○山本經勝君 私は
日本社会党第四控室を代表いたしましてただいま
議題になっておりまする
石炭鉱業合理化臨時措置法案につきまして
鳩山総理大臣以下各
関係大臣に御
質問を申し上げます。
まず、
基本的な問題といたしまして
総理大臣にお伺い申し上げたいのは、過ぐる総
選挙の際に民主党が公約し、また第二次鳩山
内閣が組閣されました際にも明らかにされました経済六カ年
計画に基く
日本経済の再建に関してでございます。これはたびたび強調されて参りましたように、拡大均衡方式を推進するのである、こういうふうにおっしゃっておったわけでございますが、この拡大均衡経済の方向という
基本方針と、当面する
石炭の
実情を打開するための
合理化方式とは、全く首尾一貫しない観がございます。そこで、この点をまず
総理大臣にお伺いするわけでございますが、これにつきまして理由を申し上げますと、
石炭は御
承知のように、原料として、また燃料として、
国民生活と密接な
関係があることは周知の
通りでございます。しかも一方、右炭を
採掘するために必要な機械、器具、鉄材、木材、または坑木、こういったような広範な資材、機械、器具を必要といたしますので、これをさらに運搬をし、鉱山に運び込み、そうしてさらに
石炭を積んで運び出すこれらの鉄道、船舶、こういったものを引っくるめて見て参りますというと、文字
通り日本経済
産業構造の中で重要な地位を占めておる
石炭産業であるということは、あらためて申し上げるまでもございませんし、先ほど
通産大臣のお話の中にも、このことは指摘されているわけでございます。ところが一昨年、二十八年でございます。下期から以来現われて参りました
石炭界の
不況、きわめて顕著に現われて参った上げでございますが、こういう
石炭不況が、どういう
状態でこういうことになってきたかということについてでございますが、実態を見て参りますと、昨二十九年中に二百数十に上る
炭鉱がつぶれました。そうして二十八年から九年にわたる二年間に、大体八万人に上る
炭鉱労働者の
失業者を出しました。そうしてまた
賃金不払い等、先ほど一松さんのお話にもありましたが、非常に苦境に立っておるわけでございます。そうして
未払い賃金にいたしましても、大体昨年最も多い時期には、二十億に達していたと記憶しておるわけでございます。そうして、また一方、こういう状況のもとでございますから、欠食児童が一番多いときには一万数千人に上っております。それからまた人身売買といったような、まことにゆゆしい
社会問題にまで
発展したわけでございます。この原因についてはいろいろありましょうが、結局、利潤の追求のみにきゅうきゅうとしておって、大局を忘れておったというような
石炭産業に従事しております
従業者自身の反省を必要とするというような点も見のがしてはならぬことであろうと
考えるのでございますが、何としても
重油転換政策の奨励、
政府のとっておいでになりました一連の政策の影響というものは見のがせないものであると
考えております。さきに申し上げましたように、
日本経済
産業構造の中で
基幹産業として重要な地位を占める
石炭産業が原始
産業であり、地下に広がっております炭層を追って
採掘をするというのでありますから、年々歳々その
条件は悪化するというのが自然の勢いでございます。その点は他の製造工業などと非常に違った特殊の
条件を持っておるということでございます。ましてデフレ政策という、いわゆる財政引き締め、あるいは投融資の引き締め等が強力になされました
関係上、一般の中小民間
企業の不振と萎縮といいますか、あるいはまた半面では、特需を中心にした大
企業の独占集中の過程が急速に進行いたしまして、原料生産である
石炭産業の弱みから、最も大きくしわ寄せを
炭鉱に受けた。その結果が今日現われております
需給のアンバランスというのではなかろうかと
考えられるわけであります。
そこで今日まで
政治的ないろいろな惰性もありますが、これらの惰性を打ち破って、どうしてもこの際もっと広い
見地から、全
日本の
基幹産業を大きく見直していかなければ、
日本の再建にならぬのではないか、さように
考えるわけでございますが、特にガス、電力、肥料など広く
国民の経済活動を活発にして、
国民所得の増大をはかるというような政策が行われますと、おのずから
石炭の
需要は増大する結果となる。私は鳩山
内閣が強調して参られました拡大均衡経済という方向については、大きく期待をかけておったわけでございます。ところがいわゆる経済六カ年
計画というものの中身を
検討して、参りますと、先ほどからのお話もありますように、全く具体的な施策に至っては見るべきものがないという点で、きわめて失望をいたしておるのでございます。その経済六カ年
