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1955-07-13 第22回国会 参議院 本会議 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月十三日(水曜日)    午前十一時三十三分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第三十六号   昭和三十年七月十三日    午前十時開議  第一 在外公館等借入金整理準備審査会法の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第二 財団法人日本海員会館に対する国有財産譲与に関する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第三 開拓者資金融通特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第四 国有財産特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、税関支署設置に関し承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)  第六 大蔵省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第七 経済審議庁設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第八 公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 河井彌八

    議長河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ─────・─────
  3. 河井彌八

    議長河井彌八君) これより本日の会議を開きます。  この際、お諮りいたします。小滝彬君から、国際捕鯨会議出席のため海外旅行につき会期申請中の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。      ─────・─────
  5. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程に追加して、公正取引委員会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。  去る七日、内閣総理大臣から、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第二十九条第二項の規定により、蘆野弘君を公正取引委員会委員に任命することについて本院の同意を得たい旨の申し出がございました。  本件に同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  7. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同意することに決しました。      ─────・─────
  8. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第一、在外公館等借入金整理準備審査会法の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題といたします。  まず委員長報告を求めます。外務委員長石黒忠篤君。    〔石黒忠篤登壇拍手
  9. 石黒忠篤

    石黒忠篤君 ただいま議題となりました在外公館等借入金整理準備審査会法の一部を改正する法律案につきまして、外務委員会における審議経過と結果を御報告申し上げます。  本案は、衆議院提出にかかるものでありまして、提出者高岡大輔君の説明によりますと、提案理由概要は次のごときものであります。  在外公館等借入金整理準備審査会法によりますると、在外邦人が過般の急遽引き揚げの際、公館等に対しまして借入金の形で提供いたしましたものは、証拠書類を添えて外務大臣あて借入金確認請求をするのでありまするが、その請求期限法律制定後二回延長されて、昭和二十七年六月三十日までとなっておるのであります。しかるにその後、税関に、引き揚げの際引揚者がそれぞれ持ち帰りました荷物が留保でれておりましたものが、だんだんと引揚者に渡されることになりまして、その中に未請求借入金関係書類等相当に含まれておる等の事実がその後にもありましたので、この際、これら借入軍確認請求の権利を失っている者に対しまして、昭和三十年十二月三十一日まで、借入金確認請求することができるように措置するというのが改正実の要旨であります。  委員会におきましては、今までの確認件数はどのくらいあるか、これは約十三万件で、残りの四万二千件が未認定で残っておるという話であります。及び、支払い状況はどらであるか、これは約六億円の支払いを了しておるが、約二億円が繰り越されて残っておるというような点、その他今回の措置によりまする確認請求予想件数であるとか、あるいは残り二億円というものが、多少確認金額が超過した場合の措置等に関しまして、質疑が行われたのでありまするが、その結果、採決を行いましたところ、全会一致をもって原木通り可決をいたしたのであります。以上、御報告申し上げます。(拍手
