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1955-06-10 第22回国会 参議院 本会議 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月十日(金曜日)    午前十時二十七分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二十二号   昭和三十年六月十日    午前十時開議  第一 農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件(趣旨説明)  第二 博物館法の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 河井彌八

    議長河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 河井彌八

    議長河井彌八君) これより本日の会議を開きます。  この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。  議席第二百十番、地方選出議員埼玉選出遠藤柳作君。    〔遠藤柳作君起立、拍手〕      ——————————
  4. 河井彌八

    議長河井彌八君) 議長は、本院規則第三十条により、遠藤柳作君を建設委員に指名いたします。      ─────・─────
  5. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第一、農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件(趣旨説明)  本案について、国会法第五十六条の二の規定により、内閣からその趣旨説明を求めます。重光外務大臣。    〔国務大臣重光葵登壇拍手
  6. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 去る五月三十一日、私と米国大使との間に署名を了しました農産物購入に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について御承認を求めるの件に関し、提案理由を御説明申し上げます。  昨年七月以来、米国において成立いたしました農産物貿易促進及び援助に関する法律によりまして、従来のMSA協定に基く農産物買付とは別個に、米国農産物を円によって購入すること及びその贈与を受けることができる道が開かれましたので、当時、前内閣はこれを利用する方針のもとに、昨年秋以来、ワシントン交渉を始めたのでございますが、現内閣になりましてからも、慎重な検討を加えた上、この交渉を継続することに決定しまて、米国政府との間に鋭意折衝を重ねて参りました。その結果、本年五月両国政府の間で意見一致を見るに至りましたのでございます。  この間の交渉経緯につきましては、今国会における論議に際しましても、そのつど、でき得る限り詳細に御説明をいたしてきたのでございますが、さらにその内容をかいつまんで出し上げれば、購入または贈与を受ける農産物品目及び金額、及び右購入による積立代金のうちの三割を米国側信用分とし、七割をわが国に対する借款とすることにつきまして了解が成立をいたしました。  右借款使用につきましては、使用計画大綱についての了解の範囲内において、わが国が自由にこれを使用し得ることに相なっております。また金利年限とにつきましては、ドル払いの場合は年三分、円払いの場合には四分、その期間は四十年とすることに意見一致を見たのでございます。さらに、いわゆるドルクローズの問題につきましては、わが国通貨及び経済事情に及ぼす影響にかんがみて、これを避けることにいたしまして借款ドル建といたしますけれども、その返済事情に応じてドルまたは円によることについて、わが方は完全な選択権を有することにきめまして、解決することにいたしました。  この協定によりまして、わが国の必要とする小麦、大麦、米、綿花及び葉タバコを八千五百万ドルまで円をもって購入することができるのほか、現物贈与として一千五百万ドルまでのこれらの品物の贈与を受けて児童福祉計画を一段と拡大することができ、さらに前述の購入によりまして積み立てられる円資金のうち、ドルに交換された七割、すなわち約六千万ドルわが国経済開発、すなわち電源開発農業開発及び生産性向上のための借款として受けることができることに相なっておるのであります。この協定の実施の暁におきましては、これによって院わが方の受ける利益は、各方面にわたって少くないものがあると期待されるのでございます。  つきましては、本協定につき、慎重御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望する次第でございます。(拍手
  7. 河井彌八