計画の一環をなしておりますところの本
法案についてみますと、一口に申し上げますなれば、単に不良
炭鉱と申しますか、大体中小
炭鉱が中心になると
考えられますが、年産三百万トン程度にあたる中小
炭鉱を買い上げて、これを閉鎖し、そして生産を
制限するということが中心になっておるわけでございます。これは先ほどから申し上げますように、拡大均衡を中心とした方向であるならば、当然
石炭産業並びに鉄鋼、化学肥料、ガスあるいはその他関連する
産業あるいは
石炭を必要とする
産業という広い範囲において拡大生産を目標にされねばならぬと
考えるのでありますが、この点におきましては全く反対で、縮小生産の方向をとっておられる。このことが
基本的な拡大均衡経済を目標とした六カ年
計画の方向という、つまり
内閣の持っておられる
基本方針と、現実に行われております
石炭企業の
合理化あるいは
石炭鉱業臨時措置法として
合理化を目ざしておられる方向とが、全く一貫性がないということでございます。この点について
総理大臣の明確な御答弁をお願いしたいのでございます。第二の点といたしまして、同じくただいま申し上げましたこととも直接関連を持っておりますが、経審長官の方にお願いを申し上げたいのは、
昭和二十二年と記憶をいたしておりますが、戦後の廃墟の中から
日本の復興を推進するためには、何をおいてもまず
石炭であるということが強調されたことは、まだ記憶に新しいところでございます。そこで当時四千万トンの生産目標を立てて、昼夜兼行で強力に
増産が推進されたわけでございます。二十五年になりますと、さらにそれが五千万トンの目標に変り、それからこれら
増産をはかるために必要な
資金の問題にいたしましても、
合理化資金というのを出しまして、莫大な額を投じまして、そうして
増産々々という合
言葉のもとに生産が推進されたわけでございますが、二十六年になりますと、がぜん
重油転換が奨励されるような
事態になって参りましてそこで七年、八年と、その
状態は継続され、そうして三十年の今日になりますと、
石炭の生産の
制限という
状態が現に現われて問題になっておるわけでございます。こうして見て参りますと、燃料とし、あるいはエネルギーといたしまして、
石炭に対する政策、さらに広範に申し上げますなれば、
石炭のみでなくて、石油、ガス、あるいはその他関連する一連の総合的な燃料の政策というものに全く一貫性がないということでございます。そうしてこうした
状態がすべて鳩山
内閣の
責任であるとは私は申し上げませんが、少くとも
政府としていわれております拡大均衡経済の推進をしようという建前から
考えられるとするならば、単に
石炭をどうするかという問題ではなくて、総合的な熱エネルギーに関する一貫性のある国策が樹立されなければならない。またそれが当然のことと
考えておるわけでございます。聞くところによりますと、閣議においては国内で生産されまする熱エネルギー資源の有効利用と
外国から輸入されますところのエネルギーの
関係を調整することを建前といたしまして、
石炭、石油、天然ガス、都市ガスなどの
長期総合
計画が決定になっていると聞いておるのでありますが、もしそうだといたしますなれば、その
計画についてこの際、経審長官の方から全貌の御
説明をお願いし、あわせてその財政的な裏づけをいかようにお取り計らいになろうと
考えておられるのか、この辺も懇切な御
説明をいただきたいのでございます。
次に第三点でございますが、総理にいま
一つお伺いを申し上げたいのは、さきにも述べましたように、
石炭産業が
日本の国家資源であるという点、かつこの開発
施設は国家の財産であるといわねばならないと
考えるわけでございます。これが現在、アメリカを初め、国外から輸入されるところの
重油によって消費分野がはなはだしく侵食され、縮小されておることは見のがせない事実でございます。しかも今日の国際
社会においては、輸入の途絶というようなことや、あるいはまた
価格の変動等が保証できないということは、常識的に
考えても明かなところでありますので、
外国依存の危険から国内
産業を守る、そのために関税等の方法、あるいはその他いろいろな保護政策があるでありましょうが、それらの保護政策を強化するお
考えはないか、この点をあわせて総理にお伺いを申し上げる次第でございます。
第四に、
通産大臣にお伺い申し上げたいのでありますが、通産省では
昭和二十七年以来、都市ガス化の
計画を推進されてきたのであります。現在その進行状況はどういう実態になっておるかということについて、詳細に御
説明をいただきたい。この都市ガス化の問題は、一般家庭燃料の
合理化として
