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1955-06-24 第22回国会 参議院 本会議 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十四日(金曜日)    午前十時五十一分開議     —————————————  議事日程 第二十七号   昭和三十年六月二十四日    午前十時開議  第一 農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)  第二 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)     —————————————
  2. 河井彌八

    議長河井彌八君) 諸般報告は、朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 河井彌八

    議長河井彌八君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。  まず委員長報告を求めます。外務委員長石黒忠篤君。    〔石黒忠篤登壇拍手
  4. 石黒忠篤

    石黒忠篤君 ただいま議題となりました農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定について承認を求めるの件について、外務委員会の審議の経過と結果を御報告申し上げます。  この協定は、本年五月三十一日に外務大臣在京米国大使との間に署名されたものにつきまして承認を求めるものでありまして、その提案の趣旨につきましては、過般外務大臣が六月十日に本会議場において説明をされたのでありますので、諸君はすでに御承知のことでありますが、その内容のごく大要を念のために申し述べます。  わが国は八千五百万ドルに達するまでの米国余剰農産物を円をもって購入をいたし、そのほかに現物贈与の形で千五百万ドルまでの余剰農産物贈与を受けるのでありますが、さらに八千五百万ドル購入によって積み立てられる資金のうち、ドルに交換された七割を、日本側電源開発農業開発及び生産性向上のための借款として受け入れまして使用をしていく、残りの三割は、米国側わが国における駐留米軍の軍人の宿舎、域外調達等に対する経費といたしまして、日本国内使用をするということを内容としておるものであります。  しこうして政府といたしましては、この協定の実施は、種々な利益日本に持ち来たす、第一に、本来外貨による輸入必要とすべき農産物を円で購入することができること、それから贈与を受ける農産物によりまして現在の児童福祉計画が一段と拡大、実施し得ることになるということ、次に農産物購入代金の七〇%、すなわち六千万ドル近くの額を借款といたしてわが国が利用することによって、国の経済発展を促進することができるというような利益をもたらし得るものであるから、米大統領処分権限がある今月中に手続を完了し得るように、なるべくすみやかに本協定締結について国会の承認を得たいと、こういうのであります。  委員会は、農林水産委員会の所管と非常に大きな関係がありまするので、その申し入れによりまして連合審査を行いました。それらを合せまして三回にあたって長い時間、本件を慎重に審議いたしましたのであります。委員会における質疑の主要なるものを御報告申し上げます。  「今次の協定と昨年締結したMSAに基くものとの差異並びにそれに比較して有利な点は何か」という、こういう質問に対しまして、「本協定MSA法に基くものでなく、農産物処理に関する一九五四年のアメリカ法に基いて、見返り円日本側使途については軍事的なものでなく、わが国経済開発のために使用せられる点、合意された目的の範囲内で随意に使用できる点、また買付農産物金額が増加している点、贈与金そのものでなく、現物であること、また借款が認められたこと等が違う点があって、全般的に見て、わが国にとりて、きわめて有利なものと認められる、」という答弁があったのであります。次に、「この協定による買付は、これは東南アジアカナダ等からの農産物、ことに米の買付を減少せしめることになって、東南アジアに対するわが国貿易関係を阻害するようなことにならないか」と、こういう質問に対しまして、「協定の中にも貿易関係を阻害してはならないという定めがあるくらいであるから、そういうことはいたさない、またビルマ、タイ等とは買付取りきめに基いて現に買い入れており、さらに追加買付さえ行なっておるので、十分東南アジア諸国との関係は配慮している、しかし、もし今後余剰農産物を買い付けることになっている米国よりの米の買付については慎重でなければならないということは十分に心得ておる。」こういう答弁でありました。その次には、「米軍見返り円使用は、従来のドル収入を減少せしめることになりはしないか、また日本使用する分の配分は、日本側が自由に決定し得るのか、アメリカの指図によるのか。」こういう点に対して、「本件円資金のうち、域外調達使用せられる分は間接ドル支出となるので、この分の金額は極力少額にとどめて行くようにしてもらった、日本側使用するものは、両者間の合意によって、使用目的電源開発農業開発及び生産性向上のための三つに決定をいたした。しかし、その金額はそれぞれ百八十二億円、三十億円、一億五千万円ということに分配したが、この分配は、日本側自由裁量によってやったものである。ただ、これは借款である関係上、この決定先方に通知することが必要であり、通知を現にしておるのである。」こういう答弁でありました。次に、「余剰農産物は、引き続き来年も再来年も買うつもりか。」こういう質問に対しまして、「閣僚中には個人の意見として、有利であるから買いたい希望を表明している者もあるが、政府としては、明年度以後買うやいなやについては未定であって、本件買付国内経済に及ばす諸般影響をとくと考えた上において決定をいたしたい。」こういう答弁でありました。次に、「予算に計上せられている見返り資金が、全農産物受け払いがおくれて資金計画にそごを来たすことは起らないかどうか、また本協定によって積み出すところの農産物は何年産のものであるか、その買付価格はどのくらいのものであるか、米の価格は割高と思われるがどうであるか。」こういう質問に対しては、「積み出しについては、綿花に関しては十月三十一日、その他の農産物は九月三十日までとなっていて、これらは大体順調に進むと考えているから、資金計画に支障を生ずるようなことはない。それからCCC、すなわちアメリカ余剰穀物を持っておる会社であります。CCC手持ちは、三月三十一日現在で七十二億ドルくらいあるようだが、買付CCC手持ちからでも、普通取引関係から買っても、どちらでも随意である。食糧管理会計といたしては、一九五四年のものより古いものを買う意思はない。買付価格も、品質によるが、世界市場における競争価格より高い値段で買う必要はない。」こういう答弁でありました。協定面では相互の利益をうたっておるのであるけれども、根本的には先方余剰物を買わされるのであるから、その見返り円農業開発使用せられる分が多くあるべきであるのに僅少なことはいけない。そのほか諸般の点において、わが国自主独立性の認められていることが少い。こういう点の指摘がされたのであります。その他、買付農産物及び借款目的の選定の経緯世界銀行借款との関係買付綿花加工品輸出ができるのかどうか、綿花買い入れ国内業者を圧迫しないかどうか。海上輸送運賃が規定によると非常に損なように思われるがどうかというような点について熱心な質疑があったのでありました。  それから次に、農林水産委員会との連合審査の会合におきましては、農林委員長初め委員各位が強く指摘せられましたことは、借款による資金は、電源開発農業開発生産性向上使用することになっており、これは日本側が自主的に申し入れたものであるというが、本件交渉の初めからの経緯からみて、また本件農産物受け入れば、直接、間接に結局は農民を圧迫することになることはいなみ得ない点からみて、農業開発こそは重点的に資金使用をさるべきものであるのに、電源開発に百八十二億五千万円、農業開発には、わずかに三十億円とは納得ができない。