    議長河井彌八君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。佐藤清一郎君。    〔佐藤清一郎登壇拍手
  8. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私は、ただいま提案せられました農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定につきまして、自由党を代表して質問をいたします。  そもそもこの協定は、昨年秋吉田内閣総理大臣渡米の際、アメリカ政府折衝の結果、その基本的構想が決定せられ、昨年十一月十三日の日米共同覚書中にその大綱を発表したものであります。その後鳩山内閣が成立いたしまして、この協定懸案事項として、吉田内閣より鳩山内閣に引き継がれたのでありまして、提案せられました協定文を見ますると、吉田前首相と米国政府との共同覚書趣旨におおむね合致しており、わが国経済開発上貢献するところ少くないもとして大綱においては賛意を表するものでありますが、(「賛成討論じゃない」と呼ぶ者あり)交渉経緯並びに将来に及ぼす影響等について、この際、明確にいたしておきたいと思いまするので、外務大臣農林大臣大蔵大臣通商産業大臣にお伺いしたいと思います。  第一は、昨年十一月から今日まで六カ月余を資した交渉遅延によって生ずるいろいろの結果についてであります。この協定は、国会承認を経た上で日本国政府がその旨を米国政府通告することによって効力を発生することになっております。アメリカ合衆国予算年度は、御承知通り六月三十日をもって終了いたしますのでこの協定アメリカの「農産物貿易促進及び援助に関する一九五四年法」に基く協定として効力を発生するためには、六月三十日までにわが方の通告アメリカ政府に伝達せらるることを必要といたします。従いましてわが方としても国会承認をすみやかに行わなければならないわけであります。幾多重要な問題を含んでおりますこの協定審議を、せっぱ詰まった時期に大急ぎでやらなければならないということは、非常に無理なことであると私は思うのであります。しかも、ここ二週間かそこらの短かい期間内に、国会において果して十分な審議を尽し得るかどうか、私は大いに疑問とするところであります。交渉を今日に至るまで遅延せしめたその原因、責任はいずこにあるのか、外務大臣国会審議は二週間もあれば十分であると、たかをくくっておられたのであるかどうか、何かそのほかに理由があったのであるか、御所見を承わりたいのであります。しかも、交渉がかくのようにはなはだしく遅延したということは、単に国会審議に十分な時間的余裕を与えないというばかりではありません。この協定遅延によりまして現物引き渡しがいつまでに完了するか、これがため政府の企図する投融資計画、またわが国食糧事情関連いたしまして影響するところがきわめて大きいのであります。すなわちわが日本が最も必要とする端境期に間に合うかどうかという点、またそれとは逆に、日本の秋の収穫最盛期アメリカから輸送が重なり、倉庫は至るところふさがり、農民供米にも影響するような結果になりはせぬかという心配もあるのであります。  一体、農家は、供米は軽いことを念願しておりまするが、一たん決定いたしました以上はすみやかに供出して責めを果したいと念願しておるのであります。これはいろいろと理由がありまするが、気がかりであるとか、あるいは倉庫がないとか、あるいは早く金にしたいとかいうような心理が作用いたしまして秋にはどっと供米の山ができるわけであります。さような時期に、倉庫不足のため一時農家倉庫を利用するというようなことがないかどうか。消費者並びに農民にいささかも不安を来たすようなことがないかどうか。農林大臣の明確な答弁をお願いする次第でございます。  次に、この協定遅延から当然来るものは、本年度投融資計画に及ぼす問題であります。何というても五十万トン以上に及ぶ大量の貨物でありまするから、効力発生と同時に輸送を開始いたしましても、これを売却して日銀の特別勘定払い込み、それが所定の使途に使用せられるまでには、なお多くの時間を要することとなり、本協定を見越してそれぞれ待ち設けておりまする特殊銀行等においては、それぞれ資金繰りの面においても産業振興の面からも支障を生ずるという結果になりますことは、想像にかたくないのであります。この点につきまして大蔵大臣は如何なる見解を持っておりますか、承わりたいと思うのであります。  聞くところによりますと、政府はこの協定による農産物引き渡しの期限を九月までの三カ月間ということで米国政府交渉して来たということでありますが、実際にそうした交渉がなされたものであるかどうか。もし交渉がなされたとすればその結果はどうであったか。また、この協定は必ず国会を通過するだろうということを見越して仮契約を締結して、すみやかに現物の引き取りに着手するということも一つ便法として考えられるところでありまするが、そうしたたぐいの処置が講ぜられているかどうか。この点については外務大臣に伺いたいと存じます。  第二に伺いたいことは、この協定よる農産物引き受けわが国食糧輸入計画との関係、並びに一般にわが国貿易に及ぼす影響についてであります。この協定による農産物引き受けは、米国のいわゆる「農産物貿易促進及び援助に関する一九五四年法」第一〇一条の規定によりますと、「合衆国の通常市場取引を擁護し、且つ、この法律に基く売却農産物世界市場価格を不当に破壊しないことを確保するため適当な注意を払うこと。」とされております。アメリカとしては、日本との通常農産物取引以外の部分をこの協定によって輸出しようとするものであります。わが国の側からすれば、正常貿易による農産物輸入のほかに、この協定による輸入がつけ加えられるわけであります。もちろん、わが国の今日の食糧生産の状況から見て、外国からの食糧輸入がやむを得ないことは、私もこれを承知しておるのでありますが、しかし、それも、収来の推移を見通し輸入計画に基くものでなければなりません。またその輸入計画は、国内における食糧自給の進展と、さらにわが国農民を保護する政策を織り込んだ食糧需給計画の一環をなすものでなければならんのであります。本年度のこの輸入も当然そうした考慮を払われているはずであると私は考えるのでありますが、もしそうでないとするならば、これが余分の食糧を背負い込むことになり、ひいてはわが国農民に非常な圧迫となり、重大問題とならざるを得ないのであります。いわゆる河野農政は、国内食糧増産資金を投ずるよりは、安い外国食糧を買ったほうがいいという考え方に立脚いたしておるというふうに、世間では、うわさされておるのであります。また河野農林大臣は、農林省の予算獲得においても、大蔵大臣にしてやられたという世間のうわさを持っておるのであります。従いまして、農民はいろいろ疑惑を持って眺めておるわけであります。今回のアメリカ余剰農産物は、わが国食糧需給ワク外であってアメリカのための協定であるというようなことでは、絶対に相ならんのであります。この件につきまして農林大臣の明確な答弁を承わりたいのであります。  次に、本協定による農産物輸入は、ひとり国内ばかりでなく、対外貿易に非常に関係があると思うのであります。ことに東南アジア諸国との貿易に対する影響という見地から見ますると、今日わが国東南アジア諸国との貿易上、これらの国からするわが国の米の輸入は非常に大きな意味を持って、おると思考されるのでありますが、米の輸出国である東南アジア諸国が、今日の余剰農産物引き受けによって日本に対する米の輸出量減少を来たしはしないかと懸念しておるとのことでありますが、現に去る三月東京で開かれましたエカフエ会議におきましても、タイ、ビルマ、豪州などの代表は、米国余剰農産物売却世界市場を混乱させると、繰り返し語ったと伝えられておりまして、余剰農産物引き受けに不満の意を示しておると思うものでありますが、従いましてわが国輸出にも相当影響あるものと推測できるのであります。またアメリカ小麦輸入によってアルゼンチンなどからの米の輸入に少しの影響も生じないで済むものであろうか、私は、はなはだ疑問だと思います。このように、アメリカ以外の他の国からの食糧輸入量に多少とも響いてくるということは当然と思うのでありますが、輸出入の見合った協定貿易発展には、これによって何らの支障がないかどうか。わが国輸出振興東南アジア開発にあるとされておるのでありますが、外務大臣並びに通商産業大臣は、いかなる所見でございますか、伺いたいのでございます。  次に今回の協定による農産物輸入は、外貨節約をも一つのねらいとしておるのでありますが、それが全体的に正常な貿易の拡大を妨げ、輸出減少を招来することとなりまするならば、結果的には少しもプラスにならないということであります。それらの点を十分に考慮に入れた上で、今回の農産物輸入わが国貿易発展に決して支障を生ずるものではない、決してマイナスにはならないというはっきりした確信を持っておられますかどうか。これらの点につきましては、農林大臣及び通商産業大臣の御所見を承わりたいと思います。  第三にお尋ねしたいことは、借款条件についてであります。これは結局いわゆるドル条項との関連において円借款とするかドル借款とするかという問題と、金利の問題に帰着するわけであります。交渉が今日まで長引いた理由は、主としてこの借款条件が決定を見なかったためであると伝えられております。新聞報道によりますると、政府はいわゆるドル条項に対し、相当に強硬な反対意見をもって米国側折衝したということであります。円で買ったものを四十年払いで返却するのに、そのときどきの為替レートで円を換算し直すということは、日本通貨に対する不信をみずから承認するものでありまして、われわれもまたこの条項の適用をできるだけ避けたいと希望するものであります。ドル条項に関するわが方の反対意見に対し、米国政府より拒否の回答を受け取った政府は、円借款方式を放棄して、ドルで買い、ドルで借り、ドルで払うというドル借款方式提案したということであります。この申し出は米国政府に、はなはだしく奇異の感を抱かしめたと新聞は報じておるのであります。米国政府としては、おそらくどの国も貴重なドルをもって余剰農産物を買ってはくれまいから、アメリカには不利であるが、相手国が買いやすいようにとの配慮から、わざわざ処理法中に現地通貨売却して、現地通貨借款を与えると規定しておるのであります。こういうふうに向うがわざわざ供与しておる便宜を、受ける方が断わるという予期しない事態が生じたのでありますから、アメリカ側を驚かせたのも当然でありましょう。アメリカ側がこの予期しない、しかもアメリカにとって有利な提案に接していろいろと便法を考えた上で、日本側提案原則的に了承し、一応円で買い付け、直ちにそれをドルに振りかえるという方式が、日本側の新しい提案として持ち出されるようにという意向が非公式にもたらされて、結局はその線で交渉がまとまったということが、これまた新聞に報ぜられておるのであります。私は、こうした新聞報道が真相であるかどうか、わかりません。しかし、ドル条項のない円借款ということでいま一押ししてみる余地はなかったものであろうか。這般の消息につきまして、外務大臣から納得の行く御説明をお願いしたいものであります。  さて、そのような経過をたどりまして、本協定借款条件はどうであるか。一応円で買い付け、直ちにドルに振りかえて特別勘定に積み立て、支払いドルによって行うが、日本国政府が希望するときは、そのときどきの為替レートによって換算された円をもって支払うこともできるということになっております。  これはどういうことであるか。金利の点を論外として見まするならば、そのときどきの為替レートによって当方の支払額が左右されるという点では、ドル条項付円借款と何ら変るところがないものであります。結局はそこに落ちつくのであるならば、何を苦しんで今日まで長い間折衝を続けてきたのか、こう言いたいのであります。  ただ一つドル返済が、ドル条項付円借款と異なる点は、円による返信の場合の金利が四分であるのに対し、ドル返済の場合の金利は三分であるという点でありますが、政府はおそらくこの点を特に強調せらるることでありましょう。しかしながら、表面的には確かに一分の有利でございますが、全体的に見まして、わが国経済にとって果して有利であるかどうかは、大いに疑問とするところであります。  そもそもこの余剰農産物引き受けは、わが国経済的開発に貢献するということのほかに、外貨節約ということを一つのねらいとしておるのであります。この借款を償還するためには、外貨を獲得することを必要としないという点にうま味があるのであります。ドル借款ということでは、このうま味はなくなって参ります。返済され、積み立てられた円貨が、アメリカによって日本商品の購買に使われるという利点も消滅してしまうのでございます。三分の利子ドルで返してしまった方がわが方に有利か、四分の利子でも円資金をもってアメリカわが国使用してもらった方がわが方に有利であるか。私は金利に置いては年一年分の差は生じますが、ドル貨調達の義務を免れ、国際収支上好ましい結果を生ずるものとして、円払いの方が有利であると考えるのでございます。そこで、もし必要に応じて金利の上の利益をも得られる道を残しておこうとするのであれば、払いをもって原則とし、必要に応じて一ドル払いによることもできることにした方がよかったであろうと思います。すなわちドル払い原則とし、円払いを例外としている本協定とは逆のやり方がよろしかろうと考えるものであります。  政府は、この選択条項日本側の独自の判断で、いずれとも好むがままに選択できると考えておられるのかもしれませんが、それならば、政府はほんとうに円払いの意思を持っているのであるかどうか。どの程度を円払いとする意向であるか、これらの点について大蔵大臣の御意見を伺いたいと思います。  なおまた、ドル借款につきましては、御承知通り交渉の途上において、世界銀行側より六千万ドル借款供与関連をいたしまして、異議申し入れがあったということを聞いております。円払い規定選択条項として挿入いたしましたのも、この世界銀行異議申し入れ影響されましたものと伝えられておるのでありますが、その後世界銀行側といかなる折衝を行なって、いかなる結果に到達したのであるか、ドル借款を設定することよって、世界銀行には何らの影響も生じないという明確な保証を得ておるのであるかどうか、この点をも承わりたいのでございます。質問の第四は、将来の見通しについてであります。この協定は、アメリカ農産物貿易促進及び援助に関する一九五四年法に基く本年度限りの協定でありますが、しかしアメリカ側は、なお多量の余剰農産物を保有してお力、早急にこれを処理し得るものとは考えられません。従ってアメリカとしては、今後ともこの種協定による余剰農産物の買い取りをわが方に申し入れてくることでありましょう。わが国といたしましても、明年度以降、この借款供与がとまるならば、必要な資金国内の貯蓄の増強をもってその穴を埋めるということになりましょうが、それでは満足な投融資計画を立てることも困難ではなかろうかと考えるのであります。従ってわが方としても、ある程度の買い入れを明年度以降も続行する必要に迫られるであろうと思われますが、こうした点で将来の見通しはいかがでありまするか。外務大臣並びに大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。  次に、学童のため千五百万ドル贈与があるわけでありますが、本件につきましては満腔の賛意を表する次第であります。学校の給食設備等が新設されるところも、これによってできるわけでございます。しかし本年度限りということになりますと、この設備は死んでしまうわけでございまするが、こういう点につきましても、来年のこの種借款が必要であると考えるわけでございますが、関係大臣の御答弁を願いたいと思います。  なお最後に、私は日本農民のために一言申し上げたいと思います。この種の協定による農産物輸入は、わが国も与えられておるわけであります。従いましてこの種借款は、やはり日本経済開発のために相当使用されることが期待されておるのでありますが、農民のためにもこれが資金を十分生かして日本食糧需給の十分にバランスのとれるような政策を打ち立てるためにも、この種資金農民のために使用、することがまことに望ましいと私は考えるのでありまするが、これにつきまして農林大臣の御答弁を願いたいと思います。  以上をもちまして私の質問を終りといたします。(拍手)    〔国務大臣重光葵萱垣拍手
  9. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 御質問の諸点についてお答えをいたします。   この協定について少しも交渉において特に遅延をさせるとか、遅延をしたということも、実はないのでございます。昨年の秋のワシントン交渉においては、買付品目とか総額の大綱について了解に達しておったのでございますけれども、その協定の詳細については何もまとまっておりませんでした。そこでこの借款を成立せしめるかどうかについても、これら農産物を中心とする内外の経済事情を十分に検討をいたさなければなりませんでした。それについて相当の時間を要しましたことは事実でございます。国内的にもこれを受け入れることが適当であるという判断に到達し、かつまた、今お話の点もございましたが、東南アジア方面農産物に関する経済事情考慮いたしましてそれも差しつかえない、こういう判断の上に立って、この交渉を進めることにいたしたのでございますアメリカ側の方においても、当初におきましては十分考え方がまとまっておらないで、それら双方考え方をまとめるために、時間は相当長引いたのでございます。  交渉の過程におきましては、第一、この借款日本側としてはあくまで自主的に使用できることにしなければなりません。また条件につきましても、金利年限等について、十分わが方に有利に協定をしなければならない、こう考えまして交渉を進めて参りました。自主的な使用金利年限等につきましては、合意ができましたのでございますが、そのほかに若干の条件として、今るるお話ドルクローズの問題について、双方意見をまとめるのに相当時間を要したのでございます。しかしこれも先ほど御説明申し上げました通りに、支払いは、その日本側選択によって、ドルでもよろしい、円でもよろしいということに結局相なりまして、それも世界銀行了解は十分につけた後にそういうことに相なりましてこれが日本側にとって一番有利な条件であるという結論を得まして、この協定ができた次第でございます。さようなわけでありますから、相当長時間の交渉時間を要したのでございますが、ようやくこれがまとまりまして、国会承認を得る段取りに相なった次第でございます。  この協定は、むろんこの問題限りではございますが、今後のことについては、むろん今後の、そのときの必要に応じてこれはまたこの種の問題が起るかもしれませんが、それは全然別個の問題でございます。  以上の通りにお答え申し上げます。(拍手)    〔国務大臣河野一郎登壇拍手
  10. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。  余剰農産物は御承知通り、わが用の食糧輸入必要量の一部でございますので、この余剰農産物を入れることによってわが国食糧需給悪影響を及ぼすようなものではないのでございますことは、御承知通りであります。従いましてこれを輸入することによって、わが国農産物価悪影響を来たすとか、ないしはまた、わが国農民諸君増産意欲支障をきたすとかいうようなことは、絶対にございません。この点はアメリカの方では余ったものでございますけれども、わが国おいては必要量の範囲内において入るのでございますから、その点御了解願いたいと思います。その別の角度からいたしまして、御摘になりました、これを入れる時期その他について、いろいろ御意見がございましたが、これについては万事操作によって支障がないようにいたすことにいたしております。  その他これを続けてやった場合にどうかというようなことにつきましては、ただいま外務大臣からお答えがございましたが、農林所管といたしましては、ただいま申し上げましたような趣旨でございますから、引き続きこの制度の続けられていくことについては、一向差しつかえない、こういうふうに私は考えます。  最後に、こういうふうにして得た資金を十分に農村に使うようにという御指摘でございましたが、この点につきましては私も全く同感でございまして、愛知用水その他八郎潟、北海道開発等に十分に有効に運用して参り  い、こういうふうに考えておりますことをお答え申し上げます。    〔国務大臣一萬田尚登君登壇
  11. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えいたします。  今度の協定がおくれたので、財政投融資に支障がないかという御質問が第一点でありますが、私どもがこの現物引き渡しが今後順調に行われるという見通しに立っておりますので、財政投融資の計画支障が生することはないと考えております。それからもう一つ、この円で農産物を買ってこれがドル借款にかわる、これはドル条項を入れたも同じじゃないか、こういうふうな御質問もあったようでございまするが、私どもが特に大蔵当局として考えましたことは、円債務にあとからドル条項が入るということは、他の同種の円債務について波及するところも大きいことでありまして、円債務のものにあとでドル条項を作るととは私は困る。そういう意味合いにおきまして今回の支払い方式ドル建一つドル借款ドルで買ってドルで払う。それでもいいが円で返してもよろしい、こういう選択にいたしましたこれは非常に長い期間の借り入れであります。四十年も長いのでありますから、今後において日本経済の情勢をよく見ましてそうしてそのときに応じて日本のために有利な方法で返す、まあ私どもの考えでは、やはり円で返すことがお説のように適当であろう。こういうふうに考えておるのですが、これは長い将来のことでありまして、そのときにおける国際収支の点も十分考えた上で、決定をしたい、かように考えております。  それからもう一つ、来年あたりはどうか、これは余剰農産物処理法を見ますと、大体これは三カ年を対象にしております。そういうことでありますので、来年度についても日本においてそういう希望がありますれば、これは私、また買い入れる可能性を持つと思っておるのでありますが、今のところそういう決定はいたしておりません。これはとくと日本の農業事情その他を考えてあるいは内外の情勢も考えて、十分に検討を加えて決定すべきことであろうと考えております。(拍手)    〔国務大臣石橋湛山君登壇拍手
  12. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) この余剰農産物の問題が、日本東南アジア等の貿易支障を起さないかという点の御質問と存じます。これは東南アジア各国から今年日本輸入する農産物につきましては、米にいたしましても、その他のものにしましても、日本外貨事情もございますが、それよりも先方の輸出能力、それから品質、価格というものを検討いたしまして各国が要求をする、そうして日本で受け入れるそれらの品質、価格等におきまして、受け入れられる限りは本年各方面から買い入れることにいたしておりますので、余剰農産物が本年入って参りますということが、東南アジア貿易支障を起すということは絶対にございません。できるだけの輸入はするようにいたします。従って日本からそれに対する輸出も行われるようになっておりますから、御了承願います。(拍手)     —————————————
  13. 河井彌八

