○田中一君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、先月来、
新聞紙上に毎日のように報道されております
ところの
東京都庁の汚職
事件、並びにこの遠因と言われております
ところの談合行為、さらにこれに関連して先般ビルマ国との間に締結されました
ところの賠償の問題等に関連いたしまして、若干の
質問をいたします。
東京都庁汚職
事件とは、
諸君も御
承知の
通り、都健康保険組合の生浜荘建築工事の不正入札から発展いたしました、都職共済組合の湯河原荘の改修工事にからむ談合、さらに都
関係庁舎の改修に
関係する贈収賄へと発展し、先月三十一日共済組合事務所の
捜査を足場に、財務局管理部の不正
事件、建設
業者の入札妨害談合
事件、増上寺
事件にからむ公園地解除の収賄等、六日、八日の朝日
新聞紙上に詳細に報道されているのであります。
われわれはさきに安井都政の一断面として
東京産業会館問題、また高速道路問題と砧ゴルフ場の問題等々、数々の不明朗ないわゆる汚職のにおいのする諸問題を国政の上から批判して参ったのでありまするが、たとえば、さらに数日前の朝日
新聞紙上には、都庁内に都水クラブとかいう入札の不正談合機関があって、汚職の根のあることを知ったのでございます。これらの
事件は、現在
捜査中のものでありまするから、私はただいま、その内容について
報告を求めはいたしませんが、少くとも
地方自治体のその規模といい、財政の面からいいましても、首位にある
東京都庁の汚職がますます拡大されつつあるということは、遺憾にたえないことでございます。また、ことに都の職員が、単なる
業者のみの談合
事件ならず、職員と一部の特権
業者との間で通謀して、特定
業者に落札をさせようというような事例がたくさんございます。私は、この際、
総理大臣にお伺いしたいのでございますが、
総理は、かつて
東京市議会の議員の経歴もございます。また一部民としても、またこの
事件が警視庁によらずして直接
地方検察庁の手によって摘発されたものであります。先般の
地方選挙におきましても、鳩山
総理は、安井都政の善政であったことを謳歌いたしまして、相当の応援をいたしております。これらの点につきましては、少くとも
総理大臣として政治的な
責任をお感じにならかいのかどうか、まず伺いたいのでございます。
また、同時に自治庁長官に伺いたいのは、この
責任と今後の
措置についてでございます。これは他の自治団体に及ぼす
ところの影響が非常に甚大なものでございまして、自治庁長官としてはこの対策をどのように
考えておられるか。また一方、自治庁におきましては、
新聞紙上に伝える
ところによりますと、
地方議
会議員の自治体との請負契約、あるいは物件購入等のできないような
措置を
考えていると伝えられています。この点の自治庁長官の
考えはどうか、これをまずお伺いいたします。
第二が、建設大臣、大蔵大臣、今参っておりませんが、現業
関係の各大臣に伺いたいのでございます。なおこれに対しまして、通産大臣にもお伺いいたしますが、このような汚職
事件の陰には常に談合行為があるといわれております。その一点として伺いたいのは、刑法第九十六条の三に
規定されております
ところの競争入札妨害談合行為、そして条文には、「偽計若クハ威力ヲ用ヒ公の競売又ハ入札ノ公正ヲ害スヘキ行為」、「公正ナル価格ヲ害シ又ハ不正ノ利益ヲ得ル目的ヲ以テ談合シタル者」と
規定してございますが、これはどのような事実を表わしたものでございますか。また、談合とはどういうものでありましょうか。私は不幸にしてこの条文からは、談合とは何かということが発見されません。従って談合並びに不正談合というものは、どのような形のものであるかということを、事実をもってお示しを願いたいと思います。
第二点としては、公共事業の施行に当りまして、現在どのような制度のもとに契約を締結しているか、予算決算及び会計令第七十八条には、
一般競争契約といたしましては、「
一般競争の加入者の資格」、条文には、「
一般の競争に加わろうとする者に必要な資格は、大蔵大臣の定める
ところによる。」と
規定してございます。また第七十九条には、「契約の履行に際し故意に工事若しくは
製造を粗雑にし又は物件の品質数量に関し不正の行為があった者」、また、「競争に際し不当に価格をせり上げ又はせり下げる目的を以て連合をなした者」、三には、「競争加入を妨害し又は競落者が契約を結ぶこと若しくは履行することを妨害した者」等々を
規定しておりまするが、民主党所属の牧野良三君の著書である
ところの「競争入札と談合」という著書を読んでみますと、こういうような批判をしております。注文者は常に落札価格の低いことを欲求し、入札者はまた落札しようとする強い念願を持っている。その結果、いたずらに最低価格を求めようとするのは自然の勢いであり、また事実であるのであります。このように競争入札とは、工事の適正、不適正を外にして、ただ最低価格をのみ目的とするもののごとき観念に傾きつつあるのであります。または安い価格安い価格と、次第に安きに向って、最低価格を競争入札制度の精神であるかのごとき変質された、また大きな障害を生じていると言っております。