これが配分額の変更はできないのかというようなこと、及び総合経済六カ年計画本件借款等資金による農業開発との関係食糧需給計画余剰物資買付との関係について詳細な、また熱心な応答があったのでありました。これらの諸点に対しまして、政府答弁はやや統一を欠くものがあるように認められましたので、委員長は、政府統一的答弁を求めるために一応休憩をいたしたこともあるのでありましたが、それに続いて開かれた外務委員会において、政府を代表して経済審議庁長官より、「本年度は電源開発に百人十二億五千万円が決定され、農業開発に三十億円、生産性向上に一億五千万円決定をせられ、三十億円の農業開発の内訳は、愛知用水に二十五億円、北海道開拓に五億円に決定して予算に組んであるという実情であるから、これを了承せられたい。来年度以降においては、かりに農産物購入協定ができない場合においても、既定計画を中断することがないように極力努力する、」との釈明があったのであります。  かような経緯を経まして、委員会は六月二十三日質疑を了しまして、討論に入りましたところ、羽生委員は、日本社会党第四控室を代表して反対小滝委員は、自由党を代表して賛成曾祢委員は、社会党第二控室を代表して反対梶原委員は、緑風会を代表して賛成、共産党の須藤委員反対苫米地委員は、民主党を代表して賛成意見を述べられました。  次いで、採決を行いましたところ、本件承認すべきものと多数をもって決定いたしました次第であります。  なお、二十三日に農林水産委員長より本件に関しまして、農林水産委員総意によるものとして、外務委員長あてに以下述べるような五項目内容とする申し入れがありましたので、本議場においてこれを報告申し上げることに外務委員会決定いたしましたから、次にそれを読み上げます。  (一) 食糧自給度向上は、国民食糧   確保のためにも、亦経済自立のた   めにも最も肝要とすべきことであ   る一切って食糧輸入小麦及び   乳製品の国内増産を圧迫しないよ   う必要最小限度にとどめること。  (二) 本協定によって受入れようとす   る食糧価格は概して割高であ   り、その品質が必ずしも適当でな   く、わが国経済上不利を招くこと   になるから、これを是正するこ   と。  (三) 米国余剰農産物受入は、その   影響国内農民に伝嫁されること   になるものであるから、その償い   としても、これが受入による見返   資金は、国内農業開発のため優先   且つ重点的に支出すること。  (四) 右資金農業開発に対する使途   については、行きがかりにとらわ   れず、わが国の自主的な見解に   よってあらためて慎重な検討を行   い、わが国農業発達のため最も効   率の高いものとするとともに、当   初において確固たる総合的年次計   画(事業資金、器材及び労力等   万般に亘って)を樹て、不動の態   勢を以てその完遂を図ること。  (五) 右の事業に対して、国内におい   て負担すべき資金を調達するため   には、今後余剰農産物受入の如   何にかかわらず、既定国内農業   開発計画及び食糧増産対策必要   な経費を絶対に削減しないこと。  こういう申し入れをされまして、外務委員会において適当にこれによって処理してもらいたいと、こういう申し入れがあったのでありまして、外務委員会は、これを本会議場において報告をいたし、外務委員長から政府にその旨を伝達をするということに、外務委員会決定をみたのであります。外務委員会はこれを付帯決議に採択はいたしませんでしたけれども、外務委員会総意は、農林水産委員会のこの五カ項目は、内容的に全く同意であるというのが、委員総員意見であったのであります。政府においては真剣にこの点について尊重せられて国政を行なっていただきたいということを、委員長としてここに申し入れる次第であります。  以上、御報告を申し上げます。(拍手
  5. 河井彌八

    議長河井彌八君) 本件に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。三橋八次郎君。    〔三橋八次郎登壇拍手
  6. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 私は日本社会党第四控室を代表いたしまして、ただいま上程されました農産物に関する日本アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件に関しまして、反対を表明し、ここに討論を行うものでございます。  アメリカでは数年来、毎年農作物が豊作で、その余った農作物が翌年に持ち越され、次第にストックが増加いたしまして、去年あたりは小麦だけでも約七十億ドル以上といろ巨額に上っております。倉庫にも入り切れない状態であるのでございます。アメリカ政府農家に対しまして農作物作付制限をいたしておるのでございますが、たとえば小麦作付面積が減りまするとトウモロコシが今度はふえてくるという工合で、農産物の過剰の状態というものは一向に解消される見込みがないのでございます。こういう状態で放置をいたしますれば、アメリカ農作物値段が暴落いたしまして農業恐慌に陥るのでありましょう。そこでアメリカ政府は、農作物価格支持制度を採用いたし、政府農産物を買い入れまして、その数量は莫大なストックになったのでございます。その始末に困っておるようなありざまであります。  そこで、その余剰農産物外国援助にやって、その国をアメリカに従属させ、一方余剰農産物をさばくことができるわけでありますから、アメリカにとりましてはまさに一石二鳥の名案でありましょうけれども、他方この援助を受ける日本の立場になってみますれば、アメリカ経済的または軍事的な条件なしで援助してくれる理由はないのでありまして、この援助条件は非常に屈辱的であり、また自主性が無視せられ、過酷な条件であるのであります。  まず第一に、自主性はなく、全くのひもつきであること。吉田前首相が外遊の際、ワシントンで余剰農産物を八千五百万ドル、このうちには小麦大麦、米、綿花葉タバコ等が含まれております。また贈与分の一千五百万ドルの中には、学童用小麦脱脂粉乳、それから綿花等が含まれ、これがすなわち総計いたしまして一億ドル、すなわち三百六十億円であるわけでございます。このうち日本に貸してくれる二百十四億円の金が、日本で思うように使うことができないのでありまして、その使途につきましては、アメリカ対外活動本部東京事務所長マイヤー公使と一々相談しなければこの借款は使うことができないのでございます。今回の使途につきましても、いろいろと紆余曲折があったことは、皆さま方すでに御承知通りでありまして、結局は借款分二百十四億の使途は、電源開発のため百八十二億五千万円、農業開発に三十億円、生産性向上に一億五千万円が決定されたようでありますが、これも決して正しい使途とは申されないのでございます。アメリカも当初は、余剰農産物輸入によって大なる影響を受けます日本農業のため支出することを主張したと聞きますが、最後案は、農業開発のためには申しわけ的の金額支出を予定されたにすぎないのであります。ひもつき資本として有利な企業方面多額支出せられておりますことは、この使途につきましては、日本自主性が全く無視せられておるのでございます。当然農業開発にさらに多額資金を投入して、一日も早く食糧自給目的を達成すべきであるにもかかわらず、その使途は全くこれに反しまして、逆な方向に支出されておることは、ひもつきであることを証明しておるものでございます。高碕経審長官は、ひもつきでないと申しておりますが、もし、ひもがついていなかったとしたならば、ひもより一そう強いワクがかけられているということを知らなければならぬのでございます。(拍手)全く自主性を欠いておるのであります。そのため、主要産業アメリカ資本の配下に置かれ、自主経済確立に大なる障害になることをおそれるものでございます。  第二は、貿易障壁を作ることであります。