  10. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  11. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      ─────・─────
  12. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第二、財団法人日本海員会館に対する国有財産譲与に関する法律案衆議院提出)  日程第三、開拓者資金融通特別会計法の一部を改正する法律案  日程第四、国有財産特別措置法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)  日程第五、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、税関支署設置に関し承認を求めるの件(衆議院送付一  以上、四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず委員長報告を求めます。大蔵委員長青木一男君。    〔青木一男萱垣拍手
  14. 青木一男

    青木一男君 ただいま議題となりました三法律案外一件につきまして、大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず財団法人日本海員会館に対する国有財産譲与に関する法律案について申し上げます。  本案衆議院大蔵委員長松原喜之次君の提出にかかるものでありまして、船員福利厚生事業整備発達に資するため、財団法人日本海員会館に対し現に使用させている国有財産譲与することができることとしようとするものであります。  財団法人日本海員会館が現に使用している小樽市外十九カ所に所在する土地建物等国有財産は、同法人前身である財団法人日本海員財団昭和二十三年政令第二百三十八号、解散団体財産管理及び処分等に関する政令規定の適用を受けて解散団体とみなされた結果、その所有財産が国庫に帰属したものでありますが、昭和二十四年以来、連合軍司令部の覚書に基いて、運輸大臣より船員宿泊休憩施設等船員福利厚生事業の用に供するため、引き続き使用せしめられているものであります。  この財産の起源をたずねてみますと、きわめて古いのであります。高級船員団体である社団法人海員協会は、すでに明治時代その前身である船員倶楽部当時から、高級船員のための厚生施設を経営しておりました。また普通船員団体である日本海員組合も、昭和四年から毎月組合費と同額の一円を醵出して、普通船員のための厚生施設を作りましたが、日本海員組合法人格を有しなかったので、昭和七年、別に財団法人日本海員会館を設立して、これにこれらの施設所有権を移すとともに、その経営をまかせたのであります。昭和十五年社団法人海員協会及び財団法人日本海員会館の二法人は、いずれも解散することとなりましたが、その所有財産は、あげて財団法人日本海運報国団財団に寄付することといたしたのであります。その後、財団法人日本海運報国団財団は、解散、または寄付行為の変更によって、あるいは財団法人日本海員財団、あるいは財団法人日本海員会館と変遷はありましたが、これらの財産は国に帰属した今日に至るまで、一貫して船員宿泊休憩施設、その他船員福利厚生事業の用に供されておるのであります。  以上のような沿革でありますのと、特にこれらの財産のうち、建物は平均して二十年以上を経過しており、修繕等により整備改善を要するものが多いのでありますが、国にはその予算がなく、また財団法人日本海員会館国有財産であるため、十分な費用を投じ得ない実情にありますので、この際、これらの財産財団法人日本海員会館譲与し、船員福利厚生施設整備拡充をはからしめようというのであります。  本案審議に当りまして、提案者及び大蔵当局に対し、海技専門学院使用中の財産譲与後の取扱い、本件と同様のケースのものの今後の処分方針等について質疑が行われましたが、詳細は速記録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、開拓者資金融通特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案内容を申し上げますと、第一点は、開拓者資金融通特別会計昭和土十九年度末における貸付金残高が約百十七億円に達し、今後年々相当償還金のあることが見込まれることとなったのに伴い、従来この貸付金償還金は、公債及び借入金償還金のみに充てることとなっておりますのを、今回新規の貸付金財源にも充てることができることにしようとするものであります。  第二点は、この会計事務取扱費は、従来一般会計からの繰入金をもってまかなっていたのでありますが、今回他の諸経費とともに貸付金利子収入等でまかなうことを原則とし、不足金を生じた場合には、それに相当する金額予算の定めるところにより、一般会計からこの会計に繰入れることにしようとするものであります。なお、以上の改正に伴って所要規定整備するほか、借入金予算添付書類等に関する規定についてもこの際、整備しようとするものであります。  