております。先ほどの資金運用部資金の八十六億円、そのほかにいろいろ御承知の現在アメリカと交渉しておりまする余剰農産物の資金、これが運用できることになりますれば、これを百八十二億五千万円だけ出すことを予定しております。合計で三百億円、昨年度は二百四十五億円でしたから五十五億円だけふやすというふうに考えております。これはまあ電源開発会社関係事業、大体最盛期になりましたので、資金もそれだけふえてくるわけであります。  最後に今申し上げました余剰農産物関係でありますが、これはまだアメリカと交渉中でありまして、交渉がまとまった場合ということでありますが、その場合には二百十億円の投融資財源が考えられるわけで、今言いましたように、電源開発会社に百八十二億五千万円、それから農業開発、愛知用水が主でありますが、この関係に三十億円、それから生産性本部関係に一億五千万円の貸付をするというふうに見込んでおるわけであります。  大体資金運用部、産業投資特別会計運用計画はそんなことでありますが、最後に第五表、昭和三十年度予算による財政資金の対民間収支見込み、三十年度予算、あるいはいろいろの投融資計画、外貨資金計画等によりますれば、民間から政府に引き揚げる金、あるいは政府から民間に散布される資金関係が差し引きしてどうなるかという関係でありますが、ここにありますように、合計いたしましたところでは七百億円だけ政府から散布する金が超過するということになっております。二十九年度の実績は千九百億円の散布超過でありましたから、それに比べればかなり減るわけであります。それでまず内訳でありますが、一般会計といたしましては、これは歳入歳出九千九百九十六億円でありますから、収支バランスがとれておるわけでありますが、その歳入の中に、二十八年度中に生じ九剰余金四百八億円、これが財源になっております。これは三十年度中に新たに民間から引き揚げる金ではありませんので、これだけが一般会計としては散布超過になるわけであります。それから特別会計におきましては、これはこまかいところを一々当ってみますると、多少の出入りはあるわけでありますが、全体といたしましては大した散布超過はないわけでありまして、ただ食管関係だけ問題があるわけでありますが、予算上は食糧証券は年度末におきまして二千四百十億円、二十九年度末の千九百四十億円に比べまして四百七十億円増加するというような勘定になっておるわけであります。ただそれだけ食糧証券がふえて散布額がふえるので、散超予算になるわけでありますが、そのうちの三百億円は歳出の方の予備費に見合うものでありますから、これは出ないものと考えますと百七十億、これは食管会計赤字関係、あるいは在庫の増加関係に見合うものでありますが、それが百七十億円の散布超過になると考えられるのであります。その他の特別会計関係は大したものがありませんので除外いたしますと、合計いたしまして五百七十八億円、これは二十九年度の同じような収支じりは千二百三十一億円の散超になっておりましたので、それに比べて減るわけであります。これは二十八年度から二十九年度、二十九年度は均衡予算であったわけでありますが、二十八年度から二十九年度へ支出のズレがかなりあった。軍人恩給その他二十八年度予算で二十九年度に支出されたものがかなりあったために、二十九年度の散超がかなり多かったのであります。それに比べると減ってくるわけでございます。  それから以上のほかに外国為替資金関係でありますが、これは三十年度中の国際収支の見込みでありますが、これをかたく見込みまして大体二千七百二十万ドルの受け取り超過と考えておりますので、これは円資金関係ではそれだけの散布超過になるわけであります。それから本邦の銀行のユーザンスの増加が三千五百五十万ドルくらいこれまた見込まれますので、これもやはり円資金としては散布超過になりますので、合せて六千二百七十万ドルに見合う二百二十六億円が外貨資金関係で支払い超過になる。それから従来の別口外貨貸付、これは現在回収しておりますわけで、これが四百億円年度中に引き揚げられると考えられますので、差し引き百二十二億円が外国為替資金関係での散布超過になる。合計いたしまして最初に申上げました七百億ということになるわけであります。  こういうことでありますが、これはいつも申し上げます通り予算とか資金計画とか、あるいは国際収支の見通しとかいったようなものから、その通りそれが実行された場合を想定して、かなり機械的に、形式的な計算をしたわけでありまして、実際の数字は経済情勢なり予算その他の計画の執行状況で当然変ってくるわけであります。ことに出納整理期間や歳出繰り越し等の関係で非常に大きく動いてくる場合もありますし、貿易の関係その他によりまして、かなり変って来る。毎年の例でそういうことはございます。以上の数字予算なり投資計画に即して、一応形式的に算出した数字であるということを御了承願いたいと思います。簡単でございますが……。
  10. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今の第五表ですが、それに対応する二十九年度数字とそれから二十九年度当初立てられた収支見込みと推定実績でいいのですが、推定実績との対比、それから当初の見込みと推定実績がなぜそういうふうに違ったかということをわかるような説明のついた資料の御配付を願いたいと思います。