この余剰農産物援助を受ける国は、中ソとの貿易を制限しているところのアメリカバトル法に従わなければならないということがあります。現在日本貿易の苦塩を打開するためには、中ソ貿易振興をはかることが最も重要なことでありますけれども、これに対しまして障壁を作るようなことになりますから、日本貿易をさらに苦境に追い込み、日本経済自立可能性を奪うことになるのであります。  第三は、東南アジア貿易を不振にすることであります。余剰農産物、特に米について見るに、東南アジアには米を生産する国がたくさんあり、また安価で近ごろは良質の米が買い付けできるのでございます。日本によって米を買ってもらうことによりまして、日本輸出が伸長するのでありますが、無理に高い米をアメリカから輸入することによりまして、これら東南アジア諸国との貿易の円滑を欠き、ひいてはそれを不振ならしむる結果を招来することをおそれるものでございます。  第四は、日本海運業発達影響することであります。この余剰農産物援助を受けることになった場合は、その輸送の五割以上はアメリカの船でやれという条件がついておるのであります。これは日本海運業にとりまして最も大きな打撃であるのでありまして、それでなくとも、終戦後におきましての日本海運は、アメリカ船によって食い荒されまして、さらにその上にこういうやり方をされましたならば、ますます日本海運業発達を阻害することになるのは当然のことでございます。  第五には、日本農業への影響でございます。直接間接農家生活及び日本農業経営に及ぼす影響は実に大なるものがあります。食糧増産は、農家生活の安定と経営基盤の確立にあることは申すまでもございません。そこから生ずるところの生産意欲は、さらに技術の向上の発揚となるのでございます。生産の増強には、直接これを助長する施策を実施することの必要のあることはもちろんでございますが、間接的の助長法としては、生産増強障害を与える要因を除去することの必要なことについては、これまた申すに及ばないことでございます。一方でいかなる施策を行うも、他方においてその障害になる要因が作られ、それをそのまま放任するときは、直接のりっぱな政策も、何ら効果を上げることができざるのみか、かえって総合農業経営障害が起り、食糧自給度の減退を招く結果となるのであります。日本農業政策は、直接的助長政策は考えられて参りましたが、間接的助長政策である発展障害除去に対しての熱意が全く欠けておりまして、せっかくの施策も、そのため効果を失う場合がすこぶる過去においても多かったのでございます。今回麦類が多量に輸入せられ、その圧迫を受ける農家が、麦作に対する熱意を失い、生産が減退し、農業経営全般影響を及ぼすことをおそれるのでございます。  日本農業は、麦作にしましても、経営方式外国のそれと異なった条件に置かれておりますから、外国の麦価と同一視せられるならば、麦作経常は壊滅するでありましょう。日本独得農業を保護助長しますには、この点に注意しつつ、国内食糧増産農業振興をはからなければならぬのでございます。たださえ外国食糧過剰生産の値下りで日本食糧価格が脅かされておりますとき、余剰農産物の絵入によって農業経営の基礎までゆり動かされるということは、真に遺憾のきわみであります。現に小麦作付状況を見まするに、昭和二十五年の作付を一〇〇としますならば、昭和二十六年は九六、昭和二十七年は九四、昭和二十八は八九・八となっており、MSAによる小麦輸入影響は、統計上から見ましてもすでに現われておるのでございます。余剰農産物輸入によって、さらに大きくこの影響が及んでくることでありましょう。麦につきましては、国内産が多量にストックされており、またさらに大麦がたくさんに輸入せられるということになりますれば、多量に国内に麦のストックができるわけでありまして、これがおそらく麦価下落要因となることは必至でありましょう。さらに酪農の現状から考えますならば、その影響は最もおそれなければなりません。酪農振興のためにはいろいろな直接施策が効を奏しまして、ようやく曙光を認めたところでありますが、その発達を阻害する要因除去に無関心であったため、今や酪農は危機に瀕しているのであります。MSA余剰農産物のうち、二千万ドル分が脱脂粉乳で一万四千トン余りであります。これを原乳に換算してみますと、約五百万石となるのでありまして、国内生産されます生乳とほぼ同量になるのであります。この大量の輸入がどれだけ酪農を圧迫しているかは、はかり知れないものがあるのでございます。ひいては牛乳の価格を下落せしめ、さらにまた乳牛の価格も非常に下って参っております。これがさらに及びまして、肉用牛にまで及んでおります。農家は、昨年子牛を買うて飼育いたしまして、現金収入を目途としてこれを今年まで育て上げ、これを市場に持ってゆきましたところ、なるほど牛のからだは去年の倍になっておりましたけれども、取れました金は、去年の子牛を買ったほども取れないというような、ほんとうに笑えぬ事実がここに存在しておるのでございます。せっかく芽ばえました日本畜産も、これによって壊滅状態一歩手前にあることは、まさしく余剰農産物輸入影響であり、農業経営は有機的であります以上、農家の思わぬ部面に本協定の弊害が現われてきまして、農家生産意欲の萎靡減退することをおそれるものでございます。なおまた、学童給食用粉乳等にいたしましても、ただ経済上のみならず、児童の精神的観点からいたしましても、もらった、ものを与えるということによる卑屈感を除去する意味からも、国内酪農振興対策のそういう意味からも、国内産牛乳を与えることは、まさに一挙両得の策であるのでございます。わずか千五百万ドルのことで童心に暗影を投ずるがごときは、まことに忍びがたいところでございます。(拍手)真に自主独立を完成する意味においても、国内費用を節減いたしましてこれらの方面に充てることは、教育上からも必要なことと思うのでございます。なお余剰農産物輸入によって農村の受ける影響と犠牲とを考えるならば、本協定による借款は、農業開発農村振興のため当然支出すべきものであるにもかかわらず、わずか三十億で、しかも日本農業の全般に影響する本協定見返り資金を一部分のみに支出することは、その解釈に苦しむところでございます。開発のための土木工事や、あるいはその機材等ひもをつけるのは、これは都合のよい支出の方法であるかもしれませんけれども断然承服のできないところでございます。本協定は、日本の再軍備を条件とし、中ソ貿易に制限をつけ、しかも利子が高くてドル条項というような日本に不利な条件をつけ、しかも日本で自由に使うことのできないような余剰農産物援助は、日本自主独立経済と、食糧自給度向上と、日本農業発展を阻害することは、明らかでございます。鳩山内閣は、この援助の交渉を吉田内閣から引き継いでみたところが、アメリカの要求する条件はあまりに過酷であるので、自主外交という公約からいたしましても、おいそれとアメリカの言う通りにできなくなり、ドル条項をはずせとか、利子を安くせよとか言って、アメリカと交渉したそうでありますけれども、根本的にこの援助の性格から見まして、きぜんたる態度をもって臨んでいただきたいのであります。われわれは、日本自主独立と、自立経済と、日本農業発展のため、本協定締結反対し、討論を終るものでございます。(拍手
  7. 河井彌八

    議長河井彌八君) 小滝彬君。    〔小滝彬登壇拍手
  8. 小滝彬