    議長河井彌八君) 清澤俊英君。    〔清澤俊英君登壇拍手
  14. 清澤俊英

    ○清澤俊英君 私は日本社会党第四控室を代表いたしまして関係大臣に若干の質問をいたしたいと思うわけであります。  今回政府によりまして調印されました本協定は、帰するところ、アメリカが自国の農業恐慌の切り抜けのためにとっておる農産物価格維持政策の結果、ストックとなった八十億ドルに上る膨大な農産物の始末に困って、焼き捨てでもするよりほか方法のないこれら農産物を、援助と防衛の美名にかくれて他国に有利に売りさばこうとする一石二鳥のねらいからでき上ったものであって、しかもその根本趣旨アメリカ国内法、すなわち一九五四年法を中心として本協定が結ばれたため、アメリカ貿易を阻害したり、自国農業を圧迫することのないよう考慮された結果、いろいろ協定の中に制約が加えられておるのであります。従っていろいろの制約につきまして、私は以下順を迫って関係大臣にお伺いいたしたいと思うのであります。  まず、農林大臣にお伺いいたしたいと思いますことは、本協定による農産物輸入は、アメリカ通常貿易を阻害しないことになっております。と同時に、自由国家間の貿易関係を実質的に害することがないように合理的な注意が払われることに合意するとなっておりまして昨年のMSA協定を結ばれました際に、そのときの条文は、アメリカ合衆国または他の友好国の通常市場取引を排除し、またはこれに代替してはならないものとなっておるのでありまして、従って取り扱いも昨年同様といたしまするならば、通常取引の上積みとなる過剰持ち越しとなるようなことはないかどうか。たとえば本年の小麦輸入予定量は、二百二十四万数千トンになっておりますが、二十八年、二十九年度買付通常買付としまして百九十七万トン、約二百万トンになっておるのであります。本協定買付で二千二百五十万ドル、約三十四万トン、三十四万トンは、先日の新聞によって農林大臣が発表せられた数字であります。これを加算すれば、場すでに予定量を超過しておるのであります。従いまして本協定による買付は、食管のワク内で買い付けているのでありますか、ワク外買付となるのでありますか、お伺いしたいのであります。もし米国のみを通常取引のワク外として取扱ったならば、カナダや、豪州やアルゼンチンなどからの小麦と、東南アジア諸国からの米を輸入することによって、輸出増進策の裏づけとしておったのでありますから、国内貿易を阻害することに数字上なるのかどうか、農林大臣にお伺いいたしたいと思うのであります。  もう一つアメリカから国際小麦協定による百万トン、本年度分もこの受入れで三十四万トン、これに通常輸入、これははっきりわかりませんが、聞きますれば七十六万トンといわれておる。これを加えまするならば、小麦輸入アメリカ分で余っておるのであります。もし七十六万トンが数字が違ったとしまして若干トンを加えましたとしましても、約七割以上がアメリカ一国からの輸入になるのであります。かかる一方的買付が、これから世界市場を開拓せんとする日本の実情に即しておると思うかどうか、経審長官の御所見をお伺いしたいと思うのであります。  次に、多くの農民は、米麦の輸入過剰となりまして、このことは先ほども佐藤君が熱烈に要望されましたが、外米麦価の値下りが起り、圧迫を感じておることは事実であります。従いましてこれに対しましては詳細なる数字をもって心配ないと、一つお教え願わなければならぬのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)  次に文部大臣にお伺いいたします。本協定わが国の学校児童の福祉計画を拡大するために、アメリカから小麦、脱脂粉乳千二百万ドル、米綿三百万ドル贈与されるのであります。これは一九五四年法の第二章、飢餓援助としてアメリカより贈与されるのであります。従ってこれを学童にを給する場合、無償になると思うのでありますが、文部大臣はいかなる配付形式を考えておられますか、まずお伺いしたい。  次に、無償配給を受けたとき、学童はどう考えるでありましょうか。かりにこれはアメリカの贈り物だと一々先生が言わなくても、これは次第に学童に知れると思うのであります。この場合考えられますことは、日本は戦争に負けた貧乏な国だ、われわれは弱い国だ、アメリカは豊かな偉い国だという卑屈な考えが、長く純真なる幼童の頭にしみこんでしもうということが考えられないでしょうか、どうですか。第二の国民としての学童が、こんな気持をもっとすれば、大へんなことだと思うのであります。すでに痛歎すべきところの、アメリカ兵にすがりついて歩いておる、ここではっきり言えませんが、日本の娘の姿だけ申し上げておきますから、あと御推察願います。終戦直後米軍のキャラメルにむらがり集った学童たちの姿が最近漸くなくなってきたと思ったとたん、学童福祉増大に名をかりまして、また贈与されて参ったのであります。この贈与を大臣はいかなる気持で、総理大臣がいないので、総理大臣に実はお伺いいたしたいのでありますが、だめだというので、文部大臣に一つかわってどんな気持で、これを何ら考えないでお受けになったかどうか、心境をお伺いしておきたいと思います。文部大臣はそんな心配は絶対にないと言い切れるかどうか。いかなる心理的対策をお考えに、なっておるか、しっかりした答弁をお願いします。私が考えますならば、この贈与の千五百万ドルは、結局しますならば、今のような心理的効果をねらい、一方におきましては、あり余った余分の小麦をだんだん日本の国民に食いならすことによって、それで自分の市場を開拓しようという一石二鳥のねらいであることは、私は至って、人のしますことを悪く見ないたちで、ばかの者でありますが、(笑声)従ってそういう私は純真な子供のような考えでありますから、人のしてくることが、またちゃんとわかる、こういうことになりますので、はっきりした文部大臣のお答えを願いたいのであります。  第三は、外務大臣にお伺いしたいのでありますが、受入農産物アメリカ合衆国に対する非友好国が入手する可能性を増大する結果をもたらしてはならないという条項が第四条の二項かにあるのであります。これは至って漠然として、ようわからないのでありますが、一九五四年法の第三百四条によりますると、「友好国に対し、ソヴィエト社会主義共和国連邦又はソヴィエト社会主義共和国連邦の支配若しくは統制を受けている国との食料品、原材料及び市場の取引について独立することを援助」するように大統領は、「この法律で定める権限を行使しなければならない」と明記してありますが、日中、日ソその他共産圏との貿易を阻害し、または不可能にするのではないかと考えられるのでありますが、ことに詳細な親切なる御答弁を大臣から得たいと思いますことは、「市場取引について独立することを援助」するように同大統領が、この品物を買ったならば、権限で行うという、権限が与えられておるのでありますが、この点に対しましては、特に親切丁寧な外務大臣の御答弁を願いたいのであります。この条項によってかりに日本が綿布をもらった、あるいは食糧をもらったということが、それがきっかけとなって、その品を出したか、どの品を出したか、一一しるしがつかないのでわからないのであります。そういうことでしっぽをとらえて、これは独立の権限でしてはならないということになったら、中止せられることになりますので、至って重大な点だと思いますので、特に親切丁寧なる御解説を願いたいと思います。本条項がかりに実際貿易上さしたる支障がないといたしましても、ソ連や中共に与える心理的影響は絶対ないとは言えないのであります。ただいま日本は、すでにロンドンにおきまして国交回復の交渉が始まっておるのであります。国民注視の焦点であるとともに、総理の願望でもありましたし、また民主党の公約でもあります。かかる時に、かかる条項のある協定を結ぶことが、ソ連の国交回復の交渉、並びに目下進展しつつある日中貿易等に対する影響はどうなるでありましょうか、経審長官並びに外務大臣の御答弁をお願いしたいと思うのであります。  次になお、経審長官にお伺いしたいことは、日銀積立金になりますところの七〇%分の五千九百五十万ドル、二百十四億の使途が、電源開発に使われ、あるいは農業開発に使われ、生産性本部に使われますことは、お伺いしておる通りでありますので、これに対しては疑問を持ちませんが、これの使用に当りまして、米国との完全了解がついておるのかどうか。世界銀行から先般六千万ドルの愛知用水の借り入れ等をいたしまするとき、地質調査から設計の果てまで、あるいは機械の借り入れまでに、一々こめんどうなワクがついておるのでありますが、ひもがついておるのでありますが、この金を使いまする際に、一体どういう使い方をするのか。そういうワクが、ひもがついているのかどうか、そういうワク内にはめられておらぬのかどうか。これをはっきり一つお教え願いたい。  次に、第五条に米国側使用分のことをいろいろ書いてあります。そのうちに、九十二億のアメリカ側が使いますその金の中に、六十二億二千万円は共同防衛上の装備であるとか資材であるとか、施設及び役務の支払いであるとかいうものに使われるのであります。十九億五千万円余りは域外買付及び役務の調達としてすなわち軍事費として大体アメリカ側が使う合計は、七十億をこえておるのでありますが、これらのことは、全く私は自主性をなくした協定でありまして、他の国々の小評判をかっておるのではないかと思うのであります。その上、一々この法案の内容を検討いたしまするならば、現在船積み折半であるとかいうようなことは、結局日本の米を高くする。また綿花の買い入れにいたしましても七の綿花は国内で消費するブラジル綿等から見ますれば、非常に高い綿花を高い船賃をもって入れておる。紡績暴落のこの大波を受けている際に、こういうものを国内で消費しなければならないというようなことがやられている。本日本人といたしましては、まことにこういういろいろの条項、そのほか、わずかの金でありますけれども、こういう金の中から自国の農産物市場開拓に九億何千万円を使うとかいうようなことが、いろいろ重なっております。自分の国で焼き捨てしなければならぬような米を持ってきて、その受取った金で自国の農業開拓、農業市場を開拓しようというような、そういういろいろ、このほかたくさんなものが重なっておる。こういう契約は、首相はおられませんからよろしゅうございますか、外務大臣は、一体どういう考えでこれを受け入れられたものであるか。これに対しまして一つ外務大臣の受け入れの際の心境を伺いたい。これを要しまするに、一口で申しますれば、場合によっては捨ててしまわなければならないような余剰農産物を必要だが買うに困っている諸国の足元を見込んで、自分の勝手の思惑ぶりを発揮しているのがこの協定であります。  日本が昨年七月より借り入れを企図しましたことは、今もう佐藤君が申しました通り、金は毎年一億三千万ドル、三カ年継続として総計四億ドルでありました。それが一億ドルとなって、実際日本が使える金は二百十四億円、しかも三〇%の約九十何億円は、現に向うから持ってきて払わなければならぬ金を、向うのくされ麦でこれを代替しようとしているというようなことを考えましたならば、先ほどいろいろお伺いしておりますところの諸点を総合して考えまするとき、果してこれまでにして二百十四億という金が日本になければどうしてもならぬというのかどうか、これは私は疑問と思うのであります。  諸般の事情を考えて見まするとき、衆議院の予算審議の経過、または本院の予算審議の状況等を通じましてこれはひとえに政府の不統一なる、はなはだ一貫しない政策の結果、アメリカに押しつけられたのだと私は考えるのであります。(拍手アメリカは得をするけれども、日本はちっとも得をしない。すなわち、日本経済を自立の道に導くものだとは私は考えられない。隷属の道に導くところの悪協定であると私は考えるのでありますが、この日本経済自立の見通し関連いたしまして、ただいま首相はおられませんから、経審長官はどう考えておられますか、お答えをお願いいたしたいのであります。私は社会党を代表いたしましてこれで質問を終りたいと思います。(拍手)    〔国務大臣河野一郎登壇拍手
  15. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えをいたします。いろいろ御疑問があるようでございますから、数字をあげまして御了解を願いたいと思います。小麦につきましては、通常アメリカから輸入いたしますものが七十五万トンでございまして、余剰農産物で予定いたしておりますものは三十四万トンでございます。しかし、これは全体の輸入計画の二百十九万トンの中でございますから、これで御了解を願えると思うのであります。大麦につきましては、二十万トンが通常輸入量であり、この余剰農産物は五万五千トンで、全体の三十年度輸入計画は五十万トンでございます。米につきましては、通常が二十万トンであり、余剰農産物が十万トンであり、三十年度の、全体の輸入予定量が百十九万五千トンでございますから、この数字を御批判いただきますれば、いかにこれが必要量の範囲内であるということが御理解できると思うのであります。  しかもこの品質等については詳細の規定がございまして、決してくされ麦でもなければ、食べられないものでもありませんので、これらにつきましては、すでに御承知通り、米の品質につきましても、純内地米に近いものでございますし麦につきましても、厳重な規格によって買い入れます。価格につきましても、世界市場の価格ということになっておりますから、高いものを買うようなことは絶対にいたしません。御答弁申し上げます。(拍手)    〔国務大臣重光葵登壇拍手
  16. 重光葵