  11. 阪田泰二

    政府委員(阪田泰二君) 承知いたしました。
  12. 館哲二

    委員長館哲二君) 続いて、河野銀行局長から御説明願います。
  13. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 私から当面の金融問題について概略御説明申し上げます。お手元に金融情勢資料というものを差し上げてございますから、それをごらんになっていただきながら御説明さしていただきます。  まず、最近の金融情勢について申し上げます。一昨年の秋以来、いわゆる金融引締めと申しますか、金融健全化のためのいろいろな施策がとられて参ったのでありますが、それ以来今日までその過程においていろいろな問題はあったのでありますけれども、概して申し上げますならば、おおむね順調な経緯をたどって今日に至っておるとこう申し上げることができるかと思います。これを今申し上げました資料について数字的に若干御説明を申し上げてみたいと思います。  まず第一は、通貨の状況であります。これは第一ページの数字をごらん願えればおわかり願えるのですが、昭和二十八年まで数年間の傾向は大体年間におきまして四、五百億円のベースとして銀行券の増発というような経緯をたどって参ったのであります。しかるに昨年の八月以降は前年の同月の御字に対して、むしろ発行高は減少するということになっております。これは今申し上げました第一ページの数字を比較していただきますとおわかり願えるのですが、特にこの数字は月末の発行高におきましても、月中の平均発行高におきましても、大体同じような趨勢をたどって参ったのであります。ただお手元の表には載っておりませんが、本年の四月に入りまして若干前年の同月の数字を上回るような数字に相なっております。これはいろいろ原因は調べてみましたが、一時的な原因と申すことができるのでありまして、現に四月の平均発行高は前年の四月の平均発行高を下回っておるような数字であります。大勢に影響のあることではないと判断をいたしております。
  14. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 四月の数字をちょっと言って下さい。
  15. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 四月の数字は五千五百五億です。
  16. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それは月末ですか。
  17. 河野通一

    政府委員(河野通一君) そうです。前年の四月末が五千四百三十九億という数字であります。大体六、七十億の増加となっております。  それから次には、日本銀行の貸し出しの状況を表について細説明いたします。同じ表の三ページ三枚目をお開き願いたいと思います。そこに上っておりまする数字のうちの一般貸し出し、その一番左側の欄をごらん願えるとおわかりになるわけでありますが、昨年の三月が四千百七十億という日銀の貸し出しであったのに対して、これが本年三月におきましては二千五百二十億という数字に相なっておるわけであります。この間約千六戸五十億の貸し出しの減少という数字に相なっております。さらにこれが四月の末におきましては、お手元に数字は入っておりませんが、これは二千五十一億という数字に相なっております。三月から四月にかけてさらに顕著な日銀の貸し出しの減少という数字に相なっておるわけであります。四月の中旬から下旬にかけましては、二千億の数字を割りまして、四月二十二日におきましては千八百四十億という貸出しの残高になっております。以上申し上げましたように、日銀に対する市中銀行の依存度というものは、顕著な減少を来たして参っております。これを日本銀行の高率適用、いわゆる日本銀行からの借り入れの多い銀行に対しましては、特に高い利率の貸出しを行なっているわけでありますが、このいわゆる二次高率の適用を受けている金額、これはお手元にあります数字に載っておりませんが、この数字についてみましても、今申し上げました傾向が非常にはっきり出ているのでありまして、二十九年の三月における二次高率の適用を受けている貸出金額は二千三十億、正確に申しますと二千三十四億という数字に相なっておるのであります。これがことしの三月末におきましては、千六百九十三億という数字になっておるわけであります。しかもそれが四月末におきましては千二百億という数字になって参っております。この二次高率の適用を受けております金額の中で逆ざや、つまり市中の貸出金利と逆になっておりますものと、市中の貸出金利よりも若干低い二次高率の適用を受けるものと二種類ありますが、そのうちで逆ざやになっておりまする金額は、二十九年三月におきましては、二次高率適用を受けておりますものすべてが逆ざやの借入金、それが本年の三月末におきましては、二次高率適用を受けております千六百九十億のうちの逆ざやになっておりますものは、千百六十六債、さらに四月末におきましては、二次高率適用金額千二百億のうち、逆ざやになっておりますものが六百五十億という数字になっておりまして、この点から見ましても、日銀への依存度というものが相当顕著に緩和されて参っているということが言えると思うのであります。  