    小滝彬君 私は、ただいま上程せられました農産物に関する日本国アメリカ合衆国との協定承認することに賛成いたすものであります。先ほど委員長の御報告にもありました通り、いろいろ議論もあり、批評もあることは、私も承知いたしておりまするが、しかし、この協定文及びそれに付属するところの文書の内容を詳細に検討いたしまするならば、これは決して、一部で言われるように、また先ほど三橋さんがおっしゃいましたように、ひもつきとか、ワクつきであるというような協定ではないのでございます。この委員会の審議中において重光大臣も申しておりました通り、なるほど米国側からいえば、これは米国利益というものを第一次的に考えておるのでありましょう。事実、余剰農産物を売りさばくということは米国として大きな魅力であるということは、これは否定し得ないところでありますが、しかし、同時に、日本といたしましても、委員長報告にもありました通り日本農業を圧迫しないように、また日本貿易に支障を来たさないように、しかも国際価格で、必要な限度内において、これをただ単に普通の貿易方法によるのではなくして、この協定を利用することによって輸入いたしまするならば、その効果といたしましては、きわめて低利な、そして長期の円資金を、日本にとって非常に重要な産業に活用することができるのでありまするし、かつまた最近漸減傾向にありまするところの米国の域外買い付けの急減を緩和するという効果もあり得るのであります。かつまた、先ほどの議論にもありましたけれども、この無料で提供せられる農産物の学童配給その他社会福祉的な措置に利用せられるということは、日本側においてその取扱いをあやまたなかったならば、政府がその取扱いに遺憾なきを期しましたならば、これは直接間接日本にとって少くない利益をもたらすものであるのであります。結局、この協定承認することによって、日米双方の利益をそれぞれ増進することができる。すなわち双方の利益が一致しておるところにこの協定を結んだのでありますから、(笑声)これが円満に実施せられますならば、日米友好関係の強化にも大いなる役割を演じ得るものであろうというように私どもは率直に認めるものであります。(拍手)私はもとより、この協定日本にとって百パーセント完全満足なものであるというようなことで、詭弁を弄する考えは毛頭ございません。どんな裕福な国にいたしましても、強い国にいたしましても、自分の国の利益というものを全然無視して、相手方の利益だけを考えて協定を作るような国はあり得ない。でありますから、いろいろ考えてみれば不満な点もなきにしもあらず、しかしながら、いやしくも一つの独立国が他の独立国と何かの協定に到達しようと考える場合には、相互に相手方の立場も考えてやらなければならない。双方ともに一応満足し得るような点において初めて協定というものが成立するということは、賢明なる同僚諸君は十分御承知のことであります。(「限度があるよ」と呼ぶ者あり、拍手)もしかりに、一方において他方に強制するようなやり方をするということになれば、それは、かりにでき上っても、絶対に長続きはしない。両国の関係というものはだんだん悪化して、あるいは戦争の原因を作るかもしれない。日本としては、今の日本の地位において、日本の思うことを全部アメリカへ承服せしめるという実力はないし、またそういうことを日本政府は考えておるはずはないのであります。また同時に、アメリカといたしましても、かりに四面楚歌のような協定日本へ強制するというようなことがありとすれば、それはアメリカが非常に心醸しておるこの反米感情というものを日本に醸成せしめるもとを作るものでありまして、それはすなわち、最終的に、日本日本海のかなたにあるところのソ連や中共の方に追いやることになりますから、そういうばかなことは絶対にしようはずはありません。そういう意図は絶対にないのでありまして、相互の話し合いによってできたものであるということは、これは党派は違いますが、私どもは認めざるを得ないところであります。ところが最近不思議なことには、ソ連や中共との話し合いには、あまり、まあ小さなことには、こだわらないで、共同声明を出したらいいだろうとか、終戦宣言をやったらいいだろうというようなことが言われている。すなわち相手が共産圏の諸国であるならば、万事話し合いも、いいかげんなところでまとめたらよろしいというような議論が相当活発に行われておるのであります。ところが他方、いやしくも、事、米国に関しましては、政府日本側の言い分を百パーセントに米国をして承服せしめない限り、いや、これはひもつきであるとか、あるいはワクをはめたものであるというような議論が横行しておる。(拍手)これはまことに不可思議千万な最近の情景であると言わざるを得ないのであります。(「ひもつきだよ」「そうなっているじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)一体……一体、日本としてはです、よく聞いて下さい。日本としては、今政府から提出せられた案件を承認するかしないかという場になって、日本の憲法七十三条をごらんになりましても、国際約束というものは、政府が議会の承認を得て初めて確定するのであります。でありまするから、この陰にはあれがありゃしないか、どうもあるかもしれないというのではなくして、われわれが承認するところのこの協定文と、そうしてそれに付属するところの文書だけが国際的な約束でありまするからして、私どもはこの協定内容をよく検討して、それが協定として差しつかえないものであるならば、何も米国に気がねして、必要のないことを実行することはない。その点は政府に十二分に警告いたしまして、この協定承認するということが私どもの正しい立場であるというように、私どもは確信いたしておるのであります。でありまするから、私はこの条約そのものは差しつかえないが、しかしこれから先皆様が心配せられるような結果になるかならないかということは、一に政府側がいかにこれをうまく実施するかしないかということにかかっておるという次第でありまするから、私はこの協定賛成いたします。がしかし、審議の過程において、政府側において、たとえば見返り円資金の活用方法に関しまして、農林大臣と大蔵大臣との間には……委員長報告を反駁するようで失礼でありますが、やや不統一意見が述べられたどころか、意見の相違に、非常に大きなものがあるという実情を暴露いたしたのでありまして、相も変らず鳩山内閣の閣内の不統一の実相をわれわれに見せつけた次第であります。  かつまた、本協定を実際運用する段階に至ってから、具体的にいかなる措置をとるべきかというような点につきましては、政府部内の予備的な検討が不十分であるということ、またこれが運用に関して政府として確たる信念が欠除しているというような点を、われわれは見せつけられたのであります。すなわちこの協定実施に関する現内閣の気がまえなり、本協定を百パーセント効果的に活用するための措置ぶりなりにつきましては、なるほど心もとない不安の念もなきあたわざるものがあるのであります。でありまするからして、私はこの協定には賛成いたしまするが、しかし本協定がいよいよ正式な国際約束となって実施せられまする暁においては、どうか政府としてはこの協定国内の一部の人々によって反米宣伝の具に供せられるような余地を残さないように、十二分の心がまえと、準備と、周到なる配慮とをもって、これが実施運用に当られまするように強く政府側に要望いたしまして私の賛成討論を終る次第であります。(拍手)     —————————————
  9. 河井彌八

    議長河井彌八君) 東隆君。    〔東隆君登壇拍手
  10. 東隆

    ○東隆君 私は日本社会党第二控室を代表して上程されている案件に対して最初に反対の意思を表明いたします。(拍手)  私は先日当議場でいたしました質問で、この協定はヒステリー的症状を呈していると申しました。委員会その他の審議を通して、私はいよいよヒステリーの症状は重態であるとの感を深くいたしたのであります。アメリカ余剰農産物を、アメリカができ得る限り有利に処理しようとするのは当然のことであります。このアメリカの意図がいかに扮装をこらして現われてくるかを見破る眼力が政府になければならないはずであります。民主党内閣が、向米一辺倒の自由党の外交によるアメリカ余剰農産物の受け入れという遺産を相続いたしました。時あたかも日ソの国交調整の問題が台頭し、そのことはいたくアメリカの反共的神経を高ぶらせたようであります。そのためか、余剰農産物受け入れに関連をしての買付計画は、当初の案と協定の案では相当の開きがあります。その品目だけについても、当初案の方が日本農業に思いをはせたところがしのばれるのであります。協定案に至っては、少しも日本農業を考慮したものとは思われないのであります。