    国務大臣重光葵君) お答え申し上げます。  米国の一九五四年の法律、これに関連しての御質問でございました。なるほど協定の第四条の第一項におきましては、この協定日本の受け入れた物資、その加工品を米国に対する非友好国にまた出してはならないという趣旨でありますが、これは今日国際関係において激しい、いわゆる冷い戦争が行われておるのでありますから、この点は、日本は受け入れた品物をまたそういう非友好国に出してはならないということであって、また出す意向は全然ないのでございます。ただ御質問の、このアメリカ法律において和人についていろいろ希望的、制限的な規定があるのでございます。三百四条でございますが、この輸入についてはこの今回の協定には、少しも制限を受けておらないのでございます。何ら米国政策を現わした米国法律には、何も関係を持っておらないのでありまして、従いまして、たとえばソ連圏の物資、また中共からの物資を適当な条件で、また日本の希望する条件輸入する場合においても、何らこれに制限を受けるものではないのでございます。さようなわけでありますから、かような点については支障のないものと心得ております。それからむろんこの協定は、大局面から申しますれば、余剰農産物でありまして、米国にも非常に利益になる点がございましょう。しかし日本といたしましては、いずれの道、食糧、綿花等を輸入しなければならないので、わが国の必要とするこれらの物資を円貨で取得し得るのみならず、その代価の七割に相当する部分を長期借款としてわが国経済発展のために使用し得ることになるのでありますから、これは大局上都合がいい結果になると思って私はこの交渉を進め、またこの協定に署名をいたしました次第でございます。  私のお答え申しますのは以上でございます。(拍手)    〔国務大臣高碕達之助君登壇
  17. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 御質問にお答え申し上げます。  先ほどの農林大臣外務大臣のお答えで大体尽きておると思いますが、さらにこれを補足いたしますというと、この米国側から借りた二百十四億ですか、これについては、その使用についてひもがつかないかということでございますが、これは大体のワクとして電源開発、それから愛知用水そのほか農業開発、そのほか生産性本部の問題、こういう方に大体のワクは、これは借りますときに条件を話したわけでありますから、このワク内において使用するときには、あるいは世界銀行から借金するような工合に、あの手この手といろいろな手にひもがついていない、日本で自主的にこれを使える、こういうことに御了承願えると思います。そういうような話し合いがついております。  それからアメリカ側使用いたします二千五百五十万ドルの分でございますが、これは大体一千七百万ドルは米軍の住宅に使うというふうなことになっております。これは日本経済のじゃまにならないように使う、こういうふうな了解をいたしておりますかこれは住宅に一千七百万ドル使う。あと五百五十万ドルはいわゆるFOAの域外買付に使う。それから二百万ドルは、アメリカ農産物の市場開拓ということになっておりますが、これは日本のじやまになっては困るかり、大体日本において小麦を消費するためにパン食を奨励するとか、あるいはパンの作り方について宣伝すると伏そういう方面に使いたい、こういりふうにする話し合いをつけておるわけであります。そのほかの問題につきましては、七十五万ドルそこそこのものは学生の交換等に使う、こういうことに話をつけまして日本経済のじやまにならぬようにやってもらうというふうなことで、その原則の下に、大体これはアメリカ側アメリカで自主的にやる、こういうふうな話し合いがついております。それから御質問の、大体この取引については、日本として非常な不利な結末にならないかというようなことでご己いますが、これはいろいろ考えてみますというと、御承知のごとく、日本こしては非常に必要な物資であって、それを買い取って、それが長期で、しかも三年間は無利息である。四十年年賦である。これをドル払います場合には三分で払う。三分の利息というここになりますと、三年据置期間をおきますと大体二分五厘六毛になっております。この二分五厘六毛の安い金を使わなければ、日本電源開発をやっても、また農地を開発しても、非常に高いものになる。われわれが現在困っておりますことは、電源開発をすれば高い金利の金になってしまって、ついに電力料金が高くなり、また農地を開発いたしましても高い金利では困る。こういった方面にこれが使えますので、日本経済開発の長期経済計画に非常に役立つものと考えまして、これは、はなはだ日本のために有利だと、こう確信しております。    〔国務大臣松村謙三君登壇
  18. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) お答えをいたします。  このお尋ねの点につきましては、今なおその受け入れる方法につきましては、細目の交渉中でございます。お話通りに児童に卑屈感を与えるような方法でやるようなことはいたさないと、こういうことで今日いろいろ計画を進めている次第でございます。    〔清澤俊英君発言の許可を求む〕
  19. 河井彌八