これを貸し出しを受けております銀行数について申し上げますと、日銀からの借り入れを受けております銀行の数は、二十九年の二月におきましては五十八行あったのであります。それが本年の四月におきましては四十六行ということに相なっているのであります。それから二次高率の適用を受けております借り入れをしている銀行の数は、そのうちで二十九年三月におきましては四十二行、五十八行のうち四十二行が二次高率適用を受けている銀行であったのであります。それが三十年四月におきましては二十六行という顕著な行数の減少ということに相なっている次第であります。ただいま申し上げましたのが、日本銀行の貸し出しの状況であります。  次は、銀行の預金と貸し出しの状況について申し上げてみたいと思うのであります。これは十一ページの表にございますが、非常に詳細な表になっておりますから、それをごく、この表から差引をいたしました数字だけを申し上げてみたいと思います。全国の銀行の二十九年度中の実質預金、これは実質預金と申しますと、名目的な預金から手元にあります小切手、手形等を引いた実質的な預金の増であります。これが二十九年度中に増加いたしました金額は三千九百九十億、約四千億となっております。これに対しまして貸出金の増加額は二千三百十八積、こういう数字に相なっているわけであります。預金の増約四千億に対して、貸し出しの増二千三百億、こういう数字になっているわけであります。これを二十八年度中の状況について申しますと、その間の対照が非常に顕著におわかり願えると思うのでありますが、二十八年度中における全国の実質預金の増は三千三百二十億であったわけであります。これに対して貸出金の増加は四千三百四十億、こういう数字に相なっておったわけであります。
  18. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 三千三百……、三千七十……。
  19. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 二十八年度でございますよ。これはあとで数字は御計算いただくとわかると思いますが、集計をしたところではそういう数字に相なっておりますが、あるいは少し数字が間違っているかもしれません。
  20. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 われわれがもらっている表には、そうなっております。だからどっちか正確にして下さい。
  21. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 正確には今申し上げました数字でございます。表はもう一ぺん私当りまして、間違っておりましたら、訂正いたさせます。……今申し上げましたように、約三千三百億の預金増に対して、二十八年度は貸し出しが四千三百億の増ということになっておったわけであります。これが逆な状況に二十九年度はなった。つまり預金の増が貸し出しの増を相当大巾に上回った、こういうことに相なっております。よく世間で言われております銀行のオーバー・ローンと申しますか、そういった問題に対する状況が相当緩和されて参った、二十九年度を通じて緩和されて参りましたことが、この数字によって如実に示されておるわけであります。この点は今お手元にお開きいただいておりまする表の一番右側の欄を御覧願いますと、ABというのがありますが、これは純預金と申しますか、実質預金と貸出金の残高の比較であります。これが去年の三月ごろにおきましては、大体一一五%、一一五といった前後の数字であったものが、逐次改善されて参りまして、本年の三月におきましては、それが一〇七%という数字に相なっております。もっともこれはそこの数字でもおわかり願えますように、純預金をとっておりますので、そういう数字になっておりますが、総預金の数字をとりますと、これは一〇〇%をもちろん割るわけであります。普通には、総預金に対する総貸し出しをとっておりますから、これは九十何パーセントという数字に相なるわけでありますが、実質的な数字をとりましても、今申しましたように顕著な改善が行われて参っているということが申されるかと思います。  それからもう一つのそういう指表的なものを御説明申し上げますと、十四ページにコールの状況が載っておるわけであります。これは合計の数字が実は出ておりませんので、非常にわかりにくいか思いますが、去年の二月、左側の二十八年度と書いてありますところの一瀞下の数学、これが去年の三月の数字でありますが、この東京と大阪の市場のコールを合計いたしますと、この数字が百七十八億という数字に相なります。それが本年の二月、二十九年度の一番下の数字になっておりますが、この両者を合計いたしますと三百三十五穂という数字に相なるわけであります。この数字が示しておりますように、コール市場における資金というものの増加も顕著に現われております。さらにこれが四月末におきましては、今の数字が四百八十一億という数字に相なっております。また、四月の途中におきましては五百億をこえる数字が相当長く続いて参っております。