現物贈与受け入れについて、小麦脱脂粉乳綿花等の受け入れば、千五百万ドルの範囲になっておりますが、その中身について、品目、品質、数量等についてのわが方の発言権はないようであります。私は先日、ただほどおそろしいものはないと申しましたが、今回は、ただほど高いものはないと申します。それは今回千五百万ドル贈与を受けることによって、八千五百万ドルは完全にひもつきになっているからであります。すなわち七〇%の日本側借款分は、当初の日本の要求である貿易振興と一農業開発という項目は、協定の過程において、貿易振興は電源の開発にすりかえられてしまいました。以上が政府の第一連のくさぐさの罪であります。  政府はこの借款による資金が低金利であることを主張いたされております。すなわち「三年間据え置きでドルを払いますと三分の利息であります。四十年年賦に割り当てると二分五厘六毛にしかついておりません。それにギフトの千五百万ドルを入れますと一分五厘にしかつきません。」このように、このところ政府は、アメリカさんにかわって低金利の宣伝をされておるのであります。しかし政府の言うように低金利でありましょうか、ここに問題が私はあると思うのであります。農地の開発、電源の開発等には、当然計画があり、設計が必要になります。設備が伴います。設計料金については、政府は言を左右にされておりましたが、七、八分は下らないでしょう。これはちようど高利貸しが金を貸すに当って、金利を天引きするようなものであります。さらに農地の開発にしても、電源の開発にしても、機械の導入を考えなければなりません。機械は単独で歩いて来るものではありません。技術顧問という名目で高給をはむ者が現われることは必定であります。これは多年占領下にあって経験した日本人の悲しい常識から認めるところであります。これらは借款とは関係がないと政府は強弁されるかもしれません。しかし余剰農産物によるアメリカの投資は、低金利という仮面にかくれて現われて参りますが、実質的には単なる資金の貸付ではなく、日本を舞台とするアメリカ農民のためにする立派な利回りになるエンタープライズであると目すべきであります。(拍手)以上が政府の第二連のくさぐさの罪であります。  次は、米側使用の八千五百万ドルの三〇%、邦貨に換算して九十一億八千万円の金は、もちろんアメリカの自由に使用するものであり、アメリカ国内では経済援助といい、国外では軍事援助になる中身のものであります。これに対して日本から、ひもをつけたり、ワクにはめる余地はもちろんないはずであります。しかしここにわれわれの注目すべきものがございます。それは米国農産物市場開拓費として七億二千万円が計上されていることであります。アメリカ余剰農産物のはけ口をわが国に求めている際、その市場の開拓のために、米国の自由に使用し得る分からまかなうことは当然のことであります。その市場の開拓に狂奔するアメリカから借款し、これを資金として、わが国食糧増産アメリカに相談する立場にあるのが政府であります。農地の開発政府の悲願であるとしても、アメリカの意図とは逆行していると言わねばなりません。農地開発に三十億、これ以上増加することはこんりんざいできぬゆえんのものは、協定交渉の過程において、日本政府ひもにあらず、鉄のワクをはめられたがゆえであると断ぜざるを得ません。以上がひもつきでなく、政府が独自にやり得ると称する中身であります。アメリカの意図は、その市場開拓費で仮面をはがされておるのであります。これらが政府の第三連のくさぐさの罪であります。  先日、私は総理大臣に、民主党内閣は食糧の需給態勢の確立には熱心であるが、食糧の自給態勢の確立には不熱心であると述べ、需給と自給の両態勢のうちいずれをとるのか、明答を期待いたしたのであります。その答えは、速記録を持ち出すまでもなく、私の満足すべきところではございません。しかし、総理が言われるように、食糧の自給度向上を立案して実施する意思にして、もし一片の真心があるならば、今回のごとき協定は、その内容は大きく変化をしていたはずであります。  政府が言うように、粉食によって食生活を改善するならば、パンにならない軟質小麦を大量にアメリカから恩を着せられて輸入する理由はないはずであります。軟質小麦は、日本の製粉業者がお手上げをしておるしろものであります。この軟質小麦輸入は、国内生産小麦価格を下げ、日本農民麦作の意欲を完全に失墜させるものであります。国民が要望しているのは、パンになる硬質小麦、グルーテンの多い小麦なのであります。アメリカに硬質小麦がないならば、カナダから輸入すべきであります。カナダは硬質小麦の本場であります。受け入れする小麦は、パンにならぬ軟質小麦で、内地産の小麦と競合するものであります。農産物市場開拓費でパン食の宣伝は、つじつまが合いません。ウドン食の宣伝は、日本の方が師匠格であります。政府はスパゲッテソデーでも宣伝してもらちのだろうと同僚とともに歎いた次第であります。この小麦の一事をもってしても、日本農業影響なしと農林大臣はしらじらしくも答えたものと、今さらその強心臓の働き方の方向を誤ったことを遺憾に思うものであります。(拍手)これで日本食糧の自給度を計画的に進めると言われる首相の言葉は、根も葉もない通り一片のお答えになりました。これで農相はパン食の奨励という言葉を粉食奨励に取りかえました。これで学童給食のコッペパンは、いよいよだんご的となり、日本式パンが生まれるわけであります。日本式。ハンがいよいよ栄えて、学童のアメリカに対する卑屈感は、これに正比例していや増すでありましょう。以上が政府の第四連のくさぐさの罪であります。  そも、この罪作りの余剰農産物とはいかなるものでありましょうか。小麦を海に投げ込んだり、石炭がわりに燃やしたりして、麦の価格を維持したのは、昔の物語りでありましょうか。今回の協定日本に入ってくる農産物は、アメリカ余剰農産物であります。アメリカ農産物生産過剰による経済恐慌、農業恐慌を大わらわになって防ごうとしておるのであります。農産物に関する限り、世界の市場は、大きく変化しています。売手市場は完全に買手市場に変りました。戦後の世界的に食糧の不足していた時代には、条件先方からつけられ、黄変米も、腐った大豆の粉も、トウモロコシの粉も、ありがたくちょうだいをしたのであります。しかし、今日は、そうではなく、食糧購入については日本様々の時代になっているのであります。条件をつけるべきは日本なのであります。アメリカ余剰農産物日本という海に投げ込むのがこの協定であります。日本の海は汚濁を免れません。日本というボイラーの燃料に余剰農産物を石炭がわりに用いようとしているのが本協定であります。(拍手日本の国民が、日本農民が、本物の石炭を望むのは当然であります。これが政府の第五連のくさぐさの罪であります。  委員会の審議の過程において、日本農業に大きな影響を与える協定であるから、罪滅ぼしに農地の開発にもっと多くの円資金を出すべきであるとの外務委員長の御意見もありましたが、政府答弁は、この罪障滅却の唯一のこともできないのであります。本協定の審議を通して明らかにされたことは、日本政府の自主的にやり得るという面は一つも決定されていぬということであります。そうして決定しているものは、すベて先方によって鉄のワクをはめられているということであります。  本日午後、われわれ農林水産委員会所属の者は、神奈川にサイロを視察に参ります。そこに運ばれて参ります小麦は、本協定によって余剰農産物の第一船であるという風評を開いておるのであります。もしそれが真実であるとするならば、政府は国会の承認なくして農産物の受け入れをなすの違法をあえてしたことになります。事実とするならば、奇怪しごくと言わなければなりません。この罪はなお未確定であります。  以上が本協定を中心にしての政府の罪状の数々であります。まことに罪障は深く重くして、これを滅却すべき方途を持ちません。まさに政府はこの協定締結によって、地獄に落ちようとしておるのであります。(拍手)この関頭に立って政府を得度する道は、ただ一つであります。念仏称名ではございません。この協定の不承認に各位が決意するよりほかに道はございません。  以上をもって反対討論を終ります。(拍手)     —————————————