    議長河井彌八君) 清澤君、どういうことですか。再質問ですか。登壇を望みます。
  20. 清澤俊英

    ○清澤俊英君 二点、農林大臣に……
  21. 河井彌八

    議長河井彌八君) 壇上から御発言を願います。    〔清浄俊英君登壇拍手
  22. 清澤俊英

    ○清澤俊英君 議席でお伺いしようと思いましたが、壇上でやれということだからここでやります。  文部大臣にお伺いいたしましたことは、総理大臣のかわりとして、これを受け入れるとき、そういうことを考慮してやったか。これから計画をするかしないかということをお聞きしているのじゃない。それくらいのことは考えて、もうどのようにやるのだということはお考えになって、これを契約せられたのかどうかということを、あなよりは総理大臣に実は聞きたかったのだが、もし、お答えができなかったら、総理大臣と相談して、時期を選んで一つ総理大臣のお答えにしていただきたい。この際おことずけをいただきたいと思います。  それから河野さんにお伺いいたしますが、先ほど、アメリカ通常取引の中に、大麦の五万五千トン、米の十万トンはわかりました。それはわかりましたが、私がお伺いしているのは、通常取引として今アメリカからは七十五万トン、あるいは七十六万トン入っているということを何かに聞きましたが、これは確かめてないのであります。それでどうなるかということであります。そうしますと、小麦協定で百万トン入ってくる、ここで今大臣が言われたように、三十四万トン入ってくるといたしまして、もし七十五万トンが実質的に入っているとしたならば、本年の予算計画百二十二万四千何トンというものを超過することは、これは子供にもわかる数字じゃないかと思いますので、それで七十五万トンの数字をせつかく発表したのでございますから、いま一度その点をはっきりお伺いしたいと思います。(拍手)    〔国務大臣河野一郎登壇
  23. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 小麦のことでございますが、小麦通常輸入量は七十五万トン、そのほかに余剰農産物として三十四万トン、贈与の分が八万トン、そこで総輸入量は、予定が二百十九万トンということになっていることを先ほど申し上げたので、ありましてそれでおわかりいただけると思います。    〔国務大臣松村謙三君登壇
  24. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) お答えを申し上げますが、大体これまでと同じことに、児童に給食いたしますときには、他の輸出農産物とともに、やはり有料で分けることを原則といたすつもりでございますから、児童に対して卑屈感を与えるようなことはないと考えておるわけでございます。そういうような方法で行きますように、ただいまいろいろ打ち合せ交渉をいたしておるわけでございます。     —————————————
  25. 河井彌八

    議長河井彌八君) 東隆君。    〔東隆君登壇拍手
  26. 東隆

    ○東隆君 私は社会党第二控室を代表して、ただいま上程されている案件につき、総理大臣並びに関係閣僚に若干の質問を試みます。  私は今から三十有余年前に、精神分析学を研究したことがあります。(笑声)この学問は、ヒステリーの研究から始まった学問でありますが、今回のこの日米間の協定には、常識をもってしては理解できない節が非常に多いのであります。いうならば、ヒステリー的症状の協定であります。  まず、この協定の前文なるものが、われわれには理解しにくい、はなはだしく怪奇なものであります。アメリカの「農産物の販売及び日本国によるその購入から生ずる相互の利益考慮し、日本国における学校児童の福祉計画を拡大するためアメリカ合衆国による前記の法律規定に基く同国の農産物贈与が望ましいことを考慮し、また、前記の購入から生ずる資金を両国にとって利益になる方法で利用すべきことを考慮して、次のとおり協定した。」この文章の中には「考慮し」という言葉が三回も出ていますが、よほど考慮して読まねば、この扮装した協定はわかりません。今回の質疑は、外務委員会プロパーの人がなさるべきでありますが、わが党では農林水産委員会所属の私がいたすことになりました。まず、最初の協定の前文から、懇切に外務大臣より御説明を願わねばならぬ仕儀となりましだ。理解の行くように御説明を願いたいのであります。  私は本協定はヒステリ—的症状を呈しておると申しました。表面はいかにも両国が利益するようであります。一億ドルのうち一千五百万ドル贈与で、ただで日本によこすといいます。残った八千五百万ドルのうち三〇%の二千五百五十万ドルアメリカの意のままに使用される分であります。日本が自主的に使用し得るものは五千九百五十万ドルであり、この金額は、日一本と同様に余剰農産物協定をなした諸国に比較して、第一位にあるようであります。しかし私のおそれていることは、この日本の自主的に使用し得ることになっている金額が、果して日本の自主的使用にまかされるかどうかということであります。  余剰農産物を海外に売りさばく米国は、自国の農業恐慌をこれによって回避するのでありますから、問題はございません。その上、三〇%の二千五百五十万ドルは、わが国支払いによって米国の意のままに使用される分であります。残りの七〇%の五千九百五十万ドルは、電源の開発、農業の開発、生産性の向上という方面に使うことを約束させられているようであります。約束させられても、この範囲で日本が自主的に真に使うならば、世界銀行その他と相まつて効果を上げるかもしれません。しかし、このこと自体が、アメリカ余剰農産物を将来購入せしめない条件を作るのであります。当然貸し主のアメリカは、その意図を上手に変装してくるに相違ありません。ここに問題がございます。問題を解明するには、日本国民というセンサーはその変装を見破らなければなりません。電源の開発や、農業の開発、生産性の向上等の変装に隠れたアメリカの意図を明らかにしなければなりません。  電源の開発に際して電源の調査その他の名目で、実質的にアメリカの御意にかなうもののみに資金の貸し出しがなされるのではないかとおそれております。日本単独でこの資金を使って電源の開発ができると、総理大臣はここで言い切ることができますか。それとも条件がつくのか、電源の開発はどこをやるのか、電源開発の主体はだれがするのか、これらを明らかにせられたいのであります。  農業の開発という広範な題目は、農地の開発に限定されているようであります。その農地の開発の個所も、先方のお声がかりで決定されるような公算があるようで、すこぶるこれも心細いのであります。日本独自で決定すると、首相はここでやはり言い切ることができますか、お尋ねをする次第であります。  生産性の向上というのは、一体何をやるのですか。この名目で、究極するところは、軍需産業に重点的に使用せしめられるのではございませんか。この中身を明らかにするとともに、ほんとうに自主的にやるのでありますか。未決定であるという答弁が私は予想されますが、これこそ本協定の中心的な中身と存じますので、明らかにこれについてお答えを願いたいのであります。私は直接この協定に当った外務大臣から、この中身を明らかにしていただきたいのでございます。  次に、昨年のMSAによる一千万ドル贈与分の使途先は、アメリカのひもがあまりに強く、今日なお完全に消化されていないと聞き及んでおるのでありますが、いかなる状況になっておるかこの際首相、外務、大蔵、通産、いずれの方からでもようございますが、これを明らかにここでいたしていただきたいのであります。  私は、ただほどおそろしいものはないということを聞かされます。今回の余剰農産物輸入は一千五百万ドル贈与の形で参ります。これは十八億五千万円を使って、加工し配給するという国庫支出が伴っておるのであります。決してただではないのであります。いわんや、先刻申したようなことを、ひもつきでやらざるを得ないとするならば、ただほどおそろしいものはないということが明らかになるでありましょう。  総理大臣は、この点いかようにお考えになるか、御明答をお願い申し上げます。  なぜこういうことを申すかと申しますと、農産物の受け入れは、法律は異なりますけれども、吉田自由党内閣の遺産でございます。民主党はこの遺産を相続しなくてもよいはすでございます。このような背後に日本をアジアにおけるアメリカの防壁にするような協定に、心から鳩山首相は賛意を表されておるのか、伺うのであります。御返答のいかんによりましては、将来をトしたいと存ずるからであります。明らかに申しますならば、こんな協定を来年も取り結ぶつもりでありますか。その辺を明らかに首相からお答えを願いたいのであります。  次に私は、本協定を中心として、民主党政府わが国食糧問題解決にいかなる態度をもたれているかを明らかにされたいと思うのであります。民主党内閣は成立以来、食糧需給態勢の確立と、いうことにきわめて熱心でありますが、食糧の自給態勢の確立には熱心でありません。先刻の説明にも、「わが国食糧需給計画上、同国の余剰農産物購入することが適当であること」とあります。この際私は、日本が完全な独立をするために、食糧の自給態勢を確立することが必要か、食糧需給態勢を確立することが大切か、はっきり首相から言明をいただくために、世界銀行ガーナー副総裁からの書簡の一節をここに述べます。これは昨年の六月、日本政府が招請した調査団の報告書の送り状の中の結論の結論ともいうべきところであります。「もし、食糧輸入がさらに増加するとすれば、これに見合うだけ工業製品の輸出を増加しなければなりません。これには原料の追加輸入が必要であります。従って、食糧輸入の増加をカバーするために輸出する工業製品によって得られる外貨受領額の増大は、このような輸入財の価額よりもはるかに大きくなくてはなりません。」これは農地を開発して食糧を増産し、外国から食糧を買うなということであります。世界銀行は農地開発ならば金を出しますよということであります。これに反して、本協定の、購入から生ずる資金を両国にとって利益になる方法で利用するために、米国余剰農産物輸入することは、完全に日本食糧自給態勢を破り、日本農民を殺し、わが国国際収支をアンバランスにし、需給態勢を不健全にするものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)自給態勢か、需給態勢の確立か、いずれをとられるかを鳩山首相にお伺いするのは、私は、河野農林大臣の委員会等における答弁では、この点を明らかにすることができないのであります。従って私が首相のお答えをあえて強く要望をする次第であります。  次は、なぜ小麦をひもつきでアメリカから買わなければならないかということであります。私は小麦輸入については、英国の小麦の買い方を学ぶべきであると思うのであります。英国は世界の各地から小麦輸入しています。これは新しいもので、安く輸入できる方法であります。英国の工業製品を送り出すためにも賢明な方法であります。日本の製品を送り出すために、現在やむことを得ず輸入している小麦を有効適切に輸出の面に生かすことは、古い小麦を新鮮な小麦にかえ、貿易を拡張する方法であります。すでに世界は農産物中、食糧は買手市場ではなく、売手市場に変っています。わが国産業発達と貿易の拡大に専念されております通産大臣は、この方法によって真の平和日本を作るか、この協定によって武装平和の日本を作るかの岐路に立っておるのであります。いずれを選ばれるか、御回示をわずらわしたいのであります。  次に、農林大臣にお伺いをいたします。大麦の輸入は大きな金額ではございません。しかし、大麦は粒食か、みそか、ビールか、飼料になるものであります。輸入の量は少くても、わが国の水田裏作を含めて作付面積はいかようにも伸ばすことができるものであります。日本産の小麦はパンに向きませんから、小麦輸入はやむを得ずとしても、大麦まで輸入しなければならぬ理由が私にはのみ込めないであります。まさか食管会計の赤字をなくするためとも考えられません。輸入する理由を明らかにされたいのであります。  次に、米を輸入することになっております。これは非常に考えねばならぬ点があるので、農林、通産両大臣と外務大臣からお答えを願いたいのであります。米は、当然自給態勢の確立のためにあらゆる施策が集中されねばならぬと思います。それには内地米に似ている加州米その他を入れるよりも、東南アジアの米を必要最低量輸入すべきであると思います。東南アジアは、売るべきものは米よりほかに数多くはございません。そこの市場を日本が開拓するには、何としても米を買わねば片貿易にならざるを得ません。この明らかなることを知りながら、東南アジアの諸国が、米国から日本が米を輸入することを好ましくないと申すのを知りながら、なぜアメリカから米を輸入するのか。その理由を伺いたいのであります。もし、内地米と加州米が似ているとするならば、それよりもわれわれは韓国と国交を調整し、米を輸入すべきだと思います。目下韓国は日本に向けるものがなく、片貿易となっています。そうして日本の弱小な漁業家を苦しめることになる韓国ノリの輸入をやっています。隣邦韓国からなぜ米を輸入しないか、これを明らかにしてほしいのであります。  次に、「児童の福祉計画を拡大するため余剰農産物贈与を受けることが望ましいこと」と説明をされておりますが、これはいかに理解したらよろしいのか。なるほど米国は、脱脂粉乳をもてあましている。だから、児童の福祉計画の拡大に名をかりて、かく言っているにすぎないのであります。日本では酪農農家はすでに乳価の低落であお息と息であります。バターでもチーズでも脱脂粉乳でも、畜産製品の輸入は禁物なのが現在の日本の状況であります。贈与だから受けるというのでは、なお悪いのであります。食生活改善上、酪農業がいかに重要であるかを説く農林大臣には説明のできぬところだと思います。農林大臣は、児童に脱脂粉乳を与えるよりも生乳を与えるように努力すべきであります。牛乳からバターをとって脱脂粉乳を国内で作るように政府は手を差し伸ぶべきであります。酪農業を発達させるには、安い飼料を豊富にすることであります。牛乳やその他の畜産物は処理加工されなければ、ふん詰まりをすることは明らかであります。安価な飼料と畜産物の加工処理について、いかなる手が打たれているか、なぜ脱脂粉乳を輸入するのか、あわせて伺うものであります。  最後に、本農産物輸送米国の旗のもとに行われるということは、米国法律規定されているとはい、わが国の海運発達上遺憾しごくなことであります。いかようなことで船賃までわが国借款の対象にするのか、不明であります。わが国の船舶による輸送についていかに交渉したか、その経過をお尋ねをいたします。  要するにこの協定は、日本の産業の発達に悪影響を及ぼし、貿易の伸張をはばみ、海運の進展をチェックし、農業を破壊し、酪農をつぶす協定であると私は断じて質問を終ることにいたします。(拍手)    〔国務大臣鳩山一郎君登壇拍手
  27. 鳩山一郎