以上申し上げましたようなことで、コールにおける市場の状況というものも著しく緩和されて参っておる。このほかに実に少しこまかい点になりますが、銀行間の直接の取引によって行われておりますコール取引がありますが、これは去年の三月ごろには実はなかったのであります。あっても非常にわずかな数字でありましたが、これが最近には、今申し上げました数字のほかに七、八十値程度あったはずであります。それからまた中央銀行の都市銀行等に対する再割引手形等が相当増加をいたしております。これがやはり百億程度あるのではないかと推定いたしておりますが、そういった数字をあわせて考えますならば、一般の短資の市場における資金というものは相当に緩和されて参っておるということが、今申し上げました数字に加えて言えるのではないかというふうに考えております。  その他まだ資料がいろいろとございますが、金融情勢が、まあ私どもが言っておりまする正常な姿に、逐次返ってきておる金融の情勢の数字的な表現というふうに御了解をいただきたいと思うのであります。以上が最近の金融情勢についての概略の説明であります。  次に、今後の金融施策と申しますか、金融に対する基本的な態度について若干申し上げておきたいと思います。従来からとって参りました金融の健全化と申しますか、そういった考え方の基調は、今後においても続けて参るべきだというふうに私どもは考えておる次第でございます。その基調の上に立って、今後金融の施策としていろいろな問題があるわけでありますが、大きな問題だけ申し上げてみますると、大体四つに考えていっていいかと思うのであります。  第一は、資本の蓄積と申しますか、あるいは金融機関の立場から申せば資金の蓄積、これをさらに一そう促進して参るということが第一であります。このためには、いろいろな施策を行なって参らなければならぬと思うのでありますが、先ほど主税局長からも説明いたしました通り、預貯金の利子に対する課税を免除するということ、あるいは生命保険料の所得からの控除、この控除額を相当程度引き上げるといったようなことなども、そういった資本蓄積ということを促進いたしますための対策の一つとして考えて参っておる次第でございます。そのほか、これらの問題に対してはいろいろな観点から促進の施策を行なって参りたいと考えております。  それから第二は、銀行その他の金融機関における内部の充実、内容の充実、基礎の強化という点について、さらに一そうの配慮をいたさなければならぬという点であります。これは従来からそういった点について一貫して金融行政上の非常に大きな点といたして参ったのでありますが、今後におきましても、信用秩序を維持し、預金者の保護という点について欠くところのないように、今後一そう内容の充実という点に努力をいたして参らなければならぬと考えております。  それから第三は、貸出金利を中心といたしまして、金利一般の引下げということを極力実施いたして参りたいと考えております。この点につきましては、単に貸出金利だけでなく、たとえば先ほど来申し上げましたコールの金利、あるいは社債その他の事業債等の条件、そういったもの全体にわたって、できるだけ企業の負担を軽くしていくという観点から金利の引下げということを行なって参りたいと考えております。  第四は、資金重点的な、あるいは金融機関に集まりました資金の効率的な運用ということについてさらに一段の配慮を加えて参りたい、かように考えております。しからば具体的にいかなることを考えておるかという点でありますが、今後の情勢の推移にかんがみまして、これを現在行っておりますものからさらに法的な措置にまでいくべきかどうかにつきましては、さらに慎重に検討を要すると思いますが、今申し上げました方向で今後の問題を検討して参りたいとかように考えておる次第であります。  なお、そのほかにも金融上大きな問題といたしましては、たとえば日本銀行の金利政策、先ほど申し上げましたのは市中金利の問題でありますが、中央銀行たる日本銀行の金利をいかにしていくのがいいか、あるいは今後の金融正常化に応じまして、日本銀行が公開市場操作ということを行なって参ることが、いずれ必要になってくると思いますが、そういった場合にどういったことが実際に考えられるか、こういった問題につきましても今後研究を続けて参りたいと考えております。ただ、これらの問題につきましては事柄の重要性もありますし、今後情勢の推移を十分に見きわめた上でその時期、方法等につきましては慎重に配慮をいたすことが必要であろうというふうに考えておる次第であります。  はなはだ雑駁な御説明でありましたが、一応当面の金融の問題についての概略の説明を終りたいと思います。
  22. 館哲二

    委員長館哲二君) 本日はこの程度で散会したいと思いますが、明日は大体この間の理事の打合せによりまして、三十年度予算と経済の総合的な見通しというようなもの、及びきょう聞いていただきました歳入および減税の問題について予備審査をお願いしたいと思います。なお、経済審議庁の方の説明は本日聞くのを延ばしまして、明日聴取することにしたいと思っておちます。  明日は午後一時から開会したいと思います。  本日はこれにて散会いたします。   午後四時三十四分散会    ————・————