  11. 河井彌八

    議長河井彌八君) 梶原茂嘉君。    〔梶原茂嘉君登壇拍手
  12. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 私はただいま上程せられておりまする農産物に関する日米間の協定締結承認について、緑風会を代表いたしまして、これに賛成討論をいたさんとするものであります。  御承知のように、わが国食糧事情は、最近かなり改善せられて参ったのでありまするが、食糧増産への非常なる努力にもかかわらず、いまだ米につきましては消費規正を建前とする全面的管理が行われておるのであります。しかも、多額食糧を海外より輸入することによって需給のバランスがようやく保たれている状況にあるのであります。昭和三十年度におきましても、米について百三十万トン、麦、小麦大麦を合せまして二百九十万トンの巨額を輸入せざるを得ないのであります。この数字は昨二十九年度に比して相当増加をいたしておるのであります。かかる状況のもとにおいて、この輸入食糧の巨額な代金が、外貨にかえて円をもって決済され得るといたしますれば、わが国経済のために大なる利益であることは、これは明白であります。さらにまた、その支払うべき代価がわが国にとって適切な施策のために有利に活用し得るといたしますれば、これまたきわめて好ましいことと言わなければならぬと思います。一方アメリカにおきまする余剰農産物の滞貨が、アメリカにとってきわめて重要な問題でありますことは御承知通りであります。それだけに、量の多少にかかわらず本協定によってこの余剰農産物の一部が処理されるということは、アメリカにとって利益であろうことは、これは想像にかたくないのであります。農産物に関しまする今回の日本国アメリカ合衆国との間の協定は、私は純然たる経済的性質の協定であろうと思うのであります。従ってわれわれはその観点からこれを見ることを必要とするのであります。本協定によって日米両国がそれぞれの立場においてともに経済的の利益をもたらすことができるのである。両国が経済的協力の実をこれによっておさめんとするということは、わが国の立場からいいましても適切なことであり、妥当なことであろうと私は思うのであります。  しかしながら以上のことは、決してこの協定わが国にとって単純に、かつ簡明に、利益だけであるということを意味するものでは決してないのであります。むしろこの協定には委員長報告にありました通りに、相当複雑な利害を伴うものでありまして、処理いかんによりましては、重要な影響わが国経済に及ぼすおそれは多分にあるのであります。すなわち、国内におきましては、農民の正しい理解を得る措置を誤まりますならば、本協定わが国農業に好ましくない影響を与えるおそれがありますことは、これはいなみ得ないのであります。酪農製品の無償贈与、これが困難な状況のもとにありまするわが国の酪農業に及ぼしまする悪い影響につきましては、何人もこれを否定することはできないであろうと私は思うのであります。さらに、対外関係においてこれを見ますれば、わが国の正常な輸入に支障を与え、ひいては輸出の増進に悪い影響を与えるおそれは、これはないとは言い得ないのであります。これらの影響のあるなしということを軽視するということは、これは私許され得ないことと信ずるのであります。かかる問題を本協定はその内容に包蔵しているのではありまするが、これらのことは現在の程度におきましては、政府施策よろしきを得まするならば、おおむねこれを防ぎ得るであろうと私は考えるものであります。半面、本協定の持っておりまする重要なる意義の一つは、見返り円資金の利用がわが国経済自立の上において根本的な要請でありまする資源の開発、特に農地開発に寄与することを私は重要視するものであります。  私は以上の観点から、本年度の農産物輸入に関連いたしまする措置としての本協定締結承認に賛意を表するものであります。この際、しかしながら私は、政府に対して以下数点にわたりまして、その慎重な考慮を要請することを必要と感ずるものであります。  第一は、見返り資金の円の用途の問題であります。わが国において使用いたしまする借款分二百十四億円のうち、農地開発に振り向けられますものは先ほど論議のありましたように三十億円であります。これは輸入総額八千五百万ドルに対しましては一割にすぎない額であります。そもそも今回の協定農産物輸入関係する性格からいたしましても、農家の心理的影響を考慮いたしましても、さらに食糧自給度向上のための農地開発の緊急性と、それに対する現在の政府施策の現状からいたしましても、見返り円資金農業資源開発に当然重点が置かれなければならないということは、これは私、理の当然ではなかろうかと思うのであります。それにもかかわらず、かくのごとくはなはだしくこの点が軽視せられておりますることは、まことに遺憾にたえないところであります。この借款わが国におきまする用途の配分につきましては、これは当然わが方の自主的にきめ得る事柄であります。政府はこの点について慎重な考慮を私は要請したいのであります。  第二の点は、千五百万ドル現物贈与の問題であります。児童福祉計画を拡充いたしまして、学童に廉価に、また無償で衣料を与え、わが国の食生活改善の道場とも申すべき学童給食として脱脂粉乳を廉価に、またただで供給するということは、それ自体格別の異存のないところであります。しかしながら、これを外国贈与に依存するということになりますると、事はおのずから別であります。災害等異変でありますとか、そういう特別の場合における救済の方策としては考え得るところでありましょうけれども、通常の状態において、かくも安易に外国贈与に依存するということで、果して独立自衛の気概のありまする個性を育てて行く、あるいは将来国家の独立の責任を分担すべき学童の教育をそういうことで全うし得るやいなや、私は憂慮にたえないのであります。かかる贈与のごときはむしろ特別の救済事業として社会政策方面に振り向けることが適当ではなかろうかと思うのであります。いずれにいたしましても、わが国の繊維産業の現状と繊維産業の力から見まして、あるいはわが国の酪農業に対する政府の格段な施策等と相待って、日本自体においてこういう点についての施策が十分進展されなければならぬことと思うのであります。それは必ずしも不可能なこととは思わないのであります。こういう方法によって、私は決して健全なる児童福祉計画というものが拡充されようとは思えないのであります。特に私は、松村文部大臣の慎重な考慮を要請したいと思うのであります。  次は、アメリカ政府によって使用されまする予定になっておりまする八千五百万ドルの三割分すなわち約九十億円の使途に関する問題であります。これらの使途の中には、アメリカ農産物の新たなる市場を両国の利益になるように発展させる施策に振り向けることが予定されておるのであります。その中には、先ほども御論議がありましたように、わが国の食生活改善のためにする施策アメリカ事業として行われ得ることが、政府の説明にあるのであります。食生活改善が提唱されましてから相当長い年月を経ておるものであります。しかも、いまだ十分なる施策が行われておらない。こういう状況のもとに、アメリカによってわが国でこういうことが行われるということは、それ自体けっこうでありましょう。私はあえて独善的に狭量な態度でこれを拒否する気持はないのでありまするが、こういうことは同時に、わが政府自体が真剣な施策をあわせて行うことが肝要と思うのであります。そういうことがなければ、とうていこういう施策からいい結果が期待されるとは考え得ないのであります。むしろ好ましくない結果が生まれるんではなかろうかと憂慮するものであります。これらのアメリカによりまする日本国内のこの見返り円使用につきましては、日本経済に与える影響について妥当な考慮を払うということが協定上約束されておるのであります。政府の慎重な私は考慮と善処を期待したいのであります。  最後に、私は米の輸入に関しまして政府の考慮を要請したいと思うのであります。