国民経済に大きな役割を果すというばかりでなく、従来使用されて参りました薪炭の大量消費ということのために、山林が乱伐され、そうして治山治水に重大な影響を与えておることは申すまでもないのでございます。ことに
日本のように毎年ほとんど定期といってもよいような形で、夏季ともなりますというと、台風、あるいはそのために豪雨というような災害に見舞われまして、農業といわず、あるいは工業といわず、あるいは一般市民に至るまで非常な被害を年々受けて参っておるわけでございます。こうした
状態は、いわゆる山林の乱伐という結果から生まれたことであることも、
一つの重要な要素であろうと
考えられるわけであります。
また、いま
一つ、目を転じまして、
日本は火災の国といわれます。年々莫大な国帑と申しますか、国家の財産が烏有に帰しておるわけでございます。この火災の原因を一応大ざっぱに見て参りますというと、大部分が失火のようであります。そうしてこの失火が、六炭あるいは練炭等を使用いたします火鉢とか七輪、あるいはまきを使用いたしますところのかまど等の火の不始末によるという出火がその大体半分を占めるといわれております。これはこの火の取扱いについてガスと違いまして、非常に、消したと思っていても消えていなかったりするというような取扱い上の不便さからくることが大きな原因となると
考えるわけであります。で、こうして
考えてみますというと、家庭経済の面から申しましても、木炭、石油の混用とか、あるいは木炭ばかりを使うとか、あるいはまきばかりを使っておるというような形におきましても、ガスと比べますというと、どうしてもガスが一番安くつくという現在の
状態から
考えまして、家庭経済上から見て、何といっても家庭のガス化ということは非常に重要なことである。しかもこれは多くの都市住民が熱望しておることである。それからまた目を転じて今申し上げましたように、国家的な災害の予防という
見地もまた重要なのでございまして、年々こうした
見地から、
需要の増大の方向にあるということがいわれております。また通産省当局の御
説明によりましても、やはりガスが
需要増大の方向をたどっておるということは明らかにいえるのでございます。ところが、このガス
事業が公益
事業という形でありながらも、一部に独占されておるということを見捨ててはならぬこれは重大な問題でございます。従って今申し上げましたような
実情のもとで、一般的に普及の重大な障害になっているのは、このガス
企業が各地方にありまして、それぞれ公益
事業として独占化されておる、こういうところに大きな問題があるのではなかろうかと私は
考えております。私の出身地でございます福岡県で最も人口の密度の高い十一の主要都市について調べたわけでございます。約四十一万世帯に対しまして、西部ガスが供給いたしております世帯数はわずか七分の一、四十一万戸に対する七分の一の六万一千戸でしかないわけであります。そこで私は市民の声を聞いてみたわけでございますが、やはりガスが安くつく。それでガスは引きたいのであるが、申し込むというと、いわゆる前金でもって引込料金というのをとられる、それは大体平均五万円といわれるのでありますが、その場所によりまして十万円かかるところもある、十三万円かかるところもある、あるいは三万円くらいで済むところもある、こういうような
実情なのであります。そこで一方、こういう金が差しあたりどんどん出せるほどなれば、窮乏という
言葉も消えてなくなると
考えるのでありまするが、申し上げまするような
状態のものではなかなか簡単に申し込んでもつけてくれないし、またつけるための申し込む金がないと、こういうような
実情にある。それから一方がガス会社に言わせるなれば、世帯数を増すだけではコークスの処理に困る、結局引き合わない。引っ込むのについても、機材、工事費等、経費の面で、
資金の
関係もあるのだ、従って現在が能力の限度であるというふうに言っております。大体一戸平均、今申し上げましたように引き込みのための前納する金は五万と申しておりますが、これは平均でありますので、先ほど申し上げた
通りで、こう申し上げてみますというと、
一体この熱望されている家庭ガス化、あるいは都市における家庭のガス化という切実な要望が実現できないところの隘路がどこにあるかということは、おのずから
通産大臣におかれましても御理解いただけるかと
考えます。
そこで
通産大臣に所信をお伺いしたいのは、通産省の言っておられます都市ガス化五カ年
計画の有効な
実施のために、この際次のようなことを私はお
考え願いたいと思う。都市住民の熱望にこたえて、当該地方の公共団体をして家庭のガス化、あるいはガスを供給するために必要な
施設を作る、投融資等によってのこのガス化を助成される