私はこの際、現業の四
関係大臣に伺いたいのは、現在どのような形で見積価格の決定をしておるか、あるいはどのような方法でこの適正価格というものをきめておるか、また入札者の落札入札者をきめる場合にはどういう資格のものを作っておるか、入れておるか。また従来の入札には常に談合が、不正談合が行われておったかどうか、どのような
見解を持っておるか。また不正談合があったと読まれた場合には、どのような方法でこれを
措置しておるか等をお伺いしたいと思います。
また、これは
地方庁のみならず、各省各庁におきましても同様の、公共事業並びに物品購入等の問題にからんでたくさんの汚職があるものと私は
考えております。ことに参議院等の
選挙におきましては、このようなものに関連いたしまして、一部の
業者と関連して立候補するというようなことも
考えられているように
新聞紙上で見ておりますが、このような傾向に対しまして、
関係大臣並びに
総理大臣はどのような御
見解を持っているか。
さらに通産大臣に伺いたいのは、談合というものは不正な場合には悪いというならば、さらに他産業における
ところの価格の協定、あるいはセメント、油、石炭、その他重要な資材におきます
ところの価格の協定というものは談合とみなすかどうか、この点は通産大臣並びに建設大臣、大蔵大臣にお伺いいたします。
第三にお伺いしたいのは、こういうものに関連いたしまして、先般締結されたビルマ賠償に対する役務賠償のことであります。建設大臣は先般の
委員会におきまして、建設省設置法の一部改正を企図し、役務賠償に対する建設
業者のビルマへの進出の窓口を拡げたいということを言っております。そうしてもはや事前に建設省の
指導によりまして、海外建設協力会なるものを結成させております。一体この団体は何を目的としてどういうふうな
指導を建設大臣は行おうとしているのでございましょうか。ビルマ国へ物件並びに役務で賠償を行おうとする場合、外務、大蔵、建設の部局は、その価格もどのような形で適正を求めようとするのでございましょうか。また、どういう形でその入札、購入をするのでございましょうか。自由に
業者の意思決定をさせるならば、どういうことになりましょうか。たとえば、単にこれはビルマ
関係の問題ばかりではございません。国際入札の際に、日本商社がお互いに話合いをいたしまして、入札価格の決定をみることは、これは不正談合とみなされるのでございましょうか。こういう点について、大蔵大臣並びに通産大臣の御
見解を伺います。また、こうした形の問題を、外務大臣並びに
関係大臣の間でもって、どのような形で方法をとろうとする意図があるか、話合いがあるかも明確に御説明願いたいと存じます。
政府は刑法第九十六条の三、予算決算及び会計令第七十八条、七十九条、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律等で、不正なる談合に対する
取締りをしております。しかしながら、戦後福岡、熊本、岡山等におきまして数々の談合不正工事の摘発を受け、公判に付されております。これはおおむね無罪となっております。これは一体何に起因することでございましょうか。少くとも入札者の決定権は
政府が持っております。また落札者の決定権も
政府が持っているものであります。これは単に談合し、落札する者の罪ばかりではないと
考えられる節がございます。すなわち法的な裏づけ、法的な
措置に欠けた
ところがあるのではなかろうかと
考えるものでございます。この際
政府は、汚職のもとをなす
ところの数々の公共事業に対する契約、その他の案件に対しまして、抜本的な施策を行うという意思がありますかどうかを伺いたいと思います。
これはたとえば、数々の入札の場合、三十件に
一つというような少い落札しか得られないのが
業者の実態でございます。従いまして入札者に対する見積費の支給とか、あるいは二十五年建設省より、中央建設業審議会の決定によりましたものを建設省は各
地方公共団体に流しております。これには現在できております
ところの最低入札制度等を用いております。従って
政府は、この
地方公共団体が現在実施しております
ところの最低入札制限制度を取り入れる意思があるかどうかの問題でございます。御
承知のように、入札する者、いわゆる
業者というものは、商業的見地から
仕事をするのでございまして、これはつぶれようと一向差しつかえございません。しかしながら、つぶれた場合には、あるいはダンピングを行なっておった場合には、少くとも労働者に対する賃金不払いとか、あるいは労働強化をもって報いられます。実に工事に対する不正、手抜き工事を招来することは明らかでございます。従いまして、今申し上げました点につきまして、
関係大臣は今後どのような形でこれを規制し、そうして汚職の根源をなす
ところの談合行為を合理的に、また多数の労働者の生活権を守りつつどのような
措置をとるかをお伺いして、私の
質問を閉じることにいたします。(
拍手)
〔
国務大臣鳩山一郎君
登壇〕