米の輸入は、もちろん、国民の食生活の面から見まして、価格低廉にして品質良好のものを輸入するということ、それに重点を置くべきであるということは、これは言うまでもないところであります。しかしながら、最近におきましては、このわが国の米の輸入というものは、輸入の持ちまする役割はもはやそういう範囲を越えまして、広くなりつつあります。特にわが国東南アジア諸国との関係において、相互の連係を強化して物資交流の動脈をなしていくというものは、私は米であると思うのであります。このことは東南アジアだけにはとどまらないのでありまして、韓国との関係においても同様であります。さらに、中共との関係におきましても私は同様と言い得ると思うのであります。しかも、この地域におきまする食糧の情勢というものは、近年急速に変化を示しつつあるのであります。これらの状況から見まして、わが国の米の輸入につきましては、その持っておりまする特別の性格にかんがみて、十分なる考慮が払われなければならないのであります。本協定余剰農産物の取扱いに関して正常な、通常の取引に支障を与えないよう、自由諸国間の貿易に阻害を与えないということが根本的原則の一つとなっているのであります。私は、政府が本協定の実施上、いやしくも米についてその正常な取扱いに支障を及ぼさないよう、十分なる考慮を払われまするよう要請をする次第であります。  以上の要請を付しまして、私は本協定承認に対し賛意を表するものであります。     —————————————
  13. 河井彌八

    議長河井彌八君) 須藤五郎君。    〔須藤五郎君登壇
  14. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ただいま上程されている農産物に関する日米間の協定に対して、私は全面的に反対し、その趣旨を述べるものであります。  政府は、本協定を提案するに当り、アメリカ余剰農産物購入することは、わが国食糧等の需給計画上、児童の福祉上、及び購入の結果生ずる資金の利用上、わが国にとって少からざる利益をもたらすものであることを説明されております。さらに、この協定は純粋なる経済協定であって、政治的、軍事的な問題とは全く無関係であると申しております。私はその見解が全くのごまかしであり、わが国民と国土をアメリカの従属下により固く縛りつけ、アジア諸国との友好関係を破壊する隷属的な協定であることを主張するものであります。  そもそも、昨年春アメリカMSA協定を結んで以来、アメリカヘの隷属いかに過酷であり、いかに卑劣な態度であるかを、国民は身をもって体験したのであります。わが国の一部産業は、一時的ないわゆる特需による好況によって、アメリカの恩恵を得たかのごとく見えましたが、現状はどのように変化しているでありましょうか。平和的な民需産業は相次いで崩壊し、倒産に次ぐ倒産の状態でありますが、さらに軍需産業自身すらも、膨大なる施設をかかえて向うべき方途さえつかないありさまであります。失業者は一千万をこえ、今もってますます激増している状態であります。農村の荒廃は、低米価と重税と政府の無策の結果起った災害によりまして、暗たんたる状態に立ち至っております。貿易は減少し、国内の購買力は衰え、全産業部門にわたるストックの増大はまさに恐慌の様相を示しております。  ここにおきまして、政府は本協定を昨年のMSA協定とは無関係であるかのごとくに装い、これによってわが国経済に少からざる寄与をするものと強調して参りましたが、その意図するところは、むしろこのようなわが国状態を逆に利用して、アメリカヘの従属を深め、わが国国内体制を軍事的なものに切りかえる「てこ」としているのであります。さらに、それのみにとどまらず、アメリカにおいてすでに開始されている農業恐慌わが国輸入し、産業の崩壊に拍車をかけんとしているのであります。  本協定の示すところによれば、アメリカは本国において七十数億ドルにも達する余剰農産物の一部をわが国に押しつけ、二百十数億円の現金借款とし、その使用についても厳格なる指示を与えているのであります。すなわち電源開発農業開発及び生産性本部への投資であります。あらためて説明するまでもなく、電源開発は、日本国土を数ブロックに分けて動力と軍事産業とを結合した軍事力の拠点を設定し、アメリカの作戦計画への編入をはからんとするものであります。しかもその建設計画過程におきましては、広大なる土地の取り上げと非人道的なる軍夫奴隷の状態を引き起しております。平和的な美名を掲げた農地開発への投資においてさえ、さきにFOA調査団と世銀調査団は、共同勧告によって、愛知用水計画を戦争による海上輸送の遮断に備えた食糧自給のために必要計画であるとし、これを援助する意向を示したと伝えられておるのを見ましても、その意図は明らかであります。出産性向上運動に至りましては、アメリカ式な労働合理化方式による労務体制の戦時編成でありまして、徹底的な労働者の搾取を内容とするものであります。こまかく説明するまでもなく、アメリカ大使館の発議により経団連、日経連、同友会、日商の四つの資本家団体が共同でこの問題を推進することに一致したのに反し、総評議会を初め各労働団体が反対していることによってもその実体は明らかであります。これらに投資される借款は、常にアメリカに対して詳細にわたる報告、すなわち個々の計画、それに割り当てた資金借款勘定の状態及びその他の提供することのできるすべての関係資料等の提出を義務づけられているのであります。  そもそもこの借款は、アメリカから積み出される余剰農産物日本に着こうが着くまいが、六月三十日から日本政府の義務として始まり、その農産物が売れようが売れまいが、日本政府日本銀行のアメリカ勘定に払い込まなければならないという仕組みになっているのであります。入ってきた農産物日本の国民に売りつけ、代金を回収するのはすべて日本政府の責任であり、その代金の保管はアメリカの勘定に払い込まねばならぬということなのであります。換言すれば、日本政府アメリカ政府の出先商社となり、日本国民を相手としたアメリカ余剰農産物の売りさばき機関となるということであります。このようなやり方を文字通り買弁というのではないでしょうか。事実、取りきめの内容には、はっきりと、約二億二千万円の金が、アメリカ余剰農産物の新たな坂路を拡張するために日本の公務員を使うことが規定されているではありませんか。  さらに日本の今後の発展に大きな障害となる問題は、中ソ両国を初めとした平和諸国との貿易関係制限することを条件としていることであります。時あたかも第三次日中貿易協定締結され、日ソの国交回復交渉が開始されているときに当り、かくのごとき協定を結んだ政府の態度は、国民を欺き、本心は日ソ、日中国交を妨害するものを考えざるを得ません。政府は、今後の方針を東南ア諸国との友好と貿易関係の隆盛にありとしながら、この協定の規定するところに従えば、それと矛盾する結果を生むことは明らかであります。すなわち、アメリカよりの余剰農産物の受け入れば、東南アジア諸国よりの米麦輸入制限し、それら諸国の経済的困難を加える結果は、独立を阻害し、日本よりの輸入の切り下げとなることも理の当然であります。かくては日本は中ソ両国とも離れ、東南アジア諸国とも離れ、文字通りアメリカにのみ仕える太平洋の孤島となるでありましょう。しかもそれはアメリカの航空母艦としての役割を果す任務を課せられたものであります。すでに余剰農産物売上代金のうち、九十二億円はアメリカ資金として日本の軍事産業を起し、日本におけるアメリカの債務を支払らために充てられているのであります。ききに述べたアメリカの特需にかわって日本を引きつけようとしているえさは、ここにあるのであります。政府は口を開けば、長期かつ低利で安定性のある借款であると称しておりますが、その骨の髄までしみ込んだ買弁性には驚かざるを得ません。長期とは、かくのごときアメリカの鎖に長くつなぎとめられることでありまして、むしろ国民の反対しなければならないところであります。低利というが、ソ同盟とインドとの製鉄所借款よりははるかに高利であり、もとは残りものの、もてあまされた農産物ではありませんか。しかもその結果は、ソ印製鉄所借款のごとく建設ではなく、日本を破滅せしめんがためのものであり、日本農業は、これによってアメリカ農業恐慌に直結されんとしているのであります。  われわれはかかる協定に対しまして、絶対に反対の意思を表明せざるを得ないのであります。     —————————————