委員会審議におけるおもな質疑を申し上げますと、「前年度は貸付金財源として一般会計から約十四億円が繰り入れられたのに対し、本年度は資金運用部から十億円の借入金をすることとなっているが、いかなる理由によるか」との質疑に対し、「現在一般会計からの繰入金額はすでに百億円をこえており、他方会計の建前としては借入金運営することとなっているのであって、今後は償還金借入金をもって貸付金財源に充当すれば支障なく運営できると考え、今回借入金による措置をとった」との答弁があり、「貸付金償還状況及び未収納分処理方針はどうか」との質疑に対し、「昭和二十年中の収納率は本年五月二十三日現在、七八・九%となっおり、例年に比し大体良好であると思う。今後の処理方針としては、開拓者に資力の弱い者が多いので、和解の方針で臨み、三ないし五年間に処理したい」との答弁がありました。その他詳細は速記録によって御承知願います。  質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、国有財産特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げすす。  本案は、普通財産譲与できる場合の範囲を拡張するとともに、旧軍用財産機械等処分及び普通財産交換について特別の措置を講ずるため、国有財産特別措置法に若干の改正を加えようとするものであります。  以下、その概要について申し上げますと、第一に、現行国有財産特別措置法第五条の規定によりますと、地方公共団体から国に対し特定の用途に供する目的で寄付された財産用途を廃止した場合は、その財産当該地方公共団体に限って譲与できることとなっておりますが、この譲与できる場合を拡張して、当該地方公共団体にその財産を寄付した地方公共団体及びこれらの地方公共団体区域変更があった場合には、その区域が新たに属した地方公共団体にも譲与できることとしたのであります。第二に、現行国有財産特別措置法規定によりますと、旧軍用財産のうち、機械及び器具中小企業者の所有する老朽した機械及び器具と等価で交換できることとなっておりますが、これを改めて、国有機械及び器具を時価からその三割を減額した額で交換できることとしたのであります。第三に、旧軍用財産のうち、機械及び器具は国で直接その用に供する必要あるもの、いわゆる一括転用施設等の用に供することに適するもの等を除き、すべてこれをくず化することとし、これに関する規定を新たに設けたので上ります。第四に、国有財産法によりますと、普通財産は、土地または土地定着物もしくは堅固な建物に限り、それぞれ土地または土地定着物もしくは堅固な建物交換することができることとなっておりますが、今回新たに特例を設けて、土地または建物、その他の土地定着物は、相互に交換できることとしたのであります。  なお、本案につきましては、衆議院において部分修正が行われました。それは先ほど改正点の第二として申しあげました機械器具交換の場合の減価率についてでありまして、政府原案では三割となっておりましたのを、交換を促進する必要から三割五分に改められたのであります。  本案審議に当りまして、国有財産特別措置法第五条の改正によりて新たに譲与できることになる事例、機械器具交換実績、未利用機械処理手続衆議院大蔵委員会付帯決議に対する大蔵当局意見並びに措置等について、熱心な質疑が行われましたが、詳細は速記録によって御承知願います。  質疑を終了し討論に入りましたところ、平林委員より、「機械器具くず化に当り学識経験者等意見を徴することとなっているが、ややもすると形式的となるおそれがあるから、そのようなことのないよう特に配慮するとともに、その処分計画を立て、なるべく早く結末をつけるようにされたい」との希望が述べられ、採決の結果、全会一致をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。  最後に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、税関支署設置に関し承認を求めるの件について申し上げます。  本件は、最近における外国貿易の趨勢に伴う税関業務の増加に対応し、税関行政の円滑な遂行をはかるため、現在税関における本関出張所または税関支署出張所となっている税関官署の中から、一、港湾設備背域産業等立地条件に恵まれ、貿易実績が多く、さらに将来の伸展が期待されていること、二、本関より比較的遠距離にあって、関税法規税関長権限とされているものの委任を受けて、現地において税関業務をすみやかに処理すべき場合がしばしばあること、三、その地方における税関行政の中心となっている管下の税関行政を統轄させることが適当であることなどの諸条件を具備している横浜税関川崎出張所外張所税関支署に改めようとするものであります。  本件格別質疑もなく、討論採決の結果、全会一致をもってこれを承認すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  15. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより四案の採決をいたします。  まず財団法人日本海員会館に対する国有財産譲与に関する法律案  開拓者資金融通特別会計法の一部を改正する法律案  国有財産特別措置法の一部を改正する法律案  以上、三案全部を問題に供します。三案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  16. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって三案は、全会一致をもって可決せられました。      ─────・─────