考えはないか。現在通産当局が言っておられますようにガス化が進行しておりますし、またガス化の希望を持っておられるが、ただ現在のようなガス
企業の形態をそのまま存続しておいたのではとうてい、先ほどから申し上げるように、この隘路は打開できない。従って地方公共団体、あるいは新しい
企業でもよければ、また
炭鉱経営者自身にそうした投融資の道を開いてガス化の
計画をする、こういうことはお
考えになれないものなのか、これは真剣に
一つお
考えになっていただきたいし、またその所信を伺いたいわけでございます。そういたしますれば、
石炭石炭というので、先ほどから
石炭を
救済するというようなお話もありましたが、
救済をしてもらわなくても、おのずから
石炭を
増産しなければならないということになって参ると
考えておるわけでございます。
また同じく通産省で御
計画になっております、すでに
実施中であります電力の問題にしても同様でございます。さらに私はここで付け加えて申し上げておきたいことは、硫安あるいは尿素、こういった肥料でございますが、これも御
承知のように大
企業の独占的な
経営にまかされておる。そこで中国を初め、東南アジア諸国における硫安並びに尿素の
需要というものは非常に大きなものであります。その輸出が期待されておるにもかかわらず輸出ができない。また国内におきましても、農村の食糧
増産のためには、どうしても安い肥料が豊富に提供されなければなりませんが、これまた申し上げますような、いわゆる硫安会社の協定に基いて、適当に生産を調整し、
価格を維持するという独占的なやり方がやられている。この
産業部門はこれまた
石炭を非常に必要とするわけでありまして、こうしたいわゆる
国民がほしがっているもの、あるいは
国民の経済活動をするための必要な資材を製造する、あるいは材料を製造する業務、
産業をどんどん起すことになりますならば、
石炭はいやでも必要になってくるわけであります。こういう一貫した
一つの総合的な
計画が立てられない限り、個々の、
石炭が困っているから何とかするというような弥縫策でもっては、とうてい当面は乗り切れないのではないか、かように
考えるので、この点について
通産大臣の
責任ある御
所見を伺いたい。しかも、私は今申し上げました
産業今野を拡大した政策を
実施することによって、拡大均衡経済といわれる
内閣の御主張とも一致してくるし、それこそが正しい道であろう。かように
考えるので、その点の所信を伺っておきたいわけでございます。
次に、第五番目といたしまして、同じく
通産大臣にお伺いしたいのは、
竪坑の開さく及び機械化でございますが、今日まで一連の
合理化は一応進められて参りました。必ずしもこれが所期の
目的を
達成していないということは、一松議員の御
質問の中にもお触れになったように
考えておりますが、
竪坑の開発をしない分につきましては、つまり機械化によって今度の
計画で
増産をする、いわゆる能率を引き上げろというのでございます。そこで能率を現在の十一トンから十六トンに引き上げ、
価格の点では二割の
引き下げをやろう、こういうわけのように承わっておるのでございますが、これが労働強化によらずしてこうした事柄が実現できるのか、このような結果が実現できるという科学的な基礎を明らかにしていただかなければならない。今日まで
合理化はいつも労働強化一本やりに終っている。このことは、
関係者のほとんど一致して認めておるところなのでございます。むろん
資金を投下し、そうして機械を入れて
合理化したいということは、いわゆる
企業努力としてなされた分野がないと申すのではない。そのことによって常に人員の余剰を生じ、そうしてそれらの人々がいわゆる首切りとなり、あるいはまた残った人々の労働強化によって、労働時間の点も十分にこの点でお
考えを願わなければならぬ点だと思うのでありますが、こういう意味で労働強化が強制されてきております。そうしてこうした
合理化そのものを推進することは当然必要なことで、
合理化そのものをわれわれが反対しておるのではなくて、心理化によって人員の
整理が起る、そうして労働強化が押しつけられるというところに問題があるのでございます。
〔
議長退席、副
議長着席〕
ですから、そういう意味において特に私はここで
通産大臣に聞いていただかなければならないことは、そのことが労働者、特にあの危険な
炭鉱労働者に対して災害を増大しているという事実であります。こうした無理な人員の犠牲をすることによって、いわゆる保安要員の配置が不十分になったり、あるいは保安
施設の改善が十分でなかったり、こういうことから、しばしばそうした血の犠牲を労働者にしいる結果を作り上げている。このことは見のがすことのできぬ問題でございます。
