○廣瀬久忠君
総理は私の
質問を、少しまだ
了解するのに足らないところがありますが、一月のあなたの施政方針演説の中で、私がここにあげたところを、もう一ぺん
総理がお読み返しになったならばわかると思うのですが、あなたは、今憲法改正の希望は変えないと、希望は変えないなんて、そんな弱い意思ではなかったのです。もうはっきりと意思
決定をしていることが明瞭であります。それでありますから、そんな、今さら希望を持っているんだ、というのじゃない、憲法改正するんだとあなたは決心している。それが明瞭に書いてある。そのつもりで私はけっこうだと思うんです。ただ、その決心ならば、
国民に、早く
政府が持っているところのその当時の資料なり、あるいはは施行した結果のまずい点なりというものを、
国民に
示して、
国民に判断の材料を与える、それと同時に
国民に対してその改正の真意を徹底せしむる
努力をしなくちゃならん、その組織をしなくちゃならん。それは私は
民間の方がいいのではないかと思う。それをあなたの党派でもおやりなさいということを言っておるのですが、わかったようなわからんようなことですが、時間を急ぎますから、なおあと続けてやります。
あとはあなたのよく言われる、
総理のよく言われる政治の信用回復ということについて私は
一つ率直に
質問をいたしてみたいと思います。私は保守系の人間です。ただ中立の人間です。
与党でもありません、野党でもありません。思い切った私は中立の議員、人間として、あなたのいわゆる信用の回復なる問題について、私の思い切った所見を述べてみたいと思います。先輩である
政治家にはなはだ非礼なことを言うかもしれませんが、私も国政を思うの余言うのであります。他意はございません。あらかじめ
お許しを願っておきます。
総理に対してまず第一に、
総理が信用の回復ということを常に政治の信用の回復ということを言われます。私は
総理に対して政治の信用回復についてまず第一にお願いすること、聞きたいこと、希望すること、これはこういうことです。
総理はもっと慎重であってほしいということなんです。これは第一です。わが国の政治が信用を失ったということはまことに遺憾です。
総理がこの回復に対して
努力するというのはまことにけっこうです。
総理はしかし明朗な政治で信用を回復するんだということをよく言われるが、私はそうじゃないのです。あなたにはむしろ慎重な政治で政治の信用を回復してもらいたいのです。これをあなたに言いたい。ドムニツキー文書の問題にしても、それから二つの中国の問題にしても、ずいぶんあなたは
衆議院においても参議院においてもあらゆる角度から
質問を受けておられます。それはそうなるわけなんです。こういう大きな重大な外交問題の取扱いとして、ことに
総理大臣の取扱いとしてこういう問題のまことに慎重を欠いたという感じが深い。それだから
質問が出るのです。いわんや外国人記者団との原爆問題についての
質疑応答というに至っては実にこれはよけいな波紋を平地に起したという感じが深いのです。私は
総理は慎重に、慎重にと
考えて初めてよいところに落ちつくのだと思うのです。(「その
通り」と呼ぶ者あり)
総理は持ち前として明朗性を持っています。それはけっこうです。けれ
どもそれだけじゃいけません。それにあなたは明朗の政治をやるのだということだけでいっている。あなたの性格が明朗なんです。それにあなたは明朗の政治をやるんだと力むというと明朗の行き過ぎになってしまう。明朗の行き過ぎになる。(「その
通り」と呼ぶ者あり)それで私はあなたに慎重ということを言うのです。明朗とともに慎重を両立さしてもらいたい。そうしなければこの難局に善処はできません。実際今までの模様を見ますというと、
総理が何らかの発表をやった、何らかの行動をやった、その後においてつじつまを合せるのに非常な苦心をしているのがありありとわれわれの目に見える。これは非常に困ったことです。
国民は
総理の慎重性をここに疑います。こういうことがたび重なるというと
国民は
総理の頼りなさを感ずるようになる。(「その
通り」と呼ぶ者あり)そうなると政治の信用は回復どころじゃない、落ちてしまう。(「その
通り、その
通り」と呼ぶ者あり)今共産主義の諸国とわが国は初めて外交折衝に入らんとしております。その困難は想像以上であろうと私は思う。それとともにその影響は実に深刻なものがあるであろうと私は思うのです。いかに慎重に対策を練っても慎重過ぎることはないと思う。それくらいに
考えられます。まあ私は今日までの
総理の
衆議院及び参議院における
質疑応答において多少はわかったような気もしますが、まあ
総理の用意というもの、用意は
相当はできておるとは思いますけれ
ども、しかしながら
国民の多数は非常に心配している、ああいう二元外交をやってアメリカとの
関係はどうなるか、そうすると貿易上は困りはしないか、外交上は困りはしないか、また国内問題としては共産主義諸国と交際をやったならば共産主義がわが国に強くなって、かって破壊活動防止法を作った当時のように治安が乱されるような状況は起りはしないかということを
国民は皆心配をしているのであります。でありますから慎重の上にも慎重でよろしい。どうか将来
総理は発表その他の報道をやった後につじつまを合せるのに困るようなことをなさらんように
一つ明朗もいいのですが、明朗の上に慎重であってほしい。いかがですか、どういうお
考えでしょうか。私は明朗だけでは困る。この点を
一つ御所見を伺っておきたい。