  17. 河井彌八

    議長河井彌八君) 次に、地方自治・法第百五十六条第六項の規定に基き、税関支署設置に関し承認を求めるの件、全部を問題に供します。委員長報告通り本件承認することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  18. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって承認することに決しました。      —————・—————
  19. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第六、大蔵省設置法の一部を改正する法律案  日程第七、経済審議庁設置法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず委員長報告を求めます。内閣委員長新谷寅三郎君。    〔新谷寅三郎登壇拍手
  21. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 ただいま議題となりました大蔵省設置法の一部を改正する法律案及び経済審議庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、大蔵省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案改正のおもな点を申し上げますと、最近の税関事務実情にかんがみ、税関行政整備円滑化をはかるため、今回東京税関及び横浜税関管轄区域改正し、東京税関鑑査部を新たに設置する点であります。現在横浜税関管轄区域は、神奈川県以北の十一県の広範な地域を占めておりまして、事務監督等にも不便が感じられており、これらの地域のうち埼玉、群馬、山梨、新潟及び山形の諸県は、地理的にも経済的にも、横浜市よりは東京都の方に密接なつながりを持っておりますので、これらの諸県の管轄横浜税関から東京税関へ移すこととし、また、東京税関におきましては、鑑査事務業務部所掌となっているのでありますが、業務部はその管理事務が過大となっておりますので、業務の円滑な運営をはかるため、他の税関と同様に鑑査部設置して、鑑査部門を強化せんとするものであります。  なおこのほか、本省の理財局及び為替局事務に若干の調整を加えるとともに、税関事務について所要規定整備をはかるための改正がなされております。  内閣委員会は、前後二回にわたり本法律案審議に当りまして、一萬田大蔵大臣との間に、本法律案に関連して、在外資産の返還、公務員給与の引き上げ、地域給閉鎖機関資産処理労働金庫に対する資金運用部資金運用、九州、北海道、東北の災害に対する処置、日中貿易支払協定等に関する問題につき質疑応答がありましたが、その詳細は委員会会議録に譲ることを御了承願いたいと存じます。  昨日の委員会におきましては、質疑も終了いたしましたので、討論を省略し、直ちに本法律案につき採決いたしましたところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと議決せられた次第であります。  次に、経済審議庁設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  政府は、本法律案提案理由として、さきにわが国の経済自立を達成し、完全雇用実現をはかることを目的として、経済六カ年計画構想策定したが、今後この計画を強力に推進し、その実現をはかるためには、これらの事務所掌する経済審議庁機構整備するとともに、その権限所要改正を加えることが必要であると認めて、この法律案提出した次第でありますが、ただ今回の改正に当り、機構権限改正長期経済計画推進上、さしあたり必要な最小限度にとどめ、また機構改正に伴う職員配置についても、行政簡素強力化の見地から、でき得る限り部内の配置転換等によってこれを処理することとした。  なお、経済審議庁機構及び権限改正によって、経済審議庁基本的性格変更されるものとは考えてはいないが、審議庁の現在行なっておる事務内容から考えても、経済審議庁という名称が必ずしも適当でなく、今後企画官庁としての性格が濃厚になってくると考えられるので、この際、名称経済企画庁と改めることとしたいと説明しております。  次に、本法律案改正要点を申し上げますと、その第一点は、審議庁任務及び権限改正でありまして、現在審議庁任務の一つとして、長期経済計画策定とありますのを、長期経済計画策定及び推進に改めるとともに、長期経済計画策定し、これに関する重要な政策及び計画について、関係行政機関事務総合調整を行うことを審議庁権限に加えることとした点であります。