  15. 河井彌八

    議長河井彌八君) 苫米地義三君。    〔苫米地義三君登壇拍手
  16. 苫米地義三

    ○苫米地義三君 私は農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件に関し、日本民主党を代表いたしまして、賛意を表するものでございます。  すなわち、本件協定は、わが国食糧需給上ぜひとも必要とする農産物絵入のうち、一部分を円をもって購入することでありまして、そうでなければ、わが国は貴重な外貨を支払って輸入しなければならない立場にございます。わが国食糧輸入及び貿易収支の見地から、これはきわめて望ましいことであると存ずるからでございます。この協定によって輸入される農産物は、いずれもわが国にとって欠くべからざるものであり、かつその輸入値段は、世界市場における競争価格をもって自由な取引によって行われますので、その取引上の不利が生ずる心配も全くないものと思うのでございます。  次に、この協定わが国にもたらす利益は、農産物購入によって生ずる積立金の七割が、わが国に対する長期かつ低利の借款として供与される点でございます。わが国経済は戦後順調な回復を示しつつありますが、一方において優秀な技術と豊富な労力資源があるにもかかわらず、資金の調達が思わしくないために、なお満足すべき発展を見るに至らないことは周知の通りでございます。本協定による借款は、このような状態にありますわが国経済に少からざる好影響を及ぼすものと期待されるからでございます。二百十四億円に上る借款資金は、電源開発農業開発及び生産性向上の諸目的使用されることになっておりますが、これによってわが国経済開発は一段と推進される望みがあることは、御存じの通りでございます。特にこの借款をもって愛知用水工事並びに北海道、東北地帯の機械開墾を遂行して、もってわが国食糧増産を助成促進せんとする点において最も意義あるものであると思うのでございます。  また、この協定によってわが国東南アジア地域との貿易関係が受ける影響につきまして懸念をされる点もございますが、この協定の実施が、これら諸国との既定貿易関係を阻害しないということは、委員会の審議過程におきまして、政府側より強く明らかにされた点でございます。今後において、これら諸国との貿易関係を一層拡大し、わが国友好関係を増進させることに努力しなければならないことは当然であります。さらにこの協定によりまして贈与を受ける農産品、特に脱脂粉乳につきましては、その取扱いいかんによりましては、国内関係業者に不利な影響を及ぼし、ひいてこの協定に対する国民の一般の不評を招くおそれもありますので、贈与農産物国内における取扱いに関しましては、政府は特に厳正かつ周到な措置を講じまして、児童福祉計画の拡充の目的が十分に達成されることを強く要望する次第でございます。  以上のような観点から、私は本協定承認されることに賛意を表する次第でございます。(拍手
  17. 河井彌八

    議長河井彌八君) これにて討論の通告者の発言は、全部終了いたしました。討論は、終局したものと認めます。  これより本件の採決をいたします。本件を問題に供します。委員長報告通り本件承認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  18. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よって本件は、承認することに決しました。      —————・—————
  19. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第二、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず委員長報告を求めます。商工委員長吉野信次君。    〔吉野信次君登壇拍手
  20. 吉野信次

    ○吉野信次君 中小企業信用保険法は、御承知通り昭和二十五年十二月に成立いたしましてから、今日まで三回改正いたしております。ただいま議題となっておりまするのは、その第四回の改正法律案でございます。  改正は五点からなっておりまして、第一点は、この保険の受益者の範囲を広めまして、酒類業組合などを加えたこと、それから第二点は、金融機関が保険に付し得る貸付金が、現行は六カ月以上という長期の貸付に限っておりましたのを、三カ月以上の貸付に短縮して、その範囲を拡大した、こういうことであります。第三点は、新たに会社更生法による更生手続開始の決定または商法による会社の整理開始の命令、もしくは特別清算開始の命令があったときには、これらをも保険事故の発生と見る、こういうのであります。第四点は、中小企業金融公庫または国民金融公庫からの借り入れの債務に対しまして、信用保証協会が保証を与えました場合に、この保証債務を保険に付することができるようにいたしまして、また信用保証協会が行ういわゆる根保証をも保険の対象にできるようにした、こういうのであります。第五点は、保証保険につきまして、保険の填補率を現行の六〇%から七〇%まで引き上げまして、信用保証協会の保証機能を高めるようにした、こういうのであります。  これらの改正点につきまして、信用保険特別会計はどうなっておるか、保険料率をもう少し引き下げる余地がないかどうか、それから法文の解釈上の疑義などにつきまして質疑応答があったのでございますが、それらの詳細は速記録に譲りたいと存じます。  かくして質疑を終りまして、討論に入りましたところ、高幡委員から、「本改正案そのものは適切なものであって全面的に賛成であるけれども、この改正案で会社更生法の更生手続開始などを保険事故とすることになりますというと、弁済期以前にも保険金の支払いを見るような場合が起って、現行の規定では第六条及び第八条の回収した額に若干の疑義を生じますので、第八条の改正をいたすために、本法案に事柄を明瞭にするために修正を加えたい、」こういう申し出でがありまして、次の修正案が提出されました。  すなわちその修正案は、   第四条の改正規定の次に次の改正規定を加える。   第八条中「回収した額から弁済期以後保険金の支払を受けた日の前日までの利息を控除した残額」を「回収した額と保険金の支払を受けた日の翌日以後の利息の受領した額との合計額」に改める。というのであります。  次いで採決に入りまして、まず高橋委員の提出にかかる修正案は、全会一致をもって可決されました。次いで修正部分を除きました他の原案も、これまた全会一致をもって可決されましたので、本法案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました次第でございます。  右、委員会の経過と結果を御報告申し上げます。(拍手
  21. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長報告は、修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  22. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって委員会修正通り議決せられました。  本日の議事日程は、これにて終了いたしました。  次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時三十九分散会      —————・————— ○本日の会議に付した案件  一、日程第一 農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件  一、日程第二 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案