    国務大臣(鳩山一郎君) 東君の御質疑に対しましてお答えをいたします。  電源の開発は自主的にやれるかという御質問右ありました。電源開発の場所は、日本政府できめます。  生産性の向上には、ジェット機等武器の製造も含むのかというお話もありました。いかなる業種について行なっていくかは、一応日本生産性本部の自主的の判断にゆだねることになっておりますが、政府としては、武器、航空機等のごとき軍需産業についてこれらの事業を行うことは全く考えてはおりません。  食糧政策について根本的な御質問がございました。私の考えるところによれば、食糧の自給度向上を立案しまして、輸入にたよらずに、自給度向上を立案して実施していきたいと考えております。  それから、この輸入のやり方を果して利益とほんとうに考えているのかどうかというような御質問がありました。輸入しなければならない食糧や綿花等を円貨で、かつ七割までを長期借款輸入できまして、経済発展に利用できますことは、わが国経済にとりましては有利と考えております。来年もこういうことをやるつもりかというような御質問がありましたが、それは来年の情勢判断によって、お答えをするよりいたし方ないと思います。以上をもちまして、私の答弁を終りますが、他の御質問に対しましては、関係閣僚からお聞き取り願いたいと思います。(拍手)    〔国務大臣重光葵登壇
  28. 重光葵

    国務大臣重光葵君) お答えいたします。  本協定の前文を引用されて、協定趣旨説明しろというようなお話でございました。前文においては、直産物の購入贈与と積立資金の利用ということを書いてあります。そうしてこれらのことを考慮して次のように協定をするということに相なっております。これは一般の方式でございます。その協定そのものに対する全般の趣旨は、私は先ほどの協定理由説明によって御承知を願いたいと思います。それによって尽きておると思います。本協定は、双方利益のために日本経済の増進ということが主題になっております。そこで日本経済を増進するということのために、互いに自分の、むろん自国の利益のことも考えておるわけでありますが、それによってその目的を達しようというのでありまして軍事的の目的を持っておらない、軍事目的はこの中に持っておらないという趣旨でこれはできておるのでございます。しかし、もっとも全部軍事的に関係がないとはむろん申されません。というのは、駐留軍の宿舎の建設等もこれにあるわけでありますから。しかしながら、御懸念のようなひもつきの軍事目的は全然ここに予想されていない、その中にないという趣旨であることを私から申し上げたいと思うのであります。  それから、東南アジアの米の貿易について十分考慮をしたか、また支障を生じないか、こういうお話でございます。この点はいろいろ対外貿易のために検討をしなければならなかった問題でございます。しかし米の問題は、米の品質とか、また支払い方法、外貨の状態とかいうようないろいろなことを考慮しなければなりません。そういうことを検討した結果、日本の最も必要としておる東南アジア方面とのかような米の貿易について支障のないという結論に達したために、この協定も進めたわけでございます。  以上であります。(拍手)    〔国務大臣河野一郎登壇拍手
  29. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えをいたします。  第一の愛知用水その他農業開発の個所、事業の計画等についてはどうかということは、総理からお答えがありましたが、これはわが方で独自の立場でできるということになっております。従って、農林省におきまして、それぞれ必要な立案をしてやっておるわけであります。  第二は、これも総理からすでにお答えいただきまもたが、自給度の問題でございます。これはあらためて申し上げますが、総理のお答えの通り、わが政府におきましては六カ年計画を立てまして自給度の総合的な態勢を立てていこうということにいたしておりますのでこれにつきましてはいろいろ御意見もありますが、私たちといたしましては、六カ年計画の上に立って自給度を向上していくということに考えておるわけであります。決して需給態勢を目標にしておるのではございませんことを、ここにあらためて申し上げておきます。  次に、米の輸入の問題でございますが、外務大臣からお答えがありましたけれども、これについて朝鮮米等の問題についてもお話がありましたから、あらためて申し上げますが、朝鮮米の輸入につきましては、たびたびこれは朝鮮当局と折衝いたしましたが、私たち農林省といたしましては、現在朝鮮側において要望しておられまする百八十五ドルの価格では高過ぎるということで、われわれといたしましては、もう少し値段の安いことを希望する。この機会に申し添えておきますが、私たちはむろん貿易上の点も十分考慮しなければならぬことは申し上げるまでもありません。東南アジア方面との関係においても、そういうことは十分勘案せらるべきことと考えるのでございますが、農林当局といたしましては、食管会計もしくは国内食糧の配給をするという立場において、適当なる品質のものをより低廉にこれを入手できるということの基礎の上に立って私は考えたいと思うのでございまして、それを貿易態勢でありますとか、その他の国際外交上の問題とかいうようなことを他のそれぞれの所管大臣と十分協議いたしまして、結論を出していくことが妥当であろうと思いますので、私は朝鮮米につきましては、ただいま申し上げますように、まだ現在朝鮮側とわが方との間に価格の点において折り合いがつきません。これはほかに全然、あれはありません。価格の点について意見一致をみませんので、これはまだ契約になりませんが、価格の一致をみれば、なるべく買いたいと私は考えております。で、それは決して余剰農、産物受け入れの事情のために、この問題をきめないのではないのでございまして、この点は御了解を願いたいと思います。さらに輸入する船のことについてお話がありましたが、これは御承知通り、半分は日本船を使い、半分はあちらの船を使うことになっておりますが、その際に、船賃が高ければ、その差額はさらに米国側と協議をしてしかるべくこれはお考えいただくということになっておりますので、決して御指摘のようなことはないと思うのであります。  最後に、酪農業の問題についてのお話がありましたが、酪農製品を、これは現在の日本の酪農事情にかんがみて、これについて十分、安いえさを入れた方がいいじゃないかという御意見でごさいましたが、ごもっともに考えるのでございますけれども、御承知通り、飼料は決して今日、安い飼料が外国にもあまりないのでございましてそのために今年度の予算においても処置いたしておりまする通りに、ふすまの輸入に四億程度のものを、これを政府が補給しなければいかんだろうというような実情にあるのでございます。しかし、どこまでも私たちといたしましては、十分安い飼料を入れてそうして国内で酪農業の発達のために努力することは申し上げるまでもありませんが、現在の段階におきましては、また適当なものを入れる、これによって全国の学童諸君の食生活改善の基本を、ここに養成して参りたいというような意味から、学童用の酪農製品については、これを先方から入れるということは、決して間違ったことではないと思うのであります。ただその過程におきまして、一部別のルートにこれが流れることが、わが国需給を乱すというような結果になりまして、遺憾の点も過去においてありますので、今回特にこの点について、政府におきましては処置をいたしまして国内の酪農製品の一部買い上げを行いましてそれと輸入するものとを適当にこれをバランスして配給するというようなこと等によって善処できるという考えでございます。(拍手、「大麦の問題は」と呼ぶ者あり)  一つ大麦の問題について落しましたが、大麦につきましては、これは現在の食生活改善等の関係からいたしまして御指摘のように、水田裏作の大事を奨励することはどうだということは、もちろん私もその通り賛成に思いますが、さしあたりといたしましては、現在程度の量が必要であるということでやっておる次第でございましてその点は御了解いただきたいと思います。    〔国務大臣一萬田尚登君登壇
  30. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) MSAに基きますところのいわゆる小麦借款のうちで、贈与を受けました一千万ドルの使途についてお答え申し上げます。  これは経済的措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定によりまして贈与の総額は一千万ドル、三十六億円を限度とする、こういうことになっております。二十九年度中に実際に資金の交付を受けました額は約九億一千万円であります。これはすでに日本開発銀行に貸し付けまして、日本開発銀行から設備資金として防衛産業に六億三千五百万円、並びに防衛に関連をいたします産業に二億七千五百万円を融資いたしております。今後アメリカ側から贈与をされる額は、限度の三十六億のうちから、今申しました、すでに交付を受けた九億一千万円を引きまして、二十六億九千万円が限度となっておるのでありまするが、これが使途、配分につきましては、目下検討中でありましてなるべくすみやかに決定をいたしまして、それぞれ融資をいたしたい、かように考えております。(拍手)    〔国務大臣石橋湛山君登用〕
  31. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) すでに総理大臣その他からのお答えで尽きておると思いますが、しかし簡単に御質問に対してつけ加えることにいたします。  一つは、生産性本部の問題は私の方にも関係がございます。これは決して軍需とか何とかいうことには関係ございません。民間の仕事として現に石坂泰三君が会長となって生産性本部を作りまして、民間の仕事として種々なる産業のチーム、その中に中小企業等も含まれておりますが、チームを作りまして技術あるいは経営の方法等について、アメリカに対してそれらのチームを送って先方のいろいろの点を研究する。あるいはまた先方から専門家を頼んで参りまして、日本の産業の向上に資するという一般的の目的でございます。特に軍需産業というものに関係はございません。  それから小麦のことは、小麦だけじゃございませんと思いますが、小麦その他の農産物輸入する先をなるべく広く分散をして、日本輸出に寄与するようにすべきではないかというような御趣意のお尋ねがありましたが、これはむろん私どもとしては極力それをやっておる次第でございます。ただ農産物については、いろいろ研究してみますと、案外に、たとえば米にしましても、東南アジア方面からできるだけ輸入をしようということで努力いたしておりますが、先ほど朝鮮米については農林大臣から答えられた通り、昨年末以来、われわれとしてはぜひ輸入して、朝鮮の貿易を大いに再開したいということでいろいろの、むしろ日本としてはできるだけの譲歩をしましてやるつもりでおりましたが、わずか、その価格のことでどうしても話がつかぬというような点があります。また、そのほかの地域の米につきましては、調べてみますと、案外その品質、数量が先方にない。こっちで輸入しようと思う、ちょうど日本食糧に適当するような品質のものが、日本で欲するだけの数量がないというのが事実であります。むしろ日本としては、先方で供給できるだけのものは、ほとんど全部、今年度のごときは輸入するという建前で、今貿易計画を立てておるような次第でございます。御懸念の点は十分に注意してやっているつもりでありますから、どうぞ御了承を願いたいと思います。
  32. 河井彌八