この総合調整のための手段としては、審議庁長官権限に新たに規定を設け、審議庁長官は、長期経済計画策定及び推進のため必要があるときは、関係行政機関の長に対して、必要な資料の提出及び説明を求めることができることとし、また、長期経済計画推進のためには、重要な政策及び計画の立案について、関係行政機関の長に必要な勧告をなし得ることといたしております。その第二点は、内部部局整備に関する改正でありまして、ただいま申し述べました長期経済計画策定及び推進に関する事務重要性にかんがみ、今後計画部事務分量はかなり増大し、ことにこれに関する関係各省事務総合調整に当りまする幹部職員事務は膨大なものに上ることとなりますので、現在の計画部所掌事務から国土総合開発関係事務を分離して開発部を設け、専任部長を置き、計画部長長期経済計画及び原子力関係事務等に専念させることとし、なおこの機会に従来の総務部長官官房に改め、官房長を置くことといたしております。その第三は、各部間における所掌事務調整に関する改正でありまして、国際経済協力に関する事務については、現在は調整部所掌となっておりますが、その事務内容から考えまして、その所掌長官官房に移すこととし、また原子力に関する事務はその重要性事務量の増大を予想せられますので、これを計画部所掌事務として明記することとし、これがため新たに原子力室を設けることといたしております。以上がこの法律案改正要点であります。  内閣委員会は本法律案審議のため、前後五回にわたり委員会を開き、この間商工委員会連合審査会を開き慎重審議を行いましたが、政府との質疑応答によって明らかになった諸点を申し上げますと、その第一は、長期経済計画内容の点であります。政府説明によりますと、日本経済自立完全雇用を達成するためには総合的かつ長期的な計画を立てる必要があるので、今回経済企画庁において、昭和三十五年度を一応の目標年次とする経済六カ年計画を立て、昭和三十年度以降六カ年にわたり一貫した総合的経済計画構想策定し、これによって昭和三十五年度においては特需に依存することなく、正常貿易によって国際収支のバランスを維持しつつ雇用問題の解決をはかる方針であるということであります。  その第二は、経済企画庁長官勧告権の問題であります。この点に関しましては多数の委員より、経済企画庁長官関係行政機関の長に対して行う勧告法律上の性質について疑義があるのみならず、かりに法律支障がないといたしましても、かくのごとき勧告行政措置として果して妥当であるかどうか考慮すべき点もあり、かくのごとき勧告規定がなくとも、現在の内閣制度のもとでは、閣議において各省大臣の間で十分協議が遂げられるのではないか、また勧告立法例現行法令の上でもないことはないが、政府の広範な政策一般について、長官各省大臣を含む各行政機関の長に対して勧告するというがごときは、現在の内閣制度及び国家行政組織の上から見て当を得ないのではないかという趣旨の質疑がなされましたのに対し、高碕長官その他政府当局答弁によりますと、「勧告権指揮命令権ではないから、勧告を受けた側は、これに従わなければならない法律的義務はないが、これを尊重すべきことは当然である。また行政運営の上からすれば、現状においても各大臣の間で一応支障なくこの間の調整はついておるが、この勧告の明文があれば「今後経済六カ年計画を一そう円滑に推進し得るものと考える。しかし勧告閣議の前段階行政措置であって、もし勧告が入れられない場合には、最終的には閣議において決定するほかはない」ということであります。また長期経済計画を遺憾なく推進するためには、経済企画庁長官に対し勧告以上の強い権限を与える必要はないかという点につきましては、高碕長官は、「経済企画庁長官が他の行政機関の長に対し勧告権以上の強い権限を持つことは、現在の内閣制度のもとにおいては妥当でないと思う。将来さらに充実した長期経済計画が完成された場合には、内閣総理大臣経済企画庁長官を兼ねて、関係行政機関に対し、もっと強い権限を持つようになることも考えられるが、現在の段階においては、この程度の改正運用上の効果を期待したい」という答弁でありました。  その第三は、経済六カ年計画予算編成との関係であります。長期経済計画策定及び推進には、国家予算とは特に密接な関係があるので、経済企画庁長官は、予算の編成方針についても勧告を行うことができるとの政府説明であります。  その第四は、経済六カ年計画と防衛計画との関係であります。高碕長官説明によりますと、「この経済六カ年計画においては、日本防衛力は、国力に応じて増減すべきものであるという前提に立って考慮されており、国力が増大すればこれに応じて防衛力もふやしてゆく方針であって、現在はまだ長期防衛計画が樹立されてはいないが、この計画経済六カ年計画と十分に調整を保たしめる必要がある。ここに国力というのは、国富と国民所得とをさす意味である」とのことであります。なお経済六カ年計画と長期防衛計画との問題に関連いたしまして、「長期防衛計画は、国民所得によってその規模がきまるとの政府説明であるが、今後防衛力増強に関するアメリカの要請により防衛費は増大し、これに伴い経済六カ年計画変更せられ、現在政府の示しておる経済六カ年計画の数字も変ってくるのではないか」との問いに対しまして、政府より、「官立経済の安定をこえた防衛計画は立つべきではない。