政府当局もすでに御存じの
通り、先日北海道の大夕張でガス爆発が起ったのであります。そのために四十四名の労働者が死傷いたしました。こういう事実につきまして、その原因を直接私ども、詳細な事実を知っておるわけではございませんが、新聞や現地からの簡単な電話連絡によりますというと、ガスが非常に多い個所ができまして、そこでこれを密閉するということであって、しかもそこの個所はきわめて高温であるということから、密閉をやるので作業中であったと聞くわけであります。このような
状態、特に温度が急に上昇する、極端に一夜のうちに上昇するというのではなくて、徐々に上昇いたしますから、当然だれが見てもわかる
状態になるわけでございます。そこでこれらのいわゆる爆発に至るまで温度が上るまでに、それぞれ
措置を講じ得ると私は
考える。私の二十年の
炭鉱生活の経験から申しましても、そのことははっきり申し上げ得ると思うのであります。ところが、これらの予防
措置を講ずるに必要な人員が配置してあったかどうかということは、非常にこの場合にも問題であると
考える。常に業者は能率を上げることにのみきゅうきゅうとしておりまして、いわゆる人員の削減というようなことを強行するために、保安の軽視が行われたり、いわゆる保安問題を軽く扱っている。そういうことがいわゆる災害を惹起して、大きな事故を起しました
幾多の事例が今日までもあるのであります。
今度の大夕張の問題はともあれ、現在組合からも代表が参って調査に当っておるような
実情でありますが、こうして
考えてみますと、労働者の安全が保障され、そうして労働強化にならない正しい意味における
合理化というものは、どうしたらできるのか。この辺の研究なり
検討を十分通産省においてもなされたことではあろうと
考えます。しかしながら今日までの
状態を見て参りますというと、これはいわゆる場当り的な方法でしがなかったのではなかろうか。先ほどの御
質問なり、あるいは
政府の御答弁の中にも……
政府の方からの御答弁はありませんでしたが、まず現在の
鉱区の分布
状態、あるいは炭田別の
鉱区の分布
状態を見ますというと、先ほどお話の
通り、小さな
炭鉱大きな
炭鉱入りまじっておってそうして
鉱区が輻湊しておる。きわめて複雑な
状態にあるわけなんであります。で、本当の意味において、これを
竪坑を開さくし機械化するというのであれば、少くともこの
鉱区は、いわゆる炭田別に
鉱区を統合
整理されなければならないという点では、先ほどの一松さんの御意見とも全く一致するわけであります。ただしこのことは、いわゆる
日本の
炭鉱の置かれております今日の実態がすでに、前進式採炭といわれる近い所から掘っていく
炭鉱であります
関係上、非常に
状態が悪くなっております。そうすると、いわゆる保坑から坑道維持あるいはその他の経費というものは莫大にかかるから、とても私
企業では事実上できない。そうなると、勢い浮び上ってくるのは、しばしば言われておりますところの国有国営という道が残されておる。で、こうした点につきましては、先日も
通産大臣は衆議院の本
会議におきまして、国営国有、あるいは国管方式をとる
考えはないということをおっしゃっておりますが、こういう
実情を打開するために、多くの
資金を投下し、しかも
失業者を出して、それらを
救済しなければならぬというような
事態になりましたならば、少くともこれに対する、国有国営の形をとらなくとも、
政府資金の投下によって、
日本の
石炭産業が守られなければならないという現実ではなかろうかと
考えます。この点につきまして、
通産大臣の確固たる所信を伺っておきたいわけでございます。
次に第六番目に、この
法案の中身について若干触れた御
質問をいたしたいのであります。
標準炭価と販売統制についてでありますが、
標準炭価を決定する方法というのは、具体的には
一体どういうふうにお
考えになっておるのか。一般には生産原価を基礎として、これに適正利潤を加え、さらにそのときどきの市場の変動や消費
産業の状況等を勘案して決定するというのが、一応の常識なのでございましょうが、これはかつての配炭公団において
炭価を決定する、あるいは買
炭価格を決定するときの困難さを思い浮べてみるというと、これは容易ならぬ、簡単に行く問題では実はないと思います。そこで配炭公団の実例と申しましても、ここでこまかに申し上げる余裕もございませんが、これはすでに
通産大臣も御存じなことなので、その点につきまして、十分自信がおありかどうかということを明らかにしていただければいいと思う。かつ、その決定自身を、かりに
事業団といいますか、あるいは
審議会等においてきめましても、それがどの程度のいわゆる
販売価格の拘束を持つものであるか、ここら辺も、……