○羽仁五郎君 今のお答えについて一言申上げます。
法務大臣は、
法務大臣に就任せられたにつきましては、非常な抱負をお持ちになって御就任のことと拝察をいたします。従って、ただいま私が申し上げました諸点について、それぞれ遺憾である、あるいはそういうものを改善したいというふうにお答えいただいたことは、必ずそれを実行せられるということを私は確信して伺っておきます。
この証拠なくして人を逮捕しているというのは、言うまでもなく盛んに人違いの人を逮捕している。しかもただいま御
説明のようにアメリカの場合、アメリカばかりじゃなく、国際的な慣例で、証拠をもって人を逮捕するというのは当りまえです。それが証拠もなくして人を逮捕していいということは、
予算の面で、あるいは人手の面でやむを得ないという、非常に
検察なり
警察に対してこれは法相として涙をのんだような同情のあるお答えがあったのですが、
日本の
検察官や
警察官があなたの今のお答えを聞いてみずから戦慄して、そうしてその
行為を改めることを私は切望します。国民にかわって……。結局あなたとしては、しかしその足りない
予算の中で、足りない人手の中でそういう重大な人権じゅうりんというものを根絶せられることをお
考えになっていることと信じて、これ以上きょうは伺わないのですが、後に個々の例について御
調査の結果を、そういう証拠なくして人を逮捕していることはないかどうか、あるとすればどういう事例があるというようにお
考えになっているか、それを伺っておきたいと思うのです。イギリスなりアメリカなりでも、ただ金があって、人手があるからできたことじゃないのですよ。これは法相もよく御研究になったことでしょうが、やはり
政府と国民双方が人権を擁護するために、長年かかって非常な努力をしてやったことで、金があって、人手があれば、すぐできるというような簡単な問題じゃない。これはやはり法相が
検察官や
警察官がこの証拠というものについて、どういう
考え方をしているかということに重大な関心を持っていただかなきゃならん。これはしかし申し上げるまでもないことだと思う。なお詳しく御
調査の結果を後に伺いたいと思います。
それから公安
調査庁の先ほどの御答弁は、もう一回御研究願ってからお答えいただきたいと思うのですが、公安
調査庁のなすところの
調査というのは、破壊活動防止法なり公安
調査庁法なり、われわれは
国会において十分慎重な質疑応答を繰り返して、そして確定したところのものに基いていただきたいのです。そうでなければ
議会における
政府の答弁というものは、
政府が変ってしまえば、もはや無視していいというような慣例をお開きになろうとしているおつもりはなかろうと思う。破壊活動防止法や公安
調査庁法というものが人権侵害にわたるおそれが多分にあるというために、
国会がそれに付帯する決議をつけたことはまさかお忘れじゃないと思う。
国会が特に
心配してそういう注意を
政府に向って促したということをお
考えになれば、最近の公安
調査庁の
調査活動というものは、いささか常軌を逸しています。それで正確に言えば、公安
調査庁の
調査というものは、その破壊活動防止法に関して求められてできているところの
委員会が活動して、初めて公安
調査庁が活動するということでなければならん。そのためにわざわざ丁重にああいう
法律ができているのです。かつまた、その破壊活動であるというふうに認定するには、それだけの丁重な
手続が必要であるということは申し上げるまでもない。勝手にある団体、ある政党、あるいはある個人が破壊的と認めて
調査を開始していいとお
考えになっているというふうにまさかお
考えになっているのじゃあるまい。また
法律はそんなことは許しておりません。ところが徐々にそういう悪い習慣が発生しつつあることについて、
法務大臣は重大な職責においてそういうことが行われないように、厳重に監視を続けておられることを信じて疑いません。
監獄法についてはどうか早くなすべきことをしていただきたいのです。
それから団体等規正令については、御
承知のようにすでに
裁判においては、前の
政令を今日において
適用するということの必要がないという判決も出ているのです。もちろんその判決はまだ確定したものではない。今法相のお
言葉でも、情において忍びざるところがあるというようなお
言葉もありまして、そういうふうな果して眼前明白な危険があって、それを直ちに防止しなければならないものであるかどうかということについて、多大の疑問のある方面については、多大の
予算と多大の人員とを配置して、眼前明白の危険のあるような場合の
行為、あるいは官吏の人権じゅうりんというような方面については、
予算が足りない、人手が足りないというふうにおっしゃっている点は、あなたのお答えをそのままちょうだいするということが、はなはだ困難でございますから、重ねて後日お答えをいただいておきたいと思うのです。
それから最後の点でありますが、しからば現在法相は、会計検査院等が指摘している事実というものは法に触れていない、法に触れていないならば、やって差しつかえないというふうにお
考えになっているのかどうか。果してあれが、いかなる意味においても、法に触れていないというふうにお
考えですか。公務員法なり何なりにおいて、公務員が守らなければならない最高の義務というものに、
違反していないというふうにお
考えですか。