経済六カ年計画が先にきまって、そのワク内で防衛計画がきめらるべきである」との答弁でありました。  その第五は、関係行政機関事務総合調整の問題であります。すなわちこれまでは経済審議庁は二つ以上の省にまたがる事項について政策及び計画をきわめて消極的に総合調整を行なってきたのでありますが、今後経済企画庁は、関係行政機関の樹立する政策及び計画について、その途上において総合調整を行うだけでなく、経済六カ年計画の線に拾って政策計画を積極的に推進するよう総合調整を行うということであります。  その第六は、経済六カ年計画と新生活運動との関係であります。経済六カ年計画推進するためには、全国民の支持と協力とが必要である。すなわちこの経済六カ年計画と新生活運動とが直結することが必要であるとの所論に対しまして、政府は、「経済六カ年計画に新生活運動は盛られていないが、その精神は相関連しておる。政府としては、経済六カ年計画を国民の間に浸透せしめ、その協力により目的を達成するように努力したい方針である」旨を答弁しております。  その第七は、本法律案改正に伴う経費及び予算の点であります。すなわち本法律案改正によりまして、経費は昨年度よりも千九百四十万二千円増加し、また定員につきましては、計画部原子力室を新設いたしますため四名の増員となるのであります。  なおこのほか経済六カ年計画内容原子力と科学技術研究の強化、国土総合開発計画の現状、電源開発及び熱資源に関する計画長期経済計画と失業問題との関係、輸出に関する将来の具体的方策等につきましても質疑応答が行われましたが、その詳細は、委員会会議録に譲ることを御了承願います。  昨日の委員会におきましては、質疑を終了いたしましたので討論に入りましたところ、千葉委員より、次のような修正案が提出せられました。すなわち、   経済審議庁設置法の一部を改正す  る法律案の一部を次のように修正す  る。   第十条の次に三条を加える改正規  定中、第十一条第三項を削る。 というのでありまして、これは長官勧告権に関する規定を削除せんとするものであります。千葉委員より、この修正案を提出した理由として、「長期経済計画推進は防衛力の問題を抜きにして考えることはできないのであるが、現在のような情勢下では、防衛力を増強させながら長期計画を樹立するのには二つの方法がある。その一つは、防衛力が国民生活に与える影響や国民の負担を無視した強力な体制に移行ずるか、他の一つは、現行法令を無視した法律を作るかのいずれかである。政府はこのうち後者を選んで、立法による強力な推進を企図したというのでなければ、勧告権の意味は理解できない。もしかりに政府のいうごとく、勧告閣議の前段階措置であるということであれば、経済企画庁長官勧告権は内閣法及び国家行政組織法に照らして疑義がある。勧告権はその法律的根拠、その拘束力、また将来の運営上の見通しについても不明確である」旨を述べ、「以上がこの修正案を提出した理由であって、右の修正部分を除いて原案に賛成する」旨の発言があり、次に田畑委員より、「この修正案についての法律的見解及び理由については一千葉委員と同様であって、ことに、経済六カ年計画や三十年度経済計画の大綱についても一その計画の実行についてどの程度の熱意があるか疑わしい。長期経済計画の問題は、現在の機構権限の範囲内で、周密な計画と財政的裏づけがあれば、実行できることである。今日、政府のとるべき方針は、機構権限の強化ではなく、非生産的軍事費が大きな地位を占めている現在の予算性格や政治の方向を、国民生活の安定、産業自立の方向へどう切りかえるかの問題である。かような観点から一勧告権はおよそ意味のないものであり、かような措置を講ずる段階でもないから、修正案に賛成し、修正部分を除く原案に賛成する」旨の発言があり、松原委員より、「日本の現状では、経済自立こそ独立日本の基調であり、一切の政治力をここに集中すべき緊急の問題である。従って、経済六カ年計画推進の責任者である企画庁長官勧告権を持つことは当然のことである。この長期計画により、経済自立完全雇用の一日も早く実現されることを要望して、修正案に反対し、原案に賛成する」旨の発言があり、堀委員より、「経済六カ年計画自立経済完全雇用を目標としておるが、長期経済計画の遂行のためには、強い国民の政治力が必要である。しかし資本主義経済機構のもとでは、かかる政治力の結集は本来期待できないことである。経済六カ年計画構想や三十年度経済計画の大綱も、計画の基礎が非現実的である。経済計画は必要であるが、現在の社会機構のもとでは、この計画はむだであり、かえって内閣の統一を乱すものであるとの理由をもって、修正案に賛成し、修正部分を除く原案にも賛成する」旨の発言がありました。  討論を終結し、まず、千葉委員提出の修正案につき採決いたしましたところ、賛成者少数をもって否決せられ、次いで原案について採決いたしましたところ、多数をもって原案通り可決すべきものと議決せられました。以上、御報告申し上げます。(拍手
  22. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。  まず、大蔵省設置法の一部を改正する法律案、全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  23. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      ─────・─────