    議長河井彌八君) 木村禧八郎君。    〔木村禧八郎君登壇拍手〕     —————————————
  33. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私は本協定をいい悪いという立場をきめる前に、まずこの協定がほんとうに日本経済のためになるのか、ならないのかということをはっきりさせたい。そういう点から質問いたしたいのであります。その前提に立ってまず大蔵大臣に、今、日本外貨事情外貨ポジション、日本はどのくらいの外貨を持っておるか、そうしてその外貨はどういうふうに運用しているか、いかなる外国の銀行に、あるいは定期預金あるいは当座預金等によって何分の利息で、どういうふうに運用しているか、その外貨ポジションと、その運用の状況についてまず詳細に御報告を承わってから質問に入りたいと思います。    〔国務大臣一萬田尚登君登壇拍手
  34. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えを申し上げます。  まず、外貨の保有高でありますが、本年の五月末、これは推計になりますが、これは最近でありますが、五月末のわが国外貨保有高は約十億九千七百万ドルであります。この内訳は、米ドルで六億三千三百五万六千ドル、英ポンドをドルに換算しまして二億八千五十六万ドル、オープン勘定で一億八千三百八十一万一千、合計約十億九千七百四十二万七千ドル、かようになっております。  この保有外貨をどういうふうに運用しておるか、運用方法についてお答え申し上げます。本年五月末の現在で、大蔵大臣保有外貨の十億九百四十六万五千ドルのうちで、オープン債権を除いた米ドル五億六千四百十九万五千ドル、英ポンド九千三百二十七万、一千ポンドでありますが、この運用はそれぞれ次のようになっております。  まず米ドルで、当座預金で一億百三十四万四千ドル、これが約一七・九%。定期預金で四億ドル、邦銀、日本の銀行に預記してあるのが四千七百八十万ドル、有価証券で持っておりますのが千五百五万一千ドル、これが七二・一%を占めております。合計しまして五億六千四百十九万五千。  今のは米ドルでありますが、英ポンドは、当座預金で三千百八十六万二千ポンド、通知預金で四千万ポンド、日本の銀行に預託してあるのが一千五百四十五万五千ポンド、証券が五百九十五万四千ポンド、計九千三百二十七万一千ポンドになっております。比率は、当座預金で三四・一%、通知預金、邦銀、証券を加えて六五・九%、かようになっております。  なお、大蔵大臣保有外貨中、定期預金、証券投資の利回りでありますが、米ドルにおきまして定期預金は九十日で一・八分の三%、証券が平均二%の利回りであります。英ポンドでは通知預金で、これは七日でありますが、二・二分の一%、証券が三十二分の二九%、かような利回りになっております。  なお、大蔵大臣の保有しておりまする外貨の邦銀と外銀との頂けの状況ですが、これは邦銀の方が約四五%、外銀の方が五四%というふうな割合になっております。    〔木村禧八郎君「当座についての利息は」と述ぶ。〕    〔国務大臣一萬田尚登君登壇
  35. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 当座の利息、これはありません。    〔木村禧八郎君登壇
  36. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 総理大臣にお伺いしたいのですが、ただいま大蔵大臣が御説明になりましたように、日本は今十億ドル以上の外貨を持っておるわけです。昨年度輸出超過によって、三億四千四百万ドル外貨をふやしたのであります。それでその運用状態は、大蔵大臣が御説明になりました通りドルで、無利息の当座預金として一億三千余万ドル、無利息で外国の銀行に預けております。四億ドル定期では一・八分の三%、そういう利息で頂けておる。またこれはポンドにおいても同様であります。このようにたくさんの外貨を無利息ないしは一分七厘五毛で運用しておるのです。そうしておりながら、どうして、先ほど経済審議庁長官がこれは金利は安いのだと言いましたけれども、二分以上です。ただでもらう分を平均しても二分以上なんです。そういう必要が一体ございますか。しかも輸出超過になると通貨はふえますから、そういう場合には、輸入をはかって、通貨調節にもやはり外国から食糧を買った方がいいのです、日本の持っておるドルで。その方が経済の調整にもなるのです。ところが、たくさんの外貨をただ同様に使っておる。こんな貧乏な日本においてですよ、こんな不経済な運用をしておるのです。それで高い利息を払って小麦を買う。これで経済になりますか、日本経済にとってプラスになるでしょうか、この点一つ伺いたい。  それからもう一点は、自由党内閣アメリカ小麦を買おうとしたときと条件が違っちゃっておるのです。私は決して非難したり攻撃したりする意味で伺うのじゃないのです。国民にほんとうに利益になるかどうかをこれは判断する材料として総理もよく聞いていただきたい。党派的立場で聞いておるのではないのです。こんな貧乏な日本でこんなむだな経済をやったのでは、日本の自立経済も国民生活の安定もできません。そういう意味で伺っておる。それは、自由党内閣のときに吉田さんが小麦を買おうとしたときと、事情が違っておる。第一は、外貨ポジションが、今大蔵大臣が言ったように、外貨がたくさんになってきた。輸出超過になってきた。あのときはそうではなかった。外貨は不安であった。変化が来ました。もう一つは、先ほど東君も質問しましたように、買手市場になってきた。あの当時と違って世界の食糧事情が変ってきたのです。無理に買わなくたって、そんなアメリカから借金して買わなくてもいいのです。ゆっくり待っていれば、安く買えるのです。食糧事情は、需給関係が変ってきた。そういう事情にあるわけです。従いましてそういう面からいっても、これは前の行きがかりはあるかもしれませんが、私はこういう農産物協定というものは、日本経済にとってプラスではない。この意味で総理大臣にお伺いしたいのです。先ほど総理大臣は利益であるというふうに言われましたが、提案理由でもそう言っておりますが、これはほんとうにそんな党派的立場とかあるいは行きがかりにとらわれないで、一つ総理大臣、ほんとうに考えていただきたい。そういう立場で御答弁願いたい。  それから食糧の自給度を向上させると言っておりました。そのつもりであると言いました。農林大臣が言ったのです。ところが、三十年度のこの予算に出てきておる食糧増産費はどうでございますか。食糧増産費は減っておるのです。これでどうして食糧の自給度向上になりますか。なぜ減ってくるかといえば、アメリカとの普通の予定輸入計画の上積みとしてこれを輸入するために、日本小麦生産を減らすか、アメリカ以外の国からの輸入を減らすか、どちらかにしなければこれは需給関係がつかないのです。そこで、なるほどこれは日本食糧需給計画は崩壊しません。混乱しませんが、しかしそのシワは日本食糧増産を怠ることになり、食糧増産費を減らす、そういう面で食糧増産は積極的ではありません。経済総合六カ年計画による食糧増産の数量と三十年度の増産の数量とは、五十万石以上相違が出てきているではありませんか。狂いがすでに生じてきているのです。ただいま違ってきている。それはアメリカの余剰小麦輸入するために、日本食糧増産を押える、と同時に、アメリカ以外の国から食糧輸入する。しかも、アメリカから輸入する小麦は品質は、これは農林大臣、品質はソフト系でございます。御承知のように、農林省の方から伺いましたが、小麦にはソフト系とセミ・ハードとハード系とがあって、ソフト系だけではいいパンができない。アメリカのソフト系ばかりたくさん輸入したら、いいパンができない。どうしてもアルゼンチンその他のハード系、あるいはセミ・ハードを輸入しなければならない。ところがアメリカのソフト系ばかり輸入してしまって一体どうする。食糧増産の点とその品質の点について、これは農林大臣に伺いたい。総理大臣にはほんとうに日本経済のためになるかどうかを、十分これを判断とてプラスになるというなら、どういう点が利益か、積極的な点をお伺いいたしたいと思います。  それから外務大臣には、この協定の七条に書いてありますが、協定の実施のため必要な細目取りきめの内容、それから付属文書というものがつくと思うのですが、その内容を承わりたい。これを伺っておかないと、この内容に、細目取りきめや付属文書の中に、さきほどこれは清澄氏が心配しましたように、この五四年農産物処理法の三百四条によります、さっき外務大臣が言われました、あの日中貿易を阻害するような取りきめが中に行われないとも限りません。それからアメリカから輸入したものをよそへ輸出しちゃいけないという場合ですね。それから共産圏から輸入したものをよそへ輸出しちゃいけない、この点については心配ないと言いますけれども、現にこういう協定は原産地証明が厳格になると思うのです、原料のですね。それから綿花でも、あるいは食糧小麦アメリカから輸入して、よその国へ再輸出する場合区別がつきますか、これは米綿か、エジプト綿か、インド綿か。そういう例が現に中国から輸入して豚毛、カシ、カシミヤについて、アメリカは厳重にこれを原産地証明を要求します。そのために貿易が阻害された例がある。その場合にアメリカが、日本がある国に輸出したその製品の使った原綿は、これは援助によるものであるかということを言われた。かりにそうでなくても、今度は原産地証明されましたら困る。非常にこれは貿易を阻害すると思う。かりにそうでなくても、あるいはそういう口実を設けて、アメリカが中国に対する綿製品の輸出なんかを禁ずるような例なんかも起らないとも限りません。そういう意味からその細目取りきめの内容、付属文書等についてこれをあらかじめ明らかにしていただきた、そうしませんと、とんでもないことになる。それがわからなくて、これを国会承認しますと、われわれ責任持てなくなりますから、まずこれを伺ってから態度をきめたい。  それから時間が参りましたので、個条書き的になお簡単に外務大臣に伺います。第二には、本協定三条の児童に贈与する千五百万ドル贈与分の条件、第三は、第六条の二項の余剰農産物処理法百四条の規定に合致する経済開発のため、合意された目的の範囲といいますか、目的の範囲というのは何か……。
  37. 河井彌八

    議長河井彌八君) 木村君時間がきましたから……。
  38. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君(続) アメリカ余剰農産物処理法と本協定との関係、そういう諸点についてお伺いしたいと思うのです。(拍手)    〔国務大臣鳩山一郎君登壇拍手
  39. 鳩山一郎

    国務大臣(鳩山一郎君) 木村君の御質問に対してお答えをいたしますが、お答えをいたしますけれども、先刻いたしましたお答え以上には、できないのです。詳しいことは大蔵大臣からお開きとり願いたいと思います。私は、輸入しなければならない綿花や食糧等を、円貨でもって、かつは七割までを長期借款輸入ができるということ、それによって経済発展に利用かできるということは、わが国経済利益なりと思ったのであります。詳しいことはどうぞ大蔵大臣からお聞き取り願います。(拍手)    〔国務大臣一萬田尚登君登壇拍手
  40. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 外貨ポジンョンから見ましての御批判でありますが、先ほど御報告の中に相当な金額が、無利息の当座預金に置いてあることは、御報告通りでありますが、これは日本貿易を運営していきますために日々に要ります決済の資金であるのでありまして、これは商売の上で当然こうあるべき、ことであります。なお、外貨の手持ちが相当、十億以上にかえております。しかしこれについては安心していいというようなふえ方でないことも、十分御承知下さっておることと思いまして今日この十億程度持っていますこの外貨で安心ができるとか、多いとかいうようなものではないのでありまして、私の考えでは、せいぜい今日の貿易を運営する、まあある意味において最低的なもの、むろん十億の金額の中には、いろいろな債権的なものもありますので、実際運用し得る外貨というものは、十億ではないのでありまして今日の状況では、私はそう多過ぎるとかいう状況ではありません。また他面、日本外国から食糧輸入せんでよい状況下にありますれば、これは私は十分別個の見地に立つのでありますが、今日御承知のように、年々やはり三億ドルから四億ドルに及ぶ食糧輸入というものを必至にいたしております。そうしてみると、やはりこの輸入条件がよろしいとかどうにとかいうことも、私は一つのやはり問題になってくると思います。今回のように、相当贈与分もありうかつ非常に長期にわたる、それでこれが平和的な電源の開発、あるいはまた食糧の増産、農地の開発、こういうものに非常に長い四十年にわたる長期にわたって使うことができるとすれば、こういう方法で資金の調達をする可否については、私も意見がありますが、今日、日本の現状におきましては、農業の開発というものにはどうしても金利が安くてかつ長期のものが、これは財政資金を投入すべきでありますが、今日、日本の財政が許しませんから、そういう意味合いにおきまして、こういう資金ができるということは、私は程度の問題もありますが、歓迎してよろしい、こういう見地をとっておるわけでございます。御答弁をいたします。(拍手)    〔国務大臣河野一郎登壇拍手
  41. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えをいたします。  今回予算が自民両党によって修正せられました結果、食糧の自給態勢を確立する上におきまして、私たちは明年度において相当に積極的にやるが、今年度は予算の性質上、しばらく農地市長等においてがまんするものもあるという建前でありましたが、ただいま申し上げました通り、修正によって相当増額せられて参りました。これらをすべて勘案して参りますると、ただいま御指摘になりましたように、三十年面におきましても、すでに前二十九年曲と同様の程度に行けるようになることでございますし、さらに先ほど申し上げました通り、六カ年計画の目標の数字におきましては、総合的に食糧の自給度を増して行くということにいたしておるわけでございます。その他詳細はまたいずれ別の機会に申し上げようと思いますが、さらに米国から輸入いたします小麦の質について御指摘がありました。たしかにそういうきらいのあることは私も聞いております。しかし、これはさればと申して、それは国内のパンの製造に非常に不適当である、どうにもならぬと一部の製粉業者等はいろいろ申しますけれども他の半分以上のものを輸入いたすものについて十分勘案いたして参りまして、そういう点のないようにいたして参りますれば、支障を来たさないのではないかと考えておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣重光葵登壇
  42. 重光葵

    国務大臣重光葵君) お答え申し上げます。  細目協定はどういう意味であるかというお話でございましたが、細目協定は、この協定を実施するに必要な事項、たとえば農産物買付、円貨積立の具体的な手続、現物贈与分の受け入れに必要な手続、その他の細目をきめることを考慮して予定されておるのでございます。従いましてこれを一本にまとめるということはむろんできませんので、そのつど必要な場合に、これらの事項について打ち合わせをして、手続を明確に規定する、こういう予想をいたしておるのでございます。  それから、先ほど御説明を申し上げたことに関連をいたしまして、農産物を、たとえば中共から買い入れた場合に原産地証明等の要求があって、貿易を阻害するようなことはないかという御心配でございました。そういう場合はほとんどないかと思いますけれども、原産地証明の問題は、硫球貿易においても問題が起りました。それで、起らないとは限りません。しかし、わが方といたしましては、正当なかような貿易、この協定趣旨にも反していないこの貿易につきましてはさような原産地証明等の要求を受けますような場合においては、十分これに対処しまして、先方と交渉しまして、正当なわが方の貿易に差しつかえのないように善処したいとこう考えております。  それから第六条でございましたか、それに「合意された目的の範囲」とあるのはとういう意味かというお尋ねでございましたが、第六条の「合意された目的の範囲」それは電力資源の開発、二が灌漑、排水、開拓並びに関連事項、三が日本経済の生産性増進、この三つのことでありますが、これらの事項の遂行のための範囲内においては、日本側において自由に、自主的にこの借款額を使用することができることに相なっております。以上、お答え申し上げます。(拍手
  43. 河井彌八

    議長河井彌八君) これにて質疑の通告者の発言は、全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  44. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第二、博物館法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたします。  まず委員長の報告を求めます。文教委員長笹森順造君。    〔笹森順造君登壇拍手
  45. 笹森順造

    ○笹森順造君 ただいま上程されました博物館法の一部を改正する法律案につきまして文教委員会における審議の経過並びにその結果を御報告いたします。  まず、政府の本法案提出の理由を申し上げますと、去る昭和二十六年十二月に博物館法の制定を見、翌二十七年三月より実施されましたのを契機として、博物館の建設と内容の整備が著しく促進され、その教育活動の充実とともに、国民生活の向上に大きな寄与をしておりますけれども、さらに各種博物館の振興をはかり、学芸員の充実を期するためには、現行法の一部を改正する必要を生じたということであります。  次に、改正の骨子について申し上げますと、その主要点は、従来学芸員の資格取得の方法の一つとして講習による道が開かれてありますが、わが国の博物館の実情に応じて博物館職員の学芸職員資格取得の便宜をはかり、学芸員の充実を一そう促進するため、講習制度を廃して文部大臣の認定制度に改めようとするものであります。なお、この改正に関連して、現行法を整備する必要から二、三の事務的改正をもあわせて行うものであります。  委員会におきましては、各委員よりきわめて熱心な質疑がありました。そのおもなるものは、博物館利用者の状況、学芸員の実数及び将来の充実計画、博物館の入館料徴収の問題等でありましたか、なかんずく学芸員の資格取得を認定制度に改めることにより、その質的低下を来たす憂いはないかという点については、各委員からこもごも質問がありました。これに対して政府から、「いまだ受講していない者に対する勉学上のテキストブック、参考書等も、すでに完備しており、かつ未受講者の大部分は、すでに講習を終った学芸員とともに実務に携わって、その指導を受けている現状であるから、認定制度による資格取得のために質の低下を招くおそれはない」との答弁がありました。  質疑を終了して討論に入り、荒木委員より、博物館の大衆化をはかること、入館料はこれを無料とする法の趣旨に沿い、特に修学旅行の際等は十分考慮することの希望を付して賛成意見が述べられ、続いて吉田委員からも、将来学芸員の質の低下を来たさないように留意することの希望を付して賛成討論がなされました。かくして採決の結果、全員一致をもって、本法案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。右、御報告いたします。
  46. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  47. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。  本日の議事日程は、これにて終了いたしました。  次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時一分散会      —————————— ○本日の会議に付した案件  一、新議員の紹介  一、常任委員の指名  一、日程第一 農産物に閲する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件(趣旨説明)  一、日程第二 博物館法の一部を改正する法律案