  24. 河井彌八

    議長河井彌八君) 次に、経済審議庁設置法の一部を改正する法律案、全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  25. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      —————・—————
  26. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第八、公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。  まず委員長報告を求めます。建設委員長石川榮一君。    〔石川榮一君登壇拍手
  27. 石川榮一

    ○石川榮一君 ただいま議題となりました「公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの」について、建設委員会審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  本件は、公営住宅法第六条の規定に基き、昭和二十七年度以降毎三カ年を一期として、公営住宅建設三カ年計画を作成し、その計画の大綱について国会の承認を求めることとなっておりますので、今回、その第二期分として提案されたものであります。  本計画は、さきに住宅対策審議会の意見を聞き、その答申に基いて、昭和三十年度より三十二年度までの三カ年間に、第一種公営住宅十万一尺第二種住宅五万五千戸、計十五万五千戸を建設しようとするものであります。  本件は、去る五月二十五日、本委員会に付託されましてから、数回にわたり審議を重ね、特に七月十二日には、参考人として東京都の佐藤副知事、同じく畑財務局長並びに藤木建築局長を招致し、公営住宅建設の実情を聴取する等、慎重なる審議を行なって参ったのであります。特に問題となりました点は、第一に、「住宅対策を大きく取り上げている現政府において、何ゆえに本計画が第一期の十八万戸建設計画より減少されているのであるか」という点でありますが、この問いに対しましては、「三十年度公営住宅五万戸計画を基礎として、今後二カ年間の国民所得の増を考え、また地方財政の現状等を勘案して策定されたものであり、かつ従来の公営住宅の中で、中層アパートの分を住宅公団に移しているので、公団の住宅をあわせ考えれば、実質的には第一期計画に下回るもりではない」旨の答弁がありました。第二は、「公営住宅の建設において最も大きな部分を占める東京都が、第一期計画において二回にわたり割当計画戸数の一部を返上しているが、かかる事態が第二期建設計画においても行われるならば、本計画の遂行に大きな障害を与えることにならないか」という点でありますが、これにつきましては、「本年は宅地等の標準価格を増額し、また起債ついても従来と異なる措置をとるようにしているので、今後は過去のごとき事態は起らないと考えるし、またそのように指導監督してゆきたい」ということでありました。その他、起債の問題並びに三カ年計画の実施に要する国の費用等について論議が行われたのでありますが、詳細は会議録に譲りたいと存じますから、御了承を賜わりたいと思います。  かく質疑を終り、討論を省略して、採決をいたしましたところ、全会一致をもって原案通り承認すべきものと決定した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  28. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本件採決をいたします。本件を問題に供します。委員長報告の通り、本件承認することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  29. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致を、もって承認することに決しました。  本日の議事日程は、これにて終了いたしました。  次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時十九分散会      —————・————— ○本日の会議に付した案件  一、議員の請暇、  一、公正取引委員会委員の任命に関する件  一、日程第一 在外公館等借入金整理準備審査会法の一部を改正する法律案  一、日程第二 財団法人日本海員会館に対する国有財産譲与に関する法律案  一、日程第三 開拓者資金融通特別会計法の一部を改正する法律案  一、日程第四 国有財産特別措置法の一部を改正する法律案  一、日程第五 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、税関支署設置に関し承認を求めるの件  一、日程第六 大蔵省設置法の一部を改正する法律案  一、日程第七 経済審議庁設置法の一部を改正する法律案  一、日程第八 公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件